説明

色素沈着の調節化合物

本発明は、一般式(I)の化合物



[式中、Xは、O又はSからなる群から選択され、Rは、2〜23個の炭素原子(C〜C23)を有する直鎖状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和脂肪族基、又は環式基であり、これらの基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルキルスルホニル、又はハロゲン原子からなる群から選択される置換基を含有することができる]、前記化合物を得る方法、前記化合物を含有する化粧品又は医薬品組成物、並びに皮膚、髪、及び/又は爪、好ましくはメラニン形成の調節が必要である皮膚、髪、及び/又は爪の病態、障害、又は病状を治療、ケア、及び/又は洗浄するための前記組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン、及びこれらの化合物を含有する、皮膚、髪、及び/若しくは爪の治療、ケア、及び/若しくは洗浄、好ましくは皮膚及び髪の色素沈着の程度の減弱、又は爪表面の斑点の治療、或いは皮膚、髪、及び爪の光防護のための化粧品又は医薬品組成物に関する。
【0002】
[発明の背景]
自然の皮膚色素沈着を変更することは、米国、アジア、又は欧州の多くの人々にとっていくつかの理由で望ましいことである。自然の皮膚色を変更する理由の一部としては、美の典型としてより明るい皮膚の探求、及びそばかす又は黒子など皮膚表面の斑点の除去又は減弱が挙げられる。
【0003】
外部からの有害作用、紫外線への曝露、炎症、ホルモン攪乱、妊娠(肝斑)、光老化、又は老化によるメラニン生成機序における機能不全としては、色素沈着増加、及び褐斑、特にそばかす又は日光性若しくは老人性黒子の形の褐斑の出現が挙げられる。
【0004】
皮膚及び髪の色は、メラノサイトによって行われる一連の細胞過程によるものである。メラノサイトは、神経外胚葉由来の細胞であり、人種にかかわらず、基底細胞10個に付きメラノサイト約1個の割合で、樹状突起によって表皮の基底層の細胞に結合している。メラノサイトの主な機能は、細胞間及びホルモン相互作用により、メラニンを合成することである。
【0005】
メラニンは、皮膚、髪、眼、及びある種の神経細胞に見られる暗色色素であり、紫外線の有害作用から体を保護する。メラニン色素には、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類が存在する。ユーメラニンは黒色であり、フェオメラニンは赤色と黄色の間のより明るい色である。皮膚及び髪の色調は、色素のどちらかの種類の割合によって決まる。これらの色素は、メラノサイトの細胞質中のメラノソームに蓄積し、メラノソームによって樹状突起に運ばれ、基底細胞の細胞質に注入される。したがって、メラニンは表皮の基底層に均質に分布し、皮膚色素沈着が均一になる[Hearing V.J.、(1999年)、「Biochemical control of melanogenesis and melanosomal organization」、J.Invest.Dermatol.Symp.Proc.、4巻:24〜28ページ]。同様に、髪の色は、髪の茎部の皮質に存在するメラニンの量及び質に依存する。前記メラニンは、毛根の基部に存在するメラノサイトによって生成され、遺伝、ホルモン、栄養などの因子に依存する。年を重ねるにつれて、メラノサイト活性が低下するため、髪のメラニン量は低下し、髪の白化(白髪)の理由となる。
【0006】
したがって、ヒトの皮膚及び髪の色は、これらのメラノソームのサイズ、配置、種類、色、及び分布に直接関係している。メラノソームは、とりわけ、酵素のチロシナーゼとの相互作用の生成物であるメラニン及びメラニンタンパク質によって構成される。チロシナーゼは、メラノソームの膜に存在する糖タンパク質であり、色素の生成における最初のステップ、即ちアミノ酸のチロシンをオルトヒドロキシル化して、L−ドーパを産生するステップ、及びL−ドーパを酸化して、ドーパキノンを産生するステップに触媒作用を及ぼす[Hearing V.G.及びTsukamoto K.(1991年)、「Enzymatic control of pigmentation in mammals」、FASEB J.、5巻:2902〜2909ページ]。
【0007】
メラノソーム内部のシステインのレベル及び/又はスルフヒドリル基を有する化合物のレベルに応じて、ドーパキノンは、ユーメラニン形成又はフェオメラニン形成過程で反応する。システインのレベルが低い場合、ドーパキノンは、自動酸化過程でユーメラニンに変換される。システインのレベルが高い場合、ドーパキノンはシステインと結合して、システイニルドーパを形成し、引き続いて修飾を受けて、フェオメラニンが生成される。
【0008】
皮膚のメラニン色素沈着は、いくつかの原因因子に分けることができる:1)紫外線への曝露なしに遺伝的プログラムに従って生成された皮膚メラニン(構成的皮膚色)、及び2)皮膚の紫外線への直接曝露によって誘導される即時型及び遅延型日焼け反応(条件的皮膚色)。条件的色の変化は、日光とホルモンと日焼け能力との相互作用の結果であり、日焼け能力は、各個体の遺伝子構成に依存する。
【0009】
ヒトはすべて、皮膚と髪の色にかかわらず、所与の解剖学的領域中にほぼ同じ量の表皮メラノサイトを有する。民族の色の差は、メラノソームの特性の差によるものであって、メラノサイトの量によるものではない。メラノサイト分布は、皮膚において均一でないこと、及び非曝露領域に比べて曝露領域においてメラノサイトの数が約2倍であることも考慮に入れなければならない。
【0010】
人生全体にわたって、皮膚色の明らかな変化が起き、したがって、例えば老化のはっきりとした徴候である皮膚の斑点が、高齢者の顔、首、首周り、及び手の皮膚に現れる[Pierard G.E.、Pierard−Franchimont C.、Laso Dosal F.、Ben Mosbah T.、Arrese Estrada J.、Rurangirwa A.、Dowlati A.、及びVardar M.、(1991年)、「Pigmentary changes in skin senescence」、J.Appl Cosmetol.、巻:57〜63ページ]。この年齢依存性表皮メラノサイトの数の変化は、皮膚の非曝露領域においては人生10年ごとに最高10%の低下として定量化された。曝露領域においては、メラノサイト集団における紫外線の刺激効果のため、メラノサイトの数の低下はより少ない。さらに、紫外線への過剰曝露を継続すると、皮膚の老化が加速される。これは、光老化と呼ばれ、皮膚の紫外線過剰曝露領域における斑点の発生を含めて、かなり早い年齢での皮膚老化の徴候の発生を特徴とする[Stefanaki C.、Stratigos A.、及びKatsambas A.、(2005年)、「Topical retinoids in the treatment of photoaging」、J.Cosmet Dermatol.、4巻:130〜134ページ]。
【0011】
個体の皮膚のある領域ではその周囲領域より、メラノサイト中のメラニン密度が高く、その結果個体では、患部の色は残部の色より濃いことがしばしば生じる。これらの領域は、色素沈着増加領域と呼ばれる。色素沈着増加の原因の一部としては、ホルモンの変化、肝斑、黒子、まだら症、アジソン病、放射線の作用を好む物質(光毒素)による紫外線過敏症、又は炎症性病変に起因する色素沈着増加が挙げられる。アクネ、湿疹、瘢痕、又は脱毛に関連する斑点は、この後者のタイプの色素沈着増加に属し、これらの斑点は、数年さえも続くことがあり得る。
【0012】
個体の皮膚には、周囲領域よりメラニン密度が低い領域も存在する。前記タイプの低色素性斑点は、白斑と呼ばれる[Dooley T.P.、(1994年)、「Recent advances in cutaneous melanoma oncogenesis research」、Onco.Res.6巻:1〜9ページ;Benmaman O.及びSanchez J.L.、(1988年)、「Treatment and camouflaging of pigmentary disorders」、Clin.Dermatol.、6巻:50〜61ページ;Schallreuter K.U.、(1997年)、「Epidermal adrenergic signal transduction as part of the neuronal network in the human epidermis」、J.Invest.Dermatol.、2巻:37〜40ページ]。白斑患部の色素沈着を局所適用で回復することができれば望ましいが、この手法は、白斑の対象者の大部分において極めて困難である。UVA線による光線療法、又は患部のジヒドロキシアセトンローションによる美容メーキャップの使用[Benmaman O.及びSanchez J.L.、(1988年)、「Treatment and camouflaging of pigmentary disorders」、Clin.Dermatol.、6巻:50〜61ページ]の代替策は、非患部の周囲皮膚の色素沈着の程度を低減させて、患部と非患部の領域間のコントラストを低減させることである。
【0013】
皮膚色素沈着の不規則は、環境因子への曝露によって引き起こされることもあり得る。皮膚、特に白人の皮膚の紫外線、特に具体的にはUVBへの曝露によって、内因性チロシナーゼの合成が促進され、メラニン形成が増加し、したがって皮膚が日焼けする。しかし、UVB放射線への持続的曝露は、がん性高色素性病変又はメラノーマの形成[Dooley T.P.、(1994年)、「Recent advances in cutaneous melanoma oncogenesis research」、Onco.Res.、6巻:1〜9ページ]、光老化による非悪性高色素性斑点の生成をもたらす恐れがある。
【0014】
さらに、社会学的又は心理学的な理由により、様々な国及び人種においては、一部の浅黒い皮膚の人々にはより明るい皮膚色がより望ましいと認知されているので、自然の皮膚色を明るくする色素脱失剤からなる市場ニーズがある。[Dooley T.P.、(1997年)、「Drug Discovery Approaches for Developing Cosmeceuticals:Advanced Skin Care and Cosmetic Products」中の「Is there room for a moderate level of regularity oversight?」、Hori W.編、1.4章、International Business Communications、Southborough、Mass、USA;Dooley T.P.、(1997年)、「Topical skin depigmentation agents:Current products and discovery of novel inhibitors of melanogenesis」、J.Dermatol.Treat.、8巻:275〜279ページ]。
【0015】
同様に、大部分の国及び人種において確立されている標準的な美しさの範囲内で、女性において、顔毛(多毛と呼ばれる)、特に濃い顔毛は望ましくなく、また体毛も望ましくない。脱毛又はレーザー治療などの様々な技術によって、顔毛又は体毛を比較的効果的な方式でなくすことが可能になるにもかかわらず、前記治療は、通常痛みを伴い、又は高価であり、したがって顔毛及び体毛の色を簡単で且つ効果的に明るくするのを可能にする色素脱失剤が必要とされている。
【0016】
色素沈着の程度を変更するためには、表皮細胞層におけるメラニン分布を阻害すること、又は酵素のチロシナーゼ若しくはメラニン形成に関与する他の何らかの酵素と相互に作用するメラニン形成阻害剤によってメラニン分解を引き起こすことさえ可能である。
【0017】
斑点又はそばかすを正常な皮膚色に回復するのを可能し、したがって老化及び光老化の徴候を低減するのを可能にする色素脱失剤が強く求められている。長年、皮膚を色素脱失又は明るくすることは、ヒドロキノン又はその誘導体、特にそのエーテル、具体的にはモノメチルエーテル及びモノエチルエーテルなど非常に強力な製品を使用して行われた。これらの化合物は一定の有効性を示すが、その毒性のために有害作用を有し、有害なものとされることさえある。したがって、例えばヒドロキノンは、メラノサイトに対して刺激性及び細胞毒性であり、不可逆的色素沈着低下、引き続いて皮膚の紫外線曝露領域における光感作の増大を引き起こし、変異原性の徴候を示し[Glatt H.、Padykula R.、Berchfold G.A.、Ludewig G.、Platt K.L.、Klein J.、及びOesch F.、(1989年)、「Multiple activation pathways of benzene leading to products with varying genotoxic characteristics」、Environ Health Perspect 82巻:81〜89ページ;Gatt H.R.、(1990年)、「Endogenous mutagens derived from amino acids」、Mutat.Res.、238巻:235〜243ページ]、したがってその使用を禁止している国もあれば、法的に2%未満の濃度に制限している国もある。別の普及している色素脱失剤は、コウジ酸及びその誘導体ファミリーである。しかし、前記化合物には問題がないわけではない。というのは、継続使用後にアレルギー反応が確認され[Nakagawa M.、Kawai K.、及びKawai K.、(1995年)、「Contact allergy to kojic acid in skin care products」、Contact Dermatitis、42巻:9〜13ページ]、さらに化合物は溶液では不安定であり、その化合物を含有する組成物を製造することが困難になるからである。
【0018】
色素脱失剤として試験した他のかなり攻撃的な化合物は、ペルオキシド、酸、水銀塩、ホルムアルデヒド、又はチオール化した化合物である。これらの化合物の多くは、かなり刺激的及び/又は不快な臭いを有し、それによって、化粧品又は医薬品組成物として市販するのに使用できなくなる。
【0019】
好ましい応答をもたらすことができないが、外用レチノイド及びコルチコステロイドも美白剤として提案されている。かろうじてチロシナーゼ阻害剤であり、ほとんどバイオアベイラビリティを有さないが、アルブチン及びその誘導体も使用される。広範に使用されている他の色素脱失剤は、基本的にコウジ酸について記載した欠点と同じ製剤の不安定性という欠点を有するが、例えばアスコルビル−2−リン酸マグネシウム塩(MAP)又はアスコルビル−2−リン酸塩ナトリウム塩(NAP)などのビタミンC及びその誘導体である。
【0020】
最近提案された他の組成物には、天然物抽出物が使用され、レモン、オレンジ、イチョウ、キュウリ、ゼラニウム、クマコケモモ、イナゴマメ、シナモン、マヨラマ、ローズマリー、クローブ、クロイチゴ、又は甘草抽出物などその一部は、アジア又は欧州で何世紀にもわたって、美白剤として使用されてきた。これらの天然物の抽出物中の活性成分の多様性、及び起こり得る天然物のアレルギー反応によって、時にはこれらの天然物質の使用が制限される。
【0021】
美観的な理由で自然の皮膚色を明るくするのに高色素性領域を治療するためであろうと低色素性領域の隣の領域を治療するためであろうと、大部分の美白又は色素脱失化合物を使用することによって、紫外線による損傷のリスクが増大する付随的効果がある。というのは、メラノサイトによって生成されたメラニンの量が低下するからである。メラニンは、吸収された紫外線の99.9%超を熱の形で消散させるので、皮膚の自然の光保護物質である[Meredith P.及びRiesz J.、(2004年)、「Radiative Relaxation Quantum Yields for Synthetic Eumelanin」、Photochem.Photobiol.、79巻:211〜216ページ]。これは、吸収された放射線の0.1%未満が、DNAへの直接的及び間接的損損、したがって光老化を引き起こす物質であるラジカルを生成できることを意味する。化粧品及び医薬品セクターは、美白剤又は色素脱失剤の使用に固有なこの脱保護を、光反応性物質又は太陽光フィルターを製剤に添加することによって補償する。太陽光フィルターは、熱傷を引き起こす恐れがあるUVB光線と、長期的損傷を皮膚にもたらし、老化又は光老化の加速を引き起こすUVA光線から皮膚を保護する。太陽光フィルターは、1)紫外線を吸収し、皮膚に対して有害でない低エネルギー放射線の形で放出する化合物を含有する化学的フィルター、2)紫外線を反射する不透明材料を含有する物理的フィルター、又は3)ラジカルの形成を防止し、皮膚の免疫系を増強する生物学的フィルターに分類される。しかし、これらの物質の多くは、潜在的に刺激性、感作性、又は毒性であり、その使用は、様々な国において調節、さらには制限又は禁止されている。したがって、追加の光保護物質の使用を低減するのを可能にする固有の光保護的有効性をもつ美白又は色素脱失化合物を開発する必要がある。
【0022】
したがって、メラノサイトによって生成されたメラニンの量の調節又は低下が望ましい、皮膚、髪、及び/又は爪の病態、障害、及び/又は病状を治療するために、最新技術で知られている物質より安全で化学的に安定な新規分子及び/又は高い有効性を有する分子を開発する必要がある。
【0023】
本発明の出願人は、6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマンが、メラノサイトによって生成されたメラニンの量を、酵素のチロシナーゼの阻害によって低下させ、紫外線によって引き起こされた損傷から保護できることを見出した。
【0024】
最新技術について、欧州特許出願公開第0655239号明細書は、6,7−二置換−2,2−ジアルキルクロマン又は6,7−二置換−2,2−ジアルキルクロメンを抗ラジカル剤として含有する抗がん薬を開示する。
【0025】
特開2001−002558公報には、ヒドロキシ基、メトキシ基、若しくは2−トリフルオロエトキシ基を有する6,7−二置換−2,2−ジアルキルクロマン又は6,7−二置換−2,2−ジアルキルクロメンの化粧品組成物であって、これらの化合物が皮膚におけるメラニン形成及び皮脂腺分泌を阻害することによって、美白効果及び表皮バリアの透過性を増大させる効果を有する化粧品組成物が記載されている。
【0026】
欧州特許出願公開第1430879号明細書、欧州特許出願公開第1430933号明細書、及び欧州特許出願公開第1336403号明細書にはそれぞれ、化粧品用消臭剤若しくは制汗剤組成物、脱毛を治療するための組成物、及び抗炎症活性を有する組成物中での、ヒドロキシ基、メトキシ基、若しくは2−トリフルオロエトキシ基を有する6,7−二置換−2,2−ジアルキルクロマン又は6,7−二置換−2,2−ジアルキルクロメンの使用が記載されている。
【0027】
欧州特許出願公開第1002533号明細書及び欧州特許出願公開第1430882号明細書にはそれぞれ、ヒドロキシ基、メトキシ基、若しくは2−トリフルオロエトキシ基を有する6,7−二置換−2,2−ジメチルクロマン単独又は他の酸化防止剤と組み合わせた化粧品又は皮膚科学的組成物が記載されている。欧州特許出願公開第1634576号明細書及び欧州特許出願公開第1343465号明細書には、とりわけ化粧品組成物、DNA修復酵素と組み合わせた6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン組成物(Lipotec S.A.によって市販されているリポクロマン(Lipochroman)−6)、又は6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロメンが記載されている。
【0028】
化粧品又は皮膚科学的組成物における脂質過酸化反応の酸化防止剤阻害剤としてのリポクロマン−6の使用も知られている[Puig A.、(2002年)、「Synthetic actives for cosmetic applications」、Speciality Chemicals Magazine、2002年、22巻(10号):16〜17ページ]。リポクロマン−6は、酸素反応性ラジカル種捕捉剤[Sanvicens N.、Gomez−Vicente V.、Masip I.、Messeguer A.、及びCotter T.G.、(2004年)、「Oxidative stress−induced apoptosis in retinal photoreceptor cells is mediated by calpains and caspases and blocked by the oxygen radical scavenger CR−6」、J.Biol.Chem.、279巻(38号):39268〜39278ページ]、及び皮膚の老化に関連した過程であるペルオキシ亜硝酸によるチロシンニトロ化の阻害剤[Cebrian J.、Messeguer A.、Facino R.M.、及びGarcia Anton J.M.、(2005年)、「New anti−RNS and −RCS products for cosmetic treatment」、Int.J.Cosm.Science、27巻(5号):271〜278ページ]としても機能する。
【0029】
同様に、欧州特許出願公開第1267813号明細書には、MMP−1マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤としてのリポクロマン−6化粧品組成物が記載されている。国際公開第01/82888号パンフレット、国際公開第02/05778号パンフレット、及び国際公開第02/47655号パンフレットには、リポクロマン−6がNO合成酵素阻害剤であるリポクロマン−6組成物単独又は他の化合物との組合せが記載されている。特に、国際公開第01/82888号パンフレットにも、紫外線の照射及び/又はメラニン増加症型障害の治療によって誘導されたメラニン形成を阻害するためのその組成物の使用が記載されている。
【0030】
上記の文献のいずれにも、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマンを化学修飾した誘導体である、3〜24個の炭素原子(C〜C24)を有するエステル基又はチオエステル基を有する6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマンは記載されていない。
【0031】
最新技術では、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロメンから得られた6−ヘプチルオキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロメン及び6−ラウロイル−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロメン化合物のみが知られている。しかし、6−ヘプチルオキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン又は6−ラウロイル−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン類似体は知られていない。
【0032】
したがって、3〜24個の炭素原子(C〜C24)を有するエステル基又はチオエステル基を有する6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマンの合成が、本発明の目的である。
【0033】
驚くべきことに、本発明の出願人は、色素脱失活性についても、これらの化合物は、最新技術で知られている化合物、特に固有の光保護的有効性をもつヒドロキシ基、メトキシ基、又は2−トリフルオロエトキシ基を有する6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン化合物より高いことを見出した。
【0034】
最新技術では、エステル化又はチオエステル化が色素脱失有効性を増大させるはずであるという徴候は存在せず、したがって当業者は、美白能力を増強させるためにクロマンにおいて必要とされる変更の性質を推定することができない。
【0035】
したがって、本発明は、既存のニーズに対する新しい解決策を提供し、最新技術ですでに知られている美白化合物より安全で効果的な方式で色素沈着の程度の調節が必要である皮膚、髪、及び/又は爪の病態、障害、及び/又は病状を治療することができる3〜24個の炭素原子(C〜C24)を有するエステル基又はチオエステル基を有する6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマンの発見を含む。
【0036】
[発明の説明]
本発明は、皮膚、髪、及び/又は爪を治療、ケア、及び/又は洗浄するための簡単で、効果的で、且つリスクのない解決策であって、哺乳類の皮膚、髪、及び/又は爪に6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマンを適用するステップを含む解決策を提供する。本発明の目的は、少なくとも1種の式(1)の6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン、及び化粧品又は医薬品として許容される媒体を含有する化粧品又は医薬品組成物でもある。
【0037】
本発明の明細書では、「美白している」と「色素脱失している」という用語は、本文献全体にわたって明瞭に区別することなく使用される。
【0038】
したがって、本発明の第1の態様は、一般式(I)による6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン化合物:
【化1】


に関し、
式中、Xは、O又はSからなる群から選択され、
Rは、2〜23個の炭素原子(C〜C23)を有する直鎖状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和脂肪族基、又は環式基である。
【0039】
一般式(I)で示した化合物の好ましい構造は、Rが2〜23個の炭素原子(C〜C23)を有する直鎖状の飽和若しくは不飽和脂肪族基であり、或いはRが脂環式基、芳香族環式基、又はヘテロ環式基であるものである。
【0040】
一般式(I)で示した化合物の好ましい構造は、XがOであるものである。
【0041】
特に好ましい構造は、
【化2】


が、tert−ブタノイル、2−メチルヘキサノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、又はリノレオイルからなる群から選択される脂肪族基であるものである。
【0042】
さらに、好ましい構造は、
【化3】


が、−CO−(CH0〜6−フェニル、−CO−(CH0〜6−(1−ナフチル)、−CO−(CH0〜6−(2−ナフチル)、−CO−(CH0〜6−CH(フェニル)、−CO−(2−フルオロフェニル)、−CO−シクロヘキシル、α−リポイル、L−プロリル、D−プロリル、ビオチニル−CO−(4−イミダゾリル)、−CO−(2−ピリジル)、−CO−(2−チエニル)、−CO−(2−フリル)、又は−CO−(3−フリル)からなる群から選択される脂環式、芳香族、又はヘテロ環式基であるものである。
【0043】
本発明の文脈では、「脂肪族基」という用語は、直鎖状又は分枝状の飽和若しくは不飽和炭化水素基に関する。
【0044】
本発明では、「炭化水素基」という用語を使用して、例えば及び非限定的な意味で、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基を含む。
【0045】
「アルキル基」という用語は、例えば及び非限定的な意味で、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、ヘプチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシル、2−メチルヘキシル、2−メチルブチル、5−メチルヘキシルなどを含めて、直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素基に関する。
【0046】
「アルケニル基」という用語は、例えば及び非限定的な意味で、ビニル、オレイル、リノレイル基など1個又は複数の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の直鎖状又は分枝状炭化水素基に関する。
【0047】
「アルキニル基」という用語は、1個又は複数の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の直鎖状又は分枝状炭化水素基に関する。
【0048】
「環式基」という用語は、脂環式基、芳香族基、又は複素環基として分類することができる閉環した炭化水素環に関する。
【0049】
「脂環式基」という用語は、例えば及び非限定的な意味で、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含めて、脂肪族基と同様な特性を有する環式炭化水素基に関する。
【0050】
「芳香族基」という用語又は「アリール基」という用語は、単環式若しくは多環式芳香族炭化水素基、又はアラルキル基に関する。
【0051】
「アラルキル基」という用語は、例えば及び非限定的な意味で、−(CH1〜6−フェニル、−(CH1〜6−(1−ナフチル)、−(CH1〜6−(2−ナフチル)、−(CH1〜6−CH(フェニル)などを含めて、1種又は複数の芳香族基で置換されているアルキル基に関する。
【0052】
「複素環基」という用語は、環の原子の1個又は1個を超える複数が、例えば窒素、酸素、又は硫黄など炭素以外の元素である閉環した炭化水素環、又はヘテロアルキル基に関する。
【0053】
「ヘテロアルキル基」という用語は、例えば及び非限定的な意味で、−(CH1〜6−イミダゾリル、−(CH1〜6−チエニル、−(CH1〜6−フリル、−(CH1〜6−ピロリジニルなどを含めて、複素環基で置換されているアルキル基に関する。
【0054】
この技術分野において理解されるように、高置換度は、許容されるだけでなく、賢明である。したがって、置換は、本発明の化合物においてあり得る。本発明の明細書を平易にするために、「基」と「ブロック」という用語は、置換を可能にし、又は置換することができる化学種(「基」)と、置換を可能にせず、又は置換することができない化学種(「ブロック」)とを識別するために使用する。例えば、「脂肪族基」という表現は、脂肪族置換基だけでなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アルキルスルホニルなど最新技術で知られている他の置換基を含む脂肪族置換基も包含する。したがって、「脂肪族基」は、エーテル基、ハロアルキル基、アルコール基、チオール基、カルボキシル基、アミン基、ヒドロキシアルキル基、スルホアルキル基、及びグアニジンド(guadininde)基などを包含する。一方、「脂肪族ブロック」という表現は、プロピル、イソブチル、オクチル、デシル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、オレイル、リノレイルなどの脂肪族置換基を包含するだけに限定される。
【0055】
本発明によって提供される化合物の化粧品又は医薬品として許容される塩は、本発明の範囲内である。「化粧品又は医薬品として許容される塩」という用語は、非限定的な意味で、とりわけ例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、若しくはアルミニウム塩などの金属塩であれ、非限定的な意味で、とりわけ例えばエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、アルギニン塩、リシン塩、ヒスチジン塩、若しくはピペラジン塩などの有機塩であれ塩基付加塩を形成するために、又は、非限定的な意味で、とりわけ例えば酢酸塩、クエン酸塩、オレイン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、若しくはグルコン酸塩などの有機塩であれ、非限定的な意味で、とりわけ例えば塩酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、若しくは炭酸塩などの無機塩であれ酸付加塩を形成するために通常使用される塩を包含する。塩の性質は、化粧品又は医薬品として許容されることを条件として、クリティカルではない。本発明の化合物の化粧品又は医薬品として許容される塩は、最新技術で周知の通常の方法で得ることができる[Berge S.M.、Bighley L.D.、及びMonkhouse D.C.、(1977年)、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.、66巻:1〜19ページ]。
【0056】
本発明の目的化合物は、例えば6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン及び対応する脂肪族若しくは環式基の酸又はチオ酸、或いはその反応性誘導体である一般式(II)の化合物を出発物としたエステル化又はチオエステル化反応など最新技術で知られている通常の方法に従って合成することができる。
【化4】


式中、Xは、O又はSからなる群から選択され、
Rは、2〜23個の炭素原子(C〜C23)を有する直鎖状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和脂肪族基、又は環式基であり、
Zは、遊離OH基、その反応性誘導体、又はハロゲンである。
【0057】
例えば、一般式(I)の化合物を得る一方法では、遊離ヒドロキシル基を有する一般式(I)の化合物の断片、又はその反応性誘導体は、カルボキシル基若しくはチオカルボキシル基を有する一般式(ii)の相補断片、又はその反応性誘導体と反応し、続いてエステル又はチオエステル結合を形成し、ここで前記断片は、エステル又はチオエステル結合の形成に関与しない官能基を有し、エステル又はチオエステル結合がある場合、それは一時的又は永久的な保護基で適切に保護されている。保護基の例、その挿入及び除去は、文献に記載されている[Greene T.W.及びWuts P.G.M.、(1981年)、「Protective groups in organic synthesis」、John Wiley & Sons、New York、USA;Atherton E.及びSheppard R.C.(1984年)、「Solid Phase Peptide Synthesis:A practical approach」、IRL Press Oxford University、UK]。「保護基」という用語は、固相合成で使用されるポリマー担体も包含する。
【0058】
本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩は、化合物を、それらを含有する組成物の形で哺乳類の体、好ましくはヒトのその作用部位と接触させる任意の手段で皮膚、髪、及び/又は爪を治療、ケア、及び/又は洗浄するために投与することができる。この意味では、本発明は、少なくとも1種の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を、少なくとも1種の化粧品若しくは医薬として許容されるアジュバントと一緒に含む化粧品又は医薬品組成物を提供する。前記組成物は、当業者によって知られている通常の方法で調製することができる[Wilkinson J.B.及びMoore R.J.、(1982年)、「Harry’s Cosmeticology」、Longman Scientific & Technical、London、UK;Fauli i Trillo C.、(1993年)、「Tratado de Farmacia Galenica」、Luzan 5、S.A.Eds、Madrid]。
【0059】
本発明の化合物は、例えば及び非限定的な意味で、とりわけタルク、ベントナイト、シリカ、デンプン、及び/又はマルトデキストリンなど固体の有機ポリマー又は固体の無機担体に吸着させることもできる。
【0060】
本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品又は医薬品組成物は、リーブオン及びリンスオフ製剤を含めて、例えば及び非限定的な意味で、クリーム、水中油及び/又はシリコーン型乳濁液、油及び/又はシリコーン中水型乳濁液、水/油又はシリコーン/水型乳濁液、油又はシリコーン/水/油又はシリコーン型乳濁液、油、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ヒドロアルコール溶液、ゲル、リニメント、血清、石鹸、軟膏、ムース、膏薬、粉末、バー、ペンシル、又はスプレー若しくはエアゾールなど局所適用又は経皮適用向けの様々なタイプの製剤で使用することができ、またこれらを、当業者によって知られている技法で、例えば及び非限定的な意味で、濡れナプキン、ヒドロゲル、粘着性(若しくは非粘着性)貼付剤、又はフェイスマスクなど様々なタイプの固体の付属物に組み込むこともでき、或いは例えば及び非限定的な意味で、とりわけメーキャップベース、メーキャップ除去ローション、メーキャップ除去ミルク、又はアンダーアイコンシーラーなど様々なメーキャップ製品に組み込むことができる。
【0061】
本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品又は医薬品組成物は、例えば及び非限定的な意味で、マニキュア液、マニキュア除去ローション、又は甘皮除去ローション剤など爪を治療、ケア、及び/又は洗浄するための製品に組み込むこともできる。
【0062】
本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する医薬品組成物は、局所に又は経皮投与に加えて、他の何らかのタイプの適当な投与方法、例えば経口、経鼻、非経口、又は直腸内投与によって投与することができ、その目的のためには、所望の剤形の製剤にとって必要である化粧品又は医薬品として許容される賦形剤を含む。本発明の文脈では、「非経口」という用語は、例えば及び非限定的な意味で、静脈内、筋肉内、脊髄、頭蓋内、関節内、くも膜下腔内、及び腹腔内などの皮下、皮内、血管内注射、並びに他の何らかの同様な注射又は注入技法を包含する。様々な医薬品剤形、及びそれを得るのに必要である賦形剤の概説は、例えば「Tratado de Farmacia Galenica」、C.Fauli i Trillo、1993年、Luzan 5、S.A.Ediciones、Madridで見ることができる。
【0063】
また、本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品組成物は、経口投与用の様々なタイプの製剤、特に、例えば及び非限定的な意味で、ゼラチンカプセルを含めて、カプセル、糖衣錠を含めて、錠剤、粉末、顆粒の形、チューインガム、溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ、ゼリー、又はゼラチンなどの経口化粧品の形、並びに当業者によって知られている他のいかなる提示物でも使用することができる。特に、本発明の化合物は、例えば及び非限定的な意味で、食物バー、又は緻密若しくは緻密でない粉末など任意の形の機能性食品又は強化食品に組み込むことができる。前記粉末は、水、ソーダ、乳製品、ダイズ誘導体に溶解させることができ、又は食物バーに組み込むことができる。本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩は、例えば及び非限定的な意味で、食品セクターで共通の脂肪成分、水性成分、湿潤化剤、保存剤、テキスチャー付与剤、矯味剤、芳香剤、酸化防止剤、及び/又は着色剤など経口用組成物又は栄養補助食品用の通常の賦形剤及びアジュバントと共に製剤することができる。
【0064】
活性成分の透過の向上並びに/又はその薬物動態特性及び薬力学的特性の改善のために、本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩を、リポソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子、及びナノ粒子、並びに海綿、小胞、ミセル、ミリスフェア、マイクロスフェア、及びナノスフェア、リポスフェア、ミリカプセル、マイクロカプセル、及びナノカプセル、並びにマイクロエマルジョン、及びナノエマルジョンなどの化粧品又は医薬品徐放システム及び/又は担体にあらかじめ組み込むこともできる。放出制御製剤は、最新技術で知られている方法で調製し、例えば粘着性貼付剤を含めて、局所投与、又は経口、非経口、直腸内投与、又は皮下移植、若しくは体の特定部位における直接移植によって投与することができ、好ましくはこれらの放出制御製剤は、比較的一定量の本発明の化合物を放出しなければならない。放出制御製剤に含まれる化合物の量は、例えば投与部位、動態、及び本発明の化合物の放出時間に依存する。
【0065】
一般式(I)の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩は、本発明の化粧品又は医薬品組成物中、化粧品又は医薬品として所望の効果を得るために有効な濃度、好ましくは0.00000001%(重量)〜20%(重量)、好ましくは0.00001%(重量)〜10%(重量)、より好ましくは0.0001%(重量)〜5%(重量)で使用される。
【0066】
メラニンの量を調節するのに投与しなければならない、本発明による化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩の化粧品又は医薬品として有効な量、及びそれらの用量は、年齢、色素沈着の程度、投与方法、及び投与頻度を含めて、いくつかの因子、特に使用する化合物の性質に依存する。
【0067】
本発明で記載されている化粧品又は医薬品組成物中に含まれている化粧品又は医薬品として許容されるアジュバントには、例えば及び非限定的な意味で、とりわけ他のメラニン合成阻害剤、他の美白剤若しくは色素脱失剤、老化防止剤、NO合成酵素阻害剤、酸化防止剤、大気汚染防止剤及び/若しくはラジカル捕捉剤、抗糖化剤、乳化剤、柔軟剤、有機溶媒、液体噴射剤、スキンコンディショナー、具体的には、例えば湿潤化剤、水分保持物質、αヒドロキシ酸、保湿剤、ビタミン、顔料若しくは着色剤、染料、ゲル化ポリマー、粘稠化剤、界面活性剤、軟化剤、抗シワ剤、目の下のたるみを低減若しくはなくすことができる物質、剥脱剤、抗菌剤、抗真菌剤、殺菌剤、真皮若しくは表皮巨大分子合成を刺激及び/又はその分解を防止若しくは阻害することができる物質、具体的には、例えばコラーゲン合成刺激剤、エラスチン合成刺激剤、デコリン合成刺激剤、ラミニン合成刺激剤、コラーゲン分解阻害剤、エラスチン分解阻害剤、線維芽細胞増殖刺激剤、ケラチノサイト増殖刺激剤、ケラチノサイト分化刺激剤、脂質合成及び角質層成分合成(セラミド、脂肪酸など)刺激剤、皮膚緩和剤、グリコサミノグリカン合成刺激剤、DNA修復剤、DNA保護剤、デフェンシン合成刺激剤、シャペロン合成刺激剤、抗掻痒剤、敏感肌治療剤、リアファーミング剤、抗伸展線剤、収斂剤、皮脂産生調節剤、脂肪分解刺激剤、抗セルライト剤、鎮静剤、抗炎症剤、毛細血管循環及び/若しくは微小循環作用剤、細胞代謝作用剤、真皮−表皮接合を改善するよう意図されている物質、保存剤、香料、キレート剤、植物抽出物、精油、海産物抽出物、バイオ発酵方法に由来する物質、無機塩、細胞抽出物、及び/又は太陽光フィルター(紫外線A及びBに対して活性な有機又は無機光保護剤)など、皮膚、髪、及び/又は爪を治療、ケア、及び/又は洗浄するために組成物に通常使用される追加の材料が含まれる。但し、これらは、組成物の残りの成分、特に本発明の組成物に含まれている一般式(I)の化合物と物理的及び化学的に相溶性があることを条件とする。同様に、前記追加の材料の性質が、本発明の化合物の利点を許容できない形で変更してはならない。前記追加の材料は、合成由来のもの、又は例えば植物抽出物などの天然由来のものとすることができ、或いはバイオ発酵方法に由来することができる。さらなる例は、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第11版(2006年)に記載されている。
【0068】
本発明の化合物を太陽光フィルター(UVA又はUVB線遮断物)と組み合わせて使用して、再色素沈着を防止し、日光曝露又は日光曝露によって誘導される日焼けから皮膚を保護し、又は皮膚におけるメラニンの量及びその色素脱失作用を低下させる化合物の能力を増大することができる。太陽光フィルターの例としては、例えば及び非限定的な意味で、p−アミノ安息香酸誘導体、ベンジリデンカンファー誘導体、ケイ皮酸誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、トリアジン誘導体、サリチル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β−ジフェニルアクリラート誘導体、並びに例えば及び非限定的な意味で、とりわけ酸化チタンナノ色素、酸化鉄ナノ色素、酸化亜鉛ナノ色素、酸化ジルコニウムナノ色素、又は酸化セリウムナノ色素などのナノ色素が挙げられる。
【0069】
同様に、色素脱失治療において有効性を高めるために、本発明の化合物を、皮膚の剥脱を促進することができる落屑剤と組み合わせて使用することもできる。落屑剤の例としては、例えば及び非限定的な意味で、とりわけグリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、及び/又はマンデル酸などのαヒドロキシ酸、例えば及び非限定的な意味で、サリチル酸及びその誘導体などのβヒドロキシ酸の使用、並びに尿素及びその誘導体、リスベラトロール、N−アセチルグルコサミン、ジャスモン酸及びその誘導体、ケイ皮酸、ゲンチシン酸、オリゴフコース、サフォラ・ジャポニカ(Saphora japonica)抽出物、洗浄剤、及び/又は、例えば及び非限定的な意味で、とりわけスティラインズ、パパイヤ抽出物、ブロメライン、パイナップル抽出物、カボチャ抽出物、及び/若しくはサツマイモ抽出物などの酵素の使用が挙げられる。
【0070】
本発明の目的化合物は、一般式(I)におけるR基及びX基の性質に応じて、水における溶解性が可変である。水に可溶でない化合物は、例えば及び非限定的な意味で、エタノール、プロパノール又はイソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、若しくはポリエチレングリコール、又はそれらの任意の組合せ、又は水とのそれらとの組合せなど化粧品又は医薬品として許容される通常の溶媒に溶解することができる。
【0071】
本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品又は医薬品組成物は、経口又は局所又は経皮投与することができ、任意の剤形、例えば固体、液体、又は半固体で提示することができ、その目的のためには、所望の剤形の製剤にとって必要である医薬品として許容される賦形剤を含む[Fauli i Trillo C.、(1993年)、「Tratado de Farmacia Galenica」、Luzan 5、SA Ediciones、Madrid]。本発明の化粧品又は医薬品組成物は、例えば及び非限定的な意味で、とりわけジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、オゾン、アルコール、アセトン、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコールなど本発明の化合物の経皮吸収を増大させる物質を含むことができる。同様に、活性成分の透過の向上のために、本発明の目的化粧品又は医薬品組成物を、イオントフォレシス、ソノフォレシス、電気穿孔法、スチームラップ、マイクロインジェクション、又は例えば及び非限定的な意味で、酸素圧注射など圧力による無針注射によって、治療対象の局所領域に適用することができる。
【0072】
本発明の化合物、又はそれらの化粧品若しくは医薬品として許容される塩を、体の皮膚と直接接触している衣料品を作製するための布地に組み込むこともでき、したがって体の水分、皮膚のpH、又は体温に応じて、本発明の化合物を布地に固定するためのシステムが生分解され、又は衣料品が体に擦れることによって、衣料品から本発明の化合物が放出される。衣料品、布地、及びマイクロカプセル化を含めて、布地に化合物を固定化するための手段の例は、文献に記載されており、最新技術で知られている[Schaab C.K.、(1986年)、「Impregnating Fabrics With Microcapsules」、HAPPI、1986年5月;Nelson G.、(2002年)、「Application of microencapsulation in textiles」、Int.J.Pharm.、242巻:55〜62ページ]。本発明の好ましい衣料品は、包帯、ガーゼ、パンティーストッキング、靴下、手袋、又は腕及び前腕用のスリーブである。
【0073】
本発明のさらなる態様は、化粧品若しくは医薬品として有効な量の少なくとも1種の本発明の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩;並びにさらに、例えば及び非限定的な意味で、とりわけアキレア・ミレフォリウム(Achillea millefolium)、アロエ・ベラ(Aloe vera)、アザジラクタ・インディカ(Azadirachta indica)、オスムンダ・ジャポニカ(Osmunda japonica)、アルトカルプス・インシスス(Artocarpus incisus)、ビデンス・ピローサ(Bidens pilosa)、ブロウソネティア・パピリフェラ(Broussonetia papyrifera)、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、シミシフガ・ラセモーサ(Cimicifuga racemosa)、エンブリカ・オフィシナリス(Emblica officinalis)、グリシリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)、グリシリザ・ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)、イレクス・プルプレア(Ilex purpurea)、リグスチクム・ルシダム(Ligusticum lucidum)、リグスチクム・ワリチー(Ligusticum wallichii)、ミトラカルプス・スカベル(Mitracarpus scaber)、モリンダ・シトリフォリア(Morinda citrifolia)、モルス・アルバ(Morus alba)、モルス・ボムビシス(Morus bombycis)、ナリンギ・クレヌラタ(Naringi crenulata)、プルヌス・ドメスチクス(Prunus domesticus)、プセウドステラリアエ・ラディクス(Pseudostellariae radix)、ルメクス・クリスプス(Rumex crispus)、ルメクス・オシデンタリス(Rumex occidentalis)、サピンダス・ムクロッシ(Sapindus mukurossi)、サキシフラガ・サルメントサ(Saxifraga sarmentosa)、スクテラリア・ガレリクラタ(Scutellaria galericulata)、セダム・サルメントスム・ブンゲ(Sedum sarmentosum Bunge)、ステラリア・メディカ(Stellaria medica)、トリチカム・ブルガレ(Triticum Vulgare)、ウバ・ウルシ(Uva ursi)又はウィザニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)抽出物など、化粧品又は医薬品として有効な量の、色素脱失活性を有する少なくとも1種の抽出物;並びに/又はさらに、例えば及び非限定的な意味で、Lipotecによって市販されているリポクロマン−6[INCI:ジメチルメトキシクロマノール](6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン)、Laboratoires Serobiologiquesによって市販されているアクティホワイト(Actiwhite)(商標)LS9808[INCI:水、グリセリン、ジラウリン酸スクロース、ポリソルベート20、ピスム・サティブム(Pisum sativum)(エンドウ豆)抽出物]又はダーマホワイト(Dermawhite)(登録商標)NF LS9410[INCI:マンニトール、アルギニンHCl、フェニルアラニン、EDTA二ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コウジ酸、クエン酸、酵母抽出物]、Sedermaによって市販されているルミスキン(Lumiskin)(商標)[INCI:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ジアセチルボルジン]、メラクリア(Melaclear)(商標)[INCI:グリセリン、水、ジチアオクタンジオール、グルコン酸、スティラインズ、β−カロテン]又はエチオリン(Etioline)(商標)[INCI:グリセリン、ブチレングリコール、アルクトスタフィロス・ウバ・ウルシ(Arctostaphylos uva ursi)葉抽出物、ミトラカルプス・スカベル(Mitracarpus scaber)抽出物]、Seppicによって市販されているセピホワイト(Sepiwhite)(商標)MSH[INCI:ウンデシレノイルフェニルアラニン]、Vincienceによって市販されているアクロマキシル(Achromaxyl)[INCI:水、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)抽出物]、Pentapharmによって市販されているギガホワイト(Gigawhite)(商標)[INCI:水、グリセリン、マルバ・シルベストリス(Malva sylvestris)(ゼニアオイ)抽出物、メンタ・ピペリタ(Mentha piperita)葉抽出物、プリムラ・ベリス(Primula veris)抽出物、アルケミラ・バガリス(Alchemilla vulgaris)抽出物、ベロニカ・オフィシナリス(Veronica officinalis)抽出物、メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)葉抽出物、アキレア・ミレフォリウム(Achillea millefolium)抽出物]、メラホワイト(Melawhite)(登録商標)[INCI:白血球抽出物、AHA](白血球抽出物、αヒドロキシ酸)又はメルフェード(Melfade)(登録商標)−J[INCI:水、アルクトスタフィロス・ウバ・ウルシ(Arctostaphylos uva−ursi)葉抽出物、グリセリン、リン酸アスコルビルマグネシウム]、Exsymolによって市販されているアルバチン(Albatin)(登録商標)[INCI:アミノエチルリン酸、ブチレングリコール、水]、Atriumによって市販されているチロスタット(Tyrostat)(商標)−11[INCI:水、グリセリン、ルメクス・オシデンタリス(Rumex occidentalis)抽出物]又はメラノスタチン(Melanostatine)(登録商標)−5[INCI:デキストラン、ナノペプチド(Nonapeptide)−1]、アルブチン及びその異性体、コウジ酸及びその誘導体、例えば及び非限定的な意味で、とりわけ6−O−パルミトイルアスコルビン酸、ジパルミトイルアスコルビン酸、アスコルビン酸−2−リン酸のマグネシウム塩(MAP)、アスコルビン酸−2−リン酸塩のナトリウム塩(NAP)、アスコルビルグルコシド又はテトライソパルミチン酸アスコルビル(VCIP)などのビタミンC及びその誘導体、トレチノイン及びイソトレチノインを含めて、レチノール及びその誘導体、イデベノン、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、フラボノイド、ダイズ抽出物、レモン抽出物、オレンジ抽出物、イチョウ抽出物、キュウリ抽出物、ゼラニウム抽出物、クマコケモモ抽出物、イナゴマメ抽出物、シナモン抽出物、マヨラマ抽出物、ローズマリー抽出物、クローブ抽出物、可溶性甘草抽出物、クロイチゴ葉抽出物、ナイアシンアミド、リキリチン、レソルシノール及びその誘導体、ヒドロキノン、α−トコフェロール、γ−トコフェロール、アゼライン酸、リスベラトロール、水銀塩、リノール酸、α−リポ酸、ジヒドロリポ酸、αヒドロキシ酸、βヒドロキシ酸、エラグ酸、フェルラ酸、ケイ皮酸、オレアノール酸、アロエシン及びその誘導体、並びに/又は例えば及び非限定的な意味で、とりわけトリプターゼ、トリプシン、又はPAR−2阻害剤などのセリンプロテアーゼ阻害剤など化粧品若しくは医薬品として有効な量の少なくとも1種の合成化合物、抽出物、若しくは色素脱失活性を有するバイオ発酵方法由来生成物を含有する化粧品又は医薬品組成物に関する。
【0074】
本発明の別の態様は、色素沈着調節が必要である哺乳類、好ましくはヒトの病態を治療するための化粧又は医薬方法であって、有効量の少なくとも1種の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を、好ましくはそれらを含有する化粧品又は医薬品組成物の形で投与するステップを含む方法に関する。本発明は、さらに皮膚、好ましくは顔及び/又は手の皮膚を美白又は明るくするための化粧又は医薬方法を提供する。同様に、本発明は、色素沈着の調節に関連した皮膚の病態、障害、及び/又は病状、好ましくはそばかす、黒子、肝斑、まだら症、アジソン病、白斑、紫外線への曝露による斑点、老化若しくは光老化による斑点、炎症由来、特にレーザー治療後又は美容外科手術後の炎症由来の斑点、例えば肝斑などアクネ、湿疹、組織褐変症、瘢痕、及び/若しくはホルモン障害による斑点を治療するための化粧又は医薬方法であって、少なくとも1種の本発明の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品又は医薬品組成物を皮膚に適用するステップを含む方法を提供する。本発明は、さらに顔毛及び/又は体毛を色素脱失及びその毛の色を明るくするための化粧又は医薬方法であって、頭皮又は人体の毛のある領域に、少なくとも1種の本発明の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品又は医薬品組成物を適用するステップを含む方法を提供する。同様に、本発明は、皮膚色素沈着の不規則、好ましくは白斑患部に隣接した皮膚の非患部を緩和し、患部と非患部のコントラストを低減するための化粧又は医薬方法であって、少なくとも1種の本発明の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品又は医薬品組成物を皮膚に適用するステップを含む方法を提供する。本発明は、さらに皮膚、髪、及び爪を光保護するための化粧又は医薬方法であって、皮膚、髪、及び/又は爪に、少なくとも1種の本発明の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品又は医薬品組成物を適用することを含む方法を提供する。本発明は、さらに爪表面の斑点を治療するための化粧又は医薬方法であって、少なくとも1種の本発明の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含有する化粧品又は医薬品組成物を爪に適用するステップを含む方法を提供する。
【0075】
少なくとも1種の本発明の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含む化粧品又は医薬品組成物の適用頻度は、対象者それぞれのニーズに応じて、大幅に異なることがあり、適用範囲は、1月に1回から1日に10回まで、好ましくは1週間に1回から1日に4回まで、より好ましくは1週間に3回から1日に3回、さらにより好ましくは1日に1回又は2回が示唆される。
【0076】
本発明のさらなる態様は、皮膚、髪、及び/又は爪、好ましくは顔、首、首周り、手、腋窩、鼠径部、肘、及び/又は膝の皮膚、より好ましくは顔、首、及び/又は手の局所部位の皮膚を治療、ケア、及び/又は洗浄するための化粧品又は医薬品組成物の調製における、一般式(1)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩のうちの少なくとも1種の使用に関する。
【0077】
重要な態様によれば、本発明は、皮膚の色素沈着を軽減又はならすための化粧品又は医薬品組成物の調製における、一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩のうちの少なくとも1種の使用に関する。
【0078】
別の重要な態様によれば、本発明は、皮膚表面の斑点を治療するための化粧品又は医薬品組成物の調製における、一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩のうちの少なくとも1種の使用に関する。
【0079】
別の重要な態様によれば、本発明は、皮膚の老化又は光老化を治療又は予防するための化粧品又は医薬品組成物の調製における、一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩のうちの少なくとも1種の使用に関する。
【0080】
本発明のさらに別の態様は、皮膚、髪、及び/又は爪を光保護するための化粧品又は医薬品組成物の調製における、一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩のうちの少なくとも1種の使用に関する。
【0081】
本発明のさらに別の態様は、顔毛及び/又は体毛を明るく又は色素脱失するための化粧品又は医薬品組成物の調製における、一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩のうちの少なくとも1種の使用に関する。
【0082】
本発明のさらに別の態様は、爪表面の斑点を治療するための化粧品又は医薬品組成物の調製における、一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩のうちの少なくとも1種の使用に関する。
【0083】
さらに、本発明は、色素脱失又は美白する化粧又は医薬方法であって、有効量の一般式(1)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩のうちの少なくとも1種、及び好ましくはそれを含有する化粧品又は医薬品組成物の形で投与するステップを含む方法を提供する。
【実施例】
【0084】
本明細書に記載する以下の具体例は、本発明の性質を例示するのに役立つ。これらの実施例は、例示の目的で記載されているにすぎず、本明細書で特許請求された本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0085】
一般方法
試薬及び溶媒はすべて、合成用の品質であり、さらなる処理をすることなく、使用される。
【0086】
略語:
DNA、デオキシリボ核酸;QSF、十分量;DCC、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド;DMAP、ジメチルアミノピリジン;DMSO、ジメチルスルホキシド;DMEM、ダルベッコ変法イーグル培地;DPPC、ジパルミトイルホスファチジルコリン;equiv.、当量;ESI−MS、エレクトロスプレーイオン化質量分析;FBS、ウシ胎仔血清;HEPES、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;MAP、アスコルビル−2−リン酸マグネシウム塩;MLV、多層小胞;MW、分子量;PMA、酢酸1−メトキシ−2−プロピル;ULV、単層小胞;UV、紫外線;UVA、紫外線A型;UVB、紫外線B型.
【0087】
実施例1
6−置換−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマンの調製。
ジクロロメタン中、DMAP(2.0mmol、0.083当量)及びDCC(24.0mmol、1当量)の存在下で、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン(5.0g;24.0mmol、1当量)と、1当量の対応するカルボン酸又はチオカルボン酸を室温で反応させ、薄層クロマトグラフィーで制御した。反応が進行を止めたことが観察されると、生成したジシクロヘキシル尿素を濾過し、蒸発乾固した。得られた化合物をシリカカラムクロマトグラフィーでn−ヘキサン及び酢酸エチルで溶離することによって精製し、ESI−MSで特徴付けた。
【0088】
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】

【0089】
実施例2
7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを含有する化粧品組成物の調製。
以下の製剤を、本発明に記載するように調製した。
A相の成分を十分大きい反応器に計量し、混合物を70℃に加熱して、ワックスを溶融する。B相の成分を内容物全体に適した容器に計量する。C相の成分をB相に添加し、激しく攪拌しながら、70℃に加熱する。次いで、直前の混合物に、攪拌しながらA相をゆっくりと添加し、混合物を攪拌しながら、70℃で30分間維持する。穏やかに攪拌しながら、放冷し、混合物が室温になると、キサンタンガム及び芳香剤を添加し、混合物を均質化し、必要なら、pHを、トリエタノールアミンで調整する。
【0090】
得られるクリームは、pHが5.5〜6である。
【0091】
【表2】

【0092】
実施例3
7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを含有するリポソームの調製。
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、コレステロール、及び7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを計量し、クロロホルムに溶解する。リン脂質薄層を得るまで、溶媒を真空下で蒸発させ、これを、フェノニップ(Phenonip)(登録商標)を含有する水溶液で55℃において処理することによって水和し、MLVリポソームを得る。MLVリポソームを、55℃で超音波浴に2分間のサイクルで8回、5分間隔で浸すことによって、ULVリポソームを得る。サイズをはるかに低減するためには、高圧下で押出システムに通すことができる。
【0093】
【表3】

【0094】
実施例4
7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを含有するリポソームゲルの形の組成物の調製。
実施例3のリポソームを、穏やかに攪拌しながら、保存剤(EDTA、イミダゾリジニル尿素、及びフェノニップ(Phenonip)(登録商標))と一緒に、水に分散する。ヒスパゲル(Hispagel)(登録商標)200[INCI:アクア、グリセリン、及びポリアクリル酸グリセリル]を添加し、均質な混合物が得られるまで穏やかに攪拌する。
【0095】
【表4】

【0096】
実施例5
7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを含有するマニキュア液組成物の調製。
7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを、アクリラートコポリマーと共に計量し、激しく攪拌することによって、エタノールに溶解する。アセトンを添加し、蓋付きの容器に保存して、蒸発を最小限に抑制する。
【0097】
【表5】

【0098】
実施例6
体毛を色素脱失するための、7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを含有する組成物の調製。
A相及びB相を別々に、70〜75℃で加熱する。激しく攪拌しながら、AをBに添加する。室温で攪拌をしながら、放冷し、C相を添加し、トリエタノールアミンを用いて、pH6.5になるまで中和する。
【0099】
【表6】

【0100】
実施例7
インビトロでのマッシュルームチロシナーゼの作用に関する7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンの活性比較アッセイ。
アッセイを96ウェルプレートで行い、試料は3回繰り返して行う。対照試料は、80μLの緩衝液(150mM HEPES)、10μLのマッシュルームチロシナーゼ(10μg/pL)、及び10μLの10mM L−ドーパ基質を含有する。正の対照は、さらにコウジ酸を0.1mMの濃度で含有する。7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマン及び6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン(リポクロマン−6)の試料は、コウジ酸の代わりに、1mMの濃度で化合物を含有する。このようにして調製した試料を、37℃で10分間インキュベートする。次いで、試料の入ったプレートを氷上で5分間冷却して、酵素反応を止める。生成したメラニンを定量するために、プレートリーダーで492nmの波長において測定する。
【0101】
表1は、コウジ酸を含む比較試料、及び7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを含む試料、及びリポクロマン−6試料について、対照試料に対して標準化した生成メラニンの百分率を示す。
【0102】
【表7】

【0103】
実施例8
ヒトメラノサイトから抽出された内因性チロシナーゼに関する7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンの活性比較アッセイ。
10% FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び100nM PMAを補充したDMEM培地中で、ヒトメラノサイトを培養する。化合物の7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを、DMSO:滅菌水(1:1)に、最終濃度10mMで溶解する。
【0104】
95%コンフルエントで播種したヒトメラノサイトの内因性チロシンを抽出する。抽出及び酵素含有量の定量後に、アッセイを行う。このようなアッセイは、チロシナーゼ酵素を、リポクロマン−6(1mM)、7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマン(1mM)、又は比較物質のコウジ酸(0.1mM)と共に30分間インキュベートすることからなる。処理した後に酵素活性を調査するために、合成L−ドーパ(10mM)基質を添加し、475nmの波長における吸光度を、L−ドーパを添加して1時間後に測定する。この測定によって、生成したメラニンの含有量を評価することが可能になる。
【0105】
表2は、コウジ酸を含む比較試料、並びに7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを含む試料、及びリポクロマン−6を含む試料について、L−ドーパを添加して1時間後の対照試料に対してメラニン形成の百分率を示す。
【0106】
【表8】

【0107】
実施例9
ヒトメラノサイト培養物における7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンの色素脱失有効性の比較アッセイ。
0.1mMのコウジ酸又は7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンを含有する新たな培地を毎日添加して、コンフルエントの状態で播種したヒトメラノサイトを5日間培養する。メラニン内容物は、倍率40倍のレンズを使用した顕微鏡によって直接見られた。メラニンを含む細胞の数及び細胞の総数をカウントすることによって、色素脱失有効性を決定し、得られた結果を、対照試料の美白有効性に対して標準化した。
【0108】
【表9】

【0109】
実施例10
ヒトケラチノサイト培養物における7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンの光保護有効性のアッセイ。
96ウェルプレート中、ヒトケラチノサイトを培養状態で24時間維持して、単層を形成し、細胞を、150μg/mLの7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマン又はリン酸緩衝生理食塩水(対照)と共に、37℃で、5%のCOを含む加湿空気中、暗所で1時間プレインキュベートした。次いで、太陽光シミュレーションランプを用いて、37J/cmのエネルギーを、細胞に室温で150分間照射した。同時に暗所で、対照プレートを室温で維持した。照射時間後に、細胞の培地を新たな培地で置換し、細胞をさらに24時間インキュベートした。ニュートラルレッド色素によって、細胞生存率を決定し、分光光度計で、540nmにおける光学密度を測定した。
【0110】
照射及び非照射対照細胞の応答に対して7−メトキシ−6−パルミトイル−2,2−ジメチルクロマンで処理した細胞において得られた生存率を比較することによって、光保護有効性を決定した。
【0111】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩
【化1】


[式中、
Rは、2〜23個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和脂肪族基、又は環式基であり、これらの基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルキルスルホニル、又はハロゲン原子からなる群から選択される置換基を含有することができ、
式中、Xは、O又はSからなる群から選択される]。
【請求項2】
XがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、2〜23個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
【化2】


が、tert−ブタノイル、ヘキサノイル、2−メチルヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、又はリノレオイルからなる群から選択される、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
Rが、脂環式基、芳香族環式基、又はヘテロ環式基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
【化3】


が、−CO−(CH0〜6−フェニル、−CO−(CH0〜6−(1−ナフチル)、−CO−(CH0〜6−(2−ナフチル)、−CO−(CH0〜6−CH(フェニル)、−CO−(2−フルオロフェニル)、−CO−シクロヘキシル、α−リポイル、L−プロリル、D−プロリル、ビオチニル−CO−(4−イミダゾリル)、−CO−(2−ピリジル)、−CO−(2−チエニル)、−CO−(2−フリル)、又は−CO−(3−フリル)からなる群から選択される、請求項2又は5に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を得る方法であって、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマンは、一般式(II)の化合物
【化4】


と反応し、
式中、Xは、O又はSからなる群から選択され、
Rは、2〜23個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和脂肪族基、又は環式基であり、これらの基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アルキルスルホニル、若しくはハロゲン原子からなる群から選択される置換基、又は環式基を含有することができ、
Zは、遊離OH基、その反応性誘導体、又はハロゲンである
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
化粧品若しくは医薬品として有効な量の請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1種の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を含む化粧品又は医薬品組成物であって、少なくとも1種の化粧品又は医薬品として許容される賦形剤又はアジュバントを含むことを特徴とする化粧品又は医薬品組成物。
【請求項9】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、リポソーム、ミリカプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、海綿、小胞、ミセル、ミリスフェア、マイクロスフェア、ナノスフェア、リポスフェア、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ミリ粒子、マイクロ粒子、及び/又はナノ粒子からなる群から選択される化粧品又は医薬品として許容される徐放システム又は担体に組み込まれていることを特徴とする、請求項8に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項10】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、タルク、ベントナイト、シリカ、デンプン、及び/又はマルトデキストリンからなる群から選択される化粧品又は医薬品として許容される有機ポリマー又は固体の無機担体に吸着されることを特徴とする、請求項8に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項11】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、0.00000001重量%〜20重量%の濃度で存在することを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項12】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、0.00001重量%〜10重量%の濃度で存在することを特徴とする、請求項11に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項13】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、0.0001重量%〜5重量%の濃度で存在することを特徴とする、請求項12に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項14】
クリーム、水中油及び/又はシリコーン型乳濁液、油及び/又はシリコーン中水型乳濁液、水/油又はシリコーン/水型乳濁液、油又はシリコーン/水/油又はシリコーン型乳濁液、油、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ヒドロアルコール溶液、ゲル、リニメント、血清、石鹸、シャンプー、軟膏、ムース、膏薬、粉末、バー、ペンシル、スプレー若しくはエアゾール、ゼラチンカプセルを含めて、カプセル、糖衣錠を含めて、錠剤、粉末、顆粒の形、チューインガム、溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ、ゼリー又はゼラチンからなる群から選択される剤形を有することを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項15】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、濡れナプキン、ヒドロゲル、粘着性貼付剤、非粘着性貼付剤、又はフェイスマスクからなる群から選択される固体の付属物に組み込まれることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項16】
前記一般式(1)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、アンダーアイコンシーラー、メーキャップベース、メーキャップ除去ローション、又はメーキャップ除去ミルクからなる群から選択されるメーキャップ製品に組み込まれることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項17】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、マニキュア液、マニキュア除去ローション、又は甘皮除去ローション剤からなる群から選択される、爪を治療、ケア、及び/又は洗浄するための製品に組み込まれることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項18】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、布地に組み込まれることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項19】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩が、包帯、ガーゼ、パンティーストッキング、靴下、手袋、又は腕及び前腕用のスリーブに組み込まれることを特徴とする、請求項18に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項20】
さらに、色素脱失剤若しくは美白剤、抗伸展線剤、抗シワ剤、酸化防止剤、抗糖化剤、NO合成酵素阻害剤、老化防止剤、目の下のたるみを低減若しくはなくすことができる物質、剥脱剤、乳化剤、柔軟剤、有機溶媒、液体噴射剤、スキンコンディショナー、湿潤化剤、水分保持物質、αヒドロキシ酸、保湿剤、ビタミン、顔料若しくは着色剤、染料、ゲル化ポリマー、粘稠化剤、界面活性剤、軟化剤、真皮若しくは表皮分子合成の刺激及び/又はそれらの分解を予防若しくは阻害するための物質、コラーゲン合成刺激剤、デコリン合成刺激剤、エラスチン合成刺激剤、ラミニン合成刺激剤、コラーゲン分解阻害剤、エラスチン分解阻害剤、線維芽細胞及び/若しくはケラチノサイト増殖を刺激又はケラチノサイト分化を刺激するための物質、脂質合成及び角質層の成分の合成刺激剤、グリコサミノグリカン合成刺激剤、DNA修復剤、DNA保護剤、デフェンシン合成刺激剤、シャペロン合成刺激剤、抗掻痒剤、敏感肌治療剤、収斂剤、皮脂産生調節剤、抗セルライト剤、脂肪分解刺激剤、真皮−表皮接合を改善するよう意図されている物質、皮膚緩和剤、リアファーミング剤、大気汚染防止剤及び/若しくはラジカル捕捉剤、毛細血管循環及び/若しくは微小循環作用剤、鎮静剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗真菌剤、殺菌剤、細胞代謝作用剤、キレート剤、並びに/或いは紫外線A及び/若しくはBに対して活性な有機又は無機光保護剤からなる群から選択される追加の化粧品又は医薬品として有効な量の少なくとも1種の活性剤又はその混合物を含むことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項21】
前記活性剤が、合成由来若しくは植物抽出物であり、又はバイオ発酵方法に由来することを特徴とする、請求項20に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項22】
前記活性剤が、αヒドロキシ酸、βヒドロキシ酸、尿素及びその誘導体、ゲンチシン酸、ケイ皮酸、ジャスモン酸及びその誘導体、オリゴフコース、リスベラトロール、N−アセチルグルコサミン、サフォラ・ジャポニカ(Saphora japonica)抽出物、洗浄剤、並びに/又は酵素からなる群から選択される落屑剤であることを特徴とする、請求項20又は21に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項23】
前記αヒドロキシ酸が、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、及び/又はマンデル酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項24】
前記βヒドロキシ酸が、サリチル酸及びその誘導体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項25】
前記酵素が、パパイン、パパイヤ抽出物、ブロメライン、パイナップル抽出物、カボチャ抽出物、スティラインズ、及び/又はサツマイモ抽出物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項26】
前記活性剤が、紫外線A若しくはB、又は両方に対して活性な有機又は無機光保護剤であることを特徴とする、請求項20に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項27】
前記活性剤が、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチルクロマン、アルブチン及びその異性体、コウジ酸及びその誘導体、6−O−パルミトイルアスコルビン酸、アスコルビン酸−2−リン酸のマグネシウム塩(MAP)、アスコルビン酸−2−リン酸のナトリウム塩(NAP)、アスコルビルグルコシド及びテトライソパルミチン酸アスコルビル(VCIP)を含めて、ビタミンC及びその誘導体、トレチノイン及びイソトレチノインを含めて、レチノール及びその誘導体、イデベノン、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、フラボノイド、ダイズ抽出物、酵母抽出物、レモン抽出物、オレンジ抽出物、イチョウ抽出物、キュウリ抽出物、ゼラニウム抽出物、クマコケモモ抽出物、イナゴマメ抽出物、シナモン抽出物、マヨラマ抽出物、ローズマリー抽出物、クローブ抽出物、可溶性甘草抽出物、クロイチゴ葉抽出物、ナイアシンアミド、リキリチン、レソルシノール及びその誘導体、ヒドロキノン、α−トコフェロール、γ−トコフェロール、アゼライン酸、リスベラトロール、水銀塩、リノール酸、α−リポ酸、ジヒドロリポ酸、αヒドロキシ酸、βヒドロキシ酸、エラグ酸、フェルラ酸、ケイ皮酸、オレアノール酸、アロエシン及びその誘導体、ジチアオクタンジオール、グルコン酸、β−カロテン、トリプターゼ、トリプシン、及びPAR−2阻害剤を含めて、セリンプロテアーゼ阻害剤、ジアセチルボルジン、ウンデシレノイルフェニルアラニン、ノナペプチド−1、アミノエチルリン酸、アキレア・ミレフォリウム(Achillea millefolium)抽出物、アルケミラ・バガリス(Alchemilla vulgaris)抽出物、アロエ・ベラ(Aloe vera)抽出物、アザジラクタ・インディカ(Azadirachta indica)抽出物、アルクトスタフィロス・ウバ・ウルシ(Arctostaphylos uva ursi)葉抽出物、オスムンダ・ジャポニカ(Osmunda japonica)抽出物、アルトカルプス・インシスス(Artocarpus incisus)抽出物、ビデンス・ピローサ(Bidens pylosa)抽出物、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)抽出物、ブロウソネティア・パピリフェラ(Broussonetia papyrifera)抽出物、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)抽出物、シミシフガ・ラセモーサ(Cimicifuga racemosa)抽出物、エンブリカ・オフィシナリス(Emblica officinalis)抽出物、グリシリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)抽出物、グリシリザ・ウラレンシス(Glycyrrhiza uralensis)抽出物、イレクス・プルプレア(Ilex purpurea)抽出物、リグスチクム・ルシダム(Ligusticum lucidum)抽出物、リグスチクム・ワリチー(Ligusticum wallichii)抽出物、マルバ・シルベストリス(Malva sylvestris)抽出物、メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)葉抽出物、メンタ・ピペリタ(Mentha piperita)葉抽出物、ミトラカルプス・スカベル(Mitracarpus scaber)抽出物、モリンダ・シトリフォリア(Morinda citrifolia)抽出物、モルス・アルバ(Morus alba)抽出物、モルス・ボムビシス(Morus bombycis)抽出物、ナリンギ・クレヌラタ(Naringi crenulata)抽出物、ピスム・サティブム(Pisum sativum)抽出物、プリムラ・ベリス(Primula veris)抽出物、プルヌス・ドメスチクス(Prunus domesticus)抽出物、プセウドステラリアエ・ラディクス(Pseudostellariae radix)抽出物、ルメクス・クリスプス(Rumex crispus)抽出物、ルメクス・オシデンタリス(Rumex occidentalis)抽出物、サピンダス・ムクロッシ(Sapindus mukurossi)抽出物、サキシフラガ・サルメントサ(Saxifraga sarmentosa)抽出物、スクテラリア・ガレリクラタ(Scutellaria galericulata)抽出物、セダム・サルメントスム・ブンゲ(Sedum sarmentosum Bunge)抽出物、ステラリア・メディカ(Stellaria medica)抽出物、トリチカム・ブルガレ(Triticum Vulgare)抽出物、Uva ursi抽出物、ベロニカ・オフィシナリス(Veronica officinalis)抽出物、ウィザニア・ソムニフェラ(Withania somnifera)抽出物、及び/又は白血球抽出物からなる群から選択される美白剤又は色素脱失剤であることを特徴とする、請求項20に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項28】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、皮膚、髪、及び/又は爪を治療、ケア、及び/又は洗浄するための使用。
【請求項29】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を使用して、前記皮膚、髪、及び/又は爪の色素沈着を調節する、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を使用して、皮膚を美白又は明るくする、請求項28又は29に記載の使用。
【請求項31】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を使用して、皮膚色素沈着障害又は病状を治療する、請求項28又は29に記載の使用。
【請求項32】
前記色素沈着障害又は病状が、そばかす、黒子、肝斑、まだら症、アジソン病、白斑、紫外線への曝露による斑点、老化による斑点、光老化による斑点、レーザー治療後若しくは美容外科手術後の炎症を含めて、炎症由来の斑点、肝斑を含めて、アクネ、湿疹、組織褐変症、瘢痕、及び/若しくはホルモン障害による斑点からなる群から選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を使用して、前記老化の徴候を低減又は遅延させる、請求項28に記載の使用。
【請求項34】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を使用して、前記光老化の徴候を低減又は遅延させる、請求項28に記載の使用。
【請求項35】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を使用して、皮膚、髪、及び/又は爪を光保護する、請求項28に記載の使用。
【請求項36】
前記皮膚が、顔、手、首、首周り、腋窩、鼠径部、肘、及び/又は膝の皮膚である、請求項28〜35のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の使用。
【請求項37】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を使用して、顔毛及び/又は体毛を明るく又は色素脱失する、請求項28又は29に記載の使用。
【請求項38】
前記一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩を使用して、爪表面の斑点を治療する、請求項28又は29に記載の使用。
【請求項39】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、皮膚、髪、及び/又は爪を治療、ケア、及び/又は洗浄するための化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。
【請求項40】
請求項39に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、色素沈着調節が必要である前記皮膚、髪、及び/又は爪の病態、障害、又は病状を治療するための化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。
【請求項41】
請求項39又は40に記載の一般式(1)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、そばかす、黒子、肝斑、まだら症、アジソン病、白斑、紫外線への曝露による斑点、老化による斑点、光老化による斑点、炎症由来、特にレーザー治療後又は美容外科手術後の炎症由来の斑点、アクネ、湿疹、組織褐変症、瘢痕、及び/若しくはホルモン障害による斑点からなる群から選択される皮膚の病態、障害、又は病状を治療するための化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。
【請求項42】
請求項39に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、前記老化の徴候を低減又は遅延させる化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。
【請求項43】
請求項39に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、前記光老化の徴候を低減又は遅延させる化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。
【請求項44】
請求項39に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、前記皮膚、髪、及び/又は爪の光防護のための化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。
【請求項45】
請求項39又は40に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用であって、前記組成物は、局所適用又は経皮適用によって適用する部位における前記皮膚、髪、及び/又は爪の色素沈着の程度を調節する、使用。
【請求項46】
請求項44に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用であって、前記組成物は、局所適用又は経皮適用によって適用する部位における前記皮膚、髪、及び/又は爪の色を低減又は明るくする、使用。
【請求項47】
前記局所適用又は経皮適用が、イオントフォレシス、ソノフォレシス、電気穿孔法、スチームラップ、マイクロインジェクション、又は圧力による無針注射によって行われる、請求項44又は45に記載の使用。
【請求項48】
請求項39又は40に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、経口、経鼻、非経口、又は直腸内投与によって前記皮膚、髪、及び/又は爪の色素沈着の程度を調節する化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。
【請求項49】
請求項39又は40に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、顔毛又は体毛を明るく又は色素脱失するための化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。
【請求項50】
請求項39又は40に記載の一般式(I)の化合物、又はその化粧品若しくは医薬品として許容される塩の、爪表面の斑点を治療するための化粧品又は医薬品組成物を調製するための使用。

【公表番号】特表2010−529978(P2010−529978A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511666(P2010−511666)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/ES2008/000230
【国際公開番号】WO2008/152159
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509338248)
【Fターム(参考)】