説明

色度の除去方法及び除去装置

【課題】少ない酸化剤使用量で被処理水中の色度成分を効率的に酸化分解して除去する。また、色度成分と共にアンモニアを含む被処理水から、色度成分とアンモニアとを効率的に除去する。
【解決手段】色度成分を含む被処理水を、オゾン等の酸化剤の存在下に、疎水性ゼオライトを充填した充填塔4に通水する色度の除去方法。被処理水がアンモニアを含む場合、色度成分と共にアンモニアも同時に除去される。色度成分とアンモニアを含む被処理水を、疎水性ゼオライトが充填された充填塔に通水してアンモニアを吸着させた後、充填塔の流出水を酸化剤で処理して色度成分を除去する色度の除去方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、井戸水や河川水などの被処理水に含まれる色度成分を除去する方法及び装置に関するものである。本発明はまた、色度成分と共に被処理水中のアンモニアをも除去し得る方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸水や河川水等を飲料水として使用する場合、これらの水に含まれている色度成分(フミン酸・フルボ酸)を飲料水基準である色度5度以下に除去する必要がある。
【0003】
従来、水中の色度成分の除去方法としては、
(1) 次亜塩素酸やオゾンのような酸化剤を添加して酸化分解する方法
(2) ポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤を添加して凝集沈殿処理する方法
などが知られている(例えば、特許文献1の背景技術の記載)。
また、井戸水や河川水がし尿等で汚染されている場合、アンモニアを含むことがあり、これを除去するために次亜塩素酸やオゾンのような酸化剤をさらに添加する方法や、カチオン交換樹脂を用いる方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO00/27756号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術には以下のような問題点があった。
(1) 酸化剤で酸化分解する方法では、色度成分が水中で重金属と安定な錯体を形成している場合には、添加する酸化剤の必要量が増加する。この場合、過剰に添加された酸化剤は、残留して後段の装置を劣化させるなどの悪影響を及ぼす可能性があるので、活性炭や還元剤等で分解除去する必要があり、コストの増加につながる。
【0006】
(2) 凝集沈殿処理では、余剰の凝集剤に含まれるアルミニウムや鉄などの重金属類が後段の設備へリークする可能性があり、新たな除去装置が必要となる場合がある。
【0007】
(3) アンモニアの除去のために酸化剤を更に添加する方法では、酸化剤によりアンモニアが酸化されると、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素にまで分解され、生成した硝酸性窒素、亜硝酸性窒素が、飲料水として用いる場合の飲料水基準の10mg/L以下を満足できなくなることがある。
【0008】
(4) アンモニアの除去にカチオン交換樹脂を用いる方法は、アンモニアのみを除去対象としても、その他のイオンが優先的にイオン交換されることが多いため、アンモニアのイオン交換容量は低く、カチオン交換樹脂の再生頻度が多くなってしまうため実用的でない。
【0009】
なお、従来において、酸化剤としては、次亜塩素酸やオゾンが用いられているが、次亜塩素酸では、色度成分との反応で、発がん性物質であるトリハロメタンやクロラミンなどの副生成物が生成する問題があった。
【0010】
本発明は、少ない酸化剤使用量で被処理水中の色度成分を効率的に酸化分解して除去することができる色度の除去方法及び除去装置を提供することを課題とする。
本発明はまた、色度成分と共にアンモニアを含む被処理水から、色度成分とアンモニアとを効率的に除去する色度の除去方法及び除去装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、疎水性ゼオライトを充填した充填塔を用いることにより、疎水性ゼオライトに吸着させた色度成分を効率的に酸化分解することができること、被処理水がアンモニアをも含む場合には、疎水性ゼオライトでアンモニアをも吸着除去することができること、更には、疎水性ゼオライト充填塔でアンモニアのみを吸着除去し、疎水性ゼオライト充填塔の流出水中の色度成分を酸化剤により酸化分解することもできることを見出した。
【0012】
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0013】
[1] 色度成分を含む被処理水を、酸化剤の存在下に、疎水性ゼオライトを充填した充填塔に通水することを特徴とする色度の除去方法。
【0014】
[2] [1]において、前記酸化剤がオゾンであることを特徴とする色度の除去方法。
【0015】
[3] [1]又は[2]において、アンモニアを含む前記被処理水を前記充填塔に通水して色度成分と共にアンモニアも同時に除去することを特徴とする色度の除去方法。
【0016】
[4] 色度成分とアンモニアを含む被処理水を、疎水性ゼオライトが充填された充填塔に通水してアンモニアを吸着させた後、該充填塔の流出水を酸化剤で処理して色度成分を除去することを特徴とする色度の除去方法。
【0017】
[5] [4]において、アンモニアを吸着した前記疎水性ゼオライトにオゾンを接触させて再生することを特徴とする色度の除去方法。
【0018】
[6] 疎水性ゼオライトを除去した充填塔と、該充填塔に色度成分を含む被処理水を通水する手段と、該被処理水及び/又は充填塔に酸化剤を添加する手段とを備えることを特徴とする色度の除去装置。
【0019】
[7] [6]において、前記酸化剤がオゾンであることを特徴とする色度の除去装置。
【0020】
[8] [6]又は[7]において、前記被処理水がアンモニアを含み、前記充填塔で色度成分と共にアンモニアも同時に除去されることを特徴とする色度の除去装置。
【0021】
[9] 疎水性ゼオライトを除去した充填塔と、該充填塔に色度成分とアンモニアを含む被処理水を通水してアンモニアを吸着除去する手段と、該充填塔の流出水を酸化剤で処理して色度成分を除去する手段とを備えることを特徴とする色度の除去装置。
【0022】
[10] [9]において、アンモニアを吸着した前記疎水性ゼオライトにオゾンを接触させて再生する手段を備えることを特徴とする色度の除去装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、疎水性ゼオライト充填塔に、酸化剤の存在下に被処理水を通水することにより、次のような優れた効果のもとに、被処理水中の色度成分、更にはアンモニアを除去して高清浄な処理水を得ることができる。
【0024】
(1) オゾンや次亜塩素酸などの酸化剤の少量添加で、効率良く、色度成分、更にはアンモニアを除去することができるため、酸化剤コストを低減することができ、また、残留酸化剤による後段装置の劣化などの問題も軽減される。
(2) 特に、酸化剤としてオゾンを用いた場合には、色度成分との反応でクロラミンやトリハロメタンが生成する問題はなく、また、次亜塩素酸を用いた場合であっても、その添加量が少なくて足りるため、これらの副生成物の生成を抑制することができる。
(3) 吸着材である疎水性ゼオライトに色度を吸着させて酸化剤で酸化分解するため、反応に必要な時間を稼ぐための滞留部分を設ける必要がなく、装置の小型化、省スペース化を図ることができる。
(4) 被処理水中のアンモニアを、酸化分解ではなく疎水性ゼオライトへの吸着で除去することができるため、硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の生成を抑制することができ、飲料水基準である硝酸性窒素、亜硝酸性窒素10mg/L以下を満足しつつ、被処理水を浄化することができる
【0025】
特に、疎水性ゼオライト充填塔に被処理水を通水した後、疎水性ゼオライト充填塔流出水を酸化剤で処理することにより、疎水性ゼオライト充填塔においてアンモニアの吸着除去のみを行い、後段の酸化剤による処理で色度成分の酸化分解のみを行うようにすることにより、アンモニアの酸化分解による硝酸性窒素、亜硝酸性窒素の生成をより一層確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の色度の除去装置の実施の形態を示す系統図である。
【図2】本発明の色度の除去装置の他の実施の形態を示す系統図である。
【図3】本発明の色度の除去装置の他の実施の形態を示す系統図である。
【図4】比較例1,2で用いた従来装置を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0028】
本発明の色度の除去方法は、以下の(I)又は(II)の方法で被処理水を処理するものである。
(I) 疎水性ゼオライト充填塔に、色度成分を含む被処理水を酸化剤の存在下に通水することにより、色度成分を酸化分解して除去する。この被処理水中にアンモニアが含まれる場合には同時に疎水性ゼオライトに被処理水中のアンモニアを吸着させて除去する。(以下、この方法を「実施態様I」と称す。)
(II) 色度成分とアンモニアを含む被処理水を、疎水性ゼオライト充填塔に通水してアンモニアを疎水性ゼオライトに吸着させて除去し、疎水性ゼオライト充填塔の流出水を酸化剤で処理して色度成分を酸化分解して除去する。(以下、この方法を「実施態様II」と称す。)
【0029】
<被処理水>
本発明において処理対象とする、色度成分を含む被処理水、或いは更にアンモニアを含む被処理水としては、特に制限はないが、本発明は特にアンモニアと色度成分の両方を含む被処理水に大きな効果が得られる技術であることから、特に、井戸水、河川水、下水などを再生した再生水等を原水として、飲料水基準を満たす高清浄な水を得る場合に好適である。
【0030】
本発明において、除去対象とする色度成分とは、一般に、フミン酸、フルボ酸が主体であるが、可視光を吸収し、水中で着色している物質であれば特に限定はない。
【0031】
通常、本発明で処理対象とする井戸水や河川水等の原水は、次のような水質である。
色度成分:5〜100度
アンモニア:0.1〜30mg−N/L
硝酸性窒素,亜硝酸性窒素:0.1〜20mg−N/L
【0032】
<疎水性ゼオライト充填塔>
疎水性ゼオライトとは、酸処理、水熱処理などにより骨格中のアルミニウムを除去したもの、或いは四塩化ケイ素蒸気処理などによりこれらアルミニウムをケイ素で置換したものであり、本来、親水性のゼオライトを疎水性に変性させたゼオライトのことを示す。
疎水性ゼオライトは種々の構造を有するものがあり、本発明で用いる疎水性ゼオライトは、除去対象とする色度成分やアンモニアを細孔内に吸着できるものであれば良いが、特にMFI型、メソポーラスシリケートが望ましい。また、ゼオライトのシリカ/アルミナ比はSiO/Al=10以上が望ましい。
【0033】
疎水性ゼオライトの形状は、粉末、粒状、ペレット状や、ハニカム状など、充填塔内での通水差圧が少なく、被処理水との接触面積が大きくとれる形状であればいずれの形状でもよい。
【0034】
このような疎水性ゼオライトを充填した疎水性ゼオライト充填塔への原水の通水条件としては、空間速度(SV)を小さくして通水速度を遅くする程、色度成分やアンモニアの除去効果が高められるが、通水速度が過度に遅いと処理効率が悪く、また大型の充填塔を必要とすることになることから、SV=1〜250hr−1、特に10〜100hr−1の範囲で実施態様毎に設定することが好ましい。
【0035】
即ち、本発明で用いる疎水性ゼオライトは、色度成分やアンモニアの吸着能が高く、前記実施態様Iにおいて、原水中の色度成分、更にはアンモニアを吸着し、疎水性ゼオライトに吸着された色度成分は、更に共存する酸化剤により酸化分解することができる。また、疎水性ゼオライトは色度成分よりもアンモニアに対する吸着性能が高いため、実施態様IIにおいては、アンモニアのみを選択的に吸着除去し、色度成分については充填塔流出水中に含有させて流出することができる。従って、実施態様Iにおいて、色度成分、或いは色度成分とアンモニアを疎水性ゼオライトに吸着させる場合には、疎水性ゼオライト充填塔の通水SVは1〜20hr−1とすることが好ましく、また、実施態様IIにおいて、原水中のアンモニアのみを選択的に吸着し、色度成分については吸着せずに流出させる場合には、疎水性ゼオライト充填塔の通水SVは10〜100hr−1と実施態様Iの場合よりも若干速くすることが好ましい。
【0036】
<酸化剤>
酸化剤としては、次亜塩素酸やオゾン等の、従来、色度成分の酸化分解に用いられているものを用いることができるが、次亜塩素酸は、前述の如く、クロラミンやトリハロメタン等の副生成物の問題があることから、このような問題がなく、また酸化力の高いオゾンを用いることが好ましい。オゾンは、オゾンガスとして注入しても、オゾン水として注入してもよい。
【0037】
オゾン発生装置としては、無声放電タイプでも、紫外線ランプ方式、水電解方式などいずれのタイプでも適用できるが、処理水中の窒素濃度を抑えるには、水電解タイプのものが最適である。また、原水や疎水性ゼオライト充填塔流出水へのオゾンの混合部は、エゼクター等の配管注入型のものであっても、散気管によるものであっても、気液混合が十分に行われるものであれば、いずれの方式を採用しても処理性能に影響はない。
【0038】
酸化剤としてオゾンを用いる場合、その添加量は、原水の水質(色度成分濃度、アンモニアの有無など)によっても異なるが、実施態様Iにおいて、アンモニアを含まない原水を処理する場合、疎水性ゼオライト充填塔に流入する原水に対して1〜150mg/L、特に10〜50mg/Lの範囲で原水の色度成分濃度に応じて適宜決定することが好ましい。オゾン添加量が少な過ぎると色度成分を十分に除去し得ず、多過ぎると残留オゾンの処理の問題があり、また、オゾン添加コストが高くつく。
【0039】
また、実施態様Iにおいて、色度成分とアンモニアを含む原水を処理する場合、疎水性ゼオライト充填塔において、アンモニアは、オゾンによる酸化分解を受けることなく、単に疎水性ゼオライトに吸着されるのみで、色度成分のみが充填塔内で酸化分解されることが、アンモニアの酸化分解による硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の生成を抑制する上で好ましく、このため、色度成分とアンモニアとの反応性を考慮して、1〜100mg/L、特に10〜40mg/Lの範囲で、原水中の色度成分濃度に応じて適宜決定することが好ましい。オゾン添加量が少な過ぎると色度成分を十分に除去し得ず、多過ぎるとアンモニアも酸化分解されることとなり、硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の生成が問題となる。
【0040】
一方、実施態様IIにおいて、疎水性ゼオライト充填塔の流出水にオゾンを添加する場合は、原水中のアンモニアは、その殆どが疎水性ゼオライト充填塔で吸着除去されているため、実施態様Iにおいて、アンモニアを含まない原水を処理する場合と同様の添加量とすることができる。
【0041】
なお、実施態様IIにおいて、疎水性ゼオライト充填塔の流出水に酸化剤を添加して流出水中の色度成分を酸化分解する場合、オゾンと色度成分との反応時間を確保するために、疎水性ゼオライト充填塔の後段にオゾン反応塔を設けることが好ましい。このオゾン反応塔は空塔であってもよく、ハニカム、ラシヒリング等を充填した充填塔であってもよい。
【0042】
また、オゾンの添加で色度成分の酸化分解を行った場合は、後段に気液分離手段を設けて残留オゾンを除去する。また、必要に応じて、更に活性炭塔に通水して残留オゾンを分解除去してもよい。気液分離手段で分離された、廃オゾンは、色度成分の酸化分解に再利用することもできる。
【0043】
<疎水性ゼオライトの再生>
実施態様IIにおいて、原水の通水でアンモニアを吸着させた疎水性ゼオライトは、酸化剤で再生して再使用することが好ましい。疎水性ゼオライトの再生に用いる酸化剤としては、後段の色度成分の酸化分解に用いる酸化剤を用いることが好ましいが、この疎水性ゼオライトの再生にも酸化力の強いオゾンを用いることが好ましい。
【0044】
疎水性ゼオライトの再生は疎水性ゼオライト充填塔にオゾンガス又はオゾン水を通水して行うことができる。オゾンにより、疎水性ゼオライトに吸着されているアンモニアが酸化分解され、再生排水に含まれて流出する。
【0045】
なお、実施態様Iにおいて、アンモニアと色度成分を疎水性ゼオライト充填塔に通水してアンモニアを疎水性ゼオライトに吸着させ、疎水性ゼオライトに吸着された色度成分を充填塔内で酸化分解する場合においても、必要に応じて原水の通水処理時よりも高濃度のオゾンガス又はオゾン水を充填塔に導入して疎水性ゼオライトを再生することができる。
【0046】
<色度の除去装置>
以下に図面を参照して本発明の色度の除去装置の実施の形態を説明するが、本発明の色度の除去装置は、何ら図示のものに限定されるものではない。図1〜3は本発明の色度の除去装置の実施の形態の一例を示す系統図である。図1〜3において、1はポンプ、2はオゾン発生器、3,3A,3Bはオゾン混合部、4,4A,4Bは疎水性ゼオライト充填塔、5はオゾン反応塔、6は気液分離槽である。
【0047】
図1は、実施態様Iの色度の除去装置を示すものであり、ポンプ1により給水された原水は、オゾン発生器2からのオゾンがオゾン混合器3で注入、混合された後、疎水性ゼオライト充填塔4に通水され、含有される色度成分が疎水性ゼオライトに吸着されると共にオゾンにより酸化分解される。また、原水にアンモニアが含まれている場合は、アンモニアが疎水性ゼオライトに吸着されて除去される。疎水性ゼオライト充填塔の流出水は、色度及びアンモニアが除去され、残留するオゾンを含むものであるため、気液分離槽5で残留オゾンが分離除去された後、処理水として取り出される。
【0048】
図2は、実施態様IIの色度の除去装置を示すものであり、ポンプ1により給水された原水は、疎水性ゼオライト充填塔4に通水され、含有されるアンモニアが疎水性ゼオライトに吸着されて除去される。疎水性ゼオライト充填塔4の流出水は、オゾン発生器2からのオゾンがオゾン混合器3Bで注入、混合された後、オゾン反応塔6で色度成分が酸化分解除去される。オゾン反応塔6の流出水は、色度及びアンモニアが除去され、残留するオゾンを含むものであるため、気液分離槽5で残留オゾンが分離除去された後、処理水として取り出される。
【0049】
この装置において、疎水性ゼオライト充填塔4の疎水性ゼオライトを再生する際には、ポンプ1を停止して原水の通水を停止すると共に、再生用水を導入し、バルブVを開けてオゾン発生器2からのオゾンをオゾン混合器3Aで再生用水に注入、混合して調製されたオゾン水を、疎水性ゼオライト充填塔4に通水し、再生排水を排出する。
【0050】
図3は、実施態様IIの色度の除去装置であって、疎水性ゼオライト充填塔を2塔並列に設け、原水の通水と疎水性ゼオライトの再生をメリーゴーランド方式で交互に行うようにしたものである。図3において、白抜きのバルブは開(水が流れている)とされたバルブであり、黒塗りのバルブは閉(水が流れていない)のバルブである。なお、疎水性ゼオライト充填塔は3塔以上設けることもできる。
【0051】
図3(a)は、疎水性ゼオライト充填塔4Aに原水を通水し、疎水性ゼオライト充填塔4Bで疎水性ゼオライトの再生を行う場合を示し、バルブV、V1A,V2B,V3B,V4Aは開、バルブV1B,V2A,V3A,V4Bは閉とされている。
【0052】
原水は、ポンプ1により、バルブV1Aを経て疎水性ゼオライト充填塔4Aに導入され、疎水性ゼオライト充填塔4Aの流出水はバルブV4Aを経て、図3におけると同様にオゾン発生器2からのオゾンがオゾン混合器3Bで注入、混合された後、オゾン反応塔6、気液分離槽5を経て処理水として排出される。
一方、再生用水は、オゾン発生器2からのオゾンがオゾン混合器3Aで注入、混合された後、バルブV2Bを経て疎水性ゼオライト充填塔4Bに導入され、再生排水はバルブV3Bを経て排出される。
【0053】
図3(b)は、疎水性ゼオライト充填塔4Bに原水を通水し、疎水性ゼオライト充填塔4Aで疎水性ゼオライトの再生を行う場合を示し、バルブV、V1A,V2B,V3B,V4Aは閉、バルブV1B,V2A,V3A,V4Bは開とされている。
【0054】
原水は、ポンプ1により、バルブV1Bを経て疎水性ゼオライト充填塔4Bに導入され、疎水性ゼオライト充填塔4Bの流出水はバルブV4Bを経て、図3におけると同様にオゾン発生器2からのオゾンがオゾン混合器3Bで注入、混合された後、オゾン反応塔6、気液分離槽5を経て処理水として排出される。
一方、再生用水は、オゾン発生器2からのオゾンがオゾン混合器3Aで注入、混合された後、バルブV2Aを経て疎水性ゼオライト充填塔4Aに導入され、再生排水はバルブV3Aを経て排出される。
【0055】
なお、図1〜3において、疎水性ゼオライト充填塔4への原水の通水や再生用水の通水は上向流通水とされているが、下向流通水としてもよい。ただし、オゾンが混合された原水や再生用水の通水は、オゾンを充填塔内に円滑に通気するために上向流通水とすることが好ましい。
【実施例】
【0056】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0057】
なお、以下において、疎水性ゼオライト充填塔としては、ユニオン昭和社製φ1.6mmペレット状疎水性ゼオライト「Hisiv3000(MFI型,SiO/Al=3000)」を80mL充填したものを使用した。
オゾン反応塔としては内径25mm、長さ200mmのSUS304製円筒形カラムを用いた。
また、処理した原水の水質は以下の表1に示す通りであり、以下の実施例1,2及び比較例1,2において、原水の通水流量は同一とした。
【0058】
<実施例1>
原水を、図1の装置に以下の条件で通水して処理した。
疎水性ゼオライト充填塔通水SV:20hr−1
オゾン添加量:10mg/L
3日間通水後の処理水(オゾン反応塔出口水)の水質を分析し、結果を表1に示した。
【0059】
<実施例2>
原水を、図2の装置に以下の条件で通水して処理した。なお、疎水性ゼオライト充填塔は1回/日の頻度で、原水の通水を停止し、50mg/L濃度のオゾン水をSV:20hr−1の流量で240分間通水して再生した後、原水の通水を再開するようにした。
疎水性ゼオライト充填塔通水SV:10hr−1
オゾン添加量:10mg/L
3日間通水後の処理水(オゾン反応塔出口水)の水質を分析し、結果を表1に示した。
【0060】
<比較例1>
原水を、図4の装置に以下の条件で通水して処理した。なお、図4に示す装置は、疎水性ゼオライト充填塔の代りにオゾン反応塔6を設けたこと以外は、図1に示す装置と同様の構成とされており、同一機能を奏する部材に同一符号を付してその説明を省略する。
オゾン反応塔通水SV:10hr−1
オゾン添加量:10mg/L
3日間通水後の処理水(オゾン反応塔出口水)の水質を分析し、結果を表1に示した。
【0061】
<比較例2>
比較例1において、オゾン添加量を50mg/Lとしたこと以外は同一の条件で処理を行った。
3日間通水後の処理水(オゾン反応塔出口水)の水質を分析し、結果を表1に示した。
【0062】
【表1】

【0063】
表1より、次のことが分かる。
実施例1と比較例1を比べると、実施例1は比較例1に対して同じオゾン添加量かつ大きい通水SVで、原水の色度及びアンモニアの濃度をより低減することができた。
実施例1と比較例2を比べると、実施例1では、オゾン添加量が少なく、処理水の硝酸性窒素、亜硝酸性窒素の増加を抑えられた。
実施例2の方式でも実施例1と同等の処理水を得ることができた。
【符号の説明】
【0064】
1 ポンプ
2 オゾン発生器
3,3A,3B オゾン混合部
4,4A,4B 疎水性ゼオライト充填塔
5 気液分離槽
6 オゾン反応塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色度成分を含む被処理水を、酸化剤の存在下に、疎水性ゼオライトを充填した充填塔に通水することを特徴とする色度の除去方法。
【請求項2】
請求項1において、前記酸化剤がオゾンであることを特徴とする色度の除去方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、アンモニアを含む前記被処理水を前記充填塔に通水して色度成分と共にアンモニアも同時に除去することを特徴とする色度の除去方法。
【請求項4】
色度成分とアンモニアを含む被処理水を、疎水性ゼオライトが充填された充填塔に通水してアンモニアを吸着させた後、該充填塔の流出水を酸化剤で処理して色度成分を除去することを特徴とする色度の除去方法。
【請求項5】
請求項4において、アンモニアを吸着した前記疎水性ゼオライトにオゾンを接触させて再生することを特徴とする色度の除去方法。
【請求項6】
疎水性ゼオライトを除去した充填塔と、該充填塔に色度成分を含む被処理水を通水する手段と、該被処理水及び/又は充填塔に酸化剤を添加する手段とを備えることを特徴とする色度の除去装置。
【請求項7】
請求項6において、前記酸化剤がオゾンであることを特徴とする色度の除去装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、前記被処理水がアンモニアを含み、前記充填塔で色度成分と共にアンモニアも同時に除去されることを特徴とする色度の除去装置。
【請求項9】
疎水性ゼオライトを除去した充填塔と、該充填塔に色度成分とアンモニアを含む被処理水を通水してアンモニアを吸着除去する手段と、該充填塔の流出水を酸化剤で処理して色度成分を除去する手段とを備えることを特徴とする色度の除去装置。
【請求項10】
請求項9において、アンモニアを吸着した前記疎水性ゼオライトにオゾンを接触させて再生する手段を備えることを特徴とする色度の除去装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−63386(P2013−63386A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203173(P2011−203173)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】