説明

色彩効果を有するポリマー分散液

マトリックスおよびマトリックス中に一定の空間格子構造により分布している離散ポリマー粒子からなり、コア/シェル構造を有するエマルジョンポリマーのフィルム形成により得られる有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善するための方法において、
エマルジョンポリマーが、少なくとも1つの第1段階でのモノマー(コアのモノマー)の重合、引き続く、その他の少なくとも1つの第2段階(移行段階)でのモノマーの重合および第3段階でのモノマー(シェルのモノマー)の最終的な重合により得られ、この際、3段階のモノマー混合物のパーセンテージでの組成に関して、第1段階のモノマーの最大30質量%が第3段階のモノマーと同一であり、第2段階のモノマーがそれぞれ第1段階のモノマーおよび第3段階のモノマーと少なくとも5質量%まで同一であり、この際第2段階のモノマーの最大60質量%が第1段階中にも、第3段階中にも存在しないモノマーであることを特徴とする、有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックスおよびマトリックス中に一定の空間格子構造により分布している離散ポリマー粒子からなり、コア/シェル構造を有するエマルジョンポリマーのフィルム形成により得られる有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善するための方法において、
− エマルジョンポリマーが
− 少なくとも1つの第1段階でのモノマー(コアのモノマー)の重合、
− 引き続く、その他の少なくとも1つの第2段階(移行段階)でのモノマーの重合および
− 第3段階でのモノマー(シェルのモノマー)の最終的な重合
により得られ、この際、3段階のモノマー混合物のパーセンテージでの組成に関して、第1段階のモノマーの最大30質量%が第3段階のモノマーと同一であり、第2段階のモノマーがそれぞれ第1段階のモノマーおよび第3段階のモノマーと少なくとも5質量%まで同一であり、この際、第2段階のモノマーの最大60質量%が第1段階中にも、第3段階中にも存在しないモノマーであることを特徴とする、有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善するための方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、この方法により得られる有色ポリマー系およびこの有色ポリマー系の、例えばプラスチック、紙のコーティングためのまたはディスプレーへの使用に関する。
【0003】
DE−19717879、DE−19820302およびDE−19834194から、マトリックス中に離散ポリマー粒子を分布している有色ポリマー系が公知である。
【0004】
DE−10229732(PF53679)中には、この種のポリマー層をディスプレー要素中に使用することが記載されている。
【0005】
本発明の課題は、有色ポリマー系の色の光沢および安定性の改善であった。こうして、冒頭に記載した方法を見いだした。
【0006】
この有色ポリマー系は実質的にマトリックスと、このマトリックス中に一定の空間格子構造により分布している離散ポリマー粒子とからなる。
【0007】
ポリマー粒子に関して
一定の空間格子構造を形成するために、離散ポリマー粒子はできるだけ同じ大きさであるのがよい。ポリマー粒子の均一性に関する尺度は、いわゆる多分散性指数であり、これは式
P.I.=(D90−D10)/D50
により計算され、この際、D90、D10およびD50は粒子直径を表し、これらは:
90:全ての粒子の全質量の90質量%がD90以下の粒子直径を有する、
50:全ての粒子の全質量の50質量%がD50以下の粒子直径を有する、
10:全ての粒子の全質量の10質量%がD10以下の粒子直径を有する
に該当する。
【0008】
更なる、多分散性指数に関する詳細は、例えばDE−A−19717879(特に図面の第1頁)中に記載されている。
【0009】
粒度分布は、自体公知の方法で、例えば分析用超遠心分離装置(W. Maechtle, Makromolekulare Chemie 185 (1984), p1025-1039)で測定することができ、これからD10、D50およびD90−値が判明し、多分散性指数を測定することができる(この方法により実施例の値は測定されている)。
【0010】
選択的に、粒度および粒度分布は市販の装置(例えば、英国、Malvern社のAutosizer 2C)により光散乱を測定することによっても測定することができる。
【0011】
ポリマー粒子が0.05〜5μmの範囲にD50−値を有するのが有利である。ポリマー粒子は、1種類の粒子であるかまたは異なるD50−値を有する複数の種類の粒子であってよく、その際、それぞれの種類の粒子は有利に0.6より小さい、特に有利に0.4より小さい、殊に有利には0.3より小さい、最も有利には0.15より小さい多分散性指数を有する。
【0012】
ポリマー粒子が唯一の粒子種類からなるのが特別である。こうして、D50−値は有利に0.05〜20μm、特に有利には100〜400ナノメーターである。
【0013】
本発明による方法によれば、有色ポリマー系はコア/シェル構造を有するエマルジョンポリマーのフィルム形成により得られる。
【0014】
エマルジョンポリマーのシェルはフィルム形成性であり、かつマトリックスを形成し、一方エマルジョンポリマーのコアは離散ポリマー粒子としてマトリックス中に分布している。
【0015】
離散ポリマー粒子の粒度および粒度分布に関しての前記の説明は、エマルジョンポリマー自体にも当てはまる。
【0016】
有色ポリマー系の製造のために、コア/シェル構造を有するエマルジョンポリマーを使用することは、すでに公知技術に記載されている(DE−A−19820302、DE−A−19834194参照)。
【0017】
これに対して、コアとシェルとの間に移行段階が構成されている本発明による方法は新規である。
【0018】
こうして、本発明により使用したエマルジョンポリマーは多段階重合により得られ、その際、
少なくとも1つの第1段階でモノマーを重合し、これはコアを形成し、
その後、このモノマーを少なくとも1つの第2段階(移行段階)で重合し、引き続き第3段階でこのモノマーを重合し、これはフィルム形成性のシェルを形成する。
【0019】
コアのモノマー組成は、性質においてシェルのモノマー組成とは明らかに異なる。コアは有利に架橋しており、シェルは未架橋である。コアにおいて、高いガラス転移温度(Tg)を有するモノマーを使用し、シェルのモノマーが低いTgを有するのが有利である。
【0020】
第1段階および第3段階のそれぞれの組成のパーセンテージに関しては、第1段階のモノマーの最大30質量%が第3段階のモノマーと同一である;最大15質量%、特に有利に最大5質量%が第3段階のモノマーと同一であり、殊に有利には第1段階および第3段階のモノマーが全く同一でないのが有利である。
【0021】
実施例
例:
第1段階は例えばスチレン80質量%、ブチルアクリレート10質量%、ブタンジオールジアクリレート5質量%およびアクリル酸5質量%からなるべきである;第3段階はブチルアクリレート90質量%、スチレン5質量%およびアクリル酸5質量%からなるべきである。
【0022】
第1段階においても第3段階においても、アクリル酸5質量%、ブチルアクリレート10質量%およびスチレン5質量%が存在する。全体では、モノマーの20質量%が同一である。
【0023】
第1段階のモノマーの重合の後で、かつ第3段階の重合の前に、第2段階(移行段階)のモノマーを重合する。
【0024】
第2段階のモノマー混合物に関しては以下のことが該当する:
第2段階のモノマーの少なくとも5質量%が第1段階のモノマーと同一であり、第2段階のモノマーの少なくとも5質量%が第3段階のモノマーと同一である。
【0025】
第2段階のモノマーの少なくとも10質量%が、特に有利に少なくとも20質量%が、および殊に有利に少なくとも30質量%が、最も有利には少なくとも40質量%が第1段階もしくは第3段階のモノマーとそれぞれ同一であるのが有利である。
【0026】
第1段階においても第2段階においても存在しないモノマーは、第2段階のモノマーの最大60質量%、有利に最大40質量%、特に有利に最大20質量%、殊に有利に5質量%、更に有利には0質量%である。
【0027】
例:
【0028】
【表1】

【0029】
前記の例においては第2段階のモノマーの54質量%が第1段階のモノマーと同一である(すなわち、第2段階のスチレン40%、ブチルアクリレート10%およびアクリル酸4%)。
【0030】
更に、第2段階のモノマーの64質量%が第3段階のモノマーと同一である(ブチルアクリレート55質量%、スチレン5質量%およびアクリル酸4質量%)。
【0031】
全体としては、第2段階のモノマーの99質量%が第1段階または第3段階に存在し、僅かに1質量%(メタクリル酸)が第1段階にも第3段階にも存在しない。
【0032】
第1段階のモノマーは有利に架橋性のモノマー、特に2つの重合性の基を有するモノマー、例えばジビニルベンゼンまたはアルカンジオールジアクリレートである。
【0033】
第1段階のモノマー混合物中の架橋性モノマーの割合は、第1段階のモノマーに対して、有利に0.01〜10、特に有利に0.1〜5質量%である。
【0034】
第1段階のモノマー混合物は有利にFox式により計算されたガラス転移温度(Tg)15〜150、特に有利に25〜120℃を有する。
【0035】
第3段階のモノマー混合物はフィルム形成性であり、かつ有利には架橋剤を含有しない。
【0036】
第3段階のモノマー混合物のFoxにより計算したTgは有利に−50〜110℃、特に有利には−40〜25℃を有する。第3段階のモノマー混合物のTgは第1段階のモノマー混合物のTgより有利に少なくとも10℃低く、特に有利には少なくとも20℃低い。
【0037】
フィルムを形成しないコアを構成するモノマー対フィルムを形成するシェルを構成するモノマーの質量比は、有利に1:0.05〜1:20、特に有利には1:0.2〜1:5である。この際、コアへの移行段階のモノマーは、例えばこれが架橋性のモノマーを含有するために、フィルムを形成しない場合には、コアに数えられ、これがフィルムを形成する場合にはシェルに数えられる。
【0038】
第2段階が架橋しており、従って、これが第1段階と共にマトリックス中の離散ポリマー粒子を形成するのが有利である。
【0039】
移行段階のモノマーの量は、有利にエマルジョンポリマーの全モノマーに対して2〜40質量%である。
【0040】
全体としては、全ポリマーの段階の割合に関して有利に以下の割合が該当する:
第1段階(コア)10〜90質量%、特に有利に40〜60質量%。
第2段階(移行段階)2〜40質量%、特に有利に5〜15質量%。
第3段階(シェル)8〜88質量%、特に有利に30〜50質量%。
【0041】
全体としては、エマルジョンポリマーは有利に少なくとも40質量%まで、特に有利には少なくとも60質量%まで、殊に有利には少なくとも80質量%までいわゆる主モノマーからなっている。
【0042】
主モノマーはC〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、炭素原子20個までを有するカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを有するビニル芳香族、エチレン系不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個および二重結合1または2個を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物から選択されている。
【0043】
例えば、C〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートを挙げることができる。
【0044】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も特に好適である。
【0045】
炭素原子1〜20個を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばビニルラウレート、−ステアレート、ビニルプロピオネート、バーサチック酸ビニルエステルおよび酢酸ビニルである。
【0046】
ビニル芳香族化合物としては、ビニルトルエン、a−およびp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレンおよび有利にスチレンを挙げることができる。ニトリルの例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。
【0047】
ビニルハロゲン化物は塩素、フッ素または臭素で置換されたエチレン系不飽和化合物、有利に塩化ビニルおよび塩化ビニリデンである。
【0048】
ビニルエーテルとしては、例えばビニルメチルエーテルまたはビニルイソブチルエーテルを挙げることができる。炭素原子1〜4個を有するアルコールのビニルエーテルが有利である。
【0049】
炭素原子2〜8個、オレフィン系二重結合1または2個を有する炭化水素としては、ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンを挙げることができ、二重結合1個を有するものは、例えばエチレンまたはプロピレンである。
【0050】
主モノマーとしては、C〜C20−アルキルアクリレートおよび−メタクリレート、特にC〜C−アルキルアクリレートおよび−メタクリレート、ビニル芳香族、特にスチレン、およびこれらの混合物、特にアルキル(メタ)アクリレートおよびビニル芳香族の混合物が有利である。
【0051】
特に有利であるのは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート、スチレン並びにこれらのモノマーの混合物である。
【0052】
エマルジョンポリマーの製造は、乳化重合により行われる。乳化重合においては、イオン性および/または非イオン性乳化剤および/または保護コロイドもしくは安定化剤を界面活性化合物として使用する。
【0053】
好適な保護コロイドに関して、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,Band XIV/1,Makromolekulare Stoffe,Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961,p411−420に詳細に記載されている。乳化剤としてはアニオン性、カチオン性および非イオン性乳化剤を考慮することができる。界面活性物質としては、その分子量が保護コロイドに対して通常2000g/モル未満の差を有する乳化剤を使用するのが有利である。
【0054】
界面活性物質を、重合すべきモノマーに対して、通常0.1〜10質量%の量で使用する。
【0055】
乳化重合のためには、水溶性の開始剤、例えばペルオキシ二硫酸のアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、例えばペルオキシ二硫酸ナトリウム、過酸化水素または有機ペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0056】
いわゆる還元酸化(レドックス)−開始剤系も好適である。
【0057】
レドックス開始剤系は少なくとも1種の大抵は無機還元剤と、無機または有機酸化剤とからなる。
【0058】
酸化成分は、例えばすでに前記の乳化重合のための開始剤である。
【0059】
還元成分は、例えば亜硫酸のアルカリ金属塩、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸のアルカリ金属塩、例えば二亜硫酸ナトリウム、脂肪族アルデヒドおよびケトンの重亜硫酸付加化合物、例えばアセトン重亜硫酸または還元剤、例えばヒドロキシメタンスルフィン酸およびその塩、またはアスコルビン酸である。レドックス開始剤系は、その金属成分が多くの原子価状態を有することのできる、可溶性の金属化合物を一緒に使用して、使用することができる。
【0060】
通常のレドックス開始剤系は例えばアスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキシ二硫酸ナトリウム、t−ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、t−ブチルヒドロペルオキシド/ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムである。個々の成分、例えば還元成分は混合物であっても、例えば、ヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩と二亜硫酸ナトリウムとからの混合物であってもよい。
【0061】
開始剤の量は、一般に重合すべきモノマーに対して、0.1〜10質量%、有利に0.5〜5質量%である。乳化重合の際に、複数の異なる開始剤を使用することもできる。
【0062】
乳化重合は、一般に30〜130℃、有利に50〜90℃で実施される。重合媒体は、水単独でも、水と水混和性の液体、例えばメタノールとの混合物からなっていてよい。水だけを使用するのが有利である。乳化重合はバッチ式でもフィード法の形、これは段階的方法または傾斜法を含む、でも実施することができる。重合配合物の一部を予め装入し、重合温度に加熱し、重合を開始し、引き続き重合配合物の残りを、通常複数の空間的に分離した、1種以上のモノマーを純粋な形でまたは乳化した形で含有する供給流を介して、連続的に、段階的にまたは濃度傾斜を重ねて、重合帯域の重合を維持して供給するフィード法が有利である。重合の際には、ポリマーの粒度の良好な調節のために、ポリマーの種を予め装入するのが有利である。
【0063】
第1または第2段階のモノマー混合物のモノマーは、有利に少なくとも90質量%、特に有利に少なくとも95質量%まで、殊に有利には少なくとも99質量%まで完全に重合した後、次の段階のモノマーの添加を開始するのが有利である。
【0064】
ラジカル水性エマルジョン重合の経過において重合容器に開始剤を添加する方法は、平均的な当業者には公知である。開始剤を重合容器中に予め完全に装入することも、ラジカル水性エマルジョン重合の経過においてその消費の程度に応じて、連続的にまたは段階的に使用することもできる。細部に関しては、これは開始剤系の化学的な性質にも、重合温度にも依存する。一部を予め装入し、残りを重合帯域の消費に応じて供給するのが有利である。
【0065】
均一な粒度分布、すなわち低い多分散性指数は当業者に公知の処置で得られる、例えば界面活性化合物(乳化剤または保護コロイド)の量の変化および/または相応する撹拌速度の変化により得られる。
【0066】
残留モノマーの除去のためには、通常本来の乳化重合の終了の後、すなわち少なくとも95%のモノマーの反応後に、開始剤を添加する。
【0067】
個々の成分を反応器に、供給法においては上方から、側部でまたは下方から反応器塔底部を介して供給することができる。
【0068】
エマルジョンポリマーは常法で、水の除去下にフィルム形成し、これにより有色ポリマー系が構成される。
【0069】
このポリマー系は光学的効果を惹起する、すなわち観察される反射は、ポリマー粒子で散乱した光の干渉による。
【0070】
この際、反射の波長はそれぞれポリマー粒子の間隔により電磁スペクトルの全体にある。波長がUV−領域、IR−領域および特に可視光の領域に有るのが有利である。
【0071】
観察される反射の波長は、公知のブラッグの方程式により、格子面の間の間隔に、この場合にはマトリックス中に空間格子構造で配置されたポリマー粒子間の間隔に依存する。
【0072】
こうして、ポリマー粒子間に所望の間隔を有する所望の空間格子構造を調節することは、特にマトリックスの質量割合に相応して選択されるべきである。前記の製造法においては、有機化合物、例えばポリマー化合物を相応する量で使用するべきである。
【0073】
マトリックスの質量割合を、すなわちフィルム形成性のシェルの割合を、特に所望の範囲で電磁放射線を反射するポリマー粒子の空間格子構造が生じるように量定する。
【0074】
色彩効果、すなわち可視光の範囲での反射を所望する場合には、ポリマー粒子間の間隔(それぞれ粒子の中点まで)は100〜400nmを有するのが好適である。
【0075】
有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善するために、有色ポリマー系上に透明なポリマー層を担持することができる。
【0076】
透明層を構成するポリマーは、任意のポリマーであってよい。ラジカル重合性化合物(モノマー)から得られる重縮合物、ポリ付加物またはポリマーを考慮することができ、最後のものが有利である。
【0077】
透明層のポリマーは、全部で、少なくとも40質量%まで、有利に少なくとも60質量%まで、C〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、炭素原子20個までを有するカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを有するビニル芳香族、エチレン系不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個および二重結合1または2個を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物から選択された、いわゆる主モノマーから構成されている。
【0078】
透明なポリマー層のポリマーがエマルジョンポリマーであるのが、特に有利である。
【0079】
エマルジョンポリマーの製造は、すでに前に記載している。
【0080】
乳化重合により得られる水性ポリマー分散液中の質量平均粒子直径は10〜200nm、有利に10〜50nmであるのが有利である。
【0081】
透明なポリマー層の製造のためには、ポリマーを、有利に分散液または溶液の形で、一般に有色被覆または成形体として存在する有色ポリマー系上に担持する。
【0082】
分散液または溶液の場合、乾燥を、場合により上昇した温度で行う。
【0083】
得られた透明なポリマー層は有利に厚さ0.2〜500μm、有利に2〜100μmを有する。透明なポリマー層により色彩効果の安定性と共に色の光沢が改善される。
【0084】
更なる改善は有色ポリマー系および場合により担持した透明なポリマー層の50℃を越える温度への加熱により達せられる。
【0085】
この温度は、マトリックスのガラス転移温度より高い温度であるべきである。100℃を越える温度が有利である。これは一般に200℃を越えない。加熱の時間は、有利に少なくとも5秒間および最高で5分間である。
【0086】
本発明の方法により得られるかまたは得ることのできる有色ポリマー系は改善された色の光沢および安定性を有する。
【0087】
特許の使用のための例
全ての合成は、還流冷却器、窒素導入管、モノマーエマルジョンおよび開始剤溶液を供給するための導入管および回転数150rpmを有するアンカー型撹拌機を備える、2000ml四頚フラスコ中で実施した。
【0088】
例1
コア粒子分散液の合成(第1段階)
アンカー型攪拌機、温度計、ガス供給管、供給管および還流冷却器を備える反応器中で最初に水258.6gを予め装入し、次いで粒度30nmおよび固体含量33質量%を有するポリスチレン種粒子分散液5.08gを添加した。引き続き、フラスコの内容物を加熱し、回転数150分−1で攪拌した。この時間の間、反応器に窒素を供給した。温浴中で85℃の温度および反応器中で80℃の温度を達成する際に、窒素供給を実施し、反応器中に空気が到達しないようにした。重合の前に、反応器に水100g中の過硫酸ナトリウム3.6gからなる過硫酸ナトリウム溶液19.3%を供給し、5分間前酸化し、次いで残りの過硫酸ナトリウム溶液を4時間以内に添加した。この4時間の間、モノマーエマルジョン(a)8.6質量%、Texapon NSO(濃度:28質量%)、5.22gおよびn−ブチルアクリレート35.0gを40分以内に添加した。引き続き、モノマーエマルジョン(a)の残分を3時間20分の時間にわたって供給した。反応を不足条件下に実施し、第2の種の形成を阻止した。モノマー添加の終了後に、分散液を1時間後重合した。引き続き、室温に冷却した。
a)モノマーエマルジョン
スチレン 540.0g
ジビニルベンゼン 13.33g
アリルメタクリレート 1.67g
アクリル酸 10.0g
Texapon、質量濃度:28% 16.39g
水酸化ナトリウム溶液:質量濃度:25% 22.11g
水 501.3g
この分散液は次の特性を有する:
固体含量: 40質量%
粒度: 206.3nm
凝集: <1.5g
pH−値: 6.59
多分散性指数: 0.14
異なる大きさのコア粒子を獲得することは、種粒子濃度を変化させることにより可能である。第1表は、異なる粒子を示す。
【0089】
【表2】

【0090】
例2
コア−シェル−粒子分散液の合成
アンカー型攪拌機、温度計、ガス供給管、供給管および還流冷却器を備える反応器中で例1Dによる分散液325.8gを予め装入した。次いで、加熱し、かつ回転数150分−1で攪拌を開始した。この時間の間、反応器に窒素を供給した。温浴中で85℃の温度および反応器中で80℃の温度が達成された際に、窒素供給を実施し、反応器中に空気が到達しないようにした。水50g中の過硫酸ナトリウム0.8gからなる過硫酸ナトリウム溶液9.8%を重合の前に供給した。5分後に残りの過硫酸ナトリウム溶液を3時間以内に添加した。この同じ3時間の間に、モノマーエマルジョン(a)を45分間以内に添加し、引き続き15分間後重合した。次いで、モノマーエマルジョン(b)を2時間以内に添加し、更に1時間の後重合した後、室温に冷却した。
a)モノマーエマルジョン(第2段階)
スチレン 11.7g
n−ブチルアクリレート 9.1g
アリルメタクリレート 1.17g
アクリル酸 1.46g
Texapon、質量濃度:28% 1.86g
水酸化ナトリウム溶液:質量濃度:25% 1.46g
水 55.0g
b)モノマーエマルジョン(第3段階)
n−ブチルアクリレート 71.5g
メチルメタクリレート 34.6g
アクリル酸 1.3g
Texapon、質量濃度:28% 1.16g
水酸化ナトリウム溶液:質量濃度:25% 0.77g
水 53.5g
この分散液は以下の特性を有する:
コア:外被の質量比: 1:1
固体含量: 40質量%
粒度: 279.8nm
凝集: <2g
pH−値: 5.66
多分散性指数: 0.15
1:1のコア:外被比を有するコア−シェル−粒子を製造することができる。第1表はコア−シェル−粒子およびこの分散液から製造されているフィルムの特性を示している。
【0091】
【表3】

【0092】
例3
コア粒子分散液の合成
アンカー型攪拌機、温度計、ガス供給管、供給管および還流冷却器を備える反応器中に最初に水206.3gを予め装入し、次いで粒度30nmおよび固体含量33質量%を有するポリスチレン種粒子分散液2.73gを添加した。引き続き、加熱および回転数150分−1での攪拌で開始した。この時間の間、反応器に窒素を供給した。温浴中で85℃の温度および反応器中で80℃の温度を達成する際に、窒素供給を実施し、反応器中に空気が到達しないようにした。重合の前に、反応器に水187.0g中の過硫酸ナトリウム2.7gからなる過硫酸ナトリウム溶液2.4質量%を反応器に供給し、5分後に、残りの過硫酸ナトリウム溶液を4時間にわたって添加した。この4時間の間、モノマーエマルジョン(a)8.6質量%およびn−ブチルアクリレート30.0gを40分以内に添加した;引き続き、モノマーエマルジョン(a)の残分を3時間20分の時間にわたって供給した。反応が不足条件下に経過するようにして、第2の種の形成を阻止する。モノマー添加の終了後に、分散液を1時間後重合し、室温に冷却した。
a)モノマーエマルジョン
スチレン 405.0g
ジビニルベンゼン 11.25g
アクリル酸 3.75g
Texapon、質量濃度:28% 9.643g
水酸化ナトリウム溶液:質量濃度:25% 10.0g
水 650.0g
この分散液は次の特性を有する:
固体含量: 30質量%
粒度: 244.5nm
凝集: <1.5g
pH−値: 7.2
多分散性指数: 0.14
異なる大きさのコア粒子は、種粒子濃度を変化させることにより製造可能である。第1表は、異なる粒子を示す。
【0093】
【表4】

【0094】
例4
コア−シェル−粒子分散液の合成
アンカー型攪拌機、温度計、ガス供給管、供給管および還流冷却器を備える反応器中で例3Cによる分散液376.3gを予め装入し、次いで、水24gを添加した。引き続き、加熱および回転数150分−1での攪拌で開始した。この時間の間、反応器に窒素を供給した。温浴中で85℃の温度および反応器中で80℃の温度を達成する際に、窒素供給を実施し、反応器中に空気が到達しないようにした。重合の前に、水153.8g中の過硫酸ナトリウム2.25gからなる過硫酸ナトリウム溶液(開始剤溶液)5%を重合の前に供給し、かつ5分間、前酸化した。次いで、残りの過硫酸ナトリウム溶液を2時間以内に添加した。この2時間の間に、モノマーエマルジョン(a)を添加し、1時間の後重合の後、室温に冷却した。
a)モノマーエマルジョン
n−ブチルアクリレート 221.3g
メチルメタクリレート 146.3g
アクリル酸 7.5g
Texapon、質量濃度:28% 5.8g
水酸化ナトリウム溶液:質量濃度:25% 17.5g
水 268.8g
この分散液は以下の特性を有する:
コア:外被の質量比: 1:3
固体含量: 40質量%
粒度: 390.4nm
凝集: <1.5g
pH−値: 7.14
多分散性指数: 0.11
【0095】
例5
コア−シェル−分散液の合成
アンカー型攪拌機、温度計、ガス供給管、供給管および還流冷却器を備える反応器中で例3Aによる分散液444.7gを予め装入し、引き続き、加熱および回転数150分−1での攪拌で開始した。この時間の間、反応器に窒素を供給した。温浴中で85℃の温度および反応器中で80℃の温度を達成する際に、窒素供給を実施し、反応器中に空気が到達しないようにした。重合の前に、水95.8g中の過硫酸ナトリウム1.38gからなる過硫酸ナトリウム溶液(開始剤溶液)2.8%を重合の前に供給した:5分後に残りの過硫酸ナトリウム溶液を3時間にわたって添加した。この同じ3時間の間に、モノマーエマルジョン(a)を45分間以内に添加し、引き続き15分間後重合した。次いで、混合物(b)を2時間以内に添加し、1時間の後重合の後、室温に冷却した。
a)モノマーエマルジョン
スチレン 20.7g
n−ブチルアクリレート 16.1g
アクリル酸 1.15g
Texapon、質量濃度:28% 3.36g
水酸化ナトリウム溶液:質量濃度:25% 2.6g
水 91.1g
b)モノマーエマルジョン4
n−ブチルアクリレート 189.8g
アクリル酸 2.3g
Texapon、質量濃度:28% 2.1g
水酸化ナトリウム溶液:質量濃度:25% 4.6g
水 74.5g
この分散液は以下の特性を有する:
コア:外被の質量比: 1:1.5
固体含量: 39.8質量%
粒度: 233.5nm
凝集: <1.5g
pH−値: 7.30
多分散性指数: 0.24
【0096】
例6
被覆層分散液の合成
アンカー型攪拌機、温度計、ガス供給管、供給管および還流冷却器を備える反応器を50℃に加熱し、引き続きメチルメタクリレート13.2g、n−ブチルアクリレート13.0g、Lutensol TO89(20%濃度)99.8g、Dowfax2A1(45%濃度)82.29gおよび水312gを供給する。撹拌を回転数200分1で実施し、1分間窒素を反応器中に導入し;引き続き反応器に過酸化水素9.42gおよび開始剤溶液(b)25質量%を供給した。重合時間は10分間であった。次いで、混合物(a)および混合物(b)の残りを2もしくは3時間かけて供給した。
a)モノマーエマルジョン
n−ブチルアクリレート 160.5g
メチルメタクリレート 283.3g
Dowfax2A1:45%濃度 12.7g
脱塩水 388.6g
b)開始剤溶液
アスコルビン酸 2.83g
Dissolvine E−Fe、6.4%濃度 0.09g
水 181.2g
モノマー分散液(a)の添加の終了後、更に1時間後重合した。次いで室温への冷却を行った。
【0097】
この分散液は以下の特性を有する:
固体含量: 38.2質量%
粒度: 38.2nm
pH−値: 2.6
【0098】
例7
フィルムの製造
ドクターを用いて例2による物質からフィルムを平滑な黒色紙上に、またはガラスプレート上にキャストした。周囲雰囲気下で10分間乾燥した後、厚さ30μmを有する全てのフィルムは、強い白色をバックグラウンドに有する僅かな色を示した。
【0099】
例8
フィルムの製造
例7の、1〜60分間の時間にわたっての140℃での加熱処理において、フィルムの色は同じに残ったが、非常に強力な光沢を有し、かつ白色のバックグラウンドはもはやほとんどなかった。このフィルムは第2表中の記載に相応する角度に依存する色を示す。粒度に依存して、フィルムの色は異なった。観察の方向がフィルム表面に対して鉛直である場合に、フィルムの色は順に、紫色、青色、緑色、オレンジ色および赤色に変化し、この色は粒子直径226.5nm、240.9nm、281.3nm、294.7nmもしくは321.1nmに相当する。観察の方向が斜めの方向(約45゜)においては、前記の色は青紫色、青色、明青色、青緑色もしくは緑色に変化する。このことから、単にコア−外被−粒度を適合させるだけで、フィルムの色を全ての可視のスペクトル範囲にわたって連続的に変化させることができるということが明らかになる。
【0100】
例9
フィルムの製造
例7によるフィルム上にこの例に相応する被覆層分散液をキャストし、この被覆層フィルムを室温で1時間、または高い温度(100℃)で5〜10分間乾燥すると、光沢のある有色フィルムが得られる。このフィルムは第2表の記載による角度依存の色を示す。フィルムの色は粒度に依存して変化した。フィルム表面に対して鉛直の観察方向で、色は順に、紫色、青色、緑色、オレンジ色および赤色に変化し、この色は粒径226.5nm、240.9nm、281.3nm、294.7nmもしくは321.1nmに相当する。観察の方向が斜めの方向(約45゜)においては、前記の色は青紫色、青色、明青色、青緑色もしくは緑色に変化する。このことから、単にコア−外被−粒度を適合させるだけで、フィルムの色を全ての可視のスペクトル範囲にわたって連続的に変化させることができるということが明らかになる。
【0101】
例10
フィルムの製造
例8に相当するフィルム上に、例6による被覆分散液をキャストし、この被覆フィルムを1時間室温で、または高い温度(100℃)で5〜10分間乾燥すると、光沢のある有色フィルムが得られる。達せられた色の強さは、例9におけると同様である。
【0102】
例11
例6の被覆層分散液を例2のコア−シェル−分散液と被覆層:コア−シェル−分散液の質量比5:100〜12:100で混合し、平滑な黒色紙上でキャストしてフィルムを形成し、周囲温度で約10分間乾燥した;光沢を有する有色フィルムが得られる。この際得られたフィルムの色の強さは例9におけると同様である。
【0103】
例12
フィルムの製造
ドクターを用いて例4による分散液のフィルムを平滑な黒色紙上で、またはガラスプレート上でキャストした。周囲雰囲気下で10分間乾燥した後、厚さ30μmを有する全てのフィルムは、強い白色をバックグラウンドに有する弱い赤色を示した。
【0104】
例13
例13の熱処理を140℃で、1〜60分間の時間にわたって実施し、得られた色の強さは変化しない。
【0105】
例14
ドクターを用いて例5による分散液からフィルムを平滑な黒色紙上で、またはガラスプレート上でキャストした。周囲雰囲気下で10分間乾燥した後、厚さ30μmを有する全てのフィルムは、強い白色をバックグラウンドに有する弱い紫色を示した。
【0106】
例15
例15の熱処理を140℃で、1〜60分間の時間にわたって実施し、得られた色の強さは変化しない。
【0107】
例16
テトラエチレングリコール(TEG)またはその他の可塑剤を例2のコア−外被−分散液と被覆層:コア−外被−分散液の質量比5:100〜10:100で混合し、平滑な黒色紙上でキャストしてフィルムを形成し、周囲温度で約10分間乾燥し;光沢のある有色フィルムおよび強い白色バックグラウンドが得られる。
【0108】
例17
テトラエチレングリコール(TEG)またはその他の可塑剤を例2のコア−外被−分散液と被覆層:コア−外被−分散液の質量比5:100〜20:100で混合し、平滑な黒色紙上でキャストしてフィルムを形成し、周囲温度および湿度で、3日間乾燥し;こうして得られた厚さ100μmを有するフィルムは美しい光沢を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスおよびマトリックス中に一定の空間格子構造により分布している離散ポリマー粒子からなり、コア/シェル構造を有するエマルジョンポリマーのフィルム形成により得られる有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善するための方法において、
− エマルジョンポリマーが
− 少なくとも1つの第1段階でのモノマー(コアのモノマー)の重合、
− 引き続く、その他の少なくとも1つの第2段階(移行段階)でのモノマーの重合および
− 第3段階でのモノマー(シェルのモノマー)の最終的な重合
により得られ、この際、3段階のモノマー混合物のパーセンテージでの組成に関して、第1段階のモノマーの最大30質量%が第3段階のモノマーと同一であり、第2段階のモノマーがそれぞれ第1段階のモノマーおよび第3段階のモノマーと少なくとも5質量%まで同一であり、この際第2段階のモノマーの最大60質量%が第1段階中にも、第3段階中にも存在しないモノマーであることを特徴とする、有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善するための方法。
【請求項2】
有色ポリマー系のポリマー粒子が平均粒子直径0.05〜5μmの範囲の1種類以上の粒子であり、この際それぞれの種類の粒子が0.6より小さい多分散性指数(PI)を有し、この多分散性指数は式
P.I.=(D90−D10)/D50
により計算され、この際、D90、D10およびD50は粒子直径を表し、これらは:
90:全ての粒子の全質量の90質量%がD90以下の粒子直径を有する、
50:全ての粒子の全質量の50質量%がD50以下の粒子直径を有する、
10:全ての粒子の全質量の10質量%がD10以下の粒子直径を有する
に該当する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
有色ポリマー系のポリマー粒子が1種類の粒子である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
エマルジョンポリマーが、全部で少なくとも40質量%まで、C〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、炭素原子20個までを有するカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを有するビニル芳香族、エチレン系不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個および二重結合1または2個を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物から選択された、いわゆる主モノマーから構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
有色ポリマー系のポリマー粒子とマトリックスとが異なる屈折率を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
屈折率の差が少なくとも0.01、特に少なくとも0.1である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
離散ポリマー粒子の多分散性指数が0.45より小さい、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
エマルジョンポリマーのコアが架橋している、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
エマルジョンポリマーにおいて、コア対シェルの質量比が1:0.05〜1:20である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
有色ポリマー層の離散ポリマー粒子間の間隔が20〜50000ナノメーターである、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
有色ポリマー系上に透明なポリマー層が担持される、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
透明層のポリマーが、全部で少なくとも40質量%まで、C〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、炭素原子20個までを有するカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを有するビニル芳香族、エチレン系不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個および二重結合1または2個を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物から選択された、いわゆる主モノマーから構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
透明層のポリマーが、エマルジョンポリマーである、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
エマルジョンポリマーが10〜500nm、有利に30〜200nmの質量平均粒子直径を有する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
透明層のポリマーを有色層上に溶液または分散液の形で担持し、引き続き乾燥する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
透明層の層厚が0.2〜500μmである、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
マトリックスおよびマトリックス中に一定の空間格子構造により分布している離散ポリマー粒子からなる有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善する方法において、この有色ポリマー系および場合により透明なポリマー層を60℃を越える温度に加温することを特徴とする、有色ポリマー系の色の光沢および安定性を改善する方法。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載の方法により得られる有色ポリマー系。
【請求項19】
例えば、プラスチック、プラスチックフィルム、紙、包装などをコーティングするための塗料としての、または塗料中への、またはポリマー層の色が変化するディスプレー中への請求項1から18までのいずれか1項記載の有色ポリマー系の使用。

【公表番号】特表2006−526039(P2006−526039A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505364(P2006−505364)
【出願日】平成16年5月4日(2004.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004707
【国際公開番号】WO2004/098793
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】