説明

色による流体塗布装置の識別

流体塗布装置。該流体塗布装置は、ノズル(20)およびトリガー(40)を有した本体であって、任意に該本体に連結された少なくとも1つの部分を有し、溝(60)が形成された本体と、前記本体の溝(60)に着脱自在に装着された柔軟な材料から成る色分けされた識別クリップ(65)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的に流体塗布装置に関し、特に、識別装置を有した流体塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの噴霧塗装事業で複数の塗装工が雇用される。そのために、複数の噴霧ガンが用いられる。塗装工が一人の場合であっても複数の噴霧ガンが用いられることがある。と言うのは、通常、塗装工はベースコート用に1つの噴霧ガンを使用し、クリアコート用に他の噴霧ガンを用いるからである。こうした状況では、特定の噴霧ガンが特定の個人または特定の製品に属していることを識別することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
噴霧ガンを識別する1つの方法は、噴霧ガンに個人のイニシャルを永久的に刻設することを含んでいる。然しながら、その個人が仕事が変わったり退職したりしたときに、イニシャルを変更することができない。他のイニシャルを加えなければならない。噴霧ガンには刻設するためのスペースが限られているので、現在のユーザを識別することが難しくなる。更に、刻設用に特殊工具が必要となる。
【0004】
工場において、ノズルとガンボディーの間の連結部にプラスチックリングを永久的に取付けるようにした方法もある。同じ色のリングを有した2つのガンを顧客が受け取った場合、この2つのガンを区別する方法がない。と言うのは、リングは永久的に取付けられているからである。
【0005】
色つきのプラスチック成形品であるパッドをネジを用いて噴霧ガンの低部に取付けるようにした方法もある。種々の色のパッドを有したパッケージが提供される。然しながら、プラスチックパッドの着脱には工具が必要である。
【0006】
従って、一層簡単で容易に使用可能な流体塗布装置用の識別装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、工具を用いることなく流体塗布装置に取付可能な識別クリップを提供することによって、この必要性に応える。前記流体塗布装置は、ノズルおよびトリガーを有した本体であって、任意に該本体に連結された少なくとも1つの部分を有し、かつ、溝が形成された本体と、前記本体の溝に着脱自在に装着された柔軟な材料から成る色分けされた識別クリップとを具備する。ここで「着脱自在」は、工具を使用することなく着脱できることを意味している。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、流体塗布装置は、ノズルおよびトリガーを有した本体であって、任意に該本体に連結された少なくとも1つの部分を有した本体と、柔軟な材料からなり色分けされた取外可能な識別クリップとを具備し、該識別クリップは、前記本体にスナップ式に取付けられる。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、流体塗布装置を識別する方法が、溝を有した流体塗布装置を準備し、柔軟な材料から成る色分けされた識別クリップを選択し、該識別クリップを前記流体塗布装置の前記溝内に装着することを含んで成る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の識別クリップを備え重力によって塗料を供給する塗料噴霧器の側面図である。
【図2】本発明による識別クリップの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
流体供給装置を取付けた流体塗布装置を図1に示す。1つの実施形態において、流体塗布装置は塗料噴霧器とすることができる。基体の表面を塗装するために塗料の塗布に用いられる、重力によって塗料を供給する噴霧器や塗料を吸引するようにした噴霧器のような塗料噴霧器について本発明を説明する。うした塗料噴霧は、自動車修理工場のような自動車の塗り替え業界で用いることができる。塗料噴霧器に関連して流体供給装置を説明するが、こうした使用に限定されない。流体塗布装置は、以下に列挙するものに限定されないが、飲料、食品、(ケチャップのような)調味料、ガソリン、石油化学製品、炭化水素、水、水性溶液、溶剤溶液、エマルジョン、接着剤等を含む他の流動性液体を供給するために用いることができる。
【0012】
図1を参照すると、塗料噴霧器10が図示されている。該噴霧器は、本体15、本体15の先端25に固定されたノズル組立体20、本体15の後端から垂下されたハンドル30を具備する。噴霧器10を手操作するために、本体15には、トリガー40が回動自在に取付けられている。頂部取付け型の塗料供給装置45が、塗料をノズル組立体20に供給するために、本体15の先端25の近傍に取付けられる。ノズル組立体20に圧縮空気を供給するための空気ホース(図示せず)が空気接続部50に連結され、トリガー40によって圧縮空気の供給が制御される。これに限定されないが、噴霧パターン制御弁70のためのノブを含む1または複数の部品を備えることができる。噴霧パターン制御弁70は、噴霧パターンの大きさを制御する。調節ノブ75によって、流体ニードル弁の開口部が制御され、これによって噴霧される流体量が制御される。こうした部品は、これに限定されないが、ネジ連結の使用を含む適当な方法によって本体に連結することができる。
【0013】
空気接続部50からの空気は、内部通路(図示せず)を介してノズル組立体20に供給され、該圧縮空気は塗料を霧化し、該塗料をノズル組立体20から噴霧軸55を中心として噴霧する作用をなす。塗料は、塗料供給装置45からノズル組立体20へ供給される。
【0014】
空気接続部50は溝60を含む。該溝60内に識別クリップ65が配設されている。識別クリップ65は、柔軟材料から形成することができる。適当な柔軟性材料は、以下に限定されないが、プラスチックやゴムが含まれる。プラスチックは、以下に限定されないが、アセタール、ポリエチレン、ナイロン等を含む適当なプラスチックとすることができる。
【0015】
識別クリップの形状は、取付位置によって決定することができる。識別クリップは、噴霧ガンの種々の部分へ滑らせるようにして取付けることができる。識別クリップは、連続リング(または連続した他の形状)とすることができよう。或いは、該リングは、ある部分に容易に配置可能とするために、すり割りを設けたり、端部の間に所定の間隙を設けたりすることができよう。識別クリップの1つの実施形態が図2に示されている。C形の識別クリップは、多くの部位に取付けるのに適しており、また作るのが簡単である。端部の間の間隙によって、識別クリップを変形させて容易に該識別クリップを前記溝に装着し、また同溝から取外すことが可能となる。前記溝を六角ヘッドのような他の部位に設ける場合には、識別クリップは他の形状とすることができよう。適当な形状には、以下に限定されないが、正方形、六角形、円形が含まれる。
【0016】
或いは、前記溝は、噴霧ガンの他の部位、以下に限定されないが、丸い部分や六角形の部分に配置することができる。以下に限定されないが、例えば、トリガー、ハンドル、ノズル、本体のブッシング、空気弁、および、本体に螺着される部品の六角ヘッド等が含まれる。前記溝は、該溝内に識別クリップを容易に配置可能とする幅を備えていなければならない。前記溝は、一層狭く或いは広くすることができるが、典型的に約0.5〜約5mmの範囲にある。
【0017】
識別クリップは、また、溝内に配置することなく、噴霧ガンの種々の部分に配置することができよう。この構成では、識別クリップは、例えば噴霧パターン制御弁の一部の周囲に取付けることができよう。また、噴霧パターン制御弁の頭部に識別クリップを保持させるようにしてもよい。ある形態(例えば、識別クリップが噴霧パターン制御弁の頭部やトリガーに取付けられる場合)では、識別クリップは、溝を用いた場合よりも意図せず脱離し易くなる。と言うのは、識別クリップを保持する溝その他の手段が設けられていないからである。
【0018】
或いは、識別クリップは、部品の端部に装着されるカップ形とすることができる。カップの内側に、意図せずカップが脱離することを防止するスナップ式の取着部を設けることができよう。該スナップ式の取付部は、溝によって保持されるようにできる。或いは、前記スナップ式の取付部は、溝を必要とせずに、それ自身によって保持されるようにできよう。例えば、カップを噴霧パターン制御弁70または調節ノブ75の後端上に装着する場合には、スナップ式の取付部はヘッドの縁部によって保持することができよう。識別クリップ65は、様々な色から形成して、特定の色が特定のユーザ、および/または、ベースコートやクリアコートのような噴霧ガンの特定の使用方法に関連するようにできる。1または複数の識別クリップを用いて、特定の噴霧ガンを識別するために使用可能である。例えば、一人のユーザが青の識別クリップを、他のユーザが赤の識別クリップを、そして第三のユーザが緑の識別クリップを有するようにできよう。望ましい場合には、第2の識別クリップを用いて、例えばベースコート用ガンやクリアコート用ガンのようなガンのタイプを識別することができる。例えば、こうした状況で、第1のユーザ用のベースコート用ガンに青リング(ユーザ)と黒リング(用途)を装着し、クリアコート用ガンに青リング(ユーザ)と白リング(用途)とを装着するようにできよう。
【0019】
識別クリップは、ユーザが容易に見えるように十分な幅とすべきである。識別クリップは、必要に応じて一層狭く或いは広くすることができるが、典型的に約0.5〜約5.0mmの範囲である。識別クリップが端部の間に間隙を有する(例えばC形の識別クリップ)場合には、この間隙は、意図せず識別リングが脱落または脱離するほど大きくなく、かつ、空気接続部の周囲に識別クリップを装着可能な大きさとしなければならない。或いは、部品の周囲に滑らせて装着可能な(間隙のない)スリットを有するようにしてもよい。
【0020】
本発明を説明するために、特定の実施形態およびその詳細を示したが、本発明の範囲から逸脱することなく、開示の構成要素および方法に種々の変更を加えることができることは当業者の当然とするところである。
【符号の説明】
【0021】
10 塗料噴霧器
15 本体
20 ノズル組立体
25 先端
30 ハンドル
40 トリガー
45 塗料供給装置
50 空気接続部
55 噴霧軸
60 溝
65 識別クリップ
70 噴霧パターン制御弁
75 調節ノブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体塗布装置において、
ノズルおよびトリガーを有した本体であって、任意に該本体に連結された少なくとも1つの部分を有し、かつ、溝が形成された本体と、
前記本体の溝に着脱自在に装着された柔軟な材料から成る色分けされた識別クリップとを具備する流体塗布装置。
【請求項2】
前記柔軟な材料は、プラスチック、ゴムおよびそれらの組合せから選択される請求項1に記載の流体塗布装置。
【請求項3】
前記プラスチックは、アセタール、ポリエチレン、ナイロンおよびそれらの組合せから選択される請求項2に記載の流体塗布装置。
【請求項4】
前記本体に連結される部品は空気接続部を具備し、前記溝は空気接続部に配置される請求項1に記載の流体塗布装置。
【請求項5】
前記溝は、トリガー、ハンドル、ノズル、本体ブッシングまたは空気弁若しくはそれらの組合せから選択される部分に配置される請求項1に記載の流体塗布装置。
【請求項6】
前記溝に少なくとも2つの識別クリップを配置するようにした請求項1に記載の流体塗布装置。
【請求項7】
前記識別クリップが、C形、正方形、六角形または円形から選択される形状を有している請求項1に記載の流体塗布装置。
【請求項8】
前記識別クリップが連続形状を有している請求項1に記載の流体塗布装置。
【請求項9】
流体塗布装置を識別する方法において、
溝を有した流体塗布装置を準備し、
柔軟な材料から成る色分けされた識別クリップを選択し、
該識別クリップを前記流体塗布装置の前記溝内に装着することを含んで成る流体塗布装置を識別する方法。
【請求項10】
前記柔軟な材料は、プラスチック、ゴムおよびそれらの組合せから選択される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プラスチックは、アセタール、ポリエチレン、ナイロンおよびそれらの組合せから選択される請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記溝は、トリガー、ハンドル、ノズル、本体ブッシングまたは空気弁若しくはそれらの組合せから選択される部分に配置される請求項12に記載の方法。
【請求項13】
前記識別クリップが、C形、正方形、六角形または円形から選択される形状を有している請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記識別クリップが連続形状を有している請求項14に記載の方法。
【請求項15】
流体塗布装置を準備し、該流体塗布装置に溝を機械加工することによって前記流体塗布装置を準備するようにした請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−512994(P2010−512994A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541439(P2009−541439)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/082768
【国際公開番号】WO2008/076525
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】