説明

芳香族化合物およびその誘導体

【課題】 低比誘電率樹脂に変換できる芳香族化合物およびその誘導体を提供する。
【解決手段】 式(1)で表されるアミノヒドロキシフェニル基とカルボキシル基およびダイヤモンドイド構造を含む置換基を有する芳香族化合物およびその誘導体。


(式中のXは少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1、m2およびm3は、0以上、4以下の整数を示す。また、Yは水素原子またはダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、m3=0のときは、Yはダイヤモンドイド構造より構成される基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族化合物およびその誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
一分子中に2つのアミノフェノール構造を有するビスアミノフェノール類および一分子中に2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸およびそのジカルボン酸誘導体は、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂などの原料として用いられ、その用途に応じて、様々な構造を有する樹脂が合成され、使用されている。
これらの樹脂は、電気、電子分野など幅広い分野で用いられているが、例えば、半導体用の絶縁膜として用いられる場合、酸化膜等の無機絶縁膜と比較して、前記樹脂絶縁膜は低比誘電率であるという特徴があるため、特に、半導体用の層間絶縁膜用途において、有機材料の適用が広く検討されている。また、絶縁膜形成用の材料としては、ポリイミド樹脂が広く知られているが(例えば、特許文献1参照。)、半導体装置における、電気信号の高速化、電子部品の微細化、高集積化、および低消費電力化などの、更なる高性能化に対応するためには、比誘電率がなお十分でないという問題があり、これらに対応できる樹脂が求められていた。
【特許文献1】特開平5−121396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこのような事情のもとで、低比誘電率樹脂に変換できる芳香族化合物およびその誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
即ち、本発明は、
1. アミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する芳香族化合物、
2. 前記芳香族化合物は、一般式(1)で表されるものである、第2項に記載の芳香族化合物、
【0005】
【化1】

(式中のXは、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1およびm2は、0以上、4以下の整数を示し、m3は、0または1を示す。また、Yは水素原子またはダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、m3=0のときは、Yはダイヤモンドイド構造より構成される基である。)
【0006】
3. 前記芳香族化合物は、一般式(2)で表されるものである、第1項または第2項に記載の芳香族化合物、
【0007】
【化2】

(式中のXは、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1およびm2は、0以上、4以下の整数を示す。)
【0008】
4. 前記ダイヤモンドイド構造は、アダマンタン構造を最小単位として有する多環式構造および前記多環式構造を複数個有するものである、第1項〜第3項のいずれかに記載の芳香族化合物、
5. 第1項〜第4項のいずれかに記載の芳香族化合物のカルボキシル基が、エステル基に変換された構造を有する芳香族化合物誘導体、
6. 前記芳香族化合物誘導体は、一般式(3)で表されるものである第5項に記載の芳香族化合物誘導体、
【0009】
【化3】

(式中のXは、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1およびm2は、0以上、4以下の整数を示し、m3は、0または1を示す。Yは水素原子またはダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、m3=0のときは、Yはダイヤモンドイド構造より構成される基である。また、式中のRはアルキル基または芳香族基を示す。)
【0010】
7. 前記芳香族化合物誘導体は、一般式(4)で表されるものである第5項または第6項に記載の芳香族化合物誘導体、
を提供するものである。
【0011】
【化4】

(式中のXは、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1およびm2は、0以上、4以下の整数を示す。また、Rは、アルキル基または芳香族基を示す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低比誘電率である高分子の原料として好適に用いることができる芳香族化合物およびその誘導体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
1.芳香族化合物
本発明は、アミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する芳香族化合物であり、その構造に、アミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを、有するものであればよく、例えば、前記アミノヒドロキシフェニル基のフェニル基上に、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を1個または2個以上有するものが挙げられ、該ダイヤモンドイド構造より構成される置換基が、前記フェニル基上の水素と置換したものや、カルボキシル基がダイヤモンドイド構造より構成される置換基などの基を介して、前記フェニル基に結合したものなどが挙げられる。その具体例として、一般式(1)で表される構造を有するものや、一般式(2)で表される構造を有するものなどが挙げられる。これらは、低比誘電率である高分子の原料として好適に用いることができる。
【0014】
本発明において、一般式(1)および一般式(2)中のAr1およびAr2で表される芳香族基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ジフェニルエーテルジイル基、ナフタレンジイル基、ビナフチルジイル基、アントラセンジイル基、フルオレンジイル基、ジフェニルフルオレンジイル基、オキシフェニレン基、オキシビフェニルジイル基、オキシジフェニルエーテルジイル基、オキシナフタレンジイル基、オキシビナフチルジイル基、オキシアントラセンジイル基、オキシフルオレンジイル基およびオキシジフェニルフルオレンジイル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、フェニレン基、フルオレンジイル基およびジフェニルフルオレンジイル基が好ましい。これらの基中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子と置換される脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基;、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などのアルコキシ基;、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などのアルケニル基;、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などのアルキニル基;、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基;、などが挙げられ、前記水素原子と置換される芳香族基としては、例えば、フェニル基、フェニル基、フェノキシ基およびナフトキシ基;、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子と置換される脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。また、一般式(1)中のm1およびm2は、特に限定されないが、その数が少ないほど樹脂の低誘電率化には効果があり、0以上4以下の整数が好ましい。
【0015】
本発明において、一般式(1)および一般式(2)中のXで表される基としては、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基であり、また、一般式(1)中のYで表される基としては、水素原子またはダイヤモンドイド構造より構成される基である。前記ダイヤモンドイド構造としては、アダマンタン構造を最小単位として有する多環式構造であり、具体的には、アダマンチル基、ジアマンチル基、トリアマンチル基、テトラマンチル基、ペンタマンチル基、ヘキサマンチル基、ヘプタマンチル基、オクタマンチル基、ノナマンチル基、デカマンチル基およびウンデカマンチル基などが挙げられ、更には、前記多環式骨格構造を有する基を複数個有する基が挙げられ、例えば、ビアダマンチル基、トリアダマンチル基、テトラアダマンチル基、ペンタアダマンチル基、ヘキサアダマンチル基、ヘプタアダマンチル基、オクタアダマンチル基、ノナアダマンチル基、デカアダマンチル基およびウンデカアダマンチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらにより、低比誘電率を有する樹脂を得ることができる。また、一般式(1)中のm3は、特に限定されないが、0または1であり、m3=0のときは、必ずYはダイヤモンドイド構造より構成される基となる。
【0016】
前記ダイヤモンドイド構造中の水素原子は、脂肪族基、芳香族基およびフッ素原子で置換されていても良い。前記水素原子と置換してもよい脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基;、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基およびブトキシ基などのアルコキシ基;、ビニル基、プロペニル基およびブテニル基などのアルケニル基;、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などのアルキニル基;、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジアマンチル基およびビアダマンチル基などの脂環式脂肪族基;、などが挙げられ、前記水素原子と置換してもよい芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基およびナフトキシ基;、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記水素原子と置換してもよい脂肪族基および芳香族基中の水素原子はフッ素原子で置換されていても良い。これらにより、溶解性および耐熱性を有する樹脂を得ることができる。
【0017】
本発明のアミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造を含む置換基とを有する芳香化合物としては、これらの内、一般式(1)で表される構造を有する化合物として、例えば、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシアダマンタン、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−(3−カルボキシ−5,7−ジメチルアダマンタン)、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシジアマンタン、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシトリアマンタン、3−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3’−カルボキシ−(1,1’−ビアダマンタン)、3−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3’−カルボキシ−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン)、
1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシアダマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−(3−カルボキシ−5,7−ジメチルアダマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシジアマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシトリアマンタン、3−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3’−カルボキシ−(1,1’−ビアダマンタン)、3−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3’−カルボキシ−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン)、
1−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシアダマンタン、1−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシアダマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−(3−カルボキシ−5,7−ジメチルアダマンタン、1−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシジアマンタン、1−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシジアマンタン、1−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシトリアマンタン、1−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3−カルボキシトリアマンタン、3−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3’−カルボキシ−(1,1’−ビアダマンタン)、3−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3’−カルボキシ−(1,1’−ビアダマンタン)、3−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3’−カルボキシ−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン)、3−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−フェニル)−3’−カルボキシ−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン)、
1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−(カルボキシフェノキシ)フェニル)アダマンタン、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−(カルボキシフェノキシ)フェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−(カルボキシフェノキシ)フェニル)ジアマンタン、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−(カルボキシフェノキシ)フェニル)トリアマンタン、3−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3’−(4−(カルボキシフェノキシ)フェニル)−(1,1’−ビアダマンタン)、3−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3’−(4−(カルボキシフェノキシ)フェニル)−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン)、
1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)アダマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)ジアマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)トリアマンタン、3−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3’−(4−カルボキシフェニル)−(1,1’−ビアダマンタン)、3−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3’−(4−カルボキシフェニル)−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン)、
1−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)アダマンタン、1−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)アダマンタン、1−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、1−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、1−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)ジアマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)トリアマンタン、1−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)ジアマンタン、1−(4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシフェニル)トリアマンタン、3−(2−アダマンチル−4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3’−(4−カルボキシフェニル)−(1,1’−ビアダマンタン)、3−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3’−(4−カルボキシフェニル)−(1,1’−ビアダマンタン)、3−(4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3’−(4−カルボキシフェニル)−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン)、3−(4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル)−3’−(4−カルボキシフェニル)−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンタン)
1,3−ビス(1−アダマンチル)−4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(1−ジアマンチル)−4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(1−トリアマンチル)−4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3−(1,1’−ビアダマンチル))−4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))−4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、
1,3−ビス(1−アダマンチル)−4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(1−アダマンチル)−4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(1−ジアマンチル)−4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(1−ジアマンチル)−4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(1−トリアマンチル)−4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(1−トリアマンチル)−4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3−(1,1’−ビアダマンチル))−4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3−(1,1’−ビアダマンチル))−4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))−4−(2−アダマンチル−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、1,3−ビス(3−(5,5’,7,7’−テトラメチル−1,1’−ビアダマンチル))−4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−6−(4−カルボキシフェノキシ)−ベンゼン、
1−(2−アダマンチル−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−4−カルボキシベンゼン、1−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−4−カルボキシベンゼン、1−(2−ジアマンチル−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−4−カルボキシベンゼン、1−(2−トリアマンチル−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−4−カルボキシベンゼン、1−(2−(3−(1,1’−ビアダマンチル)−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−4−カルボキシベンゼン、1−(2−(3−(5,5’,7,7’−1,1’−ビアダマンチル)−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−4−カルボキシベンゼンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
2.芳香族化合物誘導体
また、本発明の第2の発明は、前記芳香族化合物のカルボキシル基が、エステル基に変換された芳香族化合物誘導体であり、アミノヒドロキシフェニル基と、エステル基およびダイヤモンドイド構造を含む置換基を有する芳香族化合物であり、前記芳香族化合物におけるカルボキシル基における水素が置換基Rで置換された構造を有するもので、その具体例としては、上記一般式(1)で表される芳香族化合物において、カルボキシル基に含まれる水素原子を置換基Rで置換した前記一般式(3)で表される化合物、上記一般式(2)で表される芳香族化合物において、カルボキシル基に含まれる水素原子を置換基Rで置換した前記一般式(4)で表される化合物などが挙げられる。これらは、上記芳香族化合物と同様にして、低比誘電率である高分子の原料として好適に用いることができる。
【0019】
本発明において、上記カルボキシル基における水素が置換される置換基R、一般式(3)および一般式(4)中のRで表される基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基;、フェニル基、ピリジル基およびキノリル基などの芳香族基;、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
3.芳香族化合物の製造方法
本発明のアミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造を含む置換基とを有する化合物の製造方法としては、その代表例として、一般式(1)で表される構造を有する化合物および一般式(2)で表される構造を有する化合物は、例えば、以下のルートによって合成することができる。
【0021】
3.1 第1の合成例
(1)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物の合成
一般式(1)におけるm1およびm2が0、m3が1の化合物で、一般式(2)におけるm1およびm2が0に相当の場合、まず、ダイヤモンドイド構造より構成される脂環式化合物を、臭素やヨウ素などのハロゲン化剤を用いて、ハロゲン化することにより、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物を得る。
前記ハロゲン化反応において、溶媒としては、特には限定されないが、酢酸、ヘキサンまたはペンタンなどが好ましく、特にハロゲン化剤として臭素を用いる場合は無溶媒で行ってもよい。
また、反応を促進するために、触媒を用いてもよく、触媒としては、塩化アルミニウムおよび臭化アルミニウムなどのルイス酸触媒が好ましいが、無触媒で行ってもよい。触媒の使用量としては、前記ダイヤモンドイド構造より構成される脂環式化合物に対して、0.05当量倍以上、10当量倍以下であることが望ましく、好ましくは、0.05当量倍以上、1当量倍以下、更に好ましくは、0.05当量倍以上、0.5当量倍以下である。
反応温度としては、それぞれの化合物が有する反応の活性度によるため、特に限定しないが、−50℃以上、100℃以下が好ましい。また、反応時間としては、1時間以上、100時間以下が好ましく、より好ましくは、24時間以上、100時間以下である。また、モノハロゲン化化合物とジハロゲン化化合物の混合物が得られる場合には、カラムクロマトグラフィーにより分離精製してもよい。
なお、上記ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物のうち、臭素化化合物は、文献(T.Gund, P.Schleyer, G.Unruh,G.Gleicher、 Journal of Organic Chemistry, Vol.39, 2995−3003, 1974)に記載の方法に従って合成することができる。
【0022】
(2)カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物の合成
次に、濃硫酸および濃硝酸などの強酸中で、上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物を、ギ酸と反応させ、ダイヤモンドイド構造にカルボキシル基を結合させることにより、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物を得る。
【0023】
(3)カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ芳香族化合物の合成
次に、上記で得たカルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物と、ヒドロキシ芳香族化合物とを、フリーデルクラフツ反応により、反応させることで、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ芳香族化合物を得る。
前記フリーデル−クラフツ反応において、溶媒としては、特には限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリルまたはニトロメタンなどが好ましいが、無溶媒で行ってもよい。溶媒の使用量としては、この反応に使用される原料に対して、0.5重量倍以上、50重量倍以下が好ましく、より好ましくは、0.5重量倍以上、10重量倍以下である。
触媒としては、塩化アルミニウムおよび臭化アルミニウムなどのルイス酸触媒が好ましいが、無触媒で行ってもよい。触媒の使用量としては、前記ハロゲン化化合物に対して、0.05当量倍以上、10当量倍以下であることが望ましく、好ましくは、0.05当量倍以上、1当量倍以下、更に好ましくは、0.05当量倍以上、0.5当量倍以下である。
反応温度としては、それぞれの化合物が有する反応の活性度によるため、特に限定しないが、−20℃以上、200℃以下が好ましく、無触媒で反応を行う場合は、100℃以上、200℃以下が好ましい。また、反応時間としては、1時間以上、100時間以下、より好ましくは、1時間以上、48時間以下である。
上記で得たダイヤモンドイド構造を含む置換基を有するハロゲン化化合物のヒドロキシ芳香族化合物に対するモル比は、目的のダイヤモンドイド構造より構成される置換基の導入数によるため、特に限定しないが、1当量倍以上、10当量倍以下であることが望ましい。
【0024】
(4)カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシ芳香族化合物の合成
続いて、硫酸および硝酸などのニトロ化剤を用いて、上記で得たカルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ芳香族化合物のヒドロキシ芳香族基をニトロ化し、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシ芳香族化合物を得る。
【0025】
(5)目的の化合物の合成
続けて、これを、テトラヒドロフラン、エタノールおよびN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒に、分散または溶解させ、水素雰囲気下、室温で、パラジウム−活性炭もしくは白金−活性炭などの触媒で処理するか、または、酸性条件下でスズもしくは塩化スズなどの触媒で処理することにより、目的のアミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有する芳香族化合物を得ることができる。
【0026】
3.2 第2の合成例
また、一般式(1)におけるm1が1およびm2が0、m3が1の化合物で、一般式(2)におけるm1が1およびm2が0に相当の場合としては、前記アミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有する芳香族化合物の第1の合成例において得られるカルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ芳香族化合物を用いて合成することができ、まず、これと、フェノール性水酸基がベンジル基で保護されたフッ化ニトロフェノールまたは塩化ニトロフェノールとを、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒下で、炭酸カリウムなどの塩基を用いたエーテル化反応を行い、フェノール性水酸基がベンジル基で保護されたダイヤモンドイド構造より構成される基を含むニトロヒドロキシフェノキシ芳香族化合物を得る。
前記エーテル化反応において、反応温度としては、50℃以上、150℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以上、150℃以下である。また、反応時間としては、1時間以上、100時間以下、より好ましくは、24時間以上、100時間以下である。
【0027】
上記で得られた化合物を、テトラヒドロフラン、エタノールまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒に、分散または溶解させたものを、水素雰囲気下、室温で、パラジウム−活性炭または白金−活性炭などの触媒で処理することにより、一般式(2)におけるm1が1およびm2が0である目的の芳香族化合物を得ることができる。
【0028】
3.3 第3の合成例
(1)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物の合成
また、一般式(1)におけるm1が0およびm2が1、m3が1の化合物で、一般式(2)におけるm1が0およびm2が1に相当の場合としては、まず、前記アミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有する芳香族化合物の第1の合成例におけるダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物を得る方法で、ダイヤモンドイド構造を含む置換基を有するジハロゲン化化合物を合成する。また、前記同様、モノハロゲン化化合物とジハロゲン化化合物の混合物が得られる場合には、カラムクロマトグラフィーにより分離精製する方法を用いることができる。
【0029】
(2)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するビス(ヒドロキシ芳香族)化合物の合成
次に、前記アミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する化合物の第1の合成例において得られるダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ芳香族化合物を合成する方法と同様にして、上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するジハロゲン化化合物とヒドロキシ芳香族化合物とからダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するビス(ヒドロキシ芳香族)化合物を得ることができる。
【0030】
(3)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ヒドロキシ芳香族化合物の合成
次に、上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するビス(ヒドロキシ芳香族)化合物を用いて、これと、フルオロベンゾニトリルまたはブロモベンゾニトリルとを、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒下で、炭酸カリウムなどの塩基を用いたエーテル化反応を行い、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ヒドロキシ芳香族化合物を得る。
前記エーテル化反応において、用いるフルオロベンゾニトリルまたはブロモベンゾニトリルのモル比は、ビス(ヒドロキシ芳香族)化合物に対して、0.7倍以上、1.2倍以下が好ましく、反応温度としては、50℃以上、150℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以上、150℃以下である。また、反応時間としては、1時間以上、100時間以下、より好ましくは、24時間以上、100時間以下である。この反応において、二つのフェノール性ヒドロキシ基の両方がエーテル化されたビス(シアノフェノキシ)化合物と、目的のシアノフェノキシヒドロキシ芳香族化合物が、混合物で得られる場合には、カラムクロマトグラフィーにより分離精製する方法を用いることができる。
【0031】
(4)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ニトロヒドロキシ芳香族化合物
次に、上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ヒドロキシ芳香族化合物のヒドロキシ芳香族基を、第1の合成例における前記カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシ芳香族化合物の合成法と同様にして、ニトロ化することにより、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ニトロヒドロキシ芳香族化合物を得る。
【0032】
(5)目的の化合物の合成
続いて、上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ニトロヒドロキシ芳香族化合物のシアノ基を水酸化カリウムなどの塩基と反応させ、さらに塩酸などの酸で処理して加水分解することにより、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシ芳香族化合物を得る。さらに、これを,テトラヒドロフラン、エタノールまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒に、分散または溶解させたものを、水素雰囲気下、室温で、パラジウム−活性炭または白金−活性炭などで処理することにより、目的のアミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する化合物を得ることができる。
【0033】
3.4 第4の合成例
(1)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ−メトキシ芳香族化合物の合成
また、一般式(1)におけるm1が0およびm2が1、m3が1の化合物で、一般式(2)におけるm1が0およびm2が1に相当し、しかも、Xがダイヤモンドイド構造を有するベンゼンジオキソ基である場合とし
ては、前記アミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有する芳香族化合物の第1の合成例において得られるダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するハロゲン化化合物を用いて合成することができ、まず、これと、ヒドロキシ−メトキシ芳香族化合物とを、無溶媒、またはキシレン、トルエンおよびニトロメタンなどの溶媒下で、フリーデルクラフツ反応により、反応させることで、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ−メトキシ芳香族化合物を得る。
前記フリーデルクラフツ反応において、反応温度としては、50℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以上180℃以下である。反応時間としては、1時間以上、100時間以下、より好ましくは、15時間以上100時間以下である。
【0034】
(2)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−メトキシ芳香族化合物の合成
次に、上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ−メトキシ芳香族化合物を、上記第3の合成例と同様にして、フルオロベンゾニトリルまたはブロモベンゾニトリルと反応させることにより、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−メトキシ芳香族化合物を得ることができる。
【0035】
(3)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ヒドロキシ芳香族化合物の合成
次に、上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−メトキシ芳香族化合物を、エーテル開裂剤と反応させることにより、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ヒドロキシ芳香族化合物を得ることができる。
前記エーテル開裂剤としては、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、トリフルオロ酢酸、三塩化アルミニウム、三臭化ホウ素および三塩化ホウ素などの酸性試剤、ナトリウムメトキシドなどの塩基性試剤、ヨウ化トリメチルシリルなどのケイ素試剤などが挙げられ、特に限定されないが、三臭化ホウ素などのルイス酸試剤が好ましい。
【0036】
(5)カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ芳香族化合物の合成
次に、上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するシアノフェノキシ−ヒドロキシ芳香族化合物のシアノ基を上記第3の合成例と同様にして、加水分解することにより、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ芳香族化合物を得る。
【0037】
(6)ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ−メチルエステル芳香族化合物の合成
次に、上記で得たカルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ芳香族化合物を、硫酸存在下、メタノールと反応させることにより、メチルエステル化し、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ−メチルエステル芳香族化合物を得る。
【0038】
(7)フェノール性水酸基がベンジル基で保護された、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシフェノキシ−メチルエステル芳香族化合物の合成
上記で得たダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するヒドロキシ−メチルエステル芳香族化合物と、フェノール性水酸基がベンジル基で保護されたフッ化ニトロフェノールまたは塩化ニトロフェノールとを、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒下で、炭酸カリウムなどの塩基を用いたエーテル化反応を行い、フェノール性水酸基がベンジル基で保護された、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシフェノキシ−メチルエステル芳香族化合物を得る。
【0039】
(8)目的の化合物の合成
続いて、上記で得たフェノール性水酸基がベンジル基で保護された、ダイヤモンドイド構造より構成され置換基を有するニトロヒドロキシフェノキシ−メチルエステル芳香族化合物のメチルエステル基を加水分解し、フェノール性水酸基がベンジル基で保護された、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシフェノキシ芳香族化合物を合成し、これを、テトラヒドロフラン、エタノールまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒に、分散または溶解させたものを、水素雰囲気下、室温で、パラジウム−活性炭または白金−活性炭などで処理することにより、目的のアミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する化合物を得ることができる。
【0040】
3.5 第5の合成例
(1)フェノール性水酸基がベンジル基で保護された、ダイヤモンド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシフェノキシ−メチルエステル芳香族化合物の合成
一般式(1)におけるm1が0、m2が1、m3が0で、Yを有する化合物の場合、まず、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有し、フェノール性水酸基がベンジル基で保護されたフッ化ニトロフェノールまたは塩化ニトロフェノールと、ヒドロキシ−メチルエステル芳香族化合物とを、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒下で、炭酸カリウムなどの塩基を用いたエーテル化反応を行い、フェノール性水酸基がベンジル基で保護された、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシフェノキシ−メチルエステル芳香族化合物を得る。
【0041】
(2)目的物の合成
続いて、上記で得たフェノール性水酸基がベンジル基で保護された、ダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシフェノキシ−メチルエステル芳香族化合物のメチルエステル基を加水分解し、フェノール性水酸基がベンジル基で保護された、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシフェノキシ芳香族化合物を合成し、これを、テトラヒドロフラン、エタノールまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒に、分散または溶解させたものを、水素雰囲気下、室温で、パラジウム−活性炭または白金−活性炭などで処理することにより、目的のアミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する化合物を得ることができる。
【0042】
3.6ダイヤモンドイド構造より構成される脂環式化合物
前記ダイヤモンドイド構造より構成される脂環式化合物としては、例えば、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン、オクタマンタン、ノナマンタン、デカマンタン、ウンデカマンタン、ビアダマンタン、トリアダマンタン、テトラアダマンタン、ペンタアダマンタン、ヘキサアダマンタン、ヘプタアダマンタン、オクタアダマンタン、ノナアダマンタン、デカアダマンタン、ウンデカアダマンタン、ビジアマンタン、トリジアマンタン、テトラジアマンタン、ペンタジアマンタン、ヘキサジアマンタン、ヘプタジアマンタン、オクタジアマンタン、ノナジアマンタン、デカジアマンタンおよびウンデカジアマンタン、などの多環式骨格構造を有する化合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
3.7ヒドロキシ芳香族化合物化合物
前記ヒドロキシ芳香族化合物としては、例えば、ヒドロキシベンゼン、ヒドロキシビフェニル、ヒドロキシジフェニルエーテル、ヒドロキシナフタレン、ヒドロキシビナフチル、ヒドロキシアントラセン、ヒドロキシフルオレン、ヒドロキシフェニルフルオレンおよびヒドロキシベンゼン、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
3.8ヒドロキシ−メチルエステル芳香族化合物
前記ヒドロキシ−メチルエステル芳香族化合物としては、例えば、ヒドロキシメトキシカルボニルベンゼン、ヒドロキシメトキシカルボニルビフェニル、ヒドロキシメトキシカルボニルジフェニルエーテル、ヒドロキシメトキシカルボニルナフタレン、ヒドロキシメトキシカルボニルビナフチル、ヒドロキシメトキシカルボニルアントラセンおよびヒドロキシメトキシカルボニルフルオレン、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
4.芳香族化合物誘導体の製造方法
上記で得られたアミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する化合物を合成する工程において、いずれの構造でも同様にして得られる、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基を有するニトロヒドロキシ芳香族化合物を、ヒドロキシピリジン、ヒドロキシキノリンおよびフェノール化合物などのヒドロキシ芳香族化合物と反応させ、エステル化してから、水素雰囲気下、室温で、パラジウム−活性炭または白金−活性炭などの触媒で処理することにより、アミノヒドロキシフェニル基と、エステル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する芳香族化合物を得ることができる。
【0046】
上記で得られたアミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する芳香族化合物、およびアミノヒドロキシフェニル基と、エステル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する芳香族化合物は、アミノ基とカルボキシル基またはエステル基を縮合反応させることにより、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂前駆体およびポリベンゾオキサゾール樹脂などへ変換することができる。
【実施例】
【0047】
以下に本発明を説明するために実施例を示すが、これによって本発明を限定するものではない。
得られた化合物は、特性評価のため、質量分析および元素分析を行った。各特性の測定条件は、次の通りとした。
[試験方法]
(1)質量分析(MS):日本電子(株)製JMS−700型を用いてフィールド脱着法で測定した。
(2)元素分析:PERKIN ELMER社製2400型を用いて測定した。
(3)比誘電率:日本エス・エス・エム(株)製自動水銀プローブCV測定装置SSM495を用いて、温度22℃、湿度45%の雰囲気下において、下記で得られた測定用試料を熱硬化させて作製した皮膜(膜厚1μm)の比誘電率を測定した。
前記測定用試料は、まず、100mLフラスコに、下記実施例で得た芳香族化合物誘導体(6mmol)およびN−メチルピロリドン20mLを投入し、窒素気流下、100℃で24時間攪拌した。次いで、この反応液をイオン交換水500mLに投入し、濾過により回収した固体は、更にイオン交換水500mL中で1時間攪拌洗浄した。更に、60℃で2日間減圧乾燥して得たものを測定用試料とした。
皮膜は、上記で得た測定用試料とN−メチルピロリドンからなるコーティングワニスを、スピンコート法により、シリコンウエハ上に塗布して、均一な膜厚の被膜を形成した後、150℃で10分間加熱乾燥させ、更に、窒素を流入して酸素濃度を100ppm以下に制御したオーブンを用いて、350℃で60分間加熱したものを用いた。
【0048】
[実施例1]
(1)1−ブロモ−3−カルボキシ−アダマンタンの合成
温度計、窒素導入管を備えた1Lナスフラスコに、56%硝酸30mL、94%硫酸296mL、60%発煙硫酸148mLおよび攪拌子を投入して攪拌し、続いて、アダマンタンを用いて上記T.Gund等の方法により合成した1−ブロモアダマンタン25g(0.116mol)およびギ酸28mLを投入し、30℃で4時間攪拌した。続いて、反応液を氷に注ぎ、析出した沈殿を濾取し、さらに、水1Lで2回、10%水酸化ナトリウム水溶液で1回洗浄した後、メタノールで再結晶することにより、1−ブロモ−3−カルボキシ−アダマンタン20.3gを得た(収率67%)。
【0049】
(2)1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタンの合成
窒素導入管、アルカリトラップ、還流管を備えた2Lセパラブルフラスコに、上記で得た1−ブロモ−3−カルボキシ−アダマンタン20.3g(0.0783mol)、ヒドロキシベンゼン219g(2.353mol)および攪拌子を投入し、窒素気流下、160℃で1時間還流した。続いて、加熱、攪拌を止め、反応液を50℃以下まで冷却後、還流管の上からメタノール900mLを加えて、再び加熱し、60℃で15分間還流する。その後、熱時濾過を行うことにより、1−(4−ヒドロキシフェニル)−アダマンタン20.7gを得た(収率97%)。
【0050】
(3)1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタンの合成
温度計、窒素導入管、攪拌機を備えた4つ口の1Lフラスコに、上記で得た1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシアダマンタン20.6g(0.0757mol)およびジクロロメタン270mLを仕込み、フラスコ中に窒素を流した。フラスコをメタノール/氷浴で冷却し、攪拌しながら、60%硝酸水溶液10.33g(0.0984mol)を滴下した。続いて内温0℃以下で30分攪拌後、水/氷浴に換えて0〜5℃で2時間攪拌し、さらに、水/氷浴をはずして室温で2時間攪拌した。反応液を濾過して、濾物として得られた黄色固体をイオン交換水500mLで3回洗浄し、60℃で1日減圧乾燥することにより、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン15.85gを得た(収率66%)。
【0051】
(4)1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシアダマンタンの合成
上記で得られた1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85g(0.0183mol)および10%パラジウム−活性炭0.39g(0.000369mol)、テトラヒドロフラン60mL、N−メチルピロリドン12mLを、水素雰囲気下、室温で30時間攪拌した。さらに、N−メチルピロリドン11mLを加えて15分攪拌後、反応液を濾過した。濾液をイオン交換水225mLに滴下して析出した固体をメタノール118mLおよびイオン交換水118mLの混合液で3回洗浄し、60℃で2日間減圧乾燥することにより、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシアダマンタン4.42gを得た(収率84%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:肌色固体
MS(FD)(m/z):287(M+
元素分析:理論値(/%):C,71.06;H,7.37;N,4.87;O,16.70、実測値(/%):C,71.18;H,7.89;N,4.36;O,16.57
【0052】
(5)1−(3−アミノ−ヒドロキシフェニル)−3−(3−ピリジルオキシカルボニル)−アダマンタンの合成
3つ口の500mLフラスコに、実施例1(3)で得た1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン10.00g(0.0315mol)と3−ヒドロキシピリジン3.05g(0.0321mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物1.20g(0.0063mol)、4−ジメチルアミノピリジン0.77g(0.0063mol)、テトラヒドロフラン100mLをいれ、さらに、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド9.75g(0.0473mol)をテトラヒドロフラン9.8mlに溶かした溶液を加えて、室温で4時間攪拌した。攪拌後、反応液を濾過して、析出したN,N’−ジシクロヘキシルカルボウレアを除去し、濾液をエバポレーターにより、溶媒留去した。酢酸エチル200mlに溶解し、飽和食塩水で2回洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒留去した。さらに、酢酸エチル15mlに溶解させ、濾過により不溶物を除去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1→1/0)により精製した。エバポレーターにより溶媒留去して得られた黄色固体を、室温で1日間減圧乾燥し、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジルオキシカルボニル)−アダマンタン8.15gを得た(収率71%)。
次に、実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85gを、上記で得た1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジルオキシカルボニル)−アダマンタン7.22g(0.0183mol)とする以外は実施例1(4)と同様の方法で、1−(3−アミノ−ヒドロキシフェニル)−3−(3−ピリジルオキシカルボニル)−アダマンタン5.27gを得た(収率79%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):364(M+
元素分析:理論値(/%):C,72.50;H,6.64;N,7.69;O,13.17、実測値(/%):C,72.98;H,6.42;N,7.81;O,12.79
比誘電率:2.6
【0053】
[実施例2]
(1)1−ブロモ−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(1)において、1−ブロモアダマンタン25g(0.116mol)を、ビアダマンタンを用いて上記T.Gund等の方法により合成した1−ブロモ−3,3’−ビアダマンタン40.52g(0.116mol)とする以外は、実施例1(1)と同様の方法で、1−ブロモ−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン32.40gを得た(収率71%)。
【0054】
(2)1−(4−ヒドロキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(2)において、1−ブロモ−3−カルボキシ−アダマンタン20.3g(0.0783mol)を、上記で得た1−ブロモ−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン30.80g(0.0783mol)とする以外は、実施例1(1)と同様の方法で、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンを30.88g得た(収率97%)。
【0055】
(3)1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(3)において、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシアダマンタン20.6g(0.0757mol)を、上記で得た1−(4−ヒドロキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン30.78g(0.0757mol)とした以外は、実施例1(3)の方法と同様の方法で、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン22.56gを得た(収率66%)。
【0056】
(4)1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85g(0.0183mol)を、上記で得た1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン5.79g(0.0183mol)とした以外は、実施例1(4)の方法と同様の方法で、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン15.81gを得た(収率75%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):421(M+
元素分析:理論値(/%):C,76.92;H,8.37;N,3.32;O,11.39、実測値(/%):C,77.45;H,8.02;N,3.11;O,11.42
【0057】
(5)1−(3−アミノ−ヒドロキシフェニル)−1’−(3−ピリジルオキシカルボニル)−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(5)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン10.00g(0.0315mol)を、実施例2(3)で得た1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン14.22g(0.0315mol)とする以外は、実施例1(5)と同様の方法で、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1’−(3−ピリジルオキシカルボニル)−3,3’−ビアダマンタン12.16gを得た(収率74%)。
次に、実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85gを、上記で得た1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−1’−(3−ピリジルオキシカルボニル)−3,3’−ビアダマンタン9.67g(0.0183mol)とする以外は、実施例1(4)と同様の方法で、1−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1’−(3−ピリジルオキシカルボニル)−3,3−ビアダマンタン6.48gを得た(収率71%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):498(M+
元素分析:理論値(/%):C,77.08;H,7.68;N,5.62;O,9.63、実測値(/%):C,77.68;H,7.49;N,5.81;O,9.02
比誘電率:2.4
【0058】
[実施例3]
(1)1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタンの合成
実施例1(1)と同様の方法で、1−ブロモ−3−カルボキシ−アダマンタン21.81gを得た(収率72%)。続いて、実施例1(2)と同様の方法で、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン19.85gを得た(収率93%)。
【0059】
(2)1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタンの合成
窒素導入管、還流管を備えた300mLナスフラスコに、上記で得た1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン19.85g(0.0701mol)、2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼン21.62g(0.0874mol)、炭酸カリウム25.18g、N,N−ジメチルホルムアミド140mLおよび攪拌子を投入し、窒素気流下、135℃で12時間加熱攪拌を行った。反応液を濾過した後、イオン交換水1Lに投入した。析出固体を濾過により回収し、更にイオン交換水1Lで1時間攪拌した後、減圧下で乾燥させることにより、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン31.32gを得た(収率89%)。
【0060】
(3)1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタンの合成
実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85g(0.0183mol)を、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン6.94g(0.0183mol)とする以外は、実施例1(4)と同様の方法で1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン5.07gを得た(収率73%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):379(M+
元素分析:理論値(/%):C,72.80;H,6.64;N,3.69;O,16.87、実測値(/%):C,73.18;H,6.89;N,3.36;O,16.57
【0061】
(4)1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−3−(3−ピリジルオキシカルボニル)−アダマンタンの合成
実施例1(5)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン10.00g(0.0315mol)を、実施例3(2)で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン15.73g(0.0315mol)とする以外は、実施例1(5)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(3−ピリジルオキシカルボニル)−アダマンタン13.08gを得た(収率72%)。
次に、実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85gを、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(3−ピリジルオキシカルボニル)−アダマンタン10.55g(0.0183mol)とする以外は、実施例1(4)と同様の方法で、1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−3−(3−ピリジルオキシカルボニル)−アダマンタン5.68gを得た(収率68%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):456(M+
元素分析:理論値(/%):C,73.66;H,6.18;N,6.14;O,14.02、実測値(/%):C,73.18;H,6.49;N,6.81;O,13.52
比誘電率:2.7
【0062】
[実施例4]
(1)1−(4−ヒドロキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例2(1)と同様の方法で、1−ブロモ−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンを33.77g得た(収率74%)。続いて、実施例2(2)と同様の方法で、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンを32.11g得た(収率92%)。
【0063】
(2)1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例3(2)において、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン19.85g(0.0701mol)を、上記で得た1−(4−ヒドロキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン28.50g(0.0701mol)とする以外は、実施例3(2)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンを40.71g得た(収率92%)。
【0064】
(3)1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85g(0.0183mol)を、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン11.60g(0.0183mol)とする以外は、実施例1(4)と同様の方法で、1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン6.49gを得た(収率69%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):513(M+
元素分析:理論値(/%):C,77.16;H,7.65;N,2.73;O,12.46、実測値(/%):C,77.21;H,7.61;N,2.76;O,12.42
【0065】
(4)1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−1’−(3−ピリジルオキシカルボニル)−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(5)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン10.00g(0.0315mol)を、実施例4(2)で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−カルボキシ−3,3’−ビアダマンタン19.96g(0.0315mol)とする以外は、実施例1(5)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(3−ピリジルオキシカルボニル)−3,3’−ビアダマンタン14.78gを得た(収率66%)。
次に、実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85g(0.0183mol)を、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(3−ピリジルオキシカルボニル)−3,3’−ビアダマンタン13.01g(0.0183mol)とする以外は、実施例1(4)と同様の方法で、1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−1’−(3−ピリジルオキシカルボニル)−3,3’−ビアダマンタン8.43gを得た(収率78%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):590(M+
元素分析:理論値(/%):C,77.26;H,7.17;N,4.74;O,10.83、実測値(/%):C,76.98;H,7.22;N,4.81;O,10.99
比誘電率:2.5
【0066】
[実施例5]
(1)1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アダマンタンの合成
窒素導入管、アルカリトラップ、還流管を備えた5Lセパラブルフラスコに、アダマンタンを用いて上記T.Gund等の方法により合成した1,3−ジブロモアダマンタン25.0g(0.0850mmol)、ヒドロキシベンゼン584.1g(6.205mmol)および攪拌子を投入し、窒素気流下、160℃で1時間還流した。続いて、加熱、攪拌を止め、反応液を50℃以下まで冷却後、還流管の上からメタノール2500mLを加えて、再び加熱し、60℃で15分間還流する。その後、熱時濾過を行うことにより、3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アダマンタン25.60gを得た(収率94%)。
【0067】
(2)1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニル−アダマンタンの合成
実施例3(2)において、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン19.85g(0.0701mol)を上記で得た3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アダマンタン24.80g(0.0774mol)とし、2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼン21.62g(0.0874mol)を19.12g(0.0774mol)とする以外は、実施例3(2)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニル−アダマンタン29.55gを得た(収率77%)。
【0068】
(3)1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−シアノフェノキシフェニル)−アダマンタンの合成
窒素導入管、還流管を備えた300mLフラスコに、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニル−アダマンタン30.00g(0.0548mol)、4−フルオロベンゾニトリル7.30g(0.0603mol)、炭酸カリウム18.93g、N,N−ジメチルホルムアミド200mLおよび攪拌子を投入し、窒素気流下、135℃で6時間加熱攪拌を行った。反応液を冷蔵庫で1晩冷却後、析出固体を濾過により回収し、更にイオン交換水1Lで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させることにより、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−シアノフェノキシフェニル)−アダマンタンを21.69g得た(収率61%)。
【0069】
(4)1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−アダマンタンの合成
窒素導入管、還流管を備えた300mLフラスコに、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−シアノフェノキシフェニル)−アダマンタン21.69g(0.0334mol)、85%水酸化カリウム15.43g、ジエチレングリコール130mL、イオン交換水1.3mLおよび攪拌子を投入し、160℃で30時間攪拌した。次に反応液を0℃に冷却し、5.0mol/L塩酸を加え、室温で1時間攪拌した。2Lビーカーに反応液とイオン交換水1Lおよび攪拌子を入れ、室温で1時間攪拌した。析出固体を濾過により回収し、さらに、イオン交換水1Lで1回洗浄した後、減圧下で乾燥させることにより、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−アダマンタン20.30gを得た(収率91%)。
【0070】
(5)1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−3−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−アダマンタンの合成
実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85g(0.0183mol)を、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−アダマンタン12.21g(0.0183mol)とした以外は、実施例1(4)の方法と同様の方法で、1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−3−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−アダマンタン7.82gを合成した(収率78%)
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):547(M+
元素分析:理論値(/%):C,76.76;H,6.07;N,2.56;O,14.61、実測値(/%):C,76.88;H,6.12;N,2.40;O,14.60
【0071】
(6)1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−3−(4−(3−ピリジルオキシカルボニル)フェノキシフェニル)−アダマンタンの合成
実施例1(5)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン10.00g(0.0315mol)を実施例5(4)の操作を繰り返して得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−アダマンタン21.03g(0.0315mol)とした以外は、実施例1(5)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−(3−ピリジルオキシカルボニル)フェノキシフェニル)−アダマンタン16.16gを得た(収率69%)。
次に、実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85gを、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−(3−ピリジルオキシカルボニル)フェノキシフェニル)−アダマンタン13.63g(0.0183mol)とした以外は、実施例1(4)と同様の方法で、1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−3−(4−(3−ピリジルオキシカルボニル)フェノキシフェニル)−アダマンタン8.35gを得た(収率73%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):624(M+
元素分析:理論値(/%):C,76.90;H,5.81;N,4.48;O,12.81、実測値(/%):C,77.18;H,5.72;N,4.35;O,12.75
比誘電率:2.8
【0072】
[実施例6]
(1)1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例5(1)において、1,3−ジブロモアダマンタン25.0g(0.0850mmol)を、ビアダマンタンを用いて上記T.Gund等の方法により合成した1,1’−ジブロモ−3,3’−ビアダマンタン36.40g(0.0850mol)とした以外は、実施例5(1)と同様の方法で、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン34.39gを得た(収率89%)。
【0073】
(2)1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−ヒドロキシフェニル−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例3(2)において、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3−カルボキシ−アダマンタン19.85g(0.0701mol)を上記で得た1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン34.39g(0.0756mol)とし、2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼン21.62g(0.0874mol)を18.67g(0.0756mol)とする以外は、実施例3(2)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−ヒドロキシフェニル−3,3’−ビアダマンタン40.72gを得た(収率79%)。
(3)1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−シアノフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例5(3)において、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニル−アダマンタン30.00g(0.0548mol)を、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−ヒドロキシフェニル−3,3’−ビアダマンタン37.37g(0.0548mol)とした以外は、実施例5(3)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−シアノフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン28.32gを得た(収率66%)。
【0074】
(4)1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例5(4)において、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−シアノフェノキシフェニル)−アダマンタン21.69g(0.0334mol)を、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−シアノフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン26.15g(0.0334mol)とした以外は、実施例5(4)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン23.30gを得た(収率87%)。
【0075】
(5)1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−1’−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85g(0.0183mol)を、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン14.68g(0.0183mol)とした以外は、実施例1(4)と同様の方法で、1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−1’−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン8.73gを得た(収率70%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):681(M+
元素分析:理論値(/%):C,79.27;H,6.95;N,2.05;O,11.73、実測値(/%):C,79.51;H,6.77;N,2.14;O,11.58
【0076】
(6)1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−1’−(4−(3−ピリジルオキシカルボニル)フェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタンの合成
実施例1(5)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン10.00g(0.0315mol)を、実施例6(4)で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−カルボキシフェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン11.58g(0.0315mol)とした以外は、実施例1(5)と同様の方法で、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−(3−ピリジルオキシカルボニル)フェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン20.21gを得た(収率73%)。
次に、実施例1(4)において、1−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)−3−カルボキシアダマンタン5.85gを、上記で得た1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−1’−(4−(3−ピリジルオキシカルボニル)フェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン16.09g(0.0183mol)とした以外は、実施例1(4)と同様の方法で、1−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシフェニル)−1’−(4−(3−ピリジルオキシカルボニル)フェノキシフェニル)−3,3’−ビアダマンタン10.42gを得た(収率75%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):758(M+
元素分析:理論値(/%):C,79.13;H,6.64;N,3.69;O,10.54、実測値(/%):C,79.22;H,6.72;N,3.35;O,10.71
比誘電率:2.7
【0077】
[実施例7]
(1)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−ヒドロキシ−5−メトキシベンゼンの合成
窒素導入管、アルカリトラップ、還流管を備えた500mL3つ口フラスコに、3,5−ジメチルアダマンタンを用いて上記T.Gund等の方法により合成した1−ブロモ−3,5−ジメチルアダマンタン192g(0.789mol)、1−ヒドロキシ−3−メトキシベンゼン14g(0.113mol)および攪拌子を投入し、窒素雰囲気下、170℃で25時間攪拌した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−ヒドロキシ−5−メトキシベンゼン30.42gを得た(収率60%)。
【0078】
(2)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−シアノフェノキシ)−5−メトキシベンゼンの合成
次に、実施例5(3)において、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニル−アダマンタン30.00g(0.0548mol)を、上記で得た2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−ヒドロキシ−5−メトキシベンゼン24.59g(0.0548mol)とした以外は、実施例5(7)と同様の方法で、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−シアノフェノキシ)−5−メトキシベンゼン28.32gを得た(収率94%)。
【0079】
(3)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼンの合成
窒素導入管、アルカリトラップ、滴下ろうとを備えた500mL3つ口フラスコに上記で得た2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−シアノフェノキシ)−5−メトキシベンゼン28.32g(0.515mol)、ジクロロメタン255mLおよび攪拌子を仕込み、フラスコをドライアイス/メタノール浴で−50℃に冷却し、攪拌しながら、滴下ろうとより、三臭化ホウ素の1.0mol/lジクロロメタン溶液を112mL滴下した。室温で10時間攪拌後、反応液を冷却したイオン交換水2Lに投入し、さらに30分間攪拌した後、分液ろうとで、ジクロロメタン層を分取し、イオン交換水で1回洗浄した。エバポレーターでジクロロメタンを留去した後、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶による精製を行い、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼン15.18gを得た(収率55%)。
【0080】
(4)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼンの合成
実施例5(4)において、1−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)−3−(4−シアノフェノキシフェニル)−アダマンタン21.69g(0.0334mol)を、上記で得た2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼン15.18g(0.0283mol)とした以外は、実施例5(4)と同様にして、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼン15.36gを得た(収率93%)。
【0081】
(5)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼンの合成
冷却管、窒素導入管を備えた300mLナスフラスコに、上記で得た2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼン15.36g(0.0264mol)、メタノール130mL、濃硫酸2.7gおよび攪拌子を仕込み、8時間還流した。反応液をイオン交換水1Lに投入し、30分間攪拌後、析出物を濾過して回収した。その後、濾物をイオン交換水で2回洗浄し、60℃で一晩減圧乾燥することにより、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼン12.29gを得た(収率78%)。
【0082】
(6)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼンの合成
窒素導入管、還流管を備えた300mLナスフラスコに、上記で得た2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼン12.29g(0.0206mol)、2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼン5.14g(0.0208mol)、炭酸カリウム3.42g、N,N−ジメチルホルムアミド140mLおよび攪拌子を投入し、窒素気流下、135℃で12時間加熱攪拌を行った。反応液を濾過した後、イオン交換水1Lに投入した。析出固体を濾過により回収し、更にイオン交換水1Lで1時間攪拌した後、減圧下で乾燥させることにより、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン13.75gを得た(収率81%)。
【0083】
(7)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼンの合成
窒素導入管、冷却管、を備えた500mLナスフラスコに上記で得た2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−5−(4−ニトロ−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン13.75g(0.0167mol)、10%水酸化ナトリウム水溶液140mL、THF140mLおよび攪拌子を仕込み、60℃で30時間攪拌した。その後、反応液に2mol/L塩酸130mLを加え、析出物をイオン交換水で2回洗浄することにより、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン9.60gを得た(収率71%)。
【0084】
(8)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンの合成
上記で得られた2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン3.00g(0.00370mol)および10%パラジウム−活性炭0.196g(0.000185mol)、テトラヒドロフラン15mLを、水素雰囲気下、室温で30時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液をイオン交換水200mLに滴下して析出した固体をメタノール100mLおよびイオン交換水100mLの混合液で3回洗浄し、60℃で2日間減圧乾燥することにより、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン2.04gを得た(収率80%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):689.41(M+
元素分析:理論値(/%):C,78.34;H,8.04;N,2.03;O,11.60、実測値(/%):C,78.18;H,7.99;N,2.07;O,11.76
【0085】
(9)2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−ピリジルオキシカルボニルフェノキシ)−5−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンの合成
3つ口の500mLフラスコに、実施例7(7)で得た2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン6.60g(0.00815mol)と3−ヒドロキシピリジン0.789g(0.00831mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物0.31g(0.0016mol)、4−ジメチルアミノピリジン0.20g(0.0016mol)、テトラヒドロフラン26mLをいれ、さらに、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド2.52g(0.0122mol)をテトラヒドロフラン2.5mlに溶かした溶液を加えて、室温で4時間攪拌した。攪拌後、反応液を濾過して、析出したN,N’−ジシクロヘキシルカルボウレアを除去し、濾液をエバポレーターにより、溶媒留去した。酢酸エチル50mlに溶解し、飽和食塩水で2回洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒留去した。さらに、酢酸エチル5mlに溶解させ、濾過により不溶物を除去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/1→1/0)により精製した。エバポレーターにより溶媒留去して得られた黄色固体を、室温で1日間減圧乾燥し、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−ピリジルオキシカルボニルフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン5.46gを得た(収率74%)。
次に、実施例7(8)において、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)ベンゼン3.00g(0.00370mol)を、上記で得た2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−ピリジルオキシカルボニルフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン3.28g(0.00370mol)とする以外は、実施例7(8)と同様の方法で、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−ピリジルオキシカルボニルフェノキシ)−5−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン2.41gを得た(収率85%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):766(M+
元素分析:理論値(/%):C,78.30;H,7.62;N,3.65;O,10.43、実測値(/%):C,78.28;H,7.42;N,3.41;O,10.89
比誘電率:2.4
【0086】
[実施例8]
(1)5−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼンの合成
300mLナスフラスコに、3−フルオロフェノール31.0g(277mmol)、3,5−ジメチル−1−ブロモアダマンタン33.6g(138mmol)、トルエン30mLおよび攪拌子を投入し、窒素気流下、140℃で24時間攪拌を行った後、溶媒を減圧除去した。反応液にヘキサン100mLを投入し、室温で静置して析出した固体を濾過により回収した。回収固体を冷ヘキサンで洗浄した後、60℃で減圧乾燥することにより、4−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−3−フルオロフェノール27.4gを得た。
次に、500mLナスフラスコに、上記で得られた4−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−3−フルオロフェノール27.4g(100mmol)、ジクロロメタン30mL、60%硝酸水溶液10.5g(100mmol)および攪拌子を投入し、10℃で1時間攪拌を行った。反応液に無水硫酸ナトリウム100gを投入し、15分間攪拌した後、濾過を行い、更に溶媒を減圧除去した。得られた液体をカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、5−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−2−ヒドロキシ−4−フルオロニトロベンゼン16.0gを得た。
次に、200mLナスフラスコに、上記で得られた5−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−2−ヒドロキシ−4−フルオロニトロベンゼン10g(31.3mmol)、ベンジルブロミド6.43g(37.6mmol)、炭酸カリウム4.32g(31.3mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド100mLおよび攪拌子を投入し、100℃で5時間攪拌を行った。反応液を濾過し、イオン交換水1Lに投入して析出した固体を濾過により回収した。回収固体を2−プロパノールで再結晶することにより、5−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼン9.9gを得た。
(2)4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−ニトロ−5−ベンジルオキシフェノキシ)−1−メトキシカルボニルベンゼンの合成
実施例7(6)において、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−5−ヒドロキシベンゼン12.29g(0.0206mol)を1−メトキシカルボニル−4−ヒドロキシベンゼン3.13g(0.0206mol)、2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼン5.14g(0.0208mol)を、上記で得た5−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼン8.81g(0.0208mol)とした以外は、実施例7(6)と同様の方法で、4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−ニトロ−5−ベンジルオキシフェノキシ)−1−メトキシカルボニルベンゼン9.62gを得た(収率84%)。
【0087】
(3)4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−ニトロ−5−ベンジルオキシフェノキシ)−1−カルボキシベンゼンの合成
実施例7(7)において、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−5−(4−ニトロ−ベンジルオキシフェノキシフェニル)ベンゼン13.75g(0.0167mol)を、上記で得た4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−ニトロ−5−ベンジルオキシフェノキシ)−1−メトキシカルボニルベンゼン9.28g(0.0167mol)とした以外は、実施例7(7)と同様の方法で、4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−ニトロ−5−ベンジルオキシフェノキシ)−1−カルボキシベンゼン6.60gを得た(73%)。
【0088】
(4)4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−1−カルボキシベンゼンの合成
実施例7(8)において、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)ベンゼン3.00g(0.00370mol)を、上記で得た4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−ニトロ−5−ベンジルオキシフェノキシ)−1−カルボキシベンゼン2.00g(0.00370mol)とした以外は、実施例7(8)と同様の方法で、4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−1−カルボキシベンゼン1.17gを得た(収率75%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):421(M+
元素分析:理論値(/%):C,74.08;H,7.41;N,3.32;O,15.18、実測値(/%):C,74.18;H,7.59;N,3.17;O,15.06
【0089】
(5)4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−1−ピリジルオキシカルボニルベンゼンの合成
実施例7(9)において、2,4−(3,5−ジメチル−(1−アダマンチル))−1−(4−カルボキシフェノキシ)−5−(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシフェニル)ベンゼン6.60g(0.00815mol)を、上記で得た4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−ニトロ−5−ベンジルオキシフェノキシ)−1−カルボキシベンゼン4.39g(0.0081mol)とした以外は、実施例7(9)と同様の方法で、4−(2−(3,5−ジメチル−1−アダマンチル)−4−アミノ−5−ヒドロキシフェノキシ)−1−ピリジルオキシカルボニルベンゼン2.46gを得た(収率61%)。
以下に、外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた化合物が目的物であることを示している。
外観:茶色固体
MS(FD)(m/z):498(M+
元素分析:理論値(/%):C,74.67;H,6.78;N,5.62;O,12.84、実測値(/%):C,74.48;H,6.52;N,5.71;O,13.29
比誘電率:2.5
【0090】
[比較例1]
(1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンの合成)
300mLナスフラスコに、1,3−ジヒドロキシベンゼン9.9g、2−ベンジルオキシ−4−フルオロニトロベンゼン44.4g、炭酸カリウム37.3g、N,N−ジメチルホルムアミド150mLおよび撹拌子を投入し、窒素気流下、135℃で12時間加熱撹拌を行った。反応液を濾過した後、イオン交換水1Lに投入した。析出固体を濾過により回収し、更にイオン交換水1L中で1時間撹拌した後、減圧下で乾燥させることで、1,3−ビス(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン42.3gを得た。
次に、300mLナスフラスコに、上記で得られた1,3−ビス(4−ニトロ−3−ベンジルオキシフェノキシ)ベンゼン42.0g、10%パラジウム−活性炭2.00g、N,N−ジメチルホルムアミド200mLおよび撹拌子を投入し、水素雰囲気下、25℃で24時間撹拌を行った。反応液を濾過した後、イオン交換水1Lに投入した。析出固体を濾過により回収し、更にイオン交換水1L中で1時間撹拌した後、減圧下で乾燥させることで、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン30.5gを得た。次に、100mLフラスコに、上記で得た1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン(3mmol)およびN−メチルピロリドン20mLを投入し、窒素気流下、10℃で攪拌しながら、イソフタル酸ジクロリド0.61g(3mmol)を投入した後、反応液を20℃で24時間攪拌した。反応液をイオン交換水500mLに投入し、濾過により回収した固体は、更にイオン交換水500mL中で1時間攪拌洗浄した。更に、60℃で2日間減圧乾燥して得たものを比誘電率測定用試料とした。
以下に、比誘電率の測定結果を示す。
比誘電率:3.1
【0091】
[比較例2]
(2,7−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレンの合成)
比較例1において、1,3−ジヒドロキシベンゼン9.9gを、2,7−ジヒドロキシナフタレン14.4gとした以外は、比較例1と同様にして、2,7−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレン20.2gを得た。次に、100mLフラスコに、上記で得た2,7−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ナフタレン(3mmol)およびN−メチルピロリドン20mLを投入し、窒素気流下、10℃で攪拌しながら、イソフタル酸ジクロリド0.61g(3mmol)を投入した後、反応液を20℃で24時間攪拌した。反応液をイオン交換水500mLに投入し、濾過により回収した固体は、更にイオン交換水500mL中で1時間攪拌洗浄した。更に、60℃で2日間減圧乾燥して得たものを比誘電率測定用試料とした。
以下に、比誘電率の測定結果を示す。
比誘電率:3.1
【0092】
[比較例3]
温度計、攪拌装置、乾燥管、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド8gを入れ、次いで、1,3−ジアミノ−5−(パーフルオロノネニルオキシ)ベンゼン0.55g(1mmol)及び4,4’−ジアミノジフエニルエーテル0.2g(1mmol)を入れ、均一溶液になるまで攪拌した。次に、室温で、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物0.58g(2mmol)を少量づつ添加した。添加終了後、室温で5時間反応させ、ポリアミド酸を得た。次に、上記ポリアミド酸の溶液を、ガラス基板上に、スピンコートにより塗布し、150℃、200℃、250℃および300℃で、順次それぞれ30分間ずつ加熱することにより得られたポリイミドの皮膜を比誘電率測定試料とした。
以下に、比誘電率の測定結果を示す。
比誘電率:2.9
【0093】
以上から明らかな様に、本発明により提供される芳香族化合物およびその誘導体は、低比誘電率である高分子の原料として好適に用いることができることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明により得られるアミノヒドロキシフェニル基とカルボキシル基およびダイヤモンドイド構造を含む置換基を有する芳香族化合物およびその誘導体から得られる樹脂は、誘電特性や機械特性などを向上することができることから、これらは、高分子、特に縮合系高分子の原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノヒドロキシフェニル基と、カルボキシル基およびダイヤモンドイド構造より構成される置換基とを有する芳香族化合物。
【請求項2】
前記芳香族化合物は、一般式(1)で表されるものである、請求項1に記載の芳香族化合物。
【化1】

(式中のXは、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1およびm2は、0以上、4以下の整数を示し、m3は、0または1を示す。また、Yは水素原子またはダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、m3=0のときは、Yはダイヤモンドイド構造より構成される基である。)
【請求項3】
前記芳香族化合物は、一般式(2)で表されるものである、請求項1または2に記載の芳香族化合物。
【化2】

(式中のXは、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1およびm2は、0以上、4以下の整数を示す。)
【請求項4】
前記ダイヤモンドイド構造は、アダマンタン構造を最小単位として有する多環式構造および前記多環式構造を複数個有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族化合物のカルボキシル基が、エステル基に変換された構造を有する芳香族化合物誘導体。
【請求項6】
前記芳香族化合物誘導体は、一般式(3)で表されるものである請求項5に記載の芳香族化合物誘導体。
【化3】

(式中のXは、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1およびm2は、0以上、4以下の整数を示し、m3は、0または1を示す。Yは水素原子またはダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、m3=0のときは、Yはダイヤモンドイド構造より構成される基である。また、式中のRはアルキル基または芳香族基を示す。)
【請求項7】
前記芳香族化合物誘導体は、一般式(4)で表されるものである請求項5または6に記載の芳香族化合物誘導体。
【化4】

(式中のXは、少なくとも1つ以上のダイヤモンドイド構造より構成される基を示し、Ar1およびAr2は、芳香族基を示し、m1およびm2は、0以上、4以下の整数を示す。また、Rは、アルキル基または芳香族基を示す。)

【公開番号】特開2006−265224(P2006−265224A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266066(P2005−266066)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】