説明

色堅牢度および仕上げ化合物

ヤーン、生地、および/または衣類と、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、および/またはこれらの組合せを含む色落ちしない組成物とを含む、色落ちしない織物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年4月16日に出願された仮出願第61/170,022号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ヤーン、生地、または衣類の色堅牢度および仕上げのための官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコールを含有するポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
生地および衣類を含む様々な材料の色堅牢度特性を与えるのにまたは改善するのに使用してもよい、効率的で機能的な無毒性の色落ちしない組成物を開発することが、長年にわたり求められている。より具体的には、乾燥および湿潤色堅牢度が共に比較的弱い染料および顔料色素を利用する、ヤーン、生地、または衣類を含むがこれらに限定するものではない染色および印刷された材料の、色堅牢度を改善することが求められている。
【0004】
以前は、材料の色堅牢度特性の改善を望む製造業者は、未反応のおよび/または過剰な染料を全て除去するために、材料をさらなる洗浄サイクルにかけ、遷移金属を使用し、大量の架橋樹脂含浸量を使用し、または強い化学薬品を使用する必要があった。たとえば、「ストーンウォッシング」は、デニム用品のインジゴ染料の除去に使用される。「ストーンウォッシング」は、少なくとも6時間にわたり、デニム用品と石および苛性化学薬品の両方とを組み合わせる必要がある。苛性化学薬品は、実際に木綿生地に損傷を与え、そのプロセスは、過度の時間を消費する。これらの技術は、環境に優しくなく、色落ちしない材料または生地を実現するというその性能を制限し、衣類の色の深みを制限する。さらに、色落ちしない生地、衣類、およびその他の材料に関する政府の規制および工業規格の両方の変化は、求められる結果を実現するのに新しい技術および方法を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、環境に優しくかつその色落ちしない特性に優れている、色落ちしない生地が求められている。前述の色落ちしない生地と少なくとも同じ特徴を有する色落ちしない組成物、ならびに上記色落ちしない生地の生成方法も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ヤーン、生地、および/または衣類を含む色落ちしない織物と、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せを含む色落ちしない組成物。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】表13のデータの、浸透なしおよび合格の視覚的結果を示す図である。
【図2】表13のデータの、浸透および不合格の視覚的結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、ヤーン、生地、および/または衣類を含む色落ちしない織物と、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーの使用によるこれら織物の生成方法とに関する。より詳細には、本発明は、ヤーン、生地、または衣類と、染料、および色落ちしない組成物とを含む、色落ちしない織物に関する。色落ちしない組成物は、官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコールを含有するポリマー(即ち、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー)、またはこれらの組合せを含む。
【0009】
本明細書で使用される織物は、ヤーンに変換するのにもしくはヤーンとして使用するのに適切な、または織布、メリヤス生地、もしくは不織布を調製するのに適切な、繊維およびフィラメントを指す。織物は、天然または合成繊維から作製されたヤーン、ならびに上記にて定義された繊維およびヤーンから作製された生地およびその他の製造製品を含んでいてもよい。織物は、繊維、ヤーン、または生地から製作された衣類およびその他の物品を含んでいてもよい。
【0010】
本明細書で使用されるヤーンは、繊維、フィラメント、または、生地が形成されるように編み、織り、もしくはその他の方法で絡み合わせるのに適切な形をした材料を含む、ストランドを指す。ヤーンは、(1)撚り合わせた多数の繊維(スパンヤーン);(2)撚り合わせることなく寄せ集めた多数のフィラメント(無撚ヤーン);(3)ある撚り度を有する、寄せ集めた多数のフィラメント;または(4)撚り合わせたまたは撚り合わせていない単一フィラメント(モノフィラメント)を含んでいてもよいが、これらに限定するものではない。
【0011】
本明細書で使用される生地は、繊維、フィラメント、またはヤーンを織り交ぜることによって生成された、平面織物構造を指す。生地は、織布、メリヤス生地、不織布、または多層モジュラー工業用生地であってもよい。生地は、木綿(即ち、デニム、ダンガリー)、ウール、靭皮、絹などの天然繊維、およびアクリル、ポリエステル、エラスタン(スパンデックス)、ナイロン、トリアセテート、ポリウレタン、アセテートなどの合成繊維、またはこれらのブレンドを含むがこれらに限定するものではない材料を含んでいてもよい。ブレンドは、天然および/または合成繊維の組合せを含むことができる。本明細書で使用される衣類は、1種または複数の生地またはヤーンを使用して生成されまたは構成されていてもよい任意の物品を指す。
【0012】
本明細書で使用される染料は、ヤーン、生地、織物、または衣類に色を付加する物質を指す。染料には、酸性染料、塩基性染料、直接染料、媒染染料、硫黄染料、バット染料、インジゴ染料、アゾイック染料、反応性染料、分散染料、天然染料、顔料、およびアントラキノン染料を含めてもよいが、これらに限定するものではない。繊維表面の染料は、物理的な捕捉、および水素結合、ファンデルワールス相互作用を含む化学的な力を通して繊維表面に保持され、または、イオン力および共有結合を通して化学的に結合させることもできる。本明細書で使用される染色は、天然または合成染料でヤーン、繊維、生地、または衣類を着色するプロセスを指す。染色は、バッチ(即ち、吸尽)プロセスまたは連続プロセスを含むがこれらに限定するものではない、当技術分野で公知の任意のプロセスにより実施してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態は、インジゴ染料で染色されたヤーン、生地、または衣類を利用してもよい。インジゴは木綿に対する親和性が限定され、物理的な捕捉および弱い分子力に頼らねばならないという事実にも関わらず、インジゴは、何世紀にもわたって木綿などのセルロースベースの織物を染色するのに使用されてきた。さらに、インジゴは、水、エーテル、アルコール、および希酸に不溶であり、したがって従来の染色プロセスは、染色プロセスの前にまずインジゴを還元する必要がある。次いで一つなぎのヤーン、生地、または衣類を、ある時間にわたりインジゴ染浴中に浸漬し、その後、生地または衣類を取り出す。取り出したら、酸素に接触させることによりインジゴ染料を酸化させ、インジゴをその不溶形態に戻す。セルロース材料に対するインジゴの親和性が低いので、これらのステップは、所望の濃さの青を得る必要があるたびに頻繁に繰り返され、典型的には浸漬の繰り返しが使用され、これら浸漬のそれぞれの後に酸化プロセスが続く。次いで過剰なインジゴ染料を、そのクロック堅牢度を改善するために水洗を介して生地または衣類の表面から除去する。本発明は、デニムおよびダンガリーの両方を含む染色された木綿ヤーンまたは生地に適用してもよい。
【0014】
色堅牢度という用語は特に、材料の加工、試験、貯蔵、または使用中に遭遇する可能性がある任意の環境にこの材料が曝される結果、その色の特徴のいずれかが変化することに対する材料(織物)の抵抗力に関する。色堅牢度に影響を及ぼす可能性がある環境または項目には、水、ドライクリーニング、発汗、光、加速された洗濯、pHの変化、摩耗、およびクロック堅牢度が含まれるが、これらに限定するものではない。クロック、耐クロック性、およびクロック堅牢度という用語は、ヤーン、生地、または衣類の表面から別の表面に、または同じ生地の隣接領域に、物理的力または擦れによって着色剤が移ることに関する。本明細書で使用される耐クロック性は、生地または衣類の加工、試験、貯蔵、または使用中に遭遇する可能性がある任意の環境に、着色されまたは染色された生地または衣類を曝した結果、隣接する表面に色が移りまたは滲むことに対する抵抗力を指す。湿潤または乾燥クロック堅牢度に関する試験は、擦れによって、着色され/染色された生地または衣類の表面から別の表面に色が移されるか否か、およびどの程度まで移されるのかを決定するための方法である。
【0015】
本明細書で使用される耐クロック性組成物は、そのクロック堅牢度を改善するために、ヤーン、生地、または衣類の製造中に、ヤーン、生地、繊維、またはその他の織物物品に付着させることができる化学組成物を指す。より具体的には、耐クロック性組成物は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、エチレンビニルアルコール、エチレン含有ポリビニルアルコール、またはこれらの組合せを含んでいてもよく、これらについては以下により詳細に論じる。耐クロック性組成物は、以下により詳細に記述される触媒、消泡剤、泡止め剤、および/または柔軟剤を含んでいてもよい。
【0016】
上述のポリマーは、下記の分子構造を有していてもよい:
【0017】
【化1】

(式中:R1〜R6は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、アセテート、ヒドロキシル、炭素環、複素環、またはこれらの組合せを含む群から選択され;XおよびYは、ヒドロキシル、アセテート、アミン、アミド、スルホネート、カルボキシレート、複素環、またはこれらの組合せを含む群から選択される。)。
【0018】
本発明の場合、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを合成するために、任意の公知のプロセスを利用してもよい。たとえば、ポリビニルアルコールコポリマーは、フリーラジカル重合、グラフト化、または酸化還元の開始を含むがこれらに限定するものではないプロセスによって形成されていてもよい。ポリビニルアルコールコポリマーは、参照によりその両方が本明細書に組み込まれる米国特許第5,300,566号および米国特許第5,632,977号に記載されている。
【0019】
一実施形態では、ポリビニルアルコールは、多段階プロセスを介して酢酸ビニルモノマーから製造される。酢酸ビニルモノマーは、ポリ酢酸ビニルに重合され、次いでポリビニルアルコールに変換される。ポリビニルアルコールは、安全な生分解性の水溶性ポリマーであるので、色堅牢度にとって特に有利である。上記ポリビニルアルコールは、1,000から1,000,000の範囲、より好ましくは20,000から150,000の範囲の分子量を有していてもよい。上記ポリビニルアルコールは、水と混合したときに1リットル当たり0.1から50グラム(g/L)に及ぶ濃度で使用してもよい。
【0020】
別の実施形態では、ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドのコポリマーは、酢酸ビニルモノマーとN−ビニルホルムアミドモノマーとを重合し、次いで酢酸ビニルとN−ビニルホルムアミドのコポリマーをけん化することによって形成される。たとえば、酢酸ビニルとN−ビニルホルムアミドのコポリマーは、フリーラジカル開始剤とメタノールなどのアルコールとの存在下、反応器内でモノマーを組み合わせることによって形成してもよい。得られた反応は、ビニルホルムアミド基を含有する、中間体である酢酸ビニルランダムコポリマーを、約1モルパーセントから約50モルパーセントの量でもたらす。
【0021】
次いで得られた酢酸ビニルおよびN−ビニルホルムアミドコポリマーを、けん化させる。コポリマーは、アルカリ材料の存在下でこのコポリマーを熱に曝すことにより、けん化させる。アルカリ材料は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはアルカリ金属アルコレートなどの任意の適切な塩基を含むがこれらに限定するものではない群から選択されてもよい。けん化は、連続システム、半バッチシステム、またはバッチシステムで実施することができる。一実施形態では、アルカリを、約0.01%から約0.1%の量の苛性モル比(CMR、塩基とポリマー上のアセテート基との比)で、上述のコポリマーの1種に添加してもよい。次いでコポリマーを、約20℃から約50℃の温度に、約5分から約24時間にわたり加熱する。けん化中、酢酸ビニルはビニルアルコールに変換される。けん化度は、けん化条件を制御することによって、制御し調節してもよい。しかし、利用可能な酢酸ビニル単位の95%以上をビニルアルコールに変換させるのが一般的である。
【0022】
けん化後、得られた生成物を、あらゆるアセテートまたはその他の不純物を除去するために様々な洗浄ステップに供することができる。得られたポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドのコポリマーは、下記の一般式を有することができる:
【0023】
【化2】

(式中:aは約0から約15モル%であり;bは約0.1モル%から約99モル%であり;cは約0.1モル%から約99モル%である。)。別の実施形態では、aは約0から約15モル%であり;bは約0.1モル%から約100モル%であり、cは約0.1モル%から約100モル%である。上記コポリマーは、1,000から1,000,000の範囲、より好ましくは20,000から250,000の範囲の分子量を有していてもよい。
【0024】
上記に示されるように、コポリマーは、遊離ヒドロキシル基および遊離アミド基しか含有しないように配合することができる。上式により作製されたコポリマーは、本発明により使用されてもよく、いくつかの実施形態で特定の利点をもたらすことが見出された。たとえば、上述のコポリマーは、乳化剤とブレンドするのに十分適切である。
【0025】
別の実施形態では、上記ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドのコポリマーは、アミン基をコポリマーに組み込むために、酸または塩基によってさらに加水分解することができる。ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドのコポリマーの加水分解は、触媒として働く酸または塩基の存在下、連続システム、半バッチシステム、またはバッチシステムで実施してもよい。加水分解は、溶媒の存在下、スラリー中のコポリマーで実施することができる。溶媒は、メタノールなどのアルコールを含んでいてもよい。特に有利なのは、特定の適用例に合わせて調整された特性を有するコポリマーを生成するために、加水分解を制御できることである。したがって、加水分解は、実質的に完全なまたは部分的なものにすることができる。
【0026】
コポリマーの加水分解が塩基の存在下で生じる場合、塩基は、アルカリ水酸化物またはアルカリ土類水酸化物を含むがこれらに限定することのない群から選択してもよい。一実施形態では、加水分解は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの存在下で実施される。塩基は、存在するN−ビニルホルムアミド基の化学量論的な量の、約0.5から約3倍の量で存在する。加水分解は、約50から約80℃の高温で実施することもできる。得られる生成物は、濾過または溶媒蒸発によって回収することができる。別の実施形態では、塩基は、存在するN−ビニルホルムアミド基の化学量論的な量の約1から約1.5倍の量で存在する。
【0027】
ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドコポリマーの加水分解は、ハロゲン酸、クエン酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸、およびメタンスルホン酸を含むがこれらに限定することのない様々な酸の存在下で生じてもよい。一実施形態では、加水分解は、塩酸の存在下で実施される。酸の加水分解は、約15℃から約80℃の温度で実施してもよい。酸は、存在するN−ビニルホルムアミド基の化学量論的な量の約0.5から約3倍の量で存在してもよい。別の実施形態では、酸は、存在するN−ビニルホルムアミド基の化学量論的な量の約1から約1.5倍の量で存在してもよい。酸の加水分解は、メタノール懸濁液中で実施されてもよい。
【0028】
加水分解後、下記の式を有するコポリマーを形成することができる:
【0029】
【化3】

(式中:aは、約0モル%から約15モル%であり;bは、約0.1モル%から約99モル%であり;cは、約0モル%から約30モル%であり;dは、約0.1モル%から約50モル%である。)。別の実施形態では、aは、約0から約15モル%であり;bは、約0.1モル%から約100モル%であり、cは、約0.1モル%から約30モル%であり、dは、約0.1モル%から約50モル%である。上記コポリマーは、1,000から1,000,000の範囲、より好ましくは20,000から250,000の範囲の分子量を有していてもよい。
【0030】
本明細書で使用される触媒は、化学反応の速度を増大させまたは低減させる化学物質を指す。触媒は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せと組み合わせてもよい。本発明の別の実施形態では、触媒は、消泡/泡止め剤、および/または柔軟剤と併せて使用してもよい。別の実施形態では、重硫酸ナトリウム(NaHSO4)は、触媒として使用してもよい。本発明において、使用される触媒の濃度は0.01g/Lから0.10g/Lの範囲であってもよい。
【0031】
本明細書で使用される消泡/泡止め剤は、液体中の泡の形成を低減させ妨げる、化学添加剤を指す。消泡/泡止め剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せと組み合わせてもよい。消泡/泡止め剤は、プロセス速度を増大させるのに使用してもよく、泡が工業プロセスで引き起こされる可能性があるというその他の課題を低減させるのに使用してもよい。消泡/泡止め剤は、表面の泡および閉じ込められ/捕捉された空気の両方に関する課題に対処することができる。広く様々な化学式が、泡の合体を促進させるのに利用可能である。消泡/泡止め剤には、油ベースの消泡剤、粉末消泡剤、水ベースの消泡剤、シリコーンベースの消泡剤(即ち、HL−36、Fumerol)、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)消泡剤、またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。本発明の一実施形態では、消泡/泡止め剤は、0.1g/Lから10g/Lの触媒および/または柔軟剤と併せて使用してもよい。
【0032】
本明細書で使用される柔軟剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せと組み合わせてもよい物質を指す。柔軟剤は、陰イオン柔軟剤、陽イオン柔軟剤、非イオン性柔軟剤、シリコーンベースの柔軟剤、またはこれらの組合せを含んでいてもよい。本発明の一実施形態では、柔軟剤は、0.1g/Lから50g/Lの触媒および/または消泡剤と併せて使用してもよい。
【0033】
驚くべきことに、本発明は、織物の色堅牢度を改善する他、いくつかの快適さ関連特性を高めることも見出された。本明細書で使用される、快適さ関連特性は、色落ちしない組成物によってヤーン、生地、または衣類に与えることのできる1つまたは複数の属性を指す。これらの属性には、抗菌機能、外観(即ち、光沢)、感触(即ち、厚さ)、手触り(即ち、滑らかさ)、強度(即ち、剪断、破断、または引張り強度)、防汚特性、圧縮特性、曲げ特性、またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0034】
本発明の別の実施形態は、ヤーン、生地、および/または衣類と、色落ちしない組成物とを含む、色落ちしないヤーン、生地、または衣類に関する。色落ちしない組成物は、ポリビニルアルコールコポリマーを含む。本発明のさらに別の実施形態では、ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマーを、仕上げ用の結合剤として作用させてもよい。換言すると、ポリビニルアルコール/ポリビニルアルコールコポリマーは、繊維またはヤーンを一緒に結合するのに使用される接着剤として作用させてもよい。本発明により実現される1つの驚くべき結果は、染料(上述の)とポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマーとの間で実現された相乗効果である。組み合わせた場合、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマーは、染料担体および染料固着剤の両方として作用する。換言すると、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコールコポリマーは、繊維の染色、および(1種または複数の)染料の、これら繊維、ヤーン、生地、または衣類への固定を促進させるように作用する。
【0035】
本発明は、多数の異なる実施形態で実現させてもよい。本発明の1つの特定の実施形態は、染色されたヤーンと、ポリビニルコポリマー、消泡剤、および触媒を含む色落ちしない組成物とを含む、色落ちしない生地を含んでいてもよい。色落ちしない組成物のポリビニルアルコールコポリマーは、10,000から250,000の範囲の分子量を有しかつ下記の分子構造を有する、ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドコポリマーを含む:
【0036】
【化4】

(式中:a=0;b=90〜98;c=0.1〜15;およびd=0〜15である。)。別の実施形態では、a=0;b=90〜98;c=0;およびd=2〜10である。さらに別の実施形態では、a=0;b=92〜96;c=0;およびd=4〜8である。さらに別の実施形態では、a=0;b=94;c=0;およびd=6である。
【0037】
別の実施形態では、本発明は、染色された生地と、ポリビニルアルコールおよび消泡剤を含む色落ちしない組成物とを含む、色落ちしない生地を含んでいてもよい。色落ちしない組成物のポリビニルアルコールは、20,000から250,000の範囲の分子量を有しかつ下記の分子構造を有する:
【0038】
【化5】

(式中、a=0〜13;b=87〜99.9;c=0;およびd=0である。)。代替の実施形態では、a=0〜13;b=87〜100;c=0;およびd=0である。別の実施形態では、a=0;b=84〜92;c=0;およびd=8〜16である。さらに別の実施形態では、a=0;b=86〜90;c=0;およびd=10〜14であり、さらに別の実施形態では、a=0;b=88;c=0;およびd=12である。
【0039】
さらに別の実施形態では、本発明は、染色された生地と、ポリビニルアルコールコポリマーおよび消泡剤を含む色落ちしない組成物とを含む、耐クロック性の生地を含んでいてもよい。色落ちしない組成物のポリビニルアルコールコポリマーは、20,000から150,000の範囲の分子量を有しかつ下記の分子構造を有する、ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドのコポリマーを含む:
【0040】
【化6】

(式中、a=0;b=90〜98;およびc=2〜10である)。別の実施形態では、a=0;b=92〜96;およびc=4〜8であり、さらに別の実施形態ではa=0;b=94;およびc=6である。
【0041】
さらに別の実施形態では、本発明は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せを含む、染色された生地用の耐クロック性組成物を含んでいてもよい。さらに別の実施形態では、上記実施形態は、触媒、消泡剤、柔軟剤、またはこれらの組合せをさらに含んでいてもよい。
【0042】
別の実施形態では、本発明は、下記の分子構造を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む、染色された生地用の耐クロック性組成物を含んでいてもよい:
【0043】
【化7】

(式中:a=約0から約15モル%;b=約50から約99モル%;およびc=約1から約50モル%である。)。代替の実施形態では、a=約0から約15モル%:b=約50から約100モル%;およびc=約1から約50モル%である。上記コポリマーは、10,000から200,000の範囲、より好ましくは20,000から150,000の範囲の分子量を有していてもよい。
【0044】
別の実施形態では、本発明は、下記の分子構造を有するポリビニルアルコールコポリマーを含む、生地用の耐クロック性組成物を含んでいてもよい:
【0045】
【化8】

(式中:a=約0から約15モル%;b=約50から約99モル%;c=約0から約30モル%;およびd=約1から約50モル%である。)。別の実施形態では、a=約0から約15モル%;b=約50から約100モル%;c=約0から約30モル%;およびd=約1から約50モル%である。上記コポリマーは、10,000から200,000の範囲、より好ましくは20,000から50,000または60,000から150,000の範囲の分子量を有していてもよい。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態では、色落ちしない織物が、生地の仕上げおよび衣類の仕上げプロセスで、色落ちしない組成物で処理される。この使用は、サイズ剤としてのPVOHの使用に完全に無関係である。本明細書で使用されるサイズ剤は、縦ヤーンに付着させて繊維を一まとめに結合し、ヤーンを硬化させることによって、製織中に耐摩耗性を与える化合物を指す。縦ヤーンのサイジングは、ヤーンの破損が低減するように用いられ、したがって製織機械での生産停止が防止される。製織機械では、縦ヤーンがいくつかのタイプの動作に曝され、即ち周期的な歪み、屈曲、様々なループ部分での摩耗、およびヤーン間摩擦に曝される。サイジングでは、ヤーンの強度(即ち、耐摩耗性)が改善されることになる。強度の改善の程度は、繊維とサイズ剤との間の接着力、サイズ剤の浸透、およびヤーンの包封に依存する。サイズ剤は、縦サイジング機で縦ヤーンに付着させる。製織プロセス後、生地からサイズ剤を除去する(洗浄する。)。
【0047】
本発明は、これまで使用されてきたサイズ剤とは異なって、ヤーン表面に残留物を残さず、より低い濃度で使用され、かつPVOHコポリマーが優れた接着特性を提供する、ポリウレタン/合成ヤーンへのコーティングとして色落ちしない組成物を使用するための方法も含む。
【0048】
本発明は、染色された生地を準備するステップと、この生地を、10,000から1,000,000の範囲の分子量を有しかつ1リットル当たり0.1から50グラム(g/L)の範囲の濃度を有するポリビニルアルコールで処理するステップと、その後、この生地を乾燥および/または硬化するステップを含む、色落ちしないヤーン、生地、または衣類を生成するための方法も含む。
【0049】
本発明の一実施形態では、生地は、10分から300分の範囲の期間にわたり、35℃から100℃に及ぶ温度で、乾燥に供してもよい。
【0050】
本発明の別の実施形態では、生地を、10分から300分の範囲の期間にわたり、55℃から180℃に及ぶ温度で硬化に供してもよい。
【0051】
別の実施形態では、上記方法は、生地を乾燥および/または硬化する前に、乳化剤、触媒、消泡/泡止め剤、柔軟剤、またはこれらの組合せで、ヤーン、生地、または衣類を処理するステップを、さらに含んでいてもよい。上述の方法のいずれかから得られた耐クロック性のヤーン、生地、または衣類は、湿潤クロックに関するグレースケールインデックス上で少なくとも2.0の評点を有することができ、かつ/または、乾燥クロックに関するグレースケールインデックス上で少なくとも3.0の評点を有することができる。
【0052】
本発明は、染色されたヤーン、生地、または衣類を準備するステップと、このヤーン、生地、または衣類を、ポリビニルアルコールコポリマー、ならびに触媒、消泡剤、柔軟剤、またはこれらの組合せを含む耐クロック性組成物で処理するステップと、その後、この生地を乾燥および/または硬化するステップと含む、耐クロック性のヤーン、生地、または衣類を生成するための方法も含む。
【0053】
一実施形態では、上述の耐クロック性組成物のポリビニルアルコールコポリマーは、下記の分子構造を有していてもよい:
【0054】
【化9】

(式中:a=約0から約15モル%;b=約50から約99モル%;c=約1から約50モル%であり;ポリビニルアルコールコポリマーは、10,000から500,000の範囲の分子量を有する。)。別の実施形態では、a=約0から約15モル%、b=約50から約100モル%、およびc=約1から約50モル%である。
【0055】
別の実施形態では、上述の耐クロック性組成物のポリビニルアルコールコポリマーは、下記の分子構造を有していてもよい:
【0056】
【化10】

(式中:a=約0から約15モル%;b=約50から約99モル%;c=約0から約50モル%;d=約1から約50モル%であり;ポリビニルアルコールコポリマーは、10,000から500,000の範囲の分子量を有する。)。代替の実施形態では、a=約0から約15モル%、b=約50から約100モル%、c=約0から約50モル%、およびd=約1から約50モル%である。
【0057】
さらに別の実施形態では、上述の方法の耐クロック性の生地は、CIELAB測定系による50から100の範囲の明度(L*)、−1から−10の範囲の緑−赤(a*)、および−1から−20の範囲の青−黄(b*)を有していてもよい。さらに別の実施形態では、上述の方法から得られた耐クロック性の生地は、湿潤クロックに関するグレースケールインデックス上で少なくとも2.5の評点を有することができ、かつ/または、乾燥クロックに関するグレースケールインデックス上で少なくとも3.5の評点を有することができる。
【0058】
本発明は、染色されたヤーン、生地、または衣類を準備するステップと;このヤーン、生地、または衣類を、官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコール、エチレンポリビニルアルコール、またはこれらの組合せを含んだ色落ちしない組成物で処理するステップと;前記ヤーン、生地、または衣類を乾燥および/または硬化するステップとを含む、耐クロック性のヤーン、生地、または衣類を生成するための方法も含む。
【0059】
この方法で記述されるポリマーは、下記の分子構造を有していてもよい:
【0060】
【化11】

(式中:R1〜R6は、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、アセテート、ヒドロキシル、炭素環、複素環、またはこれらの組合せを含む群から選択され;XおよびYは、ヒドロキシル、アセテート、アミン、アミド、スルホネート、カルボキシレート、複素環、またはこれらの組合せを含む群から選択される。)。
【0061】
本発明は、官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコールを含有するポリマーが、バットおよび/またはロープインジゴ染色レンジの前処理段階中、および/または染浴および/または後処理段階中に使用される、ロープ染色プロセスも含む。
【0062】
本発明は、官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコール、エチレンポリビニルアルコール、またはこれらの組合せが;衣類染色プロセスの前処理段階中、および/または染浴および/または後処理段階中に使用される、衣類染色プロセスも含む。
【0063】
本発明は、a.未処理のヤーン、生地、または衣類を、予湿溶液(下記のインジゴ処理参照)が入っている第1のバットに、5から30秒に及ぶ(または10から30秒に及ぶ)時間浸漬し揺動するステップ;b.未処理のヤーン、生地、または衣類を、第1のバットから取り出すステップ;c.未処理のヤーン、生地、または衣類を、0.5から2.5バールの範囲の圧力を有するパダー内に、0.5M/分から2.5M/分の範囲(または1.0M/分から2.0M/分の範囲)の速度で通すステップ;d.インジゴ染料が入っている第2のバットを準備するステップ;e.未処理のヤーン、生地、または衣類を、第2のバットに5から30秒に及ぶ(または10から30秒に及ぶ)時間浸漬し揺動することにより、処理済みのヤーン、生地、または衣類を得るステップ;f.処理済みのヤーン、生地、または衣類を第2のバットから取り出すステップ;g.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、0.5から2.5バールの範囲の圧力を有するパダー内に、0.5M/分から2.5M/分の範囲(または1.0M/分から2.0M/分の範囲)の速度で通すステップ;h.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、30から120秒間にわたり(または45から120秒間にわたり、または45から90秒間にわたり)酸素化するステップ;i.ステップd〜hを1回または複数回繰り返すステップ;j.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、予湿溶液、水、ポリビニルアルコール、またはこれらの組合せを含む群から選択された物質が入っている第3のバットに、30から120秒に及ぶ時間(または45から90秒に及ぶ時間)浸漬し揺動するステップ;k.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、0.5から2.5バールの範囲の圧力を有するパダー内に、0.5M/分から2.5M/分の範囲(または1.0M/分から2.0M/分の範囲)の速度で通すステップ;l.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、30から120秒間にわたり(または45から120秒間にわたり、または45から90秒間にわたり)酸素化するステップ;m.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、予湿溶液、水、ポリビニルアルコール、またはこれらの組合せを含む群から選択された物質が入っている第4のバットに、30から120秒に及ぶ時間(または45から120秒に及ぶ時間、または45から90秒に及ぶ時間)浸漬し揺動するステップ;n.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、0.5から2.5バールの範囲の圧力を有するパダー内に、0.5M/分から2.5M/分の範囲(または1.0M/分から2.0M/分の範囲)の速度で通すステップ;o.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、30から120秒間にわたり(または45から120秒間にわたり、または45から90秒間にわたり)酸素化するステップ;p.処理済みのヤーン、生地、または衣類を、30から120分間にわたり(または30から90分間にわたり、または30から75分間にわたり、または30から60分間にわたり)乾燥するステップを含む、インジゴ染料で染色されたヤーン、生地、または衣類の色堅牢度を改善するための方法も含む。
【0064】
一実施形態では、上記方法は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、界面活性剤、湿潤剤、金属イオン封鎖剤、触媒、消泡剤、柔軟剤、またはこれらの組合せを含む群から選択された予湿溶液を含んでいてもよい。
【0065】
上記方法の別の実施形態では、インジゴ染料は、5g/Lから25g/L、10g/Lから25g/L、または15g/Lから25g/Lの範囲の濃度を有し、10.8から12の範囲のpHを有していてもよい。
【0066】
上記方法は、未処理のヤーン、生地、または衣類を浸漬する前に、予湿溶液またはインジゴ染料のpHを調節するステップをさらに含んでいてもよい。
【0067】
上記方法の別の実施形態では、予湿溶液は、20,000から150,000の範囲の分子量を有しかつ下記の分子構造を有する、ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドのコポリマーを含むポリビニルアルコールコポリマーを含んでいてもよい:
【0068】
【化12】

(式中、a=0;b=90〜98;およびc=2〜10である。)。別の実施形態では、a=0;b=92〜96;およびc=4〜8であり、さらに別の実施形態では、a=0;b=94;およびc=6である。
【0069】
上記方法の別の実施形態では、予湿溶液は、10,000から250,000の範囲の分子量を有しかつ下記の分子構造を有する、ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドコポリマーを含むポリビニルアルコールコポリマーを含んでいてもよい:
【0070】
【化13】

(式中:a=0;b=84〜92;c=0;およびd=8〜16である。)。別の実施形態では、a=0;b=86〜90;c=0;およびd=10〜14であり、さらに別の実施形態では、a=0、b=88;c=0;およびd=12である。
【0071】
本発明は、官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコールを含有するポリマーが、バットおよび/またはロープインジゴ染色レンジの前処理段階中、および/または染浴および/または後処理段階中に使用される、ロープ染色プロセスも含む。
【0072】
本発明は、官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコール、またはこれらの組合せが;衣類染色プロセスの前処理段階中、および/または染浴および/または後処理段階中に使用される、衣類染色プロセスも含む。
【0073】
本発明は、官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコール、またはこれらの組合せを含有するポリマーが、反染めプロセスの前処理段階中、および/または染浴および/または後処理段階中に使用される、反染めプロセスも含む。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、本発明をさらに例示する。表1に示される耐クロック性配合物を、連続法によってポリエステルスエード生地に付着させた。表2〜5に示される耐クロック性配合物は、吸尽または飽和技法によって、デニム木綿生地に付着させた。その後、処理済み生地に、参照により共に本明細書に組み込まれるAATCC試験法8−2007(クロックメータ使用)およびAATCC試験法61−2007(洗濯使用)による試験を行った。CIELABおよび色堅牢度評点データは、Datacolor 650(商標)分光計を使用して収集した。これらの実験的な試験の結果を、表1〜5に示す。
【0075】
本明細書で使用されるCIELABは、色差を測定する標準化された方法を指す。CIELABは、長方形の色座標をベースにした色および色差系である。この系は、3つの個別の軸を表す変数L*、a*、およびb*を使用する。L*は明度を表し、黒には値0が割り当てられ、白には値100が与えられ、グレーには値50が割り当てられる。変数a*は、長方形の座標において色合いの値を示し、+a*は赤を、−a*は緑を表す。変数b*は、長方形の座標における別の色合いの値を示し、a+b*は黄を、a−b*は青を示す。したがって色差(ΔE)は、下記の方程式により示される:
【0076】
【数1】

(式中、ΔL*=L*サンフ゜ル−L*標準
(+ΔL*は、サンプルが標準よりも明るいことを意味する。)
(−ΔL*は、サンプルが標準よりも暗いことを意味する。)
Δa*=a*サンフ゜ル−a*標準
(+Δa*は、サンプルが標準よりも赤味を帯びていることを意味する。)
(−Δa*は、サンプルが標準よりも緑色がかっていることを意味する。)
Δb*=b*サンフ゜ル−b*標準
(+Δb*は、サンプルが標準よりも黄色がかっていることを意味する。)
(−Δb*は、サンプルが標準よりも青味を帯びていることを意味する。))。
【0077】
本明細書で使用するクロック堅牢度評点スケールは、擦れ(即ち、クロッキング)の間の色の移りを測定するスケールを指す。色の損失は、染色参照カードに関するグレースケール上での、何対かのグレー標準との比較によって評価される。各標準の半分は、開始時の試験片と同一の色度のものである。標準の残りの半分は、開始時の色度(色の損失がない。)から白(全ての色を失う。)に及ぶ。処理済みおよび未処理の生地の間のコントラストの量は、クロック堅牢度の評点が得られるように、標準の対の1つに関連する。このスケールで、5は、クロッキング中に色が全く移らないことを示し、1は、クロッキング中に大量の色が移ったことを示す。AATCC評価手順2−2007を本発明で利用して染色に関するグレースケールを測定し、参照により本明細書に組み込む。
【0078】
【表1】

処理2の場合:
PVOHコポリマー濃度A=40g/L
処理3の場合:
PVOHコポリマー濃度B=20g/L
【0079】
表2〜4:洗浄堅牢度の結果の概要
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【0083】
表2〜4は、サンプルを色落ちしない組成物で処理し、次いで多数の洗浄サイクルに供した後に実現された結果を示す。サンプル12〜18は、3と比較して3から4の間の耐クロック性の評点により実証されるように、対照サンプル19よりも優れた性能を実現したことが明らかに実証される。
【0084】
【表5】

【0085】
表5は、サンプル20〜37に関する耐クロック性の結果をまとめる。表5は、バッチプロセスに供されたサンプルが、連続プロセスに供されたもの(2−4)よりも優れた耐クロック性評点(3−4−4−5)を実現したことを示す。表5は、色落ちしない組成物で処理されたサンプルが、処理されていないサンプルよりも優れた耐クロック性評点を実現したことも示す。
【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
表6および7は、PVOHおよび柔軟剤で処理した単一サンプルに関する耐クロック性結果をまとめる。次いでサンプルを繰り返し洗浄し、各洗浄サイクル後にクロック堅牢度を測定する。表6および7は、処理後に数多くの洗浄に供されたサンプルが、優れた耐クロック性評点(3−4−4−5)を実現したことを示す。表6および7は、色落ちしない組成物で処理したサンプルが、処理されていないサンプルの場合よりも優れた耐クロック性評点を実現したことも示す。表7は、色落ちしない性質が、洗浄しない衣類から24回の洗浄にまで変化したことを特に示し、色は、洗浄回数1回から洗浄回数24回まで、著しく減じられないことを明らかに実証している。
【0089】
【表8】

【0090】
前述のように、本発明は、インジゴ染料の使用に関する。10個のサンプルを調製し、下記の手順を使用して試験をした。インジゴ染料は、下記の方法を使用して調製した:
a.水1000mLをバットに入れ
b.50%苛性溶液(NaOH)300gをバットに加え
c.水硫化ナトリウム85%強度を200g、バットに加え
d.インジゴ190グラムをバットに加え
e.水で満たし(バット内に2リットルの全溶液体積が得られるよう、十分な水を加える。)
f.バットを密閉して、確実に溶液に接触する酸素がほとんどないか全くなくなるようにする。
【0091】
次いで上記溶液を希釈して、15g/Lにする。次いでロープ/ヤーンを下記の通り調製した:
a.ヤーンを5つに切断してそれぞれ12インチの細片にする。
b.各ロープの端部を結んで結び目を作る(できる限り端部近くに)。
c.結び目が完成したら、ロープが得られる。
【0092】
個別のバット#1に入れられた、1g/Lの湿潤剤を含む、1リットルの予湿溶液を生成した。
【0093】
インジゴサンプル1:対照
予湿(Triton X 100、0.1%溶液)
1.ロープを、バット#1に入っている予湿溶液に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.14で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する。
13.ロープをバット#4(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0094】
インジゴサンプル2:対照サンプル
上記サンプル1と同じ手順を使用したが、pHレベルを11.11に降下させた。
【0095】
インジゴサンプル3:
予湿(6%ビニルアミン/94%PVOH、5g/L、または0.5%固形分)苛性溶液(50%NaOH)を使用してpHレベルを調節する。溶液pH=11.12
1.ロープを、バット#1内の予湿溶液に60秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.15で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する。
13.ロープをバット#4(6%ビニルアミン/94%PVOH、5g/Lが入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0096】
インジゴサンプル4:
予湿(6%ビニルアミン/94%PVOH、5g/L、または0.5%固形分)苛性溶液(50%NaOH)を使用してpHレベルを調節する。溶液pH=11.12
1.ロープを、バット#1内の予湿溶液に60秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.15で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.48)。
13.ロープをバット#4(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=8.9)。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0097】
インジゴサンプル5:
予湿(12%ビニルアミン/88%PVOH、2.5g/L、または0.25%固形分)苛性溶液(50%NaOH)を使用してpHレベルを調節する。溶液pH=11.12
1.ロープを、バット#1内の予湿溶液に60秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.15で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.48)。
13.ロープをバット#4(12%ビニルアミン/88%PVOHが入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0098】
インジゴサンプル6:
予湿(12%ビニルアミン/88%PVOH、2.5g/L、または0.25%固形分)苛性溶液(50%NaOH)を使用してpHレベルを調節する。溶液pH=11.12
1.ロープを、バット#1内の予湿溶液に60秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.14で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.48)。
13.ロープをバット#4(PVOH 2.5g/Lが入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0099】
インジゴサンプル7:
予湿(6%ビニルアミン/94%PVOH、2.5g/L、または0.25%固形分)苛性溶液(50%NaOH)を使用してpHレベルを調節する。溶液pH=11.15
1.ロープを、バット#1内の予湿溶液に60秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.14で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.48)。
13.ロープをバット#4(6%ビニルアミン/94%PVOH 2.5g/Lが入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.85)(洗浄サイクル後)。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0100】
インジゴサンプル8:
予湿(6%ビニルアミン/94%PVOH 2.5g/Lまたは0.25%固形分+Triton X100 0.5g/L)。苛性溶液(50%NaOH)を使用してpHレベルを調節する。溶液pH=11.17
1.ロープを、バット#1内の予湿溶液に60秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.14で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.48)。
13.ロープをバット#4(PVOH 2.5g/Lが入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.85)(洗浄サイクル後)。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0101】
インジゴサンプル9:
予湿(6%ビニルアミン/94%PVOH 2.5g/Lまたは0.25%固形分+Triton X100 0.5g/L)。苛性溶液(50%NaOH)を使用してpHレベルを調節する。溶液pH=11.17
1.ロープを、バット#1内の予湿溶液に60秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.14で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.48)。
13.ロープをバット#4(PVOH 2.5g/Lが入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.85)(洗浄サイクル後)。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0102】
インジゴサンプル10:対照サンプル
マスター浴pH=13.20(全ての実験操作で同じマスター浴)
予湿(Triton X 100、0.1%溶液)。
1.ロープを、バット#1内の予湿溶液に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
2.ロープを、1.5バールの圧力および1.5M/分の速度でパダー内に送る。
染色処理
3.上記調製したバット処理済みマスターバッチで、15g/L染浴をバット#2内に生成する。
4.pH=11.20で試験をする。
5.ロープを結び目の端部で保持する。
6.ロープを17秒間浸漬し、浸漬しながらロープを揺動させる。
7.浴から取り出し、ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送る。
8.ロープを両手で保持し、結び目をそれぞれ片手で持つ。
9.ロープを空気中で60秒間揺動させることによって酸素化する。
10.ステップ4から9までをさらに5回繰り返す。
11.6回目の浸漬後、ロープをバット#3(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
12.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.48)。
13.ロープをバット#4(水が入っている。)内に17秒間浸漬し、浸漬しながら揺動させる。
14.ロープを1.5バールの圧力でパダー内に送り、60秒間酸素化する(pH=9.85)(洗浄サイクル後)。
15.ヤーンを140Fで45分間乾燥する。
【0103】
【表9】

【0104】
表9は、上記インジゴサンプル1〜10のデータを示す。サンプル3〜10での差は、対照サンプル1に対するものである。
【0105】
別の実施例:スプレー付着
スルファブラック染色された3×1のあや織りデニムに、場合によっては工業で一般に使用される補助化学薬品−柔軟剤および架橋剤を含む、Ultaluxブランド(PVOHコポリマー/ホモポリマー)でスプレー処理した。処理した生地の見本を、120℃で5分間、炉内で乾燥し、または30分間タンブル乾燥した。全てのポリマー系は、対照サンプルと比較した場合、Ultaluxを除き、湿潤クロック評点にハーフステップの改善を示す。湿潤クロックでのフルステップの改善は、Ultaluxで観察された。乾燥クロック評点は、この場合に評価しなかったが、湿潤クロックの結果により、乾燥クロック評点>4.0を有することが予測される。
【0106】
コード
DT 乾燥生地、処理されタンブル乾燥されたもの
DO 乾燥生地、処理され炉内乾燥されたもの
WT 予湿生地、処理されタンブル乾燥されたもの
WO 予湿生地、処理され炉内乾燥されたもの
スプレー前の生地の乾燥重量
B 処理
A スプレー処理の後の生地の湿潤重量
濃度:1.00%
【0107】
【表10】



【0108】
【表11】

【0109】
表11は、それぞれが3つのサンプルを含むサンプル群AおよびBの圧縮強度データを含む。川端評価システム(KES)を使用して、手触り特性の客観的測定を行う。小さな力を加えることにより、KES機器は、手作業における生地の基本的変形、または快適さに対応した機械的特性を測定する。
【0110】
2cm2の面積の圧縮特性を、KES−FB3圧縮テスタを用い、0から50gf/cm2で、全ての材料に関して測定した。
【0111】
サンプル群AおよびBは、共に10cmの幅のフリースであり、生地重量は2.00g/cm2であった。両方のサンプル群AおよびBに関する圧縮強度を、1.0mm/秒の速度で、圧縮力50.0g/cm2を使用して測定した。全てのサンプルに関し、ストローク感度スイッチ(MM)=5、感度2×5、およびギャップダイアルS実際のギャップ距離=4.95であった。
【0112】
重量は、ASTM D 3776小見本オプションにより測定する。3つの試験片(20×20cm)を化学天秤で計量し、その重量を、単位面積当たりの質量(oz/yd2)で計算した。
【0113】
WC=圧縮エネルギー、厚さをサンプルの特定領域で0に圧縮するのに必要な仕事/力。
【0114】
WC’=回復エネルギー、厚さをサンプルの特定領域で0に解除するのに必要な仕事/力。
【0115】
RC=レジリエンス%または圧縮レジリエンスパーセント−力を除去したときの、回復の程度または厚さの復帰。より高いRC値は、圧縮状態からの、より高い回復パーセントを示す。
【0116】
EMC%=圧縮率パーセント−初期厚さの測定値を、最大限の力が加えられたときのサンプルの厚さと比較したもの。より高い値は、より大きな圧縮率を示す。
【0117】
厚さ=2cm2面積を0.5gf/cm2で測定し、ミリメートルを単位として報告したもの。
【0118】
摩擦(抵抗/ドラッグ)および表面の凹凸(粗さ)の表面特性。より高いEMC値は、より大きな圧縮率を示す。より高い値は、圧縮状態からの、より高い回復パーセントを意味する。
【0119】
高いEMTは、より延伸性がある材料を示す。より高い値は、延伸状態からの、より大きな回復を示す。
【0120】
【表12】


【0121】
表12は、それぞれが3つのサンプルを含むサンプル群AおよびBの、曲げ剛性データを含む。KES−FB2曲げテスタで測定された曲げは、生地を約150°曲げるのに必要な力の尺度である。
【0122】
B=単位生地幅当たりの曲げ剛性、gf−cm2/cm−より高いB値は、より大きな堅さ/曲げ運動に対する抵抗力を示す。
【0123】
サンプル群AおよびBは、共に5.0cm幅のフリースであり、その生地重量が2.00g/cm2であった。
【0124】
サンプルAは水で処理したフリースであり、サンプルBは12.5g/LのUltaluxコポリマーで処理したフリースであり、より低い値はより曲げ易い材料であることを示し、極端な差がない場合であっても、PVOH/PVOHコポリマーの化学的性質の適用は、このフリース材料の曲げ特性を妨げるものではなかった。
【0125】
低いB値は、剛性または曲げ運動に対する抵抗力が低いことを示す。
【0126】
【表13】

【0127】
表13は、フリースサンプルで実施された、業界で容認されている「スプレー試験」のデータを示し、サンプル1〜3はPVOHおよびN−ビニルホルムアミドコポリマーの30g/L溶液で処理され、サンプル4〜6は処理されていないものである。次いでサンプルに水をスプレーし、目視検査を行って、水が生地に浸透したかまたは浸透するのが防止されたかを決定する。表および図1から明らかにわかるように、サンプル1〜3は、水の浸透がないことを示し、したがって合格の結果が得られ、一方、図2に示される未処理のサンプル4〜6は、水の浸透があり不合格の結果であることを明らかに示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤーン、生地、または衣類と;
ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、エチレンポリビニルアルコール、および/またはこれらの組合せを含む、色落ちしない組成物と
を含む、色落ちしない織物。
【請求項2】
前記ヤーン、生地、および/または衣類に組み込まれている1種または複数の染料をさらに含む、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、エチレンポリビニルアルコールが、前記織物の仕上げ用の結合剤としてさらに働く、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項4】
前記ポリビニルアルコールが、1,000から1,000,000の範囲の分子量を有しかつ1リットル当たり0.1から100グラム(g/L)の範囲の濃度を有する、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項5】
前記色落ちしない組成物が、触媒、消泡剤、柔軟剤、予湿剤、仕上げ液、またはこれらの組合せをさらに含み;前記仕上げ液が、湿潤剤、消泡剤、柔軟剤、相溶化剤、糊、キレート剤、固着剤、緩衝剤、コーティング剤、結合剤、ラテックス、リリース仕上げ剤、酵素、難燃剤、蛍光増白剤、パーマネントプレス剤、抗菌剤、紫外線安定化剤、および/またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項6】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、下記の分子構造を有し
【化1】

(式中:
a=約0から約15モル%;
b=約0.1から約100モル%;
c=約0.1から約100モル%である。);
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、1,000から1,000,000の範囲の分子量を有する、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項7】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、下記の分子構造を有し
【化2】

(式中:
a=約0から約15モル%;
b=約0.1から約100モル%;
c=約0.1から約100モル%;
d=約0.1から約100モル%である。)、
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、1,000から1,000,000の範囲の分子量を有する、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項8】
前記色落ちしない組成物が、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーを含む、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項9】
前記生地が、天然繊維、合成繊維、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項10】
前記ヤーン、生地、または衣類が、CIEAB測定系による色または色の鮮明度に改善をもたらしまたは悪影響を及ぼさない、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項11】
前記ヤーン、生地、または衣類が、湿潤クロックおよび/または乾燥クロックに関するクロック堅牢度評点に対し、少なくともハーフステップ(0.5)からマルチプルステップ(5)の改善をもたらす、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項12】
前記色落ちしない組成物が、耐水性および/または撥水性を前記生地に与えるのに有効である、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項13】
前記色落ちしない組成物が、前記織物の、少なくとも1つの快適さ関連特性を変化させるよう作用する、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項14】
前記色落ちしない組成物が、追加の染料を含有する、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項15】
生地および/または衣類の作製プロセスの仕上げ終了時に、前記色落ちしない組成物で処理される、請求項1に記載の色落ちしない織物。
【請求項16】
染色されたヤーン、生地、または衣類を準備するステップと;
前記ヤーン、生地、または衣類を、10,000から1,000,000の範囲の分子量を有しかつ1リットル当たり0.1から100グラム(g/L)の範囲の濃度を有するポリビニルアルコールで処理するステップと;
前記ヤーン、生地、または衣類を乾燥および/または硬化するステップと
を含む、色落ちしないヤーン、生地、または衣類を生成するための方法。
【請求項17】
前記ヤーン、生地、または衣類を、前記生地を乾燥および/または硬化する前に触媒、消泡剤、柔軟剤、またはこれらの組合せで処理するステップ
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ヤーン、生地、または衣類が、湿潤クロックおよび/または乾燥クロックに関するクロック堅牢度評点に関して少なくともハーフステップ(0.5)からマルチプルステップ(5)の改善をもたらす、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
染色されたヤーン、生地、または衣類を準備するステップと;
前記ヤーン、生地、または衣類を、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せを含む色落ちしない組成物;および/または湿潤剤、および/または金属イオン封鎖剤、および/または触媒、および/または消泡剤、および/または柔軟剤、またはこれらの組合せで処理するステップと;
前記ヤーン、生地、または衣類を乾燥および/または硬化するステップと
を含む、色落ちしないヤーン、生地、または衣類を生成するための方法。
【請求項20】
前記耐クロック性組成物のポリビニルアルコールコポリマーが、下記の分子構造を有し
【化3】

(式中:
a=約0から約15モル%;
b=約0.1から約100モル%;
c=約0.1から約50モル%である。)、
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、10,000から500,000の範囲の分子量を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記色落ちしない組成物のポリビニルアルコールコポリマーが、下記の分子構造を有し
【化4】

(式中、
a=約0から約15モル%;
b=約0.1から約100モル%;
c=約0から約50モル%;
d=約0から約100モル%である。)、
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、10,000から500,000の範囲の分子量を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記色落ちしないヤーン、生地、または衣類が、CIELAB測定系による50から120の範囲の明度(L*)、−20から+20の範囲の緑−赤(a*)、および−20から+20の範囲の青−黄(b*)を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記耐クロック性ヤーン、生地、または衣類が、湿潤クロックに関するグレーインデックス染色スケールを使用してクロック堅牢度評点が少なくともハーフステップ(たとえば、2から2〜3)改善し、かつ/または、乾燥クロックに関するグレーインデックス染色スケールを使用してクロック堅牢度評点が少なくともハーフステップ(たとえば、3から3〜4)改善する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記色落ちしない組成物が、前記織物の少なくとも1つの快適さ関連特性を変化させるよう作用する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記色落ちしない組成物が追加の染料を含有する、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
a.未処理のヤーン、生地、または衣類を、予湿溶液が入っている第1のバットに5から30秒に及ぶ時間浸漬し揺動するステップ;
b.前記未処理のヤーン、生地、または衣類を、前記第1のバットから取り出すステップ;
c.前記未処理のヤーン、生地、または衣類を、0.5から2.5バールの範囲の圧力を有するパダー内に、0.5M/分から2.5M/分の範囲の速度で通すステップ;
d.インジゴ染料が入っている第2のバットを準備するステップ;
e.前記未処理のヤーン、生地、または衣類を、前記第2のバットに5から30秒に及ぶ時間浸漬し揺動することにより、処理済みのヤーン、生地、または衣類を得るステップ;
f.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を前記第2のバットから取り出すステップ;
g.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、0.5から2.5バールの範囲の圧力を有するパダー内に、0.5M/分から2.5M/分の範囲の速度で通すステップ;
h.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、30から120秒間にわたり酸素化するステップ;
i.ステップd〜hを1回または複数回繰り返すステップ;
j.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、前記予湿溶液、水、ポリビニルアルコール、またはこれらの組合せを含む群から選択された物質が入っている第3のバットに、30から120秒に及ぶ時間浸漬し揺動するステップ;
k.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、0.5から2.5バールの範囲の圧力を有するパダー内に、0.5M/分から2.5M/分の範囲の速度で通すステップ;
l.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、30から120秒間にわたり酸素化するステップ;
m.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、前記予湿溶液、水、ポリビニルアルコール、またはこれらの組合せを含む群から選択された物質が入っている第4のバットに、30から120秒に及ぶ時間浸漬し揺動するステップ;
n.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、0.5から2.5バールの範囲の圧力を有するパダー内に、0.5M/分から2.5M/分の範囲の速度で通すステップ;
o.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、30から120秒間にわたり酸素化するステップ;
p.前記処理済みのヤーン、生地、または衣類を、30から120分間にわたり乾燥するステップ
を含む、インジゴ染料で染色されたヤーン、生地、または衣類の色堅牢度を改善するための方法。
【請求項27】
前記予湿溶液が、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、界面活性剤、湿潤剤、金属イオン封鎖剤、触媒、消泡剤、柔軟剤、またはこれらの組合せを含む群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記インジゴ染料が、5g/Lから25g/Lの範囲の濃度を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記インジゴ染料が、10.8から12の範囲のpHを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記未処理のヤーン、生地、または衣類を浸漬する前に、前記予湿溶液または前記インジゴ染料のpHを調節するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記予湿溶液が、20,000から150,000の範囲の分子量を有しかつ下記の分子構造を有する、ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドのコポリマーを含んだポリビニルアルコールコポリマーを含む、請求項27に記載の方法
【化5】

(式中、a=0;b=90〜98;およびc=2〜10である。)。
【請求項32】
前記予湿溶液が、10,000から250,000の範囲の分子量を有しかつ下記の分子構造を有する、ポリビニルアルコールおよびN−ビニルホルムアミドコポリマーを含んだポリビニルアルコールコポリマーを含む、請求項27に記載の方法
【化6】

(式中、a=0;b=84〜92;c=0;およびd=8〜16である。)。
【請求項33】
官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコールを含有するポリマーが、バットおよび/またはロープインジゴ染色レンジの前処理、および/または染浴、および/または後処理段階中に使用される、ロープ染色プロセス。
【請求項34】
官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコール、またはこれらの組合せが、衣類染色プロセスの前処理、および/または染浴、および/または後処理段階中に使用される、衣類染色プロセス。
【請求項35】
官能基を含有していてもよい第1級および第2級アルコール、またはこれらの組合せが、反染めプロセスの前処理、および/または染浴、および/または後処理段階中に使用される、反染めプロセス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−524177(P2012−524177A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505947(P2012−505947)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/031329
【国際公開番号】WO2010/121088
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(500270974)セラニーズ・インターナショナル・コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】