説明

船舶用プロペラの保護装置、保護方法、及び保護装置を装備した船舶

【課題】ロープ及び網等の外力にも耐え、速力の増加に伴う抵抗の増加及び振動の原因となるキャビテーションを制御して高速の航行にも破損せず、振動発生の原因を取り除き、更にプロペラの推進性能を低下させない船舶用プロペラの保護装置、保護方法、及び保護装置を装備した船舶を提供する。
【解決手段】プロペラ15の周囲をU字状の断面を有する板状の保護板2により取り囲む。そして、U字の上端に設けられた平板状の1対の接続部17を、船底5に設けられた1対の受け材3に接続して保護板2を支持する。接続部17の先端部と受け材3との間には空隙が設けられており、また、接続部17の周囲と受け材3との間には防振部材が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶のプロペラにロープ又は網等が巻き込まれることを防止する船舶用プロペラの保護装置、保護方法、及び保護装置を装備した船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に定置網及び巻き網漁船では、海中に設置した網、ロープ、及び浮き玉等の上での作業を余儀なくされるため、船舶のプロペラの周囲を、鋼又はステンレス製の棒状の金属で網の目状に取り囲み、プロペラへの巻き込みを防止していた。
【0003】
図5は、従来のプロペラの保護装置の一例を船舶の側面側から見た図、図6は、船舶の船尾側から見た図である。図5及び図6においては、海中100に設置された網101、ロープ102、及び浮玉103等の上方の海面を船舶が航行し、この船舶の船体104上で作業をする状況を示している。船体104の船尾には、プロペラ111及び舵板112が設けられており、このプロペラ111の周囲を取り囲むように棒状金属105が網の目状又は格子状に配設されている。この棒状金属105からなる網の目状又は格子状のプロペラ保護装置は、棒状金属105が交差部107にて相互に連結して構成され、結合部106を介して船体104に結合されている。
【0004】
一般に、船舶の航行時に、水面近くに網101、ロープ102、及び浮玉103等が設置されていると、これらは船体104により海中100に押し下げられ船底を覆うように接するため、回転するプロペラによりたちまち巻き込まれ、プロペラが回転不能となり、船舶の推進力が失われることになる。このため、図5及び図6では、プロペラ111の周囲を網の目状又は格子状に取り囲む保護装置を設けることにより、このような巻き込みを防止している。
【0005】
図7は、上述の従来のプロペラの保護装置の船体への取り付け方法を示す図、図8は、棒状金属の船体結合部における結合方法を示す図である。図7に示すように、船体104と、棒状金属105とは、結合部106にて結合されている。棒状金属105は、例えば、鉄又はステンレスからなる。また、棒状金属105は交差部107にて相互に連結することにより、網の目状又は格子状の構造が形成されている。これらの結合部106及び交差部107においては、棒状金属105は、その材質に合わせて溶接又はFRP(ガラス強化プラスティック)でライニングして固着されている。また、図8に示すように、結合部106においては、パイプ状の受け材108が溶接部130にて船体104に固着されている。このパイプ状の受け材108の内部に形成された貫通孔には棒状金属105の端部が挿入されており、挿入された棒状金属105の先端部と船体104の表面との間に空間109(隙間)を設けて、棒状金属105がパイプ状の受け材108に取り付けられている。これは、空間109を設けることにより、棒状金属105の振動を船体104に直接伝達させない働きがある。
【0006】
また、上述の従来のプロペラの保護装置とは別のタイプのプロペラの保護装置として、プロペラがロープ又は網等を巻きつく際に、それを切断してプロペラを保護するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開07−309297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来技術には、以下に示すような問題点がある。
【0009】
図5乃至図8に示した従来のプロペラの保護装置によれば、網等の巻き込みを防止することはできるが、船舶の航行の高速化に伴い、プロペラの保護装置の破損も急増している。これは、次のような要因からなる。
【0010】
(1)水中の抵抗は速力の2乗に比例するため、また、プロペラの周囲の水の流れは速力の1.1乃至1.2倍であるため。例えば、10knot(18.52km/h)の速度で航行する船が、その速度を14knotに変更すると、約2倍以上の抵抗となり、17knotでは、約3倍以上の抵抗となる。
【0011】
(2)棒状金属の組み合わせ形状による振動発生。例えば、図9に示すように、流れ122の速い水中に棒135を垂直に入れる場合を考える。図9では、この棒135の断面が示されており、流れ122の流速がある臨界値に達すると、棒135の下流側に乱流120が発生し、棒135は流れ122の方向に対して垂直な方向に揺れ出す(図示例では、上下方向)。これは、ナックルボールが空気中で揺れるのと同じ原理である。更に、流速が増速すると、揺れが大きくなり、棒135の下流側にキャビテーション(空洞現象)121が発生するため、振動が発生する。
【0012】
(3)プロペラの保護装置で発生したキャビテーション121をプロペラ111(推進機)が巻き込み、プロペラの空転又は常にキャビテーションを発生した状態になり、推進効率の劣化を招き、更に大きな振動原因となる(図10参照)。
【0013】
(4)プロペラの保護装置の下部取り付け部であるヒールピース133の振動を誘発する(図10参照)。
【0014】
(5)舵板112に当たる水圧の乱れが大きく、舵板112を支えるヒールピース133の振動を誘発する(図10参照)。
【0015】
以上の要因等により、従来のプロペラの保護装置は、低速の状態では破損しにくいが、速度が増加するに従い、抵抗の増加及び振動の発生により、保護装置が耐えられず破損する例が多くなってきた。更に、その抵抗が船速に及ぼす影響も大きく、また、船体振動の増加は取り付け器具、漁労機器等の破損の原因になっている。従って、高速の船であっても、この方式の従来のプロペラの保護装置では、限界速力が決まってしまい、極めて不経済な船になってしまう。
【0016】
また、例えば、特許文献1に記載されている従来のプロペラ保護装置は、プロペラに巻きついたロープ又は漁網等を切断するものであるため、これらの巻きつき箇所であるプロペラと船尾ボッシングの端部との間にプロペラ保護装置を設ける必要がある。このため、プロペラ装置そのものに保護機能を設ける必要があり、既存のプロペラ装置を装備している船舶に対しては、プロペラ装置自体を交換しなければならない。また、プロペラの推進性能を低下させたり、ロープ等の切断不良によるプロペラ回転不能を引き起こす可能性もある。
【0017】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ロープ及び網等の外力にも耐え、速力の増加に伴う抵抗の増加及び振動の原因となるキャビテーションを制御して高速の航行にも破損せず、振動発生の原因を取り除き、更にプロペラの推進性能を低下させない船舶用プロペラの保護装置、保護方法、及び保護装置を装備した船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るプロペラの保護装置は、船底に設けられたプロペラの保護装置において、前記プロペラの回転域の周囲の少なくとも一部を囲む湾曲面を有する板状の保護部材と、前記船底に固定され前記保護部材を支持する受け部と、この受け部と前記保護部材との間に設けられ振動を吸収する振動吸収部材と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、前記振動吸収部材は、マット又はゴムであってもよい。
【0020】
また、前記保護部材における前記受け部に挿入される両端の接続部は、その先端部と前記受け部との間に、空間が設けられていることが好ましい。
【0021】
また、前記保護部材の下部はその上部に対して、より船首方向へ延伸していることが好ましい。
【0022】
前記保護部材は前記プロペラをその回転軸方向に対して同軸的に囲む円筒部を有し、この円筒部の外側面に平板状の前記接続部が設けられていてもよい。
【0023】
または、前記保護部材における前記プロペラの回転軸に対して垂直な面による断面形状はU字状であって、前記接続部はこのU字の上端部であり、前記保護部材は、前記船底の下方から前記船底と共に前記プロペラを囲まれていてもよい。
【0024】
本発明に係る船舶は、前記プロペラの保護装置を装備したことを特徴とする。
【0025】
本発明に係るプロペラの保護方法は、船底に設けられたプロペラの保護方法において、湾曲面を有する板状の保護部材でプロペラの回転域の周囲の少なくとも一部を囲み、前記船底に固定された受け部により前記保護部材を支持し、前記受け部と前記保護部材との間に振動を吸収する振動吸収部材を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ロープ、網等の外力にも耐え、航行時の速力性能の低下を抑制し、振動を発生させずに、高速でも破損しにくいプロペラの保護装置を提供することができる。このようなプロペラの保護装置は、抵抗及び振動が抑制され、推進性能が低下せず、更に強度も確保されることから、高速船に好適に装備することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るプロペラの保護装置を船舶の船尾側から見た図であり、図3は、それを船舶の側面側から見た図である。
【0028】
図1及び図3に示すように、船体1の船尾には、プロペラ軸16が設けられており、このプロペラ軸16にはプロペラ15が取り付けられている。図1においては、船体1の船尾における船尾船殻10は、その面が下方に向いた下向船尾船殻10aと、その面が船尾後方に向いた後向船尾船殻10bとから構成され、プロペラ軸16は後向船尾船殻10bに設けられている。このプロペラ軸16は、図示はしない駆動源に接続されており、この駆動源によりプロペラ軸16と共にプロペラ15を回転させることにより、順行時には船首側からの水を船尾側後方に押しやって船舶の推進力を得ることができる。
【0029】
プロペラ15の船尾後方には舵板7が設けられている。この舵板7は舵軸11により揺動自在に軸支され、この舵軸11は下向船尾船殻10aと船底から船尾後方に突出して設けられたヒールピース4とにより鉛直方向に取り付けられている。
【0030】
本実施形態に係るプロペラの保護装置は、プロペラ15の回転域の周囲の少なくとも一部を囲む湾曲面を有する板状の保護板2と、船底5に固定され保護板2を支持する受け部としての受け材3と、この受け材3と保護板2との間に設けられ振動を吸収する振動吸収部材としての防振ゴム8とを備えている。
【0031】
図1及び図3に示すように、保護板1は、湾曲面を有する板状の部材からなり、プロペラ15の回転域の周囲を取り囲むように設けられている。保護板1は、例えば、鉄又はステンレス等の金属材料から形成されている。この保護板1は、プロペラ軸16の軸周り方向におけるプロペラ15及びプロペラ軸16の周囲に設けられており、一方、プロペラ15の正面側、即ち、船尾後方側には設けられていない。また、保護板1のプロペラ軸16に略垂直な面による断面形状はU字状であり、その弧状の湾曲部を下方にして、船体1の船底5と保護板1とによりプロペラ15の周囲を囲っている。そして、保護板1の上部は下向船尾船殻10aに位置し、保護板1の下部はヒールピース4に達している。
【0032】
保護板1の上部、即ち、U字の1対の平板部は船体1への接続部17を形成しており、この平板状の接続部17は、船体1の船底である下向船尾船殻10aに設けられた1対の受け材3に接続される。図1に示すように、これら1対の受け材3は、船体の中央(図示例では、舵板7の位置)を中心として左右対称に設けられており、更に、図3に示すように、船首から船尾方向に延在している。そして、受け材3には接続部17の形状に嵌合するように、角柱状の嵌合部が形成されており、接続部17が受け材3の嵌合部に嵌め込まれることで、保護板2は受け材3により支持されている。また、受け材3と保護板1の接続部17との間には、振動を吸収する防振ゴム8が設けられている。
【0033】
図3に示すように、ヒールピース4付近に位置する保護板2の下部は、その上部である接続部と比較して、船首方向に延伸している。即ち、図示例では、保護板2の側面形状は台形であり、その前縁部(船首側)は上方から下方へ移動するにつれて前方(船首方向)へ延在している。一方、その後縁部(船尾側)は垂直に形成されている。
【0034】
次に、接続部17と受け材3との詳細な接続構造について説明する。図4は、保護板の接続部と受け材との接続構造を模式的に示す斜視図である。図4に示すように、受け材3の内部には、保護板2の接続部17を挿入するように嵌合部が形成されており、この嵌合部に接続部17の先端部が挿入されている。このとき、接続部17の先端部と嵌合部との間には空間9が形成されている。また、接続部17の挿入方向に垂直な嵌合部の断面は、対応する接続部17の断面よりも大きく、接続部17の周囲と受け材3との間には、振動を吸収する例えば防振ゴム8が設けられている。なお、防振ゴム8の替わりに、例えば、マット等の振動を吸収する吸振板等を設けることもできる。受け材3は、例えば溶接により、船体1に固着される。また、受け材3に設けられた凹状の嵌合部は、接続部17の方向に沿って貫通していてもよく、この場合には、受け材3はパイプ状の形状をなす。上述のように、この場合にも、接続部17の先端部と嵌合部との間には空間9が形成されているため、接続部17の先端部は、船体1の表面とは接触しない。
【0035】
次に、本実施形態の動作について説明する。船舶の航行時に、水面近くに網、ロープ、及び浮玉等が設置されていると、これらは船体1により海中に押し下げられ船底を覆うように接するため、回転するプロペラによりたちまち巻き込まれ、プロペラが回転不能になり、船舶の推進力が失われる可能性がある。本実施形態おいては、プロペラ15及びこのプロペラ15が取り付けられたプロペラ軸16の回転域の周囲を、湾曲面を有する保護板2で囲むことにより、網、ロープ、及び浮玉等のプロペラ15への巻き込みを防止するものである。
【0036】
このとき、板状の保護板2の構造は、従来の棒状金属による網の目状の構造と比較すると、船舶の速力の増減に拘わらず振動の発生を抑制し、乱流を発生させることもない。また、保護板2の後方(船尾側)にキャビテーションが発生して振動が発生することも抑制される。更に、船舶の推進時に保護板2にかかる外力(抵抗力)は、保護板2自身を湾曲にすることで、保護板2自身が外力を柔軟に吸収する。
【0037】
また、プロペラに巻き込まれる物のほとんどは、船底下前方からのものであり、このため、本実施形態におけるように保護板2の下部を前方(船首方向)へ延在させることにより、海中浮遊物のプロペラの保護装置内部への侵入をより一層防ぐことができる。なお、このような目的のためには、必要に応じて、最小限の本数の棒状金属を保護板2の前方部(船首方向)に接続させることもできる。
【0038】
図4に示すように、接続部17の先端部と受け材3との間には空間9が設けられているため、保護板2及びヒールピース4の振動は船底5に直接伝達されない。更に、接続部17と受け材3との間には、例えば防振ゴム8が設けられているため、防振効果が増し、振動は抑制され、金属同士の音なりも防止することができる。
【0039】
次に、本実施形態の効果について説明する。本発明によれば、ロープ、網等の外力にも耐え、プロペラ付近の乱流、キャビテーションを極力発生させず、速力の増加に伴う振動、抵抗を抑制し、航行時の速力性能の低下を抑制すると共に高速航行でも破損しにくいプロペラの保護装置を提供することが可能となる。近時は、船体、機器すべての面で軽量化が進み、省エネ船形の高速船が主に建造されている。このため、本実施形態に係るプロペラの保護装置は、このような高速船に好適に適用することができる。従来は、プロペラの保護装置を取り付けると、最大20%以上の速度の損出が発生する船もあり、振動の増加時にはプロペラの保護装置が破損することがあった。そのため、その対策として、プロペラを小さくしたり、最高速力を押させたりするなど、対策に苦慮していた。本発明によれば、エネルギーの浪費を抑制し、振動の少ない快適な航行を実現し、船体上での安全な作業を可能にする。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係るプロペラの保護装置を船舶の船尾側から見た図であり、図3は、それを船舶の側面側から見た図である。
【0041】
図2及び図3に示すように、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、保護板2の形状の違いにある。即ち、本実施形態においては、保護板2の形状は円筒状であり、この円筒状の保護板2がその軸方向をプロペラ軸16の方向と略平行になるようにしてプロペラ15及びプロペラ軸16の周囲を取り囲んでいる。また、接続部18は、円筒の軸方向に沿って保護板2の側面に設けられた1対の平板部からなる。この1対の平板部は、円筒状の保護板2の側面に、例えば溶接により固着されている。そして、接続部18は、防振ゴム8を介して受け部としての受け材3に接続され、保護板2は受け材3により支持されている。なお、その他の構成は前述の第1の実施形態と同様であり、そのため、同一の構成物には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。また、本実施形態の動作及び効果も第1の実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプロペラの保護装置を船舶の船尾側から見た図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るプロペラの保護装置を船舶の船尾側から見た図である。
【図3】本発明の第1及び第2の実施形態を船舶の側面側から見た図である。
【図4】保護板の接続部と受け材との接続構造を模式的に示す斜視図である。
【図5】従来のプロペラの保護装置の一例を船舶の側面側から見た図である。
【図6】従来のプロペラの保護装置の一例を船舶の船尾側から見た図である。
【図7】従来のプロペラの保護装置の船体への取り付け方法を示す図である。
【図8】従来のプロペラの保護装置において、棒状金属の船体結合部における結合方法を示す図である。
【図9】流れの速い水中に棒を垂直に入れた際に、乱流が発生する様子を模式的に示す図である。
【図10】従来のプロペラの保護装置が装備された船舶の航行時に、乱流が発生する様子を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
1;船体
2;保護板
3;受け材
4;ヒールピース
5;船底
6;前方延伸部
7;舵板
8;防振ゴム
9;空間
10;船尾船殻
10a;下向船尾船殻
10b;後向船尾船殻
11;舵軸
15;プロペラ
16;プロペラ軸
17、18;接続部
100;海中
101;網
102;ロープ
103;浮玉
104;船体
105;棒状金属
106;結合部
107;交差部
108;パイプ状受け材
109;空間
111;プロペラ
112;舵板
120;乱流
121;キャビテーション
122;流れ
130;溶接部
133;ヒールピース
135;棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船底に設けられたプロペラの保護装置において、前記プロペラの回転域の周囲の少なくとも一部を囲む湾曲面を有する板状の保護部材と、前記船底に固定され前記保護部材を支持する受け部と、この受け部と前記保護部材との間に設けられ振動を吸収する振動吸収部材と、を有することを特徴とするプロペラの保護装置。
【請求項2】
前記振動吸収部材は、マット又はゴムであることを特徴とする請求項1に記載のプロペラの保護装置。
【請求項3】
前記保護部材における前記受け部に挿入される両端の接続部は、その先端部と前記受け部との間に、空間が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロペラの保護装置。
【請求項4】
前記保護部材の下部はその上部に対して、より船首方向へ延伸していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロペラの保護装置。
【請求項5】
前記保護部材は前記プロペラをその回転軸方向に対して同軸的に囲む円筒部を有し、この円筒部の外側面に平板状の前記接続部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロペラの保護装置。
【請求項6】
前記保護部材における前記プロペラの回転軸に対して垂直な面による断面形状はU字状であって、前記接続部はこのU字の上端部であり、前記保護部材は、前記船底の下方から前記船底と共に前記プロペラを囲むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロペラの保護装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロペラの保護装置を装備したことを特徴とする船舶。
【請求項8】
船底に設けられたプロペラの保護方法において、湾曲面を有する板状の保護部材でプロペラの回転域の周囲の少なくとも一部を囲み、前記船底に固定された受け部により前記保護部材を支持し、前記受け部と前記保護部材との間に振動を吸収する振動吸収部材を設けることを特徴とするプロペラの保護方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−18877(P2008−18877A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193421(P2006−193421)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(596059934)運上船舶工業有限会社 (5)