説明

色素含有造粒粒子、それを含有する錠剤、及び色素含有造粒粒子の製造方法

【課題】発色に優れた固形製剤を提供することを目的とし、具体的には発色に優れた色素含有造粒粒子、それを含有する固形製剤(粒状剤、錠剤)、及び色素含有造粒粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】色素粒子(A)と賦形剤粒子(B)の共粉砕物が造粒されてなることを特徴とする色素含有造粒粒子、またはそれを含有する粒状剤、錠剤とする。色素含有造粒粒子は、好ましくはさらに結合剤(C)を含有し、結合剤(C)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒される。前記共粉砕物の好ましい体積平均粒子径は、50μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素を含有する造粒粒子、それを含有する錠剤、及び造粒粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状剤や錠剤等の固形製剤には、美観のため、また医薬製剤では薬剤の区別をしやすいように、色を付与することが多い。
従来、着色された固形製剤は、色素粒子を、活性成分(薬物等)や賦形剤等とともに混合し、これをロール圧縮機による乾式造粒法、押し出し造粒機による湿式造粒法、流動層造粒装置を用いて活性成分(薬物等)を水溶性高分子化合物などで処理する湿式造粒法等により造粒粒子を製造して顆粒状としたり、打錠機により打錠し錠剤として製造されるが、色素の配合量は微量であるため、発色は必ずしも満足できるものではなかった。
他の着色手段としては、コーティング剤に色素を配合し固形製剤をコーティングすることも広く行われており良好な発色が得られるが、コーティングを行うことにより崩壊性や薬物の溶出速度の低下をきたし、即効性が求められる医薬品や口腔内崩壊錠には適用が困難である。
【0003】
【特許文献1】WO2007/126063
【特許文献2】特開2004−250376
【特許文献3】特開平9−3348
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発色に優れた固形製剤を提供することを目的とし、具体的には発色に優れた色素含有造粒粒子、それを含有する粒状剤、錠剤、及び色素含有造粒粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、検討した結果、色素粒子と賦形剤粒子の共粉砕物を造粒することによって、好ましくは結合剤溶液を用いて湿式造粒することによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は
<1>色素粒子(A)と賦形剤粒子(B)の共粉砕物が造粒されてなることを特徴とする色素含有造粒粒子。
<2>さらに結合剤(C)を含有する<1>に記載の色素含有造粒粒子。
<3><1>または<2>に記載の色素含有造粒粒子を含有する固形製剤。
<4>色素粒子(A)と賦形剤粒子(B)とを共粉砕した後、当該共粉砕物に結合剤(C)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒することを特徴とする色素含有造粒粒子の製造方法。
を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来よりも発色に優れ、色安定性に優れた色素含有造粒粒子、それを含有する着色粒状剤、着色錠剤、及び色素含有造粒粒子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
≪色素含有造粒粒子≫
本発明の色素含有造粒粒子は、色素粒子(A)(以下、(A)成分ということがある。)と賦形剤粒子(B)(以下、(B)成分ということがある。)の共粉砕物を造粒したものであり、好ましくはさらに結合剤(C)を含有する。
以下、(A)〜(C)成分について詳細に説明する。
【0008】
<(A)成分>
本発明の色素含有造粒粒子に使用される色素粒子(A)としては、その種類は特に限定されず、経口用製剤に使用できるものであればよい。具体的には、例えば、法定色素(赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号等)、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク等があげられる。これらの(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0009】
<(B)成分>
本発明の色素含有造粒粒子に使用される賦形剤(B)としては、セルロース類、糖類及びデンプン類から選ばれる1種又は2種以上の粉体であることが好ましい。
セルロース類の粉体として具体的には、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、粉末セルロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が好ましく挙げられ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(日本薬局方)、結晶セルロースがより好ましく挙げられる。
【0010】
糖類の粉体として具体的には、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖など)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット,ソルビトール,ラクチトール,エリスリトール,キシリトール,還元澱粉糖化物,マルチトール,マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が好ましく挙げられる。
【0011】
デンプン類の粉体として具体的には、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン(ポテトスターチ)、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン;ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン等のデンプン誘導体等が好ましく挙げられ、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)がより好ましく挙げられる。
上記のなかでも、セルロース類の粉体、デンプン類の粉体であることがより好ましく、セルロース類の粉体であることが特に好ましい。
【0012】
これらの賦形剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
本発明の造粒粒子において、前記(A)成分と前記(B)成分との割合は、質量比((A):(B))で0.0005:1〜0.1:1であることが好ましい。この範囲とすると、固形製剤とした際の発色や色の均一性が特に良好である。
【0014】
本発明においては、前記(A)成分の粒子と前記(B)成分の粒子は共粉砕され、それを用いて造粒する。該共粉砕物の体積平均粒子径(以下、単に「平均粒子径」と称することがある)は50μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜35μmであり、さらに好ましくは0.1〜30μmであり、特に好ましくは1〜25μmである。該範囲の上限値以下であることにより(A)成分の表面積が充分に高くなって本発明の効果が特に向上する。また、均一な粒子が得られやすくなる。他方、下限値以上であることにより、本発明の効果や造粒性が向上する。
なお、本発明において「体積平均粒子径」は、レーザー回折法により、たとえば、ベックマン・コールター社製のLS230型(製品名)等を用いて測定される値である。
【0015】
<(C)成分>
本発明の造粒粒子は、(A)成分と(B)成分を含有し、好ましくは結合剤(C)を含有する。当該(C)成分をさらに含有することにより、本発明の効果が向上する。また、造粒性が向上する。
結合剤としては水溶性高分子化合物、特に2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s未満である水溶性高分子化合物であることが好ましい。より好ましくは前記粘度が1〜5.5mPa・sの水溶性高分子化合物であり、さらに好ましくは1.2〜5.0mPa・s、特に好ましくは1.5〜4.0mPa・sである。該範囲の上限値未満であることにより、本発明の効果が特に向上する。前記「粘度」は、ブルックフィールド型粘度計(LVDVII+PRO(BROOK FIELD社製:単一円筒形回転粘度計)、スピンドルNo.ULA、回転数:60rpm、測定時間:4分間、測定温度:20℃)により測定される値である。
【0016】
前記水溶性高分子化合物としては、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースがより好ましい。ポリビニルアルコールとして、けん化度が96mol%以下のものが更に好ましく用いられる。
【0017】
本発明の造粒粒子において、造粒粒子中の(A)成分と(B)成分との合計の含有量と、(C)成分の含有量(固形分)との割合は、質量比((A)+(B):(C))で1:0〜1:0.3であることが好ましく、1:0.005〜1:0.3であることがより好ましく、1:0.01〜1:0.25であることがさらに好ましい。
また、(A)+(B)あるいは(A)+(B)+(C)の合計は、造粒粒子中、好ましくは下限が70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
【0018】
本発明の色素含有造粒粒子は、上記(A)〜(C)成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常、医薬製剤に用いられる任意成分、例えば界面活性剤、安定化剤、香料等を含有させることができる。
界面活性剤としては、特に限定されず、通常、経口製剤などで使用されているノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を用いることができるが、ノニオン界面活性剤が好ましい。
【0019】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(2)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(21)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(25)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(5)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(15)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(10)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(30)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(40)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(60)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(10)ステロール、ポリオキシエチレン(20)ステロール、ポリオキシエチレン(30)ステロール、水素添加ステロール、ポリエチレングリコール(1)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(2)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(4)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(10)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(25)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(40)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレン(6)ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン(20)ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン(5)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(10)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(15)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(5)脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン(10)脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン(15)脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミン、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ショ糖エステル、メチルグルコシドエステル、メチルグルカミド等が挙げられる。
なお、上記例示のノニオン活性剤の表記における括弧内の数値は、エチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数を表す。
【0020】
アニオン界面活性剤としては、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシル−N−メチルβアラニン塩等のN−アシルアミノ酸塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、リン酸アルキル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
【0021】
カチオン界面活性剤としては、N−アシルアミノエチルジエチルアミン塩、N−アシルグアニジン塩等が挙げられる。
【0022】
両性界面活性剤としては、大豆リン脂質、水素添加大豆リン脂質、卵黄リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、ホスファチジルコリンなどのレシチン誘導体、N−アルキルジメチルアミンオキサイド、N−アルキル−β−イミノビプロピオン酸塩、N−アルキルジメチルベタイン、N−アシル−ジメチルベタイン、N−アシルアミドプロピルジメチルベタイン、2−アルキルイミダゾリン誘導体、N−アルキルスルホベタイングルカミン、N−アルキルカルボキシベタイングルカミン等が挙げられる。
【0023】
界面活性剤の含有量は、造粒粒子中、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
【0024】
本発明に係る色素含有造粒粒子の体積平均粒子径は、当該造粒粒子を用いて錠剤とする場合、その体積平均粒子径は100〜1000μmであることが好ましく、150〜700μmであることがより好ましい。
また、当該造粒粒子を用いて顆粒剤とする場合、当該造粒粒子の体積平均粒子径は300〜1000μmであることが好ましく、500〜850μmであることがより好ましい。
【0025】
本発明の造粒粒子の製造方法は、その一例として、後述する本発明の造粒粒子の製造方法と同様の方法が好適な製造方法として挙げられる。
【0026】
≪固形製剤≫
本発明の固形製剤は、前記本発明の造粒粒子を含有して固形製剤、例えば粒状剤または錠剤とされているものである。当該固形製剤には、前記本発明の造粒粒子とともに、必要に応じてその他の原料、たとえば医薬品の有効成分や機能性食品の機能成分等の生理活性成分、機能成分、結合剤、崩壊剤等の賦形剤、滑沢剤、香料、矯味剤(甘味料、酸味料など)等を含んでいてもよい。
【0027】
具体的には、生理活性成分としてはイブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、アセトアミノフェン、インドメタシン、ブフェキサマック、アスピリン、ジクロフェナック、アルクロフェナック、フェンクロフェナック、エトドラック、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メフェナミック、メクロフェナミック、ピロキシカム等の非ステロイド抗炎症剤;ニトラゼパム、トリアゾラム、フェノバルビタ−ル、アミバルビタ−ル等の催眠・鎮静剤;フェニトイン、メタルビタ−ル、プリミドン、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸等の抗てんかん剤;塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等の鎮うん剤;イミプラニン、ノキシプチリン、フェネルジン等の抗うつ剤;ハロペリドール、メプロバメート、クロルジアゼポキシド、ジアゼバム、オキサゼバム、スルピリド等の精神神経用剤;パパベリン、アトロピン、エトミドリン等の鎮けい剤;ジゴキシン、ジギトキシン、メチルジゴキシン、ユビデカレノン等の強心剤;ピンドロール、アジマリン、ジソピラミド等の不整脈剤;ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロセミド、ブメタニド等の利尿剤;レセルピン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、塩酸プラゾシン、メトプロロール、プロプラノロール、アテノロール等の抗高血圧剤;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ジルチアゼム、ニフェジピン、ジピリダモール等の冠血管拡張剤;ノスカピン、サルブタモール、プロカテロール、ツロプテロール、トラニラスト、ケトチフェン等の鎮咳剤;塩酸ブロムヘキシン、グアイフェネシン等の去痰剤;ニカルジピン、ピンポセチン等の脳循環改善剤;エリスロマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、リファンピシン、グリセオフルビン等の抗生物質;ジフェンヒドラミン、プロメタジン、メキタジン、フマル酸クレマスチン等の抗ヒスタミン剤;トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニソロン、ダナゾール、メチルテストステロン、酢酸クロルマジノン等のステロイド剤;ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類、葉酸(ビタミンM類)等のビタミン剤;ジメチコン、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、メトクロプラミド、ファモチジン、オメプラゾール、スルピリド、トレピブトン、スクラルファート、制酸剤等の消化器系疾患治療剤;カフェイン、ジクマロール、シンナリジン、クロフィブラート、ゲファルナート、ブロベネシド、メルカプトプリン、メトトレキサート、ウルソデスオキシコール酸、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、グルクロノラクトン、γ−アミノ酪酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸Na、ラクトフェリン、乳性タンパク、システイン、コラーゲン、等が挙げられる。
【0028】
結合剤としては、たとえば澱粉、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン等を用いることができる。
【0029】
賦形剤としては、たとえばカルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;乳糖、コーンスターチ、タルク、結晶セルロース(アビセルなど)、粉糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、L−システインを用いることができる。
【0030】
滑沢剤としては、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル等を用いることができる。
【0031】
香料としては、たとえばメントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油など)等を用いることができる。
甘味料としては、たとえばサッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等を用いることができる。
酸味料としては、たとえばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等を用いることができる。
【0032】
本発明の固形製剤は、本発明の色素含有造粒粒子と他の原料を混合し、常法により造粒または打錠して製造することができる。例えば、錠剤は、一例として、本発明の色素含有造粒粒子と、必要に応じて上記の各種原料とを混合し、リブラ(製品名、菊水製作所製)、L−41型(製品名、畑鐵工所製)などのロータリー式の打錠機等を用いて打錠することにより製造することができる。
【0033】
≪色素含有造粒粒子の製造方法≫
本発明の色素含有造粒粒子の製造方法は、色素粒子(A)と賦型剤粒子(B)とを共粉砕し、好ましくは体積平均粒子径が50μm以下の共粉砕物を調製した後、当該共粉砕物に、結合剤(C)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒する製造方法である。
【0034】
以下、本発明の色素含有造粒粒子の製造方法の一例について、共粉砕物を調製する工程と、湿式造粒する工程に分けて説明する。色素粒子(A)、賦型剤粒子(B)、結合剤(C)は、各々前記のものである。
【0035】
[共粉砕物を調製する工程]
本工程では、色素粒子(A)と賦型剤粒子(B)とを混合し共粉砕を行なう。色素粒子(A)と賦型剤粒子(B)との共粉砕は、たとえば粉砕機を用いて共粉砕を行なう。好ましくは、当該共粉砕により調製される共粉砕物の体積平均粒子径が50μm以下、より好ましくは0.01〜35μm、さらに好ましくは0.1〜30μm、特に好ましくは1〜25μmとなるように行う。共粉砕に用いられる粉砕機の機種は、特に限定されず、ハンマーミル、サンプルミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等の衝撃式粉砕機;ジェット粉砕機等の乾式微粉砕機、シリンダー粉砕機、ローラー粉砕機等が挙げられ、なかでも衝撃式粉砕機が好ましく、ピンミル、ジェットミルがより好ましい。
【0036】
[造粒工程]
本工程では、前工程で調製された共粉砕物を造粒し、色素含有造粒粒子を製造する。好ましくは結合剤(C)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒を行なう。前記水性液中、結合剤(C)の含有量は0.1〜20質量%とすることが好ましい。該範囲の下限値以上とすることにより造粒性が向上する。他方、上限値以下とすることにより、前記共粉砕物へ水性液を噴霧する際の操作性等が向上する。前記水性液には、結合剤(C)、水以外に、必要に応じて、前記界面活性剤(D)、および/または、その他の成分、たとえばエタノール、イソプロピルアルコール等を添加することができる。
【0037】
前記共粉砕物に、結合剤(C)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒する方法としては、たとえば、マルチプレックス(製品名、(株)パウレック製)やスパイラルフロー(製品名、フロイント産業(株)製)等の撹拌型流動層造粒装置を用いて、結合剤(C)を含有する水性液を噴霧しながら造粒する流動層造粒;ハイスピードミキサー(製品名、深江パウテック(株)製)や高速撹拌造粒機(製品名、(株)ダルトン製)等の撹拌造粒機を用いて、結合剤(C)を含有する水性液を噴霧または滴下しながら撹拌錬合した後に、ドームグラン(製品名、(株)ダルトン製)等の押出し造粒機を用いて造粒する撹拌造粒等が挙げられる。なかでも、流動層造粒とすることが製造において工程が簡便である点で好ましい。
【0038】
前記共粉砕物への結合剤(C)を含有する水性液の噴霧は、色素含有造粒粒子中の色素粒子(A)と賦型剤粒子(B)との合計の含有量と、結合剤(C)の含有量(固形分)との割合が、上記本発明の造粒粒子において説明した質量比となるように水性液の噴霧量を調整することが好ましい。
【0039】
なお、製造される造粒粒子に対して、その後、色素の安定性向上などを目的として、必要に応じてコーティング剤によりコーティング処理を施してもよい。係るコーティング剤としては、水溶性高分子化合物や糖類などを選択することがより好ましい。
【0040】
具体的には、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット,ソルビトール,ラクチトール,エリスリトール,キシリトール,還元澱粉糖化物,マルチトール,マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。これらのコーティング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
コーティング剤の使用量は、色素含有造粒粒子100質量部に対し、0.1〜20質量部程度とすることが好ましい。
【0042】
本発明によれば、体内において色素の発色に優れた色素含有造粒粒子、それを含有する着色粒状剤、着色錠剤、及び色素含有造粒粒子の製造方法を提供することができる。
また、本発明により提供される色素含有造粒粒子、着色粒状剤、着色錠剤は、経時安定性が良好である。
また、本発明においては、(A)成分と(B)成分との粉砕時に、(A)成分が粉砕機などに付着しにくいため、粉砕性が良好である。
【0043】
また、本発明は、粉砕後の取り扱いに課題が生じることがなく、製造性に優れている。
また、本発明は、造粒性にも優れている。
また、本発明によれば、色素の発色に優れた着色された医薬製剤、好ましくは粒状剤、錠剤などの固形製剤を提供することができる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部および質量%を示す。
【0045】
≪色素含有造粒粒子の製造≫
表1にそれぞれ示す色素粒子と賦型剤粒子と結合剤を用いて、本発明の色素含有造粒粒子を製造した。色素粒子と賦型剤粒子を粉砕機(製品名:ピンミル、(株)パウレック製)により共粉砕した。得られた共粉砕物に、スパイラルフロー(製品名、フロイント産業(株)製、撹拌型流動層造粒装置)を用いて、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液を噴霧しながら流動層造粒を行うことにより、色素含有造粒粒子1A〜4Aを製造した。
【0046】
比較品として、色素粒子と賦型剤粒子を別々に粉砕して混合した混合物を共粉砕物の代わりに使用して得た色素含有造粒粒子1B〜4Bを製造した。
また、評価用対照品として、色素粒子と賦型剤粒子を粉砕せずに混合した混合物を共粉砕物の代わりに使用して得た色素含有造粒粒子1C〜4Cを製造した。
【0047】
なお、各例において、共粉砕により調製された共粉砕物(共粉砕後の色素粒子と賦型剤粒子混合物)、粉砕物(比較品用)、得られた色素含有造粒粒子の体積平均粒子径を表2に記した。体積平均粒子径は、ベックマン・コールター社製のLS230型(製品名)を用いて測定した(測定条件:ドライパウダーモジュール、バイブレーター16、オーガオフ、所要時間20秒間)。
【0048】
≪錠剤の製造≫
表3に示した錠剤原料を混合し、ロータリー式の打錠機リブラ(製品名、菊水製作所製)を用いて打錠することにより本発明の着色錠剤1A〜4Aを得た。
また、色素含有造粒粒子1A〜4Aの代わりに色素含有造粒粒子1B〜4Bを配合した着色錠剤1B〜4Bを製造した(比較品)。
さらに、色素含有造粒粒子1A〜4Aの代わりに色素含有造粒粒子1C〜4Cを配合した着色錠剤1C〜4Cを製造した(評価用対照品)。
【0049】
≪錠剤の色味評価(発色評価)≫
得られた着色錠剤1A〜4A、1B〜4Bの色味を、各々対照着色錠剤1C〜4Cと比較し、評価した。評価はパネラー20名により、以下の基準に基づき行った。平均点が4.5点以上を◎、3.5点以上4.5点未満を○、2.5点以上3.5点未満を△、2.5点未満を×とした。
【0050】
<色味の判断基準>
5:対照着色錠剤と比較し明らかに鮮やか
4:対照着色錠剤と比較し鮮やか
3:対照着色錠剤と比較しやや鮮やか
2:対照着色錠剤と比較し僅かに鮮やか
1:対照着色錠剤と同等

【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
表5にそれぞれ示す量の食用黄色5号粒子と低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルセルロース溶液を用いて、前記1Aと同様に、本発明の色素含有造粒粒子5A〜8A、及び各々それらの対照用造粒物を製造した。次に、表6に示した錠剤原料を混合し、色素含有造粒粒子5A〜8Aを含有する着色錠剤5A〜8Aを製造した。同様に、各々の対照造粒粒子を配合した対照着色粒子を製造した。

【0056】
【表5】

【0057】
【表6】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素粒子(A)と賦形剤粒子(B)の共粉砕物が造粒されてなることを特徴とする色素含有造粒粒子。
【請求項2】
さらに結合剤(C)を含有する請求項1に記載の色素含有造粒粒子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の色素含有造粒粒子を含有する固形製剤。
【請求項4】
色素粒子(A)と賦形剤粒子(B)とを共粉砕した後、当該共粉砕物に、結合剤(C)を含有する水性液を噴霧しながら湿式造粒することを特徴とする色素含有造粒粒子の製造方法。

【公開番号】特開2010−30944(P2010−30944A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194071(P2008−194071)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】