説明

芳香族ガス検出用試薬、及び検知材

【課題】可及的に長時間を一定の感度を維持することができる、芳香族系溶剤や麻薬などを発色反応により検出するための試薬を提供すること。
【解決手段】シリカゲル粒子を圧縮固化した基体に、濃硫酸にパラホムルアルデヒドを溶解させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系溶剤や麻薬などを発色反応により検出するための試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
濃硫酸にホルマリン液を添加したマルキス試薬は、芳香族系溶剤や麻薬を高い感度で検出できるものの、溶解しているホルムアルデヒドが容易に揮散するため、時間とともに感度が変化するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、長時間に亘って感度を一定に維持することができる有機ガス検出用試薬、及び検知材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような問題を解消するために本発明においては、濃硫酸にパラホムルアルデヒドを添加、溶解させるようにした。
【発明の効果】
【0005】
パラホムルアルデヒドは、固体でホルムアルデヒドに比較して分子量が大きいため、揮散が少なく長時間に亘って感度を維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
そこで以下に本発明の詳細を実施例に基づいて説明する。
濃硫酸1mLにパラホルムアルデヒド30ng乃至300ngを添加して溶解させて試薬を調製する。
この試薬を、耐硫酸性と吸水性とを備えた基材、例えばガラス基板にシリカゲル粒子をコーテングしたり、また検知管を構成する粒子に、上記試薬を含侵させて検知材を製作する。
トルエンを標準エアにその濃度を変えて混合して標準ガスを調製し、上記検知材に吹き付けると検知材の光学濃度がトルエンの濃度に対応して高くなる。
【0007】
一方、複数個の基材に同時に試薬を塗布、含侵させて複数の検知材を作成し、一定時間毎に、同一時期に作成した検知材の1つに一定濃度の標準ガスを吹き付けて、標準ガスに対する反応色を検出したところ、製作からの時間の経過にかかわりなくトルエンの濃度にだけ依存し、製作からの時間にかかわり無くほぼ一定の感度を示した。
これに対して、ホルマリン液を使用した従来の試薬では、製作後の時間経過とともに、反応色の光学濃度が低下、つまり製作からの時間の経過と共に感度が低下した。
【0008】
つぎに上記試薬に適した検知材としては、圧搾で固化し、商業的に入手しやすい粒径、例えば3〜15μmのシリカゲル粒子に、これを湿潤させることができる程度に上記試薬を添加、吸収させて、タブレット状に固化する程度の圧力をかけて製造することができる。
【0009】
この実施例によれば、シリカゲル粒子のそれぞれに均等にかつ微量の試薬が吸収されているため、濃硫酸が空気中の湿気を吸収しても、濡れが生じることが無く、人体に危害を及ぼしたり、また光学濃度測定手段を破損するようなことにはならない。
【0010】
なお、上述の実施例においては、シリカゲル粒子に予め濃硫酸を含侵させてから、固化させるようにしているが、シリカゲル粒子だけをタブレット状に固化させた後に、各シリカゲル粒子が吸収しきれる程度の試薬を滴下しても同様の作用を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃硫酸にパラホムルアルデヒドを添加、溶解させてなる芳香族ガス検出用試薬。
【請求項2】
シリカゲル粒子を圧縮固化した基体に、濃硫酸にパラホムルアルデヒドを溶解させた試薬を含侵させた芳香族ガス検出用検知材。