説明

芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド、その製造方法およびその使用方法

本開示は、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド、その製造方法およびその使用方法に関する。本発明においては、エステル交換触媒が、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドに関する製造プロセスの間に添加され、ブレンド成分の混和性を改良する。芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、良好な機械的特性、熱加工性、および難燃性特性を有し、機械製品あるいは部品、電子機器および/または部品、建築材料および/または商品に幅広く応用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年9月11日に出願された中国特許出願200810042811.2に基づく優先権を主張するものであり、その内容をそのままここに引用し含ませるものである。
本発明は、樹脂、特に芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド、その製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリカーボネートは良好な透明性、機械的特性(例えば、耐衝撃性)および難燃性特性を呈するポリマーである。このポリマーは、エンジニアリングプラスチック、および建築材料に幅広く応用されているが、該ポリマーの熱加工性が、ある用途には充分でない。
【0003】
ポリ乳酸は、良好な生分解性および引張り強さを有している。このポリマーは、医用材料および環境に優しい材料の分野での応用に適している。加えて、ポリ乳酸は容易にリサイクルできる。ポリ乳酸のモノマーである乳酸は再生可能な天然資源(例えば、デンプン)で調製することができる。しかしながら、ポリ乳酸は、脆くて耐衝撃性の低い材料であるばかりでなく、低い溶融粘度を有している。
【0004】
芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸をブレンドすることは、これらの2つのポリマーの有利な点を組み合わせる実現可能な方法であるが、それらのポリマー間の混和性が低いため、見て直ぐに分る相分離が起こり、ブレンドの機械的特性が著しく低下する。
【0005】
JP2007056247、JP2006111858およびJP2006199743は、適合剤(compatibilizer)を添加することにより、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの性能を向上させる方法を開示しており、その方法における適合剤はアクリル樹脂またはスチレン樹脂に基づくグラフトコポリマー、グリシジルまたは無水物に基づくコポリマー、およびビニルグラフトコポリマーからなるものである。
【0006】
適合剤は、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの機械的特性を向上させたが、適合剤は芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドを製造するコストを増加させた。
【0007】
JP2006028299およびEP1792941は、連鎖延長剤を添加することにより芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの混和性を向上させる方法を開示しており、その方法における連鎖延長剤は、ジイソシアネート、ビスフェノールAエポキシオリゴマーおよびカルボジイミドを含むのである。しかしながら、この方法は芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの分子量を著しく増加させ、それに応じてブレンドの溶融粘度を増加させてブレンドを加工処理することをより一層困難とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、改良された機械的特性を有する芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸の経済的なブレンドを提供すると共に、それを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
さらに、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドを含む機械製品および/または部品、電子機器および/または部品、建築材料および/または商品を提供すると共に、機械製品および/または部品、電子機器および/または部品、建築材料、および/または商品の製造時における芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの使用を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらおよび他の目的は、以下の成分のブレンド生成物を含む芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドにより解決することができる:
(a) 成分(a)および(b)100重量部当たり、芳香族ポリカーボネート5−95重量部;
(b) 成分(a)および(b)100重量部当たり、ポリ乳酸95−5重量部;および
(c) 成分(a)および(b)100重量部当たり、エステル交換触媒0.05−1重量部。
【0011】
該ブレンドは
(d) 成分(a)および(b)100重量部当たり、難燃剤1−25重量部;および
(e) 成分(a)および(b)100重量部当たり、フッ素系樹脂0.3−2重量部、好ましくは0.5−2重量部
をさらに含むことができる。
【0012】
該ブレンドは
(f) 潤滑剤、離型剤、核剤、スタビライザー、フィラー、補強剤、帯電防止剤、色素(dyestuff)、および/または顔料からなるグループから選択される添加剤を、成分(a)および(b)100重量部当たり、0.5−10重量部
さらに含むことができる。
【0013】
さらに、横たわる問題は、(a)、(b)および(c)成分をブレンドすることを含む芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの製造方法を採用することにより解決できる:
(a) 成分(a)および(b)100重量部当たり、芳香族ポリカーボネート5−95重量部;
(b) 成分(a)および(b)100重量部当たり、ポリ乳酸95−5重量部;および
(c) 成分(a)および(b)100重量部当たり、エステル交換触媒0.05−1重量部。
【0014】
該方法は、
(d) 成分(a)および(b)100重量部当たり、難燃剤1−25重量部;および/または
(e) 成分(a)および(b)100重量部当たり、フッ素系樹脂0.3−2重量部、好ましくは0.5−2重量部
を添加することをさらに含むことができる。
【0015】
該方法は、
(f) 潤滑剤、離型剤、核剤、スタビライザー、フィラー、補強剤、帯電防止剤、色素、および/または顔料からなるグループから選択される添加剤を、成分(a)および(b)100重量部当たり、0.5−10重量部
を添加することをさらに含むことができる。
【0016】
本開示の組成物の有利な点は、エステル交換触媒が芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドプロセスの間に添加されることにより、ブレンド成分の混和性が改良されるということを含む。芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、良好な機械的特性、熱加工性および難燃性特性が付与される。芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、機械製品及び/又は部品、電子機器および/または部品、建築材料、および/または商品に広く応用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、成分a,bおよびcのブレンド生成物を含有するものである。
【0018】
成分a
成分aは、芳香族ポリカーボネートである。芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定)は、10,000−200,000、好ましくは15,000−80,000、最も好ましくは24,000−32,000であるが、それらに限定されるものではない。
【0019】
芳香族ポリカーボネートは、例えば、DE−A1495626,DE−A2232877,DE−A2703376,DE−A2714544,DE−A3000610およびDE−A3832396に開示された方法によって製造できる。
【0020】
芳香族ポリカーボネートは、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物類(以下、ジフェノール類という)と炭酸二ハロゲン化物および/または芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物類との転化(conversion)によって製造できる。炭酸ハロゲン化物はホスゲンであってよいが、それに限定されるものではない。芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物類はベンゼンジカルボン酸二ハロゲン化物類のグループから選択することができるが、それらに限定されるものではない。界面法(phase-boundary process)に従って、連鎖停止剤または枝分れ剤(branching agents)を任意にさらに使用することができる。連鎖停止剤はモノフェノール類から選択することができるが、それらに限定されるものではない。枝分れ剤は3官能または3官能以上の枝分れ剤、より好ましくはトリフェノール類またはテトラフェノール類から選択することができるが、それらに限定されるものではない。芳香族ポリカーボネートは、同様に、ジフェノール類とジフェニルカーボネートとの転化により溶融重合法を経て製造することもできる。
【0021】
ジフェノール類は式(I)のジフェノール類が好適である。
【化1】

【0022】
式中、Aは単結合、好ましくはC〜Cアルキレン、C〜Cアルキリデン、C〜Cシクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO−、C〜C12アリーレンである。Aは、芳香環、ヘテロ原子、または式(II)または(III)の残基を任意にさらに含むことができる。
【化2】

【0023】
BはC〜C12アルキルまたはハロゲンから選択することができるが、それらに限定されるものではない;C〜C12アルキルはメチルから選択できるが、それに限定されるものではない;ハロゲンは塩素および/または臭素から選択することができるが、それらに限定されるものではない;
xはいずれの場合も、互いに独立して0、1または2である;
pは1または0である;
およびRはそれぞれのXにおいて個別に選択され、かつ互いに独立して水素またはC〜Cアルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルである;
は炭素である;および
mは4〜7の整数、好ましくは4または5を示す;但し、少なくとも1つの原子X上においてRおよびRは同時にアルキルである。
【0024】
ジフェノール類は、ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシジフェノール類、ビス(ヒドロキシフェニル)−C〜C−アルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)−C〜C−シクロアルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、α,α−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン類およびそれらの環ブロモ化および/または環クロロ化誘導体から選択することができるが、それらに限定されるものではない。ジフェノール類として特に好ましいものは、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびそれらのジブロモ化およびテトラブロモ化またはクロロ化誘導体、例えば2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンまたは2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。ジフェノールとして最も好ましいものは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)である。ジフェノール類は単独で使用されてもよいし、任意の混合物の形態で使用されてもよい。ジフェノール類は文献から既知であるか、または既知の方法により得ることができる。
【0025】
連鎖停止剤は、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノール、長鎖アルキルフェノール類から選択することができるが、それらに限定されるものではない。長鎖アルキルフェノール類は、4−[2−(2,4,4−トリメチルペンチル)]フェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、アルキル置換基の炭素原子数が合計で8〜20であるモノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール類、例えば3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−iso−オクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノールおよび2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールから選択することができるが、それらに限定されるものではない。連鎖停止剤の使用量は、与えられた場合において使用されるジフェノール類100モル%当たり、0.5−10モル%である。
【0026】
芳香族ポリカーボネート類は既知の方法で、好ましくは官能価が3またはそれ以上の化合物を、使用されるジフェノール類100モル%当たり0.05モル%−2.0モル%混合することにより枝分れされてもよい。当該官能価が3またはそれ以上の化合物は3およびそれ以上のフェノール基を有することが好ましい。
【0027】
ジカルボン酸二ハロゲン化物類は、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル4,4'−ジカルボン酸およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸の二酸二塩素化物から選択することができるが、それらに限定されるものではなく、より好ましくはイソフタル酸とテレフタル酸の二酸二塩素化物の1:20〜20:1比率の混合物である。
【0028】
芳香族ポリカーボネート類はビスフェノールAポリカーボネート類のグループから選択することができるが、それらに限定されるものではない。
【0029】
芳香族ポリカーボネート類の使用量は、成分aおよびb100重量部当たり、5−95重量部、好ましくは50−90重量部、より好ましくは70−90重量部である。
【0030】
成分b
成分bはポリ乳酸である。成分bは、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸またはそれらの混合物から選択することができるが、それらに限定されるものではない。ポリ乳酸の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定)は、15,000−1,000,000、好ましくは40,000−100,000、より好ましくは80,000−100,000であるが、それらに限定されるものではない。
【0031】
ポリ乳酸の純度は特に限定されず、好ましくは80重量%以上のポリL−乳酸および/またはポリD−乳酸を含むポリ乳酸であり、より好ましくは90重量%以上のポリL−乳酸および/またはポリD−乳酸を含むポリ乳酸である。
【0032】
ポリ乳酸の使用量は、成分aおよびb100重量部当たり、95−5重量部、好ましくは50−10重量部、より好ましくは30−10重量部である。
【0033】
成分c
成分cはエステル交換触媒である。エステル交換触媒は芳香族ポリカーボネート類とポリ乳酸との間でエステル交換を促進できる触媒である。エステル交換触媒は、ルイス酸、窒素含有化合物、アルカリ金属塩、およびアルカリ土類金属塩から選択することができるが、それらに限定されるものではない。
【0034】
ルイス酸は、錫化合物、チタン化合物、アンチモン化合物、亜鉛化合物およびホウ素化合物から選択することができるが、それらに限定されるものではない。錫化合物は、ジブチル錫オキシド、錫オキサレートおよび錫アセテートから選択することができるが、それらに限定されるものではない。チタン化合物は、テトラブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、チタンオキサレートおよび二酸化チタンから選択することができるが、それらに限定されるものではない。アンチモン化合物は、三酸化アンチモンおよびタルトレートアンチモニル塩から選択することができるが、それらに限定されるものではない。亜鉛化合物は、亜鉛ステアレートおよび亜鉛アセチルアセトネートから選択することができるが、それらに限定されるものではない。ホウ素化合物は、トリフェニルボロンおよび亜鉛ボレートから選択することができるが、それらに限定されるものではない。
【0035】
窒素含有化合物は、第四アミンヒドロキシド、第三アミン、第二アミン、第一アミンおよび含窒素ヘテロ環式化合物類(nitrogenous heterocyclic compounds)から選択することができるが、それらに限定されるものではない。第四アミン水和物は一般式NR(OH)(式中、Rは炭素原子数1−25のアルキルまたはアリールである)で表すことができる。第四アミン水和物は、テトラメチルアミンヒドロキシド、テトラエチルアミンヒドロキシド、テトラブチルアミンヒドロキシド、テトラアニリンヒドロキシドから選択することができるが、それらに限定されるものではない。第三アミンは、一般式NR(式中、Rは炭素原子数1−25のアルキルまたはアリールである)で表すことができる。第三アミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、ジフェニルメチルアミンから選択することができるが、それらに限定されるものではない。第二アミンは一般式NHR(式中、Rは炭素原子数1−25のアルキルまたはアリールである)で表すことができる。第二アミンは、ジ-n-プロピルアミンおよびジフェニルアミンから選択することができるが、それらに限定されるものではない。第一アミンは一般式NHR(式中、Rは炭素原子数1−25のアルキルまたはアリールである)で表すことができる。第一アミンはn-オクチルアミンおよびアニリンから選択することができるが、それらに限定されるものではない。含窒素ヘテロ環式化合物類は、ピリジン、メチルピリジン、メトキシピリジン、キノリンおよびイミダゾールから選択することができるが、それらに限定されるものではない。
【0036】
アルカリ金属塩は、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の水素化物、アルカリ金属のアミド、アルカリ金属のカーボネート、アルカリ金属のホスフェート、アルカリ金属のボレートおよびアルカリ金属の有機塩から選択することができるが、それらに限定されるものではない。アルカリ金属の有機塩は、アルカリ金属の有機酸塩、アルカリ金属のフェノラートおよびアルカリ金属のアルコキシドから選択することができるが、それらに限定されるものではない。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムのグループから選択することができる。
【0037】
アルカリ土類金属塩は、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ土類金属のアミド、アルカリ土類金属のカーボネート、アルカリ土類金属のホスフェート、アルカリ土類金属のボレートおよびアルカリ土類金属の有機塩から選択することができるが、それらに限定されるものではない。アルカリ土類金属の有機塩は、アルカリ土類金属の有機酸塩、アルカリ土類金属のフェノラートおよびアルカリ土類金属のアルコキシドから選択することができるが、それらに限定されるものではない。アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウムおよびバリウムから選択することができるが、それらに限定されるものではない。
【0038】
エステル交換触媒としてルイス酸がより好ましく、テトラブチルチタネートおよびジブチル錫オキシドが最も好ましい。
【0039】
エステル交換触媒の使用量は、成分aおよびb100重量部当たり、0.05−1重量部、好ましくは0.1−0.5重量部、より好ましくは0.1−0.2重量部である。
【0040】
成分dおよびe
本発明において芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの成分に、成分dおよびeを任意にさらに含めることができる。
【0041】
成分dは難燃剤である。難燃剤は芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの難燃性特性を改良することができる。難燃剤は、臭素系難燃剤、リン系難燃剤(phosphorous based flame retardant)、窒素化合物系難燃剤、ケイ素系難燃剤および他の無機難燃剤から選択することができるが、それらに限定されるものではない。
【0042】
臭素系難燃剤は、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー類およびブロモ化エポキシ樹脂類から選択することができるが、それらに限定されるものではない。
【0043】
リン系難燃剤は、ホスフェートエステル類、ポリホスフェートエステル類および有機ホスフェート塩類から選択することができるが、それらに限定されるものではない。リン系難燃剤は、好ましくは、モノ−およびオリゴマーリン酸およびホスホン酸エステル類、ホスホネートアミン類(phosphonatamines)およびホスファゼン類(phosphazenes)のグループから選択される。
【0044】
好ましいモノ−およびオリゴマーリン酸またはホスホン酸エステル類は、式(VIII)
【化3】


(式中、R、R、RおよびRは、互いに独立して、いずれの場合も任意にハロゲン化されていてもよいC〜C−アルキル、またはいずれの場合も任意にアルキル、好ましくはC〜C−アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素または臭素により置換されていてもよいC〜C−シクロアルキル、C〜C20−アリールまたはC〜C12−アラルキルであり、
nは、互いに独立して0または1であり、
qは、0〜30であり、かつ
Xは、C原子を6〜30個有する単核もしくは多核芳香族基、またはC原子を2〜30個有する直鎖状もしくは分枝状脂肪族基であり、これらはOH置換されていてもよく、8個以下のエーテル結合を含んでいてもよい。)
のリン化合物を包含する。
【0045】
好ましくは、R、R、RおよびRは、互いに独立して、C〜C−アルキル、フェニル、ナフチルまたはフェニル−C〜C−アルキルである。芳香族基R、R、RおよびRはそれぞれ、ハロゲン基および/またはアルキル基、好ましくは塩素、臭素および/またはC〜C−アルキルで置換されていてもよい。特に好ましいアリール基は、クレシル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニルおよびそれらの対応する臭素化および塩素化誘導体である。
【0046】
式(VIII)中、Xは、好ましくは、C原子を6〜30個有する単核または多核芳香族基である。これは、好ましくは、式(I)のジフェノール類から誘導される。
式(VIII)中、nは、互いに独立して、0または1であり、nは好ましくは1である。
qは、0〜30の値であり、好ましくは0.3〜20、特に好ましくは0.5〜10、特に0.5〜6、非常に好ましくは1.05〜1.6、最も好ましくは1.05〜1.2の値である。
Xは、特に好ましくは、
【化4】

またはそれらの塩素化もしくは臭素化誘導体であり、特にXは、レソルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールAまたはジフェニルフェノールから誘導される。Xは、特に好ましくはビスフェノールAから誘導される。
【0047】
本発明の成分eとして、種々のホスフェート類の混合物を使用することもできる。
【0048】
式(VIII)のリン化合物は、特に、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジフェニルクレシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル2-エチルクレシルホスフェート、トリ−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レソルシノール−架橋オリゴホスフェート(resorcinol-bridged oligophosphate)およびビスフェノールA−架橋オリゴホスフェート(bisphenol A-bridged oligophosphate)であり得る。ビスフェノールAから誘導された式(VIII)のオリゴマーリン酸エステルを使用することが特に好ましい。
【0049】
式(VIIIa)
【化5】

(式(VIIIa)中、qは、1.05〜1.2の値である)のビスフェノールA系オリゴホスフェートが成分eとして最も好ましい。
【0050】
成分eのリン化合物は既知である(例えば、EP−A0363608、EP−A0640655参照。)か、または既知の方法と類似した方法で製造され得る(例えば、ウールマンズ・エンズィクロパディ・デル・テクニシェン・ケミー(Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie)、第18巻、第301頁以降参照、1979年;ホイベン−ビール(Houben-Weyl)、メソデン・デル・オーガニシェン・ケミー(Methoden der organischen Chemie)、第12/1巻、第43頁;バイルスタイン(Beilstein)、第6巻、第177頁)。
【0051】
種々のリン化合物の混合物を用いる場合、およびオリゴマーリン化合物を用いる場合、記載されるq値は平均q値である。平均q値は、好適な方法(ガスクロマトグラフィー(GC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC))によってリン化合物の組成(分子量分布)を決定し、それらからqに関する平均値を計算することによって測定できる。
【0052】
さらにまた、WO−A00/00541およびWO−A01/18105に記載されているようなホスホネートアミン類およびホスファゼン類を防炎加工剤として使用することができる。
【0053】
窒素化合物系難燃剤は、含窒素ヘテロ環式化合物類から選択することができるが、それらに限定されるものではない。
ケイ素系難燃剤は、シリコーン樹脂類およびシリコーンオイル類から選択することができるが、それらに限定されるものではない。
使用できる他の無機難燃剤は、アルミニウムヒドロキシド、亜鉛ボレートおよび膨張グラファイト(expanded graphite)から選択することができるが、それらに限定されるものではない。
防炎加工剤は単独で用いられても、互いの所望の混合物中で用いられても、別の防炎加工剤との混合物中で用いられてもよい。
【0054】
難燃剤の使用量は、成分aおよびb100重量部当たり、1−25重量部が有利であり、好ましくは2−20重量部、より好ましくは3−15重量部、最も好ましくは5−15重量部である。
【0055】
任意成分eはフッ素系樹脂である。フッ素系樹脂は、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドに関し、燃焼中の耐滴下特性(anti-dropping property)を改良することができる。
【0056】
フッ素系樹脂は、繰り返し単位にフッ素を含有するC−C主鎖ポリマーから選択することができるが、それらに限定されるものではない。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンの混合粉体が好ましく、該ポリテトラフルオロエチレンの混合粉体はポリテトラフルオロエチレンおよび有機ポリマーからなる。有機ポリマーは、スチレン・アクリロニトリルコポリマーから選択することができるが、それらに限定されるものではない。フッ素系樹脂の重量平均分子量は100,000−1,000,000が好ましい。
【0057】
さらに好適な有機ポリマーは、例えば、ポリアクリレート類である。PTFEは、上記したブレンド(混合粉体)中、30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%、最も好ましくは40〜55重量%の比率で存在する。
【0058】
好適なブレンドは、例えば、ジー・イー・スペシャリティー・ケミカルズ社(GE Speciality Chemicals)から商標名ブレンデックス(Blendex)(登録商標)449のもと、または三菱レーヨン社からメタブレン−Aシリーズ(Metablen-A Series)のもの市販されている。当該ブレンドは、PTFEエマルションと、好適なブレンドパートナーのエマルションとを混合することによって製造できる。当該ブレンドは、好適な方法、例えば、凝固法(coagulation)、凍結乾燥法(freeze drying)、噴霧乾燥法(spray drying)等によって、得られた混合物から得られる。
【0059】
フッ素系樹脂の使用量は、成分aおよびb100重量部当たり、0.3−2重量部、好ましくは0.5−2重量部、より好ましくは0.5−1.5重量部、最も好ましくは1.0−1.5重量部である。
【0060】
成分f
本発明において、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの成分に、成分fを任意にさらに含めることができる。
【0061】
成分fは添加剤である。当該添加剤は、潤滑剤、離型剤(例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート)、核剤、スタビライザー、フィラー、補強剤、帯電防止剤(例えば、導電性カーボンブラック、カーボンファイバー、金属ファイバー、カーボンナノチューブならびにポリアルキレンエーテル類、アルキルスルホネート類またはポリアミド含有ポリマー類などの有機帯電防止剤)、色素、および顔料からなるグループから選択される少なくとも1種のものである。
【0062】
当該添加剤の使用量は、成分aおよびb100重量部当たり、好ましくは0.5−10重量部、より好ましくは0.5−5重量部である。
【0063】
好適な製造方法および使用方法
芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドを製造する方法は、好適には、成分a、bおよびcをブレンドし、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドを得ることを含む。
成分には、成分dおよびeを任意にさらに含めることができる。
成分には、成分fを任意にさらに含めることができる。
【0064】
成分をブレンドした後、溶融ブレンドし、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドを得ることができる。溶融ブレンド温度は成分bの融点以上が有利であり、成分bの分解温度未満であることも有利である。好適な溶融ブレンド温度は芳香族ポリカーボネートとポリ乳酸との比率によって決定することができ、芳香族ポリカーボネートの含量が多いほど、溶融ブレンド温度を高くするべきである。溶融ブレンド温度は210−260℃、好ましくは220−230℃から選択することができるが、それらに限定されるものではない。
【0065】
芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、押出成形法、射出成形法、吹込成形法、紡糸法(spinning into fibre)などのあらゆる方法によって様々な製品に加工できる。例えば、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、押出成形法により、例えばフィルム、吹込フィルム、フレーク、パイプ、スティック、紐(string)、繊維および/または他の種類の押出成形品に製造できる。また例えば、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、射出成形法により、様々な形状の射出成形品に加工することもできる。
【0066】
芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、機械製品および/または部品、電子機器および/または部品、建築材料および/または商品の製造に使用することができる。機械製品および/または部品は、機械設備の取付具、軸受、ギア、バルブ、ステント(stent)、ベース、パレットおよび/またはエンジン部品を包含するが、それらに限定されるものではない。電子機器または部品は、電子機器のシェル、カバーキャップ、部品、スイッチ、ステント、ベースおよび/またはパレットを包含するが、それらに限定されるものではない。建築材料は、メンブランプレート(membrane plate)、太陽光パネル、耐久パネル(endurance panel)、ライトボックス(light box)、窓枠、および/またはカーテンウォール(curtain wall)を包含するが、それらに限定されるものではない。商品は、食品容器、液体容器、玩具、事務用機器、スポーツ用品および/またはコンパクトディスクを包含するが、それらに限定されるものではない。
【実施例】
【0067】
実施例
以下の実施例を用いて本発明を説明する。以下の実施例を示す目的は本発明を説明することだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。特記しない限り、実施例に対応する表に記載の数字は全て重量部の値である。
【0068】
実施例に記載の特性について以下の方法により測定した。
(1)引張特性
厚み4.0mmの引張試験用試料を射出成形法により製造した。試料の引張弾性率および破断伸びをISO527法(50mm/分)に従って測定した。
【0069】
(2)耐衝撃性
厚み4.0mmの衝撃強さ試験用試料を射出成形法により製造した。試料の衝撃強さをISO180−1A法(23℃、5.5J)に従って測定した。
【0070】
(3)メルティングインデックス(Melting Indexes)
プラスチック粒体を用い、ISO1133法(240℃、5kg)に従ってメルティングインデックスを測定した。
【0071】
(4)難燃特性
127mm×12.7mm×3.2mm寸法の燃焼試験用試料を射出成形法により製造した。米国標準UL−94鉛直燃焼試験法(US standard UL-94 Vertical Burning Experiment Method)に従って難燃特性を試験した。難燃特性の最高ランクから最低ランクをV−0、V−1からV−2まで格付けした。前記格付けと一致しない試料は規格外とした。
【0072】
実施例1〜6,比較例C1〜C5
実施例1〜4および比較例C1〜C3は表1に従った。
実施例5〜6および比較例C4〜C5は表2に従った。
【0073】
表1および表2に示すデータに従って以下の成分をブレンドした:
(a)GPCにより測定され、ポリスチレン標準試料により換算された重量平均分子量が26,000のビスフェノールAポリカーボネート;
(b)GPCにより測定され、ポリスチレン標準試料により換算された重量平均分子量が100,000のポリ乳酸;
(c)純度が99.5%のテトラブチルチタネート。
【0074】
25mm径の二軸押出機をシリンダー温度220℃および回転速度90rpmの条件下で用いて、ブレンド成分を溶融ブレンドし、ダイから溶融ストランドとして取り出し、冷却用空気により冷却した後、標準カッターによりペレット化樹脂組成物を得た。
【0075】
芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドについての特性を前記(1)〜(4)の方法に従って測定した。測定結果を表1および表2に示した。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例1〜4および比較例C1〜C3によれば、
単一の芳香族ポリカーボネート(例えばビスフェノールAポリカーボネート)を含む樹脂は良好な引張弾性率、破断伸びおよび衝撃強さを示した。しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂はメルトフロー(melt flow)が劣った;すなわち、その熱加工性が劣った。
単一のポリ乳酸(例えばポリL−乳酸)を含む樹脂は良好なメルト流動性(melt fluidity)および引張特性を示した。しかしながら、ポリ乳酸樹脂は破断伸びおよび衝撃強さが劣った;すなわち、ポリ乳酸樹脂は脆かった。
芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド(エステル交換触媒なし、C3)は混和性が劣ったため、その破断伸びおよび耐引張特性が理想的ではなかった。
【0078】
芳香族ポリカーボネート、ポリ乳酸およびエステル交換触媒(例えばテトラブチルチタネート)のブレンドは、混和性が改良されるため、良好な衝撃強さ、破断伸び、耐引張特性およびメルト流動性の特徴を兼ね備える。
【0079】
【表2】

【0080】
実施例5および比較例C4によれば、
高含量の芳香族ポリカーボネート(例えばビスフェノールAポリカーボネート)、低含量のポリ乳酸(例えばポリL−乳酸)およびエステル交換触媒(例えばテトラブチルチタネート)を含む芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドは、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸を含み、エステル交換触媒を含まない芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドよりも、引張弾性率および破断伸びが良好であった。
要するに、エステル交換触媒を添加することにより、ブレンドの混和性を改良することができた。従って、芳香族ポリカーボネート、ポリ乳酸およびエステル交換触媒のブレンドは芳香族ポリカーボネートの利点を有するだけでなく、ポリ乳酸の利点も有する。当該ブレンドは物性のバランスが良好である。
【0081】
実施例7〜11、比較例C6
実施例7〜11および比較例C6は表3に従った。
【0082】
表3に示すデータに従って以下の成分をブレンドした:
(a)ポリスチレン標準試料により換算された重量平均分子量が26,000のビスフェノールAポリカーボネート;
(b)ポリスチレン標準試料により換算された重量平均分子量が100,000のポリL−乳酸;
(c)純度が99.5%のテトラブチルチタネート;
(d)高純度のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(ダイハチ化学工業社(Daihachi Chemical Industry Co.)の市販品/CR741);
(e)ポリテトラフルオロエチレン混合粉体(ブレンデックス(登録商標)449)。
【0083】
25mm径の二軸押出機をシリンダー温度220℃および回転速度90rpmの条件下で用いて、ブレンド成分を溶融ブレンドし、ダイから溶融ストランドとして取り出し、冷却用空気により冷却した後、標準カッターによりペレット化樹脂組成物を得た。
【0084】
得られた樹脂ブレンドについての特性を前記(1)〜(4)の方法に従って測定した。測定結果を表3に示した。
【0085】
【表3】

【0086】
実施例7〜11および比較例C6によれば、難燃剤(例えばビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート))およびフッ素系樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン混合粉体)を成分に添加することにより、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの難燃特性および熱加工性を改良することができ、その機械的特性を維持することができた。
【0087】
本発明を実施例により説明するが、あらゆる点で上記実施例に限定されるものではない。当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、あらゆる変形および選択をすることができる。本発明の保護は本願の特許請求の範囲に規定される範囲に基づくものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含む芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド:
(a) 成分(a)および(b)100重量部当たり、芳香族ポリカーボネート5−95重量部;
(b) 成分(a)および(b)100重量部当たり、ポリ乳酸95−5重量部;および
(c) 成分(a)および(b)100重量部当たり、エステル交換触媒0.05−1重量部。
【請求項2】
ブレンドが、
(d) 成分(a)および(b)100重量部当たり、難燃剤1−25重量部;および
(e) 成分(a)および(b)100重量部当たり、フッ素系樹脂0.3−2重量部
をさらに含む請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項3】
ブレンドが、
(f) 潤滑剤、離型剤、核剤、スタビライザー、フィラー、補強剤、帯電防止剤、色素、および顔料からなるグループから選択される少なくとも1種の添加剤を、成分(a)および(b)100重量部当たり、0.5−10重量部
さらに含む請求項2に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項4】
成分(a)および(b)100重量部当たりの芳香族ポリカーボネートの量が70−90重量部であり、ポリ乳酸の量が30−10重量部である請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項5】
成分(a)および(b)100重量部当たりのエステル交換触媒の量が0.1−0.5重量部である請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項6】
エステル交換触媒が、ルイス酸、窒素含有化合物、アルカリ金属塩、およびアルカリ土類塩からなるグループから選択される請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項7】
エステル交換触媒が、ジブチル錫オキシド、錫オキサレート、錫アセテート、テトラブチルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンオキサレート、二酸化チタン、三酸化アンチモン、タルトレートアンチモニル塩、亜鉛アセテート、亜鉛ステアレート、亜鉛アセチルアセトネート、トリフェニルボロン、亜鉛ボレート、テトラメチルアミンヒドロキシド、テトラエチルアミンヒドロキシド、テトラブチルアミンヒドロキシド、テトラアニリンヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、アルキル第二アミン、アリール第二アミン、アルキル第一アミン、アリール第一アミン、ピリジン、メチルピリジン、メトキシピリジン、キノリン、イミダゾール、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の水素化物、アルカリ金属のアミド、アルカリ金属のカーボネート、アルカリ金属のホスフェート、アルカリ金属のボレート、アルカリ金属の有機塩、アルカリ土類の水酸化物、アルカリ土類の水素化物、アルカリ土類のアミド、アルカリ土類のカーボネート、アルカリ土類のホスフェート、アルカリ土類のボレート、およびアルカリ土類の有機塩からなるグループから選択される請求項6に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項8】
エステル交換触媒がテトラブチルチタネートである請求項7に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項9】
芳香族ポリカーボネートがビスフェノールAポリカーボネートである請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項10】
ポリ乳酸がポリL−乳酸およびポリD−乳酸からなるグループから選択される請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項11】
難燃剤が、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー類、ブロモ化エポキシ樹脂類、ホスフェートエステル類、ポリホスフェートエステル類、有機ホスフェート塩類、含窒素ヘテロ環式化合物類、シリコーン樹脂類、シリコーンオイル類、アルミニウムヒドロキシド、亜鉛ボレート、および膨張グラファイトからなるグループから選択される請求項2に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項12】
フッ素系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンの混合粉体であり、該ポリテトラフルオロエチレンの混合粉体の重量平均分子量が100,000−1,000,000である請求項2に記載の芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンド。
【請求項13】
以下の成分(a)、(b)および(c)をブレンドすることを含む、芳香族ポリカーボネートおよびポリ乳酸のブレンドの製造方法;
(a) 成分(a)および(b)100重量部当たり、芳香族ポリカーボネート5−95重量部;
(b) 成分(a)および(b)100重量部当たり、ポリ乳酸95−5重量部;および
(c) 成分(a)および(b)100重量部当たり、エステル交換触媒0.05−1重量部。
【請求項14】
以下の成分(d)および(e)を、成分(a)、(b)および(c)とブレンドすることをさらに含む請求項13に記載の方法;
(d) 成分(a)および(b)100重量部当たり、難燃剤1−25重量部;および
(e) 成分(a)および(b)100重量部当たり、フッ素系樹脂0.3−2重量部。
【請求項15】
以下の成分(f)を、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)とブレンドすることをさらに含む請求項14に記載の方法;
(f) 潤滑剤、離型剤、核剤、スタビライザー、フィラー、補強剤、帯電防止剤、色素、および顔料からなるグループから選択される添加剤を、成分(a)および(b)100重量部当たり、0.5−10重量部。
【請求項16】
成分(a)および(b)100重量部当たりの芳香族ポリカーボネートの量が70−90重量部であり、ポリ乳酸の量が30−10重量部である請求項13に記載の方法。
【請求項17】
成分(a)および(b)100重量部当たりのエステル交換触媒の量が0.1−0.5重量部である請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ブレンド操作を成分(b)の融点以上の温度で行う請求項13に記載の方法。
【請求項19】
エステル交換触媒が、ルイス酸、窒素含有化合物、アルカリ金属塩、およびアルカリ土類塩からなるグループから選択される請求項13に記載の方法。
【請求項20】
エステル交換触媒が、ジブチル錫オキシド、錫オキサレート、錫アセテート、テトラブチルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンオキサレート、チタンオキサレート、三酸化アンチモン、タルトレートアンチモニル塩、亜鉛アセテート、亜鉛ステアレート、亜鉛アセチルアセトネート、トリフェニルボロン、亜鉛ボレート、テトラメチルアミンヒドロキシド、テトラエチルアミンヒドロキシド、テトラブチルアミンヒドロキシド、テトラアニリンヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、アルキル第二アミン、アリール第二アミン、アルキル第一アミン、アリール第一アミン、ピリジン、メチルピリジン、メトキシピリジン、キノリン、イミダゾール、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の水素化物、アルカリ金属のアミド、アルカリ金属のカーボネート、アルカリ金属のホスフェート、アルカリ金属のボレート、アルカリ金属の有機塩、アルカリ土類の水酸化物、アルカリ土類の水素化物、アルカリ土類のアミド、アルカリ土類のカーボネート、アルカリ土類のホスフェート、アルカリ土類のボレート、およびアルカリ土類の有機塩からなるグループから選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
エステル交換触媒がテトラブチルチタネートである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
芳香族ポリカーボネートがビスフェノールAポリカーボネートである請求項13に記載の方法。
【請求項23】
ポリ乳酸がポリL−乳酸およびポリD−乳酸からなるグループから選択される請求項13に記載の方法。
【請求項24】
難燃剤が、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー類、ブロモ化エポキシ樹脂類、ホスフェートエステル類、ポリホスフェートエステル類、有機ホスフェート塩類、含窒素ヘテロ環式化合物類、シリコーン樹脂類、シリコーンオイル類、アルミニウムヒドロキシド、亜鉛ボレート、および膨張グラファイトからなるグループから選択される少なくとも1種の成分を含む請求項14に記載の方法。
【請求項25】
フッ素系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンの混合粉体であり、該ポリテトラフルオロエチレンの混合粉体の重量平均分子量が100,000−1,000,000である請求項14に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載のブレンドを含む機械製品または部品、電子機器および/または部品、建築材料、および/または商品。
【請求項27】
請求項1に記載のブレンドを含む機械設備の取付具、軸受、ギア、バルブ、ステント、ベース、パレットおよび/またはエンジン部品、電子機器のシェル、カバーキャップ、部品、スイッチ、ステント、ベースおよび/またはパレット、メンブランプレート、太陽光パネル、耐久パネル、ライトボックス、窓枠、カーテンウォール、食品容器、液体容器、玩具、事務用機器、スポーツ用品および/またはコンパクトディスク。
【請求項28】
請求項1に記載のブレンドを使用することを含む機械製品または部品、電子機器または部品、建築材料、および/または商品の製造方法。

【公表番号】特表2012−502145(P2012−502145A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526400(P2011−526400)
【出願日】平成21年9月5日(2009.9.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006459
【国際公開番号】WO2010/028785
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】