説明

芳香族ポリカーボネートの製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものであり、更に詳しくはゲル及び色調の改良された芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重縮合から得られるポリカーボネートは、その優れた機械特性、熱的特性から各種用途に幅広く用いられているが、有毒であるホスゲンを利用することで安全性に問題があり、また溶媒として塩化メチレンを使用することで環境破壊などの問題点が多い。そこで最近塩化メチレンやホスゲンを使用しないエステル交換法が脚光を浴びているが、エステル交換法で得られるポリカーボネート樹脂は高温で長時間の熱履歴を受けるためゲルが多く、色調も悪いなど品質的に優れたものは得られなかった。このため上記方法により得られるポリカーボネートは品質が要求される分野では用いることができなかった。
【0003】最近、エステル交換法により、品質の優れたポリカーボネートを製造しようとする試みがなされており、各種の提案が行われているが未だに不十分であるのが現状である。
【0004】特に、芳香族モノヒドロキシ化合物の生成が減少する後期重合領域でポリマーのゲル、色調の悪化を防止するために、形式の異なる反応槽を直列に接続して使用する方法が提案されているが、後期重合槽として未だに十分なものは存在しない。
【0005】例えば、特開平2−153923号公報には、薄膜型蒸発器と横型撹拌槽の組み合わせが提示されているが、薄膜蒸発器はホールドアップを大きく取ることが不可能であり、且つ粘度の上昇に伴って、回転軸にポリマーが付着、滞留するため、上記と同様な反応が進行し得られるポリマーの品質を低下させる。また例示されているような容器中心より下方に撹拌中心を有する横型反応槽は、この他、特開平2ー153924号公報、特開平2ー153925号公報でも提示されているが、このような反応槽では液面が生じ、反応槽内部で明確に気相と液相が分離されると共に、気相部に付着した有機物の掻き取りができないため、ポリマーの品質は劣ったものとなる。
【0006】また、特開昭63ー23926号公報には2軸ベント式混練押し出し機を後期重合に使用することが提示されているが、高価であり、生産性の見地でも不十分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的はエステル交換法により、ゲルが少なく色調も優れたポリカーボネートを効率的に製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らの検討によれば、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとをエステル交換させてポリカーボネートを製造する場合、エステル交換反応によって生成する芳香族モノヒドロキシ化合物の量が減少する固有粘度0.1〜0.3以上の領域においてゲル、色調が悪化することが解った。この原因を更に詳しく検討した結果、芳香族モノヒドロキシ化合物の生成量が減少すると反応槽の気相部にポリマーが付着しやすくなり、これが長期の滞留により成長/変質し、重合液中に落下することにより得られるポリマーのゲル、色調が悪化することが解った。
【0009】従って、芳香族モノヒドロキシ化合物の生成が減少する後期重合領域ではポリマーの滞留の原因となるデッドスペースが無い反応槽を使用する必要がある。また、経済性の観点からは、ホールドアップが大きく単位容積あたりの生産性が高い反応槽を使用する必要がある。
【0010】即ち本発明は、1基以上の竪型撹拌槽と、1基以上の横型反応槽を直列に配置し、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルをエステル交換せしめて連続的に芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、横型反応槽の少なくとも1つに、端部円板9と該端部円板間に配設された複数個の中空円板11を回転方向と逆方向に傾斜又は湾曲した撹拌羽根13によって、所定間隔に連結固定し、且つ、端部円板9、9´の中央部を回転軸で支持した撹拌翼を有し、且つ該撹拌翼の内部に回転軸が存在しない構造である横型1軸反応槽を用いることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法である。
【0011】横型1軸反応槽の加熱ジャケットは、複数に分割し、入り側部を出側部よりも10〜100℃低温で操作することが好ましい。
【0012】少なくとも1基の竪型撹拌槽で芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとを反応させ、固有粘度が0.1〜0.3のプレポリマーとなし、該プレポリマーを横型1軸反応槽に供給し、固有粘度が0.3〜0.45の芳香族ポリカーボネートとした後、横型2軸反応槽に供給して更に高重合度の芳香族ポリカーボネートを得ることが好ましい。
【0013】(撹拌翼)
本発明では、端部円板9、9´の間に配設された複数個の中空円板11を回転方向と逆方向に傾斜又は湾曲した撹拌羽根13によって、所定間隔に連結固定し、且つ、端部円板9、9´の中央部を回転軸で支持し、且つ撹拌翼の内部に回転軸が存在しない構造を有する撹拌翼を有する横型1軸反応槽を使用する。
【0014】撹拌翼は、撹拌羽根13の先端部が容器胴壁1に平行且つ近接し、先端部と容器胴壁1で形成される空間部により撹拌回転と共に液が汲み上げられ、次いで重力により自由液膜を形成しつつ落下し、且つ、撹拌羽根13によって、容器胴壁1の気相部分に液を塗布、更新する構造を有することが好ましい。
【0015】かかる構造の撹拌翼を用いることにより、ホールドアップを高めても撹拌羽根13の先端部と容器胴壁1で形成される空間部により撹拌回転と共に液が汲み上げられ、次いで重力により自由液膜を形成しつつ落下し、且つ、撹拌羽根13によって容器胴壁の気相部分に液が塗布されるため反応液の表面積は大きく保たれ、その結果として高い反応速度、生産性が維持される。また、撹拌羽根13の先端の回転に伴って、常に容器胴壁1の液膜が掻き取られ更新されるため、ゲル、色相低下の原因物質が発生せず良好な品質のポリマーを得ることができる。更に、撹拌翼の内部に回転軸8、8´が存在しないため、軸周りの滞留部分が発生せずポリマーの品質が向上する。
【0016】(端部円板9)端部円板9は反応器の鏡部分の液の滞留を防止する目的で多数の開口を有するものが好ましい。かかる形状としては例えば多数の切り欠きを有する円板、中心部から延びた複数の支持板を有する中空円板が用いられる。これらの内、開口10を有する切り欠き円板であることが好ましい。
【0017】(撹拌羽根13)撹拌羽根13は、先端に回転方向と逆方向に延在し、容器胴壁1と小間隙を保持する尾翼14を有することが好ましい。かかる尾翼14の設置は容器胴壁への液膜の塗布と反応液の汲み上げ性を向上させる効果を有する。
【0018】以下、本発明に使用される横型1軸反応槽の1例を図面によって説明する。
【0019】図1は本発明に用いられる横型1軸反応槽の断面図である。図2および図3はそれぞれ図1のA−AおよびB−B矢視図である。図4は、撹拌羽根13の具体例を示す。図5は、羽根7、7´の正面図である。図6は、端部円板9の正面図である。図7は、中空円板11の正面図である。
【0020】図において、1は円筒状の容器胴壁、2は該容器胴壁を取り巻く加熱装置、3と4は液入り口と出口、5,6は両側部の側壁(又は鏡板)である。7は入り口3側の側板5に近接した位置でその内端部を回転軸8に固定された複数個の羽根で、回転方向Rに対し逆方向に湾曲(以下中心部又は軸心から見た場合を指す)して延び、且つ回転軸方向の羽根面Fが側壁5に対し液を掻き上げ塗布するように傾斜している。他端にも同じ様な羽根7’が設けられている。
【0021】9,9’は回転軸8,8’に支持されかつ羽根7,7’の内部側に設けた切り欠き円板で、外周部に多数の切り欠き開口10,10’が設けられ入り口3からの或いは出口4への液配分を適切に行えるようにしてある。
【0022】11は切り欠き円板9,9’の間に撹拌羽根13を介して所定間隔に配列支持された中空円板であり、12は中空円板11の開口部である。
【0023】撹拌羽根13は中空円板11の外周部に一定間隔で固定され中空円板11を相互に連結する板状体から構成されるが、図2〜3に示す如く回転方向Rと逆方向に傾斜すると共に先端が本体胴壁1に近接しており、撹拌羽根13と胴壁1’とで形成される空間Sで液を掻き上げ胴壁1を塗布する作用を有している。
【0024】更にこれら撹拌羽根13の先端にはこの塗布分配作用を効果的に行うため胴壁1に近接して回転方向Rと逆方向に延びる尾翼14が設けられている。この尾翼14は撹拌羽根13の回転方向R側の面からできるだけ突出しないようにするのが好ましい。図4の(イ)、(ロ)、(ハ)はこのような尾翼14の例を示したものである。
【0025】更に尾翼14は本実施例の如く、軸方向に沿って中空円板11で形成される各室全部に設けても或いは重合反応の程度に応じて一部に設けてもよい。
【0026】尚、中空円板11、撹拌羽根13、尾翼14の各々と胴壁1との間隙は10mm以下、好ましくは5〜8mmにするのがよく、また入り口側の羽根7と側壁5との間隙は3mm以下とし、出口側の羽根7’と側壁5’との間隙は10mm以下とするのが好ましい。更に切り欠き円板9,9’面に羽根7,7’を結合し一体化したものにすることもできる。
【0027】かかる構成からなる装置を用いてポリカーボネートの連続重合を行う場合、液は入り口3より連続的に注入され中空円板11、撹拌羽根13等はモーターによって徐々に、好ましくは1〜15rpmの回転数に回転される。供給された反応液は撹拌羽根7によって入り口の側壁5の内部を塗布、更新する一方、撹拌羽根13或いは尾翼14によって掻き上げられ気相部の胴壁1を塗布、更新する。更にこれらにより液状物は膜状を形成しながら落下し中空円板11の開口部12より次に室に流れ込み順次同様な作用を繰り返して液出口4に向かって送られる。
【0028】このようにして本発明に従ってポリカーボネートの連続重合を行った場合、反応が極めて短い時間で遂行されるばかりでなく、反応液に浸っていない気相部壁面はすべて反応液により塗布、更新されるので壁面に熱劣化物が生成することなく、高品質のポリマーが長期間にわたって得られると言う利点を有する。
【0029】本発明において、横型1軸反応槽を広範な重合度で使用する場合、加熱ジャケットを複数に分割し、入り側部を出側部よりも低温で操作することが好ましい。かかる場合の温度差は10〜100℃、好ましくは10〜50℃である。
【0030】本発明に使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては特に制限はないが、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン類等が用いられる。特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0031】本発明で使用される芳香族炭酸ジエステルとしては置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート等が挙げられる。
【0032】本発明でポリカーボネートを製造するに際して、上記のような芳香族炭酸ジエステルは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1.00〜1.30モル、好ましくは1.005〜1.10モルの量で用いられる。
【0033】本発明では、上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとのエステル交換反応によりポリカーボネートを製造するに際し、重合速度を速めるために重合触媒を用いることもできる。
【0034】重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素塩基性化合物等が挙げられる。
【0035】アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウムなどが挙げられる。
【0036】アルカリ土類金属化合物としては、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
【0037】含窒素塩基性化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等が挙げられる。
【0038】その他の重合触媒としては、ホウ素やアルミニウムの水酸化物のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、第4級アンモニウム塩類、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスニウム化合物類、アンチモン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができるがこれらに限定されるものではない。触媒を用いる場合1種だけを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】これらの触媒の使用量は原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対し0.000001〜1重量%、好ましくは0.00001〜0.5重量%、更に好ましくは0.00001〜0.1重量%の範囲で選ばれる。
【0040】本発明の芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとのエステル交換反応は、従来知られているように不活性ガス雰囲気下で加熱しながら撹拌して生成する芳香族モノヒドロキシ化合物を留出させることで行われる。反応温度は通常120〜350℃の範囲であり、反応後期には系の減圧度を1〜0.1Torrに高めて生成する芳香族モノヒドロキシ化合物の留出を容易にさせて反応を完結させる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、ポリカーボネート樹脂を製造するに際して、特定の反応器を用いることにより、ゲルが少なく、色相の良好なポリカーボネートをエステル交換反応を用いて製造することができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明する。なお実施例中の%及び部は特に断らない限り重量%または重量部である。なお以下の実施例においてポリカーボネートの物性等は以下のようにして測定した。
【0043】固有粘度:0.7g/dlの塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計を用いて測定した。
【0044】ペレットカラー:日本電色工業製の色差計で測定した。
【0045】[実施例1]2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し1.01モルの割合でジフェニルカーボネートを撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解し、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。
【0046】次いで、精留塔を備え、内温を180℃、内圧を30Torrに維持した竪型撹拌器に該溶融混合液を60Kg/時間の割合で連続的に供給すると共に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し0.00002当量のビスフェノールAジナトリウム塩(0.000012重量部に相当)を重合触媒として連続供給し、生成したフェノールを精留塔より除去しつつ反応を行った。
【0047】得られた反応物を内温を250℃、内圧を10Torrに保ったもう1基の精留塔を備えた竪型撹拌器に連続的に供給し、フェノールを留出させつつ更に反応を継続させ、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜き出した。その結果、固有粘度が0.20のプレポリマーが得られた。
【0048】次いで該プレポリマーを内温を270℃、内圧を1Torrに保った本発明記載の横型1軸反応槽に連続的に供給し、発生するフェノールを系外に除去しつつ更に重合させることにより固有粘度が0.40のポリカーボネートを連続的に得た。この間の平均滞留時間は0.5時間であり、得られたポリカーボネートのペレットカラーはL=64.3、b=−0.1であり0.5Kg中に存在するメチレンクロライドに不溶な100μ以下の微少ゲル(ミクロゲルと称する)は4個と良好であった。
【0049】[実施例2]重合触媒として2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し0.000002当量のビスフェノールAジナトリウム塩(0.0000012重量部に相当)と0.0001当量のテトラメチルアンモニウムハイドライド(0.00004重量部に相当)を用いた他は実施例1と同様に操作し、[η]=0.39のポリカーボネートを得た。この間の平均滞留時間は1時間であり、得られたポリカーボネートのペレットカラーはL=63.8、b=0.2でありミクロゲルは1個であった。
【0050】[比較例]実施例1の横型1軸反応槽に変えて上部に気相部を有する横型2軸反応槽を用いる他は実施例1と同様に操作し、固有粘度が0.39のポリカーボネートを得た。この間の平均滞留時間は1時間であり、得られたポリカーボネートのペレットカラーはL=62.3、b=1.2でありミクロゲルは20個と品質的に劣ったものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する横型1軸反応槽の断面図を示す。
【図2】図1の横型1軸反応槽のA−A矢視図を示す。
【図3】図1の横型1軸反応槽のB−B矢視図を示す。
【図4】撹拌羽根13の具体例を示す。
【図5】羽根7および7´の正面図を示す。
【図6】端部円板9の正面図を示す。
【図7】中空円板11の正面図を示す。
【符号の説明】
1:容器胴壁
2:加熱装置
3:液入り口
4:液出口
5:側壁
6:側壁
7,7´:羽根
8,8´:回転軸
9,9´:切り欠き円板
10,10´:切り欠き開口
11:中空円板
12:中空円板の開口部
13:撹拌羽根
14:尾翼
F:羽根面
S:撹拌羽根13と容器胴壁1とで形成される空間
R:回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】 1基以上の竪型撹拌槽と、1基以上の横型反応槽を直列に配置し、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルをエステル交換せしめて連続的に芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、横型反応槽の少なくとも1つに、端部円板と該端部円板間に配設された複数個の中空円板を回転方向と逆方向に傾斜又は湾曲した撹拌羽根によって所定間隔に連結固定し、且つ、端部円板の中央部を回転軸で支持した撹拌翼をし、且つ該撹拌翼の内部に回転軸が存在しない構造であ横型1軸反応槽を用いることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
【請求項2】 横型1軸反応槽が、撹拌羽根の先端部が容器胴壁に平行且つ近接し、先端部と容器胴壁で形成される空間部により撹拌回転と共に液が汲み上げられ、次いで重力により自由液膜を形成しつつ落下し、且つ、撹拌羽根によって、容器胴壁の気相部分に液を塗布、更新する撹拌翼を有する横型反応槽である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】 端部円板が、開口を有する切り欠き円板である請求項1記載の製造方法。
【請求項4】 撹拌羽根が、その先端に回転方向と逆方向に延在し、容器胴壁と小間隙を保持する尾翼を有することを特徴とする請求項1〜3に記載の製造方法。
【請求項5】 横型1軸反応槽の加熱ジャケットを複数に分割し、入り側部を出側部よりも10〜100℃低温で操作することを特徴とする請求項1〜4に記載の製造方法。
【請求項6】 少なくとも1基の竪型撹拌槽で芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとを反応させ、固有粘度が0.1〜0.3のプレポリマーとなし、該プレポリマーを横型1軸反応槽に供給し、固有粘度が0.3〜0.45のポリカーボネートとした後、横型2軸反応槽に供給して更に高重合度のポリカーボネートを得ることを特徴とする請求項1〜5に記載の製造方法。
【請求項7】 芳香族ジヒドロキシ化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである請求項1〜6に記載の製造方法。
【請求項8】 芳香族炭酸ジエステルが、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネートおよびビス(ジフェニル)カーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7記載の製造方法。
【請求項9】 アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物および含窒素塩基性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒を使用する請求項1〜8記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【特許番号】特許第3193266号(P3193266)
【登録日】平成13年5月25日(2001.5.25)
【発行日】平成13年7月30日(2001.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−146286
【出願日】平成7年6月13日(1995.6.13)
【公開番号】特開平8−337648
【公開日】平成8年12月24日(1996.12.24)
【審査請求日】平成10年8月7日(1998.8.7)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【参考文献】
【文献】特公 昭49−14358(JP,B1)