説明

芳香成分としてのフェノールエステル

本発明は、香料の分野に関する。より特定には、式(I) [式中、RはC2〜C6−分枝鎖アルキル基またはC2〜C6−直鎖または分枝鎖アルケニル基またはシクロプロピル含有炭化水素基を表す] のいくつかのフェノールエステルの、芳香成分としての使用に関する。本発明は、前記化合物を含有する組成物または物品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、香料の分野に関する。より特定には、それは、本明細書の中で定義されるいくつかのフェノールエステルの、芳香成分としての使用に関する。さらに本発明は、本発明の化合物が芳香組成物の一部であるか、または芳香性消費者製品の一部である態様も含む。
【0002】
先行技術
いくつかのフェノールエステルは、香料産業のために興味深い可能性がある匂いまたは味を有するとして、先行技術から公知である。参考文献、例えばS.Arctander (Perfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、ニュージャージー、米国)による本(第1164、2491、2499、2500、2504、2508および2607)内に列挙されるものを引用できる。全てのそれらの材料は、スイート/ハチミツ/バルサムおよび/またはフローラルおよび/またはフルーティタイプのノートを特徴とする。
【0003】
フェニル3−メチル−ブタノエートは、エーテル性(即ちフローラルスイート)の匂いおよび不快な匂いを有するとして報告されている(J.Chem.Soc、1915、Abstracts、110、33参照)。
【0004】
本発明の化合物のいくつかは、先行技術から公知であるが、それらのいずれも、潜在的に匂いを有するとして報告または示唆されておらず、いわんや潜在的に芳香成分として報告または示唆もされていない。例えば、フェニル4−ペンテノエートは、ピペリジノンを得るためのラジカル過程における中間体として言及されている (例えばJ.Am.Chem.Soc 2007、129、12662参照)。フェニル4−メチルオクタノエートは、先行技術においても公知であり(CN101274891号またはCA 2008:1196283号を参照)、且つ、前記エステルは、3−メチルヘプタン酸のいくつかの誘導体の合成における化学的な中間体として言及されている。
【0005】
しかしながら、上述の通り、それらの先行技術文献のいずれも、化学式(I)の化合物のいかなる官能特性も、または前記化合物の香料の分野におけるいかなる使用も、報告または示唆していない。
【0006】
発明の説明
我々はこの度、意外にも、式
【化1】

[式中、
RはC2〜C6−分枝鎖アルキル基またはC2〜C6−直鎖または分枝鎖アルケニル基またはシクロプロピル含有炭化水素基を表す]
の化合物が、芳香成分として、例えばカストリウムの動物の匂いのノートおよび/またはコスツスタイプを付与するために使用できることを発見した。
【0007】
明確化のために、表記「シクロプロピル含有炭化水素基」または類似のものによって、当業者によって理解される通常の意味、即ち、シクロプロピル部分を含む炭化水素基を意味する。
【0008】
本発明の特定の実施態様によれば、RはC3またはC6の分枝鎖アルキル基またはC2〜C4−直鎖または分枝鎖アルケニル基またはシクロプロピル含有炭化水素基、例えばビニルまたはシクロプロピルを表す。本発明の特定の実施態様によれば、RはC2、C3またはC4の直鎖または分枝鎖アルケニル基を表す。
【0009】
本発明の特定の実施態様によれば、RはC2、C3またはC4の直鎖または分枝鎖アルカ−1−エンイル基、例えばビニル基を表す。
【0010】
本発明の化合物の特定の例として、限定されない例として、フェニル4−ペンテノエートを挙げることができ、それは新鮮且つ天然の動物/カストリウムノートを有し、天然のカストリウム油を非常に近く想起させる。実際に、この化合物は、様々な理由ゆえに利用がますます制限されているカストリウム油の天然または合成の再構成物のための価値ある代替品である。
【0011】
他の例として、フェニル4−メチルオクタノエートを挙げることができ、それは革のような様相とともに、動物/コスツスノートを有する。
【0012】
本発明の化合物の他の特定の、しかし限定されない例として、以下の表1内のものを挙げることができる:
【表1】

【0013】
本発明の特定の実施態様によれば、式(I)の化合物はフェニル4−ペンテノエートまたはフェニル(E)−ヘキサ−4−エノエートである。
【0014】
実際に、本発明の化合物は、著しいフローラルのノートが欠けているか、または保有していない。さらに、本発明の化合物の匂いは、先行技術の化合物のいくつかの特徴でもある著しい刺激性および/またはハチミツおよび/またはフローラルタイプのノートも欠けているか、または保有していない。前記の違いは、本発明の化合物および先行技術の化合物が、それぞれ、異なる用途のために適していること、即ち、異なる官能性の印象を付与することをもたらす。
【0015】
上述の通り、本発明は式(I)の化合物の芳香成分としての使用に関する。言い換えれば、芳香組成物または着香物品の匂い特性を付加し、強化し、改善または修正する方法であって、前記の組成物または物品に少なくとも効果的な量の式(I)の化合物を添加することを含む方法に関する。「式(I)の化合物の使用」とは、ここでは、化合物(I)を含有し、且つ香料産業において有利に用いることができる任意の組成物の使用としても理解されるべきである。
【0016】
実際に芳香成分として有利に用いることができる前記組成物も本発明の対象である。
【0017】
従って、本発明の他の対象は、以下を含む芳香組成物である:
i) 芳香成分として、上記で定義された少なくとも1つの本発明の化合物;
ii) 香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1つの成分; および
iii) 場合により少なくとも1つの香料補助剤。
【0018】
「香料担体」とは、ここで、香料の観点から実質的に中性である、即ち、芳香成分の官能特性を著しく変更しない材料を意味する。前記の担体は液体または固体であってよい。
【0019】
液体担体としては、限定されない例として、乳化系、即ち、溶剤および界面活性剤系、または香料において一般的に使用される溶剤を挙げることができる。香料において一般に使用される溶剤の性質および種類の詳細な説明は、網羅できない。しかしながら、限定されない例として、溶剤、例えばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノールまたはクエン酸エチルを挙げることができ、それらが最も一般的に使用されている。香料担体と香料ベースとの両方を含む組成物のために、先に特定されたものの他の適した香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン類、イソパラフィン、例えば商標Isopar(登録商標) (製造元: Exxon Chemical)の下で公知のもの、またはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えば商標Dowanol (登録商標)(製造元: Dow Chemical Company)の下で公知のものであってもよい。
【0020】
固体担体として、限定されない例として、吸収ゴムまたはポリマー、またはさらにカプセル化された材料を挙げることができる。かかる材料の例は、壁形成材料および可塑化材料、例えば単糖類、二糖類または三糖類、天然または化工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチン、またはさらに参考文献、例えばH.Scherz, Hydrokolloids:Stabilisatoren,Dickungs− und Geliermittel in Lebensmittel,Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie,Lebensmittelqualitaet,Behr’s Verlag GmbH & Co.,ハンブルグ,1996内に挙げられている材料を含んでよい。カプセル化は当業者によく知られた方法であり、且つ、例えば噴霧乾燥、凝塊形成またはさらに押出しなどの技術を使用して実施できるか、または、例えばコアセルベーションおよび複合コアセルベーション技術を含む、被覆カプセル化からなる技術を使用して実施できる。
【0021】
「香料ベース」とは、ここで、少なくとも1つの芳香相互成分を含む組成物を意味する。
【0022】
前記の芳香相互成分は、式(I)のものではない。さらに、「芳香相互成分」とは、ここでは、快い効果を付与するために芳香調製物または組成物中で使用される化合物を意味する。言い換えれば、芳香性のものであるとしてみなされるかかる相互成分は、当業者によって、良い方向にまたは心地よく、組成物の匂いを付与または修正でき、且つ、単に匂いを有するだけではないとして認識されなければならない。
【0023】
ベース中に存在する芳香相互成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を請け負わず、それはいずれにせよ網羅できず、当業者はその一般的な知識に基づき且つ意図される使用または用途および所望の官能効果に従って、それらを選択することができる。一般的な用語においては、これらの芳香相互成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油にまでわたる化学的分類に属し、且つ、前記芳香相互成分は天然または合成由来であってよい。これらの相互成分の多くはいずれにせよ、参考文献、例えばS.Arctanderによる本、Perfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、ニュージャージー、米国、またはそのより最近の版、または同様の性質の他の文献、並びに香料分野における豊富な特許文献内に列記されている。前記の相互成分は、様々な種類の芳香化合物を制御して放出することが知られている化合物であってもよいとも理解される。
【0024】
「香料補助剤」とは、ここで、追加的に加えられる利益、例えば色、特定の耐光性、化学的安定性などを付与できる成分を意味する。芳香ベース中で一般に使用される補助剤の性質および種類の詳細な説明は網羅できないが、しかし、前記の成分は当業者にはよく知られていることに言及しなければならない。
【0025】
式(I)の少なくとも1つの化合物および少なくとも1つの香料担体からなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施態様、並びに少なくとも1つの式(I)の化合物、少なくとも1つの香料担体、少なくとも1つの香料ベース、および随意に少なくとも1つの香料補助剤を含む芳香組成物を表す。
【0026】
上述の組成物において、式(I)の1つより多くの化合物を有する可能性が重要であることに言及することがここで有用であり、なぜなら、それは調香師が本発明の様々な化合物の香気の調性を有する調和物、香料を調製することを可能にし、従って彼らの仕事のための新規のツールを創出するからである。
【0027】
明確化のために、化学合成から直接的に得られる任意の混合物、例えば適正な精製をしていない反応媒体であってその中に本発明の化合物が出発物、中間体または最終生成物として含まれ得るものは、前記混合物が香料のために適した形態で本発明の化合物を提供しない限り、本発明による芳香組成物としてみなすことはできないことも理解される。従って、精製されていない反応混合物は、特段明記されない限り、一般に本発明から除外される。
【0028】
さらには、本発明の化合物を現代の香料の全ての分野、即ち、ファイン香料または機能性香料において有利に使用して、前記の化合物(I)が添加される消費者製品の匂いを良い方向に付与するかまたは修正することもできる。従って、
i) 芳香成分として、上記で定義された式(I)の少なくとも1つの化合物; および
ii) ファイン香料ベースまたは機能性香料ベース;
を含む芳香性消費者製品も、本発明の対象である。
【0029】
明確化のために、「芳香性消費者製品」とは、少なくとも芳香効果を送達することが予想される消費者製品を意味し、言い換えれば、それは着香された消費者製品であることに言及すべきである。明確化のために、「ファイン香料ベースまたは機能性香料ベース」とは、ここで、芳香成分と適合性があり、且つ、それが適用される表面(例えば肌、髪、テキスタイルまたは家の表面)に快い匂いを送達することが予想される消費者製品を意味することに言及すべきである。言い換えれば、本発明による芳香性消費者製品は、機能性配合物、並びに、随意に追加的な利益剤(所望の消費者製品、例えば洗剤または空気清浄剤に相応)、および嗅覚的に有効な量の少なくとも1つの本発明の化合物を含む。
【0030】
ファイン香料ベースまたは機能性香料ベースの成分の性質および種類は、ここではより詳細な説明を請け負わず、それはいずれにせよ網羅できず、当業者はその一般的な知識に基づき、且つ前記製品の性質および所望の効果によって、それらを選択できる。
【0031】
適したファイン香料ベースまたは機能性香料ベースの限定されない例は、香水、例えばファイン香水、コロンまたはアフターシェーブローション; 布地用ケア製品、例えば液体または固体洗剤、布地用柔軟剤、布地用リフレッシャー、アイロン水、紙、または漂白剤; ボディケア製品、例えばヘアケア製品 (例えばシャンプー、染色用調製物またはヘアスプレー)、化粧品 (例えばバニシングクリームまたは消臭剤または制汗剤)、またはスキンケア製品 (例えば着香石鹸、シャワーフォームまたはバスフォーム、オイルまたはジェル、または衛生製品); 空気ケア製品、例えばエアフレッシュナーまたは「すぐ使用できる」粉末化エアフレッシュナー; またはホームケア製品、例えばワイプ、食器用洗剤または硬質表面用洗剤であってよい。
【0032】
上述の消費者製品ベースのいくつかは、本発明の化合物にとって攻撃的な媒体を表すことがあり、従って、後者を時期尚早な分解から、例えばカプセル化によって、またはそれを本発明の成分を適した外部刺激、例えば酵素、光、熱またはpHの変化で放出するために適した他の化学物質と化学的に結合させることによって、保護する必要があることがある。
【0033】
様々な上述の物品または組成物中に混合され得る本発明による化合物の割合は、広範な値に及ぶ。それらの値は着香されるべき物品の性質、および所望の官能効果、並びに、本発明による化合物が当該技術分野で通常使用される芳香相互成分、溶剤または添加剤と混合される場合、所定のベース中での相互成分の性質に依存する。
【0034】
例えば、芳香組成物の場合、典型的な濃度は、混合される組成物の質量に対して、0.1質量%〜10質量%のオーダーであるか、またはさらには本発明の化合物のオーダーである。それらの化合物が着香物品中に混合される場合、それより低い濃度、例えば0.01質量%〜5質量%のオーダーを使用でき、該パーセンテージは物品の質量に対するものである。
【0035】
本発明の化合物を、適切なカルボン酸塩化物のフェノールへの添加、またはその逆を含む方法によって調製できる。当業者は、前記反応をどのように最良に実施できるかをわかっている。
【0036】
実施例
本発明を、ここで以下の実施例を用いてさらに詳細に説明し、その際、省略形は当該技術分野における通常の意味を有し、温度は摂氏度(℃)で示される; NMRスペクトルのデータは(特段述べられない限り)CDCl3において360または400MHz機を用いて1Hおよび13Cについて記録され、ケミカルシフトδは標準としてのTMSに対するppmで示され、結合定数JはHzで表される。
【0037】
実施例1
式(I)の化合物の合成
A) フェニル4−ペンテノエート
4−ペンテノイルクロリド(8.16g、69.1mmol)を、THF(160ml)中のナトリウムフェノキシド(8.02g、69.1mmol)に、20℃で滴下した。20℃で24時間後、H2O(100ml)を添加し、且つ、水相を、Et2O(3×200ml)を用いて抽出した。有機相をNaHCO3(2×200ml)、ブライン(2×200ml)を用いて洗浄して中性にし、その後、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、濃縮し、そしてバルブトゥバルブ(bulb−to−bulb)蒸留して、所望の表題のエステルを90%の収率でもたらす。沸点(B.P.)=70℃/0.04mbar。
【0038】

【0039】
B) フェニル4−メチルオクタノエート
100mlの三口丸底フラスコ内に、9.4gのフェノール(0.1mol)および17.65gの4−メチル−オクタノイルクロリド(0.1mol)を入れた。フェノールの溶解後、混合物をゆっくりと室温から100℃へと加熱して、HClの通例の発生を見た。100℃で2時間後、該混合物を窒素でフラッシングし、そして室温に冷却した。粗反応混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:Et2O 4:1)およびバルブトゥバルブ蒸留(Eb0.27=130〜140℃)によって直接的に精製し、21.80g(収率=93.2%)の純粋なフェニル 4−メチルオクタノエートをもたらした。
【0040】

【0041】
C) フェニル4−メチルペンタノエート
4−メチルペンタノイルクロリド(3.0g、22.3mmol)をフェノール(2.1g、22.3mmol)に滴下した。3時間後、H2Oを添加し、そして反応混合物を、Et2Oを用いて抽出した。該有機相を、NaHCO3を用いて、その後、ブラインを用いて洗浄して中性にし、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、そしてバルブトゥバルブ蒸留をして、表題の化合物を88%の収率でもたらした。
【0042】
沸点=100℃/0.15mbar。
【0043】

【0044】
D) フェニル4−メチルヘキサノエート
C)について記載された方法によって、4−メチルヘキサノイルクロリドを使用して得た; 収率=85%。
【0045】
沸点=100℃/0.1mbar。
【0046】

【0047】
E) (E)−フェニルヘキサ−4−エノエート
C)について記載された方法によって、ヘキサ−4−エノイルクロリドを使用して得た; 収率=85%。
【0048】
沸点=90℃/0.15mbar。
【0049】

【0050】
実施例2
芳香組成物の調製
ハーブ−ウッディ特性を有する男性用オーデコロンを、以下の成分を混ぜ合わせることによって調製した:
成分 質量部
スチラリルアセタート 10
10%* C10 アルデヒド 25
10%* C11のアルデヒド(C11 lenic aldehyde) 10
10%* C12 アルデヒド 10
ヘキシルシンナムアルデヒド 200
10%* MNAアルデヒド 10
10%* Ambrox(登録商標)1) 10
50% *メチル N−(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−1−オクテニル)
アントラニレート 70
アルモワーズ精油 55
ベルガモット精油 55
シトロネロール 10
シトロネリルニトリル 5
クマリン 75
10%* クミン精油 30
ジヒドロミルセノール 30
タラゴン 15
オイゲノール 50
Florol(登録商標)2) 70
70%** Galaxolide(登録商標)3) 260
ゲラニオール精油 10
ゼラニウムバーボン 30
Iralia(登録商標)4) 100
ラバンディングロッソ 50
Lilial(登録商標)5) 70
Lilyflore(登録商標)6) 30
クリスタルモス 30
Muscenone(登録商標)7)デルタ 60
パチュリ 300
フェネチロール 40
Polysantol(登録商標)8) 20
ローズマリー精油 15
Sclareolate(登録商標)9) 80
バニリン 5
Vertofix(登録商標)10) Coeur 210
ベチバーバーボン 50
2100
*ジプロピレングリコール中
**イソプロピルミリステート中
1) (−)−(8R),12−エポキシ−13,14,15,16−テトラノルラブダン; 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) テトラヒドロ−2−イソブチル−4−メチル−4(2H)−ピラノール、製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
3) 1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−g−2−ベンゾピラン; 製造元: International Flavors & Fragrances、米国
4) メチルイオノンの混合物; 製造元: Firmenich SA、スイス
5) 3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール; 製造元: Givaudan−Roure SA、ヴェルニエ、スイス
6) 2,5−ジメチル−2−インダンメタノール; 製造元:Firmenich SA、スイス
7) 3−メチル−(4/5)−シクロペンタデセノン; 製造元: Firmenich SA、スイス
8) 3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール; 製造元: Firmenich SA、スイス
9) プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロパノエート; 製造元: Firmenich SA、スイス
10) メチルセドリルケトン; 製造元: International Flavors & Fragrances、米国。
【0051】
天然のカストリウム油の質量の50質量部の添加が、明らかに顕著な天然の動物/カストリウムのコノテーションを付与した。
【0052】
天然の化合物の代わりに、またはさらにはそれらの合成再構成物の代わりに、100質量部のフェニル−4−ペンテノエートを上述のオーデコロンに添加した場合、得られる効果は、わずかに自然さが少ないものの、非常に類似していた。全体的に本発明の化合物は、天然油またはその再構成物についての優れた代替品であると判断された。
【0053】
実施例3
芳香組成物の調製
合成カストリウムタイプの芳香組成物を、以下の成分を混ぜ合わせることによって調製した:
成分 質量部
10%* フェニルプロピルアセテート 20
10%* アセトフェノン 70
安息香酸 500
ベンジル型アルコール 20
10%* フェニルプロピルアルコール 50
10%* サリチルアルデヒド 25
1%* 4−(4−ヒドロキシ−1−フェニル)−2−ブタノン 40
10%* ボルネオール 25
10%* カルバクロール 25
10%* 2−メトキシ−4−メチルフェノール 20
10%* オイゲノール 5
10%* イソオイゲノール 10
1%* グアイアコール 100
ガージャンバーム(Gurjun Baume) 200
10%* Helional(登録商標)1) 35
メチルフェニルカルビノール 25
エチルグアイアコール 60
10%* オルト−クレゾール 45
10%* フェネチロール 15
4−エチルフェノール 125
10%* 4−メチルフェノール 85
0.1%* メチルサリチレート 50
1550
*ジプロピレングリコール中
1) 3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール; 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス。
【0054】
50質量部のフェニル−4−ペンテノエートの、上述の合成カストリウムへの添加は、元の組成物の動物のノートを明らかに強化し、且つ、天然のコノテーションも香水に付与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
RはC2〜C6−分枝鎖アルキル基またはC2〜C6−直鎖または分枝鎖アルケニル基またはシクロプロピル含有炭化水素基を表す]
の化合物の、芳香成分としての使用。
【請求項2】
Rが、C2、C3またはC4直鎖または分枝鎖アルカ−1−エンイル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記化合物が、フェニル−4−ペンテノエートまたはフェニル(E)−ヘキサ−4−エノエートであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
i) 請求項1で定義された式(I)の少なくとも1つの化合物;
ii) 香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1つの成分; および
iii) 場合により少なくとも1つの香料補助剤
を含む芳香組成物。
【請求項5】
i) 請求項1で定義された式(I)の少なくとも1つの化合物; および
ii) ファイン香料ベースまたは機能性香料ベース
を含む、芳香性消費者製品。
【請求項6】
ファイン香料ベースまたは機能性香料ベースが、香水、布地用ケア製品、ボディケア製品、空気ケア製品またはホームケア製品であることを特徴とする、請求項5に記載の芳香性消費者製品。
【請求項7】
ファイン香料ベースまたは機能性香料ベースが、ファイン香水、コロン、アフターシェーブローション、液体洗剤または固体洗剤、布地用柔軟剤、布地用リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、シャンプー、染色用調製物、ヘアスプレー、バニシングクリーム、消臭剤または制汗剤、着香石鹸、シャワーフォームまたはバスフォーム、オイルまたはジェル、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐ使用できる」粉末化エアフレッシュナー、ワイプ、食器用洗剤または硬質表面用洗剤であることを特徴とする、請求項5に記載の芳香性消費者製品。

【公表番号】特表2012−528916(P2012−528916A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513694(P2012−513694)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052216
【国際公開番号】WO2010/140076
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】