説明

芳香族アミン化合物、発光素子、発光装置、電子機器

【課題】耐熱性に優れた芳香族アミン化合物および発光素子および発光装置、電子機器の提供。
【解決手段】一般式(7)で表される芳香族アミン化合物。該化合物を用いた発光素子、発光装置、電子機器。発光素子は、第1の電極102と、第1の電極上に順に積層した、正孔注入性の高い物質を含む層103、正孔輸送性の高い物質を含む層104、発光性の物質を含む層105、電子輸送性の高い物質からなる層106と、第2の電極107から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族アミン化合物、および芳香族アミン化合物を用いた発光素子、発光装
置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光性の有機化合物を用いた発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発
光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものであ
る。この素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発
光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子お
よび正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起
状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は
、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0003】
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状態
が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼
ばれている。
【0004】
このような発光素子は、例えば膜厚0.1μm程度の有機薄膜で形成されるため、薄型軽
量に作製できることが大きな利点である。また、キャリアが注入されてから発光に至るま
での時間は1μ秒程度あるいはそれ以下であるため、非常に応答速度が速いことも特長の
一つである。これらの特性は、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考え
られている。
【0005】
また、これらの発光素子は膜状に形成されるため、大面積の素子を形成することにより、
面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光
源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる
面光源としての利用価値も高い。
【0006】
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、材料に依存した問題
が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
【0007】
電流励起型の発光素子の劣化の一因として、一対の電極間に形成された発光物質を含む
層に含まれる材料の劣化が挙げられる。電流励起型の発光素子において、発光物質を含む
層を電流が流れることにより、発光物質を含む層に含まれる材料は酸化反応および還元反
応を繰り返すことになる。酸化反応および還元反応により分解されやすい材料が発光物質
を含む層に含まれていると、その繰り返される酸化反応および還元反応により、徐々に劣
化し、発光素子自体も劣化してしまう。したがって、電気化学的に安定な物質の開発が求
められている。
【0008】
特許文献1には、電気化学的変化の少ない物質として、トリスアリールアミノベンゼン
が記載されている。しかしながら、耐熱性等の特性は未だ十分ではなく、より耐熱性に優
れた有機化合物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3419534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記問題を鑑み、本発明は、耐熱性に優れた芳香族アミン化合物を提供することを目的
とする。
【0011】
また、耐熱性に優れた発光素子および発光装置、電子機器を提供することを目的とする

【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一は、一般式(1)で表される芳香族アミン化合物である。
【化1】

(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複
素芳香環基のいずれかを表し、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、ま
たは炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R11〜R13は、それぞれ、水素
原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれか
を表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基のいずれかを表
す。)
【0013】
一般式(1)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(2)で表される芳香族ア
ミン化合物であることが好ましい。
【化2】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R11は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6
〜25のアリール基のいずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル
基、メトキシ基のいずれかを表す。)
【0014】
一般式(1)で表される芳香族アミン化合物のうち、さらに好ましくは一般式(3)で
表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【化3】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R11は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6
〜25のアリール基のいずれかを表す。)
【0015】
さらに好ましくは、構造式(21)で表される芳香族アミン化合物であることが好まし
い。
【化4】

【0016】
本発明の一は、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物である。
【化5】

(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複
素芳香環基のいずれかを表し、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、ま
たは炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R11〜R12は、それぞれ、水素
原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれか
を表し、R31〜R34は、それぞれ、水素原子、メチル基、置換基を有するシリル基の
いずれかを表す。)
【0017】
一般式(4)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(5)で表される芳香族ア
ミン化合物であることが好ましい。
【化6】

(式中、Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環
基のいずれかを表し、Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜
25のアリール基のいずれかを表し、R11は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜
4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R31〜R34
は、それぞれ、水素原子、メチル基、置換基を有するシリル基のいずれかを表す。)
【0018】
一般式(4)で表される芳香族アミン化合物のうち、さらに好ましくは一般式(6)で
表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【化7】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R11は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6
〜25のアリール基のいずれかを表す。)
【0019】
さらに好ましくは、構造式(51)で表される芳香族アミン化合物であることが好まし
い。
【化8】

【0020】
本発明の一は、一般式(7)で表される芳香族アミン化合物である。
【化9】

(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複
素芳香環基のいずれかを表し、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基
を表し、R11〜R16は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、ま
たは炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素
原子、メチル基、メトキシ基のいずれかを表す。)
【0021】
一般式(7)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(8)で表される芳香族ア
ミン化合物であることが好ましい。
【化10】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ
、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基のいずれ
かを表す。)
【0022】
一般式(7)で表される芳香族アミン化合物のうち、さらに好ましくは一般式(9)で
表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【化11】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ
、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表す。)
【0023】
さらに好ましくは、構造式(81)で表される芳香族アミン化合物であることが好まし
い。
【化12】

【0024】
本発明の一は、一般式(10)で表される芳香族アミン化合物である。
【化13】

(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複
素芳香環基のいずれかを表し、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基
を表し、R11〜R14は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、ま
たは炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R31〜R34は、それぞれ、水素
原子、メチル基、置換基を有するシリル基のいずれかを表す。)
【0025】
一般式(10)で表される芳香族アミン化合物のうち、一般式(11)で表される芳香
族アミン化合物であることが好ましい。
【化14】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ
、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R31〜R34は、それぞれ、水素原子、メチル基、置換基を有するシリ
ル基のいずれかを表す。)
【0026】
一般式(10)で表される芳香族アミン化合物のうち、さらに好ましくは一般式(12
)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【化15】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ
、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表す。)
【0027】
さらに好ましくは、構造式(111)で表される芳香族アミン化合物であることが好ま
しい。
【化16】

【0028】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質を含む層は、
上記の芳香族アミン化合物を含むことを特徴とする発光素子である。
【0029】
また、本発明の一は、第1の電極と、第2の電極との間に、発光物質を含む層を有し、
発光物質を含む層は、発光層を有し、発光層よりも第1の電極側に、上記の芳香族アミン
化合物を含む層を有し、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くなるように
電圧を印加したときに発光物質が発光することを特徴とする発光素子である。
【0030】
また、本発明の一は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質を含む層は、
発光層を有し、発光層は、上記の芳香族アミン化合物を含むことを特徴とする発光素子で
ある。
【0031】
また、本発明の発光装置は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質を含む
層に上記の芳香族アミン化合物を含む発光素子と、発光素子の発光を制御する制御手段を
有することを特徴とする。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、
発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、パネルにコネクター、例え
ばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Ta
pe Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Car
rier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先に
プリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On G
lass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含
むものとする。
【0032】
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする
。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光
素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の芳香族アミン化合物はガラス転移点が高く、優れた耐熱性を有する。
【0034】
また、本発明の芳香族アミン化合物を発光素子、発光装置、電子機器に用いることによ
り、耐熱性に優れた発光素子、発光装置、電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光装置を説明する図。
【図4】本発明の発光装置を説明する図。
【図5】本発明の電子機器を説明する図。
【図6】本発明の電子機器を説明する図。
【図7】3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾールのH NMRチャートを示す図。
【図8】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−トリアミンのH NMRチャートを示す図。
【図9】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−トリアミンのトルエン溶液中および薄膜の吸収スペクトルを示す図。
【図10】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−トリアミンのトルエン溶液中および薄膜の発光スペクトルを示す図。
【図11】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−トリアミンのDSCチャートを示す図。
【図12】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−トリアミンのCV測定結果を示す図。
【図13】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミンのH NMRチャートを示す図。
【図14】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミンのトルエン溶液中および薄膜の吸収スペクトルを示す図。
【図15】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミンのトルエン溶液中および薄膜の発光スペクトルを示す図。
【図16】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミンのDSCチャートを示す図。
【図17】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミンのCV測定結果を示す図。
【図18】実施例3で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。
【図19】実施例3で作製した発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図20】実施例3で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図21】実施例4で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。
【図22】実施例4で作製した発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図23】実施例4で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図24】実施例5で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。
【図25】実施例5で作製した発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図26】実施例5で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図27】実施例6で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。
【図28】実施例6で作製した発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図29】実施例6で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図30】本発明の発光素子を説明する図。
【図31】9−[4−(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾールのH NMRチャートを示す図。
【図32】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−ベンゼン−1,3,5−トリアミンのH NMRチャートを示す図。
【図33】本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミンのH NMRチャートを示す図。
【図34】9−(4−{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセンのH NMRチャートを示す図。
【図35】9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセンのH NMRチャートを示す図。
【図36】N,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジンのH NMRチャートを示す図。
【図37】1,3,5−トリス{N−(4−ジフェニルアミノフェニル)アミノ}ベンゼンのDSCチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下
の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細
を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示
す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0037】
(実施の形態1)
本発明は、一般式(1)で表される芳香族アミン化合物である。
【0038】
【化17】

(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複
素芳香環基のいずれかを表し、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、ま
たは炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R11〜R13は、それぞれ、水素
原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれか
を表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基のいずれかを表
す。)
【0039】
一般式(1)において、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、
炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表す。具体的には、構造式(13−1)〜構造
式(13−17)に示す置換基が挙げられる。好ましくは、Ar〜Arは炭素数6〜
12のアリール基であることが好ましい。
【0040】
【化18】

【0041】
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または
炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造式(14−1)〜構造
式(14−16)に示す置換基が挙げられる。
【0042】
【化19】

【0043】
一般式(1)において、R11〜R13は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4
のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造
式(15−1)〜構造式(15−17)に示す置換基が挙げられる。
【0044】
【化20】

【0045】
一般式(1)において、Ar、Ar、Arは同一の置換基であることが好ましい

【0046】
一般式(1)において、R、R、Rは同一の置換基であることが好ましい。
【0047】
一般式(1)において、R11、R12、R13は同一の置換基であることが好ましい

【0048】
Ar、Ar、Arは同一の置換基であり、R、R、Rは同一の置換基であ
り、R11、R12、R13は同一の置換基であることにより、合成が容易となる。つま
り、3つの同じ第2級アミンを1,3,5−トリハロゲン化ベンゼンに反応させることに
より、本発明の芳香族アミン化合物を得ることができる。
【0049】
すなわち、一般式(2)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0050】
【化21】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R11は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6
〜25のアリール基のいずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル
基、メトキシ基のいずれかを表す。)
【0051】
一般式(1)および一般式(2)において、R21〜R23は水素原子であることが好
ましい。R21〜R23が水素原子であることにより、合成がより容易となる。
【0052】
すなわち、一般式(3)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0053】
【化22】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R11は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6
〜25のアリール基のいずれかを表す。)
【0054】
また、本発明は、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物である。
【0055】
【化23】

(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複
素芳香環基のいずれかを表し、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、ま
たは炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R11〜R12は、それぞれ、水素
原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれか
を表し、R31〜R34は、それぞれ、水素原子、メチル基、置換基を有するシリル基の
いずれかを表す。)
【0056】
一般式(4)において、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、
炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表す。具体的には、構造式(13−1)〜構造
式(13−17)に示す置換基が挙げられる。好ましくは、Ar〜Arは炭素数6〜
12のアリール基であることが好ましい。
【0057】
【化24】

【0058】
一般式(4)において、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または
炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造式(14−1)〜構造
式(14−16)に示す置換基が挙げられる。
【0059】
【化25】

【0060】
一般式(4)において、R11〜R12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4
のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造
式(15−1)〜構造式(15−17)に示す置換基が挙げられる。
【0061】
【化26】

【0062】
一般式(4)において、ArおよびArは同一の置換基であることが好ましい。
【0063】
一般式(4)において、RおよびRは同一の置換基であることが好ましい。
【0064】
一般式(4)において、R11およびR12は同一の置換基であることが好ましい。
【0065】
ArおよびArは同一の置換基であり、RおよびRは同一の置換基であり、R
11およびR12は同一の置換基であることにより、合成が容易となる。つまり、2つの
同じ第2級アミンを1,3−ジハロゲン化ベンゼンに反応させることにより、本発明の芳
香族アミン化合物を得ることができる。
【0066】
すなわち、一般式(5)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0067】
【化27】

(式中、Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環
基のいずれかを表し、Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜
25のアリール基のいずれかを表し、R11は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜
4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R31〜R34
は、それぞれ、水素原子、メチル基、置換基を有するシリル基のいずれかを表す。)
【0068】
一般式(4)および一般式(5)において、R31〜R34は水素原子であることが好
ましい。R31〜R34が水素原子であることにより、合成がより容易となる。
【0069】
すなわち、一般式(6)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0070】
【化28】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R11は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6
〜25のアリール基のいずれかを表す。)
【0071】
また、本発明は、一般式(7)で表される芳香族アミン化合物である。
【0072】
【化29】

(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複
素芳香環基のいずれかを表し、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基
を表し、R11〜R16は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、ま
たは炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素
原子、メチル基、メトキシ基のいずれかを表す。)
【0073】
一般式(7)において、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、
炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表す。具体的には、構造式(16−1)〜構造
式(16−17)に示す置換基が挙げられる。好ましくは、Ar〜Arは炭素数6〜
12のアリール基であることが好ましい。
【0074】
【化30】

【0075】
一般式(7)において、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基を表
す。具体的には、構造式(17−1)〜構造式(17−7)に示す置換基が挙げられる。
【0076】
【化31】

【0077】
一般式(7)において、R11〜R16は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4
のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造
式(18−1)〜構造式(18−17)に示す置換基が挙げられる。
【0078】
【化32】

【0079】
一般式(7)において、Ar、Ar、Arは同一の置換基であることが好ましい

【0080】
一般式(7)において、Y、Y、Yは同一の置換基であることが好ましい。
【0081】
一般式(7)において、R11、R13、R15は同一の置換基であることが好ましい

【0082】
一般式(7)において、R12、R14、R16は同一の置換基であることが好ましい

【0083】
Ar、Ar、Arは同一の置換基であり、Y、Y、Yは同一の置換基であ
り、R11、R13、R15は同一の置換基であり、R12、R14、R16は同一の置
換基であることにより、合成が容易となる。つまり、3つの同じ第2級アミンを1,3,
5−トリハロゲン化ベンゼンに反応させることにより、本発明の芳香族アミン化合物を得
ることができる。
【0084】
すなわち、一般式(8)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0085】
【化33】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ
、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基のいずれ
かを表す。)
【0086】
一般式(7)および一般式(8)において、R21〜R23は水素原子であることが好
ましい。R21〜R23が水素原子であることにより、合成がより容易となる。
【0087】
すなわち、一般式(9)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0088】
【化34】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ
、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表す。)
【0089】
また、本発明は、一般式(10)で表される芳香族アミン化合物である。
【0090】
【化35】

(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複
素芳香環基のいずれかを表し、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基
を表し、R11〜R14は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、ま
たは炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R31〜R34は、それぞれ、水素
原子、メチル基、置換基を有するシリル基のいずれかを表す。)
【0091】
一般式(10)において、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基
、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表す。具体的には、構造式(16−1)〜構
造式(16−17)に示す置換基が挙げられる。好ましくは、Ar〜Arは炭素数6
〜12のアリール基であることが好ましい。
【0092】
【化36】

【0093】
一般式(10)において、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基を
表す。具体的には、構造式(17−1)〜構造式(17−7)に示す置換基が挙げられる

【0094】
【化37】

【0095】
一般式(10)において、R11〜R14は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜
4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構
造式(18−1)〜構造式(18−17)に示す置換基が挙げられる。
【0096】
【化38】

【0097】
一般式(10)において、ArおよびArは同一の置換基であることが好ましい。
【0098】
一般式(10)において、YおよびYは同一の置換基であることが好ましい。
【0099】
一般式(10)において、R11およびR13は同一の置換基であることが好ましい。
【0100】
一般式(10)において、R12およびR14は同一の置換基であることが好ましい。
【0101】
ArおよびArは同一の置換基であり、YおよびYは同一の置換基であり、R
11およびR13は同一の置換基であり、R12およびR14は同一の置換基であること
により、合成が容易となる。つまり、2つの同じ第2級アミンを1,3−ジハロゲン化ベ
ンゼンに反応させることにより、本発明の芳香族アミン化合物を得ることができる。
【0102】
すなわち、一般式(11)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0103】
【化39】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ
、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表し、R31〜R34は、それぞれ、水素原子、メチル基、置換基を有するシリ
ル基のいずれかを表す。)
【0104】
一般式(10)および一般式(11)において、R31〜R34は水素原子であること
が好ましい。R31〜R34が水素原子であることにより、合成がより容易となる。
【0105】
すなわち、一般式(12)で表される芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0106】
【化40】

(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれ
かを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ
、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のい
ずれかを表す。)
【0107】
本発明の芳香族アミン化合物の具体例としては、構造式(21)〜(140)に示され
る芳香族アミン化合物を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0108】
【化41】

【0109】
【化42】

【0110】
【化43】

【0111】
【化44】

【0112】
【化45】

【0113】
【化46】

【0114】
【化47】

【0115】
【化48】

【0116】
【化49】

【0117】
【化50】

【0118】
【化51】

【0119】
【化52】

【0120】
【化53】

【0121】
【化54】

【0122】
【化55】

【0123】
【化56】

【0124】
【化57】

【0125】
【化58】

【0126】
【化59】

【0127】
【化60】

【0128】
【化61】

【0129】
【化62】

【0130】
【化63】

【0131】
【化64】

【0132】
【化65】

【0133】
【化66】

【0134】
【化67】

【0135】
【化68】

【0136】
【化69】

【0137】
【化70】

【0138】
【化71】

【0139】
【化72】

【0140】
【化73】

【0141】
【化74】

【0142】
【化75】

【0143】
【化76】

【0144】
下記一般式(1)で表される本発明の芳香族アミン化合物は、合成スキーム(A−1)
および合成スキーム(A−2)で表される合成方法によって合成することができる。まず
、カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物A)と、N−ブロモコハク酸イミド(NBS
)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、臭素(Br)、ヨウ化カリウム(KI)、
ヨウ素(I)等のハロゲンまたはハロゲン化物とを反応させ、3−ブロモカルバゾール
を骨格に含む化合物(化合物B)を合成した後、さらにパラジウム触媒(Pd触媒)など
の金属触媒を用いた第1級アミンとのカップリング反応を行うことによって化合物Cを得
る。得られた化合物Cと1,3,5−トリハロゲン化ベンゼンとをPd触媒などの金属触
媒を用いて反応させることにより、本発明の芳香族アミン化合物を得ることができる。
【0145】
【化77】

【0146】
【化78】

【0147】
【化79】

【0148】
一般式(1)および合成スキーム(A−1)、(A−2)において、Ar〜Ar
、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表
し、R〜Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリ
ール基のいずれかを表し、R11〜R13は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4
のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R21〜R23
、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基のいずれかを表す。
【0149】
なお、合成スキーム(A−2)において、一種の化合物Cを1,3,5−トリハロゲン
化ベンゼン1等量に対して3当量反応させることにより、一般式(2)の本発明の芳香族
アミン化合物を一段階の反応で得ることができる。すなわち、一般式(2)の本発明の芳
香族アミン化合物は、合成が容易であるという特徴を有している。
【0150】
また、下記一般式(4)で表される本発明の芳香族アミン化合物は、上記合成スキーム
(A−1)および下記合成スキーム(A−3)で表される合成方法によって合成すること
ができる。合成スキーム(A−1)によって得られた化合物Cと1,3−ジハロゲン化ベ
ンゼンとをPd触媒などの金属触媒を用いて反応させることにより、本発明の芳香族アミ
ン化合物を得ることができる。
【0151】
【化80】

【0152】
【化81】

【0153】
一般式(4)および合成スキーム(A−3)において、Ar〜Arは、それぞれ、
炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表し、R〜R
は、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいず
れかを表し、R11〜R12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基
、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R31〜R34は、それぞれ、
水素原子、メチル基、置換基を有するシリル基のいずれかを表す。
【0154】
なお、合成スキーム(A−3)において、一種の化合物Cを1,3−ジハロゲン化ベン
ゼン1等量に対して2当量反応させることにより、一般式(5)の本発明の芳香族アミン
化合物を一段階の反応で得ることができる。すなわち、一般式(5)の本発明の芳香族ア
ミン化合物は、合成が容易であるという特徴を有している。
【0155】
下記一般式(7)で表される本発明の芳香族アミン化合物は、合成スキーム(A−4)
および合成スキーム(A−5)で表される合成方法によって合成することができる。まず
、カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物D)とジハロゲン化アリールとを反応させて
、N−ハロゲン化アリールカルバゾールを骨格に含む化合物(化合物E)を合成した後、
さらにヨウ化銅(CuI)などの金属触媒を用いた第2級アミンとのカップリング反応を
行うことによって化合物Fを得る。得られた化合物Fと1,3,5−トリハロゲン化ベン
ゼンとをPd触媒を用いて反応させることにより、本発明の芳香族アミン化合物を得るこ
とができる。
【0156】
【化82】

【0157】
【化83】

【0158】
【化84】

【0159】
一般式(7)および合成スキーム(A−4)、(A−5)において、Ar〜Ar
、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表
し、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R16
、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリ
ール基のいずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ
基のいずれかを表す。
【0160】
なお、合成スキーム(A−5)において、一種の化合物Eを1,3,5−トリハロゲン
化ベンゼン1等量に対して3当量反応させることにより、一般式(8)の本発明の芳香族
アミン化合物を一段階の反応で得ることができる。すなわち、一般式(8)の本発明の芳
香族アミン化合物は、合成が容易であるという特徴を有している。
【0161】
また、下記一般式(10)で表される本発明の芳香族アミン化合物は、上記合成スキー
ム(A−4)および下記合成スキーム(A−6)で表される合成方法によって合成するこ
とができる。合成スキーム(A−4)によって得られた化合物Fと1,3−ジハロゲン化
ベンゼンとをPd触媒などの金属触媒を用いて反応させることにより、本発明の芳香族ア
ミン化合物を得ることができる。
【0162】
【化85】

【0163】
【化86】

【0164】
一般式(10)および合成スキーム(A−6)において、Arは、炭素数6〜12の
アリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表し、Yは、炭素数6〜25の
アリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のア
ルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R21〜R23は、そ
れぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基のいずれかを表す。
【0165】
なお、合成スキーム(A−6)において、一種の化合物Eを1,3−ジハロゲン化ベン
ゼン1等量に対して2当量反応させることにより、一般式(11)の本発明の芳香族アミ
ン化合物を一段階の反応で得ることができる。すなわち、一般式(11)の本発明の芳香
族アミン化合物は、合成が容易であるという特徴を有している。
【0166】
上述した合成スキームにおいて、金属触媒を用いたカップリング反応は、トリ(ter
t−ブチル)ホスフィン(tert−Bu)Pを配位子として有するPd触媒を用いる
ことができる。例えば、Pd触媒としては、Pd(dba)と(tert−Bu)
を混合することにより、(tert−Bu)PがPdに配位した触媒を用いることがで
きる。なお、Pd(dba)以外にも、配位力が(tert−Bu)Pより小さい配
位子を配位したPd錯体を用いても構わない。具体的には、Pd(dba)、パラジウ
ム ジアセテート(Pd(OAc))等を用いることができる。好ましくは、Pd(d
ba)を用いると良い。配位子としては、(tert−Bu)P以外にもDPPFを
用いることができる。反応温度は、室温から130℃が好ましい。130℃以上に加熱し
てしまうとPd触媒が分解してしまい、触媒としての機能を果たさなくなってしまうこと
がある。また、加熱温度を60℃から110℃とすると、反応を制御することが容易とな
り、収率も高くなるので、より好ましい。なお、dbaとはtrans,trans−d
ibenzylideneacetoneを示す。また、DPPFとは、1,1―ビス(
ジフェニルホスフィノ)フェロセンを示す。溶媒としては、脱水トルエンやキシレン等を
用いることができる。塩基としてはtert−BuONa等のアルカリ金属アルコキシド
等を用いることができる。
【0167】
本発明の芳香族アミン化合物は、正孔輸送性に優れている。よって、本発明の芳香族ア
ミン化合物を発光素子や太陽電池等のエレクトロニクスデバイスに用いることにより、良
好な電気特性を得ることができる。
【0168】
また、本発明の芳香族アミン化合物は、カルバゾール骨格を有しているためガラス転移
点が高い。つまり、耐熱性に優れているため、本発明の芳香族アミン化合物を発光素子や
太陽電池等のエレクトロニクスデバイスに用いることにより、耐熱性に優れたエレクトロ
ニクスデバイスを得ることができる。
【0169】
また、本発明の芳香族アミン化合物は、酸化反応および引き続く還元反応を繰り返して
も安定である。つまり、繰り返しの酸化反応に安定である。よって、本発明の芳香族アミ
ン化合物を発光素子や太陽電池等のエレクトロニクスデバイスに用いることにより、長寿
命な発光素子を得ることができる。
【0170】
(実施の形態2)
本発明の芳香族アミン化合物を用いた発光素子の一態様について図1(A)を用いて以
下に説明する。
【0171】
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離
れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリア(担体
)の再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質か
らなる層を組み合わせて積層されたものである。
【0172】
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層
した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその
上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本形態では第1の電極1
02は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明を
する。
【0173】
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス
、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の作製工程において支
持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0174】
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合
金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例
えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素を含有
したインジウム錫酸化物、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合
したIZO(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステンを0.5〜5w
t%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したインジウム酸化物(IWZO)等が挙げられ
る。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法な
どを応用して作製しても構わない。その他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni
)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト
(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チ
タン:TiN)等が挙げられる。
【0175】
第1の層103は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物(MoO
x)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化
物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等を用いることができる。この他、フタロシ
アニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合
物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PED
OT/PSS)等の高分子等によっても第1の層103を形成することができる。
【0176】
また、第1の層103に、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いて
もよい。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む
複合材料では、有機化合物と無機化合物との間で電子の授受が行われ、キャリア密度が増
大するため、正孔注入性、正孔輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、正
孔の輸送に優れた材料であることが好ましい。具体的にはアリールアミン化合物、カルバ
ゾール誘導体を用いることができる。また、有機化合物として、芳香族炭化水素を用いて
もよい。無機化合物としては、有機化合物に対し電子受容性を示す物質であればよく、具
体的には、遷移金属の酸化物であることが好ましい。例えば、チタン酸化物(TiOx)
、バナジウム酸化物(VOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、タングステン酸化物(
WOx)、レニウム酸化物(ReOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、クロム酸化物
(CrOx)、ジルコニウム酸化物(ZrOx)、ハフニウム酸化物(HfOx)、タン
タル酸化物(TaOx)、銀酸化物(AgOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属
酸化物を用いることができる。第1の層103に有機化合物と無機化合物とを複合してな
る複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、
仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
【0177】
第2の層104は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。実施の形態1で示した本発
明の芳香族アミン化合物は正孔輸送性に優れているため、第2の層104に好適に用いる
ことができる。本発明の芳香族アミン化合物を第2の層104に用いることにより、良好
な特性の発光素子を得ることができる。特に、耐熱性に優れた発光素子を得ることができ
る。
【0178】
第3の層105は、発光性の物質を含む層である。発光性物質については、特に制限さ
せることなく各種のものが使用でき、それには、クマリン6やクマリン545Tなどのク
マリン誘導体、N,N’−ジメチルキナクリドンやN、N’−ジフェニルキナクリドンな
どのキナクリドン誘導体、N−フェニルアクリドンやN−メチルアクリドンなどのアクリ
ドン誘導体、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称
:t−BuDNA)、9,10−ジフェニルアントラセン、ルブレン、ペリフランテン、
2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)などの縮合芳
香族化合物、4−ジシアノメチレン−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メ
チル−4H−ピランなどのピラン誘導体、4−(2,2−ジフェニルビニル)トリフェニ
ルアミンなどのアミン誘導体などが挙げられる。燐光発光性物質としては、ビス{2−(
p−トリル)ピリジナト}イリジウム(III)アセチルアセトナートやビス{2−(2
’−ベンゾチエニル)ピリジナト}イリジウム(III)アセチルアセトナート、ビス{
2−(4、6−ジフルオロフェニル)ピリジナト}イリジウム(III)ピコリナートな
どのイリジウム錯体、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H
,23H−ポルフィリン−白金錯体などの白金錯体、4,7−ジフェニル−1,10−フ
ェナントロリントリス(2−テノイルトリフルオロアセトナト)ユーロピウム(III)
などの希土類錯体などが挙げられる。
【0179】
また、第3の層105を他の物質に発光性の物質を分散させて構成してもよい。発光性
の物質を分散させるための材料としては、各種のものを用いることができる。具体的には
、発光性の物質よりもLUMO準位が高く、HOMO準位が低い物質を用いることができ
る。また、発光性の物質を分散させるための材料は複数種用いることができる。例えば、
結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。ま
た、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うために4,4’−ビス[N−(
1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、あるいはトリス(8−キ
ノリノラト)アルミニウム(Alq)等をさらに添加してもよい。
【0180】
第4の層106は、電子輸送性の高い物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミ
ニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称
:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:
BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アル
ミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属
錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオ
キサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール
系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−
(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジ
アゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−
1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−
tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−
トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エ
チルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−E
tTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:B
CP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上
の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、
上記以外の物質を第4の層106として用いても構わない。また、第4の層106は、単
層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0181】
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV
以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる
。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、す
なわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(M
g)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれ
らを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)
等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極10
7と第4の層106との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層
して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素を含むI
TO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
【0182】
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セ
シウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ
土類金属の化合物を用いることができる。また、この他、電子輸送性を有する物質からな
る層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたもの、例えばAlq中にマグネ
シウム(Mg)やリチウム(Li)を含有させたもの等を用いることができる。
【0183】
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法
は、蒸着法の他、例えばインクジェット法またはスピンコート法など公知の方法を用いて
も構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0184】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107
との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層10
5において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光
領域が形成されるような構成となっている。
【0185】
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って
外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方
または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質
からなるものである場合、図1(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基
板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるもの
である場合、図1(B)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から
取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質
からなるものである場合、図1(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2
の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
【0186】
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のもの
には限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるよ
うに、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合
する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。
【0187】
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送
性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び
正孔の輸送性の高い物質)の物質、正孔ブロック材料等から成る層を、本発明の芳香族ア
ミン化合物と自由に組み合わせて構成すればよい。
【0188】
図2に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い
物質からなる第1の層303、発光性物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質
からなる第3の層305、正孔注入性の高い物質からなる第4の層306、陽極として機
能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。なお、301は基板であ
る。
【0189】
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製
している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置
を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄
膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作
製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリ
クス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型の
TFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性に
ついても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい
。また、TFTアレイ基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFT
からなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであ
ってもよい。
【0190】
本発明の芳香族アミン化合物は、正孔輸送性に優れた材料であるため、発光素子に用い
ることで、発光素子の駆動電圧を低減することができ、消費電力の低減に繋がる。
【0191】
また、本発明の芳香族アミン化合物はガラス転移点が高いため、発光素子に用いること
で、耐熱性に優れた発光素子を得ることができる。
【0192】
また、本発明の芳香族アミン化合物は、酸化反応および引き続く還元反応を繰り返して
も安定である。つまり、繰り返しの酸化反応に安定である。よって、本発明の芳香族アミ
ン化合物を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
【0193】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した構成と異なる構成の発光素子について説明す
る。
【0194】
また、本発明の芳香族アミン化合物は正孔注入性の高い物質であるため、実施の形態2
で示した第1の層103に用いることができる。本発明の芳香族アミン化合物を第1の層
103に用いることにより、良好な特性の発光素子を得ることができる。
【0195】
本発明の芳香族アミン化合物を第1の層103に用いた場合、第2の層104を形成す
る物質としては、種々の材料を用いることができる。例えば、芳香族アミン(すなわち、
ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物を用いることができる。広く用いられて
いる材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]
ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルア
ミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェ
ニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェ
ニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン
化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度
を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の
ものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合
層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
【0196】
また、本発明の芳香族アミン化合物を、第1の層103および第2の層104として用
いてもよい。
【0197】
本発明の芳香族アミン化合物は、正孔注入性に優れた材料であるため、発光素子に用い
ることで、発光素子の駆動電圧を低減することができ、消費電力の低減に繋がる。
【0198】
また、本発明の芳香族アミン化合物はガラス転移点が高いため、発光素子に用いること
で、耐熱性に優れた発光素子を得ることができる。
【0199】
また、本発明の芳香族アミン化合物は、酸化反応および引き続く還元反応を繰り返して
も安定である。つまり、繰り返しの酸化反応に安定である。よって、本発明の芳香族アミ
ン化合物を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
【0200】
なお、第1の層103以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
【0201】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2で示した構成と異なる構成の発光素子について説明す
る。
【0202】
実施の形態2で示した第3の層105に本発明の芳香族アミン化合物を用いることによ
り、本発明の芳香族アミン化合物からの発光を得ることができる。本発明の芳香族アミン
化合物は青〜緑色の発光を示すため、青〜緑色の発光を示す発光素子を得ることができる

【0203】
第3の層105は、本発明の芳香族アミン化合物のみで構成してもよいし、本発明の芳
香族アミン化合物を他の物質に分散させて構成してもよい。本発明の芳香族アミン化合物
を分散させる物質としては、種々の材料を用いることができ、実施の形態2で述べた正孔
輸送性の高い物質や電子輸送性の高い物質の他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフ
ェニル(略称:CBP)や、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリ−イル)−ト
リス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール](略称:TPBI)、9,10−ジ(
2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(
2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)などが挙げられる。
【0204】
本発明の芳香族アミン化合物はガラス転移点が高いため、発光素子に用いることで、耐
熱性に優れた発光素子を得ることができる。
【0205】
また、本発明の芳香族アミン化合物は、酸化反応および引き続く還元反応を繰り返して
も安定である。つまり、繰り返しの酸化反応に安定である。よって、本発明の芳香族アミ
ン化合物を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
【0206】
なお、第3の層105以外は、実施の形態2および実施の形態3に示した構成を適宜用
いることができる。
【0207】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光装置について
説明する。
【0208】
本実施の形態では、本発明の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光装置について
図3を用いて説明する。なお、図3(A)は、発光装置を示す上面図、図3(B)は図3
(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動
回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路
)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれ
た内側は、空間607になっている。
【0209】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入
力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプ
リントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号
等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント
配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光
装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものと
する。
【0210】
次に、断面構造について図3(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路
部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601
と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0211】
なお、ソース側駆動回路601ではnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT6
24とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、公知のCMOS回
路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上
に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基
板上ではなく外部に形成することもできる。
【0212】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とその
ドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。
なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ
型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0213】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有
する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性ア
クリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有
する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッ
チャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となる
ポジ型のいずれも使用することができる。
【0214】
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617がそれぞ
れ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては
、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有
したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チ
タン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとア
ルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と
窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線とし
ての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させること
ができる。
【0215】
また、発光物質を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、ス
ピンコート法等の公知の方法によって形成される。発光物質を含む層616は、実施の形
態1で示した本発明の芳香族アミン化合物を含んでいる。また、発光物質を含む層616
を構成する他の材料としては、低分子系材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを
含む)、または高分子系材料であっても良い。また、発光物質を含む層に用いる材料とし
ては、通常、有機化合物を単層もしくは積層で用いる場合が多いが、本発明においては、
有機化合物からなる膜の一部に無機化合物を用いる構成も含めることとする。
【0216】
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617
に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれら
の合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、LiF、CaF等)を用いることが好
ましい。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過する場合に
は、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜2
0wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜
鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
【0217】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、
素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素
子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されてお
り、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填され
る場合もある。
【0218】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料
はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604
に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Rei
nforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポ
リエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0219】
以上のようにして、本発明の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光装置を得るこ
とができる。
【0220】
本発明の発光装置は、実施の形態1で示した芳香族アミン化合物を用いているため、良
好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、耐熱性の高い発光装置を得
ることができる。
【0221】
また、本発明の芳香族アミン化合物は、正孔輸送性に優れた材料であるため、発光素子
の駆動電圧を低減することができ、発光装置の消費電力を低減することができる。
【0222】
また、本発明の芳香族アミン化合物は、酸化反応および引き続く還元反応を繰り返して
も安定である。つまり、繰り返しの酸化反応に安定である。よって、本発明の芳香族アミ
ン化合物を発光装置に用いることにより、長寿命な発光装置を得ることができる。
【0223】
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するア
クティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特
に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図4には本発明
を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図4において、基板951上
には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電
極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層95
4が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と
他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺
方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層
953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層95
3と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起
因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低
駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させること
ができる。
【0224】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器に
ついて説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1に示した本発明の芳香族アミン化合
物を含み、耐熱性が高い表示部を有する。また、長寿命の表示部を有する。また、消費電
力の低減された表示部を有する。
【0225】
本発明の芳香族アミン化合物を用いて作製された発光素子を有する電子機器として、ビ
デオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響
再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情
報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒
体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(
DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙
げられる。これらの電子機器の具体例を図5に示す。
【0226】
図5(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部
9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置に
おいて、表示部9103は、実施の形態2〜4で説明したものと同様の発光素子をマトリ
クス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、長寿命で
あるという特徴を有している。また、耐熱性が高いという特徴を有している。その発光素
子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化
が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、
劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体910
1や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、
低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製
品を提供することができる。
【0227】
図5(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部
9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス920
6等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜4で説明し
たものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低
電圧駆動が可能であり、長寿命であるという特徴を有している。また、耐熱性が高いとい
う特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するた
め、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような
特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮
小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能で
ある。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られている
ので、環境に適合した製品を提供することができる。
【0228】
図5(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部94
03、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9
407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の
形態2〜4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。
当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、長寿命であるという特徴を有している。また
、耐熱性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同
様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られてい
る。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、
若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図るこ
とが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られ
ているので、携帯に適した製品を提供することができる。
【0229】
図5(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体950
3、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9
507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラ
において、表示部9502は、実施の形態2〜4で説明したものと同様の発光素子をマト
リクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、長寿命
であるという特徴を有している。また、耐熱性が高いという特徴を有している。その発光
素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が
少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補
償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小
型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型
軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
【0230】
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野
の電子機器に適用することが可能である。本発明の芳香族アミン化合物を用いることによ
り、低消費電力で、長寿命であり、耐熱性の高い表示部を有する電子機器を提供すること
が可能となる。
【0231】
また、本発明の発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を
照明装置として用いる一態様を、図6を用いて説明する。
【0232】
図6は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図
6に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体90
4を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト
903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている

【0233】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、消費電力の
低減されたバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であ
り大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大
面積化も可能になる。さらに、本発明の発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装
置の薄型化、低消費電力化も可能となる。また、本発明の発光装置は長寿命であり、耐熱
性に優れているため、本発明の発光装置は液晶表示装置も、長寿命であり、耐熱性に優れ
ている。
【実施例1】
【0234】
本発明の芳香族アミン化合物の一例として、構造式(21)で表されるN,N’,N’
’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)
−ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:PCA3B)の合成方法について説明する

【0235】
【化87】

【0236】
[ステップ1]
まず、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成方法について説明する。3−ブロ
モ−9−フェニルカルバゾールの合成スキームを(B−1)に示す。
【0237】
【化88】

【0238】
9−フェニルカルバゾール24.3g(100mmol)を氷酢酸600mLに溶かし
、N−ブロモコハク酸イミド17.8g(100mmol)をゆっくり加え、室温で約2
0時間撹拌した。この氷酢酸溶液を氷水1Lに撹拌しながら滴下した。析出した白色固体
を水で3回洗浄した。この固体をジエチルエーテル150mLに溶解し、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液、水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを濾
過し、得られたろ液を濃縮し、ここにメタノールを約50mLを加え、均一に溶解させた
。この溶液を静置することで白色固体が析出した。この固体を回収し乾燥させる事で、白
色粉末の3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを28.4g(収率88%)を得た。
【0239】
[ステップ2]
次に、3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾール(略称:PCA)の合
成方法について説明する。PCAの合成スキームを(B−2)に示す。
【0240】
【化89】

【0241】
三口フラスコに、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを19g(60mmol)、
ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を340mg(0.6mmol)、1
,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを1.6g(3.0mmol)、ナトリ
ウム tert−ブトキシドを13g(180mmol)入れ、窒素置換した後、脱水キ
シレンを110mL、アニリンを7.0g(75mmol)加えた。これを窒素雰囲気下
にて90℃、7.5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に温トルエン約500m
Lを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を
濃縮し、ここにヘキサン−酢酸エチルを加えて超音波を照射した。得られた懸濁液を濾過
し、このろ物を乾燥し、クリーム色粉末の3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカ
ルバゾール(略称:PCA)15g(収率75%)を得た。
【0242】
プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果は以下のとおりであった。
H NMR(300MHz、CDCl);δ=6.84(t、J=6.9Hz、1H
)、6.97(d、J=7.8Hz、2H)、7.20−7.61(m、13H)、7.
90(s、1H)、8.04(d、J=7.8Hz、1H)。また、H NMRのチャ
ートを図7(A)に、図7(A)における5.0〜9.0ppmの部分を拡大したものを
図7(B)に示す。
【0243】
また、溶媒をDMSOとしたときの核磁気共鳴分光法による分析結果を示す。H N
MR(300MHz、DMSO−d);δ=6.73(t、J=7.5Hz、1H)、
7.02(d、J=8.1Hz、2H)、7.16−7.70(m、12H)、7.95
(s、1H)、8.06(s、1H)、8.17(d、J=7.8Hz、1H)。13
NMR(75.5MHz、DMSO−d);δ=109.55、110.30、11
0.49、114.71、118.22、119.70、120.14、120.61、
122.58、123.35、126.18、126.48、127.37、129.1
5、130.14、135.71、136.27、137.11、140.41、145
.61。
【0244】
[ステップ3]
次に、構造式(21)で表されるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’
−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−トリアミン
(略称:PCA3B)の合成方法について説明する。PCA3Bの合成スキームを(B−
3)に示す。
【0245】
【化90】

【0246】
三口フラスコに、1,3,5−トリブロモベンゼンを1.9g(6.0mmol)、ス
テップ2で得たPCAを6.4g(19mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パ
ラジウム(0)を580mg(1.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを
4.0g(40mmol)入れ、窒素置換した後、脱水キシレン30mLを加えて3分間
気泡が出なくなるまで脱気をおこなった。トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10w
t%ヘキサン溶液)6.0mL(3.0mmol)を加えて窒素雰囲気下にて90℃加熱
撹拌を行った。3.5時間後加熱を止め、この反応溶液にトルエン約500mLを加えて
フロリジール、セライトを通して濾過を行った。得られた濾液を水で洗浄し、硫酸マグネ
シウムを加えて乾燥させた。この溶液をろ過し、得られた濾液を濃縮し、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=2:3)にて分取した。得られた溶液を濃
縮し、ヘキサンを加えて超音波を照射した。生じた固体を濾取し、乾燥させ、淡山吹色粉
末のN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバ
ゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:PCA3B)2.0g
(収率34%)を得た。
【0247】
プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果は以下のとおりであった。
H NMR(300MHz、DMSO−d);δ=6.21(s、3H)、6.78
(t、J=6.9Hz、3H)、6.99−7.21(m、21H)、7.29(d、J
=8.4Hz、3H)、7.37−7.53(m、12H)、7.61(t、J=7.8
、6H)、7.96(d、J=1.5Hz、3H)、8.16(d、J=7.5Hz、3
H)。また、H NMRのチャートを図8(A)に、図8(A)における6.0〜8.
5ppmの部分を拡大したものを図8(B)に示す。
【0248】
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用い
てガラス転移点を測定した。まず、サンプルを40℃/minで440℃まで加熱した後
、40℃/minで室温まで冷却した。その後10℃/minで440℃まで昇温し、4
0℃/minで室温まで冷却することにより、図11のDSCチャートを得た。このチャ
ートから、PCA3Bのガラス転移点(Tg)は146℃であることがわかった。このこ
とから、PCA3Bは高いガラス転移点を有することがわかった。なお、本測定において
は、融点を示す吸熱ピークは観測されなかった。
【0249】
また、PCA3Bのトルエン溶液およびPCA3Bの薄膜の吸収スペクトルを図9に示
す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は
石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペ
クトルを差し引いた吸収スペクトルを図9に示した。図9において横軸は波長(nm)、
縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では311nmおよび370n
m付近に吸収が見られ、薄膜の場合では316nmおよび380nm付近に吸収が見られ
た。また、PCA3Bのトルエン溶液(励起波長320nm)および薄膜(励起波長31
1nm)の発光スペクトルを図10に示す。図10において横軸は波長(nm)、縦軸は
発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では416nm(励起
波長320nm)、薄膜の場合で437nm(励起波長311nm)であった。
【0250】
また、PCA3Bの薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器
社製、AC−2)で測定した結果、−5.31eVであった。さらに、図9のPCA3B
の薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収
端を光学的エネルギーギャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.
99eVであった。したがって、LUMO準位は−2.32eVである。
【0251】
また、PCA3Bの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリックボルタン
メトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー
・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
【0252】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)ア
ルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である
過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製
、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さら
に測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極と
しては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白
金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参
照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電
極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
【0253】
PCA3Bの酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電
極の電位を−0.04から0.9Vまで変化させた後、0.9Vから−0.04Vまで変
化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速
度は0.1V/sに設定した。
【0254】
PCA3Bの酸化反応特性について調べた結果を図12に示す。図12において、横軸
は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流
れた電流値(1×10−5A)を表す。
【0255】
図12から、0.4V付近、0.5V付近および0.6V付近(vs.Ag/Ag
極)に酸化を示す電流が観測された。また、100サイクルもの走査を繰り返しているに
もかかわらず、酸化反応においてはCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が
見られない。このことから、本発明の芳香族アミン化合物は酸化反応および引き続く還元
反応(すなわち酸化の繰り返し)に対して極めて安定であることが分かった。
【0256】
(比較例1)
比較例として、特許文献1に記載されている1,3,5−トリス{N−(4−ジフェニ
ルアミノフェニル)アミノ}ベンゼンのガラス転移点を測定した。
【0257】
ガラス転移点の測定は、実施例1と同様に、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキン
エルマー社製、Pyris1)を用いて行った。まず、サンプルを40℃/minで35
0℃まで加熱して溶融させた後、40℃/minで室温まで冷却した。その後10℃/m
inで350℃まで昇温し、40℃/minで室温まで冷却することにより、図37のD
SCチャートを得た。このチャートから、1,3,5−トリス{N−(4−ジフェニルア
ミノフェニル)アミノ}ベンゼンのガラス転移点(Tg)は106℃であることがわかっ
た。なお、最初にサンプルを溶融させた際のDSCチャートでは融点を示す吸熱ピークが
観察され、融点は236℃であった。なお、特許文献1には、ガラス転移点は108℃、
融点は240℃と記載されている。
【0258】
よって、本発明の芳香族アミン化合物は、特許文献1に記載されている1,3,5−ト
リス{N−(4−ジフェニルアミノフェニル)アミノ}ベンゼンよりも高いガラス転移点
を有し、耐熱性に優れていることがわかった。
【実施例2】
【0259】
本発明の芳香族アミン化合物の一例として、構造式(51)で表されるN,N’−ビス
(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−
ジアミン(略称:PCA2B)の合成方法について説明する。
【0260】
【化91】

【0261】
[ステップ1]
PCA2Bの合成方法について説明する。PCA2Bの合成スキームを(B−4)に示
す。
【0262】
【化92】

【0263】
三口フラスコに、1,3−ジブロモベンゼンを1.18g(5.0mmol)、実施例
1のステップ2で合成したPCAを3.3g(10mmol)、ビス(ジベンジリデンア
セトン)パラジウム(0)を580mg(1.0mmol)、ナトリウム tert−ブ
トキシドを3.0g(30mmol)入れ、窒素置換した後、脱水キシレン20mLを加
えて3分間気泡が出なくなるまで脱気をおこなった。トリ(tert−ブチル)ホスフィ
ン(10wt%ヘキサン溶液)6mL(3mmol)を加えて窒素雰囲気下にて90℃加
熱撹拌を行った。5.0時間後加熱を止め、この反応溶液にトルエン約200mLを加え
てフロリジール、セライトを通して濾過を行った。得られた濾液を水で洗浄し、硫酸マグ
ネシウムを加えて乾燥させた。この溶液をろ過し、得られた濾液を濃縮し、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=2:3)にて分取した。得られた溶液を
濃縮し、ヘキサンを加えて超音波を照射した。生じた固体を濾取し、乾燥させ、淡クリー
ム色粉末のN,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェ
ニル−ベンゼン−1,3−ジアミン(略称:PCA2B)2.0g(収率54%)を得た

【0264】
プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果は以下のとおりであった。
H NMR(300MHz、CDCl);δ=6.65(dd、J=8.1Hz、2
.1Hz、2H)、6.83−6.88(m、2H)、6.98(t、J=2.1Hz、
1H)、7.03−7.28(m、15H)、7.37(d、J=3.3Hz、4H)、
7.42−7.60(m、10H)、7.90(d、J=2.1Hz、2H)、7.98
(d、J=7.8Hz、2H)。また、H NMRのチャートを図13(A)に、図1
3(A)における6.0〜8.5ppmの部分を拡大したものを図13(B)に示す。
【0265】
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用い
てガラス転移点を測定した。まず、サンプルを40℃/minで400℃まで加熱した後
、40℃/minで室温まで冷却した。その後10℃/minで400℃まで昇温し、4
0℃/minで室温まで冷却することにより、図16のDSCチャートを得た。このチャ
ートから、PCA2Bのガラス転移点(Tg)は124℃であることがわかった。このこ
とから、PCA2Bは高いガラス転移点を有することがわかった。なお、本測定において
は、融点を示す吸熱ピークは観測されなかった。
【0266】
また、PCA2Bのトルエン溶液およびPCA2Bの薄膜の吸収スペクトルを図14に
示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶
液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収
スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図14に示した。図14において横軸は波長(
nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では309nmおよび
370nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では311nmおよび380nm付近に吸収
が見られた。また、PCA2Bのトルエン溶液(励起波長325nm)および薄膜(励起
波長311nm)の発光スペクトルを図15に示す。図15において横軸は波長(nm)
、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では422n
m(励起波長325nm)、薄膜の場合で435nm(励起波長311nm)であった。
【0267】
また、薄膜状態におけるHOMO準位を大気中の光電子分光法(理研計器社製、AC−
2)で測定した結果、−5.28eVであった。さらに、図14の薄膜の吸収スペクトル
のデータを用い、Taucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギーギ
ャップとして見積もったところ、そのエネルギーギャップは2.98eVであった。した
がって、LUMO準位は−2.30eVである。
【0268】
また、PCA2Bの酸化反応特性を測定した。酸化反応特性は、サイクリックボルタン
メトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー
・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
【0269】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)ア
ルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である
過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製
、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さら
に測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極と
しては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白
金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参
照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電
極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。
【0270】
PCA2Bの酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電
極の電位を0.05Vから0.7Vまで変化させた後、0.7Vから0.05Vまで変化
させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度
は0.1V/sに設定した。
【0271】
PCA2Bの酸化反応特性について調べた結果を図17に示す。図17において、横軸
は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流
れた電流値(1×10−5A)を表す。
【0272】
図17から、0.4V付近(vs.Ag/Ag電極)に酸化を示す電流が観測された
。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応においては
CV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明
の芳香族アミン化合物は酸化反応および引き続く還元反応(すなわち酸化の繰り返し)に
対して極めて安定であることが分かった。
【実施例3】
【0273】
本実施例では、本発明の発光素子について、図30を用いて説明する。
【0274】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング
法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極
面積は2mm×2mmとした。
【0275】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を
真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10
−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI
)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む
層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との
比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共
蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0276】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に構造式(21)
で表される本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N
’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−
トリアミン(略称:PCA3B)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層21
04を形成した。
【0277】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40
nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1
:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6
はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0278】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にAlqを10nmの膜厚と
なるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
【0279】
さらに、電子輸送層2106上に、Alqとリチウムを共蒸着することにより、20n
mの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1
:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはA
lqから成る層中に分散した状態となる。
【0280】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200
nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、実
施例3の発光素子を作製した。
【0281】
本実施例3の発光素子の電流密度―輝度特性を図18に示す。また、電圧−輝度特性を
図19に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図20に示す。本実
施例3の発光素子において、5.0Vの電圧を印加することにより、CIE色度座標(x
,y)=(0.30,0.63)のクマリン6に由来する緑色発光を、940cd/m
の輝度で得ることができた。
【0282】
このように、本発明の芳香族アミン化合物を正孔輸送層として用いることにより、良好
な特性の発光素子を得ることができた。
【実施例4】
【0283】
本実施例では、本発明の発光素子について、図30を用いて説明する。
【0284】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング
法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極
面積は2mm×2mmとした。
【0285】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を
真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10
−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI
)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む
層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との
比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共
蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0286】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に構造式(21)
で表される本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N
’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−ベンゼン−1,3,5−
トリアミン(略称:PCA3B)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層21
04を形成した。
【0287】
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(
略称:CzPA)と9−(4−{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェ
ニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)とを共蒸着
することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。
ここで、CzPAとYGAPAとの重量比は、1:0.04(=CzPA:YGAPA)
となるように調節した。これによって、YGAPAはCzPAから成る層中に分散した状
態となる。
【0288】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にAlqを10nmの膜厚と
なるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
【0289】
さらに、電子輸送層2106上に、Alqとリチウムを共蒸着することにより、20n
mの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1
:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはA
lqから成る層中に分散した状態となる。
【0290】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200
nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、実
施例4の発光素子を作製した。
【0291】
本実施例4の発光素子の電流密度―輝度特性を図21に示す。また、電圧−輝度特性を
図22に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図23に示す。本実
施例4の発光素子において、6.4Vの電圧をかけることにより、CIE色度座標(x,
y)=(0.17,0.19)のYGAPAに由来する青色発光を、1060cd/m
の輝度で得ることができた。
【0292】
このように、本発明の芳香族アミン化合物を正孔輸送層として用いることにより、良好
な特性の発光素子を得ることができた。
【実施例5】
【0293】
本実施例では、本発明の発光素子について、図30を用いて説明する。
【0294】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング
法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極
面積は2mm×2mmとした。
【0295】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を
真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10
−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI
)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む
層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との
比率は、重量比で4:2(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共
蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0296】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に構造式(51)
で表される本発明の芳香族アミン化合物であるN,N’−ビス(9−フェニルカルバゾー
ル−3−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミン(略称:PCA2
B)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
【0297】
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(
略称:CzPA)と2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:T
BP)とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に40nmの膜厚の発光層21
05を形成した。ここで、CzPAとTBPとの重量比は、1:0.01(=CzPA:
TBP)となるように調節した。これによって、TBPはCzPAから成る層中に分散し
た状態となる。
【0298】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にAlqを20nmの膜厚と
なるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
【0299】
さらに、電子輸送層2106上に、フッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜
し、電子注入層2107を形成した。
【0300】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200
nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、実
施例5の発光素子を作製した。
【0301】
本実施例5の発光素子の電流密度―輝度特性を図24に示す。また、電圧−輝度特性を
図25に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図26に示す。本実
施例5の発光素子において、7.2Vの電圧をかけることにより、CIE色度座標(x,
y)=(0.16,0.24)のTBPに由来する水色発光を、550cd/mの輝度
で得ることができた。
【0302】
このように、本発明の芳香族アミン化合物を正孔輸送層として用いることにより、良好
な特性の発光素子を得ることができた。
【実施例6】
【0303】
本実施例では、本発明の発光素子について、図30を用いて説明する。
【0304】
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング
法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極
面積は2mm×2mmとした。
【0305】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を
真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10
−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI
)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む
層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との
比率は、重量比で4:2(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共
蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0306】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に、N,N’−ビ
ス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(
略称:BSPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した

【0307】
さらに、正孔輸送層2104上に、構造式(51)で表される本発明の芳香族アミン化
合物であるN,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェ
ニル−ベンゼン−1,3−ジアミン(略称:PCA2B)を30nmの膜厚となるように
成膜し、発光層2105を形成した。
【0308】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にBCPを20nmの膜厚と
なるように成膜し、さらにAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層21
06を形成した。
【0309】
さらに、電子輸送層2106上に、フッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜
し、電子注入層2107を形成した。
【0310】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200
nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、実
施例6の発光素子を作製した。
【0311】
本実施例6の発光素子の電流密度―輝度特性を図27に示す。また、輝度―電圧特性を
図28に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図29に示す。本実
施例6の発光素子において、7.2Vの電圧をかけることにより、CIE色度座標(x=
0.17、y=0.12)の構造式(51)で表される本発明の芳香族アミン化合物であ
るPCA2Bに由来する青色発光を、531cd/mの輝度で得ることができた。
【0312】
このように、本発明の芳香族アミン化合物を発光層に用いることにより、良好な特性の
発光素子を得ることができた。
【実施例7】
【0313】
本発明の芳香族アミン化合物の一例として、構造式(81)で示されるN,N’,N’
’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニ
ル]−ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:YGA3B)の合成方法について説明
する。
【0314】
【化93】

【0315】
[ステップ1]
9−[4−(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾール(略称:YGA)の合成方法
について説明する。
【0316】
(i)N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成
N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成スキーム(D−1)を以下に示す。
【0317】
【化94】

【0318】
まず、N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成方法について説明する。300
mLの三口フラスコに、1,4−ジブロモベンゼンを56.3g(0.24mol)、カ
ルバゾールを31.3g(0.18mol)、よう化銅を4.6g(0.024mol)
、炭酸カリウムを66.3g(0.48mol)、18−クラウン−6−エーテルを2.
1g(0.008mol)入れ、窒素置換し、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テト
ラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:DMPU)を8mL加え、180℃で6時
間撹拌した。反応混合物を室温まで冷ましてから、吸引ろ過により沈殿物を除去し、ろ液
を希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウム
により乾燥した。乾燥後、反応混合物を自然ろ過濃縮し、得られた油状物質をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製し、クロロホル
ム、ヘキサンにより再結晶したところ、目的物であるN−(4−ブロモフェニル)カルバ
ゾールの淡褐色プレート状結晶を20.7g、収率35%で得た。
【0319】
この化合物のH NMRを次に示す。H NMR(300MHz,CDCl);
δ=8.14(d,J=7.8Hz,2H),7.73(d,J=8.7Hz,2H),
7.46(d,J=8.4Hz,2H),7.42−7.26(m,6H)。
【0320】
(ii)9−[4−(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾール(略称:YGA)の
合成
YGAの合成スキーム(D−2)を以下に示す。
【0321】
【化95】

【0322】
200mLの三口フラスコに、上記(i)で得たN−(4−ブロモフェニル)カルバゾ
ールを5.4g(17.0mmol)、アニリンを1.8mL(20.0mmol)、ビ
ス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を100mg(0.17mmol)、ナ
トリウム tert−ブトキシドを3.9g(40mmol)入れ、窒素置換し、トリ(
tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、トルエンを5
0mL加えて、80℃、6時間撹拌した。反応混合物を、フロリジール、セライト、アル
ミナを通してろ過し、ろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。反
応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製したところ目的物である9−[4−
(N−フェニルアミノ)フェニル]カルバゾール(略称:YGA)を4.1g、収率73
%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が9−[4−(N−フェニルア
ミノ)フェニル]カルバゾール(略称:YGA)であることを確認した。
【0323】
この化合物のH NMRを次に示す。また、H NMRチャートを図31(A)、
(B)に示す。なお、図31(B)は、図31(A)における6.7ppm〜8.6pp
mの範囲を拡大して表したチャートである。
【0324】
この化合物のH NMRを次に示す。H NMR(300MHz,DMSO−d
);δ=8.47(s,1H),8.22(d,J=7.8Hz,2H),7.44−7
.16(m,14H),6.92−6.87(m,1H)。
【0325】
[ステップ2]
次に、構造式(81)で表されるN,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’
−トリス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−ベンゼン−1,3,5−トリア
ミン(略称:YGA3B)の合成方法について説明する。YGA3Bの合成スキームを(
D−3)に示す。
【0326】
【化96】

【0327】
200mL三口フラスコに、1,3,5−トリブロモベンゼンを1.77g(5.6mm
ol)、上記ステップ1で得たYGAを5.68g(17.0mmol)、ビス(ジベン
ジリデンアセトン)パラジウム(0)を58mg(0.1mol)、トリ(tert−ブ
チル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、ナトリウム tert−ブ
トキシドを5.0g(52mmol)入れ、窒素置換し、トルエン50mLを加え80℃
で5時間撹拌した。反応後、反応混合物を室温に冷ましてから、セライト、フロリジール
、アルミナを通してろ過し、ろ液を水、飽和食塩水により洗浄して、有機層を硫酸マグネ
シウムにより乾燥した。自然ろ過により、硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を濃縮して得
られた白色固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=1:1
)により精製し、クロロホルム、エタノールにより再結晶したところ、目的物であるN,
N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス[4−(カルバゾール−9−イ
ル)フェニル]−ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:YGA3B)の淡黄色粉末
状固体を4.6g収率77%で得た。
【0328】
この化合物のプロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果は以下のとお
りであった。H NMR(300MHz,DMSO−d);δ=8.17(d,J=
7.20Hz,6H),7.45−7.18(m,45H),6.44(s,3H)。ま
た、H NMRチャートを図32(A)、(B)に示す。なお、図32(B)は、図3
2(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【実施例8】
【0329】
本発明の芳香族アミン化合物の一例として、構造式(111)で示されるN,N’−ビ
ス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1
,3−ジアミン(略称:YGA2B)の合成方法について説明する。
【0330】
【化97】

【0331】
[ステップ1]
YGA2Bの合成方法について説明する。YGA2Bの合成スキームを(D−4)に示
す。
【0332】
【化98】

【0333】
200mL三口フラスコに、1,3−ジブロモベンゼン2.0gを(8.5mmol)、
実施例7のステップ1で得たYGAを5.68g(17.0mmol)、ビス(ジベンジ
リデンアセトン)パラジウム(0)を58mg(0.1mol)、トリ(tert−ブチ
ル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、ナトリウム tert−ブト
キシドを5.0g(52mmol)入れ、窒素置換し、トルエン50mLを加え80℃で
5時間撹拌した。反応後、析出した固体を吸引ろ過により回収し、トルエンに溶かしてか
ら、セライト、フロリジール、アルミナを通してろ過し、ろ液を水、飽和食塩水により洗
浄して、有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。自然ろ過により、硫酸マグネシウム
を除去し、ろ液を濃縮して得られた白色固体を、クロロホルム、ヘキサンにより再結晶し
たところ、目的物であるN,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−
N,N’−ジフェニル−ベンゼン−1,3−ジアミン(略称:YGA2B)の白色固体を
5.5g収率88%で得た。
【0334】
この化合物のプロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果は以下のとお
りであったH NMR(300MHz,DMSO−d);δ=8.16(d,J=6
.30Hz,4H),7.45−7.07(m,31H),6.88(s,1H),6.
80(d,J=8.40Hz,2H)。また、H NMRチャートを図33(A)、(
B)に示す。なお、図33(B)は、図33(A)における6.0ppm〜9.0ppm
の範囲を拡大して表したチャートである。
【実施例9】
【0335】
本実施例では、他の実施例で作製した発光素子に用いた物質の合成例を開示する。
【0336】
《YGAPAの合成例》
以下では、構造式(201)で表される9−(4−{N−[4−(9−カルバゾリル)フ
ェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YG
APA)の合成方法について説明する。
【0337】
【化99】

【0338】
[ステップ1]
9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセン(略称:PA)の合成方法に
ついて説明する。
(i)9−フェニルアントラセンの合成
9−フェニルアントラセンの合成スキーム(f−1)を以下に示す。
【0339】
【化100】

【0340】
9−ブロモアントラセンを5.4g(21.1mmol)、フェニルボロン酸を2.6g
(21.1mmol)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))を60mg(0
.21mmol)、炭酸カリウム(KCO)水溶液(2mol/L)を10mL(2
0mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(P(o−tolyl))を263mg
(0.84mmol)、1,2−ジメトキシエタン(略称:DME)を20mL混合し、
80℃、9時間撹拌した。反応後、析出した固体を吸引ろ過で回収してから、トルエンに
溶かしフロリジール、セライト、アルミナを通してろ過をした。ろ液を水、飽和食塩水で
洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。自然ろ過後、ろ液を濃縮したところ目的物である
9−フェニルアントラセンの淡褐色固体を21.5g収率85%で得た。
【0341】
(ii) 10−ブロモ−9−フェニルアントラセンの合成
10−ブロモ−9−フェニルアントラセンの合成スキーム(f−2)を以下に示す。
【0342】
【化101】

【0343】
9−フェニルアントラセン6.0g(23.7mmol)を四塩化炭素80mLに溶かし
、その反応溶液へ、滴下ロートにより、臭素3.80g(21.1mmol)を四塩化炭
素10mLに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後室温で1時間攪拌した。反応後チオ硫
酸ナトリウム水溶液を加えて反応をストップさせた。有機層を水酸化ナトリウム(NaO
H)水溶液、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥した。混合物を自然ろ過し、ろ
液を濃縮して得られた化合物をトルエンに溶かし、フロリジール、セライト、アルミナを
通してろ過を行なった。ろ液を濃縮し、ジクロロメタン、ヘキサンにより再結晶を行なっ
たところ、目的物である10−ブロモ−9−フェニルアントラセンの淡黄色固体を7.0
g、収率89%で得た。
【0344】
(iii)9−ヨード−10−フェニルアントラセンの合成
9−ヨード−10−フェニルアントラセンの合成スキーム(f−3)を以下に示す。
【0345】
【化102】

【0346】
9−ブロモ−10−フェニルアントラセン3.33g(10mmol)をテトラヒドロフ
ラン(略称:THF)80mLに溶かし、−78℃にしてから、その反応溶液へ滴下ロー
トより、n−BuLi(1.6mol/L)7.5mL(12.0mmol)を滴下し1
時間攪拌した。ヨウ素5g(20.0mmol)をTHF20mLに溶かした溶液を滴下
し−78℃でさらに2時間攪拌した。反応後チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応をス
トップした。有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウム
で乾燥した。自然濾過後ろ液を濃縮し、得られた固体をエタノールにより再結晶したとこ
ろ目的物である9−ヨード−10−フェニルアントラセンの淡黄色固体を3.1g、収率
83%で得た。
【0347】
(iv)9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセン(略称:PA)の合

9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセン(略称:PA)の合成スキー
ム(f−4)を以下に示す。
【0348】
【化103】

【0349】
9−ヨード−10−フェニルアントラセンを1.0g(2.63mmol)、p−ブロモ
フェニルボロン酸を542mg(2.70mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)を46mg(0.03mmol)、2m
ol/Lの炭酸カリウム(KCO)水溶液を3mL(6mmol)、トルエンを10
mL採取して混合し、80℃、9時間撹拌した。反応後、トルエンを加えてからフロリジ
ール、セライト、アルミナを通してろ過をした。ろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マ
グネシウムで乾燥した。自然ろ過後、ろ液を濃縮し、得られた固体をクロロホルム、ヘキ
サンにより再結晶したところ目的物である9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)
アントラセンの淡褐色固体を562mg、収率45%で得た。
【0350】
[ステップ2]
9−(4−{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニ
ル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)の合成方法について説明する。
YGAPAの合成スキーム(f−5)を以下に示す。
【0351】
【化104】

【0352】
9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセンを409mg(1.0mm
ol)、実施例7のステップ1で得たYGAを339mg(1.0mmol)、ビス(ジ
ベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を6mg(0.01mmol)、ナトリウム
tert−ブトキシドを500mg(5.2mol)、トリ(tert−ブチル)ホスフ
ィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、トルエンを10mL採取して混合し、8
0℃で4時間攪拌した。反応後、溶液を水で洗浄し、水層をトルエンで抽出し、有機層と
併せて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。自然ろ過後、ろ液を濃縮し、
得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=7:3)
により精製した。得られた固体を、ジクロロメタン、ヘキサンにより再結晶したところ目
的物であるYGAPAの黄色粉末状固体を534mg収率81%で得た。この化合物を核
磁気共鳴法(NMR)によって測定したところ、9−(4−{N−[4−(9−カルバゾ
リル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略
称:YGAPA)であることが確認できた。YGAPAのH NMRを図34(A)、
(B)に示す。
【0353】
《CzPAの合成例》
以下では、構造式(202)で表される9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−
10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)の合成方法について説明する。
【0354】
【化105】

【0355】
9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:C
zPA)の合成スキーム(h−1)を以下に示す。
【0356】
【化106】

【0357】
9−フェニル−10−(4−ブロモフェニル)アントラセンを1.3g(3.2mmol
)、カルバゾールを578mg(3.5mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パ
ラジウム(0)を50mg(0.017mmol)、tert−ブトキシナトリウムを1
.0mg(0.010mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘ
キサン溶液)を0.1mL、トルエンを30mL採取して混合し、110℃で10時間加
熱還流した。反応後、溶液を水で洗浄し、水層をトルエンで抽出し、有機層と併せて飽和
食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。混合物を自然ろ過して、ろ液を
濃縮し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=
7:3)により精製した。得られた固体を、ジクロロメタン、ヘキサンにより再結晶した
ところ目的物の9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセ
ン(略称:CzPA)を1.5g、収率93%で得た。
【0358】
得られたCzPAのNMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl
);δ=8.22(d、J=7.8Hz、2H),7.86−7.82(m、3H)、
7.61−7.36(m、20H)。また、H NMRのチャートを図35(A)、(
B)に示す。
【0359】
なお、得られたCzPA5.50gを270℃、アルゴン気流下(流速3.0mL/mi
n)、圧力6.7Paの条件下で20時間昇華精製を行ったところ、3.98gを回収し
回収率は72%であった。
【0360】
《BSPBの合成例》
以下では、構造式(203)で表されるN,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオ
レン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略称:BSPB)の合成方法につ
いて説明する。
【0361】
【化107】

【0362】
[ステップ1]
まず、2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンの合成法について説明する。2−ブ
ロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンの合成スキーム(j−1)を以下に示す。
【0363】
【化108】

【0364】
100mLの三口フラスコに、マグネシウム1.26g(0.052mol)を入れ、
系内を真空下にし、30分加熱撹拌し、活性化した。室温にさましてから系内を窒素気流
下にし、ジエチルエーテル5mL、ジブロモエタン数滴を加え、ジエチルエーテル15m
L中に溶かした2−ブロモビフェニル11.65g(0.050mol)をゆっくり滴下
し、滴下終了後3時間還流してグリニヤール試薬とした。200mL三口フラスコに2−
ブロモフルオレノン11.7g(0.045mol)、ジエチルエーテル40mLを入れ
た。この反応溶液に合成したグリニヤール試薬をゆっくり滴下し、滴下終了後2時間還流
し、さらに室温で約12時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニア水溶
液で2回洗浄し、水層を酢酸エチルで2回抽出し、有機層とあわせて飽和食塩水で洗浄し
た。硫酸マグネシウムにより乾燥後、吸引濾過、濃縮し、固体状の9−(2−ビフェニリ
ル)−2−ブロモ−9−フルオレノールを18.76g、収率90%で得た。
【0365】
次に、200mLの三口フラスコに、合成した9−(2−ビフェニリル)−2−ブロモ
−9−フルオレノールを18.76g(0.045mol)、氷酢酸を100mL入れ、
濃塩酸数滴を加え2時間還流した。反応終了後、吸引濾過により析出物を回収し、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液および水で濾過洗浄した。得られた褐色固体をエタノールで再結
晶したところ淡褐色粉末状固体を10.24g、収率57%で得た。プロトン核磁気共鳴
法(H NMR)によって、この淡褐色粉末状固体が2−ブロモ−スピロ−9,9’−
ビフルオレンであることを確認した。
【0366】
この化合物のH NMRを次に示す。H NMR(300MHz,CDCl);
δ=7.86−7.79(m,3H),7.70(d,1H,J=8.4Hz),7.4
7−7.50(m,1H),7.41−7.34(m,3H),7.12(t,3H,J
=7.7Hz),6.85(d,1H,J=2.1Hz),6.74−6.70(m,3
H)。
【0367】
[ステップ2]
次に、N,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフ
ェニルベンジジン(略称:BSPB)の合成法について説明する。
BSPBの合成スキーム(j−2)を以下に示す。
【0368】
【化109】

【0369】
100mLの三口フラスコに、N,N’−ジフェニルベンジジンを1.00g(0.0
030mol)、ステップ1で合成した2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンを
2.49g(0.0062mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)
を170mg(0.30mmol)、tert−ブトキシナトリウムを1.08g(0.
011mol)入れ、系内を窒素気流下にした後、脱水トルエン20mLと、トリ(te
rt−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.6mLを加え、80℃で6時
間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷ましてから水を加え、析出した固体を吸
引ろ過により回収し、ジクロロメタンで洗浄した。得られた白色固体をアルミナカラムク
ロマトグラフィー(クロロホルム)により精製し、ジクロロメタンで再結晶したところ、
白色粉末状固体を2.66g、収率93%で得た。
【0370】
得られた白色粉末状固体をプロトン核磁気共鳴法(H NMR)によって分析したと
ころ、次のような結果が得られ、構造式(203)で表されるN,N’−ビス(スピロ−
9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略称:BSP
B)であることが確認できた。また、H NMRのチャートを図36に示す。H N
MR (300MHz,DMSO−d);δ=7.93−7.89(m,8H),7.
39−7.33(m,10H),7.19−7.14(m,8H),7.09−6.96
(m,6H),6.89−6.84(m,8H),6.69(d,4H,J=7.5Hz
),6.54(d,2H,J=7.8Hz),6.25(d,2H,J=2.4Hz)。
【0371】
なお、得られた化合物4.74gを14Pa、350℃の条件で24時間昇華精製した
ところ、3.49gを回収でき、回収率は74%であった。
【符号の説明】
【0372】
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第2の電極
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光物質を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光物質を含む層
956 電極
2101 ガラス基板
2102 第1の電極
2103 複合材料を含む層
2104 正孔輸送層
2105 発光層
2106 電子輸送層
2107 電子注入層
2108 第2の電極
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングマウス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(7)で表される芳香族アミン化合物。
【化1】


(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表し、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基(但し、構造式(17−3)は除く)を表し、R11〜R16は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基のいずれかを表す。)
【化2】

【請求項2】
一般式(8)で表される芳香族アミン化合物。
【化3】


(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基(但し、構造式(17−3)は除く)を表し、R11〜R12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R21〜R23は、それぞれ、水素原子、メチル基、メトキシ基のいずれかを表す。)
【化4】

【請求項3】
一般式(9)で表される芳香族アミン化合物。
【化5】


(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基(但し、構造式(17−3)は除く)を表し、R11〜R12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
【化6】

【請求項4】
構造式(81)で表される芳香族アミン化合物。
【化7】

【請求項5】
一般式(10)で表される芳香族アミン化合物。
【化8】


(式中、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表し、Y〜Yは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R14は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R31〜R34は、それぞれ、水素原子、メチル基、置換基を有するシリル基のいずれかを表す。)
【請求項6】
一般式(11)で表される芳香族アミン化合物。
【化9】


(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R31〜R34は、それぞれ、水素原子、メチル基、置換基を有するシリル基のいずれかを表す。)
【請求項7】
一般式(12)で表される芳香族アミン化合物。
【化10】


(式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜9の複素芳香環基のいずれかを表し、Yは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R11〜R12は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項8】
構造式(111)で表される芳香族アミン化合物。
【化11】

【請求項9】
一対の電極間に発光物質を含む層を有し、前記発光物質を含む層は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の芳香族アミン化合物を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項10】
第1の電極と、第2の電極との間に、発光物質を含む層を有し、前記発光物質を含む層は、発光層を有し、前記発光層よりも第1の電極側に、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の芳香族アミン化合物を含む層を有し、前記第1の電極の電位の方が前記第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに前記発光物質が発光することを特徴とする発光素子。
【請求項11】
一対の電極間に発光物質を含む層を有し、前記発光物質を含む層は、発光層を有し、前記発光層は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の芳香族アミン化合物を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項12】
請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
【請求項13】
表示部を有し、前記表示部は、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−254990(P2012−254990A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157328(P2012−157328)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2006−282957(P2006−282957)の分割
【原出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】