説明

花卉球根植物における植物病害の防除方法

【課題】花卉球根植物における優れた植物病害の防除方法を提供すること。
【解決手段】花卉球根植物を栽培する土壌に、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの有効量が予め処理されてなる花卉球根植物の球根を植える工程を有してなる、花卉球根植物における植物病害の防除方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花卉球根植物における植物病害の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害を防除するために多くの化合物が開発され、実用に供されている。
植物病害防除活性を有する化合物として、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ザ ペスティサイド マニュアル 第13版(2003年)(The Pesticide Manual Thirteenth Edition(British Crop Protection Council発行))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの化合物は場合によっては必ずしも満足できるものではなく、使用場面に応じた優れた植物病害の防除方法が求められていた。
本発明は、優れた花卉球根植物における植物病害の防除方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、優れた花卉球根植物における植物病害の防除方法を見出すべく検討の結果、花卉球根植物を栽培する土壌に、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの有効量が予め処理されてなる花卉球根植物の球根を植えることにより、植物病害が防除できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明とは以下の通りである。
[1] 花卉球根植物を栽培する土壌に、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの有効量が予め処理されてなる花卉球根植物の球根を植える工程を有してなる、花卉球根植物における植物病害の防除方法。
[2] トルクロホスメチル100重量部に対して、アゾキシストロビン1〜1000重量部の処理量の割合である[1]記載の防除方法。
[3] 花卉球根植物の球根1000球あたり、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの合計での処理量が1〜5000gである[1]又は[2]記載の防除方法。
[4] 処理方法が、花卉球根植物の球根をトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する水懸濁液に浸漬する処理である[1]〜[3]いずれか一項記載の防除方法。
[5] 処理方法が、花卉球根植物の球根の表面へのトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの吹き付け処理又は塗布処理である[1]〜[3]いずれか一項記載の防除方法。
[6] 花卉球根植物が、チューリップ、ユリ、グラジオラス又はヒヤシンスである[1]〜[5]いずれか一項記載の防除方法。
[7] 花卉球根植物が、チューリップである[1]〜[5]いずれか一項記載の防除方法。
[8] トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの有効量が予め処理されてなる花卉球根植物の球根を土壌に植える工程を有してなる、花卉球根植物の栽培方法。
[9] トルクロホスメチル100重量部に対して、アゾキシストロビン1〜1000重量部の処理量の割合である[8]記載の栽培方法。
[10] 花卉球根植物の球根1000球あたり、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの合計での処理量が1〜5000gである[8]又は[9]記載の栽培方法。
[11] 処理方法が、花卉球根植物の球根をトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する水懸濁液に浸漬する処理である[8]〜[10]いずれか一項記載の栽培方法。
[12] 処理方法が、花卉球根植物の球根の表面へのトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの吹き付け処理又は塗布処理である[8]〜[10]いずれか一項記載の栽培方法。
[13] 花卉球根植物が、チューリップ、ユリ、グラジオラス又はヒヤシンスである[8]〜[12]いずれか一項記載の栽培方法。
[14] 花卉球根植物が、チューリップである[8]〜[12]いずれか一項記載の栽培方法。
[15] トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンが保持されてなるチューリップの球根。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、花卉球根植物における植物病害を防除することができることから、花卉球根植物を栽培する上で有用である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の植物病害の防除方法とは、花卉球根植物を栽培する土壌に、トルクロホスメチル(tolclofos-methyl)及びアゾキシストロビン(azoxystrobin)が予め処理されてなる花卉球根植物の球根を植える工程を有してなる方法である。
【0008】
本発明に用いられる、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンとは、例えば、ザ ペスティサイド マニュアル 第13版(2003年)(The Pesticide Manual Thirteenth Edition(British Crop Protection Council発行))の979ページ及び52ページに記載される化合物である。これらの化合物は、市販の製剤から得るか、公知の方法で製造することにより得られる。また、トルクロホスメチル及び/又はアゾキシストロビンを含有する市販の製剤を本発明に用いることもできる。
【0009】
本発明に用いられる、トルクロホスメチルとアゾキシストロビンとの処理量の割合は、トルクロホスメチル100重量部に対して、アゾキシストロビンが通常1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部の割合である。
【0010】
本発明に用いられるトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンは、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを単に混用もしくは併用してもよいが、通常はトルクロホスメチルを含有する製剤とアゾキシストロビンを含有する製剤とを混用もしくは併用するか、或いは、トルクロホスメチルとアゾキシストロビンとを含有する製剤として用いられる。
かかる製剤とは、トルクロホスメチル及び/又はアゾキシストロビンと不活性担体とを混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等に製剤化されたものである。かかる製剤には、トルクロホスメチル及び/又はアゾキシストロビンの有効成分化合物が、通常0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%含有される。
【0011】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えばカオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられ、液体担体としては、例えばキシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル
及び水が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネートホルモアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマ−、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、及びアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、ザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤及びPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
【0012】
本発明の植物病害の防除方法に用いられる花卉球根植物としては、例えば、花卉用ユリ(Lily, Liliumspp)、チューリップ(Tulip, Tulipa gesneriana)、ヒヤシンス(Hyacinth, Hyacinthus orientalis)、ムスカリ(Muscari, Muscari latifolium)、アリウム(Allium, Allium cristophii)、トリトマ(Tritoma, Kniphofia spp)、イヌサフラン(colchicum, Colchicum autumnale)、パイナップルリリー(Pineapple lily, Eucomis autumnalis)、サンダーソニア(Sandasonia, Sandersonia aurantiaca)、グロリオサ(Gloriosa, Gloriosa superba)、スイセン(Narcissus, Narcissus spp)、ラッパズイセン(Daffodil, Narcissus pseudonarcissus)、アマリリス(Amaryllis, Hippeastrum spp)、スノードロップ(snowdrop, Galanthus spp) 、スノーフレーク(snowflake, Leucojum aestivum)、ネリネ ボーデニー(Diamond lily, Bodenii Nerine)、ゼフィランサス(Zefiransasu, Zephyranthes carinata)リコリス(licorice, Lycoris spp)、ユーチャリス(Amazon lily, Eucharis grandiflora)、クロッカス(Crocus, Crocus spp)、グラジオラス(Gladiolus, Gladiolus spp)、モントブレチア(Montbretia, Crocosmia × crocosmiiflora)、ジャーマンアイリス(German iris, Iris spp)、サフラン(Saffron, Saffron crocus)、ダリア(Dahlias, dahlias spp)、ラナンキュラス(Ranunculus, Ranunculus asiaticus)、クルクマ(Curcuma, Curcuma spp)、オキザリス(Oxalis, Oxalis deppei)、カンナ(Canna, Canna indica)及びシクラメン(Cyclamen, Cyclamen persicum)が挙げられる。
【0013】
本発明により防除できる植物病害としては、例えば、球根腐敗病Bulb rot(フザリウム属菌Fusarium oxysporum, Fusarium solani, リゾプス属Rhizopus necans, Rhizopus stolonifer)、苗立枯病Damping off(リゾクトニア属菌Rhizoctonia solani)、葉腐病Bare batch, brown batch、Leaf rot(リゾクトニア属菌Rhizoctonia solani)、皮腐病Bulb-coat rot(リゾクトニア属菌Rhizoctonia solani)、白絹病 Sclerotial blight(スクレロチウム属菌Sclerotium rolfaii)及び根腐病Crown rot(ピシウム属菌Pythium irregulare, P.spinosum, P. ultimum)等の土壌病害が挙げられる。
【0014】
本発明において、花卉球根植物の球根へトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを処理する方法としては、例えば、花卉球根植物の球根への浸漬処理、花卉球根植物の球根の表面への吹き付け処理及び塗布処理が挙げられる。
【0015】
花卉球根植物の球根に、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを浸漬処理する場合は、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する水懸濁液に、花卉球根植物の球根を浸漬することにより行われる。その浸漬時間とは、通常1秒〜10日間、好ましくは1時間〜4日間である。
【0016】
花卉球根植物の球根に、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを吹き付け処理する場合は、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する粉状物若しくは水懸濁液を、花卉球根植物の球根の表面に噴霧することにより行われる。
【0017】
花卉球根植物の球根に、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを塗布処理する場合は、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する水懸濁液を、花卉球根植物の球根の表面に塗布することにより行われる。
【0018】
これらの花卉球根植物の球根への処理方法において用いられる、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する水懸濁液は、通常はトルクロホスメチルとアゾキシストロビンとを含有する製剤を水に希釈する、又は、トルクロホスメチルを含有する製剤とアゾキシストロビンを含有する製剤とを混合し、必要に応じて水で希釈することにより調製される。トルクロホスメチルとアゾキシストロビンとを含有する製剤が、水懸濁状物である場合にはそのままでトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する水懸濁液として、花卉球根植物の球根の処理に用いることもできる。
【0019】
本発明に用いられる、花卉球根植物の球根に対するトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの処理量は、花卉球根植物の種類、球根の大きさ及び形状、球根を土壌に植える時期及び土壌の病害の発生度合い、並びに、処理の条件に応じて適宜設定されるものであるが、吹き付け処理及び塗布処理の場合には、花卉球根植物の球根1000球に対して、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの合計量で、通常1〜5000g、好ましくは10〜1000gであり、浸漬処理の場合には、花卉球根植物の球根を浸漬する水懸濁液中のトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの合計での濃度として、通常0.01〜1000000ppm、好ましくは0.1〜100000ppmである。
【0020】
前記した方法により、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンが予め処理されてなる花卉球根植物の球根を土壌に植えた後に、通常行われる生育方法で花卉球根植物を生育させることにより、土壌病害に起因する植物病害等から花卉球根植物を保護することができることから、花卉球根植物の健全な栽培を促すことができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を試験例等にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。
なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。
【0022】
まずは、参考製剤例を示す。
【0023】
参考製剤例1
トルクロホスメチルを2.5部、アゾキシストロビンを1.25部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ−テル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部、及びキシレン76.25部をよく混合することにより乳剤を得る。
【0024】
参考製剤例2
トルクロホスメチルを5部、アゾキシストロビンを5部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部、及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することによりフロアブル製剤を得る。
【0025】
参考製剤例3
トルクロホスメチルを10部、アゾキシストロビンを10部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部、及びポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液23.5部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液45部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合しフロアブル製剤を得る。
【0026】
参考製剤例4
トルクロホスメチルを20部、アゾキシストロビンを5部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部、及びポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液28.5部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液45部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合しフロアブル製剤を得る。
【0027】
参考製剤例5
トルクロホスメチルを40部、アゾキシストロビンを5部、プロピレングリコールを5部(ナカライテスク製)、Soprophor FLK を5部(ローディア日華製)、アンチフォームCエマルションを0.2部(ダウコーニング社製)、プロキセルGXLを0.3部(アーチケミカル製)、及びイオン交換水を49.5部の割合で混合し、原体スラリーを調製する。該スラリー100部に150部のガラスビーズ(Φ=1mm)を投入し、冷却水で冷却しながら、2時間粉砕する。粉砕後、ガラスビーズをろ過により除き、フロアブル製剤を得る。
【0028】
参考製剤例6
トルクロホスメチルを50部、アゾキシストロビンを0.5部、NNカオリンクレーを38.5部(竹原化学工業製)、Morwet D425を10部、Morwer EFWを1.5部(アクゾノーベル社製)の割合で混合し、AIプレミックスを得る。当プレミックスをジェットミルで粉砕し、粉剤を得る。
【0029】
参考製剤例7
トルクロホスメチルを1部、アゾキシストロビンを1部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部、及びカオリンクレー65部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥することにより粒剤を得る。
【0030】
参考製剤例8
トルクロホスメチルを40部、アゾキシストロビンを1部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、及び合成含水酸化珪素54部をよく粉砕混合することにより水和剤を得る。
【0031】
参考製剤例9
トルクロホスメチルを1部、アゾキシストロビンを10部、カオリンクレー79部、及びタルク10部をよく粉砕混合することにより粉剤を得る。
【0032】
参考製剤例10
トルクロホスメチルを2部、アゾキシストロビンを0.25部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部、及びキシレン77.75部をよく混合することにより乳剤を得る。
【0033】
参考製剤例11
トルクロホスメチルを10部、アゾキシストロビンを2.5部、ソルビタントリオレエート1.5部、及びポリビニルアルコール2部を含む水溶液30部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液47.5部を加え、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、フロアブル製剤を得る。
【0034】
参考製剤例12
トルクロホスメチルを20部、アゾキシストロビンを1部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部、及びカオリンクレー47部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥することにより粒剤を得る。
【0035】
参考製剤例13
トルクロホスメチルを5部、アゾキシストロビンを10部、リグニンスルホン酸カルシウム5部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、及び合成含水酸化珪素77部をよく粉砕混合することにより水和剤を得る。
【0036】
次に試験例を示す。
【0037】
試験例1
トルクロホスメチル50%(w/v)フロアブル(商品名:リゾレックス(登録商標)フロアブル、住友化学株式会社)及びアゾキシストロビン20%(w/w)フロアブル(商品名:アミスター(登録商標)20フロアブル、シンジェンタジャパン株式会社)を水中で混合し、所定濃度(表1に記載)の試験用薬液を調製する。該試験用薬液に、チューリップ(品種名:アンジェリケ)の球根を浸漬する。24時間浸漬処理した後に前記水希釈液より取り出される球根を、土壌を充填したポット(直径12cm、深さ15cm)5ポットに、1ポットあたり1球ずつ土壌表面からの深さ5cmで定植し、ハウス内で栽培を行う。(これを処理区とする。)
一方で、試験用薬液に浸漬していないチューリップの球根を用いること以外は、前記と同様の操作で栽培を行う。(これを無処理区とする。)
所定期間経過後に、処理区及び無処理区のそれぞれについて、出芽の有無および出芽した芽での病害の有無を観察し、処理区及び無処理区それぞれの発病度を式1により求め、式2により処理区の防除価を求める。




その結果、処理区においては植物病害が防除されていることが確認できる。
【0038】
【表1】

【0039】
試験例2
トルクロホスメチル50%(w/v)フロアブル(商品名:リゾレックス(登録商標)フロアブル、住友化学株式会社)及びアゾキシストロビン20%(w/w)フロアブル(商品名:アミスター(登録商標)20フロアブル、シンジェンタジャパン株式会社)を水中で混合し、所定濃度(表2に記載)の試験用薬液を調製した。該試験用薬液に、チューリップ(品種名:アンジェリケ)の球根を浸漬した。24時間浸漬処理した後に前記水希釈液より取り出される球根を、土壌を充填したポット(直径12cm、深さ15cm)5ポットに、1ポットあたり1球ずつ土壌表面からの深さ5cmで定植し、ハウス内で栽培を行った。(これを処理区とした。)
一方で、試験用薬液に浸漬していないチューリップの球根を用いること以外は、前記と同様の操作で栽培を行った。(これを無処理区とした。)
所定期間経過後に、処理区及び無処理区のそれぞれについて、出芽の有無および出芽した芽での病害の有無を観察し、処理区及び無処理区それぞれの発病度を試験例1記載の式1により求め、試験例1記載の式2により処理区の防除価を求めた。
その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
試験例3
トルクロホスメチル50%(w/v)フロアブル(商品名:リゾレックス(登録商標)フロアブル、住友化学株式会社)及びアゾキシストロビン20%(w/w)フロアブル(商品名:アミスター(登録商標)20フロアブル、シンジェンタジャパン株式会社)を水中で混合し、所定濃度(表3に記載)の試験用薬液を調製する。該試験用薬液に、ユリ(品種名:パーティダイヤモンド)の球根を浸漬する。24時間浸漬処理した後に前記水希釈液より取り出される球根を、土壌を充填したポット(直径12cm、深さ15cm)5ポットに、1ポットあたり1球ずつ土壌表面からの深さ5cmで定植し、ハウス内で栽培を行う。(これを処理区とする。)
一方で、試験用薬液に浸漬していないユリの球根を用いること以外は、前記と同様の操作で栽培を行う。(これを無処理区とする。)
所定期間経過後に、処理区及び無処理区のそれぞれについて、出芽の有無および出芽した芽での病害の有無を観察し、処理区及び無処理区それぞれの発病度を試験例1記載の式1により求め、試験例1記載の式2により処理区の防除価を求める。
その結果、処理区においては植物病害が防除されていることが確認できる。
【0042】
【表3】

【0043】
試験例4
トルクロホスメチル50%(w/v)フロアブル(商品名:リゾレックス(登録商標)フロアブル、住友化学株式会社)及びアゾキシストロビン20%(w/w)フロアブル(商品名:アミスター(登録商標)20フロアブル、シンジェンタジャパン株式会社)を水中で混合し、所定濃度(表4に記載)の試験用薬液を調製した。該試験用薬液に、ユリ(品種名:パーティダイヤモンド)の球根を浸漬した。24時間浸漬処理した後に前記水希釈液より取り出される球根を、土壌を充填したポット(直径12cm、深さ15cm)5ポットに、1ポットあたり1球ずつ土壌表面からの深さ5cmで定植し、ハウス内で栽培を行った。(これを処理区とした。)
一方で、試験用薬液に浸漬していないユリの球根を用いること以外は、前記と同様の操作で栽培を行った。(これを無処理区とした。)
所定期間経過後に、処理区及び無処理区のそれぞれについて、出芽の有無および出芽した芽での病害の有無を観察し、処理区及び無処理区それぞれの発病度を試験例1記載の式1により求め、試験例1記載の式2により処理区の防除価を求めた。
その結果を表4に示す。
【0044】
【表4】

【0045】
試験例5
トルクロホスメチル50%(w/v)フロアブル(商品名:リゾレックス(登録商標)フロアブル、住友化学株式会社)及びアゾキシストロビン20%(w/w)フロアブル(商品名:アミスター(登録商標)20フロアブル、シンジェンタジャパン株式会社)を水中で混合し、所定濃度(表5に記載)の試験用薬液を調製する。該試験用薬液に、グラジオラス(品種:カイエン)の球根を浸漬する。24時間浸漬処理した後に前記水希釈液より取り出される球根を、土壌を充填したポット(直径12cm、深さ15cm)5ポットに、1ポットあたり1球ずつ土壌表面からの深さ5cmで定植し、ハウス内で栽培を行う。(これを処理区とする。)
一方で、試験用薬液に浸漬していないグラジオラスの球根を用いること以外は、前記と同様の操作で栽培を行う。(これを無処理区とする。)
所定期間経過後に、処理区及び無処理区のそれぞれについて、出芽の有無および出芽した芽での病害の有無を観察し、処理区及び無処理区それぞれの発病度を試験例1記載の式1により求め、試験例1記載の式2により処理区の防除価を求める。
その結果、処理区においては植物病害が防除されていることが確認できる。
【0046】
【表5】

【0047】
試験例6
トルクロホスメチル50%(w/v)フロアブル(商品名:リゾレックス(登録商標)フロアブル、住友化学株式会社)及びアゾキシストロビン20%(w/w)フロアブル(商品名:アミスター(登録商標)20フロアブル、シンジェンタジャパン株式会社)を水中で混合し、所定濃度(表6に記載)の試験用薬液を調製した。該試験用薬液に、グラジオラス(品種:カイエン)の球根を浸漬した。24時間浸漬処理した後に前記水希釈液より取り出される球根を、土壌を充填したポット(直径12cm、深さ15cm)5ポットに、1ポットあたり1球ずつ土壌表面からの深さ5cmで定植し、ハウス内で栽培を行った。(これを処理区とした。)
一方で、試験用薬液に浸漬していないグラジオラスの球根を用いること以外は、前記と同様の操作で栽培を行った。(これを無処理区とした。)
所定期間経過後に、処理区及び無処理区のそれぞれについて、出芽の有無および出芽した芽での病害の有無を観察し、処理区及び無処理区それぞれの発病度を試験例1記載の式1により求め、試験例1記載の式2により処理区の防除価を求めた。
その結果を表6に示す。
【0048】
【表6】

【0049】
試験例7
トルクロホスメチル50%(w/v)フロアブル(商品名:リゾレックス(登録商標)フロアブル、住友化学株式会社)及びアゾキシストロビン20%(w/w)フロアブル(商品名:アミスター(登録商標)20フロアブル、シンジェンタジャパン株式会社)を水中で混合し、所定濃度(表7に記載)の試験用薬液を調製する。該試験用薬液に、ヒヤシンス(品種名:オデッセウス)の球根を浸漬する。24時間浸漬処理した後に前記水希釈液より取り出される球根を、土壌を充填したポット(直径12cm、深さ15cm)5ポットに、1ポットあたり1球ずつ土壌表面からの深さ5cmで定植し、ハウス内で栽培を行う。(これを処理区とする。)
一方で、試験用薬液に浸漬していないヒヤシンスの球根を用いること以外は、前記と同様の操作で栽培を行う。(これを無処理区とする。)
所定期間経過後に、処理区及び無処理区のそれぞれについて、出芽の有無および出芽した芽での病害の有無を観察し、処理区及び無処理区それぞれの発病度を試験例1記載の式1により求め、試験例1記載の式2により処理区の防除価を求める。
その結果、処理区においては植物病害が防除されていることが確認できる。
【0050】
【表7】

【0051】
試験例8
トルクロホスメチル50%(w/v)フロアブル(商品名:リゾレックス(登録商標)フロアブル、住友化学株式会社)及びアゾキシストロビン20%(w/w)フロアブル(商品名:アミスター(登録商標)20フロアブル、シンジェンタジャパン株式会社)を水中で混合し、所定濃度(表8に記載)の試験用薬液を調製した。該試験用薬液に、ヒヤシンス(品種名:オデッセウス)の球根を浸漬した。24時間浸漬処理した後に前記水希釈液より取り出される球根を、土壌を充填したポット(直径12cm、深さ15cm)5ポットに、1ポットあたり1球ずつ土壌表面からの深さ5cmで定植し、ハウス内で栽培を行った。(これを処理区とした。)
一方で、試験用薬液に浸漬していないヒヤシンスの球根を用いること以外は、前記と同様の操作で栽培を行った。(これを無処理区とした。)
所定期間経過後に、処理区及び無処理区のそれぞれについて、出芽の有無および出芽した芽での病害の有無を観察し、処理区及び無処理区それぞれの発病度を試験例1記載の式1により求め、試験例1記載の式2により処理区の防除価を求めた。
その結果を表8に示す。
【0052】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
花卉球根植物を栽培する土壌に、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの有効量が予め処理されてなる花卉球根植物の球根を植える工程を有してなる、花卉球根植物における植物病害の防除方法。
【請求項2】
トルクロホスメチル100重量部に対して、アゾキシストロビン1〜1000重量部の処理量の割合である請求項1記載の防除方法。
【請求項3】
花卉球根植物の球根1000球あたり、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの合計での処理量が1〜5000gである請求項1又は2記載の防除方法。
【請求項4】
処理方法が、花卉球根植物の球根をトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する水懸濁液に浸漬する処理である請求項1〜3いずれか一項記載の防除方法。
【請求項5】
処理方法が、花卉球根植物の球根の表面へのトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの吹き付け処理又は塗布処理である請求項1〜3いずれか一項記載の防除方法。
【請求項6】
花卉球根植物が、チューリップ、ユリ、グラジオラス又はヒヤシンスである請求項1〜5いずれか一項記載の防除方法。
【請求項7】
花卉球根植物が、チューリップである請求項1〜5いずれか一項記載の防除方法。
【請求項8】
トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの有効量が予め処理されてなる花卉球根植物の球根を土壌に植える工程を有してなる、花卉球根植物の栽培方法。
【請求項9】
トルクロホスメチル100重量部に対して、アゾキシストロビン1〜1000重量部の処理量の割合である請求項8記載の栽培方法。
【請求項10】
花卉球根植物の球根1000球あたり、トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの合計での処理量が1〜5000gである請求項8又は9記載の栽培方法。
【請求項11】
処理方法が、花卉球根植物の球根をトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンを含有する水懸濁液に浸漬する処理である請求項8〜10いずれか一項記載の栽培方法。
【請求項12】
処理方法が、花卉球根植物の球根の表面へのトルクロホスメチル及びアゾキシストロビンの吹き付け処理又は塗布処理である請求項8〜10いずれか一項記載の栽培方法。
【請求項13】
花卉球根植物が、チューリップ、ユリ、グラジオラス又はヒヤシンスである請求項8〜12いずれか一項記載の栽培方法。
【請求項14】
花卉球根植物が、チューリップである請求項8〜12いずれか一項記載の栽培方法。
【請求項15】
トルクロホスメチル及びアゾキシストロビンが保持されてなるチューリップの球根。

【公開番号】特開2012−193162(P2012−193162A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266522(P2011−266522)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】