説明

色調整装置,方法およびプログラム

【課題】 異なる装置間の色調整を行う色調整装置で,調整の不整合を容易に検出できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 色調整装置1では,画素情報読み込み部12が,カラーデータから離散的に2以上の画素を取り出して各画素の画素値情報を取得し,画素選択部13が,画素値情報から制御点候補と近傍の対応画素とを選択し,色調整部15が,予め設定された色変換処理を用いて,取得した2以上の画素値情報をもとに該取り出した各画素の画素値をそれぞれ変換し,整合性確認部17が,取得した画素値情報をもとに予め設定した色空間における各画素の位置と,色変換処理により取得した画素値情報をもとに各色変換された画素の位置とを求め,前記取得した画素同士の位置関係と前記色変換された画素同士の位置関係を比較して,該位置関係に変化がある場合に該取り出した画素に対して色変換された画素に対する警告情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,異なる装置間の色調整処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,コンピュータの普及と共にスキャナ,プリンタ,ディスプレイ等の装置が普及し,色情報を含むデータ(以下,カラーデータという)が,スキャナ,プリンタ,ディスプレイなど様々な装置により処理されるようになっている。例えば,スキャナから読み込んだカラーデータをディスプレイに表示し,さらにプリンタで印刷することが行われる。
【0003】
カラーデータを処理する装置は,それぞれ固有の色体系の情報を保有している。そのため,同じカラーデータから同じような処理結果を得るためには,各装置での色調整が必要となる。異なる装置間でカラーデータをやりとりする場合に,各装置では,自装置とデータ送り元である他装置との組合せにもとづいて,カラーデータの出力すべき色が,自装置の色体系ではどの色であるかを特定する色調整処理を行っている。
【0004】
この色調整処理は,カラーデータの出力の都度,カラーデータが含む全色について一々計算を行うと膨大な計算量になり処理時間もかかってしまう。そのため,装置は,データ元装置に対応付けた色調整情報として,代表的な色について変換色との対応を定義した色調整テーブルを記憶しておき,カラーデータ処理時には,データ送り元に対応する色調整テーブルを用いて色調整を行い,代表色は定義された変換色へ変換し,その他の色は色調整テーブルの定義情報にもとづいて求められたパラメータを用いて補間処理して出力する色を定めている。
【0005】
従来,色バランス補正処理において,色空間上での画像データの分布をもとに,色空間の座標軸の移動目標位置をバランス補正の微調整が必要な方向における移動目標位置での分布密度が高くなるように複数設定し,座標軸を移動目標位置への平行移動に相当するパラメータを決定する処理が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−20390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の色調整処理では,カラーデータ内の代表色は,色調整テーブルの定義にもとづいて忠実に変換されるが,他の色については,変換後の色の連続性について検証することができず,変換後の色では,濃度や色味について階段状のギャップが発生するという問題があった。
【0008】
そのため,同一のカラーデータの元の装置での処理結果とできる限り同じようにするため,色調整によって濃度や色味にギャップが生じ違和感を生じさせているような色については,さらに人手によって色調整する必要があった。
【0009】
一般的に,色調整処理は,装置間でカラーデータをやりとりする都度行われるのではなく,処理の最初の段階で実行される。具体的には,処理する装置が,保持する色調整テーブルを用いてサンプルとなるカラーデータを色調整して出力し,色調整が適切であるかを人が目視で確認し,修正を要する色を見つけて人手で調整している。なお,人手による調整により色調整処理のパラメータが修正され,以降の処理では,修正された色調整処理によってカラーデータが処理される。
【0010】
しかし,人手による調整対象の色が多数となれば,対象となる色のチェック作業が繁雑となり,作業漏れが生じるおそれがあった。
【0011】
本発明の目的は,異なる装置間の色調整の際に,元の色と整合性がなくなった色(調整済みの色)を検出できる色調整装置を提供することである。また,本発明の別の目的は,前記色調整装置が実現する各処理を,コンピュータが実行するための色調整方法を提供することである。さらに,本発明の別の目的は,前記色調整装置が実現する各処理を,コンピュータに実行させるための色調整プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様として開示する色調整装置は,異なる装置間で生じる処理色の色調整を行う色調整装置であって,以下の処理部を備えるものである。
【0013】
すなわち,開示する色調整装置は,カラーデータから離散的に2以上の画素を取り出し,該取り出した2以上の画素の画素値情報をそれぞれ取得する画素情報読み込み部と,予め設定された色変換処理を用いて,前記取得した2以上の画素値情報をもとに前記取り出した各画素の画素値をそれぞれ変換する色調整部と,前記取得した画素値情報をもとに予め設定した色空間における前記各画素の位置と,前記色変換処理により取得した画素値情報をもとに前記各色変換された画素の位置とを求め,前記取得した画素同士の位置関係と前記色変換された画素同士の位置関係を比較して,該位置関係に変化がある場合に前記取り出した画素に対して色変換された画素に対する警告情報を出力する整合性確認部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
開示する色調整装置によれば,異なる装置間の色調整の際に,調整前の色との整合性がなくなった調整後の色を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】開示する色調整装置の一実施の形態における構成例を示す図である。
【図2】画素組合せに対する色調整の結果が整合性を持つ場合の例を示す図である。
【図3】画素組合せに対する色調整の結果が不整合である場合の例を示す図である。
【図4】画素組合せに対する色調整の結果が不整合である場合の別の例を示す図である。
【図5】色調整装置の処理フロー例を示す図である。
【図6】色調整装置1のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明の一態様として開示する色調整装置について説明する。
【0017】
図1は,開示する色調整装置の一実施の形態における構成例を示す図である。
【0018】
色調整装置1は,異なる装置間の色調整において制御点となる色(サンプル色)について,調整前後の色の整合性をチェックし,整合性がない色を検出する装置である。
【0019】
色調整装置1は,画素情報記憶部11,画素情報読み込み部12,画素選択部13,画素組合せ部14,色調整部15,位置情報記憶部16,および整合性確認部17を備える。
【0020】
画素情報記憶部11は,色調整の対象となるカラーデータの画素情報を記憶する。画素情報は,カラーデータに含まれる画素の画素値を示す情報である。
【0021】
画素情報読み込み部12は,画素情報記憶部11に記憶されている画素情報から,色調整処理の制御点(色)となる画素を離散的に抽出し,抽出した画素の画素値を読み込む。画素情報読み込み部12が読み込む画素数は任意であり,予め設定されているものとする。
【0022】
画素選択部13は,画素情報読み込み部12が抽出した画素群から1つずつ画素を選択して制御点候補とする。
【0023】
画素組合せ部14は,画素情報読み込み部12が抽出した画素群から,画素選択部13が選択した制御点候補(選択画素)の最近傍に位置する画素を抽出して対応画素とし,制御点候補と対応画素との「画素組合せ」を生成する。
【0024】
最近傍の画素とは,ある色空間に配置された制御点候補の集合において,選択された制御点候補の色空間での位置から最短距離の位置にある画素である。なお,最近傍の画素として,所定の距離以上離れた範囲にある画素のうち最短距離にある画素を抽出するようにしてもよい。後述する整合性確認処理において,制御点候補に近すぎる画素同士で調整結果の整合性を判定すると判定結果が過敏となるため,これを防止するためである。
【0025】
または,画素組合せ部14は,画素情報読み込み部12が抽出した画素群から,画素選択部13が選択した制御点候補の最近傍に位置する画素を2つ抽出し,制御点候補と2つの近傍画素との組合せを生成する。そして,画素組合せ部14は,生成した制御点候補と2つの近傍画素との組合せから,近傍画素が共通する組合せを全て抽出して,制御点候補,対応画素,2つの制御点候補の「画素組合せ」を生成する。
【0026】
画素組合せ部14は,予め設定された色空間に,画素組合せの各画素を画素値にもとづいてマッピングし,各画素の色空間における位置情報を示す調整前位置情報を生成して位置情報記憶部16に記録する。
【0027】
色調整部15は,位置情報記憶部16に記憶されている各画素組合せを1つずつ取り出して,画素組合せに対してカラーデータに対応付けられた色調整パラメータ2を用いた所定の色調整処理を行って,画素組合せの各画素の画素値を変換する。
【0028】
色調整部15は,色空間に,画素組合せの各画素を変換された画素値にもとづいてマッピングし,各画素の色空間における位置情報を示す調整後位置情報を生成して位置情報記憶部16に記録する。
【0029】
位置情報記憶部16は,各画素組合せの調整前位置情報および調整後位置情報を記憶する。
【0030】
整合性確認部17は,位置情報記憶部16に記憶されている画素組合せが含む制御点候補と対応画素との調整前位置情報にもとづく位置関係と,調整後位置情報にもとづく位置関係とを比較し,色調整処理の前後で2つの位置関係が変化しているかを調べる。整合性確認部17は,制御点候補と対応画素との位置関係が色調整の前後で変化していなければ,その画素組合せの制御点候補の調整後の画素は整合性があると判断し,色調整の前後で位置関係が変化していれば,その画素組合せの制御点候補の調整後の画素は整合性がないと判断する。
【0031】
整合性確認部17は,画素組合せの制御点候補の調整後の画素が整合性がないと判断した場合に,その画素組合せについて警告を出力する。または,整合性確認部17は,その画素組合せの調整前位置情報および調整後位置情報を含む不整合情報3を生成する。
【0032】
不整合情報3は,色調整装置1に接続されるディスプレイ装置などの出力装置に,該当する画素(色)としてまたは画素値(数値)として表示される。
【0033】
次に,色調整の整合性の判定処理を,より詳細に説明する。
【0034】
図2〜図4は,画素組合せの色調整の整合および不整合の例を示す図である。
【0035】
色空間の表現としては,Lab,XYZ,RGBなどの3色系と,CMYKなどの4色系があるが,本実施の形態においては,説明の便宜上,Lab系の色味を示すa,bの2つの値を画素値として用いて説明する。図2〜図4において,平面を構成する2つの座標軸a*,b*は,Lab色空間の補間次元a,bに対応している。
【0036】
図2〜図4において,平面上に示す画素p1〜p4は,画素組合せが含む画素である。画素p1,p3は,近傍画素を表し,画素p2は,制御点候補を表し,画素p4は,対応画素を表す。
【0037】
すなわち,図2〜図4でマッピングされている画素組合せ(画素p1〜p4)は,画素組合せ部14が,制御点候補の画素p2と近傍画素p1,p3の組合せと,制御点候補の画素p4と近傍画素p1,p3の組合せから,共通する近傍画素p1,p3をもとに組み合わせて作成した格子関係を持つ画素組合せである。
【0038】
画素組合せ部14は,制御点候補と対応画素との画素組合せを生成する場合には,制御点候補の画素p2と対応画素の画素p4との画素組合せを生成する。この場合に,色空間には,画素p2,p4がマッピングされる。
【0039】
図2は,画素組合せの制御点候補が整合性を持つ場合の例を示している。
【0040】
図2(A)は,調整前位置情報の例である。調整前位置情報には,格子関係組合せの4つの画素の色空間での位置(ここでは,a,bの画素値)が記録されている。例えば,画素p1は,Lab系の補間次元aの値が“17.11”,bの値が“17.29”であることを示す。
【0041】
図2(B)は,調整後位置情報の例である。調整後位置情報には,格子関係組合せの4つの画素の調整後の位置(調整後の画素値)が記録されている。例えば,画素p1’は,Lab系のaの値が“18.11”,bの値が“17.29”であることを示す。
【0042】
図2(C)は,図2(A)の調整前位置情報と図2(B)の調整後位置情報の場合に画素p1〜p4の座標軸a*,b*の平面で示す色空間における位置を表している。
【0043】
整合性確認部17は,画素p2,p4の位置関係と,画素p2’,p4’の位置関係とに変化があるかを調べる。すなわち,整合性確認部17は,画素p2,p4それぞれの色空間における位置(座標値)を求め,座標軸ごとに,2つの画素の座標値の大小関係を求めて,その大小関係の変化を調べる。
【0044】
ここで,色空間における画素pixの位置について,a*軸に対応する座標値を“pia”で表し,画素pixのb*軸に対応する座標値を“pib”で表す。
【0045】
図2(C)に示す例では,調整前の画素p2の座標値(p2a,p2b)と画素p4の位置を示す座標値(p4a,p4b)との関係は,a*軸においてp2a<p4aであり,b*軸においてp2b>p4bである。そして,調整後前の画素p2’の座標値(p2’a,p2’b)と画素p4の位置を示す座標値(p4’a,p4’b)との関係は,a*軸においてp2’a<p4’aであり,b*軸においてp2’b>p4’bである。
【0046】
したがって,調整前の画素p2,p4と,調整後の画素p2’,p4’の間で,全ての座標軸における座標値の大小関係に変化がないので,画素p2,p4に対する色調整後の画素p2’,p4’は整合性を持つと判断される。
【0047】
図3は,画素組合せの制御点候補が不整合である場合の例を示している。
【0048】
図3(A)は,調整前位置情報の例であり,図3(B)は,調整後位置情報の例であり,図3(C)は,図3(A)の調整前位置情報と図3(B)の調整後位置情報の場合の画素p1〜p4の色空間における位置(座標軸a*,b*の平面上の位置)を表している。
【0049】
図3(C)に示す例では,調整前の画素p2の座標値(p2a,p2b)と画素p4の位置を示す座標値(p4a,p4b)との関係は,a*軸においてp2a<p4aであり,b*軸においてp2b>p4bである。
【0050】
一方,調整後の画素p2’の座標値(p2’a,p2’b)と画素p4の位置を示す座標値(p4’a,p4’b)との関係は,a*軸においてp2’a>p4’aであり,b*軸においてp2’b<p4’bとなり,a*軸,b*軸ともに変化している。よって,画素p2,p4に対する色調整後の画素p2’,p4’は整合性がないと判断される。
【0051】
図4は,画素組合せの制御点候補が不整合である場合の例を示している。
【0052】
図4(A)は,調整前位置情報の例であり,図4(B)は,調整後位置情報の例であり,図4(C)は,図4(A)の調整前位置情報と図4(B)の調整後位置情報の場合の画素p1〜p4の色空間における位置(座標軸a*,b*の平面上の位置)を表している。
【0053】
図4(C)に示す例では,調整前の画素p2の座標値(p2a,p2b)と画素p4の位置を示す座標値(p4a,p4b)との関係は,a*軸においてp2a<p4aであり,b*軸においてp2b>p4bである。
【0054】
一方,調整後の画素p2’の座標値(p2’a,p2’b)と画素p4の位置を示す座標値(p4’a,p4’b)との関係は,a*軸においてp2’a>p4’aであり,b*軸においてp2’b>p4’bとなり,a*軸について変化している。よって,画素p2,p4に対する色調整後の画素p2’,p4’は整合性を持たないと判断される。
【0055】
以上のように,整合性確認部17は,制御点候補p2と対応座標p4の位置関係の変化を,a*軸またはb*軸のいずれか1つでの座標値の大小関係の変化により判断して,整合性を持つかを判断する。
【0056】
また,整合性確認部17は,画素p2,p4の位置関係と,画素p2’,p4’の位置関係とに変化があるかを調べる手法として,次のような処理を行う。
【0057】
すなわち,整合性確認部17は,画素組合せの画素p1〜p4を用いて,近傍画素p1,p3を含む直線の方程式Lを求め,制御点候補の画素p2と対応画素p4とが方程式Lで分割される領域のどちらに位置するかを求めて,2つの画素の位置関係を調べる。
【0058】
例えば図4(C)に示すように,整合性確認部17は,調整前位置情報から,近傍画素p1,p3を含む直線の方程式Lを特定し,制御点候補の画素p2と対応画素p4とが方程式Lで分割される領域のどちらに位置するかを求める。さらに,整合性確認部17は,調整後位置情報から,近傍画素p1’,p3’を含む直線の方程式L’を特定し,制御点候補の画素p2’と対応画素p4’とが方程式L’で分割される領域のどちらに位置するかを求める。
【0059】
図4(C)に示す例では,調整前の画素p2は方程式Lが分割する左/上の領域に位置し,画素p4は方程式Lが分割する右/下の領域に位置する。一方,調整された画素p2’は方程式L’が分割する左/上の領域に位置するが,画素p4’は方程式L’上に位置する。したがって,画素p2,p4の位置関係と,色調整後の画素p2’,p4’の位置関係とが変化している。よって,画素p2,p4に対する色調整後の画素p2’,p4’は整合性を持たないと判断される。
【0060】
色空間において2つの画素(制御点候補と対応座標)の位置関係に変化が生じること,すなわち2つの色の色情報のいずれかの成分(各座標軸での座標値)の大小関係に変化が生じるということは,その2つの色間で濃度や色味が逆転することを意味する。制御点候補として着目する色の濃度や色味が,色調整されることにより,近傍にある色(対応画素)との関係で逆転していることは,自装置でカラーデータを出力する際に,その制御点候補の表示色が,元の装置での表示色(調整前の色)と変化することになり,人の目で見た色合いに違和感を生じさせる。
【0061】
整合性確認部17は,出力時に色合いに違和感を生じさせるような調整結果となる制御点候補について検出し,この画素組合せについて警告情報を出力する。整合性確認部17は,警告情報として,不整合を検出した格子関係の画素の調整前位置情報と調整後位置情報を含む不整合情報3を生成する。
【0062】
色調整装置1が出力する警告情報により,ユーザは,カラーデータに含まれる色のうち,色調整により濃度や色味が違和感を生じさせる程度に変化する色を容易に検出することができる。また,色調整装置1が出力する不整合情報3により,ユーザは,警告対象となった色が,どの色であり,どのような色に変化するかを知ることができる。
【0063】
次に,色調整装置1の処理の流れを説明する。
【0064】
図5は,色調整装置1の処理フロー例を示す図である。
【0065】
図5の処理フローでは,色調整装置1は,カラーデータから取り出した画素について,2つの近傍画素を介して制御点候補と対応画素の画素組合せについて色調整の整合性を確認する場合の処理について説明する。
【0066】
色調整装置1の画素情報読み込み部12は,画素情報記憶部11に記憶されたカラーデータから,所定数の制御点候補となる画素を抽出し,抽出した画素値を示す画素情報を読み込む(ステップS1)。画素選択部13は,画素情報読み込み部12が抽出した画素の集合から,画素を任意に1つ選択する(ステップS2)。画素選択部13が,画素情報から全ての画素の選択が終了していなければ(ステップS3のN),ステップS4の処理へ進む。画素選択部13が,画素情報から全ての画素の選択が終了していれば(ステップS3のY),処理を終了する。
【0067】
画素組合せ部14は,ステップS2の処理で選択された画素(制御点候補)の近傍に位置する画素を抽出し,選択された画素(制御点候補)と2以上の近傍画素との組合せを生成する(ステップS4)。画素組合せ部14は,ステップS4の処理で生成された画素の組合せをもとに近傍画素が共通する組合せを抽出して,格子関係となる画素で画素組合せを生成する(ステップS5)。画素組合せ部14が,選択された画素について全ての画素組合せの生成を終了していなければ(ステップS6のN),ステップS7の処理へ進み,画素組合せ部14が,選択された画素について全ての画素組合せの生成を終了していれば(ステップS6のY),ステップS2の処理へ戻り,次の画素を選択する。
【0068】
画素組合せ部14は,画素組合せについて調整前位置情報を位置情報記憶部16に記録する(ステップS7)。次に,色調整部15は,画素組合せの各画素の色調整を行い,調整後の位置情報を示す調整後位置情報を生成する(ステップS8)。画素組合せ部14は,画素組合せについて調整後位置情報を位置情報記憶部16に記録する(ステップS9)。
【0069】
整合性確認部17は,位置情報記憶部16に記憶されている調整前位置情報と調整後位置情報とを用いて,調整前と調整後の画素の色空間における位置を比較する(ステップS10)。整合性確認部17が,調整前と調整後の画素に整合性がないと判定した場合に(ステップS11のN),整合性確認部17は,画素組合せの画素についての調整前位置情報と調整後位置情報を含む不整合情報を生成する(ステップS12)。整合性確認部17が,画素組合せの画素の色調整の整合性があると判定した場合に(ステップS11のY),ステップS5の処理へ戻る。
【0070】
以上の処理により,ステップS1の処理で読み込まれた各画素は,制御点候補の画素として,2以上の近傍画素の位置にもとづく対応画素との位置関係を利用して,調整した画素値の整合性が確認される。
【0071】
色調整装置1は,CPUおよびメモリ等を有するハードウェアとソフトウェアプログラムとを備えるコンピュータ・システム,または専用ハードウェアによって実現することができる。
【0072】
図6は,色調整装置1のハードウェア構成例を示す図である。
【0073】
色調整装置1は,演算装置(CPU)101,一時記憶装置(DRAM,フラッシュメモリ等)102,永続性記憶装置(HDD,フラッシュメモリ等)103を備えるコンピュータ100と,これに接続する入力装置(キーボード,マウス等)120と出力装置(ディスプレイ,プリンタ等)130とによって実施することができる。コンピュータ100は,さらにネットワークNとのネットワークインターフェース104を有していてもよい。
【0074】
また,色調整装置1は,は,コンピュータ100が実行可能なプログラムによって実施することができる。この場合に,色調整装置1が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。提供されたプログラムをコンピュータ100が実行することによって,上記説明した色調整装置1の処理機能がコンピュータ100上で実現される。
【0075】
すなわち,色調整装置1の画素情報読み込み部12,画素選択部13,画素組合せ部14,色調整部15,整合性確認部17等は,プログラムで構成することができ,これらのプログラムが一時記憶装置102にロードされて実行されることにより,各処理部の機能が実現される。また,画素情報記憶部11,位置情報記憶部16等は永続性記憶装置103により実現される。
【0076】
なお,コンピュータ100は,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また,コンピュータ100は,サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに,逐次,受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0077】
さらに,このプログラムは,コンピュータ100で読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0078】
以上説明したように,開示した色調整装置1では,処理対象となる制御点候補と,その近傍にある対応画素との2つの色の関係に着目し,調整前後での相互の位置関係の変化を検出するため,少なくとも2つの座標軸で示す色空間において,2つの色についての位置関係の変化を調べるだけよい。
【0079】
また,色調整装置1は,色空間が3色系の場合(3軸の場合)であっても,各座標軸について座標値の大小関係の変化を調べればよく,多色系の色空間にも容易に適用することができる。
【0080】
色調整装置1によれば,色調整の初期段階で,サンプル色に対する色調整の結果から,調整作業が必要な色が検出されるため,ユーザは,不整合として検出された色のみについて調整作業をすればよく,調整作業の漏れが防止でき,かつ作業負担も軽減される。
【符号の説明】
【0081】
1 色調整装置
11 画素情報記憶部
12 画素情報読み込み部
13 画素選択部
14 画素組合せ部
15 色調整部
16 位置情報記憶部
17 整合性確認部
2 色調整パラメータ
3 不整合情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる装置間で生じる処理色の色調整を行う色調整装置であって,
カラーデータから離散的に2以上の画素を取り出し,該取り出した2以上の画素の画素値情報をそれぞれ取得する画素情報読み込み部と,
予め設定された色変換処理を用いて,前記取得した2以上の画素値情報をもとに前記取り出した各画素の画素値をそれぞれ変換する色調整部と,
前記取得した画素値情報をもとに予め設定した色空間における前記各画素の位置と,前記色変換処理により取得した画素値情報をもとに前記各色変換された画素の位置とを求め,前記取得した画素同士の位置関係と前記色変換された画素同士の位置関係を比較して,該位置関係に変化がある場合に前記取り出した画素に対して色変換された画素に対する警告情報を出力する整合性確認部とを,備える
ことを特徴とする色調整装置。
【請求項2】
前記整合性確認部は,前記取得した2以上の画素の位置関係として,前記取得した2以上の画素値情報をもとに前記各画素を所定の色空間上に配置して該色空間の座標軸ごとに前記各画素の座標値の大小関係を求めるとともに,前記各色変換された画素の位置関係として,前記色変換処理により取得した画素値情報をもとに前記各色変換された画素を該色空間上に配置して該色空間の座標軸ごとに前記色変換された画素の座標値の大小関係を求め,前記色空間の座標軸ごとに前記取得した画素の座標値の大小関係と前記各色変換された画素の座標値の大小関係を比較して前記位置関係が変化しているかを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の色調整装置。
【請求項3】
前記画素情報読み込み部は、カラーデータから離散的に4個の画素を取り出し,該取り出した4個の画素の画素値情報をそれぞれ取得し、
前記整合性確認部は,前記取得した4個の画素の位置関係として,該4個の画素を2軸の色空間上に配置した場合に形成される四角形の対角に位置する第一の画素と第二の画素との座標値に基づいて直線を求め、該直線によって二つの領域に分割される前記色空間につき、前記4個の画素のうち第一の画素と第二の画素以外の画素である第三の画素が、前記画素情報読み込み部により取得された該第三の画素が存在する領域が、前記色変換された該第三の画素が存在する領域と同一かを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の色調整装置。
【請求項4】
前記整合性確認部は,前記警告情報として,前記取得した画素の画素値情報と前記色変換処理された画素の画素値情報とを含む不整合情報を出力する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色調整装置。
【請求項5】
異なる装置間で生じる処理色の色調整を行う色調整方法であって,
コンピュータが,
カラーデータから離散的に2以上の画素を取り出し,該取り出した2以上の画素の画素値情報をそれぞれ取得する処理ステップと,
予め設定された色変換処理を用いて,前記取得した2以上の画素値情報をもとに前記取り出した各画素の画素値をそれぞれ変換する処理ステップと,
前記取得した画素値情報をもとに予め設定した色空間における前記各画素の位置と,前記色変換処理により取得した画素値情報をもとに前記各色変換された画素の位置とを求める処理ステップと,
前記取得した画素同士の位置関係と前記色変換された画素同士の位置関係を比較して,該位置関係に変化がある場合に前記取り出した画素に対して色変換された画素に対する警告情報を出力する処理ステップとを,実行する
ことを特徴とする色調整方法。
【請求項6】
異なる装置間で生じる処理色の色調整を行う色調整プログラムであって,
コンピュータに,
カラーデータから離散的に2以上の画素を取り出し,該取り出した2以上の画素の画素値情報をそれぞれ取得する処理と,
予め設定された色変換処理を用いて,前記取得した2以上の画素値情報をもとに前記取り出した各画素の画素値をそれぞれ変換する処理と,
前記取得した画素値情報をもとに予め設定した色空間における前記各画素の位置と,前記色変換処理により取得した画素値情報をもとに前記各色変換された画素の位置とを求める処理と,
前記取得した画素同士の位置関係と前記色変換された画素同士の位置関係を比較して,該位置関係に変化がある場合に前記取り出した画素に対して色変換された画素に対する警告情報を出力する処理とを,実行させる
ことを特徴とする色調整プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−195844(P2012−195844A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59546(P2011−59546)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】