説明

芝生に繁殖する藻類の防除剤、及び防除方法

【課題】環境汚染の恐れのない芝生に繁殖する藻類の防除剤を提供する。
【解決手段】発酵菌と、ふすまと、米糠と、糖蜜と、を混合して培養して(A)剤とし、この(A)剤と、有機肥料とを混合して所定期間培養したことを特徴とする。発酵菌はバイムフード(登録商標)であることが望ましい。上記(A)剤の配合比率が、重量比で
バイムフード:1%以上7%以下、ふすま:70%以上85%以下、米糠:3%以上13%以下、糖蜜:1%以上20%以下、であることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵菌を用いた芝生に繁殖する藻類の防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゴルフ場のグリーンのように芝生以外の植物の繁殖を極度に抑える必要のある場合、手作業でその植物を除去するには限界があるため、防除剤の開発が求められてきた。
【0003】
この点に関し、特許文献1には、有機化学材料を用いた防除剤が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような有機化学材料を用いる場合、地下水などの環境を破壊するなどの問題点があった。
【特許文献1】特開2007−254296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、環境汚染の恐れのない芝生に繁殖する藻類の防除剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、発酵菌と、ふすまと、米糠と、糖蜜と、を混合して培養して(A)剤とし、この(A)剤と、有機肥料とを混合して所定期間培養したことを特徴とする、芝生に繁殖する藻類の防除剤を提供する。
【0007】
また、本発明は、発酵菌をふすまと鶏糞で活性化させ、この活性化した発酵菌と分解された鶏糞とを芝生に散布することにより土中の在来の菌を活性化させ、この活性化した土中の在来の菌が藻類を防除する、ことを特徴とする芝生に繁殖する藻類の防除方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の芝生に繁殖する藻類の防除剤によれば、土中の在来の細菌が活性され、この細菌が藻類を貪食することにより、環境を汚染せずに藻類を防除することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態である芝生に繁殖する藻類の防除剤は、発酵菌と、ふすまと、米糠と、糖蜜と、を混合し、培養して(A)剤とし、この(A)剤と、有機肥料とを混合して所定期間培養したことを特徴とする。
【0010】
上記の発酵菌はバイムフード(登録商標)であることが望ましいが、これに限られるものではない。
【0011】
また、本発明の芝生に繁殖する藻類の防除剤は、上記(A)剤の配合比率が、重量比で
バイムフード:1%以上7%以下、ふすま:70%以上85%以下、米糠:3%以上13%以下、糖蜜:1%以上20%以下、であることが望ましい。
【0012】
(A)剤の培養条件は、室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養することが望ましい。
【0013】
さらに、本発明の芝生に繁殖する藻類の防除剤は、重量比で、上記(A)剤が10%以上40%以下、鶏糞が60%以上90%以下であることが望ましい。
【0014】
次に、本実施形態の芝生に繁殖する藻類の防除剤の防除機序について説明する。発酵菌は(A)剤中にて増殖され、活性化される。さらに有機肥料を混合することにより、有機肥料が分解される。
【0015】
この段階でグリーンなどの芝生に散布すると、芝生が繁茂する土中の在来細菌が分解された有機物により活性化される。この在来菌は植物細胞を貪食する。このため、藻類は繁殖の初期の段階において土中の在来菌に貪食され、防除される。
【0016】
すなわち、本実施形態の芝生に繁殖する藻類の防除方法は、発酵菌をふすまと鶏糞で活性化させ、この活性化した発酵菌と分解された鶏糞とを芝生に散布することにより土中の在来の菌を活性化させ、この活性化した土中の在来の菌に藻類を防除させる、ことを特徴とする。
【0017】
本実施形態の芝生に繁殖する藻類の防除剤は、藻類を防除する土中の細菌類の活性剤の機能を有する。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
(A)剤
バイムフード:1%
ふすま:85%
米糠:13%
糖蜜:1%
室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養。
この(A)剤10%に鶏糞90%を混合して、室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養し、実施例1とした。
【0019】
(実施例2)
(A)剤
バイムフード:5%
ふすま:80%
米糠:10%
糖蜜:5%
室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養。
この(A)剤30%に鶏糞70%を混合して、室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養し、実施例2とした。
【0020】
(実施例3)
(A)剤
バイムフード:7%
ふすま:70%
米糠:3%
糖蜜:20%
室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養。
この(A)剤40%に鶏糞60%を混合して、室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養し、実施例3とした。
【0021】
(対照剤)
(A)剤
バイムフード:0%
ふすま:70%
米糠:10%
糖蜜:20%
室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養。
この(A)剤40%に鶏糞60%を混合して、室温(摂氏25度付近)、湿度80%において、1週間培養し、対照剤とした。
【0022】
(実験)
6月中旬にゴルフ場のグリーンに上記実施例を各1kg/m散布し比較した。3週間放置して藻類の発生状況を観察した。結果を表1に記す。
【表1】

【0023】
表1に記載したように、本実施形態においては藻類の防除に顕著な効果があることが確認された。
【0024】
以上述べたように、本実施形態においては発酵菌を活性させた上で芝生に散布する。このため、土中の在来の細菌が活性され、この細菌が藻類を貪食することにより、環境を汚染せずに藻類を防除することができるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の芝生に繁殖する藻類の防除剤は、芝生以外の花壇の藻類の防除にも利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵菌と、ふすまと、米糠と、糖蜜と、を混合し、培養して(A)剤とし、
前記(A)剤と、有機肥料とを混合して所定期間培養したことを特徴とする、
芝生に繁殖する藻類の防除剤。
【請求項2】
前記発酵菌がバイムフード(登録商標)であり、
前記有機肥料が鶏糞であることを特徴とする、請求項1に記載の芝生に繁殖する藻類の防除剤。
【請求項3】
前記(A)剤の配合比率が、重量比で
バイムフード:1%以上7%以下
ふすま:70%以上85%以下
米糠:3%以上13%以下
糖蜜:1%以上20%以下、
であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の芝生に繁殖する藻類の防除剤。
【請求項4】
重量比で、
前記(A)剤が10%以上40%以下
鶏糞が60%以上90%以下
であることを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の芝生に繁殖する藻類の防除剤。
【請求項5】
発酵菌をふすまと鶏糞で活性化させ、
この活性化した発酵菌と分解された鶏糞とを芝生に散布することにより土中の在来の菌を活性化させ、
この活性化した土中の在来の菌に藻類を防除させる、
ことを特徴とする芝生に繁殖する藻類の防除方法。

【公開番号】特開2009−107974(P2009−107974A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282534(P2007−282534)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(592090658)
【出願人】(506393938)株式会社ヤマセ (1)
【Fターム(参考)】