説明

良好な炭化水素バリアを備えた薄層物品

開示されているのは、(a)ハロゲン化ビニルまたはハロゲン化ビニリデンポリマーを含み、カルボキシルおよび/または一酸化炭素部分を含有するエチレンコポリマーを場合により含んでいてもよい組成物と、(b)相溶剤として、無水マレイン酸、マレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、無水イタコン酸、イタコン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、フマル酸ジエステル、フマル酸モノエステルまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるコモノマーで官能化されたポリオレフィンと、(c)ハロゲン化ビニルまたはハロゲン化ビニリデンポリマー中に多数の重なり層として存在しているポリアミドとの不均一系ブレンドを含む薄層成型物品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩化ビニル、ポリアミドおよび相溶剤から作製された薄層物品に関する。
【背景技術】
【0002】
単層屋根葺き膜を有する屋根は、積層屋根材として知られている市販の屋根葺き製品の別のグループとは一線を画すべくそのように名付けられている。積層屋根材は、フェルトやアスファルト等の構成材料を用いて、建築請負業者により屋根上に構築される。そのため、気候、作業者のミスおよび材料不一致により生じる問題を被る。EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴム、ポリ塩化ビニル(PVC)およびその他合成材料単層シートを、耐水材料の上層として用いる単層膜屋根葺きシステムは、屋根葺き業界において数年前大規模に導入されていた。単層膜屋根葺きシステムは、オフィスビル、ショッピングセンター等の大抵の大規模商業ビルで見られるような、平坦または傾斜の緩い屋根に用いられている。かかる単層膜は、風化および屋根の荷重の低さ、ならびに屋根設置の経費節減のために、それらが持つ本来の利点により、タールや紙材料の層で形成された積層屋根材等の古いシステムよりも、多く使われている。単層膜は、積層屋根材システムに固有のリスクを最小にする厳しい品質管理要件で、工業で製造される配合合成材料の可撓性シートである。多くの物理的および性能特性の中でも主として、これらの材料は、強度、可撓性および長期耐久性を与える。既製シートに固有の利点は、製造される製品品質の一貫性、それらの取付け方法の多様性、その結果としての広い適用性である。それらは、元々、可撓性であり、様々な取付けシステムで用いられ、長期耐久性があるように配合され、屋根の寿命年数にわたって完全防水性がある。
【0003】
単層屋根葺き膜は、プラスチックとして加工できるエラストマーポリマーをベースとする熱可塑性膜を含む。最も一般的な熱可塑材は、可塑剤を入れることにより可撓性とさせたPVCである。熱可塑性膜は、熱(すなわち、RF溶接またはホットエア)か、化学溶解(溶剤型セメントを用いる)のいずれかを用いて形成される継ぎ目により確認される。得られる継ぎ目は、膜自体と同等またはそれより強い。多くの熱可塑性膜は、増大した強度および寸法安定性を与えるために、ポリエステルまたはファイバーガラス等の補強層を含むようにして製造される。
【0004】
PVC膜はまた、ジオテキスタイル膜等その他の用途にも用いられてきた。PCVを屋根葺きおよびその他用途に用いる欠点は、有機液体に対して比較的透過性が高いことである。PVC膜の透過性を減じる方法は、膜に他の高バリアポリマー(例えば、ポリアミドおよびエチレンビニルアルコールコポリマー)を含めることである。
【0005】
1つの手法は、多層膜構造を作製することである。多層構造は、層の少なくとも1つとして、PVCを含む異なるポリマーの少なくとも2つの別個の連続相でできており、共押出し、押出しコーティング、ラミネーション等のプロセスにより作製される。この手法は、構造を構築するのに多数の押出し機、そして多くは多数の操作を必要とするため、コストが高くなる。
【0006】
他の方法は、異なるポリマーのメルトブレンドを調製することである。多くの場合、高バリアポリマーは、PVCと完全に相溶性または混和性でないため、不均一系のブレンドが得られる。不均一系ブレンドにおいて、ポリマーの一方が連続相を形成し、他方のポリマーがブレンド全体に分配された別個の領域または粒子を形成する(分散相)。PVCが連続相で、高バリアポリマーの量が少ない場合には、PCV相を透過する有機材料の経路が膜に存在していてもよい。従って、かかるブレンドは、適切なバリア性能を与えるためには、比較的大量の高バリアポリマーを必要とする。
【0007】
米国特許第5352735号明細書には、約220℃以下の温度のポリ塩化ビニルとポリアミド等のハロゲン化ポリマーのメルトブレンドが開示されており、ポリアミドは、メルトブレンドの温度以下の加工温度を有している。メルトブレンドはまた、PVCおよびポリアミドを互いに相溶するカルボキシルおよび/またはCO−官能化エチレンポリマーも組み込む。
【0008】
他の解決策としては、薄層成型物品の使用がある。薄層成型物品は、2つの非相溶性ポリマーと、ブロー成形またはブローンフィルム操作等により引延または伸張された任意の第3のポリマーとの溶融不均一系ブレンドから調製される。非相溶性ポリマーの1つは、連続マトリックス相を形成する。他の非相溶性ポリマーは、不連続分配相を形成し、そのポリマーは、連続相に埋め込まれた多数の薄い実質的に二次元の平行な重なり層として存在する。非相溶性ポリマーの層間の密着性を改善して、物品が、十分な耐層剥離性を有するようにするために、第3のポリマーは、相溶剤として含まれることが多い。薄層物品は、1つの押出し機を単一操作で用いて作製でき、コストおよび煩雑さの削減という点で、多層構造よりも大きな利点を潜在的に与える。薄層組成物はまた、同レベルのバリア性能を得るのに、通常のメルトブレンドよりも高バリアポリマーの使用が少なくて済む可能性がある。
【0009】
ポリオレフィンと、ポリアミド、ポリエステルまたはその他ポリマー等の1つ以上のポリマーとから作製される薄層成形物品は開示されている。例えば、米国特許第4416942号明細書、同第4444817号明細書、同第4971864号明細書、同第5085816号明細書、同第5330696号明細書、同第5399619号明細書、同第5443867号明細書、同第5641833号明細書および同第5700412号明細書を参照のこと。同じく、米国特許第5053258号明細書、同第5712043号明細書および同第6576181号明細書も参照のこと。
【0010】
ポリオレフィンと、ナイロン(ポリアミド)またはナイロン/ポリビニルアルコールブレンドとのブレンドから誘導された薄層物品は、車両の燃料タンクとして用いられており、タンクの壁を通る燃料における炭化水素および含酸素化合物の拡散を最小にするバリアを与える。米国特許第4410482号明細書には、ポリオレフィンと縮合ポリマーの薄層物品が記載されている。欧州特許第0015556号明細書には、ナイロンバリアを、ポリビニルアルコールまたはエチレン/ビニルアルコールコポリマーに換えた薄層物品が記載されている。
【0011】
米国特許第4950513号明細書には、約60〜約97重量%のポリオレフィンを、約2〜約39重量%のナイロンおよびポリビニルアルコール成分のメルトブレンドとブレンドし、約0.25〜約12重量%のアルキルカルボキシ置換ポリオレフィンを相溶剤として用いた、含酸素および炭化水素化合物に対してバリア特性の改善された薄層物品が記載されている。
【0012】
米国特許第5939158号明細書には、(a)ポリオレフィンと、(b)ナイロンおよびポリビニルアルコール成分と相溶剤のメルトブレンドと、(c)i)相溶剤として作用する2つの異なるアルキルカルボキシル置換ポリオレフィンの混合物、ii)少量のグラフト化無水マレイン酸部分を有する少量のアルキルカルボキシル置換ポリオレフィン、またはiii)高グラフトレベルのグラフト化無水マレイン酸部分を備えた高重量パーセントのアルキルカルボキシル置換ポリオレフィンのいずれかとの不均一系ブレンドが開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、不均一系ブレンドを含む、それから実質的になる、またはそれから製造された薄層成形物品を提供するものであり、ブレンドは、ハロゲン化ポリマー組成物、相溶剤およびポリアミドを含む、それらから実質的になる、またはそれらから製造され、ハロゲン化ポリマー組成物は、ハロゲン化ビニルおよび/またはハロゲン化ビニリデンポリマーを含み、場合によりエチレンコポリマーを含んでいてもよく、相溶剤は、官能化ポリオレフィンである。
【0014】
本発明はさらに、ハロゲン化ポリマー組成物、ハロゲン化ポリマー組成物と非相溶性のポリアミドおよび相溶剤を組み合わせて混合物を生成し、混合物を混合物中の最高融点の樹脂の融点より高く加熱して不均一系メルトブレンドを生成し、メルトブレンドを5倍まで少なくとも一方向に伸張して伸張体を生成し、伸張体を、混合物中の最低融点の樹脂の融点より低く冷却して物品を生成することを含む薄層成型物品を製造するのに用いることのできる方法を提供し、ハロゲン化ポリマー組成物、ポリアミドおよび相溶剤が、それぞれ前述のものであり、ハロゲン化ポリマー組成物は、連続相で物品中に存在していてもよく、ポリアミドは、不連続分配の薄い実質的に二次元の平行な重なり層の形態で物品中に存在していてもよい。
【0015】
薄層物品は、実質的に平面のフィルムまたはシートの形態にあってよい。薄層物品は、不均一系ブレンドに接合されたセルラー発泡体、織布、または不織布を含む基材をさらに含んでいてもよい。基材は、補強層として作用してもよい。
【0016】
あるいは、成形物品は、生成物を含有可能な中空部分を有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
別記しない限り、本明細書で用いる技術および科学用語は全て、本発明の属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有している。矛盾が生じた場合には、定義を含めた本明細書が優先される。
【0018】
別記しない限り、商標は大文字で示されている。
【0019】
本明細書に記載されたものと同様または等価の方法および材料を本発明の実施または試験に用いてよいが、好適な方法および材料は本明細書に記載されている。
【0020】
別記しない限り、パーセンテージ、部、比等は全て重量基準である。量、濃度またはその他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲、好ましい上限値と好ましい下限値のリストのいずれかで示されているとき、範囲が別個に開示されているかどうかに係らず、いずれの上限または好ましい値およびいずれの下限または好ましい値の任意の対から形成された全ての範囲を具体的に開示していると理解されるものとする。ある範囲の数値が本明細書に挙げられている場合には、別記しない限り、範囲には、その終点、範囲内の全ての整数および分数が含まれるものとする。本発明の範囲は、範囲を定義するときに示された具体的な値に限定されないものとする。
【0021】
本明細書で用いる「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「持つ」、「持っている」または任意のその他の変形は、非排他的な包含をカバーするものとする。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明示してリストされていない、またはかかるプロセス、方法、物品または装置に固有のその他要素を含んでいてもよい。
【0022】
「1つの」を用いて、本発明の要素および成分を説明しており、1つまたは少なくとも1つが含まれ、単数には、他の意味であることが明白でない限り、複数も含まれる。
【0023】
本明細書の材料、方法および実施例は、例示のためのみであり、別記される場合を除き、限定しようとするものではない。
【0024】
本明細書で用いる「混和性」、「混和可能性」および「混和性ブレンド」という用語の定義は、Olabisi Olagoki,Lloyd M.Robeson and Montgomery T.Shaw,Polymer−Polymer Miscibility, New York,Academic Press,1979に記載されてとおりに解釈されるものとする。一般的な定義として、2成分系の混和性ブレンドは、単相の不均一系を形成する。すなわち、第1のポリマー成分は、第2のポリマー成分においてある程度の溶解度を有する。混和性という用語は、理想的な分子混合を意味せず、単相材料に期待される巨視的な特性を得るのに分子混合のレベルが適切であることを示唆している。対照的に、2成分系の非混和性ブレンドまたは不均一系ブレンドは、2相系のままであり、2相の性質は、光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて明らかとすることができる。
【0025】
本明細書で用いる「混和性」という用語は、大幅な相分離なしで互いによく分散できる異なるポリマーのブレンドを指す。「相溶性」自体は、上述したとおり、ポリマーが混和性ブレンドを形成することを意味していない。「非混和性樹脂」は、溶融形態で実質的に相互に混和しないポリマー材料を意味する。各樹脂は単一ポリマーまたはポリマーの混合物であってよい。
【0026】
本明細書で用いる物品または組成物を参照する「薄層」という用語は、上にまとめた不均一系ブレンドを指し、ポリアミドは、不均一系ブレンドを引延または伸張した結果として、ハロゲン化ポリマー組成物の連続相に埋め込まれた多数の薄い実質的に二次元の平行な重なり層として存在していてよい。
【0027】
(メソ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸または両方を指す。(メソ)アクリレートは、アクリレート、メタクリレートまたは両方を指す。
【0028】
ハロゲン化ポリマー組成物は、ハロゲン化ビニルポリマーおよび/またはハロゲン化ビニリデンポリマーを含むことができ、エチレンコポリマーを場合により含んでいてもよく、これは、エチレンの共重合単位、C3−C12エチレン性不飽和モノカルボン酸およびその塩、エチレン性不飽和C3−C12モノカルボン酸のC1−C18アルキルエステル、C3−C18飽和カルボン酸のビニルエステル、一酸化炭素およびこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるコモノマーの共重合単位を含む。
【0029】
官能化ポリオレフィンは、無水マレイン酸、マレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、無水イタコン酸、イタコン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、フマル酸ジエステル、フマル酸モノエステルまたはこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるコモノマーで官能化することができる。官能化ポリオレフィンは、相溶剤とすることができる。
【0030】
薄層構造において、ハロゲン化ポリマーは、連続相を形成してよく、ポリアミドは、連続相に埋め込まれた多数の薄い実質的に二次元の平行な重なり層として存在してよく、第3のポリマーは、連続相と層との間に存在してよく、連続相と層を一緒に密着させている。
【0031】
膜は、優れたバリア特性(炭化水素およびガス)を示し、可撓性であってよい。ハロゲン化ポリマーおよびポリアミドの他のブレンドとは異なり、薄層構造は、意外にも、匹敵するバリア特性を得るのに必要とするバリア材料がはるかに少ない。ハロゲン化ポリマー膜に用いるバリア材料が少ないと、材料コストが低く、より可撓性の膜が得られ、現場設置が容易になる。ハロゲン化ポリマーおよびポリアミドの共押出し多層構造を用いてよいが、それらは、作製するのに、より高価な加工機器を必要とする。本明細書に記載した薄層物品は、単層押出し機器しか持たず、より高いバリアハロゲン化ポリマー構造を求める人にとって最適である。
【0032】
ハロゲン化ポリマーは、薄層構造の形成を促進するために、ポリアミド樹脂より低い融点範囲を有するのが望ましい。少なくとも5℃の融点差が望ましく、好ましくは、少なくとも20または30℃である。
【0033】
PVCは、最も広く利用されているハロゲン化ポリマーである。PVCは、塩化ビニルまたはそのコポリマーと、ホモポリマーの本質的な特性を変えない少量、例えば、20重量%までの酢酸ビニルまたはエチレン等の他の共重合可能なモノマーとのホモポリマーであってよい。PVCは、約80℃のガラス転移温度(Tg)を有することができ、180〜200℃の温度で自身により溶融加工することができる。
【0034】
ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂は、塩化ビニリデンから誘導される繰り返し単位から実質的になるホモポリマー、または65〜95重量%の塩化ビニリデンと、任意で、約5〜約35重量%の塩化ビニル、アクリロニトリル、α,β−不飽和カルボキシレートエステル、α−,β−エチレン性不飽和カルボン酸またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む少なくとも1つのコモノマーとから誘導された繰り返し単位を含むコポリマーであってよい。PVDC樹脂としては、塩化ビニリデンと塩化ビニル、塩化ビニリデンとメチルアクリレートのコポリマーまたはこれらの組み合わせが例示される。好適なPVDCポリマーおよびコポリマーは、例えば、Dow ChemicalよりSARANという商品名で商業的に入手することができる。
【0035】
ハロゲン化ポリマーは、ハロゲン化ポリマーを相当程度または検出できるほど分解することなく、薄層構造を形成するにはそれでも十分な時間である、限定された時間について、高い溶融加工温度に耐えられる。PVDCは、PVCより高い溶融加工温度を有しているが、やや熱安定性が低い。
【0036】
ハロゲン化ポリマー組成物は、ハロゲン化ポリマーと相溶性のある、好ましくは、混和性のある追加のエチレンコポリマーを含有していてよい。エチレンコポリマーが存在するときは、カルボキシルおよび/または一酸化炭素部分を含有しており、エチレンコポリマーのカルボキシルまたは一酸化炭素が、ポリアミドと相互作用することによって、非相溶性ポリアミド層とハロゲン化ポリマー間の密着性の改善に役立つ。カルボキシル(COO−)および一酸化炭素部分は、ポリアミドと共有結合および水素結合していてもよい。エチレンコポリマーはまた、溶融物の存在により、溶融加工を促進することもでき、ハロゲン化ポリマーをあまり分解することなく、ハロゲン化ポリマー内にポリアミドを分散する能力が改善される。メルトブレンドの溶融粘度を減じることにより、他のポリマー成分の混合も補助することができる。好ましくは、追加のエチレンコポリマーは、カルボキシルと一酸化炭素基の両方を含有する。
【0037】
カルボキシル含有エチレンコポリマーは、1つ以上のカルボキシル部分に、ポリオレフィン骨格自体か、側鎖のいずれかに付加されている。ポリマーは、エチレンと、エチレン性不飽和カルボン酸、エステル、塩、エステルまたはこれらの2つ以上の組み合わせのコポリマーであってよい。カルボキシル含有エチレンコポリマーは、少なくとも約75モル%のエチレンと、約0.2〜約25モル%のカルボキシル成分でできていてよい。
【0038】
カルボキシル含有エチレンポリマーの例を挙げると、エチレンと、C3−C12α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和C3−C12モノカルボン酸のC1−C18アルキルエステル、C2−C18飽和カルボン酸のビニルエステルおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーがある。具体例としては、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/アクリル酸ジポリマー、エチレン/メタクリル酸ジポリマー、エチレン/アルキルアクリレート/アクリル酸ターポリマーおよびエチレン/アルキルメタクリレート/メタクリル酸ターポリマーが挙げられ、アルキル基は1〜8個、または1〜4個の炭素原子を含有するものである。かかるエチレンコポリマーとしては、エチレンとメチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレートおよび/またはアクリル酸およびメタクリル酸のコポリマーが挙げられる。これらのポリマーについて、コポリマー合計100重量%に対して、エチレンの量は、約30〜60重量%であってよく、カルボキシル官能基は約40〜70重量%である。
【0039】
エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーとしては、EVAジポリマー、EVAターポリマーおよび高位コポリマーが挙げられる。「EVAジポリマー」は、エチレンと酢酸ビニルの共重合単位のみから実質的になるコポリマーを表わす。「EVAターポリマー」は、エチレン、酢酸ビニルおよび一酸化炭素等の追加のコモノマーの共重合により調製されたコポリマーを表わす。共重合酢酸ビニル単位は、約5〜約35重量%、または約8〜約20重量%のEVAコポリマーであってよい。EVAコポリマーとしては、E.I.du Pont de Nemours and Company(DuPont),Wilmington,DEよりELVAXとして入手可能なものが挙げられる。
【0040】
エチレンアルキルアクリレートコポリマーまたはエチレンアルキルメタクリレートコポリマーは、エチレンとアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの共重合単位をそれぞれ含む。好ましくは、アルキル基は、1〜6個の炭素原子、より好ましくは、1〜4個の炭素原子を含有する。メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートが好ましいコモノマーである。これらのコポリマーに存在するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートコモノマーの共重合単位の量は、数重量%〜40重量%と高いコポリマー、またはこれ以上、例えば、約5〜約35重量%、または約8〜約20重量%のエチレンアルキル(メソ)アクリレートコポリマーと広く異なってよい。エチレンアルキルアクリレートコポリマーとしては、DuPontよりELVALOY ACとして入手可能なものが挙げられる。
【0041】
エチレン酸コポリマーは、E/X/Yコポリマーと表わすことができ、式中、Eはエチレンの共重合単位を表わし、XはC3-8α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位を表わし、Yはアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート(アルキル基は1〜8個の炭素原子を有する)および酢酸ビニルから選択される軟化コモノマーの共重合単位を表わす。「軟化」とは、ポリマーがあまり結晶とならないことを意味する。
【0042】
Xはポリマーの2〜30(または5〜25、または8〜20)重量%で存在してよく、Yはポリマーの0〜45重量%で存在してよい。Yがコポリマー(すなわち、E/Xジポリマー)の0%であるコポリマー、限定するものではないが、エチレン/アクリル酸およびエチレン/メタクリル酸ジポリマーに注目すべきである。同じく、Xがポリマーの2〜20(または5〜25、または8〜20)重量%で存在し、Yがポリマーの約1〜約45(例えば、1、3、または好ましくは10の下限から25、30または45の上限まで)重量%で存在するE/X/Yターポリマーにも注目すべきである。
【0043】
エチレン酸コポリマーを調製する方法は、米国特許第5028674号明細書等から周知である。エチレンおよび不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸(エチレン酸コポリマー)のコポリマーは、DuPontよりNUCRELという商品名で入手可能である。
【0044】
イオノマー樹脂(イオノマー)は、塩基で中和されて、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたはナトリウムや亜鉛等の遷移金属イオンを含む塩を形成するコポリマー中の酸性基部分をいくつか有する上述したエチレン酸コポリマーである。それらは、米国特許第3264272号明細書に記載されているように、当業者に周知された方法により酸コポリマーから調製することができる。イオノマーは、DuPontよりSURLYNという商品名で入手可能である。
【0045】
エチレンコポリマーは、少量の酢酸、(メソ)アクリレートまたはアクリル酸コポリマーを用いることができ、ポリアミドとの水素結合を可能とする一酸化炭素を含有していてもよい。これらのコポリマーについて、エチレンコポリマー合計100重量%に対して、エチレンは約50〜70重量%、酸、(メソ)アクリレートまたは酢酸は約24〜40重量%、一酸化炭素は約5〜15重量%であってよい。好ましいのは、エチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素コポリマー(EVACO)である。アルキル基が1〜8個、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有するエチレン/アルキルアクリレート/一酸化炭素コポリマーまたはエチレン/アルキルメタクリレート/一酸化炭素コポリマーもまた好ましく、エチレン/n−ブチルアクリレート/一酸化炭素コポリマー(EBACO)が挙げられる。これらのポリマーは、DuPontよりELVALOYという商品名で入手可能である。
【0046】
ハロゲン化ポリマー組成物は、約5〜約40重量%、または約20〜約40重量%のエチレンコポリマーを場合により含んでいてもよい。
【0047】
不均一系ブレンドはまた、相溶剤も含んでいてよい。組成物に組み込まれる相溶剤の量は、層剥離しない薄層構造を与えるために、ハロゲン化ポリマーおよびポリアミドを互いに相溶するのに有効な任意の量であってよい。
【0048】
相溶効果は、ハロゲン化ポリマーと、溶融物の、すなわちそれから作製された物品のポリアミド相間の、実質的にボイドフリーの密着により、そして、ハロゲン化物または個々のポリアミド成分のいずれかより大きい靭性により現れる。
【0049】
相溶剤は、メルトブレンドプロセスにおいて、ハロゲン化ポリマーと極めて相溶性または混和性であるのが好ましく、拡大すると、組成物(冷却時)は、目視される相は、ハロゲン化ポリマー相とポリアミド相の2相だけである。ハロゲン化ポリマーとの相溶剤の混和性によって、マトリックス相または連続相としてハロゲン化ポリマーを促進する傾向がある。
【0050】
相溶剤は、無水マレイン酸、マレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、無水イタコン酸、イタコン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、フマル酸ジエステル、フマル酸モノエステルおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるコモノマーで官能化されたポリオレフィンであってよい。
【0051】
相溶剤として用いられるコポリマーは、直接共重合またはグラフト化により生成することができる。「直接」またはランダムコポリマーにおいて、共重合モノマーは、ポリマー骨格または鎖の一部である。対照的に、グラフトコポリマーにおいては、コモノマーは、存在するポリマー鎖の末端でない繰り返し単位に、多くは、後の遊離基反応により、付加する。
【0052】
好適な相溶剤は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびn−ブチルアルコール等のC1〜C4アルコールのエステルをはじめとする、無水マレイン酸、マレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、無水イタコン酸、イタコン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、フマル酸ジエステル、フマル酸モノエステルまたはこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される官能化コモノマーで直接共重合されたエチレンを含む。官能化コモノマーは、好ましくは、無水マレイン酸、またはマレイン酸のモノエステルおよび/またはジエステル、より好ましくは、無水マレイン酸またはマレイン酸のモノエステル、例えば、マレイン酸水素エチルである。コモノマーの量は、コポリマーの約3〜約15重量%であってよい。コポリマーはまた、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレートおよびメチルアクリレートからなる群から選択される第3のコモノマーを含んでいてもよい。これらの相溶性コポリマーは、例えば、米国特許第4351931号明細書に記載された高圧遊離基重合プロセスによりモノマーから直接得ることができる。
【0053】
グラフト化の一例は、カルボン酸または誘導体を含有するα−オレフィンをポリオレフィン骨格に付加することである。グラフト化において、ポリオレフィンは、不飽和カルボン酸、無水物、エステルまたはこれらの2つ以上の組み合わせ、例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸水素エチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、酸の1つ以上のモノエステル、ドデセニル無水コハク酸、5ノルボルネン−2,3−無水物、ナド酸無水物またはこれらの2つ以上の組み合わせと反応させてよい。ポリオレフィンは、追加のコポリマーとして上に開示したものと同じでよい。グラフト化は、例えば、米国特許第4026967号明細書および米国特許第3953655号明細書に開示されたとおり周知されている。
【0054】
相溶剤は、無水物官能基等の反応性官能基を含むポリマー組成物であってよい。すなわち、それは、カルボン酸無水物基を含有する。無水物は、ポリアミド相に良好に結合する。これは、無水物基とポリアミド間の化学反応の結果と考えられる。
【0055】
無水物の変性は、通常の手段によりコポリマー(マレイン化コポリマー)に懸垂無水コハク酸基を形成するための、予め形成されたコポリマーと、マレイン酸または無水マレイン酸間のグラフト化反応により行うことができる。例えば、無水物変性の量は、コポリマーの重量を基準として、約0.1〜約3重量%であってよい。注目すべきは、無水マレイン酸と、LLDPE(鎖状低密度ポリエチレン)等のポリエチレンのグラフトコポリマー、無水マレイン酸と、エチレンコポリマーのグラフトコポリマー、または無水マレイ酸とポリプロピレンのグラフトコポリマーである。無水マレイン酸−グラフトポリマーにはまた、マレイン化スチレン−エチレン−ブテン−スチレントリブロックコポリマーおよびマレイン化ポリブタジエンも含まれる。グラフトコポリマーは、DuPontよりBYNELまたはFUSABONDという商品名で入手可能である。
【0056】
好ましいエチレンポリマーは、無水コハク酸で変性された(または無水マレイン酸でグラフト化された)エチレン/アルキルアクリレート/COターポリマーであり、アルキル基は1〜8個、または1〜4個の炭素原子を有し、アルキルアクリレートは、好ましくは、n−ブチルアクリレートである。
【0057】
ポリアミドは、水分、炭化水素またはこれらの組み合わせに対するバリアとして作用するその能力で選択してよい。単一ポリマーまたはポリマーの組み合わせを用いてよい。ポリアミドは、米国特許第5770654号明細書に記載されたような任意のアモルファスまたは結晶ポリアミドであってよい。ポリアミドは周知であり、周知の条件下で作製することができる。AB型ポリアミドと呼ばれるラクタムまたはアミノ酸等の単一反応物質からのポリアミドは、Nylon Plastics(Melvin L. Kohan編,1973,John Wiley and Sons,Inc.)に開示されており、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12またはこれらの2つ以上の組み合わせを挙げることができる。2つ以上のラクタムまたはアミノ酸から調製されたポリアミドとしては、ナイロン6、12を挙げることができる。
【0058】
ポリアミドはまた、カルボン酸(または誘導体)を第1級アミンと反応させることによっても作製することができる。ポリアミド調製に用いるカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸等が例示される。第1級アミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン等が例示される。ポリアミドとしては、カプロラクタム等のラクタムから、そして11−アミノウンデカン酸等のアミノ酸から得られるポリペンタメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリアミドが例示される。ポリヘキサメチレンアジパミドおよびポリカプロアミドが好ましい。
【0059】
よく用いられるポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,12、ナイロン10,10、ナイロン6,10/6Tおよびナイロン6,12/6Tまたはこれらの2つ以上の組み合わせ、特に、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン10,10、ナイロン6,10/6Tおよびナイロン6,12/6Tまたはこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0060】
好ましくは、ポリアミドは、約270℃の温度未満で溶融加工可能で、少なくとも5000の数平均分子量を有する。ポリアミドは、より好ましくは、約220℃未満の温度で溶融加工可能である。あるポリアミドは、約200℃未満の温度で溶融加工可能である。ポリアミドの溶融加工温度は、ポリアミドの粘度が、単一の実質的にボイドフリーの塊へと変形および圧密できるだけ十分に低い温度である。特定の溶融粘度はないが、こうした結果が得られて、組成物の溶融加工が実施できる溶融粘度範囲である。結晶ポリアミドの場合には、この粘度は、融点を超える溶融加工温度により得られる(ポリアミドの示差走査熱量測定(DSC)により決まる)。結晶ポリアミド相も含有している可能性のあるアモルファスポリアミドの場合には、この粘度は、ポリアミドが、メルトブレンドするのに望ましい粘度を与えるだけ十分に軟化するポリアミドのTgより高い温度で得られる。用いるポリアミドの比較的低溶融加工温度により、ハロゲン化ポリマーおよびポリアミドを、ハロゲン化ポリマーを分解することなく、溶融加工することができる。255℃で溶融するポリヘキサメチレンジアミン(ナイロン6,6)は、融点が硬いためあまり好ましくない場合がある。十分に低い溶融加工温度を有するポリアミドとしては、融点が184℃のポリドデカメチレンドデカンアミド(ナイロン12,12)、融点が約215℃のポリカプロラクタム(ナイロン6)およびアジピンおよびイソフタル酸等の二酸の混合物をヘキサメチレンジアミンと共重合(縮重合)することにより調製されたアモルファスポリアミドが例示される。ナイロン6,12(ポリヘキサメチレンドデカンアミド)のTgは約46℃、融点は約142〜約224℃、例えば、約211℃である。ナイロン6,12/6Tの融点は約185℃、ナイロン11の融点は約189℃、ナイロン12の融点は約178℃である。
【0061】
ポリアミドとしては、DuPontよりPIPELONとして入手可能なものが挙げられる。
【0062】
ハロゲン化ポリマー組成物は、不均一系ブレンドに、約40〜55、60または70の下限から、約90または95重量%のいずれの上限の範囲で存在していてよい。ポリアミド樹脂は、不均一系ブレンドに、ブレンドの約5または10のいずれの下限から約30、40または45重量%のいずれの上限、例えば、約5重量%〜約25重量%または5重量%〜約15重量%の範囲で存在していてよい。相溶剤は、ブレンドに、約1、3、4、5、6または10重量%のいずれの下限から約10、20または40重量%のいずれの上限まで、例えば、約4〜約20重量%または6〜10重量%存在していてよい。全て、ブレンド重量基準である。
【0063】
ハロゲン化ポリマー組成物は、ハロゲン化ポリマー以外の成分を含んでいてもよい。例えば、ハロゲン化ポリマー組成物は、ハロゲン化ポリマーおよび添加剤の組み合わせを基準として、後述する1つ以上の添加剤を0.0001〜約20または25重量%含んでいてよい。
【0064】
ハロゲン化ポリマー組成物の一例としては、ハロゲン化ポリマー、追加のポリマーおよび添加剤の組み合わせを基準として、約40〜約70、または45〜65重量%のPVC、20〜60、または30〜60、または35〜55、または20〜40重量%のエチレンコポリマー、例えば、エチレン/アルキルアクリレートコポリマーまたはエチレン/アルキルアクリレート/COターポリマーまたはエチレン/酢酸ビニル/COターポリマーおよび約20重量%までの後述する1つ以上の添加剤の混合物が挙げられる。例えば、エチレンおよびPVCは、ハロゲン化ポリマー組成物中、添加剤を数に入れずに、約50/50とすることができる。混合物は、ポリアミドおよび相溶剤で加工する前に、個々の成分のドライブレンドとして調製してもよい。
【0065】
個々の成分またはブレンドはそれぞれ、約0.001〜約10または20重量%の当該技術分野において公知の1つ以上の添加剤、例えば、1つ以上の可塑剤、例えば、ジイソデシルフタレート、加工助剤、離型助剤、流動促進助剤、油、例えば、エポキシ化大豆油、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、衝撃改質剤、結晶化度を増大するための核形成剤、ブロッキング防止剤、例えば、シリカ、熱安定剤、紫外線(UV)吸収剤、UV安定剤、例えば、TINUVIN622、酸化防止剤、例えば、IRGANOX1076、TiO2、フィラー、例えば、炭酸カルシウム、分散剤、界面活性剤、キレート化剤、殺生物剤、接着剤、プライマー、帯電防止剤、スリップ剤等を含んでいてよい。安定剤は、膜材料をエージングから、中に含まれる生成物を、例えば、有害なUV光による分解から保護することができる。
【0066】
薄層物品は、米国特許第4410482号明細書に記載されたプロセスにより実質的に調製してよい。薄層物品は、ハロゲン化ポリマードライブレンドの粒子、ポリアミドの粒子および相溶剤の粒子を一緒に混合し、混合物を加熱して、材料の不均一系溶融物を得て、溶融物が引延されると、ハロゲン化ポリマーの連続領域内にポリアミドの多数の細長い不連続ポリマー領域が得られるように、溶融物を形成することにより作製することができる。「溶融物の引延」という用語は、ある体積の溶融物が、溶融物をローラによりスクイーズする、プラテン間でプレスする、ダイリップ間で引延する、またはブロー成形またはブローンフィルム押出し中の膨張時に生じるであろう、引延等、その表面積を大幅に増大する手段により成形されることを意味する。
【0067】
非溶融形態の成分のポリマー粒子(またはその他形態)を完全に混合して、粒子の統計的に均一な分配を与えることができる。ドライミックスを、単軸押出し機に、例えば、加熱の際に、ハロゲン化ポリマードライブレンドおよび相溶剤溶融物をまず供給することができる。ブレンドの融点は、ポリアミドバリア樹脂の融点より低い。ポリアミドの粒子自体が軟化して、伸長し、板または層を形成することができる。板または相が形成されたら、大幅なさらなる混合を避けるよう注意を払うのが望ましい。ブレンドはまた、溶融ハロゲン化ポリマーを、ポリアミドおよび相溶剤の固体粒子と混合してから、混合物を加熱することによって得ることもできる。これがうまくいくかは、引延時、例えば、押出しにより、ハロゲン化ポリマー(例えば、PVC)が、連続マトリックス相の形態にあり、ポリアミドが不連続分配相にある物品を与える溶融不均一系ブレンドのポリマーが得られるかによる。不連続相を含むポリアミドは、連続相に埋め込まれた多数の薄い平行な重なり層として存在する。
【0068】
ハロゲン化ポリマードライブレンド、相溶剤およびポリアミドの全てを粒子として混合するのが好ましい。粒子は、非相溶性ポリマーの溶融ブレンドが、ある溶融引延手段(例えば、押出しダイリップ)に導入されると、多数の薄い平行な重なり層を形成するのに必要な不均一性を示すようなサイズであればよい。ポリアミドの粒子等の粒子のサイズが小さすぎると、メルトブレンドは、過剰に混合されていなくても、不連続ポリアミド相を形成する材料の領域が小さすぎるため、均一組成として機能する傾向があり得る。ポリアミドの粒子等の粒子のサイズが大きすぎると、メルトブレンドは、薄層構造よりも大理石構造を有する成形物品へと形成される傾向があり得る。かかる場合、不連続相を形成する材料の大きな領域は、成形物品の反対の境界まで延びて、連続相を形成するハロゲン化ポリマーの途絶となる。片側が約1〜7mmまたは約2〜4mmの粒子が好適である。粒子は、好ましくは、立方体または円柱形等、ほぼ規則的な形状であるのが好ましい。しかしながら、粒子は不規則であってもよく、それらは、例えば、材料の薄片を用いるような場合等は、他の次元より実質的に大きな1つまたは2つの寸法を有していてもよい。変換プロセス中、ペレット形態のハロゲン化ポリマードライブレンドを加工するのは容易であろう。ハロゲン化ポリマードライブレンドを、ポリアミドおよび相溶剤と混合する前に、溶融コンパウンディングにより、立方体または円柱形へと変換するのが望ましいであろう。PVC等のハロゲン化ポリマーを再生するときは、ポリマーが誘導される容器の厚さを有し、容器の粉砕から得られる約6〜9mmの大きさのチップの形態であってよい。ポリアミドおよび相溶剤は、顆粒またはペレットの形態にあってよい。
【0069】
各不溶性ポリマーが個々の粒子として存在するときは、粒子は、必要とされるものではないが、好ましくは、ほぼ同じサイズであるとよい。相溶剤は、個々の粒子としてそれ自体で提供してもよいし、またはハロゲン化ポリマーまたはポリアミドと混合、それらにコートまたはその他組み合わせてもよい。相溶剤は、薄層物品を作製する前に、ポリアミドと直接メルトブレンドしないのが好ましい。というのは、相溶剤は、ゲル化、または、ブレンドすると、ポリアミドと架橋する恐れがあるためである。相溶剤を最終ブレンドに確実に良好に分配するには、相溶剤は、ペレット化形態よりも粉末で供給するのが望ましいことがある。
【0070】
不連続相中の材料の厚さは、成形工程における引延の程度と組み合わせた粒子サイズの関数となり得る。不連続相であってよいメルトブレンドの粒子サイズは、引延後に、約0.01〜約60μm、あるいはこれよりやや厚くてよい重なり層を得ることを目的として選択することができる。不連続相中のポリアミドの粒子サイズは、約0.01、0.1または0.5のいずれの下限から約50、100または200μmのいずれの上限であってよい。
【0071】
ポリマー粒子のドライ混合は、V−ブレンダーまたはタンブルミキサー、あるいは大規模では、ダブルコーンブレンダー等の任意の周知の手段により実施することができる。粒子の連続混合は、重量式フィーダーをはじめとする任意のいくつかある周知の方法により行うことができる。粒子はまた、材料のある質量で、混合物の任意の2つの統計的サンプリングによって実質的に同じ組成が得られる限りにおいては、手動で混合してもよい。非相溶性ポリマーの混合はまた、高融点ポリアミドの粒子を、高い方の融点より低い温度に維持して、低融点のハロゲン化ポリマーの溶融物に添加することによって行うこともできる。その場合、溶融物を攪拌して、適正な混合物を得る。すると、混合物の最終加熱工程のための準備が整う。
【0072】
混合されたら、非相溶性ポリマーは、高融点ポリアミドの融点範囲より高い温度まで最終的に加熱される。加熱によって、材料の溶融した不均一系ブレンドが得られ、プロセスの伸張工程の準備が整う。加熱は、非相溶性ポリマーが実質的にさらに混合されないように行う。かかる混合によって、均一化が生じ、実質的に均一な層状でない構造の溶融物および成形物品となる可能性があるためである。加熱は、任意のいくつかある周知の手段により行ってよく、通常、押出し機で行われる。材料混合よりも材料輸送用に設計されたタイプの単軸押出し機は、溶融2相ポリマー組成物を均一化することなく、加熱工程およびこのプロセスの成形工程に材料を輸送するのに用いることができる。ポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニリデンに通常用いられる種類の低剪断および低混合押出し機を、それらが、成分の混合を最小にしながら、材料の溶融および輸送をするように用いられるのであれば、それらを用いて、物品を作製してよい。ポリアミドおよびポリエチレンに通常用いられる種類の高剪断および高混合押出し機は、通常、用いない。
【0073】
成形工程には、溶融ブレンドの引延の後冷却が含まれる。溶融引延は、任意のいくつかある手段により行うことができる。例えば、溶融物は、ローラ間でスクイーズする、プラテン間でプレスする、ダイリップ間で押出す、またはテークオフ(ローラ)速度を変えることにより引延することができる。ブロー成形等の成形プロセスによっても、このプロセスによる引延がなされる。容器等の成形物品の製造において、引延は、不均一系溶融物のブレンドを押出して、容器プレフォームまたはパリソンを得た後パリソンを最終容器へとブロー成形することの組み合わせにより行うことができる。
【0074】
薄層組成物の成形物品はまた、熱成形プロセスによって作製してもよい。熱成形物品は、材料形状のシートが、トレイ、カップ、缶、バケツ、タブ、ボックスまたはボウル等の凹面を形成するような形状を有していてよい。ハロゲン化ポリマー、ポリアミドおよび相溶剤の不均一系ブレンドの平シートを、例えば、黒体放射体により、シートの上下から加熱し、その間に、シートの表面温度を、その成形温度へと上げてもよい。加熱サイクルの終わりに、シートをすぐに、未加熱の、任意で冷却したキャビティモールドへ配置し、モールド周囲にクランプする。モールド内を短時間真空にして、シートをモールドへと引く。冷却期間後、熱成形物品をモールドから取り出す。あるいは、プラグによって、軟化したシートをキャビティモールドへ押してもよい。いずれの方法によっても、シートが、シートが元々有していたよりも薄い断面および広い表面積を有する形状へと伸張または延伸された物品が得られる。伸張によって、薄層組成物が得られる。
【0075】
特定の形状を有する輪郭は、熱可塑性溶融物をダイのオリフィスを通して押出すことにより始まり、所望の形状を維持できる押出し物を形成することによる溶融押出しプロセスによって製造される。溶融物は、少なくとも1層が、ハロゲン化ポリマー、ポリアミドおよび相溶剤の不均一系ブレンドを含む単層または多層フローであってよい。押出し物を、所望の形状を維持しながら、その最終寸法へと延伸してから、空気中または水浴中で冷却し、形状を硬化することによって、輪郭を生成する。延伸操作によって、溶融物が引延され、薄層組成物が得られる。輪郭の一般的な形状はチューブまたはワイヤおよびケーブルラップである。
【0076】
引延または溶融成形は、単一方向または垂直方向であってよい。成形が、一方向または二方向で行うかに係らず、少なくとも一方向において、約10〜500またはさらに1000%以上の伸びでなければならず、約100〜約300%の伸びが好ましい。溶融物の過剰な引延が物品の脆弱化または破裂に結び付く限りは、過剰な引延は避けるのが重要である。
【0077】
溶融引延または成形に続いて、ハロゲン化ポリマーの融点より低く冷却して、成形物品を固化する。冷却は、任意の所望の手段および任意の適当な速度で実施してよい。ブロー成形による伸張の場合には、モールドを冷却して、物品を冷やすことが多く、フィルムを押出す場合には、冷却は、冷気に晒す、または冷却ロールと接触させることにより行ってよい。
【0078】
溶融物の引延により薄層物品を形成する実際の工程において、溶融物の温度は、高融点ポリアミドの融点より約5〜10℃高いのが好ましい。高温だと、非相溶性ポリマーの溶融粘度が下がって、均一化が促される恐れがあるが、これは避けるべきである。
【0079】
本明細書に記載された溶融不均一系ポリマーブレンドの引延により作製された薄層物品は、ポリアミドの溶融粘度が、ハロゲン化ポリマーの溶融粘度よりやや大きい場合、概して、良好な特性を有する。粘度は両者共、成形がなされる温度付近で測定される。ポリアミドの溶融粘度は、ハロゲン化ポリマーの溶融粘度より1.1〜3.5倍大きい場合がある。
【0080】
薄層ブレンド組成物を含むフィルム、シートおよびコート物品は、当業者に公知の、実質的にいかなる熱可塑材形成方法によっても作製することができる。このように、フィルムおよびフィルム構造は、典型的に、様々な方法(例えば、フィルムブローン、機械的伸張等)による配向または伸張(単軸か二軸のいずれか)を含む鋳造、押出し、コート等される。
【0081】
多層構造は、薄層組成物および追加の樹脂を与える不均一系ブレンドの共押出しにより作製してもよい。追加の樹脂はまた、押出しコーティングにより、薄層組成物のシートまたはフィルムへ適用してもよい。
【0082】
薄層組成物は、セルラー発泡体、織布、不織布またはファイバーガラスを含む基材に接続されてもよい。布としては、不織布ポリプロピレン、不織布ポリエチレン、不織布ポリエチレンテレフタレート、織布ポリエチレンテレフタレート、織布ポリプロピレン、織布ポリエチレン、スパンボンドポリプロピレンまたはスパンボンドポリエステルが挙げられる。布基材は、薄層組成物を補強することができる。薄層組成物は、基材に直接接合していてよい。
【0083】
熱可塑性材料の追加の層も含めて、薄層組成物を含む多層構造としてもよい。例えば、薄層組成物は、押出しラミネーションプロセスを用いて、介在接着層を用いて基材に接合してよく、接着組成物は、薄層組成物と基材の間に、溶融ポリマーのカーテンとして適用される。ラミネーション装置は、基材の巻かれたシートと、薄層組成物の巻かれたシートをそれぞれ含む一対のマスターロールを含んでいてよい。薄層組成物シートは、ガイドローラに通されてから、ニップローラとチルローラ間に形成されたラミネーションニップシーケンスへと進む。一方、接着組成物は、薄層組成物シートと基材間で、押出し機から液体状態で押出される。基材として、溶融接着組成物および薄層組成物シートは、ニップローラとチルローラ間を通過する際、それらは一緒にラミネートされる。
【0084】
薄層物品のバリア特性は、揮発性成分を、それから作製された膜を透過するのを防ぐのに有用である。例えば、膜は、脂肪族炭化水素などの様々な有機液体、例えば、ガソリン、ヘプタン等、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン等、ハロゲン化炭化水素、例えば、トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン等、塗料用シンナー、溶剤、例えば、アセトン、エタノール等およびこれらの有機液体の蒸気に対して優れた耐透過性を与えることができる。
【0085】
フィルムまたはシート形態のバリア可撓性PVC膜は、屋根葺き膜、池ライナ、貯水池ライナまたは高炭化水素バリア特性が要求される任意のその他種類のジオメンブレンに用いることができる。
【0086】
屋根葺き膜は、上層としての薄層組成物、内側補強層としての布基材および他の熱可塑性組成物を含む下層を有していてよい。本明細書で用いる「上層」とは、ルーフデッキから最も遠くに適用される屋根葺き膜の層を指し、「下層」とは、ルーフデッキから最も近くに適用される膜の層を指す。
【0087】
上述した屋根葺き膜は可撓性であり、屋根支持構造へ単に巻き戻して、容易に設置できるロールへと形成することができる。
【0088】
薄層組成物から作製できる物品としては、バイアル、キャップ、シリンジ、容器、燃料タンク、トレイ、チューブ、フィラメント、パイプまたはこれらの2つ以上の組み合わせも挙げられる。
【0089】
容器およびトレイの中には、薄層組成物のシートの熱成形により作製することができものがある。上述した熱成形物品は、様々な消費財を包装するための容器として用いられることが多い。玩具、パネル、家具および自動車部品等の他の物品も同様に作製してもよい。
【0090】
バイアル、容器およびシリンジは、例えば、ブロー成形により作製してよい。バイアルおよび容器は、例えば、限定されるものではないが、0.1ml〜1000ml以上の範囲の充填容積で、任意のサイズとしてよい。シリンジおよびキャップは、射出成形により作製してよい。チューブは、上述したとおり、異形押出しにより作製してよい。液体および蒸気の包装および輸送のためのチューブ組立体は周知であり、チューブは、流体および添加剤とほぼ常に接触していてよい。チューブは、消耗流体、例えば、飲料の包装、貯蔵および輸送、医療用途、例えば、静脈内治療の溶液の包装、貯蔵および輸送に用いることができる。
【0091】
これらの物品は、薄層組成物のみを含む単層、または他の熱可塑性樹脂の少なくとも1つの追加の層を含む多層であってよい。
【0092】
薄層成形物品の特性、例えば、それらのバリア特性は、後成形アニール、例えば、物品を、最低融点より低い温度、例えば、約60〜約120℃まで、約1〜36時間にわたって加熱することにより修正することができる。
【実施例】
【0093】
用いた材料
PVC−1:Pliant(Shaumberg,IL)よりCBIXという商品名で入手可能な可撓性(可塑化)PVCドライブレンド粉末
PVC−2:Condea Vista CompanyよりVISTA5415として入手可能な固有粘度1.02のPVC
EBACO−1:DuPontよりELVALOY HP661で入手可能な、融点が62℃、MIが12g/10分のエチレン/n−ブチルアクリレート/一酸化炭素コポリマー
EVACO−1:DuPontよりELVALOY741として入手可能な、融点が66℃のエチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素コポリマー
N−6,12/6T:DuPontよりPIPELON310054という商品名の、融点が約185℃のポリアミドコポリマー(ナイロン6,12/6T)
Comp−1:相溶剤として用いる、DuPontよりFUSABOND423Dという商品名で入手可能な無水マレイン酸約1重量%でグラフト変性されたエチレン/ブチルアクリレート/COコポリマー
DIDP:ジイソデシルフタレート
Stab−1:Witco CompanyよりMark4737として入手可能なBa/Zn安定剤
Oil−1:Witco CompanyよりDRAPEX6.8として入手可能なエポキシ化大豆油
TiO2:DuPontよりTI−PURE R−960として市販
CaCO3:ATOMITE白亜として市販されているフィラー
RA−1:ステアリン酸離型助剤
AO−1:Ciba−GeigyよりIRGANOX1076として入手可能な酸化防止剤
UVS−1:Ciba−GeigyよりTINUVIN622として入手可能なUV安定剤
BIO−1:Morton InternationalよりVINYZENE SB1−ELVとして入手可能な殺生物剤
【0094】
ドライブレンドペレット組成物を、以下の一般的な手順を用いて上に挙げた材料から調製し、表1にまとめたペレットとした。組成物を、Buss数1スクリューを備えた30−mmのBussニーダーに、これらの設定を用いて供給した。
【0095】
【表1】

【0096】
ブレンドした組成物を、0.5−cmのダイにより押出した。ダイストランドを水中で冷却し、エアカッターを用いてペレットへと切断した。ペレットを室温で乾燥した。
【0097】
【表2】

【0098】
シート試料作製
厚さ30ミルのキャストシートを、1.5−インチのDavisシート押し出しラインに、汎用スクリューを用いて、混合デバイスなしで、表2に上げた組成物を用いて作製した。加工温度を、シートの押出しおよび作製が可能な最低温度に設定した。ブレンド成分を全てドライブレンドして、押出し機ホッパーに入れる前に、ペレットブレンドを作製した。
【0099】
9−インチ平坦シートダイ(Davis Standard製)を用いて、30−ミルのシート試料を作製した。PVC−1ドライブレンドDB−1については193℃、実施例1の不均一系ブレンドについては187℃の融点を用いて、シート試料を作製した。両試料の作製において、65rpmのスクリュー速度を用いた。
【0100】
カップ試験
ステンレス鋼カップをキシレンで充填した。シート試料を、直径3−インチの円に切断し、シートをカップに金属リングでクランプすることにより、金属カップに取り付けた。50℃のオーブンに入れる前に、カップ試料を秤量した。カップ試料を、次の2週間にわたって周期的に秤量した。最終重量から初期重量を減算し、初期重量で除算することにより、重量損失のパーセンテージを計算した。結果を表2にまとめてある。
【0101】
【表3】

【0102】
ドライブレンドを表3に挙げた材料から、上述した手順を用いて調製して、ペレットを作製する。
【0103】
【表4】

【0104】
DB−7のペレットを、押出し機を通して加工し、ポリマー布(10×10織)に押出しコートして、基材を作製する。DB−8(205.5重量部)のペレットを20重量部のN−6,12/6Tペレットおよび4重量部の比較例−1のペレットと、重量式フィーダーを用いて混合する。不均一系ブレンドを、「シート試料作製」に記載した方法を用いて、第1の押出しコートされた組成物の反対のポリエステル布の側で基材に押出しコートして、本発明の多層薄層物品を作製する。他の多層薄層物品を、DB−7をDB−10に、DB−8をDB−11に換えることにより同様にして作製する。第3の多層ラミネート物品は、DB−8(205.5重量部)、20重量部のN−6,12/6Tおよび4重量部の上述した比較例−1の薄層組成物を調製し、ポリエステル布の両側を薄層組成物で押出しコートすることにより作製する。本多層物品は、屋根葺き膜として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不均一系ブレンドを含む物品であって、
前記物品が、薄層成型物品であり、
前記ブレンドが、ハロゲン化ポリマー組成物、ポリアミドおよび相溶剤を含み、
前記ハロゲン化ポリマー組成物は、ハロゲン化ビニルポリマー、ハロゲン化ビニリデンポリマーまたは両方を含み、エチレンコポリマーを場合により含んでいてもよく、
前記ポリアミドが、前記ハロゲン化ポリマー組成物の連続相中に埋め込まれた多数の薄い実質的に二次元の平行な重なり層として存在しており、
前記相溶剤が、官能化ポリオレフィンであり、
前記ブレンドの重量を基準として、前記ハロゲン化ポリマー組成物が前記ブレンドに55〜95%で存在し、前記相溶剤が前記ブレンドに1〜10%で存在し、前記ポリアミドが前記ブレンドに5〜45%で存在する、物品。
【請求項2】
前記ハロゲン化ポリマーが、ハロゲン部分として塩素を含み、前記官能化ポリオレフィンが、無水マレイン酸、マレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、無水イタコン酸、イタコン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、フマル酸ジエステル、フマル酸モノエステルまたはこれらの組み合わせを含むコモノマーで官能化されている請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ハロゲン化ポリマーが、ポリ塩化ビニルホモポリマー、ポリ塩化ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニルホモポリマーまたはポリ塩化ビニルコポリマーであり、
前記ポリアミド成分が前記ブレンドに5%〜25%で存在し、前記相溶剤が前記ブレンドに3〜10%で存在し、
前記相溶剤が、無水マレイン酸のポリエチレンによるグラフトコポリマー、無水マレイン酸のエチレンコポリマーによるグラフトコポリマー、無水マレイン酸のポリプロピレンによるグラフトコポリマー、マレイン酸付加スチレン−エチレン−ブテン−スチレントリブロックコポリマーまたはマレイン酸付加ポリブタジエンである請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記相溶剤が、無水マレイン酸のエチレン/アルキルアクリレート/COコポリマーによるグラフトコポリマーであるか、またはエチレンと、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルおよびこれらの2つ以上の組み合わせから選択されるコモノマーとの共重合により生成されたエチレンコポリマーである請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記ハロゲン化ポリマー組成物が、前記ハロゲン化ポリマー組成物の20〜40%で存在するエチレンコポリマーを含む請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記ハロゲン化ポリマーが、40〜70%のポリ塩化ビニル、20〜60%のエチレンコポリマーおよび約20重量%までの1つ以上の添加剤のドライブレンドを含み、
前記エチレンコポリマーが、エチレンの共重合単位と、C3−C12エチレン性不飽和モノカルボン酸およびその塩、エチレン性不飽和C3−C12モノカルボン酸のC1−C18アルキルエステル、C3−C18飽和カルボン酸のビニルエステル、一酸化炭素およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるコモノマーの共重合単位とを含むコポリマーであり、
前記添加剤が、可塑剤、加工助剤、離型助剤、流動促進助剤、油、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、衝撃改質剤、核形成剤、ブロッキング防止剤、UV吸収剤、UV安定剤、酸化防止剤、TiO2、フィラー、分散剤、界面活性剤、キレート化剤、殺生物剤、接着剤、プライマー、帯電防止剤またはスリップ剤である請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記エチレンコポリマーが、エチレン/アルキルアクリレート/COターポリマーまたはエチレン/酢酸ビニル/COターポリマーであり、
前記物品が、実質的に平面フィルムまたはシートの形態にあり、
前記物品が、セルラー発泡体、織布、不織布またはファイバーガラスを含む基材を場合によりさらに含んでいてもよく、
前記基材が、前記ブレンドのフィルムまたはシートに接合または接触している請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記物品が、前記基材を含み、前記基材が、不織布ポリプロピレン、不織布ポリエチレン、不織布ポリエチレンテレフタレート、織布ポリエチレンテレフタレート、織布ポリプロピレン、織布ポリエチレン、スパンボンドポリプロピレン、スパンボンドポリエステル、またはこれら2つ以上の組み合わせからなる群から選択される布を含む請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記物品が、
屋根葺き膜、池ライナ、貯水池ライナ、ジオメンブレン、バイアル、キャップ、シリンジ、容器、燃料タンク、トレイ、チューブ、フィラメントまたはパイプ、
生成物を含有できる中空物品、または
バイアル、キャップ、シリンジ、容器、トレイ、パイプまたはチューブを含む熱成形物品
である請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の物品。
【請求項10】
前記物品が屋根葺き膜の上層であり、前記屋根葺き膜が内側補強層および下層を場合によりさらに含んでいてもよく、前記内側層が基材を含み、前記基材が布であり、前記下層が熱可塑性樹脂を含み、前記上層がルーフデッキから最も遠くに適用される屋根葺き膜の層を指す請求項9に記載の物品。
【請求項11】
ハロゲン化ポリマー組成物、前記ハロゲン化ポリマーと非相溶性のポリアミドおよび相溶剤を組み合わせて混合物を生成し、前記混合物を、前記混合物中の最高融点の樹脂の融点より高く加熱して不均一系メルトブレンドを生成し、前記メルトブレンドを5倍まで少なくとも一方向に伸張して伸張体を生成し、前記伸張体を、前記混合物中の最低融点の樹脂の融点より低く冷却して、物品を生成することを含み、
前記物品が薄層成型物品であり、
前記ハロゲン化ポリマー、前記ポリアミドおよび前記相溶剤がそれぞれ請求項1、2、3、4、5、6、7または8で特徴づけられているものと同じである、方法。
【請求項12】
前記物品がフィルムまたはシートであり、
前記ハロゲン化ポリマー組成物がエチレンコポリマーを含み、
前記ハロゲン化ポリマー組成物が連続相で前記物品に存在し、
前記ポリアミド樹脂が、薄い実質的に二次元の平行な重なり層の不連続分配形態で前記物品中に存在しており、
前記方法が、前記物品を、屋根葺き膜に、前記膜の上層としてラミネートすること、あるいは前記フィルムまたはシートを、バイアル、キャップ、シリンジ、容器、トレイ、パイプまたはチューブに熱成形することをさらに含む請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2012−509964(P2012−509964A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537677(P2011−537677)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/065485
【国際公開番号】WO2010/060020
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】