説明

芳香族アミドブロック共重合体及びその製造方法

【課題】 低硬度から高硬度の幅広い硬度域に対応でき、耐熱老化性及び機械特性に優れた熱可塑性エラストマーとしての性質を有する新規な芳香族アミドブロック共重合体及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】 特定の芳香族アミド合物単位からなり、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が10000〜1000000であることを特徴とする芳香族アミドブロック共重合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性エラストマーとしての性質を有し、耐熱老化性及び機械特性に優れた芳香族アミドブロック共重合体、特に繊維、フィルム、シート、ブーツ、ギヤ、チューブ、パッキン、電線被覆などの各種成形材料に適した芳香族アミドブロック共重合体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、リサイクル性、省エネルギー性の観点から、熱可塑性エラストマーによる架橋ゴム代替が進んでいる。熱可塑性エラストマーは、ゴム弾性に富むソフトセグメントと分子鎖拘束相となるハードセグメントから構成され、種々のハードセグメント、ソフトセグメントの組み合わせを用いて各種熱可塑性エラストマーが開発、上市されている。なかでも、ポリアミド系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは耐熱性、耐油性に優れた熱可塑性エラストマーとして自動車部品、電気・電子部品、工業用部品等に幅広く用いられている。ポリアミド系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのハードセグメントは、6−ナイロン、6,6−ナイロン、ポリ(ブチレンテレフタレート)等の高融点を有する高分子化合物から構成されている。しかしながら、これらハードセグメント鎖長には分布があり、温度とともに弾性率が低下し軟化温度の低下を引き起こすという問題、及び物性の温度依存性が大きいという問題があった。また、材料の軽量化、薄肉化が進み、より一層の耐熱性を有する熱可塑性エラストマーの創出が望まれている。
【0003】
上記問題を解決するために高結晶性、高融点を有する鎖長の均一な芳香族オリゴマーをハードセグメントとする新しいタイプの熱可塑性エラストマーが提案されている。例えば4,4’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルをハードセグメントとし、脂肪族ポリエステル単位をソフトセグメントとする低硬度かつ耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
また、高結晶性、高融点の芳香族アミドエステル化合物をハードセグメントとし、ソフトセグメントにポリ(オキシアルキレン)単位を用いた熱可塑性エラストマーが提案されている。例えば芳香族ジカルボン酸化合物と芳香族ジアミン化合物からなる芳香族アミドエステル化合物とポリ(オキシアルキレン)グリコールとの溶融重縮合法により得られる熱可塑性エラストマー(例えば特許文献2参照。)、芳香族ジカルボン酸化合物と芳香族アミノカルボン酸化合物からなる芳香族アミドエステル化合物とポリ(オキシアルキレン)グリコールとの溶融重縮合により得られる熱可塑性エラストマー(例えば特許文献3参照。)が提案されている。
【0005】
さらに芳香族アミドエステル化合物と末端ヒドロキシル化エチレン/ブチレン共重合体等のポリオレフィンポリオールとの溶融重縮合法により得られる熱可塑性エラストマー(例えば特許文献4参照。)、活性末端芳香族アミドエステル化合物とポリエステル系ポリオール、ポリ(オルガノシロキサン)系ポリオールとの重縮合反応により得られる熱可塑性エラストマー(例えば特許文献5参照。)及びその製造方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平02−276817号公報
【特許文献2】特開平06−207006号公報
【特許文献3】特開平06−207007号公報
【特許文献4】特開平08−253569号公報
【特許文献5】特開平08−134210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に提案された方法では、反応温度が非常に高いためソフトセグメントである脂肪族ポリエステルが熱分解や解重合を来しやすく、その結果、高分子量体の製造が困難であるばかりかソフトセグメントの連鎖長が不均一となるため機械特性の悪化を招く恐れがある。
【0008】
特許文献2,3,4に提案された方法で得られる熱可塑性エラストマーは、高融点、高軟化温度を有するものの、強度が低く長期耐熱性の面で不十分であった。
【0009】
特許文献5に提案された方法で得られる熱可塑性エラストマーは、長期耐熱性の改善が認められるものの、強度が低いという問題点を解決するにいたっていない。また、活性末端芳香族アミド化合物の合成に高価なアミノ安息香酸を用いており、煩雑な合成工程を必要とするため経済性の面でも問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、低硬度から高硬度の幅広い硬度域に対応でき、耐熱老化性及び機械特性に優れた熱可塑性エラストマーとしての性質を有する新規な芳香族アミドブロック共重合体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、ハードセグメントに特定の芳香族アミド単位を用いた芳香族アミドブロック共重合体が耐熱老化性及び機械特性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される芳香族アミド化合物単位と下記一般式(2)および/または(3)の構造単位からなり、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が10000〜1000000であることを特徴とする芳香族アミドブロック共重合体及びその製造方法に関するものである。
【0013】
【化1】

(1)
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価のアルキレン基、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜20の2価のアリーレン基を示す。)
【0014】
【化2】

(2)
【0015】
【化3】

(3)
(ここで、G、Gはポリエステル残基、Gはジオール化合物残基またはポリオール化合物残基を示し、Xは下記一般式(4)〜(5)に示される群から選ばれる少なくとも1種以上の鎖延長成分単位を示す。)
【0016】
【化4】

(4)
(ここで、Rはそれぞれ独立して炭素数2〜20の2価のアルキレン基、Rはカルボニル基または炭素数2〜20の2価の有機基、p、qは0または1を示す。)
【0017】
【化5】

(5)
(Rは炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示す。)
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の芳香族アミドブロック共重合体は、一般式(1)で示される芳香族アミド化合物単位と一般式(2)および/または(3)の構造単位からなる芳香族アミドブロック共重合体である。
【0019】
ここで、一般式(1)に示されるRおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価のアルキレン基であり、該アルキレン基としては直鎖状又は分岐状であってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の無置換アルキレン基またはこれらにメチル基、エチル基のようなアルキル置換基もしくはフェニル基のようなアリール置換基が1個以上結合したものが挙げられる。なかでも、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基が好ましい。
【0020】
一般式(1)中のArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜20の2価のアリーレン基である。その具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0021】
【化6】

なかでも、耐熱老化性及び機械特性のバランスに優れる芳香族アミドブロック共重合体が製造可能であることから、
【0022】
【化7】

が好ましく、特に1,4−フェニレン基が好ましい。
【0023】
一般式(2)に示されるG、Gを構成するポリエステル残基としては、構造に関して特に制限はなく、ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを重縮合することによって得られるポリエステル残基やポリラクトン残基を挙げることができる。該ジカルボン酸化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が、該ジオール化合物としては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。ポリエステル残基としては、前記ジカルボン酸化合物と前記ジオール化合物を重縮合することにより得られ、具体例な化合物としては、ポリ(エチレンアジペート)残基、ポリ(テトラメチレンアジペート)残基、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)残基等が挙げられる。
【0024】
また、ポリラクトン残基としては、例えば、ポリ(プロピオラクトン)残基、ポリ(ブチロラクトン)残基、ポリ(バレロラクトン)残基、ポリ(カプロラクトン)残基、ポリ(メチルバレロラクトン)残基、ポリ(エナントラクトン)残基、ポリ(カプリロラクトン)残基等が挙げられる。
【0025】
これらのポリエステル残基の中でも、耐熱老化性に優れた芳香族アミドブロック共重合体となることから、ポリラクトン残基が好ましく、その中でも特にポリ(カプロラクトン)残基が好ましい。
【0026】
また、一般式(3)に示されるGを構成するジオール化合物残基またはポリオール化合物残基としては、構造に関して特に制限はなく、その中でも機械特性に優れた芳香族アミドブロック共重合体となることから、ポリ(オキシアルキレン)系ポリオール残基、ポリ(オルガノシロキサン)系ポリオール残基、脂肪族炭化水素系ジオール残基、脂肪族炭化水素系ポリオール残基、脂環式炭化水素系ポリオール残基、ポリエステル系ポリオール残基、ポリカーボネート系ポリオール残基、ポリ(ビニルエーテル)系ポリオール残基からなる群から選ばれる1種以上のジオール化合物残基またはポリオール化合物残基であることが好ましい。ここで、ジオール化合物残基としては両末端に水酸基を2個持つ化合物からなるジオール化合物から誘導され、ポリオール化合物残基としては、両末端に水酸基を2個持つ重合体からなるポリオール化合物から誘導される残基である。なお、ポリオール化合物の分子量としては、特に制限はなく如何なるものも使用でき、その中でも取り扱い易さに優れる芳香族アミドブロック共重合体が得られることから数平均分子量が300〜10000の範囲であることが好ましく、特に、500〜5000の範囲であることが好ましい。
【0027】
を構成するポリ(オキシアルキレン)系ポリオール残基としては、例えばポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)、ポリ(オキシヘキサメチレン)、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)のエチレンオキシド付加重合体等から誘導されるポリ(オキシアルキレン)系ポリオール残基が挙げられる。
【0028】
また、Gを構成するポリ(オルガノシロキサン)系ポリオール残基としては、例えば下記一般式(9)、(10)で示されるものが挙げられる。
【0029】
【化8】

(9)
(式中、R10〜R15はそれぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。R16、R17はそれぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示し、mは4〜150の整数を示す。)
ここで、R10〜R15はそれぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基で、同一でも異なっていてもよい。該炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等の置換又は無置換のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の置換又は無置換のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基等の置換又は無置換のアルケニル基が挙げられる。
【0030】
16、R17はそれぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、同一でも異なっていてもよく、該炭化水素基は直鎖状又は分岐状でもよい。該炭化水素基としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等を挙げることができる。
【0031】
【化9】

(10)
(式中、R18〜R21はそれぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、nは4〜150の整数を示す。)
ここで、R18〜R21はそれぞれ置換又は無置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基で、同一でも異なっていてもよい。該炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等の置換又は無置換のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の置換又は無置換のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基等の置換又は無置換のアルケニル基が挙げられる。
【0032】
また、Gを構成する脂肪族炭化水素系ジオール残基としては、例えば、1,2−エタンジオール残基、1,2−プロパンジオール残基、1,3−プロパンジオール残基、1,3−ブタンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール残基、1,5−ペンタンジオール残基、1,6−ヘキサンジオール残基、1,9−ノナンジオール残基等の脂肪族炭化水素系ジオール残基等が挙げられる。
【0033】
を構成する脂肪族炭化水素系ポリオール残基としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類の単独重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の両末端をヒドロキシル化した両末端ヒドロキシポリオレフィンから誘導されるポリオレフィン残基;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系炭化水素の両末端をヒドロキシル化した両末端ヒドロキシポリ(ジエン)から誘導されるポリ(ジエン)残基;該ポリ(ジエン)の二重結合を水素添加した両末端ヒドロキシ水素添加ポリ(ジエン)から誘導される水素添加ポリ(ジエン)残基等の脂肪族炭化水素系ポリオール残基を挙げることができる。
【0034】
また、Gを構成する脂環式炭化水素系ポリオール残基としては、例えば一般式(11)で示されるものが挙げられる。
【0035】
【化10】

(11)
(式中、R22、R23はそれぞれアルキレン基、R24、R25はそれぞれアルキル基を示し、R22〜R25の炭素数の総和は22〜34である。)。
【0036】
該脂環式炭化水素系ポリオール残基の具体例としては、例えばリノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸を二量化し水素添加して得られる水素添加ダイマージオールから誘導される脂環式炭化水素系ポリオール残基等が挙げられる。中でもR22〜R25の炭素数の総和が28の水素添加ダイマージオールから誘導される脂環式炭化水素系ポリオール残基が入手が容易であることから好ましい。
【0037】
また、Gを構成するポリエステル系ポリオール残基としては、構造に関して特に制限はなくジカルボン酸化合物と脂肪族ジオール化合物とを重縮合することによって得られるポリエステル系ポリオール残基やポリラクトン系ポリオール残基を挙げることができる。上記ジカルボン酸化合物としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等、上記脂肪族ジオール化合物としては、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。ポリエステル系ポリオール残基としては、前記ジカルボン酸化合物と前記ジオール化合物を重縮合することにより得られ、具体的な化合物としては、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)等から誘導されるポリエステル系ポリオール残基が挙げられる。
【0038】
また、ポリラクトン系ポリオール残基としては、例えばポリ(プロピオラクトン)、ポリ(ブチロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(メチルバレロラクトン)、ポリ(エナントラクトン)、ポリ(カプリロラクトン)等から誘導されるポリラクトン系ポリオール残基が挙げられる。
【0039】
を構成するポリカーボネート系ポリオール残基としては、構造に関して特に制限はなく上述の脂肪族ジオール化合物と炭酸エステルもしくはホスゲンを反応させて得られるポリカーボネート系ポリオール残基を挙げることができ、例えばポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(テトラメチレンカーボネート)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(3−メチル−ペンタメチレンカーボネート)、ポリ(ノナンメチレンカーボネート)、ポリ(ノナンジオール/メチルオクタンジオールカーボネート)、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオールカーボネート)等から誘導されるポリカーボネート系ポリオール残基が挙げられる。
【0040】
また、Gを構成するポリ(ビニルエーテル)系ポリオール残基としては、ビニルエーテルを繰り返し単位として持つものであればその構造に関して特に制限はなく、例えば、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチルビニルエーテル)、ポリ(プロピルビニルエーテル)、ポリ(ブチルビニルエーテル)、ポリ(イソブチルビニルエーテル)、ポリ(t−ブチルビニルエーテル)等のポリ(アルキルビニルエーテル)から誘導されるポリ(ビニルエーテル)系ポリオール残基;飽和エステル基、不飽和エステル基、オキシエチレン基、イミド基、シロキシ基等を有するポリ(ビニルエーテル)等から誘導されるポリ(ビニルエーテル)系ポリオール残基が挙げられる。なかでも、機械特性に優れた芳香族アミドブロック共重合体が得られることから、ポリ(アルキルビニルエーテル)から誘導されるポリ(ビニルエーテル)系ポリオール残基が好ましい。
【0041】
一般式(2)および(3)中のXは一般式(4)〜(5)に示される群から選ばれる少なくとも1種以上の鎖延長成分単位を示す。
【0042】
一般式(4)に示される鎖延長成分単位中のRはそれぞれ独立して炭素数2〜20の2価のアルキレン基であり、直鎖状又は分岐状でもよい。該アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン等を挙げることができる。なかでも、入手が容易なことからペンタメチレン基が好ましい。
【0043】
また、一般式(4)中のRはカルボニル基または炭素数2〜20の2価の有機基であり、有機基としては、ジカルボン酸残基、テトラカルボン酸無水物残基、ジグリシジル化合物残基を挙げることができる。ジカルボン酸残基としては、例えば、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピメロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基等から誘導される脂肪族ジカルボン酸残基;フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、2,6−ナフタレンジカルボニル基、1,5−ナフタレンジカルボニル基、2,7−ナフタレンジカルボニル基、4,4’−ビフェニレンジカルボニル基等から誘導されるアリーレンジカルボン酸残基等が挙げられる。テトラカルボン酸無水物残基としてはピロメリット酸二無水物残基、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物残基、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物残基、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物残基、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフォン二無水物残基、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物残基、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンニ無水物残基、1,2,3,4−テトラカルボキシブタン二無水物残基等を挙げることができる。ジグリシジル化合物残基としては、テレフタル酸ジグリシジルエステル残基等のジカルボン酸のジグリシジルエステル化合物残基、p−フェニレンジグリシジルエーテル等から誘導されるジグリシジルエーテル化合物残基等を挙げることができる。Rとしては、これらのなかでも特に機械特性に優れた芳香族アミドブロック共重合体となることから、カルボニル基、ジカルボン酸残基が好ましく、特にアジポイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基から誘導されるジカルボン酸残基が好ましい。
【0044】
一般式(4)中のp、qは、それぞれ0または1を示し、該一般式(4)で示される具体的化合物としては、p=0、q=0の場合には、前記Rと同様のカルボニル基または炭素数2〜20の2価の有機基を挙げることができ、また、p=1、q=1の場合には、例えばN,N’−テレフタロイルビスカプロラクタム、N,N’−イソフタロイルビスカプロラクタム、N,N’−アジポイルビスカプロラクタム、N,N’−スクシニルビスカプロラクタム、N,N’−カルボニルビスカプロラクタム等のアシルラクタム化合物の2つのカプロラクタムが開環した化合物から誘導される残基を挙げることができ、p=1、q=0あるいはp=0、q=1の場合には、例えば前記アシルラクタム化合物の2つのカプロラクタムの中で1つのみが開環した化合物から誘導される残基を挙げることができる。
【0045】
一般式(5)で示される鎖延長剤成分単位中のRは、炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示し、該炭化水素基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等のアルキレン基;1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基;キシリレン基等のこれらのアルキル置換体;4,4’−ジフェニルメタン基等のメチレン基もしくはアルキレン基とアリーレン基が結合した置換基等を挙げることができ、なかでも、特に耐熱老化性に優れた芳香族アミドブロック共重合体となることから、4,4’−ジフェニルメタン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、キシリレン基、ヘキサメチレン基、これらのメチル置換体が好ましい。
【0046】
また、一般式(5)で示される鎖延長成分単位の具体例としては、例えば、1,2−エタンジカルバモイル基、1,3−プロパンジカルバモイル基、1,4−ブタンジカルバモイル基、1,5−ペンタンジカルバモイル基、1,6−ヘキサンジカルバモイル基、1,7−ヘプタンジカルバモイル基、1,8−オクタンジカルバモイル基、1,9−ノナンジカルバモイル基、1,10−デカンジカルバモイル基等のアルキレンジカルバモイル基;1,2−フェニルジカルバモイル基、1,3−フェニルジカルバモイル基、1,4−フェニルジカルバモイル基、2,6−ナフタレンジカルバモイル基、1,5−ナフタレンジカルバモイル基、2,7−ナフタレンジカルバモイル基等のアリーレンジカルバモイル基;キシリレンジカルバモイル基等のこれらのアルキル置換体;ジフェニルメタン−4,4’−ジカルバモイル基等のメチレン基もしくはアルキレン基とアリーレン基が結合した置換基等を挙げることができ、なかでも、特に耐熱老化性に優れた芳香族アミドブロック共重合体となることから、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルバモイル基、1,2−フェニルジカルバモイル基、1,3−フェニルジカルバモイル基、1,4−フェニルジカルバモイル基、キシリレンジカルバモイル基、1,6−ヘキサンジカルバモイル基、及びこれらのメチル置換体が好ましい。
【0047】
本発明の芳香族アミドブロック共重合体の製造方法としては、該芳香族アミドブロック共重合体の製造が可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば下記一般式(6)で示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、下記一般式(7)で示されるラクトン化合物を加熱開環重合して得られるポリラクトン及び鎖延長剤を反応することにより製造することができる。
【0048】
【化11】

(6)
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価のアルキレン基、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜20の2価のアリーレン基を示す。)
【0049】
【化12】

(7)
(ここで、Rは、炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
上記一般式(6)で示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物を構成するRおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価のアルキレン基であり、該アルキレン基としては直鎖状又は分岐状であってもよく、例えばエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の無置換アルキレン基またはこれらにメチル基、エチル基のようなアルキル置換基もしくはフェニル基のようなアリール置換基が1個以上結合したものが挙げられる。なかでも、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基が好ましい。
【0050】
一般式(6)中のArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜20の2価のアリーレン基である。その具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0051】
【化13】

なかでも、耐熱老化性及び機械特性のバランスに優れる芳香族アミドブロック共重合体が製造可能であることから、
【0052】
【化14】

が好ましく、特に1,4−フェニレン基が好ましい。
【0053】
一般式(6)で示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物としては、例えば、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド等が挙げられる。なかでも機械特性に優れた芳香族アミドブロック共重合体が得られることから、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−1−メチルエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミドが好ましい。該ジヒドロキシ芳香族アミド化合物は、例えば両末端にフェノール性水酸基を持つ芳香族アミド化合物と炭酸エチレン等の環状カーボネートを150〜200℃で反応させることにより製造することが可能である。
【0054】
一般式(7)で示されるラクトン化合物を構成するRとしては、炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基としては直鎖状または分岐状であってもよく、例えばエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基またはこれらにメチル基等のアルキル置換基が1個以上結合したものが挙げられ、なかでもペンタメチレン基が好ましい。該ラクトン化合物としては、例えばβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナントラクトン、η−カプリロラクトン、またはこれらのラクトンにメチル基等のアルキル基置換基が1個以上結合したものが挙げられ、なかでもε−カプロラクトンが好ましい。これらは単独で使用してもよく、あるいは2種以上併用してもよい。
【0055】
ここで、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物とラクトン化合物の使用割合は、適宜選択することが可能であり、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物:ラクトン化合物=1:1〜1:5000(モル比)が好ましく、さらに1:2〜1:100が好ましく、特に1:4〜1:50であることが好ましい。
【0056】
また、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物を開環重合する際には単に加熱開環重合を行うことが可能であるが、より反応効率を促進するために開環重合触媒を用いることが好ましく、該開環重合触媒としては、一般にラクトン化合物の開環重合反応で用いられているものが使用でき、例えば無機塩基、無機酸、アルカリ金属触媒、アルカリ土類金属、ランタノイド等の化合物が挙げられ、具体的には、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガン、タングステン、モリブデン等の金属の酸化物;これら金属を含む有機金属化合物;これら金属の有機酸塩;これら金属のハロゲン化物;これら金属のアルコキシドが挙げられ、特に低毒性であり、反応性、無着色性、耐安定性のバランスに優れる開環重合触媒であることから有機スズ化合物、有機チタン化合物が好ましい。
【0057】
該有機スズ化合物の具体例としては、スズテトラアセテート、モノブチルスズヒドロキサイドオキサイド、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート、スズジオクタノエート等が挙げられる。また、該有機チタン化合物の具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート等が挙げられる。これらのなかでも効率よくラクトン化合物を開環重合できることから、ジブチルスズジラウレート、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)、テトラブチルチタネートが好ましい。これら開環重合触媒は単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
【0058】
該開環重合触媒の使用量としては、ラクトン化合物を開環重合できる限りにおいて如何なる量でもよく、その中でも特に反応効率に優れることからジヒドロキシ芳香族アミド化合物およびラクトン化合物の合計量に対し0.0001〜0.2重量%であることが好ましく、特に0.0005〜0.10重量%であることが好ましい。
【0059】
また、開環重合反応を行う際の反応温度及び反応時間は、任意に選択することが可能である。反応効率に優れることから反応温度は、50〜250℃が好ましく、さらに100〜220℃、特に150〜200℃の範囲であることが好ましい。
【0060】
開環重合反応を行う際には、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。また、溶媒中で行うことも可能であり、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラメチルホスホルトリアミド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒を用いることができ、なかでもジヒドロキシ芳香族アミド化合物の溶解性に富む非プロトン性極性溶媒が好ましい。
【0061】
上記の方法により得られるポリラクトンと鎖延長剤を反応することにより、芳香族アミドブロック共重合体を得ることが可能となる。
【0062】
一般式(6)で示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物及び一般式(7)で示されるラクトン化合物を加熱開環重合して得られるポリラクトンと反応する鎖延長剤としては、ポリラクトンの両末端に存する水酸基と反応可能な官能基を有し、該ポリラクトンを複数個連結し芳香族アミドブロック共重合体の生成が可能である化合物であればよく、該化合物としては、例えば二官能性酸ハライド化合物、二官能性イソシアネート化合物、二官能性カーボネート化合物、二官能性エステル化合物、二官能性アシルラクタム化合物、二官能性エポキシ化合物、二官能性芳香族テトラカルボン酸無水物等が挙げられ、該鎖延長剤は単独又は2種以上を併用してもよく、特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミドブロック共重合体が得られることから、二官能性酸ハライド化合物、二官能性イソシアネート化合物、二官能性カーボネート化合物、二官能性エステル化合物、二官能性アシルラクタム化合物であることが好ましく、なかでも溶融反応下、高分子量の芳香族アミドブロック共重合体が得られることから二官能性アシルラクタム化合物が特に好ましい。
【0063】
該二官能性酸ハライド化合物としては、例えばシュウ酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、コハク酸ジクロライド、グルタル酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、ピメリン酸ジクロライド、スベリン酸ジクロライド、アゼライン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライド、ドデカン酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、フタル酸ジクロライド等の二官能性酸クロライド;シュウ酸ジブロマイド、マロン酸ジブロマイド、コハク酸ジブロマイド、グルタル酸ジブロマイド、アジピン酸ジブロマイド、ピメリン酸ジブロマイド、スベリン酸ジブロマイド、アゼライン酸ジブロマイド、セバシン酸ジブロマイド、ドデカン酸ジブロマイド、テレフタル酸ジブロマイド、イソフタル酸ジブロマイド、フタル酸ジブロマイド等の二官能性酸ブロマイド等を挙げることができ、なかでもポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミドブロック共重合体が得られることから、アジピン酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0064】
該二官能性イソシアネート化合物としては、例えばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられ、特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミドブロック共重合体が得られることから、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0065】
該二官能性カーボネート化合物としては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられ、なかでも特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミドブロック共重合体が得られることからジフェニルカーボネートが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0066】
該二官能性エステル化合物としては、例えばアジピン酸ジフェニル、アジピン酸ジメチル、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル、フタル酸ジフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジフェニル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジフェニル、4,4−ビフェニルジカルボン酸ジフェニル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、4,4−ビフェニルジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジエチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、4,4−ビフェニルジカルボン酸ジエチル等が挙げられ、なかでも特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミドブロック共重合体が得られることから、テレフタル酸ジフェニル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジフェニル、アジピン酸ジメチルが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0067】
該二官能性アシルラクタム化合物としては、例えば、N,N’−テレフタロイルビスカプロラクタム、N,N’−イソフタロイルビスカプロラクタム、N,N’−セバコイルビスカプロラクタム、N,N’−アジポイルビスカプロラクタム、N,N’−スクシニルビスカプロラクタム、N,N’−カルボニルビスカプロラクタム、N,N’−テレフタロイルビスピロリドン、N,N’−イソフタロイルビスピロリドン、N,N’−セバコイルビスピロリドン、N,N’−アジポイルビスピロリドン、N,N’−スクシニルビスピロリドン、N,N’−カルボニルビスピロリドン、N,N’−テレフタロイルビスラウロラクタム、N,N’−イソフタロイルビスラウロラクタム、N,N’−セバコイルビスラウロラクタム、N,N’−アジポイルビスラウロラクタム、N,N’−スクシニルビスラウロラクタム、N,N’−カルボニルビスラウロラクタムなどが挙げられ、なかでも特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミドブロック共重合体が得られることから、N,N’−テレフタロイルビスカプロラクタム、N,N’−イソフタロイルビスカプロラクタム、N,N’−カルボニルビスカプロラクタムが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0068】
該二官能性エポキシ化合物としては、例えばテレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル等の芳香族ジカルボン酸ジグリシジルエステル;p−フェニレンジグリシジルエーテル等の芳香族ジグリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエステル等の脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエステル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエーテル等が挙げられ、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0069】
該二官能性芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフォン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンニ無水物、1,2,3,4−テトラカルボキシブタン二無水物等が挙げられ、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0070】
上記鎖延長剤の添加時期としては、芳香族アミドブロック共重合体が得られる限りにおいて如何なる時期に添加してもよく、例えばジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物の加熱開環重合を行いポリラクトンが得られた後に、直ちに鎖延長剤を添加する方法;ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物の加熱開環重合を行いポリラクトンが得られた後、未反応のラクトン化合物、加熱開環重合時に用いた溶媒等を除去し、ポリラクトンを単離し鎖延長剤を添加する方法;ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物の加熱開環重合を行いポリラクトンを得る際に、鎖延長剤も存在させ開環重合と同時に鎖延長を行う方法等が挙げられる。
【0071】
また、鎖延長剤の添加量は特に制限はなく、用いる鎖延長剤の種類、反応性に応じ適宜選択すればよく、例えばジヒドロキシ芳香族アミド化合物のモル数に対し等モル量〜1.5倍モル量程度を用いればよい。
【0072】
ジヒドロキシ芳香族アミド化合物、ラクトン化合物及び鎖延長剤との反応条件については特に制限はなく、通常室温〜250℃、5分〜100時間の範囲で行われる。また、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物の加熱開環重合を行いポリラクトンが得られた後に、鎖延長剤を添加する際には、用いる開環重合触媒をあらかじめ部分的あるいは完全に失活させておいてもよく、例えば亜燐酸、燐酸、燐酸トリフェニル、燐酸トリストリエチレングリコール、オルト燐酸、ホスホン酸カルベトキシメチルジエチル、亜燐酸トリフェニル、燐酸トリメチル、亜燐酸トリメチル等の燐化合物等を添加することにより失活を行うことが可能である。
【0073】
また、本発明の芳香族アミドブロック共重合体の製造方法としては、例えば、一般式(6)に示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物と下記一般式(8)で示されるジオール化合物またはポリオール化合物並びに鎖延長剤を反応させることにより製造することもできる。
【0074】
【化15】

(8)
(ここで、Rは、ポリ(オキシアルキレン)、ポリ(オルガノシロキサン)、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ビニルエーテル)からなる群から選ばれる1種以上の2価の有機基を示す。)
上記一般式(8)で示されるジオール化合物またはポリオール化合物は、両末端に水酸基を有する化合物であり、そのRとしては、前記Gと同様の構造を有するものを挙げることができる。該ジオール化合物またはポリオール化合物の具体例としては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族炭化水素系ジオール;ポリ(オキシエチレン)ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール、ポリ(オキシヘキサメチレン)ポリオール、両末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、両末端に水酸基を有するエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体、両末端に水酸基を有するポリ(プロピレンオキシド)のエチレンオキシド付加重合体等のポリ(オキシアルキレン)系ポリオール;ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジエチルシロキサン)等の両末端に水酸基を有するポリ(オルガノシロキサン)系ポリオール;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類の単独重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の両末端をヒドロキシ化したジヒドロキシポリオレフィン;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系炭化水素の両末端をヒドロキシ化したジヒドロキシポリ(ジエン);該ポリ(ジエン)の二重結合を水素添加したジヒドロキシ水素添加ポリ(ジエン);リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸を二量化し水素添加して得られる水素添加ダイマージオール;ポリ(プロピオラクトン)、ポリ(ブチロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(メチルバレロラクトン)、ポリ(エナントラクトン)、ポリ(カプリロラクトン)等の両末端に水酸基を有するのポリラクトン系ポリオール;ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)等の両末端に水酸基を有するポリエステル系ポリオール;ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(テトラメチレンカーボネート)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(ノナンメチレンカーボネート)等の両末端に水酸基を有するポリカーボネート系ポリオール;ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチルビニルエーテル)、ポリ(プロピルビニルエーテル)、ポリ(ブチルビニルエーテル)、ポリ(イソブチルビニルエーテル)、ポリ(t−ブチルビニルエーテル)等の両末端に水酸基を有するポリ(ビニルエーテル)系ポリオール等が挙げられる。これらは1つあるいは2つ以上混合して用いてもよい。
【0075】
ジヒドロキシ芳香族アミド化合物とジオール化合物またはポリオール化合物並びに鎖延長剤を反応させる際のジヒドロキシ芳香族アミド化合物とジオール化合物またはポリオール化合物のモル比は、特に制限はないが、好ましくは、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物:ジオール化合物またはポリオール化合物=2:1〜1:25(モル比)であることが好ましい。また、鎖延長剤としては、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物とジオール化合物またはポリオール化合物の両末端に存在する水酸基と反応可能な官能基を有し、本発明の芳香族アミドブロック共重合体の生成が可能であればよく、該鎖延長剤としては、上述した二官能性酸ハライド化合物、二官能性イソシアネート化合物、二官能性カーボネート化合物、二官能性エステル化合物、二官能性アシルラクタム化合物、二官能性エポキシ化合物、二官能性芳香族テトラカルボン酸無水物等が挙げられ、該鎖延長剤は単独または2種類以上を併用してもよく、特に反応性に優れ、効率よく、芳香族アミドブロック共重合体が得られることから、二官能性酸ハライド化合物、二官能性イソシアネート化合物、二官能性カーボネート化合物、二官能性エステル化合物、二官能性アシルラクタム化合物であることが好ましい。
【0076】
上記鎖延長剤の添加時期としては、芳香族アミドブロック共重合体が得られる限りにおいて如何なる時期に添加してもよく、例えばジヒドロキシ芳香族アミド化合物とジオール化合物またはポリオール化合物を鎖延長剤の共存下で重合する方法等が挙げられる。
【0077】
また、鎖延長剤の添加量にも特に制限はなく、用いる鎖延長剤の種類、反応性に応じ適宜選択すればよく、例えばジヒドロキシ芳香族アミド化合物のモル数に対し等モル量〜50倍モル、好ましくは2〜25倍モル量程度を用いればよい。
【0078】
ジヒドロキシ芳香族アミド化合物とジオール化合物またはポリオール化合物並びに鎖延長剤の反応条件については特に制限はなく、通常室温〜250℃、5分〜100時間の範囲で行われる。この際、反応を促進する目的で、テトラブチルチタネート等のエステル交換触媒の存在下で反応を行うことが可能である。
【0079】
本発明の芳香族アミドブロック共重合体の分子量は、耐熱老化性及び機械特性のバランスに優れることから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は10000〜1000000の範囲が好ましい。
【0080】
本発明の芳香族アミドブロック共重合体は、より耐熱性、特に熱変色性を向上させるために製造時又は製造後に安定剤を添加していてもよく、該安定剤としては、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;ヒンダードフェノール系化合物;チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステルなどの硫黄含有化合物;スズマレート、ジブチルスズモノオキシドなどのスズ系化合物が挙げられ、該安定剤の添加量として制限はなく、通常芳香族アミドブロック共重合体100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0081】
また、本発明の芳香族アミドブロック共重合体には、成形性を向上させるためにカルシウム、バリウム、アルミニウム等のステアリン酸塩類;ステアリン酸エステル;シリコンオイル;ワックス類;エチレンビスステアリルアミドなどの滑剤を添加してもよく、その際の添加量としては、通常芳香族アミドブロック共重合体100重量部に対して0.05〜5重量部であることが好ましい。
【0082】
さらに、本発明の芳香族アミドブロック共重合体は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、熱可塑性樹脂、繊維、染料、有機顔料、無機顔料、無機補強剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、エポキシ化合物、イソシアネート化合物等の公知の添加剤を加えることができる。
【0083】
本発明の芳香族アミドブロック共重合体は、射出成形、押出成形、トランスファー成形、インフレーション成形、ブロー成形、加熱成形、圧縮成形、真空成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法により成形加工でき、各種成形品、繊維、フィルム、シート、プラスチック改質剤、塗料、接着剤等の幅広い用途に展開可能である。
【発明の効果】
【0084】
本発明は、ハードセグメントに特定の芳香族アミド構造単位を有し、低硬度から高硬度の幅広い硬度域に対応でき、耐熱老化性及び機械特性のバランスに優れた新規な芳香族アミドブロック共重合体およびその製造方法である。
【実施例】
【0085】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、これら実施例のみに限定されるものではない。
【0086】
なお、本発明の芳香族アミドブロック共重合体の分析に用いた分析機器及び方法は下記の通りである。
【0087】
(1)分子量測定
カラム(東ソー製、商品名TSK−GEL GMHHR−H)を装着したGPC装置(東ソー製、商品名HLC−8020)により、カラム温度40℃、流量0.4ml/分の条件下で、溶離液に20mmol/lの塩化リチウムを含むN−メチル−2−ピロリドン(以下、単にNMPと記す)を用いて測定し、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を標準ポリスチレン換算で算出した。
【0088】
(2)融点(Tm)測定
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、商品名DSC200)を用い、昇温速度10℃/分、40〜300℃の範囲で測定した。
【0089】
(3)硬度
芳香族アミドブロック共重合体を圧縮成形して得た厚さ1mmのシートを作成し、硬度計(高分子計器(株)製、商品名MICRO DUROMETER MD−1)を用いJIS−A硬度を測定した。
【0090】
(4)核磁気共鳴(NMR)スペクトルの測定
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GSX270型)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中、室温の条件下でH−NMRおよび13C−NMRを測定した。
【0091】
得られたH−NMRスペクトルより、芳香族アミド単位の芳香族基とラクトン単位のメチレン基のピーク強度比より、芳香族アミド単位とラクトン単位のモル比を算出した。
【0092】
(5)引張試験
芳香族アミドブロック共重合体を圧縮成形して得た厚さ2mmのシートより試験片を作成し、JIS K6251(1993年)に準拠して引張り試験を行い、破断強度及び破断伸びを求めた。
【0093】
(6)耐熱老化試験
厚さ2mmの試験片をスガ試験機(株)製ギヤーオーブン中、150℃で50時間処理を行い、JIS K6251(1993年)に従い切断時伸びを求め、処理前後の切断時伸びより保持率を求め、この値を伸び保持率とした。
【0094】
合成例1(ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の合成)
窒素導入管、温度計および攪拌翼を備えた500mlの4つ口フラスコに、p−アミノフェノール54.57g(500mmol)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)200mlを加え50℃に昇温し溶解させた。そこへピリジン40ml(500mmol)を加え、均一に攪拌した。別途、窒素導入管を備えた200ml滴下ロートに、NMP160ml及びテレフタル酸ジクロライド50.76g(250mmol)を加え、撹拌し均一溶液とし、この溶液を先の溶液中に50℃を保ちながら30分かけて滴下した。さらに50℃で2時間反応を行った。
【0095】
得られたスラリーの固形分を吸引濾過により回収し、メタノール500mlで2回攪拌洗浄した後、80℃で減圧乾燥して、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド82.74g(収率95%)を得た。その構造式を下記に示す。この化合物を(a)と記す。
【0096】
【化16】

続いて、窒素導入管、温度計および攪拌翼を備えた500mlの4つ口フラスコに、化合物(a)69.67g(200mmol)、炭酸エチレン37.00g(420mmol)、触媒としてカリウムt−ブトキシド0.10g(0.9mmol)、NMP400mlを加え、180℃に昇温して完全に溶解させ、さらに180℃で2時間攪拌した。室温まで冷却後、得られたスラリーをメタノール1500mlに注ぎ、析出した固形分を吸引濾過により回収した。メタノール500mlで2回攪拌洗浄した後、得られた固体をNMPにより再結晶し、80℃で減圧乾燥し、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド68.54g(収率78%)を得た。その構造式を下記に示す。この化合物を(b)と記す。
【0097】
【化17】

実施例1
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた300mlの4ツ口フラスコに、化合物(b)8.73g(20mmol)、ε−カプロラクトン22.83g(200mmol)、NMP50mlを仕込み、180℃に昇温した後、ジブチルスズジラウレート25mg(0.04mmol)を加え、180℃で8時間開環重合を行った。本反応により下記に示す末端に水酸基を有するプレポリマー溶液を得た。プレポリマーを単離し、H−NMRスペクトル解析を行った結果、カプロラクトン単位と芳香族アミド単位のモル比[(m+n)/化合物(b)]=9.9であった。

【0098】
本溶液を室温まで冷却し、鎖延長剤であるテレフタル酸ジクロライド4.1g(20mmol)と副生する塩酸の捕捉剤であるピリジン3.2g(40mmol)をNMP6mlに溶解した溶液を加え、さらに室温で13時間反応させた。反応終了後の溶液に、NMP100mlを加えて希釈溶解し、メタノール1.5lに投入した。得られた固形分をメタノール500mlで2回洗浄後、80℃で減圧乾燥し芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0099】
得られた共重合体は、重量平均分子量(Mw)59000、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)1.81、Tm175℃、硬度95であった。また、芳香族アミド単位とε−カプロラクトン単位のモル比は1:9.9であった。
【0100】
実施例2
鎖延長剤としてテレフタル酸ジクロライドをアジピン酸ジクロライド3.7g(20mmol)に変更した以外は、実施例1と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0101】
得られた共重合体は、Mw84000、Mw/Mn1.86、Tm185℃、硬度95であった。また、芳香族アミド単位とε−カプロラクトン単位のモル比は1:9.3であった。
【0102】
実施例3〜10
開環重合条件を変更した以外は、実施例2と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。なお、アジピン酸ジクロライドの仕込量は化合物(b)の仕込量と等モルとし、またピリジン仕込量はアジピン酸ジクロライドの2倍モル量とした。結果を表1にまとめた。
【0103】
【表1】

実施例11
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた500mlの4ツ口フラスコに、化合物(b)10.00g(23mmol)、ε−カプロラクトン26.25g(230mmol)、NMP57gを仕込み、180℃に昇温した後、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)28mg(0.04mmol)を加え、180℃で1時間開環重合を行い末端に水酸基を有するプレポリマー溶液を得た。その後、80℃まで降温し、鎖延長剤であるジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート5.73g(23mmol)をNMP15gに溶解させた溶液を滴下し、80℃で4時間反応させた。反応終了後の溶液に、テトラヒドロフラン(以下、THFと記す。)150mlを加えて希釈溶解し、メタノール1.5lに投入した。得られた固形分をメタノール1.5lで3回洗浄後、80℃で減圧乾燥し芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0104】
得られた共重合体は、Mw135000、Mw/Mn2.40、Tm181℃、硬度95であった。また、芳香族アミド単位とε−カプロラクトン単位のモル比は1:9.9であった。
【0105】
実施例12
実施例11と同じ仕込み条件で、180℃1時間開環重合を行った後、鎖延長剤であるヘキサメチレンジイソシアネート3.85g(23mmol)をNMP15gに溶解させた溶液を滴下し、180℃で4時間反応させた。反応終了後の溶液に、THF150mlとNMP100mlを加えて希釈し、メタノール1.5lに投入した。得られた固形分をメタノール1.5lで3回洗浄後、80℃で減圧乾燥し芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0106】
得られた共重合体は、Mw364000、Mw/Mn2.79、Tm188℃、硬度95であった。また、芳香族アミド単位とε−カプロラクトン単位のモル比は1:9.9であった。
【0107】
実施例13
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた500mlの4ツ口フラスコに、化合物(b)29.85g(68mmol)、ε−カプロラクトン78.06g(684mmol)、NMP180gを仕込み、180℃に昇温した後、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)83mg(0.14mmol)を加え、180℃で1時間開環重合を行い末端に水酸基を有するプレポリマー溶液を得た。その後、鎖延長剤であるジフェニルカーボネート14.65g(68mmol)をNMP10gに溶解させた溶液を滴下し、180℃で5時間反応させた。その後、NMP及び副生するフェノールを減圧留去しながら230℃まで昇温し、同温で40分間反応させた。反応容器を窒素で常圧に戻した後、内容物を取り出し、芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0108】
得られた共重合体は、Mw89800、Mw/Mn2.08、Tm188℃、硬度95であった。また、芳香族アミド単位とε−カプロラクトン単位のモル比は1:9.8であった。
【0109】
実施例14〜16
ジフェニルカーボネートを表2に示す化合物(68mmol)に変更した以外は、実施例13と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。結果を表2にまとめた。
【0110】
【表2】

実施例17
モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)83mg(0.14mmol)からテトラブチルチタネート48mg(0.14mmol)、開環重合時間を1時間から2時間に変更した以外は実施例13と同様に、末端に水酸基を有するプレポリマー溶液を得た。その後、鎖延長剤としてN,N’−テレフタロイルビスカプロラクタム24.38g(68mmol)をNMP10gに溶解させた溶液を滴下し、180℃で5時間反応させた。その後、NMP及びε−カプロラクタムを減圧留去しながら230℃まで昇温し、同温で1時間反応させた。反応容器を窒素で常圧に戻した後、内容物を取り出し、芳香族アミドブロック共重合体を得た。その結果を表3に示す。
【0111】
得られた共重合体の13C−NMRスペクトル分析の結果から、用いたテレフタロイルビスカプロラクタムのカプロラクタム部位が開環し、鎖延長していることが明らかとなった。
【0112】
実施例18〜21
化合物(b)とε−カプロラクトンの仕込比を変更した以外は実施例17同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。この際、テトラブチルチタネートはε−カプロラクトンに対し0.02モル%、NMPの使用量は化合物(b)1mmolに対し2.63gとした。また、実施例18、19では減圧留去後の反応温度を250℃に変更した。結果を表3に示す。
【0113】
【表3】

実施例22
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた300mlの4ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、アジピン酸ジクロライド5.8ml(40mmol)、NMP20mlを加え均一溶液を得た。別途に、窒素導入管を備えた200ml滴下ロートに、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール[保土谷化学工業製、商品名PTG−1000SN;数平均分子量=1038)]20.76g(20mmol)、ピリジン3.2ml(40mmol)、NMP80mlを加え、撹拌し均一溶液とし、この溶液を先の溶液中に15分かけて滴下し、室温で3時間反応させ、両末端に酸クロライド基を有するポリ(オキシテトラメチレン)を得た。さらに室温で3時間反応させた後、ピリジン3.2ml(40mmol)、化合物(b)8.73g(20mmol)、NMP30mlを加え、さらに120℃で2時間反応させた。室温まで冷却した後、得られた均一溶液をメタノール1.5lに投入し、芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0114】
得られた共重合体は、Mw22600、Mw/Mn1.53、Tm270℃、硬度94であった。
【0115】
実施例23
ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを、ポリ(ジメチルシロキサン)ポリオール[信越化学製、商品名X−22−160AS;数平均分子量=959]19.18g(20mmol)に変更した以外は実施例22と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0116】
得られた共重合体はMw33200、Mw/Mn1.40、Tm258℃、硬度96であった。
【0117】
実施例24
ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを、ダイマー酸ポリエステルポリオール[ユニケマ製、商品名PRIPLAST3192;数平均分子量=1931]38.62g(20mmol)に変更した以外は実施例22と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0118】
得られた共重合体はMw23200、Mw/Mn1.66、Tm224℃、硬度86であった。
【0119】
実施例25
ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを、ポリ(カプロラクトン)ポリオール[ダイセル化学工業製、商品名プラクセル210N;数平均分子量=984)]19.68g(20mmol)に変更した以外は実施例22と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0120】
得られた共重合体は、Mw43500、Mw/Mn1.76、Tm244℃、硬度92であった。
【0121】
実施例26
ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを、ポリ(カプロラクトン)ポリオール[ダイセル化学工業製、商品名プラクセル220N;数平均分子量=1979)]39.58g(20mmol)に変更した以外は実施例22と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0122】
得られた共重合体は、Mw54000、Mw/Mn1.84、Tm225℃、硬度84であった。
【0123】
実施例27
ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを、ポリ(カプロラクトン)ポリオール[ダイセル化学工業製、商品名プラクセル205;数平均分子量=524)]10.48g(20mmol)に変更した以外は実施例22と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0124】
得られた共重合体は、Mw27900、Mw/Mn1.65、Tm254℃、硬度94であった。
【0125】
実施例28
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた300mlの4ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール[保土谷化学工業製、商品名PTG−2000SN;数平均分子量=1993)]39.86g(20mmol)を仕込み80℃に昇温した。その後、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート9.97g(40mmol)をNMP30gに溶解した溶液を滴下し、80℃で1時間反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリ(オキシテトラメチレン)を得た。さらに化合物(b)8.73g(20mmol)とNMP40gを加え80℃で3時間反応させた。反応終了後の溶液に、THF150mlを加えて希釈し、メタノール1.5lに投入した。得られた固形分をメタノール1.5Lで3回洗浄後、80℃で減圧乾燥し、芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0126】
得られた共重合体は、Mw141000、Mw/Mn2.45、Tm210℃、硬度85であった。また、共重合体の引張試験の結果、破断強度42MPa、破断伸び720%と高い強度と伸びを示した。
【0127】
実施例29
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート9.97g(40mmol)をヘキサメチレンジイソシアネート6.70g(40mmol)、反応温度を80℃から150℃に変更した以外は実施例28と同様に芳香族アミドブロック共重合体を得た。
【0128】
得られた共重合体は、Mw152000、Mw/Mn2.52、Tm205℃、硬度85であった。また、共重合体の引張試験の結果、破断強度50MPa、破断伸び800%と高い強度と伸びを示した。
【0129】
実施例6、9、18、19で得た芳香族アミドブロック共重合体(それぞれサンプルI、II、III、IVとする。)の引張試験、耐熱老化試験を実施した。結果を表4にまとめた。いずれのサンプルも高強度で耐熱老化性に優れることが明らかとなった。
【0130】
比較例1
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた1000mlの4つ口フラスコに、4−アミノ安息香酸エチル 198.4g及びN−メチル−2−ピロリドン600mlを加え、攪拌し均一溶液を得た。別途に、窒素導入管を取り付けた500ml滴下ロートに、N−メチル−2−ピロリドン400ml及びテレフタル酸ジクロライド122.16gを加え、攪拌し均一溶液とし、この溶液を先の溶液中に滴下時間10分で滴下した。滴下後、ピリジン94.87gを加え、4.5時間反応を行ったところ、反応とともに結晶が析出した。結晶を吸引濾過した後、N−メチル−2−ピロリドン500mlで洗浄し、次いで、アセトン1000mlで洗浄後、100℃で14時間減圧加熱乾燥し、収率98.0%でN,N’−ビス(4−エトキシカルボニルフェニル)フェニレン1,4−ジカルボキサミドを合成した。その構造式を下記に示す。この化合物を(c)と記す。
【0131】
【化18】

窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた500mlの4ッ口フラスコに、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール(保土ヶ谷化学工業(株)製PTG−1000SN;数平均分子量1038)51.90g(50mmol)、化合物(c)23.02g(50mmol)を仕込んだ後、100℃で減圧乾燥した。次にNMP31.75g、テトラブチルチタネート88mg(0.26mmol)を仕込み、内容物を210℃まで昇温し、2時間反応させた。その後、NMPを減圧留去しながら230℃まで昇温し、1mmHgの減圧下で2時間反応させた。反応容器を窒素で常圧に戻した後、内容物を取り出し、芳香族アミドブロック共重合体を得た。得られた共重合体は、Mw145000、Mw/Mn2.30、Tm210℃、硬度95であった。
【0132】
引張試験、耐熱老化試験の結果を表4に示す。耐熱老化性、強度に劣るものであった。
【0133】
比較例2
還流冷却器を取り付けた1l3つ口丸底フラスコにp−アミノ安息香酸200g(1.458mol)、大過剰の塩化チオニル500mlを加え6時間還流した。過剰の塩化チオニルを減圧留去したのち黄色の固体を得た。得られた黄色固体を1〜2mmHgの減圧下で蒸留し、収率95%でp−スルフィニルアミノベンゾイルクロライドを得た。
【0134】
3l3つ口フラスコにε−カプロラクタム144g(1.27mol)、トルエン2l、ピリジン1lを加えた。窒素下0℃で攪拌しこの溶液にp−スルフィニルアミノベンゾイルクロライド256.5g(1.27mol)を加えた。室温になるまでゆっくりと攪拌し、その後14時間反応させた。析出してきたピリジン塩酸塩を濾過後、濾液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した。有機相の溶媒を減圧留去し得られた白色残査を酢酸エチルで2回再結晶し収率68%でN−(p−アミノベンゾイル)カプロラクタムを得た。
【0135】
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた1000mlの4つ口フラスコにN−(p−アミノベンゾイル)カプロラクタム200g(0.862mol)及びN−メチル−2−ピロリドン700ml、ピリジン68.18g(0.862mol)を加え攪拌し均一溶液を得た。別途に窒素導入管を取り付けた500ml滴下ロートにN−メチル−2−ピロリドン300ml及びテレフタル酸ジクロライド87.50g(0.431mol)を加え攪拌し均一溶液とし、この溶液を先の溶液中に滴下時間10分で滴下した。その後14時間反応させた。吸引濾過後N−メチル−2−ピロリドン500ml次いでアセトン1000mlで洗浄後、100℃で14時間減圧加熱乾燥後、活性末端芳香族アミド(収率81%)を得た。その構造式を下記に示す。この化合物を(d)と記す。
【0136】
【化19】

窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた500mlの4ツ口フラスコに、ポリ(カプロラクトン)ポリオール(ダイセル化学工業(株)製プラクセル210N;数平均分子量984)49.2g(50mmol)、活性末端芳香族アミド化合物(d)29.73g(50mmol)、Irganox1010(チバガイギー社製 酸化防止剤)0.13gを仕込んだ後、100℃で減圧乾燥した。次にこのフラスコにNMP64.9gを仕込み、内容物を210℃まで昇温し、1時間反応させた。その後、NMP及びε−カプロラクタムを減圧留去しながら240℃まで昇温し、同温で1mmHgの減圧下で1時間反応させた。反応容器を窒素で常圧に戻した後、内容物を取り出し、芳香族アミドブロック共重合体を得た。得られた共重合体は、Mw151000、Mw/Mn2.84、Tm205℃、硬度95であった。
【0137】
引張試験、耐熱老化試験の結果を表4に示す。強度に劣るものであった。
【0138】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される芳香族アミド化合物単位と、下記一般式(2)および/または(3)の構造単位からなり、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が10000〜1000000であることを特徴とする芳香族アミドブロック共重合体。
【化1】

(1)
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価のアルキレン基、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜20の2価のアリーレン基を示す。)
【化2】

(2)
【化3】

(3)
(ここで、G、Gはポリエステル残基、Gはジオール化合物残基またはポリオール化合物残基を示し、Xは下記一般式(4)〜(5)に示される群から選ばれる少なくとも1種以上の鎖延長成分単位を示す。)
【化4】

(4)
(ここで、Rはそれぞれ独立して炭素数2〜20の2価のアルキレン基、Rはカルボニル基または炭素数2〜20の2価の有機基、p、qは0または1を示す。)
【化5】

(5)
(Rは炭素数2〜20の2価の炭化水素基を示す。)
【請求項2】
一般式(2)中G、Gのポリエステル残基が、ポリラクトン残基であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族アミドブロック共重合体。
【請求項3】
一般式(3)中Gのジオール化合物残基またはポリオール化合物残基が、ポリ(オキシアルキレン)系ポリオール残基、ポリ(オルガノシロキサン)系ポリオール残基、脂肪族炭化水素系ジオール残基、脂肪族炭化水素系ポリオール残基、脂環式炭化水素系ポリオール残基、ポリエステル系ポリオール残基、ポリカーボネート系ポリオール残基、ポリ(ビニルエーテル)系ポリオール残基からなる群から選ばれる1種以上のジオール化合物残基またはポリオール化合物残基であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族アミドブロック共重合体。
【請求項4】
下記一般式(6)で示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、下記一般式(7)で示されるラクトン化合物を加熱開環重合して得られるポリラクトン及び鎖延長剤を反応することを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族アミドブロック共重合体の製造方法。
【化6】

(6)
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価のアルキレン基、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜20の2価のアリーレン基を示す。)
【化7】

(7)
(ここで、Rは、炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
【請求項5】
上記一般式(6)に示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物と下記一般式(8)で示されるジオール化合物またはポリオール化合物並びに鎖延長剤を反応することを特徴とする請求項1または3に記載の芳香族アミドブロック共重合体の製造方法。
【化8】

(8)
(ここで、Rは、ポリ(オキシアルキレン)、ポリ(オルガノシロキサン)、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ビニルエーテル)からなる群から選ばれる1種以上の2価の有機基を示す。)
【請求項6】
鎖延長剤が、二官能性酸ハライド化合物、二官能性イソシアネート化合物、二官能性カーボネート化合物、二官能性エステル化合物、二官能性アシルラクタム化合物、二官能性エポキシ化合物、二官能性テトラカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載の芳香族アミドブロック共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2006−63295(P2006−63295A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308325(P2004−308325)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】