説明

芯上下式石油燃焼器

【課題】 安定した燃焼状態を得ることができる芯上下式石油燃焼器を提供する。
【解決手段】 補強板55に、中心部に孔を有しないバッフル部57を形成する。バッフル部57は、芯内筒17の上下方向に延びる中心線CLに沿って上昇する空気の全部が内炎筒47の径方向外側に向かうように方向を変更する。方向が変更された空気の一部は、内炎筒47に形成され且つ内炎筒47内に固定された補強板55よりも下側の領域に形成された複数の空気孔48を通して間隙G内に流入する。また方向が変更された空気の残部は、補強板55に形成された複数の貫通孔56を通して内炎筒47内に流入する。内炎筒47及び外炎筒49の空気孔48及び50の総開口面積を大きくすることに併せて、内炎筒47内に配置された補強板55に設けられた貫通孔56の総開口面積を少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用芯を備えた芯上下式石油燃焼器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実公昭63−39527号公報には、従来の芯上下式石油燃焼器の構造の一例が開示されている。燃焼器は、芯内筒と芯外筒との間に配置されて下部から吸い上げた液体燃料(白灯油)を上端部で気化させる燃焼用芯を備えている。また燃焼器は、芯内筒及び芯外筒の上に、内炎筒及び外炎筒とを備えている。内炎筒及び外炎筒は、燃焼用芯の上端部が臨む間隙を形成するように間隔をあけて配置され、それぞれには間隙内に空気を導入する複数の空気孔が形成されている。内炎筒の内部には、芯内筒の内部を通って自然に上昇する空気を通過させる複数の貫通孔を備え且つ内炎筒が温度上昇により変形するのを防止する補強板(または仕切板)が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63−39527号公報 第1図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の芯上下式石油燃焼器では、設置場所の標高が高くなるほど、燃焼状態が不安定になる問題が発生する。
【0005】
本発明の目的は、安定した燃焼状態を得ることができる芯上下式石油燃焼器を提供することにある。
【0006】
本発明の目的は、設置場所の標高が高い場合でも、安定した燃焼状態を得ることができる芯上下式石油燃焼器を提供することにある。
【0007】
上記目的に加えて、本発明の他の目的は、標高に対応した燃焼用芯の高さ寸法の設定が容易な芯上下式石油燃焼器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の芯上下式石油燃焼器(Oil-fired space heater)は、芯内筒と、芯内筒の外側に配置された芯外筒と、燃焼用芯と、内炎筒と、内炎筒の外側に配置された外炎筒と、補強板とを少なくとも備えている。燃焼用芯は、芯内筒と芯外筒との間に配置されて液体燃料を下部から吸い上げて上端部で気化させる。一般的に、液体燃料は石油から精製した白灯油である。内炎筒及び外炎筒は、芯内筒及び芯外筒の上に、燃焼用芯の上端部が臨む間隙を形成するように間隔をあけて配置される。内炎筒及び外炎筒には、それぞれ前記間隙内に空気を導入する複数の空気孔が形成されている。補強板は、芯内筒の内部を通って自然に上昇する空気を通過させる複数の貫通孔を備えており、且つ内炎筒が温度上昇により変形するのを防止するように内炎筒の内部に配置されている。内炎筒には、補強板よりも下側の領域及び上側の領域の両方に複数の空気孔を備えている。なお、外炎筒の外側に整流用の複数の空気孔を備えた外筒が配置される場合がある。また内炎筒、外炎筒、外筒を径方向に貫通して、これらの部材を連結し、内炎筒内に交差部を形成する2本のクロスピンと呼ばれる連結部材が配置されている。
【0009】
このような芯上下式石油燃焼器では、燃焼を開始すると燃焼用芯で吸い上げられた燃料が内炎筒と外炎筒との間の間隙内へと気化する。そして芯内筒の内部を上昇して内炎筒内に流入して間隙に入った空気及び外炎筒外部から間隙に流入する空気と、気化した燃料とが、混合されて燃焼し、燃焼炎が形成される。
【0010】
本発明においては、補強板が、芯内筒の上下方向に延びる中心線に沿って上昇する空気の全部または大部分を内炎筒の径方向外側に向かうように方向を変更する。そして補強板は、方向が変更された空気の一部を内炎筒の下側の領域に形成された複数の空気孔を通して前記間隙内に流入させ、且つ方向が変更された空気の残部を複数の貫通孔を通して内炎筒内に流入させるように構成されている。このような補強板を用いると、芯内筒内を上昇する空気を内炎筒の下側領域に形成された複数の空気孔を通して内炎筒と外炎筒との間の間隙内の燃焼用芯の近傍に確実に流入させることができる。その結果、燃焼用芯の上端部に、点火及び燃焼の継続に必要な空気を確実に供給することができる。そのため、本発明によれば、石油燃焼器の設置場所の標高が高い場合でも、平地で使用される場合と同様に、安定した燃焼状態を得ることができる。
【0011】
なお上記の作用効果を発生する補強板は、中央部に空気が当たるバッフル部を有し、バッフル部の外側に複数の貫通孔が形成された構造を有しているのが好ましい。このようなバッフル部があれば、芯内筒内の中心を上昇する空気の全てを内炎筒の径方向外側に向かうように方向を変更することができる。補強板に形成された複数の貫通孔は、中心線を中心にして周方向に間隔をあけ且つ内炎筒に沿うように形成するのが好ましい。このような構成を採用すると、複数の貫通孔を通して、内炎筒の内壁面に沿ってバランス良く空気を供給することができる。
【0012】
なお現在市販されている芯上下式石油燃焼器では、標高800mを超えて空気中の酸素濃度が低下すると、内炎筒及び外炎筒を含んで構成される燃焼筒に供給される空気中の酸素量が不足する。そのため、内炎筒及び外炎筒に形成された複数の空気孔からそれぞれ延び出る燃焼炎が小さくなったり、部分的に炎が消えて燃焼炎のバタつき(大きな揺れ)が発生したり、燃焼状態が不安定になったり、暖房能力が低下したり、燃費が低下したり、CO濃度が上昇するなどの問題が起こり易くなる。市販品の芯上下式石油燃焼器でも、標高1,500mくらいまでは燃焼可能であるため、そのまま使用される場合が多い。しかしながら標高2,000〜3,500mの高地では、燃焼状態がかなり不安定になる。燃焼炎の安定性は、内炎筒と外炎筒との間の間隙に供給される空気量と燃焼用芯から気化する燃料とのバランスによって決定される。
【0013】
特に、高地で使用可能な芯上下式石油燃焼器を設計するに当たっては、高地でも、平地仕様の燃焼量と同じ燃焼量となるように酸素量を調整する必要がある。燃焼に必要な酸素量を得るためには、酸素濃度が低下する分だけ、内炎筒及び外炎筒に形成された複数の空気孔から、前記間隙に供給される空気量を増やす必要がある。そこで発明者は、当初、内炎筒及び外炎筒に形成される空気孔を大きくして、空気孔から供給される空気量を増加させる構造を採用した。しかしながら、この構造では、供給される酸素量が増加して空気孔に形成される燃焼炎は大きくなったものの、炎の長さが長くなりすぎるという別の問題が起こることが判った。その原因として、内炎筒及び外炎筒に形成する複数の空気孔を大きくして全体の開口面積が増加した分だけ空気の流速が低下し、複数の空気孔を通過した空気が内炎筒に沿って上昇しやすくなり、その結果、燃焼炎が上方に伸びる現象が発生するものと考えられる。酸素不足を解消して燃焼を安定させるためには、複数の空気孔から供給される空気量だけでなく、複数の空気孔から供給される空気の流速を調整する必要があることが判った。
【0014】
内炎筒の内側には、熱による内炎筒の変形を防止するために補強板が配置されており、この補強板には空気通過用の貫通孔が設けられている。芯内筒の内部を上昇して内炎筒内に流入した空気は補強板に設けられた貫通孔を通過して内炎筒に形成された複数の空気孔に供給される。発明者は、内炎筒及び外炎筒の空気孔の総開口面積を大きくすることに併せて、内炎筒内に配置された補強板に設けられた貫通孔の総開口面積を少なくすると、高地においても、安定した燃焼状態が得られることを見出した。
【0015】
補強板に設けられた貫通孔の総開口面積を減らして、平地で使用される石油燃焼器の燃焼量と同じ燃焼量となるように調整すると、内炎筒と外炎筒との間の間隙に供給される空気量が同じであるから、補強板に設けた複数の貫通孔を空気が通過するときに空気の流速が増す。その結果、内炎筒に設けた複数の空気孔に供給される空気量と空気の流速が増すことにより、内炎筒及び外炎筒から間隙内に出る炎が安定して形成され、安定した燃焼炎が形成できることが確認された。このような知見に基づいて、高地で使用される本発明の芯上下式石油燃焼器では、補強板に形成された複数の貫通孔の総開口面積を、外炎筒に形成された複数の空気孔の総開口面積以下とし且つ内炎筒に形成された複数の空気孔の総開口面積よりも大きくなるように定めるのが好ましいことが判った。このようにすると、前記間隙に流入する空気の量を、高地で必要な程度まで増加させることができ、設置場所の標高が高い場合でも、安定した燃焼状態を得ることができる。
【0016】
なお内炎筒及び外炎筒の上には、間隙の上側開口部から延び出る炎を前記径方向外側に拡げる拡炎構造部が配置されていてもよいのは勿論である。この場合には、補強板に形成された複数の貫通孔の総開口面積、外炎筒に形成された複数の空気孔の総開口面積、且つ内炎筒に形成された複数の空気孔の総開口面積を、それぞれ石油燃焼機器が標高2000m以上の高所で使用されたときに、拡炎構造部から延び出る炎が、3cm±1cm以下の長さになるように定めるのが好ましい。このようにすると、標高が高い高地において、暖房能力が低下したり、燃費が低下したり、CO濃度が上昇するなどの問題は実質的に発生しない。
【0017】
より安定した燃焼状態を得るためには、内炎筒及び外炎筒に形成された複数の空気孔は、偏り無く且つ全体的に分散した状態で形成されているのが好ましい。この場合において、高地で使用する燃焼筒については、補強板に形成された複数の貫通孔の総開口面積S1、外炎筒に形成された複数の空気孔の総開口面積S2及び内炎筒に形成された複数の空気孔の総開口面積S3は、前記総開口面積S1を1と定めたときに、S2が1以上1.2以下の値となり、S3が0.6以上0.8以下の値になるように、複数の貫通孔、複数の空気孔の数及び形状を定めるのが好ましい。この範囲にすると、ほぼ標高2000m〜3500mの高地で芯上下式石油燃焼器を使用しても、安定した燃焼状態を確保することができる。
【0018】
なお内炎筒及び外炎筒に設ける空気孔の配置パターンは、内炎筒と外炎筒との間に形成される間隙全体にバランスよく空気を供給できるものあれば任意である。
【0019】
またマニュアルで変更される複数の調節段階を備えて、前記間隙内に延び出る燃焼用芯の最高芯上げ位置を段階的に調節する芯上げ位置調節機構を更に備えていてもよい。芯上げ位置調節機構を設ける場合には、複数の調節段階で定まる燃焼用芯の複数の最高芯上げ位置と、芯上下式石油燃焼器が使用される予め定めた複数の標高範囲とが、正の相関関係を有するように、複数の調節段階を定めるのが好ましい。このような関係を形成すると、標高が高くなって炎が小さくなる場合には、燃焼用芯の最高芯上げ位置を高くし、標高が低くなって炎が大きくなる場合には、燃焼用芯の最高芯上げ位置を低くすることにより、標高応じた良好な燃焼状態を得ることができる。
【0020】
具体的に、複数の調節段階は、第1乃至第n(nは3以上の整数)の調節段階からなり、複数の標高範囲は順番に中心の標高が高くなる第1乃至第nの標高範囲からなるものと定める。この場合において、正の相関関係は、第1の調節段階が第1の標高範囲で使用されるのに適し、第nの調節段階が第nの標高範囲で使用されるのに適するように定める。更に、芯上げ位置調節機構を操作する使用者が、正の相関関係を視覚により確認することを可能にする調節段階表示を備えているのが好ましい。この調節段階表示があれば、この表示を見た使用者は、特別意識をすることなく、標高に適した調節段階を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の燃焼筒の実施の形態の一例が実装された芯上下式石油燃焼器の要部の縦断面図を示している。
【図2】内炎筒、外炎筒及び外筒の形成に使用されるパンチングメタルの展開図の一例が示されている。
【図3】補強板の平面図である。
【図4】標高と酸素濃度との関係を示す表である。
【図5】平地対応及び高地対応のそれぞれ燃焼器についての、内炎筒における総開口面積、補強板における総開口面積、外炎筒における総開口面積の実測値を示す表である。
【図6】芯上げ位置調節機構の芯の高さを第1段階目にした状態を示す要部正面図である。
【図7】図6における一部切り欠き平断面図である。
【図8】芯上げ位置調節機構の芯の高さを第2段階目に変更した状態を示す要部正面図である。
【図9】芯の最高芯上げ位置を調節する際に操作つまみを抜いて、係止軸と係止孔の嵌合を解除した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の芯上下式石油燃焼器の要部の縦断面図を示している。この芯上下式石油燃焼機器1は、床等の被設置面上に置かれる設置プレート3上に、複数本の支持脚5を介して固定された燃料タンク7と、燃焼タンク7の上に配置された燃焼器本体9と、一部が燃料タンク7内に配置され、残部が燃焼器本体9内に配置された燃焼用芯収納構造物11と、燃焼用芯13と、燃焼筒構造物15とを備えている。燃料タンク7内には、液体燃料として白灯油が入っている。燃焼用芯13を除く部品(3乃至15)は、殆ど金属製の板材を機械加工して形成されている。燃焼器本体9は、図示しない天板によって上端開口部が閉塞された筒体9Aを備えている。また筒体9Aには、燃焼状態を目で確認できるようにするために、耐熱性を有する透明な板部材で塞がれた図示しない窓部が形成されている。筒体9Aの下部には複数の通気口9Bが形成されている。さらに筒体9Aの上端部近傍には、燃焼ガスが排出される図示しない複数の排出口が形成されている。
【0023】
燃料タンク7の内部には、芯内筒17と芯外筒19とを備えた、燃焼用芯13をガイドするためのガイド機構21の一部が収納されている。燃焼用芯13は、芯内筒17と芯外筒19との間に配置されている。燃焼用芯13には、燃料タンク7内の液体燃料が含浸されている。
【0024】
燃料タンク7の底板23のほぼ中央部には円形の貫通孔25が形成されており、この貫通孔25の縁部には、仕切壁部27の下側フランジ部27Bが液密に固定されている。仕切壁部27は、下側フランジ部27Bを備えた直径が小さい小径部27Aと、小径部27Aと連続し且つ小径部27Aの上に位置するフランジ27C付きの大径部27Dとから構成されている。仕切壁部27のフランジ27Cは、燃料タンク7に液密に固定されている。仕切壁部27には、燃料流通孔27Eが形成されており、仕切壁部27の内部にも白灯油が入っている。
【0025】
仕切壁部27の下側開口部内には、芯内筒17の円筒状の本体17Aの下側端部が液密に固定されている。芯内筒17の本体17Aの上側端部は、複数の通気孔29A及び29Bを有する天板17Bによって塞がれている。複数の通気孔29A及び29Bのうち、中央の通気孔29Aは、その周囲の通気孔29Bよりも径寸法が大きい。燃料タンク7の上面には、芯外筒19を備えた芯外筒構造体33のフランジ部35が環状のパッキン37を介して載置されている。芯外筒構造体33は、芯外筒19と外側筒状部39とで構成されている。芯外筒19は、内側筒状部38と外側筒状部39の一部とによって構成されている。外側筒状部39の上端部には、環状のフランジ部41が形成されている。この環状のフランジ部41は、環状の平坦部41Aと環状の傾斜部41Bとを備えている。環状の平坦部41Aの底面には、環状の受け皿部43が固定されている。受け皿部43には、上下方向に貫通する複数の貫通孔45が全体的に形成されている。
【0026】
フランジ部41の平坦部41Aと受け皿部43との上に、前述の燃焼筒構造物15が置かれている。燃焼筒構造物15は、内炎筒47と、内炎筒47の外側に配置された外炎筒49と、外筒51と、カバー53と、拡炎構造部60とを備えている。内炎筒47及び外炎筒49は、芯内筒17及び芯外筒19の上に、燃焼用芯13の上端部が臨む間隙Gを形成するように間隔をあけて配置されている。具体的には、内炎筒47の下側端部が芯内筒17の天板17Bに接触しており、外炎筒49の下側端部がフランジ部41の平坦部41Aに接触している。
【0027】
内炎筒47、外炎筒49及び外筒51には、それぞれ間隙G内に燃焼用の空気を導入する複数の空気孔48,50及び52が形成されている。図2には、内炎筒47、外炎筒49及び外筒51を形成する際に使用されるパンチングメタルPMの展開図の一例が示されている。このパンチングメタルPMに形成された複数の空気孔54のパターンは、空気孔54が偏り無く且つ全体的に分散した状態になるように形成されている。図2の例では、隣り合う2本の空気孔列を構成する複数の空気孔54は、千鳥状に配置されている。
【0028】
内炎筒47の内部には、内炎筒47が温度上昇により変形するのを防止する円板状の補強板55が溶接により、固定されている。図3に示すように、補強板55には、芯内筒17の内部を通って自然に上昇する空気を通過させる複数の貫通孔56を備えている。本実施の形態の補強板55は、中央部に孔が形成されていないバッフル部57を備えており、バッフル部57の周囲を囲むように、6個の細長い貫通孔56を備えている。6個の貫通孔56は、内炎筒47の内壁面に全体的に沿うように形成されている。なお6個の貫通孔56の下方には、芯内筒17の天板17Bに形成された複数の通気孔29Bの一部が位置している。内炎筒47に形成された複数の空気孔48は、補強板55よりも下側の領域に位置する複数の空気孔と、補強板55の上側の領域に位置する残りの複数の空気孔とに分けられる。図1には、図示していないが、本実施の形態では、内炎筒47、外炎筒49及び外筒51を径方向に貫通して、内炎筒47内に交差部を形成する2本のクロスピンと呼ばれる連結部材が配置されている。2本のクロスピンは、十字状に配置さており、このクロスピンによって外筒51と内炎筒47及び外炎筒49とが同心状態になるように連結されている。
【0029】
内炎筒47の上側端部には、拡炎構造部60の主要部が溶接により固定されている。拡炎構造部60は内炎筒47の内部に位置し且つ複数の貫通孔58が形成された第1の円板部59と、第1の円板部59の上に位置し且つ複数の貫通孔62が形成され且つ内炎筒47に固定された第2の円板部61と、複数の貫通孔64が形成された筒体63と、筒体63の上に配置された拡炎プレート65とを備えている。また外筒51の上端部には、拡炎構造部60の一部を構成する環状拡炎プレート67が固定されている。環状拡炎プレート67は、燃焼器本体9の筒体9Aの内部に固定された環状部材69との間に空気が通る間隙を形成している。なお拡炎構造部60の構造は、周知であるため詳細な説明は省略する。
【0030】
本実施の形態の芯上下式石油燃焼器では、燃焼用芯13に図示しない点火装置を用いて着火すると、燃焼が開始される。なお一般的に、点火装置は電池を電源として、燃焼用芯13に沿って配置された一対の電極間に点火火花を発生する構成を有している。点火装置の構成は任意である。燃焼の開始により、燃焼用芯13で吸い上げられた燃料が気化し、内炎筒47と外炎筒49の間の間隙G内を上昇する。そして気化した燃料は、芯内筒17の内部を上昇して内炎筒47内に流入し、内炎筒47に形成された複数の空気孔48を通して間隙Gに入った空気及び通気口9Bから本体9A内を経由して外炎筒49に形成された複数の空気孔50から間隙Gに流入した空気と混合されて燃焼する。燃焼炎は、複数の空気孔48及び50から間隙G内に延び出るように発生している。内炎筒47と外炎筒49の間の間隙Gで発生した燃焼炎は、拡炎構造部60の拡炎プレート65と環状拡炎プレート67との間に形成された環状のスペースから燃焼器本体9の内部空間内へと延び出る。拡炎構造部60から延び出る燃焼炎が例えば4cmよりも長くなることは、発煙等の原因となり、燃焼状態として好ましいものではない。燃焼状態は、燃焼筒構造物15を構成する部材の中でも、拡炎構造部60に供給される空気の状態と、内炎筒47に形成される複数の空気孔48と、外炎筒49に形成される複数の空気孔50の影響を大きく受けることが判っている。外筒51の空気孔52は、外炎筒49に供給する空気を整流する作用をするもので、特に、燃焼状態に大きな影響を与えるものではない。
【0031】
本実施の形態においては、補強板55に、中心部に孔を有しないバッフル部57を形成してある。芯内筒17の上下方向に延びる中心線CLに沿って、芯内筒17の天板17Bに形成された通気孔29A及び29Bの一部を通って上昇する空気の全部がバッフル部57によって内炎筒47の径方向外側に向かうように方向を変更させられる。そして方向が変更された空気の一部は、内炎筒47に形成され且つ内炎筒47内に固定された補強板55よりも下側の領域に形成された複数の空気孔48を通して間隙G内に流入する。また方向が変更された空気の残部は、補強板55に形成された複数の貫通孔56を通して内炎筒47内に流入する。このような構造を採用すると、芯内筒17を上昇する空気を内炎筒47の下側領域に形成された複数の空気孔48を通して間隙G内の燃焼用芯13の近傍に確実に流入させることができる。その結果、燃焼用芯13の上端部に、点火及び燃焼の継続に必要な空気を確実に供給することができる。また補強板55に形成した複数の貫通孔56は、内炎筒47の近くに形成されており、しかも内炎筒47の内壁に沿って配置されているので、内炎筒47に沿って空気が上昇し、内炎筒47に形成され且つ補強板55よりも上にある複数の空気孔48を通して、間隙G内にバランス良く空気が供給される。そのため、本実施の形態の芯上下式石油燃焼器によれば、平地は勿論のこと、設置場所の標高が高くなった場合でも、従来と比べて、安定した燃焼状態を得ることができる
なお標高2,000〜3,500mの高地では、燃焼状態がかなり不安定になることが判っている。燃焼炎の安定性は、内炎筒47と外炎筒49の間の間隙Gに供給される空気量と燃焼用芯13から気化する燃料とのバランスによって決定される。本実施の形態の芯上下式石油燃焼器を、高地でも十分に使用できるようにするためには、高地でも、平地仕様の燃焼量と同じ燃焼量となるように、特に空気孔48及び50並びに貫通孔56の大きさを調整する必要がある。燃焼に必要な酸素量を得るためには、酸素濃度が低下する分だけ空気孔48及び50から間隙Gに供給される空気量を増やす必要がある。内炎筒47及び外炎筒49に形成される空気孔48及び50の径寸法を大きくして、これらの空気孔から供給される空気量を増加させると、供給される酸素量は増加する。しかしながら空気孔48及び50に形成される燃焼炎が大きくなるだけでなく、拡炎構造部60から上方に延びる燃焼炎の長さが長くなりすぎるという別の問題が起こる。これは、空気孔48及び50を大きくして間隙Gに空気を供給する総開口面積が増加した分だけ空気の流速が低下し、空気孔48及び50を通過した空気が内炎筒47に沿って間隙G内を上昇しやすくなり、その結果、燃焼炎が上方に伸びる現象が発生するものと考えられる。
【0032】
そこで内炎筒47の複数の空気孔48の総開口面積を大きくすることにあわせて、内炎筒47内に配置された補強板55にバッフル部57を設け、しかも補強板55に設けた貫通孔56の総開口面積を少なくすると、高地においても、安定した燃焼状態が得られることを発明者は見出した。内炎筒47及び外炎筒49に設けた空気孔48及び50の総開口面積を増大させるだけでなく、補強板55に設けられた貫通孔56の総開口面積を減らして、平地で使用される石油燃焼器の燃焼量と同じ燃焼量となるように、各開口面積を調整すると、内炎筒47と外炎筒49の間隙Gに供給される空気量が同じであるから、補強板55に設けた複数の貫通孔56を通過するときに空気の流速が増す。その結果、内炎筒47に設けた複数の空気孔48に供給される空気量と空気の流速が増すことにより、内炎筒47の複数の空気孔48及び外炎筒49の複数の空気孔50から間隙G内に出る炎が安定して形成され、安定した燃焼炎が形成できる。
【0033】
なお平地対応及び高地対応のいずれの燃焼器においても、外炎筒49の複数の空気孔50からの空気の取り込みは、内炎筒47の複数の空気孔48からの空気の取り込みに比べて容易である。そして外炎筒49の複数の空気孔50からの空気の取り込みは、燃焼炎の形成に大きな影響を与え難い。そのため、内炎筒47の複数の空気孔48と補強板55の貫通孔56の総開口面積を決定した後に、外炎筒49の複数の空気孔50の総開口面積を、燃焼炎が安定するように調整するのが好ましい。
【0034】
より具体的には、補強板55に形成された複数の貫通孔56の総開口面積、外炎筒49
に形成された複数の空気孔50の総開口面積、及び内炎筒47に形成された複数の空気孔48の総開口面積を、それぞれ石油燃焼機器が標高2000m以上の高地で使用されたときに、拡炎構造部60から延び出る炎が、3cm±1cmの長さになるように定めるのが好ましい。このようにすると、高地において、暖房能力が低下したり、燃費が低下したり、CO濃度の上昇などの問題は実質的に発生しない。そこで、標高2,000〜3,500mでの使用を想定した場合には、例えば、中間の2,750mの酸素濃度を基準に設定する。図4は、標高と、気圧と、酸素濃度との関係を示す表である。標高2,750mの酸素濃度は、平地の酸素濃度の約70%となる。そこで効果を確認するために、実際に製作した芯上下式石油燃焼器の実施例では、外炎筒49の空気孔50の総開口面積S2を、平地における空気孔50の総開口面積の約111.6%となるように設定し、補強板55に設ける貫通孔56の総開口面積S1を、平地における補強板55の貫通孔56の総開口面積の約71.3%となるように設定し、内炎筒47の空気孔48の総開口面積S3を、平地における空気孔48の総開口面積の約146.5%となるように設定した。図5は、平地対応及び高地対応のそれぞれ燃焼器についての、内炎筒47における総開口面積、補強板55における総開口面積、外炎筒49における総開口面積の実測値を示している。この実施例では、標高2,000〜3,500mで、概ね良好な燃焼状態を得ることができた。
【0035】
図1の実施の形態は、マニュアルで変更される複数の調節段階を備えて、間隙G内に延び出る燃焼用芯13の最高芯上げ位置(芯が間隙G内で最大限延びた位置)を段階的に調節する芯上げ位置調節機構を更に備えていてもよい。本実施の形態に付加できる芯上げ位置調節機構の一例は、特許第3507867号(特開平9−210310号公報)に詳しく説明されている。図6乃至図9は、特許第3507867号に示された芯上げ位置調節機構70の構成を示す図である。図6乃至図9においては、符号71で示した部材は、芯上下操作を行なう芯上下軸であり、73で示した部材は芯上下軸71の外方端に取り付けた操作つまみであり、符号74で示した部材は芯上下軸71の内方端に取り付けたピニオンギア、符号75で示した部材はピニオンギア74と歯合するラックギアである。この芯上げ位置調節機構70では、操作つまみ73を回転するとピニオンギア74はラックギア75によって燃焼用芯13を駆動し、燃焼用芯13は芯内筒17と芯外筒19との間を上または下に移動する。操作つまみ73による燃焼用芯13の位置調節は、芯上げ位置調節機構70によって設定された最高芯上げ位置を上限位置として行うことができる。
【0036】
また符号76で示した部材は芯上下軸71に固着した係止部であり、符号77で示した部材は芯上下軸71に遊嵌して芯上下軸71を中心に回転する歯車であり、符号79で示した部材は歯車77に取付けた突部であり、符号81で示した部材は歯車77と芯外筒19との間に取付けた戻りバネである。操作つまみ73を時計回り方向に回転させて芯上下軸71を時計回り方向に回転すると、係止部76が歯車77の突部79を押すので歯車77は時計回り方向に回転し、燃焼用芯13を上昇させながら戻りバネ81を巻き上げる。
【0037】
符号83で示した部材は、芯上下軸71に遊嵌した作動板であり、符号85で示した部材は突部79の先端から突出した係止軸であり、符号87で示した部材は係止軸85と選択的に嵌合する3つの係止孔である。これらの3つの係止孔87は作動板83に設けられ、歯車77と一体になって回転し、芯13の高さを3段階で調節するために機能する。
【0038】
符号89で示した部材は、可動板91に枢軸運動可能に支持された感震おもりであり、符号91で示した部材は感震おもり89が振動によって転倒した時に支軸91aを中心に回動する可動板、符号93で示した部材は可動板91に設けたストッパーである。符号95で示した部材は、作動板83に設けた係止歯であり、この係止歯95はストッパー93と歯合する。係止歯95とストッパー93との歯合により、作動板83が戻りバネ81の蓄力に打ち勝って燃焼用芯13の高さを所定の位置に保持している。
【0039】
この芯上げ位置調節機構70では、芯13の最高芯上げ位置を3段階で調節できる。歯車77と作動板83との関係は、係止軸85と3個ある係止孔87との嵌合位置を変えることによって変化する。また、基台に取り付けられた支軸91aからストッパー93までの寸法が決まっている。そのため、歯車77と作動板83との嵌合位置の変化によって、ストッパー93に作動板83の係止歯95が係止したときの芯上下軸71の停止位置が変わる。これによって燃焼用芯13の突出高さが変わる。この構造では最高芯上げ位置を変えるために係止軸85と3つある係止孔87との嵌合位置を変えるときには、図9に示すように、操作つまみ73を芯上下軸71から抜き、作動板83を手前に引いて、係止軸85と係止孔87との嵌合を解除する。そして作動板83を時計回り方向または反時計回り方向に回転させて、係止軸85と係止孔87との嵌合位置を変更する。このようにすることにより、作動板83の位置はストッパー93によって定まって常に同じ位置となり、最高芯上げ位置における燃焼用芯13の最高芯上げ位置(最大突出高さ)が変わる。
【0040】
特に、芯上げ位置調節機構70を設けた本実施の形態では、係止軸85と3つの係止孔87から選択された一つの係止孔との嵌合によって定められる燃焼用芯13の3段階の最高芯上げ位置と、芯上下式石油燃焼器が使用される予め定めた3段階の標高範囲とが、正の相関関係を有するように、3つの調節段階が定められている。このような関係を形成すると、標高が高くなって炎が小さくなる場合には、燃焼用芯13の最高芯上げ位置を高くし、標高が低くなって炎が大きくなる場合には、燃焼用芯13の最高芯上げ位置を低くすることにより、標高に応じた良好な燃焼状態を得ることができる。
【0041】
本実施の形態では、調節段階は第1乃至第3の調節段階からなり、複数の標高範囲は順番に中心の標高が高くなる第1乃至第3の標高範囲からなる。正の相関関係は、第1の調節段階が第1の標高範囲で使用されるのに適し、第2の調節段階が第2の標高範囲で使用されるのに適し、第3の調節段階が第3の標高範囲で使用されるのに適するように定める。例えば、標高2,000〜3,500mを3つの標高範囲に分け、芯の最高芯上げ位置の3段階の調節を、この3つの標高範囲に対応付けする場合には、次のようにすることができる。まず内炎筒47の空気孔48と、外炎筒49の空気孔50と、補強板55の貫通孔56の総開口面積を、標高の中間地点(2,750m)を基準に設定する。しかし標高2,000mの酸素濃度は78%であり、標高3,500mの酸素濃度は64%である。そこで、中間地点では、3段階の芯高調節の2段階目を選択し、中間地点よりも燃焼器を使用する標高が高くなるときには、燃焼用芯13の最高芯上げ位置が高くなるように芯高調節を3段階目に変更し、標高が低くなるときには燃焼用芯13の最高芯上げ位置を低くするように芯高調節を1段階目に変更するようにする。このようにすると、標高に応じて、燃焼用芯13から気化する燃料の量を増加させたり、または減少させることにより、炎の長さを長くしたりまたは短くすることができる。その結果、各標高範囲に対応して、より安定した燃焼が可能となる。
【0042】
なお一般論として言えば、高地において、より安定した燃焼状態を得るためには、補強板55に形成された複数の貫通孔56の総開口面積S1、外炎筒49に形成された複数の空気孔50の総開口面積S2及び内炎筒47に形成された複数の空気孔48の総開口面積S3が、総開口面積S1を1と定めたときに、S2が1以上1.2以下の値となり、S3が0.6以上0.8以下の値になるように、複数の貫通孔56、複数の空気孔48及び50の数及び形状を定めるのが好ましい。S2及びS3をこの範囲にすると、ほぼ標高2000m〜3500mの高地で芯上下式石油燃焼器を使用しても、安定した燃焼状態を確保することができる。なおS2を、1以上1.2以下の値を外れた値にする場合、S3を0.6以上0.8以下の値を外れた値にする場合には、いずれの場合にも、安定した燃焼状態を得ることができないことが実験により確認されている。
【0043】
上記実施の形態では、補強板55のバッフル部57には、全く貫通孔は形成されていない。しかしながら芯内筒17の内部を通って上昇する空気の大部分が、バッフル部57によって方向を変更されればよいため、バッフル部57に燃焼の安定状態に影響を与えない程度の小さな開口面積を有する1以上の貫通孔が形成されていてもよいのは勿論である。
【0044】
芯上げ位置調節機構70を操作する使用者が、前述の正の相関関係を視覚により確認することを可能にするために、本実施の形態では、図8に示す係止孔87の側に表示した数字「1」「2」「3」のような調節段階表示を、操作つまみ73を芯上下軸71から抜いたときに見えるように設けてもよい。「1」「2」「3」の表示を「低」「中」「高」としてもよい。この調節段階表示があれば、この表示を見た使用者は、特別意識をすることなく、標高に適した調節段階を選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、芯内筒を上昇する空気を内炎筒の下側領域に形成された複数の空気孔を通して内炎筒内に確実に流入させることができるので、燃焼用芯の上端部に、燃焼の継続に必要な空気を確実に供給することができ、設置場所の標高が高くなった場合でも、平地で使用する場合と同様に、安定した燃焼状態を得ることができる利点が得られる。
【符号の説明】
【0046】
1 芯上下式石油燃焼器
3 設置プレート
7 燃料タンク
9 燃焼器本体
13 燃焼用芯
15 燃焼筒構造物
17 芯内筒
19 芯外筒
47 内炎筒
48 空気孔
49 外炎筒
50 空気孔
51 外筒
55 補強板
56 貫通孔
57 バッフル部
70 芯上げ位置調節機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯内筒及び前記芯内筒の外側に配置された芯外筒と、
前記芯内筒と前記芯外筒との間に配置されて、下部から吸い上げた液体燃料を上端部で気化させる燃焼用芯と、
前記芯内筒及び前記芯外筒の上に、前記燃焼用芯の前記上端部が臨む間隙を形成するように間隔をあけて配置され、それぞれ前記間隙内に空気を導入する複数の空気孔が形成された内炎筒及び前記内炎筒の外側に配置された外炎筒と、
前記芯内筒の内部を通って自然に上昇する空気を通過させる複数の貫通孔を備え且つ前記内炎筒が温度上昇により変形するのを防止するように前記内炎筒の内部に配置された補強板とを備え、
前記内炎筒は前記補強板よりも下側の領域及び上側の領域の両方に前記複数の空気孔を備えており、
前記補強板は、前記芯内筒の上下方向に延びる中心線に沿って上昇する空気の全部または大部分を前記内炎筒の径方向外側に向かうように方向を変更し、方向が変更された前記空気の一部を前記内炎筒の前記下側の領域に形成された前記複数の空気孔を通して前記間隙内に流入させ、且つ方向が変更された前記空気の残部を前記複数の貫通孔を通して前記内炎筒内に流入させるように構成されていることを特徴とする芯上下式石油燃焼器。
【請求項2】
前記補強板は、中央部に前記芯内筒の上下方向に延びる中心線に沿って上昇する前記空気が当たるバッフル部を有し、前記バッフル部の外側に前記複数の貫通孔が形成された構造を有している請求項1に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項3】
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔の総開口面積は、前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積以下であり、且つ前記内炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積よりも大きくなるように定められている請求項1に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項4】
前記内炎筒及び前記外炎筒の上には、前記間隙の上側開口部から延び出る炎を前記径方向外側に拡げる拡炎構造部が配置されており、
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔の総開口面積は、前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積以下であり、且つ前記内炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積よりも大きくなるように定められ、
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔の総開口面積、前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積、且つ前記内炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積は、それぞれ前記石油燃焼機器が標高2000m以上の高所で使用されたときに、前記拡炎構造部から延び出る炎が、3cm±1cmの長さになるように定められている請求項3に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項5】
前記内炎筒及び前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔は、偏り無く且つ全体的に分散した状態で形成されており、
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔の総開口面積S1、前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積S2及び前記内炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積S3は、前記総開口面積S1を1と定めたときに、前記S2が1以上1.2以下の値となり、前記S3が0.6以上0.8以下の値になるように、前記複数の貫通孔、前記複数の空気孔の形状が定められている請求項4に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項6】
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔は、前記中心線を中心にして周方向に間隔をあけ且つ前記内炎筒に沿うように形成されている請求項2,3,4または5に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項7】
マニュアルで変更される複数の調節段階を備えて、前記間隙内に延び出る前記燃焼用芯の最高芯上げ位置を段階的に調節する芯上げ位置調節機構を更に備えており、
前記複数の調節段階で定まる前記燃焼用芯の複数の最高芯上げ位置と、前記芯上下式石油燃焼器が使用される予め定めた複数の標高範囲とが、正の相関関係を有するように、前記複数の調節段階が定められている請求項1に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項8】
前記複数の調節段階は、第1乃至第n(nは3以上の整数)の調節段階からなり、前記複数の標高範囲は順番に中心の標高が高くなる第1乃至第nの標高範囲からなり、
前記正の相関関係は、前記第1の調節段階が前記第1の標高範囲で使用されるのに適し、前記第nの調節段階が前記第nの標高範囲で使用されるのに適するように定められている請求項7に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項9】
前記芯上げ位置調節機構を操作する使用者が、前記正の相関関係を視覚により確認することを可能にする調節段階表示を更に備えている請求項7または8に記載の芯上下式石油油燃焼器。
【請求項10】
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔の総開口面積は、前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積以下であり、且つ前記内炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積よりも大きくなるように定められている請求項2に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項11】
前記内炎筒及び前記外炎筒の上には、前記間隙の上側開口部から延び出る炎を前記径方向外側に拡げる拡炎構造部が配置されており、
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔の総開口面積は、前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積以下であり、且つ前記内炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積よりも大きくなるように定められ、
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔の総開口面積、前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積、且つ前記内炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積は、それぞれ前記石油燃焼機器が標高2000m以上の高所で使用されたときに、前記拡炎構造部から延び出る炎が、3cm±1cmの長さになるように定められている請求項10に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項12】
前記内炎筒及び前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔は、偏り無く且つ全体的に分散した状態で形成されており、
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔の総開口面積S1、前記外炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積S2及び前記内炎筒に形成された前記複数の空気孔の総開口面積S3は、前記総開口面積S1を1と定めたときに、前記S2が1以上1.2以下の値となり、前記S3が0.6以上0.8以下の値になるように、前記複数の貫通孔、前記複数の空気孔の形状が定められている請求項11に記載の芯上下式石油燃焼器。
【請求項13】
前記補強板に形成された前記複数の貫通孔は、前記中心線を中心にして周方向に間隔をあけ且つ前記内炎筒に沿うように形成されている請求項10,11または12に記載の芯上下式石油燃焼器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−91261(P2010−91261A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196516(P2009−196516)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】