説明

芝中の雑草を防除する方法

本発明は、芝草、その場所又はその種子に、除草剤的に有効な量の4−ヒドロキシ−3−[2−(2−メトキシエトキシメチル)−6−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボニル]−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン又は前記化合物を含む組成物を適用する工程を含む、芝草中の雑草を防除する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤的に有効な量のシクロヘキサンジオン除草剤を用いて芝中の雑草を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質で健常な芝は、例えば、芝生、ゴルフ場、スポーツ地区に有効であり、道に隣接している。雑草は、芝草植物と雑草の間の色及び質感の不一致のために、芝の品質を下げることがある。さらに、雑草は得られる水及び栄養素をめぐって芝草植物と競合するので、通常は好ましい芝草地が薄くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故に、芝草の品質を向上させて高品質な、健常な芝を提供する新規な方法が必要とされている。
【0004】
化合物4−ヒドロキシ−3−[2−(2−メトキシエトキシメチル)−6−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボニル]−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オンが、穀草類、綿、大豆、サトウダイコン、サトウキビ、プランテーション作物、菜種、トウモロコシ及び米から選択された作物中の雑草に対して有効な除草剤であると分かっている。本化合物及びその調製は、例えば、国際公開第01/94339号パンフレットから分かる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、今では化合物4−ヒドロキシ−3−[2−(2−メトキシエトキシメチル)−6−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボニル]−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オンが、芝草中の雑草を防除し、芝草の品質を向上させるのに非常に有効であることが分かっている。
【0006】
本発明に従って、芝草、その場所又はその種子に、除草剤的に有効な量の式I
【0007】
【化1】

【0008】
の化合物又は前記化合物を含む組成物を適用する工程を含む、芝草中の雑草を防除する方法を供給する。
【0009】
本発明による方法は、芝草の品質を向上させるのに特に適している。したがって、本発明の別の態様は、芝草、その場所又はその種子に、芝草の品質を向上させるのに有効な式I
【0010】
【化2】

【0011】
の化合物又はある量の式Iの化合物を含む組成物を適用する工程を含む、芝草の品質を向上させる方法である。
【0012】
本発明に従って、肥料顆粒に染み込ませた又はコーティングした式Iの化合物を含む、芝草中の雑草を防除するのに用いる組成物も提供する。所望により、本組成物は1つ以上の担体又は助剤を含んでよい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「防除」又は「防除する」は、除去する、成長を減少させる若しくは遅らせる、又は発芽を妨げる若しくは減少させることを意味する。一般に、防除されることになる植物は、好ましくない植物(雑草)である。
【0014】
本明細書では、語句「芝草の『品質』」は、芝草の見栄え及び芝草の機能性品質を含むことになっている。
【0015】
芝草の「見栄え」は、密度(単位面積当たりの地上部(aerial shoot)の数)、均一性(例えば質感の均一性、例えば葉身の幅であり、例えばオオウシノケグサ(レッドフェスク)では細かい質感になるか、例えばヒロハノウシノケグサ(トールフェスク)では粗い質感になることがある)、色又は滑らかさ(例えば、ゴルフ場の採算性に影響する)などの外観に関する。
【0016】
芝草の「機能性品質」は、例えば、剛性(芝草の葉の圧縮に対する抵抗性であり、芝の耐磨耗性に関する)、弾性(圧縮力が除かれるとすぐに芝草の葉が跳ね返る傾向)、弾力性(芝がその表面特性を変えることなく衝撃を吸収する能力)、ボールロール(ボールが芝生面に出された状態で移動する平均距離)、収率(刈り取りによって除去された切り落とし分の測定値)、新鮮さ(刈り取り後も残っている地上部の量の測定値)、発根(成長期中のどの時点でも明白な根の成長の量)、及び回復力(芝草が病原体、虫、通行などによる損傷から回復する能力)に関する。
【0017】
芝草の品質の向上は、1つ以上の前述の見栄え若しくは機能性品質の特性又はこれらの品質特性の任意の組み合わせに関することがある。
【0018】
本明細書で使われるような用語「向上」とは、同一条件下で作られたが本方法を適用していない同一芝草の品質特性と比較したときの、所定の芝草品質特性の測定可能な又は顕著な増加をいう。
【0019】
芝草の品質特性の向上は、例えば、より青々しく又はより心地よい、芝の葉色である。
【0020】
本発明は、式Iの化合物がアミン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩基又は四級アンモニウム塩基と形成する塩も含む。塩形成剤としてのアルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物の中でも、特筆すべきは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムのカルシウムの水酸化物、特にナトリウム及びカリウムの水酸化物である。
【0021】
アンモニウム塩の形成に適したアミンの例としては、アンモニアだけでなく、一級、二級及び三級C−C18アルキルアミン、C−Cヒドロキシアルキルアミン並びにC−Cアルコキシアルキルアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−、イソ−、sec−、及びtert−ブチルアミン、n−アミルアミン、イソアミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルノニルアミン、メチルペンタデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、エチルブチルアミン、エチルヘプチルアミン、エチルオクチルアミン、ヘキシルヘプチルアミン、ヘキシルオクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−アミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、エタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、N,N−ジエタノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N‐ブチルエタノールアミン、アリルアミン、n−ブテニル−2−アミン、n−ペンテニル−2−アミン、2,3−ジメチルブテニル−2−アミン、ジブテニル−2−アミン、n−ヘキセニル−2−アミン、プロピレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリsec−ブチルアミン、トリn−アミルアミン、メトキシエチルアミン並びにエトキシエチルアミン;複素環式アミン、例えばピリジン、キノリン、イソキノリン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、インドリン、キヌクリジン並びにアゼピン;一級アリールアミン、例えばアニリン、メトキシアニリン、エトキシアニリン、o−、m−及びp−トルイジン、フェニレンジアミン、ベンジジン、ナフチルアミン並びにo−、m−及びp−クロロアニリンが挙げられるが;特にトリエチルアミン、イソプロピルアミン及びジイソプロピルアミンが挙げられる。
【0022】
本発明に従えば、「芝草」については、一年生又は多年生イネ科があると分かっている。前記イネ科は、好ましくは、アグロピロン(Agropyron)属、アグロスチス(Agrostis)属、アクスオノプス(Axonopus)属、ブロムス(Bromus)属、バッファロー(Buchloe)属、ギョウギシバ(Cynodon)属、チャボウシノシッペイ(Eremochloa)属、フェスツカ(Festuca)属、ロリウム(Lolium)属、パスプルム(Paspulum)属、ペニセタム(Pennisetum)属、フレウム(Phleum)属、ポア(Poa)属、ステノタフルム(Stenotaphrum)属又はゾイシア(Zoysia)属の1つ以上に属する。より好ましくは、前記イネ科は、アグロスチス(Agrostis)属、バッファロー(Buchloe)属、ギョウギシバ(Cynodon)属、チャボウシノシッペイ(Eremochloa)属、フェスツカ(Festuca)属、ロリウム(Lolium)属、パスプルム(Paspulum)属、ペニセタム(Pennisetum)属、ポア(Poa)属、ステノタフルム(Stenotaphrum)属又はゾイシア(Zoysia)属の1つ以上に属する。
【0023】
本発明によれば、「芝」については、地面の表面積を覆い、定期補修を受ける芝草の一群と解される。
【0024】
本発明は、寒地型芝草及び暖地型芝草などの全ての芝草によって実施され得る。
【0025】
寒冷地型芝草としては、例えば:ケンタッキー・ブルーグラス(Kentucky Bluegrass)(Poa pratensis L.)、ラフ・ブルーグラス(Rough Bluegrass)(Poa trivialis L.)、カナダ・ブルーグラス(Canada Bluegrass)(Poa compressa L.)及びスズメノカタビラ(Annual Bluegrass)(Poa annua L.)などのブルーグラス類(Bluegrasses)(Poa L.);クリーピング・ベントグラス(Creeping Bentgrass)(Agrostis palustris Huds.)、コロニアル・ベントグラス(Colonial Bentgrass)(Agrostis tenius Sibth.)、ベルベット・ベントグラス(Velvet Bentgrass)(Agrostis canina L.)及びレッドトップ(Redtop)(Agrostis alba L.)などのベントグラス類(Bentgrasses)(Agrostis L.);クリーピング・レッド・フェスク(Creeping Red Fescue)(Festuca rubra L.)、チューイングス・フェスク(Chewings Fescue)(Festuca rubra var.commutata Gaud.)、シープ・フェスク(Sheep Fescue)(Festuca ovina L.)、ハード・フェスク(Hard Fescue)(Festuca longifolia)、トール・フェスク(Tall Fescue)(Festuca arundinacea Schreb.)、メドウフェスク(Meadow Fescue) (Festuca elatior L.)などのフェスク類(Fescues)(Festuca L.);多年生ライグラス(Perennial Ryegrass)(Lolium perenne L.)、一年生(イタリアン)・ライグラス(Annual (Italian) Ryegrass)(Lolium multiflorum Lam.)などのライグラス類(Ryegrasses)(Lolium L.);フェアウェイ・ウィートグラス(Fairway Wheatgrass)(Agropyron cristatum (L.) Gaertn.)、ウェスタン・ウィートグラス(Western Wheatgrass)(Agropyron smithii Rydb.)などのウィートグラス類(Wheatgrasses)(Agropyron Gaertn.);スムース・ブロム(Smooth Brome)(Bromus inermis Leyss.);並びにティモシー(Timothy)(Phleum L.)が挙げられる。
【0026】
暖地型芝草の例は、バミューダグラス類(Bermudagrasses)(Cynodon L.C.Rich)、ゾイシアグラス類(Zoysiagrasses)(Zoysia spp.)、セント・オーガスチングラス(St. Augustinegrass)(Stenotaphrum secundatum (Walt.) Kuntze)、センチピードグラス(Centipedegrass)(Eremochloa ophiuroides (Munro.) Hack.)、カーペットグラス(Carpetgrass)(Axonopus Beauv.)、バヒアグラス(Bahiagrass)(Paspalum notatum Flugge.)、キクユグラス(Kikuyugrass)(Pennisetum clandestinum Hochst. ex Chiov.)、バッファローグラス(Buffalograss)(Buchloe dactyloides (Nutt.)Engelm.)、センチピードグラス(Centipedegrass)(Eremochloa spp.)及びシーショア・パスパラム(Seashore paspalum)(Paspalum vaginatum swartz)である。
【0027】
本発明を使用して、例えば、Agrostis spp.、Digitaria spp.、Avena spp.、Setaria spp.、Lolium spp.、Echinochloa spp.、Scirpus spp.、Monochoria spp.、Sagittaria spp.、Bromus spp.、Alopecurus spp.、Sorghum spp.、Rottboellia spp.、Cyperus spp.などの単子葉類の雑草並びにStellaria spp.、Nasturtium spp.、Sinapis spp.、Solanum spp.、Phaseolus spp.、Taraxacum spp.、Trifolium spp.、Abutilon spp.、Sida spp.、Xanthium spp.、Amaranthus spp.、Chenopodium spp.、Ipomoea spp.、Chrysanthemum spp.、Galium spp.、Viola spp.及びVeronica spp.などの双子葉類の雑草などの、芝草中に存在する任意の雑草を防除してよい。
【0028】
特に、本発明を使用して、オニメヒシバ及びメヒシバ(large and smooth crabgrass)(Digitaria spp.)、ベントグラス(bent grass)(Agrostis spp.)並びにニンブルウィル(nimblewill)(Muhlenbergia spp.)などの植物と、タンポポ(Taraxacum spp.)、ホワイト及びレッドクローバー(Trifolium spp.)、ハコベ(Cerastium spp.)、ホトケノグサ(Lamium spp.)、イヌノフグリ(Veronica spp.)、カタバミ(Oxalis spp.)、ヘラオオバコ及びオニオオバコ(Plantago spp.)、ダラーウィード(Hydrocotyle spp.)、フロリダ・パスレー(FL pusley)(Richardia spp.)、シロザ(lambsquarters)(Chenopodium spp.)、イタドリ(knotweed)(Fallopia spp.)、ブタクサ(ragweed)(Ambrosia spp.)、ワイルド・バイオレット(wild violets)(Viola spp.)、アカザ(pigweed)(Amaranthus spp.)並びにヘッジ・ウィード(hedge weed)(Erysimum spp.)などの広葉雑草などの、一般に芝草中に存在する雑草を防除してよい。
【0029】
本発明のために、用語「雑草」は、自生作物などの好ましくない作物種を含む。例えば、ゴルフ場などの芝草作物に関して、コヌカグサのグリーンの芝は、各種の草が栽培されているフェアウェイ区域で見つかるならば「自生」といえる。
【0030】
本明細書で使われる用語「芝草の『場所』」は、芝草が育っている場所を包含するように意図されており、その場所では、芝草の種がまかれるか、芝草の種が次の植物成長のために入れられるであろう。
【0031】
本発明によれば、「芝の『場所』」とは、土又は基材をいうことがある。そのような場所の例はゴルフ場であり、そこでは芝草が使われる。
【0032】
本発明によれば、用語「土」は、ゴルフ場に存在している土などのように、典型的には陸地部分に存在している自然土壌を意味するか、粒状化された及び/又は肥料などの農薬で処理された土などのように、改質されている土を意味する。粒状化された及び/又は処理された土の例は、米国特許第5,265,372号に開示されている。
【0033】
本発明によれば、用語「基材」は、各種の現状地盤構造への応用に適した、芝草などの成長のための媒体を意味する。典型的には、そのような媒体は、土を含まない混合物であり、弾性顆粒、適切な結合エマルション、鉱物骨材、フィラー及び制御放出植物の栄養粒の成分を十分な濃度で含むので、敷かれるか、硬化されたときに、その混合物は芝草の根系が貫通できる空洞を有する透水性で弾性の基材を提供する。前記基材上で成長している芝草は芝を形成でき、その芝は例えばビルの屋根、テラス及び他の硬い表面部分などの非多孔質表面に、又は例えばサッカー場又はゴルフ場などの多孔質面に適用され得る。そのような基材の例は、国際公開第2005/002323号パンフレットに記述されている。弾性顆粒は、例えば、ゴムの顆粒、リサイクル車両用タイヤゴムの顆粒又はそれらの混合物でよい。
【0034】
本発明による式Iの化合物は、合成で得られたままの、未処理の形態で除草剤として使用できるが、それらは一般に、担体、溶媒及び界面活性物質などの配合アジュバント及び助剤を用いて各種の方法で製剤化されて除草組成物になる。その製剤は、様々な物理形態で、例えば散布粉、ゲル、可湿性粉、水和性顆粒、水和性錠剤、発泡性圧縮錠剤、乳剤濃縮物、ミクロ乳剤濃縮物、水中油滴型エマルション、油流動剤、水分散液、油分散液、サスポエマルション、カプセル懸濁液、乳化性顆粒、可溶性液、水溶性濃縮物(水又は担体として有機溶媒と混和できる水を有する)、又は含浸ポリマーフィルムの形態でよい。そのような製剤は、そのまま使用するか、又は使用前に希釈するかのいずれかでよい。希釈された製剤は、例えば水、液体肥料、ミクロ栄養素、生物有機体、油又は溶媒で調製できる。
【0035】
製剤は、微粉化した固体、顆粒、溶液、分散液又はエマルションの形態の組成物を得るために、例えば有効成分を配合アジュバントと混合することにより、調製できる。有効成分は、他のアジュバント、例えば微粉化した固体、鉱油、植物油、変性植物油、有機溶媒、水、界面活性物質又はそれらの組み合わせによって製剤化することもできる。有効成分は、ポリマーからなる非常に微小なマイクロカプセル中に含有させることもできる。マイクロカプセルは多孔質担体中に有効成分を含む。これは、有効成分が制御された量でそれらの周囲に放出されることができるようにする(例えば徐放)。通常、マイクロカプセルは0.1〜500μmの直径を有する。それらはカプセル重量の約25〜95重量%の有効成分を含む。有効成分は、単一固体の形態で、固体若しくは液体分散体中の微粒子の形態で、又は適切な溶液の形態で存在できる。カプセル化膜は、例えば、天然若しくは合成ゴム、セルロース、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン又は化学修飾されたポリマー及びキサントゲン酸でんぷん又はこれに関して当業者に知られている他のポリマーを含む。また、有効成分が基体の固体マトリックス中の微粉化粒子の形態で存在するが、マイクロカプセルがカプセル化されていない場合に、微細マイクロカプセルを形成させることができる。
【0036】
顆粒は、式Iの化合物と1つ以上の粉末固体希釈剤若しくは担体の混合物を粒化することにより、又は前形成されたブランク顆粒からは、式Iの化合物(又はその溶液、適切な化学品)を多孔質粒状物質(軽石、アタパルジャイト粘度、フラー土、珪藻土(kieselguhr)、珪藻土類(diatomaceous earths)又は粉砕コーン・コブなど)に吸収させることにより、若しくは式Iの化合物(又はその溶液、適切な化学品)を硬いコア物質(砂、ケイ酸塩、鉱物炭酸塩、硫酸塩又はリン酸塩など)へ吸着させて、必要に応じて乾燥することにより、形成され得る。吸収又は吸着を助けるために一般に使われる化学品としては、溶媒(脂肪族及び芳香族石油溶媒、アルコール、エーテル、ケトン並びにエステルなど)と固着剤(ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、糖類及び植物油など)が挙げられる。1つ以上の他の添加剤(例えば乳化剤、湿潤剤又は分散剤)を顆粒に含めてもよい。
【0037】
本発明による組成物の調製に適した配合アジュバントは、それ自体で既知である。液体の担体としては:水、トルエン、キシレン、石油エーテル、植物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酸無水物、アセトニトリル、アセトフェノン、酢酸アミル、2−ブタノン、ブチレンカーボネート、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、酢酸のアルキルエステル、ジアセトンアルコール、1,2−ジクロロプロパン、ジエタノールアミン、p−ジエチルベンゼン、ジエチレングリコール、アビエチン酸ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、二安息香酸ジプロピレングリコール、ジプロキシトール、アルキルピロリドン、酢酸エチル、2−エチルヘキサノール、エチレンカーボネート、1,1,1−トリクロロエタン、2−ヘプタノン、アルファ−ピネン、d−リモネン、乳酸エチル、エチレングリコール、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ガンマ−ブチロラクトン、グリセロール、酢酸グリセロール、二酢酸グリセロール、三酢酸グリセロール、ヘキサデカン、ヘキシレングリコール、イソ酢酸アミル、酢酸イソボルニル、イソオクタン、イソホロン、イソプロピルベンゼン、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸、ラウリルアミン、メシチルオキシド、メトキシプロパノール、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、ラウリン酸メチル、オクタン酸メチル、オレイン酸メチル、塩化メチレン、m−キシレン、n−ヘキサン、n−オクチルアミン、オクタデカン酸、酢酸オクチルアミン、オレイン酸、オレイルアミン、o−キシレン、フェノール、ポリエチレングリコール(PEG400)、プロピオン酸、乳酸プロピル、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、p−キシレン、トルエン、リン酸トリエチル、メチレングリコール、キシレンスルホン酸、パラフィン、鉱油、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びアミルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、N−メチル−2−ピロリドンなどのような高分子量アルコールを使用してよい。一般に水は、濃縮物の希釈に選択される担体である。適切な固形担体は、例えば、タルク、二酸化チタン、パイロフィライト粘度、シリカ、アタパルジャイド粘度、珪藻土(kieselguhr)、石灰石、炭酸カルシウム、ベントナイト、カルシウムモンモリロナイト、綿実殻、小麦粉、大豆粉、軽石、木粉、粉砕クルミ殻、リグニン及び類似の物質である。
【0038】
数多くの界面活性物質は、固体及び液剤、特に使用前に担体で希釈できるそれらの製剤で有利に使うことができる。界面活性物質は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又はポリマーでよく、それらは乳化剤、湿潤剤若しくは懸濁化剤として、又は他の目的で使用してよい。典型的な界面活性物質としては、例えば、ジエタノールアンモニウムラウリルサルフェートなどの硫酸アルキルの塩;カルシウムドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸アルキルアリールの塩;ノニルフェノールエトキシレートなどのアルキルフェノール−アルキレンオキシド付加物;トリデシルアルコールエトキシレートなどのアルコール−アルキレンオキシド付加物;ステアリン酸ナトリウムなどの石けん;ナトリウムジブチルナフタレンスルホネートなどのアルキルナフタレンスルホネートの塩;ナトリウムジ(2−エチルヘキシル)スルホサクシネートなどのスルホコハク酸塩のジアルキルエステル;ソルビトールオレエートなどのソルビトールエステル;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどの四級アミン;ポリエチレングリコールステアレートなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー;及びモノ−及びジ−アルキルリン酸エステルの塩が挙げられる。
【0039】
殺虫剤に通常使用できる別のアジュバントとしては、結晶化防止剤、粘度変性物質、懸濁化剤、染料、抗酸化剤、発泡剤、光吸収剤、混合助剤、消泡剤、錯生成剤、錯化剤、中和若しくはpH変性物質及びバッファー、腐食防止剤、香料、湿潤剤、吸収向上剤、ミクロ栄養素、可塑剤、流動促進剤、潤滑油、分散剤、増粘剤、不凍剤、殺菌剤、並びに液体及び固体の肥料も挙げられる。
【0040】
また、製剤は、追加の有効物質、例えば、さらなる除草剤、除草剤の安全化剤、植物成長調整剤、防かび剤又は殺虫剤を含んでもよい。
【0041】
本発明による組成物は、植物若しくは動物由来の油、鉱油、それらの油のアルキルエステル又はそれらの油の混合物及び油誘導体を含む添加剤をさらに含むことができる。本発明による組成物に使われるオイル添加剤の量は、スプレー混合物を基準として、一般に0.01〜10%である。例えば、スプレー混合物が調製された後に、オイル添加剤を好ましい濃度でスプレータンクに加えることができる。好ましいオイル添加剤は、鉱油、又は植物由来の油、例えば菜種油、オリーブ油若しくはヒマワリ油、AMIGO(登録商標)(ローン・ポーレンク・カナダ(Rhone−Poulenc Canada)社)などの乳化植物油、植物由来の油のアルキルエステル(例えばメチル誘導体)、又は魚油若しくは牛脂などの動物由来の油を含む。好ましい添加剤は、例えば、有効成分として、基本的に80重量%の魚油のアルキルエステル、15重量%のメチル化菜種油、さらに5重量%の通常の乳化剤及びpH変性剤を含む。特に好ましいオイル添加剤は、C−C22脂肪酸のアルキルエステル、特にC12−C18脂肪酸のメチル誘導体、例えばラウリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸のメチルエステルを含むため、重要である。それらのエステルは、乳酸メチル(CAS−111−82−0)、パルミチン酸メチル(CAS−112−39−0)及びオレイン酸メチル(CAS−112−62−9)として知られる。好ましい脂肪酸メチルエステル誘導体は、エメリー(Emery)(登録商標)2230及び2231(コグニス(Cognis)社)である。
【0042】
オイル添加剤の適用及び作用は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性界面活性剤などの界面活性物質とそれらを合わせることにより、さらに向上させることができる。適切なアニオン性、非イオン性及びカチオン性界面活性剤の例は、国際公開第97/34485号パンフレットの7〜8頁に列挙されている。好ましい界面活性物質は、ドデシルベンジルスルホネート型のアニオン性界面活性剤、特にそのカルシウム塩、さらには脂肪アルコールエトキシレート型の非イオン性界面活性剤である。5〜40のエトキシル化度を有するエトキシル化C12−C22脂肪アルコールが特に好ましい。入手できる界面活性剤の例は、ジェナポール(Genapol)型(クラリアント(Clariant)AG)である。シリコーン界面活性剤、特にポリアルキルオキシド修飾ヘプタメチルトリシロキサン(例えばシルウェット(Silwet)L−77(登録商標)として購入できる)、さらにはペルフルオロ化界面活性剤も好ましい。全添加剤に対する界面活性物質の濃度は、一般に1〜30重量%である。油又は鉱油又はその誘導体と界面活性剤の混合物からなるオイル添加剤の例は、エデノール(Edenor)ME SU(登録商標)、ターボチャージ(Turbocharge)(登録商標)(シンジェンタ(Syngenta)社、スイス)及びアクチプロン(Actipron)(登録商標)(ビーピーオイル(BP Oil)イギリス社、イギリス)である。
【0043】
前記界面活性物質は、単独で、すなわちオイル添加剤なしで、製剤に使用してもよい。
【0044】
さらに、オイル添加剤/界面活性剤混合物に対する有機溶媒の追加は、作用のさらなる向上に寄与できる。適切な溶媒は、例えば、ソルベッソ(Solvesso)(登録商標)(エッソ(ESSO)社)及びアロマティックソルベント(Aromatic solvent)(登録商標)(エクソン(Exxon)社)である。そのような溶媒の濃度は全重量の10〜80重量%である。そのようなオイル添加剤は、溶媒との混合物でよく、例えば米国特許出願公開第4834908号明細書に開示されている。それに開示されている入手可能なオイル添加剤は、MERGE(登録商標)(BASF社)の名称で知られている。本発明に照らすと好ましいさらなるオイル添加剤は、スコア(SCORE)(登録商標)(シンジェンタ・クロップ・プロテクション・カナダ(Syngenta Crop Protection Canada)社)である。
【0045】
上記で列挙したオイル添加剤に加えて、本発明による組成物の活性を向上させるために、アルキルピロリドンの製剤(例えば、アグリマックス(Agrimax)(登録商標))を加えることも可能である。例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニル化合物又はポリ−1−p−メンテン(例えば、ボンド(Bond)(登録商標)、クーリエ(Courier)(登録商標)又はエメラルド(Emerald)(登録商標))などの、合成ラテックスの製剤を使うこともできる。プロピオン酸、例えばEurogkem Pen−e−trate(登録商標)を含む溶液を、活性向上剤としてスプレー混合物に混ぜることもできる。
【0046】
一般に、除草製剤は、0.1〜99重量%、特に0.1〜95重量%の式Iの化合物及び1〜99.9重量%の配合アジュバントを含み、好ましくは0〜25重量%の界面活性物質を含む。市販品が好ましくは濃縮物として製剤化されるのに対して、最終消費者は希釈製剤を通常利用する。
【0047】
式Iの化合物を適用する濃度は、広い範囲内で変わり、土の性質、利用法(出芽の前後;種子粉衣;作条(seed furrow)への利用;無耕農業用途など、肥料(粒又は液体)上又は肥料中の含浸)、被防除雑草、一般的な気候条件、並びに利用法及び利用時間に支配される他の要因に依存してよい。本発明による式Iの化合物は、0.001〜4kg/ヘクタール(ha)、特に0.005〜1kg/ha、特に0.01〜0.5kg/haの濃度で一般に適用される。
【0048】
好ましい製剤は特に次の組成を有する:(%=重量百分率):
【0049】
乳化性濃縮物:
有効成分:1〜95%、好ましくは60〜90%
界面活性剤:1〜30%、好ましくは5〜20%
液体の担体:1〜80%、好ましくは1〜35%
【0050】
粉体:
有効成分:0.1〜10%、好ましくは0.1〜5%
固体の担体:99.9〜90%、好ましくは99.9〜99%
【0051】
懸濁濃縮物:
有効成分:5〜75%、好ましくは10〜50%
水:94〜24%、好ましくは88〜30%
界面活性剤:1〜40%、好ましくは2〜30%
【0052】
可湿性粉:
有効成分:0.5〜90%、好ましくは1〜80%
界面活性剤:0.5〜20%、好ましくは1〜15%
固体の担体:5〜95%、好ましくは15〜90%
【0053】
顆粒:
有効成分:0.1〜30%、好ましくは0.1〜15%
固体の担体:99.5〜70%、好ましくは97〜85%
【0054】
次の実施例は本発明をさらに説明するが、本発明を限定しない。
【0055】
F1.乳化性濃縮物
【0056】
【表1】

【0057】
任意の好ましい濃度のエマルションは、水で希釈することにより、濃縮物から調製できる。
【0058】
F2.溶液
【0059】
【表2】

【0060】
溶液は、微液滴の形態で利用するのに適している。
【0061】
F3.可湿性粉
【0062】
【表3】

【0063】
有効成分をアジュバントと完全に混ぜて、その混合物を適切なミルで完全に粉砕して、水で希釈して任意の好ましい濃度の懸濁液にすることができる可湿性粉を得る。
【0064】
F4.被覆顆粒
【0065】
【表4】

【0066】
有効成分を塩化メチレンに溶解し、その溶液を担体上へスプレーし、その後に溶媒を真空で蒸発させる。
【0067】
F5.被覆顆粒
【0068】
【表5】

【0069】
粉末状の有効成分をミキサー内で、ポリエチレングリコールで湿らせた担体に、均一に当てる。粉末状ではない被覆された顆粒がこの手法で得られる。
【0070】
F6.押出成型された顆粒
【0071】
【表6】

【0072】
式Iの有効成分及び所望により追加の肥料を、アジュバントと混合して粉砕し、混合物を水で湿らせる。生成混合物を押し出して、次に気流で乾燥する。
【0073】
F7.粉末
【0074】
【表7】

【0075】
有効成分を担体と混ぜて、混合物を適切なミル内で粉砕することにより、使用準備の整った粉末を得る。
【0076】
F8.懸濁濃縮物
【0077】
【表8】

【0078】
粉末状の有効成分をアジュバントと完全に混ぜることにより、水で希釈すると任意の好ましい濃度の懸濁液を調製できる懸濁濃縮物を得る。
【0079】
F9.種子処理用流動性濃縮物
【0080】
【表9】

【0081】
粉末状の有効成分をアジュバントと完全に混ぜることにより、水で希釈すると任意の好ましい希釈率の懸濁液を得ることができる懸濁濃縮物を得る。そのような希釈物を用いるとき、スプレー、注液、又は浸漬により、生えている植物(living plants)並びに植物繁殖素材(plant propagation material)を処理できる。
【0082】
F10.制御放出カプセル懸濁液
28部の式Iの化合物を2部の芳香族溶媒及び7部のトルエンジイソシアネート/ポリメチレン−ポリフェニルイソシアネート−混合物(8:1)と混ぜる。好ましい粒径が達成されるまで、1.2部のポリビニルアルコール、0.05部の消泡剤及び51.6部の水の混合物中でこの混合物を乳化する。このエマルションに、5.3部の水と2.8部の1,6−ジアミノヘキサンの混合物を加える。重合反応が終わるまで混合物を攪拌する。0.25部の増粘剤及び3部の分散剤を加えることにより、得られたカプセル懸濁液を安定化する。その目的に適した装置内で、生成した製剤を水性懸濁液として種子に適用する。
【0083】
芝草への適用
本発明による組成物で芝草、その場所、又はその種子を処理することにより、本発明による組成物を芝草又はその種子に適用できる。本発明の前記実施形態内で、好ましくは、スプレー又は拡散により、本発明による組成物を芝草に適用する。最も好ましくは、組成物を顆粒の形態で適用する。
【0084】
したがって、本発明によって、芝草、その場所又はその種子に、粒状組成物の形態で除草剤的に有効な量の式I
【0085】
【化3】

【0086】
の化合物を適用する工程を含む、芝草中の雑草を防除する方法が提案される。顆粒を形成するのに使われる製剤混合物に式Iの化合物を加えることができ、それは完全に分散された顆粒になる。また、式Iの化合物を顆粒に染み込ませるか、顆粒の表面上にコーティングできる。顆粒は不活性の、例えば軽石、アタパルジャイド粘度、フラー土、珪藻土(kieselguhr)、珪藻土(diatomaceous earth)又は粉砕コーン・コブの顆粒でよい。
【0087】
本発明の一実施形態では、顆粒は肥料顆粒でよく、又は少なくとも1つの肥料成分を含んでよい。
【0088】
一般に、窒素系肥料を芝草管理に定期的に使用して、草に養分を与え、成長を促進する。これらの顆粒製剤は、式Iの化合物の液体の適用よりも、雑草防除の良好なコンシステンシー及び薬効範囲を提供し、一般に芝草自体への損害又は損傷を小さくする。本発明の特に有効な組成物は、約0.5mm〜2.5mm、特に1mm〜2mmの平均粒径を有する顆粒組成物である。これらの組成物は、好ましくは、乾燥品として適用される。
【0089】
各種のプロセスを利用して、本発明の粒状組成物を製造してよい。例えば、式Iの化合物を、接着剤/固着剤によって肥料/不活性顆粒の外面に接着して;乾燥成分及び液体の混合物に入れ、次に押出又は鍛造して別々の粒子にして;又は多孔質顆粒に染みこませてよい。粒状組成物を製造するさらなる方法は、例えば米国特許第2007/0021305号、特に第3頁の実施例1に、開示されている。
【0090】
本発明の粒状組成物は後述の安全化剤の1つ以上を含んでもよい。特に、安全化剤は、クロキントセットメキシル、シプロスルファミド、イソキサジフェンエチル、プリミスルフロン、及び式2.3
【0091】
【化4】

【0092】
の化合物からなる群から選択されてよい。適切には、安全化剤はシプロスルファミド又は式2.3の化合物である。
【0093】
例えば、ゴルフ場、スポーツ場、公園地区又は家庭の芝などのように、地面の所定の表面積に高品質で健常な芝草を維持するために、芝草のメンテナンス中に、本発明による組成物を芝草に1回又は1回以上適用できる。
【0094】
好ましくは、芝草の成長期中に、本発明による組成物を芝草に1回又は1回以上適用する。
【0095】
芝草の場所への適用
本発明による組成物で芝草の場所を処理することにより、本発明による組成物を芝草に適用できる。例えば、芝草の種子を土にまくか、埋める前後に、本発明による組成物を土に適用でき;また、芝草の種子を基材に置く前後に、本発明による組成物を芝草の成長用基材に適用でき;また、基材上で成長した芝草を基材ごと土の上に置く前に、本発明による組成物を土に適用できる。
【0096】
芝草の種子への適用
本発明による組成物で種子を処理することにより、本発明による組成物を芝草の種子に適用できる。
【0097】
本発明による組成物が種子を処理するのに使われるとき、種子1kg当たり0.001〜50gの式Iの化合物、好ましくは種子1kg当たり0.01〜10gの濃度で概ね足りる。
【0098】
HPPD耐性芝草への適用
本発明の組成物及び方法をHPPD耐性芝草に適用してよい。土地の特徴を利用して育種する従来法により、又は遺伝子工学により、芝草種をHPPD阻害除草剤に耐性があるようにしてよい。遺伝子工学法によって除草剤又は除草剤の種類への耐性を有した作物の例としては、ラウンドアップレディ(RoundupReady)(登録商標)及びリバティリンク(LibertyLink)(登録商標)の商標名で入手できるグリホセート及びグルホシネート耐性のトウモロコシ種が挙げられる。芝草のHPPD耐性は、他の好ましい特徴、例えば、他の除草剤(グリホセートなど)への耐性、又は虫の採食への耐性(例えば国際公開第2007/027828号パンフレットを参照)と重複してよい。
【0099】
本発明によって、HPPD耐性芝草中の雑草を防除するための式Iの化合物の使用を提供する。
【0100】
他の化合物との併用
本発明の組成物及び方法を他の化合物と併用してよい。1つ以上の化合物からなる混合物の適用は、操作者のかなりの時間を節約できるから、好ましいであろう。例えば、組成物は、1つ以上の追加の除草剤、殺虫剤、防かび剤、又は植物成長制御剤を含んでよい。共除草剤(co−herbicide)は、メソトリオンなどの他のHPPD防止剤、又はACCアーゼ阻害剤若しくは光化学系II防止剤などの、作用の異なる態様を有する除草剤を含むことができる。当業者は、化合物が同時適用に適合できるようにする必要をよく知っている。
【0101】
そのような混合物を共配合して単一製品にするか、又は、例えばスプレータンク内で、適用前に共に混合してよい。この混合物を同時に又は連続して適用してよい。
【0102】
安全化剤を伴う適用
本発明に従って、芝草、その場所又はその種子に、除草剤的に有効な量の式Iの化合物及び除草剤被害に有効な量の安全化剤を含む除草組成物を適用する工程を含む、芝草中の雑草を防除する方法を提供する。安全化剤の使用は、好ましい芝草種に対する植物毒性(例えば漂白又はクロロシスの形態)を減らすのに好ましいであろう。本発明の一実施形態では、式Iの化合物は、暖地型芝草中の雑草を防除するための安全化剤と併用される。
【0103】
任意の適切な除草剤の安全化剤を式Iの化合物と併用してよい。既知の除草剤の安全化剤の詳細は、「Pesticide Manual」(British Crop Production Council、14th edition)で見つかり、それらとしては、例えば、ベノキサコール(Pesticide Manual entry 64)、フェンクロリム(Pesticide Manual entry 344)、クロキントセットメキシル(Pesticide Manual entry 166)、メフェンピル−ジエチル(Pesticide Manual entry 524)、フリアゾール(Pesticide Manual entry 425)、ジシクロノン(Pesticide Manual entry S1103)、フルクソフェニム(Pesticide Manual entry 411)、ジクロルミド(Pesticide Manual entry 236)、フルラゾール(Pesticide Manual entry S1222)、イソキサジフェンエチル(Pesticide Manual entry 494)、フェンクロラゾール−エチル(Pesticide Manual entry 343)、プリミスルフロン−メチル(Pesticide Manual entry 678)、シプロスルファミド、式2.1
【0104】
【化5】

【0105】
の化合物、式2.2
【0106】
【化6】

【0107】
の化合物、式2.3
【0108】
【化7】

【0109】
の化合物、式2.4
【0110】
【化8】

【0111】
の化合物、式2.5
【0112】
【化9】

【0113】
の化合物、及び式2.6
【0114】
【化10】

【0115】
の化合物が挙げられる。
【0116】
本発明の一実施形態では、安全化剤は、クロキントセットメキシル、イソキサジフェンエチル、シプロスルファミド、プリミスルフロンメチル、及び式2.3の化合物からなる群から選択される。本発明のさらなる実施形態では、安全化剤はシプロスルファミドである。本発明のさらに別の実施形態では、安全化剤は式2.3の化合物である。
【0117】
本発明に従って、有効成分として、除草剤的に有効な量の式Iの化合物及び除草剤被害に有効な量のシプロスルファミドの混合物を含む、選択的除草組成物を提供する。本発明による組成物を使用できる有用な植物としては、穀草類などの作物(例えば大麦及び小麦、綿、菜種、トウモロコシ、米、大豆、サトウダイコン及びサトウキビ)、並びに芝草が挙げられる。作物植物は、木(果物の木、ヤシの木、ココナッツの木又は他のナッツなど)、ブドウなどのツル草、果物の低木、果物の植物及び野菜を含むこともできる。作物は、育種の従来法により又は遺伝子工学により除草剤又は除草剤の種類(例えば、ALS−、GS−、EPSPS−、PPO−、ACCアーゼ及びHPPD−防止剤)に対して耐性があるようにされた作物を含むことも分かる。育種の従来法によりイミダゾリノン(例えばイマザモックス)に耐性があるようにされた作物の例は、クリアーフィールド(Clearfield)(登録商標)サマーレイプ(キャノーラ)である。遺伝子工学法により除草剤に耐性があるようにされた作物の例としては、例えば、ラウンドアップレディ(RoundupReady)(登録商標)及びリバティリンク(LibertyLink)(登録商標)の商標名で入手できるグリホセート−及びグルホシネート−耐性のトウモロコシ種が挙げられる。
【0118】
用途に応じて、安全化剤は、作物の種材を前処理(種子粉衣又は挿し木)するのに使われるか、種まきの前後に土中に導入され得る。しかし、それは植物の出芽後に、単独で又は除草剤とともに適用されてもよい。したがって、安全化剤による植物又は種材の処理は、原則として除草剤の適用時間とは無関係に行なうことができる。しかし、植物の処理は、除草剤及び安全化剤の同時適用(例えば、タンク混合物の形態)によっても実施されてよい。除草剤に対する安全化剤の適用の比は、大部分が適用の手法に左右される。フィールド処理の場合には、それは安全化剤及び除草剤の組み合わせを含むタンク混合物を用いることにより、又は安全化剤及び除草剤の個別適用により行なわれるが、除草剤:安全化剤の比は、一般に100:1〜1:10、好ましくは20:1〜1:1である。一般に、0.001〜1.0kgの安全化剤/ヘクタール(ha)、好ましくは、0.001〜0.25kgの安全化剤/haがフィールド処理の場合には適用される。
【実施例】
【0119】
生物学的実施例
実施例B1:式Iの化合物の選択的な出芽後除草作用
芝中の式Iの化合物の選択性(草地の又は広葉の雑草の除去)が、ケンタッキー・ブルーグラス、トールフェスク(ヒロハノウシノケグサ)及び多年生ライグラス(ペレニアルライグラス)から選択された芝草種、並びにクローバー(悪性の多年生雑草)及びタンポポ(特に切り詰めた耕作が行なわれる場合に、幾つかの一年生作物の問題になることもある、多年生の園芸作物及び庭の雑草)からなる群から選択された草地の雑草について試験された。
【0120】
試験は、フィールド条件下、米国イリノイ州シャンペーン(表B1.1)及び米国ニューヨーク州ハドソン(表B1.2)で行なわれた。芝草は、家庭用芝生のように、約2.5’’の高さで揃えられた。混合した芝及び雑草の木立が存在していた。210〜280g/haの濃度の水性懸濁液(可湿性粉から調製した)の形態でスプレーすることにより、CO加圧型バックパック噴霧器で試験化合物を適用した。次に、必要に応じてその土地を刈り取るか、水をまいた。それぞれ22〜28日後、試験を目視で評価する(100%=植物に対する全損傷;0%=植物に損傷なし)。結果は、表B1.1及びB1.2に与えられた。
【0121】
【表10】

【0122】
【表11】

【0123】
上記の結果から、試験された適用濃度では、芝草種、特に、ケンタッキー・ブルーグラス、ヒロハノウシノケグサ及びペレニアルライグラス中の、クローバー及びタンポポのような好ましくない広葉雑草を防除するのに式Iの化合物が適していることが導かれる。
【0124】
実施例B2:スプレー散布による式Iの化合物の植物毒性の試験
芝草種に対する式Iの化合物の植物毒性を試験した。様々な濃度及びスプレー処理計画で、出芽後のスプレーによって各種の暖地型及び寒地型芝草種に本化合物を適用した。植物毒性評価(%)が各時点で得られた。結果が表B2.1〜B2.8に表示される。
【0125】
【表12】

【0126】
【表13】

【0127】
【表14】

【0128】
【表15】

【0129】
【表16】

【0130】
【表17】

【0131】
【表18】

【0132】
【表19】

【0133】
結果は、式Iが低濃度で適用されるとき、芝草に対する植物毒性の程度が許容可能であることを示す。植物毒性は、寒地型芝草種においても更に低い。
【0134】
実施例B3:顆粒の適用による式Iの化合物の植物毒性の試験
芝草種に対する式Iの化合物の植物毒性を試験した。2つの濃度で発芽後の芝草種に、式Iの顆粒製剤を分配することによって、本化合物を適用した。適用の1日後、全処理物を水に浸した。植物毒性評価(%)が各時点で得られた。結果は表B3.1〜B3.4に表示される。
【0135】
2つの顆粒製剤を作って試験した。顆粒Aは、99.06重量%(wt%)のDG Lite150の顆粒、0.14wt%の式Iの化合物、0.50wt%のサンスプレー(Sunspray)6N、及び0.30wt%のハイシル(HiSil)233を含む不活性顆粒製剤である。コンチネンタル・ローロ・ミキサー(Continental Rollo−mixer)中で混ぜながら、式Iの化合物をDG Lite顆粒に加えた。
【0136】
次に、サンスプレー(Sunspray)6Nオイルを顆粒上へスプレーし、ハイシル(HiSil)を加えて過剰な液体を乾燥し、顆粒の流動性を向上させた。顆粒が均一になるまでミキサー中で20〜30分間混合し、−12/+60メッシュを通過させて、上下の粒径の粒子を取り除いた。
【0137】
顆粒Bは、54.65wt%の尿素、6.63wt%の三重過リン酸塩、4.95wt%の塩化カリウム、9.91wt%のヒューバークレイ(huber clay)、7.22wt%のハイシル(HiSil)233、0.16wt%の式Iの化合物、14.41wt%のアグニク(agnique)ME181、2.07wt%のステップファク(stepfac)8180、及び11.98wt%の水を含む、肥料顆粒の製剤である。乾燥尿素肥料、三重過リン酸塩、及び塩化カリウムを別々にドライミル中で微粉末にして、次にヒューバークレイ、幾つかのハイシル、及び式Iの化合物と共に混ぜた。個別の容器内で、ステップファク8180及びアグニクME181を均一になるまで混ぜてから乾燥成分に加え、水を加えて造粒を開始した。残留ハイシルを加え、顆粒を40〜60℃で乾燥し、過剰な液体を除去した。最後に、顆粒を−12/+60メッシュに通過させて、上下の粒径の粒子を取り除いた。
【0138】
【表20】

【0139】
【表21】

【0140】
表B3.3及びB3.4では、試験された顆粒の製剤は、式Iの化合物を各種の不活性顆粒へスプレーすることにより形成された。これらの試験のそれぞれでは、対応するスプレー散布より高い濃度で顆粒の製剤を試験した。
【0141】
【表22】

【0142】
【表23】

【0143】
結果は、式Iの顆粒の製剤がスプレー製剤よりも芝草に対する植物毒性を低くすることを示す。
【0144】
実施例B4:安全化剤と併用した式Iの化合物の植物毒性の試験
各種の安全化剤と併用した式Iの化合物の芝草に対する植物毒性を試験した。この組み合わせは、出芽後のスプレー散布により適用された。植物毒性評価(%)が各時点で得られた。これらの試験で試された安全化剤は、クロキントセットメキシル、シプロスルファミド、式2.3の化合物、及びイソキサジフェンエチルであった。結果は表B4.1〜B4.3に表される。
【0145】
【表24】

【0146】
【表25】

【0147】
【表26】

【0148】
結果は、安全化剤と併用した式Iの適用が、芝草に対する植物毒性の程度を減らし、シプロスルファミド及び式2.3が特に効果的な安全化剤であることを示す。
【0149】
表B4.4及びB4.5は、式Iの化合物の顆粒製剤と併用した安全化剤を用いる試験の結果を表す。
【0150】
【表27】

【0151】
【表28】

【0152】
実施例B5:スプレー散布による芝草中の雑草に対する式Iの化合物の有効性の試験
式Iの化合物の雑草防除の有効性を試験した。各種の濃度及びスプレー処理計画で、各種の雑草に、出芽後のスプレーによって本化合物を適用した。雑草防除の評価(%)が各時点で得られた。結果は表B5.1〜B5.7に表される。
【0153】
【表29】

【0154】
【表30】

【0155】
【表31】

【0156】
【表32】

【0157】
【表33】

【0158】
【表34】

【0159】
【表35】

【0160】
結果は、低濃度で適用されたときでさえ、式Iの化合物が各種の芝の雑草を防除するのに効果的であることを示す。
【0161】
実施例B6:式Iの化合物の顆粒製剤の雑草防除の試験
式Iの化合物の雑草防除の有効性を試験した。2つの濃度で、作物の出現後及び雑草の出現後、式Iの顆粒製剤の分配(実施例B3を参照)によって本化合物を適用した。適用1日後に全処理物を水に浸した。雑草防除の評価(%)が各時点で得られた。結果は表B6.1に表される。
【0162】
【表36】

【0163】
結果は、式Iの顆粒製剤が、スプレー製剤での雑草防除とほぼ同程度に効果的であることを示す。
【0164】
実施例B7:安全化剤と併用した式Iの化合物の雑草防除の試験
各種の安全化剤と併用した式Iの化合物の雑草防除の有効性を試験した。出芽後のスプレー散布により、この組み合わせを適用した。雑草防除の評価(%)が各時点で得られた。結果は表B7.1に表される。
【0165】
【表37】

【0166】
結果は、安全化剤の存在が式Iの除草有効性に有意には影響しないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝草、その場所又はその種子に、除草剤的に有効な量の式I
【化1】

の化合物又は前記化合物を含む組成物を適用する工程を含む、芝草中の雑草を防除する方法。
【請求項2】
化合物又は組成物が顆粒の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
顆粒が不活性顆粒又は肥料顆粒である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
芝草がHPPD耐性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
組成物が、除草剤被害に有効な量の安全化剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
安全化剤が、クロキントセットメキシル、シプロスルファミド、イソキサジフェンエチル、プリミスルフロンメチル、及び式2.3
【化2】

の化合物からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
安全化剤がシプロスルファミドである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
安全化剤が式2.3
【化3】

の化合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
除草剤:安全化剤の比が20:1〜1:1である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
芝草が暖地型芝草種である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
肥料顆粒に染み込ませた又はコーティングした式Iの化合物を含む、芝草中の雑草を防除するのに用いる組成物。
【請求項12】
組成物が安全化剤をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
安全化剤が、クロキントセットメキシル、シプロスルファミド、イソキサジフェンエチル、プリミスルフロン、及び式2.3
【化4】

の化合物からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
a)除草剤的に有効な量の式Iの化合物、及び
b)除草剤被害に有効な量のシプロスルファミド
の混合物を有効成分として含む、選択的除草組成物。
【請求項15】
HPPD耐性の芝草中の雑草を防除するための式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2010−523509(P2010−523509A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501426(P2010−501426)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002612
【国際公開番号】WO2008/122395
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】