説明

芳香の付着/持続を増進させるために可溶性界面活性剤を低レベルで含むクレンジングバー製造用組成物及び製造方法

【課題】クレンジングバー系の香料性能デリバリー、及び、より詳細には香料性能(香料性能増進率即ち“PEF”として測定)を増進させる方法であり、香料の効果(例えば、持続性)を比較バーに比べて増進させた香料含有バー組成物を提供する。
【解決手段】香料含有バーに約35重量%未満の可溶性界面活性剤を含有させる。更に、例えば、不溶性有効成分に相対的な可溶性有効成分のレベルをコントロールすることによって、及び/または、香料のレベルを増加することによって、香料の付着/持続を増進させる方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジングバー系の香料性能デリバリーに関する。より詳細には本発明は、可溶性界面活性剤対(1種または複数の)香料成分の比が減少するようにバーを配合することによって香料性能(香料性能増進率即ち“PEF”として測定)を増進させる方法に関する。
【0002】
バー中の可溶性界面活性剤対香料成分の比は、可溶性界面活性剤のレベルを下げる(例えば、一般に低可溶性の長鎖飽和脂肪酸または脂肪酸セッケンの量対一般に高可溶性の短鎖飽和脂肪酸または脂肪酸セッケンの量をコントロールする)ことによって及び/または香料のレベルを上げることによってコントロールできる。
【0003】
セッケンバーは、種々の鎖長の脂肪酸セッケンのブレンドから成る。バーを構成している脂肪酸セッケンのあるもの(例えば、典型的にはC14、C12及びそれ以下の短い鎖長及びオレエートのようなある種の不飽和セッケン)は可溶性であり(“可溶性”という用語は一般に約40℃未満の水に1重量%を上回るレベルで溶解することを意味する。溶解度は単一のセッケン/界面活性剤の溶解度を表してもよくまたはセッケン及び/または界面活性剤の混合物/複合体の溶解度を表してもよいことを理解されたい。但し、後者は混合物もしくは複合体として所定のパラメーター範囲内の溶解度を有している)、また、あるものは(例えば、C16、C18及びそれ以上の長い鎖長)は不溶性であるかもしくは実質的に不溶性である(不溶性という用語も混合物または複合体を表してもよい)。
【0004】
“典型的な”セッケンバーは、ケン化ナッツ油(一般に短い鎖長の可溶性脂肪酸セッケンを生じる)とケン化非ナッツ油(一般に長い鎖長の不溶性脂肪酸セッケンを生じる)との混合物から成り、種々の鎖長の脂肪酸並びに飽和及び不飽和の種々の脂肪酸セッケンを含むであろう。例えば、典型的な85/15バーは、85%タロウ(一般にバー押出の際の構造化に必要な長鎖セッケンを含む)と、15%のココヤシ(すぐれた起泡性及びその他の特性を与える短鎖の可溶性セッケンを含む)である。このような85/15セッケンは一般に約50−60%の可溶性有効成分を含有しているであろう。
【0005】
出願人らはここに、可溶性有効成分を低レベルに維持すると(例えば、可溶性有効成分がバー組成物の約35重量%以下、より好ましくは30重量%以下、もっと好ましくは最終バーの約25重量%以下である。有効成分はセッケンまたは合成界面活性剤である)、最終バー中の可溶性有効成分が高レベルであるバーの芳香デリバリーに比べて芳香デリバリーが増進されることを知見した。本発明の1つの実施態様では低レベルの可溶性有効成分を含むバーが主としてセッケンから成るバーまたはセッケンと遊離脂肪酸との混合物を含むバーであるが、可溶性界面活性剤(例えば、セッケン、合成洗剤)の量が最終バーの約35重量%以下のレベルに維持されているならばいかなるバーでもよいことは理解されよう。
【0006】
ときには多様なイオンと混合した短鎖及び長鎖、飽和及び不飽和の脂肪酸の混合物を含むセッケン形成組成物を開示した多数の参考文献が存在する。しかしながら出願人が知り得た従来技術はいずれも、香料デリバリーを増進させるために可溶性有効成分をあるレベル(全有効成分の35%)よりも低いレベルに維持することの重要性、または、本発明の特定組成物を使用する香料デリバリーの増進プロセス/方法を開示していない。
【0007】
Tollensらの米国特許第5,387,362号は、ラウリン酸と反応するMg、Na及びKイオンと、選択されたC14−C18脂肪酸と、オレイン酸との配合混合物を含むセッケン基剤形成組成物を開示している。関連参考文献はKeFauverらの米国特許第5,540,852号である。どちらの参考文献にも、香料含有組成物についての記載はなく、可溶性セッケンのレベルがあるレベル以下でなければならないことも記載していない。また、香料デリバリーの増進方法(例えば、PEFの増進)も開示していない。実際、可溶性セッケンのレベルが確実に全界面活性剤の35%以下になるようにバーを製造することは全く認識されていない。
【0008】
Kacherらの米国特許第5,262,079号は、型枠成形バーにネットワークを形成するために脂肪酸を部分中和することを開示しており、また、高レベルのアニオン性界面活性剤と非イオン性固化助剤とが含まれている。香料含有組成物についての記載はなく、可溶性有効成分のレベルがあるレベル以下でなければならないことも香料デリバリーの増進方法についても全く記載していない。即ち、可溶性有効成分の最終レベルが確実に全有効成分の35%以下になるバーを製造するという指示または示唆は全く存在しない。また、この参考文献は型枠成形バーに関するものであるが、本発明は押出バーに関するものである。
【0009】
Narathらの米国特許第6,121,216号は、緩和助剤として両性界面活性剤を含有させた合成洗剤バーの改良加工方法を開示している。セッケン、特に不飽和セッケンのレベルをできるだけ下げることによって加工効率を上げている。可溶性有効成分が全有効成分の35%未満でなければならないことも、このような低レベルが香料増進に効果があることも開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,387,362号明細書
【特許文献2】米国特許第5,540,852号明細書
【特許文献3】米国特許第5,262,079号明細書
【特許文献4】米国特許第6,121,216号明細書
【発明の概要】
【0011】
1つの実施態様で本発明は(1種または複数の)香料分子の付着を増進させる組成物に関する。組成物は、
(1)全バー組成物の約35重量%以下、好ましくは約30重量%以下が可溶性界面活性有効成分から成る洗浄有効成分(例えば、バーが0.5−35重量%、好ましくは1.0−30重量%の可溶性有効成分を含む)と、
(2)(1種または複数の)香料有効成分と、
を含むバー組成物を含み、該組成物は、約35重量%を上回る可溶性界面活性有効成分を含むバー組成物に比べて増進された香料デリバリーを提供し、
溶解度は40℃の水に約1重量%を上回る複数の界面活性有効成分または有効成分の組合せ(例えば、組合せが個々の成分よりも高い溶解度を有している場合)の溶解によって定義される。
【0012】
バーの残余分(例えば、0.1−65重量%)は、0.5−20重量%、好ましくは0.5−15重量%の水と、0.5−99重量%、好ましくは1−70重量%の“充填材料”とを含み得る。
【0013】
このような充填材料は、不溶性有効成分(不溶性セッケン及び/または脂肪酸)、有機及び無機の構造化材料、及び、バー成分として使用できる数千種類以上の材料のいずれかを含む、相互保持可能な、または、“バーを構造化”できるすべての材料を包含する。
【0014】
唯一の重要な条件は、可溶性界面活性剤がバーの35重量%以下でなければならないこと、及び、バーが“バー”として機能できる十分な固形性を有している(例えば、200gのおもり及び0.5ミリメートル径のチーズワイヤを用いた標準チーズワイヤ法によって測定した降伏応力が少なくとも90kPa)ことである。
【0015】
第二の実施態様で本発明は、香料の滞留/香料の持続を増進させる方法を含む。該方法は、約35重量%を上回る、一般には40−70重量%の可溶性界面活性有効成分を含む典型的バーに比べてバー中の可溶性界面活性有効成分のレベルをできるだけ引き下げる段階を含む。
【0016】
本発明の特定実施態様において本発明は、
(1)20−75重量%の脂肪酸セッケンと遊離脂肪酸との混合物(大抵は不溶性であるが可溶性のものがあってもよい)と、
(2)0−20重量%の合成界面活性有効成分と、
(3)バランス量の水、微量成分及び充填剤/他のバー成分と、
を含み、
可溶性の有効成分(1)及び(2)のパーセントが全バー組成物の約35重量%未満であり、標準対照(例えば85/15セッケンバー)に相対的なPEFが約2.2以上、好ましくは2.3以上、より好ましくは2.5以上である。
【0017】
添付図面を参照しながら本発明を説明するが、これは本発明の代表例にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】セッケン画分中の香料の分配を示すグラフである。グラフは大半の香料が明らかに可溶性濾液に分配されることを示す。理論に制約されることを望んではいないが、この理由から、可溶性界面活性剤のパーセントを最小にするべきである、即ち、良好な香料性能に利用できない可溶性成分による香料損を最小にするべきであると考えられる。
【図2】2種類の異なる香料成分について界面活性剤対香料比及びその効果を示すグラフである。双方の成分が界面活性剤相に分配され従って界面活性剤対香料比が上がると(即ち、界面活性剤含量が増加すると)、香料効果が低下する。
【図3】2:1のオレイン酸ナトリウム:ラウリン酸ナトリウム系に対して界面活性剤対香料比が香料性能に与える影響を示すグラフである。界面活性剤対香料比が上がるほど香料効果が低下する。
【図4】界面活性剤対香料比の増加に伴う界面活性剤溶液中のベンジルアセテート及びリモネンの予測効果を測定した値を表すグラフである。比が大きいほど香料効果が小さ い。
【図5】種々の固体レベルを有しているセッケン系のGCヘッドスペースデータを比較するグラフである。一般に、“高固体分の”(即ち、可溶性セッケンの量が少ない)系のほうが有意に高い芳香ヘッドスペースを有している。従ってまたしても、可溶性セッケンの量が少ないバーのほうが香料効果は大きい。
【図6】一方は1%香料、他方は4%香料という異なる希釈度の2つのバー溶液のGCデータを示す。界面活性剤に相対的な香料レベルを上げると、溶液上方の香料効果も増進される。
【図7】皮膚に付着した香料のSPME測定で得られたGCデータを示す。このグラフは、“高固体分の”(可溶性界面活性剤が少ない)配合バー及び低固体分(可溶性有効成分が多い)の対照バーについて香料付着を比較している。グラフは、“高固体分”バーからのほうが皮膚に付着した芳香が多いことを明らかに示している。
【図8】皮膚に付着した香料のSPME測定で得られたGCデータを示す。このグラフは、1%香料含有バーと4%香料含有バーとの付着を比較している(同様の高含量可溶性有効成分を含む配合物)。グラフはまたしても、香料:可溶性界面活性剤比を上げると香料付着が増進されることを示している。
【0019】
本発明は、香料を含むバー組成物、及び、全バーの重量%で表して所定量以下の可溶性有効成分を含むバー組成物を使用して香料の滞留/持続を増進させる方法に関する。可溶性界面活性有効成分は、有効成分への香料分配を増進し、これによって有効利用香料を減少させ、香料性能を低下させると考えられる。
【0020】
また、低レベルの可溶性有効成分を規定するために、可溶性界面活性剤:香料比を規定してもよい。具体的には、界面活性剤対香料比の減少に伴って香料の活性または効果が増加することが観察される。“典型的な”セッケンバーではこの比が60:1であろうが、本発明組成物は40:1未満、好ましくは35:1未満、より好ましくは30:1未満、最も好ましくは25:1未満の値を有している。この比が小さいほど、香料効果が大きい。
【0021】
この比はまた、前述のように可溶性界面活性剤(合成洗剤及び/または可溶性セッケンを含む)のレベルを下げることによって、及び/または、香料のレベルを上げることによって減少させることができる。
【0022】
従って本発明の要点は実際には、最終バー組成物中の可溶性界面活性剤の全量をバー組成物の約35%以下にすることである。何故ならば、使用中の香料は(不溶性界面活性剤でなく)可溶性界面活性剤に分配され易く、従って流失し易いので、結局は香料性能が低下するからである。
【0023】
従って、可溶性界面活性剤(または、界面活性剤の混合物または複合体)が40℃の温度の水に1重量%を上回る溶解度を有しているものであると定義する以外には、実際の可溶性界面活性剤の種類を問題にはしない。(1種または複数の)界面活性剤がこの溶解度制限を満たしていないとき、“不溶性”界面活性剤の使用量を限定することはできない。このような理由から、可溶性界面活性剤に相対的な不溶性界面活性剤の量を増加させること(または逆に、バー組成物中の可溶性界面活性剤の量を減少させること)が芳香性能(例えば、使用された芳香の付着または芳香の持続)を向上させる1つの方法となる。
【0024】
このような方法の一例として我々は、種々の鎖長の脂肪酸セッケンのブレンドを考察する。上述のように、短い(例えば、典型的にはC16よりも短い、より特定的にはC14よりも短い)鎖長の脂肪酸/脂肪酸セッケンは“可溶性”であり(従って、ときには“刺激が強い”)、例えばC16以上の鎖長をもつ飽和脂肪酸/脂肪酸セッケンは典型的には不溶性である。長鎖脂肪酸セッケン対短鎖脂肪酸セッケンの比を増加することによって、香料の持続または効果を増進させることが可能である(出願人らは同日付けの同時係属特許出願で比較的低含量の合成洗剤を含む脂肪酸/脂肪酸セッケン基剤のバーに種々の理由からこのようにした)。
【0025】
具体的には本発明の1つの実施態様は、
(1)0.5−35重量%の可溶性界面活性剤/有効成分、
(2)香料、
(3)0.5−20重量%、好ましくは0.5−15重量%の水と、
(4)不溶性有効成分並びに構造化及び充填の機能を果たす有機及び無機の材料のような構造化材料を含み得る0.1−99重量%、好ましくは1−70重量%の充填剤と、
を含む。
【0026】
(1)の可溶性有効成分/界面活性剤の量は、全バーの35重量%以下である。そうでなければ、例えば約35重量%よりも多い可溶性有効成分を含むバーに比べて本発明の増進効果が観察されない。言い換えると、バー組成の35重量%未満の可溶性界面活性剤を含むバーだけが、標準対象から付着した香料に対するバーから付着した香料の比に基づいてPEF2.2以上、好ましくは2.3以上、より好ましくは2.5以上という性能増進率を有している。
【0027】
界面活性剤/有効成分に関しては、どの有効成分を使用すべきであるという制約はない。当業者に公知の無数のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性/双イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤のいずれかであればよく、唯一の重要条件は、有効成分(混合物または複合体を含む)の35%以下が可溶性でなければならないことだけである。溶解度が40℃の水に少なくとも1重量%可溶であると定義する。
【0028】
香料分子の非限定例を以下に挙げる:アセトアニソール、アミルアセテート、アニシックアルデヒド、アニソール、アニシルアルコール、ベンズアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルアセトン、ベンジルアルコール、ベンジルホーメート、ヘキセノール、d−カルボン、シンナムアルデヒド、シンナミックアルコール、シンナミルアセテート、シンナミルホーメート、シス−3−ヘキセニルアセテート、シクラールC(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデヒド)、ジヒドロキシインドール、ジメチルベンジルカルビノール、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、ブタン酸エチル、酪酸エチル、エチルバニリン、トリシクロデセニルプロピオネート、フルフラール、ヘキサナール、ヘキセノール、ヒドラトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドール、イソアミルアルコール、イソプレギルアセテート、イソキノリン、リグストラール、リナロールオキシド、メチルアセトフェノン、メチルアミルケトン、メチルアントラニレート、メチルベンゾエート、メチルベンジルアセテート、メチルヘプテノン、メチルヘプチルケトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、メチルサリチレート、オクタラクトン、パラ−クレゾール、パラ−メトキシアセトフェノン、パラ−メチルアセトフェノン、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール、フェニルアセトアルデヒド、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルアルコール、フェニルアセテート、プロピルブチレート、サフロール、バニリン、ビリジン、アリルカプロエート、アリルヘプトエート、アニソール、カンフェン、カルバクロール、カルボン、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルニトリル、クマリン、シクロヘキシルエチルアセテート、p−シメン、デカナール、ジヒドロミルセノール、ジヒドロミルセニルアセテート、ジメチルオクタノール、エチルリナロール、エチルヘキシルケトン、オイカリプトール、フェンシルアセテート、ゲラニオール、ゲルニルホーメート、ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルアセテート、ヘキシルネオペンタノエート、ヘプタナール、イソボルニルアセテート、イソオイゲノール、イソメントン、イソノニルアセテート、イソノニルアルコール、イソメントール、イソプレゴール、リモネン、リナロール、リナリルアセテート、メンチルアセテート、メチルチャビコール、メチルオクチルアセトアルデヒド、ミルセン、ナフタレン、ネロール、ネラール、ノナナール、2−ノナノン、ノニルアセテート、オクタノール、オクタナール、α−ピネン、β−ピネン、ローズオキシド、α−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネノール、テルピノレン、テルピニルアセテート、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロミルセノール、ウンデセナール、ベラトロール、ベルドックス、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アンブレットリド、Amborx DL(ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン)、アミルベンゾエート、アミルシンナメート、アミルシンナミックアルデヒド、アミルサリチレート、アネトール、アウランチオール、ベンゾフェノン、ベンジルブチレート、ベンジルイソ−バレレート、ベンジルサリチレート、カディネン、カンフィルシクロヘキサール、セドロール、セドリルアセテート、シンナミルシンナメート、シトロネリルイソブチレート、シトロネリルプロピオネート、クミニックアルデヒド、シクロヘキシルサリチレート、シクラメンアルデヒド、ジヒドロイソジャモネート、ジフェニルメタン、ジフェニルオキシド、ドデカノール、ドデカラクトン、エチレンブラシレート、エチルメチルフェニルグリシデート、エチルウンデシレネート、エキサルトリド、GaloxilideTM(1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ,4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シキロペンタ−γ−2−ベンゾピラン)、ゲラニルアセテート、ゲラニルイソブチレート、ヘキサデカノリド、ヘキセニルサリチレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリチレート、α−イオノン、β−イオノン、γ−イオノン、α−イロン、イソブチルベンゾエート、イソブチルキノリン、Iso E SuperTM(7−アセト1,1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ,1,1,6,7,−テトラメチルナフタレン)、シス−ジャスモン、リリアール、リナリルベンゾエート、20メトキシナフタリン、メチルシンナメート、メチルオイゲノール、γ−メチルイオノン、メチルリノレート、メチルリノレネート、ムスクインダノン、ムスクケトン、ムスクチベチン、ミリスチシン、ネリルアセテート、δ−ノナラクトン、γ−ノナラクトン、パチョリアルコール、ファントリド、フェニルエチルベンゾエート、フェニルエチルフェニルアセテート、フェニルヘプタノール、フェニルヘキサノール、α−サンタロール、チベトリド、トナリド、δ−ウンデカラクトン、γ−ウンデカラクトン、ベルテネックス、ベチベリルアセテート、ヤラ−ヤラ、イランジェン。
【0029】
バー中の“可溶性”界面活性剤、水、及び、香料または香料成分以外はすべて“充填”材料である。“充填剤”自体は可溶性でもよく、その定義は上述のように、詳細に説明した界面活性剤、香料または水以外の材料であるというだけである。
【0030】
構造化剤は長鎖で好ましくは直鎖状の飽和(例えばC16−C24)脂肪酸、脂肪酸セッケンまたはそのエステル誘導体であるか、及び/または、枝分かれした長鎖、好ましくは直鎖状の飽和アルコールまたはエーテル誘導体でよい。
【0031】
これはMW2000−20000のポリアルキレングリコールでよい。
【0032】
構造化剤及び/または充填剤として使用できる別の成分は、デンプン、糖、マルトデキストリン及びその他の多糖類を包含する。また、ワックス及び非ケン化脂肪も包含される。
【0033】
タルク、カオリン、クレー及びカルシウム塩のような無機充填剤も使用できる。
【0034】
また、構造化助剤は1つまたは複数の疎水性部分で化学的に改質された水溶性ポリマー、例えば、EO−POブロックコポリマー、疎水的に改質されたPEG、例えばPOE(200)−グリセリル−ステアレート、グルカムDOE120(PEG120メチルグルコースジオレエート)、及び、Hodag CSA−102(PEG−150ステアレート)、及び、Rewo ChemicalsのRewoderm(R)(PEG改質グリセリルココエート、パルミテートまたはタロウエート)から選択できる。
【0035】
使用し得るその他の構造化助剤はAmerchol Polymer HM1500(ノノキシニルヒドロエチルセルロース)である。
【0036】
本発明のバー組成物は更に、以下のような任意成分を含み得る。0.01−1%、好ましくは0.01−0.05%の量のエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、EHDPまたはそれらの混合物などの金属イオン封鎖剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、TiO、EGMS(エチレングリコールモノステアレート)またはLytron621(スチレン/アクリレートコポリマー)などの着色剤、乳白剤、真珠光沢剤。これらはいずれも製品の外観または化粧品特性を強化するために役立つ。
【0037】
組成物は更に、2−ヒドロキシ−4,2’,4’−トリクロロジフェニルエーテル(DP300)のような抗菌剤、ジメチロールジメチルヒダントイン(Glydant XL1000)、パラベン、ソルビン酸などの保存剤を含み得る。
【0038】
組成物は更に、起泡増進剤としてココヤシアシルモノ−またはジエタノールアミドを含んでもよく、また、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムのような強イオン塩の使用も有利であろう。
【0039】
例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような抗酸化剤は約0.01%以上の量で適宜使用するのが有利であろう。
【0040】
コンディショナーとして使用し得るカチオン性ポリマーは、Quatrisoft LM−200 ポリクオタニウム−24、Merquat Plus 3330−ポリクオタニウム39、及び、Jaguar(R)種のコンディショナーなどである。
【0041】
コンディショナーとして使用し得るポリエチレングリコールは、
Polyox WSR−205 PEG 14M、
Polyox WSR−N−60K PEG 45M、または、
Polyox WSR−N−750 PEG 7M
などである。
【0042】
含有させ得る他の成分は、ポリオキシエチレンビーズ、クルミ殻及びアプリコット種子のような皮膚剥脱剤である。
【0043】
1つの特定実施態様で本発明は、
(1)20−75重量%の脂肪酸/脂肪酸セッケンと、
(2)0−20%の合成有効成分と、
(3)バランス量の水及び充填剤(上記に定義)と、
を含み、(1)と(2)及び場合によっては(3)にも存在する可溶性有効成分のパーセントが全バーの約35重量%未満であり、
標準対照に比べたPEFが2.2以上の値、好ましくは2.3を上回る値、より好ましくは2.5を上回る値である脂肪酸セッケン/脂肪酸基剤のバーに関する。
【0044】
別の実施態様で本発明は、
(1)界面活性有効成分と、
(2)香料と、
(3)水と、
(4)充填剤と、
を含むバーの香料性能(例えば、付着/持続)を増進させる方法に関する。該方法は、不溶性界面活性有効成分及び/または充填剤に相対的な可溶性界面活性有効成分のレベルを低下させる処理を含む。具体的には、バーが最終バー組成の35重量%未満、好ましくは30重量%未満の可溶性有効成分レベルを有しており、標準対照に比べて2.2以上のPEFを有していなければならない
本発明の別の実施態様で本発明は、
(1)界面活性有効成分と、
(2)香料と、
(3)水と、
(4)充填剤と、
を含むバーの付着/持続を増進させる方法に関する。該方法は香料レベルを増加させる処理を含む。
【0045】
(実施例)
処理実施例及び比較実施例を除いて、または、異なる明白な指示のある場合を除いて、材料の量または割合、反応の条件、材料の物理的特性及び/または使用量を示す本明細書中のすべての数値が“約”という用語で修飾されることを理解されたい。
【0046】
明細書中に使用した“含む”という用語は、記述した特徴、整数、段階、成分の存在を含むことを意味するが、1つまたは複数の特徴、整数、段階、成分またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0047】
以下の実施例の目的は本発明をより詳細に説明することであり、本発明を制限することではない。
【0048】
異なる指示がない限り、すべてのパーセンテージは重量%を表す。更に、すべての範囲は該範囲の両端の値と該範囲内に含まれるすべての値とを包含することを理解されたい。
【実施例1】
【0049】
バー組成が香料の持続をどのように左右できるかをより十分に理解するために、標準85/15セッケンバー(85%タロウと15%ココヤシ油)を使用して芳香特性に対する可溶性界面活性剤及び不溶性界面活性剤の総合的効果を試験した。85/15セッケンバーの脂肪酸セッケン比を考察することによって、希釈されたときまたは使用されているときに可溶化するセッケン量を容易に予測できる。バーの50−60%はオレイン酸ナトリウム及びラウリン酸ナトリウム(可溶性セッケン)であるから、少なくともこの量は十分な水で可溶化するであろうと推測できる。
【0050】
希釈したセッケン系の可溶性部分及び不溶性部分に分配された香料量を測定する試験を行った。これらの試験では、実際の香料性能に対するバー中の可溶性界面活性剤及び不溶性界面活性剤の影響を判断するために2つのモデル“モルタル”系と3つのモデルセッケン系とを試験した。
【0051】
セッケンバーの使用中に香料がどこに分配されたかを理解するために、芳香性85/15セッケンの5%希釈液を調製し、濾過し、固体をすすいだ。3つのサンプル(固体、濾液、すすぎ液)を抽出し(Soxtherm抽出器を使用)、各相中の香料の量を測定した。85/15セッケンの濾液抽出は、約45%のセッケン(可溶性部分)を含有している濾液中に香料の約74%が分配されたことを示した。このように、希釈液中の実際の可溶性セッケン対香料比は典型的な85/15(タロウ/ココヤシ油)セッケン中の脂肪酸分布によって予測された通り50−55:1である。これが図1に示されている。従って香料が可溶性画分に分配されることが明らかである。
【実施例2】
【0052】
実施例1の香料分配情報(例えば、大抵の香料は可溶性界面活性剤に分配され従って香料効果の増進に有効利用されていなかった)を使用して出願人らは、種々のセッケン対香料比をもつ一連の可溶性セッケン系によって一連のモデル試験を設定した。具体的には、ラウリン酸ナトリウムとオレイン酸ナトリウムとを1:1の比で含む可溶性セッケンモデルをセッケン対香料比20:1−60:1で使用し、1%香料(ベンジルアセテートとリモネンとの1:1混合物)含有の85/15セッケンバーに比較した。各サンプルの40%、25%、10%、5%及び1%の5種類のセッケン希釈液を調製した。図2は、各サンプルの各希釈度の平衡ヘッドスペース測定値を示す(グラフは希釈パーセントでなくサンプル中の香料mgで示す)。
【0053】
これらの香料成分の各々が、界面活性剤対香料比の増加に伴って(可溶性セッケン成分の関数として)、香料効果またはGC(ガスクロマトグラフィー)面積カウント減少を明らかに示した。セッケン対香料比60:1のとき、香料効果は85/15バーの香料効果に近似する。
【0054】
理論に制約されることは望んでいないが、リモネンは極めて揮発性であるため低い香料レベルで飽和に到達し、従って5%のセッケンサンプル中で香料ヘッドスペースが横ばいになると考えられる。ベンジルアセテートは揮発性が低いので、ほとんどのサンプルでヘッドスペースが飽和に到達しない。これらの条件下でも、双方の分子の香料性能を可溶性界面活性剤のレベルが大きく左右することは明らかであり、セッケン:香料比60:1のサンプルは他のいかなるサンプルよりも明白にバーからの結果を示す。
【実施例3】
【0055】
2:1のオレイン酸ナトリウム:ラウリン酸ナトリウム系を用いて実施例2の実験を繰り返した。2:1基剤系は、香料性能について同様の傾向を示し、界面活性剤:香料比の増加がベンジルアセテート:リモネン混合物(1:1)の香料効果を低下させることをまたしても示した(図3)。
【実施例4】
【0056】
図4に示すように同様の希釈プロフィルの数学的モデルを使用して、香料の種類及び香料:界面活性剤比に基づく理論的香料性能を計算した。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)/ベンジルアセテート及びSDS/リモネンについて希釈曲線を算出した。これらの曲線は、得られた実験値と十分な相関を示す。計算データを図中に実線で示し、実測データ点を記号で表す(図4)。これは、85/15バーの使用中に得られた実際の界面活性剤:香料比が〜50−60:1であるという推測が正しいことを裏付けており、界面活性剤:香料比が香料性能の原動力である可能性が極めて大きい。
【実施例5】
【0057】
バーの香料性能に対する可溶性/不溶性セッケンの効果
モデルセッケン系のGC分析及び理論的予測は、バー中の可溶性セッケンの量が香料性能に直接的に相関することを示す。即ち、バー中の可溶性セッケンの含量が高いほど、芳香効果、即ち、芳香付着が少ない。
【0058】
実際のセッケンバーでこの理論を試験するために、種々のレベルの可溶性/不溶性セッケンを含有する単純化した数種類のセッケン系を鑑定した。これらのバーの最も簡単な調製方法は、2:1オレイン酸ナトリウム:ラウリン酸ナトリウムモデルモルタルに不溶性長鎖セッケン(ステアリン酸ナトリウム)を添加することであった。これらのモデルバー系を選択し、標準85/15セッケンに直接比較した。第一のモデルバーは、20%ステアリン酸ナトリウムと80%の2:1オレイン酸ナトリウム/ラウリン酸ナトリウムとから成る“低固体分”サンプルであり、第二は80%ステアリン酸ナトリウムと20%の2:1オレイン酸ナトリウム/ラウリン酸ナトリウムとから成る“高固体分”サンプルであった。これらの系に加えて、47.5%ナトリウムASAD(ステアリン酸ナトリウムとパルミチン酸ナトリウムとの混合物)/14.9%ナトリウムココエート/37.6%オレイン酸ナトリウムから成る85/15モデル系を調製した。
【0059】
85/15モデル系の追加は、同様のI.V.値(ヨウ素価−不飽和レベルに関係する)をもつセッケンの組成の小変化が香料性能に影響があるか否かを判断するためであった。これらの基剤中で試験した2種類の香料は、1:1ベンジルアセテート/リモネンミックス及び標準香料混合物であり、双方とも1重量%で使用した。
【0060】
これらのセッケンバー系の調製後、種々のバー希釈度(40%、25%、10%、5%、及び、1%)の固体サンプルの平衡GCヘッドスペースを測定した。予測した通り、可溶性セッケンのレベルを下げると(“高固体分”バー)、セッケン基剤の香料効果が明らかに増進される。GC結果は、85/15、85/15モデル系及び“低固体分”バーがいずれも同様の香料ヘッドスペースプロフィルを有しているが、可溶性セッケンを20%しか含まない“高固体分”バーは有意に高い芳香ヘッドスペースを有していることを示す(図5)。
【実施例6】
【0061】
香料の追加による比の低下
可溶性セッケン対香料比を低下させる別の方法は、バーに香料を追加することである。セッケンバーによってシャワーリキッドと同等の香料性能を得ることを目標とするならば、可溶性界面活性剤:香料比を同等にすることが重要である。典型的なシャワーリキッドには15−20%界面活性剤と1%香料とが配合されるので可溶性セッケン:香料比は〜20:1である。
【0062】
可溶性セッケン対香料比〜65:1の85:15セッケンバーをこれに擬似させるためには、バーに4%の香料を配合する必要があろう(即ち、可溶性セッケン対香料比〜65:4)。この理論を検証するために、4%の香料を加えた標準85:15セッケンバーを調製した。予測した通り、界面活性剤:香料比が85:1から20:1に減少すると、製品上方の香料ヘッドスペースは1%の香料を含む85:15セッケンバーに比べて有意に拡大する(図10)。
【実施例7】
【0063】
固相の微量抽出結果
実験によって測定した希釈製品の効果の差が使用中の実際の芳香付着を予測できるか否かを判断するために、最後の試験では洗った皮膚の香料性能を試験した。製品で洗浄した後の皮膚の香料を固相微量抽出(SPME)によって収集し、次いでSPMEニードルをGCに注入して分析する。
【0064】
このSPME実験は、双方に1%香料を加えた“高固体分”バー(可溶性セッケン:香料比〜20:1)対85/15対照(可溶性セッケン:香料比〜65:1)で行った(図6)。“高固体分”バーでは、現用のバーの可溶性界面活性剤の量を減少させることによって界面活性剤:香料比を20:1にする。予測した通り、分析結果はまたしても、バー中の可溶性界面活性剤の量の減少が香料付着を有意に増加させることを示す。
【0065】
可溶性セッケン対香料比を低下させる別の方法は、バーに香料を追加することである。セッケンバーによってシャワーリキッドと同等の香料性能を得ることを目標とするならば、可溶性界面活性剤:香料比を同等にすることが重要である。可溶性有効成分がわずか20%で香料が1%の低有効成分バーに擬似させるためには、可溶性セッケン対香料比〜65:1の標準85:15セッケンバーに4%の香料を配合する必要がある(即ち、可溶性セッケン対香料比〜65:4)。
【0066】
この理論を検証するために、4%の香料を含む標準85:15セッケンバーを調製した。1%の香料を含有する0.5gの85/15セッケンバー及び4.25%の香料を含有する0.12gの85/45バーを同様に使用して洗浄した腕のSPME付着実験を行った(図7)。即ち、双方の実験では等量の香料が皮膚に与えられ、唯一の違いはサンプル中の界面活性剤:香料比である。このSPME分析の結果は、香料の配合量を増加してセッケンバー中の可溶性界面活性剤:香料比を〜20:1にしたとき、皮膚に付着した香料の量が有意に増加することを示唆するが、この増加はバー中の可溶性有効成分含量を減少させたときほど著しくはない。
【0067】
典型的な85/15セッケンバー中の香料の量を増加させたときにも付着は増進されるが、これには法外な費用がかかり、また、4%香料を含む標準セッケンバーは極めてにおいが強い(消費者に好まれない強いにおい)。セッケンバーに典型的な1%の香料添加率を用い、この香料の利用効率を上げることが好ましい技術的選択肢である。可溶性有効成分含量の低いセッケンバーを配合することによってこの目標に到達できる。
【実施例8】
【0068】
可溶性界面活性剤の含量が少ないバー形洗浄組成物の一例は、低モル%の不飽和脂肪酸(0−12.5モル%)(不飽和成分は一般に完全可溶性である)と、50−87.5モル%の鎖長C16以上の脂肪酸と、12.5−50モル%のカセイソーダ(50%で完全中和を生じる)とを含む成分を反応させることによって製造できる主としてセッケン/脂肪酸組成物である。これをバー前駆体に形成し、次いで25%以下の合成洗剤とブレンドできる。このような最終バーは、セッケン/脂肪酸の量が多いが、加工性がよくまた予想外によく泡立つ。
【0069】
このようなバーは、本出願と同日に出願されたKerschnerらの同時係属出願“Fatty Acid Soap/Fatty Acid Bars Which Process And Have Good Lather”に記載されている。該出願の記載内容は参照によって本出願に含まれるものとする。
【0070】
このような組成物(上記のように脂肪酸をカセイソーダで中和するかまたはプレフォームドセッケンを脂肪酸とブレンドするだけで製造できる)を以下に示す。
【0071】
【表1】

【実施例9】
【0072】
数多くの異なる身体洗浄バーを製造し、洗浄直後の洗った腕の芳香をSPMEによって収集し、次いで吸収された繊維をGCで分析することによって芳香付着を測定した。
【0073】
標準85/15セッケンバーからの芳香付着を1.0に設定し、この標準対照に対して種々の身体洗浄バーから付着した香料の比を測定することによって各製品の芳香増進率(PEF)を計算できる。典型的には、消費者が知覚できる芳香付着の差がPEF≧2.2−2.5であるか否かを記録する。異なる人々の数回の洗浄から平均した種々の身体洗浄バーの芳香増進率を製品中の全可溶性有効成分含量の関数として以下の表にまとめる。
【0074】
【表2】

【0075】
製品1−14の配合成分を以下に要約する。
【0076】
製品1(85/15セッケン配合物)は、84.75%の85(タロウ)/15(ココヤシ)セッケン、14.25%の水、及び、1%の香料を含有している。
【0077】
製品2は、80%の85(タロウ)/15(ココヤシ)セッケン、8.57%のソルビトール、4%のグリセリン、1%の香料、1.5%のトリエタノールアミン、1.5%のプロピレングリコール、2.87%の水、0.56%の塩化ナトリウムを含有している。
【0078】
製品3は、65.50%の85(タロウ)/15(ココヤシ)セッケン、20%のステアリン酸ナトリウム、13.5%の水、及び、1%の香料を含有している。
【0079】
製品4は、65.5%の85(タロウ)/15(ココヤシ)セッケン、20%のケン化した硬化タロウ、13.5%の水、及び、1%の香料を含有している。
【0080】
製品5は、45.5%の85(タロウ)/15(ココヤシ)セッケン、40%のステアリン酸ナトリウム、13.5%の水、及び、1%の香料を含有している。
【0081】
製品6は、45.5%の85(タロウ)/15(ココヤシ)セッケン、40%のケン化した硬化タロウ、13.5%の水、及び、1%の香料を含有している。
【0082】
製品7は、51.9%のステアリン酸ナトリウム/パルミチン酸ナトリウム混合物、10%のDove Noodles、7.24%の水、7%のラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、7%のlaureth硫酸ナトリウム、5%のグリセリン、4%のコカミドプロピルベタイン、3.11%の脂肪酸、3%のPEG 1450、及び、1.75%の香料を含有している。
【0083】
製品8は、33.65%のステアリン酸/パルミチン酸ミックス、18.28%のナトリウムセッケン、10.57%のクエン酸ナトリウム、10%の脂肪酸エステルスルホネート(Alpha−Step PC−48)、10%のココイルイセチオン酸ナトリウム、9%の水、5%のグリセリン、2%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、1%の香料、及び、0.5%の二酸化チタンを含有している。
【0084】
製品9は、45.4%のステアリン酸/パルミチン酸混合物、24.53%のステアリン酸ナトリウム/パルミチン酸ナトリウム混合物、20%のココイルグリシン酸ナトリウム、9.07%の水及び1%の香料を含有している。
【0085】
製品10は、42.8%のステアリン酸/パルミチン酸混合物、23.16%のステアリン酸ナトリウム/パルミチン酸ナトリウム混合物、20%の第一級アルコール硫酸ナトリウム塩(Sasolfin 23S)、7.54%の水、5%のグリセリン、1%の芳香剤及び0.5%の二酸化チタンを含有している。
【0086】
製品11は、60%のケン化した硬化タロウ、25.5%の85(タロウ)/15(ココヤシ)セッケン、13.5%の水及び1%の香料を含有している。
【0087】
製品12は、60%のステアリン酸ナトリウム、25.5%の85(タロウ)/15(ココヤシ)セッケン、13.5%の水及び1%の香料を含有している。
【0088】
製品13は、55%のスクロース、5%のポリビニルピロリドン40K、15%のラウリン酸ナトリウム、2%のドデシル硫酸ナトリウム、1.75%の香料、0.5%のTiO、0.2%のEDTA、0.5%のEHDP及び20.05%の水を含有している。
【0089】
製品14は、40%のスクロース、20%のマルトデキストラン250、15%のラウリン酸ナトリウム、2%のドデシル硫酸ナトリウム、1.75%の香料、0.5%のTiO、0.2%のEDTA、0.5%のEHDP及び20.05%の水を含有している。
【0090】
製品15は、42.6%のステアリン酸/パルミチン酸混合物、23%のステアリン酸ナトリウム/パルミチン酸ナトリウム混合物、15%の第一級アルコール硫酸ナトリウム塩(Sasolfin 23S)、8%のタルク、5%のグリセリン、5.4%の水及び1%の香料を含有している。
【実施例10】
【0091】
官能パネル結果
皮膚から放出された芳香の測定値の増加がヒトによって実際に知覚できるか否かを判断するために、熟練の官能パネルを使用してこれらの製品で洗浄した腕の芳香強度を評価及び測定した。この試験で比較した2つの製品は実施例9の製品1(85/15セッケン対照)及び製品10(低有効成分バー)であった。この試験は、ヒトの嗅覚が2.5以上のPEFを知覚できるか否かに関する情報を提供するであろう。
【0092】
この試験では、個人差(付着量の違い、香りに対する嗅覚の違い、バックグラウンド臭の違い)による芳香特性の違いを考慮する必要なく評価できるように、すべての“洗浄対象”を双方の製品によって洗浄して製品の直接比較を行った。こうすれば、洗浄された個体の特質にかかわりなく製品性能を比較できる。結果を表2に示し、官能レスポンスを、異なる時点の3回の洗浄全部に対してパネリストが記録した評価得点の平均として記録した。
【0093】
【表3】

【0094】
表2の結果は、全部で6回洗浄した腕に対して洗浄の5分後及び60分後にパネルが与えた平均得点を表す。各人が双方の製品を使用し、一方の腕を一方の製品、他方の腕を他方の製品で洗浄した(洗浄する腕は無作為)。結果から極めて明らかなように、製品10で洗浄した皮膚の芳香効果は製品1で洗浄した効果よりも大きいことが知覚され、これらの差は95%信頼レベルまで有効であった。官能パネル結果は、分析測定値と十分に符合し、2.5を上回るPEFが測定可能であった他の製品についても同様の結果が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.5−35%の1種または複数の可溶性界面活性有効成分、
(b)香料、
(c)0.5−20重量%の水、
(d)0.1−99重量%の充填剤と、
を含み、
溶解度が40℃の水に約1重量%を上回る界面活性有効成分または界面活性有効成分の組合せの溶解によって定義されること、及び、
バーが標準対照から付着した香料に対するバーから付着した香料の比に基づいて2.2以上の性能増進率を有しているバー組成物。
【請求項2】
30重量%以下の可溶性界面活性有効成分を含有している請求項1に記載のバー組成物。
【請求項3】
界面活性有効成分がアニオン性、非イオン性、両性/双イオン性/カチオン性の界面活性剤及びそれらの混合物から選択される請求項1または2に記載のバー組成物。
【請求項4】
界面活性剤、水または香料以外はすべて充填剤である請求項1から3のいずれか一項に記載のバー組成物。
【請求項5】
充填剤が、ポリエチレングリコール、デンプン、マルトデキストリン、多糖類またはそれらの混合物を含む請求項4に記載のバー組成物。
【請求項6】
充填剤が長鎖飽和脂肪酸と長鎖飽和脂肪酸セッケンとの混合物である請求項4に記載のバー組成物。
【請求項7】
最終セッケン/脂肪酸混合物中に0−12.5モル%の不飽和脂肪酸と5重量%未満のC14以下の鎖長を含む請求項6に記載のバー組成物。
【請求項8】
バーが2.3以上のPEFを有している請求項1から7のいずれか一項に記載のバー組成物。
【請求項9】
バーが2.5以上のPEFを有している請求項1から8のいずれか一項に記載のバー組成物。
【請求項10】
(a)界面活性剤、(b)香料、(c)水及び(d)充填剤を含むバーの香料性能を増進させるために、不溶性界面活性有効成分及び/または充填剤に相対的な可溶性界面活性剤レベルを低下させる処理を含む方法。
【請求項11】
得られたバーが35重量%未満の可溶性有効成分レベルを有しており、最終バー組成物が2.2以上の香料性能増進率を有している請求項10に記載の方法。
【請求項12】
香料性能が、付着及び/または持続の増進によって示される請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
可溶性有効成分含量に相対的な香料レベルを上昇させる処理を含むバーの香料性能の増進方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−211328(P2012−211328A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−128601(P2012−128601)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2006−548155(P2006−548155)の分割
【原出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】