説明

色素増感太陽電池モジュール

【課題】光電変換効率の向上を図ることができる色素増感太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】増感色素を担持した酸化物半導体層13A,13Bが透明電極層12A,12Bに積層されてなる作用極11A,11Bと、該作用極11A,11Bにおける酸化物半導体層13A,13B側に対向して配置される対極14A,14Bと、これら作用極11A,11B及び対極14A,14Bの間に配置される電解質層15A,15Bとを有し、互いに積層される第1色素増感太陽電池セル10Aと第2色素増感太陽電池セル10Bを設ける。そして、これらの間に第2透明絶縁層32を配置し、該第2透明絶縁層32を貫通して第1色素増感太陽電池セル10Aと第2色素増感太陽電池セル10Bとを接続する貫通電極40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の色素増感太陽電池セルを積層してなる色素増感太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
色素増感太陽電池は、スイスのグレッツェルらのグループ等から提案されたもので、安価で高い変換効率を得られる光電変換素子として着目されている。
この色素増感太陽電池は、増感色素を担持させた酸化物半導体電極を透明電極層の一方の面に形成してなる作用極と、作用極の一方の面側に配置された対極と、これらの間に封入された例えばゲル状又は液状の電解質からなる電解質層を主な構成要素としている。そして、作用極の透明電極層側から入射した光が酸化物半導体電極の増感色素に吸収され、これに基いて増感色素から電子が放出されることで発電が行なわれるようになっている。
【0003】
ここで、例えば特許文献1には、上記色素増感太陽電池セルを複数積層し互いに電気的に接続することで、生産電力の向上を図ったタンデム型の色素増感太陽電池セル、即ち、色素増感太陽電池モジュールが開示されている。
この色素増感太陽電池モジュールでは、一の色素増感太陽電池セルの対極を基板の一方の面に形成するとともに、他の色素増感太陽電池セルの作用極を基板の他方の面に形成し、基板の側面に形成された透明導電層を外部配線として上記対極及び作用極を電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−130547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の色素増感太陽電池モジュールでは、各色素増感太陽電池セルで発生した電子を基板の側面まで一旦集電する必要があるため、電子の移動距離が長大化してしまう。その結果、電子の移動経路における電気抵抗が増加してしまい、色素増感太陽電池の光電変換効率が低下する。
一方、上記電気抵抗の低下を抑制すべく透明導電層の膜厚を増加させることが考えられる。ところが、この場合、光の透過率が減少してしまう結果、背面側の色素増感太陽電池セルに入射する光量が低下し、やはり光電変換効率の低下を招いてしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、光電変換効率の向上を図ることができる色素増感太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る色素増感太陽電池モジュールは、増感色素を担持した酸化物半導体層が透明電極層に積層されてなる作用極と、該作用極における前記酸化物半導体層側に対向して配置される対極と、これら作用極及び対極の間に配置される電解質層とを有し、互いに積層される複数の色素増感太陽電池セルと、互いに対向する一の前記色素増感太陽電池セルの対極と他の前記色素増感太陽電池セルの作用極との間に配置される透明絶縁層と、前記透明絶縁層を前記色素増感太陽電池セルの積層方向に貫通するように配置され、前記一の色素増感太陽電池セルの対極と前記他の色素増感太陽電池セルの作用極とを互いに電気的に接続する貫通電極と、を備えることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1において、前記一の色素増感太陽電池セルが、該一の色素増感太陽電池セルの前記増感色素から放出された電子を集電する集電配線を有し、該集電配線及び前記貫通電極が、前記積層方向に互いに重なるように配置されることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1又は2において、前記色素増感太陽電池セルが、前記作用極及び前記対極の外周側でこれら作用極及び対極の間に前記電解質層を封止する透明封止部をさらに有することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1から3のいずれかにおいて、前記他の色素増感太陽電池セルが、該他の色素増感太陽電池セルの前記増感色素から放出された電子を集電するとともに前記貫通電極に電気的に接続された集電配線と、該集電配線を前記他の色素増感太陽電池セルの電解質層から隔離する配線保護層とをさらに有することを特徴とする。
本発明の請求項5に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1から4のいずれかにおいて、前記一の色素増感太陽電池セルの前記増感色素の方が、前記他の色素増感太陽電池セルの前記増感色素よりも、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が小さく設定されていることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1から5のいずれかにおいて、互いに隣り合う前記貫通電極同士の離間距離の方が、これら貫通電極が接続する前記対極と前記作用極との対向距離よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の色素増感太陽電池によれば、透明絶縁層を間に介して配置された一対の色素増感太陽電池セルの作用極及び対極を貫通電極によって電気的に接続したため、これら作用極と対極との間の電子の移動経路を最短とすることができる。したがって、電気抵抗を最低限に抑えることができ、光電変換効率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る色素増感太陽電池モジュールの模式的な断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】N719及びN749の吸収スペクトルを示す波長とモル吸光係数との関係のグラフである。
【図4】NKX−2677及びNK−6037の吸収スペクトルを示す波長とモル吸光係数との関係のグラフである。
【図5】変形例の素増感太陽電池モジュールの模式的な断面図の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る色素増感太陽電池モジュール100について説明する。
図1に示すように、色素増感太陽電池モジュール100は、前面側(光入射側となる図1の上側)から背面側(図1の下側)に順次積層される第1色素増感太陽電池セル(一の色素増感太陽電池セル)10A及び第2色素増感太陽電池セル(他の色素増感太陽電池セル)10Bと、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側に配置された第1透明絶縁層31と、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bの間に配置された第2透明絶縁層(透明絶縁層)32と、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bを電気的に接続する貫通電極40とを備えている。
以下、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bが積層される方向(図1の上下方向)、即ち、光の入射側となる前面側と背面側とにわたる方向を、単に「積層方向」と称する。
【0011】
このような色素増感太陽電池モジュール100は、前面側から入射する光の一部を第1色素増感太陽電池セル10Aで吸収し、該第1色素増感太陽電池セル10Aを透過した光を第2色素増感太陽電池セル10Bで吸収することで第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bそれぞれで発電を行なうものである。
【0012】
(色素増感太陽電池セルの基本構成)
第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bは、それぞれ前面側に配置される作用極11A,11Bと、該作用極11A,11Bの背面側に配置される対極14A,14Bと、これら作用極11A,11B及び対極14A,14Bとの間に配置される電解質層15A,15Bと、電解質層15A,15Bを封止する透明封止部16A,16Bとをそれぞれ備えている。
【0013】
作用極11A,11Bは、透明電極層12A,12Bと、該透明電極層12A,12Bの背面側に配置された酸化物半導体層13A,13Bとを有している。
透明電極層12A,12Bは、光透過性及び導電性を有する材料、例えばTCO、ITO、SnO、フッ素ドープのSnO等から形成された部材であって、上記積層方向に直交する方向に延在するシート状をなしている。
【0014】
酸化物半導体層13A,13Bは、半導体多孔質膜に増感色素を担持させてなるものであって、透明電極層12A,12Bの背面側を向く面に互いに間隔をあけて複数が形成されている。半導体多孔質膜の材料としては、例えばTiO、SnO、WO、ZnO、Nb等が用いられる。なお、該半導体多孔質膜を形成する方法としては、例えばゾルゲル法からの膜形成、微粒子の泳動電着等の方法を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造等を配位子に含むルテニウム錯体、ポルフィリン、フタロシアニン等の含金属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、メロシアニン等の有機色素等も使用することができ、用途、使用半導体に適した励起挙動をとるものを特に限定無く選択することができる。
【0016】
対極14A,14Bは、導電性を有する材料から形成されたシート状の部材であって、作用極11A,11Bの背面側、即ち、酸化物半導体層13A,13B側に該作用極11A,11Bと間隔をあけた状態で上記透明電極層12A,12Bと平行に延在するように配置されている。
第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bのうち、前面側に配置された第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aは、背面側にも光を到達させるべく透明性を有しており、例えば上記透明電極層12A,12Bと同様、TCO、ITO、SnO、フッ素ドープのSnO等から形成されている。
また、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bのうち、背面側に配置された第2色素増感太陽電池セル10Bの対極14Bは、光透過性を必ずしも有する必要はないため、上記透明電極層12Bと同一の材料の他、チタンやステンレス等の金属箔から形成することができる。
【0017】
電解質層15A,15Bは、作用極11A,11Bと対極14A,14Bとの間の空間に充填されるように配置された液状又はゲル状をなす電解質から構成されており、該電解質としては例えばヨウ素・ヨウ化物イオン等の酸化・還元種を含む有機電解液が用いられる。この電解質層15A,15Bは、透明電極層12A,12B、酸化物半導体層13A,13B及び対極14A,14Bにそれぞれ接触している。
【0018】
透明封止部16A,16Bは、電解質層15A,15Bを作用極11A,11Bと対極14A,14Bとの間に封止する役割を有しており、作用極11A,11B及び対極14A,14Bの外周縁部の全周にわたるように配置されている。これにより、作用極11A,11B及び対極14A,14Bの外周側から上記電解質層15A,15Bを取り囲むことで、該電解質層15A,15Bを作用極11A,11B及び対極14A,14Bの間に液密に封止している。
【0019】
このような透明封止部16A,16Bは、外周側保護層18A,18Bと封止材17A,17Bとから構成されている。
外周側保護層18A,18Bは、作用極11A,11Bにおける透明電極層12A,12Bの背面側を向く面の外周縁部に一体に形成されており、例えばガラスペースト等の絶縁性及び光透過性を有する材料から構成されている。
封止材17A,17Bは、対極14A,14Bにおける前面側を向く面の外周縁部において、該対極14A,14Bと上記作用極11A,11Bとの間でこれら対極14A,14B及び作用極11A,11Bに密着するように介在されており、例えば光透過性を有する熱可塑性樹脂から構成されている。
このような外周側保護層18A,18B及び封止材17A,17Bからなる透明封止部16A,16Bによって、作用極11A,11Bと対極14A,14Bとが積層方向に間隔をあけた状態で配置される。そして、これら作用極11A,11Bと対極14A,14Bとの間に電解質層15A,15Bが注入されることで、作用極11A,11Bと対極14A,14Bとの間に電解質層15A,15Bを封止した第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bが構成される。
【0020】
次に、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bそれぞれの構成についてより詳細に説明する。
【0021】
(第1色素増感太陽電池セル)
第1色素増感太陽電池セル10Aは、上記作用極11A、対極14A、電解質層15A及び透明封止部16Aの他、前面側集電配線21、背面側集電配線22及び配線保護層23,24を備えている。
【0022】
第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21は、作用極11Aの透明電極層12Aにおける背面側を向く面に形成された例えば銀等の導電性金属からなる配線パターンである。この前面側集電配線21は、第1色素増感太陽電池セル10Aにおける各酸化物半導体層13Aの増感色素から放出されて透明電極層12Aに移動した電子を集電する役割を有している。
このような前面側集電配線21は、例えば互いに間隔をあけて平行に延在する複数の主配線21aと、これら主配線21aを互いに電気的に接続する接続配線を有している。また、前面側集電配線21は、主配線21a及び接続配線の少なくとも一方に接続されるとともに外周側保護層18A内を通過して第1色素増感太陽電池セル10Aの外周側を向く側面から外部に露出する導出配線21bを有している。
【0023】
第1色素増感太陽電池セル10Aの背面側集電配線22は、対極14Aの前面側を向く面に形成された例えば銀等の導電性金属からなる配線パターンである。この背面側集電配線22は、貫通電極40を介して第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aに移動してきた電子を集電して、対極14Aの全域に分散させる役割を有している。
このような背面側集電配線22は、例えば互いに間隔をあけて平行に延在する複数の主配線22aを有しており、これら主配線22aは図示しない接続配線によって互いに電気的に接続されている。
なお、前面側集電配線21の主配線21a及び接続配線及び背面側集電配線22の主配線22a及び接続配線は、積層方向に互いに重なるように配置されていることが好ましい。
【0024】
第1色素増感太陽電池セル10Aの配線保護層23,24は、該第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21と背面側集電配線22とをそれぞれ電解質層15Aから隔離する役割を有しており、これら前面側集電配線21及び背面側集電配線22を覆うことで電解質層15Aとの非接触状態を維持している。この配線保護層23,24は、上記外周側保護層18A同様、例えばガラスペースト等の絶縁性及び光透過性を備えた材料から構成されている。
なお、前面側集電配線21の導出配線21bにおける外周側保護層18Aを通過する部分は、該外周側保護層18Aに覆われているため、当該部分には配線保護層23は形成されていない。
【0025】
(第2色素増感太陽電池セル)
第2色素増感太陽電池セル10Bは、上記作用極11B、対極14B、電解質層15B及び透明封止部16Bの他、前面側集電配線25及び配線保護層26を備えている。
【0026】
第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25は、作用極11Bの透明電極層12Bにおける背面側を向く面に形成された例えば銀等の導電性金属からなる配線パターンである。この前面側集電配線25は、第2色素増感太陽電池セル10Bにおける各酸化物半導体層13Bの増感色素から放出されて透明電極層12Bに移動した電子を集電する役割を有している。
このような前面側集電配線25は、例えば互いに間隔をあけて平行に延在する複数の主配線25aを有しており、これら主配線25aは図示しない接続配線によって互いに電気的に接続されている。
また、第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25は、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21及び背面側集電配線22と互いに積層方向に重なるように配置されていることが好ましい。
【0027】
第2色素増感太陽電池セル10Bの配線保護層26は、前面側集電配線25を電解質層15Bから隔離する役割を有しており、第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25の全域を覆うことで電解質層15Bとの非接触状態を維持している。この配線保護層26は、上記同様、例えばガラスペースト等の絶縁性及び光透過性を備えた材料から構成されている。
【0028】
(第1透明絶縁層、第2透明絶縁層)
第1透明絶縁層31及び第2透明絶縁層32は、積層方向に直交する方向に延在する板状の部材であって、例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン等の光透過性及び絶縁性を有する材料から構成されている。
【0029】
第1透明絶縁層31は、色素増感太陽電池モジュール100の最前面側、即ち、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側に配置されている。この第1透明絶縁層31の背面側を向く面は、第1色素増感太陽電池セル10Aにおける作用極11Aの前面側を向く面と互いに密着した状態で固定されている。
【0030】
また、第2透明絶縁層32は、第1色素増感太陽電池セル10Aと第2色素増感太陽電池セル10Bとの間に介在されるように配置されている。この第2透明絶縁層32の前面側の面は、第1色素増感太陽電池セル10Aにおける対極14Aの背面側を向く面と互いに密着した状態で固定されている。また、第2透明絶縁層32の背面側の面は、第2色素増感太陽電池セル10Bにおける作用極11Bの前面側を向く面と互いに密着した状態で固定されている。
このような第2透明絶縁層32によって、第1色素増感太陽電池セル10Aと第2色素増感太陽電池セル10Bとが絶縁状態で離間配置されている。
【0031】
これによって、色素増感太陽電池モジュール100では、前面側から背面側に向かって第1透明絶縁層31、第1色素増感太陽電池セル10A、第2透明絶縁層32及び第2色素増感太陽電池セル10Bが順次積層された構造をなしている。
【0032】
(貫通電極)
貫通電極40は、第2透明絶縁層32によって絶縁状態とされた第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aと第2色素増感太陽電池セル10Bの作用極11Bとを電気的に接続する役割を有している。
この貫通電極40は、第2透明絶縁層32を積層方向に直線状に貫通するように延在する例えば銀や銅からなる導線状の部材であって、積層方向に直交する方向に間隔をあけて複数設けられている。なお、該貫通電極40におけるその延在方向に直交する断面形状は、例えば円形に形成されていることが好ましく、多角形状や楕円形状であってもよい。
【0033】
本実施形態では、貫通電極40の前面側の端部は、第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aを貫通することで、該対極14Aに加えて第1色素増感太陽電池セル10Aの背面側集電配線22における主配線22aにも直接的に接続されている。また、貫通電極40の背面側の端部は、第2色素増感太陽電池セル10Bの作用極11Bにおける透明電極層12Bを貫通することで、該透明電極層12Bに加えて第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25における主配線25aにも直接的に接続されている。
【0034】
ここで、本実施形態では、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21及び背面側集電配線22、第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25が、それぞれ積層方向に重なり合うように配置されている。したがって、第1色素増感太陽電池セル10Aの背面側集電配線22及び第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25に両端が接続されるように積層方向に延在する貫通電極40は、これら前面側集電配線21,25及び背面側集電配線22と積層方向に互いに重なり合うように配置されている。
【0035】
また、本実施形態では、図2に示すように、互いに隣り合う貫通電極40の離間距離W、即ち、貫通電極40同士における積層方向に直交する方向の間隔Wは、これら貫通電極40が接続する対極14Aと作用極11Bとの対向距離H、即ち、第2透明絶縁層32の厚さ(積層方向の寸法)Hよりも大きく設定されていることが好ましい。
さらに、図2に示すように、貫通電極40の径D、即ち、貫通電極40におけるその延在方向に直交する方向の寸法Dは、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21及び背面側集電配線22の幅W、即ち、前面側集電配線21及び背面側集電配線22におけるこれらの延在方向に直交し、かつ、上記積層方向に直交する方向の寸法Wよりも小さく設定されていることが好ましい。
【0036】
このような貫通電極40を形成する際には、穴加工工具を用いた機械加工を施すことによって、第2透明絶縁層32を積層方向に直線状に貫通する孔部を形成する。次いで、該孔部に銀や銅を含む導電性ペーストを充填し、その後、該導電性ペーストに加熱処理を施す。これによって、導電性ペーストが熱硬化して貫通電極40となる。
なお、貫通電極40の製法としては当該方法に限定されず、第2透明絶縁層32を貫通して第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aと第2色素増感太陽電池セル10Bの作用極11Bとを接続可能であれば、他の方法であってもよい。
【0037】
ここで、本実施形態では、前面側に配置される第1色素増感太陽電池セル10Aにおける酸化物半導体層13Aの増感色素の方が、背面側に配置される第2色素増感太陽電池セル10Bにおける酸化物半導体層13Bの増感色素よりも、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が小さく設定されていることが好ましい。
なお、「吸収スペクトルの長波長側の末端の波長」とは、長波長側に向かうほど小さくなるモル吸光係数の値が、100M−1cm−1に到達したときの波長数のことを示す。
【0038】
このような増感色素の組合せとして、第1色素増感太陽電池セル10Aの増感色素をN719とし、第2色素増感太陽電池セル10Bの増感色素をN749とした場合が挙げられる。これらN719及びN749の吸収スペクトルを示す波長とモル吸光係数の関係のグラフを図3に示す。
【0039】
N719及びN749の組み合わせでは、図3のグラフからも分かるように、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が小さいN719は、可視光波長領域における短波長側の光を吸収し易い一方、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が大きいN749は、可視光波長領域における長波長側の光を吸収し易い。
【0040】
また、上記増感色素の組み合わせとして、N719及びN749の他、第1色素増感太陽電池セル10Aの増感色素をNKX−2677とし、第2色素増感太陽電池セル10Bの増感色素をNK−6037とした場合が挙げられる。これらNKX−2677及びNK−6037における吸収スペクトルを示す波長とモル吸光係数との関係のグラフを図4に示す。
【0041】
NKX−2677及びNK−6037の組み合せでは、図4のグラフからも分かるように、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が小さいNKX−2677は、可視光波長領域における短波長側の光を吸収し易い一方、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が大きいNK−6037は、可視光波長領域における長波長側の光を吸収し易い。
【0042】
なお、本実施形態では、増感色素の組み合わせとして、N719及びN749の組み合わせ、NKX−2677及びNK−6037の組み合わせについて示したが、第1色素増感太陽電池セル10Aの増感色素の方が第2色素増感太陽電池セル10Bの増感色素よりも吸収スペクトルの長波長側の末端の波長は小さくなる組み合わせならば、いかなる増感色素を採用してもよい。即ち、第1色素増感太陽電池セル10Aの増感色素が可視光波長領域における短波長側の光を吸収し易く、第2色素増感太陽電池セル10Bの増感色素が可視光波長領域における長波長側の光を吸収し易く設定されていればよい。
【0043】
次に、この色素増感太陽電池モジュール100の動作について説明する。
前面側から第1透明絶縁層31に入射して第1色素増感太陽電池セル10Aの作用極11Aに到達した光は、該作用極11Aの透明電極層12Aを透過して酸化物半導体層13Aに入射する。こうして第1色素増感太陽電池セル10Aの酸化物半導体層13Aに入射した光の一部は、該酸化物半導体層13Aの増感色素を励起して該増感色素から電子を放出させる。この電子は速やかに該酸化物半導体層13Aの半導体多孔質膜を経由して透明電極層12Aに移動する。そして、電子は、該透明電極層12Aの全域から前面側集電配線21により集電された後、該前面側集電配線21の導出配線21bを介して第1色素増感太陽電池セル10Aの側面から外部へと導かれる。
【0044】
一方、電子を失った第1色素増感太陽電池セル10Aの増感色素は、第1色素増感太陽電池セル10Aの電解質層15Aのヨウ化イオンから電子を受け取り、電子を渡した該ヨウ化物イオンは還元されて三ヨウ化物イオンとなる。
【0045】
また、第1色素増感太陽電池セル10Aの増感色素に吸収されることなく背面側へと通過した光は、第1色素増感太陽電池セル10Aの電解質層15A及び対極14Aを通過して、第2透明絶縁層32に入射する。このように第2透明絶縁層32に入射した光は、該第2透明絶縁層32を通過した後、第2色素増感太陽電池セル10Bの作用極11Bに入射し、該作用極11Bの透明電極層12Bを透過して酸化物半導体層13Bに入射する。第2色素増感太陽電池セル10Bの酸化物半導体層13Bに入射した光は、該酸化物半導体層13Bの増感色素を励起して該増感色素から電子を放出させる。
【0046】
この電子は速やかに該酸化物半導体層13Bの半導体多孔質膜を経由して透明電極層12Bに移動し、その後、該透明電極層12Bから直接的に、又は、該透明電極層12B全域から前面側集電配線25による集電を介して、貫通電極40に導かれる。そして、電子は貫通電極40を介して前面側に向かって移動することで、該貫通電極40から第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aに移動し、又は、第1色素増感太陽電池セル10Aの背面側集電配線22を介して対極14Aの全域に分散されるように移動する。そして、これら電子は、第1色素増感太陽電池セル10Aの電解質層15Aにおける三ヨウ化物イオンを酸化させてヨウ化物イオンとする。
【0047】
一方、電子を失った第2色素増感太陽電池セル10Bの増感色素は、第2色素増感太陽電池セル10Bの電解質層15Bのヨウ化イオンから電子を受け取り、電子を渡したヨウ化物イオンは還元されて三ヨウ化物イオンとなる。この三ヨウ化物イオンは、外部から第2色素増感太陽電池10Bの対極14Bに供給される電子を受け取り、該電子によって酸化されることでヨウ化物イオンとなる。
【0048】
このようにして、本実施形態の色素増感太陽電池モジュール100では、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bでそれぞれ電子の放出、即ち、発電が行なわれ、これらが直列的に接続されているため、第1色素増感太陽電池セル10A又は第2色素増感太陽電池セル10Bそれぞれ単独の場合に比べて、生産電力の向上を図ることができる。
【0049】
以上のような色素増感型太陽電池モジュールによれば、第2透明絶縁層32を間に介して配置された第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aと第2色素増感太陽電池セル10Bの作用極11Bとを、第2透明絶縁層32を積層方向に貫通する貫通電極40によって電気的に接続したため、これら対極14A及び作用極11Aの間の電子の移動経路を最短とすることができる。
【0050】
即ち、例えば貫通電極40を設けずに第2透明絶縁層32の外周側の側面を経由する外部配線によって第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bを電気的に接続した場合、電子の移動経路を第2透明絶縁層32の側面に集電させる分だけ、移動経路の長大化を招いてしまう。これに対して、本実施形態では、第1色素増感太陽電池セル10Aと第2色素増感太陽電池セル10Bとを、積層方向に直交する方向の任意の箇所において最短距離で電気的に接続することができるため、電子の移動経路の長大化による電気抵抗の増加を回避することができる。これによって、色素増感太陽電池モジュール100全体の内部抵抗の減少を図ることができるため、色素増感太陽電池モジュール100の光電変換効率を向上させることが可能となる。
【0051】
また、本実施形態では、第1色素増感太陽電池セル10Aが前面側集電配線21を有するため、該第1色素増感太陽電池セル10Aにおける酸化物半導体層13Aの増感色素から放出された電子を、透明電極層12Aの全域から効率的に集電することができる。さらに、第1色素増感太陽電池セル10Aは、背面側集電配線22を有するため、貫通電極40を介して第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aに移動した電子を効率的に集電して、電解質層15Aの積層方向に直交する方向の全域に分散させることができる。そして、これら前面側集電配線21及び背面側集電配線22は、それぞれ配線保護層23,24により電解質層15Aと隔離されているため、該電解質層15Aとの接触によるこれら前面側集電配線21,25及び背面側集電配線22の腐食を回避することができる。
【0052】
また、貫通電極40は、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21及び背面側集電配線22と互いに積層方向に重なり合うように配置されているため、これらが積層方向に重ならないように配置されている場合に比べて、色素増感太陽電池セルとしての開口率を高く確保することができる。したがって、貫通電極40を設けながら開口率の低下を回避することができるため、光電変換効率をより一層向上させることが可能となる。
【0053】
また、貫通電極40の径Dを、該貫通電極40が接続される第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21及び背面側集電配線22の幅Wよりも小さく設定した場合には、積層方向から見た場合に貫通電極40がこれら前面側集電配線21及び背面側集電配線22の面積内に収まるため、貫通電極40による開口率の低下を確実に回避することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bの外周側にそれぞれ外周側保護層18A,18B及び封止材17A,17Bからなる透明封止部16A,16Bを有しているため、作用極11A,11Bと対極14A,14Bとの間の電解質層15A,15Bの液漏れを確実に防止できる。
また、透明封止部16A,16Bは光透過性を有しているため、色素増感太陽電池モジュール100の側面側から透明封止部16A,16Bに入射した光を、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bそれぞれの酸化物半導体層13A,13Bの発電に寄与させることができる。これによって、光電変換効率をより一層向上させることが可能となる。
【0055】
また、透明封止部16A,16Bから入射する光のうち、背面側に向かって傾斜して入射する光の一部は、第1色素増感太陽電池セル10Aの酸化物半導体層13Aで吸収されることなく、第2色素増感太陽電池セル10Bの酸化物半導体層13Bに入射する。
ここで、色素増感太陽電池モジュール100では、前面側に位置する第1色素増感太陽電池セル10Aと背面側に位置する第2色素増感太陽電池セル10Bとの出力電圧をほぼ同等とすることが好ましい。ところが、前面側からの光は、第1色素増感太陽電池セル10Aを通過した後に第2色素増感太陽電池セル10Bに入射されるため、第2色素増感太陽電池セル10Bの出力電流の方が第1色素増感太陽電池セル10Aの出力電流に比べて低下する傾向がある。
【0056】
これに対して、本実施形態では、上記のような透明封止部16A,16Bにより、色素増感太陽電池モジュール100の側面側から入射した光の一部を第1色素増感太陽電池セル10Aの酸化物半導体層13Aを経由することなく第2色素増感太陽電池セル10Bに入射させることができるため、第2色素増感太陽電池セル10Bの出力電流の向上を図ることができる。これによって、第1色素増感太陽電池セル10Aと第2色素増感太陽電池セル10Bの出力電流の均等化を図ることが可能となる。
【0057】
さらに、本実施形態では、第2色素増感太陽電池セル10Bが前面側集電配線25を有するため、第2色素増感太陽電池セル10Bにおける酸化物半導体層13Bの増感色素から放出された電子を、透明電極層12Bの全域から効率的に集電し、該電子を貫通電極40に導くことができる。また、この前面側集電配線25は、配線保護層26により電解質層15Bと隔離されているため、該電解質層15Bとの接触による該前面側集電配線25の腐食を回避することができる。
【0058】
ここで、このように第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25を覆う配線保護層26を設けた場合、第2色素増感太陽電池セル10Bにおける酸化物半導体層13Bの配置スペースが減少するため、該酸化物半導体層13Bに入射する光の総量が減少してしまうとも考えられる。
これに対して本実施形態においては、特に貫通電極40の材料として光散乱性の高い銀等を用いた場合、該貫通電極40が第2透明絶縁層32を透過する光を散乱させることで、酸化物半導体層13Bに入射する光を増加させることができる。さらに、貫通電極40がなければ配線保護層26に直接的に入射するであろう光を該貫通電極40が散乱させて酸化物半導体層13Bに入射させることで、光電変換効率をより一層向上させることが可能となる。
【0059】
また、第1色素増感太陽電池セル10Aの増感色素として可視光波長領域における短波長側の光を吸収し易いものを採用し、第2色素増感太陽電池セル10Bの増感色素として可視光波長領域における長波長側の光を吸収し易いもの採用した場合、即ち、第1色素増感太陽電池セル10Aの増感色素の方が第2色素増感太陽電池セル10Bの増感色素に比べて吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が小さい場合には、以下のような作用効果を生ずる。
【0060】
即ち、この場合、前面側から入射する光のうち、短波長成分が第1色素増感太陽電池セル10Aの酸化物半導体層13A,13Bで吸収され、長波長成分が第2色素増感太陽電池セル10Bの酸化物半導体層13A,13Bで吸収される。したがって、第1色素増感太陽電池セル10Aと第2色素増感太陽電池セル10Bとの吸収波長領域が互いに異なるものとなるため、第1色素増感太陽電池セル10Aの存在による第2色素増感太陽電池セル10Bの発生電流の低下を回避することができ、これら第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bの出力電流の均等化を図ることが可能となる。
【0061】
また、光の性質上、短波長成分よりも長波長成分の方が散乱されにくいため、第1色素増感太陽電池セル10Aを通過して第2透明絶縁層32に入射した光は、該第2透明絶縁層32での散乱の影響を受けにくいものとなる。したがって、第2透明絶縁層32での光のエネルギー損失を抑えることができる結果、第2色素増感太陽電池セル10Bの酸化物半導体層13Bに高エネルギーの光を入射させることができ、光電変換効率の向上を図ることが可能となる。
【0062】
さらに、互いに隣り合う貫通電極40同士の離間距離Wの方が、これら貫通電極40が接続する対極14Aと作用極11Aとの対向距離Hよりも大きい場合には、色素増感太陽電池モジュール100としての開口率を大きく設定することができる。したがって、発電に寄与する光の量を大きくすることができ、光電変換効率の向上を図ることが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0064】
例えば、実施形態では第1色素増感太陽電池セル10Aに前面側集電配線21及び背面側集電配線22を配置し、第2色素増感太陽電池セル10Bに前面側集電配線25を配置した場合について説明したが、これに限定されることはなく、図5に示すように、第1色素増感太陽電池セル10Aの背面側集電配線22及び第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25は設けない構成であってもよい。
【0065】
この構成の場合も、貫通電極40は、第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14A,14B及び第2色素増感太陽電池セル10Bの作用極11A,11Bの透明導電層に接続されているため、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bを互いに電気的に接続することができる。
なお、この場合であっても、開口率を確保すべく第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21と貫通電極40とは、積層方向に互いに重なるように配置されていることが好ましい。
【0066】
また、実施形態では、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bの2つの色素増感太陽電池セルを用いて色素増感太陽電池モジュール100を構成した例について説明したが、これに限定されることはなく、3つ以上の複数の色素増感太陽電池セルを用いて色素増感太陽電池モジュールを構成してもよい。この場合、複数の色素増感太陽電池セルのうち少なくとも一対の色素増感太陽電池セルの間に透明絶縁層が配置され、該透明絶縁層に貫通電極が設けられていればよい。
【0067】
さらに、実施形態における透明封止部16A,16Bは、それぞれ光透過性を有する透明封止部16A,16B及び外周側保護層18A,18Bから構成されているものとしたが、必ずしも光透過性を有する部材から構成されている必要はない。即ち、透明封止部16A,16Bは、少なくとも作用極11A,11Bと対極14A,14Bとの間に電解質層15A,15Bを封止する役割を担っていればよく、光透過性を有しない封止部であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10A…第1色素増感太陽電池セル(一の色素増感太陽電池セル),10B…第2色素増感太陽電池セル(他の色素増感太陽電池セル),11A,11B…作用極,12A,12B…透明電極層,13A,13B…酸化物半導体層,14A,14B…対極,15A,15B…電解質層,16A,16B…透明封止部,17A,17B…封止材,18A,18B…外周側保護層,21…前面側集電配線(集電配線),21a…主配線,21b…導出配線,22…背面側集電配線,22a…主配線,23…配線保護層,24…配線保護層,25…前面側集電配線(集電配線),25a…主配線,26…配線保護層,31…第1透明絶縁層,32…第2透明絶縁層(透明絶縁層),40…貫通電極,100…色素増感太陽電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増感色素を担持した酸化物半導体層が透明電極層に積層されてなる作用極と、該作用極における前記酸化物半導体層側に対向して配置される対極と、これら作用極及び対極の間に配置される電解質層と、を有し、互いに積層される複数の色素増感太陽電池セルと、
互いに対向する一の前記色素増感太陽電池セルの対極と他の前記色素増感太陽電池セルの作用極との間に配置される透明絶縁層と、
前記透明絶縁層を前記色素増感太陽電池セルの積層方向に貫通するように配置され、前記一の色素増感太陽電池セルの対極と前記他の色素増感太陽電池セルの作用極とを互いに電気的に接続する貫通電極と、を備えることを特徴とする色素増感太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記一の色素増感太陽電池セルが、
該一の色素増感太陽電池セルの前記増感色素から放出された電子を集電する集電配線を有し、
該集電配線及び前記貫通電極が、前記積層方向に互いに重なるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記色素増感太陽電池セルが、
前記作用極及び前記対極の外周側でこれら作用極及び対極の間に前記電解質層を封止する透明封止部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記他の色素増感太陽電池セルが、
該他の色素増感太陽電池セルの前記増感色素から放出された電子を集電するとともに前記貫通電極に電気的に接続された集電配線と、
該集電配線を前記他の色素増感太陽電池セルの電解質層から隔離する配線保護層と、をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記一の色素増感太陽電池セルの前記増感色素の方が、前記他の色素増感太陽電池セルの前記増感色素よりも、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が小さく設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池モジュール。
【請求項6】
互いに隣り合う前記貫通電極同士の離間距離の方が、これら貫通電極が接続する前記対極と前記作用極との対向距離よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98005(P2013−98005A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239730(P2011−239730)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】