説明

船舶電力供給システム及び電力供給方法

【課題】船舶が港に停泊した場合に、船舶内の発電機から船舶外の電力供給装置へ電力の供給元を円滑に切り替えることができると共に、船舶に積載した冷凍コンテナなどの負荷との間で電力線通信を行うことができる船舶電力供給システム及び電力供給方法を提供する。
【解決手段】船舶1の発電機2から主配電盤40への電力供給経路中に第1スイッチ42を設け、陸上電源99から主配電盤40への電力供給経路中に第2スイッチ43を設け、主配電盤40から冷凍コンテナへの電力供給経路中に第3スイッチ44を設ける。また、監視装置90を主配電盤40に接続する。電力供給元が発電機2又は陸上電源99の何れであっても、監視装置90は冷凍コンテナと電力線通信を行うことができる。第3スイッチ44を遮断する際には主配電盤40から監視装置90へ通知を行うことで、監視装置90での処理に不具合が生じることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の航行中には船舶内の発電機からの電力を供給し、船舶の停泊中には船舶外に設けられた電力供給装置からの電力を供給することができる船舶電力供給システム及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶に搭載された各種の電気機器及び積載された冷凍コンテナ等へ供給する電力は、船舶に搭載された発電機から供給していた。近年においては、地球環境に配慮し、排気ガスの排出を低減するために、船舶が港に入港した際には船舶の発電機を停止し、陸上などの船舶外に配された電力供給装置から船舶へ電力を供給するシステムが研究及び開発され、実用化され始めている。
【0003】
電力の供給を必要とする冷凍コンテナを積載しない船舶については、陸上からの電力供給を容易に行うことが可能である。しかし、冷凍コンテナを積載する船舶の場合、各冷凍コンテナが電力の供給を必要とするため、多数の冷凍コンテナを積載する船舶ではより多くの電力の供給を必要とする。よって、船舶に多くの電力を供給するために、陸上の電力供給装置から船舶へより高い電圧での電力供給を行うことが必要不可欠であり、高電圧での電力供給を行うことができる船舶電力供給システムの開発及び実用化が求められている。
【0004】
特許文献1においては、港に停泊し、船内に発電機を備える船舶に陸上から電力を供給する場合に、陸上からの電力と発電機からの電力との同期調整を行う工程と、同期調整を行った後で、陸上からの電力と発電機からの電力の短時間並列運転を行う工程と、短時間並列運転の後で、発電機からの電力を遮断して陸上からの電力を船舶に供給する工程とを有する給電方法及びそのシステムが提案されている。この給電方法及びシステムにおいては、陸上の電源から船舶に電源を切り替える際に、停電の発生を防止し、電源切替時であっても船内の制御機器が円滑に作動できるという利点がある。
【0005】
図9は、従来の船舶電力供給システムの構成を示す模式図であり、船舶に搭載された発電機のみで電力の供給を行う場合である。図において301は船舶であり、船舶301には約440Vの電力を発電する複数の発電機2が搭載してある。発電機2が発電した電力は主配電盤340に供給され、主配電盤340により船舶301内の変圧器5、変圧器7、分電盤8、冷凍コンテナ用分電盤9、及びその他の440Vの電力で動作する機器へ分配供給されるようにしてある。また、船舶301はバウスラスタ3a及びこれを駆動するモータ3を備えている。変圧器5は、主配電盤340から供給された約440Vの電力を約6600Vの電力に変圧し、モータ3を始動する始動器4を介して、モータ3へ約6600Vの電力を供給するようにしてある。
【0006】
変圧器7は主配電盤340から供給された約440Vの電力を約100Vの電力に変圧して分電盤6へ供給し、分電盤6は船舶301内の100Vの電力で動作する機器へ約100Vの電力を分配供給するようにしてある。分電盤8は、主配電盤340からの約440Vの電力を、船舶301内の440Vの電力で動作する機器へ分配供給するものであり、また、冷凍コンテナ用分電盤9は、主配電盤340からの約440Vの電力を、船舶301に積載された多数の冷凍コンテナ(図示は省略する)に分配供給するものである。主配電盤340、分電盤6、8、冷凍コンテナ用分電盤9は、電力の供給元と供給先とを通電/遮断するスイッチを複数備えており、船舶301の乗員による操作又はコンピュータ制御により船舶301内の各機器へ電力の供給を行うことができるようにしてある。
【0007】
図10は、特許文献1に記載の給電方法を説明するための模式図であり、図9に示した船舶301に特許文献1に記載の給電方法及びシステムを適用した場合の船舶401を図示してある。船舶401は、複数の発電機2を搭載して、船舶401内の機器に電力を分配供給する主配電盤440へ発電機2からの電力を供給することができるようにしてあると共に、陸上に配設された陸上電源99に接続して、陸上電源99からの電力を船舶401内の機器に供給することができるようにしてある。
【0008】
陸上電源99は電圧が約6600Vの電力を船舶401に供給することができるようにしてある。船舶401には、陸上電源99に電力ケーブルなどを介して接続されて、陸上電源99からの電力が供給される受電盤420が設けてある。受電盤420は、陸上電源99からの電力を2つの変圧器410及び411へ分配供給するようにしてあり、変圧器410及び411は、供給された約6600Vの電力を約440Vの電力に変圧して出力するようにしてある。
【0009】
主配電盤440から変圧器5への電力供給経路中には切替スイッチ415が配設してあり、主配電盤440を変圧器5又は変圧器410に選択的に切り替えて接続することができるようにしてある。切替スイッチ415を操作して主配電盤440を変圧器5に接続した場合には、主配電盤440から変圧器5、始動器4及びモータ3へ電力を供給することができる。切替スイッチ415を操作して主配電盤440を変圧器410に接続した場合には、陸上電源99からの電力を変圧器410にて変圧して主配電盤440へ供給することができる。
【0010】
同様に、主配電盤440から冷凍コンテナ用分電盤9への電力供給経路中には切替スイッチ416が配設してあり、冷凍コンテナ用分電盤9を主配電盤440又は変圧器411に選択的に切り替えて接続することができるようにしてある。切替スイッチ416を操作して冷凍コンテナ用分電盤9を主配電盤440に接続した場合には、主配電盤440からの電力を冷凍コンテナ用分電盤9を介して船舶401に積載した冷凍コンテナへ供給することができる。切替スイッチ416を操作して冷凍コンテナ用分電盤9を変圧器411に接続した場合には、陸上電源99からの電力を変圧器411にて変圧して冷凍コンテナへ供給することができる。
【0011】
船舶401の航海中には、切替スイッチ415により主配電盤440及び変圧器5が接続され、切替スイッチ416により主配電盤440及び冷凍コンテナ用分電盤9が接続されている。船舶401が港に停泊し、陸上電源99からの電力供給を行う場合には、まず、船舶401の受電盤420を陸上電源99に電力ケーブルなどを用いて接続し、切替スイッチ416を切り替えて冷凍コンテナ用分電盤9を変圧器411に接続する。これにより、船舶401に積載された多数の冷凍コンテナへ陸上電源99からの電力が変圧されて供給される。これにより、発電機2に対する負荷が低減されるため、船舶401に搭載された複数の発電機2のうちの1つの発電機2を動作させ、他の発電機2を停止させることができる。
【0012】
次いで、切替スイッチ415を切り替えて主配電盤440を変圧器410に接続し、発電機2からの電力及び陸上電源99からの電力を同期調整して短時間の並列運転を行う。その後、主配電盤440内のスイッチを遮断して発電機2からの電力供給を停止し、船舶401内の全ての機器を陸上電源99からの電力により動作させる。以上が特許文献1に記載の給電方法及びシステムである。
【0013】
一方、冷凍コンテナを搭載する船舶において、その搭載数は年々増加の一途を辿っている。冷凍コンテナを搭載した船舶では、各冷凍コンテナが正常に動作しているか否か、例えば冷凍コンテナ内が適正な温度に設定されているか否かなどを厳重に監視する必要があるが、船舶の乗員が冷凍コンテナの動作状態を個々に監視することは容易ではない。そこで、各冷凍コンテナと通信を行うことができる監視装置を船舶に搭載し、監視装置が各冷凍コンテナに関する情報を収集することによって、多数の冷凍コンテナを集中的に監視することができるシステムが実用化されている。
【0014】
特許文献2においては、運転状態の監視信号を電力線に重畳して伝送する電力線搬送型の負荷装置、及び監視信号を信号線により伝送する信号線搬送型の負荷装置の何れとも接続し、電力を供給すると共に監視信号を電源側電力線により伝送するための接続装置を用いることにより、通信線の引き回しが不要であり、信号線搬送型及び電力線搬送型の負荷装置が混在しても一元的な集中監視を可能とする監視装置が提案されている。接続装置には、何れかの負荷装置の負荷側電力線に接続するための電力線コネクタと、信号線搬送型の負荷装置の信号線に接続するための信号線コネクタと、信号線コネクタからの所定の信号に基づいて接続された負荷装置が信号線搬送型であるか否かを判定する手段と、接続された負荷装置が信号線搬送型の場合に、信号線コネクタに入力された監視信号を電源側電力線に重畳して伝送する重畳伝送回路とを備えている。
【0015】
このように、電力線通信を利用して冷凍コンテナと通信を行う構成とすることによって、船舶に多数の通信専用線を配設する必要がなく、冷凍コンテナの状態を監視するシステムを容易に船舶に導入することができる。また、積載する冷凍コンテナ数の増減にも容易に対応することが可能である。
【特許文献1】特開2005−237151号公報
【特許文献2】特許第3300848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図9に示した船舶301に冷凍コンテナの状態を監視するシステムを搭載する場合、主配電盤340に監視装置を接続して電力線通信を行うことで、容易に冷凍コンテナとの通信を行って各冷凍コンテナからの情報を収集することができる。しかしながら、図10に示した船舶401に冷凍コンテナの状態を監視するシステムを搭載する場合、船舶401の航海中は発電機2からの電力が冷凍コンテナへ供給されるため、冷凍コンテナ用分電盤9及び冷凍コンテナが切替スイッチ416を介して主配電盤440に接続されているが、船舶401の停泊中は陸上電源99からの電力が冷凍コンテナへ供給されるため、冷凍コンテナ用分電盤9及び冷凍コンテナが切替スイッチ416を介して変圧器411に接続され、主配電盤440は接続されない。よって、監視装置を主配電盤440に接続しても船舶401の停泊中には冷凍コンテナと電力線通信を行うことができないという問題がある。船舶401の停泊中であっても主配電盤440と冷凍コンテナ用分電盤9とは受電盤420、変圧器410及び411を介して接続されているが、2つの変圧器410及び411を介して電力線通信を行うことは容易ではない。また、冷凍コンテナへ電力を分配供給する冷凍コンテナ用分電盤9に監視装置を接続することも可能であるが、船舶401の規模によっては冷凍コンテナ用分電盤9が複数搭載される場合もあり、複数の冷凍コンテナ用分電盤9が必ずしも直接的に電力線を介して接続されるわけではなく、一の冷凍コンテナ用分電盤9に接続された監視装置が他の分電盤に接続された冷凍コンテナと電力線通信を行うことができる保証はない。
【0017】
また、図10に示した給電方法の場合、2つの変圧器410及び411を船舶401に搭載する必要があるため、コストが高いという問題がある。また、主配電盤440及び変圧器5の電力供給経路中に切替スイッチ415を配する必要があり、主配電盤440及び冷凍コンテナ用分電盤9の電力供給経路中に切替スイッチ416を配する必要があるため、陸上電源99からの電力を供給する機能を備えない船舶(例えば、図9に示した船舶301)にこの機能を追加することが容易ではないという問題がある。
【0018】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、主配電盤などの電力の分配手段に通信装置を接続して船舶に積載された冷凍コンテナなどの負荷との間で電力線通信を行うと共に、発電機及び分配手段の間に通電/遮断を行う第1スイッチを設け、陸上などの船舶外に設けられた電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設ける構成とし、電力の供給元の切り替えを行う場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断又は通電を通知すると共に、第1〜3スイッチを通電状態又は遮断状態に切り替えることにより、電力の供給元の切り替えを円滑に行うことができると共に、発電機又は陸上の電力供給装置のいずれの電力を負荷に供給する場合であっても、通信装置が電力線を介して負荷と通信することができる船舶電力供給システムを提供することにある。
【0019】
また本発明の他の目的とするところは、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態から、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替え、第2スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、発電機を待機状態へ移行させて第1スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行う構成とすることにより、船舶に搭載された冷凍コンテナの動作状態の監視に支障をきたすことなく、発電機から陸上の電力供給装置への電力供給元の切り替えを円滑に且つ確実に行うことができる船舶電力供給システムを提供することにある。
【0020】
また本発明の他の目的とするところは、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態から、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替え、第1スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、第2スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行う構成とすることにより、陸上の電力供給装置から船舶の発電機への電力供給元の切り替えを円滑に且つ確実に行うことができる船舶電力供給システムを提供することにある。
【0021】
また本発明の他の目的とするところは、複数の第3スイッチを介して複数の負荷を分配手段に接続し、第3スイッチを遮断状態に切り替える場合には、第3スイッチにより通電された負荷にて消費される電力量を取得し、この電力量が所定電力量を超える場合に、複数の第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替えていく構成とすることにより、電力の供給を遮断する負荷を最低限に抑えて電力供給元の切り替えを行うことができる船舶電力供給システムを提供することにある。
【0022】
また本発明の他の目的とするところは、船舶に複数の発電機を搭載して並列運転を行う構成とし、第1スイッチの通電状態又は遮断状態への切り替えを行う場合には、一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に、通電状態又は遮断状態への切り替えを行うことにより、船舶の発電機と陸上との電力供給装置との並列運転を容易に行うことができる船舶電力供給システムを提供することにある。
【0023】
また本発明の他の目的とするところは、第2スイッチを介して分配手段に接続された変圧器と船舶の電動機との間に第4スイッチを設けて、分配手段から電動機への電力の供給と、陸上の電力供給装置から分配手段への電力の供給とを第4スイッチにて切り替える構成とすることにより、分配手段から電動機への電力を変圧する変圧器と、陸上の電力供給装置から分配手段への電力を変圧する変圧器とを兼用の変圧器とすることができる船舶電力供給システムを提供することにある。
【0024】
また本発明の他の目的とするところは、発電機及び分配手段の間に通電/遮断を切り替える第1スイッチを設け、陸上の電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設け、第2スイッチを介して分配手段に接続された変圧器と船舶の電動機との間に第4スイッチを設けて、分配手段から電動機への電力の供給と、陸上の電力供給装置から分配手段への電力の供給とを第4スイッチにて切り替える構成とすることにより、分配手段から電動機への電力を変圧する変圧器と、陸上の電力供給装置から分配手段への電力を変圧する変圧器とを兼用の変圧器とすることができる船舶電力供給システムを提供することにある。
【0025】
また本発明の他の目的とするところは、陸上の電力供給装置に接続する接続手段を船舶の左舷及び右舷に少なくとも1つずつ配設する構成とすることにより、船舶が入港した港の構成又は電力供給装置の配設位置等にかかわらず、陸上の電力供給装置からの電力供給を確実に行うことができる船舶電力供給システムを提供することにある。
【0026】
また本発明の他の目的とするところは、電力の分配手段に通信装置を接続して負荷との間で電力線通信を行うと共に、発電機及び分配手段の間に通電/遮断を行う第1スイッチを設け、陸上の電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設けた構成の船舶電力供給システムにて、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態から、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替え、第2スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、発電機を待機状態へ移行させて第1スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行うことにより、船舶に搭載された冷凍コンテナの動作状態の監視に支障をきたすことなく、発電機から陸上の電力供給装置への電力供給元の切り替えを円滑に且つ確実に行うことができる電力供給方法を提供することにある。
【0027】
また本発明の他の目的とするところは、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態から、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替え、第1スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、第2スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行うことにより、船舶に搭載された冷凍コンテナの動作状態の監視に支障をきたすことなく、陸上の電力供給装置から船舶の発電機への電力供給元の切り替えを円滑に且つ確実に行うことができる電力供給方法を提供することにある。
【0028】
また本発明の他の目的とするところは、船舶電力供給システムが複数の第3スイッチを備えて、分配手段が複数の負荷に複数の第3スイッチを介して電力を分配する構成の場合に、第3スイッチにより通電された負荷にて消費される電力量を取得し、この電力量が所定電力量を超える場合に、複数の第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替えていくことにより、電力の供給を遮断する負荷を最低限に抑えて電力供給元の切り替えを行うことができる電力供給方法を提供することにある。
【0029】
また本発明の他の目的とするところは、船舶電力供給システムが複数の発電機を備えて並列運転を行う構成の場合に、一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に、第1スイッチの通電状態又は遮断状態への切り替えを行うことにより、船舶の発電機と陸上との電力供給装置との並列運転を容易に行うことができる電力供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
第1発明に係る船舶電力供給システムは、船舶に搭載され、該船舶外に配された電力供給装置に接続する接続手段と、電力を発生する発電機と、前記接続手段により接続された電力供給装置又は前記発電機からの電力を前記船舶内の負荷に電力線を介して分配する分配手段とを備える船舶電力供給システムにおいて、前記分配手段に電力線を介して接続し、前記船舶内の負荷との間で通信を行う通信装置と、前記発電機及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第1スイッチと、前記接続手段により接続された電力供給装置及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第2スイッチと、前記分配手段及び前記負荷の間の通電/遮断を行う第3スイッチと、前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断又は通電を通知する手段と、前記第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチを通電状態又は遮断状態に切り替える手段とを備え、前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態と、前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態とを切り替えるようにしてあることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、主配電盤などの電力の分配手段に通信装置を接続して船舶に積載された冷凍コンテナなどの負荷との間で電力線通信を行う。これにより、冷凍コンテナなどの動作状態などを集中的に監視することができる。また、船舶に搭載された発電機及び分配手段の間に通電/遮断を行う第1スイッチを設け、陸上の電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設ける。電力の供給元の切り替えは、これらの第1〜3スイッチを適宜に切り替えることによって行うことができる。切り替えを行う際に分配手段から冷凍コンテナなどの大容量負荷への電力供給が一時的に遮断されるが、切り替えが完了した後には発電機又は電力供給装置からの電力が分配手段を介して冷凍コンテナなどの大容量負荷へ供給される構成のため、切り替えの完了後には分配手段に接続された通信装置が冷凍コンテナなどの負荷との間で電力線通信を行うことができる。また、分配手段から負荷への電力供給を第3スイッチにより遮断する際には、通信装置へ遮断を通知するため、通信装置での処理に不具合が生じることはない。
【0032】
また、第2発明に係る船舶電力供給システムは、前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態から、前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断を通知する手段と、前記第3スイッチを遮断状態に切り替える手段と、前記第2スイッチを通電状態に切り替えて、前記発電機及び前記電力供給装置の並列運転を行う手段と、前記発電機を待機状態へ移行させ、前記第1スイッチを遮断状態に切り替える手段と、前記第3スイッチを通電状態に切り替える手段と、前記通信装置へ前記第3スイッチによる通電を通知する手段とを備えることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、船舶が港に入港した場合、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態から、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態への移行は、以下の手順で行うことができる。まず、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替える。次いで、第2スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、発電機を待機状態へ移行させて第1スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行う。これにより、電力供給元の切り替えを円滑に行って、通信装置による負荷の動作状態の監視などを正常に再開させることができる。
【0034】
また、第3発明に係る船舶電力供給システムは、前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態から、前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、前記発電機の運転を開始する手段と、前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断を通知する手段と、前記第3スイッチを遮断状態に切り替える手段と、前記第1スイッチを通電状態に切り替えて、前記発電機及び前記電力供給装置の並列運転を行う手段と、前記第2スイッチを遮断状態に切り替える手段と、前記第3スイッチを通電状態に切り替える手段と、前記通信装置へ前記第3スイッチによる通電を通知する手段とを備えることを特徴とする。
【0035】
本発明においては、船舶が港から出航する場合、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態から、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態への移行は、以下の手順で行うことができる。まず、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替える。次いで、第1スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、第2スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行う。これにより、電力供給元の切り替えを円滑に行って、通信装置による負荷の動作状態の監視などを正常に再開させることができる。
【0036】
また、第4発明に係る船舶電力供給システムは、前記第3スイッチを複数備えて、前記船舶内の複数の負荷に前記分配手段が電力を分配できるようにしてあり、前記第3スイッチを遮断状態に切り替えるときに、前記第3スイッチの通電した前記負荷に必要な電力量を取得する手段と、取得した電力量が所定電力量を超えるか否かを判定する手段と、所定電力を超えると判定された場合に、複数の前記第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替える手段とを備えることを特徴とする。
【0037】
本発明においては、複数の第3スイッチを介して分配手段が複数の負荷に電力を分配する構成とする。電力供給元の切り替えを行う際に第3スイッチを遮断状態に切り替える必要があるが、これを以下の手順で行うことができる。まず、第3スイッチにより通電された負荷にて消費される電力量を取得し、この電力量が所定電力量を超えるか否かを判定する。所定電力を超える場合には、複数の第3スイッチのうちの何れかを遮断状態に切り替え、この状態で負荷にて消費される電力量を取得して判定を行う。その後、電力量の取得と判定とを繰り返し行って、複数の第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替える。これにより、電力の供給が遮断される負荷を最低限に抑えて電力供給元の切り替えを行うことが可能となる。
【0038】
また、第5発明に係る船舶電力供給システムは、前記発電機を複数備えて、複数の前記発電機が並列運転を行うようにしてあり、複数の前記発電機のうちの一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に、前記第1スイッチの通電状態又は遮断状態への切り替えを行うようにしてあることを特徴とする。
【0039】
本発明においては、船舶に複数の発電機を搭載して並列運転を行う構成とする。電力供給元の切り替えを行う際に第1スイッチの遮断状態又は通電状態への切り替えを行う必要があるが、この場合には、一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に、第1スイッチの遮断状態又は通電状態への切り替えを行う。これにより、陸上の電力供給装置と発電機とを並列運転する場合に、同期をとる必要がある発電機の数を低減できるため、並列運転のための制御を容易化できる。
【0040】
また、第6発明に係る船舶電力供給システムは、前記船舶の航行用の動力又は航行用の補助動力を発生する電動機と、前記第2スイッチを介して前記分配手段に接続され、電力の変圧を行う変圧器と、前記変圧器を前記電動機又は前記接続手段に切り替えて接続する第4スイッチとを備え、前記第4スイッチを切り替えて前記変圧器を前記電動機に接続した場合、前記分配手段からの電力を前記変圧器が変圧して前記電動機へ供給し、前記第4スイッチを切り替えて前記変圧器を前記接続手段に接続した場合、前記接続手段に接続された電力供給装置からの電力を前記変圧器が変圧して前記分配手段へ供給するようにしてあることを特徴とする。
【0041】
本発明においては、第2スイッチを介して分配手段に接続された変圧器と船舶の電動機との間に第4スイッチを設けて、分配手段から電動機への電力の供給と、陸上の電力供給装置から分配手段への電力の供給とを第4スイッチにて切り替える。船舶の航行用の動力又は航行用の補助動力を発生する電動機は、船舶の停泊中には動作させる必要がないため、電力を供給する必要はない。そこで、船舶が停泊している場合には、電動機への電力が陸上の電力供給装置からの供給電力容量を満たすべく設計された変圧器を用いて、陸上の電力供給装置からの電力を変圧して分配手段へ供給することにより、船舶に搭載する変圧器の数を削減することができる。また、変圧器と分配手段との間の電力線についても兼用することができるため、陸上の電力供給装置からの電力を供給する機能を備えない船舶であっても、容易にこの機能を追加することができる。
【0042】
また、第7発明に係る船舶電力供給システムは、船舶に搭載され、該船舶外に配された電力供給装置に接続する接続手段と、電力を発生する発電機と、前記接続手段により接続された電力供給装置又は前記発電機からの電力を前記船舶内の負荷に電力線を介して分配する分配手段とを備える船舶電力供給システムにおいて、前記発電機及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第1スイッチと、前記接続手段により接続された電力供給装置及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第2スイッチと、前記分配手段及び前記負荷の間の通電/遮断を行う第3スイッチと、前記船舶の航行用の動力又は航行用の補助動力を発生する電動機と、前記第2スイッチを介して前記分配手段に接続され、電力の変圧を行う変圧器と、前記変圧器を前記電動機又は前記接続手段に切り替えて接続する第4スイッチとを備え、前記第4スイッチを切り替えて前記変圧器を前記電動機に接続した場合、前記分配手段からの電力を前記変圧器が変圧して前記電動機へ供給し、前記第4スイッチを切り替えて前記変圧器を前記接続手段に接続した場合、前記接続手段に接続された電力供給装置からの電力を前記変圧器が変圧して前記分配手段へ供給するようにしてあることを特徴とする。
【0043】
本発明においては、船舶に搭載された発電機及び分配手段の間に通電/遮断を行う第1スイッチを設け、陸上の電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設ける。また、第2スイッチを介して分配手段に接続された変圧器と船舶の電動機との間に第4スイッチを設けて、分配手段から電動機への電力の供給と、陸上の電力供給装置から分配手段への電力の供給とを第4スイッチにて切り替える。電力の供給元の切り替えは、これらの第1〜4スイッチを適宜に切り替えることによって行うことができる。船舶が停泊している場合には電動機へ電力を供給する必要はないため、電動機への電力が陸上の電力供給装置からの供給電力容量を満たすべく設計された変圧器を用いて、陸上の電力供給装置からの電力を変圧して分配手段へ供給することにより、船舶に搭載する変圧器の数を削減することができる。また、変圧器と分配手段との間の電力線についても兼用することができるため、陸上の電力供給装置からの電力を供給する機能を備えない船舶であっても、容易にこの機能を追加することができる。
【0044】
また、第8発明に係る船舶電力供給システムは、前記接続手段を複数備え、前記船舶の左舷及び右舷に少なくとも1つの接続手段がそれぞれ配設してあることを特徴とする。
【0045】
本発明においては、陸上の電力供給装置に接続する接続手段を船舶の左舷及び右舷に少なくとも1つ配設する。これにより、船舶が港に左舷側から接岸した場合及び右舷側から接岸した場合の両場合において、陸上に配設された電力供給装置に電力ケーブルなどを用いて容易に接続することが可能となる。
【0046】
また、第9発明に係る電力供給方法は、船舶に搭載され、該船舶外に配された電力供給装置に接続する接続手段と、電力を発生する発電機と、前記接続手段により接続された電力供給装置又は前記発電機からの電力を前記船舶内の負荷に電力線を介して分配する分配手段と、前記分配手段に電力線を介して接続し、前記船舶内の負荷との間で通信を行う通信装置と、前記発電機及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第1スイッチと、前記接続手段により接続された電力供給装置及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第2スイッチと、前記分配手段及び前記負荷の間の通電/遮断を行う第3スイッチとを備える船舶電力供給システムにて、電力の供給を行う電力供給方法であって、前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態から、前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断を通知し、前記第3スイッチを遮断状態に切り替え、前記第2スイッチを通電状態に切り替えて、前記発電機及び前記電力供給装置の並列運転を行い、前記発電機を待機状態へ移行して、前記第1スイッチを遮断状態に切り替え、前記第3スイッチを通電状態に切り替え、前記通信装置へ前記第3スイッチによる通電を通知することを特徴とする。
【0047】
本発明においては、電力の分配手段に通信装置を接続して負荷との間で電力線通信を行うと共に、発電機及び分配手段の間に通電/遮断を行う第1スイッチを設け、陸上の電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設けた構成の船舶電力供給システムを利用して、船舶に搭載された負荷への電力の供給を行う。船舶が港に入港した場合、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態から、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態への移行は、以下の手順で行う。まず、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替える。次いで、第2スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、発電機を待機状態へ移行させて第1スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行う。これにより、電力供給元の切り替えを円滑に行って、通信装置による負荷の動作状態の監視などを正常に再開することができる。
【0048】
また、第10発明に係る電力供給方法は、前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態から、前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、前記発電機の運転を開始し、前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断を通知し、前記第3スイッチを遮断状態に切り替え、前記第1スイッチを通電状態に切り替えて、前記発電機及び前記電力供給装置の並列運転を行い、前記第2スイッチを遮断状態に切り替え、前記第3スイッチを通電状態に切り替え、前記通信装置へ前記第3スイッチによる通電を通知することを特徴とする。
【0049】
本発明においては、船舶が港から出航する場合、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態から、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態への移行は、以下の手順で行う。まず、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替える。次いで、第1スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、第2スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行う。これにより、電力供給元の切り替えを円滑に行って、通信装置による負荷の動作状態の監視などを正常に再開することができる。
【0050】
また、第11発明に係る電力供給方法は、前記船舶電力供給システムが、前記第3スイッチを複数備え、前記船舶内の複数の負荷に前記分配手段が電力を分配できるようにしてあり、前記第3スイッチを遮断状態に切り替えるときに、前記第3スイッチの通電した前記負荷に必要な電力量を取得し、取得した電力量が所定電力量を超えるか否かを判定し、所定電力を超えると判定した場合に、複数の前記第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替えることを特徴とする。
【0051】
本発明においては、船舶電力供給システムが複数の第3スイッチを介して分配手段から複数の負荷へ電力を分配する構成の場合に、電力供給元の切り替えを行う際の第3スイッチの遮断状態への切り替えを以下の手順で行う。まず、第3スイッチにより通電された負荷にて消費される電力量を取得し、この電力量が所定電力量を超えるか否かを判定する。所定電力を超える場合には、複数の第3スイッチのうちの何れかを遮断状態に切り替え、この状態で負荷にて消費される電力量を取得して判定を行う。その後、電力量の取得と判定とを繰り返し行って、複数の第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替える。これにより、電力の供給が遮断される負荷を最低限に抑えて電力供給元の切り替えを行うことが可能となる。
【0052】
また、第12発明に係る電力供給方法は、前記船舶電力供給システムが、前記発電機を複数備え、複数の前記発電機が並列運転を行うようにしてあり、複数の前記発電機のうちの一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に、前記第1スイッチの通電状態又は遮断状態への切り替え行うようにしてあることを特徴とする。
【0053】
本発明においては、船舶電力供給システムが複数の発電機を搭載して並列運転を行う構成の場合に、電力供給元の切り替えを行う際の第1スイッチの遮断状態又は通電状態への切り替えを、一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に行う。これにより、陸上の電力供給装置と発電機とを並列運転する場合に、同期をとる必要がある発電機の数を低減できるため、並列運転を容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0054】
第1発明による場合は、電力の分配手段に通信装置を接続して負荷との間で電力線通信を行うと共に、発電機及び分配手段の間に通電/遮断を行う第1スイッチを設け、陸上の電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設けて、第1〜3スイッチを適宜に切り替えることによって電力の供給元の切り替えを行うと共に、第3スイッチにより遮断する際には通信装置へ遮断を通知する構成とすることにより、電力の供給元の切り替えを円滑に行うことができると共に、通信装置での処理に不具合が生じることがないため、電力の供給元の切替処理の信頼性を高めることができ、船舶電力供給システムの信頼性を高めることができる。また、発電機又は陸上の電力供給装置のいずれの電力を負荷に供給する場合であっても、通信装置が電力線を介して負荷と通信することができるため、通信専用線などを通信装置及び負荷の間に配設することなく、冷凍コンテナなどの負荷の動作状態などを通信装置にて集中的に監視することができ、通信機能の拡張性を高めることができると共に、通信機能によるコストの増加を低減することができる。
【0055】
また、第2発明による場合は、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態から、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替え、第2スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、発電機を待機状態へ移行させて第1スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行う構成とすることにより、船舶が港に入港したときに、電力供給元の切り替えを円滑且つ確実に行って、通信装置による負荷の動作状態の監視などを正常に再開させることができるため、船舶電力供給システムの信頼性をより確実に高めることができる。
【0056】
また、第3発明による場合は、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態から、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替え、第1スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、第2スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行う構成とすることにより、船舶が港から出航するときに、電力供給元の切り替えを円滑且つ確実に行って、通信装置による負荷の動作状態の監視などを正常に再開させることができるため、船舶電力供給システムの信頼性をより確実に高めることができる。
【0057】
また、第4発明による場合は、複数の第3スイッチを介して分配手段が複数の負荷に電力を分配する場合には、第3スイッチにより通電された負荷にて消費される電力量を取得し、この電力量が所定電力量を超える場合に、複数の第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替えていく構成とすることにより、電力の供給が遮断される負荷を最低限に抑えて電力供給元の切り替えを行うことができるため、例えば分配手段から電力が供給されている船舶内の動作中の各種自動化機器の処理が中断されることを防止できる。
【0058】
また、第5発明による場合は、船舶に複数の発電機を搭載して並列運転を行う場合には、電力供給元の切り替えを行う際に一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に第1スイッチの遮断状態又は通電状態への切り替えを行う構成とすることにより、陸上の電力供給装置と発電機とを並列運転する場合に、同期をとる必要がある発電機の数を低減でき、並列運転のための制御を容易化できるため、電力供給元の切り替えをより円滑且つ確実に行うことができ、船舶電力供給システムの信頼性をより高めることができる。
【0059】
また、第6発明による場合は、第2スイッチを介して分配手段に接続された変圧器と船舶の電動機との間に第4スイッチを設けて、分配手段から電動機への電力の供給と、陸上の電力供給装置から分配手段への電力の供給とを第4スイッチにて切り替える構成とすることにより、陸上の電力供給装置から分配手段への電力を変圧する変圧器と、分配手段から電動機への電力を変圧する変圧器とを兼ねることができるため、船舶に搭載する変圧器の数を削減することができ、船舶電力供給システムのコストを低減することができる。
【0060】
また、第7発明による場合は、発電機及び分配手段の間に通電/遮断を行う第1スイッチを設け、陸上の電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設け、第2スイッチを介して分配手段に接続された変圧器と船舶の電動機との間に第4スイッチを設ける構成とすることにより、電力の供給元の切り替えを円滑に行うことができるため、電力の供給元の切替処理の信頼性を高めることができると共に、陸上の電力供給装置から分配手段への電力を変圧する変圧器と、分配手段から電動機への電力を変圧する変圧器とを兼ねることができるため、船舶に搭載する変圧器の数を削減することができ、船舶電力供給システムのコストを低減することができる。
【0061】
また、第8発明による場合は、陸上の電力供給装置に接続する接続手段を船舶の左舷及び右舷に少なくとも1つずつ配設する構成とすることにより、舶が港に左舷側から接岸した場合及び右舷側から接岸した場合の両場合において、陸上に配設された電力供給装置に電力ケーブルなどを用いて容易に接続することができ、船舶が入港した港の構成又は電力供給装置の配設位置等にかかわらず、陸上の電力供給装置からの電力供給を確実に行うことができるため、船舶電力供給システムの利便性を高めることができる。
【0062】
また、第9発明による場合は、電力の分配手段に通信装置を接続して負荷との間で電力線通信を行うと共に、発電機及び分配手段の間に通電/遮断を行う第1スイッチを設け、陸上の電力供給装置及び分配手段の間に第2スイッチを設け、分配手段及び負荷の間に第3スイッチを設けた構成の船舶電力供給システムにて、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態から、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断し、第2スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、発電機を待機状態へ移行させて第1スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行うことにより、電力の供給元の切り替えを円滑に行うことができると共に、切り替えに伴う通信装置及び負荷の電力線通信の停止及び再開を円滑に行うことができるため、船舶が港に入港したときの電力供給元の切り替えの信頼性を高めることができる。
【0063】
また、第10発明による場合は、陸上の電力供給装置から負荷へ電力を供給する状態から、船舶の発電機から負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、通信装置へ第3スイッチによる遮断を通知して第3スイッチを遮断状態に切り替え、第1スイッチを通電状態に切り替えて発電機及び電力供給装置の並列運転を行い、第2スイッチを遮断状態に切り替えた後、第3スイッチを通電状態に切り替えて通信装置へ通知を行うことにより、電力の供給元の切り替えを円滑に行うことができると共に、切り替えに伴う通信装置及び負荷の電力線通信の停止及び再開を円滑に行うことができるため、船舶が港から出航するときの電力供給元の切り替えの信頼性を高めることができる。
【0064】
また、第11発明による場合は、船舶電力供給システムが複数の第3スイッチを介して複数の負荷に電力を分配する構成の場合には、第3スイッチにより通電された負荷にて消費される電力量を取得し、この電力量が所定電力量を超える場合に、複数の第3スイッチを順次的に遮断上他に切り替えていくことにより、電力の供給が遮断される負荷を最低限に抑えて電力供給元の切り替えを行うことができるため、例えば分配手段からPCなどに電力が供給される場合に、電力の供給が遮断されてこのPCなどの処理が中断することを防止できる。
【0065】
また、第12発明による場合は、船舶電力供給システムが複数の発電機を搭載して並列運転を行う構成の場合に、電力供給元の切り替えを行う際の第1スイッチの遮断状態又は通電状態への切り替えを、一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に行うことにより、陸上の電力供給装置と発電機とを並列運転する場合に、同期をとる必要がある発電機の数を低減でき、並列運転を容易に行うことができるため、電力供給元の切り替えをより円滑且つ確実に行うことができ、電力供給元の切り替えの信頼性をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る船舶電力供給システムの構成を示す模式図である。図において1は船舶であり、船舶1には約440Vの電力を発電する複数の発電機2が搭載してある。発電機2が発電した電力は主配電盤40に供給されており、主配電盤40は船舶1に搭載された変圧器5、変圧器7、分電盤8、冷凍コンテナ用分電盤9、及びその他の440Vの電力で動作する機器へ電力を分配供給するようにしてある。
【0067】
また、船舶1にはバウスラスタ3a及びこれを駆動するモータ3が搭載してある。バウスラスタ3aは、船舶1の船首近傍に配されて、船舶1の左舷から右舷へ又は右舷から左舷へ水を送るプロペラ装置であり、これを搭載することにより船舶1の旋回性能を高めることができる。モータ3は始動器4による電圧印加により回転してバウスラスタ3aを駆動するものであり、モータ3及び始動器4は6600Vの電力で動作するため、主配電盤40から供給される約440Vの電力を変圧器5が約6600Vの電力に変圧し、変圧器5から始動器4へ約6600Vの電力を供給するようにしてある。
【0068】
変圧器5及び始動器4の間の電力供給経路には切替盤60が介在してあり、変圧器5を始動器4又は受電盤20のいずれかに切り替えて接続することができるようにしてある。切替盤60の切り替えは船舶1の乗員が手動で行うものであってもよく、コンピュータの制御で自動的に行うものであってもよい。受電盤20は、船舶1が港に停泊した後に、陸上に配設された陸上電源99と電力ケーブルを介して接続されて、陸上電源99から約6600Vの電力の供給を受けるためのものである。切替盤60が切り替えられて変圧器5が始動器4に接続された場合には、主配電盤40からの電力を変圧器5が変圧して始動器4及びモータ3に供給するようにしてある。また、切替盤60が切り替えられて変圧器5が受電盤20に接続された場合には、陸上電源99からの約6600Vの電力を変圧器5が約440Vの電力に変圧し、主配電盤40へ供給するようにしてある。
【0069】
主配電盤40は、電力の供給経路をなす主母線41と、主配電盤40に接続された種々の機器及び主母線41の間の通電/遮断を行う複数のスイッチとを備えている。主配電盤40の第1スイッチ42は、発電機2から主母線41への電力供給経路の通電/遮断を行うためのスイッチであり、船舶1に搭載された発電機2の数と同数の第1スイッチ42が主配電盤40に設けてある。第2スイッチ43は、変圧器5及び主母線41の間の電力供給経路の通電/遮断を行うためのスイッチである。第3スイッチ44は、主母線41から船舶1に搭載されたその他の機器への電力供給経路の通電/遮断を行うためのスイッチであり、主配電盤40には多数の第3スイッチ44が設けてある。主配電盤40には、CPUなどで構成される制御部(図3にて図示する)が備えられており、第1スイッチ42〜第3スイッチ44はこの制御部の制御によって自動的に通電状態/遮断状態を切り替えることができるようにしてある。
【0070】
変圧器7は主配電盤40から供給された約440Vの電力を約100Vの電力に変圧して分電盤6へ供給し、分電盤6は船舶1に搭載された100Vの電力で動作する機器へ変圧器7が変圧した約100Vの電力を分配供給するようにしてある。主配電盤40から変圧器7への電力供給経路は、主配電盤40の第3スイッチ44により通電/遮断を行うことができるようにしてある。分電盤8は、主配電盤40から供給された約440Vの電力を、船舶1に搭載された440Vの電力で動作する機器へ分配供給するものであり、主配電盤40から分電盤8への電力供給経路は、主配電盤40の第3スイッチ44により通電/遮断を行うことができるようにしてある。冷凍コンテナ用分電盤9は、主配電盤40から供給された約440Vの電力を、船舶1に積載された多数の冷凍コンテナ(図示は省略する)に分配供給するものであり、主配電盤40から冷凍コンテナ用分電盤9への電力供給経路は、主配電盤40の第3スイッチ44により通電/遮断を行うことができるようにしてある。分電盤6、分電盤8及び冷凍コンテナ用分電盤9は、電力の供給元と供給先とを通電/遮断するスイッチを複数備えており、船舶1の乗員による操作又はコンピュータの制御によりスイッチの切り替えを行うようにしてある。
【0071】
また、主配電盤40の主母線41には監視装置90が接続してある。監視装置90は、冷凍コンテナ用分電盤9に接続された多数の冷凍コンテナの動作状態などを監視するための装置であり、データ処理用のPC及び表示用のCRT(Cathode Ray Tube)等を有し、船舶1の乗員が操作及び確認等をすることができるようにしてある。船舶1に積載される各冷凍コンテナは、冷凍コンテナへ電力を供給する電力線を介して通信を行う機能を有しており、各々の運転状況及びコンテナ内の温度等のデータを収集し、電力線通信により収集したデータを送信することができるようにしてある。監視装置90及び冷凍コンテナは、主配電盤40の主母線41と、第3スイッチ44と、主配電盤40及び冷凍コンテナ用分電盤9の間の電力線と、冷凍コンテナ用分電盤9内のスイッチと、冷凍コンテナ用分電盤9及び冷凍コンテナの間の電力線とを介して接続されているため、第3スイッチ44及び冷凍コンテナ用分電盤9内のスイッチが通電状態の場合には電力線通信により相互にデータの送受信を行うことができるようにしてある。
【0072】
図2は、本発明の実施の形態1に係る船舶電力供給システムの構成を示す詳細図であり、陸上電源99からの電力供給経路を詳細に図示してある。また、図2には船舶1が港に停泊した状態を模式的に図示してあり、船舶1の左舷を港の岸壁に近接させて船舶1が停泊している状態である。港の岸壁の適所には陸上電源99に接続するためのソケット98が配設してある。船舶1の左舷及び右舷には、陸上電源99に接続する電力ケーブル10がそれぞれ搭載してある。電力ケーブル10には、一端に陸上電源99のソケット98に接続するためのプラグ11が設けてあり、他端に船舶1内の受電盤20に設けられたプラグ21に接続するためのソケット12が設けてある。電力ケーブル10は十数m〜数十mの長さであり、リール13により巻き取ることができるようにしてある。電力ケーブル10を船舶1の左舷及び右舷にそれぞれ搭載することによって、船舶1が左舷を岸壁に近接させて停泊する場合であっても、右舷を岸壁に近接させて停泊する場合であっても、岸壁に配設されたソケット98に電力ケーブル10を容易に接続することができるようにしてある。
【0073】
受電盤20には、電力ケーブル10のソケット12を接続するためのプラグ21が1つ設けてあり、船舶1の左舷に搭載された電力ケーブル10のソケット12又は右舷に搭載された電力ケーブル10のソケット12の何れかを接続することができるようにしてある。船舶1の乗員は、船舶1の停泊状態に応じて左舷又は右舷の何れかの電力ケーブル10を受電盤20に接続することができる。なお、受電盤20に複数のプラグ21を設けて、スイッチなどにより切り替える構成とすることも可能である。
【0074】
受電盤20は、切替盤60へ電力を供給するための電力線71が接続してあり、プラグ21から電力線71までの電力供給経路を通電/遮断するスイッチ22を有している。また、回路の点検時に安全のため、スイッチ22から電力線71までの電力供給経路を接地電位に接続するスイッチ28を有している。
【0075】
また、受電盤20は、陸上電源99から供給される電力の位相、周波数、電圧及び電流等を計測する機能を有している。このため、受電盤20内には検相器25、周波数計26、電圧計27及び電流計31が備えられており、船舶1の乗員が受電盤20の計器パネルにて計測結果を確認することができるようにしてある。
【0076】
検相器25、周波数計26及び電圧計27は、計器用スイッチ24及び計器用変圧器23を介して、プラグ21及びスイッチ22の間の電力供給経路に接続してある。計器用変圧器23は、陸上電源99からの約6600Vの電力を検相器25、周波数計26及び電圧計27に適した電圧に変圧するものである。計器用スイッチ24は、計器用変圧器23と検相器25、周波数計26及び電圧計27との間の電力供給経路の通電/遮断を行うものであり、計器用スイッチ24を切り替えて各相の電圧などの要素を計測することができ、遮断することにより計測を停止させることができるようにしてある。
【0077】
電流計31は、計器用スイッチ30を介して、スイッチ22及び電力線71の間の電力供給経路に配された計器用変流器29に接続してある。計器用変流器29は、電力供給経路に流れる電流に応じた電流を発生して電流計31へ与えるものである。計器用スイッチ30は、計器用変流器29及び電流計31の電流計路の通電/遮断を行うものであり、計器用スイッチ30を切り替えて各相の電流を計測することができ、遮断することにより計測を停止させることができるようにしてある。
【0078】
受電盤20に電力線71を介して接続される切替盤60には、電力線72を介して始動器4が接続してあると共に、電力線73を介して変圧器5が接続してある。切替盤60は2つのスイッチ61及び62を有している。スイッチ61の一側端子には電力線71が接続され、他側端子には電力線73が接続されている。スイッチ62の一側端子には電力線72が接続され、他側端子には電力線73が接続されている。スイッチ61及び62は、インターロック方式のスイッチであり、何れか一方のスイッチを通電している場合には他方のスイッチを通電することができないようにしてある。スイッチ61を通電した場合には、受電盤20及び変圧器5が接続され、陸上電源99からの電力を変圧器5へ供給することができる。スイッチ62を通電した場合には、変圧器5及び始動器4が接続され、変圧器5からの電力を始動器4へ供給することができる。
【0079】
変圧器5は、電力線73を介して切替盤60に接続してあり、電力線74を介して主配電盤40に接続してある。電力線74は主配電盤40の第2スイッチ43を介して主母線41に接続してある。
【0080】
主配電盤40は、船舶1に搭載された発電機2からの電力と、陸上電源99からの電力とを共に船内の負荷(例えば、冷凍コンテナなど)に供給する機能、所謂並列運転を行う機能を有している。並列運転を行うためには、発電機2からの電力及び陸上電源99からの電力について、周波数が略同じであり、電圧が略同じであり、位相が一致する(同期する)必要がある。このため、主配電盤40には同期計48、周波数計49及び電圧計50が備えてあり、第2スイッチ43の両側についてこれらの特性を計測することができるようにしてある。第2スイッチ43の一側(主母線41側)には計器用変圧器45が接続され、他側(電力線74側)には計測器用変圧器46が接続されており、この2つの計器用変圧器45及び46が共に計器用切替スイッチ47を介して同期計48、周波数計49及び電圧計50に接続してある。
【0081】
これにより、陸上電源99から電力線74に供給された電力及び発電機2から主母線41に供給された電力の周波数、電圧及び位相を計測し、これらが一致した場合に第2スイッチ43を通電することによって、陸上電源99及び発電機2の並列運転を行うことができる。なお、並列運転は船舶1の乗員が手動で行うこともできるが、主配電盤40の制御部が、同期計48、周波数計49及び電圧計50による計測結果を取得して、第1スイッチ42〜第3スイッチ44の通電/遮断を自動的に切り替えて行うことができるようにしてある。
【0082】
また、主配電盤40の主母線41に接続されて、船舶1に積載された冷凍コンテナとの間で電力線通信を行う監視装置90は、CRT91、PC92、CCU(Communication Control Unit)93及びPT(Power Transceiver)94等により構成されている。PT94は、主配電盤40の主母線41に接続され、CCU93から与えられた信号の主母線41への重畳を行うと共に、主母線41に重畳された信号を抽出してCCU93へ与える処理を行うことにより電力線通信を行うものである。CCU93は、PC92及びPT94の間で信号の授受を行うためのものであり、信号変換及びエラー検出等を行うようにしてある。PC92は、電力線通信により冷凍コンテナに係る情報を取得し、取得した情報を集計及び記録すると共にCRT91へ表示するようにしてある。
【0083】
図3は、本発明に係る船舶電力供給システムの主配電盤40の構成を示すブロック図である。なお、本図においては、電力線を実線で示し、これ以外の信号線を破線の矢印で示してある。主配電盤40には、CPU、ROM及びRAM等で構成されて、各部の動作の制御を行う制御部80が備えられている。制御部80は、主母線41及び発電機2の間に介在する第1スイッチ42と、主母線41及び変圧器5の間に介在する第2スイッチ43と、主母線41及び分電盤8又は冷凍コンテナ用分電盤9等の間に介在する第3スイッチ44とを通電/遮断を制御することができるようにしてある。
【0084】
また、主配電盤40には、発電機2が発電した電力の電圧、周波数及び位相等を計測する計測器82が備えられている。計測器82は、発電機2から第1スイッチ42までの電力供給経路に接続してあり、計測結果を制御部80へ与えるようにしてある。また、主配電盤40には、発電機2の動作を制御する発電機制御回路81が備えられている。発電機制御回路81は、船舶1に複数搭載された発電機2毎にそれぞれ設けられており、制御部80から与えられる命令に基づいて、各発電機2が発電する電力の電圧、周波数及び位相等を調整するようにしてある。
【0085】
また、主配電盤40には、発電機2及び陸上電源99による並列運転を行うために、発電機2からの電力及び陸上電源99からの電力の特性を計測する計測器83が備えられている。計測器83は、図2に示した計器用変圧器45、46、計器用切替スイッチ47、同期計48、周波数計49及び電圧計50により構成されるものであり、第2スイッチ43の両端にそれぞれ接続されて、発電機2からの電力及び陸上電源99からの電力について電圧、周波数及び位相等を計測し、計測結果を制御部80へ与えるようにしてある。
【0086】
制御部80は、船舶1に複数の発電機2が搭載されている場合には、計測器82の計測結果を基に発電機制御回路81に制御命令を与えて、複数の発電機2を並列運転するようにしてある。また、制御部80はPT94との間でデータの授受を行うことができるようにしてあり、PT94による電力線通信を利用して、船舶1内の他の機器との間で通信を行うことができるようにしてあると共に、CCU93を介してPC92との間で通信を行うことができるようにしてある。また、制御部80は、例えば船舶1が港に入港した際に、船舶1に搭載された機器への電力供給元を発電機2から陸上電源99へ切り替える処理を自動的に行うことができると共に、例えば船舶1が港から出航する際に、電力供給元を陸上電源99から発電機2へ切り替える処理を自動的に行うことができるようにしてある。以下に、制御部80による電力供給元の切替処理の詳細を説明する。
【0087】
図4及び図5は、本発明に係る船舶電力供給システムにて行われる電力供給元の切替処理の手順を示すフローチャートであり、電力供給元を発電機2から陸上電源99へ切り替える場合について示してある。航海中の船舶1では発電機2が発電した電力が船舶1内の各機器へ供給されている。この状態においては、主配電盤40の第1スイッチ42〜第3スイッチ44は通電状態であり、また、切替盤60のスイッチ61が遮断状態であり、スイッチ62が通電状態である。また、監視装置90は電力線通信により冷凍コンテナとの間で通信を行うことができる。
【0088】
船舶1が港に入港して停泊した場合、モータ3の停止に伴って主配電盤の第2スイッチ43が自動的に遮断され、発電機2から変圧器5への電力供給が停止される。船舶1の乗員は左舷又は右舷の電力ケーブル10のプラグ11を岸壁に配設されたソケット98に接続し、ソケット12を受電盤20のプラグ21に接続する。次いで、受電盤20のスイッチ22を通電すると共に、切替盤60のスイッチ62を遮断して、スイッチ61を通電し、陸上電源99からの電力供給を開始させる。その後、主配電盤40を操作して制御部80による自動的な電力供給元の切り替えを開始させる。
【0089】
制御部80は、まず、船舶1に積載された冷凍コンテナ用分電盤9への電力供給経路に配された第3スイッチ44を遮断して冷凍コンテナへの電力供給を遮断する旨を監視装置90へ通知する(ステップS1)。これにより、監視装置90は、冷凍コンテナから電力線通信により受信する情報の収集及び蓄積等の処理を一時的に停止することができる。監視装置90への通知を行った後、制御部80は冷凍コンテナ用分電盤9への電力供給経路に配された第3スイッチ44を遮断する(ステップS2)。
【0090】
次いで、制御部80は、計測器82による計測結果を基に、通電状態の第3スイッチ44を介して電力が供給されている船舶1内の他の機器により消費される電力が、所定電力より小さいか否かを調べる(ステップS3)。このとき比較する所定電力は、船舶1に搭載された複数の発電機2のうち、予め定められた1つの発電機2により供給できる電力である。消費される電力が所定電力以上の場合(S3:NO)、主配電盤40に設けられた通電状態の他の第3スイッチ44を遮断して(ステップS4)、消費される電力を低減し、ステップS3へ戻って消費電力と所定電力との比較を再度行う。
【0091】
電力の比較及び第3スイッチ44の遮断を繰り返し行って、消費電力が所定電力より小さい場合には(S3:YES)、船舶1に搭載された複数の発電機2のうちの一の発電機2の動作を停止し(ステップS5)、動作中の発電機2が予め定められた1つの発電機2のみであるか否かを調べる(ステップS6)。動作中の発電機2が1つのみでない場合には(S6:NO)、ステップS5へ戻って発電機2の動作停止を繰り返し行う。
【0092】
動作中の発電機2が予め定められた1つのみの場合(S6:YES)、第2スイッチ43を通電して、この発電機2と陸上電源99との並列運転を開始する(ステップS7)。並列運転は、発電機2からの電力及び陸上電源99からの電力について周波数、位相及び電圧を計測器83にて測定し、これらが一致した場合に第2スイッチ43を通電することで開始することができる。
【0093】
並列運転開始後、電力の供給元を発電機2から陸上電源99へ移行させる(ステップS8)。これは、発電機2の回転数を徐々に低下させて発電機2の出力を徐々に低下させることによって行うことができる。制御部80は、計測器82の計測結果を基に、船舶1内の機器の電力供給元の移行が終了したか否かを調べ(ステップS9)、終了していない場合には(S9:NO)、ステップS8へ戻って、更に発電機2の出力を低下させることにより移行を継続して行う。
【0094】
電力供給元の移行が終了した場合(S9:YES)、第1スイッチ42を遮断して発電機2及び陸上電源99による並列運転を終了し(ステップS10)、ステップS2及びS4にて遮断した第3スイッチ44を通電する(ステップS11)。これにより、一時的に電力の供給を停止した冷凍コンテナ及びその他の機器へ電力の供給を再開することができる。次いで、第3スイッチ44を通電して冷凍コンテナへの電力供給を再開した旨を監視装置90へ通知する(ステップS12)。これにより、監視装置90は、一時的に停止していた冷凍コンテナから電力線通信により受信する情報の収集及び蓄積等の処理を再開することができる。その後、発電機2を停止して(ステップS13)、処理を終了する。
【0095】
図6及び図7は、本発明に係る船舶電力供給システムにて行われる電力供給元の切替処理の手順を示すフローチャートであり、電力供給元を陸上電源99から発電機2へ切り替える場合について示してある。港に停泊中の船舶1では陸上電源99からの電力が船舶1内の各機器へ供給されている。この状態においては、主配電盤40の第1スイッチ42は遮断状態であり、第2スイッチ43及び第3スイッチ33は通電状態であり、また、切替盤60のスイッチ61が通電状態であり、スイッチ62が遮断状態である。また、監視装置90は電力線通信により冷凍コンテナとの間で通信を行って、冷凍コンテナの状態を監視している。
【0096】
まず、制御部80は、船舶1に搭載した全ての発電機2を始動し(ステップS21)、予め定めた一の発電機2の回転数を徐々に高めて運転を開始する(ステップS22)。次いで、冷凍コンテナ用分電盤9への電力供給経路に配された第3スイッチ44を遮断して冷凍コンテナへの電力供給を遮断する旨を監視装置90へ通知する(ステップS23)。これにより、監視装置90は、冷凍コンテナの監視を一時的に停止することができる。監視装置90への通知を行った後、制御部80は冷凍コンテナ用分電盤9への電力供給経路に配された第3スイッチ44を遮断する(ステップS24)。
【0097】
次いで、制御部80は、計測器83による計測結果を基に、通電状態の第3スイッチ44を介して電力が供給されている船舶1内の他の機器により消費される電力が、所定電力より小さいか否かを調べる(ステップS25)。このとき比較する所定電力は、ステップS22にて運転を開始した発電機2により供給できる電力である。消費される電力が所定電力以上の場合(S25:NO)、通電状態の他の第3スイッチ44を更に遮断して(ステップS26)、消費される電力を低減し、ステップS25へ戻って消費電力と所定電力との比較を再度行う。
【0098】
電力の比較及び第3スイッチ44の遮断を繰り返し行って、消費電力が所定電力より小さい場合には(S25:YES)、ステップS22にて運転を開始した一の発電機2に対応する一の第1スイッチ42を通電して、この発電機2と陸上電源99との並列運転を開始する(ステップS27)。並列運転は、発電機2からの電力及び陸上電源99からの電力について周波数、位相及び電圧を計測器82及び計測器83にて測定し、これらが一致した場合に一の第1スイッチ42を通電することで開始することができる。
【0099】
並列運転開始後、電力の供給元を陸上電源99から発電機2へ移行させる(ステップS28)。これは、発電機2の回転数を徐々に上昇させて発電機2の出力を徐々に増加させることによって行うことができる。制御部80は、計測器83の計測結果を基に、船舶1内の機器の電力供給元の移行が終了したか否かを調べ(ステップS29)、終了していない場合には(S29:NO)、ステップS28へ戻って、更に発電機2の出力を増加させることにより移行を継続して行う。
【0100】
電力供給元の移行が終了した場合(S29:YES)、第2スイッチ43を遮断して発電機2及び陸上電源99による並列運転を終了し(ステップS30)、他の発電機の運転を開始して(ステップS31)、他の第1スイッチ42を順次通電することによって、複数の発電機2による並列運転を開始する(ステップS32)。その後、ステップS24及びS26にて遮断した第3スイッチ44を通電する(ステップS33)。これにより、一時的に電力の供給を停止した冷凍コンテナ及びその他の機器へ電力の供給を再開することができる。次いで、第3スイッチ44を通電して冷凍コンテナへの電力供給を再開した旨を監視装置90へ通知する(ステップS34)。これにより、監視装置90は、一時的に停止していた冷凍コンテナから電力線通信により受信する情報の収集及び蓄積等の処理を再開することができる。以上により、制御部80による切替処理が終了する。
【0101】
主配電盤40の制御部80による自動的な電力供給元の切替処理が終了した後、船舶1の乗員は、陸上電源99による電力供給を停止し、切替盤60のスイッチ61の遮断及びスイッチ62の通電を行い、港の岸壁に設けられたソケット98と電力ケーブル10のプラグ11との接続を解除して、電力ケーブル10をリール13にて巻き取り、船舶1を出航可能な状態とすることができる。
【0102】
以上の構成の船舶電力供給システムにおいては、船舶1が港に停泊して陸上電源99からの電力が供給されている場合に、船舶1に積載した冷凍コンテナと主配電盤40との間の電力供給経路が確保されているため、主配電盤40に接続された監視装置90と冷凍コンテナとの間で電力線通信を行うことができる。よって、監視装置90は、船舶1が航海中であっても停泊中であっても積載した冷凍コンテナの監視を継続して行うことができる。船舶1の停泊中に発電機2を停止することによって、排気ガスなどによる地球環境への悪影響を低減することができる。
【0103】
また、電力供給元の切り替えを主配電盤40の制御部80が自動的に行うことができると共に、冷凍コンテナへの電力供給を一時的に停止する旨を制御部80が監視装置90へ通知した後に、実際の切り替え処理を開始する構成とすることにより、監視装置90にて冷凍コンテナとの間の通信が不能となることに伴って監視処理に不具合が生じるなどの問題を回避することができる。
【0104】
また、船舶1には複数の発電機2が搭載されているが、電力供給元の切り替えを行う際には、予め定めた一の発電機2のみを動作させて他の発電機2を停止し、一の発電機2及び陸上電源99による並列運転を行う構成とすることにより、並列運転を容易に行うことができるという利点がある。また、切り替えを行う際に、一の発電機2が供給できる所定電力に応じて第3スイッチ44を順次遮断する構成とすることにより、一の発電機2及び陸上電源99による並列運転をより確実に行うことができる。
【0105】
また、変圧器5及び始動器4の間に切替盤60を設けて、変圧器5を始動器4又は受電盤20の何れかに切り替えて接続する構成とすることにより、主配電盤40からの電力を変圧して始動器4へ供給する変圧器と、受電盤20からの電力を変圧して主配電盤40へ供給する変圧器とを、変圧器5が兼ねることができるため、船舶電力供給システムのコストを低減することができる。船舶1の停泊時にはモータ3を駆動する必要はないため、変圧器5の兼用は問題なく行うことができる。
【0106】
また、船舶1の左舷及び右舷にそれぞれ電力ケーブル10を設ける構成とすることにより、船舶1が左舷側から港に接岸する場合であっても、右舷側から港に接岸する場合であっても、港の岸壁に設けられた陸上電源99のソケット98に電力ケーブル10のソケット11を接続することができる。
【0107】
なお、本実施の形態においては、図1〜図3にて船舶1が2つの発電機2を搭載する構成を示したが、これに限るものではなく、船舶1が発電機を1つ又は3つ以上搭載する構成としてもよい。同様に、冷凍コンテナ用分電盤9、分電盤6又は8、変圧器7、及び主配電盤40内のスイッチの数等は、図1〜図3に示したものに限らない。また、船舶1の左舷及び右舷にそれぞれ電力ケーブル10を配設する構成としたが、これに限るものではなく、左舷又は右舷の何れか一方にのみ電力ケーブル10を配設する構成としてもよく、電力ケーブル10の配設位置は船舶1の何れの場所であってもよく、更に多くの電力ケーブル10を配設する構成とすることもできる。また、切替処理を主配電盤40の制御部80が行う構成としたが、これに限るものではなく、主配電盤40に制御用のコンピュータを接続し、このコンピュータが主配電盤40中のスイッチなどを操作して自動的に切替処理を行う構成としてもよい。また、船舶1に陸上に配設された陸上電源99からの電力を供給する構成としたが、これに限るものではなく、海中又は他の船舶等に搭載された電力供給装置から電力ケーブル10を介して船舶1に電力を供給する構成としてもよい。
【0108】
(実施の形態2)
実施の形態1の船舶電力供給システムは、変圧器5及び始動器4の間に切替盤60を設けることにより、主配電盤40からの電力を変圧して始動器4へ供給する変圧器と、受電盤20からの電力を変圧して主配電盤40へ供給する変圧器とを、変圧器5が兼ねる構成であり、コストを低減できるという利点があった。しかし、既に使用されている船舶に陸上電源99からの電力を供給する機能を追加増設する場合には、変圧器5及び始動器4の間に切替盤60を設けることが容易でない場合がある。実施の形態2に係る船舶電力供給システムは、このような場合に有効な構成である。
【0109】
図8は、本発明の実施の形態2に係る船舶電力供給システムの構成を示す模式図である。実施の形態2の船舶201は、変圧器5及び始動器4の間に切替盤60を設けておらず、変圧器5にて変圧された約6600Vの電力が直接的に始動器4へ供給されるようにしてある。変圧器5は、電力線を介して主配電盤240に接続されるが、主配電盤240の主母線41から変圧器5への電力供給経路中には第3スイッチ44が配設してあり、主配電盤240から変圧器5への電力供給を第3スイッチ44により通電/遮断することができるようにしてある。
【0110】
また、船舶201には、陸上に配設された陸上電源99と電力ケーブルを介して接続されて、陸上電源99から約6600Vの電力の供給を受けるための受電盤20が搭載してある。また、船舶201は、受電盤20からの約6600Vの電力を約440Vの電力に変圧する変圧器210を備えており、変圧器210は440Vの電力を主配電盤240へ供給するようにしてある。変圧器210は、電力線を介して主配電盤240に接続されるが、変圧器210から主配電盤240の主母線41への電力供給経路中には第2スイッチ43が配設してあり、変圧器210から主配電盤240への電力供給を第2スイッチ43により遮断することができるようにしてある。
【0111】
以上の構成の実施の形態2に係る船舶電力供給システムは、船舶201に変圧器210を設ける必要があるが、陸上電源99からの電力を供給する機能を容易に追加増設することができるという利点がある。船舶201に搭載された発電機2から陸上電源99への電力供給元の切替処理、及び陸上電源99から発電機2への電力供給元の切替処理については、実施の形態1の船舶電力供給システムと同じく、図4乃至図7のフローチャートに示す手順で行うことができる。
【0112】
なお、実施の形態2に係る船舶電力供給システムのその他の構成は、実施の形態1に係る船舶電力供給システムの構成と同様であるため、対応する箇所には同じ符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1に係る船舶電力供給システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る船舶電力供給システムの構成を示す詳細図である。
【図3】本発明に係る船舶電力供給システムの主配電盤の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る船舶電力供給システムにて行われる電力供給元の切替処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る船舶電力供給システムにて行われる電力供給元の切替処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る船舶電力供給システムにて行われる電力供給元の切替処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る船舶電力供給システムにて行われる電力供給元の切替処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る船舶電力供給システムの構成を示す模式図である。
【図9】従来の船舶電力供給システムの構成を示す模式図である。
【図10】特許文献1に記載の給電方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0114】
1 船舶
2 発電機
3 モータ(電動機)
4 始動器
5 変圧器
6 分電盤
7 変圧器
8 分電盤
9 冷凍コンテナ用分電盤
10 電力ケーブル(接続手段)
20 受電盤
40 主配電盤(分配手段)
41 主母線
42 第1スイッチ
43 第2スイッチ
44 第3スイッチ
60 切替盤(第4スイッチ)
80 制御部
90 監視装置(通信装置)
99 陸上電源(電力供給装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載され、該船舶外に配された電力供給装置に接続する接続手段と、電力を発生する発電機と、前記接続手段により接続された電力供給装置又は前記発電機からの電力を前記船舶内の負荷に電力線を介して分配する分配手段とを備える船舶電力供給システムにおいて、
前記分配手段に電力線を介して接続し、前記船舶内の負荷との間で通信を行う通信装置と、
前記発電機及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第1スイッチと、
前記接続手段により接続された電力供給装置及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第2スイッチと、
前記分配手段及び前記負荷の間の通電/遮断を行う第3スイッチと、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断又は通電を通知する手段と、
前記第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチを通電状態又は遮断状態に切り替える手段と
を備え、
前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態と、前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態とを切り替えるようにしてあること
を特徴とする船舶電力供給システム。
【請求項2】
前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態から、前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断を通知する手段と、
前記第3スイッチを遮断状態に切り替える手段と、
前記第2スイッチを通電状態に切り替えて、前記発電機及び前記電力供給装置の並列運転を行う手段と、
前記発電機を待機状態へ移行させ、前記第1スイッチを遮断状態に切り替える手段と、
前記第3スイッチを通電状態に切り替える手段と、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる通電を通知する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の船舶電力供給システム。
【請求項3】
前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態から、前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、
前記発電機の運転を開始する手段と、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断を通知する手段と、
前記第3スイッチを遮断状態に切り替える手段と、
前記第1スイッチを通電状態に切り替えて、前記発電機及び前記電力供給装置の並列運転を行う手段と、
前記第2スイッチを遮断状態に切り替える手段と、
前記第3スイッチを通電状態に切り替える手段と、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる通電を通知する手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の船舶電力供給システム。
【請求項4】
前記第3スイッチを複数備えて、前記船舶内の複数の負荷に前記分配手段が電力を分配できるようにしてあり、
前記第3スイッチを遮断状態に切り替えるときに、
前記第3スイッチの通電した前記負荷に必要な電力量を取得する手段と、
取得した電力量が所定電力量を超えるか否かを判定する手段と、
所定電力を超えると判定された場合に、複数の前記第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替える手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の船舶電力供給システム。
【請求項5】
前記発電機を複数備えて、複数の前記発電機が並列運転を行うようにしてあり、
複数の前記発電機のうちの一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に、前記第1スイッチの通電状態又は遮断状態への切り替えを行うようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の船舶電力供給システム。
【請求項6】
前記船舶の航行用の動力又は航行用の補助動力を発生する電動機と、
前記第2スイッチを介して前記分配手段に接続され、電力の変圧を行う変圧器と、
前記変圧器を前記電動機又は前記接続手段に切り替えて接続する第4スイッチと
を備え、
前記第4スイッチを切り替えて前記変圧器を前記電動機に接続した場合、前記分配手段からの電力を前記変圧器が変圧して前記電動機へ供給し、
前記第4スイッチを切り替えて前記変圧器を前記接続手段に接続した場合、前記接続手段に接続された電力供給装置からの電力を前記変圧器が変圧して前記分配手段へ供給するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の船舶電力供給システム。
【請求項7】
船舶に搭載され、該船舶外に配された電力供給装置に接続する接続手段と、電力を発生する発電機と、前記接続手段により接続された電力供給装置又は前記発電機からの電力を前記船舶内の負荷に電力線を介して分配する分配手段とを備える船舶電力供給システムにおいて、
前記発電機及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第1スイッチと、
前記接続手段により接続された電力供給装置及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第2スイッチと、
前記分配手段及び前記負荷の間の通電/遮断を行う第3スイッチと、
前記船舶の航行用の動力又は航行用の補助動力を発生する電動機と、
前記第2スイッチを介して前記分配手段に接続され、電力の変圧を行う変圧器と、
前記変圧器を前記電動機又は前記接続手段に切り替えて接続する第4スイッチと
を備え、
前記第4スイッチを切り替えて前記変圧器を前記電動機に接続した場合、前記分配手段からの電力を前記変圧器が変圧して前記電動機へ供給し、
前記第4スイッチを切り替えて前記変圧器を前記接続手段に接続した場合、前記接続手段に接続された電力供給装置からの電力を前記変圧器が変圧して前記分配手段へ供給するようにしてあること
を特徴とする船舶電力供給システム。
【請求項8】
前記接続手段を複数備え、
前記船舶の左舷及び右舷に少なくとも1つの接続手段がそれぞれ配設してあること
を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つ船舶電力供給システム。
【請求項9】
船舶に搭載され、該船舶外に配された電力供給装置に接続する接続手段と、電力を発生する発電機と、前記接続手段により接続された電力供給装置又は前記発電機からの電力を前記船舶内の負荷に電力線を介して分配する分配手段と、前記分配手段に電力線を介して接続し、前記船舶内の負荷との間で通信を行う通信装置と、前記発電機及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第1スイッチと、前記接続手段により接続された電力供給装置及び前記分配手段の間の通電/遮断を行う第2スイッチと、前記分配手段及び前記負荷の間の通電/遮断を行う第3スイッチとを備える船舶電力供給システムにて、電力の供給を行う電力供給方法であって、
前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態から、前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断を通知し、
前記第3スイッチを遮断状態に切り替え、
前記第2スイッチを通電状態に切り替えて、前記発電機及び前記電力供給装置の並列運転を行い、
前記発電機を待機状態へ移行して、前記第1スイッチを遮断状態に切り替え、
前記第3スイッチを通電状態に切り替え、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる通電を通知すること
を特徴とする電力供給方法。
【請求項10】
前記電力供給装置が前記負荷へ電力を供給する状態から、前記発電機が前記負荷へ電力を供給する状態へ移行する場合に、
前記発電機の運転を開始し、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる遮断を通知し、
前記第3スイッチを遮断状態に切り替え、
前記第1スイッチを通電状態に切り替えて、前記発電機及び前記電力供給装置の並列運転を行い、
前記第2スイッチを遮断状態に切り替え、
前記第3スイッチを通電状態に切り替え、
前記通信装置へ前記第3スイッチによる通電を通知すること
を特徴とする請求項9に記載の電力供給方法。
【請求項11】
前記船舶電力供給システムは、前記第3スイッチを複数備え、前記船舶内の複数の負荷に前記分配手段が電力を分配できるようにしてあり、
前記第3スイッチを遮断状態に切り替えるときに、
前記第3スイッチの通電した前記負荷に必要な電力量を取得し、
取得した電力量が所定電力量を超えるか否かを判定し、
所定電力を超えると判定した場合に、複数の前記第3スイッチを順次的に遮断状態に切り替えること
を特徴とする請求項9又は請求項10に記載の電力供給方法。
【請求項12】
前記船舶電力供給システムは、前記発電機を複数備え、複数の前記発電機が並列運転を行うようにしてあり、
複数の前記発電機のうちの一又は複数の発電機を動作状態とし、他の発電機を待機状態とした後に、前記第1スイッチの通電状態又は遮断状態への切り替え行うようにしてあること
を特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1つに記載の電力供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−283822(P2008−283822A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127014(P2007−127014)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【特許番号】特許第4034816号(P4034816)
【特許公報発行日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(391013092)渦潮電機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】