説明

色素生成遺伝子発現抑制剤

【課題】チロシナーゼやエンドセリンレセプタ等の色素の生成に関係するタンパク質のmRNAの発現を抑制し、且つ安全性の高い新規の成分を有効成分とする色素発生遺伝子発現抑制剤の提供。
【解決手段】温州みかん抽出物を有効成分とすることを特徴とする色素発生遺伝子発現抑制剤並びにシクロオキシゲナーゼ−2遺伝子発現抑制剤。前記温州みかん抽出物はβ―クリプトキサンチンを含有することを特徴とする色素発生遺伝子発現抑制剤並びにシクロオキシゲナーゼ−2遺伝子発現抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素生成遺伝子発現抑制剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シミやソバカスの原因は、皮膚にあるメラニン色素が沈着して起こるものである。しみの要因にはホルモンバランスの変化や肌荒れ、紫外線、老化等が挙げられるが、いずれも紫外線がからんでいる。紫外線を浴びると、紫外線を受けた表皮細胞から表皮の大部分を占める角化細胞が自らを守るために、メラノサイトに向けて、情報伝達物質(エンドリセンやホスホリパーゼ)が送られ、チロシンがチロシナーゼの作用で、ドーパとなりつぎにドーパキノンとなる。ドーパキノンから酸化反応が進行しドーパクローム、5・6−ジヒドロキシインドール又は5・6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸、インドール5・6−キノンを経てメラニンを形成する。この一連の働きは、有害な紫外線を肌の内部まで侵入させないように、肌をメラニン色素で黒くすることによって守ろうとする体の自然な働きによるものであるが、肌の組織は通常28日周期で生まれ変わっているため、この新陳代謝がスムーズに行われると、このメラニン色素も何ヶ月かで古い細胞と共に外へ排出される。しかし、年齢を重ねると、皮膚の新陳代謝が低下するため、このメラニン色素が外に排出されることなく、皮膚に沈着しやすくなる。それを防止する為に様々な美白化粧料及び健康食品などが使用されている。
【0003】
従来、しみ、そばかすなどの予防・改善には、胎盤抽出物、ビタミンCおよびその誘導体、エラグ酸、アルブチンなどの薬剤が使用されているが、必ずしも充分な効果は得られていない。また、欧米では、ハイドロキノンが色素斑の脱色を目的に用いられているが、安全性の点で問題があるために使用制限がなされている。
【0004】
また、温州みかんエキスや、これらに含まれるβ−キサンチンは、チロシナーゼ活性の阻害作用を有することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-089452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景の下、本発明者は、温州みかんの抽出物やこれらに含まれるβ−クリプトキサンチンには、皮膚に直接塗布することにより、チロシナーゼの活性を阻害するだけではなく、更にチロシナーゼの生成のmRNA発現を抑制し、これにより、細胞内にチロシナーゼの生成を抑制することを見出した。
また、皮膚に直接塗布することにより、メラノサイトへの情報伝達物質エンドリセンの受容体であるエンドセリンレセプタ、5・6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸から、インドール5・6−キノン等のキノン類を生成する酵素であるチロシナーゼリレイティッドプロテイン等のmRNA発現を抑制し、これにより、細胞内の色素の沈着を抑制することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、チロシナーゼやエンドセリンレセプタ等の色素の生成に関係するタンパク質のmRNAの発現を抑制し、且つ安全性の高い新規の成分を有効成分とする色素発生遺伝子発現抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の特徴は、以下の通りである。
(1)温州みかん抽出物を有効成分とする色素生成遺伝子発現抑制剤。
(2)前記温州みかん抽出物はβ―クリプトキサンチンを含有することを特徴とする上記(1)に記載の色素生成遺伝子発現抑制剤。
(3)温州みかん抽出物を有効成分とするシクロオキシゲナーゼ−2遺伝子発現抑制剤。
(4)前記温州みかん抽出物はβ―クリプトキサンチンを含有することを特徴とする(3)に記載のシクロオキシゲナーゼ−2遺伝子発現抑制剤。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)の発明によれば、温州みかん抽出物を有効成分として用いることにより、チロシナーゼ(tyrosinase)の生成のmRNA発現を抑制し、これにより、細胞内にチロシナーゼの生成を抑制する。
また、メラノサイトへの情報伝達物質エンドリセンの受容体であるエンドセリンレセプタ(endotherin A receptor)、5・6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸から、インドール5・6−キノン等のキノン類を生成する酵素であるチロシナーゼリレイティッドプロテイン(tyrosinase related protein)等のmRNA発現を抑制し、以上により、細胞内の色素の沈着を抑制する。
更に、ドーパキノンから、別の経路によりフェオメラニンが生成されるが、上記(1)の発明は、このフェオメラニンからメラニンのへの生成に関連するメラノコルチン1レセプタ(melanocortin.1 receptor)におけるmRNA発現を抑制する。これにより、色素生成を抑制し、細胞内の色素沈着を抑制する。
上記(2)の発明によれば、温州みかん抽出物にβ−クリプトキサンチンを含有することにより、チロシナーゼ、エンドセリンレセプタ、チロシナーゼリレイティッドプロテイン、メラノコルチン1レセプタのmRNA発現を抑制するので、細胞内の色素の沈着を効果的に抑制する。
上記(3)発明によれば、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)におけるmRNAの発現を抑制する。
即ち、シクロオキシゲナーゼ(COX)はアラキドン酸に2分子の酸素を導入添加し、プロスタグランジンG2(PGG2)を合成する反応と、PGG2の15−ヒドロペルオキシドを切断し、プロスタグランジンH2(PGH2)を生成する2種類の反応の触媒をする酵素で、プロスタグランジン類(PGs)、トロンボキサン生合成の律速酵素の一つである。
COXには1型、2型の2種類が知られており、2型(COX−2)は炎症にかかわるサイトカインであるインターロイキン(IL)-1α、腫瘍壊死因子(TNF)-α、リポポリサッカライド(LPS)などや、成長因子、また、多くの発癌物質による刺激に対し、誘導発現される。これにより、2型のCOX(COX−2)mRNA発現を抑制することによって炎症を抑えることができる。これにより、皮膚に塗布することによって紫外線等による肌の炎症を効果的に抑制し、肌荒れを効果的に防止することができる。
上記(4)の発明によれば、特にβ−クリプトキサンチンを含有することにより、特に皮膚に塗布することによって、COX−2遺伝子の発現を抑制する。これにより、紫外線等による肌荒れを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の詳細を説明する。
本発明の色素生成遺伝子発現抑制剤は、温州みかん抽出物を有効成分として用いることを特徴とする。
温州ミカンはミカン科(Rutaceae)、カンキツ属(Citrus)の植物で、日本、東南アジア、中国などで栽培され、食されている。本発明においては産地等には限定されない。
【0011】
本発明の色素生成遺伝子発現抑制剤の抽出原料には、温州ミカン果実またはその一部など部位に制限はないが、廃棄物再利用の観点から、果皮や果汁絞り粕が好ましい。
【0012】
温州ミカンの果実、果皮、じょうのう膜から色素生成遺伝子発現抑制剤を抽出するための溶媒としてはn−ヘキサン、エーテル、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1、3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、水等を使用することができる。これらの溶媒を2種以上混合してもよい。また、COガスによる超臨界抽出法でもよい。望ましくは、エタノール溶液に10〜90%(wt/wt)のn−ヘキサンを含有する混合溶媒として用いると、有効成分が効率よく抽出され、食品使用における安全面の上でも好ましい抽出溶媒である。抽出用の水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水、深層水等を使用することができる。
【0013】
温州ミカンの果実、果皮、じょうのう膜から色素生成遺伝子発現抑制剤を抽出する温度としては、例えばエタノール溶液に10〜90%(wt/wt)のn−ヘキサンを含有する混合溶媒を使用する場合、抽出温度20〜68℃、望ましくは20〜50℃程度で行うとよい。抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくくなり、また、抽出温度が高すぎると、n−ヘキサンが蒸発してしまうためである。
【0014】
温州ミカンの果実、果皮、及びじょうのう膜から色素生成遺伝子発現抑制剤の抽出方法としては、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0015】
温州ミカンの果実、果皮及び、じょうのう膜から色素生成遺伝子発現抑制剤の具体的な抽出方法を示すと、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料(温州ミカン果実、果皮、じょうのう膜)を投入し、攪拌しながら有効成分を溶出させる。抽出原料はそのままでもよいが、あらかじめ粉砕しておくと抽出効率がよい。例えば、抽出溶媒としてエタノール溶液に10〜90%(wt/wt)のn−ヘキサンを含有する混合溶媒を用いる場合には、抽出原料の3〜100倍量程度(重量比)の抽出溶媒を使用し、30分〜2時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって抽出液を得る。その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施し、色素生成遺伝子発現抑制剤を得る。
【0016】
また、本発明の色素生成遺伝子発現抑制剤は、上記温州みかん抽出物にβ−クリプトキサンチンを含有することを特徴とする。このとき、β−クリプトキサンチンの含有量は特に限定されないが、0.001〜15%含有することが好ましい。
【0017】
本発明の色素生成遺伝子発現抑制剤はヘスペリジンを更に含有しても良い。このとき、ヘスペリジンの含有量は特に限定されないが、0.001〜15%が好ましい。
【0018】
温州ミカンの果実、果皮及び、じょうのう膜の溶媒抽出物からn−ヘキサン、エーテル、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1、3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、水を用いて、再抽出法、液液分配法、カラム分離法によりβ−クリプトキサンチンを高濃度に含有することができる。
【0019】
また、上記温州みかん抽出物は、COX−2遺伝子発現抑制剤として使用することもできる。皮膚に直接塗布することにより、COX−2におけるmRNAの発現を抑制するからである。これにより、紫外線等による皮膚の炎症を効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の色素生成遺伝子発現抑制剤は、皮膚外用剤として用いることにより、色素生成遺伝子発現抑制剤としての作用を期待することができる。尚、化粧料は人間に用いても良いし、人間以外の哺乳類動物に用いても良い。
本発明の色素生成遺伝子発現抑制剤を配合しうる皮膚外用剤の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
また、本発明の色素生成遺伝子発現抑制剤を配合しうる医薬品(外用薬)または医薬部外品の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等が挙げられる。
【0021】
上記形態の皮膚外用剤には、本発明による色素生成遺伝子発現抑制剤の他に、その色素生成遺伝子発現抑制作用を損なわない範囲で化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0022】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、キウイ種子油、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0023】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0024】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0025】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3、4-ジメトキシフェニルメチレン)-2、5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
【0026】
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0027】
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0028】
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1、3-ブタンジオール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0029】
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0030】
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、免疫賦活剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の免疫賦活剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。
【0031】
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0032】
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明を具体化した実施例について説明する。尚、本実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での変更は可能である。
【0034】
実施例
原料としての温州ミカン果実、果皮、じょうのう膜を用いた。まず、原料を粉砕し、エタノール溶液に50%(wt/wt)のn−ヘキサンを含有する混合溶媒で50℃において2時間抽出した。これをろ過し、そのろ液を減圧蒸留し、本実施例の温州みかん抽出物(色素生成遺伝子発現抑制剤、β-クリプトキサンチン:0.5%)を得た。
【0035】
試験例
本実施例の温州みかん抽出物を白色ワセリンに0.1または1%になるように混合し,へアレスマウスに塗布し,紫外線照射による色素沈着に及ぼす影響を以下の方法にて調べた。
【0036】
へアレスマウス(Hos; HRM2, 雄,5週齢)を12日間予備飼育してから使用した。マウスの背部正中線上,中程の皮膚に,ソーラーシュミレータを用いてUVB(160 mJ)を照射し,直後に軟膏(0.1 mL)を照射部位に塗布した。この操作を7日間繰り返し,8〜15日目においてはUVBを320 mJにあげて照射した。16日目に,照射部位の皮膚を摘出し,常法に従ってRNAを抽出し,RT-PCRにより各種mRNA(tyrosinase,tyrosinase related protein,melanocortin receptor 1,COX-2およびendotherin A receptor)の発現を調べた。その結果を下記表1に示す。尚、比較例としてアルブチン(Sigma社製)についても同様の試験を行った。
【0037】
【表1】

【0038】
結果及び実施例の効果
上記紫外線照射により,皮膚のtyrosinase,tyrosinase related protein,melanocortin receptor 1,COX-2およびendotherin A receptorのmRNA発現は,normal群と比較して明らかに上昇した(control)。これに対し,温州みかんエキスは1%塗布により,これらのmRNA発現を抑制した。COX-2およびendotherin A receptorに対しては,0.1%塗布においても抑制傾向が見られた。温州みかんエキス(1%)塗布群の結果mRNA発現を,比較対照として使用したアルブチン(1%)と比較により,温州みかんエキスはアルブチンと同程度の活性を有するものと考えられる。
【0039】
以下に本発明の色素生成遺伝子発現抑制剤の配合例を挙げるが、下記配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン・
モノステアレート 2.0
色素生成遺伝子発現抑制剤 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
合計 100.0wt%
【0040】
配合例2:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
色素生成遺伝子発現抑制剤 0.1
精製水 残余
100.0wt%
【0041】
配合例3:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサエキス 1.0
色素生成遺伝子発現抑制剤 1.0
1、3−ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
【0042】
配合例3:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L−アルギニン 1.0
色素生成遺伝子発現抑制剤 0.5
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
【0043】
配合例4:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.0wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
色素生成遺伝子発現抑制剤 0.5
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上により、本発明は、チロシナーゼやエンドセリンレセプタ等の色素の生成に関係するタンパク質のmRNAの発現を抑制し、且つ安全性の高い新規の成分を有効成分とする色素発生遺伝子発現抑制剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温州みかん抽出物を有効成分とする色素生成遺伝子発現抑制剤。
【請求項2】
前記温州みかん抽出物はβ―クリプトキサンチンを含有することを特徴とする請求項1に記載の色素生成遺伝子発現抑制剤。
【請求項3】
温州みかん抽出物を有効成分とするシクロオキシゲナーゼ−2遺伝子発現抑制剤。
【請求項4】
前記温州みかん抽出物はβ―クリプトキサンチンを含有することを特徴とする請求項3に記載のシクロオキシゲナーゼ−2遺伝子発現抑制剤。
【請求項5】
β−クリプトキサンチンを有効成分とする色素生成遺伝子発現抑制剤。




【公開番号】特開2010−248074(P2010−248074A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79686(P2009−79686)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【Fターム(参考)】