説明

芳香族アミン誘導体およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】青色発光を得ることが可能な有機EL素子、および当該有機EL素子の有機薄膜層に用いることができる有用な材料の提供。
【解決手段】式(1)の芳香族アミン誘導体。前記一般式(1)において、RからR10までは、それぞれ独立に、水素原子や置換基である。前記一般式(1)において、RからR10までのいずれか三つ以上が、下記一般式(2)で表され、L〜Lは、それぞれ独立に、単結合やアリール基の二価の残基等である。前記一般式(2)において、Arは、下記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基であり、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、AおよびBは、6員環を表す。前記一般式(2)において、Arは、アリール基や前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香族アミン誘導体およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機物質を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略記する場合がある。)は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に有機EL素子は、発光層および該発光層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入される。さらに、この電子が発光層において正孔と再結合し、励起状態を生成し、励起状態が基底状態に戻る際にエネルギーを光として放出する。
【0003】
従来の有機EL素子は、無機発光ダイオードに比べて駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低かった。また、特性劣化も著しく実用化には至っていなかった。最近の有機EL素子は徐々に改良されているものの、さらなる高発光効率、長寿命、色再現性の向上等が要求されている。
【0004】
有機EL用発光材料の改良により有機EL素子の性能は徐々に改善されてきている。特に青色有機EL素子の色純度向上(発光波長の短波長化)はディスプレイの色再現性向上につながる重要な技術である。
発光層に使用される材料の例として、特許文献1にはジベンゾフランを有する発光材料が開示されており、短波長の青色発光が得られているが、発光効率が低くさらなる改良が求められていた。
【0005】
また、特許文献4,5には、ジアミノピレン誘導体が開示されている。特許文献2には、アントラセンホストとアリールアミンとの組み合わせが開示されている。また、特許文献3〜5には、特定の構造のアントラセンホストとジアミノピレンドーパントとの組み合わせが開示されている。さらに、特許文献6〜8には、アントラセン系のホスト材料が開示されている。
【0006】
いずれの材料およびいずれの組合せにおいても発光特性の改良が認められるものの、十分ではなく、高い発光効率を発現し、さらなる短波長発光を実現する発光材料が求められていた。
【0007】
また、特許文献9には、中心にアリーレン基を有し、ジベンゾフラン環が窒素原子に結合した芳香族アミン誘導体を正孔輸送材料として用いることが開示され、特許文献10には、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環等がアリーレン基を介して窒素原子に結合した芳香族アミン誘導体を正孔輸送材料として用いることが開示されているが、発光材料として用いた例は無い。
【0008】
特許文献11〜13には、ピレンの1位および6位にアミノ基が結合した芳香族アミン誘導体が開示されている。特許文献11および特許文献12に記載の芳香族アミン誘導体においては、アミノ基の窒素原子にジベンゾフラン環やジベンゾチオフェン環が結合している。これらの芳香族アミン誘導体は、青色発光材料として用いられているが、実用化の上では、色純度および発光効率のさらなる向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2006/128800号パンフレット
【特許文献2】WO2004/018588号パンフレット
【特許文献3】WO2004/018587号パンフレット
【特許文献4】特開2004−204238号公報
【特許文献5】WO2005/108348号パンフレット
【特許文献6】WO2005/054162号パンフレット
【特許文献7】WO2005/061656号パンフレット
【特許文献8】WO2002/038524号パンフレット
【特許文献9】特開平11−35532号公報
【特許文献10】WO2007/125714号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2010/122810号
【特許文献12】国際公開第2009/084512号
【特許文献13】韓国公開特許第10−2011−0076376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、青色発光を得ることが可能な有機EL素子、および当該有機EL素子の有機薄膜層に用いることができる有用な芳香族アミン誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下の芳香族アミン誘導体および有機EL素子が提供される。
【0012】
[1] 下記一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体。
【0013】
【化1】

【0014】
(前記一般式(1)において、RからR10までは、それぞれ独立に、
水素原子、
重水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアラルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基
である。
ただし、前記一般式(1)において、RからR10までのいずれか三つ以上が、下記一般式(2)で表される。)
【0015】
【化2】

【0016】
(前記一般式(2)において、L、LおよびLは、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基の二価残基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基の二価残基
である。
前記一般式(2)において、Arは、下記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基である。)
【0017】
【化3】

【0018】
(前記一般式(3)において、Xは、酸素原子または硫黄原子である。前記一般式(3)において、AおよびBは、6員環を表す。このAおよびBで表される6員環にさらに他の環が縮合してもよい。
前記一般式(2)において、Arは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、または
前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基
である。)
[2] 前記[1]に記載の芳香族アミン誘導体において、
前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基が、下記一般式(4)の一価の残基である
ことを特徴とする芳香族アミン誘導体。
【0019】
【化4】

【0020】
(前記一般式(4)において、Xは、酸素原子または硫黄原子である。
前記一般式(4)において、R11からR18までは、それぞれ独立に、
水素原子、
重水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアラルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基
である。ただし、前記一般式(2)において、Arが、前記一般式(4)の一価の残基であるときは、R11からR18までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合であり、Arが、前記一般式(4)の一価の残基であるときは、R11からR18までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合である。
前記一般式(4)において、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R15およびR16、R16およびR17並びにR17およびR18の組合せのうち、少なくともいずれか一つの組合せで飽和または不飽和の環を形成しても良い。)
【0021】
[3] 前記[1]に記載の芳香族アミン誘導体において、
前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基が、下記一般式(5)から一般式(10)までの一価残基である
ことを特徴とする芳香族アミン誘導体。
【0022】
【化5】

【0023】
(前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、Xは、酸素原子または硫黄原子である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、Xは、酸素原子、硫黄原子、NR31またはCR3233である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R21からR30までは、それぞれ独立に、
水素原子、
重水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアラルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基
である。ただし、前記一般式(2)において、Arが、前記一般式(5)から一般式(10)までのいずれかの一価の残基であるときは、R21からR30までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合であり、Arが、前記一般式(5)から一般式(10)までのいずれかの一価の残基であるときは、R21からR30までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、または
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基
である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R21およびR22、R22およびR23、R23およびR24、R25およびR26、R27およびR28、R28およびR29、並びにR29およびR30の組合せのうち、少なくともいずれか一つの組合せで飽和または不飽和の環を形成しても良い。ただし、前記一般式(7)および前記一般式(8)において、R25およびR26で環を形成しない。)
【0024】
[4] 前記[1]から前記[3]までのいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体において、R、R、RおよびRが、前記一般式(2)で表されることを特徴とする芳香族アミン誘導体。
【0025】
[5] 陰極と陽極との間に有機化合物層を備え、
前記有機化合物層は、前記[1]から前記[4]までのいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0026】
[6] 前記[5]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機化合物層は、発光層を含む複数の有機薄膜層を備え、
前記複数の有機薄膜層のうち少なくとも一つの層は、前記[1]から前記[4]までのいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体を含む
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0027】
[7] 前記[6]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記複数の有機薄膜層のうち少なくとも一つの層は、前記[1]から前記[4]までのいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体と、下記一般式(20)で表されるアントラセン誘導体とを含む
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0028】
【化6】

【0029】
(前記一般式(20)において、Ar11およびAr12は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、
置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基、または
前記単環基と前記縮合環基との組合せから構成される基
である。
前記一般式(20)において、R101からR108までは、それぞれ独立に、
水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、
置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基、
前記単環基と前記縮合環基との組合せから構成される基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ、または
置換もしくは無置換のシリル基
である。)
【0030】
[8] 前記[7]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0031】
[9] 前記[7]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12の一方が、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基であり、他方が、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0032】
[10] 前記[9]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr12がナフチル基、フェナントリル基、ベンゾアントリル基およびジベンゾフラニル基から選択され、Ar11が、無置換のフェニル基または前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかが置換されたフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0033】
[11] 前記[7]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr12が、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基であり、Ar11が、無置換のフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0034】
[12] 前記[7]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0035】
[13] 前記[12]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0036】
[14] 前記[13]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11が、無置換のフェニル基であり、Ar12が、前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかを置換基として有するフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0037】
[15] 前記[13]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかを置換基として有するフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0038】
本発明の芳香族アミン誘導体を有機薄膜層に用いることで、青色発光が可能な有機EL素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
〔芳香族アミン誘導体〕
本発明の芳香族アミン誘導体は、前記一般式(1)で表される。
前記一般式(1)におけるRからR10までについて次に説明する。
【0041】
前記一般式(1)における環形成炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、ベンズアントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、1−クリセニル基、2−クリセニル基、3−クリセニル基、4−クリセニル基、5−クリセニル基、6−クリセニル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、ベンゾ[g]クリセニル基、1−トリフェニレニル基、2−トリフェニレニル基、3−トリフェニレニル基、4−トリフェニレニル基、1−フルオレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、9−フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、o−ターフェニル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−クウォーターフェニル基、3−フルオランテニル基、4−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基、9−フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、3,4−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基が挙げられる。
前記一般式(1)におけるアリール基としては、環形成炭素数が6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜12であることが好ましい。上記アリール基の中でもフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ターフェニル基、フルオレニル基が特に好ましい。1−フルオレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基および4−フルオレニル基については、9位の炭素原子に、前記一般式(1)における置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基が置換されていることが好ましい。
【0042】
前記一般式(1)における環形成原子数5〜30の複素環基としては、例えば、ピロリル基、ピラジニル基、ピリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、イミダゾリル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、ベンゾチオフェニル基、およびピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、ピロリジン環、ジオキサン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ピペラジン環、カルバゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラン環、ジベンゾフラン環から形成される基が挙げられる。
さらに具体的には、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、6−ピリミジニル基、1,2,3−トリアジン−4−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、2−イミダゾピリジニル基、3−イミダゾピリジニル基、5−イミダゾピリジニル基、6−イミダゾピリジニル基、7−イミダゾピリジニル基、8−イミダゾピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、アザカルバゾリル−1−イル基、アザカルバゾリル−2−イル基、アザカルバゾリル−3−イル基、アザカルバゾリル−4−イル基、アザカルバゾリル−5−イル基、アザカルバゾリル−6−イル基、アザカルバゾリル−7−イル基、アザカルバゾリル−8−イル基、アザカルバゾリル−9−イル基、1−フェナントリジニル基、2−フェナントリジニル基、3−フェナントリジニル基、4−フェナントリジニル基、6−フェナントリジニル基、7−フェナントリジニル基、8−フェナントリジニル基、9−フェナントリジニル基、10−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,7−フェナントロリン−5−イル基、1,7−フェナントロリン−6−イル基、1,7−フェナントロリン−8−イル基、1,7−フェナントロリン−9−イル基、1,7−フェナントロリン−10−イル基、1,8−フェナントロリン−2−イル基、1,8−フェナントロリン−3−イル基、1,8−フェナントロリン−4−イル基、1,8−フェナントロリン−5−イル基、1,8−フェナントロリン−6−イル基、1,8−フェナントロリン−7−イル基、1,8−フェナントロリン−9−イル基、1,8−フェナントロリン−10−イル基、1,9−フェナントロリン−2−イル基、1,9−フェナントロリン−3−イル基、1,9−フェナントロリン−4−イル基、1,9−フェナントロリン−5−イル基、1,9−フェナントロリン−6−イル基、1,9−フェナントロリン−7−イル基、1,9−フェナントロリン−8−イル基、1,9−フェナントロリン−10−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−1−イル基、2,9−フェナントロリン−3−イル基、2,9−フェナントロリン−4−イル基、2,9−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−6−イル基、2,9−フェナントロリン−7−イル基、2,9−フェナントロリン−8−イル基、2,9−フェナントロリン−10−イル基、2,8−フェナントロリン−1−イル基、2,8−フェナントロリン−3−イル基、2,8−フェナントロリン−4−イル基、2,8−フェナントロリン−5−イル基、2,8−フェナントロリン−6−イル基、2,8−フェナントロリン−7−イル基、2,8−フェナントロリン−9−イル基、2,8−フェナントロリン−10−イル基、2,7−フェナントロリン−1−イル基、2,7−フェナントロリン−3−イル基、2,7−フェナントロリン−4−イル基、2,7−フェナントロリン−5−イル基、2,7−フェナントロリン−6−イル基、2,7−フェナントロリン−8−イル基、2,7−フェナントロリン−9−イル基、2,7−フェナントロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基、1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、1−シラフルオレニル基、2−シラフルオレニル基、3−シラフルオレニル基、4−シラフルオレニル基、1−ゲルマフルオレニル基、2−ゲルマフルオレニル基、3−ゲルマフルオレニル基、4−ゲルマフルオレニル基が挙げられる。
前記一般式(1)における複素環基の環形成原子数は、5〜20であることが好ましく、5〜14であることがさらに好ましい。上記複素環基の中でも1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基が好ましい。1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基および4−カルバゾリル基については、9位の窒素原子に、前記一般式(1)における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基が置換されていることが好ましい。
【0043】
前記一般式(1)における炭素数1〜30のアルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、3−メチルペンチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、1,2−ジニトロエチル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基が挙げられる。
環状のアルキル基(シクロアルキル基)としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。
前記一般式(1)における直鎖または分岐鎖のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。上記直鎖または分岐鎖のアルキル基の中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が好ましい。
前記一般式(1)におけるシクロアルキル基の環形成炭素数は、3〜10であることが好ましく、5〜8であることがさらに好ましい。上記シクロアルキル基の中でも、シクロペンチル基やシクロヘキシル基が好ましい。
アルキル基がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基としては、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基が1以上のハロゲン基で置換されたものが挙げられる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、トリフルオロメチルメチル基等が挙げられる。
【0044】
前記一般式(1)における炭素数2〜30のアルケニル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えば、ビニル、プロペニル、ブテニル、オレイル、エイコサペンタエニル、ドコサヘキサエニル、スチリル、2,2−ジフェニルビニル、1,2,2−トリフェニルビニル、2−フェニル−2−プロペニル等が挙げられる。上述したアルケニル基の中でもビニル基が好ましい。
【0045】
前記一般式(1)における炭素数2〜30のアルキニル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えば、エチニル、プロピニル、2−フェニルエチニル等が挙げられる。上述したアルキニル基の中でもエチニル基が好ましい。
【0046】
前記一般式(1)における炭素数3〜30のアルキルシリル基としては、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を有するトリアルキルシリル基が挙げられ、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−n−オクチルシリル基、トリイソブチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメチル−n−プロピルシリル基、ジメチル−n−ブチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等が挙げられる。3つのアルキル基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0047】
前記一般式(1)における環形成炭素数6〜30のアリールシリル基としては、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基が挙げられる。
ジアルキルアリールシリル基は、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を2つ有し、上記環形成炭素数6〜30のアリール基を1つ有するジアルキルアリールシリル基が挙げられる。ジアルキルアリールシリル基の炭素数は、8〜30であることが好ましい。
アルキルジアリールシリル基は、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を1つ有し、上記環形成炭素数6〜30のアリール基を2つ有するアルキルジアリールシリル基が挙げられる。アルキルジアリールシリル基の炭素数は、13〜30であることが好ましい。
トリアリールシリル基は、例えば、上記環形成炭素数6〜30のアリール基を3つ有するトリアリールシリル基が挙げられる。トリアリールシリル基の炭素数は、18〜30であることが好ましい。
6〜30の芳香族炭化水素基を3つ有するトリアリールシリル基が挙げられる。
【0048】
前記一般式(1)における炭素数1〜30のアルコキシ基は、−OYと表される。このYの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基があげられる。
アルコキシ基がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、上記炭素数1〜30のアルコキシ基が1以上のハロゲン基で置換されたものが挙げられる。
【0049】
前記一般式(1)における環形成炭素数6〜30のアラルキル基は、−Y−Zと表される。このYの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基に対応するアルキレン基が挙げられる。このZの例として、上記環形成炭素数6〜30のアリール基の例が挙げられる。このアラルキル基は、炭素数7〜30アラルキル基(アリール部分は炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12)、アルキル部分は炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6)であることが好ましい。このアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基が挙げられる。
【0050】
前記一般式(1)における環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基は、−OZと表される。このZの例として、上記環形成炭素数6〜30アリール基または後述する単環基および縮合環基が挙げられる。このアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基が挙げられる。
【0051】
前記一般式(1)におけるハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
【0052】
本発明において、「環形成炭素」とは飽和環、不飽和環、又は芳香環を構成する炭素原子を意味する。「環形成原子」とはヘテロ環(飽和環、不飽和環、および芳香環を含む)を構成する炭素原子およびヘテロ原子を意味する。
【0053】
また、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基としては、上述のようなアリール基、複素環基、アルキル基(直鎖または分岐鎖のアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、重水素原子、シアノ基に加え、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基等が挙げられる。ここで挙げた置換基の中では、アリール基、複素環基、アルキル基、ハロゲン原子、アルキルシリル基、アリールシリル基、シアノ基、重水素原子が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとした具体的な置換基が好ましい。 「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子が置換したことを意味する。
以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
【0054】
前記一般式(1)において、RからR10までのいずれか三つ以上が、前記一般式(2)で表される。RからR10までのいずれか3つまたは4つが前記一般式(2)で表されることが好ましい。
前記一般式(2)において、L、LおよびLは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基の二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基の二価残基である。
環形成炭素数6〜30のアリール基の二価の残基は、前記一般式(1)のRからR10までにおける環形成炭素数6〜30アリール基から誘導される二価の基が挙げられる。
環形成原子数5〜30の複素環基の二価の残基は、前記一般式(1)のRからR10までにおける環形成原子数5〜30の複素環基から誘導される二価の基が挙げられる。
【0055】
前記一般式(2)において、Arは、前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基である。
前記一般式(3)において、Xは、酸素原子または硫黄原子である。前記一般式(3)において、AおよびBは、6員環を表す。このAおよびBで表される6員環にさらに他の環が縮合してもよい。
【0056】
前記一般式(2)において、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、または前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基である。Arのアリール基および複素環基は、前記一般式(1)におけるRからR10までにて説明したものと同様である。
【0057】
本発明の芳香族アミン誘導体において、前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基が、前記一般式(4)の一価の残基であることが好ましい。
前記一般式(4)において、Xは、酸素原子または硫黄原子である。
前記一般式(4)において、R11からR18までは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRからR10までにて説明したものと同様である。ただし、前記一般式(2)において、Arが、前記一般式(4)の一価の残基であるときは、R11からR18までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合であり、Arが、前記一般式(4)の一価の残基であるときは、R11からR18までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合である。このように、R11からR18までのうち、一つが単結合である場合の前記一般式(4)の構造は、例えば、次の一般式(4A)から一般式(4D)までの通りである。ここで、一般式(4A)は、一般式(4)におけるR11の部分が、単結合であることを示すものであり、メチル基であること示すものではない。この点は、他の一般式(4B)から一般式(4D)についても同様である。これらの中で、R11が単結合となった場合の一般式(4A)およびR13が単結合となった場合の一般式(4C)が好ましい。
【0058】
【化7】

【0059】
前記一般式(4)において、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R15およびR16、R16およびR17並びにR17およびR18の組合せのうち、少なくともいずれか一つの組合せで飽和または不飽和の環を形成しても良い。前記一般式(4)において、このような環を形成しても良い場合の例として、下記一般式(4E)、(4F)および(4G)が挙げられる。下記一般式(4E)、(4F)および(4G)において、R11からR20までは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRからR10までにて説明したものと同様である。
【0060】
【化8】

【0061】
また、本発明の芳香族アミン誘導体において、前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基が、前記一般式(5)から一般式(10)までの一価の残基のいずれかであることが好ましい。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、Xは、酸素原子または硫黄原子である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、Xは、酸素原子、硫黄原子、NR31またはCR3233である。
ここで、NR31は、窒素原子(N)にR31が結合したものである。
また、CR3233は、炭素原子(C)に、R32およびR33が結合したものである。
【0062】
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R21からR30までは、それぞれ独立に、前記一般式(1)におけるRからR10までにて説明したものと同様である。ただし、前記一般式(2)において、Arが、前記一般式(5)から一般式(10)までのいずれかの一価の残基であるときは、R21からR30までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合であり、Arが、前記一般式(5)から一般式(10)までのいずれかの一価の残基であるときは、R11からR18までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合である。R21からR30までのうち、一つが、単結合である場合の前記一般式(5)から一般式(10)までの構造は、例えば、下記一般式(5A)から一般式(5J)まで、下記一般式(6A)から一般式(6J)まで、下記一般式(7A)から一般式(7J)まで、下記一般式(8A)から一般式(8J)まで、下記一般式(9A)から一般式(9J)まで、並びに下記一般式(10A)から一般式(10J)までの通りである。ここで、一般式(5A)は、一般式(5)におけるR21の部分が、単結合であることを示すものであり、メチル基であること示すものではない。この点は、他の一般式(5B)から一般式(5D)、一般式(6A)から一般式(6J)まで、一般式(7A)から一般式(7J)まで、一般式(8A)から一般式(8J)まで、一般式(9A)から一般式(9J)まで、並びに一般式(10A)から一般式(10J)までについても同様である。
【0063】
【化9】

【0064】
【化10】

【0065】
【化11】

【0066】
【化12】

【0067】
【化13】

【0068】
【化14】

【0069】
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基である。R31、R32およびR33のアリール基、複素環基およびアルキル基は、前記一般式(1)におけるRからR10までにて説明したものと同様である。
【0070】
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R21およびR22、R22およびR23、R23およびR24、R25およびR26、R27およびR28、R28およびR29、並びにR29およびR30の組合せのうち、少なくともいずれか一つの組合せで飽和または不飽和の環を形成しても良い。ただし、前記一般式(7)および前記一般式(8)において、R25およびR26で環を形成しない。
【0071】
本発明の芳香族アミン誘導体の具体的な構造としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。但し、本発明は、これらの構造の芳香族アミン誘導体に限定されない。
【0072】
本発明の芳香族アミン誘導体は、前記一般式(1)におけるR、RおよびRが、前記一般式(2)で表されることが好ましく、この場合の芳香族アミン誘導体は、次の一般式(1A)で表される構造となる。
【0073】
【化15】

【0074】
本発明の芳香族アミン誘導体の具体例としては、一般式(1A)において、R、R、R、R〜R10、L〜L、およびAr〜Arが、表1〜表34に示される場合の芳香族アミン誘導体が挙げられる。なお、表中のL〜Lにおける「−」は、単結合を表す。また、表中のL〜L、およびAr〜Arにおいて、環構造から外側に向かって伸びる線であってその端に化学式(CH、Ph、CN、ベンゼン環等)が記載されていないものは、単結合を表すものであり、メチル基を表すものではない。例えば、下記化合物D1では、Arは、ジベンゾフラン環の1位において単結合を有することを表し、すなわち、1−ジベンゾフラニル基を表す。同様に、Arは、フェニル基を表す。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
【表7】

【0082】
【表8】

【0083】
【表9】

【0084】
【表10】

【0085】
【表11】

【0086】
【表12】

【0087】
【表13】

【0088】
【表14】

【0089】
【表15】

【0090】
【表16】

【0091】
【表17】

【0092】
【表18】

【0093】
【表19】

【0094】
【表20】

【0095】
【表21】

【0096】
【表22】

【0097】
【表23】

【0098】
【表24】

【0099】
【表25】

【0100】
【表26】

【0101】
【表27】

【0102】
【表28】

【0103】
【表29】

【0104】
【表30】

【0105】
【表31】

【0106】
【表32】

【0107】
【表33】

【0108】
【表34】

【0109】
上記芳香族アミン誘導体の具体例においては、R、RおよびRについて、前記一般式(2)で表される部分が同じ構造の化合物を例示したが、これに限定されず、当該部分が互いに異なる構造の化合物であっても良い。
【0110】
また、本発明の芳香族アミン誘導体は、前記一般式(1)におけるR、R、RおよびRが、前記一般式(2)で表されることが好ましく、この場合の芳香族アミン誘導体は、次の一般式(1B)で表される構造となる。
【0111】
【化16】

【0112】
本発明の芳香族アミン誘導体の具体例としては、一般式(1B)において、R、R、R、R、R、R10、L〜L、およびAr〜Arが、表35〜表68に示される場合の芳香族アミン誘導体が挙げられる。なお、表中のL〜Lにおける「−」は、単結合を表す。また、表中のL〜L、およびAr〜Arにおいて、環構造から外側に向かって伸びる線であってその端に化学式(CH、Ph、CN、ベンゼン環等)が記載されていないものは、単結合を表すものであり、メチル基を表すものではない。例えば、下記化合物D501では、Arは、ジベンゾフラン環の1位において単結合を有することを表し、すなわち、1−ジベンゾフラニル基を表す。同様に、Arは、フェニル基を表す。
【0113】
【表35】

【0114】
【表36】

【0115】
【表37】

【0116】
【表38】

【0117】
【表39】

【0118】
【表40】

【0119】
【表41】

【0120】
【表42】

【0121】
【表43】

【0122】
【表44】

【0123】
【表45】

【0124】
【表46】

【0125】
【表47】

【0126】
【表48】

【0127】
【表49】

【0128】
【表50】

【0129】
【表51】

【0130】
【表52】

【0131】
【表53】

【0132】
【表54】

【0133】
【表55】

【0134】
【表56】

【0135】
【表57】

【0136】
【表58】

【0137】
【表59】

【0138】
【表60】

【0139】
【表61】

【0140】
【表62】

【0141】
【表63】

【0142】
【表64】

【0143】
【表65】

【0144】
【表66】

【0145】
【表67】

【0146】
【表68】

【0147】
上記芳香族アミン誘導体の具体例においては、R、R、RおよびRについて、前記一般式(2)で表される部分が同じ構造の化合物を例示したが、これに限定されず、当該部分が互いに異なる構造の化合物であっても良い。
【0148】
〔有機EL素子用材料〕
本発明の芳香族アミン誘導体は、有機EL素子用材料として用いることができる。有機EL素子用材料は、本発明の芳香族アミン誘導体を単独で含んでいても良いし、他の化合物を含んでいても良い。本発明の芳香族アミン誘導体を含む有機EL素子用材料は、例えば、ドーパント材料として使用できる。
本発明の芳香族アミン誘導体と他の化合物を含む場合として、例えば、前記一般式(20)で表されるアントラセン誘導体を含む有機EL素子用材料が挙げられる。
また、このアントラセン誘導体の代わりに下記一般式(30)で表されるピレン誘導体を本発明の芳香族アミン誘導体と共に含む有機EL素子用材料が挙げられる。
さらに、本発明の芳香族アミン誘導体と、前記一般式(20)で表されるアントラセン誘導体と、下記一般式(30)で表されるピレン誘導体とを含む有機EL素子用材料が挙げられる。
【0149】
〔有機EL素子〕
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極との間に有機化合物層を備える。
本発明の芳香族アミン誘導体は、この有機化合物層に含まれる。また、有機化合物層は、本発明の芳香族アミン誘導体を含む有機EL素子用材料を用いて形成される。
有機化合物層は、有機化合物で構成される少なくとも一つ以上の有機薄膜層を有する。有機薄膜層の少なくとも一層が、本発明の芳香族アミン誘導体を単独または混合物の成分として含んでいる。なお、有機薄膜層は、無機化合物を含んでいてもよい。
有機薄膜層のうち少なくとも1層は、発光層である。そのため、有機化合物層は、例えば、一層の発光層で構成されていてもよいし、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔障壁層、電子障壁層等の公知の有機EL素子で採用される層を有していてもよい。有機薄膜層が複数であれば、少なくともいずれかの層に本発明の芳香族アミン誘導体が単独または混合物の成分として含まれている。
好ましくは、発光層が、本発明の芳香族アミン誘導体を含有する。この場合、発光層は、芳香族アミン誘導体のみから構成することも、芳香族アミン誘導体をホスト材料またはドーパント材料として含んで構成することもできる。
【0150】
有機EL素子の代表的な素子構成としては、
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/陰極
(c)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(d)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(e)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/障壁層/電子注入・輸送層/陰極
などの構造を挙げることができる。
上記の中で(d)の構成が好ましく用いられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
なお、上記「発光層」とは、発光機能を有する有機層であって、ドーピングシステムを採用する場合、ホスト材料とドーパント材料を含んでいる。このとき、ホスト材料は、主に電子と正孔の再結合を促し、励起子を発光層内に閉じ込める機能を有し、ドーパント材料は、再結合で得られた励起子を効率的に発光させる機能を有する。
【0151】
上記「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層および正孔輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味し、「電子注入・輸送層」は「電子注入層および電子輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味する。ここで、正孔注入層および正孔輸送層を有する場合には、陽極側に正孔注入層が設けられていることが好ましい。また、電子注入層および電子輸送層を有する場合には、陰極側に電子注入層が設けられていることが好ましい。また、正孔注入層、発光層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよい。その際には、正孔注入層の場合、電極から正孔を注入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と呼ぶ。同様に、電子注入層の場合、電極から電子を注入する層を電子注入層、電子注入層から電子を受け取り発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層と呼ぶ。
【0152】
有機EL素子は、前記有機薄膜層を複数層構造にすることにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下を防ぐことができる。必要があれば、発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料や電子注入材料を組み合わせて使用することができる。また、ドーピング材料により、発光輝度や発光効率が向上する場合がある。
これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機層又は金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
【0153】
図1に、本発明の実施形態における有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1は、透明な基板2と、陽極3と、陰極4と、陽極3と陰極4との間に配置された有機化合物層10と、を有する。
有機化合物層10は、陽極3側から順に、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層7、電子輸送層8、電子注入層9を備える。
【0154】
<発光層>
有機EL素子の発光層は電子と正孔との再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能を有する。
本発明の有機EL素子において、有機薄膜層の少なくとも一層に、本発明の芳香族アミン誘導体が含まれ、さらに前記一般式(20)で表されるアントラセン誘導体および下記一般式(30)で表されるピレン誘導体のうち少なくとも1種が含まれていることが好ましい。特に、発光層に、本発明の芳香族アミン誘導体がドーパント材料として含まれ、上記式(20)で表されるアントラセン誘導体がホスト材料として含まれていることが好ましい。
【0155】
(アントラセン誘導体)
発光層にてホスト材料として含まれ得るアントラセン誘導体は、前記一般式(20)で表される。
前記一般式(20)において、Ar11およびAr12は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基、または前記単環基と前記縮合環基との組合せから構成される基である。
【0156】
前記一般式(20)における、単環基とは、縮合構造を持たない環構造のみで構成される基である。
前記単環基の環形成原子数は、5〜30であり、好ましくは5〜20である。前記単環基として、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基等の芳香族基と、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、フリル基、チエニル基等の複素環基が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましい。
【0157】
前記一般式(20)における、縮合環基とは、2環以上の環構造が縮環した基である。
前記縮合環基の環形成原子数は、10〜30であり、好ましくは8〜20である。前記縮合環基として、例えば、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、クリセニル基、ベンゾアントリル基、ベンゾフェナントリル基、トリフェニレニル基、ベンゾクリセニル基、インデニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基等の縮合芳香族環基や、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、キノリル基、フェナントロリニル基等の縮合複素環基が挙げられる。これらの中でも、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾアントリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基が好ましい。
【0158】
前記一般式(20)における、前記単環基と前記縮合環基との組合せから構成される基としては、例えば、アントラセン環側から順にフェニル基、ナフチル基、フェニル基が結合して組み合わされた基が挙げられる(下記化合物EM50等参照)。
【0159】
前記一般式(20)におけるR101からR108までのアルキル基、シリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子の具体例は、前記一般式(1)におけるRからR10までにて説明したものと同様であり、シクロアルキル基は、上記例示と同様である。さらにこれらの置換基における「置換もしくは無置換の」の場合についても、上記説明と同様である。
以下に、一般式(20)における好ましい具体例を挙げる。
【0160】
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12、並びにR101からR108までの「置換若しくは無置換」の好ましい置換基として、単環基、縮合環基、アルキル基、シクロアルキル基、シリル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(特にフッ素)が挙げられる。特に好ましくは、単環基、縮合環基であり、好ましい具体的な置換基は上述の一般式(20)の各基および上述の一般式(1)における各基と同様である。
【0161】
一般式(20)で表されるアントラセン誘導体は、下記アントラセン誘導体(A)、(B)および(C)のいずれかであることが好ましく、適用する有機EL素子の構成や求める特性により選択される。
【0162】
・アントラセン誘導体(A)
アントラセン誘導体(A)は、一般式(20)におけるAr11およびAr12が、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である。アントラセン誘導体(A)としては、Ar11およびAr12が同一の置換若しくは無置換の縮合環基である場合と、Ar11およびAr12が異なる置換若しくは無置換の縮合環基である場合とに分けることができる。Ar11およびAr12が異なる場合には、置換位置が異なる場合も含まれる。
【0163】
アントラセン誘導体(A)としては、一般式(20)におけるAr11およびAr12が異なる置換若しくは無置換の縮合環基であるアントラセン誘導体が特に好ましい。
アントラセン誘導体(A)の場合、一般式(20)におけるAr11およびAr12における縮合環基の好ましい具体例は、上述した通りである。中でもナフチル基、フェナントリル基、ベンゾアントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ジベンゾフラニル基が好ましい。
【0164】
・アントラセン誘導体(B)
アントラセン誘導体(B)は、一般式(20)におけるAr11およびAr12の一方が、置換若しくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基であり、他方が、置換若しくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である。
アントラセン誘導体(B)の好ましい形態としては、Ar12が、ナフチル基、フェナントリル基、ベンゾアントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基およびジベンゾフラニル基から選択され、Ar11が、無置換のフェニル基または前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかが置換されたフェニル基である場合が挙げられる。
アントラセン誘導体(B)の場合、好ましい単環基および縮合環基の具体的な基は上述した通りである。
【0165】
アントラセン誘導体(B)別の好ましい形態としては、Ar12が、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基であり、Ar11が、無置換のフェニル基である場合が挙げられる。この場合、縮合環基として、フェナントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ジベンゾフラニル基、ベンゾアントリル基が特に好ましい。
【0166】
・アントラセン誘導体(C)
アントラセン誘導体(C)は、一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基となっている。
アントラセン誘導体(C)の好ましい形態として、Ar11およびAr12が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である場合が挙げられる。
アントラセン誘導体(C)のさらに好ましい形態として、Ar11が、無置換のフェニル基であり、Ar12が、前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかを置換基として有するフェニル基である場合と、Ar11およびAr12が、それぞれ独立に、前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかを置換基として有するフェニル基である場合とが挙げられる。
【0167】
一般式(20)におけるAr11およびAr12が有する前記置換基としての好ましい単環基および縮合環基の具体例は、上述した通りである。置換基としての単環基は、フェニル基、ビフェニル基がさらに好ましく、置換基としての縮合環基は、ナフチル基、フェナントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ジベンゾフラニル基、ベンゾアントリル基がさらに好ましい。
【0168】
一般式(20)で表されるアントラセン誘導体の具体的な構造としては、例えば、次のようなものが挙げられる。但し、本発明においては、これらの構造のアントラセン誘導体に限定されない。
【0169】
【化17】

【0170】
上記一般式(20A)において、R101およびR105は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基、単環基と縮合環基との組合せから構成される基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ、または置換もしくは無置換のシリル基である。
【0171】
上記一般式(20A)において、Ar51およびAr54は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20A)において、Ar52およびAr55は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20A)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である。
上記一般式(20A)の全てもしくは一部の水素原子は、重水素原子であってもよい。
【0172】
【化18】

【0173】
上記一般式(20B)において、Ar51は、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20B)において、Ar52およびAr55は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20B)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である。
上記一般式(20B)の全てもしくは一部の水素原子は、重水素原子であってもよい。
【0174】
【化19】

【0175】
上記一般式(20C)において、Ar52は、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20C)において、Ar55は、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20C)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である。
上記一般式(20C)の全てもしくは一部の水素原子は、重水素原子であってもよい。
【0176】
【化20】

【0177】
上記一般式(20D)において、Ar52は、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20D)において、Ar55は、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20D)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である。
上記一般式(20D)の全てもしくは一部の水素原子は、重水素原子であってもよい。
【0178】
【化21】

【0179】
上記一般式(20E)において、Ar52およびAr55は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20E)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である。
上記一般式(20E)の全てもしくは一部の水素原子は、重水素原子であってもよい。
【0180】
更に具体的には、次のようなものが挙げられる。但し、本発明においては、これらの構造のアントラセン誘導体に限定されない。
なお、下記アントラセン誘導体の具体的な構造のうち、化合物EM36、EM44、EM77、EM85、EM86等において、フルオレン環の9位から伸びる線は、メチル基を表しており、つまり当該フルオレン環は、9,9−ジメチルフルオレン環であることを表している。
また、下記アントラセン誘導体の具体的な構造のうち、化合物EM151、EM154、EM157、EM161、EM163、EM166、EM169、EM173等において、環構造から外側に向かって十字状に伸びる線は、ターシャリーブチル基を表している。
さらに、下記アントラセン誘導体の具体的な構造のうち、化合物EM152、EM155、EM158、EM164、EM167、EM170、EM171、EM180、EM181、EM182、EM183、EM184、EM185等において、ケイ素原子(Si)から伸びる線は、メチル基を表しており、つまり当該ケイ素原子を有する置換基は、トリメチルシリル基であることを表している。
【0181】
【化22】

【0182】
【化23】

【0183】
【化24】

【0184】
【化25】

【0185】
【化26】

【0186】
【化27】

【0187】
【化28】

【0188】
【化29】

【0189】
【化30】

【0190】
【化31】

【0191】
【化32】

【0192】
【化33】

【0193】
【化34】

【0194】
【化35】

【0195】
【化36】

【0196】
【化37】

【0197】
【化38】

【0198】
【化39】

【0199】
【化40】

【0200】
【化41】

【0201】
【化42】

【0202】
【化43】

【0203】
【化44】

【0204】
【化45】

【0205】
【化46】

【0206】
【化47】

【0207】
【化48】

【0208】
【化49】

【0209】
【化50】

【0210】
【化51】

【0211】
【化52】

【0212】
【化53】

【0213】
(ピレン誘導体)
本発明の有機EL素子の他の形態として、前記有機薄膜層の少なくとも一層が、前記一般式(1)で表わされる芳香族アミン誘導体と、下記一般式(30)で表されるピレン誘導体とを含有する形態が挙げられる。発光層が、芳香族アミン誘導体をドーパント材料として、ピレン誘導体をホスト材料として含有することが好ましい。
【0214】
【化54】

【0215】
前記一般式(30)中、Ar111およびAr222は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基である。
前記一般式(30)中、LおよびLは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価のアリール基または複素環基を示す。
前記一般式(30)中、mは、0〜1の整数、nは、1〜4の整数、sは、0〜1の整数、tは、0〜3の整数である。
また、前記一般式(30)中、LまたはAr111は、ピレンの1〜5位のいずれかに結合し、LまたはAr222は、ピレンの6〜10位のいずれかに結合する。
また、前記一般式(30)におけるAr111およびAr222、並びにLおよびLの置換基における「置換もしくは無置換の」の場合についても、上記説明と同様である。
【0216】
前記一般式(30)におけるLおよびLは、好ましくは、
置換もしくは無置換のフェニレン基、
置換もしくは無置換のビフェニレン基、
置換もしくは無置換のナフチレン基、
置換もしくは無置換のターフェニレン基、および
置換もしくは無置換のフルオレニレン基、並びに
これらの基の組合せからなる2価のアリール基
から選択される。
【0217】
前記一般式(30)におけるmは、好ましくは0〜1の整数である。
前記一般式(30)におけるnは、好ましくは1〜2の整数である。
前記一般式(30)におけるsは、好ましくは0〜1の整数である。
前記一般式(30)におけるtは、好ましくは0〜2の整数である。
前記一般式(30)におけるAr111およびAr222のアリール基は、前記一般式(1)におけるRからR10までにて説明したものと同様である。好ましくは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜16のアリール基である。アリール基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ビフェニル基、アントリル基、ピレニル基である。
【0218】
(化合物の他の用途)
本発明の芳香族アミン誘導体、上記一般式(20)で表されるアントラセン誘導体および上記一般式(30)で表されるピレン誘導体は、発光層の他、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層に用いることもできる。
【0219】
(発光層に使用できるその他の材料)
本発明の芳香族アミン誘導体と共に発光層に使用できる上記一般式(20)および上記一般式(30)以外の材料としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカシクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、フルオレン、スピロフルオレン等の縮合多環芳香族化合物およびそれらの誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機金属錯体、トリアリールアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、スチルベン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、オキサゾン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピラジン誘導体、ケイ皮酸エステル誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0220】
(含有量)
有機薄膜層が本発明の芳香族アミン誘導体をドーパント材料として含むとき、芳香族アミン誘導体の含有量は、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0221】
<基板>
本発明の有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。ここでいう透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、400nm以上700nm以下の可視領域の光の透過率が50%以上で平滑な基板が好ましい。基板は、さらに機械的、熱的強度を有することが好ましい。
具体的には、ガラス板、ポリマー板等が挙げられる。
ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を原料として用いてなるものが挙げられる。
またポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を原料として用いてなるものを挙げることができる。なお、ポリマーフィルムを基板として用いることもできる。
【0222】
<陽極および陰極>
本発明の有機EL素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等およびそれらの合金、ITO基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が用いられる。陽極は、これらの導電性材料を蒸着法やスパッタリング法などの方法で薄膜を形成させることにより作製される。
発光層からの発光を陽極側から取り出す場合、陽極の可視領域の光の透過率を10%より大きくすることが好ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は、材料にもよるが、通常10nm以上1μm以下、好ましくは10nm以上200nm以下の範囲で選択される。
【0223】
本発明の有機EL素子の陰極に使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム、フッ化リチウム等およびそれらの合金が用いられるが、これらに限定されるものではない。合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、適切な比率に選択される。陰極も、陽極と同様に、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。また、陰極側から、発光を取り出す態様を採用することもできる。
また、発光層からの発光を陰極側から取り出す場合、陰極の可視領域の光の透過率を10%より大きくすることが好ましい。陰極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。陰極の層厚は材料にもよるが、通常10nm以上1μm以下、好ましくは50nm以上200nm以下の範囲で選択される。
【0224】
陽極および陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていてもよい。
【0225】
本発明の有機EL素子では、効率良く発光させるために、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において充分透明にすることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。透明電極は、上記の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保されるように設定する。
【0226】
<正孔注入・輸送層>
正孔注入・輸送層には、次のような正孔注入材料や正孔輸送材料が用いられる。
正孔注入材料としては、正孔を輸送する能力を持ち、陽極からの正孔注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ベンジジン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン等と、それらの誘導体、およびポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0227】
本発明の有機EL素子において使用できる正孔注入材料の中で、さらに効果的な正孔注入材料は、フタロシアニン誘導体である。
【0228】
フタロシアニン(Pc)誘導体としては、例えば、H2Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体およびナフタロシアニン誘導体があるが、これらに限定されるものではない。
また、正孔注入材料にTCNQ誘導体等の電子受容物質を添加することによりキャリアを増感させることもできる。
【0229】
本発明の有機EL素子において使用できる好ましい正孔輸送材料は、芳香族三級アミン誘導体である。
芳香族三級アミン誘導体としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラビフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等、又はこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマー若しくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。
【0230】
<電子注入・輸送層>
電子注入・輸送層には、次のような電子注入材料等が用いられる。
電子注入材料としては、電子を輸送する能力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。
【0231】
本発明の有機EL素子において、さらに効果的な電子注入材料は、金属錯体化合物および含窒素複素環誘導体である。
前記金属錯体化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0232】
前記含窒素複素環誘導体としては、例えば、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、フェナントロリン、ベンズイミダゾール、イミダゾピリジン等が好ましく、中でもベンズイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体が好ましい。
【0233】
本発明の有機EL素子の好ましい形態として、これらの電子注入材料にさらに電子供与性ドーパントおよび有機金属錯体の少なくともいずれかが含まれている形態が挙げられる。より好ましくは、陰極からの電子の受け取りを容易にするため、有機薄膜層と陰極との界面近傍に電子供与性ドーパントおよび有機金属錯体の少なくともいずれかをドープする。
このような構成によれば、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
電子供与性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属化合物、希土類金属および希土類金属化合物などから選ばれた少なくとも一種類が挙げられる。
有機金属錯体としては、アルカリ金属を含む有機金属錯体、アルカリ土類金属を含む有機金属錯体、および希土類金属を含む有機金属錯体などから選ばれた少なくとも一種類が挙げられる。
【0234】
アルカリ金属としては、リチウム(Li)(仕事関数:2.93eV)、ナトリウム(Na)(仕事関数:2.36eV)、カリウム(K)(仕事関数:2.28eV)、ルビジウム(Rb)(仕事関数:2.16eV)、セシウム(Cs)(仕事関数:1.95eV)などが挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。これらのうち好ましくはK、Rb、Cs、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましくはCsである。
アルカリ土類金属としては、カルシウム(Ca)(仕事関数:2.9eV)、ストロンチウム(Sr)(仕事関数:2.0eV以上2.5eV以下)、バリウム(Ba)(仕事関数:2.52eV)などが挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。
希土類金属としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、テルビウム(Tb)、イッテルビウム(Yb)などが挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。
以上の金属のうち好ましい金属は、特に還元能力が高く、電子注入域への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が可能である。
【0235】
アルカリ金属化合物としては、酸化リチウム(LiO)、酸化セシウム(CsO)、酸化カリウム(K2O)などのアルカリ酸化物、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カリウム(KF)などのアルカリハロゲン化物などが挙げられ、フッ化リチウム(LiF)、酸化リチウム(LiO)、フッ化ナトリウム(NaF)が好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(CaO)およびこれらを混合したストロンチウム酸バリウム(BaxSr1-xO)(0<x<1)、カルシウム酸バリウム(BaxCa1-xO)(0<x<1)などが挙げられ、BaO、SrO、CaOが好ましい。
希土類金属化合物としては、フッ化イッテルビウム(YbF)、フッ化スカンジウム(ScF)、酸化スカンジウム(ScO)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(Ce)、フッ化ガドリニウム(GdF)、フッ化テルビウム(TbF)などが挙げられ、YbF、ScF、TbFが好ましい。
【0236】
有機金属錯体としては、上記の通り、それぞれ金属イオンとしてアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンの少なくとも一つ含有するものであれば特に限定はない。また、配位子にはキノリノール、ベンゾキノリノール、アクリジノール、フェナントリジノール、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシジアリールオキサジアゾール、ヒドロキシジアリールチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシフルボラン、ビピリジル、フェナントロリン、フタロシアニン、ポルフィリン、シクロペンタジエン、β−ジケトン類、アゾメチン類、およびそれらの誘導体などが好ましいが、これらに限定されるものではない。
電子供与性ドーパントおよび有機金属錯体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0237】
(有機EL素子の各層の形成方法)
本発明の有機EL素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング、インクジェット等の湿式成膜法のいずれの方法を適用することができる。
【0238】
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適切な溶媒に溶解又は分散させて薄膜を形成するが、その溶媒はいずれであってもよい。
このような湿式成膜法に適した溶液として、有機EL素子用材料として本発明の芳香族アミン誘導体と溶媒とを含有する有機EL材料含有溶液を用いることができる。
【0239】
いずれの有機薄膜層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
【0240】
(有機EL素子の各層の膜厚)
膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。膜厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になり効率が悪くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝度が得られない。通常の膜厚は5nm以上10μm以下の範囲が適しているが、10nm以上0.2μm以下の範囲がさらに好ましい。
【0241】
(有機EL素子の用途)
本発明の有機EL素子は、フラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、照明装置、表示板、標識灯等に利用できる。また、本発明の化合物は、有機EL素子だけでなく、電子写真感光体、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー等の分野においても使用できる。
【0242】
〔実施形態の変形〕
【0243】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良などは、本発明に含まれるものである。
【0244】
例えば、本発明の有機EL素子においては、発光層中に、前記一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体から選ばれる少なくとも一種の他に、発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料、正孔輸送材料および電子注入材料の少なくとも一種が同一層に含有されてもよい。また、本発明により得られた有機EL素子の、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護したりすることも可能である。
【0245】
また、有機EL素子の構成は、図1に示した有機EL素子1の構成例に限定されない。例えば、発光層の陽極側に電子障壁層を、発光層の陰極側に正孔障壁層を、それぞれ設けてもよい。
【0246】
また、発光層は、1層に限られず、複数の発光層が積層されていてもよい。有機EL素子が複数の発光層を有する場合、少なくとも1つの発光層が本発明の芳香族アミン誘導体を含んでいることが好ましい。この場合、他の発光層は、蛍光発光材料を含んで蛍光発光する蛍光発光層であっても良いし、燐光発光材料を含んで燐光発光する燐光発光層であっても良い。
また、有機EL素子が複数の発光層を有する場合、これらの発光層が互いに隣接して設けられていてもよいし、その他の層(例えば、電荷発生層)を介して積層されていてもよい。
【実施例】
【0247】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制限されるものではない。
【0248】
<化合物の合成>
・合成例1(化合物1の合成)
化合物1の合成スキームを次に示す。
【0249】
【化55】

【0250】
・化合物の合成例1(化合物1の合成)
アルゴン気流下、300mLのナスフラスコに、アミン化合物1(8.5g(33mmol))、1,3,6−トリブロモピレン(4.4g(10mmol))、ナトリウムtert−ブトキシド(2.9g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)[Pd(dba)](550mg)、トリ−tert−ブチルホスフィン(115mg)、および脱水トルエン(100mL)を入れ、85℃にて7時間反応した。
反応後、反応溶液をろ過し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製した。精製後、得られた固体をトルエンで再結晶した。再結晶の後、得られた固体を減圧乾燥したところ、5gの化合物1を得た。化合物1は、上記化合物D1に相当する。得られた化合物1について、FD−MS(フィールドディソープションマススペクトル)の分析を行った。分析結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C7043=973,found m/z=973(M+)
【0251】
・合成例2
合成例2は、合成例1の1,3,6−トリブロモピレンを1,3,6,8−テトラブロモピレンに変えた以外は、合成例1と同様に行った。その結果、下記に示す化合物2を得た。化合物2は、上記化合物D501に相当する。
【0252】
【化56】

【0253】
<有機EL素子の作製>
・実施例1
25mm×75mm×1.1mmサイズのガラス基板上に、膜厚120nmのインジウムスズ酸化物からなる透明電極を設けた。この透明電極は、陽極として働く。
続いて、このガラス基板に紫外線及びオゾンを照射して洗浄したのち、真空蒸着装置に設置した。
まず、このガラス基板の透明電極上に、N’,N’’−ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]−N’,N’’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミンを60nmの厚さに蒸着し、正孔注入層を形成した。
次に、この正孔注入層上に、N,N,N’,N’−テトラキス(4−ビフェニル)−4,4’−ベンジジンを20nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層を形成した。
次に、この正孔輸送層上に、ホスト材料である上記アントラセン誘導体EM2と、ドーパント材料である化合物1とを、質量比40:2で同時蒸着し、厚さ40nmの発光層を形成した。
次に、この発光層上に、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウムを20nmの厚さに蒸着し、電子注入層を形成した。
次に、この電子注入層上に、弗化リチウムを1nmの厚さに蒸着した。
次に、この弗化リチウム膜上に、アルミニウムを150nmの厚さに蒸着した。なお、このアルミニウム膜および弗化リチウム膜は、陰極として働く。
このようにして実施例1の有機EL素子を作製した。
実施例1の有機EL素子について、電流密度10mA/cmで駆動させたところ、青色の発光が観測された。このように、化合物1は、有機EL素子材料として有用であることが確認された。
【0254】
・実施例2
実施例2の有機EL素子は、実施例1の有機EL素子のドーパント材料である化合物1を、化合物2に変えた以外は、実施例1と同様に作製した。
実施例2の有機EL素子について、実施例1の有機EL素子と同様に、電流密度10mA/cmで駆動させた。その結果、実施例2の有機EL素子についても、青色の発光が観測された。このように、化合物2は、有機EL素子材料として有用であることが確認された。
【0255】
なお、本発明の芳香族アミン誘導体については、上記実施例において青色に発光した例が示されているが、これに限定されない。ピレン環に対して、直接アリール基等が結合した構造の芳香族アミン誘導体は、緑色で発光可能である。例えば、上記化合物D417〜D424が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0256】
本発明の有機EL素子は、壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。
【符号の説明】
【0257】
1…有機EL素子、3…陽極、4…陰極、7…発光層、10…有機化合物層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体。
【化1】

(前記一般式(1)において、RからR10までは、それぞれ独立に、
水素原子、
重水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアラルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基
である。
ただし、前記一般式(1)において、RからR10までのいずれか三つ以上が、下記一般式(2)で表される。)
【化2】

(前記一般式(2)において、L、LおよびLは、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基の二価残基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基の二価残基
である。
前記一般式(2)において、Arは、下記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基である。)
【化3】

(前記一般式(3)において、Xは、酸素原子または硫黄原子である。前記一般式(3)において、AおよびBは、6員環を表す。このAおよびBで表される6員環にさらに他の環が縮合してもよい。
前記一般式(2)において、Arは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、または
前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基
である。)
【請求項2】
請求項1に記載の芳香族アミン誘導体において、
前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基が、下記一般式(4)の一価の残基である
ことを特徴とする芳香族アミン誘導体。
【化4】

(前記一般式(4)において、Xは、酸素原子または硫黄原子である。
前記一般式(4)において、R11からR18までは、それぞれ独立に、
水素原子、
重水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアラルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基
である。ただし、前記一般式(2)において、Arが、前記一般式(4)の一価の残基であるときは、R11からR18までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合であり、Arが、前記一般式(4)の一価の残基であるときは、R11からR18までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合である。
前記一般式(4)において、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R15およびR16、R16およびR17並びにR17およびR18の組合せのうち、少なくともいずれか一つの組合せで飽和または不飽和の環を形成しても良い。)
【請求項3】
請求項1に記載の芳香族アミン誘導体において、
前記一般式(3)を部分構造として有する一価の置換基が、下記一般式(5)から一般式(10)までの一価残基である
ことを特徴とする芳香族アミン誘導体。
【化5】

(前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、Xは、酸素原子または硫黄原子である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、Xは、酸素原子、硫黄原子、NR31またはCR3233である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R21からR30までは、それぞれ独立に、
水素原子、
重水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアラルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基
である。ただし、前記一般式(2)において、Arが、前記一般式(5)から一般式(10)までのいずれかの一価の残基であるときは、R21からR30までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合であり、Arが、前記一般式(5)から一般式(10)までのいずれかの一価の残基であるときは、R21からR30までのうち、一つは、Lに対して結合する単結合である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、または
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基
である。
前記一般式(5)から一般式(10)までにおいて、R21およびR22、R22およびR23、R23およびR24、R25およびR26、R27およびR28、R28およびR29、並びにR29およびR30の組合せのうち、少なくともいずれか一つの組合せで飽和または不飽和の環を形成しても良い。ただし、前記一般式(7)および前記一般式(8)において、R25およびR26で環を形成しない。)
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体において、
、R、RおよびRが、前記一般式(2)で表される
ことを特徴とする芳香族アミン誘導体。
【請求項5】
陰極と陽極との間に有機化合物層を備え、
前記有機化合物層は、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機化合物層は、発光層を含む複数の有機薄膜層を備え、
前記複数の有機薄膜層のうち少なくとも一つの層は、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体を含む
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記複数の有機薄膜層のうち少なくとも一つの層は、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の芳香族アミン誘導体と、下記一般式(20)で表されるアントラセン誘導体とを含む
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化6】

(前記一般式(20)において、Ar11およびAr12は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、
置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基、または
前記単環基と前記縮合環基との組合せから構成される基
である。
前記一般式(20)において、R101からR108までは、それぞれ独立に、
水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、
置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基、
前記単環基と前記縮合環基との組合せから構成される基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ、または
置換もしくは無置換のシリル基
である。)
【請求項8】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12の一方が、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基であり、他方が、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr12がナフチル基、フェナントリル基、ベンゾアントリル基およびジベンゾフラニル基から選択され、Ar11が、無置換のフェニル基または前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかが置換されたフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr12が、置換もしくは無置換の環形成原子数10〜30の縮合環基であり、Ar11が、無置換のフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11が、無置換のフェニル基であり、Ar12が、前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかを置換基として有するフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(20)におけるAr11およびAr12が、それぞれ独立に、前記単環基および前記縮合環基の少なくともいずれかを置換基として有するフェニル基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【公開番号】特開2013−63929(P2013−63929A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203852(P2011−203852)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】