説明

芳香族アミン誘導体、及びそれらを用いた有機電界発光素子

【課題】発光効率が高く、寿命が長い有機電界発光素子を製造するための芳香族アミン誘導体の提供とそれを用いた有機電界発光素子の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体。


(式(1)中、Aは炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、核炭素数6〜30のアリール基で置換されたベンゼン環で、Bは芳香族環または縮合多環芳香族環を表し;nは1または2を表し、mは1または2を表し、n+m=3である。)および式(1)で表される芳香族アミン誘導体を有機電界発光素子材料として使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族アミン誘導体、及びそれらを用いた有機電界発光素子に関する。より具体的には、有機電界発光素子の発光効率を向上させるとともに、寿命を延ばすことができる芳香族アミン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アミン化合物は各種色素の製造中間体、あるいは各種の機能材料(例えば、電子写真感光体の電荷輸送材料)に使用されてきた。最近では、発光材料に有機材料を用いた有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子:有機EL素子)の正孔注入輸送材料として有用であると報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
有機電界発光素子は蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陽極と陰極間に挟持した構造を有し、該薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して、再結合させることにより励起子(エキシントン)を生成させ、この励起子が失活する際に放出される光を利用して発光する素子である。有機電界発光素子は、数V〜数十V程度の直流の低電圧で発光が可能であり、また蛍光性有機化合物の種類を選択することにより、種々の色(例えば、赤色、青色、緑色)の発光が可能である。このような特徴を有する有機電界発光素子は種々の発光素子、表示素子等への応用が期待されている。しかしながら、一般に、有機電界発光素子は、安定性、耐久性に乏しいなどの欠点を有している。
【0004】
有機電界発光素子の蛍光性有機化合物を含む薄膜への正孔の注入輸送を効率よく行う目的で、正孔注入輸送材料として、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(3”-メチルフェニル)アミノ〕ビフェニルを用いることが提案されている(非特許文献2を参照)。
【0005】
発光効率の改良には有機電界発光素子を構成する材料(例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料)すべてがバランスよく機能している状態で最高の値が得られる。しかしながら、これまでに開発された材料およびその組み合わせでは、依然として発光効率および発光寿命の改良が望まれており、さらなる新規な材料の創出が望まれている。
【0006】
また、有機電界発光素子を高温下で駆動させた場合、発光寿命の短時間化等の悪影響を受ける。これを防ぐためには、正孔輸送材料の分子量を増大させ、耐熱性を高める分子設計がなされている。ところが、分子量が大きい材料は、昇華精製や、蒸着時に分解を生じ、有機電界発光素子の寿命をさらに悪化させるという問題もある。
【0007】
正孔輸送材料に関する様々な分子設計としては、例えば、スターバースト型のアミン化合物があり、有機電界発光素子に有用であることが提案されている(特許文献1〜3を参照)。また、駆動電圧を低減する目的でターフェニル基を有するモノアミン化合物に関する報告もある(特許文献4を参照)。しかしながら、これらのアミンを使用した有機電界発光素子の駆動電圧は、100cd/mで4.8V程度とさらなる改良が望まれていた。
【0008】
また、カルバゾールを有するモノアミン誘導体も提案されている(特許文献5〜7を参照)。しかしながら、これらの化合物を使用した有機電界発光素子もまだ、発光効率や寿命の向上や、駆動電圧の低電圧化が望まれており、特に高温下で長い寿命を示す正孔輸送材料の開発が望まれている。さらには、芳香族基が分岐状態で結合しているアミン化合物が提案されている(特許文献8を参照)。しかしながら、これらの化合物を用いた有機電界発光素子も、いまだ高温下での寿命に関して改良が望まれている。
【0009】
以上のように、有機電界発光素子の高効率や長寿命を実現するための正孔輸送材料の報告はあるものの、有機電界発光素子により優れた性能を付与する素子材料の開発が強く望まれている。
【0010】
また、近年注目されている発光効率の飛躍的な向上が可能な燐光発光を用いた有機電界発光素子においても、高効率化と長寿命化が同様に望まれており、有機電界発光素子に優れた性能を付与する素子材料の開発が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−022052号公報
【特許文献2】特開平10−284252号公報
【特許文献3】特開平07−053955号公報
【特許文献4】国際公開第2008/015963号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2007/069607号パンフレット
【特許文献6】特開平11−144873号公報
【特許文献7】特開2007−284431号公報
【特許文献8】特開2006−352088号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Appl.Phys.lett.,51,913(1987)
【非特許文献2】Jpn.J.Appl.Phys.,27,L269(1988)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、発光効率が高く、寿命が長い有機電界発光素子、及びそれを実現する芳香族アミン誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)で表される特定の構造を有する新規な芳香族アミン誘導体を、有機電界発光素子用材料として用いると、前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明の第一は、一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体を提供するものである。
【化1】

【0016】
式(1)において、Aは下記一般式(2)を表し、Bは下記一般式(3)を表す。nは1または2を表し、mは1または2を表し、n+m=3の条件を満たす。nが2の場合、それぞれのAは同じであっても異なっていてもよく、mが2の場合、それぞれのBは同じであっても異なっていてもよい。ただし、mが2の場合、B同士が結合して環を形成することはない。
【化2】

【0017】
式(2)において、R〜Rは水素原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、核炭素数6〜30のアリール基を表す。ArおよびArは同じであっても異なっていてもよく、アリール基で置換されたアリール基あるいはベンゼン環を1環または2環有する縮合多環芳香族基を表す。
【化3】

【0018】
式(3)においてArは、芳香族環、もしくはベンゼン環数1〜3の縮合多環芳香族環を表す。
【0019】
本発明の第二は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機電界発光素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、前記芳香族アミン誘導体を単独もしくは混合物の一成分として含有する有機電界発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の芳香族アミン誘導体を用いた有機電界発光素子は、発光効率が高く、寿命が長い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図2】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図3】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図4】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図5A】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図5B】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図5C】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図6】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図7】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【図8】有機発光素子の層構造の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の芳香族アミン誘導体は、一般式(1)で表されることを特徴とする。
【化4】

【0023】
式(1)におけるAは、下記一般式(2)で表される置換基であり;式(1)におけるBは、下記一般式(3)で表される置換基である。nは1または2を表し、mは1または2を表し、n+m=3である。つまり、置換基Aと置換基Bの合計置換数は3である。好ましくは、n=1であり、かつm=2である。n=2の場合、それぞれのAは同じであっても異なっていてもよい。m=2の場合、それぞれのBは同じであっても異なっていてもよい。ただし、mが2の場合、B同士が結合して環を形成することはない。
【化5】

【0024】
式(2)におけるR〜Rはそれぞれ独立して、水素原子;炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基;炭素数1〜20のアルコキシ基;核炭素数6〜30のアリール基を表す。
【0025】
式(2)におけるArおよびArは、互いに同じであっても異なっていてもよく、アリール基で置換されたアリール基、あるいはベンゼン環を1環または2環有する縮合多環芳香族基を表す。
【0026】
式(2)におけるR〜Rは、水素原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、核炭素数6〜30のアリール基を表すが;好ましくは、水素原子、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、核炭素数6〜20のアリール基を表し;より好ましくは、水素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基を表し;さらに好ましくは、水素原子を表す。
【0027】
一般式(2)におけるR〜Rが示す炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、1-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、n-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチル-4-ヘプチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル、n-エイコシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、4-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基、ビシクロオクタ[2.2.2]オクチル基等が挙げられる。好ましい例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が含まれる。
【0028】
一般式(2)におけるR〜Rが示す直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-プロポキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、シクロペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基等が挙げられる。好ましい例には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基が含まれる。
【0029】
一般式(2)におけるR〜Rが示す核炭素数6〜30のアリール基の第1の具体例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、3-フルオランテニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基などの、無置換のアリール基が挙げられる。
【0030】
一般式(2)におけるR〜Rが示す核炭素数6〜30のアリール基の第2の具体例としては、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、2-エチルフェニル基、4-n-プロピルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基、4-イソブチルフェニル基、4-sec-ブチルフェニル基、2-sec-ブチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3-t-ブチルフェニル基、2-t-ブチルフェニル基、4-n-ペンチルフェニル基、4-イソペンチルフェニル基、4-tert-ペンチルフェニル基、4-n-ヘキシルフェニル基、4-n-ヘプチルフェニル基、4-n-オクチルフェニル基、4-(2'-エチルヘキシル)フェニル基、4-tert-オクチルフェニル基、4-シクロペンチルフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、4-(4'-メチルシクロヘキシル)フェニル基、3-シクロヘキシルフェニル基、2-シクロヘキシルフェニル基、4-エチル-1-ナフチル基、6-n-ブチル-2-ナフチル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、2,4-ジエチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジイソブチルフェニル基、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル基、2,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、2,4-ジネオペンチルフェニル基、2,2,3,5,6-テトラメチルフェニル基、p-(2-フェニルプロピル)フェニル基、3-メチル-2-ナフチル基、4-メチル-1-ナフチル基などの、アルキル基を有するアリール基が挙げられる。
【0031】
一般式(2)におけるR〜Rが示す核炭素数6〜30のアリール基の第3の具体例としては、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、3-n-プロポキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、4-n-ブトキシフェニル基、4-イソブトキシフェニル基、2-イソブトキシフェニル基、2-sec-ブトキシフェニル基、4-n-ペンチルオキシフェニル基、4-イソペンチルオキシフェニル基、2-イソペンチルオキシフェニル基、2-ネオペンチルオキシフェニル基、4-n-ヘキシルオキシフェニル基、2-(2'-エチルブチル)オキシフェニル基、4-n-オクチルオキシフェニル基、4-シクロヘキシルオキシフェニル基、2-シクロヘキシルオキシフェニル基、2-メトキシ-1-ナフチル基、4-メトキシ-1-ナフチル基、4-n-ブトキシ-1-ナフチル基、5-エトキシ-1-ナフチル基、6-エトキシ-2-ナフチル基、6-n-ブトキシ-2-ナフチル基、7-メトキシ-2-ナフチル基、7-n-ブトキシ-2-ナフチル基、2,3-ジメトキシフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基、2,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3,5-ジエトキシフェニル基、3,5-ジ-n-ブトキシフェニル基、2-メトキシ-4-メチルフェニル基、2-メトキシ-5-メチルフェニル基、2-メチル-4-メトキシフェニル基、3-メチル-4−メトキシフェニル基、3-メチル-5-メトキシフェニル基、3-エチル-5-メトキシフェニル基、2-メトキシ-4-エトキシフェニル基、2-メトキシ-6-エトキシフェニル基、3,4,5-トリメトキシフェニル基などの、アルコキシ基を有するアリール基が挙げられる。
【0032】
一般式(2)におけるR〜Rが示す核炭素数6〜30のアリール基の第4の具体例としては、4-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、2-フルオロフェニル基、2,3-ジフルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、3,4,5-トリフルオロフェニル基、2-フルオロ-4-メチルフェニル基、2-フルオロ-5-メチルフェニル基、3-フルオロ-2-メチルフェニル基、3-フルオロ-4-メチルフェニル基、4-フルオロ-2-メチルフェニル基、5-フルオロ-2-メチルフェニル基、2-クロロ-4-メチルフェニル基、2-クロロ-5-メチルフェニル基、2-クロロ-6-メチルフェニル基、3-クロロ-2-メチルフェニル基、4-クロロ-2-メチルフェニル基、4-クロロ-3-メチルフェニル基、2-クロロ-4,6-ジメチルフェニル基、2-フルオロ-4-メトキシフェニル基、2-フルオロ-6-メトキシフェニル基、3-フルオロ-4-エトキシフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、4-トリフルオロメチルオキシフェニル基などの、ハロゲン原子、ハロアルキル基またはハロアルキルオキシ基を有するアリール基が挙げられる。
【0033】
一般式(2)におけるArおよびArは、アリール基で置換されたアリール基、あるいはベンゼン環を1環または2環有する縮合多環芳香族基を表す。ArおよびArは、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
【0034】
一般式(2)におけるArおよびArが示す「アリール基で置換されたアリール基」は、好ましくは「核炭素数6〜30のアリール基が、核炭素数6〜30のアリール基に単置換または複数置換した基」であり;より好ましくは「核炭素数6〜18のアリール基が、核炭素数6〜18のアリール基に単置換または複数置換した基」である。ArおよびArの総炭素数は、好ましくは12〜26であり、より好ましくは12〜20である。
【0035】
核炭素数6〜30のアリール基の具体例として、R〜Rが示す核炭素数6〜30のアリール基の具体例が挙げられる。
【0036】
一般式(2)におけるArおよびArが示す「アリール基で置換されたアリール基」の第1の具体例としては、例えば、以下に示す基を挙げることができる。すなわち、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、2-フェニルフェニル基、4-(1'-ナフチル)フェニル基、4-(2'-ナフチル)フェニル基、4-(9'-フェナントリル)フェニル基、3-(1'-ナフチル)フェニル基、3-(2'-ナフチル)フェニル基、3-(9'-フェナントリル)フェニル基、2-(1'-ナフチル)フェニル基、2-(2'-ナフチル)フェニル基、2-(9'-フェナントリル)フェニル基、7-フェニル-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル基、4-(9',9'-ジメチル-9'H-フルオレン-2'-イル)フェニル基、4-(2'-ナフチル)ナフタレン-1-イル基などの、1つのアリール基で置換されたアリール基(2つのアリール基が連結している基)が挙げられる。
【0037】
一般式(2)におけるArおよびArが示す「アリール基で置換されたアリール基」の第2の具体例としては、例えば、4-(3'-フェニルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(2'-フェニルフェニル)ナフタレン-1-イル基、5-(3'-フェニルフェニル)ナフタレン-1-イル基、6-(2'-フェニルフェニル)ナフタレン-1-イル基、6-(3'-フェニルフェニル)ナフタレン-2-イル基、6-(2'-フェニルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-〔3'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕ナフタレン-1-イル基、4-(1'-ナフチル)ナフタレン-1-イル基、4-(4'-フェニルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(4'-フェニルナフタレン-1-イル)フェニル基、4-〔4'-(1”-ナフチル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(1”-ナフチル)フェニル〕ナフタレン-1-イル基、4-(4'-フェニルナフタレン-1'-イル)ナフタレン-1-イル基、4-〔4'-(1”-ナフチル)ナフタレン-1'-イル〕フェニル基、5-(4'-フェニルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(5'-フェニルナフタレン)フェニル基、5-〔4'-(1”-ナフチル)フェニル〕ナフタレン-1-イル基、5-(4'-フェニルナフタレン-1'-イル)ナフタレン-1-イル基、4-〔5'-(1”-ナフチル)ナフタレン-1'-イル〕フェニル基、4-〔4'-(9”-フェナントリル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(9”-フェナントリル)フェニル〕ナフタレン-1-イル基、4-〔4'-(2”-ナフチル)ナフタレン-1'-イル〕ナフタレン-1-イル基、4-〔4'-(9”-フェナントレン)ナフタレン-1'-イル〕フェニル基、4-〔4'-(1”-ナフチル)ナフタレン-1'-イル〕ナフタレン-1-イル基、6-(4'-フェニルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(6'-フェニルナフタレン-2'-イル)フェニル基、4-〔4'-(2”-ナフチル)フェニル〕フェニル基、6-(6'-フェニルナフタレン-2'-イル)ナフタレン-2-イル基、6-〔4'-(2”-ナフチル)フェニル〕ナフタレン-2-イル基などの、アリール基を有するアリール基で置換されたアリール基(3つ以上のアリール基が連結している基)等を挙げることができる。
【0038】
一般式(2)におけるArおよびArが示す「ベンゼン環を1環または2環有する縮合多環芳香族基」とは、二つ以上の芳香族環が縮合した基である。その具体例としては、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-フルオレニル基、4-フルオレニル基等を挙げることができる。ArおよびArが、ベンゼン環を3環以上有する縮合多環芳香族基である芳香族アミン化合物を有機電界発光素子材料として使用する有機電界発光素子の場合、発光効率が低下することがある。
【0039】
ArおよびArが示す「アリール基で置換されたアリール基」は、「縮合多環芳香族基で置換されたアリール基」をも含む。この場合、置換基として存在する縮合多環芳香族基は「ベンゼン環を3環以上有する縮合多環芳香族基」であっても発光効率を低下させる傾向は認められないが;一方、(縮合多環芳香族基で置換された)アリール基は、ベンゼン環、またはベンゼン環を1環または2環有する縮合多環芳香族基であることが好ましい。
【0040】
一般式(1)で表される置換基Aの好ましい具体例としては例えば、下記のような構造がある。
【0041】
【化6】

【0042】
一般式(1)の置換基Bは以下の一般式(3)で表される。
【化7】

【0043】
式(3)におけるArは、芳香族環もしくはベンゼン環数1〜3の縮合芳香族環であり:好ましくは、2つ以上の芳香環が単結合により連結した芳香環、またはベンゼン環数1〜3の縮合芳香族環を表し;より好ましくは、3つ以上の芳香環が単結合により結合した芳香環、またはベンゼン環数1または2の縮合芳香族環を表す。
【0044】
Arの総炭素数は、好ましくは12〜30であり、より好ましくは16〜26である。
【0045】
Arが芳香族環基である場合、Arは、核炭素数6〜16の芳香族環が2環以上結合(連結)した芳香族環基であることが好ましく;核炭素数6〜16の芳香族環が3環以上結合(連結)した芳香族環基であることがより好ましく;核炭素数6〜10の芳香族環が2環以上結合(連結)した芳香族環基であることがさらに好ましい。
【0046】
一般式(3)の具体例としては、下記の群よりなる基を挙げることができる。尚、下記の一般式(3)の具体例は、更に置換基を有していてもよい。
【0047】
(3)−1群:4-(4'-フェニルフェニル)フェニル基、4-(3'-フェニルフェニル)フェニル基、4-(2'-フェニルフェニル)フェニル基、3-(4'-フェニルフェニル)フェニル基、3-(3'-フェニルフェニル)フェニル基、3-(2'-フェニルフェニル)フェニル基、2-(4'-フェニルフェニル)フェニル基、2-(3'-フェニルフェニル)フェニル基、2-(2'-フェニルフェニル)フェニル基
【0048】
(3)−2群:4-〔4'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔2'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔2'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔2'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、
3-〔4'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔4'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔4'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔2'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔2'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔2'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、
2-〔4'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、2-〔4'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、2-〔4'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、2-〔3'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、2-〔3'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、2-〔3'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、2-〔2'-(4”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、2-〔2'-(3”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基、2-〔2'-(2”-フェニルフェニル)フェニル〕フェニル基
【0049】
(3)−3群:4-(4'-メチルフェニル)フェニル基、4-(4'-エチルフェニル)フェニル基、4-(4'-iso-プロピルフェニル)フェニル基、4-(4'-tert-ブチルフェニル)フェニル基、4-(4'-シクロペンチルフェニル)フェニル基、4-(4'-シクロヘキシルフェニル)フェニル基、4-〔4'-(4'-メチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(4'-エチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(4'-iso-プロピルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(4'-tert-ブチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(4'-シクロペンチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(4'-シクロヘキシルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(4'-メチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(4'-エチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(4'-iso-プロピルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(4'-tert-ブチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(4'-シクロペンチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔3'-(4'-シクロヘキシルフェニル)フェニル〕フェニル基、
4-〔2'-(4'-メチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔2'-(4'-エチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔2'-(4'-iso-プロピルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔2'-(4'-tert-ブチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔2'-(4'-シクロペンチルフェニル)フェニル〕フェニル基、4-〔2'-(4'-シクロヘキシルフェニル)フェニル〕フェニル基、
3-〔4'-(4'-メチルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔4'-(4'-エチルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔4'-(4'-iso-プロピルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔4'-(4'-tert-ブチルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔4'-(4'-シクロペンチルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔4'-(4'-シクロヘキシルフェニル)フェニル〕フェニル基、
3-〔3'-(4'-メチルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(4'-エチルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(4'-iso-プロピルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(4'-tert-ブチルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(4'-シクロペンチルフェニル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(4'-シクロヘキシルフェニル)フェニル〕フェニル基
【0050】
(3)−4群:2-フェニル-9,9-ジメチル-9Hフルオレン-7-イル基、4-(9',9'-ジメチル-9Hフルオレン-2-イル)フェニル基、11,11,12,12-テトラメチル-11,12ジヒドロインデノ[2,1-a]フルオレン-2-イル基、6,6,12,12-テトラヒドロ-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-4-イル基、9-フェニル-7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-5-イル基、5-フェニル-7,7-ジメチル-7H-ベンゾ[c]フルオレン-9-イル基、4-(7',7'-ジメチル-7'H-ベンゾ[c]フルオレン-5'-イル)フェニル基、
4-(7',7'-ジメチル-7'H-ベンゾ[c]フルオレン-9'-イル)フェニル基、7-(4'-フェニルフェニル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-7イル基、
4-〔4'-(9”,9”-ジメチル-9”H-フルオレン-2”-イル)フェニル〕フェニル基、7-(9',9'-ジメチル-9'H-フルオレン-2'-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル基、7-(3'-フェニルフェニル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル基、7-(2'-フェニルフェニル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-7-イル基、4-〔3'-(9”,9”-ジメチル-9”H-フルオレン-2”-イル)フェニル〕フェニル基、3-〔4'-(9”,9”-ジメチル-9”H-フルオレン-2”-イル)フェニル〕フェニル基、3-〔3'-(9”,9”-ジメチル-9”H-フルオレン-2”-イル)フェニル〕フェニル基
【0051】
(3)−5群:4-(4'-フェニルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(4'-フェニルナフタレン-1-イル)フェニル基、4-〔4'-(1”-ナフチル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(1”-ナフチル)フェニル〕ナフタレン-1-イル基、4-(4'-フェニルナフタレン-1'-イル)ナフタレン-1-イル基、4-〔4'-(1”-ナフチル)ナフタレン-1'-イル〕フェニル基、5-(4'-フェニルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(5'-フェニルナフタレン)フェニル基、5-〔4'-(1”-ナフチル)フェニル〕ナフタレン-1-イル基、5-(4'-フェニルナフタレン-1'-イル)ナフタレン-1-イル基、4-〔5'-(1”-ナフチル)ナフタレン-1'-イル〕フェニル基、4-〔4'-(9”-フェナントリル)フェニル〕フェニル基、4-〔4'-(9”-フェナントリル)フェニル〕ナフタレン-1-イル基、4-〔4'-(2”-ナフチル)ナフタレン-1'-イル〕ナフタレン-1-イル基、4-〔4'-(9”-フェナントレン)ナフタレン-1'-イル〕フェニル基、4-〔4'-(1”-ナフチル)ナフタレン-1'-イル〕ナフタレン-1-イル基、6-(4'-フェニルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(6'-フェニルナフタレン-2'-イル)フェニル基、
4-〔4'-(2”-ナフチル)フェニル〕フェニル基、6-(6'-フェニルナフタレン-2'-イル)ナフタレン-2-イル基、6-〔4'-(2”-ナフチル)フェニル〕ナフタレン-2-イル基
【0052】
(3)−6群:1-ナフチル基、9-フェナントリル基、4-フェニルフェニル基、2-アントラセニル基、テトラフェン-9-イル基
【0053】
一般式(3)は、好ましくは上記(3)−1群、(3)−2群、(3)−4群、(3)−5群および(3)−6群を挙げることができ;より好ましくは(3)−1群、(3)−2群および(3)−5群を挙げることができる。
【0054】
一般式(1)におけるmが2の場合の、2つの置換基Bの組み合わせは、好ましくは、「(3)−1群と(3)−1群」、「(3)−1群と(3)−2群」、「(3)−1群と(3)−3群」、「(3)−1群と(3)−4群」、「(3)−1群と(3)−5群」、「(3)−1群と(3)−6群」、「(3)−2群と(3)−2群」、「(3)−2群と(3)−3群」、「(3)−2群と(3)−4群」、「(3)−2群と(3)−5群」、「(3)−2群と(3)−6群」、「(3)−4群と(3)−4群」、「(3)−4群と(3)−5群」、「(3)−5群と(3)−5群」の組み合わせであり;より好ましくは、「(3)−1群と(3)−1群」、「(3)−1群と(3)−2群」、「(3)−1群と(3)−5群」、「(3)−2群と(3)−2群」、「(3)−2群と(3)−5群」、「(3)−5群と(3)−5群」の組み合わせである。
【0055】
本発明の一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体の具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
【0056】
【化8】

【0057】
【化9】

【0058】
【化10】

【0059】
【化11】

【0060】
【化12】

【0061】
本発明の一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体は、それ自体公知の方法により製造することができる。例えば、一般式(1)においてnが1であり、mが2である芳香族アミン誘導体は、以下に示す方法により製造することができる。すなわち、一般式(I)で表される化合物と、一般式(II)で表される芳香族アミン化合物とを、1:1の当量比で反応させることにより、一般式(1)においてnが1であり、mが2である一般式(1a)で表される芳香族アミン誘導体を製造することができる。
【化13】

【0062】
一般式(I)におけるR、RおよびR、ArおよびArは、一般式(2)と同様に定義され、Lはハロゲン原子を表す。一般式(II)におけるBおよびB’は一般式(1)のBと同様に定義される。
【0063】
また、本発明の一般式(1)におけるnが1であり、mが2である芳香族アミン誘導体は、一般式(I)で表される化合物と、一般式(III)で表される芳香族アミン化合物とを、1:1の当量比で反応させることにより、一般式(IV)で表される化合物を製造し;その後、一般式(V)で表される芳香族ハロゲン化合物と反応させることにより、一般式(1a)で表される芳香族アミン誘導体を製造することができる。
【0064】
【化14】

【0065】
一般式(I)および(IV)におけるR、RおよびR、ArおよびArは、一般式(2)と同様に定義される。一般式(III)および(IV)におけるBは、一般式(1)のBと同様に定義される。一般式(V)におけるLは、ハロゲン原子を表す。一般式(V)におけるB’は、Bと同様に定義される。BとB’は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0066】
本発明の一般式(1)におけるnが2であり、mが1である芳香族アミン誘導体は、以下の方法により製造することができる。すなわち、一般式(I)で表される化合物と、一般式(VI)で表される芳香族アミン化合物を、2:1の当量比で反応させることにより、一般式(1)におけるnが2であり、mが1である一般式(1b)で表される芳香族アミン誘導体を製造することができる。
【0067】
【化15】

【0068】
一般式(I)におけるR、RおよびR、ArおよびArは、一般式(2)と同様に定義される。Lはハロゲン原子を表す。一般式(VI)において、Bは一般式(1)のBと同様に定義される。
【0069】
また、一般式(1)において、nが2であり、mが1である芳香族アミン誘導体は、一般式(VII)で表される化合物と、一般式(VIII)で表される芳香族ハロゲン化合物を反応させる方法によっても製造することができる。
【化16】

【0070】
一般式(VII)におけるR、RおよびR、ArおよびArは、一般式(2)と同様に定義される。R’、R’およびR’、Ar’およびAr’は、R、RおよびR、ArおよびArと同様に定義される。RとR’、RとR’、RとR’、ArとAr’、ArとAr’は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。一般式(VIII)におけるLは、ハロゲン原子を表し、Bは一般式(1)のBと同様に定義される。
【0071】
一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される芳香族アミン化合物との反応;一般式(I)で表される化合物と一般式(III)で表される芳香族アミン化合物との反応;一般式(IV)で表される化合物と一般式(V)で表される芳香族ハロゲン化合物との反応;一般式(I)で表される化合物と一般式(VI)で表される芳香族アミン化合物との反応;一般式(VII)で表される化合物と一般式(VIII)で表される芳香族ハロゲン化合物との反応は、例えば、a)パラジウム触媒〔例えば、酢酸パラジウム/トリt-ブチルホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/ジ(t-ブチル)-2-ビフェニルホスフィン〕、および塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、t-ブトキシナトリウム、t-ブトキシカリウム)の存在下に反応させる方法、もしくは、b)銅触媒(例えば、銅粉、塩化銅、臭化銅)および塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下に反応させる方法により実施することができる。
【0072】
有機電界発光素子
次に、本発明の有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極(陽極と陰極)間に、少なくとも発光層を含む機能層を挟持する。機能層には、発光層に使用する化合物の正孔注入および正孔輸送、電子注入および電子輸送の各機能レベルを考慮し、所望に応じて、正孔注入成分を含有する正孔注入輸送層および/または電子注入輸送成分を含有する電子注入輸送層などの電荷注入輸送層が含まれていてもよい。機能層に含まれる層のうちの少なくとも一層に、一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種が含まれる。
【0073】
発光層に含まれる化合物の正孔注入機能や正孔輸送機能が良好な場合には、発光層自体が正孔注入輸送層としての機能を発揮する。また、発光層に含まれる化合物の電子注入機能、電子輸送機能が良好な場合には、発光層自体が電子注入輸送層としの機能を発揮する。したがって、発光層に正孔注入輸送層および電子注入輸送層としての機能を付与して、「一層型」の素子構成とすることもできる。
【0074】
一方、発光層に含まれる化合物の正孔注入機能や正孔輸送機能が充分でない場合には、発光層の陽極側に正孔注入輸送層を設けた「二層型」の素子構成とすることができ;発光層に含まれる化合物の電子注入機能や電子輸送機能が充分でない場合には、発光層の陰極側に電子注入輸送層を設けた「二層型」の素子構成とすることができる。さらに、発光層を、正孔注入輸送層と電子注入輸送層で挟み込んだ「三層型」の素子構成とすることもできる。
【0075】
また、正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であってもよい。例えば、正孔注入輸送層および電子注入輸送層のそれぞれは、注入機能を有する層と輸送機能を有する層とに分けてもよい。
【0076】
本発明の有機電界発光素子において、一般式(1)で表される化合物は、電荷注入輸送層(正孔注入輸送層および電子注入輸送層の一方または両方)、および/または発光層に含まれていることが好ましく、発光層に含まれていることがより好ましい。本発明の有機電界発光素子の機能層に含まれる一般式(1)で表される化合物は、一種単独であってもよく、複数種であってもよい。
【0077】
より具体的に、本発明の有機発光素子の構造の例が図1〜図8に示されるが、特にこれらに限定されるわけではない。
【0078】
図1には、基板1/陽極2/正孔注入輸送層3/発光層4/電子注入輸送層5/陰極6と、電源7を含む素子(EL−1)が;図2には、基板1/陽極2/正孔注入輸送層3/発光層4/陰極6と、電源7を含む素子(EL−2)が;図3には、基板1/陽極2/発光層4/電子注入輸送層5/陰極6と、電源7を含む素子(EL−3)が;図4には、基板1/陽極2/発光層4/陰極型6と、電源7を含む素子(EL−4)が示される。
【0079】
図5Aには、基板1/陽極2/正孔注入層3’/正孔輸送層3”/発光層4/電子注入輸送層5/陰極6と、電源7を含む素子(EL−5A)が示される。
【0080】
一方、図5Bには、基板1/陽極2/正孔注入輸送層3/発光層4/正孔阻止層(電子輸送層)5’/電子注入輸送層5/陰極6と、電源7を含む素子(EL−5B)が示される。
【0081】
さらに、図5Cには、基板1/陽極2/正孔注入層3’/正孔輸送層3”/発光層4/正孔阻止層(電子輸送層)5’/電子注入輸送層5/陰極6と、電源7を含む素子(EL−5C)が示される。
【0082】
また、図6〜図8には、EL−4に類似する素子が示される。つまり、図6には、正孔注入輸送成分3aと、発光成分4aと、電子注入成分5aとを混合させた発光層を一対の電極間に挟持させた型の素子(EL−6)が;図7には、正孔注入輸送成分3aと、発光成分4aとを混合させた発光層を、一対の電極間に挟持させた型の素子(EL−7)が;図8には、発光層として発光成分4aと、電子注入輸送成分5aを混合させた発光層を、一対の電極間に挟持させた型の素子(EL−8)が示される。
【0083】
本発明の有機電界発光素子の好ましい素子構成は、(EL−1)型素子、(EL−2)型素子、(EL−3)型素子、(EL−5A)型素子、(EL−5B)型素子、(EL−5C)型素子、(EL−6)型素子または(EL−7)型素子であり;より好ましい素子構成は、(EL−1)型素子、(EL−2)型素子、(EL−5A)型素子、(EL−5B)型素子、(EL−5C)型素子または(EL−7)型素子である。
【0084】
もちろん、本発明の有機電界発光素子の素子構成は、これらに限定されるものではない。それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層をそれぞれ、複数設けてもよい。また、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層と発光層との間に、発光成分と正孔注入輸送成分の混合層を設けてもよく、電子注入輸送層と発光層との間に、発光成分と電子注入輸送成分の混合層を設けてもよい。
【0085】
以下、本発明の有機電界発光素子の構成要素のそれぞれについて詳細に説明する。例として図1に示す(EL−1)型素子を参照する。(EL−1)型素子において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入輸送層、4は発光層、5は電子注入輸送層、6は陰極、7は電源を示す。
【0086】
本発明の有機電界発光素子は、基板1に支持されていることが好ましい。基板は透明または半透明であることが好ましく、その材質は特に限定されない。基板の材質の例には、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどのガラス;およびポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの透明性高分子が含まれる。また基板は、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートであってもよい。さらに、基板に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜を組み合わせて、発光色をコントロールすることもできる。
【0087】
陽極2の電極材料は、仕事関数の比較的大きい金属、合金または導電性化合物であることが好ましい。陽極の電極材料の例には、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化インジウム(In)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛、ITO(インジウム・チン・オキサイド:Indium Tin Oxide)、ポリチオフェン、ポリピロールなどが含まれる。これらの電極材料は単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陽極は、これらの電極材料を、蒸着法、スパッタリング法などの方法により、基板の上に成膜して形成することができる。
【0088】
陽極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。陽極のシート電気抵抗は、数百Ω/□以下であることが好ましく、5〜50Ω/□程度であることがより好ましい。陽極の厚みは、その電極材料の材質にもよるが、一般に約5〜1000nm、より好ましくは約10〜500nmに設定する。
【0089】
正孔注入輸送層3は、陽極からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能、および注入された正孔を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。
【0090】
本発明の電界発光素子の正孔注入輸送層は、一般式(1)で表される化合物、および他の正孔注入輸送機能を有する化合物のいずれか一方または両方を含有する。正孔注入輸送層に含まれる正孔注入輸送機能を有する化合物は、1種単独でもよく、または複数種でもよい。
【0091】
一般式(1)で表される化合物以外の正孔注入輸送機能を有する化合物の例には、フタロシアニン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾールなどが含まれる。トリアリールアミン誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体がより好ましい。
【0092】
一般式(1)で表される化合物以外の正孔注入輸送機能を有する化合物のうち、トリアリールアミン誘導体の例には、例えば、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(4''-メチルフェニル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(3''-メチルフェニル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(3''-メトキシフェニル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(1''-ナフチル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(3''-メチルフェニル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、1,1-ビス〔4'-[N,N-ジ(4''-メチルフェニル)アミノ]フェニル〕シクロヘキサン、9,10-ビス〔N-(4'-メチルフェニル)-N-(4''-n-ブチルフェニル)アミノ〕フェナントレン、3,8-ビス(N,N-ジフェニルアミノ)-6-フェニルフェナントリジン、4-メチル-N,N-ビス〔4'',4'''-ビス[N',N'-ジ(4-メチルフェニル)アミノ]ビフェニル-4-イル〕アニリン、N,N'-ビス〔4-(ジフェニルアミノ)フェニル〕-N,N'-ジフェニル-1,3-ジアミノベンゼン、N,N'-ビス〔4-(ジフェニルアミノ)フェニル〕-N,N'-ジフェニル-1,4-ジアミノベンゼン、5,5''-ビス〔4-(ビス[4-メチルフェニル]アミノ〕フェニル-2,2':5',2''-ターチオフェン、1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン、4,4',4''-トリス(N-カルバゾリイル)トリフェニルアミン、4,4',4''-トリス〔N,N-ビス(4'''-tert-ブチルビフェニル-4''''-イル)アミノ〕トリフェニルアミン、1,3,5-トリス〔N-(4'-ジフェニルアミノ〕ベンゼンなどが含まれる。
【0093】
一般式(1)で表される化合物と、他の正孔注入機能を有する化合物とを併用する場合、正孔注入輸送層中に占める一般式(1)で表される化合物の含有量は、好ましくは、0.1重量%以上、より好ましくは、0.5〜99.9重量%、さらに好ましくは3〜97重量%である。
【0094】
発光層4は、正孔および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層である。発光層は、一般式(1)で表される化合物および他の発光機能を有する化合物の一方または両方を含有することが好ましい。本発明の有機電界発光素子の発光層に、一般式(1)で表される化合物が含有されていることがより好ましい。発光層には、発光機能を有する化合物の1種または2種以上が含まれる。
【0095】
一般式(1)で表される化合物以外の発光機能を有する化合物には、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、多環芳香族化合物〔例えば、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカサイクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,4-ビス(9'-エチニルアントセニル)ベンゼン、4,4'-ビス(9''-エチニルアントラセニル)ビフェニル、ジベンゾ[f,f]ジインデノ[1,2,3-cd:1',2',3'-lm]ペリレン誘導体〕、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体〔例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム、2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの亜鉛塩、4-ヒドロキシアクリジンの亜鉛塩、3-ヒドロキシフラボンの亜鉛塩、5-ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5-ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、スチルベン誘導体〔例えば、1,1,4,4-テトラフェニル-1,3-ブタジエン、4,4'-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル、4,4'-ビス[(1,1,2-トリフェニル)エテニル]ビフェニル〕、クマリン誘導体(例えば、クマリン1、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン106、クマリン138、クマリン151、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン338、クマリン343、クマリン500)、ピラン誘導体(例えば、DCM1、DCM2)、アントラセン誘導体〔例えば、9,10-ビス(2'-ナフチル)アントラセン誘導体、9,10-ビス(1',1''-ビス-3'-ビフェニル)アントラセン誘導体〕、オキサゾン誘導体(例えば、ナイルレッド)、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピラジン誘導体、ケイ皮酸エステル誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体などが含まれる。
トリアリールアミン誘導体の例には、前述の正孔注入輸送機能を有する化合物として例示したトリアリールアミン誘導体が含まれる。
【0096】
一般式(1)で表される化合物以外の発光機能を有する化合物は、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、多環芳香族化合物、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体およびスチルベン誘導体が好ましく、多環芳香族化合物、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体であることがより好ましい。
【0097】
発光層に、一般式(1)で表される化合物と、一般式(1)で表される化合物以外の発光機能を有する化合物の両方が含有される場合、発光層中に占める一般式(1)で表される化合物の割合は、60〜99.999重量%であることが好ましい。
【0098】
また、本発明の有機電界発光素子の発光層には、一般式(1)で表される化合物以外の発光機能を有する化合物として、燐光(三重項発光)性発光材料が含まれることが好ましい。発光層に含まれる燐光発光材料は、1種類でも複数種類でもよい。
【0099】
燐光発光材料は、例えば、下記一般式(a−1)または一般式(a−2)で表される化合物を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0100】
【化17】

【0101】
一般式(a−1)におけるAは、5員または6員の含窒素複素環を形成するための原子群を表し;Aは、5員または6員の環状構造を形成するための原子群を表す。Mは、m価の金属原子を表し;LgおよびLg’は、Mに配位可能な原子を表し、LgおよびLg’の間の点線は結合を形成していてもよく、それぞれ分離していても良いことを表す。nは、1〜mの整数を表す。
【0102】
一般式(a−2)におけるV〜Vは、水素原子、あるいはアルキル基またはアリール基を表し;Y〜Yは、C−V(ここでVは、水素原子または、アルキル基、あるいは、アリール基から選ばれる置換基を表す)、あるいは窒素原子を表す。Mは、金属原子を表す。
【0103】
一般式(a−1)におけるMの例には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金などが含まれる。
【0104】
一般式(a−1)におけるAは、置換基を有していてもよい含窒素複素環基を形成する原子群を表す。形成される含窒素複素環基の例には、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジン基、トリアジン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリン基、およびフェナントリレン基などが含まれる。
【0105】
一般式(a−1)におけるAは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を形成する原子群を表す。形成される芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基の例には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、ピリジル基、キノリル基、およびイソキノリル基などが含まれる。
【0106】
一般式(a−1)におけるAおよびAが有していてもよい置換基の例には、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基;ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基などが含まれる。
【0107】
一般式(a−1)および一般式(a−2)で表される燐光発光材料の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
【化18】

【0108】
一般式(1)で表される化合物および/または一般式(1)で表される化合物以外の発光機能を有する化合物をホスト化合物として発光層を形成する場合、ホスト化合物に対する燐光発光材料の含有量は、0.001から40重量%であることが好ましく、0.01〜30重量%であることがより好ましく、0.1〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0109】
発光層に含まれる一般式(1)以外の発光機能を有する化合物の量は、一般式(1)で表される化合物に対して、通常は0.001〜40重量%であり、0.05〜30重量%であることが好ましく、0.1〜20重量%であることがより好ましい。
【0110】
本発明の有機電界発光素子における電子注入輸送層は、発光層の陰極側に直接接触して配置されてもよく;また発光層の陰極側に電子輸送層(正孔阻止層)を介して配置されてもよい。
【0111】
正孔阻止層は、発光層に注入された正孔を発光層中に効率よく蓄積することを目的として、電子との再結合確立を向上させて、発光の高効率化を達成する。正孔阻止層に含まれる成分の例には、フェアントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、ビス(2-メチルキノリノラト)(4-フェニルフェノラート)アルミニウムなどが含まれる。
【0112】
電子注入輸送層5は、陰極からの電子の注入を容易にする機能および/または注入された電子を輸送する機能を有する化合物を含有する。
【0113】
電子注入輸送層5は、一般式(1)で表される化合物、および他の電子注入輸送機能を有する化合物の一方または両方を含む。また電子注入輸送層5には、電子注入機能を有する化合物の1種または2種以上が含まれている。
【0114】
一般式(1)で表される化合物以外の電子注入輸送機能を有する化合物の例には、有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、フェナントロリン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体などが含まれる。
【0115】
有機金属錯体の例には、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、ビス(10-ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム等の有機ベリリウム錯体、5-ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5-ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩等が含まれる。
【0116】
電子注入輸送層5には、有機アルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、またはベンゾトリアゾール誘導体が含まれることが好ましいが、特に限定されない。
【0117】
有機アルミニウム錯体としては、置換または未置換の8-キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体であることが好ましい。置換または未置換の8-キノリラート配位子を有する有機アルミニウム錯体の例には、一般式(a)〜一般式(c)で表される化合物が含まれる。
【0118】
(Q)−Al ・・・(a)
(式(a)において、Qは置換または未置換の8-キノリノラート配位子を表す)
(Q)−Al−O−L’ ・・・(b)
(式(b)において、Qは置換または未置換の8-キノリノラート配位子を表し、
O−L’はフェノラート配位子を表し、L’はフェニル基を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す)
(Q)−Al−O−Al−(Q) ・・・(c)
(式(c)において、Qは置換または未置換の8-キノリノラート配位子を表す)
【0119】
置換または未置換の8-キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体の具体例には、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,3-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,4-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-tert-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,5,6-テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-tert-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウムなどが含まれる。
【0120】
陰極6の電極材料は、比較的仕事関数の小さい金属、合金または導電性化合物であることが好ましい。陰極の電極材料の例には、例えば、リチウム、リチウム−インジウム合金、リチウムフルオライド、安息香酸リチウム、酢酸リチウム等の有機酸のリチウム塩、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシム−インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、グラファイト薄などが含まれる。これらの電極材料を1種単独で使用してもよく、また複数種を併用してもよい。陰極は、これらの電極材料を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法により電子注入輸送層の上に成膜することにより形成することができる。
【0121】
陰極は、一層構造であってもよく、多層構造であってもよい。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/□以下とするのが好ましい。陰極の厚みは、使用する電極材料にもよるが、通常は5〜1000nmであり、10〜500nmであることが好ましい。
【0122】
本発明の有機電界発光素子からの発光を高率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明ないし半透明であることが好ましい。一般に、発光光の透過率が70%以上となるように、陽極または陰極の材料、厚みを設定することが好ましい。
【0123】
また、本発明の有機電界発光素子の正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層のうちの少なくとも一層に、一重項酸素クエンチャーを含有していてもよい。一重項酸素クエンチャーが含有されている層は、好ましくは発光層または正孔注入輸送層であり、より好ましくは正孔注入輸送層である。正孔注入輸送層中に、一重項酸素クエンチャーを均一に含有させてもよく、正孔注入輸送層と隣接する層(例えば、発光層または発光機能を有する電子注入輸送層)の近傍に含有させてもよい。
【0124】
一重項酸素クエンチャーの例には、ルブレン、ニッケル錯体、ジフェニルイソベンゾフランなど含まれ、好ましくはルブレンであるが、特に限定されるものではない。一重項酸素クエンチャーの含有量は、含有される層(例えば、正孔注入輸送層)を構成する全体量の0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0125】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層は、任意の方法で形成すればよく、特に限定されない。形成方法の例には、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、デイップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロジェット法、インクジェット法)などが含まれる。
【0126】
真空蒸着法により、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を形成する場合には、通常、10−3Pa程度以下の真空下で、ボート温度(蒸着源温度)を約50〜500℃として、基板温度を約−50〜300℃として、蒸着速度を約0.005〜50nm/secとして実施することが好ましい。この場合、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の層は、真空下で、連続して形成されることが好ましい。連続形成することにより、諸特性に優れた有機電界発光素子を製造することが可能となる。真空蒸着法により、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を、複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して、蒸着することが好ましい。
【0127】
溶液塗布法により各層を形成する場合、各層を形成する成分、および必要に応じてバインダー樹脂を、溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒は、有機溶媒であっても、水であってもよい。有機溶媒の例には、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタレン等の炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒が含まれる。溶媒は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0128】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の各層の成分を溶媒に分散させるには、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、ホモジナイザーなどを使用して微粒子状に分散する方法を使用することができる。
【0129】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を形成するための塗布液に含まれるバインダー樹脂の例には、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体などの高分子化合物を挙げることができる。バインダー樹脂は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。
【0130】
塗布液の固体成分濃度は特に限定されず、所望の厚みを得るために適した濃度範囲に設定する。通常は0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%である。
バインダー樹脂を使用する場合、塗布液におけるその含有量は特に限定されない。正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を形成する成分の合計に対するバインダー樹脂の含有率は、通常は5〜99.9重量%であり、好ましくは10〜99重量%である。
【0131】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常は5nm〜5μmである。
【0132】
本発明の有機電界発光素子は、酸素や水分等との接触を防止する目的で、保護層(封止層)を有していてもよいし、また不活性物質中(例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油)に封入されて保護されてもよい。保護層の材料は、有機高分子材料であっても、無機材料であってもよい。有機高分子材料の例には、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイドなどが含まれる。光硬化性樹脂であってもよい。無機材料の例には、ダイアモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物が含まれる。
【0133】
保護層に使用する材料は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。保護層は一層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
【0134】
また、本発明の有機電界発光素子の電極に、保護膜として金属酸化物膜(例えば、酸化アルミニウム膜)、または金属フッ化膜を設けてもよい。本発明の有機電界発光素子の陽極の表面に、界面層(中間層)を設けてもよい。界面層の材質の例には、有機リン化合物、ポリシラン、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体などが含まれる。さらに、電極(例えば、陽極)は、その表面を、酸、アンモニア/過酸化水素、あるいはプラズマで処理されていてもよい。
【0135】
本発明の有機電界発光素子は、通常、直流駆動型の素子として使用することができるが、交流駆動型の素子としても使用することができる。本発明の有機電界発光素子は、セグメント型、単純マトリック駆動型等のパッシブ駆動型であってもよく、TFT(薄膜トランジスタ)型、MIM(メタル−インスレーター−メタル)型等のアクティブ駆動型であってもよい。駆動電圧は通常、2〜30Vである。
【0136】
本発明の有機電界発光素子は、パネル型光源(例えば、時計、液晶パネル等のバックライト)、照明装置(平面照明、特殊照明等)、各種の発光素子(例えば、LED等の発光素子の代替)、各種の表示素子〔例えば、情報表示素子(パソコンモニター、携帯電話・携帯端末用表示素子)〕、各種の標識、各種のセンサーなどに使用することができる。
【実施例】
【0137】
以下、本発明を合成例及び実施例に基づいてさらに詳細に説明する。本発明の範囲は、これによって限定して解釈されない。
【0138】
製造した中間体1〜13の構造式は下記の通りである。
【化19】

【0139】
合成例1(中間体1の製造)
3,5-ジブロモクロロベンゼン24.0g(90mmol)、4-ビフェニルボロン酸37.4g(189mmol)、炭酸ナトリウム38.2g、トルエン360g、水180gよりなる混合物に、アルゴン気流下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2gを添加し、80℃に加熱して、8時間加熱攪拌した。その後、反応混合物を室温に冷却し、有機層を分液し、有機層からトルエンを減圧下に留去し、残渣をメチルセロソルブから再結晶して、33.0gの無色の結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体1と同定した。
【0140】
合成例2(中間体2の製造)
合成例1において、4-ビフェニルボロン酸37.4g(189mmol)を使用する代わりに、3-ビフェニルボロン酸37.4g(189mmol)を使用した以外は、合成例1に記載の操作に従い、31.8gの無色の結晶を得た。FD−MSの分析により中間体2と同定した。
【0141】
合成例3(中間体3の製造)
合成例1において、4-ビフェニルボロン酸37.4g(189mmol)を使用する代わりに、1-ナフタレンボロン酸32.5g(189mmol)を使用した以外は、合成例1に記載の操作に従い、25.9gの無色の結晶を得た。FD−MSの分析により中間体3と同定した。
【0142】
合成例4(中間体4の製造)
合成例1において、4-ビフェニルボロン酸37.4g(189mmol)を使用する代わりに、2-ナフタレンボロン酸37.4g(189mmol)を使用した以外は、合成例1に記載の操作に従い、32.1gの無色の結晶を得た。FD−MSの分析により中間体4と同定した。
【0143】
合成例5(中間体5の製造)
合成例1において、4-ビフェニルボロン酸37.4g(189mmol)を使用する代わりに、9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-ボロン酸45.0g(189mmol)を使用した以外は、合成例1に記載の操作に従い、37.9gの無色の結晶を得た。FD−MSの分析により中間体5と同定した。
【0144】
合成例6(中間体6の製造)
4-(4'-ヨードフェニル)ブロモベンゼン35.9g(100mmol)、1-ナフタレンボロン酸18.6g(105mmol)、トルエン300mLおよび2M炭酸ナトリウム水溶液150mLよりなる混合物に、アルゴン気流下、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム2.31g(2.00mmol)を加え、10時間加熱攪拌した。反応終了後、直ちにろ過した後、水層を除去し、有機層からトルエンを減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色結晶29.4gを得た。FD−MSの分析により、中間体6と同定した。
【0145】
合成例7(中間体7の製造)
合成例6において、1-ナフタレンボロン酸18.6g(105mmol)を使用する代わりに、9-フェナントレンボロン酸23.3g(105mmol)を使用した以外は、合成例6に記載の操作に従い、白色結晶32.3gを得た。FD−MSの分析により、中間体7と同定した。
【0146】
合成例8(中間体8の製造)
合成例6において、1-ナフタレンボロン酸18.6g(105mmol)を使用する代わりに、4-ビフェニルボロン酸20.8g(105mmol)を使用した以外は、合成例6に記載の操作に従い、白色結晶28.9gを得た。FD−MSの分析により、中間体8と同定した。
【0147】
合成例9(中間体9の製造)
合成例6において、1-ナフタレンボロン酸18.6g(105mmol)を使用する代わりに、9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-ボロン酸25.0gを使用した以外は、合成例6に記載の操作に従い、白色結晶33.1gを得た。FD−MSの分析により、中間体9と同定した。
【0148】
合成例10(中間体10の製造)
合成例6において、1-ナフタレンボロン酸18.6g(105mmol)を使用する代わりに、3-ビフェニルボロン酸20.8g(105mmol)を使用した以外は、合成例6に記載の操作に従い、白色結晶28.9gを得た。FD−MSの分析により、中間体10と同定した。
【0149】
合成例11(中間体11の製造)
合成例6において、4-(4'-ヨードフェニル)ブロモベンゼン35.9g(100mmol)および1-ナフタレンボロン酸18.6g(105mmol)を使用する代わりに、4-ヨードブロモベンゼン28.3g(100mmol)および9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-ボロン酸25.0g(105mmol)を使用した以外は、合成例6に記載の操作に従い、白色結晶27.9gを得た。FD−MSの分析により、中間体11と同定した。
【0150】
合成例12(中間体12の製造)
合成例6において、4-(4'-ヨードフェニル)ブロモベンゼン35.9g(100mmol)および1-ナフタレンボロン酸18.6g(105mmol)を使用する代わりに、4-ヨードブロモベンゼン28.3g(100mmol)および3-ビフェニルボロン酸20.8g(105mmol)を使用した以外は、合成例6に記載の操作に従い、白色結晶25.9gを得た。FD−MSの分析により、中間体12と同定した。
【0151】
合成例13(中間体13の製造)
合成例6において、4-(4'-ヨードフェニル)ブロモベンゼン35.9g(100mmol)および1-ナフタレンボロン酸18.6g(105mmol)を使用する代わりに、4-ヨードブロモベンゼン28.3g(100mmol)および9-フェナントレンボロン酸23.3g(105mmol)を使用した以外は、合成例6に記載の操作に従い、白色結晶26.0gを得た。FD−MSの分析により、中間体13と同定した。
【0152】
製造した中間体Am1〜Am10の構造式は下記の通りである。
【化20】

【0153】
合成例14(中間体Am1の製造)
アルゴン気流下、4-ブロモ-p-ターフェニルを15.4g(50mmol)、4-アミノ-p-ターフェニルを12.2g(50mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド6.5g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)230mg(アルドリッチ社製)、トリ-tert-ブチルホスフィン110mg及び脱水トルエン250mLを入れ、80℃にて8時間反応した。冷却後、水1.2Lを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、トルエンで再結晶し、14.3gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am1と同定した。
【0154】
合成例15(中間体Am2の製造)
合成例14において、4-アミノ-p-ターフェニル12.2g(50mmol)を使用する代わりに、9-アミノフェナントレン9.7g(50mmol)を使用した以外は、合成例14に記載の操作に従い、12.1gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am2と同定した。
【0155】
合成例16(中間体Am3の製造)
合成例14において、4-ブロモ-p-ターフェニル15.4g(50mmol)を使用する代わりに、4-(1'-ナフチル)ブロモベンゼン14.1g(50mmol)を使用した以外は合成例14に記載の操作に従い、11.7gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am3と同定した。
【0156】
合成例17(中間体Am4の製造)
合成例14において、4-ブロモ-p-ターフェニル15.4g(50mmol)を使用する代わりに、2-ヨード-9,9-ジメチル-9H-フルオレン16.0g(50mmol)を使用した以外は合成例14に記載の操作に従い、14.4gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am4と同定した。
【0157】
合成例18(中間体Am5の製造)
アルゴン気流下、ビス(4-ブロモフェニル)アミン32.7g(100mmol)、9-フェナントレニルホウ酸44.4g(200mmol)、炭酸水素ナトリウム34.0g、テトラキス(トリフェニルオスフィン)パラジウム1.0g、トルエン500gおよび水250gよりなる混合物を80℃に加熱して、7時間加熱攪拌した。その後反応混合物を室温に冷却し、精製した固体をろ別し、トルエンに加熱溶解させたのち、熱時ろ過し、ろ液を冷却し、生じた固体をろ別し、30.5gの無色の結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am5と同定した。
【0158】
合成例19(中間体Am6の製造)
アルゴン気流下、ビス(4-ブロモフェニル)アミン32.7g(100mmol)、3-ビフェニルボロン酸39.6g(200mmol)、炭酸水素ナトリウム34.0g、テトラキス(トリフェニルオスフィン)パラジウム1.0g、トルエン500gおよび水250gよりなる混合物を80℃に加熱して、16時間加熱攪拌した。その後反応混合物を室温に冷却し、有機層を分液し、有機層からトルエンを減圧下に留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し26.8gの無色の結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am6と同定した。
【0159】
合成例20(中間体Am7の製造)
合成例19において、3-ビフェニルボロン酸39.6g(200mmol)を使用する代わりに、2-ビフェニルボロン酸39.6g(200mmol)を使用した以外は、合成例19に記載の操作に従い、24.7gの無色のガラス状固体を得た。FD−MSの分析により、中間体Am7と同定した。
【0160】
合成例21(中間体Am8の製造)
合成例14において、4-ブロモ-p-ターフェニル15.4g(50mmol)を使用する代わりに、20.8g(50mmol)の中間体1を使用した以外は、合成例14に記載の操作に従い、22.2gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am8と同定した。
【0161】
合成例22(中間体Am9の製造)
合成例14において、4-ブロモ-p-ターフェニル15.4g(50mmol)を使用する代わりに、20.8g(50mmol)の中間体2を使用した以外は、合成例14に記載の操作に従い、20.8gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am9と同定した。
【0162】
合成例23(中間体Am10の製造)
合成例14において、4-ブロモ-p-ターフェニル15.4g(50mmol)を使用する代わりに、18.2g(50mmol)の中間体4を使用した以外は、合成例14に記載の操作に従い、20.9gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、中間体Am10と同定した。
【0163】
合成実施例1(化合物A−1の製造)
4.16g(10mmol)の中間体1、4.73g(10mmol)の中間体Am1、ナトリウム-tert-ブトキシド1.3g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム50mg、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン60mg及びトルエン50mLよりなる混合物を、アルゴン気流下、100℃にて10時間加熱攪拌した。
【0164】
冷却後、水200mLを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、有機層からトルエンを減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、トルエンで再結晶し、3.45gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−1と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−1が得られた。
FD−MS:853(M
元素分析:計算値(%);C92.81,;H5.55,;N1.64
分析値(%);C92.8,;H5.6,;N1.6
【0165】
合成実施例2(化合物A−5の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1を使用する代わりに、3.64g(10mmol)の中間体3を使用した以外は、合成実施例1に記載の操作に従い、2.70gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−5と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−5が得られた。
FD−MS:801(M
元素分析:計算値(%);C92.85,;H5.40,;N1.75
分析値(%);C92.8,;H5.4,;N1.8
【0166】
合成実施例3(化合物A−11の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1を使用する代わりに、4.96g(10mmol)中間体4を使用した以外は、合成実施例1に記載の操作に従い、3.65gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−11と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−11が得られた。
FD−MS:933(M
元素分析:計算値(%);C92.57,;H5.93,;N1.50
分析値(%);C92.6,;H5.9,;N1.5
【0167】
合成実施例4(化合物A−14の製造)
合成実施例1において、4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.37g(10mmol)の中間体Am4使用した以外は、合成実施例1に記載の操作に従い、4.10gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−14と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−14が得られた。
FD−MS:817(M
元素分析:計算値(%);C92.50,;H5.79,;N1.71
分析値(%);C92.5,;H5.8,;N1.7
【0168】
合成実施例5(化合物A−17の製造)
合成実施例1において、4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.73g(20mmol)の中間体Am6を使用した以外は、合成実施例1に記載の操作に従い、3.21gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−17と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−17が得られた。
FD−MS:853(M
元素分析:計算値(%);C92.81,;H5.55,;N1.64
分析値(%);C92.8,;H5.6,;N1.6
【0169】
合成実施例6(化合物A−18の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.16g(10mmol)の中間体2および4.73g(10mmol)の中間体Am6を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.26gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−18と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−18が得られた。
FD−MS:853(M
元素分析:計算値(%);C92.81,;H5.55,;N1.64
分析値(%);C92.8,;H5.6,;N1.6
【0170】
合成実施例7(化合物A−24の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.08g(10mmol)の中間体12および6.25g(10mmol)の中間体Am9を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.44gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−24と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−24が得られた。
FD−MS:853(M
元素分析:計算値(%);C92.81,;H5.55,;N1.64
分析値(%);C92.8,;H5.6,;N1.6
【0171】
合成実施例8(化合物A−25の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.16g(10mmol)の中間体2および4.37g(10mmol)の中間体Am4を使用した以外は、合成実施例1に記載の操作に従い、3.10gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−25と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−25が得られた。
FD−MS:817(M
元素分析:計算値(%);C92.50,;H5.79,;N1.71
分析値(%);C92.5,;H5.8,;N1.7
【0172】
合成実施例9(化合物A−27の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.64g(10mmol)の中間体4および4.47g(10mmol)の中間体Am3を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.35gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−27と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−27が得られた。
FD−MS:775(M
元素分析:計算値(%);C92.87,;H5.33,;N1.81
分析値(%);C92.9,;H5.3,;N1.8
【0173】
合成実施例10(化合物A−28の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1を使用する代わりに、3.64g(10mmol)の中間体4を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、2.64gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−28と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−28が得られた。
FD−MS:801(M
元素分析:計算値(%);C92.85,;H5.40,;N1.75
分析値(%);C92.8,;H5.4,;N1.8
【0174】
合成実施例11(化合物A−29の製造)
合成実施例1において、4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.47g(10mmol)の中間体Am3を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、4.22gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−29と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−29が得られた。
FD−MS:827(M
元素分析:計算値(%);C92.83,;H5.48,;N1.69
分析値(%);C92.8,;H5.5,;N1.7
【0175】
合成実施例12(化合物A−31の製造)
合成実施例1において、4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.73g(10mmol)の中間体Am7を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.20gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−31と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−31が得られた。
FD−MS:853(M
元素分析:計算値(%);C92.81,;H5.55,;N1.64
分析値(%);C92.8,;H5.6,;N1.6
【0176】
合成実施例13(化合物A−35の製造)
合成実施例1において、4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.21g(10mmol)の中間体Am2を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.05gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−35と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−35が得られた。
FD−MS:801(M
元素分析:計算値(%);C92.85,;H5.40,;N1.75
分析値(%);C92.8,;H5.4,;N1.8
【0177】
合成実施例14(化合物A−40の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.84g(10mmol)中間体10および6.25g(10mmol)の中間体Am8を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.45gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−40と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−40が得られた。
FD−MS:929(M
元素分析:計算値(%);C92.97,;H5.53,;N1.51
分析値(%);C93.0,;H5.5,;N1.5
【0178】
合成実施例15(化合物A−45の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1を使用する代わりに、4.16g(10mmol)の中間体2を用いた以外は合成実施例1に記載の操作に従い、2.89gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−45と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−45が得られた。
FD−MS:853(M
元素分析:計算値(%);C92.81,;H5.55,;N1.64
分析値(%);C92.8,;H5.6,;N1.6
【0179】
合成実施例16(化合物A−51の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.16g(10mmol)の中間体2および5.21g(10mmol)の中間体Am5を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.34gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−51と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−51が得られた。
FD−MS:901(M
元素分析:計算値(%);C93.20,;H5.25,;N1.55
分析値(%);C93.2,;H5.3,;N1.5
【0180】
合成実施例17(化合物A−54の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.84g(10mmol)の中間体8および6.25g(10mmol)の中間体Am9使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、2.86gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−54と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−54が得られた。
FD−MS:929(M
元素分析:計算値(%);C92.97,;H5.53,;N1.51
分析値(%);C93.0,;H5.5,;N1.5
【0181】
合成実施例18(化合物A−60の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.58g(10mmol)の中間体6および6.25g(10mmol)の中間体Am8を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、4.33gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−60と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−60が得られた。
FD−MS:903(M
元素分析:計算値(%);C92.99,;H5.46,;N1.55
分析値(%);C93.0,;H5.5,;N1.5
【0182】
合成実施例19(化合物A−65の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.84g(10mmol)の中間体8および6.25g(10mmol)の中間体Am8を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.67gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−65と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−65が得られた。
FD−MS:929(M
元素分析:計算値(%);C92.97,;H5.53,;N1.51
分析値(%);C93.0,;H5.5,;N1.5
【0183】
合成実施例20(化合物A−72の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.58g(10mmol)の中間体6および5.73g(10mmol)の中間体Am10を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.54gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−72と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−72が得られた。
FD−MS:851(M
元素分析:計算値(%);C93.03,;H5.32,;N1.64
分析値(%);C93.0,;H5.3,;N1.7
【0184】
合成実施例21(化合物A−75の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.08g(10mmol)の中間体7および5.73g(10mmol)の中間体Am10を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.63gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−75と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−75が得られた。
FD−MS:901(M
元素分析:計算値(%);C93.20,;H5.25,;N1.55
分析値(%);C93.2,;H5.3,;N3.5
【0185】
合成実施例22(化合物A−78の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、4.24g(10mmol)の中間体9および5.73g(10mmol)の中間体Am10を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.41gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−78と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−78が得られた。
FD−MS:917(M
元素分析:計算値(%);C92.88,;H5.60,;N1.53
分析値(%);C92.9,;H5.6,;N1.5
【0186】
合成実施例23(化合物A−81の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.48g(10mmol)の中間体11および5.73g(10mmol)の中間体Am10を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.23gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−81と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−81が得られた。
FD−MS:841(M
元素分析:計算値(%);C92.71,;H5.63,;N1.66
分析値(%);C92.7,;H5.6,;N1.7
【0187】
合成実施例24(化合物A−88の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.84g(10mmol)の中間体8および5.73g(10mmol)の中間体Am10を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.75gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−88と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−88が得られた。
FD−MS:877(M
元素分析:計算値(%);C93.01,;H5.39,;N1.60
分析値(%);C93.0,;H5.4,;N1.6
【0188】
合成実施例25(化合物A−90の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.32g(10mmol)の中間体13および6.25g(10mmol)の中間体Am9を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.68gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−90と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−90が得られた。
FD−MS:877(M
元素分析:計算値(%);C93.01,;H5.39,;N1.60
分析値(%);C93.0,;H5.4,;N1.6
【0189】
合成実施例26(化合物A−91の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.64g(10mmol)の中間体4および4.73g(10mmol)の中間体Am7を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.18gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−91と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−91が得られた。
FD−MS:801(M
元素分析:計算値(%);C92.85,;H5.40,;N1.75
分析値(%);C92.8,;H5.4,;N1.8
【0190】
合成実施例27(化合物A−95の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.08g(10mmol)の中間体12および6.25g(10mmol)の中間体Am9を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、3.46gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物A−95と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物A−95が得られた。
FD−MS:853(M
元素分析:計算値(%);C92.81,;H5.55,;N1.64
分析値(%);C92.8,;H5.6,;N1.6
【0191】
合成実施例28(化合物B−3の製造)
7.64g(21mmol)の中間体3、4-アミノ-p-ターフェニル2.75g(10mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド2.49g、酢酸パラジウム50mg、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン180mg、キシレン70mlよりなる混合物をアルゴン気流下、130℃で18時間加熱攪拌した。その後、反応混合物をメタノールに排出し、得られた個体をろ別した。さらに、キシレンに加熱溶解して、セライトろ過した後、冷却後に析出した結晶をろ別して、3.08gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物B−3と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物B−3が得られた。
FD−MS:901(M
元素分析:計算値(%);C93.20,;H5.25,;N1.55
分析値(%);C93.2,;H5.2,;N1.6
【0192】
合成実施例29(化合物B−12の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.64g(10mmol)の中間体4および6.25g(10mmol)の中間体Am9を使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、2.98gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物B−12と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物B−12が得られた。
FD−MS:953(M
元素分析:計算値(%);C93.14,;H5.39,;N1.47
分析値(%);C93.1,;H5.4,;N1.5
【0193】
合成実施例30(化合物B−14の製造)
合成実施例1において、4.16g(10mmol)の中間体1および4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、3.64g(10mmol)の中間体3および5.73g(10mmol)の中間体Am10使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、2.69gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物B−14と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物B−14が得られた。
FD−MS:901(M
元素分析:計算値(%);C93.20,;H5.25,;N1.55
分析値(%);C93.2,;H5.2,;N1.6
【0194】
合成実施例31(化合物B−23の製造)
合成実施例1において、4.73g(10mmol)の中間体Am1を使用する代わりに、5.73g(10mmol)の中間体Am10使用した以外は合成実施例1に記載の操作に従い、2.74gの淡黄色結晶を得た。FD−MSの分析により、化合物B−23と同定した。さらに、この化合物を真空下(2×10−4Pa)で昇華精製したところ、1回の昇華精製で、HPLC分析において不純物ピークが確認されない高純度な化合物B−23が得られた。
FD−MS:953(M
元素分析:計算値(%);C93.14,;H5.39,;N1.47
分析値(%);C93.1,;H5.4,;N1.5
【0195】
実施例1(有機電界発光素子の製造)
厚さ150nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、セミコクリーン(フルウチ化学製)、超純水、アセトン、イソプロピルアルコールを用いて超音波洗浄した。この基板を窒素ガスにより乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定し、蒸着槽を2×10−5Paに減圧した。
【0196】
先ず、ITO透明電極上に、N',N”-ビス[4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル]-N',N”-ジフェニル-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミンを0.3nm/secで50nmの厚さに蒸着し、第1の正孔注入輸送層を形成した。
【0197】
次に、第1の正孔注入輸送層上に例示化合物A−1を、蒸着速度0.2nm/secで15nmの厚さに蒸着し、第2の正孔注入輸送層を形成した。
【0198】
その後、4-〔10'-(2”-ナフチル)アントラセン-9'-イル〕ジベンゾ[b,d]フランと、下記に示すドーパント化合物(BD−1)を、異なる蒸着源から蒸着速度0.2nm/secと蒸着速度0.01nm/secで、40nmの厚みに共蒸着して発光層を形成した。
【化21】

【0199】
次に、トリス(8-キノリノラート)アルミニウムを、蒸着速度0.2nm/secで15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層を形成した。さらに、その上に、フッ化リチウムを、蒸着速度0.02nm/secで0.5nmの厚みに蒸着し;最後にアルミニウムを、蒸着速度2.0nm/secで100nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機電界発光素子を作製した。
【0200】
作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、室温、乾燥雰囲気下、電流密度40mA/cmの発光効率をトプコン社製BM−7輝度計を用いて測定した。有機電界発光素子からは青色の発光が観察された。さらに、初期輝度3000cd/m、50℃、定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表1に示す。
【0201】
実施例2〜11(有機電界発光素子の製造)
実施例1において、正孔輸送材料として化合物A−1の代わりに、例示化合物A−11(実施例2)、A−17(実施例3)、A−28(実施例4)、A−29(実施例5)、A−35(実施例6)、A−72(実施例7)、A−90(実施例8)、B−3(実施例9)、B−12(実施例10)およびB−14(実施例11)を用いた以外は、実施例1に記載の操作に従い、有機電界発光素子を作製した。作成した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、室温、乾燥雰囲気下、電流密度40mA/cmでの発光効率および駆動電圧を測定した。さらに、初期輝度3000cd/m、50℃、定電流駆動での半減期を測定した。結果を表1に示す。
【0202】
比較例1〜4(有機電界発光素子の製造)
実施例1において、正孔輸送材料として例示化合物A−1の代わりに比較化合物1〜比較化合物4を用いた以外は、実施例1に記載の操作に従い有機電界発光素子を作製した。得られた有機電界発光素子について、実施例1と同様に、発光効率および駆動電圧を測定し、さらに、初期輝度3000cd/m、50℃、定電流駆動での半減期を測定した結果を表1に示す。
【0203】
【化22】

【0204】
【表1】

【0205】
表1に示されるように、本発明の芳香族アミン誘導体を正孔輸送材料とする有機電界発光素子は、発光効率が高く、かつ高温での駆動においても寿命が長い。さらに、比較例1および4の有機電界発光素子と比較して、低電圧で駆動可能であることが判る。
【0206】
実施例12
厚さ150nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、セミコクリーン(フルウチ化学製)、超純水、アセトン、イソプロパノールを用いて超音波洗浄した。この基板を窒素ガスにより乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定し、蒸着槽を1×10−5Paに減圧した。
【0207】
先ず、ITO透明電極上にビス〔N-フェニル-N-(1-ナフチル)〕-4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニルを、蒸着速度0.1nm/secで蒸着し、膜厚40nmの正孔注入層を設けた。
【0208】
次に、例示化合物A−40を蒸着速度0.1nm/secで蒸着し、膜厚10nmの正孔輸送層を設けた。
【0209】
下式で表されるCBPと、下式で表される燐光発光材料であるトリス(フェニルピリジル)イリジウム錯体〔以下、Ir(ppy)と略記する〕をそれぞれ蒸着速度0.2nm/sec、0.016nm/secで前記正孔輸送層上に蒸着して膜厚25nmの発光層を設けた。
【化23】

【0210】
さらに、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(以下、BPhenと略記する)を蒸着速度0.1nm/sec、で前記発光層の上に蒸着して膜厚15nmの正孔阻止層(電子輸送層)を設けた。
【化24】

【0211】
さらにトリス(8-キノリノラート)アルミニウムを蒸着速度0.1nm/secで前記正孔阻止層の上に蒸着して厚さ20nmの電子輸送層を設けた。なお蒸着時の基板温度は室温であった。
【0212】
引き続き、リチウムフルオライドを蒸着速度0.02nm/secで0.5nmの厚さに蒸着した。最後に陰極としてアルミニウムを蒸着速度2.0nm/secで100nmの厚さに蒸着して有機電界発光素子を作製した。蒸着は、蒸着槽の減圧状態を保ったまま実施した。
【0213】
作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、室温、乾燥雰囲気下、10mA/cmの定電流密度で連続駆動させた。初期には、電圧値は5.8Vであり、輝度2500cd/mの緑色の発光が確認された。輝度の半減期は940時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明の芳香族アミン誘導体は、発光効率が高く、高温での駆動においても寿命が長い有機電界発光素子を実現できる。
【符号の説明】
【0215】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入輸送層
3’ 正孔注入層
3” 正孔輸送層
3a 正孔注入輸送成分
4 発光層
4a 発光成分
5 電子注入輸送層
5’ 正孔阻止層(電子輸送層)
5a 電子注入輸送成分
6 陰極
7 電源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体。
【化1】

〔式(1)中、
Aは、下記一般式(2)を表し;
Bは、下記一般式(3)を表し;
nは1または2を表し、mは1または2を表し、n+m=3であり;
nが2の場合、それぞれのAは同じであっても異なっていてもよく、mが2の場合、それぞれのBは同じであっても異なっていてもよく;
mが2の場合、B同士が結合して環を形成することはない〕
【化2】

〔式(2)中、
〜Rは、水素原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、核炭素数6〜30のアリール基を表し、
ArおよびArは互いに同じであっても異なっていてもよく、アリール基で置換されたアリール基、あるいはベンゼン環を1環または2環有する縮合多環芳香族基を表す〕
【化3】

〔式(3)中、Arは、芳香族環、もしくはベンゼン環数1〜3の縮合芳香族環を表す〕
【請求項2】
nが1であり、かつmが2である、請求項1に記載の芳香族アミン誘導体。
【請求項3】
一般式(2)において、R、RおよびRが水素原子である、請求項1に記載の芳香族アミン誘導体。
【請求項4】
一対の電極間に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体を少なくとも一種含む層を少なくとも一層挟持してなる有機電界発光素子。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体を含む層が正孔注入輸送層である請求項4に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
陰極と陽極間に、少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機電界発光素子において、
該有機薄膜層の少なくとも1層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体を単独もしくは混合物の成分として含有し、該有機薄膜層の少なくとも一層が燐光発光材料を含有する有機電界発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−222268(P2010−222268A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68922(P2009−68922)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】