説明

芝生用蘚苔類防除組成物及びその使用方法

【課題】 芝生に発生する蘚苔類の防除のため手段として、本発明は、ベントグラス等の洋芝類に対して薬害の発生を起こすことなく蘚苔類を防除することができる芝生用蘚苔類防除組成物並びに相乗的に効果を発揮する芝生用蘚苔類防除組成物の使用方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害剤から選択される1以上の化合物及びアセト乳酸合成酵素阻害剤から選択される1以上の化合物を有効成分として含有することを特徴とする芝生用蘚苔類防除組成物及びその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害剤から選択される1以上の化合物及びアセト乳酸合成酵素阻害剤から選択される1以上の化合物を有効成分として含有することを特徴とする芝生用蘚苔類防除組成物及びその使用方法、特に、ベントグラスに薬害を生じないこと及びプロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害剤とアセト乳酸合成酵素阻害剤とが相乗的に効果を発揮することを特徴とする芝生用蘚苔類防除組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフ場のグリーンでは、蘚苔類の被害が増えている。グリーンに発生した蘚苔類は美観を損ね、パッティングクオリティーを著しく低下させるだけでなく、グリーンの芝の生育を抑制し、枯死に至らしめる。グリーンに発生する蘚苔類は主として蘚類の仲間であるギンゴケで、同コケは直射日光の当たる乾燥しやすい場所にも生育できる。したがって、定期的に散水し、施肥を行うグリーンは土壌表層の水分、養分を吸収し生育する同コケの格好の生育場所である。
従来からの蘚苔類の防除には耕種的手法、化学的手法が挙げられる。前者は潅水過多を避け、水はけを良くし土壌表面を極力乾燥させることが重要とされるが、ベントグラスは乾燥に弱く、潅水制限には限度があり、根本的解決になっていない。後者は、例えば蘚苔類に有効な薬剤の散布であり、適用作物は日本芝(コウライシバ)のみだが、除草剤のACN(キノクラミン)剤を用いて蘚苔類を防除できること(例えば、非特許文献1を参照。)や、カルフェントラゾンエチル剤では西洋芝(ベントグラス)における「こけ」防除についての効果が知られている(例えば、非特許文献2を参照。)。また、ある種のアミン塩を用いて薬害無く藻類及び蘚苔類を防除できることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
本発明で用いられる一方の有効成分である、ピラフルフェンエチルは公知の化合物であり、除草剤として有用であることが見いだされている(例えば、特許文献2及び非特許文献3を参照。)。また、他の有効成分と組み合わせて混合して用いられる有効成分のハロスルフロンメチル、エトキシスルフロン、フロラスラム、シクロスルファムロン、イマゾスルフロン、シノスルフロン等はいずれも除草剤としての用途が知られている(例えば、非特許文献3を参照)。尚、除草剤用途においては、ピラフルフェンエチルを含むピラゾール系化合物とスルホニルウレア系除草剤やフェノキシ脂肪酸系除草剤を組み合わせて用いて雑草を防除する技術が知られている(例えば特許文献3を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−291905号公報
【特許文献2】特開平3−163063号公報
【特許文献3】特開平4−59706号公報
【非特許文献1】グリーン農薬総覧 2003年 社団法人緑の安全協会発行
【非特許文献2】最近の農薬登録紹介 平成18年度(1月〜6月)http://www.iskweb.co.jp/ibj/shidou/touroku_9.htm石原バイオサイエンス株式会社
【非特許文献3】ザ・ペスティサイド・マニュアル(The Pesticide Manual、13th edition、BRITISH CROP PROTECTION COUNCIL発行、2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
芝生に発生する蘚苔類の防除のため手段として、従来から行われている耕種的手法を補う又はこれに替わる、芝に薬害を発生させることのない優れた化学的手法が求められてきた。既存の化学的手法は、効果・薬害の面を同時に充分にカバーするものではなく、限られた場面でしか利用できなかった。本発明は、ベントグラス等の洋芝類に対して薬害の発生を起こすことなく蘚苔類を防除することができる芝生用蘚苔類防除組成物並びに相乗的に効果を発揮する芝生用蘚苔類防除組成物の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を見出し、その効果も所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち本発明は、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害剤から選択される1以上の化合物及びアセト乳酸合成酵素阻害剤から選択される1以上の化合物を有効成分として含有することを特徴とする芝生用蘚苔類防除組成物及びその使用方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の芝生用蘚苔類防除組成物を用いることにより、ベントグラス等の薬剤に感受性が高く薬害の発現しやすい芝を生育させた場合においても、薬害を引き起こすことなく、蘚苔類を効果的に防除することができる。2種の異なる作用性の除草剤を組み合わせて相乗効果を発揮させているため、蘚苔類にはより高い効果を示し、芝には薬害を生じることなく施用することができる。高い芝クオリティーを保つと同時に投下薬剤総量を節減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の芝生用蘚苔類防除組成物及びその製造方法について具体的に説明する。
具体的な有効成分として、例えば、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害剤としては、例えば、フルミプロピン(一般名)フルミクロラックペンチル(一般名)フルミオキサジン(一般名)カルフェントラゾンエチル(一般名)スルフェントラゾン(一般名)アザフェニジン(一般名)フルチアセットメチル(一般名)チジアジミン(一般名)オキサジアゾン(一般名)オキサジアルギル(一般名)シニドンエチル(一般名)ブタフェナシル(一般名)ピラフルフェンエチル(一般名)クロルフタリム(一般名)ニトロフェン(一般名)、ビフェノックス(一般名)、オキシフルオルフェン(一般名)、アシフルオルフェン(一般名)、フォメサーフェン(一般名)等のジフェニルエーテル系化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に好ましいのはピラフルフェンエチルである。
【0010】
アセト乳酸合成酵素阻害剤としては、例えば、スルホンアミド系除草剤類、例えばフルカルバゾン、プロポキシカルバゾン又はアミカルバゾン、スルホニル尿素系除草剤類、例えばメトスルフロン、インドスルフロン、アミドスルフロン、ホラムスルフロン、クロルスルフロン、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、トリアスルフロン、オキサスルフロン、トリベニュロンエチル、プロスルフロン、エタメトスルフロンメチル、トリフルスルフロンメチル、チフェンスルフロンメチル、フルザスルフロン、リムスルフロン、ニコスルフロン、フルピルスルフロン、ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン、スルホスルフロン、シノスルフロン、アジムスルフロン、メトスルフロンメチル、ハロスルフロンメチル、エトキシスルフロン、シクロスルファムロン又はヨードスルフロン、イミダゾリノン系除草剤、例えばイマザメタベンズ、イマザピル及びその塩、イマザピック及びその塩、イマザキン及びその塩、イマゼタピル及びその塩、イマザモックス及びその塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいのはハロスルフロンメチル、エトキシスルフロン、フロラスラム、シクロスルファムロン、イマゾスルフロン又はシノスルフロンから選択される1以上の化合物を用いる場合である。より好ましくは、エトキシスルフロンメチル、シクロスルファムロン又はイマゾスルフロンである。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等の無機塩でもよく、ピリジン塩、アンモニウム塩等の有機塩基類との塩であってもよい。これら除草剤が本発明の有効成分の主体となるが、その他の有効成分としては、薬害の生じない限りにおいては他の除草剤や殺虫剤、殺菌剤等も配合可能である。
これらの有効成分は、例えば、ペスティサイドマニュアル(The Pesticide Manual Thirteenth Edition 2003)等の公知文献記載の化合物である。
【0011】
有効成分としては、上記除草剤の一種又は二種以上を同時に配合することができる。また、その配合量は芝生用蘚苔類防除組成物全量に対して剤型に応じて任意の割合で配合することができ、0.01〜80重量%の範囲から適宜選択して使用することができ、好ましくは0.1〜50重量%でああり、特に好ましくは1〜20重量%の範囲である。その他の有効成分として上記除草剤以外に、殺虫剤、殺菌剤等を配合することもできる。
【0012】
本発明の芝生用蘚苔類防除組成物を製造する際に用いることができる結合剤としては、天然系、半合成系及び合成系の高分子類等が挙げられ、天然系のものとしては、例えば、デンプン、アラビヤガム、トラガントガム、グアーガム、マンナン、ペクチン、ソルビトール、キサンタンガム、デキストラン、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、半合成系としては、例えば、デキストリン、可溶性デンプン、酸化デンプン、α化デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。合成系のものとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン-アクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。しかしながら、これらに限定されるものではない。また、これらを1種類を単独で用いることも、2種以上を併用することも可能であり、その添加量は、芝生用蘚苔類防除組成物全量に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜10重量%である。
【0013】
本発明の芝生用蘚苔類防除組成物を製造する際に用いることができる固体担体としては、非水溶性固体担体及び水溶性固体担体とに分類され、非水溶性固体担体としては、例えば、クレー、炭酸カルシウム、タルク、ベントナイト、焼成珪藻土、未焼成珪藻土、含水ケイ酸、セルロース、パルプ、モミガラ、木粉、ケナフ粉等が挙げられる。また、水溶性固体担体としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩、ブドウ糖、ショ糖、果糖、乳糖等の糖類、尿素、尿素ホルマリン縮合物、有機酸塩、水溶性アミノ酸類等が挙げられる。これら固体担体は単独で用いてもよく又は2種以上を混合して用いてもよい。これら固体担体の添加量は、芝生用蘚苔類防除組成物全量に対して、通常、0.5〜99.79重量%、好ましくは20〜98重量%である。
【0014】
また、本発明の芝生用蘚苔類防除組成物は、含有される農薬有効成分の薬効を最大限に発揮させたり、芝生用蘚苔類防除組成物の品質を良好なものとするため、必要に応じて、界面活性剤、溶剤、粉砕助剤、吸収剤、分解防止剤、色素等様々な補助成分が添加される。またそれらの選択や配合比は使用する有効成分の性質に適合するように決定することが必要である。
【0015】
本発明の組成物に添加できる界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン界面活性剤、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルリン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩等のアニオン界面活性剤等が例示されるが、芝の生育時期や環境等場合によっては、薬害を生じないように種類や配合量を調整する必要があることもある。
【0016】
溶剤としては、薬害を生じない範囲である限り特に限定されないが、例えば、例えば水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール,プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ケトン類(例えばメチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン等)、エーテル類(例えばセロソルブ等)、脂肪族炭化水素類(例えばケロシン、鉱油等)、芳香族炭化水素類(例えばキシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等)、エステル類(例えばジイソプピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレ−ト、アジピン酸エステル等)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ジメチルスルホキシド類、含窒素担体類(N―アルキルピロリドン等)、又は油脂類(例えば、菜種油、大豆油、オリーブ油、コーン油、ヤシ油、ヒマシ油等)等を挙げることができる。
【0017】
粉砕助剤としては、例えばベントナイト、ゼオライト、タルク、酸性白土、活性白土等の鉱石を原料とする担体、ホワイトカーボン(シリカ)等の合成品担体、糖類、デキストリン、粉末セルロース等の植物担体、アニオン性界面活性剤等の界面活性剤、その他有機化合物、樹脂類等を用いることができる。
【0018】
吸収剤は、油状などの液体の農薬原体を粉末化、プレミックス化するうえで用いる助剤用いられ、液体成分を吸収させ粒剤の流動性をも付与する目的で、吸収力、吸油力の高い鉱物質、植物質、または化成品の微粉末が添加される。吸収剤はいわゆる担体(増量剤)でもあり、吸油能の高い担体が粉末化助剤として適当である。例えばホワイトカーボン、珪藻土、微結晶セルロースなどの吸油性微粉等を用いることができる。
【0019】
分解防止剤としては、例えばブチルヒドロキシトルエン(BHT)又はブチルヒドロキシアニソール(BHA)等の酸化防止剤、ハイドロキノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はシアノアクリレート系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤を用いることができる。
色素としては、特に限定は無いが例えば赤色202号、酸化鉄、酸化チタン等を用いることができる。
【0020】
また、本発明の芝生用蘚苔類防除組成物には、組成の中に必要に応じて、尿素、硝酸塩、アンモニウム塩等の窒素分、コリン、サイトカイニン、ジベレリン、葉酸等の植物ホルモン類、鉄、マグネシウム、カルシウム、珪酸、マンガン、モリブデン、ホウ素、亜鉛、銅、硫黄、カリウム等の金属元素、クエン酸、酢酸、コハク酸、アスパラギン酸等の有機酸、リン酸等を添加してもよい。また、上記添加によりpH調節をかねることも可能である。
【0021】
本発明では、上記成分及び必要に応じて配合する添加剤を適宜配合して、通常の方法によって、乳剤、粉剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤又は顆粒水溶剤等を製造することができる。例えば、例示した農薬有効成分、結合剤、固体担体、界面活性剤及び必要に応じて配合する添加剤を混合し、水等を加えて混練捏和した後、押し出し式造粒機により造粒して農薬粒状製剤を製造することができる。押し出し造粒機の機種に制約はないが、スクリュー型押し出し造粒機、バスケット型押し出し造粒機、ロール型押し出し造粒機、ブレード型押し出し造粒機、ツインドームグラン等が例示できる。押し出し造粒機に装着されるスクリーンの小孔直径については、0.1〜5mm、好ましくは0.3〜2mmである。
押し出し造粒後、得られたソバ状の造粒物を適当な長さに整えた後乾燥して農薬粒状製剤を得るが、その方法に何ら制約はない。
また、押し出し造粒した芝生用蘚苔類防除組成物にマルメライザー等の装置を用いて球状や楕円状に加工を施し、これに樹脂等をコーティングして農薬粒状製剤を得ることもできる。
【0022】
使用対象となる蘚苔類としては、例えば、蘚類のギンゴケ、ホソウリゴケ等、苔類のゼニゴケ、ミカヅキゼニゴケ等の防除に有効であるが、特にギンゴケ等の蘚類の防除に有効である。
【0023】
本発明の芝生用蘚苔類防除組成物を使用する場合、農薬製剤上の常法に従い目的に応じて適当な剤型に調製して使用すれば良く、例えば固体担体、液体担体、界面活性剤、その他必要に応じて補助剤等と混合して粒剤、水和剤、粉剤、フロアブル剤、乳剤、液剤等の剤型に調製して使用すれば良い。
【0024】
本発明の芝生用蘚苔類防除組成物が適用できる芝類としては、例えば、ケンタッキーブルーグラス、ベントグラス、ペレニアルライグラス、トールフェスク、バーミューダグラス、ティフトン等の西洋芝類、高麗芝、姫高麗芝、野芝、ビロード芝等の日本芝類に適用できるがこれらに限定されるものではない。好ましくは、ケンタッキーブルーグラス、ベントグラス、ペレニアルライグラス、トールフェスク、バーミューダグラス、ティフトン等の西洋芝類である。
【0025】
本発明の芝生用蘚苔類防除組成物は、芝生での使用に特に適したものであるが、その場面としては、例えばゴルフ場、公園、スポーツ運動場、庭園、河川敷緑地、道路、建造物敷地等を挙げることができる。また同様の場所の裸地や、果樹園、営林地、森林、造成林等の蘚苔類や藻類等の防除に使用することができる。また、農耕地における水田畦畔、休耕地等にも使用することができる。本発明はこれらの態様のみならず、望ましくない蘚苔類を防除するために目的に応じてあらゆる場所において対象蘚苔類に適用することができる。
【0026】
施用の方法としては、通常の芝生用蘚苔類防除組成物と同様な方法によって施用することができ、例えば、手での粒剤等の直接散布、人力式散布機、電動式散布機、背負形動力式散布機、走行形動力散布機、トラクター搭載型散布機、有人又は無人ヘリコプター等航空散布機による方法等を挙げることができる。
【0027】
本発明の芝生用蘚苔類防除組成物を施用する際の施用量は、有効成分として、平方メートルあたり0.0001〜20g、好ましくは0.001g〜5gである。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の具体的な実施例につき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例、比較例において「部」は「重量部」を意味するものである。
【0029】
製造例1
ピラフルフェンエチル 0.5部
エトキシスルフロン 4.5部
ベントナイトとクレーの混合粉末 90部
リグニンスルホン酸カルシウム 5部
以上を均一に混合し、適量の水を加えて混練し、造粒、乾燥して粒剤とする。
【0030】
製造例2
ピラフルフェンエチル 1部
イマゾスルフロン 20部
カオリンと合成高分散珪酸 74部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルと
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムとの混合物 5部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。
【0031】
製造例3
ピラフルフェンエチル 0・5部
シクロスルファムロン 9.4部
リグニンスルホン酸カルシウム 5部
ラウリル硫酸ナトリウム 3部
キサンタンガム 0.2部
ホワイトカーボン 5部
水 76.9部
以上を混合し、湿式粉砕をして懸濁剤とする。
【0032】
製造例4
ピラフルフェンエチル 0.2部
クロルフタリム 20部
ポリエチレングリコールジアルキルアリールエーテル硫酸エステル
5部
リグニンスルホン酸カルシウム 10部
ケイソウ土 64.8部
以上をよく混合粉砕した後、少量の水を加えて混合捏和し、押出式造粒機で造粒し、乾燥して顆粒水和剤とする。
【0033】
芝生用蘚苔類防除組成物について、次の方法にて試験を行った。
試験例1;試験地はゴルフ場ティーグランド(芝種はケンタッキーブルーグラスまたはベントグラス)。処理は茎葉散布、水量150ml/m2(展着剤アプローチBI、花王株式会社製を2000倍加用)。1区2m2(2反復)。時期は秋(芝種はケンタッキーブルーグラス)または夏(芝種はベントグラス)に別試験にて実施。調査はコケ個体の枯死率。試験薬量は登録最低薬量。
試験例2;ゴルフ場ティーグランド(芝種はケンタッキーブルーグラスまたはベントグラス)。処理は茎葉散布、水量150ml/m2(展着剤アプローチBIを2000倍加用)。1区2m2(2反復)。時期は秋(芝種はケンタッキーブルーグラス)または夏(芝種はベントグラス)に別試験で実施。調査はコケ個体の枯死率。イマゾスルフロンを除く試験薬量は登録最低薬量。
【0034】
上記試験例において、活性の評価は目視により以下の基準により判定した。
殺コケ効果
5:100%枯死、
4:80%から99%枯死、
3:60%から79%枯死、
2:40%から59%枯死、
1:20%から39%枯死、
0:枯死20%
【0035】
以下の表中、FLはフロアブルを、DFは顆粒水和剤を、SCはフロアブルを、WPは水和剤を示す。FL,SCの表記は製品名に従って記載した。ETは、ピラフルフェンエチルの略称を示す。ピラフルフェンエチルは、開発コードET−751として知られる化合物である。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】


結果の概略
試験例1より、ピラフルフェンエチル単用区に比べ、殺コケ効果が高かった除草剤はエトキシスルフロンメチル、フロラスラム、シクロスルファムロン、イマゾスルフロン、シノスルフロン、クロルフタリム(処理後50日以上)で、その程度は作用機作がALS阻害であるSU系のエトキシスルフロンメチル、シクロスルファムロン、イマゾスルフロンに顕著である。
試験2より、殺コケ効果はMCPPを除く光要求型及びスルホニルウレア系除草剤の除草剤に認めるが、その程度はさほど強くない。
したがって、試験1に認めた高い殺コケ効果はピラフルフェンエチル混用による相乗効果であり、その作用はスルホニルウレア系除草剤に顕著である。しかし、同系統のハロスルフロンメチルでは相乗効果は供試薬量では認められず、光要求型でも他の系統のクロルフタリムでは供試薬量以上が必要であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害剤から選択される1以上の化合物及びアセト乳酸合成酵素阻害剤から選択される1以上の化合物を有効成分として含有することを特徴とする芝生用蘚苔類防除組成物。
【請求項2】
プロトポルフィリノーゲン酸化酵素阻害剤から選択される1以上の化合物がピラフルフェンエチルである請求項1に記載の芝生用蘚苔類防除組成物。
【請求項3】
アセト乳酸合成酵素阻害剤から選択される1以上の化合物がハロスルフロンメチル、エトキシスルフロン、フロラスラム、シクロスルファムロン、イマゾスルフロン又はシノスルフロンから選択される1以上の化合物である請求項1又は2に記載の芝生用蘚苔類防除組成物。
【請求項4】
芝生用が西洋芝類用である請求項1乃至3いずれか1項に記載の芝生用蘚苔類防除組成物。
【請求項5】
芝生地に有効量を施用することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の芝生用蘚苔類防除組成物の使用方法。

【公開番号】特開2009−215169(P2009−215169A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178038(P2006−178038)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000232623)日本農薬株式会社 (97)
【Fターム(参考)】