説明

艶消し樹脂フィルム

【課題】 マット層を有する艶消し樹脂フィルムと熱可塑性樹脂シートとを貼合成形後に、マット層表面に凹凸が観測されない艶消し樹脂フィルムを提供することである。
【解決手段】 透明樹脂及び透明微粒子を含むマット層を有する艶消し樹脂フィルムは、前記透明微粒子10000個のうち体積平均粒径の2倍以上の粒子径を有する粒子の割合が5個以下である。この艶消し樹脂フィルムの表面に加飾が施され、この加飾表面に熱可塑性樹脂シートを積層すれば加飾シートが得られ、この加飾表面に熱可塑性樹脂を射出成形すれば加飾成形品を得ることができる。さらに前記加飾シートの熱可塑性樹脂シート側に、熱可塑性樹脂を射出成形すれば加飾成形品を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、艶消し樹脂フィルムに関する。また、本発明は、該艶消し樹脂フィルムを用いてなる加飾用フィルム及び加飾用シート、さらには加飾成形品にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、艶消し処理を行う対象基材としては、一般的にプラスチック板、例えばアクリル樹脂板やポリカーボネート樹脂板が用いられ、熱成形などにより表面に艶消し形状が形成され、意匠性成形体として用いられている。これに対し、近年では、かかる意匠性成形体の製造方法として、射出成形同時貼合法などのフィルム貼合法が採用されることが多くなっており、艶消し樹脂フィルムへの要望が高まっている。
【0003】
艶消し樹脂フィルムとしては、フィルム化時やフィルム化後に型で艶消し形状を転写したものや、原料樹脂に艶消し剤を添加してフィルム化したものが知られているが(例えば特許文献1、2参照)、前者は、射出成形同時貼合時に艶戻りが生じ易いという問題があり、後者は、マット面(艶消し面)と反対側の面に絵柄の印刷などの加飾が施された場合に加飾抜けが生じ易く、またコスト高になり易いという問題がある。これら単層の艶消し樹脂フィルムの問題を解決するため、マット層(艶消し層)を有する多層の艶消し樹脂フィルムが検討されており、例えば、特許文献3には、艶消し剤を含む樹脂層と艶消し剤を含まない樹脂層とを共押出成形や熱ラミネートにより積層したものが開示されている。また、特許文献4には、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂と無機系微粒子により樹脂フィルム基体にマット層(艶消し層)を形成したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−237134号公報
【特許文献2】特開平10−237261号公報
【特許文献3】特開2002−273835号公報
【特許文献4】特開2003−211598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、マット層を有する艶消し樹脂フィルムを熱可塑性樹脂シートと熱ラミネートさせた場合、得られる加飾シートのマット層表面に多数の凹凸が観測されることがあった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、マット層を有する艶消し樹脂フィルムと熱可塑性樹脂とを貼合成形後に、マット層表面の凹凸の発生が良好に抑制された艶消し樹脂フィルムを提供することである。本発明の他の課題は、この艶消し樹脂フィルムを用いて、意匠性に優れた加飾フィルム、加飾シート、さらには加飾成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、マット層を有する艶消しフィルムと熱可塑性樹脂シートとの貼合成形サンプルをレーザ顕微鏡で観察したところ、マット層表面の凹部中央に拡散剤の粗大粒子(15μm以上)があることがわかった。マット層に大きな粒子径の透明微粒子が存在すると前述した凹凸が発生してしまうこと、及び、該透明微粒子10000個のうち体積平均粒径の2倍以上の粒子径を有する粒子の割合が5個以下とすることにより前記凹凸の発生を良好に抑制しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の艶消し樹脂フィルムおよびこれを用いた成形品は、以下の構成からなる。
(1)透明樹脂及び透明微粒子を含むマット層を有する艶消し樹脂フィルムであって、前記透明微粒子10000個のうち体積平均粒径の2倍以上の粒子径を有する透明微粒子の割合が5個以下であることを特徴とする艶消し樹脂フィルム。
(2)マット層に含まれる透明微粒子の体積平均粒径が3〜10μmである前記(1)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(3)マット層と、該マット層の少なくとも一方の面に積層された透明樹脂層とを備える前記(1)又は(2)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(4)マット層に含まれる透明微粒子の屈折率(Nd)とマット層に含まれる透明樹脂の屈折率(Nb)との差(|Nd−Nb|)が0.01以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(5)マット層に含まれる透明微粒子がアクリル系の架橋粒子である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(6)マット層に含まれる透明樹脂がメタクリル樹脂である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(7)マット層がゴム粒子を含む層である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(8)艶消し樹脂フィルム全体の厚さが20〜800μmである前記(1)〜(7)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(9)マット層の厚さが艶消し樹脂フィルム全体の厚さの50%以下である前記(3)〜(8)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(10)マット層の厚さが5〜100μmである前記(3)〜(9)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(11)透明樹脂層に含まれる透明樹脂がメタクリル樹脂である前記(3)〜(10)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(12)メタクリル樹脂が、全単量体の合計100重量%を基準にメタクリル酸アルキルを50〜100重量%、アクリル酸アルキルを0〜50重量%、及びこれら以外の単量体を0〜49重量%の割合で重合させてなる重合体である前記(6)〜(11)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(13)透明樹脂層がゴム粒子を含む層である前記(3)〜(12)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(14)ゴム粒子がアクリル系ゴム粒子である前記(7)〜(13)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
(15)アクリル系ゴム粒子が、アルキル基の炭素数が4〜8であるアクリル酸アルキルと多官能単量体とを共重合させてなるゴム弾性体の層のまわりに、メタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体の層が形成されてなる多層構造の粒子である前記(14)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(16)前記ゴム弾性体の層の数平均径が50〜500nmである前記(15)に記載の艶消し樹脂フィルム。
(17)前記(1)〜(16)のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルムの表面に、加飾が施されてなることを特徴とする加飾フィルム。
(18)前記(17)に記載の加飾フィルムの加飾側の面に、熱可塑性樹脂シートが積層されてなることを特徴とする加飾シート。
(19)前記(17)に記載の加飾フィルムの加飾側の面に、熱可塑性樹脂が射出成形されてなることを特徴とする加飾成形品。
(20)前記(18)に記載の加飾シートの熱可塑性樹脂シート側の面に、熱可塑性樹脂が射出成形されてなることを特徴とする加飾成形品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マット層を有する艶消し樹脂フィルムと熱可塑性樹脂シートとを貼合成形した後のマット層表面に生じる凹凸を抑制することができ、この艶消し樹脂フィルムを用いることにより、意匠性に優れる加飾フィルム、加飾シート、さらには加飾成形品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(艶消し樹脂フィルム)
本発明の艶消し樹脂フィルムは、透明樹脂及び透明微粒子を必須とするマット層の構成材料を、押出成形によりフィルム化することで製造することができる。
また、本発明の艶消し樹脂フィルムとしては、該マット層の少なくとも一方の面に透明樹脂層が積層されてなる多層フィルムが好ましく、該多層フィルムは、前記マット層の構成材料と、透明樹脂層の構成材料とを、共押出成形により多層フィルム化することで製造することができる。
【0011】
(透明樹脂)
マット層や透明樹脂層を構成する透明樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。中でも、透明性や耐候性の点から、アクリル系樹脂が好ましく用いられ、特にメタクリル樹脂が好ましく用いられる。
【0012】
メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする単量体を重合させてなる重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
【0013】
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体の合計100重量%を基準として、好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、アクリル酸アルキルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、さらに好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.5重量%、アクリル酸アルキルが0.5〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
【0014】
メタクリル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でも、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
【0015】
アクリル酸アルキルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
【0016】
メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。
【0017】
単官能単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンのような芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなアルケニルシアン化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミドが挙げられる。
【0018】
多官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートのような多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートのような多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンのような芳香族ポリアルケニル化合物が挙げられる。
【0019】
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0020】
メタクリル樹脂は、耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であるのが好ましく、60℃以上であるのがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
【0021】
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などにより重合させることにより、調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適な多層フィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜調整すればよい。
【0022】
(透明微粒子)
マット層を構成する透明微粒子としては、例えば、アクリル系やスチレン系などの架橋粒子、タルク、ガラスビーズ、シリコーン粒子が挙げられる。中でも、屈折率やサイズを制御し易い点から、アクリル系の架橋粒子が好ましく用いられる。
【0023】
透明微粒子は、その屈折率Ndとマット層を構成する透明樹脂の屈折率Nbとの差(|Nd−Nb|)が0.01以下であるのが好ましく、0.008以下であるのがより好ましく、0.005以下であるのがさらに好ましい。
【0024】
透明微粒子の体積平均粒径は、3〜10μmであるのが好ましく、4〜9μmであるのがより好ましく、4.5〜8μmであるのがさらに好ましい。体積平均粒径があまり小さいと、光沢を下げ所望のマット感とするためにマット層中の透明微粒子の量を多くする必要があり、経済的でないうえ、フィルムが脆く割れ易くなるため、好ましくない。
【0025】
そして、アクリル系やスチレン系の合成樹脂透明微粒子の製造方法としては、従来から汎用されている製造方法で製造でき、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等が挙げられる。
【0026】
本発明における上記透明微粒子は、該透明微粒子10000個のうち体積平均粒径の2倍以上の粒子径を有する透明微粒子の割合が5個以下であることがよく、さらに好ましくは前記割合が3個以下がよい。
上記重合法で得られた透明微粒子の前記割合が5個を超える場合には、風力分級機や気流分級機等の分級装置を用いて前記割合が5個以下となるように分級すればよい。
【0027】
(ゴム粒子)
マット層や透明樹脂層を構成する透明樹脂にゴム粒子を配合して、マット層や透明樹脂層を構成することで、得られる艶消し樹脂フィルムの柔軟性や強度を向上させることができる。
【0028】
ゴム粒子としては、例えば、アクリル系、ブタジエン系、スチレン−ブタジエン系、オレフィン系の各ゴム粒子が挙げられるが、中でも、耐候性の点から、アクリル系ゴム粒子が好ましく用いられる。なお、透明樹脂層及びマット層の両方にゴム粒子を含有させる場合、両ゴム粒子は、互いに同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0029】
アクリル系ゴム粒子は、アルキル基の炭素数が4〜8であるアクリル酸アルキルと多官能単量体とを、必要に応じて他の単官能単量体と共に、共重合させてなるゴム弾性体を含有するものであるのがよい。このようなゴム弾性体からなる単層のアクリル系ゴム粒子の他、このようなゴム弾性体を一つの層とする多層構造のアクリル系ゴム粒子も使用できる。ここで用いる多官能単量体は、1分子中に少なくとも2個の重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステルが挙げられる。また、任意に共重合成分とされる他の単官能単量体としては、例えば、スチレン、核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリルが挙げられる。
【0030】
多層構造のアクリル系ゴム粒子は、例えば、アクリル酸アルキルと多官能単量体とを共重合させてなるゴム弾性体の層のまわりに、メタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体の層が形成されたものであることができ、2層、3層又はそれより多くの層からなるものが包含される。2層構造のアクリル系ゴム粒子としては、例えば、内層がアクリル酸アルキルと多官能単量体とを共重合させてなるゴム弾性体であり、外層がメタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体であるものが挙げられる。3層構造のアクリル系ゴム粒子としては、例えば、最内層がメタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体であり、中間層がアクリル酸アルキルと多官能単量体とを共重合させてなるゴム弾性体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体であるものが挙げられる。最内層は、メタクリル酸メチルの他に少量の多官能単量体を用い、架橋されているのが好ましい。かかる3層構造のアクリル系ゴム粒子は、例えば、特公昭55−27576号公報(米国特許第3793402号明細書)に記載の方法によって製造することができる。本発明においては、少なくとも2層の多層構造を有するゴム粒子を用いるのが好ましく、さらにフィルムとしたときの表面硬度向上の観点からは、3層構造のゴム粒子を用いるのが一層好ましい。
【0031】
前記アクリル系ゴム粒子の平均粒径は、ゴム弾性体の層の数平均径で表して、通常50nm以上、好ましくは80nm以上、より好ましくは150nm以上であり、また通常500nm以下、好ましくは350nm以下、より好ましくは300nm以下である。平均粒径があまり小さいと、得られるフィルムの耐衝撃性が低くなる傾向にあり、あまり大きいと、透明性が低くなる傾向にある。
【0032】
なお、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体であり、その中にゴム弾性体が包み込まれているアクリル系ゴム粒子は、それを母体のアクリル系樹脂に混合すると、ゴム粒子の最外層が母体のアクリル系樹脂と混和するため、その断面において酸化ルテニウムによるゴム弾性体部分への染色を施し、電子顕微鏡で観察した場合、そのゴム粒子が、最外層を除いた状態の粒子として観察される。具体的には、内層がゴム弾性体であり、外層がメタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体である2層構造のアクリル系ゴム粒子を用いた場合には、そのゴム弾性体部分が染色されて単層構造の粒子として観察され、また、最内層がメタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体であり、中間層がゴム状弾性体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体である3層構造のアクリル系ゴム粒子を用いた場合には、最内層である粒子中心部分が染色されず、中間層のゴム弾性体部分のみが染色された2層構造の粒子として観察されることになる。ゴム弾性体の層の数平均径は、このようにゴム粒子を母体樹脂に混合して断面を酸化ルテニウムで染色したときに、染色されてほぼ円形状に観察される部分の径の数平均値である。
【0033】
先に述べたように、マット層にゴム粒子を含有させることにより、得られる艶消し樹脂フィルムの柔軟性や強度を向上させることができるが、マット層の表面硬度の点からは、マット層にはゴム粒子を含有させないのが好ましい。一方、マット層及び透明樹脂層を有する多層の艶消しフィルムである場合、該艶消し樹脂フィルムの柔軟性や強度とマット層の表面硬度とのバランスの点から、透明樹脂層にゴム粒子を含有させ、マット層にはゴム粒子を含有させないのが好ましい。この場合、透明樹脂層に含まれるゴム粒子の量は、透明樹脂に含まれる透明樹脂及びゴム粒子の合計100重量%を基準に10〜60重量%であるのがよい。また、艶消し樹脂フィルムの柔軟性や強度を重視する場合は、透明樹脂層に加え、マット層にもゴム粒子を含有させるのが好ましいが、その場合でも、マット層の表面硬度を考慮して、マット層に含まれるゴム粒子の量を、マット層に含まれる透明樹脂及びゴム粒子の合計100重量部を基準に15重量%以下と少なめにするか、或いは、マット層に含まれる透明樹脂及びゴム粒子の合計100重量%を基準とするマット層に含まれるゴム粒子の量を、透明樹脂層に含まれる透明樹脂及びゴム粒子の合計100重量%を基準とする透明樹脂層に含まれるゴム粒子の量よりも少なくするのがよい。
【0034】
(他の成分)
なお、マット層や透明樹脂層には、必要に応じて他の成分、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、無機系染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤を含有させてもよい。
【0035】
(艶消し樹脂フィルムの製造)
本発明の艶消し樹脂フィルムは、透明樹脂及び透明微粒子を必須とするマット層の構成材料を、押出成形によりフィルム化することで、製造することができる。具体的には、マット層の構成材料を押出機にて溶融させた後、フィルム化し、得られたフィルム状の溶融物をロールやベルトにて密着させて、冷却、成形することで、艶消し樹脂フィルムが得られる。
また、本発明の艶消し樹脂フィルムとして、中でも、該マット層の少なくとも一方の面に透明樹脂層が積層されてなる多層フィルムが好ましく、該多層フィルムは、マット層の構成材料と、透明樹脂層の構成材料とを、共押出成形により多層フィルム化することで、製造することができる。具体的には、マット層の構成材料及び透明樹脂層の構成材料をそれぞれ押出機にて溶融させ、フィードブロック法やマルチマニホールド法を用いて積層し、得られた多層フィルム状の溶融物をロールやベルトにて密着させて、冷却、成形することで、上記マット層の少なくとも一方の面に透明樹脂層が積層されてなる多層の艶消し樹脂フィルムが得られる。
【0036】
このときのロールやベルトの本数や配置、材質は適宜選択されるが、溶融物を2本の金属ロール間又は金属ロールと金属ベルトに接触、通過させて、ロールやベルトの表面を転写させる方法が、フィルム表面の面精度を高め、加飾性を向上させるうえで好ましい。また、金属剛性ロールと、金属弾性ロールにより、面で溶融物の両面を接触、通過させる方法は、成形時の歪みを低減させ、強度や熱収縮性の異方性を低減したフィルムを得るのに好適である。金属弾性ロールとしては、例えば、軸ロールと、この軸ロールの外周面を覆うように配置され、溶融物に接触する円筒形の金属製薄膜とを備えており、これら軸ロールと金属製薄膜との間に水や油などの温度制御された流体が封入されたものや、ゴムロールの表面に金属ベルトを巻いたものが例として挙げられる。このような金属弾性ロールと金属剛性ロールとの間に溶融物を挟み込むと、金属弾性ロールが溶融物を介して金属剛性ロールの外周面に沿って凹状に弾性変形する。これにより、金属剛性ロール及び金属弾性ロールは、溶融物に対して面接触で圧着するので、これらロール間に挟み込まれる溶融物は面状に均一加圧されながら成形される。溶融物のマット層側を金属弾性ロールに接触させて成形すると、透明微粒子が透明樹脂中に押し込まれるのを抑制することができるので、マット調の外観が損なわれるのを抑制することができ、所望のマット性を有する艶消し樹脂フィルムを得ることができる。
【0037】
例えば、ダイから押し出された溶融物は、金属弾性ロールである第一冷却ロールと金属剛性ロールである第二冷却ロールとの間に挟み込み、第二冷却ロールに密着して巻きつけながら、第二冷却ロールと第三冷却ロールとの間に挟み込み、第三冷却ロールに巻きつけて冷却する。その際、第四以降の冷却ロールを使用する場合もある。尚、マット層及び透明樹脂層を有する多層の艶消し樹脂フィルムの場合、この冷却過程で、マット層が、第一冷却ロールと第二冷却ロールとの間では第一冷却ロールと接触する側にあり、次いで第二冷却ロール外側にて冷却されるのが好ましい。その後通過する第二冷却ロールと第三冷却ロールとの間は、通常の押出成形と異なり密着させず、フィルムの全厚より僅かに広い間隔を保つのが好ましい。前記多層の艶消し樹脂フィルムの場合、第二冷却ロール外側にてマット層が急冷されることで、透明樹脂と透明微粒子との熱収縮率の違いにより、透明微粒子が表面により多く突出する。また、第二冷却ロールと第三冷却ロールとの間でフィルムに線圧がかからないことにより、突出した透明微粒子が押し戻されず、適度な凹凸を有する表面状態となる。
【0038】
こうして得られる艶消し樹脂フィルムは、その厚さが通常20〜800μmであり、好ましくは30〜300μmであり、より好ましくは50〜150μmである。あまり厚い艶消し樹脂フィルムは、例えば自動車内装材として成形する際に成形加工に時間がかかると共に、物性や意匠性の向上効果が小さく、コストも高くなる。一方、あまり薄い艶消し樹脂フィルムは、押出成形による製膜自体が、機械的制約により困難になると共に、破断強度が小さくなり、生産不具合の発生確率が高くなる。艶消し樹脂フィルムの厚さは、製膜速度、T型ダイスの吐出口厚み、ロールの間隙などを調節することにより、調整できる。
【0039】
マット層及び透明樹脂層を有する多層の艶消し樹脂フィルムの場合、該マット層は、その厚さが艶消し樹脂フィルム全体の厚さの50%以下であるのがよい。
また、その厚さは、好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは7〜50μmであり、さらに好ましくは8〜15μmである。マット層が薄すぎると、透明微粒子の平均粒子径よりも小さくなって透明微粒子を均一に分散させることが難しくなり、斑が生じる。また、マット層が厚すぎると、透明微粒子の必要量が増え、コストが増加するため好ましくない。
【0040】
(加飾)
本発明の艶消し樹脂フィルムは、加飾フィルム、特に射出成形同時貼合用の加飾フィルムとして好ましく用いられる。本発明の艶消し樹脂フィルムが、マット層及び透明樹脂層を有する多層の艶消し樹脂フィルムの場合、この加飾フィルムは、透明樹脂層側の面に加飾が施されたものであるのがよい。
【0041】
加飾方法としては、例えば、連続グラビア印刷やシルク印刷などにより表面に木目調や各種デザインなどの直接印刷を施す方法、蒸着やスパッタリングなどにより金属メッキ調の加飾を施す方法、印刷や蒸着などで加飾が施された他の樹脂フィルムをラミネートする方法が挙げられる。
【0042】
加飾フィルムは、その加飾側の面に、バッキング材として熱可塑性樹脂シートを積層して、加飾シートとすることもできる。熱可塑性樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂シートの厚さは、通常0.1〜2mmである。
【0043】
このような加飾フィルム又は加飾シートを、マット層側が表側に配置されるように、熱可塑性樹脂成形品に積層することにより、すなわち加飾フィルムであれば、加飾側の面に熱可塑性樹脂成形品を積層することにより、また加飾シートであれば、熱可塑性樹脂シート側の面に熱可塑性樹脂成形品を積層することにより、加飾成形品を得ることができる。
熱可塑性樹脂成形品を構成する樹脂としては、例えば、ABS樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0044】
加飾成形品を得るための方法としては、射出成形同時貼合法が有利に採用される。射出成形同時貼合法は、加飾フィルム又は加飾シートを予備成形することなく、射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して、射出成形品を形成すると同時に、その成形品に加飾フィルム又は加飾シートを貼合する方法(狭義の射出成形同時貼合法と呼ばれることがある)、加飾フィルム又は加飾シートを真空成形や圧空成形などにより予備成形してから射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して、射出成形品を形成すると同時に、その成形品に加飾フィルム又は加飾シートを貼合する方法(インサート成形法と呼ばれることがある)、加飾フィルム又は加飾シートを射出成形金型内で真空成形や圧空成形などにより予備成形した後、そこに溶融樹脂を射出して、射出成形品を形成すると同時に、その成形品に加飾フィルム又は加飾シートを貼合する方法(インモールド成形法と呼ばれることがある)によって行うことができる。射出成形同時貼合法のさらに詳しい説明は、例えば、特公昭63−6339号公報、特公平4−9647号公報、特開平7−9484号公報に記載されている。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%は、特記ないかぎり重量基準である。また、各物性の測定方法は次のとおりである。
【0046】
(体積平均粒径、粒度分布)
体積平均粒子径、粒度分布については測定装置「コールターマルチサイザー」、「コールターマルチサイザー II」(ベックマンコ―ルター(株)製)を用いて測定した。
【0047】
各例で使用した透明樹脂層(A)、マット層(B)を構成する材料は、次のとおりである。
【0048】
透明樹脂層(A)およびマット層(B)のメタクリル樹脂として、メタクリル酸メチル97.8%とアクリル酸メチル2.2%とからなる単量体のバルク重合により得られた、ガラス転移温度が104℃であり、屈折率(Nb)が1.490である熱可塑性重合体のペレットを用いた。なお、このガラス転移温度は、JIS K7121:1987に従い、示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で求めた補外ガラス転移開始温度である。
【0049】
マット層(B)の透明微粒子として、次のものを用いた。
透明微粒子(a):積水化成品工業(株)のSSX−105(屈折率Nd=1.495、体積平均粒径5.26μm、粒度分布の狭い粒子)。
透明微粒子(b):積水化成品工業(株)のXX−339K(屈折率Nd=1.495、体積平均粒径4.75μm、粒度分布のやや狭い粒子)。
透明微粒子(c):積水化成品工業(株)のMBX−5H (屈折率Nd=1.495、体積平均粒径4.61μm、粒度分布の広い粒子)。
【0050】
尚、透明樹脂粒子(a)および(b)は、それぞれ分級装置により、粒径が体積平均粒径の2倍以上の透明微粒子が排除されたものである。
【0051】
透明微粒子の数mgを容器に採り、エタノール数mlを加えてスパチュラで攪拌し、分散液を作製した。分散液を一滴、スライドガラスの上に落とし、カバーグラスをかけて観察用プレパラートを作製した。光学顕微鏡でCCDカメラを介して取り込んだプレパラートの拡大画像を画像処理ソフト「Nano Hunter NS2K−Pro(ナノシステム(株)製)」に取りこむことにより、一視野に透明微粒子が100個以上映る状態で無作為に撮影した。撮影した画像から、透明微粒子の個数と、体積平均粒径の2倍以上の大きさの透明微粒子の個数をカウントした。観察範囲を変えて、透明微粒子の個数の合計が10000個を超えるまで、透明微粒子の撮影とカウントを繰り返した。
【0052】
上記観察の結果は表1に示した。
【表1】

【0053】
<マット層(B)におけるアクリルゴム粒子>
マット層(B)におけるアクリルゴム粒子として、最内層がメタクリル酸メチル93.8%とアクリル酸メチル6%とメタクリル酸アリル0.2%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、中間層がアクリル酸ブチル81%とスチレン17%とメタクリル酸アリル2%とからなる単量体の重合により得られた弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチル94%とアクリル酸メチル6%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、最内層/中間層/最外層の重量割合が35/45/20であり、中間層の弾性重合体の層の数平均径が220nmである、乳化重合法による球形3層構造のゴム粒子(I)を用いた。なお、この数平均径は、以下の方法により求めた値である。
【0054】
<透明樹脂層(A)におけるアクリルゴム粒子>
透明樹脂層(A)におけるアクリル系ゴム粒子としては、内層がアクリル酸ブチル81%とスチレン17%とメタクリル酸アリル2%とからなる単量体成分を重合させて得られた弾性重合体であり、外層がメタクリル酸メチル94%とアクリル酸メチル6%とからなる単量体成分を重合させて得られた硬質重合体であり、内層(弾性重合体の層)/外層(硬質重合体の層)の重量割合が80/20である、乳化重合法により得られた球形2層構造のゴム粒子(II)を用いた。このアクリル系ゴム粒子における弾性重合体部(内層である弾性重合体の層)の平均粒子径を測定したところ、80nmであった。
【0055】
(実施例1〜2、比較例1)
メタクリル樹脂65重量部及びアクリルゴム粒子35重量部をスーパーミキサーで混合し、二軸押出機を用いて溶融混練して、透明樹脂層用の樹脂組成物をペレットとして得た。
【0056】
メタクリル樹脂70重量部、アクリルゴム粒子20重量部及び透明微粒子10重量部をスーパーミキサーで混合し、二軸押出機を用いて溶融混練して、マット層用の樹脂組成物をペレットとして得た。
【0057】
次いで、透明樹脂層用の樹脂組成物を65mmφ一軸押出機(東芝機械(株)製)で、マット層用の樹脂組成物を45mmφ一軸押出機(東芝機械(株)製)で、それぞれ溶融させ、フィードブロック法にて溶融積層一体化させ、設定温度265℃のT型ダイスを介して押し出した。得られたフィルム状物を、第一冷却ロールが金属弾性ロールであり、第二冷却ロール及び第三冷却ロールがそれぞれ金属剛性ロールである、3本のロールからなる冷却ユニットを通すことにより成形し、全体の厚さが75μm(透明樹脂層65μm、マット層(B)10μm)である2層構成の艶消し樹脂フィルムを製造した。その際、フィードブロックのピンの調整により、マット層側が第一冷却ロールと接触する側とした。また、その際、第一冷却ロールと第二冷却ロールはフィルムに面で密着するようにし、第二冷却ロールと第三冷却ロールの間は密着させず0.5mm間隔を空けてフィルムを通した。各押出機の時間当たりの樹脂組成物の消費量から層厚の比を計算し、この比と全体の厚さから、透明樹脂層の厚さとマット層の厚さを計算し、さらに全体の厚さに対するマット層の厚さの割合を求めて、これらの値を表2、表3に示した。なお、透明微粒子(a)、(b)及び(c)の各屈折率(Nd)とメタクリル樹脂の屈折率(Nb)との差(|Nd−Nb|)は、いずれも0.005である。
【0058】
透明樹脂層(A)とマット層(B)の組成を表2、表3に示した。
【表2】


【表3】

【0059】
(熱ラミネート後の凹凸の観察)
得られた2層構成の艶消し樹脂フィルムをABS樹脂シートと熱ラミネート加工した後のマット層表面の0.1m2の範囲を目視観察し、約0.5mm2以上の大きさの凹凸欠陥の個数をカウントした。カウントした結果を10倍してm2あたりの個数に換算した。
【0060】
上記観察結果を表4に示した。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂及び透明微粒子を含むマット層を有する艶消し樹脂フィルムであって、前記透明微粒子10000個のうち体積平均粒径の2倍以上の粒子径を有する透明微粒子の割合が5個以下であることを特徴とする艶消し樹脂フィルム。
【請求項2】
マット層に含まれる透明微粒子の体積平均粒径が3〜10μmである請求項1に記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項3】
マット層と、該マット層の少なくとも一方の面に積層された透明樹脂層とを備える請求項1又は2に記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項4】
マット層に含まれる透明微粒子の屈折率(Nd)とマット層に含まれる透明樹脂の屈折率(Nb)との差(|Nd−Nb|)が0.01以下である請求項1〜3のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項5】
マット層に含まれる透明微粒子がアクリル系の架橋粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項6】
マット層に含まれる透明樹脂がメタクリル樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項7】
マット層がゴム粒子を含む層である請求項1〜6のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項8】
艶消し樹脂フィルム全体の厚さが20〜800μmである請求項1〜7のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項9】
マット層の厚さが艶消し樹脂フィルム全体の厚さの50%以下である請求項3〜8のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項10】
マット層の厚さが5〜100μmである請求項3〜9のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項11】
透明樹脂層に含まれる透明樹脂がメタクリル樹脂である請求項3〜10のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項12】
メタクリル樹脂が、全単量体の合計100重量%を基準にメタクリル酸アルキルを50〜100重量%、アクリル酸アルキルを0〜50重量%、及びこれら以外の単量体を0〜49重量%の割合で重合させてなる重合体である請求項6〜11のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項13】
透明樹脂層がゴム粒子を含む層である請求項3〜12のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項14】
ゴム粒子がアクリル系ゴム粒子である請求項7〜13のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項15】
アクリル系ゴム粒子が、アルキル基の炭素数が4〜8であるアクリル酸アルキルと多官能単量体とを共重合させてなるゴム弾性体の層のまわりに、メタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合させてなる硬質重合体の層が形成されてなる多層構造の粒子である請求項14に記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項16】
前記ゴム弾性体の層の数平均径が50〜500nmである請求項15に記載の艶消し樹脂フィルム。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の艶消し樹脂フィルムの表面に、加飾が施されてなることを特徴とする加飾フィルム。
【請求項18】
請求項17に記載の加飾フィルムの加飾側の面に、熱可塑性樹脂シートが積層されてなることを特徴とする加飾シート。
【請求項19】
請求項17に記載の加飾フィルムの加飾側の面に、熱可塑性樹脂が射出成形されてなることを特徴とする加飾成形品。
【請求項20】
請求項18に記載の加飾シートの熱可塑性樹脂シート側の面に、熱可塑性樹脂が射出成形されてなることを特徴とする加飾成形品。

【公開番号】特開2011−46894(P2011−46894A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198952(P2009−198952)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】