説明

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、及び成形品

【課題】加熱溶融時の着色が少なく、さらに成形後は、当該成形品の湿熱による不透明化が生じ難い芳香族性ポリカーボネート樹脂組成物の提供。
【解決手段】脂環基を少なくとも側鎖に有す下式の芳香族ポリカーボネート樹脂;該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、スピロ構造を有すリン系安定剤を0.001〜1重量部;及び該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、フェノール系安定剤を0.001〜1重量部;含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関し、特にガラス転移温度が高く耐熱性に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。また、本発明は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品にも関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、機械的性質、電気的性質、透明性、寸法安定性、耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックスとして、電気・電子・OA機器部品、自動車部品、精密機械部品、医療部品、建材、家庭用品等として幅広く使用されている。このように、現在、幅広く使用されている芳香族ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAにカーボネート前駆物質を反応させて得られる樹脂であるが、用途によってはさらに高い耐熱性が要求されることが多くなっている。例えば、自動車の軽量化による燃費向上を目的に、比重の高い金属類やガラス繊維強化熱硬化性樹脂から熱可塑性樹脂製部品への変更、熱源に近接して使用するヘッドライトレンズやインナーレンズの無機ガラスから熱可塑性樹脂への変更の際には、より高い耐熱性が要求されている。
【0003】
このような要求に対し、例えば、特許文献1には、4,4’−シクロドデシリデンビスフェノール等のシクロアルキリデン基を有する2価フェノールの少なくとも1種と、カーボネート前駆物質とを反応させることによって製造した耐熱性ポリカーボネートが提案されている。特許文献1には、当該ポリカーボネートが、ガラス転移点Tgが高く、及び耐熱性の指標の一つであるDTULが高かったことが示されている。
しかし、樹脂組成物の耐熱性については、DTULの観点のみならず、種々の観点で求められる。特に、加熱溶融時に生じる黄色等の変色を軽減することは、種々の用途の成形品について望まれる。また、光学部品には、高い透明性が要求され、湿熱によって透明性を損なわないことも要求される。特許文献1には、上記耐熱性ポリカーボネート樹脂に、酸化防止剤や着色安定剤等の添加剤を混合することができることが記載されているが、具体例については記載がなく、勿論、溶融熱安定性の改善、成形品の色相の軽減、透明成形品の湿熱による不透明化の軽減等に寄与する添加剤の具体例について、なんら記載はない。
【0004】
また、特許文献2には、耐熱性が改善されたポリカーボネート樹脂として、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のハロゲン基とシクロアルキリデン基を有する少なくとも1種の2価フェノールと、カーボネート前駆物質を反応させることによって製造した耐熱性ポリカーボネートが開示されている。しかし、特許文献2に開示されたポリカーボネートは、2価フェノールの芳香環上に少なくとも1個のハロゲン原子の存在が必須となっているが、この様なハロゲン原子は、ポリカーボネートの溶融成形時に離脱し易く、成形機のバレルやスクリューの腐蝕、金型腐蝕の原因となる。その結果、該樹脂を原料とする成形品は、黄変等の変色をしている場合がある。また、成形品を高温環境で使用する際にもハロゲン原子が離脱し、成形品の変色を促進するという欠点がある。
【0005】
特許文献3には、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのような特定の二官能カーボネート構造単位を含むポリカーボネート類と、特定のシリコン化合物からなる熱劣化に対して耐久性を示すように安定化され、そして改良された衝撃強度を示す高耐熱性成型組成物が開示されているが、高温熱風処理により黄変し易く、高温環境での使用に限界がある。
【0006】
一方、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品は、表面硬度が比較的低いので、耐擦傷性が要求される成形品、例えば、携帯電話ボタン、コンピューターのキーパッド等の部品では、表面に塗装などによってハードコート処理を施したり、又は表面硬度の高い樹脂と積層体として加工処理するなどの二次加工処理がしばしば施されることがある。コスト及び製品歩留まりの観点から、二次加工処理を必要としない、十分に高い表面硬度を有する成形品を製造可能なポリカーボネート樹脂組成物の提供が望まれている。
【0007】
このような要求に対し特許文献4には、特殊な繰返し構造と末端基を有するポリカーボネートが提案され、実施例では、該ポリカーボネートからなる成形フィルムが、所定の磨耗試験において磨耗量が少なかったことが示されている。しかし、樹脂材料には、成形品の表面硬度のみならず、上記した通り、溶融熱安定性や成形品の色相が変色しない等の種々の性質をバランスよく示すことが望まれている。特許文献4には、酸化防止剤や着色安定剤等の添加剤を混合することができることが記載されているが、具体例については記載がなく、勿論、成形品の色相の軽減、透明成形品の湿熱による不透明化の軽減等に寄与する添加剤の具体例について、なんら記載はない。
【0008】
また、特許文献5には、特に表面硬度が高いフィルムの材料として、4,4’−ジヒドロキシジフェニル系カーボネート構造型の特定の繰返し単位とビスフェノール系カーボネート構造型の特定の繰返し単位からなるポリカーボネートが提案されているが、特許文献4と同様、具体的な酸化防止剤や着色安定剤の記載はなく、成形品の色相の軽減、透明成形品の湿熱による不透明化の軽減等に寄与する添加剤の具体例について、なんら記載はない。
【0009】
【特許文献1】特開昭59−166528号公報
【特許文献2】特表昭61−502462号公報
【特許文献3】特開平5−125269号公報
【特許文献4】特開平7−76619号公報
【特許文献5】特開平5−339390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方、樹脂組成物からなる成形品中に添加される安定剤の中には、耐熱性の改善に寄与する一方で、湿熱によって加水分解し、成形品の不透明化の一因となるものがあり、耐熱性の改善と湿熱による不透明化の抑制との両立は困難な場合がある。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れ、溶融熱安定性にも優れ加熱溶融時の着色が少なく、さらに成形後は、当該成形品の湿熱による不透明化が生じ難い、芳香族性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを課題とする。
また、本発明の他の課題は、耐熱性に優れ、成形時の熱劣化による着色が少なく、及び湿熱による不透明化が生じ難く、表面硬度及び低吸水性に優れ、並びに引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的性質も良好な、芳香族性ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、シクロドデカン基を有し且つハロゲン原子を有しない少なくとも1種の2価フェノールと、カーボネート前駆物質とを少なくとも反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネート樹脂とともに、特定のリン系安定剤及び特定のフェノール系安定剤を用いることにより、上記目的を達成し得るとの知見を得、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は上記目的を達成するため、下記式(1)で表される単位を少なくとも含む芳香族ポリカーボネート樹脂;該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、下記式(3)で表されるリン系安定剤0.001〜1重量部;及び該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、下記式(4)で表されるフェノール系安定剤0.001〜1重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【0012】
【化1】

(式中、R1〜R26はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、これらの基は、置換基を有していてもよいが、ハロゲン原子で置換されていることはない。)
【0013】
【化2】

(式中、R1b〜R4bはそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素原子数1〜18のアルキル基、又は炭素原子数1〜18のオキシアルキル基を表す。)
【0014】
【化3】

(Yはn価の基であり、nは1〜3の整数である。)
【発明の効果】
【0015】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れ、溶融熱安定性にも優れ加熱溶融時の変色が少ない。当該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品は、耐熱性に優れ、成形時の熱劣化により着色が少なく、及び湿熱による不透明化が生じ難く、さらに、表面硬度及び低吸水性にも優れ、並びに引張り強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率等の機械的性質も良好であり、種々の用途に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、所定の芳香族ポリカーボネート樹脂、所定のリン系安定剤、及び所定のフェノール系安定剤を少なくとも含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。以下、それぞれの成分について詳細に説明する。
1. 芳香族ポリカーボネート樹脂
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表される単位を少なくとも含む。
【0017】
【化4】

【0018】
式中、R1〜R26はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよいが、ハロゲン原子で置換されることはない。
なお、本明細書において、「アルキル基」及び「アルケニル基」は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれをも含む意味で用いられる。また「アルコキシ基」及び「アラルキル基」のアルキル基部分についても同様である。
前記アルキル基、アリール基、アルコキシ基、及びアラルキル基はそれぞれ、1以上の置換基を有していてもよく、当該置換基の好ましい例には、炭素原子数1〜5のアルキル基、及び炭素原子数1〜5のアルコキシ基が含まれる。ただし、ハロゲン原子で置換されることはない。
【0019】
前記式(1)中、2つのフェニレン基の置換基の数は、0〜2であるのが好ましく、即ち、R1〜R4のうち、2以上が水素原子であるのが好ましい。また、前記式(1)中のシクロドデカニル基の置換基の数は、0〜2であるのが好ましい。
【0020】
上記式(1)の構造単位は、当該構造単位を誘導するビスフェノール類と、炭酸エステル形成化合物との反応によって生じるものである。前記式(1)の構造単位を誘導するビスフェノール類の例には、下記構造式(5)で表される化合物が含まれる。
【0021】
【化5】

【0022】
式中、R1〜R26は、式(1)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0023】
前記式(5)で表される化合物の具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロドデカン、7−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、5,6−ジメチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンなどが挙げられる。これらは、2種類以上併用することも可能である。この中で、特に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンが好ましい。
【0024】
また、本発明に用いる前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、他の構造単位を含んでいてもよい。他の構造単位としては、下記式(2)で表される構造単位が好ましい。
【0025】
【化6】

【0026】
式中、R1a〜R4aはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又はフェニル基を表す。これらの基は置換基を有していてもよいが、ハロゲン原子以外の置換基であるのが好ましい。置換基の好ましい例は、上記式(1)中のR1〜R26のそれぞれが有する置換基の好ましい例と同様である。
【0027】
前記式(2)中、Xは、単結合、又は、
【0028】
【化7】

を表し;R5a及びR6aはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、又はフェニル基を表し、R5a及びR6aが結合し単環又は縮合環を形成してもよい。R5a及びR6aが単環を形成する場合の単環の例には、シクロへキサン等が含まれ、及び縮合環を形成する場合の縮合環の例には、フルオレン等が含まれる。
【0029】
上記式(2)の構造単位は、当該構造単位を誘導するビスフェノール類と、炭酸エステル形成化合物との反応によって生じるものである。前記式(2)の構造単位を誘導するビスフェノール類の例には、下記構造式(6)で表される化合物が含まれる。
【0030】
【化8】

【0031】
式中、R1a〜R4a、及びXについては、上記式(2)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0032】
原料モノマーとして、前記式(5)のビスフェノール類とともに使用可能なビスフェノール類の例には、前記式(6)で表される化合物の他、種々のビスフェノール類が含まれる。具体的には、4,4’−ビフェニルジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)プロパン、3,3,5−トリメチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルジフェニルランダム共重合シロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノールなどが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。また、これらの中でも特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンから選ばれることが好ましい。
【0033】
前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール類として、前記式(5)で表されるビスフェノールのみを用いて製造されるものであってもよい。一方、他のビスフェノール類(好ましくは前記式(6)で表されるビスフェノール類)から誘導される構成単位も含む態様では、前記式(5)で表されるビスフェノール類は、使用される全ビスフェノール類の内、5モル%〜95モル%であるのが好ましく、10モル%〜90モル%であるのが好ましく、20モル%〜80モル%であるのが好ましい。また、他のビスフェノール類(好ましくは前記式(6)で表されるビスフェノール類)は、使用される全ビスフェノール類の内、95モル%〜5%であるのが好ましく、90モル%〜10モル%であるのがより好ましく、80モル%〜20モル%であるのがさらに好ましい。
【0034】
前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記式(5)で表されるビスフェノールと、所望により前記式(6)で表されるビスフェノールとを含むビスフェノール類と、少なくとも1種の炭酸エステル形成化合物との反応によって製造することができる。製造方法については特に制限はなく、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネートを製造する際に利用される種々の方法、例えば、ビスフェノール類とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、及びビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法、を採用することができる。
【0035】
使用可能な炭酸エステル形成化合物としては、例えば、ホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリールカーボネート;が挙げられる。これらの化合物は2種類以上併用することも可能である。
【0036】
ホスゲン法においては、通常、酸結合剤及び溶媒の存在下において、式(5)のビスフェノールやその他のビスフェノール類と、ホスゲンとを反応させる。酸結合剤としては、例えば、ピリジン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;などが用いられる。また溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などの触媒を使用することができる。また重合度調節(分子量調節)のために、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等の一官能基化合物を、用いることが好ましい。また、所望により、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を少量添加してもよい。反応は、通常、温度0〜150℃で進行し、5〜40℃で進行させるのが好ましい。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常、0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
【0037】
一方、エステル交換法においては、前記式(5)のビスフェノールやその他のビスフェノール類と、ビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。反応は、通常、150〜350℃で進行し、200〜300℃で進行させるのが好ましい。また、減圧度は最終で、好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応により生成した該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜4時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、また、所望に応じ、分子量調節剤、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
【0038】
本発明に使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、機械的強度や成形性の点から、望ましい極限粘度として0.3〜2.0dl/gの範囲であることが好ましく、さらには0.35〜1.5dl/gの範囲であることが好ましい。極限粘度が0.3dl/g未満では機械的強度が低く、極限粘度が2.0dl/gを越えると流動性が低下し、成形性が悪化する。
【0039】
2. 安定剤
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、下記式(3)で表されるリン系安定剤の少なくとも1種、及び下記式(4)で表されるフェノール系安定剤の少なくとも1種を含有する。これらの安定剤は、耐熱性の向上、特に溶融安定性の改善、熱溶融時の変色の軽減に寄与する。また、安定剤の中には、耐熱性の改善に寄与するものの、耐加水分解性に劣り、湿熱によって加水分解し、成形品を不透明化させる一因になるものがある。本発明では、吸水率が低い前記芳香族ポリカーボネート樹脂とともに、上記特定のリン系安定剤及びフェノール系安定剤を用いているため、これらの安定剤の加水分解性が抑制され、成形品の湿熱による不透明化を抑制できる。その結果、従来困難であった、耐熱性の改善と、湿熱による不透明化の抑制を両立することができる。
【0040】
2.−1 リン系安定剤
【化9】

【0041】
式中、R1b〜R4bはそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素原子数1〜18のアルキル基、又は炭素原子数1〜18のオキシアルキル基を表す。R1b〜R4bはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
2つのフェニル基の置換基の数は、それぞれ0〜4のいずれであってもよいが、2又は3であるのが好ましい。
【0042】
上記式(3)で表されるリン系安定剤としては、例えば、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが「アデカスタブPEP−24G」の商品名で、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが「アデカスタブPEP−36」の商品名で、旭電化工業(株)より市販されている。
【0043】
2.−2 フェノール系安定剤
【化10】

【0044】
前記式中、Yはn価の基であり、nは1〜3の整数である。Yは、例えば、分子内にヒドロキシ基を1〜3個有するヒドロキシ化合物の残基である。
上記式(4)で表されるフェノール系安定剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]が「アデカスタブAO−70」の商品名で、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが「アデカスタブAO−80」の商品名で、旭電化工業(株)より市販されている。
【0045】
上記熱安定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、上記式(3)で表されるリン系安定剤が0.001〜1重量部、及び上記式(4)で表されるフェノール系安定剤が0.001〜1重量部であり、好ましくはそれぞれ0.01〜0.5重量部であり、さらに好ましくはそれぞれ0.03〜0.3重量部である。リン系安定剤及びフェノール系安定剤がそれぞれ0.001重量部未満では熱安定性の改良効果が不十分であり、1重量部を越えるとモールドデボジットが発生することがある。
【0046】
4. その他の添加剤
本発明の耐熱性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、所望の特性を付与する紫外線吸収剤、蛍光増白剤、光安定剤、離型剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、ブルーイング剤等の染料)、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、繊維状マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、セラミックウィスカー、マイカ、タルク、クレー、珪酸カルシウム等の補強剤、充填剤、他のポリマーなどの種々の添加剤の一種又は二種以上を添加してもよい。
【0047】
5. 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の調製方法
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の調製方法については特に制限はない。最終成形品を溶融成形する直前までの任意の段階で、前記芳香族ポリカーボネート樹脂に、前記式(3)のリン系安定剤、前記式(4)のフェノール系熱安定剤、及び必要に応じて、離型剤、難燃剤などの添加剤を添加し、混練することにより調製することができる。添加は、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を使用する方法、フィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法などにより行うことができる。混練は、一軸押出機、二軸押出機などを使用して行うことができる。混練の温度条件は、一般的には260〜340℃程度であり、好ましくは270〜320℃程度である。
【0048】
6. 成形品
本発明は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品にも関する。本発明の成形品は、種々の成形方法により製造することができる。具体的には、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、中空成形、回転成形、圧縮成形などの成形方法を利用することができる。生産性の観点では、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなるペレットを一旦作製し、該ペレットから上記成形方法を利用して、成形品を製造するのが好ましい。さらに、押出成形によって一旦シート状の成形体を得た後、真空成形、圧空成形等により目的の成形品を製造することもできる。
【0049】
本発明の成形品は、耐熱性に優れ、熱溶融時の熱劣化に起因する変色が生じ難く、及び成形後には湿熱による不透明化が生じ難い。また、表面硬度及び低吸水性に優れ、しかも種々の機械的性質も良好であることから、様々な用途に供することができる。以下、いくつかの例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
6.−1 光学用成形品
本発明の成形品は、耐熱性に優れ、成形時の熱溶融に起因する変色がなく、高い透明性を有し、しかも、成形後には、湿熱による不透明化が生じ難い。表面硬度及び低吸水性にも優れ、種々の機械的性質も良好であることから、光学用成形品として有用である。例えば、画像表示装置や太陽電池等の部材として用いることができ、より具体的には、光学フィルム、フラットパネルディスプレイ用基板、太陽電池用基板、有機EL表示用基板、電子ペーパー用基板として、好適に使用される。
【0050】
6.−2 耐擦傷性成形品
本発明の成形品は、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品と比較して、表面硬度に優れる。従って、耐擦傷性が要求される用途、例えば、携帯電話のボタン、キーパッド等の部品等として用いる場合も、ハードコート処理や高硬度の樹脂層との積層等、二次加工処理が不要であり、コスト及び製品歩留まりの点で有利である。但し、勿論、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品である限り、二次加工が施された成形品も本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【0051】
6.−3 車両用ランプ成形品
本発明の成形品は耐熱性に優れているので、例えば、熱源に近い位置で用いられる部品として有用である。例えば、車両(例えば自動車)用のヘッドランプ、リアランプ、及びフォグランプ等のカバーケース、プロジェクターレンズ等のレンズ類、及びランプリフレクター等の車両用ランプ成形品として有用である。
【0052】
本発明の成形品は、その他、電気・電子・OA機器部品、精密機械部品、医療部品、建築・建材用品、家庭用品等として、幅広い用途への利用が期待できる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例によって本発明を説明する。なお実施例中の「%」及び「部」は、特に断らない限り、「重量%」又は「重量部」を意味する。
1.物性の測定及び評価
以下の実施例及び比較例で作製したサンプルの物性の測定及び評価は、以下の方法により行った。
(1)曲げ弾性率、曲げ強度: ISO178による曲げ試験法に従い、三点曲げ試験を行った。
(2)DTUL(荷重たわみ温度): ISO75−1&2に従い、荷重1.80MPaの条件(A法)にて測定を行った。
(3)ガラス転移温度(Tg): JIS K7121に従い、DSC(セイコー社製、型式:SSC−5000)を用い、芳香族ポリカーボネート樹脂を、窒素気流下、室温から10℃/minの速度で昇温し、その変曲点をガラス転移温度として測定した。
(4)L値、a値、b値、YI値: JIS K7105に準じ、1mm厚の平板を試験片とし、日本電色工業(株)製のSE2000型分光式色彩計で、透過法により測定した。
(5)鉛筆硬度: JIS K5400に準じ、1mm厚の平板に5回の引掻き試験を行い硬度の評価を行った。
(6)吸水率: JIS K7209に準じ、試験片を23℃の純水中に浸漬し重量の増加率を測定した。
(7)耐湿熱性試験: プレッシャークッカー試験機((株)平山製作所製、HASTEST、MODEL PC−SIII)にて、試験片を120℃、ゲージ圧力1kg/cm2、湿度100%の水蒸気雰囲気中で50時間処理し、JIS K7136に従い、この処理前後のヘイズ値を測定し、その変化をΔヘイズとして算出し、耐加水分解性の指標とした。
(8)滞留熱安定性試験:卓上射出成形機(HAAKE社製、ミニジェット)にて、シリンダー温度350℃、金型温度120℃の条件で、溶融時間を15分間として射出成形を行い、溶融時間3分間の1mm厚の試験片と溶融時間15分間の成形片との色相の変化をΔEとして算出し、耐熱性の指標とした。
ΔE=((L15−L32+(a15−a32+(b15−b321/2
(L15、a15、b15:溶融時間15分間の試験片のL値、a値、b値。L3、a3、b3:溶融時間3分間の試験片のL値、a値、b値。)
【0054】
2.樹脂の製造
製造例1:
5%の水酸化ナトリウム水溶液に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(以下「BPCD」と略称:田岡化学工業株式会社製)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「BPA」と略称:三井化学株式会社製)をBPCDとBPAのモル比が30:70となるように添加し、ハイドロサルファイトを同時に溶解した。
これにメチレンクロライドを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、ついでホスゲンを吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下「PTBP」と略称:大日本インキ化学工業株式会社製)を加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後トリエチルアミンを加え、20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、先液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。
得られた沈殿物を濾過し、105℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
この重合体の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における極限粘度は0.49dl/gであった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm-1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm-1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂であることが確認された。
【0055】
製造例2:
製造例1において、「BPCD」と「BPA」の代わりに、「BPCD」のみを使用したことを除き、製造例1と同様の操作により、白色重合体粉末を得た。
この重合体の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における極限粘度は0.48dl/gであった。
【0056】
製造例3:
製造例1において、「BPCD」と「BPA」の代わりに、「BPA」のみを使用したことを除き、製造例1と同様の操作により、白色重合体粉末を得た。
この重合体の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における極限粘度は0.48dl/gであった。
【0057】
3. 使用した材料
(A−1) 芳香族ポリカーボネート樹脂:製造例1で得られた重合体
(A−2) 芳香族ポリカーボネート樹脂:製造例2で得られた重合体
(A−3) 芳香族ポリカーボネート樹脂:製造例3で得られた重合体
(B−1) リン系安定剤:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、旭電化工業(株)製「商品名:アデカスタブPEP−36」
(B−2) リン系安定剤:ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、旭電化工業(株)製「商品名:アデカスタブPEP−24G」
(B−3) リン系安定剤:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、旭電化工業(株)製「商品名:アデカスタブ2112」
(C−1) フェノール系安定剤:トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、旭電化工業(株)製「商品名:アデカスタブAO−70」
(C−2) フェノール系安定剤:3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、旭電化工業(株)製「商品名:アデカスタブAO−80」
(C−3) フェノール系安定剤:ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、「商品名:イルガノックス1010」
【0058】
4. 実施例1〜3、並びに比較例1及び2
芳香族ポリカーボネート樹脂及び各種添加剤を表1に示す割合で配合し、タンブラーで20分間混合後、スクリュー径40mmのベント付き単軸押出機(いすず化工機社製「SV−40」)により、シリンダー温度320℃、スクリュー回転数70rpmで混練し、押出されたストランドを切断してペレットを作製した。
得られたペレットを120℃、5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業製、サイキャップM−2、型締め力75T)にて、シリンダー温度320℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、ISO多目的試験片を作製した。また、卓上射出成形機(HAAKE社製、ミニジェット)にて、シリンダー温度350℃、金型温度120℃、溶融時間3分間の条件で射出成形を行い、厚み1mmの平板を作製した。このような方法で作製した成形品を、前述の方法による評価用の試験片として用い評価を行った。
【0059】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される単位を少なくとも含む芳香族ポリカーボネート樹脂;該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、下記式(3)で表されるリン系安定剤を0.001〜1重量部;及び該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、下記式(4)で表されるフェノール系安定剤を0.001〜1重量部;含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1〜R26はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜9のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、これらの基は、置換基を有していてもよいが、ハロゲン原子で置換されていることはない。)
【化2】

(式中、R1b〜R4bはそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭素原子数1〜18のアルキル基、又は炭素原子数1〜18のオキシアルキル基を表す。)
【化3】

(式中、Yはn価の基であり、nは1〜3の整数である。)
【請求項2】
前記芳香族ポリカーボネート樹脂が、前記式(1)で表される単位を5〜95モル%、及び下記式(2)で表される単位を95〜5モル%含むことを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【化4】

(式中、R1a〜R4aはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又はフェニル基を表し;Xは、単結合、又は、
【化5】

を表し、ここにR5a及びR6aはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、又はフェニル基を表し、R5a及びR6aが結合し単環又は縮合環を形成してもよい。)
【請求項3】
請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
【請求項4】
光学用成形品であることを特徴とする請求項3に記載の成形品
【請求項5】
車両用ランプ成形品であることを特徴とする請求項3に記載の成形品。
【請求項6】
耐擦傷性成形品であることを特徴とする請求項3に記載の成形品。

【公開番号】特開2010−126605(P2010−126605A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301612(P2008−301612)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】