説明

芳香剤容器

【課題】必要な時にのみ容器から芳香が排出されるとともに、室内に効果的に芳香を行き渡らせることができる芳香剤容器を提供する。
【解決手段】室内RIのドア22付近に配置される芳香剤容器10において、芳香剤20を内部に収容可能な収容部11と、前記収容部11の内部11cと連通する吸気口13を形成した吸気部12と、前記収容部11の内部11cと連通する排気口15を形成した排気部14と、を備えるようにした。また、前記吸気口13または前記排気口15の少なくともいずれかが、床面21と前記ドア22下部との間の間隙から流入する空気の流通路Pに向けて開口するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芳香剤容器に関し、特に、必要な時にのみ容器から芳香が排出される芳香剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な芳香剤容器が実用に供されている。例えば、特許文献1には、内部に揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤を収容した箱状の芳香剤容器が開示されている。こうした芳香剤容器は、表面開口から外部の空気が内部に流れ込み、この空気が芳香剤の周囲を流通することで芳香を放出するようになっている。
【0003】
また、このような芳香剤容器としてトイレ用のものが一般に使用されている。トイレ用の芳香剤容器は、例えばトイレ内の換気扇によって空気が吸い込まれることによって生まれる気流によって芳香を放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−253054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したような従来のトイレ用の芳香剤容器では、芳香剤が常時気化してトイレ内に放出されており、人がトイレを利用していないときでも芳香を出すという無駄があった。また、芳香剤が常時気化して放出されることで、トイレ内に必要以上の芳香が充満し、芳香剤の匂いが強すぎるという問題があった。
【0006】
また、このような芳香剤容器を邪魔にならない便器裏の床などに置いた場合、換気扇が始動したときに床に置かれた芳香剤容器から発生する芳香は、換気扇によって空気が吸い込まれることによって生まれる気流に沿って直線的に換気扇に向かって流れて外に排出されるため、必ずしもトイレ室内に効果的に行き渡らないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、必要な時にのみ容器から芳香が排出されるとともに、室内に効果的に芳香を行き渡らせることができる芳香剤容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の芳香剤容器は、室内のドア付近に配置される芳香剤容器であって、芳香剤を内部に収容可能な収容部と、前記収容部の内部と連通する吸気口を形成した吸気部と、前記収容部の内部と連通する排気口を形成した排気部と、を備え、前記吸気口または前記排気口の少なくともいずれかが、床面と前記ドア下部との間の間隙から流入する空気の流通路に向けて開口していることを特徴とする。
【0011】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0012】
すなわち、前記吸気口は、前記空気の流通路において室外側に向けて開口していることを特徴とする。
【0013】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、前記排気口は、前記空気の流通路において室内側に向けて開口していることを特徴とする。
【0015】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、前記ドアの下縁を狭持するための狭持部を備え、この狭持部が前記ドアの下縁を狭持することにより前記ドアの下部に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、前記吸気口または前記排気口の少なくともいずれかが、床面と前記ドア下部との間の間隙から流入する空気の流通路に向けて開口しているため、床面と前記ドア下部との間の間隙に発生する気流を利用して効率的に芳香を室内に分布させることができる。
【0018】
特に、この芳香剤容器をトイレに配置した場合には、ほとんどの集合住宅ではトイレの天井近くに換気扇が設置されており、トイレ室内への空気の取り込みのためにドアの下部に間隙が開いているため、ドア下部付近から放出された芳香が天井近くの換気扇まで気流に乗って流れ、トイレ室内全体に芳香を行き渡らせることができる。
【0019】
そして、換気扇が止まれば(すなわち、臭いが消えて換気が必要なくなれば)芳香の放出も止まるため、無駄な芳香の放出がされず、室内に必要以上の芳香が充満することもない。しかも、このような効果を、光センサーなど電子回路や、芳香の排出のための能動的な機構部品、ガスなどを必要とせずに実現することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記吸気口は、前記空気の流通路において室外側に向けて開口している。このため、室外から室内へと空気が流れ込んだときに、この流れ込んだ空気が吸気口を通って芳香剤を収容した収容部の内部に流れ込むので、芳香剤の周囲に空気の流れが発生して芳香を放出させることができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記排気口は、前記空気の流通路において室内側に向けて開口している。このため、排気口は、室外から室内へと流れ込む空気の流れを妨げないようになっている。しかも、排気口が空気の流通路に配置されているため、ドア下部の間隙から流入する空気が排気口の近傍を通過する際に排気口に対し負圧を発生させ、その負圧により容器内の空気を外に排出することができ、芳香を放出させることができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記ドアの下縁を狭持するための狭持部を備え、この狭持部が前記ドアの下縁を狭持することにより前記ドアの下部に固定される。このため、芳香剤容器を床に置く必要がないので、床掃除の際などに邪魔になることがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】芳香剤容器を上から見た斜視図である。
【図2】芳香剤容器の下から見た斜視図である。
【図3】芳香剤容器の(a)側面図、(b)正面図、(c)背面図である。
【図4】ドア付近の空気の流れを説明する断面図である。
【図5】芳香剤容器の取り付け例を示す図である。
【図6】変形例に係る芳香剤容器の取り付け例を示す図である。
【図7】変形例に係る芳香剤容器の斜視図である。
【図8】変形例に係る芳香剤容器(a)側面図、(b)正面図、(c)平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、芳香剤容器10を室内RIに設置したときに、室内RIに臨む側の面を前面、その裏側の面を背面として説明する。
【0025】
本実施形態に係る芳香剤容器10は、内部に芳香剤20を収容してトイレなどの室内に配置され、室内に芳香を放出するものである。
【0026】
この芳香剤容器10は、室内RIのドア22付近に配置されるものであって、図1〜4に示すように、芳香剤20を内部11cに収容可能な収容部11と、前記収容部11の内部11cと連通する吸気口13を形成した吸気部12と、前記収容部11の内部11cと連通する排気口14を形成した排気部15と、前記ドア22の下縁を狭持するための狭持部14を備えている。
【0027】
収容部11は、箱形形状をしており、内部11cに芳香剤20を収容するための空間を有している。なお、特に図示しないが、この収容部11を2つ以上の部材から構成し、この2つ以上の部材を結合させるなどして収容部11を形成してもよい。例えば、収容部11を、本体部と蓋部とから構成し、蓋部を本体部から取り外すことで内部11cに収容した芳香剤20を交換可能とし、芳香剤20を交換後に再び蓋部を本体部に取り付けることで収容部11を閉じるようにしてもよい。
【0028】
吸気部12は、収容部11の下面11aにおいて下方に突出するように収容部11に一体的に形成された部位である。この吸気部12は、後述する狭持溝16cと平行に筋状に設けられている。この吸気部12は、前面12aが曲面となっており、また、背面12bが鉛直な面となっている。なお、この鉛直な背面12bには、収容部11の背面側に向けて開口する吸気口13が形成されている。
【0029】
排気部14は、上記した吸気部12と同様に、収容部11の下面11aにおいて下方に突出するように収容部11に一体的に形成された部位である。この排気部14も、後述する狭持溝16cと平行に筋状に設けられており、上記した吸気部12よりも前方に配置されている。この排気部14は、前面14aが鉛直な面となっており、また、背面14bが曲面となっている。なお、鉛直な前面14aには、収容部11の前面側に向けて開口する排気口15が形成されている。
【0030】
狭持部14は、ドア22の下縁22aを狭持するための部位であり、収容部11の背面11bにおいて後方に突出するように収容部11に固定された部位である。この狭持部14は、上向きに開口したコ字状であり、収容部11の背面11bに固定された第1垂直板部16aと、この第1垂直板部16aの下端から水平方向に延設された水平板部16bと、この水平板部16bの端部から上向きに延設された第2垂直板部16cと、を備えている。これにより、狭持部14は、収容部11の背面11bに上向きに開口した狭持溝16dを形成している。
【0031】
この芳香剤容器10は、図4及び図5に示すように、上記した狭持部14がドア22の下縁22aを狭持することにより、ドア22の下部に固定される。詳しくは、トイレなどの室内においては、室内RIへの空気の取り込みのためにドア22の下部に間隙が開いているため、この間隙を利用して芳香剤容器10が取り付けられる。
【0032】
このとき、芳香剤容器10の下部に突出した吸気部12及び排気部14は、ドア22の下端よりも下方に突出しているため、吸気口13及び排気口15もドア22の下端よりも下方において開口している。このため、吸気口13及び排気口15は、床面21とドア22下部との間の間隙から流入する空気の流通路Pに向けて開口することとなっている。
【0033】
すなわち、図5に示すように、室内RIの天井付近に設けられた換気扇23が作動して空気が吸い込まれると、室内RIの気圧が下がるので、床面21とドア22下部との間の間隙から空気が流入する。この床面21とドア22下部との間の間隙から流入する空気の流通路Pに臨むように吸気口13及び排気口15が設けられている。
【0034】
このとき、吸気口13は、図4に示すように、空気の流通路Pにおいて室外RO側に向けて開口している。このため、室外ROから室内RIへと空気が流れ込んだときに、この流れ込んだ空気が吸気口13を通って芳香剤20を収容した収容部11の内部11cに流れ込むので、芳香剤11の周囲に空気の流れが発生して芳香剤11を気化させ、芳香を放出させることができる。
【0035】
また、排気口15は、空気の流通路Pにおいて室内RI側に向けて開口している。このため、吸気口13から収容部11の内部11cへと流れ込んだ空気は、排気口15を通って室内RIへと放出される。
【0036】
また、排気口15が室内RI側に向けて開口しており、また、排気部14の室外RO側の面(背面14b)が曲面であり、更に、空気の流通路Pの上流側から見たときに排気部14が吸気部12に隠れる位置にあるため、排気口15は室外ROから室内RIへと流れ込む空気の流れを妨げないようになっている。
【0037】
しかも、この排気口15が空気の流通路Pに配置されているため、ドア22下部の間隙から流入する空気が排気口15の近傍を通過する際に排気口15に対し負圧を発生させ、その負圧により芳香剤容器10内の空気が外に排出されるようになっており、吸気口13から流れ込む空気の圧力と併せて効果的に芳香を放出させることができる。
【0038】
上記した芳香剤容器10によれば、吸気口13及び排気口15が、床面21とドア22下部との間の間隙から流入する空気の流通路Pに向けて開口しているため、床面21とドア22下部との間の間隙に発生する気流を利用して効率的に芳香を室内に分布させることができる。
【0039】
特に、この芳香剤容器10をトイレに配置した場合には、ほとんどの集合住宅ではトイレの天井近くに換気扇23が設置されており、トイレ室内RIへの空気の取り込みのためにドア22の下部に間隙が開いているため、ドア22下部付近から放出された芳香が天井近くの換気扇23まで気流に乗って流れ、トイレ室内全体に芳香を行き渡らせることができる。
【0040】
そして、換気扇23が止まれば(すなわち、臭いが消えて換気が必要なくなれば)芳香の放出も止まるため、無駄な芳香の放出がされず、室内RIに必要以上の芳香が充満することもない。しかも、このような効果を、光センサーなど電子回路や、芳香の排出のための能動的な機構部品、ガスなどを必要とせずに実現することができる。
【0041】
また、芳香剤容器10は、狭持部16がドア22の下縁を狭持することによりドア22の下部に固定されるため、芳香剤容器10を床に置く必要がないので、床掃除の際などに邪魔になることがない。
【0042】
なお、上記実施形態においては、狭持部16で狭持することで芳香剤容器10をドア22に固定することとしたが、本発明の実施形態としてはこれに限らない。例えば、芳香剤容器10をドア22に接着により固定するなどの他の固定方法を用いてもよい。例えば、上記実施形態の狭持部16を収容部11から取り外し可能に形成し、狭持部16の代わりに両面テープなどを設けるようにしてもよい。
【0043】
また、芳香剤容器10をドア22に固定せずに、ドア22周囲の壁面に固定したり、ドア22近傍の床面21に設置したりしてもよい。例えば、図6〜8に示すような芳香剤容器10を使用してもよい。
【0044】
この図6〜8に示す芳香剤容器10は本実施形態の一つの変形例である。
【0045】
この芳香剤容器10は、管状の吸気部12及び排気部14を備えている。この管状の吸気部12及び排気部14は、芳香剤容器10の同じ側面から同じ方向に同じ長さで突出している。また、吸気部12の先端には吸気部12の長手方向と直交する方向に向けて吸気口13が開口しており、排気部14の先端にも排気部14の長手方向と直交する方向に向けて排気口15が開口している。この吸気口13と排気口15とは互いに逆方向に向けて開口している。
【0046】
この芳香剤容器10は、図6に示すように、吸気口13が室外RO側に、排気口15が室内RI側に開口するように、室内RIのドア22下部近傍に配置される。例えば、ドア22下部近傍の壁面に固定されたり、ドア22下部近傍の床面21に置かれたりする。このとき、吸気部12及び排気部14の先端が、床面21とドア22下部との間の間隙にまで延設される。このような芳香剤容器10を使用すれば、ドア22に直接芳香剤容器10を固定しなくても、吸気口13や排気口5を空気の流通路Pに向けて開口させることができる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、吸気口12と排気口14との両方が空気の流通路Pに向けて開口している態様について説明したが、これに限らず、吸気口12または排気口14のいずれかのみが空気の流通路Pに向けて開口している形状としてもよい。
【0048】
また、芳香剤容器10の表面をドア22と同じような木目模様のフィルムで覆い、違和感をなくすような意匠にしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 芳香剤容器
11 収容部
11a 下面
11b 背面
11c 内部
12 吸気部
12a 前面
12b 背面
13 吸気口
14 排気部
14a 前面
14b 背面
15 排気口
16 狭持部
16a 第1垂直板部
16b 水平板部
16c 第2垂直板部
16d 狭持溝
20 芳香剤
21 床面
22 ドア
22a 下縁
23 換気扇
24 壁面
RI 室内
RO 室外
P 空気の流通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内のドア付近に配置される芳香剤容器であって、
芳香剤を内部に収容可能な収容部と、
前記収容部の内部と連通する吸気口を形成した吸気部と、
前記収容部の内部と連通する排気口を形成した排気部と、
を備え、
前記吸気口または前記排気口の少なくともいずれかが、床面と前記ドア下部との間の間隙から流入する空気の流通路に向けて開口していることを特徴とする、芳香剤容器。
【請求項2】
前記吸気口は、前記空気の流通路において室外側に向けて開口していることを特徴とする、請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項3】
前記排気口は、前記空気の流通路において室内側に向けて開口していることを特徴とする、請求項1又は2記載の芳香剤容器。
【請求項4】
前記ドアの下縁を狭持するための狭持部を備え、この狭持部が前記ドアの下縁を狭持することにより前記ドアの下部に固定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香剤容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−102980(P2013−102980A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249039(P2011−249039)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000225740)南部化成株式会社 (41)
【Fターム(参考)】