説明

芳香族アルジミン、及びアルジミンを含有するポリウレタン組成物

本発明は、室温で固体である第一級芳香族ポリアミンを主成分とし、室温で液体であり、かつ可能な限り最小の粘度を有し、殆ど臭気なく加水分解され、かつ硬化性組成物において、特に一成分系及び二成分系のイソシアネート基を有する組成物においてブロックアミンとして使用することができる芳香族アルジミンに関する。前記組成物は、比較的長いオープンタイムを有するが、驚くべきことに速やかに硬化し、前記硬化は強い臭気形成なく、また泡形成なく起こる。さらに、これらの組成物は、硬化した後卓越した機械的性質、特に高い延性と共に高強度、ならびに熱及び湿気に対する良好な抵抗性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルジミンの分野、及び湿気硬化性ポリウレタン組成物の分野に関し、またそれらの使用、特に弾性接着剤、シーラント及びコーティングとしての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルジミンは、第一級アミン及びアルデヒドの縮合生成物であり、以前から知られている物質のクラスを構成する。水と接触すると、アルジミンはアミン及びアルデヒドに加水分解することができる。この性質のため、アルジミンはアミンの、またはアルデヒドの保護された形態として使用することができる。例えば、アルジミンは、ポリウレタン化学において使用され、そこではアルジミンは、イソシアネート基を含む一成分もしくは二成分系組成物のための「ブロックアミン」または「潜在硬化剤」として知られる湿気活性化性架橋剤の役割を果たす。
【0003】
ポリウレタン組成物としても知られるイソシアネート基を含む組成物は、一成分及び二成分系弾性接着剤、シーラントまたはコーティングを含む、広く様々な異なった最終用途に使用される。それらの組成物は、少なくとも一部、芳香族ポリアミン特に第一級アミノ基を有する芳香族ポリアミンを使用して硬化している場合、特に良好な機械的強度及び熱安定性を有する。しかし、特に室温で使用されるポリウレタン組成物において、硬化剤としての第一級芳香族ポリアミンの使用は、それらが通常比較的高融点かつしばしば難溶性の固体であるという事実によって込み入っている。このことは、特に立体障害のない芳香族ポリアミン、例えば1,4-フェニレンジアミンについて当てはまり、これは140℃を超える融点及び低溶解度を有し、そのため遊離形態では殆ど使用不可能である。しかし、具体的にはこのポリアミンは、そのアミン当量が低く、互いにパラ位にある立体障害のないアミノ基があり、そのため高反応性が付与され、芳香族ポリアミンについて高い機械的強度をもたらし、またその比較的低毒性のため、ポリウレタン組成物向け硬化剤として特に魅力的なものであろう。室温で液体の第一級芳香族ポリアミン、例えば3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエンまたは3,5-ジメチルチオ-2,4-ジアミノトルエンなどは、一般に立体障害のあるアミノ基を有し、それらは比較的ゆっくり反応し、著しく低い機械的強度となる。
【0004】
アルジミンの形態におけるブロックされた第一級芳香族ポリアミン、及びポリウレタン組成物向け硬化剤としてのその使用は、例えば米国特許第4,720,535号明細書及び独国特許出願公開第3133769A1号明細書から知られている。そこで記述される芳香族アルジミンは、加水分解される場合、したがって硬化反応のうちに、揮発性の臭気のあるアルデヒドを放出するという不利点を有する。さらに、遊離ポリアミン同様、芳香族アルジミンは、通常、比較的高融点を有する固体でありまたは少なくとも極めて粘稠であり、したがって困難を伴ってしか室温で使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,720,535号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3133769A1号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/013088 A1号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Houben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」[Methods of Organic Chemistry]、第VIII巻、516〜528頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、室温で固体の第一級芳香族ポリアミンを主成分とする芳香族アルジミンであって、室温で液体であり、かつ非常に低い粘度を有し、低臭気で加水分解され、かつ硬化性組成物、特にイソシアネート基を含む一成分及び二成分組成物においてブロックアミンとして使用することができる芳香族アルジミンをもたらすことが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、請求項1において特許請求される芳香族ジアルジミンが、この目的を達成することが見出されている。特定のエステル含有アルデヒドとの、選択された室温で固体の第一級芳香族ジアミンの反応によって、低臭気もしくは無臭で加水分解され、驚くべきことに、室温で液体であり、さらに通常は低粘性である芳香族ジアルジミンを得ることが可能である。その結果として、これらの芳香族ジアルジミンは、室温で生成され、かつ/または使用される硬化性組成物の成分として簡単な形で使用することができる。反応性基と一緒に、特にイソシアネート基と一緒に、これらは良好な貯蔵安定性を有する。
【0009】
本発明はさらに、記載の芳香族ジアルジミンを含む、請求項11において特許請求される硬化性組成物を提供する。より具体的には、これらの組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートPを含み、また比較的長いオープンタイムを有するが、それにも拘らず驚くべきことに速やかに硬化し、その硬化は著しい臭気形成がなく、また泡形成なく行われる。さらに、これらの組成物は、硬化した後優れた機械的性質を有しており、より具体的には高伸展性と組み合わせた高強度、ならびに熱及び湿気に対する良好な抵抗性を有する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の主題である。特に好ましい本発明の実施形態は、それらの従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、式(I):
【化1】

の芳香族ジアルジミンを提供する。
【0012】
この式において、Aは、2つの第一級アミノ基を除いた後の第一級芳香族ジアミンBの基であり、ここで、前記ジアミンBは、1,2-、1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン(TDA)、3,4-トリレンジアミン、5-イソプロピル-2,4-トリレンジアミン、5-(tert-ブチル)-2,4-トリレンジアミン;特にメチル、エチル、イソプロピルもしくは1-メチルプロピル基であるアルキル基を有する4,6-ジアルキル-1,3-フェニレンジアミン;4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,3'-ジ-tert-ブチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、5,5'-メチレンジアントラニル酸、5,5'-メチレンジアントラニル酸ジメチル、1,3-プロピレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ならびに1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタンからなる群から選択される。
【0013】
さらに、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子1〜12個を有する1価炭化水素基であるか、またはR1及びR2は一緒になって、炭素原子4〜20個を有する2価炭化水素基であり、炭素原子5〜8個、好ましくは6個を有する、場合によって置換されている炭素環の一部である。
【0014】
さらに、R3は、水素原子、または、特に炭素原子1〜12個を有する、アルキル基もしくはシクロアルキル基もしくはアリールアルキル基である。
【0015】
さらに、R4は、環状部分を場合によって有する、また、特にエーテル、エステルもしくはアルデヒド酸素の形態における、少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって有する、炭素原子6〜20個を有する直鎖もしくは分岐アルキル基であるか、
またはR4は、炭素原子6〜20個を有する単不飽和もしくは多価不飽和直鎖もしくは分岐炭化水素基である。
【0016】
式(I)のジアルジミンは、室温で液体である。
【0017】
本文書において、用語「第一級アミノ基」は、有機基に結合しているNH2基を指すが、用語「第二級アミノ基」は、一緒になって環の一部ともすることができる2つの有機基に結合しているNH基を指す。「第一級ジアミン」は、2つの第一級アミノ基を有するアミンを指す。
【0018】
「芳香族アミノ基」は、芳香族もしくはヘテロ芳香族基に結合しているアミノ基を指す。「芳香族アミン」は、専ら芳香族アミノ基を有する有機化合物を指す。
【0019】
「室温」は、温度23℃を指す。
【0020】
式(I)におけるR1及びR2は、それぞれメチル基であることが好ましい。
【0021】
さらに、式(I)におけるR3は、水素原子であることが好ましい。
【0022】
さらに、式(I)におけるR4は、
環状部分を場合によって有する、また、特にエーテル、エステルもしくはアルデヒド酸素の形態における、少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって有する、炭素原子11〜20個を有する直鎖もしくは分岐アルキル基であるか、
または、炭素原子11〜20個を有する単不飽和もしくは多価不飽和直鎖もしくは分岐炭化水素基であることが好ましい。
【0023】
式(I)におけるR4は、炭素原子11個を有するアルキル基であることがより好ましい。
【0024】
さらに、式(I)におけるAは、2つの第一級アミノ基を除いた後の第一級芳香族ジアミンBの基であり、この場合このジアミンBが、1,2-、1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン、3,4-トリレンジアミン、4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジアミノジフェニルメタン及び3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタンからなる群から選択されることが好ましい。
【0025】
特に好ましいジアミンBは、1,3-フェニレンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、2,4-トリレンジアミン及び4,4'-ジアミノジフェニルメタンである。
【0026】
最も好ましいジアミンBは、1,4-フェニレンジアミンである。
【0027】
好ましい式(I)のジアルジミンは、1,3-及び1,4-ビス((2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)アミノ)ベンゼン、2,4-ビス((2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)アミノ)トルエンまたは4,4'-ビス((2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)アミノ)ジフェニルメタンである。
【0028】
特に好ましい式(I)のジアルジミンは、1,4-ビス((2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)アミノ)ベンゼンである。
【0029】
式(I)の芳香族ジアルジミンは、少なくとも1種の室温で固体の式(II)の第一級芳香族ジアミンBと、少なくとも1種の室温で液体の式(III)のアルデヒドALDとの間の、水の除去を伴う縮合反応によって得ることが可能である。ここで、式(III)のアルデヒドALDは、ジアミンのアミノ基に関して化学量論的に、もしくは化学量論的に過剰に使用される。好ましい方法において、ジアミンBは、溶媒を使用せずに式(III)のアルデヒドALDと反応させ、生成する水は、減圧によって反応混合物から除去される。
【0030】
【化2】

【0031】
式(II)及び(III)において、A、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ、既に言及された定義を有する。
【0032】
式(I)の芳香族ジアルジミンを調製するのに使用することができる式(III)のアルデヒドALDは、室温で液体であり、かつ第三級脂肪族もしくは第三級シクロ脂肪族アルデヒドである。式(III)のアルデヒドALDはエステルであり、このエステルは、特に適切なカルボン酸との2,2-二置換された3-ヒドロキシアルデヒドの反応から得ることが可能である。
【0033】
この反応に適したカルボン酸は、例えば、2-エチルカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸などの飽和脂肪族カルボン酸;パルミトレイン酸、オレイン酸などの単不飽和脂肪族カルボン酸;リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸などの多不飽和脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などのシクロ脂肪族カルボン酸;天然油脂、例えば菜種油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ココヤシ油、アブラヤシ核油及びアブラヤシ油の工業的加水分解からの脂肪酸混合物;ならびにコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、3,6,9-トリオキサウンデカン二酸などのジカルボン酸のモノエステル化から得られるジカルボン酸モノアルキル及びモノアリール;ならびにメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、これらのアルコールの高級同族体及び異性体とのポリエチレングリコールの同様な誘導体である。
【0034】
この反応に適した2,2-二置換された3-ヒドロキシアルデヒドは、例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキス-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール及び3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナールである。
【0035】
このような2,2-二置換された3-ヒドロキシアルデヒドは、第一級もしくは第二級脂肪族アルデヒド特にホルムアルデヒドと、第二級脂肪族、第二級アリール脂肪族もしくは第二級シクロ脂肪族アルデヒド、例えば、イソブチルアルデヒド(isobutyraldehyde)、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロンアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドラトロップアルデヒド)またはジフェニルアセトアルデヒドとの間のアルドール反応、特に交差アルドール反応から得ることも可能である。
【0036】
好ましい式(III)のアルデヒドALDは、3-シクロヘキサノイルオキシ-2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナール、及び他の2,2-二置換された3-ヒドロキシアルデヒドの類似体エステルである。
【0037】
特に好ましい式(III)のアルデヒドALDは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールである。
【0038】
式(III)のアルデヒドALDの好ましい調製方法において、2,2-二置換された3-ヒドロキシアルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド(またはパラホルムアルデヒド)及びイソブチルアルデヒドから場合によってその場で調製することができる、例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールは、カルボン酸と反応して対応するエステルを生じる。このエステル化は、知られている方法によって、溶媒を使用せずに行うことができる。これらは、例えば、Houben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」[Methods of Organic Chemistry]、第VIII巻、516〜528頁に記載されている。
【0039】
式(III)のアルデヒドALDは、低臭気または無臭である。
【0040】
好ましい実施形態において、式(III)のアルデヒドALDは無臭である。無臭の式(III)のアルデヒドALDは、式(IIIa):
【化3】

[式中、R4aは、
環状部分を場合によって有する、かつ少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル、エステルもしくはアルデヒド基の形態における酸素を場合によって有する、炭素原子11〜20個を有する直鎖もしくは分岐鎖いずれかのアルキル基であり、
あるいは、炭素原子11〜20個を有する単不飽和もしくは多価不飽和の直鎖もしくは分岐炭化水素基であり、
またR1、R2及びR3は、それぞれ、既に定義した通りである]
のアルデヒドALD1である。
【0041】
これらの好ましい式(IIIa)のアルデヒドALD1は無臭であり、また室温で液体である。
【0042】
このような無臭のアルデヒドALD1の例は、既に挙げた2,2-二置換された3-ヒドロキシアルデヒドの、カルボン酸、例えば、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸;天然油脂、例えば菜種油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、ココヤシ油、アブラヤシ核油及びアブラヤシ油の工業的加水分解からの脂肪酸;ならびにこれらの酸を含む脂肪酸の工業的混合物、とのエステル化生成物である。好ましい無臭の式(IIIa)のアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール及び2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナールである。特に好ましいものは2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールである。
【0043】
式(I)のジアルジミンは、水が存在しないとあまり大きくイソシアネートと反応しない性質を有する。式(I)のジアルジミンのA、R1、R2、R3及びR4基は、イソシアネート基と大きく反応する部分を有しない。より具体的には、A、R1、R2、R3及びR4は、ヒドロキシル基を持たず、第一級もしくは第二級アミノ基を持たず、またメルカプト基を有しない。
【0044】
式(I)のジアルジミンは、立体障害のあるアルジミノ基を有し、この基はα-炭素原子上に水素原子を持たず、したがって互変異性化してエナミノ基となり得ない。この性質のために、式(I)のジアルジミンは、イソシアネート基と一緒に、特に貯蔵性のある、すなわち実質的に粘度安定性のある混合物を形成する。
【0045】
式(I)のジアルジミンは、驚くべきことに、言及したジアミンB(室温で固体である)に由来するにも拘らず、室温で液体の物質である。室温での液体状態は、このような物質が、前もって溶解もしくは溶融させることを要しない組成物において利用可能であるため、多くの用途向けに大きな利点となる。より具体的には、室温または幾分高い温度で生成及び/もしくは施用される、またそれら自体液体もしくはペースト状態である組成物に適用する上で大きな利点となる。特に驚くべきことは、溶解性に乏しく高融点のジアミンB、例えば140℃を超える融点を有する1,4-フェニレンジアミンに由来する式(I)のジアルジミンであっても、室温で液体の化合物である事実である。好ましい式(I)のジアルジミンは、低粘性液体であり、20℃において、高くても1000mPa・sの粘度、特に5mPa・sと500mPa・sの粘度を有する。用語「粘度」は、本文書において動的粘度またはせん断粘度を指し、せん断応力とせん断速度の間の比によって定義され、DIN EN ISO 3219中に記述される通りに測定される。低粘度は、式(I)のジアルジミンの多くの用途、特にそれ自体高過ぎる粘性を有すべきではない組成物の用途についてのさらなる利点である。
【0046】
式(I)のジアルジミンは、さらに低臭気または無臭の物質である。好ましい無臭の式(IIIa)のアルデヒドALD1から出発して調製される無臭の式(I)のジアルジミンが好ましい。多くの用途について、無臭性は、大きな利点であり、あるいは特に、建物または車両の内部などの密閉空間では、また大面積に施用する場合、例えば床被覆材(カバリング)を施用する場合、不可欠な必要条件である。
【0047】
式(I)のジアルジミンは、適切な条件下で貯蔵安定性がある。湿気が侵入すると、そのアルジミノ基が、式量的な意味で中間体を経てアミノ基に加水分解することができ、それが、ジアルジミンを調製するのに使用した対応する式(III)のアルデヒドALDを放出し、このアルデヒドは、既述のように低臭気もしくは無臭である。この加水分解反応は可逆的であり、化学平衡が明らかにアルジミン側にあるので、アミンへの反応性のある化合物が存在しなければ、いくらかのアルジミノ基が一部もしくは全部加水分解されるに過ぎないと考えることができる。
【0048】
式(I)のジアルジミンは、容易に入手可能な出発物質から比較的簡単な方法で調製可能である。その調製に使用されるジアミンBが室温で固体であっても、既に言及したように、対応する式(I)のジアルジミンは、室温で液体の化合物である。
【0049】
式(I)のジアルジミンは、極めて広範に使用することができる。例えば、式(I)のジアルジミンは、式(III)のアルデヒドALDの、または式(II)のジアミンBの供給源として役立ち得る場所ではどこでも使用することができる。より具体的には、式(I)のジアルジミンは、保護されたアミンまたは保護されたアルデヒドの機能にあるアルデヒド-及び/またはアミン反応系で使用することができ、また必要な場合その系において制御された形で脱保護され得る。より具体的には、式(I)のジアルジミンは、第一級アミンと反応する化合物が存在する系で用途を見出す。この脱保護は、例えば、水または湿気、特に空気湿度と接触することにより、加水分解的に行われる。
【0050】
式(I)のジアルジミンは、特に、接着剤、シーラント、ポッティング(注封)組成物、コーティング、床被覆材、塗料、ラッカー、プライマーまたはフォームなどの用途のための、特にこれらの組成物に、室温で低粘性を持たせようとする場合における、少なくとも1種のイソシアネート及び/または少なくとも1種のエポキシ樹脂に基づく組成物の成分として特に適している。室温で液体の式(I)のジアルジミンの使用により、式量的な意味における第一級芳香族ジアミン、特に立体障害が殆どもしくは全くない第一級芳香族ジアミンを経て硬化し、したがって比較的高融点かつしばしば難溶性固体である組成物を得ることが可能になる。それらから得ることが可能な式(I)のジアルジミンの形態で、このようなジアミンを使用するおかげで、室温においても高融点かつ/または難溶性のジアルジミンが障害になることはもはやない。より具体的には、式(I)のそのジアルジミンの形態で、特に高融点かつ難溶性の1,4-フェニレンジアミンを、より簡単な形で使用することも可能になる。
【0051】
式(I)のジアルジミンは、接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床被覆材、塗料、ラッカー、プライマーまたはフォームなどの、イソシアネート基を含む一成分もしくは二成分系組成物向け硬化剤として特に適している。
【0052】
イソシアネート基を有する化合物で構成される組成物と、式(I)のジアルジミンとは、水もしくは湿分と接触すると、アルジミノ基の加水分解により反応して、尿素基を有する化合物をもたらす。イソシアネート基は、アルジミノ基の加水分解によって式量的に放出される第一級アミノ基と反応して、アルデヒドALDを放出する。アルジミノ基に関して過剰なイソシアネート基は直接、湿分と反応して、同様に尿素基を形成する。イソシアネート基とアルジミノ基の間の化学量論が適切である場合、本組成物は、これらの反応の結果として硬化する;この過程を、架橋ともいう。イソシアネート基の、加水分解されるアルジミノ基との反応は、必ずしも遊離アミノ基により進行する必要はない。加水分解反応の中間体との反応も可能であることが理解されるであろう。例えば、加水分解されるアルジミノ基が、ヘミアミナールの形態で、イソシアネート基と直接反応することが考えられる。
【0053】
最も好ましいジアミンBである1,4-フェニレンジアミンから出発し調製される式(I)のジアルジミンは、イソシアネート基を含む組成物の成分としてとりわけ特に適している。1,4-フェニレンジアミンに由来する式(I)のジアルジミンは、室温で驚くほど低粘性の液体であり、イソシアネート基への良好な制御性のある反応性を有するが、1,4-フェニレンジアミンそれ自体は、140℃を超える融点、低溶解性及び同時に、制御することが困難なイソシアネート基への高反応性を有し、したがってイソシアネート基を含む組成物向けの硬化剤としては殆ど適していない。
【0054】
式(I)のジアルジミンをイソシアネート基と別々に貯蔵すれば、このジアルジミンを水と一緒に貯蔵することも可能である。この間に、固体の形でアミンが析出することはない。水-アルジミン混合物をイソシアネート基と接触するに至った場合にのみ、加水分解が完結まで進行する。これは、式(I)のジアルジミンとイソシアネート基の間の反応がまた、このアルジミンを水と一緒に貯蔵する場合の対応する第一級アミンの反応と比較して、大きく遅延されるからである。
【0055】
本発明はさらに、少なくとも1種のポリイソシアネートPと、少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミンとを含む硬化性組成物を提供する。
【0056】
本文書において、用語「ポリイソシアネート」は、それらの化合物がポリイソシアネートのモノマー、ポリイソシアネートのオリゴマー、またはイソシアネート基を有し比較的高分子量であるポリマーであるかに拘らず、2つ以上のイソシアネート基を含む化合物を含む。
【0057】
一実施形態において、適切なポリイソシアネートPは、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPである。
【0058】
本文書において、用語「ポリマー」は、第1に、化学的に均質であるが、重合度、分子質量及び鎖長に関して異なっている高分子の集合体であり、ポリ反応(重合、重付加、重縮合)によって調製しているものを包含する。この用語は第2に、このようなポリ反応からの高分子の集合体の誘導体、すなわち、所与の高分子上の官能基の反応、例えば付加もしくは置換、によって得られている化合物であり、化学的に均質もしくは化学的に不均質とし得る化合物をも包含する。この用語はさらに、プレポリマーとして知られているもの、すなわち、その官能基が高分子の形成に必要とされる反応性オリゴマー質予備付加物をも包含する。
【0059】
用語「ポリウレタンポリマー」は、ジイソシアネート重付加方法として知られる方法によって調製される全てのポリマーを包含する。これには、事実上もしくは全くウレタン基を含まないポリマーも含まれる。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリ尿素、ポリ尿素、ポリエステルポリ尿素、ポリイソシアヌレート及びポリカルボジイミドである。
【0060】
適切なポリウレタンポリマーPUPは、特に少なくとも1種のポリイソシアネートとの、少なくとも1種のポリオールの反応から得ることが可能である。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートとを通例の方法、例えば温度50〜100℃で場合によって適切な触媒の追加使用により、そのイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に関して化学量論的過剰に存在するような形で、ポリイソシアネートが計量供給されるような方法により反応させる段階によって、行うことができる。ポリイソシアネートは、NCO/OH比1.3〜5、特に1.5〜3の1つが観察されるように計量供給されるのが有利である。ここで、NCO/OH比は、使用されたイソシアネート基の数/使用されたヒドロキシル基の数の比を意味すると理解される。ポリオールの全てのヒドロキシル基が反応した後で、ポリウレタンポリマーPUP中に好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%の遊離イソシアネート基含量が残ることが好ましい。
【0061】
場合によって、ポリウレタンポリマーPUPは、可塑剤の追加使用により調製することができ、この場合使用される可塑剤は、イソシアネートに反応性のあるどんな基も含有しない。
【0062】
ポリウレタンポリマーPUPを調製するのに使用されるポリオールは、例えば下記の市販ポリオールまたはそれらの混合物とすることができる:
-ポリエーテルポリオールまたはオリゴエテロールとしても知られるポリオキシアルキレンポリオール、これらは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-もしくは2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフランまたはこれらの混合物の重合生成物であり、できれば2個以上の活性水素原子を有する開始剤分子、例えば水、アンモニアまたは複数のOHもしくはNH基を有する化合物、例えば1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のあるジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、異性体のあるブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン及び前述の化合物の混合物の助けにより重合される。例えば、二重金属シアニド錯体触媒(DMC触媒)の助けにより調製される、低い不飽和度(ASTM D-2849-69に従って測定され、ポリオール1g当たりの不飽和物ミリ当量(ミリ当量/g)として報告される)を有するポリオキシアルキレンポリオール、または例えば、NaOH、KOH、CsOHもしくはアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン触媒の助けにより調製される、高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールのいずれかを使用することが可能である。
【0063】
特に適しているのは、ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、特にポリオキシエチレン-及びポリオキシプロピレンジオール及びトリオールである。
【0064】
特に適しているのは、0.02ミリ当量/g未満の不飽和度及び1000〜30000g/モルの範囲にある分子量を有するポリオキシアルキレンジオール及びトリオールであり、また400〜8000g/モルの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールでもある。
【0065】
同様に、特に適しているのは、いわゆるエチレンオキシド末端(「EO-エンドキャップド」、エチレンオキシド-エンドキャップド)ポリオキシプロピレンポリオールである。後者は、例えば、純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオール及びトリオールを、ポリプロポキシル化反応の完結時にエチレンオキシドによりさらにアルコキシル化し、その結果第一級ヒドロキシル基を有する段階によって得られる、特定のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである:
-スチレン-アクリロニトリル-またはアクリロニトリル-メタクリル酸メチル-グラフトポリエーテルポリオール;
-オリゴエステロールとしても知られるポリエステルポリオール、これらは、例えば、2価〜3価アルコール、例えば1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパンまたは前述のアルコールの混合物の、有機ジカルボン酸またはそれらの酸無水物もしくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びヘキサヒドロフタル酸または前述の酸の混合物との反応から調製され、かつまたラクトンから、例えばε-カプロラクトンから形成される;
-例えば、前述のアルコール(ポリエステルポリオールを生成させるのに使用した)の、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートまたはホスゲンとの反応によって得ることが可能なポリカーボネートポリオール;
-ブロックコポリマー、これらは少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、また上述のタイプのポリエーテル、ポリエステル及び/またはポリカーボネート構造を有する、少なくとも2つの異なるブロックを有する;
-ポリアクリレート-及びポリメタクリレートポリオール;
-オリゴヒドロカルボノールとしても知られるポリ炭化水素ポリオール、例えば、Kraton Polymers社により生産されるポリ-ヒドロキシ官能性エチレン-プロピレン、エチレン-ブチレンもしくはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー、または、1,3-ブタジエンもしくはジエン混合物などのジエンと、スチレン、アクリロニトリルもしくはイソブチレンなどのビニルモノマーとのポリ-ヒドロキシ官能性コポリマー、またはポリ-ヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオール、例えば1,3-ブタジエンとアリルアルコールとの共重合によって調製され、水素化もできるもの;
-例えば、エポキシドまたはアミノアルコールから調製できるポリ-ヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、及びカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Hanse Chemie社からHycar(登録商標)CTBNの名称のもとに市販される)。
【0066】
これらの列挙したポリオールは、平均分子量250〜30000g/モル、特に400〜20000g/モルを有することが好ましく、また1.6〜3の範囲にある平均OH官能性を有することが好ましい。
【0067】
好ましいポリオールは、ポリエーテル-、ポリエステル-、ポリカーボネート-及びポリアクリレートポリオール、好ましくはジ-及びトリオールである。特に好ましいのは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシプロピレン-及びポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオールである。
【0068】
これらの列挙したポリオールのほかに、少量の低分子量2価もしくは多価アルコール、例えば1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のあるジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、異性体のあるブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、脂肪族アルコール2量体、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール;キシリトール、ソルビトールまたはマンニトールなどの糖アルコール、スクロースなどの糖、他の高級多価アルコール;前述の2価及び多価アルコールの低分子量のアルコキシル化生成物、ならびに前述のアルコールの混合物を、ポリウレタンポリマーPUPの調製において、さらに使用することができる。同様に、3を超える平均OH官能性を有するポリオール、例えば糖ポリオールを少量使用することが可能である。
【0069】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPの調製に使用されるポリイソシアネートは、芳香族もしくは脂肪族ポリイソシアネート、特にジイソシアネートである。
【0070】
「芳香族イソシアネート」は、専ら芳香族イソシアネート基を有する有機化合物を指す。「芳香族」イソシアネート基は、芳香族もしくはヘテロ芳香族基に結合しているイソシアネート基である。「脂肪族イソシアネート」は、脂肪族イソシアネート基を含有する有機化合物を指す。「脂肪族」イソシアネート基は、脂肪族、シクロ脂肪族もしくはアリール脂肪族基に結合しているイソシアネート基を指す。
【0071】
適切な芳香族ポリイソシアネートは、例えば、ジ-もしくはトリイソシアネートモノマー、例えば2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネートならびにこれらの異性体の任意の混合物(TDI)、4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートならびにこれらの異性体の任意の混合物(MDI)、MDI及びMDI同族体の混合物(MDIポリマーまたはPMDI)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、1,3,5-トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリス(4-イソシアナトフェニル)メタン、チオリン酸トリス(4-イソシアナトフェニル)など、前述のイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、ならびに前述のイソシアネートの任意の混合物である。好ましいものは、MDI及びTDIである。
【0072】
適切な脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ジ-もしくはトリイソシアネートモノマー、例えば1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート、1-メチル-2,4及び2,6-ジイソシアナトシクロヘキサンならびにこれらの異性体の任意の混合物(HTDIまたはH6TDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロ-2,4'-及び4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIまたはH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル-1,3-及び1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレンなど、2量体及び3量体脂肪酸イソシアネート例えば3,6-ビス(9-イソシアナトノニル)-4,5-ジ(1-ヘプテニル)シクロヘキセン(2量体ジイソシアネート)、α,α,α',α',α'',α''-ヘキサメチル-1,3,5-メシチレントリイソシアネートなど、前述のイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、ならびに前述のイソシアネートの任意の混合物である。好ましいものは、HDI及びIPDIである。
【0073】
好ましいものは、芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPである。
【0074】
さらなる実施形態において、適切なポリイソシアネートPは、ジ-もしくはトリイソシアネートモノマーの形態における、またはジイソシアネートモノマーのオリゴマーの形態におけるポリイソシアネートPIであり、適切なジ-もしくはトリイソシアネートモノマーは、例えば、前述の芳香族及び脂肪族ジ-及びトリイソシアネートである。
【0075】
適切なジイソシアネートモノマーのオリゴマーは、特に、HDI、IPDI及びTDIのオリゴマーである。このようなオリゴマーは、実際に典型的には、異なったオリゴマー化度及び/または化学構造を有する物質の混合物である。それらは、平均NCO官能性2.1〜4.0を有し、特に、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレトジオン、ウレタン、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミンまたはオキサジアジントリオン基を含有することが好ましい。それらは、低含量のジイソシアネートモノマーを有することが好ましい。市販のタイプは、特に、HDIビウレット、例えばDesmodur(登録商標)N 100及びDesmodur(登録商標)N 3200(Bayer社から)、Tolonate(登録商標)HDB及びTolonate(登録商標)HDB-LV(Rhodia社から)ならびにDuranate(登録商標)24A-100(Asahi Kasei社から);HDIイソシアヌレート、例えばDesmodur(登録商標)N 3300、Desmodur(登録商標)N 3600及びDesmodur(登録商標)N 3790 BA(Bayer社から)、Tolonate(登録商標)HDT、Tolonate(登録商標)HDT-LV及びTolonate(登録商標)HDT-LV2(Rhodia社から)、Duranate(登録商標)TPA-100及びDuranate(登録商標)THA-100 (Asahi Kasei社から)ならびにCoronate(登録商標)HX(Nippon Polyurethane社から);HDIウレトジオン、例えばDesmodur(登録商標)N 3400(Bayer社から);HDIイミノオキサジアジンジオン、例えばDesmodur(登録商標)XP 2410(Bayer社から);HDIアロファネート、例えばDesmodur(登録商標)VP LS 2102(Bayer社から);IPDIイソシアヌレート、例えばDesmodur(登録商標)Z 4470(Bayer社から)及びVestanat(登録商標)T 1890/100(Evonik社から);TDIオリゴマー、例えばDesmodur(登録商標)IL(Bayer社から);ならびにTDI/HDIに基づく混合イソシアヌレート、例えばDesmodur(登録商標)HL(Bayer社から)である。
【0076】
さらなる実施形態において、ポリイソシアネートPは、室温で液体の形態のMDI、または室温で液体の形態のMDIポリマー(PMDI)の形態におけるポリイソシアネートPIである。
【0077】
室温で液体の形態のMDI(いわゆる「改質MDI」)は、MDI誘導体、例えばMDIカルボジイミド、MDIウレトニミンまたはMDIウレタンとのMDIの混合物である。市販のタイプの改質MDIは、例えばDesmodur(登録商標)CD、Desmodur(登録商標)PF及びDesmodur(登録商標)PC(Bayer社から)、Lupranat(登録商標)MM 103(BASF社から)、Isonate(登録商標)M 143(Dow社から)、ならびにSuprasec(登録商標)2020及びSuprasec(登録商標)2388(Huntsman社から)である。
【0078】
MDIポリマーまたはPMDIは、MDIとMDI同族体との混合物を指す。市販のタイプのPMDIは、例えばDesmodur(登録商標)VL、Desmodur(登録商標)VL 50、Desmodur(登録商標)VL R 10、Desmodur(登録商標)VL R 20及びDesmodur(登録商標)VKS 20 F(Bayer社から)、Lupranat(登録商標)M 10 R及びLupranat(登録商標)M 20 R(BASF社から)、Isonate(登録商標)M 309、Voranate(登録商標)M 229及びVoranate M(登録商標)580(Dow社から)、ならびにSuprasec(登録商標)5025、Suprasec(登録商標)2050及びSuprasec(登録商標)2487(Huntsman社から)である。
【0079】
好ましいポリイソシアネートPIは、PMDI、室温で液体の形態のMDIならびにHDI、IPDI及びTDIのオリゴマー、特にイソシアヌレートである。
【0080】
特に好ましいポリイソシアネートPIは、芳香族イソシアネート基を有するものである。
【0081】
最も好ましいポリイソシアネートPIは、MDIタイプ、特に高い割合の2,4'-異性体を有するもの、かつまたPMDI、かつまた室温で液体の形態のMDIである。
【0082】
一層さらなる実施形態において、ポリイソシアネートPは、上述の、少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUP、及び少なくとも1種のポリイソシアネートPIからなる混合物である。
【0083】
典型的には、ポリイソシアネートPは、組成物全体に対して5〜95質量%の量で、好ましくは10〜90質量%の量で存在する。充填された組成物、すなわち充填材を含む組成物では、ポリイソシアネートPは、組成物全体に対して5〜60質量%、特に10〜50質量%の量で存在することが好ましい。
【0084】
本硬化性組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートPに加え、上記において詳細に既述した少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミン、またはその好ましい実施形態のものを含む。
【0085】
式(I)のジアルジミンは、本硬化性組成物中に、イソシアネート基に対して、幾分化学量論を超える量、化学量論的量または化学量論未満の量で存在することが好ましい。式(I)のジアルジミンは、本組成物中に、アルジミノ基の数とイソシアネート基の数の間の比が0.1〜1.1、特に0.15〜1.0、より好ましくは0.2〜0.9であるような量で存在することが有利である。
【0086】
使用される式(I)のジアルジミンは、異なった式(I)のジアルジミンの混合物とすることもできる。より具体的には、異なった式(II)のジアミンBの混合物から出発して、かつ/または異なった式(III)のアルデヒドALDの混合物から出発して調製される、異なったジアルジミンの混合物を使用することが可能である。
【0087】
本硬化性組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートP、及び少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミンに加えて、さらなる補助剤及び添加剤を含むことができる。
【0088】
本硬化性組成物は、水もしくは湿気と反応し、その結果として架橋される。大部分のもしくは全てのイソシアネート基を変換するのに十分な水が存在する場合、良好な機械的性質を有する硬化した組成物が形成される。したがって、この組成物は「湿気硬化性」と呼ばれる。
【0089】
本硬化性組成物は、一成分系組成物の形態で、または二成分系組成物の形態で存在できる。
【0090】
本文書において、「一成分系組成物」は、その成分が同一容器内において混合形態で貯蔵され、室温で長期間にわたって貯蔵安定性がある、すなわちその施用もしくは使用性状が、貯蔵の結果として、変化したとしてもごく僅かに変化するに過ぎない、かつ施用後水分の作用によって硬化する硬化性組成物を指す。
【0091】
本文書において、「二成分系組成物」は、その成分が別個の容器内において貯蔵される異なる2つの成分として存在し、それぞれ貯蔵安定性がある硬化性組成物を指す。本組成物の施用直前もしくは施用中にはじめて2つの成分は互いに混合され、次いで混合された組成物は硬化し、この硬化はいくつかの状況下で、湿気の作用によってのみ進行しまたは完結される。
【0092】
一成分系組成物は、混合操作なしで施用可能である利点を有するのに対し、二成分系組成物は、より急速に硬化し、かつ成分として、イソシアネートと一緒に貯蔵可能ではない物質を含むことができる利点を有する。
【0093】
一実施形態において、本硬化性組成物は、一成分系組成物の形態にある。
【0094】
一成分系組成物において好ましいポリイソシアネートPは、上述の、ポリウレタンポリマーPUP、またはポリウレタンポリマーPUPとポリイソシアネートPIとの混合物である。
【0095】
一成分系組成物に適した補助剤及び添加剤は、例えば下記の物質である:
-可塑剤、例えば、フタル酸エステルなどのカルボン酸エステル、例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニルもしくはフタル酸ジイソデシルなど、アジピン酸エステル、例えばアジピン酸ジオクチルなど、アゼライン酸エステル及びセバシン酸エステル、有機リン酸及びスルホン酸エステルまたはポリブテン;
-非反応性熱可塑性ポリマー、例えば、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸アルキルを含む群からの不飽和モノマーのホモポリマーもしくはコポリマー、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)及びアタクチックポリ-α-オレフィン(APAO);
-溶媒;
-無機及び有機充填材、例えば、脂肪酸特にステアリン酸塩で場合によって被覆した粉砕もしくは沈降性炭酸カルシウム、バライト(BaSO4、重晶石としても知られる)、石英粉、か焼カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ特に熱分解法からの微粉砕シリカ、カーボンブラック特に工業生産カーボンブラック(本明細書において以後「カーボンブラック」と呼ぶ)、PVC粉末または中空球;
-繊維、例えばポリエチレンの繊維;
-顔料、例えば二酸化チタンまたは酸化鉄;
-アルジミノ基の加水分解を促進する触媒、特に酸もしくは酸に加水分解可能である化合物、例えば有機カルボン酸例えば安息香酸、サリチル酸または2-ニトロ安息香酸など、有機無水カルボン酸例えば無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸及び無水ヘキサヒドロメチルフタル酸など、有機カルボン酸のシリルエステル、有機スルホン酸例えばメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸もしくは4-ドデシルベンゼンスルホン酸など、スルホン酸エステル、他の有機もしくは無機酸、または前述の酸及び酸エステルの混合物;
-水によるイソシアネート基の反応を促進する触媒、特に金属化合物、例えば、有機スズ化合物例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセチルアセトネート及びジオクチルスズジラウレートなど、ビスマス化合物例えばビスマストリオクトエート及びビスマストリス(ネオデカノエート)など、ならびに第三級アミノ基を含有する化合物例えば2,2'-ジモルホリノジエチルエーテル及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなど;
-レオロジー調節剤、例えば増粘剤もしくはチキソトロピー剤、例えば尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイトまたはヒュームドシリカ;
-反応性希釈剤及び架橋剤、例えばジイソシアネートモノマー、ならびにまたこれらのジイソシアネートのオリゴマー及び誘導体、短鎖ポリオールとのジイソシアネートモノマーの付加物、ならびにまたアジピン酸ジヒドラジド及び他のジヒドラジド、ならびにまたケチミン、オキサゾリジン、エナミンまたは式(I)に対応しないアルジミンの形態におけるブロックアミン。ここで、式(I)に対応しないアルジミンは、式(II)の芳香族ジアミンB以外のアミン及び/または式(III)のアルデヒドALD以外のアルデヒドから出発して得ることが可能なものであり、特に国際公開第2004/013088 A1号に記載されるポリアルジミン、及び特にオリゴマー形態のジアミノジフェニルメタンから出発するポリアルジミン(PMDA)である;
-乾燥剤、例えば、分子ふるい、酸化カルシウム、高反応性イソシアネート例えばp-トシルイソシアネートなど、オルトギ酸エステル、テトラアルコキシシラン例えばテトラエトキシシランなど;
-本明細書において以後「シラン」とも呼ぶオルガノアルコキシシラン、例えば、エポキシシラン、(メタ)アクリロイルシラン、イソシアナトシラン、ビニルシラン、カルバマトシラン、アルキルシラン、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン及びアルジミノシラン、ならびにオリゴマー形態のこれらのシラン;
-熱、光及びUV放射線に対する安定剤;
-難燃性物質;
-界面活性物質、例えば、湿潤剤、レべリング剤、揮発防止剤または消泡剤;
-殺生物剤、例えば殺藻剤、殺真菌剤、またはカビの増殖を抑制する物質。
【0096】
このような添加剤が、本組成物の貯蔵安定性を確実に損なわないことが有利である。これは、これらの添加剤が、貯蔵中に著しく、アルジミノ基の加水分解またはイソシアネート基の架橋などの、架橋を招く反応を誘発してはいけないことを意味する。より具体的には、これは、全てのこれらの添加剤が、水を含有するとしても、精々痕跡量の水しか含有すべきでないことを意味する。したがって、本組成物中に混合する前に、化学的もしくは物理的に添加剤を乾燥することが推奨できる。
【0097】
一成分系組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートP、及び少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミンに加えて、少なくとも1種の触媒を含むことが好ましい。より具体的には、本組成物は、触媒として、安息香酸もしくはサリチル酸などのカルボン酸、及び/またはスズ化合物、及び/またはビスマス化合物を含む。異なる触媒または異なる触媒タイプ、例えば酸及び金属化合物を互いに混合する場合、有利としてよい。
【0098】
さらに、一成分系組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートP、及び少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミンに加えて、少なくとも1種のさらなる補助剤及び添加剤、特に可塑剤、架橋剤、充填材及び増粘剤を含む群から選択されるものを含むことが好ましい。
【0099】
記載の一成分系組成物は、湿気を除いて生産及び貯蔵されることが好ましい。周囲条件が浸透しない適切な包装または配置、例えばドラム、パウチまたはカートリッジ内で、一成分系組成物は優れた貯蔵安定性を有する。硬化性組成物に関する用語「貯蔵安定性のある(storage-stable)」及び「貯蔵安定性(storage stability)」は、本文書において、所与の施用温度及び考慮した期間内における適切な貯蔵の間に、組成物の粘度が上昇したとしても、精々組成物が、意図したやり方で使用可能であるような範囲に止まっている事実を指している。
【0100】
記載の一成分系組成物が、湿気もしくは水に接触すると、式(I)のジアルジミンのアルジミノ基は、加水分解を受け始める。次いで、組成物中に存在するイソシアネート基が、加水分解されているアルジミノ基と反応して、式(III)のアルデヒドALDを放出する。アルジミノ基に関して過剰なイソシアネート基は、直接水と反応する。これらの反応の結果、組成物は架橋し、最終的に硬化して、固体材料をもたらす。加水分解されるアルジミノ基との、イソシアネート基の反応は、必ずしも遊離アミノ基を介して進行する必要はない;加水分解反応の中間体との反応も可能である。例えば、加水分解されているアルジミノ基は、ヘミアミナール(hemiaminal)の形態でイソシアネート基と直接反応すると考えられる。
【0101】
硬化反応に必要とされる水は、空気(空気湿度)から来るか、さもなければ、例えば噴霧により、組成物を水含有成分と接触させることができるか、または施用している間に水含有成分を、特にそれを混入することにより組成物に添加することができるかいずれかである。
【0102】
硬化は一般に、特に硬化速度が速い場合でも、泡がなく進行する。
【0103】
硬化速度は、存在し得る1種または複数の触媒のタイプ及び量により、硬化する間存在する温度によって、また空気湿度もしくは添加される水の量によって影響され得る。水含有成分を組成物に添加する場合は、専ら空気湿度により硬化させるのと比較して、大きく促進される形で硬化が進行する。こうして、本発明は、硬化した組成物についても記述する。
【0104】
さらなる実施形態において、本硬化性組成物は、二成分系組成物の形態で存在する。二成分系組成物は、成分K1及び成分K2からなり、これらは互いに別個に貯蔵され、施用直前に互いに混合される。
【0105】
二成分系組成物の一実施形態において、ポリイソシアネートP及び式(I)のジアルジミンが成分K1の一部であり、成分K2は、イソシアネート基と反応性がある化合物、特に水及び/またはポリオール及び/またはポリアミン及び/またはアミノアルコール及び/またはポリチオールを含む。
【0106】
二成分系組成物の他の実施形態において、ポリイソシアネートPが成分K1の一部であり、成分K2は、式(I)のジアルジミンA、ならびにイソシアネート基と反応性がある化合物、特に水及び/またはポリオール及び/またはポリアミン及び/またはアミノアルコール及び/またはポリチオールを含む。
【0107】
成分K2は、少なくとも1種の式(I)のジアルジミン及び水を含むことが好ましい。
【0108】
二成分系組成物における好ましいポリイソシアネートPは、既に上述したポリイソシアネートPI、またはポリウレタンポリマーPUPとポリイソシアネートPIとの混合物である。
【0109】
成分K2中の適切なポリオールは、ポリウレタンポリマーPUPを調製するのに適した既に列挙したものと同一の市販ポリオール、ならびにポリウレタンポリマーPUPの調製におけるさらなる使用に適した上記において既に列挙した低分子量2価もしくは多価アルコールである。成分K2における適切なポリアミンは、二成分系ポリウレタン組成物において通例使用される、第一級及び/もしくは第二級アミノ基を有する市販の脂肪族もしくは芳香族ポリアミン、例えば、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-キシリレンジアミン(MXDA)、N,N'-ジブチル-エチレンジアミン、3,5-ジエチル-2,4(6)-ジアミノトルエン(DETDA)、3,5-ジメチルチオ-2,4(6)-ジアミノトルエン(Ethacure(登録商標)300、Albemarle社)、ならびに、例えば名称Jeffamine(登録商標)のもとに(Huntsman Chemicals社から)入手可能な第一級及び第二級ポリオキシアルキレンジアミンである。成分K2における適切なアミノアルコールは、少なくとも1つの第一級もしくは第二級アミノ基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物、例えば2-アミノエタノール、2-メチルアミノエタノール、1-アミノ-2-プロパノール及びジエタノールアミンである。成分K2における適切なポリチオールは、例えば銘柄名Thiokol(登録商標)のもとに知られている液体のメルカプト末端ポリマー、及びチオカルボン酸のポリエステルである。成分K2が水を含む場合、この水の量が、多くともジアルジミン及び存在するさらなるブロックアミンを加水分解するのに要する水量に対応することが有利である。その上、両成分は、一成分系組成物について上記において既に列挙しているさらなる補助剤及び添加剤を含むことができる。しかし、成分K2の場合、一層さらなる補助剤及び添加剤も追加的に可能である。より具体的には、これらは、芳香族イソシアネート基と一緒に、存在するとしても、ほんの短期間しか貯蔵可能ではない補助剤及び添加剤である。特に、これらは下記のものなどの触媒である:
亜鉛、マンガン、鉄、クロム、コバルト、銅、ニッケル、モリブデン、鉛、カドミウム、水銀、アンチモン、バナジウム、チタン、ジルコニウムまたはカリウムの化合物、例えば酢酸亜鉛(II)、2-エチルヘキサン酸亜鉛(II)、ラウリン酸亜鉛(II)、オレイン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)、亜鉛(II)アセチルアセトネート、サリチル酸亜鉛(II)、2-エチルヘキサン酸マンガン(II)、2-エチルヘキサン酸鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトネート、2-エチルヘキサン酸クロム(III)、ナフテン酸コバルト(II)、2-エチルヘキサン酸コバルト(II)、2-エチルヘキサン酸銅(II)、ナフテン酸ニッケル(II)、ネオデカン酸フェニル水銀、酢酸鉛(II)、2-エチルヘキサン酸鉛(II)、ネオデカン酸鉛(II)、鉛(II)アセチルアセトネート、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジブトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジブトキシチタンビス(アセチルアセトネート)、酢酸カリウム、オクタン酸カリウムなど;第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン及びその高級同族体、N,N,N',N'-テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン及びその高級同族体、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、ビス(ジメチルアミノ)メタン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、アジピン酸ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)、N,N-ジメチル-2-フェニルエチルアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン(DBN)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ココモルホリン、N,N'-ジメチルピペラジン、N-メチル-N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルなど;芳香族窒素化合物、例えば4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾールまたは1,2-ジメチルイミダゾールなど;アミジン及びグアニジン、例えば1,1,3,3-テトラメチルグアニジンなど;活性水素原子を含有する第三級アミン、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルジイソプロパノールアミン、ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イソプロパノールアミン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、3-(ジメチルアミノ)プロピル尿素など、マンニッヒ塩基例えば2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールまたは2,4,6-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノメチル)-フェノールなど、N-ヒドロキシプロピルイミダゾール、N-(3-アミノプロピル)イミダゾールなど、ならびにこれらの化合物のアルコキシル化及びポリアルコキシル化生成物、例えばジメチルアミノエトキシエタノール;有機アンモニウム化合物例えば水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなど、またはアルコキシル化第三級アミン;知られている金属もしくはアミン触媒の変形であるいわゆる「遅延作用」触媒、例えば、第三級アミンとカルボン酸もしくはフェノールとの反応生成物、例えば1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンもしくはDBUとギ酸もしくは酢酸との反応生成物、など;ならびに列挙した化合物の組合せ、特に金属化合物と第三級アミンとの組合せ。
【0110】
二成分系組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートP、及び少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミンに加えて、少なくとも1種の触媒を含むことが好ましい。より具体的には、本組成物は、触媒として、安息香酸もしくはサリチル酸などのカルボン酸、及び/またはスズ化合物、及び/またはビスマス化合物を含む。異なる触媒または異なる触媒タイプ、例えば酸及び金属化合物を互いに混合する場合、有利としてよい。
【0111】
さらに、二成分系組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートP、及び少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミンに加えて、少なくとも1種のさらなる補助剤及び添加剤、特に可塑剤、架橋剤、充填材及び増粘剤を含む群から選択されるものを含むことが好ましい。
【0112】
成分K2は、イソシアネート基を全く含有しないことが好ましい。
【0113】
二成分系組成物が、さらにブロックアミン、特にケチミン、オキサゾリジン、エナミン、または式(I)に対応しないアルジミンを含む場合、それらは、成分K1及び/またはK2の一部とすることができる;それらは、成分K2の一部であることが好ましい。ブロックアミンは、加水分解されるとアミノ基を放出し、それが存在するイソシアネート基と速やかに反応する性質を有する。
【0114】
記述した成分K1及びK2は、少なくとも成分K1については湿気を除いて、互いに別個に調製される。2つの成分K1及びK2は互いに別々に貯蔵安定性がある。すなわち、それらはそれぞれ、適切な包装または配置、例えばバット、ブリキのペール缶(hobbock)、パウチ、バケットまたはカートリッジ内で、それらの特定の性状が、それらの使用に適した範囲で変化せずに、使用されるまで数か月〜1年以上にわたって貯蔵することができる。
【0115】
成分K1とK2の間の混合比は、成分K1及びK2中のイソシアネート基と反応性のある基が、成分K1のイソシアネート基に対して適切な比率にあるように選択することが好ましい。記載の二成分系組成物において、硬化前には、イソシアネート基1当量当たり、適切には0.1〜1.1当量、好ましくは0.5〜0.95当量、より好ましくは0.6〜0.95当量のイソシアネートと反応性のある基の合計量が存在する。存在するアルジミノ基及び任意のさらなるブロックアミノ基が、イソシアネート基と反応性のある基の中に数えられ、水は、イソシアネートと反応性のある基の中には数えられない。過剰なイソシアネート基は、特に水と、例えば空気湿度と直接反応する。
【0116】
記載の二成分系組成物の施用前または施用中に、成分K1及びK2は、適切な方法によって互いに混合される。この混合は、連続的にまたはバッチ方式で行うことができる。混合された組成物は、混合中にまたは混合後に、場合によって適切な補助手段によって、固体表面にそれを接触させることにより施用される。これを行うには、成分K1及びK2の混合と施用の間の時間経過が長過ぎないように確保しなければならない。これにより、例えば、固体表面への接着物の蓄積形成が遅れもしくは不完全になる問題をもたらす恐れがあるからである。その時間以内に混合された組成物を施用すべきである最大時間を「可使時間」またはさもなければ「オープンタイム」と呼ぶ。しばしば、このオープンタイムは、その時間以内に混合された組成物の粘度が2倍になる時間と定義される。
【0117】
成分K1とK2を混合した後、硬化が開始される。式(I)のジアルジミンが、水と接触するや否や、既に記述した形で加水分解し始め、またイソシアネート基と反応し始める。水は、混合された組成物中に既に存在するか(水が、成分K2の構成成分となっているため、または成分K1及びK2の混合前もしくは混合中に組成物に添加されているため)、または空気湿度の形で混合された組成物中に拡散するかである。後者の場合、組成物中に空気湿度が浸透するのと平行して、外側から内側へとジアルジミンがイソシアネート基と反応する。既述のように、加水分解されるアルジミノ基とのイソシアネート基の反応は、必ずしも遊離のアミノ基を介して進行する必要はなく、しかし加水分解反応の中間体を介して進行することもできる。同様な形で、組成物中に存在できる、さらなる潜在硬化剤から反応性基が放出される。さらに、成分K1とK2を混合した後、特にポリオール及びポリアミンなどの、イソシアネート基と反応性がありかつ本組成物中に存在する任意の化合物が、イソシアネート基と反応する。過剰なイソシアネート基は特に直接水と反応する。これらの反応の結果として、混合された組成物は架橋し、最終的に硬化して固体材料となる。こうして、本発明は、硬化した組成物についても記述する。
【0118】
硬化は一般に、特に硬化速度が速い場合でも、泡がなく進行する。
【0119】
硬化速度は、存在し得る1種または複数の触媒のタイプもしくは量により、硬化する間一般的である温度によって、また空気湿度もしくは成分K2により導入される水の量によって影響され得る。
【0120】
少なくとも1種のポリイソシアネートP、及び少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミンを含む、記載の硬化性組成物は、全体として一連の有利な性状を有する。
【0121】
これらの硬化性組成物は、特に式(I)のジアルジミンが室温で液体であるという事実のため、簡単な方法で生産可能である。室温で加工可能な特に無溶媒のポリウレタン組成物において使用可能であったとしても、現在まで非常な困難を以ってしか使用可能ではなかった、特に1,4-フェニレンジアミンなどの高融点の第一級芳香族ジアミンが、式(I)のジアルジミンとして、硬化性組成物として使用するのに適した形態でここに存在する。低粘性の式(I)のジアルジミンを含む硬化性組成物は、比較的低い固有粘度により有利なコンシステンシーを有し、それが多くの用途に向けて本組成物の良好な加工性を可能にしている。
【0122】
さらに、記載の硬化性組成物は、特に式(I)のジアルジミンがポリイソシアネートPと一緒に貯蔵される場合でも、良好な貯蔵安定性を有する。ポリイソシアネートPが芳香族イソシアネート基を有する好ましい場合についても、式(I)のジアルジミンと一緒における貯蔵安定性は良好である。
【0123】
さらに、記載の硬化性組成物は、硬化前、硬化中及び硬化後において極めて低臭気しか持たず、または全く無臭であり、このことは一般に、アルデヒドが存在する場合そうではない。式(I)のジアルジミンとして、式(IIIa)のアルデヒドALD1に由来する好ましいジアルジミンを専ら含む組成物は、もちろん強い臭気を有する他の成分を何ら含有しないという条件で、硬化前、硬化中及び硬化後において無臭である。
【0124】
さらに、記載の硬化性組成物は、特に一成分系組成物の形態で、比較的長いオープンタイムを有する。しかし、驚くべきことに、これらの組成物の硬化速度は、比較的長いオープンタイムにも拘らず、例えば、脂肪族アミンから出発して生成される脂肪族ジアルジミンを含む対応する組成物の硬化速度よりも遅くない。長いオープンタイムと速い硬化の組合せは、実際に多くの一成分系及び二成分系施用向けに極めて望ましいことである。したがって、その施用後、一部硬化した材料のスキン層が表面に形成されるまでに組成物を所望の形状にする時間が少しは残っている場合、一成分系組成物の施用は、しばしばより簡単である。二成分系組成物の使用も、組成物の混合操作及び施用の両方と、例えば組成物を所望の形状にするために必要とされる任意のさらなる作業段階とをオープンタイムの間に実行しなければならないとすれば、長いオープンタイムを有する場合しばしば著しくより簡単である。しかし、その後、できるだけ早く荷重を掛けることが可能になるためには、組成物は速やかに硬化すべきである。記載の一成分系組成物が、水含有成分により促進された形で硬化する場合、このような促進された系では一般に、施用のため利用可能な時間帯が非常に短いので、比較的長いオープンタイムは特に有利な効果を有する。
【0125】
記載の硬化性組成物は、一般に、泡の形成なしに硬化する。これは、速い硬化速度の場合でも当てはまる。
【0126】
さらに、記載の硬化性組成物は、硬化した状態で、良好な機械的性質と、熱及び湿気に対する良好な安定性とを有する。芳香族ポリイソシアネートPを含む好ましい組成物は、熱及び湿気に対する特に良好な安定性と、特に良好な機械的性質、特に高伸展性と組み合わせた高強度とを有する。良好な熱安定性は、芳香族アルジミノ基との芳香族イソシアネート基の硬化反応で形成される尿素基が、両側で芳香族置換され、そのため置換基を交換する傾向を示さない事実に帰することができる可能性がある。
【0127】
少なくとも1種のポリイソシアネートPと、少なくとも1種の、1,4-フェニレンジアミン及び式(IIIa)のアルデヒドALD1から出発する特に好ましい式(I)のジアルジミンとを含む硬化性組成物は、特に有利な性状を有する。これらの組成物は、これらの式(I)のジアルジミンが無臭の低粘性液体であり、またこれらの組成物が、硬化した状態で特に良好な機械的性質、特に、ポリイソシアネートPが芳香族ポリイソシアネートPである場合に特に高強度を有するという事実のため特に簡単な形で生産可能である。これらの組成物のさらなる利点は、1,4-フェニレンジアミンに由来する式(I)のアルジミンが、芳香族アミンについては比較的高いイソシアネートへの反応性を有し、これが、組成物の比較的短いスキン層形成時間につながる点である。最後に、他の利点は、ジアルジミンの親である1,4-フェニレンジアミンが、芳香族アミンについての毒性が低い事実にあり、このことは、例えば1,4-フェニレンジアミンが突然変異誘発性にも発がん性にも分類されていない事実によって示される。
【0128】
本発明の硬化性組成物について、第一級芳香族ジアミンによって、特に、あったとしても殆ど立体障害がなく、したがって比較的高融点及びしばしば難溶性の固体であり、そのため実際に殆ど使用可能ではない第一級芳香族ジアミンによって式量的な意味で硬化する一成分系及び二成分系ポリウレタン組成物を得ることが可能である。より具体的には、このポリウレタン組成物は、式量的な意味で特に高融点及び難溶性の1,4-フェニレンジアミンにより硬化させることができる。式量的な意味で1,4-フェニレンジアミン及び芳香族イソシアネート基から形成される尿素結合によって硬化したポリウレタン組成物は、特に高い強度と、熱及び湿気に対する特に良好な安定性とを有する。
【0129】
記載の硬化性組成物の好ましい用途は、接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床被覆材、塗料、ラッカー、プライマーまたはフォームである。
【0130】
記載の硬化性組成物は、特に高伸展性と組み合わせた高弾性率などの機械的性質に高い需要を有する一成分もしくは二成分系弾性接着剤として適しており、かつまた一成分もしくは二成分系コーティング、特に高度の亀裂ブリッジングを有する床被覆材向けにも適している。
【0131】
記載の硬化性組成物は、特にモータビークル組立てにおける接着剤として、特に窓ガラスの接着剤接合向けに適している。
【0132】
本発明のさらなる態様は、基材S1の基材S2への接着剤接合方法であって:
i)上述の硬化性組成物を基材S1に施用する工程;
ii)施用された組成物を、その組成物のオープンタイム以内に基材S2と接触させる工程;
または
i')上述の硬化性組成物を基材S1に、また基材S2に施用する工程;
ii')施用された組成物を、その組成物のオープンタイム以内に互いに接触させる工程
を含み、基材S2が、基材S1と同一の材料からなる、または異なる材料からなる方法に関する。
【0133】
本発明のさらなる態様は、シーリング方法に関する。この方法は:
i'')上述の硬化性組成物を基材S1と基材S2の間に、この組成物が基材S1及び基材S2に接触するように施用する工程
を含み、基材S2は、基材S1と同一の材料からなり、または異なる材料からなる。
【0134】
本組成物は、典型的にジョイントに注入される。
【0135】
本発明のさらなる態様は、基材S1のコーティング方法に関する。この方法は:
i''')上述の硬化性組成物を、その組成物のオープンタイム以内に基材S1に施用する工程
を含む。
【0136】
これらの3つの方法において、適切な基材S1及び/または基材S2は、例えば、無機基材例えばガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、れんが、タイル、せっこうなど、及び天然石例えば花崗岩または大理石など;金属もしくは合金、例えばアルミニウム、鋼、非鉄金属、亜鉛めっき金属など;有機基材、例えば皮革、布、紙、木、樹脂接合木材系材料、樹脂-織物複合材料など、プラスチック、例えばポリ塩化ビニル(剛性及び可撓性PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シート成形コンポジット)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、PMMA、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、特に表面-プラズマ-、-コロナ-もしくは-フレーム-処理ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)及びエチレン/プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)など;コーテッド基材、例えば粉体コーテッド金属もしくは合金など;ならびに塗料及びコーティング材料、特に自動車コーティング材料である。
【0137】
基材は、組成物を施用する前に、必要な場合前処理することができる。このような前処理には、特に物理的及び/もしくは化学的清浄方法、例えば研磨、サンドブラスト、ブラシ研磨など、または洗剤もしくは溶剤による処理、または接着促進剤、接着促進剤溶液もしくはプライマーの施用が含まれる。
【0138】
二成分系組成物の場合、2つの成分K1及びK2は、施用直前に互いに混合される。
【0139】
基材S1及び/またはS2を接着剤接合するかつ/またはシールするための記載の硬化性組成物は、典型的には市販カートリッジから施用され、このカートリッジは小規模な施用については手動で操作されることが好ましい。カートリッジからの圧搾空気による施用、または輸送ポンプまたは押出し機によるバットもしくはブリキのペール缶からの施用、適切な場合、施用ロボットによる施用が同様に可能である。このような施用方法は、特に工業的製造における施用、または大規模施用の場合に好ましい。
【0140】
本硬化性組成物は、広い温度範囲内で施用することができる。例えば、本組成物は、弾性接着剤またはシーラントで通例であるように、室温で施用できる。しかし、本組成物は、より低いもしくはより高い温度で施用することもできる。今日溶融性接着剤例えばウォーム-メルト接着剤もしくはホット-メルト接着剤で通例であるように、特に組成物が高粘性の部分もしくは溶融性成分を含む場合、後者が有利である。
【0141】
記載の接着剤接合、シーリングもしくはコーティング方法によってまたは接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床被覆材、塗料、コーティング材料、プライマーもしくはフォームとして記述される硬化性組成物の1つの使用によって物品を生じる。
【0142】
この物品は、特に組立構造物、特に建築もしくは土木工学における組立構造物、または生産財もしくは消費財、特に窓、家庭電化製品、または輸送モード特に水上もしくは陸上車両、好ましくは自動車、バス、トラック、列車もしくは船舶、または輸送モードの取付け部品、または家具、織物もしくは包装業界における物品である。
【0143】
(実施例)
1. 試験方法の記述
赤外スペクトルを、Perkin-Elmer社1600 FT-IR機器で、ZnSe結晶を有する水平ATR分析ユニット上の未希釈フィルムとして測定した。固体物質は、施用のため溶融した。吸収バンドを、波数(cm-1)として報告している(測定範囲:4000〜650 cm-1);添字shは、肩として現れたバンドを示し、添字brはブロードバンドである。
【0144】
1H NMRスペクトルを、Bruker社DPX-300分光計で300.13MHzにおいて測定した。化学シフトδを、テトラメチルシラン(TMS)に対しppmで報告し、カップリング定数JをHzで報告している;真の及び疑似カップリングパターンは識別されなかった。
【0145】
粘度を、Physica社UM恒温保持型コーン-プレート粘度計(コーン直径20mm、コーン角度1°、コーンチップ-プレート距離0.05mm、せん断速度10〜1000s-1)で、DIN EN ISO 3219において記述されるように測定した。
【0146】
アミン含量、すなわち調製したジアルジミン中の遊離アミノ基及びアルジミノ基の合計含量を、滴定手段(クリスタルバイオレットに対し、氷酢酸中の0.1N HClO4による)により測定した。常にミリモルN/gで報告している。
【0147】
2. ジアルジミンの調製
(実施例1)
ジアルジミンA-1
丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下において5.00gの2,4-ジアミノトルエン(アミン含量16.33ミリモルN/g;融点98〜100℃)を、24.26gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール中に懸濁させた。混合物を加熱し、90分にわたり真空にし(10ミリバール、80〜100℃)、その過程で均質な液体が形成された。収量:27.7gの赤褐色、無臭油、アミン含量2.94ミリモルN/g及び20℃において粘度160mPa・sを有する。
IR: 2954、2922、2852、1736 (C=O)、1652 (C=N)、1600、1572、1492、1466、1419、1392、1374、1366、1349sh、1302、1246、1156、1110、1074、1022、998、934、872、822、808sh、766、758、720。
1H NMR (CDCl3, 300 K): δ 7.73及び7.66 (2×s, 2×1 H, CH=N)、7.09 (dd, J = 7.8 / 0.4, 1 H, Ar-H6)、6.71 (dd, J = 7.8 / 2.2, 1 H, Ar-H5)、6.40 (d, J = 2.2, 1 H, Ar-H3)、4.16及び4.13 (2×s, 2×2 H, C(CH3)2-CH2-O)、2.20 (s, 3 H, Ar-CH3)、2.31 (2×t, J = 7.5, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.61 (m, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.23 (m, 32 H, CH3-(CH2)8-CH2-CH2-CO)、1.22 (s, 12 H, C(CH3)2-CH2-O)、0.88 (t, J = 6.7, 6 H, CH3-(CH2)10-CO)。
【0148】
(実施例2)
ジアルジミンA-2
丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下において5.00gの3,4-ジアミノトルエン(アミン含量16.20ミリモルN/g;融点87〜89℃)を、24.26gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール中に懸濁させた。混合物を加熱し、90分にわたり真空にし(10ミリバール、80℃)、その過程で均質な液体が形成された。その後、温度を100℃まで上昇させ、高真空下でさらに60分間真空排気を行った。収量:27.8gの暗褐色、無臭油、アミン含量1.40ミリモルN/g及び20℃において粘度210mPa・sを有する。
IR: 3370br、2954、2922、2852、1736 (C=O)、1652 (C=N)、1608、1583、1508、1492、1466、1418、1393、1374、1366sh、1350sh、1301、1282sh、1248、1236、1158、1114、1074、1020、1000、932、870、834、806、778、722。
【0149】
(実施例3)
ジアルジミンA-3
実施例1において記述したものと同一の条件下で、5.00gの1,3-フェニレンジアミン(アミン含量18.43ミリモルN/g;融点64〜66℃)を、27.62gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールと反応させた。収量:30.7gの淡黄色、無臭油、アミン含量2.95ミリモルN/g及び20℃において粘度190mPa・sを有する。
IR: 3060、2955、2922、2852、1736 (C=O)、1652 (C=N)、1592、1466、1418、1392、1374、1366、1349sh、1302sh、1282sh、1248、1236sh、1156、1112、1076、1022、998、934、874、816sh、780、722、696。
1H NMR (CDCl3, 300 K): δ 7.74 (s, 2 H, CH=N)、7.26 (td, J = 7.9 / 0.4, 1 H, Ar-H5)、6.81 (dd, J = 7.9 / 2.0, 2 H, Ar-H4,6)、6.63 (td, J = 2.0 / 0.4, 1 H, Ar-H2)、4.14 (s, 4 H, C(CH3)2-CH2-O)、2.31 (t, J = 7.5, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.61 (m, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.24 (m, 32 H, CH3-(CH2)8-CH2-CH2-CO)、1.22 (s, 12 H, C(CH3)2-CH2-O)、0.88 (t, J = 6.7, 6 H, CH3-(CH2)10-CO)。
【0150】
(実施例4)
ジアルジミンA-4
実施例1において記述したものと同一の条件下で、5.00gの1,4-フェニレンジアミン(アミン含量18.40ミリモルN/g;融点138〜143℃)を、27.62gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールと反応させた。収量:30.7gの淡黄色、無臭油、アミン含量3.00ミリモルN/g及び20℃において粘度170mPa・sを有する。
IR: 3031、2954、2922、2852、1736 (C=O)、1648 (C=N)、1604sh、1573、1496、1466、1418、1392、1374、1366、1347sh、1298sh、1282sh、1249、1231sh、1206、1156、1110、1072、1022、998、936、867、846、811、770、722。
1H NMR (CDCl3, 300 K): δ 7.73 (s, 2 H, CH=N)、6.98 (s, 4 H, Ar-H)、4.14 (s, 4 H, C(CH3)2-CH2-O)、2.31 (t, J = 7.5, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.61 (m, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.25 (m, 32 H, CH3-(CH2)8-CH2-CH2-CO)、1.22 (s, 12 H, C(CH3)2-CH2-O)、0.88 (t, J = 6.7, 6 H, CH3-(CH2)10-CO)。
【0151】
(実施例5)
ジアルジミンA-5
実施例1において記述したものと同一の条件下で、10.00gの4,4'-ジアミノジフェニルメタン(アミン含量10.00ミリモルN/g;融点89〜91℃)を、29.87gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールと反応させた。収量:38.0gのコハク色、無臭油、アミン含量2.64ミリモルN/g及び20℃において粘度340mPa・sを有する。
IR: 3022、2954、2922、2851、1735 (C=O)、1649 (C=N)、1606、1572、1504、1466、1416、1392、1373、1366、1295、1248、1208、1158、1110、1074、1016、998、934、918、865、846、820、770、720。
1H NMR (CDCl3, 300 K): δ 7.71 (s, 2 H, CH=N)、7.13及び6.92 (2×m, 2×4 Ar-H)、4.13 (s, 4 H, C(CH3)2-CH2-O)、3.95 (s, 2 H, Ar-CH2-Ar)、2.30 (t, J = 7.5, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.60 (m, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.25 (m, 32 H, CH3-(CH2)8-CH2-CH2-CO)、1.21 (s, 12 H, C(CH3)2-CH2-O)、0.88 (t, J = 6.7, 6 H, CH3-(CH2)10-CO)。
【0152】
(実施例6)
ジアルジミンA-6
実施例1において記述したものと同一の条件下で、10.00gの4,4'-ジアミノ-3,3'-ジクロロジフェニルメタン(MOCA;アミン含量7.43ミリモルN/g;融点102〜107℃)を、22.36gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールと反応させた。収量:31.1gの黄色、無臭油、アミン含量2.36ミリモルN/g及び20℃において粘度780mPa・sを有する。
IR: 3468br、3380br、3027、2953、2922、2852、2716br、1734 (C=O)、1658 (C=N)、1625、1603sh、1556、1506、1486、1466、1417、1398、1374、1366、1308、1250、1224、1156、1112、1075、1056、1022、1000、932、905、896sh、874、830、810、774、722、694sh、686。
1H NMR (CDCl3, 300 K): δ 7.68 (t, J = 1.0, 2 H, CH=N)、7.16 (2×d, J = 1.7, 2 H, Ar-H2)、7.00 (dd, J = 8.0 / 1.7, 2 H, Ar-H6)、6.75 (d, J = 8.0, 2 H, Ar-H5)、4.15 (s, 4 H, C(CH3)2-CH2-O)、3.87 (s, 2 H, Ar-CH2-Ar)、2.31 (t, J = 7.5, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.61 (m, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.24 (m, 44 H, CH3-(CH2)8-CH2-CH2-CO及びC(CH3)2-CH2-O)、0.88 (t, J = 6.7, 6 H, CH3-(CH2)10-CO)。
【0153】
(比較例7)
ジアルジミンA-7
丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下において1.79gの1,4-フェニレンジアミン(1,4-PDA;アミン含量18.40ミリモルN/g;融点138〜143℃)を、5.00gの3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロパナール中に懸濁させた。これに20mlのジクロロメタンを添加し、混合物を室温で10分にわたって撹拌し、この過程でアミンは完全に溶解し、最初透明であった溶液は、益々濁ってきた。反応混合物を、90分にわたり真空にした(5・10-2ミリバール、80〜100℃)。これにより、アミン含量5.54ミリモルN/g及び融点71〜72℃(Tottoli、無補正)を有する、5.91gの淡褐色の、強い臭気のある固体をもたらした。
IR: 3027、2968、2943sh、2870、2846sh、2715br、1881br、1736 (C=O)、1646 (C=N)、1600sh、1570、1494、1470、1435sh、1394、1372、1228、1104、1038、1008、986、928、867、842、812、793sh、770、728。
【0154】
(比較例8)
ジアルジミンA-8
実施例1において記述したものと同一の条件下で、5.00gのtrans-1,4-ジアミノシクロヘキサン(アミン含量17.25ミリモルN/g;融点68〜72℃)を、25.76gの2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールと反応させた。収量:28.7gの褐-白色、結晶性及び無臭の固体、アミン含量2.92ミリモルN/g及び融点47〜50℃(Tottoli、無補正)を有する。
IR: 2953sh、2922、2852、2824sh、1736 (C=O)、1664 (C=N)、1466、1454sh、1418、1394、1376、1364sh、1346、1304、1248、1232、1158、1110、1086、1020、1000、942、894、887sh、769、722、668。
1H NMR (CDCl3, 300 K): δ 7.58 (s, 2 H, CH=N)、4.01 (s, 4 H, C(CH3)2-CH2-O)、2.95 (m, 2 H, N-CHCy)、2.29 (t, J = 7.5, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.60 (m, 4 H, OC(O)-CH2-CH2)、1.26 (m, 32 H, CH3-(CH2)8-CH2-CH2-CO)、1.08 (s, 12 H, C(CH3)2-CH2-O)、0.88 (t, J = 6.7, 6 H, CH3-(CH2)10-CO)。
【0155】
(比較例9)
ジアルジミンA-9
丸底フラスコに最初、窒素雰囲気下において52.4g(0.18モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール蒸留物を装入した。激しく撹拌しながら、加熱した滴下漏斗から10.0g(0.17モルのN)の1,6-ヘキサメチレンジアミン(BASF社;アミン含量17.0ミリモルN/g)をゆっくり添加した。その後、減圧下(10ミリバール、80℃)で揮発性成分を除去した。収量:57.7gの透明淡黄色及び無臭の油、アミン含量2.85ミリモルN/gを有する。
【0156】
(実施例10)
ジアルジミンA-10
実施例1において記述したものと同一の条件下で、10.00gの4,4'-ジアミノジフェニルメタン(アミン含量:10.00ミリモルN/g;融点89〜91℃)を、22.50gの2,2-ジメチル-3-ヘプタノイルオキシプロパナールと反応させた。収量:30.00gのコハク色、低臭気油、アミン含量3.33ミリモルN/g及び20℃において粘度410mPa・sを有し、これは5℃でも流動性であった。
IR: 3024、2956、2926、2858、1734 (C=O)、1650 (C=N)、1606、1572、1504、1468、1458sh、1436sh、1416、1392、1374、1366、1316sh、1294、1234、1208、1160、1102、1054、1025sh、1016、994、934、916、865、846、820、772、726、713sh。
【0157】
(比較例11)
ジアルジミンA-11
比較例として、DE 31 33 769A1の実施例10を、4,4'-ジアミノジフェニルメタンと、3-(2-メチルプロパン-カルボニルオキシ)-2,2-ジメチルプロパナールとから調製した。このものは、20℃において粘度2040mPa・sを有する、コハク色の、強い臭気を有する油を形成し、5℃でハチミツ様であった。
【0158】
3. 一成分系組成物の生成
(実施例12〜18及び比較例19〜21)
ねじふた付きポリプロピレンビーカー内で、その調製を以下に記述しているポリマーP-1を、Table 1(表1)に掲げた成分と、指定された質量割合で遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.;2500rpmで1分)によって混合して、均質な材料を得た。比較例19については、ポリマーP-1とジアルジミンA-8とを、ジアルジミンA-8が液体形態になるように、混合前に80℃まで加熱した。
【0159】
ポリマーP-1は、次のように調製した:
4000gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200 N、Bayer社;OH価28.5mgKOH/g)と、520gの4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer社)とを80℃で反応させて、遊離イソシアネート基含量1.90質量%を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0160】
全てのジアルジミン含有組成物において、イソシアネート基とアルジミノ基の間の比率は1.0/0.7であった。
【0161】
【表1】

【0162】
こうして得られた組成物は、粘度、貯蔵安定性、スキン層形成時間、硬化速度、泡形成、機械的性質及び熱応力に対する安定性について試験した。
【0163】
貯蔵安定性は、高温条件下で貯蔵する間の粘度の変化(増加)により測定した。このために、組成物はオーブン内の密閉管中に60℃で貯蔵し、粘度を6時間後に20℃で1回目を測定し、また7日後に2回目を側定した。貯蔵安定性は、第1回に対する、第2回粘度値の増加百分率から計算している。
【0164】
スキン層形成時間(「非粘着性時間」)を測定するため、60℃で6時間にわたって貯蔵した、数グラムの組成物を室温において、層厚およそ2mmで厚紙(カードボード)に施用し、LDPE製ピペットで組成物の表面を軽くたたく際に、はじめてピペットにもはや残留物が残らなくなるまでの所要時間を、標準的気候条件(23±1℃及び相対空気湿度50±5%)下で測定した。
【0165】
硬化速度に用いた尺度は、組成物が総硬化するのに要する時間であった。組成物を層厚5mmのフィルムとしてPTFE型内に注入し、標準的気候条件下でそれを貯蔵することにより、またフィルム端部を定期的に持ち上げ、型からの残留物なしにはじめてフィルムを剥がすことが可能になるのに要した時間を日で測定することによって、総硬化までの時間を測定した。
【0166】
泡形成は、組成物が硬化する間に生じた泡の数を参照して、定性的に測定した。
【0167】
測定した機械的性質は、硬化した組成物の引張り強度(破断力)、破断伸び及び弾性率であった。この目的のため、60℃で6時間にわたって貯蔵した組成物を室温において、平面のPTFE型内に注型して、厚さおよそ2mmのフィルムとし、それを標準的気候条件下で7日にわたって硬化させた。中心エレメント長さ30mm及び中心エレメント幅4mmを有する長さ75mmのダンベル(ダンベル状試験片)を、フィルムから打ち抜き、DIN EN 53504によって、引張り速度200mm/分で試験した。硬化した組成物の熱応力に対する安定性を試験するために、機械的性質の測定の前に、いくつかのダンベルをオーブン内において100℃で7日にわたって貯蔵し、次いで標準的気候条件下で24時間貯蔵した。
【0168】
試験の結果を、Table 2(表2)に掲げている。
【0169】
【表2】

【0170】
Table 2(表2)から、芳香族ジアミンに由来する式(I)のジアルジミンを含む実施例12〜18の本発明の組成物は、シクロ脂肪族ジアミンに由来するジアルジミンを含む比較例19の組成物と比較して、同様の硬化速度と組み合わせて著しくより長いスキン層形成時間、及び熱応力に対するより良好な安定性を有することが明らかである。本発明の組成物は、十分ないし極めて良好な貯蔵安定性を有し、泡がなく硬化し、また卓越した機械的性質を有する。1,4-フェニレンジアミンからなるジアルジミンを含む実施例15は、極めて特に注目すべき性状プロフィルを有する。
【0171】
(実施例22〜26ならびに比較例27及び28)
ねじふた付きポリプロピレンビーカー内で、その調製を以下に記述しているポリマーP-2を、Table 3(表3)に掲げた成分と、指定された質量割合で遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.;2500rpmで1分)によって混合して、均質な材料を得た。
【0172】
ポリマーP-2は、次のように調製した:
1800gの脱水したポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200 N、Bayer社;OH価28.5mgKOH/g)と、500gの脱水したポリオキシプロピレントリオール(Acclaim(登録商標)6300、Bayer社;OH価28.0mgKOH/g)と、200gのトリレンジイソシアネート(TDI;Desmodur(登録商標)T80 P、Bayer社)とを80℃で反応させて、遊離イソシアネート基含量1.89質量%を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0173】
全てのジアルジミン含有組成物において、イソシアネート基とアルジミノ基の間の比率は1.0/0.7である。
【0174】
【表3】

【0175】
こうして得られた組成物は、実施例12について記述したように粘度、貯蔵安定性、スキン層形成時間、泡形成、機械的性質及び熱応力に対する安定性について試験した。この試験の結果をTable 4(表4)に掲げている。
【0176】
【表4】

【0177】
Table 4(表4)から、芳香族ジアミンに由来する式(I)のジアルジミンを含む実施例22〜26の本発明の組成物は、脂肪族ジアミンに由来するジアルジミンを含む比較例27の組成物と比較して、著しくより長いスキン層形成時間、より高い機械的強度及び熱応力に対するより良好な安定性を有することが明らかである。本発明の組成物は、十分ないし極めて良好な貯蔵安定性を有し、また泡がなく硬化する。1,4-フェニレンジアミンからなるジアルジミンを含む実施例24は、極めて特に注目すべき性状プロフィルを有する。
【0178】
(実施例29及び30ならびに比較例31)
ねじふた付きポリプロピレンビーカー内で、その調製を以下に記述しているポリマーP-3を、Table 5(表5)に掲げた成分と、指定された質量割合で遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.;2500rpmで1分)によって混合して、均質な材料を得た。
【0179】
ポリマーP-3は、次のように調製した:
590gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200 N、Bayer社;OH価28.5mgKOH/g)と、1180gのポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール(Caradol(登録商標)MD34-02、Shell社;OH価35.0mgKOH/g)と、230gのイソホロンジイソシアネート(IPDI;Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa社)とを、0.01gのジブチルスズジラウレートが存在する状態において80℃で反応させて、遊離イソシアネート基含量2.10質量%を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0180】
全ての実施例について、イソシアネート基とアルジミノ基の間の比率は1.0/0.7である。
【0181】
【表5】

【0182】
こうして得られた組成物は、実施例12について記述したように粘度、貯蔵安定性、スキン層形成時間、泡形成、機械的性質及び熱応力に対する安定性について試験した。この試験の結果をTable 6(表6)に掲げている。
【0183】
【表6】

【0184】
Table 6(表6)から、芳香族ジアミンに由来する式(I)のジアルジミンを含む実施例29〜30の本発明の組成物は、ジアルジミンを全く含まない比較例31の組成物と比較して、より短いスキン層形成時間、より高い機械的強度及び熱応力に対するより良好な安定性を有することが明らかである。本発明の組成物は、極めて良好な貯蔵安定性を有し、また泡がなく硬化する。
【0185】
(実施例32〜36ならびに比較例37及び38)
弾性接着剤(例えば窓ガラスの接着剤接合用)
それぞれの実施例について、Table 7(表7)による特定の成分を、指定された質量部で真空ミキサー中において水分を除去して処理して、均質なペーストを得、それを直ちに内部被覆したアルミニウム製カートリッジに移し、このカートリッジを気密にシールした。比較例37については、ポリマーP-4とジアルジミンA-8とを、ジアルジミンA-8が液体形態になるように、混合前に80℃まで加熱した。
【0186】
ポリマーP-4は、次のように調製した:
1300gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200 N、Bayer社;OH価28.5mgKOH/g)と、2600gのポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオール(Caradol(登録商標)MD34-02、Shell社;OH価35.0mgKOH/g)と、600gの4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer社)と、500gのフタル酸ジイソデシル(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF社)とを80℃で反応させて、遊離イソシアネート基含量2.05質量%を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0187】
イソシアネート基とアルジミノ基の間の比率は、全ての実施例について1.0/0.5である。
【0188】
【表7】

【0189】
こうして得られた弾性接着剤は、施用性状、スキン層形成時間、硬化速度、機械的性質ならびに熱応力及び加水分解性応力に対する安定性について試験した。
【0190】
施用性状に用いた尺度は、クリープ抵抗及びスレッディング(threading)であった。クリープ抵抗を測定するため、基部直径8mm及び高さ(基部からの三角チップの距離)20mmを有する水平三角ビーズとしての三角ノズルを通して、カートリッジピストルによって、垂直な厚紙片上に接着剤を施用した。5分後、チップが落ちた程度、すなわち三角ビーズの中心にある元の位置から離れて動いた程度を測定した。チップが完全にもしくは殆ど変化のない位置にある場合「極めて良好(very good)」もしくは「極めて良好(v. good)」と、またチップが中心と基部末端の間にあった場合「良好(good)」と評価した。スレッディングは、壁に固定した厚紙片にカートリッジピストルによって接着剤を少し施用し、施用の終わりに急速に引き戻すことにより、施用した接着剤からカートリッジピストルを引き戻し、分離した先端に残った引糸(thread)の長さを測定することにより、定性的に測定した。
【0191】
硬化速度に用いた尺度は、接着剤が総硬化するまでの時間であった。接着剤をカートリッジピストルによって、長さおよそ50mm及び中心厚さ30mmを有する、水平な固定されず懸垂された円錐としての円形チップ(開口10mm)を通して壁に固定した厚紙片に施用し、標準的気候条件下で7日にわたりそのままにし、次いでその中央部を垂直に切り落とし、硬化した接着剤層の厚さを定規で測定することにより、総硬化までの時間を調べた。
【0192】
硬化後の機械的性質を測定するため、ショアA硬度、引張り強度、破断伸び及び弾性率を測定した。ショアA硬度は、標準的気候条件下で14日にわたり硬化させた試験片についてDIN 53505に合せて測定した。引張り強度、破断伸び及び弾性率は、標準的気候条件下で7日にわたり硬化させた層厚2mmを有するフィルムについて、実施例12について記述したものと同一の方法で測定した。
【0193】
加水分解性応力に対する安定性を測定するため、機械的性質を測定するのに調製したダンベルの一部を、高温及び給湿条件(70℃/100%相対空気湿度)下で、次いで標準的気候条件下で24時間貯蔵し、次いで記述したように機械的性質を試験した。
【0194】
残りの性状は、実施例12について記述したように試験した。
【0195】
全ての接着剤は、泡なく完全に硬化した。
【0196】
この試験の結果をTable 8(表8)に掲げている。
【0197】
【表8】

【0198】
Table 8(表8)から、式(I)の芳香族ジアルジミンを含む実施例32〜36の本発明の接着剤は、シクロ脂肪族及び脂肪族ジアルジミンを含む比較例37及び38の接着剤と比較して、著しくより長いスキン層形成時間及び、それにも拘らず高い硬化速度を有することが明らかである。本発明の組成物は、泡なく硬化し、かつ卓越した機械的性質を有する。
【0199】
(実施例39〜43及び比較例44)
弾性シーラント(例えばジョイントシーリング用)
それぞれの実施例について、Table 9(表9)による特定の成分を、指定された質量部で真空ミキサー中において水分を除去して処理して、均質なペーストを得、それを直ちに内部被覆したアルミニウム製カートリッジに移し、このカートリッジを気密にシールした。比較例44については、ポリマーP-2とジアルジミンA-8とを、ジアルジミンA-8が液体形態になるように、混合前に80℃まで加熱した。
【0200】
増粘剤を、次のように調製した:
真空ミキサーに3000gのフタル酸ジイソデシル(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF社)と、480gの4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer社)とを最初に装入し、緩やかに加熱した。次いで、激しく撹拌しながら、270gのモノブチルアミンを1滴ずつゆっくり添加した。形成されたペーストを、減圧下で冷却しながらさらに1時間撹拌した。
【0201】
イソシアネート基とアルジミノ基の間の比率は、全ての実施例について1.0/0.65である。
【0202】
【表9】

【0203】
こうして得られた弾性シーラントは、機械的試験用のフィルムの硬化時間を14日とした点、及び弾性率の代わりに100%伸び応力を報告している点を除いて、実施例32について記述したように施用性状、スキン層形成時間及び硬化後の機械的性質について試験した。
【0204】
さらに、本シーラントは、粘着性について定性的に試験した。この試験は、シーラントを施用した1日もしくは3日後に、硬化したショアA試験片を親指で押し付け、次いで手を持ち上げたとき、その試験片がどの位長く親指にそのまま付着していたかを測定した。次いで粘着性を、高い(試験片が3秒を超えてそのまま付着している)、中間(試験片が約3秒間そのまま付着している)、低い(試験片が1〜2秒間そのまま付着している)及びゼロ(試験片が1秒未満そのまま付着している)として評価した。
【0205】
全てのシーラントは、泡なく完全に硬化した。
【0206】
この試験の結果をTable 10(表10)に掲げている。
【0207】
【表10】

【0208】
Table 10(表10)から、式(I)の芳香族ジアルジミンを含む実施例39〜43の本発明のシーラントは、シクロ脂肪族ジアルジミンを含む比較例44のシーラントと比較して、より長いスキン層形成時間及び、より大きい破断伸びを有することが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは、2つの第一級アミノ基を除いた後の第一級芳香族ジアミンBの基であり;
前記ジアミンBは、1,2-、1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン、3,4-トリレンジアミン、5-イソプロピル-2,4-トリレンジアミン、5-(tert-ブチル)-2,4-トリレンジアミン;特にメチル、エチル、イソプロピルもしくは1-メチルプロピル基であるアルキル基を有する4,6-ジアルキル-1,3-フェニレンジアミン;4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,3'-ジ-tert-ブチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、5,5'-メチレンジアントラニル酸、5,5'-メチレンジアントラニル酸ジメチル、1,3-プロピレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ならびに1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタンからなる群から選択され;
R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子1〜12個を有する1価炭化水素基であるか、
または
一緒になって、炭素原子4〜20個を有する2価炭化水素基であり、炭素原子5〜8個、好ましくは6個を有する、場合によって置換されている炭素環の一部であり;
R3は、水素原子、または、特に炭素原子1〜12個を有する、アルキル基もしくはシクロアルキル基もしくはアリールアルキル基であり;
R4は、環状部分を場合によって有する、また少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって有する、炭素原子6〜20個を有する直鎖もしくは分岐アルキル基であるか、
またはR4は、炭素原子6〜20個を有する単不飽和もしくは多価不飽和の直鎖もしくは分岐炭化水素基である]
の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項2】
R1及びR2が、それぞれメチル基であることを特徴とする、請求項1に記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項3】
R3が水素原子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項4】
R4が、
環状部分を場合によって有する、また少なくとも1個のヘテロ原子を場合によって有する、炭素原子11〜20個を有する直鎖もしくは分岐アルキル基であるか、
または
炭素原子11〜20個を有する単不飽和もしくは多価不飽和の直鎖もしくは分岐炭化水素基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項5】
R4中に任意に存在する前記ヘテロ原子が、エーテル、エステル、もしくはアルデヒド基の形態における酸素であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項6】
R4が、炭素原子11個を有するアルキル基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項7】
前記ジアミンBが、1,2-、1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン、3,4-トリレンジアミン、4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジアミノ-ジフェニルメタン、及び3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項8】
前記ジアミンBが、1,3-フェニレンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、2,4-トリレンジアミン、または4,4'-ジアミノジフェニルメタン、好ましくは1,4-フェニレンジアミンであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項9】
前記式(I)のジアルジミンが、20℃において、1000mPa・s以下、特に5mPa・sと500mPa・sの間の粘度を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項10】
前記式(I)のジアルジミンが、1,3-及び1,4-ビス((2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)アミノ)ベンゼン、2,4-ビス((2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)アミノ)トルエンまたは4,4'-ビス((2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)アミノ)ジフェニルメタン、好ましくは1,4-ビス((2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロピリデン)アミノ)ベンゼンであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の室温で液体の芳香族ジアルジミン。
【請求項11】
少なくとも1種の、請求項1〜10のいずれかに記載の室温で液体の芳香族ジアルジミンと、少なくとも1種のエポキシ樹脂及び/または少なくとも1種のイソシアネートとを含む、硬化性組成物。
【請求項12】
少なくとも1種のポリイソシアネートPと、少なくとも1種の、請求項1〜10のいずれかに記載の室温で液体の式(I)の芳香族ジアルジミンとを含むことを特徴とする、請求項11に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
前記ポリイソシアネートPが、少なくとも1種のポリイソシアネートとの少なくとも1種のポリオールの反応から得ることが特に可能であるポリウレタンポリマーPUPであることを特徴とする、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
前記ポリイソシアネートPが、ジ-もしくはトリイソシアネートモノマーの形態における、またはジイソシアネートモノマーのオリゴマーの形態におけるポリイソシアネートPIであることを特徴とする、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
前記ポリイソシアネートPIが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、または2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネートならびにこれらの異性体の任意の混合物(TDI)のオリゴマーであることを特徴とする、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
前記ポリイソシアネートPが、室温で液体の形態の4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートならびにこれらの異性体の任意の混合物(MDI)の形態における、または室温で液体の形態のMDIポリマー(PMDI)の形態におけるポリイソシアネートPIであることを特徴とする、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
前記ポリイソシアネートPが、芳香族イソシアネート基を有することを特徴とする、請求項12〜16のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項18】
ポリウレタンポリマーPUPであるポリイソシアネートPをさらに含むことを特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項19】
前記ポリイソシアネートPが、組成物全体に対して5〜95質量%の量で、好ましくは10〜90質量%の量で存在することを特徴とする、請求項12〜18のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項20】
前記式(I)のジアルジミンが、アルジミノ基の数とイソシアネート基の数の間の比が0.1〜1.1、特に0.15〜1.0、より好ましくは0.2〜0.9であるような量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項12〜19のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項21】
少なくとも1種のポリイソシアネートP及び少なくとも1種の式(I)の芳香族ジアルジミンに加えて、触媒として、少なくとも特に、安息香酸もしくはサリチル酸などのカルボン酸、及び/またはスズ化合物、及び/またはビスマス化合物を含むことを特徴とする、請求項12〜20のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項22】
一成分を有することを特徴とする、請求項12〜21のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項23】
二成分を有し、かつ、互いに別個に貯蔵され、施用直前に互いに混合される成分K1及び成分K2からなることを特徴とする、請求項12〜21のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項24】
前記ポリイソシアネートP及び前記式(I)のジアルジミンが成分K1の一部であり、
成分K2が、イソシアネート基と反応性がある化合物、特に水及び/またはポリオール及び/またはポリアミン及び/またはアミノアルコール及び/またはポリチオールを含むことを特徴とする、請求項23に記載の硬化性組成物。
【請求項25】
前記ポリイソシアネートPが成分K1の一部であり、
成分K2が、前記式(I)のジアルジミン、ならびにイソシアネート基と反応性がある化合物、特に水及び/またはポリオール及び/またはポリアミン及び/またはアミノアルコール及び/またはポリチオールを含むことを特徴とする、請求項23に記載の硬化性組成物。
【請求項26】
成分K2が、少なくとも1種の前記式(I)のジアルジミン及び水を含むことを特徴とする、請求項25に記載の硬化性組成物。
【請求項27】
特に空気湿度の形態における水との、請求項12〜22のいずれかに記載の組成物の反応によって得られる硬化した組成物。
【請求項28】
請求項23〜26のいずれかに記載の組成物の2つの成分K1及びK2を混合し、場合によって続いて水と反応させる段階によって得られる、硬化した組成物。
【請求項29】
接着剤、シーラント、ポッティング組成物、コーティング、床被覆材、塗料、ラッカー、プライマーまたはフォームとしての、請求項11〜26のいずれかに記載の硬化性組成物の使用。
【請求項30】
モータビークル組立てにおける接着剤としての、特に窓ガラスの接着剤接合向けの、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
基材S1の基材S2への接着剤接合方法であって、
i)請求項11〜26のいずれかに記載の硬化性組成物を基材S1に施用する工程;
ii)前記施用された組成物を、前記組成物のオープンタイム以内に基材S2と接触させる工程;
または
i')請求項11〜26のいずれかに記載の硬化性組成物を基材S1に、また基材S2に施用する工程;
ii')前記施用された組成物を、前記組成物のオープンタイム以内に互いに接触させる工程
を含み、前記基材S2が、前記基材S1と同一の材料からなる、または異なる材料からなる方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法によって得られる接着剤接合された物品。
【請求項33】
組立構造物、特に建築もしくは土木工学における組立構造物、または生産財もしくは消費財、特に窓、家庭電化製品、または輸送モード特に水上もしくは陸上車両、好ましくは自動車、バス、トラック、列車もしくは船舶、または輸送モードの取付け部品、または家具、織物もしくは包装業界における物品であることを特徴とする、請求項32に記載の物品。

【公表番号】特表2011−503143(P2011−503143A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533569(P2010−533569)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065431
【国際公開番号】WO2009/062985
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】