説明

色彩選別機

【課題】農家等での使用に適するよう装置の小型化を図ることができるとともに、光学検出部における原料の流下軌跡側に設けられる透明板やエジェクター等に付着・堆積する粉塵等を、専門の作業員がいない場合であっても容易に除去することができる色彩選別機を提供する。
【解決手段】被選別物を流下させるために傾斜配置したシュートと、該シュート下端から流下する被選別物の流下軌跡前方に配置される前側光学検出手段と、前側光学検出手段のさらに下方に設けられ、該前側光学検出手段による検出結果に基づいて被選別物から異物又は不良品を除去するエジェクター手段とを備えてなる色彩選別機において、
前記前側光学検出手段は、下部が上方に回動可能となるよう、その上部において選別機本体に対しヒンジを介して連結され、前記前側光学検出手段と選別機本体との間に形成される被選別物が流下する空間を開閉可能とされることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒や樹脂ペレット等の粒状物を色彩により選別する色彩選別機に関するものであり、例えば農家等での使用に適した小型の色彩選別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、米や小麦等の穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物からなる原料を色彩により良品と不良品に選別したり、原料に混入する異物を色彩により選別除去したりする色彩選別機が知られている。(特許文献1参照。)。
【0003】
図9は、特許文献1に記載された色彩選別機の概略斜視図、図10は、図9に記載された色彩選別機における一次選別部の側断面図を示すものである。
特許文献1に記載された色彩選別機は、精米工場等において使用される大型タイプのものであり、図9に示すように複数の一次選別部102A及び二次選別部102Bが並設配置され、装置全体が幅広に形成されるものである。ここで、一次選別部102Aと二次選別部102Bはシュート面を除いて略同様の構成からなるものである。
【0004】
図9及び10に示すように、特許文献1に記載された色彩選別機は、機枠Fの前方の傾斜壁に、エアシリンダ135によって上下方向に回動可能な前面ドア130が設けられるものである。
そして、図10に示すように、上記色彩選別機の一次選別部102Aは、一次選別用の穀粒を幅方向に広げた状態で流下移動させるために約60度の角度で傾斜して配置したシュート103Aと、一次選別用の穀粒を貯留するための貯留タンク104と、貯留タンク104からの一次選別用の穀粒をシュート103Aに搬送するための振動フィーダ105を備えるものである。また、当該一次選別部102Aは、前記シュート103Aの下端から流下する穀粒の流下軌跡の上下を挟んで設けられる一対の光学検出部106a,106bと、さらに下方に設けたエジェクターノズル107を備えるものである。さらに、当該一次選別部102Aは、エジェクターノズル107下方で前記シュート103Aと同傾斜線上にあり、エジェクターノズル107からの噴風を受けずにそのまま流下する穀粒を受ける一次良品排出樋108Aと、該一次良品排出樋108Aの周囲を囲むようにホッパー状に形成され、エジェクターノズル107からの噴風を受けて正常な穀粒から不良品を回収するため一次不良品排出樋109Aを備えるものである。
【0005】
前記光学検出部106a,106bは、それぞれ箱体115a,115bで形成され、穀粒の流下軌跡上側の箱体115aには、可視光用のCCDカメラ116aと、近赤外光用のNIRカメラ117と、蛍光灯等からなる可視光源118a,118aと、ハロゲンランプ等からなる近赤外光源119aと、光学検出部106bの対向用バックグラウンド120aが内装されている。一方、穀粒の流下軌跡下側の箱体115bには、可視光用のCCDカメラ116bと、蛍光灯等からなる可視光源118b,118bと、ハロゲンランプ等からなる近赤外光源119bと、光学検出部106aの対向用バックグラウンド120b,120cが内装されている。そして、各箱体115a,115bにおける穀粒の流下軌跡側には、透明ガラスからなる窓部材121a,121bが嵌め込まれている。また、上側の箱体115a上部には、エアシリンダにより開閉可能な点検扉122が設けられている。
【0006】
特許文献1に記載された色彩選別機は、前記前面ドア130を上方に持ち上げて選別機内部におけるシュート103A,103Bやエジェクターノズル107等のメンテナンスを行うものである。また、前面ドア130を上方に持ち上げた状態で前記点検扉122を開放し、光学検出部106aのメンテナンスを行うものである。
【0007】
上記色彩選別機は、精米工場等で使用されるため、前工程において粗選機や粒選別機など各種工程を経て米粒の表面が比較的きれいな状態とされた原料が供給される。そのため、光学検出部等、選別機内部の清掃は頻繁に行う必要のないものであった。また、色彩選別機の清掃等は、各工場等において専門の作業員が行うものであった。
【0008】
ところで、色彩選別機を農家で使用する場合、籾を脱ぷして籾殻を除去した直後の玄米が、籾摺り機から原料として供給されることが考えられる。この脱ぷ直後の玄米には、籾殻の破片、藁屑、芒及び頴など微細粉塵が混入しており、これらを含む玄米が色彩選別機に供給されると、選別機内部では粉塵が舞い上がり光学検出部等に付着・堆積し、選別機の選別性能が低下する。
【0009】
この問題を解決するため、本件出願人は、光学検出部における原料の流下軌跡側、即ち原料検出位置側に設けられる透明板の清掃手段を選別機内に配置し、一定時間毎に透明板に付着・堆積する粉塵等を除去することで選別機の性能を確保する技術を開発中であるが、選別機内に付着・堆積した粉塵等を完全に除去するには、作業者による内部の定期的な清掃が欠かせない。
【0010】
ところが、特許文献1に記載された色彩選別機のように、前面ドア130を持ち上げたり、点検扉122を開放したりするものにあっては、農家での使用に適した大きさまで小型化することは困難である。また、シュート103A,103B下端よりも下方に位置する光学検出部の前記透明板やエジェクターノズル107等に付着・堆積する粉塵等を除去する作業も、専門の作業員がいない環境下で頻繁に行うことは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−283204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、農家等での使用に適するよう装置の小型化を図ることができるとともに、光学検出部における原料の流下軌跡側に設けられる透明板やエジェクター等に付着・堆積する粉塵等を、専門の作業員がいない場合であっても容易に除去することができる色彩選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、被選別物を流下させるために傾斜配置したシュートと、該シュート下端から流下する被選別物の流下軌跡前方に配置される前側光学検出手段と、前側光学検出手段のさらに下方に設けられ、該前側光学検出手段による検出結果に基づいて被選別物から異物又は不良品を除去するエジェクター手段とを備えてなる色彩選別機において、前記前側光学検出手段は、下部が上方に回動可能となるよう、その上部において選別機本体に対しヒンジを介して連結され、前記前側光学検出手段と選別機本体との間に形成される被選別物が流下する空間を開閉可能とされることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明は、前記色彩選別機において、被選別物の流下軌跡を挟んで、前側光学検出手段と対向する選別機本体の位置に後側光学検出手段が配置され、前記前側光学検出手段は、その上部において後側光学検出手段とヒンジを介して連結されることを特徴とするものである。
【0015】
本発明は、前側光学検出手段が、少なくとも被選別物の検出位置を照明する照明手段と、該検出位置において被選別物を撮像する撮像手段をカバーの箱体内に配置して構成されることが好ましい。
【0016】
本発明は、前側光学検出手段と選別機本体との対向合わせ面の四隅、又は前側光学検出手段と後側光学検出手段との対向合わせ面の四隅には、一方にピン、他方に当該ピンが挿入される孔が形成され、ヒンジ側である上方に形成される孔は、上下方向に長孔とされることが好ましい。
【0017】
本発明は、前側光学検出手段への配線が、ヒンジに形成される内部空間を介して行われることが好ましい。
【0018】
本発明は、前側光学検出手段が、支持手段により前記被選別物が流下する空間を開放する位置に支持されることが好ましい。
【0019】
本発明は、前側光学検出手段が、固定部材により被選別物が流下する空間を閉鎖する位置に固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の色彩選別機は、前側光学検出手段が、下部が上方に回動可能となるよう、その上部において選別機本体に対しヒンジを介して連結され、前記前側光学検出手段と選別機本体との間に形成される被選別物が流下する空間を開閉可能とするものであるので、前側光学検出手段を上方に回動させることで、被選別物が流下する空間を簡単に開放し、内部を露出させることができ、シュートや光学検出部、エジェクター等に付着・堆積する粉塵等を容易に除去することができる。また、前側光学検出手段を上方に回動させるものであるから、前記空間内部に付着・堆積する粉塵等を下方に落下させることができ、除去作業が容易となる。
【0021】
また、本発明の色彩選別機は、前側光学検出手段が、その上部において、被選別物の流下軌跡を挟んで前側光学検出手段と対向する選別機本体の位置に配置される後側光学検出手段とヒンジを介して連結されるものであれば、選別機の選別精度を向上させることができ好ましい。
【0022】
本発明の色彩選別機は、前側光学検出手段が、少なくとも検出位置を照明する照明手段と、該検出位置において被選別物を撮像する撮像手段をカバーの箱体内に配置して構成されるものであれば、前側光学検出手段をコンパクトに構成し装置の小型化が図れるとともに、当該前側光学検出手段の回動時等における取り扱いを容易とすることができる。
【0023】
本発明の色彩選別機は、前側光学検出手段と選別機本体との対向合わせ面の四隅、又は前側光学検出手段と後側光学検出手段との対向合わせ面の四隅には、一方にピン、他方に当該ピンが挿入される孔が形成され、ヒンジ側である上方に形成される孔は、上下方向に長孔とされるものとすれば、被選別物が流下する空間を開放させた状態の前側光学検出手段を簡単に開放前の位置に戻すことができ、前側光学検出手段における撮像手段の視野中心軸(光軸)の位置合わせに高度な技術を必要としない。
【0024】
本発明の色彩選別機は、前側光学検出手段への配線が、ヒンジに形成される内部空間を介して行われることとすれば、配線が外部に露出することがないため、作業者等の邪魔になることがなく、外見上も好ましい。
【0025】
本発明の色彩選別機は、前側光学検出手段が、支持手段により被選別物が流下する空間を開放する位置に支持されることとすれば、回動させた前側光学検出手段が勝手に閉じることがないため、作業者による清掃作業等を安全に行うことができる。
【0026】
本発明の色彩選別機は、前側光学検出手段が、固定手段により被選別物が流下する空間を閉鎖する位置に固定されることとすれば、選別作業時において前側光学検出手段が勝手に回動して開くことがないため、作業者による選別作業等を安全に行うことができる。また、固定部材としてパッチン錠を用いれば、前側光学検出手段を簡単に固定したり解除したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態における色彩選別機の正面右上からの全体斜視図。
【図2】図1の色彩選別機における内部構造の概略説明図。
【図3】図2における光学検出部付近の拡大説明図。
【図4】図1の色彩選別機の前側光学検出部を上方へ回動させた状態を示す斜視図。
【図5】図1において、前側光学検出部を上方へ回動させた状態の全体斜視図。
【図6】図2において、前側光学検出部を上方へ回動させた状態の説明図。
【図7】前後両光学検出部の位置合わせを行うためのピンと孔の関係を示す説明図。
【図8】前側光学検出部を上方へ回動可能とするためのヒンジの説明図。
【図9】従来の色彩選別機の概略斜視図。
【図10】図9の色彩選別機における一次選別部の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態における色彩選別機の正面右上からの全体斜視図を示し、図2は、前記色彩選別機の右側方からの内部構造の概略説明図であって一次選別部を示すものである。
【0030】
本発明の実施の形態における色彩選別機は、穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物を原料として、良品と不良品或いは原料に混入する異物を色彩により選別することができるものである。
【0031】
本発明の実施の形態における色彩選別機1は、原料を揚粒するための昇降部2と、該昇降部2の前面側に位置し原料を選別するための光学選別部3と、該光学選別部3の下方に位置して選別後の原料を前記昇降部2に返還するための振動コンベア4を備えるものである。
【0032】
昇降部2は、第1乃至第3バケットコンベア5〜7を色彩選別機1の正面視幅方向に並設した状態で構成されるものであり、図1に示すように、各バケットコンベア5〜7は、ハウジング内にコンパクトに収納されている。
【0033】
光学選別部3は、色彩選別機1の正面視幅方向に広がる状態で落下する複数の原料を検出する光学検出部32と、該光学検出部32の検出の結果、不良品や異物と判別されるものをエアーにより除去するエジェクター33とを備え、前記幅方向に一次選別部と二次選別部が並んで配置されるものである。なお、一次選別部と二次選別部はシュート面を除いて略同様の構造である。
【0034】
振動コンベア4は、光学選別部3の下方に配置され、当該光学選別部3により選別された原料を、それぞれ対応する各バケットコンベア5〜7に向けて搬送するものである。なお、ここでは振動コンベアを用いているが、ベルトコンベア等の他の手段を用いてもよい。
【0035】
図2に示すように、上記色彩選別機1において、投入ホッパ8に投入された原料は、第1バケットコンベア5により揚粒され、第1貯留タンク15に貯留された後、第1ロータリーバルブ18を介して一定流量で第1シュート24に供給される。
【0036】
第1シュート24上を流下する原料は、一次選別部において検出され、検出の結果、良品は第1排出樋16から、不良品はエジェクター33により弾かれて第2排出樋17から、それぞれ振動コンベア4の対応するトラフ上に落下する。
【0037】
そして、一次選別部において良品とされた原料は、振動コンベア4により第2バケットコンベア6に搬送され揚粒されて、袋詰め等のために機外に排出される。
また、不良品とされた原料は、第3バケットコンベア7に搬送されて、図示しない第2貯留タンクに貯留された後、第2ロータリーバルブを介して一定流量で第2シュート25(図5,6を参照。)に供給される。
【0038】
第2シュート25上を流下する原料は、二次選別部において検出され、検出の結果、良品は第3排出樋18から振動コンベア4の対応するトラフ上に落下し、当該振動コンベア4により第1バケットコンベア5に搬送され投入ホッパ8に投入された原料とともに揚粒されて、再度一次選別部において選別されることとなる。
一方、不良品とされた原料は、エジェクター33により弾かれて第4排出樋19から直接機外に排出される。
【0039】
次に、本発明の実施の形態における色彩選別機1の光学検出部32の構成について説明する。
【0040】
図3は、本実施の形態の色彩選別機における光学検出部32の内部構造の説明図、また、図4は、上記色彩選別機の前側光学検出部32aを回動させた状態の斜視図を示すものである。
【0041】
本実施の形態における光学検出部32は、図3及び図4に示すように第1シュート24及び第2シュート25を前後に挟んだ状態で配置される、前側光学検出部32aと後側光学検出部32bとから構成される。ここで、後側光学検出部32bは選別機本体に固定して配置されるものである。
【0042】
図3に示すように、前側光学検出部32aは、カバーの箱体内に、例えばCCDラインセンサー等からなる前側センサー34a、ミラー35a、蛍光灯等からなる光源36a、背景手段としてのバックグラウンド37aが配置されてなるものである。また、光源36aが配置される原料流下軌跡側には、カバーの箱体内に原料の粉塵等が入り込むのを防ぐためガラス等の透明板38aが設けられ、当該透明板38aの内側に前記バックグラウンド37aが装着されている。ここで、当該バックグラウンド37aは、後側光学検出部32bにおける後側センサー34bの視野中心軸(光軸)上に対向して配置されるものである。また、前記光源36aは、前記第1シュート24及び第2シュート25を合わせた幅より長さの短いものが採用され、各シュート24,25の外端よりも内側に配置されている。
【0043】
そして、図4に示すように、前記前側光学検出部32aは、カバー正面外側の下方に把手43が設けられ、その下方端部には、パッチン止用金具442が設けられるものである。なお、当該パッチン止用金具442は、図1に示すように、前側光学検出部32aの下方であって、選別機本体側に取り付けられるパッチン錠本体441により係止されるものである。
【0044】
一方、後側光学検出部32bも同様に、カバーの箱体内にCCDラインセンサー等からなる後側センサー34b、ミラー35b、蛍光灯等からなる光源36b、背景手段としてのバックグラウンド37bが配置されてなるものである。また、光源36bが配置される原料流下軌跡側には、カバーの箱体内に原料の粉塵等が入り込むのを防ぐためにガラス等の透明板38bが設けられ、当該透明板38bの内側に前記バックグラウンド37bが装着されている。ここで、当該バックグラウンド37bは、前側光学検出部32aにおける前側センサー34aの視野中心軸(光軸)上に対向して配置されるものである。また、後側光学検出部32bの光源36bも、前記第1シュート24及び第2シュート25を合わせた幅より長さの短いものが採用され、各シュート24,25の外端よりも内側に配置されている。
【0045】
図4に示すように、前側光学検出部32aにおける光源36aが配置される箇所と、後側光学検出部32bにおける光源36bが配置される箇所の両カバーにおける両側壁内面には、前記各シュート24,25の外端部における光量を確保するため、それぞれミラー等からなる反射板51a,51bが取り付けられている。なお、反射板51a,51bは、各シュート外端における光量を確保できるものであればよく、ミラー以外にも鏡面仕上げされた他の部材等を用いることができる。
【0046】
本実施の形態における両光学検出部32a,32bは、図3に示すとおり、各シュート24,25の下端から落下する原料を光源36a,36bにより照明し、検出位置を通過する原料をミラー35a,35bを介して各センサー34a,34bにより撮像するものである。そして、その際、検出位置の側方に位置する両カバーの両側壁内面に取り付けられる反射板51a,51bにより、各シュート24,25の外端部における光量を確保できるものである。
【0047】
図4に示すように、後側光学検出部32bには、両光学検出部32a,32bの各透明板38a,38bを清掃するための透明板拭き取りワイパー52a,52bと、両光学検出部32a,32bのカバー両側壁内面に取り付けられる反射板51a,51bを清掃するための反射板拭き取りワイパー52c,52cが一体化された矩形状の清掃用ワイパー53が配置されている。当該清掃用ワイパー53は、エアシリンダ等の駆動手段によりカバー内を上下に摺動し、前記透明板38a,38b及び反射板51a,51bを拭き取り清掃するものである。
【0048】
本実施の形態における両光学検出部32a,32bは、清掃用ワイパー53により透明板38a,38b及び反射板51a,51bを拭き取り清掃するものであるので、原料の粉塵等が付着することによる光量の減少を防ぐことができる。
【0049】
図4に示すように、さらに後側光学検出部32bにおける透明板38bの内側面幅方向両端部には、キャリブレーション板39bが取り付けられており、当該キャリブレーション板39bに原料の粉塵等が直接付着しないよう構成されている。
なお、図示しないが、前側光学検出部32aにおける透明板38aの内側面幅方向両端部にも、同様にキャリブレーション板が取り付けられている。
【0050】
そして、本実施の形態における両光学検出部32a,32bは、毎朝の作業開始時や作業途中において、各センサー34a,34bにより撮像して得られるキャリブレーション板39a,39bの撮像信号に基づいて、原料を不良品又は異物と判別するための適正光量範囲、即ち高レベル側閾値と低レベル側閾値を校正(補正)し、蛍光灯等の光源の光量やカメラ等の受光感度の変動等の影響を取り除くことができるものであるが、キャリブレーション板39a,39bが透明板38a,38bの内側面に取り付けられているため、原料の粉塵等が付着することによる影響を受けることがない。また、透明板38a,38bの外側面に付着した粉塵等は、上記のとおり清掃用ワイパー53により拭き取り清掃されるため、上記各閾値の校正に際し、原料の粉塵等による影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0051】
ところで、本実施の形態において、前側光学検出部32aと後側光学検出部32bとは、それぞれカバーの上部において左右一対のヒンジ41を介して連結されている。それ故、図4に示すように、作業者は、前記前側光学検出部32aのカバー正面外側の下方に設けられた把手43を把持し、パッチン錠44を外して当該前側光学検出部32aを上方へ回動させることで、両光学検出手段32a,32bの間に形成される原料が流下する空間を開放し、その内部を露出させることができる。図5は、図1において前側光学検出部32aを上方に回動させた状態の全体斜視図、図6は、図2において前側光学検出部32aを上方に回動させた状態の説明図をそれぞれ示すものである。
【0052】
前側光学検出部32aと後側光学検出部32bの間には、例えばガススプリング45が配置され、上方へ回動させられた前側光学検出部32aは、当該ガススプリング45により上記空間の開放状態を維持できるよう構成されている。前側光学検出部32aが、ガススプリングにより上記開放位置に支持されれば、当該前側光学検出部32aが勝手に閉じることがないため、作業者による清掃作業等を安全に行うことができる。
【0053】
また、後側光学検出部32bの前側光学検出部32aに対向する面の下方には、ショックアブソーバ46が設けられ、前側光学検出部32aを下方へ回動させて、上記空間を閉鎖する際の衝撃を緩和できるよう構成されている。
【0054】
そして、上記のとおり、前側光学検出部32aは、カバー正面外側の下方端部に設けられたパッチン止用金具442に、選別機本体側に取り付けられるパッチン錠本体441を係止することにより、前記原料が流下する空間を閉鎖する位置に固定できるよう構成されている。前側光学検出部32aがパッチン錠44により閉鎖状態を維持されれば、当該前側光学検出部32aが勝手に開くことがないため、作業者による選別作業等を安全に行うことができる。
【0055】
前側光学検出部32aと後側光学検出部32bの各対向合わせ面の四隅には、一方にピン、他方に当該ピンが挿入される孔が形成されている。図7は、前側光学検出部32aの側に孔47,48、後側光学検出部32bの側にピン49,49を形成した場合を示す。
図7に示すように、前側光学検出部32aの側に形成される孔は、ヒンジ41に近い側が長孔47とされており、前側光学検出部32aを下方へ回動して両光学検出部32a,32b間の空間を閉鎖する際、後側光学検出部32bのヒンジ41に近い側に形成されたピン49は、当該長孔47とスムースに係合することが可能となる。このため、前側光学検出部32aは、前記各ピン49,49と各孔47,48の係合により上方へ回動させる前の位置に正確に戻すことができ、撮像手段の視野中心軸(光軸)の位置合わせに高度な技術を必要としない。なお、前側光学検出部32aの側にピン、後側光学検出部32bの側に孔が形成されていてもよいことはいうまでもない。
【0056】
表側光学検出部32aと後側光学検出部32bを連結するヒンジ41は、図8(a)に示すように、二つの部材411,412の組み合わせから構成されている。これら二つの部材411,412は、一方411が前側光学検出部32aに、他方412が後側光学検出部32bに固定されるものであるが、図8(b),(c)に一部切り欠いた状態を示すように、それぞれの内部は空洞とされ、両部材411,412は軸部413において連結されている。
そして、前側光学検出部32aは、選別機本体に設けられる制御装置等とカバーの箱体内に配置される前側センサー34aや光源36a等との間に各種配線を行う必要があるが、これらは、ヒンジ41を構成する上記両部材411,412内に形成される空洞を介して行われるため、外部に露出して作業員等の邪魔になったりすることがなく、外観上も好ましい。
【0057】
本発明の実施の形態における光学検出部32は、前側光学検出部32aの下部を上方に回動させて、後光学検出部32bとの間に形成される原料が流下する空間を簡単に開放し、その内部を露出させることができるので、各シュート24,25や各光学検出部32a,32b、エジェクター33等に付着・堆積する粉塵等を容易に除去することができる。また、前側光学検出部32aを上方に回動させるものであるから、前記空間内部に付着・堆積する粉塵等を開放される側に落下させることができ、その除去作業が容易なものである。
【0058】
また、前側光学検出部32aを、原料を検出位置において照明する光源32aと、該検出位置を通過する原料を撮像する前側センサー34aと、後側光学検出部32bの後側センサー34bの撮像方向、即ち後側センサー34bの視野中心軸(光軸)上であって前記検出位置の背後に位置するバックグラウンドをカバーの箱体内に配置して構成するので、当該前側光学検出部32aをコンパクトなものとすることができ、上方へ回動させる際の取り扱いを容易とすることができるとともに色彩選別機の小型化が可能となる。
【0059】
上記実施の形態における色彩選別機は、光学検出部32が、シュートを挟んで上下又は前後に一対配置されるものであるが、光学検出部32は前側にのみ配置されるものであってもよい。この場合、前側光学検出部32aは、当該前側光学検出部32aのカバー上部において選別機本体とヒンジを介して連結され、下部を上方に回動させることで選別機本体との間に形成される原料が流下する空間を開放することができる。
【0060】
また、上記色彩選別機は、上方へ回動させた前側光学検出部32aを支持する手段としてガスススプリングを用いるものであるが、その他のダンパー部材等の支持部材を用いるものであってもよい。
【0061】
さらに、上記色彩選別機は、前側光学検出部32aを選別機本体に固定する手段としてパッチン錠を用いるものであるが、その他の固定部材を用いるものであってもよい。
【0062】
上記色彩選別機は、一次選別部と二次選別部を備えるものであるが、一次選別部のみ備えるものであってもよい。また、三次以上の選別部を備えるものであってもよい。
【0063】
上記色彩選別機は、不良品や異物等を除去するエジェクター手段としてエアーを用いるものであるが、ソレノイド等により駆動される板バネ等を用いるものでもよい。
【0064】
上記色彩選別機は、検出位置において原料を撮像する手段としてラインセンサーを用いるものであるが、エリアセンサーを用いるものでもよい。
【0065】
本発明の色彩選別機は、上記実施の形態に限らず、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の色彩選別機は、前側光学検出手段を上方に回動させることで、被選別物が流下する空間を簡単に開放することができ、シュートや光学検出部、エジェクター等に付着・堆積する粉塵等を容易に除去することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 色彩選別機
2 昇降部
3 光学選別部
4 振動コンベア
8 投入ホッパ
24 第1シュート
25 第2シュート
32 光学検出部
32a 表側光学検出部
32b 裏側光学検出部
33 エジェクター
34a 表側センサ
34b 裏側センサ
35a,35b ミラー
36a,36b 光源
37a,37b バックグラウンド
38a,38b 透明板
39b キャリブレーション板
41 ヒンジ
43 把手
44 パッチン錠
45 ガススプリング
46 ショックアブソーバ
47 長孔
48 丸孔
49 ピン
51a,51b 反射板
52a,52b 透明板拭き取りワイパー
52c 反射板拭き取りワイパー
53 清掃用ワイパー





【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物を流下させるために傾斜配置したシュートと、該シュート下端から流下する被選別物の流下軌跡前方に配置される前側光学検出手段と、前側光学検出手段のさらに下方に設けられ、該前側光学検出手段による検出結果に基づいて被選別物から異物又は不良品を除去するエジェクター手段とを備えてなる色彩選別機において、
前記前側光学検出手段は、下部が上方に回動可能となるよう、その上部において選別機本体に対しヒンジを介して連結され、前記前側光学検出手段と選別機本体との間に形成される被選別物が流下する空間が開閉可能とされることを特徴とする色彩選別機。
【請求項2】
被選別物の流下軌跡を挟んで、前記前側光学検出手段と対向する選別機本体の位置には後側光学検出手段が配置され、前記前側光学検出手段は、その上部において後側光学検出手段とヒンジを介して連結されることを特徴とする請求項1記載の色彩選別機。
【請求項3】
前記前側光学検出手段は、少なくとも被選別物の検出位置を照明する照明手段と、該検出位置において被選別物を撮像する撮像手段をカバーの箱体内に配置して構成されることを特徴とする請求項1記載の色彩選別機。
【請求項4】
前記前側光学検出手段は、少なくとも被選別物の検出位置を照明する照明手段と、該検出位置において被選別物を撮像する撮像手段をカバーの箱体内に配置して構成されることを特徴とする請求項2記載の色彩選別機。
【請求項5】
前記前側光学検出手段と選別機本体との対向合わせ面の四隅には、一方にピン、他方に当該ピンが挿入される孔が形成され、ヒンジ側である上方に形成される孔は、上下方向に長孔とされることを特徴とする請求項1又は3記載の色彩選別機。
【請求項6】
前記前側光学検出手段と後側光学検出手段との対向合わせ面の四隅には、一方にピン、他方に当該ピンが挿入される孔が形成され、ヒンジ側である上方に形成される孔は、上下方向に長孔とされることを特徴とする請求項2又は4記載の色彩選別機。
【請求項7】
前記前側光学検出手段への配線は、前記ヒンジに形成される内部空間を介して行われることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の色彩選別機。
【請求項8】
前記前側光学検出手段は、支持手段により前記被選別物が流下する空間を開放する位置に支持されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項記載の色彩選別機。
【請求項9】
前記前側光学検出手段は、固定手段により前記被選別物が流下する空間を閉鎖する位置に固定されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項記載の色彩選別機。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−88097(P2011−88097A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245131(P2009−245131)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 株式会社サタケ 「『新型光選別機 FGS−1000・2000』のカタログ(価格表示あり)」 平成21年6月発行
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成21年6月9日〜6月12日 社団法人日本食品機械工業会主催の「FOOMA JAPAN 2009国際食品工業展」に出品
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】