説明

色温度の均一性改善のための遮光機構と干渉コーティングとを伴うランプおよび照明ユニット

本発明は、点灯素子(3)と、たとえばランプ(1)の色または色温度を変えるための干渉コーティング(4)を少なくとも部分的に備えた透明なバルブ(2)とを含む、自動車のヘッドライト用でないランプ(1)、および、反射器(12)内に取り付けられたそのようなランプ(1)を含む照明ユニット(15)に関する。ただし、本発明は、干渉コーティング(4)が、ランプ(1)ではなく反射器(12)に施されている照明ユニット(15)にも関する。これらのランプ(1)または照明ユニット(15)では、干渉コーティング(4)により適切にフィルタリングされない光成分(8)は、照明ビーム内に望ましくない波長をもたらし、かつ/またはビームの色の均一性を損なわせる。かかる光成分(8)は、ランプ(1)の一部におけるフィルタの欠落もしくは不十分なフィルタ、フィルタ(4)上へのおよび干渉コーティング(4)を有する反射器(12)内における非垂直な光線(8)の入射、または反射器(12)に当たらない直接光(8)に起因して生じ得る。本発明は、これらの光成分(8)が照明ビーム内に入り込むのを実質的に防止するための遮光機構(5、6、7)を、ランプ(1)または照明ユニット(15)に追加するものである。ぎらつき(グレア)を防止するための、構成が類似した遮光機構(5、6、7)は、自動車のヘッドライト用ランプより知られているが、干渉コーティング(4)の観点からのそれらのランプの利点は、従来技術においては看過されていた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯素子と、少なくとも部分的に干渉コーティングを備えた透明なバルブとを含むランプに関するものである。かかる干渉コーティングは、たとえば、ランプの見た目の色を変える目的や、ランプの色温度を上昇させる目的のために用いられる。かかるランプは、とりわけ反射器内に取り付けることが可能であり、そうして得られた照明ユニットは、たとえば、店舗照明、家庭用照明、アクセント照明、スポット照明、または劇場用照明といった、様々な照明用途にかなう。したがって、本発明は、反射器と、本発明のランプとを含む、そのような照明ユニットも包含するものである。
【0002】
ただし、本発明はまた、反射器とランプとを含み、その反射器が干渉コーティングを備えている照明ユニットにも関するものである。かかる照明ユニットは、ランプが干渉コーティングを担持する最初に述べた照明ユニットに、代替するものである。したがって、かかる照明ユニットのいずれの実施形態も、類似の目的のために使用することができる。さらには、干渉コーティングを有するランプが、干渉コーティングを有する反射器内で用いられて、それらの干渉コーティングが相互に補完し合うようにしてもよい。たとえば、ランプの干渉コーティングが、青色より低い波長のみを透過し、反射器のコーティングが、可視光を反射すると同時に赤外光を透過するようにして、したがって、それらの組合せにより、黄色の「冷たい」光(冷光)が発せられるようにしてもよい(「冷たい」とは、赤外成分がないことを指す)。
【背景技術】
【0003】
ドイツ実用新案DE8600642U1号は、ランプの色を変えるための干渉コーティングを担持したランプを開示している。このコーティングは、比較的低屈折率の材料と比較的高屈折率の材料とが交互に配されたλ/4個の層から構成されており、たとえば蒸着または浸漬によって作製が可能である。この文献はさらに、黄色のランプを得るのに有用ないくつかのフィルタ設計を開示している。このカラーフィルタリングは、干渉コーティングに、追加の波長選択吸収フィルタを補うことにより、さらなる改善が可能である。この追加の波長選択吸収フィルタは、たとえば、Fe、Sr、CoO、またはCuOの、1つまたは2つの層から構成されており、好ましくは、比較的低い屈折率を有する適応層によって、干渉コーティングと隔てられている。この文献の開示内容のさらなる詳述を避けるため、ドイツ実用新案DE8600642U1号の内容は、参照によりその全体が本明細書に含まれているものとする。追加の波長選択吸収フィルタの材料としては、ドイツ実用新案DE8600642U1号に列挙されている上記の材料のほかに、たとえばCoAlといった他の材料を用いることも可能である。
【0004】
ドイツ実用新案DE8600642U1号の第2頁、第23から38行には、いくつかの特定の形態では、ランプの点灯素子により発せられた光が、かなり大きな非垂直の入射角度で、バルブの干渉コーティングに入射し得る旨が記載されている。このことは、たとえば比較的長い形状のバルブにおいて起こり得る。そのような非垂直な入射は、干渉コーティングによって反射されてランプ内に戻されるべき波長を、部分的に透過させるという影響を有し、したがってランプの見た目の色に影響を与える。しかしながら、自動車のヘッドライト用ランプに特化したドイツ実用新案DE8600642U1号では、この影響は小さなものであると述べられ、また、追加の波長選択吸収フィルタの使用がこの影響を除去すると指摘している。
【0005】
欧州特許出願公開EP0986093A1号は、そのような干渉コーティング上への非垂直な入射により引き起こされる問題に、再び取り組んでいる。欧州特許出願公開EP0986093A1号も、この問題は自動車のヘッドライトにとっては重要でない問題であると述べているが(第1コラム、第26から30行)、たとえば自動車の停止灯や信号灯といった他の用途におけるランプは、たとえば洋梨型のバルブのような異なる構造を有する点を指摘している。かかるランプにおいては、非垂直な入射の影響は、無視できるものではなく、たとえば、異なるそれぞれの観察角度においてランプが異なる色に見えるようにしたり、照明される対象領域上に有色の照明パターンを発生させるかもしれない。
【0006】
これらの問題を解決するため、欧州特許出願公開EP0986093A1号は、環状かつ有色の照明パターンを防止するために、ランプおよびランプが取り付けられる反射器において、局所的に異なる厚さを有する干渉コーティングを用いる、欧州特許出願公開EP0460913A2号に開示された方法に言及している。その上で、欧州特許出願公開EP0986093A1号は、干渉コーティングの局所的な厚さをどのように決定するかについての処方を提示することにより、この方法をさらに発展させている。この欧州特許出願公開EP0986093A1号についても、たとえば具体的なフィルタの形態や製造方法についての開示といった、開示内容のさらなる詳述を避けるため、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に含まれているものとする。
【0007】
欧州特許出願公開EP0986093A1号に従って干渉コーティングの局所的な厚さを変化させることは、非垂直な入射により引き起こされる問題への1つの解決策を提供するものであるが、この方法は、製造過程の複雑さとコストとを非常に増大させてしまう。さらに、製造過程の制約により、ランプのバルブには、干渉コーティングを有さない部分または不十分な干渉コーティングしか有さない部分があるかもしれず、それにより、フィルタリングされない光成分または少なくとも不十分にしかフィルタリングされない光成分がもたらされるかもしれない。たとえば、バルブのつまみ部分は、干渉コーティングが施された後にサンドブラスト処理されるかもしれず、かかるサンドブラスト処理は、つまみ部分上の干渉コーティングを除去するかもしれない。同様に、たとえば、バルブのつまみ部分と中央部分との間の移行領域や、単一終端型ランプの頂部といった、バルブの強く湾曲させられた部分では、干渉コーティングが粗悪に規定されるかもしれない。この後者の場合には、当然、非垂直な入射の問題も同時に発生する。反射器が干渉コーティングを担持する照明ユニットでは、照明ユニットから直接出射する光、すなわちランプの点灯素子により発せられ、反射器の開放端へと向かう光は、この干渉コーティングによるフィルタリングを受けず、したがって照明ユニットの光線に望ましくない波長を加えてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非垂直な入射、欠落を有するまたは粗悪に規定された干渉コーティング、および直接光のこれらすべての現象は、干渉コーティングにより適切にフィルタリングされていない光成分が照明ビーム内に現れるという問題を共通に有する。そのような光成分は、照明ビーム内に望ましくない波長をもたらし、かつ/または、照明ビームの色の均一性を損なわせる。
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、自動車のヘッドライト用でないランプの分野、および反射器を有する照明ユニットの分野において、少なくとも、照明ビーム内の不適切にフィルタリングされた光成分に起因する望ましくない波長および不十分な色の均一性の問題を大いに軽減する、単純かつ安価な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の第1の目的は、
透明なバルブと、
バルブ内の点灯素子と、
バルブの少なくとも一部に施された干渉コーティングと、
点灯素子により発せられた、干渉コーティングによって適切にフィルタリングされない光線の、少なくとも一部を遮光するように設計された遮光機構とを含む、自動車のヘッドライト用でないランプによって達成される。
【0011】
ここで、「自動車のヘッドライト用でないランプ」との用語は、従来技術に対する新規性を確立するための放棄(ディスクレーマー)の意味で用いられているものである。すなわち、「自動車のヘッドライト用でないランプ」とは、自動車のヘッドライトへの使用のために作られたランプを除く、あらゆるランプを指すものである。
【0012】
導入節で既に指摘したように、そのようなランプは、反射器内に取り付けられて照明ユニットを形成してもよい。したがって、本発明は、
反射器と、
その反射器内に取り付けられた、請求項1記載の自動車のヘッドライト用でないランプとを含む照明ユニットにも関するものである。
【0013】
そのような照明ユニットでは、遮光機構は、ランプの一部としてではなく、別個のシールドとして構成されてもよい。したがって、本発明はさらに、
反射器と、
シールドと、
反射器内に取り付けられたランプとを含み、そのランプが、
透明なバルブと、
バルブ内の点灯素子と、
バルブの少なくとも一部に施された干渉コーティングとを含み、
上記のシールドが、点灯素子により発せられた、干渉コーティングによって適切にフィルタリングされない光線の、少なくとも一部を吸収するように設計されている、自動車のヘッドライト用でない照明ユニットも包含する。
【0014】
加えて、これも導入節で既に指摘したように、ランプを干渉フィルタでコーティングする代わりに、反射器がコーティングされてもよい。したがって、本発明の第2の目的は、
干渉コーティングを有する反射器と、
反射器内に取り付けられたランプと、
ランプにより発せられ反射器の開放端へと向かう光線の、少なくとも一部を遮光するように設計されている遮光機構とを含む照明ユニットによって達成される。
【0015】
当然ながら、当業者には明らかであり、たとえば欧州特許出願公開EP0986093A1号でも述べられているように、1つの照明ユニット内で、ランプの干渉コーティングと反射器の干渉コーティングとが組み合わされてもよい。
【0016】
すなわち、本発明は、少なくとも、不適切にフィルタリングされた光成分に起因する問題を大いに軽減するための、単純かつコスト的に効率のよい1つの解決策は、それらの光成分が照明領域に到達するのをブロックすることにあるという洞察に基づいている。すなわち、ブロック(遮光)が行われなければ干渉フィルタを全く通過しないか、不十分なフィルタしか通過しないか、非垂直な入射角度でフィルタを通過してしまう光部分が、遮光される。
【0017】
ここで、バルブ上に干渉コーティングを担持し、頂部に不透明なコーティングを有するランプは、自動車のヘッドライトの用途においてはよく知られている点を指摘しておかなければならない。たとえば、ドイツ実用新案DE8600642U1号の図面に示され説明されているランプは、かかるタイプのランプである。この文献の第4頁の第10から16行には、このランプが、ロービーム

とハイビーム

とを発生させるための反射器内への取付けを想定したものであることが明記されており、このことは、このランプを、自動車のヘッドライトで使用されるランプに明確に分類するものである。さらに、この文献には、具体的な例として、黄色のH4−自動車用ランプが挙げられている。
【0018】
しかしながら、これら従来技術の自動車のヘッドライト用ランプは、本発明とは明確に区別されなくてはならない。すなわち、自動車のヘッドライト用ランプの頂部に施された不透明のコーティング(通常、バルブキャップ、カプセルキャップ、またはブラックキャップと呼ばれる)は、ランプの点灯素子の直接光により他の通行者や車をぎらつかせる(グレア)のを防止するためにヘッドライトの輝度を調整するという、唯一の目的を果たすものである。これらのキャップは、干渉コーティングの導入前から知られていたものであり、本発明に対する従来技術では、干渉コーティングを施されたランプまたは照明ユニットの、不適切にフィルタリングされた光成分を低減させるというここで主張する目的に対する、かかる遮光機構の有利な効果は認識されていなかった。
【0019】
実際、従来技術がここで主張する有利な効果を看過していたことは、たとえば、非垂直な入射に起因する問題は自動車のヘッドライト用ランプにおいては小さなまたは重要でないと述べている、ドイツ実用新案DE8600642U1号および欧州特許出願公開EP0986093A1号の既に引用したくだりからも、欧州特許出願公開EP0986093A1号において、自動車のヘッドライト用ランプのキャップについて知りながら、この問題に対する別の解決策が導き出されている(すなわち、干渉コーティングの厚さを局所的に変化させるという思想がさらに展開されている)という事実からも、明らかである。
【0020】
本発明のランプは、いかなる種類の光源であってもよい。すなわち、本発明のランプは、放電ランプのみならずハロゲンランプも包含し、さらに、たとえば化学的効果を利用した光源等の他の光源も含み得る。唯一の必要条件は、その光源が、干渉コーティングによる有用なフィルタリングが可能な光スペクトルを発するものであるという条件である。したがって、本発明のランプの点灯素子とは、ランプの、干渉コーティングによりフィルタリングされることを想定されている光を発する部分を指す。たとえば、白熱ランプのフィラメント、高圧放電ランプのアーク、または蛍光ランプ内で発生させられる紫外光を変換する蛍光体等が、点灯素子とされる。
【0021】
本発明のランプのバルブ上または反射器上の干渉コーティングは、スペクトルの一部を透過させ、その他の部分を反射する、いかなるタイプのコーティングであってもよい。かかるフィルタの設計および製造方法は、今日では先端的な技術であり、黄色、橙色、または赤色の波長を透過させるフィルタの例が、たとえばドイツ実用新案DE8600642U1号または欧州特許出願公開EP0986093A1号で示されている。ただし、ランプの色を変えることの他に、かかる干渉コーティングはさらに、そのランプをより昼光様にするように(すなわち、ランプの色温度を上昇させるように)、またはランプのエネルギー効率を増大させるように設計されてもよい。かかる設計はそれぞれ、赤外光を反射してランプ内に戻すことによる照明領域の望ましくない加熱を、少なくとも部分的に防止しながら行われる。この効果、すなわち「冷たい」光(冷光)を取得する効果は、ランプが取り付けられている反射器をコーティングし、その反射器を、可視光を反射する一方赤外光を透過させるものとすることによっても得られる。
【0022】
遮光機構は、その遮光機構に入射する光の吸収、反射、または吸収と反射との組合せのいずれによって、その機能を果たしてもよい。反射の場合、ランプまたは照明ユニットの効率を高めるという利点が提供される。すなわち、白熱ランプでは、反射光は、フィラメントを少なくとも部分的に加熱する。反射器が干渉コーティングを担持する照明ユニットでは、遮光機構によって反射された光は、反射器およびその干渉コーティングに当たり、したがって照明ビームに大いに寄与する。
【0023】
遮光機構は、たとえばランプの一部または別個の要素として取り付けられたシールドとして実現されてもよいし、たとえば吸収性またはミラー様の金属から作られ、バルブの一部を覆うようにバルブ上に取り付けられたキャップとして実現されてもよいし、または、たとえば自動車のヘッドライト用ランプより既知であるのと同じタイプの、バルブの一部に施された不透明のコーティング(たとえば、標準的な珪素−鉄酸化物の黒色体から作られたブラックキャップ)として実現されてもよい。原理上、遮光は、バルブの適当な位置に不透明材料を用いることにより実現されてもよい。たとえば、バルブの端部を不透明材料で作製し、バルブの中央部分にのみ透明材料を用いることによって、遮光を実現してもよい。
【0024】
遮光機構は、不適切にフィルタリングされた光成分を含む光の、少なくとも一部を遮光するような位置に設けられなくてはならない。すなわち、反射器内に取り付けられたランプの直接光を遮光するためには、遮光機構は、点灯素子から反射器の開放側へと向かう光を遮光しなくてはならない。それにより、遮光機構は、不適切にフィルタリングされた光成分を抑制するのに加えて、この直接光によるぎらつき(グレア)を防止するという目的も同時に果たす。
【0025】
非垂直な入射の問題は、たとえば、円柱対称のランプ軸と交差するように、長い形状の点灯素子が取り付けられている場合(長く延設されたバルブ形状の場合であっても、湾曲させられたバルブ形状の場合であってもよい)において顕著である。よくある例としては、家庭用照明のための低圧ハロゲンランプが挙げられる。これらのランプは、単一終端型(すなわち、ランプの電気接触部が一方の側においてランプの外に出ており、反対側においては、ランプの壁部が凹面状に丸まった端部で終端し、結果として凸面状の頂部を形成しているタイプ)であるので、点灯素子の光の非垂直な入射を必然的にかなりの程度もたらし、加えて、バルブの頂部の強く湾曲した部分において、粗悪に規定された干渉コーティングの問題を呈する。そのようなランプに対する本発明に従う有効な遮光機構は、ランプの頂部(すなわち電気接触部と反対側のランプ端部)を覆う、不透明のコーティングまたはキャップにある。
【0026】
本発明の上記の特徴のほとんどが個別に説明されているが、それらの特徴が、組み合わされて用いられてもよいし、さらに別の方策と組み合わされてもよいことは、当業者には明らかである。たとえば、照明ユニット内の干渉コーティングを、反射器上のみならずランプ上にも施し、ランプのコーティングが青色より短い波長を透過させ、反射器のコーティングが赤外光を透過させるようにして、したがって、組合せにより、黄色の「冷たい」光(冷光)が生成されるようにしてもよい。さらには、たとえばドイツ実用新案DE8600642U1号に開示されているように、追加の波長選択吸収コーティングが、干渉コーティングを補助するようにしてもよい。
【0027】
本発明の照明ユニットは、ランプのタイプ、および干渉コーティングのフィルタ曲線に依存して、様々な用途のための照明ユニットとして設計され得る。考えられる用途のいくつかとして、一般的な店舗照明、家庭用照明、アクセント照明、スポット照明、劇場用照明、光ファイバーの応用用途、および投影システムが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、上記およびその他の本発明の特徴および利点を、実施形態によりさらに説明し、特に添付の図面の解説によって説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る自動車のヘッドライト用でないランプ1の、第1の実施形態を示している。この図では、本発明に非常に関連の深い部分に参照番号が付されており、例示的な寸法が、一部は許容誤差と共にミリメートル単位で示されている。ただし、ランプ1は、別の寸法で製造されてもよい。ランプ1は、単一終端型のハロゲン白熱ランプであり、たとえば反射器内に挿入されて、店舗照明または家庭用照明に用いられ得る。このランプ1は、12Vの電圧において50Wの電力で動作させられるものであるが、別の低電圧値(たとえば6Vおよび24V)で動作させられるように設計されてもよいし、また、電源電圧値用(たとえば110V用および220V用)に設計されてもよい。単一終端型とは、両方の電気接触部21が、一方の側においてのみランプ1の外に出ていることを意味する。その反対側を、ランプ1の頂部22と呼ぶ。ランプ1はさらに、光に対して透明なバルブ2を含んでおり、このバルブ2の外側は、干渉コーティング4でコーティングされている(図1では破線で示されている)。ランプ1の点灯素子3は、コイルとして形成されたタングステンフィラメントである。
【0030】
その製造過程により、バルブ2の頂部22は、いくつかの凹部および凸部からなり、このことは必然的に、点灯素子の光の相当に非垂直な入射をもたらす。この光がランプ1から出射するのを防止するため、頂部22の干渉コーティング4の外側は、遮光機構として作用する不透明のコーティング5でコーティングされている。この不透明のコーティング5は、たとえば浸漬処理またはスパッタリング処理によって作製されてもよい。コーティング5は、たとえば、入射する光を吸収する標準的な珪素−鉄酸化物の黒色体からなっていてもよいし、入射する光を反射してランプ1内に戻すミラーとして構成されてもよい。当然ながら、頂部22では干渉コーティング4は何ら機能を有さないので、その頂部22においては干渉コーティング4が完全に省略されてもよいし、不透明のコーティング5がバルブ2と干渉コーティング4との間に付与されてもよい。いずれでも、使用する製造過程に、より適した方を用いればよい。
【0031】
ただし、遮光機構として反射コーティング5を用いる場合には、反射コーティング5を干渉コーティング4の下に設けるか、干渉コーティング4を省略することがより有利である。その場合、反射コーティング5により反射された光の一部は、フィラメント3において再吸収され、したがってフィラメント3を熱するので、ランプ1へのエネルギー入力をいくらか節減する。さらに、ランプの幾何学形状によっては、反射コーティング5により反射された光の別の一部は、バルブ2の別の個所において、干渉コーティング4を実質的に垂直な入射角度で通過して、ランプ1から出射し得る。ただし、この後者の場合には、過度に多くの反射光が、非垂直な入射角度で干渉コーティング4を通過するような位置においてランプ1から出射しないように、注意を払わなくてはならない。
【0032】
図2は、本発明に係る自動車のヘッドライト用でないランプの、第2の実施形態を示している。この図は、遮光機構が不透明なキャップ6として形成されている点を除いて、図1と一致している。キャップ6は、たとえば、バルブ2に緊密に接触するように押し付けられて、バルブ2に機械的に取り付けられてもよいし、あるいはバルブ2に接着されてもよい。説明のため、図2には、点灯素子3により発せられ、非垂直な入射角度で干渉コーティング4に当たっている2つの光線8が示されている。例示的な光線8の一方、すなわち光線9は、黒色体すなわち吸収キャップ6によって吸収されているように描かれており、光線8の他方、すなわち光線10は、反射キャップすなわちミラー被覆キャップ6によって反射されているように描かれている。
【0033】
図3は、本発明に係る自動車のヘッドライト用でないランプの、第3の実施形態を示している。この図には、バルブ2と、電気接触部21と、点灯素子としてのフィラメント3と、バルブ2の中央部分に付与された干渉コーティング4とを有する、二終端型の白熱ランプ1が示されている。いくつかの製造過程においては、バルブ2の外側のつまみ部分がサンドブラスト処理され、そのサンドブラスト処理により、それらの外側部分上に事前にあったかもしれない干渉コーティングが除去される。これらの外側部分を介して、フィルタリングされていない光がランプ1から出射するのを防ぐために、これらの外側部分は、遮光機構としての吸収コーティング5によってコーティングされている。そのため、その遮光機構5がなければランプ1から出射して照明ビームに望ましくない成分を加えるフィラメント3からの光線8は、遮光機構5によって吸収される。当然ながら、ランプ1が反射器内で使用されるものである場合には、反射器のネック部分に挿入されるバルブ2のつまみ部分は、吸収コーティング5でコーティングされる必要はない。これは、そのつまみ部分に向かった光は、いずれにしても反射器のネック部分内において吸収されるためである。
【0034】
図4は、本発明に係る照明ユニット15の第1の実施形態を、ミリメートル単位の例示的な寸法と共に示している。ランプが反射器12内に取り付けられており、この反射器12の内面は、点線として示された干渉コーティング4を担持している。参照番号21はランプの電気接触部を、2はランプのバルブを、3はランプの点灯素子をそれぞれ指す。プレート13により反射器12に固定されたシールド7が、反射器12の開放端へ向かう点灯素子3の光に対する、遮光機構として働く。説明のため、かかる光線の1つである光線8が示されており、この光線8は、シールド7に入射してそこで吸収されている。反射器12の内面へと向かう点灯素子3の光11は、そこで反射されて反射器の主光線となると同時に、干渉コーティング4によりフィルタリングされている。
【0035】
図5は、本発明に係る照明ユニット15の第2の実施形態を示している。この図でも、反射器12内に取り付けられたランプが示されており、この反射器12の内面は、干渉コーティング4を担持している。ただし、図4では単一終端型の白熱ランプが使用されていたのに対し、図5には、電気接触部21が反射器12の後面へと導かれた、二終端型の高圧気体放電ランプが示されている。この実施形態では、点灯素子3は、気体放電ランプのバルブ2内部の、電極23同士の間で放電しているアーク3として実現されている。ここでは、バルブ2の中央部分上の反射コーティング5と、バルブ2の外側のつまみ部分上の吸収コーティング5’とが(これらの中央部分と外側のつまみ部分とはいずれも反射器12の開放側にある)、点灯素子3の直接光を遮光する。したがって、アーク3から反射器12へと向かう光線11が照明ビームを形成するだけでなく、反射コーティング5における反射後の光線8も、反射器12に当たってその干渉コーティングを通過し、光線11’として照明ビームに寄与する。アーク3から、反射器の開放側にあるバルブ2の外側のつまみ部分へと向かう光線は、吸収コーティング5’によって吸収される。この光線は、この吸収コーティング5’がなければ、照明ビームに望ましくない波長を加えてしまう。
【0036】
反射器12が干渉フィルタ4を担持する図4および5の状況では、ランプのバルブ2にも、それ自体干渉フィルタであってもよい追加のフィルタを設けることが有利な場合もある。たとえば、反射器12の干渉フィルタ4が、たとえば反射光をより昼光様の光とするためにその反射光の色温度を上昇させるように設計されている場合には、ランプのバルブ2に、赤外反射(IR)干渉フィルタが付与されてもよい。そのようなIRフィルタは、赤外光を反射してランプ内へと戻し、白熱ランプのフィラメント3または放電ランプの放電を熱する追加のエネルギー源として作用し、したがってランプへのエネルギー入力をいくらか節減する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る自動車のヘッドライト用でないランプの1つの実施形態の断面図
【図2】本発明に係る自動車のヘッドライト用でないランプの1つの実施形態の断面図
【図3】本発明に係る自動車のヘッドライト用でないランプの1つの実施形態の断面図
【図4】本発明に係る照明ユニットの1つの実施形態の断面図
【図5】本発明に係る照明ユニットの1つの実施形態の断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なバルブと、
前記バルブ内の点灯素子と、
前記バルブの少なくとも一部に施された干渉コーティングと、
前記点灯素子により発せられた、前記干渉コーティングによって適切にフィルタリングされない光線の、少なくとも一部を遮光するように設計された遮光機構とを含むことを特徴とする自動車のヘッドライト用でないランプ。
【請求項2】
前記遮光機構の遮光機能が、
該遮光機構に入射する光の吸収、
該遮光機構に入射する光の反射、および
該遮光機構に入射する光の一部の吸収、ならびに残りの部分の反射
のうちのいずれか1つによって実現されることを特徴とする請求項1記載の自動車のヘッドライト用でないランプ。
【請求項3】
前記遮光機構が、
シールド、
前記バルブに取り付けられ、該バルブの一部を覆うキャップ、および
前記バルブの一部に施された不透明のコーティング
のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1記載の自動車のヘッドライト用でないランプ。
【請求項4】
当該ランプが、反射器内に取り付けられるように設計されており、
前記遮光機構が、前記点灯素子により発せられ、前記反射器の開放端へと向かう光線の、少なくとも一部を遮光するように設計されていることを特徴とする請求項1記載の自動車のヘッドライト用でないランプ。
【請求項5】
当該ランプが単一終端型であり、
前記遮光装置が、当該ランプの頂部を覆う不透明のコーティング、および当該ランプの頂部に配されたキャップのうちの、いずれか1つからなることを特徴とする請求項1記載の自動車のヘッドライト用でないランプ。
【請求項6】
前記干渉コーティングが、
前記点灯素子により発せられた光の色温度を上昇させるように、かつ/または
前記点灯素子により発せられた光の色を変えるように設計されていることを特徴とする請求項1記載の自動車のヘッドライト用でないランプ。
【請求項7】
当該ランプが、前記干渉コーティングのフィルタリング特性を補助するように設計された、追加の波長選択吸収コーティングを含んでいることを特徴とする請求項1記載の自動車のヘッドライト用でないランプ。
【請求項8】
反射器と、
前記反射器内に取り付けられた、請求項1記載の自動車のヘッドライト用でないランプとを含むことを特徴とする照明ユニット。
【請求項9】
反射器と、
シールドと、
前記反射器内に取り付けられたランプとを含み、該ランプが、
透明なバルブと、
前記バルブ内の点灯素子と、
前記バルブの少なくとも一部に施された干渉コーティングとを含み、
前記シールドが、前記点灯素子により発せられた、前記干渉コーティングによって適切にフィルタリングされない光線の、少なくとも一部を遮光するように設計されていることを特徴とする自動車のヘッドライト用でない照明ユニット。
【請求項10】
干渉コーティングを有する反射器と、
前記反射器内に取り付けられたランプと、
前記ランプにより発せられ前記反射器の開放端へと向かう光線の、少なくとも一部を遮光するように設計されている遮光機構とを含むことを特徴とする照明ユニット。
【請求項11】
店舗照明、家庭用照明、アクセント照明、スポット照明、劇場用照明、光ファイバーの応用用途、および投影システムの各用途のうちの1つでの使用のために設計されていることを特徴とする請求項8から10いずれか1項記載の照明ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−517328(P2006−517328A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566215(P2004−566215)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/IB2003/006295
【国際公開番号】WO2004/064107
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】