色変換装置、画像形成装置、色変換プログラム、画像形成プログラム、及び、色変換テーブル
【課題】人間の感覚に沿った的確な色変換や色調整を可能とし、従来の装置やシステムに対する整合性、互換性、親和性の向上を図る。
【解決手段】 RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部と、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす立方格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部と、を備える構成としてある。
【解決手段】 RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部と、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす立方格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部と、を備える構成としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力したRGB形式の画像データをCMYK形式の画像データに変換する色変換装置、色変換装置を備え当該色変換装置によって変換されたCMYK形式の画像データを出力する画像形成装置、色変換装置の機能を実行するための色変換プログラム、前記画像形成装置の機能を実行するための画像形成プログラム、及び、色変換に際し用いる色変換テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタ等の画像形成装置においては、印刷を行う場合、入力したRGB形式のカラー画像データを、色変換用のルックアップテーブル(色変換テーブル)を用いて出力可能なCMYK形式の画像データに変換するようにしている。
色変換テーブルは、RGB値とCMYK値との対応付けによって構成されるため、各対応づけを格子点とした直交格子で表すことができる。
図28は、基本色であるRd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)と、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)との対応付け、及び、無彩色であるWh(白)とBk(黒)をそれぞれ格子点とする三次元直交座標系の直交格子によって表されたRGB−CMYKの色変換テーブルの模式図である。
図28に示す直交格子上の各格子点には、RGB値と対応するCMY値が予め割り当てられているため、入力デバイスに係る任意のRGB値に対応する出力デバイスのCMYK値を円滑に導出することができる。
【0003】
しかしながら、人間が脳で理解できる感覚は、RGBの各チャネルの軸方向よりも、WhとBkを結ぶ無彩色軸に沿った方向、無彩色軸を中心とした放射(彩度)方向及び同心(色相)方向の三方向の成分に対して敏感であることが知られている。つまり、人間が色の違いを見分ける感覚は、空間的な距離の大小のみによるものではなく、むしろ、色空間における座標位置に依存することが多い。
具体的には、R,G,Bの各軸に沿った方向の変動よりも、無彩色軸を中心とした放射方向の正確性や、無彩色軸の同心方向の距離の変動の方が、色味を正確に把握するために重要な要素となる。
このため、RGB値とCMYK値とが単に対応付けられた従来の直交格子状の色変換テーブルでは、色に対する人間の感覚が反映されておらず、色再現性に劣ることが問題となっていた。
【0004】
図29は、従来の色変換テーブルの問題を説明するための図であり、図28を、無彩色軸方向から眺めた場合の格子点配置図である。
図29に示すように、無彩色軸を中心とした放射線方向(彩度方向)において、同一色相上に存在する格子点の間隔は不均等に配置されていることがわかる。
例えば、無彩色軸と、Rd、Gr、Bl、Cy、Mg、Yeの各線分上には格子点が5個配置されているが、無彩色軸とCy〜Bl中間点の線分上には格子点が3個しか配置されていない。
また、同心円的視点から眺めてみれば、同一彩度上に存在する格子点の間隔は無彩色軸(中心軸)からの距離により不均等であることがわかる。つまり、彩度の違いによって再現できる色相のバリエーションが異なることを認識することができる。
したがって、このような従来の色変換テーブルによれば、色相ごとに彩度を最適化したり、彩度ごとに色相を最適化したりする色調整は困難であった。
【0005】
そこで、このような従来の色変換テーブルがもつ問題を解決すべく、従来の色変換テーブルに必要な格子点を追加することによって適切な色変換処理を可能とする放射格子状色変換テーブルが提案されている(特許文献2、3参照)。
図30は、特許文献2や特許文献3に記載の放射状の色変換テーブルを無彩色軸方向から眺めたときの格子点配置図である。
図30に示すように、この放射状の色変換テーブルによれば、一定の色相幅ごとに均等に格子点を配置するとともに、一定の彩度幅ごとに均等に格子点を配置するようにしているため、人間が感じる色味や色合いに沿った的確な色調整が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−224158号公報
【特許文献2】特開2009−17097号公報
【特許文献3】特開2009−17098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した放射状の色変換テーブルは、各格子点が、無彩色軸を中心として放射状に配置された形態であるため、直交格子の格子点とは座標位置が根本的に一致しない等、従来の色変換テーブルの使用を前提とするシステムとの整合が考慮されていなかった。
このため、従来の直交格子状の色変換テーブルについて使用されていた色変換や色調整等に関する演算方法、プログラム、アルゴリズム等を利用することできず、このような色変換テーブルを採用してきた既存の装置やシステムとの併用、混成、融合が困難であった。
すなわち、多くの技術者が関連する技術知識を習得し、また、長年に渡る改善を通してアルゴリズムも洗練された結果、ASIC化の展開も容易となった従来の色変換テーブルを利用することによる種々のメリット(例えば、コスト低減等)を得ることはできなかった。
特に、一辺当たりの格子数が同数からなる立方格子の色変換テーブルは広く普及しており、このような立方格子の色変換テーブルやこの色変換テーブルを採用してきた従来の装置やシステムとの整合性、互換性、親和性の改善が求められていた。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、人間の感覚に沿った的確な色変換や色調整を可能としつつ、従来から普及している色変換テーブルやこのような色変換テーブルを備えた既存の装置やシステムに対し高い整合性、互換性、親和性を備えた立方格子型色変換テーブル、この立方格子型色変換テーブルを生成し、色変換を行う色変換装置、この色変換装置にさらに画像データの出力手段を備えた画像形成装置、前記立方格子型色変換テーブルを生成し、色変換を行わせるための色変換プログラム、及び、この色変換プログラムの機能に加え画像データを出力させるための画像形成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の色変換装置は、RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部と、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部と、RGB形式の画像データを入力する画像情報入力部と、入力したRGB形式の画像データを、前記直交格子型色変換テーブルを用いてCMYK形式の画像データに変換する色変換処理部と、を備える。
ここで、前記格子点配置部は、RGB値からCMYK値への色変換において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点とする直交格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは任意の正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成し、前記色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに、BkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって、前記放射状の色変換テーブルを生成する。
そして、前記色変換テーブル再編処理部は、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす前記直交格子型色変換テーブルを生成する構成としてある。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記色変換装置を備えるとともに、当該色変換装置によって色変換されたCMYK形式の画像データを出力する画像情報出力部を備えた構成としてある。
【0011】
また、本発明の色変換プログラムは、コンピュータを、RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部、RGB形式の画像データを入力する画像情報入力部、及び、入力したRGB形式の画像データを、前記直交格子型色変換テーブルを用いてCMYK形式の画像データに変換する色変換処理部、として機能させるとともに、前記格子点配置部に、RGB値からCMYK値への色変換において、三次元の直交座標によって表されるRGB−CMYK空間において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点とする直交格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは任意の正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成させ、前記色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに、BkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって、前記放射状の色変換テーブルを生成させ、前記色変換テーブル再編処理部に、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす前記直交格子型色変換テーブルを生成させるようにしてある。
【0012】
また、本発明の画像形成プログラムは、前記色変換プログラムの機能を備え、当該色変換プログラムの機能により、コンピュータに、色変換されたCMYK形式の画像データを出力させるようにしてある。
【0013】
また、本発明の色変換テーブルは、入力したRGB形式の画像データを、CMYK形式の画像データに変換するための色変換テーブルであって、RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点が、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置されて放射状の格子点群を形成し、当該格子点群の同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層されて前記格子点が直交格子を形成するうえにおいて、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)からなる線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは正の整数)に分割して生成される所定の色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに形成されるBkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点が配置された放射状の格子点群を形成し、当該格子点群の同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層が色相順に積層されて前記格子点が立方格子を形成するようにしてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の色変換装置、画像形成装置、色変換プログラム、画像形成プログラム及び色変換テーブルによれば、人間の感覚に合った的確な色変換や色調整を行うことができるとともに、既存の装置やシステムに対する高い整合性、互換性、親和性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る色変換装置及び画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る立方格子型色変換テーブルの生成方法を示したフローチャートである。
【図3】三次元直交座標系の色空間におけるRGB値とCMY値との対応付けを示す立方格子の図である。
【図4】Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)の隣接する6点間を1/N(N=4)の等間隔に分割することによって得られる色域彩度エッジ点群を示す図である。
【図5】ベクトルBkPiとベクトルBkPi’とによって形成される閉領域(四角形領域BkPiWhPi')を示す図である。
【図6】BkPiWhPi’の四角形領域を1/3N(N=4)の等間隔に分割したときの交差位置に配置した格子点群を示す図である。
【図7】すべての格子点が配置された立方格子(放射状の色変換テーブル)を示す図である。
【図8】図7を無彩色軸の方向から眺めたときの格子点の配置を示す図である。
【図9】図8に示す色相環において、色相角ごとにIDを付した図である。
【図10】各色相層を無彩色軸のWh側又はBk側の斜め方向から眺めたときの図である。
【図11】各色相層を一IDごとに表した図である。
【図12】一の色相層を無彩色軸方向から眺めた図である。
【図13】図12に示す色相層を斜め方向から眺めた図である。
【図14】各色相層をID順(色相順)に並べた図である。
【図15】立方格子型色変換テーブルを示す図である。
【図16】最初の色相層と最終の色相層を示す図である。
【図17】本実施形態に係る色変換装置又は画像形成装置における色変換方法を示したフローチャートである。
【図18】被変換点の出力色値を求めるための第一の補間方法を示したフローチャートである。
【図19】被変換点Aが属する色相面Sa、色相面Saにおける仮想格子点群Saij、及び、色相区間的に被変換点A(色相面Sa)を挟む2つの色相層Sn、Sn+1を示す図である。
【図20】被変換点Aの包含領域を特定する方法を説明するための図である。
【図21】被変換点Aの領域ブロックBCDEにおける位置関係を示した図である。
【図22】被変換点Aを包含する三角形領域を特定する方法を説明するための図である。
【図23】被変換点Aを包含する三角形領域にもとづき被変換点Aを求める方法を説明するための図である。
【図24】被変換点の出力色値を求めるための第二の補間方法を示したフローチャートである。
【図25】立方体(8点)補間法(a)及び三角柱(6点)補間法を説明するための図である。
【図26】写像点A'nを求める方法を説明するための図である。
【図27】写像点A'n、A'n+1にもとづき被変換点Aを求める方法を説明するための図である。
【図28】三次元直交座標系の直交格子によって表されたRGB−CMYKの色変換テーブルの模式図である。
【図29】従来の色変換テーブルの問題を説明するための図である。
【図30】放射状の色変換テーブルを無彩色軸方向から眺めたときの格子点配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(色変換装置、画像形成装置)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る色変換装置及び画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すとおり、本実施形態の画像形成装置11は、画像情報入力部101、格子点配置部102、色変換テーブル再編処理部103、色変換処理部104及び記憶部105からなる色変換装置10と、画像情報出力部106によって構成される。
以下、各構成部について説明する。
【0017】
画像情報入力部101は、フルカラー画像等の画像データを入力する。具体的には、RGB形式の画像データを、外部のホストコンピュータ(不図示)から入力したり、スキャナー(不図示)で読み取って取得したり、USBメモリ(不図示)などの可搬型記憶装置から取り出す役割を有する。
【0018】
格子点配置部102は、RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルTaを生成する。
具体的には、RGB値からCMYK値への色変換において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点として表される立方格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは任意の正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成し、この色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、各組み合わせごとに、BkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割したときの交差位置に格子点を配置して放射状の色変換テーブルTaを生成する。
なお、放射状の色変換テーブルTaの生成方法については、後記「直交格子型色変換テーブルの生成方法」の該当箇所(ステップ1)において詳細に説明する。
【0019】
色変換テーブル再編処理部103は、放射状の色変換テーブルTaの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルTbを生成する。
特に、本実施形態においては、一辺あたりの格子数が等しい立方格子型色変換テーブルTbを生成することを特徴とする。
すなわち、格子点配置部102により生成された格子点群において、無彩色軸を含み、これを共通軸とし、RGB値からCMYK値への色変換において、同一色相面及びその補色色相の格子点群を1グループとして層別した後、各グループ毎に着目色相上の格子点群とその補色色相との組みにして色相層を形成し、これらを一旦、分解して取り出した後、各組の色相層を色相順に階層的に積み重ねる。
このようにすることで、無彩色軸に対し放射状であった格子点の配置を、従来の立方格子状の色変換テーブルの各格子点の配置にあうように構成し直すものである。
【0020】
なお、着目色相とその補色色相との組み合わせからなる色相層を、色相順に階層的に積み重ねる際、つまり、色相角を時計回りあるいは反時計回りに色相順に階層的に積み重ねる際には、色相角は全周で360°であるため、各色相層を約180°回転分積み重ねることで全格子点を網羅することができる。
また、最初の色相層(最初の着目色相とその補色色相からなる色相層)における行方向の格子点と列方向の格子点の座標を反転して作った行列の格子点群からなる色相層を最終の色相層とすることができる。このため、最終の色相層の生成に係る演算負荷を軽減することができる(図16参照)。
【0021】
色変換処理部104は、画像情報入力部101により入力したRGB形式の画像データを、直交格子型色変換テーブルTbを用いてCMYK形式の画像データに変換する。
【0022】
記憶部105は、メモリ、ハードディスク等の記憶媒体からなり、放射状の色変換テーブルTaや立方格子型色変換テーブルTbを記憶したり、色変換処理部104の色変換処理によって生成されたCMYK形式の画像データを一時的に記憶したりする。
【0023】
画像情報出力部106は、いわゆる印刷エンジン等によって構成され、色変換装置10の記憶部105に記憶されているCMYK形式の画像データの印刷処理を実行する。
例えば、ページ当たりの画像データが記憶部105に記憶されると、予め帯電させた感光ドラム(不図示)に対する露光処理を行ってその画像データの潜像を形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成し、印刷用紙等に転写・定着する工程等を経て印刷処理を実行する。
なお、画像情報出力部106は、他の画像形成装置など外部の装置に対して画像データ出力する送信装置等も該当する。
【0024】
(立方格子型色変換テーブルの生成方法)
次に、本実施形態に係る立方格子型色変換テーブルTbの生成方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る立方格子型色変換テーブルの生成方法を示したフローチャートである。
図2に示すように、まず、まず、放射状格子点群(放射状の色変換テーブルTa)の生成処理を行い(ステップ1)、次いで、生成した放射格子点群(放射状の色変換テーブルTa)の分解処理を行い(ステップ2)、格子点群を層ごとに積み重ねることで階層構造化処理を行う(ステップ3)ことによって、立方格子型色変換テーブルTbを生成する。
【0025】
(ステップ1:放射状格子点群(放射状の色変換テーブルTa)の生成)
ステップ1においては、格子点配置部102が、基準6色の各格子点の間、即ち、線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、線分MgRdの各線分間を等間隔に分割して格子点(色域彩度エッジ点)を増点する処理を行う。
図3は、三次元直交座標系の色空間におけるRGB値とCMY値との対応付けを示す直交格子の図である。
格子点配置部102は、図3に示す立方格子に対し、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)の隣接する6点間をN等分(Nは任意の正の整数)に分割して色域彩度エッジ点群を求め、このうち任意の点(彩度飽和点P)から色相角180°分を抽出した点群を求める。
図4は、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)の隣接する6点間をN等分(N=4)に分割すること(すなわち、ピッチ1/Nの等間隔で分割すること)によって得られる色域彩度エッジ点群を示す図である。
【0026】
次に、黒点Bk:{0,0,0}を始点としたうえで、色域彩度エッジ点群のうちの任意点(彩度飽和点P)とその補色点(補色彩度飽和点P’)の2点をそれぞれ終点とする2ベクトルによって形成される閉領域を考える。
すなわち、BkPWhP’からなる四角形領域で表される色相面を考える。
図5は、ベクトルBkPiとベクトルBkPi’とによって形成される閉領域、すなわち、BkPiWhPi’からなる四角形領域を示す図である。なお、iは、分割数Nに応じた整数である。
【0027】
そして、格子点配置部102は、この四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を均等に分割したときの交差位置に格子点を形成することによって、放射状格子点群(放射状の色変換テーブルTa)を生成する。
図6は、BkPiWhPi’からなる四角形領域(色相面)をM等分(M=3N)等分に分割したとき(すなわち、ピッチ1/Mの等間隔で分割したときの)の交差位置に配置される格子点群を示す図である。
具体的には、次式(1)にもとづき各色相面上の格子点群を算出する。
Grid(x)=g・E[θ]+h・E[π+θ] ・・・・・(1)
(但し、g、hは0〜1までのピッチ(1/3N)の少数数列の全組み合わせを示す。)
格子点配置部102は、上記算出処理を各彩度飽和点Piと補色彩度飽和点Pi’の組み合わせごと、つまり、iの取り得る値について行うことですべての格子点群を配置し、この結果、各格子点が無彩色軸を中心に放射方向に均等に配置されるように、色相毎に配置された放射状の色変換テーブルTaを生成することができる。
【0028】
ここで、放射状の色変換テーブルTaにおける各格子点の具体的な配置方法について一例を挙げて説明する。なお、本例において、基本6点間の分割数N及び色相面の分割数Mは、N=4、M=4とする。
色域彩度エッジ点群のうち、色相角180°分を抽出した点群(Ex群)は、次式(2)によって求めることができる。
Ex群=(1−ρ)・E[i]+ρ・E[i+1] ・・・・・(2)
(但し、ρは、0〜1までピッチ1/Nで与えられる数列を示す。)
【0029】
例えば、基本6色のうち色相的に連続する4点として、赤{1,0,0}、マゼンタ{1,0,1}、青{0,0,1}、シアン{0,1,1}を選択し、隣接する各点間をピッチ1/Nの等間隔に分割すると各線分間における色域彩度エッジ点群は、下記(i)〜(iii)のように算出される。
【0030】
(i)赤〜マゼンタの色域彩度エッジ点群:Ex[r-mg]
この場合、E[i]={1,0,0}、E[i+1]={1,0,1}、ρ={0,1/4,2/4,3/4,4/4}を、式(1)に代入する。
これにより、Ex[r-mg]:{1,0,0}、{1,0,1/4}、{1,0,1/2}、{1,0,3/4}、{1,0,1}となる。
つまり、この間の色域彩度エッジ点の数は、5個(=N+1)となる。
(ii)マゼンタ〜青の色域彩度エッジ点群:Ex[mg-b]
この場合、E[i]={1,0,1}、E[i+1]={0,0,1}、ρ={0,1/4,2/4,3/4,4/4}を、式(1)に代入する。これにより、Ex[mg-b]は、次のようになる。
Ex[mg-b]:{1,0,1}、{1/4,0,1}、{1/2,0,1}、{3/4,0,1}、{0,0,1}
つまり、この間の色域彩度エッジ点の数は、5個(=N+1)となる。
(iii)青〜シアンの色域彩度エッジ点群:Ex[b-cy]
この場合、E[i]={0,0,1}、E[i+1]={0,1,1}、ρ={0,1/4,2/4,3/4,4/4}を、式(1)に代入する。これにより、Ex[b-cy]は次のようになる。
Ex[b-cy]:{0,0,1}、{0,1/4,1}、{0,1/2,1}、{0,3/4,1}、{0,1,1}
つまり、この間の色域彩度エッジ点の数は、5個(=N+1)となる。
【0031】
したがって、(i)〜(iii)から、区間結合箇所に生ずる重複点を排除しつつ、これらを合わせると、色相角180°分に相当する赤〜シアンの色域彩度エッジ点群E[r-cy]は、次のようになる。
E[r-cy]:{1,0,0}、{1,0,1/4}、{1,0,1/2}、{1,0,3/4}、{1,0,1}、{1/4,0,1}、{1/2,0,1}、{3/4,0,1}、{0,0,1}、{0,1/4,1}、{0,1/2,1}、{0,3/4,1}、{0,1,1}
つまり、この場合(N=4の場合)、色相角180°分の色域彩度エッジ点群は、13点(3N+1)となる。
【0032】
なお、上記以外でも、ρの数列設定において、0〜1までを1/Nピッチの数列とせず、0〜(1−1/N)までを1/Nピッチの数列として、Ex[r-mg]’、Ex[mg-b]’、Ex[b-cy]’を算出した後、これらを合成し、さらに、赤の補色色相の最大彩度点を加えることによっても、色相角180°分に相当する赤〜シアンの色域彩度エッジ点群:E[r-cy]を求めることができる。
【0033】
次に、格子点配置部102は、このようにして求めた色相各180°分の色域彩度エッジ点群に対し、そのうちの1点とその補色点をそれぞれ終点とし、黒点をそれぞれの始点とする2ベクトルを各々1/3Nの等間隔に分割したものを網羅的にベクトル加算した位置に格子点を配置するようにする。
すなわち、分割する比率をτとして、0〜1をピッチ1/M=1/3Nで等間隔に分割した場合の数列は、本例の場合、N=4なので、τ[4]:{0,1/12,2/12,3/12,...,11/12,1}となり、格子点数は13個(=M+1)となる。。
例えば、色域彩度エッジ点群のうちの1点が、赤{1,0,0}の場合、その補色色相の最大彩度点は{1,1,1}−{1,0,0}={0,1,1}(つまりシアン)として求めることができる。黒点はBk{0,0,0}なので、赤の色相とその補色色相からなる色相面上の格子点群Grid[{1,0,0}]は、前記した式(1)を用い以下のように表すことができる。
Grid[{1,0,0}]=g・{1,0,0}+h・{0,1,1}
但し、g、hは、τが取り得る値に対するすべての組み合わせについて適用する。
【0034】
この場合、gとhの組み合わせ{g,h}は、
{g,h}:{0,0}、{0,1/12}、{0,2/12}、・・・中略・・・、{0,12/12}、{1/12,0}、{1/12,1/12}、{1/12,2/12}、・・・中略・・・、{1/12,12/12}、{2/12,0}、{2/12,1/12}、{2/12,2/12}、・・・中略・・・、{2/12,12/12}、・・・・・中略・・・・・、{12/12,0}、{12/12,1/12}、{12/12,2/12}、・・・中略・・・、{12/12,12/12}となり、
格子点群Grid[{1,0,0}]は、
Grid[{1,0,0}]:{0,0,0}、{0,1/12,1/12}、・・・中略・・・、{0,1,1}、{1/12,0,0}、{1/12,1/12,1/12}、・・・中略・・・、{1/12,1,1}、{1/6,0,0}、{1/6,1/12,1/12}、・・・中略・・・、{1/6,1,1}、・・・・・中略・・・・・、{1,0,0}、{1,1/12,1/12}、・・・中略・・・、{1,1,1}となり、169点の格子点が一色相面上に配置されることになる。
【0035】
つまり、一色相面に対し、(M+1)2=(3N+1)2個の格子点が生成されることになる。
同様に、180°の範囲内の他の各色域彩度エッジ点に対し、上記格子点を生成し、これらを配置することで放射状の格子点群(放射状の色変換テーブルTa)が形成されることになる。
そして、一色相面を一色相層として、これを(3N+1)層積み重ねることによって形成される立方格子型色変換テーブルにおける格子点の総数は、(3N+1)・(3N+1)2で求めることができ、本例の場合(N=4の場合)、格子点の総数は、(3×4+1)3=2197となる。
【0036】
図7は、すべての格子点が配置された直交格子(放射状の色変換テーブルTa)の様子を示す図であり、図8は、図7を無彩色軸の方向から眺めたときの格子点の配置を示す図である。なお、図7は、図面の見やすさを考慮して325点の格子点からなる直交格子を示している。これらの図に示すように、従来の直交格子状の色変換テーブルの枠組み内において各色値の変換点を工夫することによって、無彩色軸を中心にして放射状に格子点が均等に配置された色変換テーブルTaを生成することができる。
【0037】
ところで、本実施形態に係る立方格子型色変換テーブルは、立方格子の高さ(z)成分である層数(3N+1)と、縦横(xy)成分である色相面の一辺当たりの格子点数M+1は、同数である必要がある。
このため、放射状の色変換テーブルの生成に際しては、M=3Nとして色相面の各辺を分割する必要がある。
また、放射状の変換テーブルTaが、基本6色(RGBCMY)にもとづいて形成されることを考慮すると、Mは演算上6の倍数(6t:tは任意の整数)であることが好ましい。つまり、この場合、一色相面(一色相層)上の格子点数は、(6t+1)2となり、立方格子型色変換テーブルTb全体としては、(6t+1)3個の格子点となる。
また、直交格子型色変換テーブルTbにおける高速処理性の観点からメモリ構成や回路構成的な都合を考慮すると、Mは演算上8の倍数(8t)であることが好ましい。つまり、この場合、一色相面(一色相層)上の格子点数は、(8t+1)2となり、立方格子型色変換テーブルTb全体としては、(8t+1)3個の格子点となる。
さらに、これらの条件をともに考慮すると、Mは演算上24の倍数(24は、6と8の最小公倍数)であることがより好ましい。この場合、一色相面(一色相層)上の格子点数は、(24t+1)2となり、立方格子型色変換テーブルTb全体としては、(24t+1)3個の格子点となる。
例えば、M=24とした場合、一色相面における一辺当たりの格子数は25(=M+1)となり、一色相面当たりの格子点数は625(=25×25)となり、これを立方格子にするには、Nを8(=24÷3)にして基本6点間を分割する必要がある。
これにより、25×25×25の格子点群からなる立方格子を形成することができる。
【0038】
(ステップ2:放射状格子点群の分解処理)
ステップ2においては、色変換テーブル再編処理部103が、放射状の色変換テーブルTaにおける各格子点を、任意の彩度飽和点Pとその補色点(補色彩度飽和点P’)からなる色相層ごと分解する。
すなわち、放射状の色変換テーブルTaにおける同一の色相面及びその補色色相面からなる一面を一色相層として色相層ごとに分解する。
図9は、図8に示す色相環において、一定の色相角ごとにIDを付した図である。
図9においては、赤の色相に対してθ1を付し、以降、一定色相角ごとにθ2、θ3、...、θ12というように順にIDを付し、赤の補色であるシアンの色相にθ1+πを付し、以降、θ2〜θ12に対応して、一定色相角ごとにθ2+π、θ3+π、...、θ12+πというように順にIDを付している。
図9に示すθの色相とθ+πの色相は、互いに補色の関係にあることを示している。
【0039】
図10は、各色相層を無彩色軸のWh側又はBk側の斜め方向から眺めたときの図である。
図11は、各色相層を一IDごとに表した図である。
色変換テーブル再編処理部103は、放射状の色変換テーブルTaをなす格子群からこれらの各色相面を分解して取り出す。
図12は、一の色相層を無彩色軸方向から眺めた図であり、図13は、図12に示す色相層を斜め方向から眺めた図である。
すなわち、これらの図に示すように、一の色相層は、任意の色相(θi)に係る一の色相面とその補色の色相(θi+π)に係る色相面とは同一平面上にあり、これらが無彩色軸を対称軸として線対称に合わさって一の色相層(θi)が形成される。
図14は、各色相層をID順に並べた図である。
本実施形態のように、分割ピッチ数が1/3N(N=4)の場合、θ1〜θ13までの13個の色相層を取り出すことができる。
【0040】
(ステップ3:階層構造化処理)
そして、色変換テーブル再編処理部103は、取り出した各色相層をID順(色相順)に積層することで放射状格子点群が階層構造化された立方格子型色変換テーブルTbを生成する。
図15は、立方格子型色変換テーブルTbを示す図である。
すなわち、図15に示すように、IDθ1〜θ13が付されたS1〜S13の各色相層をID順(降順又は昇順)に積み重ねることによって、三次元の立方格子型色変換テーブルTbを生成することができる。
【0041】
なお、図16は、最初の色相層と最終の色相層を示す図である。
図16に示すように、最初の色相層(θ1)と最終の色相層(θ13)とは、お互いの格子点群の配置が無彩色軸(Wh〜Bk)を対称軸として線対称の関係が成り立つ。
このため、最終の色相層については、最初の色相層における格子点群の座標情報のみを入れ替えたものを積み重ねるようにすることもできる。
すなわち、θ1〜θ13の色相層をすべて分解して取り出すのではなく、θ1〜θ12の色相層を生成し、これにθ1の色相層の格子点群を無彩色軸を基準に反転させて配置した色相層(θ13)を足すことによっても、θ1〜θ13の13個の色相層を生成することができる。
このようにすると、最終の色相層上の格子点群を生成する処理や、生成された最終の色相層を分解して格子点群を取り出すのに必要な処理負荷を軽減することができる。
【0042】
ここで、立方格子型色変換テーブルTbを生成するに当たり、各格子点のRGB値と対応するCMYK値とを割り当てる方法について説明する。
まず、CMYKの4色のインクでフルカラー印刷を行うカラープリンタなどの画像形成装置において、CMYK値の色値を様々に組み合わせてカラーパッチを作成し、これを測色してCMYK値とデバイス非依存の表色系の値とを対応付け、さらに、これを逆変換することで「デバイス非依存の表色系の色度値とこれに相当するCMYK値の対応付け」を予め作成する。
例えば、カラーパッチを、{0,20,40,60,80,100}のように線形等間隔にCMYK値を設定し、{0,10,20,40,70,100}のように非線形にCMYK値を設定し、あるいは、墨量にもとづいて層別した後、CMY値にもとづく放射状の格子点群を生成し、CMY値と層別した墨量に係るBk値とを組み合わせて様々なCMYK値を設定して様々なカラーパッチを印刷し、印刷したカラーパッチのCMYK値と、これを測色して得たデバイス非依存の色度値とを対応付けたテーブルを作成する。
【0043】
次に、放射状の色変換テーブルTaの各格子点について、RGB値に相当するデバイス非依存の表色系の色度値(CIE-XYZ、CIE-Labなど)を求める。RGB値に相当するデバイス非依存の表色系の色度値は、RGB値の由来デバイスの特性や特徴を記したデバイス・プロファイル(ICC Profileなど)を用いて求めたり、RGB値がsRGBやAdobeRGBなど、既に仕様が公開された標準データである場合には、その定義にしたがい、放射状の色変換テーブルを構成する各格子点のRGB値を代入することで求めることができる。
また、RGB値が定義する色空間は、出力デバイスの色空間と形状的に相違するのが通常であり、入出力デバイス間の写像は、デバイス非依存の色空間上において非線形に座標変換されるため、このように非線形座標に変換された後の値を、前記「RGB値に相当するデバイス非依存の表色系の色度値」として定義することもできる。
【0044】
放射状の色変換テーブルTaの格子点について求めた「RGB値とこれに相当するデバイス非依存の表色系の色度値」を、予め作成した「デバイス非依存の表色系の色度値とこれに相当するCMYK値の対応付け」に代入して変換し、必要な場合には内挿補間を行うことによってCMYK値を求める。
そして、求めたCMYK値を、元の放射状の色変換テーブルTaの格子点におけるRGB値に対応づけることによって、立方格子型色変換テーブルTbの該当格子点におけるRGB値とCMYK値との割り当てが完了する。
【0045】
このように、本実施形態の色変換装置、画像形成装置によれば、明度、彩度、色相の各成分にもとづく放射状の色変換テーブルTaの特性を維持しつつ、これを従来の立方格子状の色変換テーブルの形式に合わせた立方格子型色変換テーブルTbを用いて色変換を行うようにしている。
このため、人間の色に対する感覚に合った的確な色変換や色調整が可能となるとともに、既存の装置やシステムに対し高い整合性、互換性、親和性を有する。
【0046】
(色変換方法)
次に、前述した色変換装置又は画像形成装置における色変換方法について説明する。
図17は、本実施形態に係る色変換装置又は画像形成装置における色変換方法を示したフローチャートである。
図17に示すように、まず、画像情報入力部101が、RGB形式の画像データの入力処理を行う(ステップ11)
【0047】
つぎに、色変換処理部104は、入力された画像データの各画素のRGB値をCMYK値に変換するにあたり、注目画素の所属領域を特定し(ステップ12)、特定した所属領域を用いた補間計算によって注目画素の色変換を行う(ステップ13)。
補間による色変換を介して得られたCMYK値は記憶部105に記憶される(ステップ14)。
なお、一定の画素分(例えば、単位ページ分の画素分)のCMYK値が記憶されると、画像情報出力部106は、記憶部105から画像データを取り出し出力される。
【0048】
(補間処理)
ここで、ステップ12〜13における補間処理について詳細に説明する。
なお、ここでは、具体的な補間処理の方法として、第一の補間方法と第二の補間方法について説明する。
これらの補間方法は、被変換点が直交格子型色変換テーブルTbの各格子点と一致するか否かに拘わらず、非変換点の色変換処理を可能とするものである。これにより、非変換点が格子点と一致するか否かの判別工程を経ることなく円滑に色変換処理を行うことができる。
【0049】
(第一の補間方法)
図18は、被変換点である注目画素の出力色値を求めるための第一の補間方法を示したフローチャートである。
図18に示すように、ここでは、まず、色相区間的に被変換点Aを挟む2つの色相層(隣接色相層、すなわち、被変換点Aの時計回り、反時計回りの各近傍の放射状色相面)上の格子点群の座標とこれらの色相角、及び、被変換点Aの色相角にもとづいて、変換点Aの色相面における前記格子点群に相当する仮想格子点群」を求める(ステップ21)。
図19は、被変換点Aが属する色相面Sa、色相面Saにおける仮想格子点群Saij、及び、色相区間的に被変換点A(色相面Sa)を挟む2つの色相層Sn、Sn+1を示す図である。
図19に示すように、仮想格子点(群)Saijは、色相的に連続する色相層Snと色相層Sn+1との間に挟まれた色相面Saに存在する格子点群とみなすことができる。
なお、図19(a)は、色相面Saと色相層Sn、Sn+1の全体を表した図であり、図19(b)は、図19(a)の部分拡大図である。
【0050】
このため、被変換点Aの色相面Saにおける仮想格子点群Saijは、色相層Snにおける格子点群Snijと、色相層Sn+1における格子点群Sn+1ijと、色相層Snと色相面Saとの色相角Δφnと色相層Sn+1と色相面Saとの色相角Δφn+1とにもとづき、次式(3)によって算出することができる。
Saij=Sn+1ij・Δφn/(Δφn+Δφn+1)+Snij・Δφn+1/(Δφn+Δφn+1)
・・・・・(3)
また、上記(3)式において、Δφn、Δφn+1は、次式(4)によって求めることができる。
{Δφn,Δφn+1}={|θn−θa|,|θa−θn+1|} ・・・・・(4)
なお、換算精度的に{Δφn,Δφn+1}が、十分に小さくなく、sinΔφn≒Δφn、sinΔφn+1≒Δφn+1とみなせない場合など、より高い精度を求める場合には、次式(5)によってSaijを算出することができる。
Saij=Sn+1ij・HSnij・sinΔφn/(HSnij・sinΔφn+HSn+1ij・sinΔφn+1)+SnijHSn+1・sinΔφn+1/(HSn・sinΔφn+HSn+1・sinΔφn+1)
・・・・・(5)
(但し、Hは、格子点群Snij、Sn+1ijに含まれる格子点から無彩色軸に下ろした垂線の足に相当する点であり、HSnij、HSn+1ijは、無彩色軸上の点Hから各格子点までの距離を示す。)
【0051】
次に、色相面Saにおいて、BkA↑=p・BkP↑+q・BkP’↑・・・(6)
となる成分比{p,q}を求める(ステップ22)。(但し、↑はベクトルを示す。以下、同じ。)
成分比{p,q}は、チャネル成分ごとに上記の式(6)の方程式を立て、これを連立して解くことにより算出することができる。ここでは、成分比{p,q}={0.7,0.35}が算出されたものとする。
続いて、成分比{p,q}を色相層Sn、Sn+1の一辺の分割数で割り、整数部と小数部を抽出し(ステップ23)、整数部と小数部を用いて被変換点Aの包含領域の特定を行う(ステップ24,25)。
【0052】
図20は、被変換点Aの包含領域を特定する方法を説明するための図である。
なお、ここでは、任意の色相層における四角形領域BkPWhP’における被変換点Aの包含領域を特定する方法について説明する。
図20に示すように、色相層の四角形領域の各辺を分割ピッチ(1/M=1/4)で分割しているので、成分比{0.7,0.35}をこの分割ピッチで割って、pに関する整数部Ip・小数部Fpとqに関する整数部Iq・小数部Fqを算出する。
この結果、Ip=2、Fp=0.8、Iq=1、Fq=0.4と算出される。
ここで、整数部は、Bkから数えて何番目の領域ブロックに包含されるかを示し、また、小数部は、包含領域ブロックにおける被変換点Aの格子点間分割比を示す。
【0053】
このため、p=Ip+Fp、q=Iq+Fqと表した場合、被変換点Aは、Bkから数えて{Ip,Iq}={2,1}番目の領域ブロックBCDEに存在し、かつ、その領域ブロックBCDEにおいて、格子点間を{Fp,Fq}={0.8,0.4}の分割比にて分割する位置に配置されることを認識することができる。
すなわち、これにより、非変換点Aの包含領域(所属領域)を特定することができる。
【0054】
そして、特定した包含領域にもとづき被変換点Aの出力色値(CMYK値)を求める(ステップ26)。
具体的には、被変換点Aの領域ブロックBCDEにおける位置関係は、図21に示すようになるため、被変換点Aの出力色値は、既知座標である各格子点B,C,D,Eに係るCMYK値にもとづき、次式(7)によって算出することができる。
A=(1−Fp)・(1−Fq)・B+Fp・(1−Fq)・C+Fp・Fq・D+(1−Fp)・FqE ・・・・・(7)
【0055】
被変換点Aの出力色値は、他の方法によって求めることもできる。
まず、被変換点Aの包含領域ブロック{Ip,Iq}を特定した後、FpとFqの大小を比較することで被変換点Aが存在する三角形領域を特定する。
具体的には、Fp≦Fqの場合、被変換点Aは△BDC領域に包含され、Fp>Fqの場合、被変換点Aは△BDE領域に包含されると判断することができる。
例えば、図22に示すように、Fp≦Fqである場合、被変換点Aを包含する三角形領域は△BDCと特定することができる。
そして、このような判断によって特定した三角形領域を構成する3つの格子点情報とその三角形領域における被変換点Aが面積的に分割する比率とから、被変換点AのCMYK値を算出することができる。
【0056】
図23は、被変換点Aを包含する三角形領域にもとづき被変換点Aを求める方法を説明するための図である。
具体的には、被変換点Aを包含する三角形(領域)が△BCDであるとした場合、△BCDの各頂点の対辺を底辺として被変換点Aを頂点とする3つの三角形の△BCDに対する面積比を求め、これらと頂点座標を掛けた後、合成することで被変換点Aの座標を求めることができる。
すなわち、被変換点Aの出力色値は、既知座標である各格子点B,C,Dに係るCMYK値にもとづき、次式(8)によって算出することができる。
A=α・B+β・C+γ・D ・・・・・(8)
(但し、α=△ACDの面積/△BCDの面積、β=△ABDの面積/△BCDの面積、γ=△ABCの面積/△BCDの面積)
なお、三角形の面積は、例えば、3点のうちの1点を始点として残りの2点を終点とする2ベクトルを求め、これらの外積を0.5倍して求めることができる。また、各辺の長さを求めてヘロンの公式を適用して求めることもできる。
【0057】
(第二の補間方法)
図24は、第二の補間方法を示したフローチャートである。
なお、ここでは、図25に示すように、被変換点Aを包含する直方体又は立方体の頂点相当する8点による立方体補間法(a)や、その直方体や立方体の対角線方向に沿って分割してできる三角柱のうち被変換点Aを内包する三角柱の頂点に相当する6点による三角柱補間法にもとづいて被変換点Aを求めることができる。
すなわち、色相面Saを挟む隣接色相層Sn、Sn+1(つまり、被変換点Aの時計回り、反時計回りの各近傍の放射状色相面)における被変換点Aの写像点A'n、A'n+1を包含する四角形領域又は三角形領域と被変換点Aの配置関係を求め、Sn〜Sn+1におけるSaの内分比率にもとづき被変換点Aを求める。
【0058】
図24に示すように、ここでは、まず、被変換点Aの色相の最大彩度を求める(ステップ31)。
被変換点Aの色相(すなわち、非変換点Aと同一の色相)の最大彩度点(彩度飽和点)Pは、次式(9)によって算出することができる。
P=(A−Min[A])/Max[(A−Min[A])] ・・・・・(9)
(但し、Min[A]は、非変換点A:{Ax,Ay,Az}座標の三成分のうちの最小値を示す。また、A−Min[A]は、被変換点Aの各座標成分から被変換点A座標の三成分のうちの最小値を差し引いたものであり、Max[(A−Min[A])]は、A−Min[A]の三成分のうちの最大値を示す。)
次に、前ステップで求めた最大彩度の補色を求める(ステップ32)。
補色点(補色彩度飽和点)P’は、次式(10)によって算出することができる。
P’={1,1,1}−P ・・・・・(10)
例えば、最大彩度点P={1,0,0}(赤)の場合の補色点P’は、P’={1,1,1}−{1,0,0}={0,1,1}(シアン)となる。
続いて、BkA↑=p・BkP↑+q・BkP’↑となる成分比{p,q}を求め(ステップ33)、成分比{p,q}を色相層Sn、Sn+1の一辺の分割数(M)で割り、整数部と小数部を抽出する(ステップ34)。
なお、上記ステップ33〜34は、図18におけるステップ22〜23に相当する。このため、これら各ステップの詳細な説明は省略する。
【0059】
次に、色相区間的に被変換点Aを挟む2つの色相層Sn、Sn+1における被変換点Aの写像点A'n、A'n+1が属する領域を特定する(ステップ35)。
この特定方法は、前述の第一の補間方法における「被変換点Aの包含領域の特定方法」(ステップ23〜25)と同様の方法を用いる。
すなわち、ステップ34で求めた整数部{Ip,Iq}を用いて、色相層Snにおいて写像点A'nを包含する領域ブロックBnCnDnEnを特定する。
同様に、色相層Sn+1において写像点A'n+1を包含する領域ブロックBn+1Cn+1Dn+1En+1を特定する。
これにより、立方体補間法に必要な頂点8点(BnCnDnEn、Bn+1Cn+1Dn+1En+1)を求めることができる。
なお、三角柱補間法による場合は、三角柱の頂点に相当する6点(BnCnDn、Bn+1Cn+1Dn+1)を前述した三角形領域を特定する方法(図22及び該当する説明参照)によって求めることができる。
【0060】
続いて、写像点A'n、A'n+1を求める(ステップ36)。
写像点A'n、A'n+1の算出は、前述の第一の補間方法における被変換点Aの出力色値を求める方法と同様の方法を用いる(式7参照)。
すなわち、図26に示すように、p=Ip+Fp、q=Iq+Fqとした場合、写像点A'nは、Bkから数えて{Ip,Iq}番目の領域ブロックBnCnDnEnに存在する。
そして、写像点A'nは、その領域ブロックBnCnDnEnにおいて、格子点間を{Fp,Fq}の分割比にて分割する位置に配置する。
したがって、Bn、Cn、Dn、Enに予め割り当てられているCMYK値と、小数部{Fp,Fq}を用いた次式(11)を用いて写像点An'の出力色値を求める。
A'n=(1−Fp)・(1−Fq)・Bn+Fp・(1−Fq)・Cn+Fp・Fq・Dn+(1−Fp)・Fq・En ・・・・・(11)
同様に、次式(12)を用いて写像点A'n+1の出力色値を求める。
A'n+1=(1−Fp)・(1−Fq)・Bn+1+Fp・(1−Fq)・Cn+1+Fp・Fq・Dn+1+(1−Fp)・Fq・En+1 ・・・・・(12)
【0061】
そして、写像点A'n、A'n+1にもとづき、被変換点Aの出力色値を求める(ステップ37)。
図27は、写像点A'n、A'n+1にもとづき被変換点Aを求める方法を説明するための図である。
図27に示すように、被変換点Aは、無彩色軸方向から眺めた場合、色相層Sn上の写像点A'nと色相層Sn+1上の写像点A'n+1とからなる直線と、色相面Saとが交差する交点とみなすことができる。
【0062】
このため、写像点A'n、A'n+1の出力色値を用いた次式(13)にもとづき、被変換点Aの出力色値を算出することができる。
A=(1−εl)・A'n+εl・A'n+1 ・・・・・(13)
(但し、εl=HnA'n・sinΔφn/(HnA'n・sinΔφn+Hn+1A'n+1・sinΔφn+1)とし、Hnは、写像点A'nから無彩色軸へ下ろした垂線の足、Hn+1は、写像点A'n+1から無彩色軸へ下ろした垂線の足を示すものとする。)
あるいは、被変換点Aの出力色値は、次式(14)によって算出することができる。
A=(1−εo)・A'n+εo・A'n+1 ・・・・・(14)
(但し、εo=Δφn/Δφn+Δφn+1とする。)
【0063】
なお、被変換点Aを色相的に挟む2つの色相層との色相(角)差が比較的大きい場合など、計算時間的に余裕があるときや、計算精度を追究したいときなど、sinΔφn≒Δφn、sinΔn+1=Δn+1とみなすことができない場合には、上記式(13)を用いるとよい。
一方、被変換点Aを挟む2つの色相層との色相(角)差が十分に狭い場合など、換算精度的に誤差を許容でき、換算精度よりも高速演算性を優先したい場合など、sinΔφn≒Δφn、sinΔφn+1≒Δφn+1とみなすことができる場合には、上記式(14)を用いるとよい。
【0064】
このように第二の補間方法によれば、立方体補間法の場合8点の格子点、三角柱補間法の場合6点の格子点にもとづき被変換点Aを求めることができる。
このため、非変換点Aの包含領域の特定が容易であり、フローの簡易性からメモリ消費量を少なくすることができる。
したがって、多くの仮想格子点群を算出してから被変換点Aを求める第一の補間方法に比べ、より高速な色変換処理を実現することができる。
【0065】
(色変換プログラム、画像形成プログラム)
次に、色変換プログラム及び画像形成プログラムについて説明する。
上記実施形態におけるコンピュータ(色変換装置)の色変換機能は、記憶手段(例えば、ROMやハードディスクなど)に記憶された色変換プログラムにより実現される。
また、上記実施形態におけるコンピュータ(画像形成装置)の色変換機能及び出力機能は、記憶手段(例えば、ROMやハードディスクなど)に記憶された画像形成プログラムにより実現される。
【0066】
色変換プログラムは、コンピュータの制御手段(CPU(Central Processing Unit)など)に読み込まれることにより、コンピュータの構成各部に指令を送り、所定の処理、例えば、画像データの入力処理、格子点配置処理、色変換テーブル再編処理、色変換処理、記憶処理などを行わせる。画像形成プログラムは、これらの処理に加え、画像データの出力処理を行わせる。
これによって、色変換機能や画像形成機能は、ソフトウェアである色変換プログラムや画像形成プログラムとハードウェア資源であるコンピュータ(色変換装置、画像形成装置)の各構成手段とが協働することにより実現される。
【0067】
なお、色変換機能を実現するための色変換プログラムや色変換機能を含む画像形成機能を実現するための画像形成プログラムは、コンピュータのROMやハードディスクなどに記憶される他、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、外部記憶装置及び可搬記録媒体に格納することができる。
外部記憶装置とは、CD−ROM(Compact disc−Read Only Memory)等の記録媒体を内蔵し、色変換装置や画像形成装置に外部接続されるメモリ増設装置をいう。一方、可搬記録媒体とは、記録媒体駆動装置(ドライブ装置)に装着でき、かつ、持ち運び可能な記録媒体であって、例えば、フレキシブルディスク、メモリカード、光磁気ディスク等をいう。
【0068】
そして、記録媒体に記録されたプログラムは、コンピュータのRAM(Random Access Memory)等にロードされて、CPU(制御手段)により実行される。この実行により、上述した実施形態の色変換装置や画像形成装置の機能が実現される。
さらに、コンピュータで色変換プログラムや画像形成プログラムをロードする場合、他のコンピュータで保有されたこれらのプログラムを、通信回線を利用して自己の有するRAMや外部記憶装置にダウンロードすることもできる。このダウンロードされたプログラムも、CPUにより実行され、上記実施形態の色変換装置や画像形成装置の色変換機能を実現する。
【0069】
このように本実施形態の色変換装置、画像形成装置、色変換プログラム、画像形成プログラム、色変換テーブル(立方格子型色変換テーブル)によれば、放射状の色変換テーブルにおける各格子点の配置関係、すなわち、色相の連続性を維持しつつ、従来の立方格子状の色変換テーブルに合わせた立方格子型色変換テーブルを構成し、これを用いて色変換処理を行うようにしている。
また、色変換テーブルの格子点と一致しない未知座標に係る色値については、種々の補間処理を介して相当する的確な色値に柔軟に変換できるようにしている。
このため、色合いや色味など、人間の色に対する感覚に沿った色変換や色調整を的確に行うことができるとともに、既存の装置やシステムに対し高い整合性、互換性、親和性を有する。
【0070】
すなわち、色空間内に多くの格子点を配置することなく、人間の感覚が敏感な方向に沿って格子点を配置することができ、そのために処理負荷が小さく、色変換の処理速度が高速になり、安価な制御装置でも色変換処理ができる効果を奏する。
さらに、既存のシステムに多く存在する直交格子状の色変換テーブルを使用する装置、ASIC、プログラムとも相性良く馴染みやすい。また、既存システムへも転用しやすく、既存システムの一部を転用することができたり、あるいは、既存システムを色相保存性の高い制御システムにリニューアルすることも可能であり、強いては、製品の早期陳腐化を防ぎ、製品寿命を長らえ価値を維持する効果を奏する。
【0071】
以上、本発明の色変換装置、画像形成装置、色変換プログラム、画像形成プログラム、及び、色変換テーブルについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、被変換点Aを求めるための補間方法として、被変換点Aを包含する直方体又は立方体を対角線方向にそって分割してできる三角柱を分割してできる三角錐にもとづいて行う四面体補間や、被変換点Aを内包する空間にて内挿補間計算ができない場合等において近隣の格子点を用いた外挿補間を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、カラープリンタなどの画像形成装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 画像処理装置
10 色変換装置
101 画像情報入力部
102 格子点配置部
103 色変換テーブル再編処理部
104 色変換処理部
105 記憶部
106 画像情報出力部
Ta 放射状の色変換テーブル
Tb 立方格子型色変換テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力したRGB形式の画像データをCMYK形式の画像データに変換する色変換装置、色変換装置を備え当該色変換装置によって変換されたCMYK形式の画像データを出力する画像形成装置、色変換装置の機能を実行するための色変換プログラム、前記画像形成装置の機能を実行するための画像形成プログラム、及び、色変換に際し用いる色変換テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタ等の画像形成装置においては、印刷を行う場合、入力したRGB形式のカラー画像データを、色変換用のルックアップテーブル(色変換テーブル)を用いて出力可能なCMYK形式の画像データに変換するようにしている。
色変換テーブルは、RGB値とCMYK値との対応付けによって構成されるため、各対応づけを格子点とした直交格子で表すことができる。
図28は、基本色であるRd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)と、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)との対応付け、及び、無彩色であるWh(白)とBk(黒)をそれぞれ格子点とする三次元直交座標系の直交格子によって表されたRGB−CMYKの色変換テーブルの模式図である。
図28に示す直交格子上の各格子点には、RGB値と対応するCMY値が予め割り当てられているため、入力デバイスに係る任意のRGB値に対応する出力デバイスのCMYK値を円滑に導出することができる。
【0003】
しかしながら、人間が脳で理解できる感覚は、RGBの各チャネルの軸方向よりも、WhとBkを結ぶ無彩色軸に沿った方向、無彩色軸を中心とした放射(彩度)方向及び同心(色相)方向の三方向の成分に対して敏感であることが知られている。つまり、人間が色の違いを見分ける感覚は、空間的な距離の大小のみによるものではなく、むしろ、色空間における座標位置に依存することが多い。
具体的には、R,G,Bの各軸に沿った方向の変動よりも、無彩色軸を中心とした放射方向の正確性や、無彩色軸の同心方向の距離の変動の方が、色味を正確に把握するために重要な要素となる。
このため、RGB値とCMYK値とが単に対応付けられた従来の直交格子状の色変換テーブルでは、色に対する人間の感覚が反映されておらず、色再現性に劣ることが問題となっていた。
【0004】
図29は、従来の色変換テーブルの問題を説明するための図であり、図28を、無彩色軸方向から眺めた場合の格子点配置図である。
図29に示すように、無彩色軸を中心とした放射線方向(彩度方向)において、同一色相上に存在する格子点の間隔は不均等に配置されていることがわかる。
例えば、無彩色軸と、Rd、Gr、Bl、Cy、Mg、Yeの各線分上には格子点が5個配置されているが、無彩色軸とCy〜Bl中間点の線分上には格子点が3個しか配置されていない。
また、同心円的視点から眺めてみれば、同一彩度上に存在する格子点の間隔は無彩色軸(中心軸)からの距離により不均等であることがわかる。つまり、彩度の違いによって再現できる色相のバリエーションが異なることを認識することができる。
したがって、このような従来の色変換テーブルによれば、色相ごとに彩度を最適化したり、彩度ごとに色相を最適化したりする色調整は困難であった。
【0005】
そこで、このような従来の色変換テーブルがもつ問題を解決すべく、従来の色変換テーブルに必要な格子点を追加することによって適切な色変換処理を可能とする放射格子状色変換テーブルが提案されている(特許文献2、3参照)。
図30は、特許文献2や特許文献3に記載の放射状の色変換テーブルを無彩色軸方向から眺めたときの格子点配置図である。
図30に示すように、この放射状の色変換テーブルによれば、一定の色相幅ごとに均等に格子点を配置するとともに、一定の彩度幅ごとに均等に格子点を配置するようにしているため、人間が感じる色味や色合いに沿った的確な色調整が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−224158号公報
【特許文献2】特開2009−17097号公報
【特許文献3】特開2009−17098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した放射状の色変換テーブルは、各格子点が、無彩色軸を中心として放射状に配置された形態であるため、直交格子の格子点とは座標位置が根本的に一致しない等、従来の色変換テーブルの使用を前提とするシステムとの整合が考慮されていなかった。
このため、従来の直交格子状の色変換テーブルについて使用されていた色変換や色調整等に関する演算方法、プログラム、アルゴリズム等を利用することできず、このような色変換テーブルを採用してきた既存の装置やシステムとの併用、混成、融合が困難であった。
すなわち、多くの技術者が関連する技術知識を習得し、また、長年に渡る改善を通してアルゴリズムも洗練された結果、ASIC化の展開も容易となった従来の色変換テーブルを利用することによる種々のメリット(例えば、コスト低減等)を得ることはできなかった。
特に、一辺当たりの格子数が同数からなる立方格子の色変換テーブルは広く普及しており、このような立方格子の色変換テーブルやこの色変換テーブルを採用してきた従来の装置やシステムとの整合性、互換性、親和性の改善が求められていた。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、人間の感覚に沿った的確な色変換や色調整を可能としつつ、従来から普及している色変換テーブルやこのような色変換テーブルを備えた既存の装置やシステムに対し高い整合性、互換性、親和性を備えた立方格子型色変換テーブル、この立方格子型色変換テーブルを生成し、色変換を行う色変換装置、この色変換装置にさらに画像データの出力手段を備えた画像形成装置、前記立方格子型色変換テーブルを生成し、色変換を行わせるための色変換プログラム、及び、この色変換プログラムの機能に加え画像データを出力させるための画像形成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の色変換装置は、RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部と、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部と、RGB形式の画像データを入力する画像情報入力部と、入力したRGB形式の画像データを、前記直交格子型色変換テーブルを用いてCMYK形式の画像データに変換する色変換処理部と、を備える。
ここで、前記格子点配置部は、RGB値からCMYK値への色変換において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点とする直交格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは任意の正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成し、前記色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに、BkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって、前記放射状の色変換テーブルを生成する。
そして、前記色変換テーブル再編処理部は、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす前記直交格子型色変換テーブルを生成する構成としてある。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記色変換装置を備えるとともに、当該色変換装置によって色変換されたCMYK形式の画像データを出力する画像情報出力部を備えた構成としてある。
【0011】
また、本発明の色変換プログラムは、コンピュータを、RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部、RGB形式の画像データを入力する画像情報入力部、及び、入力したRGB形式の画像データを、前記直交格子型色変換テーブルを用いてCMYK形式の画像データに変換する色変換処理部、として機能させるとともに、前記格子点配置部に、RGB値からCMYK値への色変換において、三次元の直交座標によって表されるRGB−CMYK空間において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点とする直交格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは任意の正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成させ、前記色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに、BkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって、前記放射状の色変換テーブルを生成させ、前記色変換テーブル再編処理部に、前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす前記直交格子型色変換テーブルを生成させるようにしてある。
【0012】
また、本発明の画像形成プログラムは、前記色変換プログラムの機能を備え、当該色変換プログラムの機能により、コンピュータに、色変換されたCMYK形式の画像データを出力させるようにしてある。
【0013】
また、本発明の色変換テーブルは、入力したRGB形式の画像データを、CMYK形式の画像データに変換するための色変換テーブルであって、RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点が、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置されて放射状の格子点群を形成し、当該格子点群の同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層されて前記格子点が直交格子を形成するうえにおいて、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)からなる線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは正の整数)に分割して生成される所定の色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに形成されるBkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点が配置された放射状の格子点群を形成し、当該格子点群の同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層が色相順に積層されて前記格子点が立方格子を形成するようにしてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の色変換装置、画像形成装置、色変換プログラム、画像形成プログラム及び色変換テーブルによれば、人間の感覚に合った的確な色変換や色調整を行うことができるとともに、既存の装置やシステムに対する高い整合性、互換性、親和性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る色変換装置及び画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る立方格子型色変換テーブルの生成方法を示したフローチャートである。
【図3】三次元直交座標系の色空間におけるRGB値とCMY値との対応付けを示す立方格子の図である。
【図4】Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)の隣接する6点間を1/N(N=4)の等間隔に分割することによって得られる色域彩度エッジ点群を示す図である。
【図5】ベクトルBkPiとベクトルBkPi’とによって形成される閉領域(四角形領域BkPiWhPi')を示す図である。
【図6】BkPiWhPi’の四角形領域を1/3N(N=4)の等間隔に分割したときの交差位置に配置した格子点群を示す図である。
【図7】すべての格子点が配置された立方格子(放射状の色変換テーブル)を示す図である。
【図8】図7を無彩色軸の方向から眺めたときの格子点の配置を示す図である。
【図9】図8に示す色相環において、色相角ごとにIDを付した図である。
【図10】各色相層を無彩色軸のWh側又はBk側の斜め方向から眺めたときの図である。
【図11】各色相層を一IDごとに表した図である。
【図12】一の色相層を無彩色軸方向から眺めた図である。
【図13】図12に示す色相層を斜め方向から眺めた図である。
【図14】各色相層をID順(色相順)に並べた図である。
【図15】立方格子型色変換テーブルを示す図である。
【図16】最初の色相層と最終の色相層を示す図である。
【図17】本実施形態に係る色変換装置又は画像形成装置における色変換方法を示したフローチャートである。
【図18】被変換点の出力色値を求めるための第一の補間方法を示したフローチャートである。
【図19】被変換点Aが属する色相面Sa、色相面Saにおける仮想格子点群Saij、及び、色相区間的に被変換点A(色相面Sa)を挟む2つの色相層Sn、Sn+1を示す図である。
【図20】被変換点Aの包含領域を特定する方法を説明するための図である。
【図21】被変換点Aの領域ブロックBCDEにおける位置関係を示した図である。
【図22】被変換点Aを包含する三角形領域を特定する方法を説明するための図である。
【図23】被変換点Aを包含する三角形領域にもとづき被変換点Aを求める方法を説明するための図である。
【図24】被変換点の出力色値を求めるための第二の補間方法を示したフローチャートである。
【図25】立方体(8点)補間法(a)及び三角柱(6点)補間法を説明するための図である。
【図26】写像点A'nを求める方法を説明するための図である。
【図27】写像点A'n、A'n+1にもとづき被変換点Aを求める方法を説明するための図である。
【図28】三次元直交座標系の直交格子によって表されたRGB−CMYKの色変換テーブルの模式図である。
【図29】従来の色変換テーブルの問題を説明するための図である。
【図30】放射状の色変換テーブルを無彩色軸方向から眺めたときの格子点配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(色変換装置、画像形成装置)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る色変換装置及び画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すとおり、本実施形態の画像形成装置11は、画像情報入力部101、格子点配置部102、色変換テーブル再編処理部103、色変換処理部104及び記憶部105からなる色変換装置10と、画像情報出力部106によって構成される。
以下、各構成部について説明する。
【0017】
画像情報入力部101は、フルカラー画像等の画像データを入力する。具体的には、RGB形式の画像データを、外部のホストコンピュータ(不図示)から入力したり、スキャナー(不図示)で読み取って取得したり、USBメモリ(不図示)などの可搬型記憶装置から取り出す役割を有する。
【0018】
格子点配置部102は、RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルTaを生成する。
具体的には、RGB値からCMYK値への色変換において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点として表される立方格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは任意の正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成し、この色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、各組み合わせごとに、BkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割したときの交差位置に格子点を配置して放射状の色変換テーブルTaを生成する。
なお、放射状の色変換テーブルTaの生成方法については、後記「直交格子型色変換テーブルの生成方法」の該当箇所(ステップ1)において詳細に説明する。
【0019】
色変換テーブル再編処理部103は、放射状の色変換テーブルTaの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルTbを生成する。
特に、本実施形態においては、一辺あたりの格子数が等しい立方格子型色変換テーブルTbを生成することを特徴とする。
すなわち、格子点配置部102により生成された格子点群において、無彩色軸を含み、これを共通軸とし、RGB値からCMYK値への色変換において、同一色相面及びその補色色相の格子点群を1グループとして層別した後、各グループ毎に着目色相上の格子点群とその補色色相との組みにして色相層を形成し、これらを一旦、分解して取り出した後、各組の色相層を色相順に階層的に積み重ねる。
このようにすることで、無彩色軸に対し放射状であった格子点の配置を、従来の立方格子状の色変換テーブルの各格子点の配置にあうように構成し直すものである。
【0020】
なお、着目色相とその補色色相との組み合わせからなる色相層を、色相順に階層的に積み重ねる際、つまり、色相角を時計回りあるいは反時計回りに色相順に階層的に積み重ねる際には、色相角は全周で360°であるため、各色相層を約180°回転分積み重ねることで全格子点を網羅することができる。
また、最初の色相層(最初の着目色相とその補色色相からなる色相層)における行方向の格子点と列方向の格子点の座標を反転して作った行列の格子点群からなる色相層を最終の色相層とすることができる。このため、最終の色相層の生成に係る演算負荷を軽減することができる(図16参照)。
【0021】
色変換処理部104は、画像情報入力部101により入力したRGB形式の画像データを、直交格子型色変換テーブルTbを用いてCMYK形式の画像データに変換する。
【0022】
記憶部105は、メモリ、ハードディスク等の記憶媒体からなり、放射状の色変換テーブルTaや立方格子型色変換テーブルTbを記憶したり、色変換処理部104の色変換処理によって生成されたCMYK形式の画像データを一時的に記憶したりする。
【0023】
画像情報出力部106は、いわゆる印刷エンジン等によって構成され、色変換装置10の記憶部105に記憶されているCMYK形式の画像データの印刷処理を実行する。
例えば、ページ当たりの画像データが記憶部105に記憶されると、予め帯電させた感光ドラム(不図示)に対する露光処理を行ってその画像データの潜像を形成し、これにトナーを付着させてトナー像を形成し、印刷用紙等に転写・定着する工程等を経て印刷処理を実行する。
なお、画像情報出力部106は、他の画像形成装置など外部の装置に対して画像データ出力する送信装置等も該当する。
【0024】
(立方格子型色変換テーブルの生成方法)
次に、本実施形態に係る立方格子型色変換テーブルTbの生成方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る立方格子型色変換テーブルの生成方法を示したフローチャートである。
図2に示すように、まず、まず、放射状格子点群(放射状の色変換テーブルTa)の生成処理を行い(ステップ1)、次いで、生成した放射格子点群(放射状の色変換テーブルTa)の分解処理を行い(ステップ2)、格子点群を層ごとに積み重ねることで階層構造化処理を行う(ステップ3)ことによって、立方格子型色変換テーブルTbを生成する。
【0025】
(ステップ1:放射状格子点群(放射状の色変換テーブルTa)の生成)
ステップ1においては、格子点配置部102が、基準6色の各格子点の間、即ち、線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、線分MgRdの各線分間を等間隔に分割して格子点(色域彩度エッジ点)を増点する処理を行う。
図3は、三次元直交座標系の色空間におけるRGB値とCMY値との対応付けを示す直交格子の図である。
格子点配置部102は、図3に示す立方格子に対し、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)の隣接する6点間をN等分(Nは任意の正の整数)に分割して色域彩度エッジ点群を求め、このうち任意の点(彩度飽和点P)から色相角180°分を抽出した点群を求める。
図4は、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)の隣接する6点間をN等分(N=4)に分割すること(すなわち、ピッチ1/Nの等間隔で分割すること)によって得られる色域彩度エッジ点群を示す図である。
【0026】
次に、黒点Bk:{0,0,0}を始点としたうえで、色域彩度エッジ点群のうちの任意点(彩度飽和点P)とその補色点(補色彩度飽和点P’)の2点をそれぞれ終点とする2ベクトルによって形成される閉領域を考える。
すなわち、BkPWhP’からなる四角形領域で表される色相面を考える。
図5は、ベクトルBkPiとベクトルBkPi’とによって形成される閉領域、すなわち、BkPiWhPi’からなる四角形領域を示す図である。なお、iは、分割数Nに応じた整数である。
【0027】
そして、格子点配置部102は、この四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を均等に分割したときの交差位置に格子点を形成することによって、放射状格子点群(放射状の色変換テーブルTa)を生成する。
図6は、BkPiWhPi’からなる四角形領域(色相面)をM等分(M=3N)等分に分割したとき(すなわち、ピッチ1/Mの等間隔で分割したときの)の交差位置に配置される格子点群を示す図である。
具体的には、次式(1)にもとづき各色相面上の格子点群を算出する。
Grid(x)=g・E[θ]+h・E[π+θ] ・・・・・(1)
(但し、g、hは0〜1までのピッチ(1/3N)の少数数列の全組み合わせを示す。)
格子点配置部102は、上記算出処理を各彩度飽和点Piと補色彩度飽和点Pi’の組み合わせごと、つまり、iの取り得る値について行うことですべての格子点群を配置し、この結果、各格子点が無彩色軸を中心に放射方向に均等に配置されるように、色相毎に配置された放射状の色変換テーブルTaを生成することができる。
【0028】
ここで、放射状の色変換テーブルTaにおける各格子点の具体的な配置方法について一例を挙げて説明する。なお、本例において、基本6点間の分割数N及び色相面の分割数Mは、N=4、M=4とする。
色域彩度エッジ点群のうち、色相角180°分を抽出した点群(Ex群)は、次式(2)によって求めることができる。
Ex群=(1−ρ)・E[i]+ρ・E[i+1] ・・・・・(2)
(但し、ρは、0〜1までピッチ1/Nで与えられる数列を示す。)
【0029】
例えば、基本6色のうち色相的に連続する4点として、赤{1,0,0}、マゼンタ{1,0,1}、青{0,0,1}、シアン{0,1,1}を選択し、隣接する各点間をピッチ1/Nの等間隔に分割すると各線分間における色域彩度エッジ点群は、下記(i)〜(iii)のように算出される。
【0030】
(i)赤〜マゼンタの色域彩度エッジ点群:Ex[r-mg]
この場合、E[i]={1,0,0}、E[i+1]={1,0,1}、ρ={0,1/4,2/4,3/4,4/4}を、式(1)に代入する。
これにより、Ex[r-mg]:{1,0,0}、{1,0,1/4}、{1,0,1/2}、{1,0,3/4}、{1,0,1}となる。
つまり、この間の色域彩度エッジ点の数は、5個(=N+1)となる。
(ii)マゼンタ〜青の色域彩度エッジ点群:Ex[mg-b]
この場合、E[i]={1,0,1}、E[i+1]={0,0,1}、ρ={0,1/4,2/4,3/4,4/4}を、式(1)に代入する。これにより、Ex[mg-b]は、次のようになる。
Ex[mg-b]:{1,0,1}、{1/4,0,1}、{1/2,0,1}、{3/4,0,1}、{0,0,1}
つまり、この間の色域彩度エッジ点の数は、5個(=N+1)となる。
(iii)青〜シアンの色域彩度エッジ点群:Ex[b-cy]
この場合、E[i]={0,0,1}、E[i+1]={0,1,1}、ρ={0,1/4,2/4,3/4,4/4}を、式(1)に代入する。これにより、Ex[b-cy]は次のようになる。
Ex[b-cy]:{0,0,1}、{0,1/4,1}、{0,1/2,1}、{0,3/4,1}、{0,1,1}
つまり、この間の色域彩度エッジ点の数は、5個(=N+1)となる。
【0031】
したがって、(i)〜(iii)から、区間結合箇所に生ずる重複点を排除しつつ、これらを合わせると、色相角180°分に相当する赤〜シアンの色域彩度エッジ点群E[r-cy]は、次のようになる。
E[r-cy]:{1,0,0}、{1,0,1/4}、{1,0,1/2}、{1,0,3/4}、{1,0,1}、{1/4,0,1}、{1/2,0,1}、{3/4,0,1}、{0,0,1}、{0,1/4,1}、{0,1/2,1}、{0,3/4,1}、{0,1,1}
つまり、この場合(N=4の場合)、色相角180°分の色域彩度エッジ点群は、13点(3N+1)となる。
【0032】
なお、上記以外でも、ρの数列設定において、0〜1までを1/Nピッチの数列とせず、0〜(1−1/N)までを1/Nピッチの数列として、Ex[r-mg]’、Ex[mg-b]’、Ex[b-cy]’を算出した後、これらを合成し、さらに、赤の補色色相の最大彩度点を加えることによっても、色相角180°分に相当する赤〜シアンの色域彩度エッジ点群:E[r-cy]を求めることができる。
【0033】
次に、格子点配置部102は、このようにして求めた色相各180°分の色域彩度エッジ点群に対し、そのうちの1点とその補色点をそれぞれ終点とし、黒点をそれぞれの始点とする2ベクトルを各々1/3Nの等間隔に分割したものを網羅的にベクトル加算した位置に格子点を配置するようにする。
すなわち、分割する比率をτとして、0〜1をピッチ1/M=1/3Nで等間隔に分割した場合の数列は、本例の場合、N=4なので、τ[4]:{0,1/12,2/12,3/12,...,11/12,1}となり、格子点数は13個(=M+1)となる。。
例えば、色域彩度エッジ点群のうちの1点が、赤{1,0,0}の場合、その補色色相の最大彩度点は{1,1,1}−{1,0,0}={0,1,1}(つまりシアン)として求めることができる。黒点はBk{0,0,0}なので、赤の色相とその補色色相からなる色相面上の格子点群Grid[{1,0,0}]は、前記した式(1)を用い以下のように表すことができる。
Grid[{1,0,0}]=g・{1,0,0}+h・{0,1,1}
但し、g、hは、τが取り得る値に対するすべての組み合わせについて適用する。
【0034】
この場合、gとhの組み合わせ{g,h}は、
{g,h}:{0,0}、{0,1/12}、{0,2/12}、・・・中略・・・、{0,12/12}、{1/12,0}、{1/12,1/12}、{1/12,2/12}、・・・中略・・・、{1/12,12/12}、{2/12,0}、{2/12,1/12}、{2/12,2/12}、・・・中略・・・、{2/12,12/12}、・・・・・中略・・・・・、{12/12,0}、{12/12,1/12}、{12/12,2/12}、・・・中略・・・、{12/12,12/12}となり、
格子点群Grid[{1,0,0}]は、
Grid[{1,0,0}]:{0,0,0}、{0,1/12,1/12}、・・・中略・・・、{0,1,1}、{1/12,0,0}、{1/12,1/12,1/12}、・・・中略・・・、{1/12,1,1}、{1/6,0,0}、{1/6,1/12,1/12}、・・・中略・・・、{1/6,1,1}、・・・・・中略・・・・・、{1,0,0}、{1,1/12,1/12}、・・・中略・・・、{1,1,1}となり、169点の格子点が一色相面上に配置されることになる。
【0035】
つまり、一色相面に対し、(M+1)2=(3N+1)2個の格子点が生成されることになる。
同様に、180°の範囲内の他の各色域彩度エッジ点に対し、上記格子点を生成し、これらを配置することで放射状の格子点群(放射状の色変換テーブルTa)が形成されることになる。
そして、一色相面を一色相層として、これを(3N+1)層積み重ねることによって形成される立方格子型色変換テーブルにおける格子点の総数は、(3N+1)・(3N+1)2で求めることができ、本例の場合(N=4の場合)、格子点の総数は、(3×4+1)3=2197となる。
【0036】
図7は、すべての格子点が配置された直交格子(放射状の色変換テーブルTa)の様子を示す図であり、図8は、図7を無彩色軸の方向から眺めたときの格子点の配置を示す図である。なお、図7は、図面の見やすさを考慮して325点の格子点からなる直交格子を示している。これらの図に示すように、従来の直交格子状の色変換テーブルの枠組み内において各色値の変換点を工夫することによって、無彩色軸を中心にして放射状に格子点が均等に配置された色変換テーブルTaを生成することができる。
【0037】
ところで、本実施形態に係る立方格子型色変換テーブルは、立方格子の高さ(z)成分である層数(3N+1)と、縦横(xy)成分である色相面の一辺当たりの格子点数M+1は、同数である必要がある。
このため、放射状の色変換テーブルの生成に際しては、M=3Nとして色相面の各辺を分割する必要がある。
また、放射状の変換テーブルTaが、基本6色(RGBCMY)にもとづいて形成されることを考慮すると、Mは演算上6の倍数(6t:tは任意の整数)であることが好ましい。つまり、この場合、一色相面(一色相層)上の格子点数は、(6t+1)2となり、立方格子型色変換テーブルTb全体としては、(6t+1)3個の格子点となる。
また、直交格子型色変換テーブルTbにおける高速処理性の観点からメモリ構成や回路構成的な都合を考慮すると、Mは演算上8の倍数(8t)であることが好ましい。つまり、この場合、一色相面(一色相層)上の格子点数は、(8t+1)2となり、立方格子型色変換テーブルTb全体としては、(8t+1)3個の格子点となる。
さらに、これらの条件をともに考慮すると、Mは演算上24の倍数(24は、6と8の最小公倍数)であることがより好ましい。この場合、一色相面(一色相層)上の格子点数は、(24t+1)2となり、立方格子型色変換テーブルTb全体としては、(24t+1)3個の格子点となる。
例えば、M=24とした場合、一色相面における一辺当たりの格子数は25(=M+1)となり、一色相面当たりの格子点数は625(=25×25)となり、これを立方格子にするには、Nを8(=24÷3)にして基本6点間を分割する必要がある。
これにより、25×25×25の格子点群からなる立方格子を形成することができる。
【0038】
(ステップ2:放射状格子点群の分解処理)
ステップ2においては、色変換テーブル再編処理部103が、放射状の色変換テーブルTaにおける各格子点を、任意の彩度飽和点Pとその補色点(補色彩度飽和点P’)からなる色相層ごと分解する。
すなわち、放射状の色変換テーブルTaにおける同一の色相面及びその補色色相面からなる一面を一色相層として色相層ごとに分解する。
図9は、図8に示す色相環において、一定の色相角ごとにIDを付した図である。
図9においては、赤の色相に対してθ1を付し、以降、一定色相角ごとにθ2、θ3、...、θ12というように順にIDを付し、赤の補色であるシアンの色相にθ1+πを付し、以降、θ2〜θ12に対応して、一定色相角ごとにθ2+π、θ3+π、...、θ12+πというように順にIDを付している。
図9に示すθの色相とθ+πの色相は、互いに補色の関係にあることを示している。
【0039】
図10は、各色相層を無彩色軸のWh側又はBk側の斜め方向から眺めたときの図である。
図11は、各色相層を一IDごとに表した図である。
色変換テーブル再編処理部103は、放射状の色変換テーブルTaをなす格子群からこれらの各色相面を分解して取り出す。
図12は、一の色相層を無彩色軸方向から眺めた図であり、図13は、図12に示す色相層を斜め方向から眺めた図である。
すなわち、これらの図に示すように、一の色相層は、任意の色相(θi)に係る一の色相面とその補色の色相(θi+π)に係る色相面とは同一平面上にあり、これらが無彩色軸を対称軸として線対称に合わさって一の色相層(θi)が形成される。
図14は、各色相層をID順に並べた図である。
本実施形態のように、分割ピッチ数が1/3N(N=4)の場合、θ1〜θ13までの13個の色相層を取り出すことができる。
【0040】
(ステップ3:階層構造化処理)
そして、色変換テーブル再編処理部103は、取り出した各色相層をID順(色相順)に積層することで放射状格子点群が階層構造化された立方格子型色変換テーブルTbを生成する。
図15は、立方格子型色変換テーブルTbを示す図である。
すなわち、図15に示すように、IDθ1〜θ13が付されたS1〜S13の各色相層をID順(降順又は昇順)に積み重ねることによって、三次元の立方格子型色変換テーブルTbを生成することができる。
【0041】
なお、図16は、最初の色相層と最終の色相層を示す図である。
図16に示すように、最初の色相層(θ1)と最終の色相層(θ13)とは、お互いの格子点群の配置が無彩色軸(Wh〜Bk)を対称軸として線対称の関係が成り立つ。
このため、最終の色相層については、最初の色相層における格子点群の座標情報のみを入れ替えたものを積み重ねるようにすることもできる。
すなわち、θ1〜θ13の色相層をすべて分解して取り出すのではなく、θ1〜θ12の色相層を生成し、これにθ1の色相層の格子点群を無彩色軸を基準に反転させて配置した色相層(θ13)を足すことによっても、θ1〜θ13の13個の色相層を生成することができる。
このようにすると、最終の色相層上の格子点群を生成する処理や、生成された最終の色相層を分解して格子点群を取り出すのに必要な処理負荷を軽減することができる。
【0042】
ここで、立方格子型色変換テーブルTbを生成するに当たり、各格子点のRGB値と対応するCMYK値とを割り当てる方法について説明する。
まず、CMYKの4色のインクでフルカラー印刷を行うカラープリンタなどの画像形成装置において、CMYK値の色値を様々に組み合わせてカラーパッチを作成し、これを測色してCMYK値とデバイス非依存の表色系の値とを対応付け、さらに、これを逆変換することで「デバイス非依存の表色系の色度値とこれに相当するCMYK値の対応付け」を予め作成する。
例えば、カラーパッチを、{0,20,40,60,80,100}のように線形等間隔にCMYK値を設定し、{0,10,20,40,70,100}のように非線形にCMYK値を設定し、あるいは、墨量にもとづいて層別した後、CMY値にもとづく放射状の格子点群を生成し、CMY値と層別した墨量に係るBk値とを組み合わせて様々なCMYK値を設定して様々なカラーパッチを印刷し、印刷したカラーパッチのCMYK値と、これを測色して得たデバイス非依存の色度値とを対応付けたテーブルを作成する。
【0043】
次に、放射状の色変換テーブルTaの各格子点について、RGB値に相当するデバイス非依存の表色系の色度値(CIE-XYZ、CIE-Labなど)を求める。RGB値に相当するデバイス非依存の表色系の色度値は、RGB値の由来デバイスの特性や特徴を記したデバイス・プロファイル(ICC Profileなど)を用いて求めたり、RGB値がsRGBやAdobeRGBなど、既に仕様が公開された標準データである場合には、その定義にしたがい、放射状の色変換テーブルを構成する各格子点のRGB値を代入することで求めることができる。
また、RGB値が定義する色空間は、出力デバイスの色空間と形状的に相違するのが通常であり、入出力デバイス間の写像は、デバイス非依存の色空間上において非線形に座標変換されるため、このように非線形座標に変換された後の値を、前記「RGB値に相当するデバイス非依存の表色系の色度値」として定義することもできる。
【0044】
放射状の色変換テーブルTaの格子点について求めた「RGB値とこれに相当するデバイス非依存の表色系の色度値」を、予め作成した「デバイス非依存の表色系の色度値とこれに相当するCMYK値の対応付け」に代入して変換し、必要な場合には内挿補間を行うことによってCMYK値を求める。
そして、求めたCMYK値を、元の放射状の色変換テーブルTaの格子点におけるRGB値に対応づけることによって、立方格子型色変換テーブルTbの該当格子点におけるRGB値とCMYK値との割り当てが完了する。
【0045】
このように、本実施形態の色変換装置、画像形成装置によれば、明度、彩度、色相の各成分にもとづく放射状の色変換テーブルTaの特性を維持しつつ、これを従来の立方格子状の色変換テーブルの形式に合わせた立方格子型色変換テーブルTbを用いて色変換を行うようにしている。
このため、人間の色に対する感覚に合った的確な色変換や色調整が可能となるとともに、既存の装置やシステムに対し高い整合性、互換性、親和性を有する。
【0046】
(色変換方法)
次に、前述した色変換装置又は画像形成装置における色変換方法について説明する。
図17は、本実施形態に係る色変換装置又は画像形成装置における色変換方法を示したフローチャートである。
図17に示すように、まず、画像情報入力部101が、RGB形式の画像データの入力処理を行う(ステップ11)
【0047】
つぎに、色変換処理部104は、入力された画像データの各画素のRGB値をCMYK値に変換するにあたり、注目画素の所属領域を特定し(ステップ12)、特定した所属領域を用いた補間計算によって注目画素の色変換を行う(ステップ13)。
補間による色変換を介して得られたCMYK値は記憶部105に記憶される(ステップ14)。
なお、一定の画素分(例えば、単位ページ分の画素分)のCMYK値が記憶されると、画像情報出力部106は、記憶部105から画像データを取り出し出力される。
【0048】
(補間処理)
ここで、ステップ12〜13における補間処理について詳細に説明する。
なお、ここでは、具体的な補間処理の方法として、第一の補間方法と第二の補間方法について説明する。
これらの補間方法は、被変換点が直交格子型色変換テーブルTbの各格子点と一致するか否かに拘わらず、非変換点の色変換処理を可能とするものである。これにより、非変換点が格子点と一致するか否かの判別工程を経ることなく円滑に色変換処理を行うことができる。
【0049】
(第一の補間方法)
図18は、被変換点である注目画素の出力色値を求めるための第一の補間方法を示したフローチャートである。
図18に示すように、ここでは、まず、色相区間的に被変換点Aを挟む2つの色相層(隣接色相層、すなわち、被変換点Aの時計回り、反時計回りの各近傍の放射状色相面)上の格子点群の座標とこれらの色相角、及び、被変換点Aの色相角にもとづいて、変換点Aの色相面における前記格子点群に相当する仮想格子点群」を求める(ステップ21)。
図19は、被変換点Aが属する色相面Sa、色相面Saにおける仮想格子点群Saij、及び、色相区間的に被変換点A(色相面Sa)を挟む2つの色相層Sn、Sn+1を示す図である。
図19に示すように、仮想格子点(群)Saijは、色相的に連続する色相層Snと色相層Sn+1との間に挟まれた色相面Saに存在する格子点群とみなすことができる。
なお、図19(a)は、色相面Saと色相層Sn、Sn+1の全体を表した図であり、図19(b)は、図19(a)の部分拡大図である。
【0050】
このため、被変換点Aの色相面Saにおける仮想格子点群Saijは、色相層Snにおける格子点群Snijと、色相層Sn+1における格子点群Sn+1ijと、色相層Snと色相面Saとの色相角Δφnと色相層Sn+1と色相面Saとの色相角Δφn+1とにもとづき、次式(3)によって算出することができる。
Saij=Sn+1ij・Δφn/(Δφn+Δφn+1)+Snij・Δφn+1/(Δφn+Δφn+1)
・・・・・(3)
また、上記(3)式において、Δφn、Δφn+1は、次式(4)によって求めることができる。
{Δφn,Δφn+1}={|θn−θa|,|θa−θn+1|} ・・・・・(4)
なお、換算精度的に{Δφn,Δφn+1}が、十分に小さくなく、sinΔφn≒Δφn、sinΔφn+1≒Δφn+1とみなせない場合など、より高い精度を求める場合には、次式(5)によってSaijを算出することができる。
Saij=Sn+1ij・HSnij・sinΔφn/(HSnij・sinΔφn+HSn+1ij・sinΔφn+1)+SnijHSn+1・sinΔφn+1/(HSn・sinΔφn+HSn+1・sinΔφn+1)
・・・・・(5)
(但し、Hは、格子点群Snij、Sn+1ijに含まれる格子点から無彩色軸に下ろした垂線の足に相当する点であり、HSnij、HSn+1ijは、無彩色軸上の点Hから各格子点までの距離を示す。)
【0051】
次に、色相面Saにおいて、BkA↑=p・BkP↑+q・BkP’↑・・・(6)
となる成分比{p,q}を求める(ステップ22)。(但し、↑はベクトルを示す。以下、同じ。)
成分比{p,q}は、チャネル成分ごとに上記の式(6)の方程式を立て、これを連立して解くことにより算出することができる。ここでは、成分比{p,q}={0.7,0.35}が算出されたものとする。
続いて、成分比{p,q}を色相層Sn、Sn+1の一辺の分割数で割り、整数部と小数部を抽出し(ステップ23)、整数部と小数部を用いて被変換点Aの包含領域の特定を行う(ステップ24,25)。
【0052】
図20は、被変換点Aの包含領域を特定する方法を説明するための図である。
なお、ここでは、任意の色相層における四角形領域BkPWhP’における被変換点Aの包含領域を特定する方法について説明する。
図20に示すように、色相層の四角形領域の各辺を分割ピッチ(1/M=1/4)で分割しているので、成分比{0.7,0.35}をこの分割ピッチで割って、pに関する整数部Ip・小数部Fpとqに関する整数部Iq・小数部Fqを算出する。
この結果、Ip=2、Fp=0.8、Iq=1、Fq=0.4と算出される。
ここで、整数部は、Bkから数えて何番目の領域ブロックに包含されるかを示し、また、小数部は、包含領域ブロックにおける被変換点Aの格子点間分割比を示す。
【0053】
このため、p=Ip+Fp、q=Iq+Fqと表した場合、被変換点Aは、Bkから数えて{Ip,Iq}={2,1}番目の領域ブロックBCDEに存在し、かつ、その領域ブロックBCDEにおいて、格子点間を{Fp,Fq}={0.8,0.4}の分割比にて分割する位置に配置されることを認識することができる。
すなわち、これにより、非変換点Aの包含領域(所属領域)を特定することができる。
【0054】
そして、特定した包含領域にもとづき被変換点Aの出力色値(CMYK値)を求める(ステップ26)。
具体的には、被変換点Aの領域ブロックBCDEにおける位置関係は、図21に示すようになるため、被変換点Aの出力色値は、既知座標である各格子点B,C,D,Eに係るCMYK値にもとづき、次式(7)によって算出することができる。
A=(1−Fp)・(1−Fq)・B+Fp・(1−Fq)・C+Fp・Fq・D+(1−Fp)・FqE ・・・・・(7)
【0055】
被変換点Aの出力色値は、他の方法によって求めることもできる。
まず、被変換点Aの包含領域ブロック{Ip,Iq}を特定した後、FpとFqの大小を比較することで被変換点Aが存在する三角形領域を特定する。
具体的には、Fp≦Fqの場合、被変換点Aは△BDC領域に包含され、Fp>Fqの場合、被変換点Aは△BDE領域に包含されると判断することができる。
例えば、図22に示すように、Fp≦Fqである場合、被変換点Aを包含する三角形領域は△BDCと特定することができる。
そして、このような判断によって特定した三角形領域を構成する3つの格子点情報とその三角形領域における被変換点Aが面積的に分割する比率とから、被変換点AのCMYK値を算出することができる。
【0056】
図23は、被変換点Aを包含する三角形領域にもとづき被変換点Aを求める方法を説明するための図である。
具体的には、被変換点Aを包含する三角形(領域)が△BCDであるとした場合、△BCDの各頂点の対辺を底辺として被変換点Aを頂点とする3つの三角形の△BCDに対する面積比を求め、これらと頂点座標を掛けた後、合成することで被変換点Aの座標を求めることができる。
すなわち、被変換点Aの出力色値は、既知座標である各格子点B,C,Dに係るCMYK値にもとづき、次式(8)によって算出することができる。
A=α・B+β・C+γ・D ・・・・・(8)
(但し、α=△ACDの面積/△BCDの面積、β=△ABDの面積/△BCDの面積、γ=△ABCの面積/△BCDの面積)
なお、三角形の面積は、例えば、3点のうちの1点を始点として残りの2点を終点とする2ベクトルを求め、これらの外積を0.5倍して求めることができる。また、各辺の長さを求めてヘロンの公式を適用して求めることもできる。
【0057】
(第二の補間方法)
図24は、第二の補間方法を示したフローチャートである。
なお、ここでは、図25に示すように、被変換点Aを包含する直方体又は立方体の頂点相当する8点による立方体補間法(a)や、その直方体や立方体の対角線方向に沿って分割してできる三角柱のうち被変換点Aを内包する三角柱の頂点に相当する6点による三角柱補間法にもとづいて被変換点Aを求めることができる。
すなわち、色相面Saを挟む隣接色相層Sn、Sn+1(つまり、被変換点Aの時計回り、反時計回りの各近傍の放射状色相面)における被変換点Aの写像点A'n、A'n+1を包含する四角形領域又は三角形領域と被変換点Aの配置関係を求め、Sn〜Sn+1におけるSaの内分比率にもとづき被変換点Aを求める。
【0058】
図24に示すように、ここでは、まず、被変換点Aの色相の最大彩度を求める(ステップ31)。
被変換点Aの色相(すなわち、非変換点Aと同一の色相)の最大彩度点(彩度飽和点)Pは、次式(9)によって算出することができる。
P=(A−Min[A])/Max[(A−Min[A])] ・・・・・(9)
(但し、Min[A]は、非変換点A:{Ax,Ay,Az}座標の三成分のうちの最小値を示す。また、A−Min[A]は、被変換点Aの各座標成分から被変換点A座標の三成分のうちの最小値を差し引いたものであり、Max[(A−Min[A])]は、A−Min[A]の三成分のうちの最大値を示す。)
次に、前ステップで求めた最大彩度の補色を求める(ステップ32)。
補色点(補色彩度飽和点)P’は、次式(10)によって算出することができる。
P’={1,1,1}−P ・・・・・(10)
例えば、最大彩度点P={1,0,0}(赤)の場合の補色点P’は、P’={1,1,1}−{1,0,0}={0,1,1}(シアン)となる。
続いて、BkA↑=p・BkP↑+q・BkP’↑となる成分比{p,q}を求め(ステップ33)、成分比{p,q}を色相層Sn、Sn+1の一辺の分割数(M)で割り、整数部と小数部を抽出する(ステップ34)。
なお、上記ステップ33〜34は、図18におけるステップ22〜23に相当する。このため、これら各ステップの詳細な説明は省略する。
【0059】
次に、色相区間的に被変換点Aを挟む2つの色相層Sn、Sn+1における被変換点Aの写像点A'n、A'n+1が属する領域を特定する(ステップ35)。
この特定方法は、前述の第一の補間方法における「被変換点Aの包含領域の特定方法」(ステップ23〜25)と同様の方法を用いる。
すなわち、ステップ34で求めた整数部{Ip,Iq}を用いて、色相層Snにおいて写像点A'nを包含する領域ブロックBnCnDnEnを特定する。
同様に、色相層Sn+1において写像点A'n+1を包含する領域ブロックBn+1Cn+1Dn+1En+1を特定する。
これにより、立方体補間法に必要な頂点8点(BnCnDnEn、Bn+1Cn+1Dn+1En+1)を求めることができる。
なお、三角柱補間法による場合は、三角柱の頂点に相当する6点(BnCnDn、Bn+1Cn+1Dn+1)を前述した三角形領域を特定する方法(図22及び該当する説明参照)によって求めることができる。
【0060】
続いて、写像点A'n、A'n+1を求める(ステップ36)。
写像点A'n、A'n+1の算出は、前述の第一の補間方法における被変換点Aの出力色値を求める方法と同様の方法を用いる(式7参照)。
すなわち、図26に示すように、p=Ip+Fp、q=Iq+Fqとした場合、写像点A'nは、Bkから数えて{Ip,Iq}番目の領域ブロックBnCnDnEnに存在する。
そして、写像点A'nは、その領域ブロックBnCnDnEnにおいて、格子点間を{Fp,Fq}の分割比にて分割する位置に配置する。
したがって、Bn、Cn、Dn、Enに予め割り当てられているCMYK値と、小数部{Fp,Fq}を用いた次式(11)を用いて写像点An'の出力色値を求める。
A'n=(1−Fp)・(1−Fq)・Bn+Fp・(1−Fq)・Cn+Fp・Fq・Dn+(1−Fp)・Fq・En ・・・・・(11)
同様に、次式(12)を用いて写像点A'n+1の出力色値を求める。
A'n+1=(1−Fp)・(1−Fq)・Bn+1+Fp・(1−Fq)・Cn+1+Fp・Fq・Dn+1+(1−Fp)・Fq・En+1 ・・・・・(12)
【0061】
そして、写像点A'n、A'n+1にもとづき、被変換点Aの出力色値を求める(ステップ37)。
図27は、写像点A'n、A'n+1にもとづき被変換点Aを求める方法を説明するための図である。
図27に示すように、被変換点Aは、無彩色軸方向から眺めた場合、色相層Sn上の写像点A'nと色相層Sn+1上の写像点A'n+1とからなる直線と、色相面Saとが交差する交点とみなすことができる。
【0062】
このため、写像点A'n、A'n+1の出力色値を用いた次式(13)にもとづき、被変換点Aの出力色値を算出することができる。
A=(1−εl)・A'n+εl・A'n+1 ・・・・・(13)
(但し、εl=HnA'n・sinΔφn/(HnA'n・sinΔφn+Hn+1A'n+1・sinΔφn+1)とし、Hnは、写像点A'nから無彩色軸へ下ろした垂線の足、Hn+1は、写像点A'n+1から無彩色軸へ下ろした垂線の足を示すものとする。)
あるいは、被変換点Aの出力色値は、次式(14)によって算出することができる。
A=(1−εo)・A'n+εo・A'n+1 ・・・・・(14)
(但し、εo=Δφn/Δφn+Δφn+1とする。)
【0063】
なお、被変換点Aを色相的に挟む2つの色相層との色相(角)差が比較的大きい場合など、計算時間的に余裕があるときや、計算精度を追究したいときなど、sinΔφn≒Δφn、sinΔn+1=Δn+1とみなすことができない場合には、上記式(13)を用いるとよい。
一方、被変換点Aを挟む2つの色相層との色相(角)差が十分に狭い場合など、換算精度的に誤差を許容でき、換算精度よりも高速演算性を優先したい場合など、sinΔφn≒Δφn、sinΔφn+1≒Δφn+1とみなすことができる場合には、上記式(14)を用いるとよい。
【0064】
このように第二の補間方法によれば、立方体補間法の場合8点の格子点、三角柱補間法の場合6点の格子点にもとづき被変換点Aを求めることができる。
このため、非変換点Aの包含領域の特定が容易であり、フローの簡易性からメモリ消費量を少なくすることができる。
したがって、多くの仮想格子点群を算出してから被変換点Aを求める第一の補間方法に比べ、より高速な色変換処理を実現することができる。
【0065】
(色変換プログラム、画像形成プログラム)
次に、色変換プログラム及び画像形成プログラムについて説明する。
上記実施形態におけるコンピュータ(色変換装置)の色変換機能は、記憶手段(例えば、ROMやハードディスクなど)に記憶された色変換プログラムにより実現される。
また、上記実施形態におけるコンピュータ(画像形成装置)の色変換機能及び出力機能は、記憶手段(例えば、ROMやハードディスクなど)に記憶された画像形成プログラムにより実現される。
【0066】
色変換プログラムは、コンピュータの制御手段(CPU(Central Processing Unit)など)に読み込まれることにより、コンピュータの構成各部に指令を送り、所定の処理、例えば、画像データの入力処理、格子点配置処理、色変換テーブル再編処理、色変換処理、記憶処理などを行わせる。画像形成プログラムは、これらの処理に加え、画像データの出力処理を行わせる。
これによって、色変換機能や画像形成機能は、ソフトウェアである色変換プログラムや画像形成プログラムとハードウェア資源であるコンピュータ(色変換装置、画像形成装置)の各構成手段とが協働することにより実現される。
【0067】
なお、色変換機能を実現するための色変換プログラムや色変換機能を含む画像形成機能を実現するための画像形成プログラムは、コンピュータのROMやハードディスクなどに記憶される他、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、外部記憶装置及び可搬記録媒体に格納することができる。
外部記憶装置とは、CD−ROM(Compact disc−Read Only Memory)等の記録媒体を内蔵し、色変換装置や画像形成装置に外部接続されるメモリ増設装置をいう。一方、可搬記録媒体とは、記録媒体駆動装置(ドライブ装置)に装着でき、かつ、持ち運び可能な記録媒体であって、例えば、フレキシブルディスク、メモリカード、光磁気ディスク等をいう。
【0068】
そして、記録媒体に記録されたプログラムは、コンピュータのRAM(Random Access Memory)等にロードされて、CPU(制御手段)により実行される。この実行により、上述した実施形態の色変換装置や画像形成装置の機能が実現される。
さらに、コンピュータで色変換プログラムや画像形成プログラムをロードする場合、他のコンピュータで保有されたこれらのプログラムを、通信回線を利用して自己の有するRAMや外部記憶装置にダウンロードすることもできる。このダウンロードされたプログラムも、CPUにより実行され、上記実施形態の色変換装置や画像形成装置の色変換機能を実現する。
【0069】
このように本実施形態の色変換装置、画像形成装置、色変換プログラム、画像形成プログラム、色変換テーブル(立方格子型色変換テーブル)によれば、放射状の色変換テーブルにおける各格子点の配置関係、すなわち、色相の連続性を維持しつつ、従来の立方格子状の色変換テーブルに合わせた立方格子型色変換テーブルを構成し、これを用いて色変換処理を行うようにしている。
また、色変換テーブルの格子点と一致しない未知座標に係る色値については、種々の補間処理を介して相当する的確な色値に柔軟に変換できるようにしている。
このため、色合いや色味など、人間の色に対する感覚に沿った色変換や色調整を的確に行うことができるとともに、既存の装置やシステムに対し高い整合性、互換性、親和性を有する。
【0070】
すなわち、色空間内に多くの格子点を配置することなく、人間の感覚が敏感な方向に沿って格子点を配置することができ、そのために処理負荷が小さく、色変換の処理速度が高速になり、安価な制御装置でも色変換処理ができる効果を奏する。
さらに、既存のシステムに多く存在する直交格子状の色変換テーブルを使用する装置、ASIC、プログラムとも相性良く馴染みやすい。また、既存システムへも転用しやすく、既存システムの一部を転用することができたり、あるいは、既存システムを色相保存性の高い制御システムにリニューアルすることも可能であり、強いては、製品の早期陳腐化を防ぎ、製品寿命を長らえ価値を維持する効果を奏する。
【0071】
以上、本発明の色変換装置、画像形成装置、色変換プログラム、画像形成プログラム、及び、色変換テーブルについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、被変換点Aを求めるための補間方法として、被変換点Aを包含する直方体又は立方体を対角線方向にそって分割してできる三角柱を分割してできる三角錐にもとづいて行う四面体補間や、被変換点Aを内包する空間にて内挿補間計算ができない場合等において近隣の格子点を用いた外挿補間を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、カラープリンタなどの画像形成装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 画像処理装置
10 色変換装置
101 画像情報入力部
102 格子点配置部
103 色変換テーブル再編処理部
104 色変換処理部
105 記憶部
106 画像情報出力部
Ta 放射状の色変換テーブル
Tb 立方格子型色変換テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部と、
前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部と、
RGB形式の画像データを入力する画像情報入力部と、
入力したRGB形式の画像データを、前記直交格子型色変換テーブルを用いてCMYK形式の画像データに変換する色変換処理部と、を備え、
前記格子点配置部は、
RGB値からCMYK値への色変換において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点とする直交格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成し、これを補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに形成されるBkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって、前記放射状の色変換テーブルを生成し、
前記色変換テーブル再編処理部は、
前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす立方格子型色変換テーブルを生成することを特徴とする色変換装置。
【請求項2】
前記格子点配置部は、
BkPWhP’からなる前記四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を8の倍数の等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって前記放射状の色変換テーブルを生成する請求項1記載の色変換装置。
【請求項3】
前記格子点配置部は、
BkPWhP’からなる前記四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を6の倍数の等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって前記放射状の色変換テーブルを生成する請求項1又は2記載の色変換装置。
【請求項4】
所定の色変換装置を備えるとともに、当該色変換装置によって色変換されたCMYK形式の画像データを出力する画像情報出力部を備える画像形成装置であって、
前記色変換装置は、請求項1〜3のいずれか一項記載の色変換装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
コンピュータを、
RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部、
前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部、
RGB形式の画像データを入力する画像情報入力部、及び
入力したRGB形式の画像データを、前記直交格子型色変換テーブルを用いてCMYK形式の画像データに変換する色変換処理部、として機能させるとともに、
前記格子点配置部に、
RGB値からCMYK値への色変換において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点とする直交格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成させ、前記色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに、BkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって、前記放射状の色変換テーブルを生成させ、
前記色変換テーブル再編処理部に、
前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす立方格子型色変換テーブルを生成させることを特徴とする色変換プログラム。
【請求項6】
所定の色変換プログラムの機能を備え、当該色変換プログラムの機能により、コンピュータに、色変換されたCMYK形式の画像データを出力させる画像形成プログラムであって、
前記色変換プログラムは、請求項5記載の色変換プログラムであることを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項7】
入力したRGB形式の画像データを、CMYK形式の画像データに変換するための色変換テーブルであって、
RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点が、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置されて放射状の格子点群を形成し、当該格子点群の同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層されて前記格子点が直交格子を形成するうえにおいて、
Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)からなる線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは正の整数)に分割して生成される所定の色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに形成されるBkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点が配置された放射状の格子点群を形成し、当該格子点群の同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層が色相順に積層されて前記格子点が立方格子を形成することを特徴とする色変換テーブル。
【請求項1】
RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部と、
前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部と、
RGB形式の画像データを入力する画像情報入力部と、
入力したRGB形式の画像データを、前記直交格子型色変換テーブルを用いてCMYK形式の画像データに変換する色変換処理部と、を備え、
前記格子点配置部は、
RGB値からCMYK値への色変換において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点とする直交格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成し、これを補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに形成されるBkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって、前記放射状の色変換テーブルを生成し、
前記色変換テーブル再編処理部は、
前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす立方格子型色変換テーブルを生成することを特徴とする色変換装置。
【請求項2】
前記格子点配置部は、
BkPWhP’からなる前記四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を8の倍数の等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって前記放射状の色変換テーブルを生成する請求項1記載の色変換装置。
【請求項3】
前記格子点配置部は、
BkPWhP’からなる前記四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を6の倍数の等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって前記放射状の色変換テーブルを生成する請求項1又は2記載の色変換装置。
【請求項4】
所定の色変換装置を備えるとともに、当該色変換装置によって色変換されたCMYK形式の画像データを出力する画像情報出力部を備える画像形成装置であって、
前記色変換装置は、請求項1〜3のいずれか一項記載の色変換装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
コンピュータを、
RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点を、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置して放射状の色変換テーブルを生成する格子点配置部、
前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が直交格子をなす直交格子型色変換テーブルを生成する色変換テーブル再編処理部、
RGB形式の画像データを入力する画像情報入力部、及び
入力したRGB形式の画像データを、前記直交格子型色変換テーブルを用いてCMYK形式の画像データに変換する色変換処理部、として機能させるとともに、
前記格子点配置部に、
RGB値からCMYK値への色変換において、Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)を各頂点とする直交格子の線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは正の整数)に分割して所定の色域彩度エッジ点を生成させ、前記色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに、BkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点を配置することによって、前記放射状の色変換テーブルを生成させ、
前記色変換テーブル再編処理部に、
前記放射状の色変換テーブルの同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層して前記格子点が立方格子をなす立方格子型色変換テーブルを生成させることを特徴とする色変換プログラム。
【請求項6】
所定の色変換プログラムの機能を備え、当該色変換プログラムの機能により、コンピュータに、色変換されたCMYK形式の画像データを出力させる画像形成プログラムであって、
前記色変換プログラムは、請求項5記載の色変換プログラムであることを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項7】
入力したRGB形式の画像データを、CMYK形式の画像データに変換するための色変換テーブルであって、
RGBの3値で表現される入力デバイスと、CMYKの4値で表現される出力デバイス間において、入力デバイスのRGB値と出力デバイスのCMYK値との対応付けとしての格子点が、所定の無彩色軸から放射方向に均等に配置されて放射状の格子点群を形成し、当該格子点群の同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層を色相順に積層されて前記格子点が直交格子を形成するうえにおいて、
Rd(赤)、Gr(緑)、Bl(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄)、Wh(白)、Bk(黒)からなる線分RdYe、線分YeGr、線分GrCy、線分CyBl、線分BlMg、及び、線分MgRdをN等分(Nは正の整数)に分割して生成される所定の色域彩度エッジ点を、補色の関係が成り立つ彩度飽和点Pと補色彩度飽和点P’との組み合わせに分け、前記組み合わせごとに形成されるBkPWhP’からなる四角形領域の線分BkP及び線分BkP’を3N等分に分割した交差位置に前記格子点が配置された放射状の格子点群を形成し、当該格子点群の同一の色相面及びその補色色相面からなる色相層が色相順に積層されて前記格子点が立方格子を形成することを特徴とする色変換テーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図17】
【図18】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図7】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図17】
【図18】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図7】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図21】
【公開番号】特開2013−74484(P2013−74484A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212417(P2011−212417)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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