説明

芳香族アミン化合物の製造方法

【課題】芳香族アミン化合物を選択的に製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、芳香環を有し且つこの芳香環を構成する炭素原子にハロゲン原子が結合しているハロゲン化芳香族化合物を、アジド化合物、金属若しくはこの金属を含む化合物、塩基性有機化合物及び極性溶媒の存在下に加熱して反応させて、上記ハロゲン原子がアミノ基に置換されてなる芳香族アミン化合物を製造する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択性に優れた芳香族アミン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族アミン化合物は、医薬品;農薬;染料;電子写真感光体、有機電界発光素子等の電子材料等の分野で有用な化合物又はその形成用の中間体として用いられている。そして、多種の原料化合物から、用途に応じた芳香族アミン化合物を製造する方法が広く検討されてきた。
従来、芳香族アミン化合物の製造方法としては、芳香族ニトロ化合物を、ラネーニッケル、パラジウム、白金等の触媒の存在下、気相又は液相で水素還元する方法が一般的である。また、他の製造方法としては、芳香族ニトロ化合物を、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン又は第4級アンモニウム化合物で還元する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−31031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、選択性に優れた芳香族アミン化合物を効率的に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下に示される。
1.芳香環を有し且つ該芳香環を構成する炭素原子にハロゲン原子が結合しているハロゲン化芳香族化合物を、アジド化合物、金属銅若しくは銅元素を含む無機化合物、塩基性有機化合物及び極性溶媒の存在下に加熱して反応させて、上記ハロゲン原子がアミノ基に置換されてなる芳香族アミン化合物を製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法。
2.上記ハロゲン化芳香族化合物は、上記芳香環を構成する他の炭素原子に電子求引性基が結合した化合物である上記1に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
3.上記アジド化合物が、トリメチルシリルアジド、アジ化リチウム、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム及びジフェニルホスホリルアジドからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である上記1又は2に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
4.上記銅元素を含む無機化合物が2価の化合物である上記1乃至3のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
5.上記塩基性有機化合物が、アミン化合物である上記1乃至4のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
6.上記アミン化合物がアルコールアミンである上記5に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
7.上記極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン、1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である上記1乃至6のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
8.上記反応が、55℃〜120℃の範囲の温度で行われる上記1乃至7のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ハロゲン化芳香族化合物から、目的とする芳香族アミン化合物を、高価な触媒を用いずに、高選択率且つ高収率にて製造することができる。
また、本発明において、反応が終了した後の反応系には、芳香族アミン化合物及び未反応のハロゲン化芳香族化合物を主として含み、ハロゲン化芳香族化合物に由来する副生成物をほとんど含まないことから、芳香族アミン化合物の精製が容易であり、効率的に回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、芳香環を有し且つ該芳香環を構成する炭素原子にハロゲン原子が結合しているハロゲン化芳香族化合物を、アジド化合物、金属銅若しくは銅元素を含む無機化合物(以下、併せて「銅成分」という。)、塩基性有機化合物及び極性溶媒の存在下に加熱して反応させて、上記ハロゲン原子がアミノ基に置換されてなる芳香族アミン化合物を製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法である。
【0008】
1.反応原料
芳香族アミン化合物を製造するために用いられる反応原料について、以下に説明する。
【0009】
1−1.ハロゲン化芳香族化合物
このハロゲン化芳香族化合物は、ハロゲン元素を少なくとも1つ含む化合物である。ハロゲン元素は、Cl、Br又はIであり、好ましくはBrである。この化合物は、芳香環を構成する炭素原子の1つのみにハロゲン原子1つが結合した化合物であってよいし、芳香環を構成する炭素原子の複数に、相当数のハロゲン原子が結合した化合物であってもよい。後者の場合、複数のハロゲン原子は、互いに同一であってよいし、異なってもよい。本発明において、好ましい化合物は、下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される。
【化1】

[式中、R〜Rのうち、1つ又は2つがハロゲン原子であり、残りは、互いに同一又は異なって、水素原子又は他の官能基である。]
【化2】

[式中、R〜R14のうち、1つ又は2つがハロゲン原子であり、残りは、互いに同一又は異なって、水素原子又は他の官能基である。]
【化3】

[式中、R15〜R24のうち、1つ又は2つがハロゲン原子であり、残りは、互いに同一又は異なって、水素原子又は他の官能基であり、R25は、α−ジケトン基、メチレン基、エチレン基、α−カルボニルメチレン基、α−ヒドロキルメチル−β−ケトン基、ハロメチレン基、カルボニル基、アミノ基、スルフィニル基、スルホニル基、−O−又は−S−であり、nは、0又は1である。]
【0010】
上記一般式(1)、(2)及び(3)のように、ハロゲン化芳香族化合物は、ハロゲン原子が結合した炭素原子以外の、芳香環を構成する他の炭素原子に他の官能基が結合している化合物であってもよい。この場合、他の官能基の結合数は、特に限定されない。
上記一般式(1)、(2)及び(3)における「他の官能基」は、本発明において高い選択性が得られることから、電子求引性基を含むことが好ましい。
【0011】
上記電子求引性基は、芳香環上のπ電子を求引する性質を有する官能基であり、例えば、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、複素環(ヘテロアリール)基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボニル基、クロロ基、アリール基等が挙げられる。これらのうち、アシル基、アルコキシカルボニル基及びニトロ基が好ましい。
【0012】
アシル基としては、アセチル基、3−フェニルプロパノイル基、ベンゾイル基、4−ドデシルオキシベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセトキシ基等が挙げられる。
カルバモイル基としては、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル基、N−(4−n−ペンタデカンアミド)フェニルカルバモイル基、N−メチル−N−ドデシルカルバモイル基、N−[3−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル]カルバモイル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0013】
ジアルキルホスホノ基としては、ジメチルホスホノ基等が挙げられる。
ジアリールホスホノ基としては、ジフェニルホスホノ基等が挙げられる。
ジアリールホスフィニル基としては、ジフェニルホスフイニル基等が挙げられる。
アルキルスルフィニル基としては、3−フェノキシプロピルスルフィニル基等が挙げられる。
アリールスルフィニル基としては、3−ペンタデシルフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、オクタンスルホニル基等が挙げられる。
アリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等が挙げられる。
スルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
アシルチオ基としては、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基等が挙げられる。
スルファモイル基としては、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基等が挙げられる。
チオカルボニル基としては、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基等が挙げられる。
【0014】
ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。
ハロゲン化アルコキシ基としては、トリフロロメチルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン化アリールオキシ基としては、ペンタフロロフェニルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン化アルキルアミノ基としては、N,N−ジ−(トリフロロメチル)アミノ基等が挙げられる。
ハロゲン化アルキルチオ基としては、ジフロロメチルチオ、1,1,2,2−テトラフロロエチルチオ基等が挙げられる。
複素環基としては、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル基、5−クロロ−1−テトラゾリル基、1−ピロリル基等が挙げられる。
【0015】
上記ハロゲン化芳香族化合物が他の官能基を有する場合、他の官能基は、電子求引性基のみであってよいし、電子求引性基及び電子供与性基の組み合わせであってもよい。
【0016】
上記ハロゲン化芳香族化合物が、一般式(3)で表される化合物である場合、R25は2価の有機基であり、上記のように、α−ジケトン基、メチレン基、エチレン基、α−カルボニルメチレン基、α−ヒドロキルメチル−β−ケトン基、ハロメチレン基、カルボニル基、アミノ基、スルフィニル基、スルホニル基、−O−、−S−等が挙げられる。
【0017】
本発明において、好ましいハロゲン化芳香族化合物は、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物において、芳香環を構成する炭素原子1つに臭素原子1つが結合している化合物、及び、芳香環を構成する炭素原子2つに臭素原子2つが結合している化合物である。これらのうち、芳香環を構成する炭素原子1つに臭素原子1つが結合している化合物が特に好ましい。尚、電子吸引性基が臭素元素を含む場合は、その数に考慮されない。
以下に、上記一般式(1)における好ましい化合物として、Rが臭素原子である例を示す。
【化4】

[式中、R〜Rは、互いに同一又は異なって、水素原子又は他の官能基である。]
【0018】
1−2.アジド化合物
このアジド化合物は、下記一般式(4)で表される化合物である。
31−N (4)
[式中、R31は、アルカリ金属原子、−PO(OR32(但し、R32は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。)、又は、−Si(R33(但し、R33は、炭化水素基である。)である。]
【0019】
31がアルカリ金属原子である場合、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子等が挙げられる。これらのうち、リチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子が好ましい。
【0020】
31が−PO(OR32である場合、R32で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、炭化水素基及び置換炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
アルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよく、好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、2−メチルペンタン−3−イル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アリール基は、好ましくは炭素原子数6〜14のアリール基である。その具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
また、アラルキル基は、上記アルキル基の少なくとも1個の水素原子が上記アリール基で置換された基とすることができ、好ましくは炭素原子数7〜13のアラルキル基である。その具体例としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基等が挙げられる。
【0021】
置換炭化水素基としては、上記炭化水素基の少なくとも1個の水素原子が、炭化水素基、複素環(ヘテロアリール)基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、アルキレンジオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等の官能基で置換された炭化水素基が挙げられる。
【0022】
31が−PO(OR32である場合、ジフェニルホスホリル基が好ましい。
【0023】
31が−Si(R33である場合、R33で示される炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。これらの具体例は、上記の通りである。
【0024】
31が−Si(R33である場合、トリメチルシリル基が好ましい。
【0025】
本発明において、上記アジド化合物の使用量は、上記ハロゲン化芳香族化合物1モルに対して、好ましくは1〜10モル、より好ましくは1.2〜5モル、更に好ましくは1.5〜3モルである。上記範囲の量でアジド化合物を用いることにより、芳香族アミン化合物の製造を円滑に進めることができる。
【0026】
1−3.銅成分
この銅成分は、金属銅若しくは銅元素を含む無機化合物(以下、「銅化合物」という。)である。上記銅成分としては、金属銅のみを用いてよいし、銅化合物のみを用いてよいし、更には、金属銅及び銅化合物を併用してもよい。
上記銅成分の、ハロゲン化芳香族化合物、塩基性有機化合物及び極性溶媒に対する溶解性は、特に限定されない。
【0027】
上記銅化合物としては、上記金属元素の酸化物、窒化物、水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等を用いることができる。これらの化合物は、1価の銅化合物であってよいし、2価の銅化合物であってもよい。
1価の銅化合物としては、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等が挙げられる。
また、2価の銅化合物としては、フッ化銅(II)、酸化銅、酢酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)等が挙げられる。
上記銅化合物としては、高選択性の観点から、2価の銅化合物が好ましい。
【0028】
本発明において、上記銅成分の使用量は、上記ハロゲン化芳香族化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜7モル、より好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは1〜3モルである。上記範囲の量で銅成分を用いることにより、高収率で芳香族アミン化合物を製造することができる。尚、上記銅成分の使用量が少なすぎると、反応効率が減少する傾向にある。
【0029】
1−4.塩基性有機化合物
この塩基性有機化合物としては、アミン化合物、含窒素環状化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
上記アミン化合物としては、アミノ基を1つ又は2つ以上有する化合物であれば、特に限定されず、アルキルアミン、アミノアルコール、アルコキシアミン等が挙げられる。これらのアミン化合物は、脂肪族アミン化合物であってよいし、環状構造を含む化合物(脂環族アミン化合物及び芳香族アミン化合物)であってもよい。
上記アミン化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
上記アルキルアミンとしては、アミノ基を1つ有するモノアミン化合物、及び、アミノ基を2つ以上有するポリアミン化合物(ジアミン化合物、トリアミン化合物等)が挙げられる。
アミノ基を1つ有するモノアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン等の脂肪族モノアルキルアミン化合物;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロイルアミン、エチルブチルアミン等の脂肪族ジアルキルアミン化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルパルミチルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミン、N,N−ジラウリルモノメチルアミン、メチルジオレイルアミン、メチルジデシルアミン等の脂肪族トリアルキルアミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノシクロアルキルアミン;ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジシクロアルキルアミン;トリシクロヘキシルアミン等のトリシクロアルキルアミン;アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、ジフェニルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジベンジルメチルアミン等の芳香族アミン化合物等が挙げられる。
【0032】
また、アミノ基を2つ以上有するポリアミン化合物のうち、脂肪族ポリアミン化合物としては、アルキレンジアミン、アルキルアミノアルキルアミン等が挙げられる。
アルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
アルキルアミノアルキルアミンとしては、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミン等が挙げられる。
その他、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン等が挙げられる。
【0033】
脂環族ポリアミン化合物としては、シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族ポリアミン化合物としては、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン等が挙げられる。
【0034】
上記アミノアルコールとしては、1級アミノアルコール及び2級アミノアルコールが挙げられる。
1級アミノアルコールとしては、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、オクタノールアミン、ウンデカノールアミン等のモノアルコールアミンが挙げられる。
また、2級アミノアルコールとしては、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−ペンチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−ペンチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N−ペンチルブタノールアミン、N−メチルペンタノールアミン、N−エチルペンタノールアミン、N−プロピルペンタノールアミン、N−ブチルペンタノールアミン、N−ペンチルペンタノールアミン等のN−アルキルアルコールアミン;N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン等のN,N−ジアルキルアルコールアミン;N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン等のN−アルキルジアルコールアミン等が挙げられる。
【0035】
上記アルコキシアミンとしては、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン等が挙げられる。
【0036】
上記含窒素環状化合物としては、ピリジン、ピコリン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、メチルモルホリン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン等が挙げられる。
【0037】
上記塩基性有機化合物としては、高選択性の観点から、アミン化合物が好ましく、収率の観点から、アミノアルコールが特に好ましい。
【0038】
本発明において、上記塩基性有機化合物の使用量は、上記ハロゲン化芳香族化合物1モルに対して、好ましくは1〜7モル、より好ましくは2〜5モル、更に好ましくは2〜3モルである。上記範囲の量で塩基性有機化合物を用いることにより、高収率で芳香族アミン化合物を製造することができる。尚、上記塩基性有機化合物の使用量が少なすぎると、反応効率が減少する傾向にある。
【0039】
1−5.極性溶媒
この極性溶媒としては、非プロトン極性溶媒及びプロトン性極性溶媒が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0040】
1−5−1.非プロトン極性溶媒
この非プロトン極性溶媒は、その分子中にプロトン(H)を供与する官能基がなく且つ双極子を有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは、1つのみ用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記化合物のうち、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリドンが特に好ましい。
【0041】
1−5−2.プロトン性極性溶媒
このプロトン性極性溶媒は、解離して容易にプロトン(H)を放出するプロトン供与性基を有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、アルコール、カルボン酸等が挙げられる。
アルコールとしては、一般式R−OH(但し、Rは、置換又は非置換の炭化水素基である)で表される化合物であれば、脂肪族アルコール、脂環族アルコール及び芳香族アルコールのいずれを用いてもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
上記一般式において、Rが非置換の炭化水素基である場合のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
また、上記一般式において、Rが置換の炭化水素基である場合のアルコールとしては、アミノアルコール、アルコキシアルコール、アルキルジオール、アルキルトリオール、メルカプトアルコール、アルキルメルカプトアルコール、ケトアルコール等が挙げられる。
【0042】
カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。
【0043】
本発明において、上記極性溶媒の使用量は、上記ハロゲン化芳香族化合物1モルに対して、好ましくは1〜40モル、より好ましくは5〜20モル、更に好ましくは10〜15モルである。上記範囲の量で極性溶媒を用いることにより、高収率で芳香族アミン化合物を製造することができる。尚、上記極性溶媒の使用量が少なすぎると、反応効率が減少する傾向にある。
【0044】
2.芳香族アミン化合物の製造方法
本発明においては、反応原料である、ハロゲン化芳香族化合物、アジド化合物、金属化合物、塩基性有機化合物及び極性溶媒を、上記記載の割合で反応器に仕込み、加熱下に、これらを撹拌しながら非水系で反応を進めること(以下、「反応工程」という。)により、上記ハロゲン化芳香族化合物におけるハロゲン原子がアミノ基に置換されてなる芳香族アミン化合物を製造することができる。その後、原料の種類及び得られた芳香族アミン化合物に応じて、洗浄、抽出、分離等を含む精製工程を備えることができる。
【0045】
反応は、酸素ガスがアジドからアミンへの還元を抑制する観点から、反応系を不活性ガス雰囲気として進めることが好ましい。
不活性ガス雰囲気とするために用いる不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素等が挙げられる。これらのガスは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
反応工程において、反応温度は、ハロゲン化芳香族化合物の沸点、極性溶媒の沸点等により選択されるが、好ましくは55℃〜120℃、より好ましくは70℃〜110℃、更に好ましくは80℃〜100℃である。反応温度を上記範囲とすることにより、芳香族アミン化合物の製造を円滑に進めることができる。
【0047】
本発明の製造方法では、目的とする芳香族アミン化合物以外の化合物が副生することがなく、芳香族アミン化合物の精製及び回収を効率よく進めることができる。
得られた芳香族アミン化合物の収率は、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上とすることができる。即ち、反応工程後の反応液に含まれる、原料ハロゲン化芳香族化合物に由来する成分は、通常、目的とする芳香族アミン化合物、及び、未反応のハロゲン化芳香族化合物である。
【0048】
本発明により製造される芳香族アミン化合物は、原料として、例えば、上記一般式(1’)で表される化合物を用いた場合、下記一般式(5)で表される化合物が得られる。
【化5】

[式中、R〜Rは、互いに同一又は異なって、水素原子又は他の官能基である。]
【0049】
本発明に係る反応機構は、定かではない。しかしながら、一電子補足作用を有するテトラシアノエチレンあるいはテトラシアノキノジメタンを反応系に添加すると反応が全く進行しなかったことから、一電子還元によるものと推測している。
【0050】
また、本発明者らは、ハロゲン化芳香族化合物として4−ブロモ安息香酸エチルを、トリメチルシリルアジド、フッ化銅、塩基性有機化合物としてトリエチルアミン、及び、極性溶媒として重水素化されたN,N−ジメチルアセトアミドの存在下、加熱して反応させたところ、下記式(I)及び(II)で表される芳香族アミン化合物を得た。
そして、これらの化合物の生成比(質量比)を、H−NMRにより分析したところ、化合物(I):化合物(II)=1:5であることが分かった。
以上より、製造された芳香族アミン化合物におけるアミノ基の水素元素源に、極性溶媒に由来する水素元素が含まれることが分かった。
【0051】
【化6】

【化7】

【0052】
本発明の製造方法により得られた芳香族アミン化合物は、医薬品;農薬;染料;電子写真感光体、有機電界発光素子等の電子材料等の分野で有用な化合物又はその形成用の中間体として有用である。
【実施例】
【0053】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0054】
1.芳香族アミン化合物の収率の測定方法
下記の実施例等において得られた芳香族アミン化合物を含む反応生成物の収率は、H−NMR(溶媒:重クロロホルム)により求めた。
【0055】
2.芳香族アミン化合物の製造
実施例1
101.5ミリグラム(1.0mmol)のCuF及び1ミリリットル(12.3mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)を試験管に入れ、懸濁させた。その後、この懸濁液に81.5マイクロリットル(0.5mmol)の4−ブロモ安息香酸エチル、174.3マイクロリットル(1.25mmol)のトリエチルアミン(TEA)及び132.1マイクロリットル(1.0mmol)のトリメチルシリルアジドを、順次、加えて、試験管をセプタムで密封した。
次いで、アスピレーターとアルゴン風船を用いて、試験管内をアルゴンガスで置換した。そして、アルゴン風船を取り外し、有機合成装置を用いて、攪拌下、95℃で反応させた。24時間反応させた後、反応液をセライト濾過後、20ミリリットルの酢酸エチル及び20ミリリットルの水を用いて抽出操作を行った。次いで、酢酸エチル層を20ミリリットルの飽和食塩水を用いて洗浄させ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、溶媒を減圧留去した。乾固物である残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)にて精製し、69.0ミリグラムの4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は84%であった(表1参照)。
以下に、反応スキームを示す。
【化8】

【0056】
実施例2
CuFに代えて、金属銅を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は82%であった(表1参照)。
【0057】
実施例3
CuFに代えて、CuBrを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は73%であった(表1参照)。
【0058】
実施例4
CuFに代えて、CuOを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は77%であった(表1参照)。
【0059】
実施例5
CuFに代えて、酢酸銅(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は80%であった(表1参照)。
【0060】
比較例1
CuFに代えて、酢酸鉄(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0061】
比較例2
CuFに代えて、NiClを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0062】
比較例3
CuFに代えて、AgClを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0063】
比較例4
CuFに代えて、ZnClを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0064】
比較例5
CuFに代えて、SnCl・2HOを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0065】
比較例6
CuFに代えて、AgFを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0066】
比較例7
CuFに代えて、酢酸パラジウム(II)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0067】
比較例8
CuFに代えて、フッ化鉄(III)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0068】
比較例9
CuFに代えて、CoBrを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0069】
比較例10
CuFに代えて、ZnOを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表1参照)。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例6
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は70%であった(表2参照)。
【0072】
実施例7
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、N−メチルピロリドン(NMP)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は73%であった(表2参照)。
【0073】
実施例8
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、ジメチルホルムアミド(DMF)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は67%であった(表2参照)。
【0074】
実施例9
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、アセトンを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は61%であった(表2参照)。
【0075】
実施例10
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、テトラヒドロフラン(THF)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は42%であった(表2参照)。
【0076】
実施例11
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、メタノールを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は55%であった(表2参照)。
【0077】
実施例12
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、エタノールを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は45%であった(表2参照)。
【0078】
比較例11
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に代えて、トルエンを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は15%であった(表2参照)。
【0079】
【表2】

【0080】
実施例13
反応温度95℃を、80℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は64%であった(表3参照)。
【0081】
実施例14
反応温度95℃を、90℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は80%であった(表3参照)。
【0082】
実施例15
反応温度95℃を、100℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は81%であった(表3参照)。
【0083】
実施例16
反応温度95℃を、110℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は71%であった(表3参照)。
【0084】
実施例17
反応温度95℃を、120℃に代えた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は60%であった(表3参照)。
【0085】
比較例12
反応温度を、室温(22℃)とした以外は、実施例1と同様にして、反応を行ったが、4−アミノ安息香酸エチルは、得られなかった(表3参照)。
【0086】
実施例18
反応温度95℃を、60℃に代えた以外は、実施例6と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は57%であった(表3参照)。
【0087】
実施例19
反応温度95℃を、70℃に代えた以外は、実施例6と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は73%であった(表3参照)。
【0088】
実施例20
反応温度95℃を、80℃に代えた以外は、実施例6と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は75%であった(表3参照)。
【0089】
実施例21
反応温度95℃を、85℃に代えた以外は、実施例6と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は68%であった(表3参照)。
【0090】
【表3】

【0091】
実施例22
トリエチルアミン(TEA)に代えて、ジエチルアミンを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は68%であった(表4参照)。
【0092】
実施例23
トリエチルアミン(TEA)に代えて、エチレンジアミンを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は70%であった(表4参照)。
【0093】
実施例24
トリエチルアミン(TEA)に代えて、エタノールアミン(2−アミノエタノール)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は99%であった(表4参照)。
【0094】
比較例13
トリエチルアミン(TEA)に代えて、28%アンモニア水を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は38%であった(表4参照)。
【0095】
【表4】

【0096】
実施例25〜30
基質化合物として、4−ブロモ安息香酸エチルに代えて、表5に記載の化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、アミン化合物を得た。収率は表5に併記した。
【0097】
【表5】

【0098】
実施例31
トリメチルシリルアジドに代えて、アジ化ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は72%であった(表6参照)。
【0099】
実施例32
反応温度95℃を、120℃に代えた以外は、実施例31と同様にして、反応を行い、4−アミノ安息香酸エチル(淡黄色結晶)を得た。収率は53%であった(表6参照)。
【0100】
実施例33
トリメチルシリルアジドに代えて、アジ化ナトリウムを用いた以外は、実施例26と同様にして、反応を行い、4’−アミノアセトフェノンを得た。収率は56%であった(表6参照)。
【0101】
実施例34
反応温度95℃を、120℃に代えた以外は、実施例33と同様にして、反応を行い、4’−アミノアセトフェノンを得た。収率は77%であった(表6参照)。
【0102】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の製造方法は、医薬品;農薬;染料;電子写真感光体、有機電界発光素子等の電子材料等の分野で有用な化合物又はその形成用の中間体の製造方法として好ましく用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香環を有し且つ該芳香環を構成する炭素原子にハロゲン原子が結合しているハロゲン化芳香族化合物を、アジド化合物、金属銅若しくは銅元素を含む無機化合物、塩基性有機化合物及び極性溶媒の存在下に加熱して反応させて、上記ハロゲン原子がアミノ基に置換されてなる芳香族アミン化合物を製造することを特徴とする、芳香族アミン化合物の製造方法。
【請求項2】
上記ハロゲン化芳香族化合物は、上記芳香環を構成する他の炭素原子に電子吸引性基が結合した化合物である請求項1に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
【請求項3】
上記アジド化合物が、トリメチルシリルアジド、アジ化リチウム、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム及びジフェニルホスホリルアジドからなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である請求項1又は2に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
【請求項4】
上記銅元素を含む無機化合物が2価の化合物である請求項1乃至3のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
【請求項5】
上記塩基性有機化合物が、アミン化合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
【請求項6】
上記アミン化合物がアルコールアミンである請求項5に記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
【請求項7】
上記極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン、1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項1乃至6のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。
【請求項8】
上記反応が、55℃〜120℃の範囲の温度で行われる請求項1乃至7のいずれかに記載の芳香族アミン化合物の製造方法。

【公開番号】特開2011−16755(P2011−16755A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162180(P2009−162180)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(805000018)財団法人名古屋産業科学研究所 (55)
【Fターム(参考)】