説明

芳香族系ポリイソシアネート化合物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、イミダゾール化合物を含有する樹脂組成物およびそれを用いた高耐熱性イソシアヌレート化硬化物

【課題】芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)からなる樹脂組成物において、イソシアネート基とエポキシ基とのモル比が2以上の高イソシアネート比な前記液状樹脂組成物を加熱硬化した場合、硬化物中に泡が存在し、また、樹脂組成物を調製するときにゲル化物が発生することがあるという課題があった。
【解決手段】イソシアネート基とエポキシ基とのモル比が2以上、好ましくは2以上15以下で、かつ(A)+(B)+(C)の総重量に対する(C)の配合率が0.2〜0.8重量%の各範囲にある樹脂組成物を得るにあたり、(C)と(B)を混合攪拌した後で(A)を加え、再度混合攪拌し、真空脱泡して調製すれば、該組成物を加熱硬化することにより、ガラス転移温度が250℃以上でゲル化物発生がなく、かつ硬化物中に泡を含まない高耐熱性のイソシアヌレート化硬化物が得られることを見いだした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族系ポリイソシアネート化合物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、およびイミダゾール化合物を含有する樹脂組成物およびそれを用いた高耐熱性イソシアヌレート化硬化物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂および触媒としてのイミダゾール化合物から成る液状樹脂組成物を加熱硬化することで、イソシアヌレート環化構造を有する耐熱性にすぐれた硬化物が得られることは、特許文献1に記載されている。また、ポリイソシアネート化合物としてポリメリック(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)(以後、ポリメリック−MDIと記載する。)、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾールから成る液状樹脂組成物は、特許文献2の中に例示されている。さらに、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基(I)とエポキシ樹脂中のエポキシ基(E)のモル比(以後、I/E比と記載する)が2以上である樹脂組成物は、特許文献3の特許請求の範囲(1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭51−111898号公報
【特許文献2】特開昭60−69121号公報
【特許文献3】特開昭62−167315号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】小山徹,奈良原俊和;日本化学会誌,1986,[1 2],1758(1986)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、I/E比が2以上の高イソシアネート比の前記液状樹脂組成物を加熱硬化した場合、樹脂組成物中に含まれる水分がイソシアネートと反応して二酸化炭素が生成し、硬化物中に泡として残存することがある、という課題があった。また、ポリイソシアネート化合物とエポキシ樹脂およびイミダゾール化合物を混合して樹脂組成物を調製するときにゲル化物が発生することがある、という課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記のような課題を解決するために研究を行い、芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)から成り、I/E比が2以上、好ましくは2以上15以下で、かつ(A)+(B)+(C)の総重量に対する(C)の配合率が0.2〜0.8重量%の各範囲にある樹脂組成物を、(C)と(B)を混合攪拌した後で(A)を加え、再度混合攪拌し、真空脱泡して調製後、加熱硬化すれば、ガラス転移温度が250℃以上でゲル化物発生がなく、かつ硬化物中に泡を含まない高耐熱性のイソシアヌレート化硬化物が得られることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(1)芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)を含み、(A)中のイソシアネート基(I)と(B)中のエポキシ基(E)のモル比(I/E比)が2以上、好ましくは2以上15以下で、かつ(A)+(B)+(C)の総重量に対して(C)の配合率が0.2〜0.8重量%の範囲にあることを特徴とする常温で液状の樹脂組成物、
(2)芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)がポリメリック(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)が液状ジグリシジルエーテルビスフェノールA、イミダゾール化合物(C)が2−エチル−4−メチルイミダゾールである上記(1)に記載の常温で液状の樹脂組成物、
(3)ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)とイミダゾール化合物(C)とを混合攪拌し、その後に芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)を加えて混合攪拌し次いで真空脱泡する工程を含むこと特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の常温で液状の樹脂組成物の製造方法、
(4)ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)とイミダゾール化合物(C)とを常温で混合攪拌し、その後に芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)を加えて常温で混合攪拌し、次いで常温で3.5時間以内に真空脱泡する工程を含むことを特徴とする上記(3)に記載の常温で液状の樹脂組成物の製造方法、
(5)上記(1)または上記(2)に記載の常温で液状の樹脂組成物を加熱硬化させたガラス転移温度250℃以上のイソシアヌレート化硬化物、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂組成物および樹脂組成物の製造方法により、樹脂組成物調製中および真空脱泡中にゲル化物やスキニングの生成がなくなり、かつ得られた硬化物中に泡が含まれることもなくなる。そのため、安定した高品質のイソシアヌレート化硬化物を高耐熱性樹脂として、ガラス転移温度200℃以上望ましくは230℃以上が要求される複合材料、半導体封止材、プリント配線基板、接着剤、塗料等の各分野へ提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による、イミダゾール化合物(C)(以後、(C)と記載する)とビスフェノール型エポキシ樹脂(B)(以後、(B)と記載する)を常温で混合攪拌した後で芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)(以後、(A)と記載する)を加え、再度常温で混合攪拌することでゲル化物の生成が防止できる方法の機構は明確ではないが、非特許文献1には、(C)と(B)を混合したときに生成する(C)の(B)への付加物(以後、(C+B)付加体と記載)は、イソシアネート基の3量化によるイソシアヌレート環化反応の触媒およびイソシアネート基とエポキシ基の反応によるオキサゾリドン環化反応の反応中間体として作用することが記載されている。本発明者はこの作用に着目したところ、(A)、(B)、(C)を同時に混合する場合や、(A)と(B)を混合後に(C)を混合する場合には、触媒もしくは反応中間体である(C+B)付加体は、混合した(C)の周辺に高濃度に局在化した形で樹脂組成物中に生成すると考えられること、そのためにイソシアヌレート環化反応やオキサゾリドン環化反応も(C)の周辺部において高濃度に局在化して進行し、これがゲル化物の生成につながると推察できること、一方、(C)と(B)を混合攪拌した後で(A)を加え、再度混合攪拌することにより、樹脂組成物中で(C+B)付加体の局在化を抑制することが可能となり、ゲル化物発生が防止されると推察できる。
【0009】
また、本発明に用いられる(C)は、(C+B)付加体として熱硬化時におけるイソシアヌレート化触媒として作用するほか、イソシアネートと水分が反応して二酸化炭素を発生させる反応の触媒としても作用する。ここで、(C)+(B)+(A)の総重量に対する(C)の配合率が0.2〜0.8重量%、好ましくは0.3 〜0.7重量%の範囲にあれば、樹脂組成物中に含まれる水分は、調製した(C)+(B)+(A)系液状樹脂組成物を真空脱泡する間にほぼ完全にイソシアネートと反応し、発生する二酸化炭素は総て系外へ排出される。したがって、その後の工程である熱硬化中に二酸化炭素が発生して硬化物中に泡が残存することはない。しかし、(C)の配合率が0.2重量%よりも少ない時には、真空脱泡中の水分とイソシアネートとの反応は不十分となり、熱硬化時に二酸化炭素が発生して硬化物中に泡が残存することがある。また、(C)の配合率が0.8重量%よりも多い時には、真空脱泡の間にイソシアヌレート化反応やオキソゾリドン化反応が進行して、ゲル化物やスキニングが生じることがある。
【0010】
本発明おいて、真空脱泡は、樹脂組成物調製時に巻き込んだ空気や水分とイソシアネートが反応して生成する二酸化炭素を排気除去することが目的である。巻き込まれた空気は真空脱泡開始直後に速やかに排気除去されるが、樹脂組成物中に含まれる水分とイソシアネートの反応には時間を要する。しかし、過度に長く真空脱泡を行えば硬化反応も進行してゲル化物やスキニングが発生する。そのため、真空脱泡は、3.5時間以内、好ましくは2.0時間以内の範囲で行うことが望ましい。
【0011】
本発明に用いられる(C)+(B)+(A)から成る液状樹脂組成物を加熱硬化させた場合、上記したように(A)中のイソシアネート基が(B+C)付加体の触媒作用によって3量化し耐熱性に優るイソシアヌレート環化構造を有する熱硬化物が生成する。その一方、イソシアネート基とエポキシ基の反応によってイソシアヌレート化物よりも耐熱性に劣るオソサゾリドン環化構造を有する熱硬化物も生成する。したがって、I/E比が大きくなる程、すなわち(A)の配合率が高くなる程、イソシアヌレート環化構造がオキサゾリドン環化構造に比べて多く生成し、硬化物のTgは増大する。反対に、I/E比が小さくなる程、すなわち(A)の配合率が低くなる程、生成するイソシアヌレート環化構造がオキサゾリドン環化構造に比べて少なくなり、硬化物のTgは減少する。その結果、I/E比が2より少なくなると硬化物のTgは250℃を下回り、所望の耐熱性を得ることが困難となる。一方、I/E比が過大になると硬化物の脆性が増大し、硬化物に欠け割れ等が発生して目的形状を保持ことが困難となることが予想される。したがって、好ましいI/E比は2〜30であり、2〜15がより好ましい。
【0012】
本発明に用いられるポリイソシアネート化合物(A)としては、常温で液状のものが好ましく、ポリメリックMDI、ポリオール変性4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリオール変性トリレンジイソシアネートなどが例示できる。
【0013】
本発明に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂(B)も、常温で液状のものが好ましく、ジグリシジルエーテルビスフェノールA(以後、DGEBAと記載する)、ジグリシジルエーテルビスフェノールF、ジグリシジルエーテルビスフェノールSなどが例示できる。
【0014】
本発明に用いられる触媒としてのイミダゾール化合物(C)も、常温で液状のものが好ましく、2−エチル−4−メチルイミダゾール(以後、2E4MZと記載する)、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが例示できる。
【実施例】
【0015】
次に、実施例で本発明を具体的に説明する。実施例中に示した特性の評価方法は、次の通りである。
【0016】
(1)樹脂組成物中のゲル化物およびスキニングの生成;樹脂組成物調製時および真空脱泡時の目視観察によった。
【0017】
(2)硬化物のイソシアヌレート環構造形成確認;FT−IR測定により、イソシアヌレートのカルボニル基の伸縮振動に帰属される1710cm−1に吸収ピークが認められるかどうかで判断した。
【0018】
(3)硬化物のガラス転移温度(以後、Tgと記載する)[℃];周波数10Hz、昇温速度2℃/分の条件下、動的粘弾性測定(以後、DMAと記載する)で得た硬化物の温度分散損失正接曲線のピーク温度、もしくは同ピークが明確でない場合は同曲線の立上りショルダー温度とした。また、後述のTMA測定で得た線膨張曲線の変曲点温度を参照Tgとした。
【0019】
(4)硬化物の線膨張係数[ppm];昇温速度10℃/分、測定温度範囲20〜280℃、プローブ圧縮荷重100mNの条件下、TMA装置を用いて測定したセカンドスキャン時における、温度範囲50〜100℃の線膨張係数(以後、α1と記載する)および温度範囲230〜250℃の線膨張係数(以後、α2と記載する)とした。
【0020】
(5)硬化物の1,5,10重量%加熱重量減少温度(以後、Td1、Td5、Td10と各々記載する)[℃];昇温速度10℃/分、空気気流下、TG−DTA装置を用いて測定した硬化物の加熱重量変化曲線において150℃での重量を基準とし、1、5、10各重量%減少した温度とした。
【0021】
実施例1
イミダゾール化合物として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.18gを300mlディスポカップに採り、続いてエポキシ樹脂としてエポキシ当量186g/eqのジグリシジルエーテルビスフェノールA(新日鐵化学(株)製YD−128)6.00gを加え、ステンレス製へラでよく攪拌混合した後、15分間静置した。次に、ポリイソシアネート化合物としてイソシアネート当量137g/eqのポリメリックMDI(三井化学(株)製コスモネートM−50)53.82gを加え、再度ステンレス製へラでよく攪拌混合して、I/E比が12.5、イミダゾール触媒配合率0.3重量%の液状樹脂組成物60gを調製した。攪拌混合中にゲル化物が生成することはなかった。次に、この液状樹脂組成物を真空デシケーター中で3時間、室温で真空脱泡を行った。真空脱泡中にもゲル化物が生成することはなかった。次に、縦×横×厚さ=140×10×4mmのスペース6箇所を有する金型へ真空脱泡済み液状樹脂組成物を注型した後、熱風オーブン中、100℃で2時間+150℃で2時間+200℃で10時間の条件で熱硬化を行った。得られた熱硬化物の特性を表1に示した。すなわち、目視観察で熱硬化物中に泡は確認されず、FT−IR測定の1710cm−1吸収が存在することからイソシアヌレート環構造の生成が確認された。DMA測定によるTgは、tanδピークが示されなかったためtanδ曲線の立ち上がり部のショルダー温度より277℃とした。これは、耐熱性の目安とした250℃を大きく上回る値であった。TMA測定によるTgは、線膨張曲線の変曲点が280℃までの温度範囲には存在しなかったため不検出とした。したがって、250℃以上というTgは余裕を持ってクリアーしていると考えられる。また、α1、α2は各々、61ppm、77ppmとなり、230〜250℃の高温域でも極めて低い優れた線膨張率を有することがわかった。TG−DTA測定からのTd1、Td5、Td10は各々291℃、350℃、377℃という高温度となった。これらの結果から、得られたイソシアヌレート化熱硬化物は、極めて優れた耐熱性を有することがわかった。
【0022】
実施例2および実施例3
イミダゾール触媒配合率を表1記載の通り、各々、0.5重量%および0.7重量%へ変更した以外は、実施例1と同様の方法および条件で樹脂組成物を調製した。実施例1同様、ゲル化物の発生はなかった。次に、真空脱泡、金型注型、熱硬化も実施例1と同様の方法で各々実施して硬化物を得た。真空脱泡中もゲル化物もしくはスキニングの発生はなかった。得られた硬化物の特性を表1に記載した。実施例1同様、硬化物中に泡は含まれず、250℃以上の高Tg、低いα2、高いTd1、Td5、Td10といった優れた耐熱特性を示した。
【0023】
実施例4
真空脱泡時間を表1記載の通り1時間に変更した以外は、実施例2と同様の条件で樹脂組成物を調製した。樹脂組成物の調製中にゲル化物の発生はなかった。真空脱泡、金型注型、熱硬化も前記同様の条件で各々実施して硬化物を得た。真空脱泡中もゲル化物もしくはスキニングの発生はなかった。硬化物の特性は表1に記載した。硬化物中に泡は含まれず、250℃以上の高Tg、低いα2、高いTd1、Td5、Td10といった優れた耐熱特性を示した。
【0024】
実施例5〜実施例7
ポリイソシアネート化合物およびエポキシ樹脂の配合量を表1記載の通りに変更し、I/E比を各々、5.6、3.2および2.1へ変更した以外は、実施例2と同様の条件で樹脂組成物を調製した。樹脂組成物の調製中にゲル化物の発生はなかった。真空脱泡、金型注型、熱硬化も前記同様の条件で各々実施して硬化物を得た。真空脱泡中もゲル化物の発生はなかった。硬化物の特性は表1に記載した。すなわち、硬化物中に泡は含まれず、250℃以上の高Tg、低いα2、高いTd1、Td5、Td10といった優れた耐熱特性を示した。
【0025】
比較例1
樹脂組成物中のイミダゾール触媒配合率を0.1重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法、同じ条件で硬化物を得たが、硬化物中には多数の泡が含まれ不良であった。そのため、特性評価は実施しなかった。
【0026】
比較例2
樹脂組成物中のイミダゾール触媒配合率を1.0重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法、同じ条件で真空脱泡までの操作を行ったが、真空脱泡中にゲル化によると思われるスキニングが生じ不良であった。そのため、熱硬化および特性評価は実施しなかった。
【0027】
比較例3
ポリイソシアネート化合物とエポキシ樹脂を混合後にイミダゾール化合物を混合した以外は実施例2と同じ配合で樹脂組成物を調製したが、調製した樹脂組成物中には不溶性のゲル化物が多量に生成し不良であった。そのため、以後の操作は実施しなかった。
【0028】
比較例4
樹脂組成物の配合を表2記載の通り、I/E比が1.4となるよう変更した以外は、実施例1と同じ方法、同じ条件で硬化物を得た。硬化物の特性を表2に示した。Tgは244℃となり、耐熱性の目安とした250℃を下回り不十分であった。
【0029】
比較例5
樹脂組成物の真空脱泡時間を表2記載の通り、4時間に変更した以外は、実施例3と同じ方法、同じ条件で真空脱泡までの操作を行った。しかし、真空脱泡中にゲル化物によると思われるスキニングが生成し不良であった。そのため、以降の操作は実施しなかった。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明したように、本発明の樹脂組成物および樹脂組成物の製造方法により、樹脂組成物調製中および真空脱泡中にゲル化物やスキニングの生成がなくなり、かつ得られた硬化物中に泡が含まれることもなくなる。そのため、高耐熱性樹脂として、ガラス転移温度200℃以上望ましくは230℃以上が要求される複合材料、半導体封止材、プリント配線基板、接着剤、塗料等の各分野への利用が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)を含み、芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)中のイソシアネート基(I)とビスフェノール型エポキシ樹脂(B)中のエポキシ基(E)のモル比(I/E比)が2以上で、かつ芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)+ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)+イミダゾール化合物(C)の総重量に対してイミダゾール化合物(C)の配合率が0.2〜0.8重量%の範囲にあることを特徴とする常温で液状の樹脂組成物。
【請求項2】
芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)がポリメリック(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)が液状ジグリシジルエーテルビスフェノールA、イミダゾール化合物(C)が2−エチル−4−メチルイミダゾールである請求項1に記載の常温で液状の樹脂組成物。
【請求項3】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)とイミダゾール化合物(C)とを混合攪拌し、その後に芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)を加えて混合攪拌し、次いで真空脱泡する工程を含むこと特徴とする請求項1または請求項2に記載の常温で液状の樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)とイミダゾール化合物(C)とを常温で混合攪拌し、その後に芳香族系ポリイソシアネート化合物(A)を加えて常温で混合攪拌し、次いで常温で3.5時間以内に真空脱泡する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の常温で液状の樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1もしくは請求項2に記載の樹脂組成物を加熱硬化させたガラス転移温度250℃以上のイソシアヌレート化硬化物。

【公開番号】特開2013−95772(P2013−95772A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237019(P2011−237019)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006644)新日鉄住金化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】