説明

良好な混合特性を示すイソシアネート組成物、及びイソシアネート組成物の助剤、特に混合助剤としてのシリル化誘導体の使用

本発明は、良好な混合特性を示すイソシアネート組成物に関する。この組成物は、順次添加又は同時添加のための:5重量%以下のジイソシアネートモノマー及びアミノ酸から誘導されたモノマーを含み、55重量%以下のイソシアネート官能基含有率を有するイソシアネート副組成物;並びにカルコゲン列のメタロイド又は窒素列の原子に結合したジヒドロカルビルシリレン基を有する化合物から選択される化合物:を含み、かかる基の含有率は、それらから誘導される単位に対応するモノマーの量に対するケイ素原子の重量として表わして0.1重量%以上である。この組成物は、コーティング産業、特に塗料及び接着剤に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な混合特性を示すイソシアネート組成物に関する。より特定的には、本発明は、助剤(adjuvants)として、特に混合助剤としてのシリル化誘導体の使用に関し、これは特にイソシアネート組成物と架橋の分野において用いられる各種溶剤との相溶性を、特にかかる材料をコーティング用成分として、特に塗料(より特定的には塗料及びワニスのバインダー)及び接着剤の成分として用いる場合に、改善する。
【背景技術】
【0002】
工業的及び意味論的範疇において本発明を位置づけるためには、いくつかの点を整理し、いくつかの定義を特定し又は思い出しておくべきである。
【0003】
特にことわらない限り、測定条件はSAC(標準周囲条件、即ち温度θ=25℃;圧力P=105Pa)のものである。さらに、塗料及び特にイソシアネートの分野においては、与えられた粘度は、1994年11月のNF・EN・ISO規格3219(回転シリンダー法による粘度測定法)に従って実施される標準周囲条件(即ち温度θ=25℃;圧力P=105Pa)下での測定に相当することを思い出すことができる。
【0004】
ポリイソシアネート組成物は大抵の場合、個々のジイソシアネート、トリイソシアネート及びさらにはテトライソシアネート分子のオリゴ縮合から由来する誘導体から形成される。
【0005】
かかるタイプの分子は「モノマー」と称され、ジ(第1アミン)のホスゲン化によって得ることができ、随意に1個、時には2個の別の第1アミン官能基を有する。従って、かかる分子は(ホスゲン化されるジアミンから由来する)少なくとも2個の窒素を有する炭素鎖から成る単位を含み、この単位を説明の続きにおいて「ジアミノ単位」と称する。このジアミノ単位はここでは、イソシアネートモノマーの過去又は現在における存在の名残又は痕跡としての働きをする:従って、ジアミノ単位は次の構造を有する。
【化1】

ここで、Rは炭化水素基(もちろん二価のもの)を表わし、これはイソシアネートモノマーの2個のイソシアネート官能基を除いた後の残基である。Rはもちろん、イソシアネート官能基のオリゴマー化の際に作られる官能基、即ちカルバメート、尿素(ビウレットを含む)又はアロファネート官能基並びにオリゴ縮合(オリゴマー化を含む)の説明について後記するものを表わさない。−R−の分子量は、少なくとも50、有利には少なくとも80であって、250以下、有利には200以下、より一般的には150以下である。Rは時には別の第1「アミノ」基、時には2個の別の第1「アミノ」基(これは第1アミン官能基の転化工程の際にホスゲン化されている)を含むことができる。これは、LTI、NTI及びUTI(又はUnti)のような三官能化モノマーの場合である。
【0006】
「アミノ」記号
【化2】

及び
【化3】

は、イソシアネート官能基又はこの官能基から誘導される官能基、例えばイソシアネート、アミン、アミド、イミド若しくは尿素(ビウレット及びアシル尿素を含む)官能基、特にオリゴマー化反応によって生成する官能基中に窒素を入れることができるということを意味する。
【0007】
これらのジアミノ単位は、オリゴ縮合の殆どすべて、及びイソシアネート官能基の転化の大部分において見出される。この観察結果から、ジアミノ単位の数が参照され、特にモノマーの縮合の状態並びにオリゴ縮合物(オリゴマーを含む)及び重縮合物の状態、そしてヘテロ縮合物の場合さえ、その状態を示すことができる。
【0008】
化学における通常の用途に従えば、官能基がある類の化合物にその名前を与えた場合{言い換えれば、イソシアネートの場合におけるように官能基がある類の化合物についての名祖(eponyme)(名称の起源)となる場合}、芳香族性状であるか脂肪族性状であるかは、懸案下の官能基が結合する箇所に従って決定される。イソシアネートが脂肪族性状の炭素の上に位置する場合には、そのイソシアネート化合物は脂肪族性状であると考えられる。同様に、イソシアネート官能基が芳香族性状の炭素を介して主鎖に結合する場合には、全体としてのモノマーは「芳香族イソシアネート」という表現によって示される。
【0009】
この点をはっきりさせるために、以下のことを整理しておく:
・イソシアネート官能基の(もちろん窒素の)結合箇所が芳香環の員であるものは、芳香族とみなす;
・イソシアネート官能基の(もちろん窒素の)結合箇所がsp3混成の炭素であるものは、脂肪族とみなす。
【0010】
脂肪族イソシアネートの中でも、次の区別を為すことができ又は次のサブカテゴリーを作ることができる:
・イソシアネート官能基の結合箇所が最も近い環から多くとも炭素1個分離れているだけの脂肪族イソシアネート(好ましくはイソシアネート官能基の結合箇所が同じ環上にある脂肪族イソシアネート)は、環状脂肪族とみなす;
・イソシアネート官能基の結合箇所が第2級sp3炭素(即ち、2個の炭素及び1個の水素が結合した炭素)であるものを、第2級とみなす;
・イソシアネート官能基の結合箇所が第3級sp3炭素(即ち、3個の炭素が結合した炭素)であるものを、第3級とみなす;
・イソシアネート官能基の結合箇所がsp3炭素であり且つこのsp3炭素自体が第3級炭素(即ち、最後の結合以外に3個の炭素が結合した炭素)に結合したものを、ネオペンチル性とみなす;
・イソシアネート官能基の結合箇所が狭義のメチレン(−CH2−)であるものを、第1級とみなす;
・イソシアネート官能基の結合箇所が狭義のメチレン(−CH2−)であり且つこのメチレン自体が環外の非第3級sp3炭素に結合した
ものを、第1級とみなす;
・狭義のメチレン(−CH2−)がイソシアネート官能基の結合箇所を有し且つこのメチレン自体が環外の非第3級sp3炭素に結合したものを、直鎖状とみなす。
【0011】
モノマーに関しては、カテゴリーによる分類は、次の方法で容易に行うことができる。
【0012】
かくして、
・イソシアネート官能基のすべてが脂肪族であるモノマーは、脂肪族とみなす;
・イソシアネート官能基のすべてが芳香族であるモノマーは、芳香族とみなす;
・少なくとも1つの官能基が脂肪族であり且つ少なくとも1つの官能基が芳香族であるモノマーは、混合とみなす;
・イソシアネート官能基のすべてが脂肪族であり且つそれらの少なくとも1つが環状脂肪族であるモノマーは、環状脂肪族とみなす;
・イソシアネート官能基のすべてが脂肪族であり、それらがいずれも環状脂肪族ではなく且つそれらの少なくともいずれか1つが直鎖状であり又は回転がなく従って環外のものである少なくとも1つのポリメチレン連鎖(CH2)π(ここで、πは少なくとも2の整数を表わす)を有するモノマーは、直鎖状脂肪族とみなす、
【0013】
もう少し詳しく説明すると、イソシアネートモノマーは、次のものであることができる:
・以下のもののような脂肪族のもの(環状脂肪族及びアリール脂肪族を含む):
・・直鎖状(又は単純)脂肪族として、1つ以上の環外ポリメチレン連鎖(CH2)π(ここで、πは2〜10、有利には4〜8の整数を表わす)を有するポリメチレンジイソシアネートモノマー、特にヘキサメチレンジイソシアネート{そのメチレンの内の1つは、MPDI(メチルペンタメチレンジイソシアネート)ついての場合のように、メチル又はエチル基に置き換えられていてよい};
・・環状脂肪族として、部分的に「ネオペンチル性」であり且つ環状脂肪族のもの;例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI);
・・環状脂肪族(脂環式)ジイソシアネートとして、ノルボルナンから誘導されるもの又は芳香族イソシアネートの水素化体(アリーレンジアミンの核を水素化して得られたジアミノ化環を次いで例えばホスゲン化によってイソシアネート化したもの)、例えば1,3−又は1,4−BIC(ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン);
・・アリール脂肪族として、(OCN−CH2−Φ−CH2−NCOのような)モノマー;その一部は直鎖状脂肪族とみなされ、即ち、イソシアネート官能基が少なくとも2個の炭素によって芳香族核から隔てられたもの、例えばOCN−[CH2]t−Ф−[CH2]u−NCO(ここで、t及びuは1より大きい);或は
・ここに参照用に挙げたトルエンジイソシアネートのような芳香族のもの。
【0014】
一般的に、そして好ましくは、モノマーの分子量は300を超えず且つ少なくとも100に等しい。
【0015】
本発明に従えば、直鎖状脂肪族モノマーを本発明の実施のための少なくとも一部において用いるのが望ましい。また、上記のものにNTI(ノニルトリイソシアネートOCN−(CH2)4−CH(CH2−NCO)−(CH2)3−NCO)又はUTI(ウンデシルトリイソシアネートOCN−(CH2)5−CH(−NCO)−(CH2)5−NCO)を加えることもできる。
【0016】
本発明の範囲内で、アミノ酸誘導体、特にリシン誘導体、特にLDI(リシンのエステルから得られるリシンジイソシアネート)又はLTI(リシンのエステルとエタノールアミンとから得られるリシントリイソシアネート)は、モノマー及びこのモノマーから得られる単位の対象とはされない。
【0017】
これらのモノマーの大部分は、作業時の安全性に関する規制要件に適合するには高すぎる蒸気圧を有する。従って、これらの分子は、オリゴ縮合(ヘテロ縮合及びホモ縮合)することによって寸法を大きくされる。
【0018】
これらの縮合は、イソシアネート官能基を用いる。「モノマー」はイソシアネートに関して多官能性であるので、これらの縮合は、同一分子の2つ以上のイソシアネート官能基に対して行うことができる。これらの反応は、イソシアネートの転化度に応じて寸法が小さかったり大きかったりのオリゴマーをもたらすことができる。
【0019】
主なオリゴ縮合物を以下に記載する:
【0020】
「三量体化」によって得られる誘導体、即ち3つの異なる分子に所属する3つのイソシアネート官能基が縮合して、一般的にイソシアネート官能基を有する基を3つ有するイソシアヌル環を形成する。
【0021】
三量体化の場合に形成する可能性がある主な単位、官能基又は環としては、次のものを挙げることができる。
【化4】

イソシアヌル環、別名三量体、及び分子が3つのジアミン単位だけを含む場合に「真の三量体」と称される。
【化5】

4,6−ジオキソ−2−イミノヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン環、別名イミノ三量体:これは4つのイソシアネート官能基から二酸化炭素を除去することによって得られる4縮合物である。
【化6】

イミノオキサジアジンジオン環、別名非対称三量体。これは粘度低減特性を有する。
【化7】

2−イミノ−4−オキソ−1,3−ジアゼチジン、別名イミノ二量体。これは、3つのイソシアネート官能基から二酸化炭素を除去することによって得られる。
【化8】

ウレチジンジオン、別名二量体。
【0022】
分子の寸法を大きくする別の方法は、水の存在下で分子同士を縮合させて3つのイソシアネート官能基を有する誘導官能基(これはビウレット官能基又は「ビウレット」という表現で示される)を形成させるものである。。下記の反応は、最も一般的な場合の反応、即ち縮合させるべき3つの分子が同一である場合の反応を示す。
【化9】

【0023】
また、後記のように、少なくとも1つの水素を有するアミンからかかる構造を得ることもできる。
【0024】
また、これらのモノマーとアルコール、特にポリオールとを縮合させてカルバメートを得て、次いでアロファネート多官能性化合物を得ることもできる。
【化10】

【0025】
このタイプのヘテロ縮合は非常に一般的なものであり、移動性水素を含む官能基(移動性水素含有官能基)のキャリヤーとの縮合に本質的に相当する。下記及び「Methoden der organischen Chemie Kohlenssaure Derivat」(Hermann Hagemann編集、1983年、Houben-Weyl、ドイツ国シュトゥットガルト、Georg Thieme出版社)を参照されたい。
【0026】
一般的に、ポリイソシアネート組成物においては、主要量の重縮合物に加えて、少量の様々な縮合タイプが見出される。
【0027】
直前に記載したポリイソシアネート組成物は一般的に、架橋剤として、特に塗料、ワニス及び接着剤の分野において用いられる。
【0028】
これらのイソシアネートの共反応成分は、移動性水素含有官能基をベースとする多官能性化合物である(下記参照)。
【0029】
一般的に、これらの多官能性化合物は、アルコール、チオール及び/又はアミン、さらにはカルボン酸のような多くの官能基を含む化合物である;大抵の場合、これらはポリオールである。
【0030】
これらの多官能性化合物の数平均官能価は、得ることが望まれるものに応じて極めて可変的である。これは一般的に2から約20まで、さらには30まで、さらには40まで、より一般的には3〜約20;しばしば4〜15の範囲、多くの場合5〜10の範囲である。もちろん、前記の数は、最も近い単位に丸められた数値である(数学的丸めルール);実際、この数官能価は、当量/gで表わした重量官能価に数平均分子量(Mn)を乗じることによって得ることができるので、この数値は小数となることがある。
【0031】
最も一般的な移動性水素含有官能基は、以下に記載するものである。一般的に、移動性水素含有官能基の含有率は、水酸化カリウムの当量に相当する数(アルコール価、酸価等)として与えられる。この場合、1g当たりの官能基の数を得るためには、gで表わされた数を水酸化カリウムの質量、即ち56で割れば充分である(有効数字2桁)。移動性水素含有官能基の含有率は、官能基の質量百分率として表わすことができる(例えばオール官能基の質量は17、第1アミン官能基の質量は16、チオール官能基の質量は33、カルボン酸官能基の質量は45、等々)。
【0032】
かかる移動性水素含有官能基(以下においてはΨ−Hと表わす)は、移動性と称される水素を有し、下記の反応式(C1)の反応が起こり、随意に続いての反応式(C2)の反応が起こるようなものである。
【化11】

{ここで、Lは該分子の残部との結合を表わし;
Ψはカルコゲン(有利には酸素若しくは硫黄)又は三価の窒素若しくはリン、さらにはヒ素、そしてさらにはアンチモン原子をも表わす。}
Ψはまた、1個以上の電子求引基によって移動性にされた水素を有する炭素を表わすこともでき、その例は、マロン酸炭素である。
【0033】
水素、特にヒドロキシルの水素が酸性(6以下、大抵の場合5以下のpKa)である場合には、続いての脱カルボキシル反応を行うことができる。かくして、カルボキシル官能基は、アシル尿素を与えることができる(実際、最も近い反応系列は次の通りである:イソシアネートの添加がカルボン酸とカルバミン酸(イソシアネートに対応)との非対称酸無水物をもたらす;この酸無水物は分解して[反応(C3)を見よ](Ψが酸素である場合には脱カルボキシルして)前記カルボン酸と前記アミン(イソシアネートに対応)とのアミドを与える。
【化12】

【0034】
第2のイソシアネート官能基は次いでアミドと反応して(C2タイプの式)アシル尿素を与える。この反応は、イソシアネートに水を添加した際の尿素の生成を説明する;この反応C2は次いでビウレットを与える。
【0035】
Ψはまた、水素又は多くとも15個の炭素原子を有する炭化水素基(即ち水素及び炭素を含む)を有する窒素原子を表わすこともできるが、この場合には反応(3)は起こらない。
【0036】
Lは有利には単結合(−)、カルボニル基[−C(O)−、NH2−C(=O)を包含する]又はイミノタイプの基(>C=N−及び−C(=N−)−[例えばアミジン、アミドキシム(−C(=N−O−H)−NH2)又はアミドの共役形を形成させるため])から選択される。
【0037】
これらの官能基は当業者によく知られており、それらの中では、次のものを挙げることができる:
・アミノ基を有する官能基(Ψが>N−を表わす){これは、アミン及びアニリンに加えて、アミド[この場合、Ψはカルボニル基に先行されて−C(=O)−N<を与える]を(特定的な場合としてラクタム及び尿素と共に)含む}、
・ヒドロキシルを有する官能基(Ψが−O−を表わす){これは、フェノールを含めたアルコール官能基に加えて、オキシム官能基[この場合、Ψはイミノ基に先行されて=N−O−を与える]を含む}、
・pKaが少なくとも1、有利には少なくとも2、好ましくは少なくとも3の酸素酸、特にカルボン酸官能基[この場合、Ψはカルボニル基に先行されて−C(=O)−O−を与える]、並びに
・チオール官能基。
【0038】
ある種の標準的な用語の意味を以下に整理しておく:
・ビス二量体:3種のモノマーの縮合から得られ、2つのウレチジンジオン単位を有するオリゴマー;
・トリス二量体:3つのウレチジンジオン単位を含む四量体;
・ビス三量体:2つのイソシアヌレート単位を含む五量体;
・三量体−二量体:1つのイソシアヌレート単位及び1つのウレチジンジオン単位を含む四量体;
・三量体−二量体−三量体:2つのイソシアヌレート単位及び1つのウレチジンジオン単位を含む六量体。
・ホモ重合の場合、「重質生成物」とは、用いるモノマーの分子量の7倍又はそれより大きい分子量を有するオリゴマーに相当する。
・ヘテロオリゴ縮合(特にヘテロオリゴマー化)の場合、「重質生成物」とは、次のものに相当する:
・・ヘテロオリゴマー化(2つ以上のイソシアネートモノマーの縮合)の場合には、オリゴマーを含むオリゴ縮合物であって、上で定義したようなジアミン単位を少なくとも7個有し、それらのそれぞれのモル比率を加味して統計的に用いるモノマーの分子量の7倍又はそれより大きい分子量を有するもの:言い換えれば、考慮すべき重量は、それぞれのモノマーの分子量にそれぞれのモル百分率を乗じたものの合計である;
・・ヘテロ縮合(イソシアネート化合物及び移動性水素含有化合物を用いる)の場合には、それらのそれぞれのモル比率を加味して用いるモノマーの分子量の7倍又はそれより大きい分子量(言い換えれば、それぞれのモノマーの分子量にそれぞれのモル百分率を乗じたものの合計重量)を示すオリゴ縮合物。
【0039】
NCO含有率は通常、1988年9月のAFNOR規格NF T 52-132(時にはジブチルアミン法とも称される)に従って測定される。
【0040】
平均分子量の測定は、イソシアネートに関する通常の方法に従って実施される;オリゴマー状組成物をオリゴマー分離技術、例えばゲル透過クロマトグラフィー分離に付す;この方法で、いくつかのオリゴマー画分が得られ、それらの様々な成分は構造分析、特に赤外線分析によって同定される(随意に当技術分野において周知のその他の技術、例えばNMRによって補完する)。
【0041】
第2の工程において、これらの成分の分布及び官能性を、一般的にスペクトル特性を用いて、特にポリイソシアネート化合物を特徴付けるバンド、例えばイソシアネート官能基及びイソシアネート官能基から得られる官能基(もちろん環を含む)のバンドによって、決定する。かくして、これを行うためには、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート及びウレチジンジオンのような縮合官能基のアルキルバンド及びCOバンドが広く用いられる。こうして、例示されたそれぞれの合成に相当する重量によるオリゴマーの分布にアクセスできる。
【0042】
それぞれのオリゴマー画分、それぞれの単離されたオリゴマーについて、NCO官能基含有率で表わされる全体の官能価(1g当たりの重量%又は当量)を測定する。これが、純粋オリゴマーの理論値と比較して、構造に関して及びオリゴマー画分の成分の分布に関しての優れた指標を与えることができる。(かくして、三量体化に相当するオリゴマー画分の場合、HDIビス二量体が2の官能価及び16.67%のイソシアネート重量含有率を有し、真の三量体が3の官能価及び25%の含有率を有するという事実から、三量体に相当するオリゴマー画分のイソシアネート含有率がわかれば、これら2種の異性体の間の分布の正確な考えを得ることが可能になる。)
【0043】
この分野において、平均官能価は次の方法で得られる:各オリゴマー又は組成物の各オリゴマー画分の重量百分率にそれ自身の官能価を乗じ、次いで各オリゴマーによって寄与される官能価を合計する。この合計がオリゴマー組成物の平均官能価を表わす。本発明の場合、最終組成物は、Polymer Laboratories社よりPL Gel type mixed Eの名前で販売されているゲル透過カラム製品を用いた分離に付される。
【0044】
溶剤に対する規制が次第に厳しくなってきているせいで近年溶剤の量が有意に減らされてきているにも拘らず、上記の移動性水素含有共反応成分に対してイソシアネート官能基を作用させることによるこの架橋反応は、一般的に溶剤中で実施される。
【0045】
様々な共反応成分、様々な追加の成分及び特に様々な溶剤は、ポリイソシアネートとの有害な反応をもたらす不純物を含むことがある。
【0046】
これらの不純物の中で、移動性水素含有官能基を有するものは有害となりがちであり、厄介な不純物の内の1つは、追加成分中及び溶剤中に存在する水である。
【0047】
後者の場合、これは特に極性溶剤において著しい(Vogel's Textbook of Production Organic 5th edition Amedis 5, page 1442を参照されたい)。この問題は、少なくとも5のドナー数を有する溶剤について顕著であり、少なくとも10のドナー数を有する溶剤についてさらにより一層顕著である。
【0048】
SAC(標準周囲条件、即ち25℃;105Pa)下において少なくとも0.5重量%の水を溶解させることができる溶剤、少なくとも1重量%の水を溶解させることができるもの、特に少なくとも2重量%の水を溶解させることができるものは、特にこの問題の影響を受ける。
【0049】
追加成分中、特に溶剤中に水が溶解している場合には、加水分解反応が特に有害である。さらに、イソシアネート官能基の含有率が低下する。実際、すべては、あたかも水とイソシアネートとの間の第3溶剤の存在によってイソシアネート官能基へのアクセスが促進されるかのように起こる。
【0050】
この加水分解反応は、2つの理由で有害である。まず第1に、二酸化炭素ガスの放出があり、第2に、尿素生成の危険がある。
【0051】
考えられ得る反応式の中で、最も説得力があるものを以下に詳述するが、これらは可能性を構成するだけである。
【0052】
加水分解
下記の反応H1はイソシアネート官能基による水の吸収であり、下記のH2で示した反応は二酸化炭素ガスの生成をもたらし、反応式H3は尿素の生成をもたらし、これは問題を引き起こし、コーティングの可能性についての困難を引き起こすことがある。
【0053】
そのため、これらの加水分解反応の反応式H1又は反応式H2を防止することができる技術を見出すことが望ましい。
【0054】
下記の反応式H3は、第1に粘度を高め、第2にビウレット官能基をもたらす方法の第1工程を構成する。

【0055】
二酸化炭素ガスの放出は、イソシアネート組成物が湿分を取り込んだ時に、イソシアネート組成物を含む容器の過剰な加圧の危険性、場合によっては爆発の危険性まであるので、貯蔵の際の追加の欠点となる。
【0056】
イソシアネート官能基自体が水に対して極めて貪欲で水吸収剤としてよく用いられるものなので、慣用の脱水剤に頼るのは不適切である。
【非特許文献1】「Methoden der organischen Chemie Kohlenssaure Derivat」(Hermann Hagemann編集、1983年、Houben-Weyl、ドイツ国シュトゥットガルト、Georg Thieme出版社)
【非特許文献2】Vogel's Textbook of Production Organic 5th edition Amedis 5, page 1442
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0057】
そのため、本発明の1つの目的は、イソシアネート官能基に対してよく脱水されていない成分中に存在する湿分又は潜在的に存在する湿分が作用することによる二酸化炭素ガスの生成及び不溶性尿素の生成を防止することができる反応成分を見出すことにある。
【0058】
本発明の別の目的は、脂肪族性状のイソシアネート官能基に対して用いることができ、従って脂肪族モノマー、それらの混合物及び脂肪族モノマーと芳香族モノマーとの混合物に対してさえ用いることができる技術を提供することにある。
【0059】
本発明の別の目的は、イソシアネート組成物と、イソシアネートに対して用いることが推奨されない標準等級の溶剤(前もって脱水されていないもの)との混合を、該イソシアネート組成物(特に吸湿性の溶剤との混合後に又は混合によって得られるもの)の貯蔵性を害することなく、促進することができる技術を提供することにある。
【0060】
本発明の別の目的は、良好な耐湿性を示すイソシアネート組成物であって、(特に自動車修理後の塗装作業における場合のように)用心を強いられる必要なく、該イソシアネートを含む容器の頻繁な開閉に対して損害を蒙ることなく事実上耐えることができるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0061】
これらの目的及び後に明らかになるであろうその他の目的は、次の組成物によって達成される。この組成物は、
・順次添加又は同時添加のための、
・・5重量%以下、有利には2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より一層好ましくは0.5%重量以下の多くとも2個のイソシアネート官能基を有するモノマー及び/又はアミノ酸から由来するモノマーを含み、
・・50重量%以下、有利には40重量%以下のイソシアネート官能基含有率(NCOの質量MW=42)を有する
イソシアネート副組成物(subcomposition)を含むことを特徴とし、且つ、
・カルコゲン列の非金属(メタロイド)又は窒素列の原子に結合したジヒドロカルビルシリレン基[−(Hc)2Si−]又はヒドロカルビル(ヒドロカルビルオキシ)シリレン基[−(Hc)(Hc−O−)Si−]を有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物を追加的に含み、かかる基の含有率が、それらから由来する単位に対応するモノマーの量に対する前記の定義に相当するケイ素原子(AW=28.1)の重量として表わして、少なくとも0.1重量%(有利には少なくとも1重量%)であって3重量%以下であることを特徴とする。
式[−(Hc)2Si−]とヒドロカルビル(ヒドロカルビルオキシ)−シリレン[−(Hc)(Hc−O−)Si−]とは、次の共有方式[−(Hc)(Hc−{O}ν−)Si−]{ここで、νは0又は1の値(基数)を有する}で書くことができる。この式において2つのHc基は同一であっても異なっていてもよい。νの好ましい値は0である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
これは好ましいというわけではないが、前記副組成物はもちろん慣用の脱水剤と共に用いることができる。
【0063】
前記ジヒドロカルビルシリレン基[−(Hc)2Si−]は、トリヒドロカルビルシリル基[(Hc)3Si−]であるのが有利である。
【0064】
かくして、上記のケイ素原子の含有率は、それらから由来する単位に対応するモノマーの量に対しての、
・第1にシリレン単位の一部であること、並びに
・第2にカルコゲン原子(特に酸素、硫黄及びセレンを含む広い意味の中で)又は元素周期表第V族、即ち窒素列の原子に結合していること
という二重の制約に適合するケイ素原子の重量と理解すべきである。
【0065】
さらに、これらのカルコゲン原子又は第V族原子は非金属でなければならず、これはカルコゲン列及び第V族の最も重い原子を除外する。
【0066】
上記の式において、Hc基はヒドロカルビル基を表わす(即ち、水素及び炭素の両方を含み、このヒドロカルビル基は同一であっても異なっていてもよく;Hc基を分子の残りの部分に結合させる原子は炭素原子である)。Hcと記されるこれらのヒドロカルビル基は、安定化能力を有しさらには著しい脱水能力さえ有していながら、イソシアネート組成物の中の過度に大きい重量部を占めるのを回避するために、比較的低い質量を示すのが有利である。
【0067】
従って、Hcは多くとも15個の炭素原子を有するものであるのが望ましく、多くとも10個の炭素原子を有するものであるのが有利であり、多くとも6個の炭素原子を有するものであるのが好ましく、多くとも4個の炭素原子を有するものであるのがより一層好ましい。
【0068】
前記ヒドロカルビルは、特にアリール及びアルキルから選択される。後者の場合、これらはメチル、エチル、プロピル及びさらにはブチル基を表わすのが有利である。
【0069】
用語アルキル(これはアラルキルを含む)とは、その語源的意味において、アルキルアルコールからアルコール部分(即ちヒドロキシル[−OH])を取り除いたものから取ったものである。従ってこれは、炭素−水素結合又は炭素−炭素結合のみを有するsp3炭素がその開いた結合を有する基である。
【0070】
ジヒドロカルビルシリレン基[−(Hc)2Si−]及び(ヒドロカルビルオキシ)シリレン基[−(Hc)(Hc−O−)Si−]は二価であり、その2つの非特定結合の内の少なくとも1つがカルコゲン列のもの(特に硫黄又は酸素)並びに有利には窒素列のもの(好ましくは窒素、実際さらにはリン)から選択される非金属に結合しているのが非常に望ましい。これらのジヒドロカルビルシリレン基[−(Hc)2Si−]はまた、式[−(Hc)2Si−]中の2つの非特定結合のそれぞれがカルコゲン列のもの(特に硫黄及び酸素)並びに有利には窒素列のもの(好ましくは窒素、実際さらにはリン)から選択される同一の又は異なる非金属に結合したようなものであることもできる。
【0071】
これらのジヒドロカルビルシリレン基[−(Hc)2Si−]は、シロキサニル基(ケイ素との結合の1つが空いているシロキサン)、シラザニル基(ケイ素との結合の1つが空いているシラザン)、シラニル基、特にトリヒドロカルビルシリル基[−Si(Hc)3](即ち、本明細書の意味においては単一のケイ素のみを含むシラニル)に属するものであるのが有利である(上に挙げた一般的なもの及び好ましいもの)。
【0072】
より特定的には、前記ジヒドロカルビルシリレン基は[−(Hc)(Hc’)Si−]の形のものであり、前記トリヒドロカルビルシリルは[−Si(Hc)(Hc’)(Hc”)]の形のものであり、ここで、
・Hcは独立的に多くとも15個の炭素原子、有利には多くとも10個の炭素原子、好ましくは多くとも6個の炭素原子、より一層好ましくは多くとも4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表わす(即ち水素及び炭素の両方を含む)。これらのヒドロカルビルは、特にアリール及びアルキルから選択される。後者の場合、これらはメチル、エチル、プロピル、又はブチル基を表わすのが有利である;
・Hc’は独立的に多くとも15個の炭素原子、有利には多くとも10個の炭素原子、好ましくは多くとも6個の炭素原子、より一層好ましくは多くとも4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表わす(即ち水素及び炭素の両方を含む)。これらのヒドロカルビルは、特にアリール及びアルキルから選択される。後者の場合、これらはメチル、エチル、プロピル、又はブチル基を表わすのが有利である;
・Hc”は独立的に多くとも15個の炭素原子、有利には多くとも10個の炭素原子、好ましくは多くとも6個の炭素原子、より一層好ましくは多くとも4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表わす(即ち水素及び炭素の両方を含む)。これらのヒドロカルビルは、特にアリール及びアルキルから選択される。後者の場合、これらはメチル、エチル、プロピル、又はブチル基を表わすのが有利である。
【0073】
ジヒドロカルビルシリレン基は、多くとも8個、好ましくは多くとも7個、より一層好ましくは多くとも4個の炭素原子を有するものであるのが有利である。
【0074】
トリヒドロカルビルシリルは、多くとも10個、好ましくは多くとも9個、より一層好ましくは多くとも6個の炭素原子を有するものであるのが望ましい。
【0075】
これらのジヒドロカルビルシリレン基は、環の員を構成することができる。
【0076】
かくして、良好な結果を与える化合物の中では、次式のジヒドロカルビルシリレン基を有する化合物を挙げることができる。
【化14】

[ここで、νは0又は1、有利には0を表わし;
Yは
・アミノ基{これは、次のものから選択される1個の置換基又は2個の同一の若しくは異なる置換基で随意に一置換又は二置換されていてよい:
○酸素酸(例えば次の酸:カルボン酸、ヒドロカルビル硫酸、スルホン酸、スルフィン酸、リン酸並びにそれらのジ−及びモノエステル、ホスホン酸及びそれらのモノエステル、ホスフィン酸等)からヒドロキシル基を取り除いた後の残基、かくしてYと共にアミド(カルボキサミド、スルホンアミド、ホスホルアミド等)、特にアシル(カルバミルのような炭酸から誘導される酸を包含する)を与える残基;
○ヒドロカルビル、特にアルキル及びアリール;
○トリヒドロカルビルシリル;
○次式:
【化15】

(ここで、Z’、Hc°及びHc°’はそれぞれZ、Hc及びHc’と同じ定義を有する)の基};或は
・次のものから選択される置換基を有する軽質カルコゲン(セレン, 硫黄又は有利には酸素):
○酸素酸(例えば次の酸:カルボン酸、ヒドロカルビル硫酸、スルホン酸、スルフィン酸、リン酸並びにそれらのジ−及びモノエステル、ホスホン酸及びそれらのモノエステル、ホスフィン酸等)からヒドロキシル基を取り除いた後の残基、かくしてYと共にアミド(カルボキサミド、スルホンアミド、ホスホルアミド等)、特にアシル(カルバミルのような炭酸から誘導される酸を包含する)を与える残基;
○必要ならば、ヒドロカルビル、特にアルキル及びアリール}:
を表わし、
Zは
・Yと同じ意味;
・ヒドロキシル、特にアルキル及びアリール;
・シラノキサニル;
・シラザニル;
・必要ならばシラニル:
から選択され、
Y及びZは互いに結合して、ジヒドロカルビルシリレン基[−(Hc)2Si−]が1つの員となる環を形成することもでき;
Hc及びHc’ はすでに定義した通りである(上記を参照されたい)。]
【0077】
ジヒドロカルビルシリレン基は、多くとも8個、好ましくは多くとも7個、より一層好ましくは多くとも4個までの炭素原子を有するものであるのが有利であるということを思い出すべきである。
【0078】
トリヒドロカルビルシリルは、多くとも10個、好ましくは多くとも9個、より一層好ましくは多くとも6個の炭素原子を有するものであるのが望ましい。
【0079】
好ましい化合物は、窒素質化合物、即ち特にYが窒素である場合にジヒドロカルビルシリレン基が窒素原子に結合したものである。
【0080】
しかしながら、ジヒドロカルビルシリレン基に結合した非金属原子がカルコゲンΧである場合(例えばYが酸素を含むカルコゲンである場合)、ジヒドロカルビルシリレン基のケイ素原子に結合したY基全体が良好な脱離基を構成するのが望ましい。このことは、前記非金属がカルコゲンである場合に、該カルコゲンが電子求引基Ewに結合し、この電子求引基Ewが、Ew−Χ−H(特にEw−O−H)が水中で測定してせいぜい9、有利にはせいぜい6、好ましくはせいぜい4、より一層好ましくはせいぜい2のpKaを有する酸となるようなものであることを示すことによって、示し且つ数量化することができる。
【0081】
これは、特に前記非金属が酸素である場合に、真実である。
【0082】
上で示したpKa値は、数学的な丸めに相当する値、即ち上記の特定的な場合、0.5pKa単位の不確定性に相当する値である。
【0083】
酸が強酸であればあるほど、一般的にシリル化能力がより一層良好になる。そのため、比較的強酸の誘導体をシリル化剤として用いるのが好ましい。
【0084】
シリル化剤がすべてのジヒドロカルビルシリレン基が1つのカルコゲンに結合しているものである場合には、反応によって(特に脱水によって)放出される可能性がある酸を中和するために、有機又は無機塩基(従って、発生する酸に対する対カチオンとなって塩形成することができる塩基)を媒体に添加するのが好ましい。
【0085】
従って、前記非金属(特にY)がカルコゲン−Χ−である場合及び後者のカルコゲンがEw−Χ−Hが水中で測定してせいぜい8、有利にはせいぜい6のpKaを有する酸となるような電子求引基に結合している場合、この組成物は、前記の酸を中和することができるアルキル化可能ではない有機又は無機塩基を含む。
【0086】
これらの塩基は、イソシアネート官能基の重縮合をもたらすことがないように、比較的弱塩基であるのが好ましい。さらに、これらの塩基はイソシアネート(−NCO)官能基と反応しないものであるのが特に好ましい。従って、この塩基と関係する酸のpKaはせいぜい12、有利にはせいぜい11、好ましくはせいぜい10であるのが好ましい。
【0087】
好ましい塩基は第3級アミン及び第3級ホスフィン(硬質のトリアルキルホスフィンは一般的に二量体化及び三量体化の触媒であるので、軟質のものであることを条件とする)であって少なくとも部分的に芳香族のもの、即ちモノ−、ジ−又はトリ芳香族(モノ−、ジ−又はトリアリール)のものである。
【0088】
上記の場合、即ちシリル化剤がシラニルエステルである場合及び対応する酸が水中で測定してせいぜい8、有利にはせいぜい6のpKaを示す場合には、前記組成物が、アルキル化可能ではない塩基を規定度で表わして,上記のpKaで規定した酸官能基にグラフトしたヒドロカルビルシリレンのケイ素原子当量で表わした量の少なくとも0.1倍、有利には少なくとも0.2倍、好ましくは少なくとも0.5倍の量で、含むのが好ましい。
【0089】
また、この塩基の量は規定度で表わして、ケイ素原子当量で表わした前記ヒドロカルビルシリレンの量のせいぜい2倍、有利にはせいぜい1.5倍であることも好ましい。
【0090】
言い換えれば、水について、或は水又は完全には脱水されていない溶剤若しくは添加剤を導入した場合にイソシアネート組成物を構成する反応混合物の加水分解生成物について、起こるシリル化の際のシリル化剤によって放出される可能性がある酸官能基を中和することが重要である。
【0091】
本発明に従えば、イソシアネート組成物は、順次又は同時に添加するための溶剤を含むことができ、この溶剤が完全には脱水されていない場合に特に有利である。混合の際及び混合の直後に脱水が起こる。水を0.5‰〜2%、特に1‰〜2%含む溶剤は、脱水が不充分な溶剤と見なす。
【0092】
本発明は、[水/(溶剤+イソシアネート副組成物)]の重量比が0.3‰〜1%、特に0.5‰〜1%の範囲の閉じた範囲内(即ち境界を含む)である場合により一層適している。
【0093】
もちろん、本発明は、吸湿性溶剤及び/又は水に対する親和性が高い溶剤、特にそれらの重量の少なくとも5重量%、有利には少なくとも10重量%の水を溶解させることができる溶剤(より正確にはこの量の水と混和性である溶剤)を用いる場合に、特に有利である。
【0094】
イソシアネート組成物はまた、順次又は同時に添加するための界面活性剤を含むこともできる。この界面活性剤は特に、イソシアネート組成物が水性相中での激しい又は穏やかな撹拌の際に乳化するような量及び性状のものであることができる。
【0095】
特に有利な界面活性剤の中では、ポリアルキレンオキシド基、特にポリエチレンオキシド基を有する分子をイソシアネートにグラフトすることによって得られる界面活性剤を挙げるのが好適である。これは、イソシアネート官能基と、2つの端部の内の少なくとも1つが移動性水素含有官能基(特にアルコール又はアミン官能基)を有するポリエチレンオキシド(例えばJeffersonアミン、別名Jeffamine)との間の縮合によって実施することができる。
【0096】
また、1個の又は数個のイソシアネート官能基と、移動性水素含有官能基を少なくとも1個(であって最大3個)有する有機酸[脱カルボキシル(C3)が時宜を得ないと見なされる場合、そしてそれを避けることが望まれる場合には、少なくとも一部が適宜に塩の形にある]の塩との間の縮合を挙げることもできる。かかる酸の例としては、アルコール酸及びアミノ酸を挙げることができる。対応するアニオンは、価値のある界面活性剤を構成する。共カチオンは、式(I)の好ましい界面活性剤のものと同じリストから選択される。
【0097】
しかしながら、次の一般式(I)の化合物又は該化合物の混合物を主要成分として含む界面活性剤を特に挙げることができる。
【化16】

{ここで、
pは1〜2の範囲の整数(閉じた範囲、即ち境界を含む)を表わし;
mは0又は有利には1を表わし;
p+m+qは最大3であり;
1+p+2m+qは3又は5、有利には5であり;
Χは酸素又は単結合であり;
Χ’は酸素又は単結合であり;
n及びsは同一であっても異なっていてもよく、少なくとも2、有利には少なくとも3;好ましくは少なくとも4、より一層好ましくは少なくとも5であって最大30、有利には最大25;好ましくは最大20、より一層好ましくは最大9のものから選択される整数を表わし、好ましい範囲は3〜25、有利には5〜20、好ましくは5〜9の範囲(閉じた範囲、即ち境界を含む)であり;
1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、有利には同一であり、芳香族核を持たない脂肪族性状の(即ち8〜20個の炭素原子を有するsp3混成炭素がそれらの開いた結合を有する)随意に置換された基、有利にはアルキル(アラルキルを除く)から選択される。}
【0098】
1及びR2は一般的に8〜20個の炭素原子を有するアルキル(随意にそして有利には分岐鎖状のもの)である。イソトリデシルアルコールの名前で販売されている製品のようなアルコールの混合物(一般的に異性体の混合物)から由来するアルキルの混合物がしばしば用いられる。
【0099】
整数qは1又は0を表わす。
【0100】
s及びnについてはまた、共カチオンが非常に可溶性である場合{アルカリ金属(随意に金属封鎖されたもの)、第4級アンモニウム若しくはホスホニウム、低分子量の(即ち多くとも7個までの炭素原子を有する)第3級アミン}、9〜20の範囲内から選択するのが有利なこともある。有利にはΧ及びΧ’基の一方が酸素であり、好ましくは両方が酸素である。共カチオンについてのさらなる詳細については、本明細書の関連箇所を参照することができる。
【0101】
式(I)の化合物の混合物の場合、モル数におけるそれらの大部分が式(I)において「q」が0の値を有して式(II):
【化17】

(ここで、「m」は0又は1,好ましくは1であり;
「p」は2の値を有する)
を与えるものに相当するのが好ましい。
【0102】
化合物の混合物を用いる場合、規定された分子については整数である数値が、その場合には小数となってもよい。
【0103】
従って、式(I)においてq、p{及びさらにはm(しかしこれは合成における難しさ、2つの異なる合成の生成物であるホスファイト及びホスフェートを混合しなければならないということのせいで、好ましいものではない)}並びに特にn及びsは、統計値となる(数値としては、これは殆ど違いがないが、式(I)の分子の数はpH測定によって容易に決定することができる)(下記参照)。
【0104】
ジエステル対モノエステルの統計比(即ちq)は、最大でも3/4、有利には最大でも2/3、好ましくは最大でも1/2、さらにはそれより小さいのが有利である(下記参照)。
【0105】
乳化性組成物は、乳化性イソシアネート組成物、有利には次のものを含む乳化性イソシアネート組成物になる:
・N=C=O官能基の重量含有率が15〜25%の範囲であり、粘度がせいぜい2500mPa・s、有利にはせいぜい1500mPa・s、より好ましくはせいぜい1400mPa・s、好ましくはせいぜい1200mPa・sであるイソシアネート組成物;
・次の平均一般式の化合物又は該化合物の混合物を主要成分として含む界面活性剤:
【化18】

{ここで、
pは1〜2の範囲の値(閉じた範囲、即ち境界を含む)を表わし;
mは0又は1、有利には1を表わし;
p+m+qは3であり;
1+p+2m+qはリンの原子価、即ち3又は5、有利には5であり;
Χは酸素であり;
Χ’は酸素であり;
n及びsは同じ統計値を有するのが有利であり;n及びsは同一であっても異なっていてもよく、少なくとも2、有利には少なくとも3;好ましくは少なくとも4、より一層好ましくは少なくとも5であって最大30、有利には最大25;好ましくは最大20、より一層好ましくは最大9のものから選択される統計値を表わし、好ましい範囲は3〜25、有利には5〜20、好ましくは5〜9の範囲(閉じた範囲、即ち境界を含む)であり;
1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、有利には同一であり、脂肪族又はアリール脂肪族性状の随意に置換された基、有利にはアルキル又はアシル(随意にアクリル性状のもの)から選択される}。
【0106】
値qは0〜1の閉じた範囲内から選択される値を表わす。
【0107】
s及びnについてはまた、共カチオンが非常に可溶性である場合{アルカリ金属(随意に金属封鎖されたもの)、第4級アンモニウム若しくはホスホニウム、低分子量の(即ち多くとも7個までの炭素原子を有する)第3級アミン}、9〜20の範囲内から選択するのが有利なこともある。アルキルとは、その意味において、アルキルアルコールからOH官能基を取り除いたものから取ったものである。R1及びR2は一般的に8〜20個(整数又は統計値)の炭素原子、好ましくは10〜15個の炭素原子を有するアルキル、より一層好ましくは水素及び炭素のみを含むアルキル(随意にそして有利には分岐鎖状のもの)を表わす。R1及びR2は、IUPACの意味内のアルキル、即ちアルカン(随意に環状のもの)から水素を1個取り除いたものに相当するアルキルであるのが望ましい。
【0108】
0〜1の閉じた範囲内から選ばれる統計的な比「q」は、酸/塩基分析によって容易に決定されることに留意されたい。
【0109】
統計的な「q」は多くとも0.5、有利には多くとも0.3、好ましくは多くとも0.2であるのが望ましい。
【0110】
この場合、平均式は数による(それぞれのタイプの単位又は原子の合計数を分子の数で割る)ものであり、各分子の割合は液体クロマトグラフィー(重質分子については適宜にゲル透過によるもの)によって測定される。
【0111】
これらの化合物は、リン含有酸(有利にはリン酸)を、アルコール官能基を末端基とし且つアルコール(R1及び/又はR2)で始まるポリエチレンオキシド(s及びn単位を含む)によって部分エステル化することによって得られる。
【0112】
式(I)の前記化合物対懸濁させるべきイソシアネートの重量比(前者が分子)は一般的に、せいぜい約0.1、有利にはせいぜい0.10とする。本明細書において用語「約」とは、与えられた値が統計学的な丸めに相当するという事実を強調するためにのみ用いたものであり、そして、もちろん別途記載がない限りではあるが、その数値の右端の数字(群)が0である場合、これらの0は位取り用の0であり、有意の数字ではない。
【0113】
式(I)の化合物対懸濁させるべきイソシアネートの重量比(前者が分子、後者が分母)は、1%超、好ましくは2%超であるのが有利である。
【0114】
自己乳化性の性状(これはこれらの用途における利点を構成する)は、別のタイプの乳化用化合物(それら自体少なくとも3%の量)の存在下においては約3%の重量比から現れ、そして式(I)の化合物が乳化剤として用いられる界面活性剤との合計質量の少なくとも90%を占める場合には約5%の重量比から現れる。
【0115】
本発明に従ってイソシアネートと共に用いられる共反応成分は、多くの場合それら自身の界面活性剤と共に販売されており、たとえ式(I)の界面活性剤の量が純水中における自己乳化をもたらすのには不充分なものであっても、本発明のイソシアネート組成物を共反応成分の水性相中に乳化させる場合には、自己乳化があり得る。本発明に従えば、ポリオールと共に用いられる界面活性剤とのこの相溶性は、本発明の実施にとって大きな利点となる。
【0116】
また、式(I)の前記化合物(群)の量が、1リットル当たり10-2〜1、有利には5×10-2〜0.5の範囲の値のリン原子に相当するものであることも望ましい。
【0117】
かくして、式(I)の化合物(分子)対懸濁させるべきイソシアネート(分母)の重量比は、有利には少なくとも2%、好ましくは少なくとも4%であって、多くとも約15%、好ましくは多くとも約10%とする;従って、この重量比は、有利には約2〜15%の範囲、好ましくは約4%〜10%の範囲(有効数字2桁)である;これらの範囲は閉じたものであり、即ち境界を含む。
【0118】
本発明に従えば、前記化合物は、単独で用いてもよく、1種以上の界面活性剤との混合物として用いてもよい。
【0119】
これらの随意としての界面活性剤はまた、イオン性化合物(特にアルキルサルフェート若しくはホスフェート、アルキルホスホネート、アルキルホスフィネート、アルキルスルホネート、脂肪酸塩及び/又はツビッターイオン性塩)並びに非イオン性化合物(鎖末端をブロックされたもの又はブロックされていないもの)から選択することもできる。しかしながら、少なくとも1つの鎖の上にアルコール官能基を有する非イオン性化合物は、組成物の他の局面に関しては好ましい効果を有していたとしても、(自己)乳化に対しては僅かに望ましくない効果を有するように思われる;この観点で、このタイプの化合物の含有率は本発明に従う前記アニオン性化合物の重量の1/3以下、有利には1/5以下、好ましくは1/10以下を占めるのが好ましい。
【0120】
本発明が対象とする(式(I)のもののような)アニオン性界面活性剤化合物の電気的中性をもたらす対カチオン(群)は、一価のものであるのが有利であり、無機カチオン及び有機カチオン、有利には非求核性のもの、従って第4級又は第3級性状のもの{特に第V族の「オニウム」、例えばホスホニウム又はアンモニウム(プロトン化されたアミンを含む)、及びさらには第VI族の「オニウム」、例えばスルホニウム、等}及びそれらの混合物、大抵の場合アンモニウム(一般的にアミン、有利には第3アミンから得られるもの)から選択される。有機カチオンがイソシアネート官能基と反応する水素を持たないようにするのが有利であり、従って第3アミンが好ましい。
【0121】
無機カチオンは、クラウンエーテルのような相間移動剤によって金属封鎖することができる。
【0122】
中性(有機[アンモニウム等]又は無機)塩基のプロトン化から由来するカチオンの水中におけるpKaは、少なくとも7、好ましくは少なくとも8であって、最大14、好ましくは最大12、より一層好ましくは最大10であるのが有利である。
【0123】
カチオン、特にアンモニウムに対応するアミン(この場合はプロトン化されたアミン)は、界面活性特性を示さないものであるのが有利であるが、しかしこれらは、すべての使用濃度において水性相中で良好な溶解性(いずれにせよ、官能基及びポリ酸素化鎖を有する化合物のそれを保証するのに充分な溶解性)を示すことが望ましい。
【0124】
「オニウム」官能基1個当たりに多くとも16個の炭素原子、有利には多くとも12個の炭素原子、好ましくは多くとも10個の炭素原子、より一層好ましくは多くとも8個の炭素原子を有する第3アミン又は第4級アンモニウム若しくはホスホニウム(もちろん、第3アミンからプロトン化によって得られるアンモニウムも包含する)が好ましい;1分子当たり1個の官能基だけが存在するのが好ましいということを思い出すべきである。
【0125】
「オニウム」官能基1個当たりに少なくとも4個の炭素原子、有利には少なくとも5個の炭素原子、好ましくは少なくとも6個炭素原子、より一層好ましくは少なくとも7個の炭素原子を有する第3アミン又は第4級アンモニウム若しくはホスホニウム(もちろん、第3アミンからプロトン化によって得られるアンモニウムも包含する)が好ましい。
【0126】
上記のことに従えば、好ましい塩基は、6〜10個の炭素原子、有利には7又は8個の炭素原子を有する第3級モノアミン、及びさらにはモノホスフィンであるように思われる。
【0127】
本発明に従えば、窒素又はリンの置換基の1つが第2級基又は第3級基、有利には多くとも7の環員、有利には5又は6の環員を有するシクロアルキルであるのが好ましい。
【0128】
前記アミンは、その他の官能基、特にアミノ酸の官能基及びN−メチルモルホリンのような環状エーテル官能基又は非環状エーテル官能基に相当する官能基を含むことができる。これらのその他の官能基は、イソシアネート官能基と反応せず且つ水性相中における溶解性に有意の悪影響を及ぼすこともない形にあるのが有利である。
【0129】
前記アニオン性界面活性剤化合物(特に式(I)に従うもの)は、水中に溶解させた時又は水と接触させた時のpHが少なくとも3、有利には少なくとも4、好ましくは少なくとも5であって最大12、有利には最大11、好ましくは最大10となるように中和された形にあるのが特に望ましい。
【0130】
従って、2つ以上の酸官能基が存在する場合には、強酸又は中庸酸官能基(即ちpKaが4以下のもの)のみを中和するのが好ましい。弱酸、即ちpKaが少なくとも5であるものは、部分的に中和することができる。
【0131】
上でより一般的に述べたように、「q」が0である化合物が大部分を占めるのが好ましい。従って、リンがリン(V)である場合(即ち、2m+p+q=5)及び混合物の化合物がエステルである場合、モノエステルとジエステルとのモノエステル/ジエステルのモル比が2より大きい、有利には3より大きい、好ましくは4より大きい、より一層好ましくは5より大きい、さらには10より大きい混合物を用いるのが望ましい。
【0132】
本発明に従う乳化剤、特に上記の混合物は、1重量%〜約20重量%まで(しかしながら約10%を超えないのが好ましい)のリン酸及び/又は亜リン酸(これは推奨pH領域内にあるように少なくとも部分的に塩形成されているのが有利である)並びに0〜5%のピロリン酸エステルを追加的に含むことができる。亜リン酸を存在させることは技術的には可能であるが、その誘導体の内のあるもの、特にシリル化誘導体は毒性があると考えられている;従って、特に毒性があると考えられている誘導体を生成する危険性がある場合には、この酸を回避するのが賢明である。
【0133】
上で定義したアニオン性界面活性誘導体、特に式(I)のものはシリル化することができ、このシリル化生成物は(もしも本明細書において推奨される条件を満たせば)シリル化剤の範疇に入る。これは、酸の形が中庸酸又は強酸(pKa≦4.5;有利には3以下、好ましくは2以下)に相当する界面活性剤の場合に、特に真実である。
【0134】
本発明は、ジヒドロカルビルシリレン基を含む脱水剤又はヒドロカルビル(ヒドロカルビルオキシ)シリレン基[−(Hc)(Hc−O−)Si−]を含む脱水剤をイソシアネート組成物に直接添加することによって実施することもできるし、溶剤中の脱水及びシリル化剤をポリイソシアネート組成物又は溶液に添加することによって実施することもできる。かかる処理に用いられる溶剤は、上記のように、本質的に吸湿性の溶剤、特に式中に極性官能基を含むものである。
【0135】
本発明はまた、カルコゲン列の非金属又は窒素列の原子にジヒドロカルビルシリレン基が結合した化合物を混合助剤としての用いることも対象とする。
【0136】
これらのジヒドロカルビルシリレン基含有化合物は、シリル化剤及び/又は脱水剤としての働きをすることができる化合物である。
【0137】
これらの化合物、特に好ましい化合物、即ちケイ素原子が窒素原子に結合したものは、イソシアネート官能基からイソシアヌレート基を生成させることができる三量体化剤と称される誘導体であるということに注目されたい。従って、これらの化合物がイソシアネート組成物の貯蔵性に有意に影響を及ぼすことなく混合助剤として用いることができるということは、特に驚くべきことである。
【0138】
本発明はまた、本発明に従う組成物を含む有機相又は本発明に従う組成物から成る有機相をも対象とする。
【0139】
本発明はまた、水性連続相中に分散させた前記の相をも対象とする。
【実施例】
【0140】
以下、非限定的実施例によって本発明を例示する。
【0141】
イソシアネート硬化剤の組成物
【0142】
この研究において用いたイソシアネート硬化剤の組成物は、次の通りである:
・酢酸メトキシプロピル(MPA):最後の瞬間において55重量%添加し、水500ppmの存在をもたらす;
・次の組成の親水性ポリイソシアネート:
・・13個の炭素原子及び6個のエチレンオキシド単位を有するポリエトキシル化アルコールでエステル化されたホスフェート4.66%;モノ*/ジの比=70/30
・・8個のエチレンオキシド単位を有するポリエトキシル化アルコールでエステル化されたホスフェート4.66%;モノ*/ジの比=70/30、4.66%;4%非イオン性
・・ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA):2.22%
・・低粘度のHDIをベースとし、総重量に対する真の三量体の比が0.6(数学的に丸めたもの)であるイソシアネート組成物:100%に足りる量
・・・NCO23%
・・・粘度(SAC)600mPa・s
・・・当量183
・・・固形分含有率100%
・・・官能価3.25。
【0143】
水の分析(カール−フィッシャー法)は、硬化剤組成物が平均して0.5重量‰含むことを示した。
【0144】
脱水剤の構造
【0145】
研究した脱水剤は、次のものである:
・比較対照用のオキサゾリン構造(Industrial Copolymer社からのIncozol 2)
・シリル化された構造
・・ビストリメチルシリルアセトアミド(BSA)
・・ビストリメチルシリル尿素(BSU)
・・ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)
・・トリメチルシリルホスフェート(TMSP)
【0146】
各種化合物の化学構造及びそれらの物理的特徴を表Iにまとめる。
【0147】
【表1】

【0148】
混合物の組成
【0149】
各種の構造の性能を示すために研究した配合物の組成を、下記の表IIに与える。混合物3〜10は、水をさらに添加する前に混合物1に最初に酢酸塩の添加の際に500ppm添加されていることを考慮に入れて、脱水剤を添加して、配合した。すべての場合において、NCO官能基との反応が回避されるように、水を最後に(即ち脱水剤を導入した後に)添加した。
【0150】
混合物8及び11は、BSU及びTMSPを溶解させるために、超音波浴中に30分間保った。
【0151】
ガス発生の監視
【0152】
脱水剤の存在下又は不在下におけるガスの発生の監視は、目盛り付きシリンジを用い、隔膜を用いて閉じられたフラスコ中の27gの溶液によって生成するガスの容量を測定することによって、実施した。しかしながら、イソシアネート組成物は40℃に保つ。測定は毎日実施する。放出されたガスの容量を定量測定するためにシリンジで穴を開けた後に、隔膜を新たな隔膜と交換する。添付した図面はこの原理を示す。
【0153】
結果
【表2】

【0154】
混合物3、4、5及び6に関しては、配合は「未変化」のまま(=見かけ上の発生のない無色の液体)であり、40℃において21日間の貯蔵性試験の期間にわたって有意のガスの発生を何ら示さない。
【0155】
5000ppm超の水を含ませた混合物2は、非常に迅速に変化し、40℃においてたった数時間の後に僅かに濁った化学ゲルが密閉フラスコ中で観察される。ガス発生の測定は、40℃において24時間後に24ミリリットルの強い発生を示す。この変化は、NCO官能基と水との所期の反応に相当し、CO2の生成をもたらしたことを示す。
【0156】
これらの混合物を用いて得られた結果を通じて、試験した脱水剤の影響がはっきり示された。Incozol 2を含む混合物7は、40℃において数時間後にガスを発生した。
【0157】
さらに、配合物13及び14中の水の量をカール−フィッシャー法によって経時的に監視することによって、配合物からの水の消失を定量測定した。
【0158】
【表3】

【0159】
従って、BSA及びHMDZの2種類の脱水剤が(ポリ)イソシアネート配合物中に存在する水を消費することを可能にすることがはっきりわかる。混合物14の場合には曇りやゲルは形成しなかった。この結果はおそらく、この水の導入量については、生成する尿素誘導体が目視によって検出するのに充分ではないという事実に由来するものである。
【0160】
上記の例から、揮発性物質を発生することなく(ポリ)イソシアネート配合物を脱水するためにある種のシリル化誘導体を効果的に用いることができるということを示すことができた。好ましい化合物は、紛れもなく、ビストリメチルシリルアセトアミド又はBSAであり、これについては、脱水剤の導入量が存在する水を消費するのに充分である限り、ガスの発生は何ら検出されず、さらに、不溶性化合物も発生させない。
【0161】
BSU及びHMDZもまた、脱水剤として用いることができる。
【0162】
最後に、一般的に「乾燥」有機媒体として用いられるオキサゾリジンタイプの構造の利点も注目できる。しかしながら、Incozol 2の使用は水の存在下においてVOC(ケトン又はアルデヒド)の生成をもたらし、配合物の「乾燥」を周囲温度において実施する場合には化学ゲルをもたらすということが指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】ガス発生監視試験の一部を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次添加又は同時添加のための、多くとも5重量%、有利には多くとも2重量%、好ましくは多くとも1重量%、より一層好ましくは多くとも0.5%重量のジイソシアネートモノマー及びアミノ酸から由来するモノマーを含み、最大55重量%のイソシアネート官能基含有率を有するイソシアネート副組成物を含むこと、並びに
カルコゲン列の非金属又は窒素列の原子に結合したジヒドロカルビルシリレン基[−(Hc)2Si−]又はヒドロカルビル(ヒドロカルビルオキシ)シリレン基[−(Hc)(Hc−O−)Si−]を有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物を追加的に含み、前記の基の含有率が、それらから由来する単位に対応するモノマーの量に対するジヒドロカルビルシリレン中に存在するケイ素原子(AW=28.1)の重量として表わして、少なくとも0.1重量%であって最大3重量%であること
を特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記非金属が酸素であり、該酸素が電子求引基Ewに結合し、この電子求引基Ewが、Ew−OHが水中で測定して9以下、有利には6以下、好ましくは4以下、より一層好ましくは2以下のpKaを有する酸となるものであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非金属がカルコゲン−Y−であり、このカルコゲンが電子求引基Ewに結合し、この電子求引基Ewが、Ew−Y−Hが水中で測定して9以下、有利には6以下、好ましくは4以下、より一層好ましくは2以下のpKaを有する酸となるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記非金属がカルコゲン−Y−であり、このカルコゲンが電子求引基Ewに結合し、この電子求引基Ewが、Ew−Y−Hが水中で測定して8以下、有利には6以下のpKaを有する酸となるものであり、該組成物が前記酸を中和することができるアルキル化可能ではない有機又は無機塩基を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
規定度で表わした塩基の量が、ケイ素原子当量として表わしたジヒドロカルビルシリレンの量の少なくとも0.1倍、有利には少なくとも0.2倍、好ましくは少なくとも0.5倍であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
規定度で表わした塩基の量が、ケイ素原子当量として表わしたジヒドロカルビルシリレンの量の2倍以下、有利には1.5倍以下であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
順次又は同時に添加するための界面活性剤を追加的に含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
順次又は同時に添加するための溶剤を追加的に含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
吸湿性溶剤(極性官能基を有するもの)を追加的に含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
順次又は同時に添加するための移動性水素を有する多官能性副組成物を追加的に含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
カルコゲン列の非金属又は窒素列の原子に結合したジヒドロカルビルシリレン基[−(Hc)2Si−]を有する化合物であって、前記の基の含有率が、それらから由来する単位に対応するモノマーの量に対するケイ素原子(AW=28.1)の重量として表わして、少なくとも0.1重量%であって最大3重量%である前記化合物の、助剤としての使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−529973(P2008−529973A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547565(P2007−547565)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/FR2005/003194
【国際公開番号】WO2006/070100
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】