説明

色素ポリマー複合体を含有するホームケアまたはファブリックケア組成物

本発明は、特定の色素ポリマー複合体を含んでなるホームケアまたはファブリックケア組成物に関する。さらに、前記色素ポリマー複合体を用いてホームケアまたはファブリックケア組成物を着色するための方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の色素ポリマー複合体を含んでなるホームケアまたはファブリックケア組成物に関する。さらに、前記色素ポリマー複合体を用いてホームケアまたはファブリックケア組成物を着色する方法も記載する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2は、ボディケア製品および家庭用品の安定化を開示する。
【0003】
公開された特許文献3は、ボディケア製品、家庭用品、織物および布地の調製に、特定のヒンダートニトロキシル、ヒドロキシルアミンおよびヒドロキシルアミン塩化合物が使用されることを記載する。
【0004】
特許文献4は、アミン官能基により塩とした顔料を含有するメイクアップ化粧品を記載する。
【0005】
現在、色素ポリマー複合体は、ホームケアまたはファブリックケア組成物および製品の際立って安定した着色をもたらすことが判明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第00/25730号
【特許文献2】国際公開第00/25731号
【特許文献3】米国特許出願第60/377,381号
【特許文献4】米国特許第4,492,686号
【発明の概要】
【0007】
本発明は、
a)(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、および
(ii)少なくとも1種のアニオン性色素
から形成される、着色に有効な量の少なくとも1種の色素ポリマー複合体であって、成分a)(i)およびa)(ii)はホームケアまたはファブリックケア組成物に添加する前に複合体化して粒子を形成しており、前記複合体は最終製品中に粒子として残存する、前記色素ポリマー複合体;ならびに
b) 任意の追加成分、
を含んでなるホームケアまたはファブリックケア組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
成分a)(i)のカチオン性ポリマーは、天然ポリマー、修飾された天然ポリマーもしくは合成ポリマーとすることができる。天然、および修飾された天然カチオン性ポリマーの例としては、キトサンおよびその塩、ならびにカチオン性デンプンがある。
【0009】
本発明の組成物に使用するのに適した成分a)(i)のカチオン性ポリマーは、カチオン性窒素含有部分、たとえば第四級アンモニウムもしくはカチオン性プロトン化アミノ部分を含む。このカチオン性プロトン化アミンは、第一級、第二級、または第三級アミンとすることができるが、好ましくは第二級または第三級アミンであり、それはホームケアまたはファブリックケア組成物の個別の種類および選択されたpHに応じて決まる。カチオン性ポリマーはまた、約0.2 meq/gから約13 meq/gまでのカチオン電荷密度を有するが、好ましくは少なくとも約0.4 meq/g、より好ましくは少なくとも約0.6 meq/gである。
【0010】
ホームケアまたはファブリックケア組成物の目的の用途のpHは、約2〜約12、好ましくは約3〜約11、より好ましくは約3〜約10となる。
【0011】
カチオン性ポリマーのカチオン性窒素含有部分は、そのモノマー単位のすべて、または一部に付いた、置換基として存在してもよい。本発明の色素ポリマー複合体に使用されるカチオン性ポリマー成分a)(i)としては、第4級アンモニウムもしくはカチオン性アミンで置換されたモノマー単位からなるホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、ならびに他のポリマーがあり、必要に応じて非カチオン性モノマーと組み合わせることができる。こうしたポリマーの例は、CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary, 3rd edition, edited by Estrin, Crosley, and Haynes, (The Cosmetics, Toiletry, and Fragrance Association, Inc. Washington, D.C.(1982))に記載されている。
【0012】
本発明の色素ポリマー複合体に適した、成分a)(i)としてのカチオン性ポリマーは、2個より多くの、好ましくは100個より多くの、もっと好ましくは1000個より多くのイオン化もしくは四級化できるカチオン基を有するポリマーであって、このカチオン基には、第一級、第二級、第三級アミンおよびその塩、ならびに第四級アンモニウム塩およびホスホニウム塩がある。
【0013】
成分a)(i)のカチオン性ポリマーは、いわゆるマンニッヒ塩基、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン/エピクロロヒドリン、ポリアミン エピクロロヒドリン製品、ポリアミン-ジシアンジアミドを含めたジシアンジアミドポリマー、およびポリジシアンジアミド ホルムアルデヒドポリマーを含むことができる。その他の例には、ポリアミン-エピハロヒドリン樹脂、たとえば、紙の湿潤強度を上げるために使用されるカチオン性熱硬化性材料であるポリアミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂がある。さらに、ジメチルアミンなどのアミン類とエピクロロヒドリンとの非架橋反応産物は、成分a)(i)のカチオン性ポリマーである。それに加えて、エチレンジアミンを架橋剤として用いた、ジメチルアミンなどのアミン類とエピクロロヒドリンとの架橋反応産物も成分a)(i)のカチオン性ポリマーである。これらのポリマーは直鎖状であっても架橋されていてもよい。
【0014】
成分a)(i)の合成カチオン性ポリマーは、少なくとも1種のカチオン性モノマーIbの単独重合、または共重合可能なモノマーIIとIbとの共重合から得られたポリマーとすることができる。適当なカチオン性モノマーIbには、塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、リン酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジメタリルジメチルアンモニウム、塩化ジエチルアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジ(β-ヒドロキシエチル)アンモニウムおよび塩化ジアリルジ(β-エトキシエチル)アンモニウム、アクリル酸アミノアルキル(たとえばアクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルおよびアクリル酸7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル)およびそれらのアルキルおよびベンジル四級化塩を含めた塩;N,N'-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよびその塩、アリルアミンおよびその塩、ジアリルアミンおよびその塩、メチルジアリルアミンおよびその塩、メチルアリルアミンおよびその塩、ジメチルアリルアミンおよびその塩、ビニルアミン(ビニルアルキルアミドポリマーの加水分解によって得られる)およびその塩、ビニルピリジンおよびその塩、ならびにそれらの混合物がある。
【0015】
代表例は、適当なカチオン電荷を有する、または潜在的にカチオン電荷を有するモノマーIbからなる一群から選択されるが、これには、アクリル酸ジメチルアミノエチル メチルクロリド第四級塩、アクリル酸ジメチルアミノエチル メチルサルフェート第四級塩、アクリル酸ジメチルアミノエチル ベンジルクロリド第四級塩、アクリル酸ジメチルアミノエチル硫酸塩、アクリル酸ジメチルアミノエチル塩酸塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチル メチルクロリド第四級塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチル メチルサルフェート第四級塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチル ベンジルクロリド第四級塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチル硫酸塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチル塩酸塩、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル メチルクロリド第四級塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル メチルクロリド第四級塩、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド メチルサルフェート第四級塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド硫酸塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩酸塩、塩化ジアリルジエチルアンモニウム、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルアミン、およびビニルピリジンが含まれる。
【0016】
カチオン性モノマー、または潜在的にカチオン性のモノマーIbの他の具体例は、2-ビニル-N-メチルピリジニウム塩化物、(p-ビニルフェニル)-トリメチルアンモニウム塩化物、1-メタクリロイル-4-メチルピペラジン、マンニッヒ型ポリアクリルアミド、すなわちジメチルアミンホルムアルデヒド付加物と反応してN-(ジメチルアミノメチル)を与えるポリアクリルアミド、および(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0017】
成分a)(i)のカチオン性ポリマーには、多官能性エポキシド、たとえば、ジエポキシもしくはジグリシジル化合物、および多官能性アミンから形成されるポリマーもある。段階重合から得られるカチオン性ポリマーには、二官能性ハロゲン化アルキル、たとえば1,6-ジブロモヘキサン、および多官能性アミン、たとえばエチレンジアミンを反応させることによって形成される「イオネン」として知られるポリマーも含めることができる。
【0018】
潜在的にカチオン性のモノマーIbは、たとえば、潜在的にカチオン性のモノマーのアミン官能性がプロトン化される場合のような酸性条件下で、カチオン電荷を与えるモノマーとすることができる。
【0019】
第三級アミン基を含有するモノマーIbを、四級化剤との反応によって第四級アンモニウム基に変換して、カチオン性ポリマーを作製してもよい。ポリマーもしくはモノマー上の第三級アミン基を四級化するために使用することができる四級化剤について特別な制限はない。たとえば、四級化剤には、ハロゲン化アルキル、たとえば、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、および長鎖ハロゲン化アルキル、たとえば、ハロゲン化C6-C24 アルキル;ハロゲン化アルキルカルボン酸塩、たとえば、クロロ酢酸ナトリウム、ブロモ酢酸ナトリウム、およびヨード酢酸ナトリウム、ハロゲン化ベンジル、たとえば、塩化ベンジル、臭化ベンジルおよびヨウ化ベンジル、スルホン酸エステル誘導体、たとえば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、o-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸メチル、o-トルエンスルホン酸エチル、p-トルエンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸メチルおよびベンゼンスルホン酸エチルを含めることができる。加えて、ポリアクリルアミドは、塩化グリシジルジメチルアンモニウムとの反応によって、部分的にカチオン性にすることができる。
【0020】
もっとも好ましいカチオン性モノマーは、DADMACならびにアクリル酸ジメチルアミノエチルおよびその塩であり、そのアルキルおよびベンジル四級化塩を含む。適当な水溶性カチオン性ポリマーは、0.1から100.0重量%まで、好ましくは10.0から100.0重量%まで、そしてもっとも好ましくは50.0から100.0重量%までの、少なくとも1種のカチオン性モノマーIb、好ましくは0.0から90.0重量%まで、もっとも好ましくは0.0から50.0 重量%までの少なくとも1種の共重合可能なモノマーII、ならびに、必要に応じて、0.0から10.0重量%までの架橋剤IIIの反応産物である。
【0021】
カチオン性ポリマーを目的として、DADMACなどのカチオン性モノマーIbとともに使用するのに適した共重合可能なモノマーIIには、特定のビニルおよび(メタ)アクリレート-ベースの化合物、他の不飽和化合物、たとえばスチレン、(メタ)アクリロニトリル、および多官能性不飽和酸のエステルがある。
【0022】
モノマーIIとして適当なビニル化合物の例としては、スチレン;C2-C18カルボン酸のビニルエステル、たとえば、酢酸ビニルおよび酪酸ビニル;C2-C18カルボン酸の N-ビニルアミド、たとえばN-ビニルアセトアミドなどがある。
【0023】
モノマーIIとして好適な(メタ)アクリレートを基本とする化合物には、(メタ)アクリル酸のエステル類、(メタ)アクリル酸のアミド類、アクリル酸のエステル類およびアクリル酸のアミド類がある。
【0024】
(メタ)アクリル酸エステルもしくは(メタ)アクリレート、およびアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドには、(メタ)アクリル酸の長鎖および短鎖アルキルエステル、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、および(メタ)アクリル酸ステアリル;(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、特に(メタ)アクリル酸C1-C4アルコキシC1-C4アルキル、たとえば、アクリル酸ブトキシエチル、およびアクリル酸エトキシエチル;
(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキル、特に(メタ)アクリル酸アリールオキシ-C1-C4アルキル、たとえば、アクリル酸フェノキシエチル(たとえばAgeflex(登録商標)、Ciba Specialty Chemicals)
単環式および多環式の芳香族もしくは非芳香族アクリル酸エステル、たとえば、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ジシクロペンタジエニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸イソボルニル(たとえば、AGEFLEX IBOA, Ciba Specialty Chemicals)、アクリル酸テトラヒドロフルフリル(たとえば、SR285, Sartomer Company, Inc.)、カプロラクトンアクリレート(たとえば、SR495, Sartomer Company, Inc.)、およびアクリロイルモルホリン;
アルコール-ベースの(メタ)アクリレート、たとえば、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、および様々なアルコキシル化アルキルフェノールアクリレート、たとえば、エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート、たとえば、Photomer(登録商標)4003, Henkel Corp.;
(メタ)アクリル酸のアミド類、たとえば、ジアセトン アクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド、およびt-オクチルアクリルアミド;ならびに多官能性不飽和酸のエステル類、たとえば、マレイン酸エステルおよびフマル酸エステルが含まれる。
【0025】
アクリル酸の短鎖アルキルエステルは、6個以下のC原子を有するアルキル基を有するアクリル酸エステルであり、アクリル酸の長鎖アルキルエステルは、7個以上のC原子を持つアルキル基を有するものである。
【0026】
適切なモノマーは、市販品を利用しても、当業者に周知の反応スキームを用いてその場で合成してもよい。たとえば、上記のアクリレートモノマーのほとんどは、適当なアルコールもしくはアミドをアクリル酸もしくは塩化アクリロイルと反応させることによって合成することができる。
【0027】
他の共重合可能なモノマーIIとして使用するのに好ましい化合物の具体例は、式IVによって示される:
【化1】

【0028】
(IV)、
式中、
R5はHもしくはCH3である;
Xは、-O-、-NR7-、および-NH-からなる一群から選択される、二価の基である;
R6は、C1-C12アルキル、C1-C12アルコキシ、フェニルC1-C6アルキレンであるが、このフェニル基は非置換でも、C1-C12アルキルもしくはC1-C12アルコキシによって1から3回置換されていてもよく、C1-C6アルキレン基は少なくとも1つの酸素原子が挟まれていてもよい。
【0029】
特に好ましい他の共重合可能なモノマーIIは、次式によって示される:
【化2】

【0030】
および
【化3】

【0031】

式中、R5 およびXは上記で定義されたとおりであり、nは1から5まで、好ましくは2から3までの数字である。
【0032】
適当な架橋剤IIIは、多官能性エチレン性不飽和モノマーとすることができるが、これには、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレート、たとえば、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(エトキシ化は2個以上、好ましくは2から約30個までの範囲であり、例としてはSartomer Companyから市販されているSR349およびSR601、ならびにHenkel Corp.から市販されているPHOTOMER 4025およびPHOTOMER 4028がある)およびプロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(プロポキシ化は2個以上、好ましくは2から約30個までの範囲)がある。
【0033】
適当な架橋剤IIIの好ましい例としては、メチレン ビスアクリルアミド、ペンタエリトリトール・ジ-、トリ-、およびテトラ-アクリレート、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ならびにビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。
【0034】
成分a)(i)のカチオン性ポリマーが存在するとき、モノマーIbのモノマーIIに対する重量比は、コポリマーの総重量を基準として約1.0:99.0重量%から約99.0:1.0重量%までである。モノマーIbのモノマーIIに対する重量比は、ポリマーの総重量を基準として約10.0:90.0重量%から約90.0:10.0重量%までである。モノマーIbのモノマーIIに対する重量比は、ポリマーの総重量を基準として約25.0:75.0重量%から約75.0:25.0重量%までである。モノマーIbのモノマーIIに対する重量比は、ポリマーの総重量を基準として約50.0:50.0重量%である。
【0035】
本発明の色素ポリマー複合体のための成分a)(i)のカチオン性ポリマーは、様々な重合技術、たとえば、溶液重合、乳化重合、マイクロエマルション重合、逆相乳化重合および/または塊状重合、ならびに当業者に利用可能な他の科学技術を用いて、調製することができる。重合は、フリーラジカル開始剤なしで、またはフリーラジカル開始剤とともに、さまざまな開始剤濃度で行うことができる。ポリマーの構築がランダム、ブロック、交互もしくはコアシェルとなるように、ニトロキシルエーテルもしくは他のタイプのニトロキシルラジカルなどの重合調節剤を用いて、または用いないで、コポリマーおよびターポリマーを調製することもできる。
【0036】
成分a)(i)のカチオン性ポリマーの重量平均分子量は、約1,000から約10,000,000までである。本発明の別の実施形態は、約50,000から約5,000,000の原子質量単位までの重量平均分子量を有する、成分a)(i)のカチオン性ポリマーである。本発明のもう一つの実施形態は、約200,000から約4,000,000の原子質量単位までの重量平均分子量を有する、成分a)(i)のカチオン性ポリマーである。本発明のもう一つの実施形態は、約300,000から約2,000,000の原子質量単位までの重量平均分子量を有する、成分a)(i)のカチオン性ポリマーである。
【0037】
少なくとも1つのカルボン酸官能基を有するアニオン性色素のみならず、少なくとも1つのスルホン酸官能基を有するアニオン性色素、または少なくとも1つのカルボン酸官能基および少なくとも1つのスルホン酸官能基をともに有するアニオン性色素も、成分a)(ii)のアニオン性色素である。
【0038】
成分a)(ii)のアニオン性色素は、ハロゲン含有酸性色素、反応性色素、アゾ色素、アントラキノン色素および他の酸性色素からなる一群から選択される。
【0039】
アニオン性の反応性色素の例は、Procion Red(登録商標)MX 5Bである。
【0040】
成分a)(ii)の適当なアニオン性色素は、D & C Red 21、D & C Orange 5、D & C Red 27、D & C Orange 10、D & C Red 3、D & C Red 6、D & C Red 7、D & C Red 2、D & C Red 4、D & C Red 8、D & C Red 33、D & C Yellow 5、D & C Yellow 6、D & C Green 5、D & C Yellow 10、D & C Green 3、D & C Blue 1、D & C Blue 2、D & C Violet 1、Food Black 1 (CI No. 28440)、Acid Black 1 (CI No. 20470)、Acid Black 2 (CI No. 50420)、Food Red 10 (CI No. 18050)、Food Blue 1 (CI No. 73015)、Food Brown 3 (CI No.20285)、Food Red 3 (CI No.14720)、Food Red 7 (CI No. 16255)、Food Yellow No.4 (CI No. 19140)、Food Yellow No.13 (CI No.47005)、Red No. 102、Red No. 104-1、Red No. 105-1、Red No. 106、Yellow No. 5、Red No. 227、Red No. 230-1、Orange No. 205、Yellow No. 202-1、Yellow No. 203、Green No. 204、Blue No. 205、Brown No. 201、Red No. 401、Red No. 504、Orange No. 402、Yellow No. 403-1、Yellow No. 406、Yellow No. 407、Green No. 401、Violet No. 401、およびBlack No. 401などからなる一群から選択される。それに加えて、天然酸性色素、たとえば、カルミン酸およびラッカイン酸を使用することができる。
【0041】
本発明のもう一つの実施形態は、成分a)(ii)において、上記で例示したような1種より多くのアニオン性色素の混合物を使用することである。
【0042】
本発明の別の実施形態は、成分a)(ii)の少なくとも1種のアニオン性色素と、他のタイプの色素との混合物を、色素ポリマー複合体において使用することである。
【0043】
成分a)の色素ポリマー複合体には決定的なサイズの制限はないが、約0.001から約500μmまでのサイズの色素ポリマー複合体粒子が特に利用しやすい。本発明のもう一つの実施形態は、色素ポリマー複合体の粒径が約0.01から300μmまでである。本発明のまた別の実施形態は、色素ポリマー複合体の粒径が約1から300μmまでである。
【0044】
成分a)(i)の成分a)(ii)に対する重量比は、約10,000:1から約1:10,000までである。成分a)(i)の成分a)(ii)に対する重量比は、約1,000:1から約1:1,000までである。成分a)(i)の成分a)(ii)に対する重量比は、約100:1から約1:100までである。
【0045】
”着色に有効な量”という表現は、たとえば、望ましい、組成の色彩効果を達成するために必要な量を意味する。
【0046】
ホームケアまたはファブリックケア組成物の成分a)の色素ポリマー複合体は、好ましくは組成物の約50重量%以下を占める;より好ましくはホームケアまたはファブリックケア組成物の約25重量%以下を占める;さらにもっと好ましくは約7重量%以下;さらになお好ましくは約5重量%以下を占める。ホームケアまたはファブリックケア組成物の色素ポリマー複合体は、組成物の重量に基づいて、好ましくはホームケアまたはファブリックケア組成物の少なくとも約0.0001重量%を占めるが、より好ましくは少なくとも約0.01重量%、さらに好ましくは少なくとも約0.1重量%、さらにもっと好ましくは少なくとも約0.2重量%を占める。
【0047】
ホームケアまたはファブリックケア組成物は、さらに、従来の添加物、たとえば、紫外線(UV)吸収剤および酸化防止剤を含有してもよい。
【0048】
本発明はさらに、
a)(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、および
(ii)少なくとも1種のアニオン性色素
から形成される、着色に有効な量の少なくとも1種の色素ポリマー複合体であって、成分a)(i)およびa)(ii)はホームケアまたはファブリックケア組成物に添加する前に複合体化して粒子を形成しており、前記複合体は最終製品中に粒子として残存する、前記色素ポリマー複合体;
b) 任意の追加成分;ならびに
c) 紫外線吸収剤、酸化防止剤、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ヒンダートアミン系光安定剤、錯形成剤、光学的光沢剤(optical brightener)、界面活性剤およびポリオルガノシロキサンからなる一群から選択される少なくとも1種の化合物;
を含んでなるホームケアまたはファブリックケア組成物に関する。
【0049】
追加的な添加物である成分c)は、たとえば、WO 00/25730およびWO 00/25731に記載されている。
【0050】
ホームケアまたはファブリックケア組成物の成分c)は、好ましくは組成物の約10重量%以下を占める;より好ましくはホームケアまたはファブリックケア組成物の約7重量%以下;さらにより好ましくは約5重量%以下;またいっそう好ましくは約4重量%以下を占める。ホームケアまたはファブリックケア組成物の色素ポリマー複合体は、好ましくは、ホームケアまたはファブリックケア組成物の少なくとも約0.0001重量%を占めるが、より好ましくは組成物の少なくとも約0.01重量%、さらに好ましくは少なくとも約0.1重量%、そしてさらにいっそう好ましくは少なくとも約0.2重量を占める。
【0051】
UV(紫外線)吸収剤は、たとえば、2H-ベンゾトリアゾール、s-トリアジン、ベンゾフェノン、α-シアノアクリレート、オキサニリド、ベンゾオキサジノン、ベンゾエートおよびα-アルキルシンナメートからなる一群から選択される。
【0052】
適当なUV吸収剤は、たとえば、
2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシ-プロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン;
5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
2-(2-ヒドロキシ-3-ドデシル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
ビス-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-tert-オクチル)メタン;
2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-(1-メチルプロピル)-ベンゼンスルホン酸一ナトリウム塩;
3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-ヒドロケイ皮酸およびナトリウム塩;
3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-ヒドロケイ皮酸12-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサドデシル;
3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-ヒドロケイ皮酸オクチル;
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(4-(3-ドデシルオキシ*-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン(*C12-14アルコキシ異性体の混合物);
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(4-オクチルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン;
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン;
2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ-5,5'-ジスルホベンゾフェノン、二ナトリウム塩;
2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン;
2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン;
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン;
2,2',4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン;
4-アミノ安息香酸;
2,3-ジヒドロキシプロピル-4-アミノ安息香酸;
3-(4-イミダゾリル)アクリル酸;
2-フェニル-5-ベンゾイミダゾール スルホン酸;
N,N,N-トリメチル-α-(2-オキソ-3-ボルニリデン)-p-トルイジニウム メチル スルフエート;
5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシベンゼンスルホン酸、ナトリウム塩;
3-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-2-ヒドロキシ-N,N,N- トリメチル-1-プロパンアミニウム クロリド;
3-[4-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ]- 2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウム クロリド;
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;および
2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン(Uvinul(登録商標)3049)
からなる一群から選択される。
【0053】
たとえば、適切なUV吸収剤は、
3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-(1-メチルプロピル)-ベンゼンスルホン酸一ナトリウム塩;
3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-ヒドロケイ皮酸およびナトリウム塩;
2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(4-(3-ドデシルオキシ*-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン(*C12-14アルコキシ異性体の混合物);
3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-ヒドロケイ皮酸12-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサドデシル;
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン;
2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ-5,5'-ジスルホベンゾフェノン、二ナトリウム塩;
2,2',4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン;
3-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-2-ヒドロキシ-N,N,N- トリメチル-1-プロパンアミニウム クロリド;
3-[4-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ]- 2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウム クロリド;
5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシベンゼンスルホン酸、ナトリウム塩;および
2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール
からなる一群から選択される。
【0054】
他の適当な酸化防止剤は、たとえば、ヒンダートフェノール系およびベンゾフラノン系安定剤から選択される。
【0055】
適当な酸化防止剤は、たとえば、下記からなる一群から選択される。
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【0056】
式中、MはH、アンモニウムまたはアルカリである。
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【0057】
および
【化28】

【0058】
成分c)のヒンダートアミン系光安定剤(HALS)は、たとえば、既知の市販の化合物である。それは、たとえば、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)、コハク酸ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)、n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロン酸-ビス(1,2, 2,6,6-ペンタメチルピペリジル)エステル、1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の縮合物、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-s-トリアジンの縮合物、ニトリロ三酢酸トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、l,2,3,4-ブタン四酸テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、1,1'-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-n-ブチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)、3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物、2-クロロ-4,6-ジ(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンおよび1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、2-クロロ-4,6-ジ(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンおよび1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-ピロリジン-2,5-ジオン、4-ヘキサデシルオキシ-および4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンおよび2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合物、ならびに4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(CAS Reg. No. [136504-96-6]);(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-n-ドデシルスクシンイミド、(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-n-ドデシルスクシンイミド、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソ-スピロ[4,5]デカン、7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4,5]デカンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸テトラ(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸テトラ(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザ-21-オキソ-ジスピロ[5.1.11.2] -ヘンエイコサン、8-アセチル-3-ドデシル-1,3,8-トリアザ-7,7,9,9-テトラメチルスピロ[4,5] -デカン-2,4-ジオン、
【化29】

【0059】
式中、mは5-50までの値である、
【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【0060】
式中、RはHまたはCH3である。
【0061】
および
【化34】

【0062】
式中、RはHまたはCH3である。
【0063】
からなる一群から選択される。
【0064】
成分c)の錯形成剤の例としては、窒素含有錯形成剤、またはポリアニオン性天然多糖誘導体、たとえば、リン酸基、ホスホン酸基もしくはメチルホスホン酸基を含有するものであって、たとえば、スルホキチン、カルボキシメチルキチン、ホスホキチンなどのキチン誘導体、またはスルホキトサン、カルボキシメチルキトサンもしくはホスホキトサンなどのキトサン誘導体がある。
【0065】
成分c)の錯形成剤は、たとえば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、β-アラニン二酢酸(EDETA)もしくはエチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、
【化35】

【化36】

【0066】
次式に従うアミントリメチレンリン酸(ATMP)
【化37】

【0067】
次式に従うセリン二酢酸(SDA)
【化38】

【0068】
次式に従うアスパラギン二酢酸
【化39】

【0069】
および
次式に従うメチルグリシン二酢酸(MGDA)
【化40】

【0070】
からなる一群から選択される。
【0071】
成分a)の本発明の色素ポリマー複合体は、ホームケアもしくはファブリックケア組成物または製品を着色するために特に適している。
【0072】
洗濯洗剤、衣類柔軟仕上げ剤、もしくは他の製品は、それらに由来する成分a)の色素ポリマー複合体が使用に伴って布地に沈着することになるが、これらは本発明の家庭用品とみなされるものであって、それには上記の濃度レベルがやはりふさわしい。成分a)の色素ポリマー複合体は、洗濯洗剤および衣類柔軟仕上げ剤を着色する際に有効である。
【0073】
芳香物質を有する製品は、特に、香水および香料である。
【0074】
ホームケアまたはファブリックケア組成物もしくは製品は、クリーム、軟膏、ペースト、フォーム、ジェル、ローション、パウダー、リキッド、スプレー、スティック、またはエアロゾルの形状をとることができる。成分a)の色素ポリマー複合体は、油相中に存在しても、水相もしくは水/アルコール相に存在していてもよい。
【0075】
クリームは、50%より多い水を含有する水中油型エマルションである。それに使用される油含有基剤は、通常おもに、脂肪アルコール、たとえばラウリル、セチルもしくはステアリルアルコール、脂肪酸、たとえばパルミチン酸もしくはステアリン酸、液体ワックスから固体ワックスまで、たとえばミリスチン酸イソプロピルもしくは蜜蝋、および/またはパラフィンオイルなどの炭化水素化合物である。適当な乳化剤は、基本的に親水性を有する界面活性剤であって、たとえば、該当する非イオン性乳化剤、その例としては酸化エチレン付加物の多価アルコールの脂肪酸エステル、たとえば、ポリグリセロール脂肪酸エステルもしくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween(登録商標));ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルもしくはそのエステル、または該当するイオン性乳化剤、たとえば、脂肪アルコール ホスホン酸エステルのアルカリ金属塩、硫酸セチルナトリウムもしくは硫酸ステアリルナトリウムであるが、これらは、通常、セチルアルコールもしくはステアリルアルコールなどの脂肪アルコールとともに使用される。それに加えて、クリームは、蒸発過程で水分の損失を減少させる物質、たとえば、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、および/またはポリエチレングリコールなどの多価アルコールを含有する。
【0076】
軟膏は、水もしくは水相を70%まで、たとえば20〜50%まで含有する油中水型エマルションである。油含有相は、おもに、炭化水素原子、たとえば、パラフィンオイルおよび/または固体パラフィンを含有するが、これらはたとえば、ヒドロキシ化合物、例を挙げると脂肪アルコールもしくはそのエステル、たとえば、セチルアルコールもしくは羊毛油を、水分吸収を向上させるために含有する。乳化剤は、対応する親油性物質、たとえばソルビタン脂肪酸エステルである。それに加えて、軟膏は、多価アルコールなどの保湿剤、たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビタンおよび/またはポリエチレングリコール、ならびに防腐剤を含有する。
【0077】
リッチクリームは無水製剤であって、パラフィン、天然もしくは半合成脂肪、たとえば、ヤシ脂肪酸トリグリセリドもしくは、たとえば硬化油、ならびに脂肪酸グリセリド部分エステルなどの炭化水素化合物をもとに作られる。
【0078】
ペーストは、分泌物を吸収する粉末成分、たとえば、二酸化チタンもしくは酸化亜鉛などの金属酸化物、さらに加えて、水分もしくは吸収された分泌物を結びつける獣脂および/またはケイ酸アルミニウムを含有するクリームおよび軟膏である。
【0079】
フォームは、エアロゾル型の水中油型エマルションである。炭化水素が使用されるが、中でも特に、油含有相には、たとえば、パラフィンオイル、セチルアルコールなどの脂肪アルコール、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル、および/またはワックスが使用される。適当な乳化剤は、特に、おもに親水性を有する乳化剤、たとえば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ならびに、おもに親油性を有する乳化剤、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、の混合物である。市販の添加物、たとえば防腐剤が、通例、追加して使用される。
【0080】
ジェルは、特に、活性物質の水溶液もしくは懸濁液であって、その液中にゲル形成剤が分散もしくは膨潤しているが、具体的には、メチルセルロール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル、またはアルギン酸ナトリウム、トラガカントもしくはアラビアゴムなどの植物性親水コロイド、ならびにポリアクリル酸塩増粘剤系である。ジェルは、たとえば、追加的に、保湿剤としてプロピレングリコールもしくはグリセロールなどの多価アルコールを含有し、さらにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの湿潤剤を含有する。ジェルはそれに加えて、市販の防腐剤、たとえばベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシエタノールなどを含有する。
【0081】
下記は、ホームケアもしくはファブリックケア用品、およびそれらの成分の例の一部である:
色素ポリマー複合体は、家庭用洗浄剤および処理剤にも使用され、その例は、洗濯用品、衣類柔軟仕上げ剤、液体洗浄剤、研磨洗剤、ガラス洗浄剤、中性洗剤、万能洗剤、酸性浴室洗浄剤、浴室洗浄剤、洗浄剤、リンス剤、食器洗い洗剤、台所洗剤、オーブン用洗剤、クリアリンス剤、食器洗い機用洗剤、靴みがき剤、つや出しワックス、床用洗剤、床磨き剤、金属清浄剤、ガラス洗浄剤、陶磁器洗浄剤、布地を手入れする製品、絨毯洗浄剤およびカーペットシャンプー、錆落とし剤、染み抜き剤、家具用つや出し剤、万能つや出し剤、革用被覆剤、ビニール製品被覆剤、およびエアフレッシュナーである。
【0082】
本発明はまた、排水管洗浄剤、消毒剤溶液、布製家具洗浄剤、自動車の手入れ用品(たとえば、塗装、タイヤ、クロムメッキ、ビニール、革、布、ゴム、プラスチックおよび布を洗浄および/またはつや出しし、保護するための用品)、油性洗浄剤、つや出し剤(ガラス、木部、革、プラスチック、大理石、御影石、およびタイルなど)、ならびに金属研磨剤および洗浄剤などのホームケアおよびファブリックケア用品に関する。酸化防止剤は、上記製品ならびに乾燥機用シート型柔軟剤中の芳香を保護するために適している。本発明はまた、ろうそく、ジェルキャンドル、エアフレッシュナーおよび香油(家庭用)などのホームケア用品に関する。
【0083】
本発明の色素ポリマー複合体は、布製品の使用後に行われる布の処理(ファブリックケアと呼ばれる)に使用することができる。こうした処理には、洗剤および/またはファブリックコンディショナーを使用する洗濯、ならびに洗剤を使用しないファブリックケア製品、たとえばスプレー式製品の適用が含まれる。こうした方法で使用される場合、色素ポリマー複合体は布地に沈着することを目的としており、着用に伴って布地および染料を保護するために使用される。
【0084】
家庭用洗浄剤および処理剤の代表例:
【表1】

【0085】
布、たとえば染色布の場合、本発明の色素ポリマー複合体は、たとえば洗剤、ファブリックコンディショナー、もしくは洗剤を使用しないファブリックケア製品から沈着することによって布地に適用される。
【0086】
この布は、天然もしくは合成であって、織布でも不織布でもよい。
【0087】
ホームケアもしくはファブリックケア組成物にはテキスタイル製品も含まれる。本発明のテキスタイルもしくはテキスタイル製品は、たとえば、織物繊維材料、たとえば窒素含有もしくはヒドロキシ基含有繊維材料、たとえば、セルロース、絹、ウール、合成ポリアミド、皮革およびポリウレタンから選択される織物繊維材料である。これには、木綿、亜麻および麻、パルプ、ならびに再生セルロースが含まれる。セルロース混紡、たとえば木綿とポリアミドの混紡、もしくは木綿/ポリエステル混紡も含まれる。
【0088】
本発明の色素ポリマー複合体は、たとえば、染色もしくはプリント工程、または仕上げ工程において、繊維に適用される。たとえば、色素ポリマー複合体は、染色剤の一部として適用することができる。色素ポリマー複合体は、たとえば、インクジェットプリント工程で、繊維に適用することができる。色素ポリマー複合体はたとえば、染料水溶液またはプリント用ペーストの一部として適用される。この複合体は、吸尽染色法に使用することも、パッド染色法による染色に適用することも可能であって、この方法では繊維に染料水溶液を含浸させるが、この染料水溶液は塩類を含有していてもよい。そしてこの染料および添加物は、アルカリ処理後に、またはアルカリ存在下で、適切な場合には加熱の作用によって、または室温で数時間保存することによって、固着する。固着後、必要ならば、分散作用を有し、固着されなかった部分の拡散を促す薬剤を添加して、染色もしくはプリントした製品を冷水および温水で完全に洗い流す。
【0089】
繊維用の染料もしくはインキ配合剤は、通常の添加物、たとえば、界面活性剤、消泡剤、抗菌剤などを追加して含有することができるが、これはたとえば、米国特許明細書第6,281,339号、第6,353,094号、および第6,323,327号に記載されている。
【0090】
本発明の成分a)の色素ポリマー複合体は、色の変化、ならびにこれらの製品中に存在する成分の化学的分解に対して高い安定性を示す。たとえば、追加の色素および/もしくは顔料、またはそれらの混合物をさらに含んでなる本発明の組成物は、優れた色安定性を有することが明らかになっている。
【0091】
したがって、本発明はさらに、
a)(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、および
(ii)少なくとも1種のアニオン性色素
から形成される、着色に有効な量の少なくとも1種の色素ポリマー複合体であって、成分a)(i)およびa)(ii)はホームケアまたはファブリックケア組成物に添加する前に複合体化して粒子を形成しており、前記複合体は最終製品中に粒子として残存する、前記色素ポリマー複合体;ならびに
b) 任意の追加成分;ならびに
d) 色素もしくは顔料、またはそれらの混合物、
を含んでなるホームケアまたはファブリックケア組成物に関する。
【0092】
本発明の成分d)の色素は、たとえば、下記のとおりである:
・ HCタイプの直接毛髪染料のような、溶媒中に溶解可能な分散染料、たとえば、HC Red No. 3、HC Blue No. 2、および、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第7版、1997に記載の、他のすべての毛髪染料、またはColour Index InternationalもしくはSociety of Dyers and Colouristsに記載の分散染料;
・ 着色ニス(アニオン性色素の多くのCa-、Ba-もしくはAl-塩のような、可溶性色素の不溶性塩);
・ 可溶性アニオン性もしくはカチオン性色素、たとえば酸性色素(アニオン性)、塩基性色素(カチオン性)、直接染料、反応性色素もしくは溶剤染料。
【0093】
ホームケアまたはファブリックケア組成物を着色するために、電磁波のうち可視光(波長約4000から700 nmまで)に吸収を有するあらゆる物質が好適である。吸収は、多くの場合下記の発色団によって引き起こされる:
アゾ- (モノ-、ジ-、トリス-、もしくはポリ-)スチルベン-、カロテノイド-、ジアリールメタン-、トリアリールメタン-、キサンテン-、アクリジン-、キノリン、メチン- (ポリメチン-も)、トリアゾール-、インダミン-、インドフェノール-、アジン-、オキサジン、チアジン-、アントラキノン-、インジゴイド-、フタロシアニン-およびその他の合成、天然および/または無機発色団。
【0094】
成分d)の顔料には、無機顔料、金属酸化物および水酸化物、マイカ、有機顔料、真珠光沢顔料、ケイ酸金属塩、多孔質材料、C原子、干渉顔料などがある。
【0095】
本発明にしたがって利用することができる成分d)の無機顔料の例は、グンジョウ、グンジョウバイオレット、コンジョウ、マンガンバイオレット、チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄、水酸化鉄、二酸化チタン、低次酸化チタン、水酸化クロムおよび酸化クロム、ならびに炭素系顔料、たとえばカーボンブラックである。これらの無機顔料の中で、グンジョウおよびコンジョウが特に好ましい。
【0096】
成分d)の有用な有機顔料類は、モノアゾ、ジアゾ、ナフトール、ジオキサゾン、アゾメチン、縮合アゾ、金属錯体、ニトロ、ペリノン、キノリン、アントラキノン、ベンズイミダゾロン、イソインドリン、イソインドリノン、トリアリールメタン、キナクリドン、ヒドロキシアントラキノン、アミノアントラキノン、アントラピリミジン、インダントロン、フラバントロン、ピラントロン、アントアントロン、イソビオラントロン、ジケトピロロピロール、カルバゾール、インジゴもしくはチオインジゴ顔料を含有することができる。
【0097】
成分d)の有機顔料の例は、C.I. 15850、C.I. 15850:1、C.I. 15585:1、C.I. 15630、C.I. 15880:1、C.I. 73360、C.I. 12085、C.I. 15865:2、C.I. 12075、C.I. 21110、C.I. 21095、and C.I. 11680、C.I. 74160であり、さらにC.I. 45430、C.I. 45410、C.I. 45100、C.I. 17200、C.I. 45380、C.I. 45190、C.I. 14700、C.I. 15510、C.I. 19140、C.I. 15985、C.I. 45350、C.I. 47005、C.I. 42053、C.I. 42090のジルコニウム、バリウム、もしくはアルミニウムレーキである。
【0098】
C.I.は、英国染料染色学会(The Society of Dyers and Colourists)、ならびに米国繊維化学技術・染色技術協会(The American Association of Textile Chemists and Colourists)によってまとめられたカラーインデックスを意味する。
【0099】
成分d)の有機顔料の混合物を使用することができる。
【0100】
成分d)の無機および有機顔料の混合物を使用することができる。
【0101】
ホームケアまたはファブリックケア組成物の成分d)は、好ましくは、組成物の約10.0重量%以下を占める;より好ましくは、ホームケアまたはファブリックケア組成物の約7.0重量%以下を占める;さらにもっと好ましくは約5.0重量%以下;そしてよりいっそう好ましくは約4.0重量%以下を構成する。ホームケアまたはファブリックケア組成物の色素ポリマー複合体は、好ましくは少なくともホームケアまたはファブリックケア組成物の約0.0001重量%を占めるが、より好ましくは少なくとも組成物の約0.01重量%、さらにもっと好ましくは少なくとも約0.1重量%、そしてよりいっそう好ましくは少なくとも約0.2重量%を構成する。
【0102】
本発明はまた、
a)(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、および
(ii)少なくとも1種のアニオン性色素
から形成される、着色に有効な量の少なくとも1種の色素ポリマー複合体であって、成分a)(i)およびa)(ii)が、ホームケアまたはファブリックケア組成物に組み入れられる、もしくは適用される前に複合体化して粒子を形成しており、前記複合体が最終製品中に粒子として残存する、前記色素ポリマー複合体、
をホームケアまたはファブリックケア組成物に組み入れる、もしくは適用することを含んでなる、ホームケアまたはファブリックケア組成物を着色する方法に関する。
【0103】
本発明はまた、色素および/もしくは顔料またはそれらの混合物を追加的に含有するホームケアまたはファブリックケア組成物を着色する方法であって、
a)(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、および
(ii)少なくとも1種のアニオン性色素
から形成される、着色に有効な量の少なくとも1種の色素ポリマー複合体であって、成分a)(i)およびa)(ii)が、ホームケアまたはファブリックケア組成物に組み入れられる、もしくは適用される前に複合体化して粒子を形成しており、前記複合体が最終製品中に粒子として残存する、前記色素ポリマー複合体、
をホームケアまたはファブリックケア組成物に組み入れる、もしくは適用することを含んでなる方法に関する。
【0104】
本発明の着色法は、色素ポリマー複合体が着色工程の間に形成される実施形態を含んでいない。たとえば、色素固着剤を用いて、複合体化していない色素を紙に印刷することを含む印刷工程は除外される。
【0105】
本発明のもう一つの実施形態は、前記色素ポリマー複合体を含んでなるホームケアまたはファブリックケア組成物であって、この組成物は、油中水型もしくは水中油型エマルションとして、アルコール性もしくはアルコール含有製剤として、イオン性もしくは非イオン性の両親媒性脂質のベシクル分散液として、ジェルスティックもしくは固体スティックとして、水性系もしくは非水性系として、調製される。
【0106】
本発明の別の実施形態は、次のようなホームケアまたはファブリックケア組成物であって、このホームケアまたはファブリックケア組成物もしくは化粧品組成物は、単一のマトリクス材で個別に与えられる顔料粒子の混合物を追加して含有する。
【0107】
組成物は、特に、脂肪性物質、有機溶媒、油構造剤(oil structurant)、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、有機カチオン性沈着ポリマー、粘滑剤、乳白剤、追加の着色剤、エフェクト顔料、追加の安定剤、エモリエント(皮膚軟化剤)、消泡剤、保湿剤、酸化防止剤、ビタミン、ペプチド、アミノ酸、植物エキス、微粒子、香料、防腐剤、ポリマー、増量剤、金属イオン封鎖剤、噴射剤、アルカリ化もしくは酸性化剤、または、通例ホームケアまたはファブリックケア組成物に配合される他の任意の成分の中から適宜選択された、成分b)の追加成分をさらに含有することができる。
【0108】
脂肪性物質は、油もしくはワックス、またはそれらの混合物とすることができるが、それはまた、脂肪酸、脂肪アルコールおよび脂肪酸エステルも含有する。油は、動物油、植物油、鉱油もしくは合成油の中から選択することができるが、特に、流動パラフィン、パラフィンオイル、シリコーン油、揮発性物質もしくはそうでないもの、イソパラフィン、ポリオレフィン、フッ素化もしくは過フッ素化油の中から選択できる。同様に、ワックスは、動物、化石、植物、鉱物もしくは合成ワックスとすることができるが、これらはそれ自体よく知られている。
【0109】
有機溶媒の例には、低級アルコールおよびポリオールを含めることができる。
【0110】
CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第2版 (1992)には、ホームケアまたはファブリックケア業界で通常使用される、さまざまな非限定的な化粧品および薬剤成分が記載されており、それらは本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物に使用するのに適している。
【0111】
本発明は、必要に応じて油構造剤を包含することができる。この構造剤は、適正なレオロジー特性を有する分散相を与えることができる。これは、目的物質に効果的な蓄積および保持をもたらすのを助けることができる。構造化された油もしくは油相は、1 sec-1で測定された100から約200,000(Pa:ポアズ)までの範囲の粘度を有するが、好ましくは200から約100,000 Paまでであり、もっとも好ましくは200から約50,000 Paまでである。この程度の粘度をもたらすのに必要とされる構造剤の量は、油および構造剤に応じてさまざまであるが、概して、構造剤は好ましくは、分散油相の75.0重量%未満が好ましく、より好ましくは分散油相の50.0重量%未満、さらにいっそう好ましくは35.0重量%未満である。
【0112】
構造剤は、有機構造剤でも無機構造剤でもよい。本発明に適した有機増粘剤の例は、固体脂肪酸エステル、天然脂肪もしくは変性脂肪、脂肪酸、脂肪アミン、脂肪アルコール、天然および合成ワックス、およびワセリン、ならびにShellからKraton(登録商標)という名称で販売されているブロックコポリマーである。無機構造剤には、疎水性変性シリカ、もしくは疎水性改質粘土がある。無機構造剤の例は、Rheox社製Bentone(登録商標)27V、BENTONE 38V またはBENTONE GEL MIO V;ならびにCabot Corporation製Cab-o-sil(登録商標)TS720またはCAB-O-SIL M5である。
【0113】
上記の要件に合致する構造剤は、選択された組成物に適合する油とともに、三次元網目構造を形成して、選択された油の粘度を高めることができる。このような構造化された油相、すなわち三次元網目構造によって構築された油相は、組成物に使用するのにきわめて望ましいことが明らかとなっている。このような構造化された油は、目的とする物質上に非常に効率よく沈着して保持され、洗い流して乾燥した後も保持されて、あまりにも油っぽく/脂ぎって湿った感触および乾いた感触を引き起こすことなしに、長期間持続する利益をもたらすことができる。こうした構造化された油の使用中および使用後の、非常に望ましい特性は、剪断力を弱めるレオロジー特性、および網目構造の弱い構造に起因すると考えられている。低剪断粘度が高いため、三次元網目構造化された油は、うまく目的の物質に付いて留まることができる。
【0114】
種々多様な界面活性剤は本発明において、分散相の乳化のために有用であり、同時に、泡立たない系に、許容される拡散および使用特性をもたらすためにも有用であるといえる。洗浄用には、界面活性剤相は、本体をきれいにし、ユーザーに許容される量の泡をもたらすのにも役立つ。組成物は、好ましくは約50.0重量%以下の界面活性剤を含有するが、より好ましくは約30.0重量%以下、さらにもっと好ましくは約15.0重量%以下、そしてよりいっそう好ましくは約5.0重量%以下の界面活性剤を含有する。組成物は、好ましくは少なくとも約5.0重量%の界面活性剤を含有するが、より好ましくは少なくとも約3.0重量%、さらにもっと好ましくは少なくとも約1.0重量%、そしてよりいっそう好ましくは少なくとも約0.1重量%の界面活性剤を含有する。洗浄用のホームケアまたはファブリックケア組成物は、起泡量テストに記載のように、好ましくは少なくとも300 mlの起泡性(Total Lather Volume)を実現するが、より好ましくは600 mlより多い。ホームケアまたはファブリックケア組成物は、起泡量テストに記載のように、好ましくは少なくとも100 mlの速泡性(Flash Lather Volume)を実現するが、好ましくは200 mlより多く、より好ましくは300 mlより多い。
【0115】
本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物に有用な、好ましい界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、泡立たない界面活性剤、乳化剤およびそれらの混合物からなる一群から選択されるものが含まれる。本発明の組成物に有用な界面活性剤の例は、米国特許第6,280,757号に記載されている。
【0116】
本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物に有用なアニオン性界面活性剤の例は、McCutcheon's, Detergents and Emulsifiers, North American edition (1986), Allured Publishing Corporation; McCutcheon's, Functional Materials, North American Edition (1992); および米国特許第3,929,678号に記載されている。
【0117】
さまざまなアニオン性界面活性剤が本発明において有用である。アニオン性界面活性剤の例としては、サルコシン塩、硫酸エステル塩、イセチオン酸塩、タウリン酸塩、リン酸エステル塩、乳酸エステル塩、グルタミン酸塩、およびそれらの混合物からなる一群から選択される界面活性剤が挙げられる。イセチオン酸塩の中では、イセチオン酸アルコイルが好ましく、硫酸エステル塩のなかでは、アルキル硫酸エステル塩およびアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
【0118】
本発明に有用な他のアニオン性物質は、脂肪酸を有する脂肪酸石鹸(すなわち、アルカリ金属塩、たとえば、ナトリウムもしくはカリウム塩)であるが、この脂肪酸は約8個から約24個までの炭素原子、好ましくは約10個から約20個までの炭素原子を有する。石鹸を作るのに使用されるこれらの脂肪酸は、天然起源、たとえば、植物もしくは動物由来グリセリド(パーム油、ヤシ油、ダイズ油、ヒマシ油、獣脂、ラードなど)から得ることができる。脂肪酸はまた、合成によって調製することもできる。石鹸およびその調製は、米国特許第4,557,853号に詳細に記載されている。
【0119】
他のアニオン性材料には、リン酸エステル塩、たとえばリン酸モノアルキル、ジアルキル、およびトリアルキルエステル塩がある。本発明に有用な好ましいアニオン性起泡性界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、セチル硫酸アンモニウム、セチル硫酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウロイル乳酸トリエタノールアミン、カプロイル乳酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、およびココイルグルタミン酸ナトリウム、ならびにそれらの混合物からなる一群から選択される界面活性剤が挙げられる。
【0120】
本発明で使用するために特に好ましいのは、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、およびラウロイル乳酸トリエタノールアミンである。
【0121】
本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物に用いる非イオン性界面活性剤の例は、McCutcheon's, Detergents and Emulsifiers, and McCutcheon's, Functional Materials, North American Edition (1992)に記載されている。
【0122】
本発明に有用な非イオン性界面活性剤には、アルキルグルコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸エステル、ショ糖エステル、アミン酸化物、およびそれらの混合物からなる一群から選択される界面活性剤が含まれる。
【0123】
本発明で用いる好ましい非イオン性界面活性剤の例は、C8-14アルキルグルコースアミド、C8-14アルキルポリグルコシド、ヤシ脂肪酸スクロース、ラウリン酸スクロース、ラウラミンオキシド、ココアミンオキシド、およびそれらの混合物からなる一群から選択される界面活性剤である。
【0124】
本明細書で使用される「両性界面活性剤」という用語は、双性イオン界面活性剤も包含するものとするが、これは、両性界面活性剤の一部として当業者によく知られている。
【0125】
本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物には、さまざまな両性起泡性界面活性剤を使用することができる。特に有用なのは、両性第二級および第三級アミンの誘導体として広範に記述される界面活性剤であって、好ましくはその窒素がカチオンの状態であり、脂肪族基は直鎖でも分岐鎖でもよく、基のうちの1つはイオン化しうる水溶性基、たとえば、カルボキシ、スルホン酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸基を含有する。
【0126】
本発明の組成物に有用な両性界面活性剤の例は、McCutcheon's, Detergents and Emulsifiers, North American edition (1986), Allured Publishing Corporation; およびMcCutcheon's, Functional Materials, North American Edition (1992)に記載されている。
【0127】
双性イオン界面活性剤の例は、ベタイン、スルタイン、ヒドロキシスルタイン、アルキルイミノ酢酸塩、イミノジアルカン酸塩、アミノアルカン酸塩、およびそれらの混合物からなる一群から選択される界面活性剤である。
【0128】
好ましい界面活性剤は下記であるが、このアニオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシンアンモニウム、トリデセス硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウロイル乳酸トリエタノールアミン、およびそれらの混合物からなる一群から選択され、非イオン性界面活性剤は、ラウラミンオキシド、ココアミンオキシド、デシルポリグルコース、ラウリルポリグルコース、ヤシ脂肪酸スクロース、C8-14アルキルグルコースアミド、ラウリン酸スクロース、およびそれらの混合物からなる一群から選択され;さらに両性界面活性剤は、ラウロアンホ二酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、セチルジメチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、およびそれらの混合物からなる一群から選択される。
【0129】
さまざまな非起泡性界面活性剤が、本発明において有用である。本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物は、分散相を乳化して、適当な粒子サイズを生じ、本体に良好な使用特性をもたらすことができる、十分な量の少なくとも1種の非起泡性界面活性剤を含有することができる。
【0130】
こうした非起泡性組成物の例は:モノラウリン酸PEG-20ソルビタン(ポリソルベート20)、PEG-5ダイズステロール、ステアレス-20、セテアレス-20、ジステアリン酸PPG-2メチルグルコース、セテス-10、ポリソルベート80、リン酸セチル、リン酸セチルカリウム、リン酸セチルトリエタノールアミン、ポリソルベート60、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、トリオレイン酸PEG-20ソルビタン、(ポリソルベート85)、モノラウリン酸ソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレン4ラウリルエーテルナトリウム、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ヘキシル、ステアレス-20、セテアレス-20、ジステアリン酸PPG-2メチルグルコース、セテス-10、リン酸セチルジエタノールアミン、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、およびそれらの混合物である。
【0131】
それに加えて、本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物の一部の実施形態に有用な、いくつかの市販の乳化剤混合物がある。例としては、ISP社製PROLIPID 141(ステアリン酸グリセリル、ベヘニルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、レシチン、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールおよびセチルアルコール)および151(ステアリン酸グリセリル、セテアリルアルコール、ステアリン酸、1-プロパナミウム(1-propanamium)、3-アミノ-N-(2-(ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル、N-C(16-18)アシル誘導体、塩化物);Croda社製POLAWAX NF (乳化ワックスNF)、INCROQUAT BEHENYL TMS (硫酸ベヘントリモニウムおよびセテアリルアルコール);ならびにGattefosse 社製EMULLIUM DELTA(セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-75、セテス-20およびステアレス-20)がある。
【0132】
本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物は、ある実施形態において、少なくとも1種の増粘剤/水相安定剤を追加して含むことができる。異なる安定剤は、異なる効率で増粘化するので、正確な組成範囲を与えることは困難であるが、安定剤が存在する場合、その組成は好ましくは、ホームケアまたはファブリックケア組成物の約20.0重量%以下であり、より好ましくは約10.0重量%以下、より好ましくは約8.0重量%以下、さらにいっそう好ましくは約7.0重量%以下である。増粘剤/水相安定剤が存在する場合、その安定剤は好ましくは、ホームケアまたはファブリックケア組成物の少なくとも約0.01重量%を占めるが、より好ましくは少なくとも約0.05重量%、さらにいっそう好ましくは少なくとも約0.1重量%を占める。安定剤について説明するもっと良い方法は、それが製品の粘度を上げることを示すことである。これは、安定剤粘度試験によって測定することができる;好ましくは、安定剤はこの試験で少なくとも1000 cpsの粘度を呈するが、より好ましくは少なくとも1500 cps、さらにいっそう好ましくは少なくとも2000 cpsの粘度を呈する。
【0133】
本発明に有用な増粘剤の例としては、カルボン酸ポリマー、たとえば、カルボマー(B.F. Goodrich からCarbopol(登録商標)900シリーズの商標で市販されている製品など;たとえば、CARBOPOL 954)がある。他の適当なカルボン酸ポリマー剤には、アクリル酸C10-30アルキルと、アクリル酸、メタクリル酸もしくはそれらの短鎖(すなわちC1-4アルコール)エステルの少なくとも1種のモノマーとのコポリマーがあるが、この架橋剤は、スクロースもしくはペンタエリトリトールのアリルエーテルである。上記コポリマーは、アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーとして知られており、B.F. GoodrichからCARBOPOL 1342、CARBOPOL 1382、Pemulen(登録商標)TR-1、およびTR-2として市販されている。
【0134】
他の増粘剤の例としては、カチオン性および非イオン性ポリマーを含めた架橋ポリアクリレートポリマーがある。
【0135】
他の増粘剤の例には、ポリアクリルアミドポリマー、特に、置換された分岐もしくは非分岐ポリマーを含めた、非イオン性ポリアクリルアミドポリマーが挙げられる。これらのポリアクリルアミドポリマーの中でより好ましいのは、ポリアクリルアミドというCTFA(米国化粧品工業会)表示が与えられる非イオン性ポリマー、ならびにイソパラフィン、およびSeppic Corporation (Fairfield, N.J.)からSepigel(登録商標)305の商標で市販されているラウレス-7である。本発明で有用な他のポリアクリルアミドポリマーには、アクリルアミドおよび置換アクリルアミドと、アクリル酸および置換アクリル酸とのマルチブロックコポリマーがある。こうしたマルチブロックコポリマーの市販品例としては、Lipo Chemicals, Inc., (Patterson N.J., USA)製のHypan(登録商標)SR150H、SS500V、SS500W、SSSA100Hが挙げられる。
【0136】
本発明に有用な別の種類の増粘剤は多糖類である。多糖ゲル化剤の例には、セルロースおよびセルロース誘導体から選択されるものがある。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中で好ましいのは、セチルヒドロキシエチルセルロースのCTFA表示が与えられる物質であるが、これはセチルアルコールとヒドロキシエチルセルロースのエーテルであって、Aqualon CorporationからNatrosol(登録商標)CS PLUSの名称で販売されている。他に有用な多糖類としてはスクレログルカンがあるが、これは(1-3)結合グルコース単位と(1-6)結合グルコース単位の3単位ごとの直鎖であって、その市販品の例はMichel Mercier Products Inc. (Mountainside, N.J., USA)製のClearogel(登録商標)CS 11である。
【0137】
本発明に有用な別の種類の増粘剤はガムである。本発明に有用なガムの例としては、ヘクトライト、ケイ酸、キサンタンガム、セルロースガム、グアーガム、バイオサッカライドガム、およびそれらの混合物がある。
【0138】
本発明に有用な、また別の種類の増粘剤は、加工デンプンである。Grain Processing Corporation製のWaterlock(登録商標)などのアクリレート修飾デンプンを使用することができる。National Starch社製の商品名Structure XL(登録商標)などのヒドロキシプロピルデンプンリン酸は、また別の有用な加工デンプンの例であって、他の有用な例には、Clariant Corp.製Aristoflex(登録商標) HMB (アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25クロスポリマー)およびカチオン性スタビレン(Stabylen)が挙げられる。
【0139】
本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物はまた、有機カチオン性沈着ポリマーを含有することができる。カチオン性沈着ポリマーの濃度は、好ましくは、ホームケアまたはファブリックケア組成物の約0.025重量%から約10.0重量%まで、より好ましくは約0.05重量%から約2.0重量%まで、さらにもっと好ましくは約0.1重量%から約1.0重量%までの範囲である。
【0140】
本発明での使用に適したカチオン性沈着ポリマーは、第四級アンモニウムもしくはカチオン性プロトン化アミノ部分などのカチオン性窒素含有部分を含む。カチオン性プロトン化アミンは、ホームケアまたはファブリックケア組成物の個別の種類および選択されるpHに応じて、第一級、第二級、もしくは第三級アミン(好ましくは第二級もしくは第三級)とすることができる。カチオン性沈着ポリマーの平均分子量は、約5,000から約10,000,000までの間であるが、好ましくは少なくとも約100,000、より好ましくは少なくとも約200,000であるが、好ましくは約2,000,000以下であり、より好ましくは約1,500,000以下である。ポリマーはまた、ホームケアまたはファブリックケア組成物の使用目的のpHにて、約0.2 meq/gから約5 meq/gまでの範囲のカチオン電荷密度を有するが、好ましくは少なくとも約0.4 meq/g、より好ましくは少なくとも約0.6 meq/gのカチオン電荷密度を有しており、前記pHは、約pH 4から約pH 9まで、好ましくは約pH 5から約pH 8までの範囲であるといえる。
【0141】
ホームケアまたはファブリックケア組成物に用いるカチオン性沈着ポリマーの例には、カチオン性セルロース誘導体などの多糖ポリマーがある。好ましいカチオン性セルロースポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩であって、産業界(CTFA)ではポリクオタニウム(Polyquaternium)-10と称され、Amerchol Corp. (Edison, N.J., USA)から、Polymer KG、JRおよびLRシリーズのポリマーの中で入手可能であるが、もっとも好ましいのはKG-30Mである。
【0142】
他の適当なカチオン性沈着ポリマーとしては、カチオン性グアーガム誘導体、たとえばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドがあり、その具体例としては、Rhodia Inc.から市販されているJaguarシリーズ(好ましくはJaguar C-17(登録商標))、およびAqualonから市販されているN-Hanceポリマーシリーズが挙げられる。
【0143】
他に適当なカチオン性沈着ポリマーとしては、合成カチオン性ポリマーがある。本発明のホームケアまたはファブリックケア組成物に使用するのに適したカチオン性ポリマーは、水溶性もしくは水分散性、非架橋、カチオン性ポリマーであって、約4 meq/gから約7 meq/gまで、好ましくは約4 meq/gから約6 meq/gまで、より好ましくは約4.2 meq/gから約5.5 meq/gまでのカチオン電荷密度を有するものである。選択されるポリマーはまた、約1,000から約1,000,000まで、好ましくは約10,000から約500,000まで、より好ましくは約75,000から約250,000までの平均分子量を有していなくてはならない。
【0144】
洗浄組成物に使用する市販の合成カチオン性ポリマーの非限定的な例は、Polycare(登録商標)133の商標でRhodia, Cranberry, N.J., U.S.Aから入手可能なポリメチルアクリルアミドプロピル トリモニウム クロリドである。
【0145】
任意に選択される成分の、他の非限定的な例には、ビタミンおよびその誘導体(たとえば、アスコルビン酸、ビタミンE、酢酸トコフェロールなど);日焼け止め剤;増粘剤(たとえば、Croda製Crothix(登録商標)として入手可能なポリオールアルコキシエステル);洗浄組成物の抗菌的完全性を維持するための防腐剤;酸化防止剤;キレート剤および金属イオン封鎖剤;および美的な目的に適合する物質、たとえば、香料、エッセンシャルオイル、顔料、真珠光沢剤(たとえば、マイカおよび二酸化チタン)、レーキ、着色剤など(たとえば、チョウジ油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、およびオイゲノール)、抗菌剤、ならびにそれらの混合物からなる一群から選択される有益な物質が含まれる。これらの物質は、当業者には明白であるように、求められる利益をもたらすのに十分な範囲で使用することができる。
【実施例】
【0146】
下記の実施例は本発明の特定の実施形態について説明するが、本発明はそれらに限定されない。これらの実施例において、与えられる割合は、特に指示しない限りすべて、重量比である。
【0147】
実施例1
D&C Red 4色素のポリエピアミンとの複合体
【化41】

【0148】
ポリエピアミンと複合体化したD&C Red 4
【0149】
ポリエピアミンコポリマーは、少量のエチレンジアミンを架橋剤として用いるエピクロロヒドリンおよびジメチルアミンの段階重合により調製される分岐ポリエピアミンを50%含有するポリマー水溶液である。ポリエピアミンコポリマーは、4500から9000cpsまでの粘度を有するが、これは25℃にてブルックフィールド(Brookfield)粘度計、スピンドルLV3および12 rpm、を用いて測定されたものである。典型的な重量平均分子量(MW)は、ポリエチレンオキシド分子量標準を用いてGPCにより約250,000原子質量単位であると測定される。
【0150】
3重量%色素溶液a)を調製するために、250 mlビーカーに撹拌しながら、D&C Red #4色素(2.1424 g、Puricolour(登録商標)、Ciba Specialty Chemicals)および脱イオン水(89.27 g)を加える。上記のポリエピアミンコポリマーを3重量%含有する溶液Bは、ポリエピアミンコポリマー溶液を適当な濃度まで脱イオン水で希釈することによって調製される。溶液A(71.74 g、3% D&C Red 4色素)を溶液B(71.72 g、3%ポリエピアミンコポリマー)に、撹拌しながらゆっくりと加える。5分撹拌後、混合物が濃厚となり沈殿が生じる。この時点で、脱イオン水(20 g)を加え、さらに10分間撹拌し続ける。得られた濃厚な赤色スラリーを#1濾紙で減圧濾過する。濾液に色がほとんど、もしくはまったく認められなくなるまで、濾過ケーキを大量の脱イオン水で2回洗浄する。この濾過ケーキを真空乾燥器で70℃にて一晩乾燥した後、すりつぶして約3 gの乾燥赤色粉末の色素複合体を生じる。
【0151】
最終的な色素ポリマー複合体粉末(0.1 g)を10 ml脱イオン水に入れる。赤色色素ポリマー複合体分散液を短時間撹拌する。この色素複合体粉末が完全に沈降するのに約1週間かかる。室温放置して2週間後に、色のにじみ出しがほとんど、もしくはまったくなく、水相は依然として無色透明のままであった。
【0152】
実施例2
D&C Red 4色素のポリ-DADMACとの複合体
【化42】

【0153】
ポリ-DADMACと複合体化したD&C Red 4
【0154】
ポリDADMACは、1600から3000 cpsのブルックフィールド粘度を有する、DADMACの線状ホモポリマーの20重量%水溶液である。重量平均分子量はPEO標準を用いてGPCにより測定され、約500,000原子質量単位である。
【0155】
実施例1の色素複合体形成法にしたがって、色素ポリマー複合体は、D&C Red 4とDADMACの線状ホモポリマーとの間で形成される。
【0156】
実施例3
D&C Red 4色素のDADMAC-メタクリル酸メチルコポリマーとの複合体
【化43】

【0157】
修飾ポリ-DADMACと複合体化したD&C Red 4
【0158】
冷却器、温度計、窒素流入口およびオーバーヘッド撹拌器を備えた1リットル反応器にDADMACモノマー(453.8 g, 66%)、メタクリル酸メチル(MMA, 15.8 g)、脱イオン水(57.4 g)およびNa4EDTA (0.15 g, 20%)を入れる。重合混合物を窒素ガスでパージして、撹拌しながら90℃まで加熱する。過硫酸アンモニウム(APS, 5.1 g)含有水溶液を、ゆっくりと190分にわたって反応器に送り込む。反応温度を100℃より高く上昇させた後、APSフィード中、還流温度(100-110℃)に維持する。APSフィード後、反応温度を95℃に下げて約30分間維持する。この時点で、メタ重亜硫酸ナトリウム(MBS 5.6 g)を含有する水溶液を30分にわたって添加する。反応器の内容物の温度をさらに30分間95℃に維持して、重合を完了させる(99%より高い変換)。このポリマー溶液を十分な脱イオン水で希釈して、約35%固体濃度を達成し、室温に冷却する。全体のモノマー変換は99.5%を越えていると測定される。最終生成物は、25℃にて23,400 cpsのブルックフィールド粘度を示し、33.7%ポリマー固体を有する。
【0159】
実施例1の色素複合体形成法にしたがって、D&C Red 4と、DADMACおよびメタクリル酸メチルのコポリマーとの間で、色素ポリマー複合体が形成される。
【0160】
実施例4
D&C Red 4色素のDADMAC-メタクリル酸メチルコポリマーとの複合体
【化44】

【0161】
修飾ポリ-DADMACと複合体化したD&C Red 4
【0162】
冷却器、温度計、窒素流入口およびオーバーヘッド撹拌器を備えた1リットル反応器にDADMACモノマー(453.8 g, 66%)、メタクリル酸メチル(MMA, 31.6 g)、脱イオン水(57.4 g)およびNa4EDTA (0.15 g, 20%)を入れる。重合混合物を窒素ガスでパージして、撹拌しながら90℃まで加熱する。過硫酸アンモニウム(APS, 5.1 g)含有水溶液を、ゆっくりと190分にわたって反応器に送り込む。反応温度を100℃より高く上昇させた後、APSフィード中、還流温度(100-110℃)に維持する。APSフィード後、反応温度を95℃に下げて約30分間維持する。この時点で、メタ重亜硫酸ナトリウム(MBS 5.6 g)を含有する水溶液を30分にわたって添加する。反応器の内容物の温度をさらに30分間95℃に維持して、重合を完了させる(99%より高い変換)。このポリマー溶液を十分な脱イオン水で希釈して、約35%固体濃度を達成し、室温に冷却する。全体のモノマー変換は99.5%を越えていると測定される。最終生成物は、25℃にて5,300 cpsのブルックフィールド粘度を示し、35.1%ポリマー固体を有する。
【0163】
実施例1の色素複合体形成法にしたがって、D&C Red 4と、DADMACおよびメタクリル酸メチルのコポリマーとの間で、色素ポリマー複合体が形成される。
【0164】
実施例5
D&C Red 4色素のDADMAC-スチレンコポリマーとの複合体
【化45】

【0165】
修飾ポリ-DADMACと複合体化したD&C Red 4
【0166】
冷却器、温度計、窒素流入口およびオーバーヘッド撹拌器を備えた1リットル反応器にDADMACモノマー(453.8 g, 66%)、スチレン(7.9 g)、脱イオン水(57.4 g)およびNa4EDTA (0.15 g, 20%)を入れる。重合混合物を窒素ガスでパージして、撹拌しながら90℃まで加熱する。過硫酸アンモニウム(APS, 5.1 g)含有水溶液を、ゆっくりと190分にわたって反応器に送り込む。反応温度を100℃より高く上昇させた後、APSフィード中、還流温度(100-110℃)に維持する。APSフィード後、反応温度を95℃に下げて約30分間維持する。この時点で、メタ重亜硫酸ナトリウム(MBS 5.6 g)を含有する水溶液を30分にわたって添加する。反応器の内容物の温度をさらに30分間95℃に維持して、重合を完了させる(99%より高い変換)。このポリマー溶液を十分な脱イオン水で希釈して、約35%固体濃度を達成し、室温に冷却する。全体のモノマー変換は99.5%を越えていると測定される。最終生成物は、25℃にて2,830 cpsのブルックフィールド粘度を示し、36.5%ポリマー固体を有する。
【0167】
実施例1の色素複合体形成法にしたがって、D&C Red 4と、DADMACおよびスチレンのコポリマーとの間で、色素ポリマー複合体が形成される。
【0168】
実施例6
D&C Red 4色素のDADMAC-メタクリル酸ベンジルコポリマーとの複合体
【化46】

【0169】
修飾ポリ-DADMACと複合体化したD&C Red 4
【0170】
冷却器、温度計、窒素流入口およびオーバーヘッド撹拌器を備えた1リットル反応器にDADMACモノマー(453.8 g, 66%)、メタクリル酸ベンジル(15.8 g)、脱イオン水(57.4 g)およびNa4EDTA (0.15 g, 20%)を入れる。重合混合物を窒素ガスでパージして、撹拌しながら90℃まで加熱する。過硫酸アンモニウム(APS, 5.1 g)含有水溶液を、ゆっくりと190分にわたって反応器に送り込む。反応温度を、100℃を越えるまで上昇させた後、APSフィード中、還流温度(100-110℃)に維持する。APSフィード後、反応温度を95℃に下げて約30分間維持する。この時点で、メタ重亜硫酸ナトリウム(MBS 5.6 g)を含有する水溶液を30分にわたって添加する。反応器の内容物の温度をさらに30分間95℃に維持して、重合を完了させる(99%より高い変換)。このポリマー溶液を十分な脱イオン水で希釈して、約35%固体濃度を達成し、室温に冷却する。全体のモノマー変換は99.5%を越えていると測定される。最終生成物は、25℃にて15,400 cpsのブルックフィールド粘度を示し、36.3%ポリマー固体を有する。
【0171】
実施例1の色素複合体形成法にしたがって、D&C Red 4と、DADMACおよびメタクリル酸ベンジルのコポリマーとの間で、色素ポリマー複合体が形成される。
【0172】
実施例7
D&C Red 4色素のDADMAC-メタクリル酸ブチルコポリマーとの複合体
【化47】

【0173】
修飾ポリ-DADMACと複合体化したD&C Red 4
【0174】
冷却器、温度計、窒素流入口およびオーバーヘッド撹拌器を備えた1リットル反応器にDADMACモノマー(453.8 g, 66%、Aldrich)、メタクリル酸ブチル(15.8 g, Aldrich)、脱イオン水(57.4 g)およびNa4EDTA (0.15 g、20%、Aldrich)を入れる。重合混合物を窒素ガスでパージして、撹拌しながら90℃まで加熱する。過硫酸アンモニウム(APS, 5.1 g, Aldrich)含有水溶液を、ゆっくりと190分にわたって反応器に送り込む。反応温度を、100℃を越えるまで上昇させた後、APSフィード中、還流温度(100-110℃)に維持する。APSフィード後、反応温度を95℃に下げて約30分間維持する。この時点で、メタ重亜硫酸ナトリウム(MBS 5.6 g, Aldrich)を含有する水溶液を30分にわたって添加する。反応器の内容物の温度をさらに30分間95℃に維持して、重合を完了させる(99%より高い変換)。このポリマー溶液を十分な脱イオン水で希釈して、約35%固体濃度を達成し、室温に冷却する。全体のモノマー変換は99.5%を越えていると測定される。最終生成物は、25℃にて15,200 cpsのブルックフィールド粘度を示し、35.2%のポリマー固体を有する。
【0175】
実施例1の色素複合体形成法にしたがって、D&C Red 4と、DADMACおよびメタクリル酸ブチルのコポリマーとの間で、色素ポリマー複合体が形成される。
【0176】
実施例8
D&C Red 4色素のDADMAC-エトキシ化ノニルフェノールアクリレート コポリマーとの複合体
【化48】

【0177】
修飾ポリ-DADMACと複合体化したD&C Red 4
【0178】
冷却器、温度計、窒素流入口およびオーバーヘッド撹拌器を備えた1リットル反応器にDADMACモノマー(453.8 g、66重量%、Aldrich)、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(15.8 g, SR504 Sartomer)、脱イオン水(57.4 g)およびNa4EDTA (0.15 g、20%、 Aldrich)を入れる。重合混合物を窒素ガスでパージして、撹拌しながら90℃まで加熱する。過硫酸アンモニウム(APS、5.1 g、Aldrich)含有水溶液を、ゆっくりと190分にわたって反応器に送り込む。反応温度を、100℃を越えるまで上昇させた後、APSフィード中、還流温度(100-110℃)に維持する。APSフィード後、反応温度を95℃に下げて約30分間維持する。この時点で、メタ重亜硫酸ナトリウム(MBS 5.6 g, Aldrich)を含有する水溶液を30分にわたって添加する。反応器の内容物の温度をさらに30分間95℃に維持して、重合を完了させる(99%より高い変換)。このポリマー溶液を十分な脱イオン水で希釈して、約35%固体濃度を達成し、室温に冷却する。全体のモノマー変換は99.5%を越えていると測定される。最終生成物は、25℃にて19,500 cpsのブルックフィールド粘度を示し、34.8%のポリマー固体を有する。
【0179】
実施例1の色素複合体形成法にしたがって、D&C Red 4と、DADMACおよびエトキシ化ノニルフェノールアクリレートのコポリマーとの間で、色素ポリマー複合体が形成される。
【0180】
実施例9
D&C Red 4色素の疎水性架橋DADMACポリマーとの複合体
【化49】

【0181】
疎水性架橋DADMACポリマーと複合体化したD&C Red 4
【0182】
冷却器、温度計、窒素流入口およびオーバーヘッド撹拌器を備えた適当な反応器にDADMAC水溶液(452.51 g、65.9重量%、Aldrich)、ジアリルアミン(1.809 g, > 99重量%, Aldrich)、濃塩酸(1.62 g、37重量%)、Na4EDTA (0.6 g、20重量%、Aldrich)および脱イオン水(96.81 g)を入れる。重合混合物を窒素ガスでパージして、撹拌しながら80℃まで加熱する。脱イオン水(66.5 g)中に溶解した過硫酸アンモニウム(APS, 3.5 g, Aldrich)を含有する水溶液を、ゆっくりと280分にわたって反応器に送り込む。反応温度を、90℃を越えるまで上昇させた後、APSフィード中、90-100℃に維持する。APSフィード後、反応混合物を水で希釈して約35%固体濃度とし、約30分間90℃に維持する。この時点で、脱イオン水(12 g)に溶解したメタ重亜硫酸ナトリウム(MBS 3.00 g)を含有する水溶液を10分にわたって添加する。反応器の内容物をさらに30分間90℃に維持して、重合を完了させる。このポリマー溶液を約30%固体濃度となるまで十分な脱イオン水で希釈する。最終生成物(12zs79B)は、25℃、pH 3にて1,600 cpsのブルックフィールド粘度を示す。
【0183】
メカニカルスターラー、添加漏斗および冷却器を備えた1リットル反応器に、250.0 gの上記合成ポリマー(12zs79B)および脱イオン水(143.6 g)を入れる。反応器の内容物を撹拌しながら72℃に加熱して、NaOH水溶液でpHを10に調整する。pH調整後、ジグリシジルエーテルビスフェノールA(0.89 g, DGEBA, 平均分子量:348)を反応器内に添加する。粘性の増加がほとんど、またはまったく認められなくなるまで、70℃にて架橋反応を進行させる。反応後、ポリマー溶液を、20%固体濃度となるまで脱イオン水で希釈して、濃塩酸でpHを4.5に調整する。最終生成物は、ゲルを含まない白色エマルション様ポリマー溶液であって、ブルックフィールド粘度は25℃にて35,200 cpsである。
【0184】
実施例1の色素複合体形成法にしたがって、D&C Red 4と、疎水性架橋DADMACポリマーとの間で、色素ポリマー複合体が形成される。
【0185】
実施例10
FD&C Blue 1色素と線状DADMACポリマーとの複合体のin situ形成ビーズ
【化50】

【0186】
線状DADMACポリマーと複合体化したFD&C Blue 1
【0187】
冷却器、温度計、窒素流入口、およびオーバーヘッド撹拌器を備えた0.5リットル反応器に、Naphthol Spiritsオイル(240 g, CITGO)およびポリマー安定剤(メタクリル酸メチルおよびアクリル酸のコポリマー)1.2 gを入れる。この反応器に、DADMAC (206.2 g, 66.5重量%, Aldrich)、Na4EDTA (0.012 g、20重量%、Aldrich)、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩 (6.61 g、V50、Wako、41重量%)およびFD&C blue 1色素(1.43 g、Aldrich)からなる、撹拌されたモノマーおよび色素の水溶液を加える。反応器の内容物を窒素ガスでパージして、40℃に加熱して1時間、50℃に加熱して2時間、さらに60℃に加熱して2時間半維持する。反応液の一部をとりわけ、その粘度は25℃にて20%固体で、3200 cpsと測定される。この時点で、反応混合物を還流温度82±2.0℃に約2時間加熱して水分を共沸により除去する。反応混合物を冷却して濾過する。濾過ケーキを乾燥器内で90℃にて3時間さらに乾燥した。最終生成物は、粒径約300 μmの濃紺色の易流動性ビーズからなる。
【0188】
FD&C Blue 1色素はイソプロパノールのような極性溶媒に溶解する。DADNACポリマーとの色素複合体のビーズはイソプロパノールに不溶性であって、液体相への色のにじみ出し(色の拡散)を示さない。
【0189】
実施例11
FD&C Blue 1色素と架橋DADMACヒドロゲルポリマービーズとの複合体のビーズ
【化51】

【0190】
架橋DADMACポリマーと複合体化したFD&C Blue 1
【0191】
冷却器、温度計、窒素流入口、およびオーバーヘッド撹拌器を備えた0.5リットル反応器に、Naphthol Spiritsオイル(240 g, CITGO)およびポリマー安定剤(メタクリル酸メチルおよびアクリル酸のコポリマー)1.2 gを入れる。この反応器に、DADMAC (206.2 g, 66.5重量%, Aldrich)、Na4EDTA (0.012 g、20重量%、Aldrich)、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩 (6.61 g、V50、Wako、41重量%)およびメチレンビスアクリルアミド (2.7 g、Aldrich)からなるモノマー水溶液を加える。反応器の内容物を窒素ガスでパージして、40℃に加熱して1時間、50℃に加熱して2時間、さらに60℃に加熱して2時間半維持する。この時点で、反応混合物を還流温度82±2.0℃に約2時間加熱して、水分を共沸により除去する。反応混合物を冷却して濾過する。濾過ケーキを乾燥器内で90℃にて3時間さらに乾燥する。最終生成物は、粒径約300 μmの易流動性ビーズからなる。
【0192】
FD&C blue 1色素水溶液(12.4 g、6重量%、Aldrich)を、撹拌しながら、脱イオン水(124.7 g)中の、上記で調製した架橋DADMACポリマービーズ(乾燥状態で3g)に加える。色素複合体形成プロセスを完了するために一晩放置した後、ビーズは収縮し、色は紺色になった。水相は非常に淡いブルーである。この顔料ビーズスラリーを濾過して、大量の脱イオン水で3回、アセトンで2回洗浄する。100℃の乾燥器で24時間乾燥した後、生成物を、SPEXフリーザーミルを用いて粉末にすりつぶし、有機溶媒および水に不溶性の約4.3 gの青色の色素ポリマー複合体が生成する。
【0193】
実施例12
FD&C Red 2色素と架橋DADMACヒドロゲルポリマービーズとの複合体のビーズ(16zs11)
【化52】

【0194】
架橋DADMACポリマーと複合体化したFD&C Red 2
【0195】
FD&C Red 2色素水溶液(10 g、5重量%、Aldrich)を、実施例11で調製した架橋DADMACポリマービーズ(脱イオン水(49.7 g)中、乾重量1.3 g)に、撹拌しながら加える。色素複合体形成プロセスを完了するために一晩放置した後、ビーズは収縮し、暗赤色となった。水相は非常に薄い赤色である。この顔料ビーズスラリーを濾過して、大量の脱イオン水で3回洗浄する。80℃乾燥器内で5時間乾燥した後、生成物を、SPEXフリーザーミルを用いて粉末にすりつぶし、有機溶媒および水に不溶性の約1.5 gの赤色の色素-ポリマー複合体が生成する。
【0196】
実施例13
FD&C Red 6色素と架橋DADMACポリマーとの複合体のビーズ
【化53】

【0197】
架橋DADMACポリマーと複合体化したD&C Red 6
【0198】
FD&C Red 6色素水溶液(5.4 g、0.3重量%、Ciba CALISHA)を、架橋DADMACポリマービーズ(脱イオン水(3 g)中、乾重量0.2 g)に、撹拌しながら加える。色素複合体形成プロセスを完了するために一晩放置した後、ヒドロゲルビーズは収縮し、暗赤色となった。水相は非常に薄い赤色である。このビーズスラリーを濾過して、大量の脱イオン水で3回洗浄する。80℃乾燥器内で5時間乾燥した後、生成物を、SPEXフリーザーミルを用いて粉末にすりつぶし、有機溶媒および水に不溶性の約0.2 gの赤色の色素-ポリマー複合体が生成する。
【0199】
実施例14
FD&C Blue 1色素とポリエピアミンとの複合体
【化54】

【0200】
ポリエピアミンと複合体化したFD&C Blue 1
【0201】
ポリエピアミン(6.55 g、100% 固体、分子量および他のデータは実施例1に示す)を、FD&C Blue 1水溶液(32.5 g、6重量%)に撹拌しながら添加する。柔らかく粘り気のある凝塊の沈殿が出現する。水に不溶性の沈殿を集めて大量の脱イオン水で、濾液に青色がほとんど、またはまったく見えなくなるまで、洗浄する。80℃の乾燥器内で20時間乾燥した後、求める固体生成物(1 g)が、金属光沢を呈する、光沢のある紫色の色素ポリマー複合体として得られる。
【0202】
実施例15
D&C Red 4色素と修飾DADMAC/ジアリルアミン コポリマーとの複合体
【化55】

【0203】
修飾DADMAC/DAAコポリマーと複合体化したD&C Red 4
【0204】
必要な付属装置を備えた1リットル反応器に、DADMAC(65重量%、260 g、Aldrich)、ジアリルアミン(97%、19.4 g、Aldrich、DAA)およびNa4EDTA(0.4 g、脱イオン水2.95 g中に溶解、Aldrich)を加える。この混合物に、濃塩酸(19.1 g、37重量%)および脱イオン水(24 g)を加える。この溶液を92℃に加熱し、過硫酸アンモニウム開始剤(3.3 gを脱イオン水18.5 gに溶解、Aldrich)を0.05 ml/分の流速で添加する。重合中に、溶液の粘性が高くなりすぎるようなら、水を追加する。開始剤添加後、溶液をさらに1時間撹拌する。メタ重亜硫酸ナトリウム(6 gを脱イオン水24 g中に溶解、Aldrich)を0.5 ml/分の流速で添加してから、その溶液をさらに1時間撹拌し、その後、水を加えて固体含量を約40重量%とする。このコポリマーの分子量は315,000原子質量単位である。
【0205】
上記DADMAC/DAAコポリマーの一定量(100 g、40重量%固体含量、10重量% DAA)を、脱イオン水(200 g)の添加によって希釈する。NaOH水溶液(NaOH 2.0 gを脱イオン水10 gに溶解、50 mmol)を加える。混合物を撹拌しながら70℃に加熱する。この溶液に、Quab 426 (Degussa、プロパン-1,2-ジオール/水中40重量%、4.6 g、4.3 mmol)を添加する。この混合物をこの温度で10時間撹拌する。反応中に溶液の粘性が高くなりすぎて撹拌が困難になるようなら、水を添加する。最終生成物の固体含量は11.8重量%である。
【0206】
複合体の調製
上記コポリマーの1重量%水溶液(30 ml)を10分間かけて徐々に、D&C Red 4色素の1重量%水溶液(Puricolour、Ciba Specialty Chemicals、30 ml)に、激しく撹拌しながら添加する。深紅の沈殿が添加を通じて形成される。この混合物をさらに10分間撹拌した後、すべての固体が底に沈むよう放置する。淡い橙/ピンク色の溶液を、深紅の固体から、容器を傾けて移す。次にその固体を脱イオン水で3回洗浄するが、それは各回10分間10 ml中で撹拌し、上記のように容器を傾けて上清を移すことによって行われる。その後、固体を2日間風乾して集める。求める生成物が鮮紅色の色素ポリマー複合体として得られる(0.41 g)。
【0207】
複合体からの色のにじみ出しの評価
単離した固体の色素ポリマー複合体約50 mgを10 ml脱イオン水に入れ、短時間振り混ぜる。その後、密閉したバイアル内で1週間放置しておく。水の視覚的な評価では、水相に非常にかすかな橙色が示されるが、これは水相への色のにじみ出しがほとんど、もしくはまったくないことを示している。
【0208】
実施例16
化粧水
50℃にて、下記の成分を記載された順序で十分に混合すると、透明で均一な溶液が得られる。UV吸収剤はたとえば、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-(1-メチルプロピル)-ベンゼンスルホン酸一ナトリウム塩である。
【表2】

【0209】
実施例17
革用被覆剤およびクリーナー
色素ポリマー複合体および他の成分を、約65℃にて、記載された順に、均一になるまで撹拌混合する。次にこの混合物を室温に冷却する。
【表3】

【0210】
実施例18
ガラス用洗剤
透明で均一な混合物が得られるまで、下記の成分を、記載された順序で調合する。
【表4】

【0211】
実施例19
布地の色素増強
染色された木綿生地に、色素ポリマー複合体をそれぞれ、木綿の重量を基準として0.05、0.1、0.2、0.5および1.0重量%で(水から)沈着させる。この染色された布地は、木綿の重量に基づいて0.05、0.1、0.2および0.5重量%で下記の色素を含有している。この結果、下記のそれぞれの色素について60通りの別々の調合となる:
Scarlet HE-3 g、Crimson HE-XL、Yellow HE-6 g、Red HE-XL、Blue HE-XL、Turquoise H-A、Navy HE-XL、Remazol、Red RB、Brilliant Red RBS、Orange FR、Navy CG、Turquoise G、Black B。
【0212】
実施例20
布地の色素増強
染色された木綿生地に、色素ポリマー複合体およびUV吸収剤、たとえば、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-(1-メチルプロピル)-ベンゼンスルホン酸一ナトリウム塩を、木綿の重量を基準として0.05、0.1、0.2、0.5および1.0重量%でそれぞれ(水から)沈着させる。この染色された布地は、木綿の重量に基づいて0.05、0.1、0.2および0.5重量%で下記色素を含有している。この結果、下記のそれぞれの色素について60通りの別々の調合となる:
Scarlet HE-3 g、Crimson HE-XL、Yellow HE-6 g、Red HE-XL、Blue HE-XL、Turquoise H-A、Navy HE-XL、Remazol、Red RB、Brilliant Red RBS、Orange FR、Navy CG、Turquoise G、Black B。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、および
(ii)少なくとも1種のアニオン性色素
から形成される、着色に有効な量の少なくとも1種の色素ポリマー複合体であって、成分a)(i)およびa)(ii)がホームケアまたはファブリックケア組成物に添加される前に複合体化して粒子を形成しており、前記複合体が最終製品中に粒子として残存する、前記色素ポリマー複合体;ならびに
b) 任意の追加成分、
を含んでなるホームケアまたはファブリックケア組成物。
【請求項2】
成分a)(ii)のアニオン性色素が、ハロゲン含有酸性色素、反応性色素、アゾ色素、アントラキノン色素および天然酸性色素からなる一群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分a)(i)のカチオン性ポリマーが、1〜100重量%の少なくとも1種のカチオン性モノマーIb、0〜99重量%の少なくとも1種の他の共重合可能なモノマーII、ならびに、必要に応じて、0〜10重量%の架橋剤の反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
成分a)(i)のカチオン性ポリマーが、第一級、第二級および第三級アミン、ならびにそれらの塩、さらに第四級アンモニウムおよびホスホニウム塩、ならびにそれらの混合物からなる一群から選択される基を含有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
成分a)(i)のカチオン性ポリマーが、少なくとも1種のカチオン性モノマーIbの単独重合、または共重合可能なモノマーIIとIbとの共重合から得られ、
前記カチオン性モノマーが、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、リン酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジメタリルジメチルアンモニウム、塩化ジエチルアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジ(β-ヒドロキシエチル)アンモニウムおよび塩化ジアリルジ(β-エトキシエチル)アンモニウム、アクリル酸アミノアルキル;N,N'-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよびその塩、アリルアミンおよびその塩、ジアリルアミンおよびその塩、ビニルアミンおよびその塩、ビニルピリジンおよびその塩、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
c)紫外線吸収剤、酸化防止剤、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ヒンダートアミン系光安定剤、錯形成剤、光学的光沢剤、界面活性剤およびポリオルガノシロキサンからなる一群から選択される少なくとも1種の化合物、
を追加して含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
紫外線吸収剤が、2H-ベンゾトリアゾール、s-トリアジン、ベンゾフェノン、α-シアノアクリレート、オキサニリド、ベンゾオキサジノン、ベンゾエートおよびα-アルキルシンナメートからなる一群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
d) 色素もしくは顔料、またはそれらの混合物、
を追加して含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ホームケアまたはファブリックケア製品が、洗濯用品、衣類柔軟仕上げ剤、液体洗浄剤、研磨洗剤、ガラス用洗剤、中性洗剤、万能洗剤、酸性浴室洗浄剤、浴室洗浄剤、洗浄剤、リンス剤、食器洗剤、台所洗剤、オーブン用洗剤、クリアリンス剤、食器洗い機用洗剤、靴みがき剤、つや出しワックス、床用洗剤、床磨き剤、金属清浄剤、ガラス洗浄剤、陶磁器洗浄剤、布地を手入れする製品、絨毯洗浄剤およびカーペットシャンプー、錆落とし剤、染み抜き剤、家具用つや出し剤、万能つや出し剤、革用被覆剤、ビニール製品被覆剤、およびエアフレッシュナーからなる一群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
a)(i)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、および
(ii)少なくとも1種のアニオン性色素
から形成される、着色に有効な量の少なくとも1種の色素ポリマー複合体であって、成分a)(i)およびa)(ii)が、ホームケアまたはファブリックケア組成物に組み入れられる、もしくは適用される前に複合体化して粒子を形成しており、前記複合体が最終製品中に粒子として残存する、前記色素ポリマー複合体
をホームケアまたはファブリックケア組成物に組み入れる、もしくは適用することを含んでなる、ホームケアまたはファブリックケア組成物を着色する方法。

【公表番号】特表2010−538135(P2010−538135A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523477(P2010−523477)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061190
【国際公開番号】WO2009/030613
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】