説明

芯材を有する成形品と、射出プレス成形方法および射出成形機

【課題】 芯材を有する成形品を射出成形機によって製造可能な射出プレス成形方法を提供する。
【解決手段】 移動型22の内部に芯材41を取付けたのち、固定型20と移動型22とを型締することにより、芯材41の一方の面41aと固定型20との間に第1のキャビティ61を形成する。第1の射出工程において、射出装置によって第1のキャビティ61内に材料M1を充填する。そののち移動型22を型開き方向に少し移動させることにより、芯材41の他方の面41bと移動型22との間に第2のキャビティ62を形成する。第2の射出工程において、第2のキャビティ62に材料M2を射出したのち、再び固定型20と移動型22を型締することにより、固定型20と移動型22との間で、材料M1,M2を加圧する。これら一連の射出プレス動作により、芯材41とスキン部材42とを有する成形品40が所定形状に成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキン部材の内部に芯材が埋込まれた成形品と、この成形品を製造するための射出プレス成形方法および射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製品の一種で、スキン部材の内部に芯材が埋込まれた成形品が知られている。芯材として、例えばガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維、金属材料、ガラス繊維マット、布など種々の形態のものが使用される。この種の成形品を製造するには、芯材の一方の面と他方の面とをそれぞれスキン部材によって覆う必要がある。このような成形品を製造する装置として、例えば下記特許文献1に記載されている成形装置が公知である。
【0003】
特許文献1に記載されている成形装置は、成形品の外表面に対応する型面を有するキャビティ型と、分割面と有するコア型と、このコア型の内部でキャビティ型に対して移動可能に設けられたスライドコア型と、このスライドコア型の先端部に設けられた芯材保持部と、第1の樹脂を射出するための第1のゲートと、第2の樹脂を射出するための第2のゲートなどを備えている。
【0004】
特許文献1の成形装置によって成形品を製造するには、前記キャビティ型とコア型とスライドコア型との間に形成されたキャビティ内に、前記芯材を配置し、型を閉じたのち、第1のキャビティに第1のゲートを通じて第1の樹脂を射出することにより、芯材の一方の面に第1の樹脂部を形成する。この第1の樹脂部が芯材に固着したのち、スライドコア型を後退させることにより、スライドコア型と芯材との間に第2のキャビティを形成する。この第2のキャビティに第2のゲートを通じて第2の樹脂を射出することにより、芯材の他方の面に第2の樹脂部を形成する。こうして第1の樹脂部と第2の樹脂部との間に芯材が埋込まれる。
【特許文献1】特許第3531269号(特開平8−276463号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている成形装置は、キャビティ型以外にコア型やスライドコア型などが必要であるため構造が複雑かつ大型化し、しかも各々の型が複雑に移動するため型の動作制御や射出装置の制御が複雑となる。このため汎用の射出成形機を用いることができず、芯材を有する樹脂成形品用の専用機となってしまうなど汎用性に欠け、コストアップの原因となる。
【0006】
従って本発明の目的は、芯材を有する成形品を固定型と移動型とを使用して製造することができる射出プレス成形方法と射出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の射出プレス成形方法は、固定型と移動型とを有する金型の前記移動型の内面に芯材を取付ける工程と、前記固定型と前記移動型とを型締することにより、前記固定型と前記芯材の一方の面との間に第1のキャビティを形成する工程と、射出装置によって前記第1のキャビティ内に材料を射出する第1の射出工程と、前記移動型を型開き方向に移動させることにより前記芯材の他方の面と前記移動型との間に第2のキャビティを形成する工程と、前記射出装置によって前記第2のキャビティ内に材料を射出する第2の射出工程と、前記移動型を再び型締方向に移動させることにより、前記固定型と前記移動型との間で前記材料を加圧する工程と、前記材料が硬化したのち前記移動型を型開き方向に移動させる工程とを具備している。
【0008】
すなわち本発明の射出プレス成形方法では、前記第1の射出工程において第1のキャビティ(芯材の一方の面)に向けて材料を射出し、さらに射出動作中に移動型が型開き方向に移動することにより、第2のキャビティが形成され、この第2のキャビティ(芯材の他方の面)に向けて材料を射出したのち、再型締が行なわれることにより、射出プレス成形が行なわれる。
【0009】
本発明に係る射出成形機は、射出装置と、固定側ダイプレートおよび移動側ダイプレートを有する型締装置と、前記固定側ダイプレートに設けた固定型と、前記移動側ダイプレートに設けられ、前記固定型に対して型締方向および型開き方向に移動する移動型と、前記射出装置と前記型締装置を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記固定型と前記移動型とを型締することにより、前記移動型の内部に取付けられている芯材の一方の面と前記固定型との間に第1のキャビティを形成する手段と、前記射出装置によって前記第1のキャビティに材料を射出する手段と、前記移動型を型開き方向に移動させることにより前記芯材の他方の面と前記移動型との間に第2のキャビティを形成する手段と、前記射出装置によって前記第2のキャビティに材料を射出する手段と、前記移動型を再び型締方向に移動させることにより、前記固定型と前記移動型との間で前記材料を加圧する手段と、前記材料が硬化したのち前記移動型を型開き方向に移動させる手段と、を具備している。
【0010】
前記制御部の前記それぞれの手段は、該制御部に組込まれたソフトウェア(コンピュータプログラム)やメモリ、CPU等によって構成され、前記射出プレス動作が所定のシーケンスで実行されるように予め記録媒体等にプログラムされている。
【0011】
本発明の射出プレス成形方法によって製造される成形品は、厚み方向に貫通孔を有する芯材と、前記芯材の一方の面を覆って射出プレス成形された第1の材料からなる第1樹脂層と、前記第1の材料と同一の第2の材料からなり、前記第1樹脂層側から前記芯材の前記貫通孔を通って前記芯材の他方の面側に流れかつ前記芯材の他方の面を覆って射出プレス成形された第2樹脂層と、前記芯材の前記貫通孔の内部で前記材料の一部が硬化してなる中間樹脂層とを具備している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動型の動きに応じて、第1のキャビティと第2のキャビティが順次形成されるため、固定型と移動型とを用いて、芯材がサンドイッチされた成形品を製造することができる。このため、前記特許文献1が採用しているようなスライドコア型などの複雑な型を金型内部に設ける必要がなく、射出成形機の構造が複雑化することもない。本発明の射出プレス成形方法は、例えば標準射出成形機の制御部に射出プレス動作用のプログラム(射出プレス回路)を備えることで対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態に係る射出成形機と、この射出成形機によって製造される成形品と、射出プレス成形方法について、図1から図10を参照して説明する。
【0014】
図1に示された射出成形機10は、いわゆる標準射出成形機の一例であり、架台としてのフレーム11と、フレーム11上に設けた型締装置12および射出装置13と、制御手段として機能する制御部14などを備えている。
【0015】
型締装置12は、固定型20を設ける固定側ダイプレート21と、移動型22を設ける移動側ダイプレート23と、移動側ダイプレート23をガイドバー24に沿って水平方向に移動させるダイプレート駆動機構25と、成形後の成形品を取出す際に使用するエジェクト機構(図示せず)などを備えている。固定型20と移動型22とによって金型26が構成されている。移動型22の内面に、Zピン(スプールロックピン)を形成するためのZピン用凹部28(図8〜図10に示す)が形成されている。
【0016】
射出装置13はバレル30を備えている。バレル30の基部付近に、成形品の材料(例えば樹脂ペレット)を供給するホッパ31が設けられている。バレル30の内部にスクリュー32が収容されている。バレル30の先端部にノズル33が設けられている。ノズル33は、固定型20に形成された材料注入口34と対向している。例えばシリンダ機構あるいはボールねじとモータ等を備えたノズルタッチ機構35によって、バレル30を所定位置まで前進させたとき、ノズル33の先端が固定型20の材料注入口34に当接するようになっている。
【0017】
制御部14は、移動型22を以下に説明する順序で移動させるように、型締装置12の動作を制御しかつ射出装置13の動作を制御するためのコンピュータプログラム等のソフトウェアと、各種メモリおよびCPU等を備えている。すなわちこの射出成形機10は、制御部14に組込まれたプログラムに応じて、芯材を使用しない一般的な射出成形と、以下に説明する芯材を有する成形品を得るための射出プレス成形(射出圧縮成形法)を実行することができるものである。
【0018】
図2と図3は、射出成形機10によって製造される成形品40の一例(サンプル品)を模式的に示している。成形品40は、芯材41と、芯材41の外側全体を包み込むスキン部材42とを備えている。つまりこの成形品40は、スキン部材42の内部に芯材41が埋込まれた複合製品である。芯材41の材質は限定されないが、例えばガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維、金属材料、ガラス繊維マット、布など種々の形態のものが使用される。この芯材41には、芯材41の一方の面41aと他方の面41bとにわたって芯材41の厚み方向に貫通する貫通孔43が形成されている。
【0019】
スキン部材42は、芯材41の一方の面41aを覆う第1樹脂層51と、芯材41の他方の面41bを覆う第2樹脂層52と、貫通孔43の内側に形成された中間層53とを有している。芯材41の外周は、これら第1樹脂層51および第2樹脂層52の外周部によって覆われている。言い換えると、第1樹脂層51と第2樹脂層52との間に芯材41がサンドイッチされている。各層51,52,53は互いに共通の樹脂によって構成され、各層51,52,53が互いに一体化している。説明の都合上、図3と図6〜図10においては、第1樹脂層51と第2樹脂層52とが互いに異なるハッチングで描かれている。
【0020】
以下に、前記射出成形機10を用いて成形品40を製造するための射出プレス成形方法の一例について説明する。
図4は芯材取付け工程を示している。この芯材取付け工程では、移動型22を型締装置12によって型開き位置(型開限)に移動させることにより、固定型20と移動型22との間に広い空間を形成する。この状態で移動型22の内面の所定位置に芯材41をセットする。このとき芯材41の貫通孔43の位置と、Zピン用凹部28の位置とが対応する。芯材41を移動型22に固定する手段は、例えば接着でもよいし、あるいは移動型22に設けたピンによって芯材41を保持してもよい。要するに適宜の固定手段を採用できるため、芯材41の固定手段は限定されない。
【0021】
図5は、第1のキャビティ61を形成するための第1の型締工程を示している。この型締工程では、型締装置12によって移動型22を固定型20に向かって移動させ、固定型20と移動型22とを型締状態とする。この型締状態において、金型26の内部に第1のキャビティ61が形成される。第1のキャビティ61は、固定型20と、芯材41の一方の面41aと、移動型22の一部(芯材41によって覆われていない部分)とによって囲まれる空間である。そしてノズル33の先端が固定型20の材料注入口34に当接する。
【0022】
図6は第1の射出工程を示している。第1の射出工程では、バレル30内の予め計量されていた第1の材料(溶融した樹脂)M1が、ノズル33の先端から第1のキャビティ61内に所定の射出速度で充填される。材料M1の一部は、第1のキャビティ61から芯材41の貫通孔43を通って移動型22のZピン用凹部28に充填される。貫通孔43にも材料M1が充填される。第1の材料M1は、スキン部材42の第1樹脂層51を形成する樹脂である。
【0023】
図7は、第2のキャビティ62を形成するための中間型開き工程を示している。この中間型開き工程では、移動型22が固定型20から離れる方向に、小さな距離(例えば数mm程度)移動することにより、芯材41の他方の面41bと移動型22との間に第2のキャビティ62が形成される。
【0024】
前述した第1の射出工程で第1のキャビティ61に射出された材料M1は、固定型20側は溶融した状態であり、移動型22側は芯材41により断熱されている。このため第1のキャビティ61に射出された材料M1は固定型20に密着する性質がある。このため、図7に示される中間型開き工程で移動型22が固定型20から離れると、Zピン用凹部28内の材料M1と、貫通孔43側の材料M1との間が切断され、未硬化の切断面71が第2のキャビティ62に臨んで露出することになる。このため、以下に述べる第2の材料M2を第2のキャビティ62に供給するための樹脂流路が確保される。この中間型開き工程において、移動型22が所定の開き量に達するまでの射出速度は、前記第1の射出工程の射出速度よりも低速とする。
【0025】
図8は第2の射出工程を示している。第2の射出工程では、射出速度が前記所定の射出速度に変更され、ノズル33の先端から射出される第2の材料M2が前記切断面71から押し出されて第2のキャビティ62内に供給される。第2の材料M2は、スキン部材42の第2樹脂層52を形成する樹脂である。これらの材料M1,M2は互いに同一の樹脂であるが、成形品40の仕様によっては、2台の射出装置により互いに異なる樹脂が使用されてもよい。
【0026】
図9は第2の型締工程(射出プレス工程)を示し、前記第2の射出工程の射出完了付近で行なわれる。すなわちこの第2の型締工程(射出プレス工程)では、第2のキャビティ62への材料M2の射出が完了する前、あるいは射出完了後に、移動型22を再び型締方向に移動させ、型締状態にする。このことにより、固定型20と移動型22との間で前記材料M1,M2を加圧するとともに、冷却して硬化させる。この射出プレス工程において材料M1,M2が硬化することにより、第1樹脂層51と第2樹脂層51とを有するスキン部材42が所定の正確な形状に成形される。
【0027】
図10はエジェクト工程を示している。このエジェクト工程では、移動型22を再び型開き方向に移動させ、固定型20と移動型22との間に成形品40を取出すことのできる広さの空間を形成する。このとき移動型22に付着している成形品40は、図示しないエジェクト機構によって、移動型22から突き出され、例えばシュート上に落下する。その後、成形品40に突出しているスプール対応部40aとZピン対応部40bが切落とされ、図3に示す成形品40となる。
【0028】
以上説明したように本実施形態は、図5に示される第1の型締工程において第1のキャビティ61が形成され、第1のキャビティ61に材料M1を射出したのち、図7に示される中間型開き工程において、移動型22を型開き方向に少し移動させることにより、第2のキャビティ62を形成することができる。そしてこの第2のキャビティ62に材料M2を射出したのち、図9に示される第2の型締工程によって射出プレスを実施することができる。
【0029】
このため本実施形態によれば、固定型20と移動型22との間に従来のスライドコア型のように複雑な構造の型を設ける必要がなく、一般的な射出成形に使用される標準射出成形機を用いて、射出プレス動作(射出プレス成形方法)を実施することができ、種々の形態の芯材を有する成形品を簡便な射出成形機によって低コストで製造することが可能である。例えばガラス繊維、炭素繊維等の強化材料により成形されたハードな成形品や、ガラス繊維マット、布等のテキスタイルのようなソフトな芯材(補強材)がサンドイッチ化された成形品も、1台の射出成形機10によって成形することが可能となった。
【0030】
なお、前述した中間型開き工程(図7)において移動型22を型開き方向に数mm程度移動させるとき、第1のキャビティ61によって成形される材料M1(第1樹脂層51)を固定型20側に確実に密着させる手段として、例えば固定型20の一部によってZピンを形成してもよいし、あるいは、型開き時に押出し機構の押出しピンによって、芯材41と第1樹脂層51を固定型20に向かって押付けることなどにより、第1樹脂層51を固定型20に確実に密着させることができる。
【0031】
前記実施形態によれば、固定型20と移動型22とを備えた射出成形機10を用いて芯材41を有する成形品40を製造することができるため、例えばスライドコアのような複雑な構成の型を金型内部に設ける必要がない。そして前記実施形態の射出プレス成形方法は、射出成形機の制御部に射出プレス動作用のプログラム(射出プレス回路)を備えることで対応することができる。ただし本発明は、射出プレス成形のための専用機にも適用できる。
【0032】
さらに本実施形態では、前記射出プレス成形方法を採用したことにより、下記の副次的効果を奏することができる。
(1)駆動圧力の低圧化
低い射出圧力、型締力で成形が可能であり、射出成形機の小型化が可能。
(2)成形品の薄肉化
移動側ダイプレートの移動により、成形品の薄型化が可能。
(3)成形品の寸法精度向上
成形品のひずみが低減するため、寸法精度の向上が可能。
(4)成形品の反りの低減
成形品のひずみが均一化するため、反りの低減が可能。
(5)経時変形の低減
成形時のひずみが低減するため、成形後の時間経過による変形の低減が可能。
【0033】
本発明を実施するに当たって、金型の構造、成形品、芯材、スキン部材の形状、構造をはじめとして、本発明の構成要素を適宜に変形して実施できることは言うまでもない。例えば樹脂流路については、金型に第1の樹脂流路と第2の樹脂流路を形成し、第1の射出工程と第2の射出工程とで第1および第2の樹脂流路を切換えてもよい。
【0034】
また前記実施形態ではダイレクトゲートの円盤金型を例にとって説明したが、本発明はホットランナを用いた多点ゲートを有する金型にも適用することができる。多点ゲートを有する金型の場合には、第1のキャビティ用ホットチップと、第2のキャビティ用ホットチップとに分けることにより、樹脂流路を確保することができる。
【0035】
また前記実施形態では、第2のキャビティを形成する際にZピン部を切断することにより樹脂流路を確保するようにしたが、その代りに、例えば押出しピンのような機構によって、第2のキャビティを形成する際に、機械的に樹脂流路用の孔を形成するようにしてもよい。要するに金型の構造についても、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る射出プレス成形方法を実施するための射出成形機の正面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る射出プレス成形方法によって製造された成形品の平面図。
【図3】図2中のF3−F3線に沿う断面図。
【図4】図1に示された射出成形機の移動型に芯材がセットされた状態の断面図。
【図5】移動型が型締されて第1のキャビティが形成された状態の断面図。
【図6】前記第1のキャビティに材料が射出された状態の断面図。
【図7】移動型が型開き方向に移動し第2のキャビティが形成された状態の断面図。
【図8】前記第2のキャビティに材料が射出された状態の断面図。
【図9】移動型が型締されて成形品が加圧されている状態の断面図。
【図10】移動型が開いて成形品が取出された状態の断面図。
【符号の説明】
【0037】
10…射出成形機
12…型締装置
13…射出装置
14…制御部(制御手段)
20…固定型
22…移動型
26…金型
40…成形品
41…芯材
42…スキン部材
43…貫通孔
61…第1のキャビティ
62…第2のキャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型と移動型とを有する金型の前記移動型の内面に芯材を取付ける工程と、
前記固定型と前記移動型とを型締することにより、前記固定型と前記芯材の一方の面との間に第1のキャビティを形成する工程と、
射出装置によって前記第1のキャビティ内に材料を射出する第1の射出工程と、
前記移動型を型開き方向に移動させることにより前記芯材の他方の面と前記移動型との間に第2のキャビティを形成する工程と、
前記射出装置によって前記第2のキャビティ内に材料を射出する第2の射出工程と、
前記移動型を再び型締方向に移動させることにより、前記固定型と前記移動型との間で前記材料を加圧する工程と、
前記材料が硬化したのち前記移動型を型開き方向に移動させる工程と、
を具備したことを特徴とする射出プレス成形方法。
【請求項2】
前記芯材は、厚み方向に貫通する貫通孔を有し、前記第2の射出工程において前記材料を前記貫通孔を通じて前記第2のキャビティ側に射出することを特徴とする請求項1に記載の射出プレス成形方法。
【請求項3】
前記移動型は、前記貫通孔と対応する位置にZピン用凹部を有し、前記第1の射出工程において前記材料の一部を前記貫通孔を通じて前記Zピン用凹部に充填し、前記第2のキャビティを形成する工程において前記移動型が開く際に、前記Zピン用凹部内の材料と前記第1のキャビティ側の材料とを切断することにより、前記第2のキャビティに前記材料を供給するための樹脂流路を確保することを特徴とする請求項2に記載の射出プレス成形方法。
【請求項4】
射出装置と、
固定側ダイプレートおよび移動側ダイプレートを有する型締装置と、
前記固定側ダイプレートに設けた固定型と、
前記移動側ダイプレートに設けられ、前記固定型に対して型締方向および型開き方向に移動する移動型と、
前記射出装置と前記型締装置を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記固定型と前記移動型とを型締することにより、前記移動型の内部に取付けられている芯材の一方の面と前記固定型との間に第1のキャビティを形成する手段と、
前記射出装置によって前記第1のキャビティに材料を射出する手段と、
前記移動型を型開き方向に移動させることにより前記芯材の他方の面と前記移動型との間に第2のキャビティを形成する手段と、
前記射出装置によって前記第2のキャビティに材料を射出する手段と、
前記移動型を再び型締方向に移動させることにより、前記固定型と前記移動型との間で前記材料を加圧する手段と、
前記材料が硬化したのち前記移動型を型開き方向に移動させる手段と、
を具備したことを特徴とする射出成形機。
【請求項5】
厚み方向に貫通孔を有する芯材と、
前記芯材の一方の面を覆って射出プレス成形された第1の材料からなる第1樹脂層と、
前記第1の材料と同一の第2の材料からなり、前記第1樹脂層側から前記芯材の前記貫通孔を通って前記芯材の他方の面側に流れかつ前記芯材の他方の面を覆って射出プレス成形された第2樹脂層と、
前記芯材の前記貫通孔の内部で前記材料の一部が硬化してなる中間樹脂層と、
を具備したことを特徴とする芯材を有する成形品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−126526(P2008−126526A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314158(P2006−314158)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】