説明

芳香族ポリアミドフィルム及び磁気記録媒体

【課題】 均一窪みを多数形成して表面突起形成による弊害を除去し、加工性に優れたフィルムを提供すること。
【解決手段】 少なくとも片面に平均径が20〜500nmで深さが5nm以上ある窪みが106〜2×108個/mm2存在し、かつ縁の高さが10nmを越える窪みの数が5×106個/mm2以下である芳香族ポリアミドフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体として好適に用いることができる芳香族ポリアミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、芳香族ポリアミドフィルムは、工業材料として広く用いられている。特に、デジタル記録技術の進歩、コンピュータの外部メモリへの展開などにより、磁気テープの薄膜化及び高密度記録化の要求が強くなり、優れた耐熱性、機械特性及び寸法安定性を有する芳香族ポリアミドフィルムが磁気テープ用ベースフィルムとして用いられることが多い。また、フレキシブルプリント基板、太陽電池の基板等の回路基板、コンデンサーや音響振動板にも好適に使用されている。更に、無色透明化することによって、偏光板、位相差板等のディスプレイ用部材や、ディスク保護フィルム等の光学用途にも使用することが可能である。
【0003】
いずれの用途においても、加工時や製品として使用する時に表面が平滑すぎると摩擦が大きくなり、フィルム表面が傷ついたり、ロールに巻き取る際に巻きずれが生じたり、しわになったりすることがある。この問題を解決するために、粒子を添加して表面に凹凸や微細な突起を形成することが提案されている。例えば、不活性粒子の粒子径と積層厚みの比、ヤング率、吸湿率及び巻き硬度を特定範囲とした例が特許文献1〜3に開示されている。また、特許文献4に、芳香族ポリアミド中にそれより溶解性の劣る異種の芳香族ポリアミドを含有させ、製膜時に相分離させることによりフィルム表面に突起を形成する方法が開示されている。更に、芳香族ポリアミド以外の異種重合体を添加して均一な突起を形成する方法が特許文献5〜7に記載されている。
【0004】
しかしながら、上記のような従来の、表面突起を積極的に形成した芳香族ポリアミドフィルムには基本的に以下の3つの大きな問題がある。
【0005】
第1に、どのような形態にしろ突起を多数形成することにより、例えば、磁気記録媒体に使用したときにヘッドとのスペーシングが大きくなり、出力特性が低下してしまう点である。逆にスペーシングを小さくするために、突起高さを小さくするあるいは、突起個数を減少させた場合、摩擦性が悪化し、走行中にヘッドと貼り付いて、最後には磁性層を破壊してしまうことがある。このジレンマを解消するために、これまでは、なるべく均一な高さの微細突起を多数付与することを目標として検討が進められてきたが、表面突起に頼る限り、上記課題の本質的な解決は図ることが困難である。
【0006】
第2に、突起が多数存在することにより、フィルムと磁性層、バックコート層との密着力、また、磁性層上の塗布膜(例えば、金属薄膜型磁性層上に付与される潤滑剤膜)との密着力が必ずしも十分でない点である。
【0007】
第3に、加工工程において、あるいは最終製品の使用段階において、ガイドロールやガイドピン上を走行させることが多いが、含有粒子により形成された突起は相当硬いため、ガイドの表面が削られ、発生した粉がガイドやフィルムに付着する、あるいは逆にフィルム表面の突起が削れやすくなるという問題を生じやすい。特に、フィルムが繰り返し走行、高速走行される場合に、この問題は顕著となる。
【0008】
上記した問題を解決し、従来の表面突起形成による弊害を除去した方法として、窪みを形成する方法が特許文献8に記載されている。しかし、特許文献8の方法は、芳香族ポリアミドに熱可塑性樹脂を含有させ、製膜工程中で相分離を起こした熱可塑性樹脂を、熱処理によって軟化させ、窪みを形成している。この方法では、窪み形成時に軟化した熱可塑性樹脂がフィルム表面から取り除かれるのではなく、窪みの周囲に盛り上がり縁を形成する。よって、上記した磁気記録媒体に使用したときにヘッドとのスペーシングを低減する効果は十分でなく、磁気記録媒体の記録密度が更に向上すると出力特性が低下してしまうことがあった。
【特許文献1】特開平3−119512号公報
【特許文献2】特開平3−114830号公報
【特許文献3】特開平8−230124号公報
【特許文献4】特開平7−44857号公報
【特許文献5】国際公開第98/008892号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/020463号パンフレット
【特許文献7】特開2000−290402号公報
【特許文献8】特開2000−344913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解決し、磁気記録媒体用途として出力特性と走行耐久性に優れた芳香族ポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的は、少なくとも片面に平均径が20〜500nmで深さが5nm以上である窪みが1×106〜2×108個/mm2存在し、かつ高さが10nmを超える縁を有する窪みの数が5×106個/mm2以下である芳香族ポリアミドフィルムによって達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耐熱性及び表面性に優れ、特に磁気記録媒体のベースフィルムとして好的に用いることができる芳香族ポリアミドフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも片面に平均径が20〜500nmで深さが5nm以上ある窪みが1×106〜2×108個/mm2存在している。また、縁の高さが10nmを超える窪みの数が5×106個/mm2以下である。
【0013】
窪みの平均径が20nm未満である場合、ロールに巻き取ったり、ロールから引き出す際のフィルム同士の接触面積が大きくなったり、加工時のフィルムとガイドロールの接触面積が大きくなったりすることがあり、走行性が悪化することがある。500nmを超える場合、磁気記録媒体とした時、表面があれてノイズが多くなり、磁気特性が悪化することがある。走行性と磁気記録媒体としたときの磁気特性がより高いレベルで両立することから、窪みの平均径は50〜300nmであることがより好ましく、50〜200nmであることが更に好ましい。
【0014】
また、深さが5nm以上ある窪み個数が1×106個/mm2未満である場合、接触面積が大きくなり、走行性が悪化することがあり、2×108個/mm2を超える場合、表面があれて磁気特性が悪化することがある。走行性と磁気記録媒体としたときの磁気特性がより高いレベルで両立することから、深さが5nm以上ある窪み個数は2×106個/mm2〜1×108個/mm2であることがより好ましく、2×106個/mm2〜5×107個/mm2であることが更に好ましい。
【0015】
更に、縁の高さが10nmを超える窪みの数が5×106個/mm2を超える場合、磁気記録媒体としたとき、表面があれてノイズが多くなったり、スペーシングが増加することによって磁気特性が悪化することがある。走行性と磁気記録媒体としたときの磁気特性がより高いレベルで両立することから、縁の高さが10nmを超える窪みの数は2×106個/mm2以下であることがより好ましく、5×105個/mm2以下であることが更に好ましい。下限は0に近いことがより好ましいが、一般に104個/mm2程度である。
【0016】
窪みの平均径は走査電子顕微鏡にてシャドーイング(5°)をかけた像を倍率30,000倍で観察し、5μm四方内のそれぞれの窪みの(長径+短径)/2をその窪みの径とし、平均値を求めた。縁の高さが10nmを超える窪みの個数は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、走査モ−ド:タッピングモード、走査範囲:5μm×5μm、走査速度:0.5Hzの条件で測定し、平坦面からの高さが10nmを超える縁を有する窪みの個数を求めた。深さ5nm以上の窪みの個数は、上記AFM画像を平坦面を中心に上下反転させた像の平坦面から高さ(窪みとしては深さ)5nm以上の個数を求めた。
【0017】
また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも一方の表面の中心線平均粗さRa、最大粗さRmaxが
1nm≦Ra≦10nm
20nm≦Rmax≦100nm
を満足することが好ましい。Raが1nm未満の場合、走行性が充分でないことがあり、10nmを超える場合は磁気記録媒体とした時の磁気特性に悪影響を与えることがある。走行性と磁気特性等をより高いレベルで両立させるには、1nm≦Ra≦5nmであることがより好ましく、1.5nm≦Ra≦3nmであることが更に好ましい。また、Rmaxが20nm未満の場合、走行性が充分でないことがあり、Rmaxが100nmを超える場合、ガイドピン等との摩擦によって粗大突起が脱落したり、磁気記録媒体とした時の磁気特性に悪影響を与えることがある。走行性と磁気特性をより高いレベル両立させるためには、20nm≦Rmax≦80nmであることがより好ましく、30nm≦Rmax≦60nmであることが更に好ましい。なお、中心線平均粗さ及び最大粗さの定義は、JIS B−0601に準ずる。
【0018】
本発明のフィルムを構成するポリマーのガラス転移温度は260℃以上450℃以下であると、耐熱性が高く、加工時に高温に曝された場合にも、物性の変化がより小さくなるので好ましい。耐熱性がより良くなることから、ガラス転移温度は300℃以上450℃以下であることがより好ましく、350℃以上450℃以下であることが更に好ましい。ガラス転移温度は高い方が好ましいが、現実的には上限は450℃程度である。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温・降温速度:10℃/分、最高到達温度:400℃(400℃で5分保持)の条件で測定し、降温時のDSC曲線から求めた。なお、DSC測定において明確なピークが出ない場合は、バイブロンによる測定で代用しても差し支えない。
【0019】
本発明のフィルムは、JIS−C2318に準拠した測定法で得られる引張ヤング率の値が、少なくとも一方向において4GPa以上20GPa以下であることが好ましい。さらに、いずれの方向においても4GPa以上20GPa以下であることがより好ましい。少なくとも一方向において4GPa以上であると、薄膜化したときのハンドリング性が向上し、いずれの方向においても4GPaであると更にこの効果が増すため好ましい。ハンドリング性がより向上するために、6GPa以上20GPa以下であることがより好ましく、8GPa以上20GPa以下であることが更に好ましい。フィルム成形において、延伸を施すことにより、ヤング率をより向上させることができるが、延伸を強くしすぎると、靱性が低下することがあるため、ヤング率の上限としては20GPa程度が適当である。
【0020】
本発明のフィルムは、いずれの方向の破断伸度が5%以上250%以下、より好ましくは10%以上250%以下であると成形、加工時の破断が少なくなるため好ましい。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的に上限は250%程度である。
【0021】
本発明のフィルムは、200℃で30分間、実質的に張力を掛けない状態で熱処理した時の少なくとも一方向の熱収縮率が1%以下であると、加工時の寸法変化、また位相差特性の変化を抑えることができるため好ましい。いずれの方向においても1%以下であるとさらにこの効果が増すため好ましい。より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。ここで、熱収縮率とは、以下の式で定義される。
【0022】
熱収縮率(%)=((熱処理前の試長−熱処理し冷却後の試長)/熱処理 前の試長)×100
熱収縮率は低い方が好ましいが、現実的には下限は0.05%程度である。
【0023】
本発明のフィルムは、25℃−75RH%での吸湿率が0.5%以上3.5%以下、より好ましくは0.5%以上3.0%以下、更に好ましくは0.5%以上2.5%以下であると、使用時、加工時の湿度変化による特性の変化が少なくなるため好ましい。ここでいう吸湿率は以下の方法で測定するものである。まず、フィルムを脱湿のため200℃で2時間の加熱を行った後、窒素雰囲気下、吸湿しないようにして25℃まで降温後の重量を0.1mg単位まで正確に秤量する(この時の重量をW0とする)。次いで、25℃で75RH%の雰囲気下に48時間静置し、その後の重量を測定し、W1として以下の式で吸湿率を求める。
【0024】
吸湿率(%)=((W1−W0)/W0)×100
吸湿率は低い方が好ましいが、現実的に下限は0.5%程度である。
【0025】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、式(1)で示される芳香族ポリアミドと、式(3)で示される芳香族ポリアミドフィルムとを含み、式(3)で示される芳香族ポリアミドの含有量が式(1)で示される芳香族ポリアミドに対して3〜20重量%である芳香族ポリアミドフィルムであることが好ましい。
式(1):
【0026】
【化1】

【0027】
ここで、Ar1、Ar2はいずれも式(2)で示される構造を70モル%以上含有する。
式(2):
【0028】
【化2】

【0029】
式(3):
【0030】
【化3】

【0031】
ここで、Ar3、Ar4の少なくとも一方は、式(4)で示される構造を70モル%以上含有する。
式(4):
【0032】
【化4】

【0033】
ここで、X、Yは、−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH32−から選ばれる。
【0034】
式(1)において式(2)で示す構造が70モル%未満の場合、フィルムのヤング率及び熱収縮率が悪化する傾向にある。フィルムのヤング率及び熱収縮率がより向上することから式(2)で示す構造が80モル%以上であることがより好ましい。また、式(3)において式(4)で示す構造が70モル%未満の場合、フィルム表面に本発明で規定した窪みを形成することができないことがある。窪みをより効率よく形成できることから式(4)で示す構造が80モル%以上であることがより好ましい。また、式(3)で示される芳香族ポリアミドの含有量が式(1)で示される芳香族ポリアミドに対して、3重量%未満の場合、フィルム表面に本発明で規定した窪みを形成することができないことがあり、20重量%を超える場合、窪みが大きくなりすぎてフィルム表面がうねったりすることがある。有効な窪みを効率よく形成できることから、式(3)で示される芳香族ポリアミドの含有量は3重量%以上15重量%以下であることがより好ましく、6重量%以上15重量%以下であることが更に好ましい。更に、式(4)で示す構造のX、Yが共に[−O−]基であると窪みがより効率よく形成できるのでより好ましい。式(3)で示す芳香族ポリアミドは乾燥工程で溶媒の除去が進むと相分離を起こし、窪みを形成する。このため、熱可塑性樹脂を熱処理によって軟化させて窪みを形成する方法と異なり、窪み形成時に窪みの周囲に縁を形成しにくい。また、式(2)及び式(4)の芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基(特にメチル基)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されているものを用いると、吸湿率が低下し湿度変化による寸法変化が小さくなるため好ましい。また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよい。上記ポリマーの構成単位については、ポリマー合成時の反応が化学量論的に進行する場合は、その原料仕込み比率によって算出できる。また、成形体においては、NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定可能である。
【0035】
本発明に使用される式(1)及び式(3)で示される芳香族ポリアミドを、芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロライドから得る場合には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で重縮合反応により溶液重合することによってそれぞれ合成される。
【0036】
重合時には、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等を添加してもよい。
【0037】
単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオン等のアニオンからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤が使用される。また、基材フィルムの湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリマーの末端を封鎖してもよい。
【0038】
本発明のフィルムを得るためにはポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5以上であることが好ましい。
【0039】
製膜溶液については、式(1)及び式(3)で示される芳香族ポリアミドをそれぞれ合成し、中和後のポリマー溶液を混ぜ合わせても、一旦、それぞれのポリマーを単離後、溶剤にあわせて再溶解したものを用いてもよい。溶剤としては、取り扱いが容易であることからN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の有機極性溶媒が最も好ましいが、濃硫酸、濃硝酸、ポリリン酸等の強酸性溶媒も好ましく用いられる。
【0040】
また、式(1)で示される芳香族ポリアミドに式(3)で示される芳香族ポリアミドがブロック共重合していても構わない。この場合は、まず、フィルムの主成分である芳香族ポリアミドを構成する芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロライドを重合させ、重合がほぼ完了した系に、突起形成用芳香族ポリアミドの芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロリドを新たに添加し、ブロック共重合させる。中和後のポリマー溶液をそのまま用いてもよいし、ポリマーを単離後、溶剤に再溶解したものを用いてもよい。
【0041】
製膜原液中のポリマー濃度は2〜20重量%程度が好ましい。
【0042】
上記のように調製された製膜原液は、乾式法、乾湿式法、湿式法等によりフィルム化が行なわれるが、高品位なフィルムが得られることから乾湿式法がより好ましい。
【0043】
上記の製膜溶液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。この時の乾燥温度は80〜220℃であることが好ましい。乾燥温度が220℃を超える場合、急激に乾燥が進むために、相分離が十分に進まずに窪みの径が20nmより小さくなることがある。また、80℃未満の場合は、乾燥速度が遅く、相分離が進みすぎて窪みの径が500nmより大きくなったり、生産性の大幅な低下を招くことがある。こうして大部分の溶媒を除去されたフィルムは、自己支持性を得、支持体から剥離される。フィルムを支持体から剥離するときのポリマー濃度は30〜90重量%であることが好ましく、40〜80重量%であることがより好ましい。ポリマー濃度が30重量%未満の場合は、フィルムの自己支持性が不十分で破れやすくなることがあり、90重量%を超える場合は、剥離が困難となることがある。
【0044】
次いでフィルムは、残余の溶媒を除去するために、湿式浴に導入される。湿式浴としては、一般に水系浴が用いられるが、溶媒除去速度を上げる目的で、エタノール、メタノール等の有機溶媒浴、またはこれら有機溶媒と水との混合浴を用いていも、塩化カルシウム、塩化リチウム等の無機塩を含んだ浴を用いても差し支えない。最終的には水のみの浴を通し、フィルム中には水以外の溶媒が残らないようにする。尚、乾式法の場合、こうした湿式浴を経ずに、オーブン、テンターでの加熱のみにより残存溶媒を除去しても構わない。
【0045】
残存溶媒を除去したフィルムは、テンターに導入され、水の乾燥及び延伸が行われる。この時の温度は、220〜350℃であることが好ましい。テンターの温度が350℃を越える場合、フィルムが軟化し平面性が悪化したり、ポリマーの分解が起こって透明性が損なわれたりすることがある。220℃未満の場合、水の乾燥が不十分であったり、フィルム破れが発生しやすくなったり、吸湿特性等のフィルム物性が悪化することがある。延伸倍率は、用途により適切に設定されるが、面倍率で1.1〜4倍であることが好ましい。倍率が4倍を超えると窪みが扁平化して摩擦が大きくなることがあり、倍率が1.1倍未満の場合、ヤング率等の物性が低下することがある。延伸倍率は、フィルム物性と窪みの両立が図れることから、面倍率で1.1〜3倍であることがより好ましい。
【0046】
なお、本発明のフィルムは、積層フィルムであってもよい。積層の方法としては、通常の方法、たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法などを用いればよい。
【0047】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、窪みを形成した層と反対の面に走行性をより良くするために、粒子を含有する層を設けても構わない。粒子を含有する層は、平均粒径が5nm以上200nm未満の無機粒子及び/または有機粒子を0.001重量%以上、0.1重量%未満含有することが好ましい。好ましい無機粒子としては、例えば、SiO2、TiO2、Al23、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げられる。粒子の添加は、製膜溶液と同じ溶媒に分散後、重合前または重合後のポリマー溶液に添加することが好ましい。
【0048】
このようにして、本発明のフィルムを得ることができるが、これに限定されるものではない。
【0049】
本発明のフィルムは、コンピューターのデータバックアップ用テープ等の磁気記録媒体、フレキシブルプリント基板等の回路基板用途、偏光板、位相差板、反射防止板、ディスプレー等の表示用部材、あるいは、ディスプレー、タッチパネルや光ディスクの上部に設けた保護フィルム等、透明性を求められる分野でも好ましく用いることができる。特に、高温下でも表面平滑性と走行性を両立できることから、磁気記録媒体用途に好適に用いることができる。
【0050】
本発明芳香族ポリアミドフィルムをベースフィルムとして磁気記録媒体を形成する場合、磁性層の形成は、塗布法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、クラスターイオンビーム法等が挙げられるが、特に高温で熱処理を行うスパッタリング法を用いると本発明の効果を十分に発揮することができるので好ましい。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の実施例を説明する。本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
【0052】
(1)窪み平均径
日立株式会社製超高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)S−900Hを用いて以下の条件でフィルムの中央部長手方向に10cmごとに5ヶ所観察した。それぞれのSEM像において、5μm四方内のそれぞれの窪みの(長径+短径)/2をその窪みの径とし、平均値を求めた。
【0053】
加速電圧:2kV
試料調整:シャドーイング(5°)
観察倍率:30,000倍
(2)窪み個数
縁の高さが10nm以上の窪みの個数は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で測定し、平坦面から高さ10nm以上の突起個数を求めた。測定点は、フィルム幅方向中央部において長手方向に10cm間隔で5ヶ所とり、その平均値を求めた。深さ5nm以上の窪み個数は、上記AFM画像を平坦面を中心に上下反転させた像の平坦面から高さ(窪みとしては深さ)5nm以上の個数を求めた。
【0054】
装置:Nano Scope III AFM (Digital Instruments社製)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モ−ド:タッピングモード
走査範囲:5μm×5μm
走査速度:0.5Hz
測定環境:25℃、相対湿度65%
(3)磁気特性
非磁性支持体(フィルム)に対して、連続斜め蒸着法で、厚さ90nmのCo−O磁性層を形成した。次に磁性層上にスパッタ法により、厚さ5nmのダイヤモンドライクコーティング膜を形成し、更に、その上に、有機物防錆剤0.1重量%を溶液をグラビアロールを用いて塗布し、100℃のドライヤーで乾燥させた。その後に、潤滑剤としてパーフルオロ・ポリエーテル誘導体よりなる有機物を主体とした0.5重量%溶液を同様にグラビアロールにて塗布乾燥させた。次に、非磁性支持体の反対面にカーボンを主体とし、結合剤として酢酸ビニル系を使用した厚さ0.3μmのバックコート層を形成した。以上のようにして得られた磁気記録媒体原反を幅8mm、長さ250mに裁断して、カセットに組み込み磁気テープとした。このテープを、ドラムテスター(ヘッドギャップ長:0.12μm)を用いて、テープ相対速度6.8m/sの条件下、周波数24MHzにおける出力及び周波数範囲1〜26MHzにおけるノイズを測定し、S/N比を求めた。尚、市販のAIT−1テープを比較測定し、そのS/N比を基準とし、以下の判定を行った。
【0055】
○:+1.5dB以上
△:+0.5dB以上、+1.5dB未満
×:+0.5dB未満。
【0056】
(4)走行性
(3)に記載の方法で磁性層を形成したフィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたものをテープ走行性試験機SFT−700型((株)横浜システム研究所製)を使用し、40℃、80%RH雰囲気で走行させ、50パス目の摩擦係数を下記の式より求めた。
【0057】
μK=0.733log10(T2/T1)
ここでT1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド径は6mmφであり、ガイド材質はポリオキシメチレン(表面粗さ20〜40nm程度のもの)、巻き付け角は90°、走行速度は3.3cm/秒、繰返しストロ−クは15cmである。この方法で測定した1回目の測定値をμK(1)、100回目の測定値をμK(100)とした時、以下の基準で評価した。△以上が実用範囲である。
【0058】
○:|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|≦0.05
△:0.05<|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|
≦1.0
×:|(μK(100)−μK(1))/μK(1)|>1.0
(5)耐摩耗性
フィルムを1インチ幅にスリットしたテープ状ロールを、テープ走行試験機TBT−300((株)横浜システム研究所製)を使用し、ステンレス鋼SUS−304製ガイドロールに下記条件で擦りつけ、ガイドロール表面に発生した白粉量によって次の3段階にランク付けした。△以上が実用範囲である。
【0059】
測定条件 おもり:200g
走行速度:5cm/秒
走行長さ:10cm
繰り返し数:100回
巻き付け角:90°
○:白粉発生全くなし〜少量あり
△:白粉発生やや量あり
×:白粉発生多量あり
本発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す)に芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンと15モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合し、ポリマーAを合成した。これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3,000ポイズの芳香族ポリアミド溶液(以下、溶液Aとする)を得た。
【0061】
別に、脱水したNMPに芳香族ジアミン成分として50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを溶解させ、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。このポリマー溶液を重量換算で20倍の水とともにミキサーに導入し、ポリマーを粉砕しながら沈殿させた。更に大量の水で洗浄後、乾燥させた。このようにして分離したポリマーBを溶液AにポリマーAに対して3重量%になるように添加し、製膜原液を得た。
【0062】
上記のように調製した製膜原液を押し出し機で口金に供給し表面が鏡面状のステンレス製ベルト上に流延した。この流延されたポリマー溶液を160℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させた。次に水槽内へフィルムを2分間通して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。この間に、フィルムの長手方向に1.2倍延伸を行った。この後、テンター中で、温度280℃の熱風下に、フィルムの幅方向に1.5倍で延伸を行った後、280℃で1.5分間熱処理を行った。こうして総厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0063】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気特性、走行性、耐摩耗性はいずれも実用範囲内であった。
【0064】
(実施例2)
ポリマーBを溶液AにポリマーAに対して18重量%になるように添加する以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0065】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気特性、走行性、耐摩耗性はいずれも実用範囲内であった。
【0066】
(実施例3)
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液に50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを溶解後、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを前記ポリマー単位に対してブロック共重合させるポリマー単位が18重量%になるように添加し、更に2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
【0067】
以降、実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0068】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気特性、走行性、耐摩耗性はいずれも優れたものであった。
【0069】
(実施例4)
脱水したNMPに芳香族ジアミン成分として70モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと30モル%に相当する4,4’−ジアミノベンゾフェノンを溶解させ、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。このポリマー溶液を重量換算で20倍の水とともにミキサーに導入し、ポリマーを粉砕しながら沈殿させた。更に大量の水で洗浄後、乾燥させ、ポリマーCを得た。
【0070】
以降、ポリマーCを溶液AにポリマーAに対して12重量%になるように添加する以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0071】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気特性、走行性、耐摩耗性はいずれも実用範囲内であった。
【0072】
(実施例5)
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液に70モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと30モル%に相当する4,4’−ジアミノベンゾフェノンを溶解後、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを前記ポリマー単位に対してブロック共重合させるポリマー単位が12重量%になるように添加し、更に2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
【0073】
以降、実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0074】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気特性、走行性、耐摩耗性はいずれも優れたものであった。
【0075】
(実施例6)
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液に100モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを溶解後、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを前記ポリマー単位に対してブロック共重合させるポリマー単位が6重量%になるように添加し、更に2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
【0076】
以降、実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0077】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、磁気特性、走行性、耐摩耗性はいずれも優れたものであった。
【0078】
(比較例1)
ポリエーテルスルホン(住友化学(株)製スミカエクセルPES−7600P、固有粘度0.78dl/g、Tg=225℃、以下、PESと略す)を溶液AにポリマーAに対して6重量%になるように添加し製膜原液を得た。以降、延伸及び熱処理温度を350℃にする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0079】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、くぼみの縁が高く磁気特性が悪かった。
【0080】
(比較例2)
脱水したNMPに芳香族ジアミン成分として86モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンと、7モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルと7モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルスルホンを溶解させ、これに85モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドと14モル%に相当するテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌して重合した。これを炭酸リチウムで中和して、ポリマ濃度10重量%、粘度3,000ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。以降、実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0081】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、窪みが形成されず、走行性が悪かった。
【0082】
(比較例3)
ポリマーBを溶液AにポリマーAに対して2重量%になるように添加する以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0083】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、窪みの個数が少なく、走行性が悪かった。
【0084】
(比較例4)
ポリマーBを溶液AにポリマーAに対して22重量%になるように添加する以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0085】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、窪みの径が大きく、磁気特性が悪かった。
【0086】
(比較例5)
脱水したNMPに100モル%に相当する2−クロロパラフェニレンジアミンを溶解させ、99モル%に相当する2−クロロテレフタル酸クロライドを添加し、2時間攪拌により重合した。次に、この溶液に50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを溶解後、99モル%に相当するテレフタル酸クロライドを前記ポリマー単位に対してブロック共重合させるポリマー単位が22重量%になるように添加し、更に2時間攪拌により重合した。この後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度10重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
【0087】
以降、実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0088】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、窪みの個数が多く、磁気特性が悪かった。
【0089】
(比較例6)
ベルト上に流延したポリマー溶液の乾燥条件を240℃で1分間にする以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚み4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0090】
このフィルムの表面特性、磁気テープ性能を表1に記すが、走行性、耐摩耗性が悪化した。
【0091】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明のフィルムは、コンピューターのデータバックアップ用テープ等の磁気記録媒体、フレキシブルプリント基板等の回路基板用途、偏光板、位相差板、反射防止板、ディスプレー等の表示用部材、あるいは、ディスプレー、タッチパネルや光ディスクの上部に設けた保護フィルム等にも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。特に、出力特性と走行耐久性が要求される磁気記録媒体において好ましく使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に平均径が20〜500nmで深さが5nm以上である窪みが1×106〜2×108個/mm2存在し、かつ高さが10nmを超える縁を有する窪みの数が5×106個/mm2以下である芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項2】
式(1)で示される芳香族ポリアミドと式(3)で示される芳香族ポリアミドとを含み、式(3)で示される芳香族ポリアミドの含有量が、式(1)で示される芳香族ポリアミドに対して3〜20重量%である、請求項1に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
式(1):
【化1】

ここで、Ar1、Ar2はいずれも式(2)で示される構造を70モル%以上含有する。
式(2):
【化2】

式(3):
【化3】

ここで、Ar3、Ar4の少なくとも一方は、式(4)で示される構造を70モル%以上含有する。
式(4):
【化4】

ここで、X、Yは、−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH32−から選ばれる。
【請求項3】
式(3)におけるX、Yが共に[−O−]基である、請求項2に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項4】
式(1)で示される芳香族ポリアミドに式(3)で示される芳香族ポリアミドがブロック共重合している、請求項2または3に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けてなる磁気記録媒体。

【公開番号】特開2006−2111(P2006−2111A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182392(P2004−182392)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】