説明

色素増感太陽電池およびこれを搭載した電子機器、入力装置

【課題】機器が大型化することがなく、低コストで外部光を効率的に利用することができるように構成した色素増感太陽電池を提供する。
【解決手段】第1基板20と、第1基板上に配置された第1電極10と、第1電極上に配置され、半導体微粒子2と色素分子4を備える多孔質半導体層12と、多孔質半導体層と接し、酸化還元電解質を溶媒に溶解した電解液14と、電解液に接する第2電極18と、第2電極の電解液と接する側に形成される触媒層19と、第2電極上に配置された第2基板22と、第1基板と第2基板の間に配置され、電解液を封止する封止材16とを備え、第1電極および第2電極は、透明電極で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素増感太陽電池(DSC:Dye-sensitized Solar Cells)および、電子機器および入力装置に係り、特に、外部光を効率的に利用することのできる色素増感太陽電池およびこれを搭載した電子機器、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安価で高性能の太陽電池としてDSCが注目されている。DSCは、スイス・ローザンヌ工科大学のグレツェルが開発したもので、増感色素を表面に担持した酸化チタンを用いることで、光電変換効率が高く、製造コストが安いなどの利点を有することから、次世代の太陽電池として期待されている。この太陽電池は、内部に電解液を封入してあることから、湿式太陽電池とも呼ばれる。
【0003】
DSCは、増感色素を表面に担持した多孔質の酸化チタン層を備えた作用極と、作用極の酸化チタン層に対向して配置された対極と、作用極と対極との間に充填された電解質溶液とを備える(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−135817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、DSCは、作用極側から入射した太陽光や室内光等の外部光によって発電機能を発揮する。したがって、各種電子機器の電源としてDSCを搭載する場合には、機器に設けられた開口部からDSCの作用極側が臨むように取付けられている。
【0006】
そのため、例えば、DSCが設けられた面が塞がれる状態(例えば、テーブル等の天板側などにDSCが対向するような状態)で電子機器が置かれたような場合には、外部光がDSCに入射しない状態となってしまい、外部光を効率的に利用した電源供給を行うことができないという不都合があった。
【0007】
また、電子機器の表裏にDSCを配置することも可能であるが、機器が大型化し、コストが嵩むという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、機器が大型化することがなく、低コストで外部光を効率的に利用することができるように構成した色素増感太陽電池およびこれを搭載した電子機器、入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、第1基板と、前記第1基板上に配置された第1電極と、前記第1電極上に配置され、半導体微粒子と色素分子を備える多孔質半導体層と、前記多孔質半導体層と接し、酸化還元電解質を溶媒に溶解した電解液と、前記電解液に接する第2電極と、前記第2電極の前記電解液と接する側に形成され、酸化還元電解質に対する触媒活性を有する触媒層と、前記第2電極上に配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板の間に配置され、前記電解液を封止する封止材とを備え、前記第1電極および前記第2電極は、透明電極で構成された色素増感太陽電池が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、請求項1〜7の何れか1項に記載の色素増感太陽電池を電源として搭載する電子機器が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、請求項1〜7の何れか1項に記載の色素増感太陽電池を備えた入力装置であって、前記色素増感太陽電池の前記第1基板側または前記第2基板側に入力用のタッチパネルが設けられた入力装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機器が大型化することがなく、低コストで外部光を効率的に利用することができるように構成した色素増感太陽電池および電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池の模式的断面構造図。
【図2】第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池における入射光の入射状態を示す模式的断面構造図。
【図3】比較対象としての色素増感太陽電池の模式的断面構造図。
【図4】図1の多孔質半導体層の半導体微粒子の模式的構造図。
【図5】第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池の動作原理説明図。
【図6】第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池の電解液における電荷交換反応に基づく動作原理説明図。
【図7】第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池において、多孔質半導体層(12)/色素分子(32)/電解液(14)間のエネルギーポテンシャルダイヤグラム。
【図8】第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池において、色素分子(32)/電解液(14)間のエネルギーポテンシャルダイヤグラムであって、図7のJ部分の拡大図。
【図9】光線L1、L2、L3の波長を示すグラフ。
【図10】第2の実施の形態として、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池を搭載したリモコン装置の構成例を示す平面図。
【図11】第2の実施の形態として、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池を搭載したリモコン装置の側面図。
【図12】第2の実施の形態として、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池を搭載したリモコン装置の他の構成例を示す側面図。
【図13】第3の実施の形態として、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池を搭載した卓上デジタル時計の構成例を示す斜視図。
【図14】第4の実施の形態として、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池を搭載したアナログ時計の作成例を示す写真。
【図15】第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池の発電特性を示すグラフ。
【図16】(a)第5の実施の形態として、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池を搭載した電子手帳を開いた状態を示す斜視図、(b)閉じた状態を示す斜視図。
【図17】第6の実施の形態として、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池を搭載した電子辞書を開いた状態を示す斜視図。
【図18】(a)第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池のセルを3個形成した構成を示す平面図、(b)当該3個のセルを直列接続した状態を示す説明図。
【図19】(a)第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池のセルを5個、直列接続した状態を示す模式図、(b)図20(a)の説明図、(c)図20(a)の構成例を示す平面図。
【図20】(a)第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池のセルをn個、タンデム構成に積層させた状態を示す模式図、(b)図21(a)の説明図。
【図21】(a)第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池のセルをn個、タンデム構成に積層させたものを並列接続した状態を示す模式図、(b)図22(a)の説明図。
【図22】第7の実施の形態に係る入力装置であって、表面型静電容量方式タッチパネルを備える入力装置の模式的断面構造図。
【図23】第8の実施の形態に係る入力装置であって、投影型静電容量方式タッチパネルを備える入力装置の模式的断面構造図。
【図24】第9の実施の形態に係る入力装置であって、抵抗膜方式タッチパネルを備える入力装置の模式的断面構造図。
【図25】第7の実施の形態に係る入力装置の変形例を示す模式的断面構造図。
【図26】第8の実施の形態に係る入力装置の変形例を示す模式的断面構造図。
【図27】第9の実施の形態に係る入力装置の変形例を示す模式的断面構造図。
【図28】電気二重層キャパシタ内部電極を例示する模式的断面構造図。
【図29】リチウムイオンキャパシタ内部電極を例示する模式的断面構造図。
【図30】リチウムイオン電池内部電極を例示する模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
以下の実施の形態に係る色素増感太陽電池において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、実施の形態に係る色素増感太陽電池において、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0017】
[第1の実施の形態]
(色素増感太陽電池)
第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200の模式的断面構造は、図1に示すように表される。
【0018】
第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200に係る色素増感太陽電池200に適用される作用極100は、図1に示すように、ガラス基板20上に配置された透明電極10と、透明電極10上に配置された多孔質半導体層12とを備える。
【0019】
色素増感太陽電池200は、図1に示すように、ガラス基板20と、ガラス基板20上に設けられた透明電極10と、透明電極10上に配置された多孔質半導体層12と、多孔質半導体層12と接し、溶媒と複数種類の酸化還元電解質を混合して作られた電解質を備える電荷輸送層14とを備える。
【0020】
さらに、色素増感太陽電池200は、図1に示すように、第1基板20と、第1基板20上に配置された第1電極10と、第1電極10上に配置された図4に示すような半導体微粒子2と色素分子4とを備える多孔質半導体層12と、多孔質半導体層12と接し、酸化還元電解質を溶媒に溶解した電解液14と、電解液14に接する第2電極(対極)18と、第2電極18上に配置された第2基板22と、第1基板20と第2基板22の間に配置され、電解液14を封止する封止材16とを備える。
【0021】
透明電極10および第2電極18は、例えば、FTO、ZnO、ITO、SnOなどの透明電極で形成される。
【0022】
また、電解液14に接する第2電極18の電解液14側の表面には触媒層19が設けられている。そして、多孔質半導体層12の厚さは、例えば、約2μm以下、触媒層19の厚さは、例えば、約10nm以下とされる。
【0023】
触媒層19は、例えば、白金(Pt)や導電性高分子等の薄膜で構成される。導電性高分子は、例えば、PEDOT:PSSなどで構成されていても良い。
【0024】
以上の構成により、多孔質半導体層12および触媒層19を備える第2電極18は、透光性を有するようになり、色素増感太陽電池200自体を透明あるいは半透明とすることができる。
【0025】
したがって、図2に示すように、第1基板20側からの第1入射光(hνr)および第2基板22側からの第2入射光(hνf)の何れもが、多孔質半導体層12に到達するようになり、外部光を効率的に利用した発電を行うことができるようになる。
【0026】
多孔質半導体層12は、TiO、ZnO、WO、InO、Nb、SnOの何れかで構成されるようにできる。特に、効率面から安価なTiO(アナターゼ型、ルチル型)が主に用いられる。また、多孔質半導体層12は、例えば、スクリーン印刷技術、スピンコート技術、ディッピング、スプレーコート技術などを用いて形成することができる。
【0027】
触媒層19は、スパッタ成膜される白金(Pt)で構成されるようにできる。触媒層19は、インクジェット方式、スクリーン印刷等の印刷法によって成膜される有機白金化合物(例えば、ジメチル白金シクロオクタジエン、ジメチル白金ジメチルシクロオクタジエン等)で構成されるようにできる。さらに、触媒層19は、炭素または導電性高分子で構成されるようにできる。導電性高分子は、例えば、PEDOT:PSSなどで構成されていても良い。
【0028】
また、封止材16を透明樹脂で構成することにより、図2に示すように、封止材16側から入射する第3入射光(hνs)が多孔質半導体層12に到達するように構成することができる。透明樹脂としては、特には限定されないが、例えばアクリル系やポリカーボネイド系の紫外線硬化樹脂を用いることができる。また、封止材16の幅は3mm以下、高さは50μm以下とすることが望ましい。
【0029】
これにより、外部光をより効率的に利用した発電を行うことができるようになる。
【0030】
第1基板20および第2基板22は、例えば、ガラス基板などで形成することができる。また、フレキシブルなプラスチック基板を用いることもできる。この場合、多孔質半導体層を構成するTiOペーストとしては、例えば、約200℃以下で焼成可能なものを用いる。
【0031】
また、第1基板20側から第1入射光(hνr)を効率的に入射させるために、第1基板20は透明であることが望ましい。なお、第1基板20の光が入射する側に反射防止膜などをコーティングしても良い。
【0032】
第1電極10は、例えば、FTO、ZnO、ITO、SnOなどの透明電極で形成される。第1基板20上に電極加工し、FTO付き基板、金属などのグリッド付き基板、或いは上記の複合基板としても良い。
【0033】
図1および図2の多孔質半導体層12の半導体微粒子2の模式的構造は、図4に示すように表される。図4に示すように、多孔質半導体層12は、TiOなどからなる半導体微粒子2が互いに結合して複雑なネットワークを形成している。色素分子4は、半導体微粒子2の表面に吸着される。多孔質半導体層12内には、大きさ100nm以下の細孔が多数存在する。
【0034】
図3は、比較対象としての一般的な色素増感太陽電池200aの構成を示す。なお、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200と同一の構成については同一符号を付している。
【0035】
比較対象としての色素増感太陽電池200aでは、触媒層19の厚さは10nm以下とする構成とはなっていないため、色素増感太陽電池200a自体は光線を透過しない不透明状態となる。また、封止材16を透明樹脂で構成するなどの配慮もなされていない。したがって、多孔質半導体層12に入射して発電に寄与する光線は、図3に示すように、第1基板20からの入射光(hν)のみとなり、第2基板22側や封止材16側の外部光を有効に利用することができなかった。
【0036】
(動作原理)
第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200の動作原理は、図5に示すように表される。
【0037】
下記の(a)〜(d)の反応が継続して起こることで、起電力が発生し、負荷24に電流が導通する。
【0038】
(a)色素分子32が光子(hν)を吸収し、電子(e)を放出し、色素分子32は酸化体DOになる。
【0039】
(b)Reで表される還元体の酸化還元電解質26が多孔質半導体層12中を拡散して、DOで表される酸化体の色素分子32に接近する。
【0040】
(c)酸化還元電解質26から色素分子32に電子(e)が供給される。酸化還元電解質26は、Oxで表される酸化体の酸化還元電解質28になり、色素分子32はDRで表される還元された色素分子30になる。
【0041】
(d)酸化還元電解質28は、第2電極18方向に拡散し、第2電極18より電子を供給されて、Reで表される還元体の酸化還元電解質26になる。
【0042】
酸化還元電解質26は、多孔質半導体層12中の入り組んだ空間を拡散しながら色素分子32の近傍に接近する必要がある。
【0043】
また、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200の電解液14における電荷交換反応に基づく動作原理は、図6に示すように表される。
【0044】
まず、外部から光照射されると光子(hν)が色素分子32と反応して、色素分子32は基底状態から励起状態へと遷移する。このとき発生した励起電子(e)がTiOからなる多孔質半導体層12の伝導帯へ注入される。多孔質半導体層12中を導通した電子(e)は、透明電極10から外部回路の負荷24を導通し、第2電極18へ移動する。第2電極18から電解液14中に注入された電子(e)は。電解液14中のヨウ素酸化還元電解質(I/I)と電荷交換される。ヨウ素酸化還元電解質(I/I)が電解液14内を拡散し、色素分子32と再反応する。ここで、電荷交換反応は、色素分子表面において、3I→I+2eに従って進行し、第2電極18において、I+2e→3Iに従って進行する。
【0045】
電解液14は、溶媒として、例えば、アセトニトリルを使用し、この場合の電解質として、例えば、ヨウ素は、電解液14中のヨウ素酸化還元電解質Iとして存在する。また、電解質として、例えば、ヨウ化物塩(ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウムなど)は、電解液14中のヨウ素酸化還元電解質Iとして存在する。また、電解液14中には、逆電子移動抑制溶液として添加剤(例えば、TBP:ターシャルブチルピリジン)を適用しても良い。
【0046】
上記の溶質、添加剤を溶媒(アセトニトリル)に溶解させることによって、電解液14を構成することができる。なお、上記の材料は湿式DSCなどに適用可能なものであって、常温溶融塩(イオン性液体)や固体電解質を用いる場合には、構成材料が異なる。
【0047】
第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200において、溶媒は、後述する電解質、添加剤を溶解する液体であり、高沸点、化学的安定性が高く、高誘電率(電解質が良く溶解する)、低粘度であること望ましい。例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、γブチロラクトン、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどで構成されていても良い。
【0048】
色素は、レッドダイ(N719)、ブラックダイ(N749)などを適用することができる。
【0049】
第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200において、多孔質半導体層(12)/色素分子(32)/電解液(14)間のエネルギーポテンシャルダイヤグラムは、図7に示すように表される。また、色素分子(32)/電解液(14)間のエネルギーポテンシャルダイヤグラムであって、図7のJ部分の拡大図は、図8に示すように表される。
【0050】
外部から光照射されると光子(hν)により、色素分子32は基底状態HOMOから励起状態LUMOへと遷移する。このとき発生した励起電子(e)がTiOからなる多孔質半導体層12の伝導帯へ注入される。多孔質半導体層12中を導通した電子(e)は、透明電極10から外部回路の負荷24を導通し、第2電極18へ移動する。触媒層19から電解液14中に注入された電子(e)は、電解液14中の酸化還元電解質と電荷交換される。酸化還元電解質が電解液14内を拡散し、色素分子32を還元する。
【0051】
電解液14の酸化還元準位EROと多孔質半導体層12のフェルミ準位E間の電位差が最大起電力VMAXである。最大起電力VMAXの値は、電解液14の酸化還元電解質により変化する。酸化還元電解質単独系(ヨウ素酸化還元電解質)の場合には、例えば、0.9V(I,N719)である。電解液14がヨウ素・臭素の混合系酸化還元電解質を含む場合には、図8に示すように、混合比率を調整することで混合系酸化還元電解質の酸化還元電位を、ヨウ素酸化還元電解質の酸化還元電位と臭素酸化還元電解質の酸化還元電位の間の任意の値に調整することができる。
【0052】
図9には、紫外線L1の波長領域(波長10〜400nm)、白色光L2の波長領域(波長400〜800nm)、赤外線L3の波長領域(波長600〜1000nm)を示す。第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200は、L1〜L3の少なくとも1つの領域の光線によって発電機能を発揮させることができる。
【0053】
[第2の実施の形態]
(色素増感太陽電池を搭載したリモコン装置)
図10〜図12を参照して、第2の実施の形態として、上述の第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200を搭載したリモコン装置330の構成例について説明する。
【0054】
図10および図11に示すように、第2の実施の形態に係るリモコン装置330は、プラスチック等で構成される筐体38において表裏に貫通する開口部41が形成され、この開口部41から色素増感太陽電池200が臨むように設けられて、太陽電池部39が構成されている。
【0055】
また、リモコン装置330には、太陽電池部39を電源として駆動され、例えば日付や時刻、テレビのチャンネル番号等を表示する液晶部34と、テレビのチャンネルの選択等の操作を行う操作ボタン36が設けられている。
【0056】
色素増感太陽電池200は、リモコン装置330の厚み方向の略中央部に水平状態で設けられている。なお、色素増感太陽電池200の第1基板20側、第2基板22側の何れをリモコン装置330の表側または裏側とするかは任意でよい。
【0057】
図11に示す構成例では、開口部41に、筐体38の表面および裏面と面一となるように、色素増感太陽電池200を保護する透明部材40が嵌め込まれている。これにより、色素増感太陽電池200の表面や裏面にホコリが付着したり、傷つくことが防止される。
【0058】
また、開口部41の側面にも透明部材を設けると良い。
【0059】
これにより、透明部材40を介して、リモコン装置330の表面側、裏面側および側面側から太陽光や室内光等の外部光が入射するので、図2に示すように、色素増感太陽電池200の第1基板20側からの第1入射光(hνr)および第2基板22側からの第2入射光(hνf)の何れもが、多孔質半導体層12に到達することとなる。したがって、色素増感太陽電池200により、外部光を効率的に利用した発電を行ってリモコン装置330に電力を安定的に供給することができる。
【0060】
特に、テレビやビデオ装置等のリモコン装置330は、置き方によっては、操作ボタン36等が設けられた表側が例えばテーブルの天板等に面するような状態(所謂裏返しの状態)となることが間々ある。このような裏返し状態となった場合に、従来の太陽電池を搭載したリモコン装置330では、表面側に配置された太陽電池に光線が入射しなくなって発電ができない状態となり、例えば時計表示等を行う液晶表示部が電源不足によって正常な表示を行えない状態となったり、リモコン操作ができなくなることがあった。
【0061】
これに対して、本実施の形態に係るリモコン装置330では、少なくとも装置の表面または裏面から光線が入射すれば色素増感太陽電池200は発電機能を発揮するので、上述のような所謂裏返しの状態でリモコン装置330が置かれた場合であっても、安定して電力を供給することができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【0062】
なお、色素増感太陽電池200で発電された電力は、液晶部34に直接供給されるのではなく、一旦、バッテリーなどに蓄電された後、このバッテリーなどから供給される。
【0063】
図12に示すリモコン装置330の変形例では、透明部材40を省き、支持部38a、38bによって色素増感太陽電池200を支持する構成としている。なお、太陽電池部39の側部は筐体38の一部によって覆われている。
【0064】
図12に示すリモコン装置330では、太陽電池部39の表裏から入射する光線(hνf)、(hνr)によって色素増感太陽電池200は発電機能を発揮する。なお、2枚以上の色素増感太陽電池200を重ね合わせ、配線によって直列接続等するようにしてもよい。
【0065】
[第3の実施の形態]
(色素増感太陽電池を搭載した卓上デジタル時計)
図13を参照して、第3の実施の形態として、上述の第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200を搭載した卓上デジタル時計50の構成例について説明する。
【0066】
卓上デジタル時計50は、透明なアクリル板等で構成される側面形状が三角形の筐体54の一平面に、デジタル式の時計表示を行う時計部52と、色素増感太陽電池200が設けられている。
【0067】
色素増感太陽電池200は、筐体54に2ヶ所の開口部43が形成され、この各開口部43から色素増感太陽電池200が臨むように設けられている。
【0068】
図13に示す構成例では、各開口部43に取付けられる色素増感太陽電池200は、フレーム56を介して2つのセルが並設されている。特には限定されないが、色素増感太陽電池200の各セルは配線によって直列接続として、電圧および電流を稼ぐようにできる。
【0069】
卓上デジタル時計50が備える色素増感太陽電池200は、図13に示すように、正面側から入射する光線(hνf)および透明な筐体54を介して裏面側から入射する光線(hνr)の何れによっても発電機能を発揮することができる。
【0070】
したがって、卓上デジタル時計50を置く場所の自由度が高まると共に、外部光を有効に利用して時計部52に安定して電力を供給することができる。
【0071】
[第4の実施の形態]
(色素増感太陽電池を搭載したアナログ時計)
図14を参照して、第4の実施の形態として、上述の第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200を搭載したアナログ時計70の構成例について説明する。
【0072】
アナログ時計70は、金属板等で構成されるフレーム部材71に、アナログ式の時計部72と、色素増感太陽電池200が設けられている。
【0073】
色素増感太陽電池200は、フレーム部材71に3ヶ所の開口部44が形成され、この各開口部44から色素増感太陽電池200が臨むように設けられている。
【0074】
図14に示す構成例では、各開口部44に取付けられる色素増感太陽電池200は、フレーム56を介して2つのセルが並設されている。特には限定されないが、色素増感太陽電池200の各セルは配線によって直列接続として、電圧および電流を稼ぐようにできる。
【0075】
なお、符号73は、アナログ時計部72および色素増感太陽電池200を保護すると共に、アナログ時計70を縦置きにする際の脚となる透明なアクリル板等で構成される枠部材である。
【0076】
また、図14には表れないが、アナログ時計70の裏面は開放状態か、透明樹脂板で保護するようにし、色素増感太陽電池200には裏面側からも光線が入射するようになっている。
【0077】
アナログ時計70が備える色素増感太陽電池200は、正面側から入射する光線および開放状態の裏面側から入射する光線の何れによっても発電機能を発揮することができる。
【0078】
したがって、アナログ時計70を置く場所の自由度が高まると共に、外部光を有効に利用して時計部72に安定して電力を供給することができる。
【0079】
ここで、図15のグラフに、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200の発電特性の一例を示す。
【0080】
図15において「D」は色素増感太陽電池200の第1基板20側から1000lxの白色光を入射させた場合、「S」は第2基板22側から1000lxの白色光を入射させた場合の発電特性を示す。
【0081】
グラフを見ると分かるように、裏面からの入射によっても十分な発電をすることができることが分かる。また、条件を最適化することにより「S」の発電量を「D」にさらに近付けることができる。
【0082】
このように、第2の実施の形態に係るリモコン装置330、第3の実施の形態に係る卓上デジタル時計50、第4の実施の形態に係るアナログ時計70において、表面側の入射光のみでなく裏面側からの入射光を色素増感太陽電池200に照射できる構成としているので、片面照射に比してより大きな電力を得ることができ、各駆動部等に十分な電力を供給することが可能となる。
【0083】
[第5の実施の形態]
(色素増感太陽電池を搭載した電子手帳)
図16を参照して、第5の実施の形態として、上述の第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200を搭載した電子手帳80の構成例について説明する。
【0084】
電子手帳80は、各種入力を行う操作ボタン36や各種情報を表示する液晶部34を備える本体部80bと、本体部80bと蝶番部80cを介して開閉自在に取付けられる色素増感太陽電池200を備えた蓋部80aとから構成されている。
【0085】
蓋部80aには、蓋部80a自体を表裏に貫通する開口部45が形成され、この開口部45から色素増感太陽電池200が臨むように設けられている。
【0086】
なお、色素増感太陽電池200は、図13および図14で例示したように、複数のセルを接続した構成とすることもできる。
【0087】
電子手帳80が備える色素増感太陽電池200は、図16(a)に示すように蓋部80aを開いた状態においては、表裏両面から入射する光線の何れによっても発電機能を発揮し、本体部80bに安定した電力を供給することができる。
【0088】
一方、図16(b)に示すように蓋部80aを閉じた状態においても、色素増感太陽電池200は、表面側からの入射光によって発電機能を発揮し、例えば本体部80b側が備えるリチウムイオン電池等の二次電池を充電することができる。
【0089】
このように、第5の実施の形態に係る電子手帳80によれば、外部光を効率的に利用することができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【0090】
また、例えば、蓋部の両面に従来の太陽電池を配置する場合に比して、第5の実施の形態に係る電子手帳80は大型化することがなく、また一つの色素増感太陽電池200で足りるため製造コストを低減することができる。
【0091】
[第6の実施の形態]
(色素増感太陽電池を搭載した電子辞書)
図17を参照して、第6の実施の形態として、上述の第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200を搭載した電子辞書90の構成例について説明する。
【0092】
電子辞書90は、各種入力を行う操作ボタン36aおよび色素増感太陽電池200を備える本体部90bと、本体部90bと蝶番部90cを介して開閉自在に取付けられる各種情報を表示する液晶部34および色素増感太陽電池200を備えた蓋部90aとから構成されている。
【0093】
蓋部90aおよび本体部90bには、表裏に貫通する開口部46が形成され、この各開口部46から色素増感太陽電池200が臨むように設けられている。
【0094】
なお、色素増感太陽電池200は、図13および図14で例示したように、複数のセルを接続した構成とすることもできる。
【0095】
図17に示すように蓋部90aを開いた状態においては、蓋部90a側の色素増感太陽電池200は表裏両面から入射する光線の何れによっても発電機能を発揮し、また本体部90b側の色素増感太陽電池200は表面側から入射する光線によって発電機能を発揮する。したがって、液晶部34や本体部90bが備える演算装置等に安定した電力を供給することができる。
【0096】
一方、蓋部90aを閉じた状態においても、蓋部90a側の色素増感太陽電池200は、表面側からの入射光によって発電機能を発揮し、例えば本体部90b側が備える二次電池を充電することができる。
【0097】
また、例えば、蓋部90a側が下となるように電子辞書90が置かれた場合であっても、本体部90bの色素増感太陽電池200は、表面側からの入射光によって発電機能を発揮するので、例えば本体部90b側が備える二次電池を充電することができる。
【0098】
このように、第6の実施の形態に係る電子辞書90によれば、外部光を効率的に利用することができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【0099】
また、例えば、蓋部や本体の両面に従来の太陽電池を配置する場合に比して、第6の実施の形態に係る電子辞書90は大型化することがなく、また一つの色素増感太陽電池200で足りるため製造コストを低減することができる。
【0100】
なお、第6の実施の形態に係る電子辞書90の色素増感太陽電池200の配置の仕方は、同様の構造を備えるゲーム機器やノート型パソコン等の各種電子機器に適用することが可能である。
【0101】
ここで、図18〜図22を参照して、第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200で構成されるバッテリーセル(以下、単に「セル」と呼ぶ)の実施例について説明する。
【0102】
図18(a)は、3個のセルB1〜B3を形成した状態を示す。図18(a)の例では、面積の等しい3つのセルB1、B2、B3が同一基板内に設けられている。
【0103】
この3個のセルB1〜B3は図示しない配線によって、図18(b)に示すように直列接続される。
【0104】
なお、セルB1〜B3の総電圧Vは、V=V1+V2+V3となり、総電流量Iは、I=I1=I2=I3となる。
【0105】
図19は、5個のセルB1〜B5を並設した状態を示す。
【0106】
この5個のセルB1〜B5は配線によって、図19(b)に示すように直列接続される。
【0107】
セルB1〜B5の総電圧Vは、各セルB1〜B5の電圧の総和5Eとなる。
【0108】
図20は、n個のセルをタンデム構成に積層させた状態を模式的に示す。
【0109】
セルの総電圧Vは、各セルの電圧の総和nEとなる。
【0110】
図21は、n個のセルをタンデム構成に積層させたものを並列接続した状態を模式的に示す。
【0111】
セルの総電圧Vは、直列接続されたセルの電圧の総和nEとなる。
【0112】
[第7の実施の形態]
(色素増感太陽電池を備える入力装置)
図22を参照して、第7の実施の形態として、上述の第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200を備える入力装置6の構成例について説明する。
【0113】
表面型静電容量方式タッチパネルを備える入力装置6の模式的断面構造は、図22に示すように表される。
【0114】
第7の実施の形態に係る入力装置6において、図1に示すような第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200の第2基板22の上に設けられる表面型静電容量方式タッチパネル部は、基板210上に配置された透明電極256と、透明電極256上に粘着層58を介して配置された接触層260とを備える。
【0115】
接触層260には、カバーガラス若しくはPETフィルムを用いることができる。
【0116】
第7の実施の形態に係る入力装置6は、タッチパネルユニットの四隅にセンサ(図示省略)が設けられており、接触手段62によるシングルタッチをセンシングすることができる。
【0117】
第7の実施の形態に係る入力装置6は、表面型静電容量方式タッチパネルの表面側(操作面側)から入射される光線(hνf)は、表面型静電容量方式タッチパネルを透過して色素増感太陽電池200の多孔質半導体層12に到達して発電機能を発揮させる。
【0118】
また、色素増感太陽電池200の第1基板20側から入射する光線(hνr)によっても発電機能が発揮される。
【0119】
したがって、第7の実施の形態に係る入力装置6を各種電子機器に搭載して、この入力装置6の表裏から光線が入射可能な構成とすることにより、外部光を有効に利用して安定した電力を供給することができる。
【0120】
特に、表面型静電容量方式タッチパネルが常に露出した構成とされる電子機器にあっては、機器の使用時は勿論のこと、機器の未使用時においても表面型静電容量方式タッチパネルから入射する光線によって色素増感太陽電池200は発電機能を発揮し続けるので、例えばリチウムイオン電池等を常時充電することが可能となる。
【0121】
なお、色素増感太陽電池200の第1基板20側に有機EL等を用いたバックライト機構を設けるようにしてもよい。
【0122】
この場合には、バックライト機構から発せられる光線によって表面型静電容量方式タッチパネルの視認性を向上させると共に、色素増感太陽電池200の発電機能を発揮させて電力の一部を還元させることができる。
【0123】
[第8の実施の形態]
(色素増感太陽電池を備える入力装置)
図23を参照して、第8の実施の形態として、上述の第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200を備える入力装置6の構成例について説明する。
【0124】
投影型静電容量方式タッチパネルを備える入力装置6の模式的断面構造は、図23に示すように表される。
【0125】
第8の実施の形態に係る入力装置6において、図1に示すような第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200の第2基板22の上に設けられる投影型静電容量方式タッチパネル部は、基板210の発光面上に粘着層258aを介して配置された透明電極256aと、透明電極256a上に配置された支持基板264と、支持基板264上に配置された透明電極256bと、透明電極256b上に粘着層258bを介して配置された接触層260とを備える。
【0126】
支持基板264には、ガラスまたはPC板を適用することができる。接触層260には、カバーガラス若しくはPETフィルムを用いることができる。
【0127】
第8の実施の形態に係る入力装置6は、上下2枚の透明電極256b,256aがパターンを組んで構成され、接触手段62によるマルチタッチをセンシングすることができる。
【0128】
第8の実施の形態に係る入力装置6は、表面型静電容量方式タッチパネルの表面側(操作面側)から入射される光線(hνf)は、投影型静電容量方式タッチパネルを透過して色素増感太陽電池200の多孔質半導体層12に到達して発電機能を発揮させる。
【0129】
また、色素増感太陽電池200の第1基板20側から入射する光線(hνr)によっても発電機能が発揮される。
【0130】
したがって、第8の実施の形態に係る入力装置6を各種電子機器に搭載して、この入力装置6の表裏から光線が入射可能な構成とすることにより、外部光を有効に利用して安定した電力を供給することができる。
【0131】
特に、投影型静電容量方式タッチパネルが常に露出した構成とされる電子機器にあっては、機器の使用時は勿論のこと、機器の未使用時においても表面型静電容量方式タッチパネルから入射する光線によって色素増感太陽電池200は発電機能を発揮し続けるので、例えばリチウムイオン電池等を常時充電することが可能となる。
【0132】
なお、色素増感太陽電池200の第1基板20側に有機EL等を用いたバックライト機構を設けるようにしてもよい。
【0133】
この場合には、バックライト機構から発せられる光線によって投影型静電容量方式タッチパネルの視認性を向上させると共に、色素増感太陽電池200の発電機能を発揮させて電力の一部を還元させることができる。
【0134】
[第9の実施の形態]
(色素増感太陽電池を備える入力装置)
図24を参照して、第9の実施の形態として、上述の第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200を備える入力装置6の構成例について説明する。
【0135】
抵抗膜方式タッチパネルを備える入力装置6の模式的断面構造は、図24に示すように表される。
【0136】
第9の実施の形態に係る入力装置6において、図1に示すような第1の実施の形態に係る色素増感太陽電池200の第2基板22の上に設けられる抵抗膜方式タッチパネル部は、基板210上に粘着層258aを介して配置された下部電極板268と、下部電極板268上に配置された透明電極256aと、透明電極256a上に配置されたスペーサ270と、スペーサ270上に離隔され、かつ透明電極256a上に貼り合せ剤を介して配置された透明電極256aと、透明電極256b上に配置された上部電極板272と、上部電極板272上に粘着層258bを介して配置された接触層260とを備える。
【0137】
下部電極板268および上部電極板272には、PETフィルムまたはガラスを適用することができる。接触層260には、カバーガラス若しくはPETフィルムを用いることができる。
【0138】
第9の実施の形態に係る入力装置6は、上下2枚の透明電極256b,256aがパターンを組んで構成され、接触手段62によるタッチを抵抗膜の抵抗値によりセンシングすることができる。
【0139】
第9の実施の形態に係る入力装置6は、抵抗膜方式タッチパネルの表面側(操作面側)から入射される光線(hνf)は、抵抗膜方式タッチパネルを透過して色素増感太陽電池200の多孔質半導体層12に到達して発電機能を発揮させる。
【0140】
また、色素増感太陽電池200の第1基板20側から入射する光線(hνr)によっても発電機能が発揮される。
【0141】
したがって、第9の実施の形態に係る入力装置6を各種電子機器に搭載して、この入力装置6の表裏から光線が入射可能な構成とすることにより、外部光を有効に利用して安定した電力を供給することができる。
【0142】
特に、抵抗膜方式タッチパネルが常に露出した構成とされる電子機器にあっては、機器の使用時は勿論のこと、機器の未使用時においても抵抗膜方式タッチパネルから入射する光線によって色素増感太陽電池200は発電機能を発揮し続けるので、例えばリチウムイオン電池等を常時充電することが可能となる。
【0143】
なお、色素増感太陽電池200の第1基板20側に有機EL等を用いたバックライト機構を設けるようにしてもよい。
【0144】
この場合には、バックライト機構から発せられる光線によって抵抗膜方式タッチパネルの視認性を向上させると共に、色素増感太陽電池200の発電機能を発揮させて電力の一部を還元させることができる。
【0145】
例えば、図24に示すように、図21に示す第7の実施の形態に係る入力装置6において、色素増感太陽電池200の表裏を逆にした構成としても良い。
【0146】
即ち、色素増感太陽電池200の第1基板20の上に表面型静電容量方式タッチパネルを設けるようにできる。
【0147】
この構成によっても第7の実施の形態に係る入力装置6と同様の効果を得ることができる。
【0148】
また、例えば、図26に示すように、図23に示す第8の実施の形態に係る入力装置6において、色素増感太陽電池200の表裏を逆にした構成としても良い。
【0149】
即ち、色素増感太陽電池200の第1基板20の上に投影型静電容量方式タッチパネルを設けるようにできる。
【0150】
この構成によっても第8の実施の形態に係る入力装置6と同様の効果を得ることができる。
【0151】
さらに、例えば、図27に示すように、図24に示す第9の実施の形態に係る入力装置6において、色素増感太陽電池200の表裏を逆にした構成としても良い。
【0152】
即ち、色素増感太陽電池200の第1基板20の上に抵抗膜方式タッチパネルを設けるようにできる。
【0153】
この構成によっても第9の実施の形態に係る入力装置6と同様の効果を得ることができる。
【0154】
(電気二重層キャパシタ)
また、例えば、電気二重層キャパシタにおいて、活物質電極110,112の厚さを2μm以下または10nm以下とすることができる。
【0155】
図29は、電気二重層キャパシタ内部電極の基本構造を例示している。電気二重層キャパシタ内部電極は、少なくとも1層の活物質電極110,112に、電解液のイオンのみが通過するセパレータ130を介在させ、引き出し電極132a,132bが活物質電極110,112から露出するように構成され、引き出し電極132a,132bは電源電圧に接続されている。引き出し電極132a,132bは、例えば、アルミ箔から形成され、活物質電極110,112は、例えば、活性炭から形成される。セパレータ130は、活物質電極110,112全体を覆うように、活物質電極110,112よりも大きいもの(面積の広いもの)を用いる。セパレータ130は、エネルギーデバイスの種類には原理的に依存しないが、特にリフロー対応が必要とされる場合には、耐熱性が要求される。耐熱性が必要ない場合にはポリプロピレン等を、耐熱性が必要な場合にはセルロース系のものを用いることができる。電気二重層キャパシタ内部電極には、電解液が含侵されており、セパレータ130を通して、電解液のイオンのみが充放電時に移動する。
【0156】
(リチウムイオンキャパシタ)
図29は、リチウムイオンキャパシタ内部電極の基本構造を例示している。リチウムイオンキャパシタ内部電極は、少なくとも1層の活物質電極111,112に、電解液のイオンのみが通過するセパレータ130を介在させ、引き出し電極133a,132bが活物質電極110,112から露出するように構成され、引き出し電極133a,132bは電源電圧に接続されている。正極側の活物質電極112は、例えば、活性炭から形成され、負極側の活物質電極111は、例えば、Liドープカーボンから形成される。正極側の引き出し電極132bは、例えば、アルミ箔から形成され、負極側の引き出し電極133aは、例えば、銅箔から形成される。セパレータ130は、活物質電極111,112全体を覆うように、活物質電極111,112よりも大きいもの(面積の広いもの)を用いる。リチウムイオンキャパシタ内部電極には、電解液が含侵されており、セパレータ130を通して、電解液のイオンのみが充放電時に移動する。
【0157】
この構成において、活物質電極111,112の厚さを2μm以下または10nm以下とすることができる。
【0158】
(リチウムイオン電池)
図30は、リチウムイオン電池内部電極の基本構造を例示している。リチウムイオン電池内部電極は、少なくとも1層の活物質電極111,113に、電解液のイオンのみが通過するセパレータ130を介在させ、引き出し電極133a,132bが活物質電極111,113から露出するように構成され、引き出し電極133a,132bは電源電圧に接続されている。正極側の活物質電極113は、例えば、LiCoOから形成され、負極側の活物質電極111は、例えば、Liドープカーボンから形成される。正極側の引き出し電極132bは、例えば、アルミ箔から形成され、負極側の引き出し電極133aは、例えば、銅箔から形成される。セパレータ130は、活物質電極111,113全体を覆うように、活物質電極111,113よりも大きいもの(面積の広いもの)を用いる。リチウムイオン電池内部電極には、電解液が含侵されており、セパレータ130を通して、電解液のイオンのみが充放電時に移動する。
【0159】
この構成において、活物質電極111,113の厚さを2μm以下または10nm以下とすることができる。
【0160】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0161】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明の色素増感太陽電池およびこれを搭載した電子機器、入力装置は、電源として適用することによって、携帯通信機器、ゲーム機器など各種電子機器や様々なシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0163】
200…色素増感太陽電池
2…半導体微粒子
4…色素分子
6…入力装置
10…第1電極
12…多孔質半導体層
14…電荷輸送層(電解液)
16…封止材
18…第2電極
19…触媒層
20…第1基板
22…第2基板
26…酸化還元電解質
28…酸化還元電解質
30…色素分子
32…色素分子
34…液晶部
36…操作ボタン
36a…操作ボタン
38…筐体
38a…支持部
39…太陽電池部
40…透明部材
41〜46…開口部
50…卓上デジタル時計
52…時計部
54…筐体
56…フレーム
58…粘着層
62…接触手段
70…アナログ時計
71…フレーム部材
72…アナログ時計部
80…電子手帳
80a…蓋部
80b…本体部
80c…蝶番部
90…電子辞書
90a…蓋部
90b…本体部
90c…蝶番部
100…作用極
330…リモコン装置
B1〜B12…セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に配置された第1電極と、
前記第1電極上に配置され、半導体微粒子と色素分子を備える多孔質半導体層と、
前記多孔質半導体層と接し、酸化還元電解質を溶媒に溶解した電解液と、
前記電解液に接する第2電極と、
前記第2電極の前記電解液と接する側に形成され、酸化還元電解質に対する触媒活性を有する触媒層と、
前記第2電極上に配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板の間に配置され、前記電解液を封止する封止材と
を備え、
前記第1電極および前記第2電極は、透明電極で構成されたことを特徴とする色素増感太陽電池。
【請求項2】
前記封止材は透明樹脂で構成され、前記封止材側から入射する第3入射光が前記多孔質半導体層に到達するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池。
【請求項3】
前記多孔質半導体層は、TiO、ZnO、WO、InO、Nb、若しくはSnOの何れかで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感太陽電池。
【請求項4】
前記触媒層は、スパッタ成膜される白金で構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の色素増感太陽電池。
【請求項5】
前記触媒層は、印刷法で成膜される有機白金化合物で構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の色素増感太陽電池。
【請求項6】
前記触媒層は、炭素または導電性高分子で構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の色素増感太陽電池。
【請求項7】
前記多孔質半導体層の厚さは2μm以下、前記触媒層の厚さは10nm以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の色素増感太陽電池。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の色素増感太陽電池を電源として搭載することを特徴とする電子機器。
【請求項9】
機器の本体において表裏に貫通する1または2以上の開口部が形成され、前記各開口部から前記色素増感太陽電池が臨むように設けられていることを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
機器が備える開閉可能な蓋部に、表裏に貫通する1または2以上の開口部が形成され、前記各開口部に前記色素増感太陽電池が臨むように設けられていることを特徴とする請求項8または9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記各開口部に、前記色素増感太陽電池を保護する透明部材が設けられていることを特徴とする請求項9または10に記載の電子機器。
【請求項12】
機器が有する筐体の全部または一部が透明部材で構成され、前記透明部材を介して外部光が前記色素増感太陽電池に入射するように構成されていることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
請求項1〜7の何れか1項に記載の色素増感太陽電池を備えた入力装置であって、
前記色素増感太陽電池の前記第1基板側または前記第2基板側に入力用のタッチパネルが設けられたことを特徴とする入力装置。
【請求項14】
前記タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルであることを特徴とする請求項13に記載の入力装置。
【請求項15】
前記タッチパネルは、抵抗膜方式のタッチパネルであることを特徴とする請求項13に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−89527(P2013−89527A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230474(P2011−230474)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】