説明

芳香族置換キサンテン色素

【課題】多くの重要な用途では、混合物中の複数の空間的に重複した分析物の独立した検出、例えば、単一管の多重DNAプローブアッセイ、イムノアッセイ、多色DNA配列決定法などが必要であった。
【解決手段】蛍光色素として有用な芳香族置換キサンテン化合物のクラスが開示されており、この化合物は、一般構造(I)を有し、ここで、YおよびYは、別々に、ヒドロキシル、酸素、イミニウム、連結基およびアミンからなる群から選択されるか、またはYは、Rと一緒になって、環状イミンであるか、またはYは、Rと一緒になって、環状アミンである;R、R、RおよびRは、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニルおよび連結基からなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の属する技術分野]
本発明は、一般に、分子プローブとして有用な蛍光色素化合物に関する。より詳細には、本発明は、蛍光標識試薬として有用な芳香族置換キサンテン色素に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
蛍光色素を利用する生物学的分析物の非放射性検出は、現在の分析バイオテクノロジーにおいて、重要な技術である。放射性標識の必要性をなくすことにより、安全性が高まり、試薬廃棄物の環境上の影響が著しく低下する。このような蛍光検出方法を使用する方法の例には、DNA配列決定、オリゴヌクレオチドプローブ法、ポリメラーゼ鎖反応生成物の検出、イムノアッセイなどが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの重要な用途では、混合物中の複数の空間的に重複した分析物の独立した検出、例えば、単一管の多重DNAプローブアッセイ、イムノアッセイ、多色DNA配列決定法などが必要である。複数座のDNAプローブアッセイの場合には、分光的に識別可能な蛍光標識を用いることにより、反応管の数を減らすことができ、それにより、実験プロトコルが簡潔化され、そして適用特異的なキットの製造が容易になる。自動化したDNA配列決定の場合には、多色蛍光標識化により、単一レーンの複数の塩基の分析が可能となり、それにより、単色法よりも処理能力が増え、レーン間の電気泳動の移動度の変化に付随した不確実性が減少する。
【0004】
多色蛍光検出では、特に、単一励起光源、電気泳動分離および/または酵素での処置が必要な適用(例えば、自動化蛍光ベースDNA配列決定)に対して、色素標識の選択について、5つの厳しい制約が課せられている。第1に、色素の発光スペクトルが分光的に分解される一連の色素を見出すことが困難である。なぜならば、有機蛍光色素の典型的な発光バンドの半値幅は、約40〜80ナノメーター(nm)であり、利用できるスペクトルの幅は、励起光源により制限されるからである。第2に、たとえ、非重複発光スペクトルを有する色素を見出しても、個々の蛍光効率が低すぎるなら、そのセットは、依然として、適切ではないかもしれない。第3に、数個の蛍光色素を同時に使用するとき、これらの色素の吸収バンドが広範囲に分離するために、同時励起が困難となる。第4に、これらの色素の電荷、分子サイズおよび立体配座は、その分析物の電気泳動移動度に悪影響を与えてはならない。第五に、これらの蛍光色素は、これらの分析物を生成するかまたは処置するのに使用する化学物質(例えば、DNA合成溶媒および試薬、緩衝液、ポリメラーゼ酵素、リガーゼ酵素など)と適合性でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの局面において、本発明は、次式を有する芳香族置換キサンテン色素化合物であって:
【0006】
【化13】

【0007】
ここで:
およびYは、別々に、ヒドロキシル、酸素、イミニウム、連結基およびアミンからなる群から選択されるか、またはYは、Rと一緒になって、環状アミンであるか、またはYは、Rと一緒になって、環状イミンである;
、R、RおよびRは、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニルおよび連結基からなる群から選択される;
は、別々に、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族および電子リッチ複素環からなる群から選択されるか、またはRと一緒になるとき、電子リッチ複素環およびインデンからなる群から選択される;
は、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニル、連結基、アミン、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環からなる群から選択されるか、またはRと一緒になるとき、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環からなる群から選択される;そして
は、アセチレン、低級アルキル、低級アルケン、シアノ、フェニル、置換フェニル、複素環芳香族およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、上記置換フェニルは、以下の構造を有する:
【0008】
【化14】

【0009】
ここで:
〜Xは、別々に、水素、塩素、フッ素、低級アルキル、カルボン酸、スルホン酸、−CHOHまたは連結基である、
芳香族置換キサンテン色素化合物を提供する。
【0010】
好ましい実施形態において、上記Rは、Rと一緒になって、2位および3位が上記キサンテン環に縮合したベンゾフランであり得る。
【0011】
好ましい実施形態において、上記Rは、Rと一緒になって、2位および3位が上記キサンテン環に縮合したベンゾフランであり得る。
【0012】
好ましい実施形態において、上記RおよびRは、水素であり得る。
【0013】
好ましい実施形態において、上記Rは、クロロであり、そしてRおよびRが、水素であり得る。
【0014】
好ましい実施形態において、上記RおよびRは、フェニルおよび置換フェニルからなる群から選択され得る。
【0015】
好ましい実施形態において、上記RおよびRは、水素であり、そしてRは、置換フェニルであり、ここで、XおよびXは、クロロであり、そしてXは、カルボン酸であり得る。
【0016】
好ましい実施形態において、上記Rは、ナフチルおよび置換ナフチルからなる群から選択され得る。
【0017】
好ましい実施形態において、上記Rは、ナフチルおよび置換ナフチルからなる群から選択され得る。
【0018】
好ましい実施形態において、上記Rは、置換フェニルであり、ここで、XおよびXは、クロロであり、そしてXは、カルボン酸であり得る。
【0019】
好ましい実施形態において、上記RおよびRは、Hであり得る。
【0020】
好ましい実施形態において、上記RおよびRは、フルオロであり得る。
【0021】
好ましい実施形態において、上記Rは、Rと一緒になって、フェニルまたは多環式芳香族であり得る。
【0022】
好ましい実施形態において、上記Rは、置換フェニルであり、ここで、XおよびXは、クロロであり、そしてXは、カルボン酸であり得る。
【0023】
好ましい実施形態において、上記Rは、Rと一緒になって、2位および3位が上記キサンテン環に縮合したベンゾフランであり得る。
【0024】
好ましい実施形態において、上記Rは、Hであり、そしてRは、フッ素であり得る。
【0025】
好ましい実施形態において、上記Rは、ナフチルであり得る。
【0026】
好ましい実施形態において、上記Rは、Hであり、そしてRおよびRは、フッ素であり得る。
【0027】
好ましい実施形態において、上記Rは、フェニルであり、Yは、OHであり、Yは、Oであり、Rは、Clであり、そしてRは、置換フェニルであり、ここで、XおよびXは、クロロであり、そしてXは、カルボン酸であり得る。
【0028】
別の局面において、本発明は、以下を包含するエネルギー移動色素であって:
供与体色素であって、上記供与体色素は、第一波長で光を吸収し、それに応答して、励起エネルギーを放射できる、色素;
受容体色素であって、上記受容体色素は、上記供与体色素により放射された上記励起エネルギーを吸収して、それに応じて、第二波長で蛍光を発することができる、色素;および
上記供与体色素および上記受容体色素を連結するためのリンカーであって、上記リンカーは、上記供与体色素および上記受容体色素間のエネルギーの効率的な移動を促進するように働く、リンカー;
ここで、上記供与体色素および上記受容体色素の少なくとも1個は、上に記載の芳香族置換キサンテン色素である、
エネルギー移動色素を提供する。
【0029】
好ましい実施形態において、上記リンカーは、以下の構造を有し、
【0030】
【化15】

【0031】
ここで、
は、NH、イオウおよび酸素からなる群から選択される;
21は、上記供与体色素に結合した低級アルキルである;
22は、アルケン、ジエン、アルキン、少なくとも1個の不飽和結合を有する5員環および6員環、ならびに上記カルボニル炭素に結合した縮合環構造からなる群から選択される、置換基である;そして
28は、上記リンカーを上記受容体色素に結合する官能基を含有し得る。
【0032】
好ましい実施形態において、上記R22が、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、チオフラン、ピロール、イソピロール、イソアゾール、ピラゾール、イソイミダゾール、ピラン、ピロン、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オキサジン、インデン、ベンゾフラン、チオナフテン、インドールおよびナフタレンからなる群から選択される5員環または6員環であり得る。
【0033】
好ましい実施形態において、上記リンカーは、以下の構造を有し、
【0034】
【化16】

【0035】
ここで、
は、NH、イオウおよび酸素からなる群から選択される;そして
29は、低級アルキルであり得る。
【0036】
好ましい実施形態において、上記リンカーが、以下の構造
【0037】
【化17】

【0038】
を有し得る。
【0039】
別の局面において、本発明は、次式を有する標識化ヌクレオシド/ヌクレオチドであって:
NUC−DYE
ここで、
NUCは、ヌクレオシド/ヌクレオチドまたはヌクレオシド/ヌクレオチドアナログである;
DYEは、上に記載の芳香族置換キサンテン色素化合物であって、NUCおよびDYEは、連結により接続される;
ここで、上記連結は、R〜R位の1個にて、DYEに結合される;そして
ここで、NUCがプリン塩基を含有する場合、上記連結は、上記プリンの8位に結合され、NUCが7−デアザプリン塩基を含有する場合、上記連結は、7−デアザプリンの7位に結合され、そしてNUCがピリミジン塩基を含有する場合、上記連結は上記ピリミジンの5位に結合される、
標識化ヌクレオシド/ヌクレオチドを提供する。
【0040】
好ましい実施形態において、上記NUCは、ウラシル、シトシン、デアザアデニンおよびデアザグアノシンからなる群から選択され得る。
【0041】
好ましい実施形態において、上記連結は、以下
【0042】
【化18】

【0043】
であり得る。
【0044】
別の局面において、本発明は、次式を有するホスホロアミダイト化合物であって:
【0045】
【化19】

【0046】
ここで:
Xは、スペーサーアームである;
Yは、連結である;
は、亜リン酸エステル保護基である;
およびBは、別々に、低級アルキル、低級アルケン、アリール、および10個までの炭素原子を含有するシクロアルキルからなる群から選択される;そして
Dは、上に記載の色素化合物である;
ここで、YおよびDは、R〜R位のうちの1個でDに結合した連結により、連結される、
ホスホロアミダイト化合物を提供する。
【0047】
好ましい実施形態において、上記BおよびBは、一緒になって、その主鎖に5個までの炭素原子、および全体で10個までの炭素原子を含有するアルケン鎖を形成し、上記鎖の両末端原子価結合は、上記窒素原子に結合している;またはBおよびBは、上記窒素原子と一緒になって、飽和窒素複素環を形成し、上記飽和窒素複素環は、窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し得る。
【0048】
好ましい実施形態において、上記Bは、メチル、β−シアノエチルまたは4−ニトロフェニルエチルからなる群から選択され、
およびBは、別々に、イソプロピル、t−ブチル、イソブチルおよびsec−ブチルからなる群から選択され、そして
およびBは、一緒になって、モルホリノであり得る。
【0049】
好ましい実施形態において、上記XおよびYが、一緒になって、以下であり、
【0050】
【化20】

【0051】
ここで、nは、2〜10であり得る。
【0052】
好ましい実施形態において、上記XおよびYが、一緒になって、以下であり、
【0053】
【化21】

【0054】
ここで、nは、2〜10であり得る。
【0055】
別の局面において、本発明は、次式を有するホスホロアミダイト化合物であって:
【0056】
【化22】

【0057】
ここで:
は、亜リン酸エステル保護基である;
およびBは、別々に、低級アルキル、低級アルケン、アリール、および10個までの炭素原子を含有するシクロアルキルからなる群から選択される;
は、酸開裂可能ヒドロキシル保護基である;
Bは、ヌクレオチド塩基である;そして
Dは、上に記載の色素化合物である;
ここで、Bがプリンまたは7−デアザプリンである場合、上記糖部分は、上記プリンまたは7−デアザプリンのN位で結合されており、そしてBがピリミジンである場合、上記糖部分は、上記ピリミジンのN位で結合されている;
ここで、BおよびDは、R〜R位のうちの1個でDに結合された連結を介して連結されている;そして
ここで、Bがプリンである場合、上記連結は、上記プリンの8位に結合されており、Bが7−デアザプリンである場合、上記連結は、上記7−デアザプリンの7位に結合されており、そしてBがピリミジンである場合、上記連結は、上記ピリミジンの5位に結合されている、
ホスホロアミダイト化合物を提供する。
【0058】
好ましい実施形態において、上記Bが、ウラシル、シトシン、デアザアデニンおよびデアザグアノシンからなる群から選択され得る。
【0059】
別の局面において、本発明は、ポリヌクレオチドを配列決定する方法であって、上記方法は、以下の工程:
以下のようにして、第一、第二、第三および第四のクラスのポリヌクレオチドの混合物を形成する工程:
上記第一のクラスの各ポリヌクレオチドは、3’−末端ジデオキシアデノシンを含有し、そして第一色素で標識されている;
上記第二のクラスの各ポリヌクレオチドは、3’−末端ジデオキシシチジンを含有し、そして第二色素で標識されている;
上記第三のクラスの各ポリヌクレオチドは、3’−末端ジデオキシグアノシンを含有し、そして第三色素で標識されている;
上記第四のクラスの各ポリヌクレオチドは、3’−末端ジデオキシチミジンを含有し、そして第四色素で標識されている;
ここで、上記第一、第二、第三または第四の色素のうちの1個は、上に記載の芳香族置換キサンテン色素である;
上記色素の他のものは、上記非対称ベンゾキサンテン色素から、および互いから、スペクトル的に分解可能である;
上記ポリヌクレオチドを電気泳動によって分離して、それにより、類似の大きさのポリヌクレオチドのバンドを形成する工程;
上記バンドを、上記色素に蛍光を生じさせることができる照射ビームで照射する工程;および
上記色素の上記蛍光スペクトルにより、上記バンド内の上記ポリヌクレオチドのクラスを同定する工程、
を包含する、方法を提供する。
【0060】
別の局面において、本発明は、フラグメント分析の方法であって、上記方法は、以下の工程:
標識化ポリヌクレオチドフラグメントを形成する工程であって、上記フラグメントは、上に記載の芳香族置換キサンテン色素で標識されている、工程;
上記標識化ポリヌクレオチドフラグメントを、サイズ依存性分離プロセスにかける工程;および
上記分離プロセスに引き続いて、上記標識化ポリヌクレオチドフラグメントを検出する工程、
を包含する、方法を提供する。
【0061】
好ましい実施形態において、上記サイズ依存性分離プロセスが、電気泳動であり、そして上記標識化ポリヌクレオチドフラグメントが、蛍光により検出され得る。
【0062】
(要旨)
本発明は、多色蛍光検出のために有用な分光的に分離できる蛍光標識のセットの生成のために適合している芳香族置換キサンテン色素のクラスの発見に関する。本発明は、特別な局面および用いられた実施態様に依存する以下の一つ以上の目的を達成する。
【0063】
本発明の目的は、レッドシフトした発光スペクトルを有する(例えば、約540nmより大きい波長で発光最大の)芳香族置換キサンテン色素化合物のクラスを提供することにある。
【0064】
本発明のさらなる目的は、単独励起光源、電気泳動分離、および/または酵素による処置を用いる多色蛍光検出を必要とする適用(例えば、自動化蛍光ベースDNA配列決定)に適合する芳香族置換キサンテン色素化合物のクラスを提供することにある。
【0065】
本発明の別の目的は、色素の発光スペクトルが、使用された芳香族置換基のタイプにおける小さな変化により調整され得る芳香族置換キサンテン色素のクラスを提供することにある。
【0066】
本発明のさらに別の目的は、非芳香族キサンテン色素より実質的に明るい芳香族置換キサンテン色素化合物のクラスを提供することにある。
【0067】
第一の局面において、本発明の上述の目的および他の目的は、次式を有する芳香族−置換キサンテン色素化合物により達成される。
【0068】
【化23】

【0069】
ここで、組成物の変化し得る置換基は以下の通りである。YおよびYは、別個にヒドロキシル、酸素、イミニウム、連結基およびアミンから成る群から選択され、またはYはRと一緒になって環状アミンであり、またはYはRと一緒になって環状イミンである。R、R、RおよびRは、別個に水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニルおよび連結基から成る群から選択される。Rは、別個にフェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、連結基、および電子リッチ複素環から成る群から選択され、またはRと一緒になった場合には、電子リッチ複素環およびインデンから成る群から選択される。Rは、別個に水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニル、連結基、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環から成る群から選択され、またはRと一緒になった場合には、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環から成る群から選択される。上記構造において、RおよびRの少なくともひとつは連結基ではない。Rは、アセチレン、低級アルキル、低級アルケン、シアノ、フェニル、複素環式芳香族、および下記構造
【0070】
【化24】

【0071】
を有する置換フェニルから成る群から選択される;
ここで、X〜Xは、別個に水素、塩素、フッ素、低級アルキル、カルボン酸、スルホン酸、−CHOH,または連結基である。
【0072】
第2の局面において、本発明は、供与体色素および受容体色素、ならびに供与体および受容体色素を連結するリンカーを含有するエネルギー移動色素を包含する。供与体色素は、第1の波長の光を吸収し、それに応答して励起エネルギーを放射する能力を有する。そして受容体色素は、供与体色素から放射された励起エネルギーを吸収し、それに応答して第2の波長で蛍光を発する能力を有する。リンカーは、供与体色素および受容体色素の間の効率的なエネルギー移動を促進するのに役立っている。本発明に従って、供与体色素および受容体色素の少なくともひとつは、上述した構造を有する芳香族−置換キサンテン色素である。
【0073】
第3の局面において、本発明は下記構造を有する標識ヌクレオシド/ヌクレオチドを包含する;
NUC−DYE
ここで、NUCは、ヌクレオシド/ヌクレオチドまたはヌクレオシド/ヌクレオチドアナログであり、そしてDYEは、上述した構造を有する芳香族−置換キサンテン色素化合物である。本発明に従って、NUCおよびDYEは、連結によって結合し、ここで、連結はR〜R位置のひとつでDYEと結合し、そしてNUCがプリン塩基を含有する場合、連結はプリンの8位に結合し、NUCが7−−デアザプリン塩基を含有する場合、連結は7−デアザプリンの7位に結合し、そしてNUCがピリミジン塩基を含有する場合、連結はピリミジンの5位に結合する。
【0074】
第4の局面において、本発明は、下記構造を有するホスホロアミダイト化合物を包含する:
【0075】
【化25】

【0076】
ここで、Xは、スペーサーアーム(spacer arm)であり;Yは、連結であり;Bは、亜リン酸エステルの保護基であり;BおよびBは、別個に、低級アルキル、低級アルケン、アリール、および10個までの炭素原子を含有するシクロアルキルから成る群から選択され;そしてDは、上述の構造を有する色素である。YおよびDは、R〜R位置のひとつでDに結合した連結を介して結合する。
【0077】
第5の局面において、本発明は、下記の式を有するホスホロアミダイト化合物を包含する;
【0078】
【化26】

【0079】
ここで、変化し得る置換基は、以下のように定義された。Bは、亜リン酸エステルの保護基であり;BおよびBは、別個に低級アルキル、低級アルケン、アリール、および10個までの炭素原子を含有するシクロアルキルから成る群から選択され;Bは、酸切断可能なヒドロキシルの保護基であり;Bは、ヌクレオシド/ヌクレオチド塩基であり、そしてDは、上述の構造を有する色素化合物である。本発明に従って、Bがプリンまたは7−デアザプリンである場合、糖部分はプリンまたは7−デアザプリンのN位で結合し、そしてBがピリミジンである場合、糖部分はピリミジンのN位で結合する。BおよびDはR〜R位置のひとつでDに結合する連結を介して結合する。Bがプリンである場合、連結はプリンの8位に結合し、Bが7−デアザプリンである場合、連結は7−デアザプリンの7位に結合し、そしてBがピリミジンである場合、連結はピリミジンの5位に結合する。
【0080】
第6の局面において、本発明は、上述の構造を有する芳香族−置換キサンテン色素で標識された標識ポリヌクレオチドフラグメントを形成する工程、サイズ依存性分離プロセス(例えば、電気泳動)に標識ポリヌクレオチドフラグメントを供する工程、および分離プロセスに引き続いて標識ポリヌクレオチドフラグメントを検出する工程を含有するフラグメント分析の方法を包含する。
【0081】
本発明のこれらの目的および他の目的、特徴および利点は、以下の記載、図面、および添付の特許請求の範囲を参照すると、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1A】図1Aは、本発明の芳香族−置換キサンテン色素の合成で使用されるいくつかの中間体の構造、および例示的な芳香族−置換キサンテン色素化合物を示す。
【図1B】図1Bは、本発明の芳香族−置換キサンテン色素の合成で使用されるいくつかの中間体の構造、および例示的な芳香族−置換キサンテン色素化合物を示す。
【図1C】図1Cは、本発明の芳香族−置換キサンテン色素の合成で使用されるいくつかの中間体の構造、および例示的な芳香族−置換キサンテン色素化合物を示す。
【図1D】図1Dは、本発明の芳香族−置換キサンテン色素の合成で使用されるいくつかの中間体の構造、および例示的な芳香族−置換キサンテン色素化合物を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の好ましい一般的な合成スキームを示す。
【図2B】図2Bは、本発明の好ましい一般的な合成スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
[発明の実施の形態]
本発明の好ましい実施態様を、ここで詳細に言及し、その実施例を添付の図面で例示する。本発明は好ましい実施態様に関連して記述されているものの、それらは本発明をこれらの実施態様に限定する意図はないと理解されるべきである。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲で定義した本発明の範囲内に含まれ得る代替、改良および等価物を含むことを意図している。
【0084】
一般に、本発明は、蛍光色素として有用な新規なクラスの芳香族−置換キサンテン色素化合物、そのような色素を合成するための方法および中間体、分子標識としてそのような色素を採用する試薬、ならびにそのような色素および試薬を分析生物工学の領域で利用する方法を包含する。本発明の化合物は、蛍光核酸分析の領域(例えば、自動化蛍光ベースDNA配列決定およびフラグメント分析、ハイブリダイゼーションアレイおけるプローブハイブリダイゼーションの検出など)において特定の用途が見出されている。
【0085】
(I.定義)
他で述べない限り、本明細書で使用される以下の用語および言いまわしは、以下の意味を有すると意図される:
一組の色素に関する「スペクトルの分解能」とは、色素の蛍光発光帯が十分に区別(例えば、十分に重ならない)されることを意味し、それぞれの色素が結合する試薬(例えば、ポリヌクレオチド)は、標準光検出システム(例えば、バンドパスフィルターのシステムおよび光電子増倍管、電荷結合装置およびスペクトログラフなどが用いられ、米国特許第4,230,558号、同4,811,218号、またはWheelessら、Flow Cytometry:Instrumentation and Data Analysis,p21〜76(Academic Press,New York,1985)に記載されたシステムで例示される)を使用して、それぞれの色素により生成する蛍光シグナルに基づいて区別され得る。
【0086】
「連結基」とは、試薬またはエネルギー移動色素対のメンバーに結合する「相補的官能性」を持って反応し得る部分を意味し、このような反応は、色素が試薬またはエネルギー移動色素対のメンバーに連結する「結合」を形成する。
好ましい連結基は、相補的官能性がアミンである場合は常に、イソチオシアネート、スルホニルクロライド、4,6−ジクロロトリアジニルアミン、スクシンイミジルエステル、または他の反応性カルボキシレートを含む。好ましい連結基は、相補的官能性がスルフヒドリルである場合は常に、マレイミド、ハロアセチル、またはヨードアセトアミドである。R.Haugland,Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Molecular
probes,Inc.(1992)を参照のこと。特に好ましい実施態様では、連結基は、相補的官能性アミンと反応する活性化されたN−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルであり、ここで活性化NHSエステルを形成するため、カルボキシレート連結基を含有する本発明の色素は、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシスクシンイミドと反応してNHSエステルを形成する。
【0087】
本明細書で使用される「置換」とは、1個以上の水素原子が水素以外の原子または部分で置き換えられた官能基または部分のことを言う。例示的な置換基は、ハロ、シアノ、ニトロ、スルホ、アミド、ニトリルなどを含むが、これらに限定されない。
【0088】
「多環式芳香族」とは、ビアリールおよび縮合ベンゼノイド炭化水素を含む多環構造を有する芳香族炭化水素を意味する。ビアリールとは、2個以上の環が、単一の結合で共に連結されたベンゼノイド化合物である。このクラスの親系統(parent system)は、ビフェニルである。縮合ベンゼノイド化合物は、環の各対が2個の炭素を共有するように、2個以上のベンゼン環がオルト位で共に縮合されることを特徴とする。この基の最も単純なメンバーは、2個の環を有するナフタレン、ならびにそれぞれ3個の環を有するアントラセンおよびフェナントレンである。
【0089】
「電子リッチ複素環」とは、1個以上の環原子が炭素でなく(すなわち、ヘテロ原子である)、そしてヘテロ原子が6π電子系に寄与する不対電子を有する環状化合物を意味する。例示的な電子リッチ複素環は、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェンおよび他の類似構造体を含むがこれらに限定されない。
【0090】
「低級アルキル」とは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖状および分岐状炭化水素部分を意味する(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチル、tert−ペンチルなど)。「低級ハロアルキル」とは、1個以上のハロゲン原子置換基、通常はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを有する低級置換アルキルを意味する。
【0091】
「低級アルケン」とは、1個以上の炭素−炭素結合が二重結合である、1〜8個の炭素原子を含有する炭化水素を意味する。
【0092】
「低級アルキン」とは、1個以上の炭素が三重結合で結合された、1〜8個の炭素原子を含有する炭化水素を意味する。
【0093】
「ヌクレオシド」とは、プリン、デアザプリンまたはピリミジンヌクレオシド塩基(例えば、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、デアザアデニン、デアザグアノシンなど)から成る化合物のことを言い、1’位でペントースに結合する。ヌクレオシド塩基がプリンまたは7−デアザプリンである場合、糖部分はプリンまたはデアザアプリンのN位で結合し、そしてヌクレオシド塩基がピリミジンである場合、糖部分はピリミジンのN位で結合する(例えば、KornbergおよびBaker,DNA Replication,第2版(Freeman,San Francisco,1992)。本明細書中で使用される「ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシドのリン酸エステル(例えば、三リン酸エステル)のことを言い、ここで、エステル化される最も一般的な部位は、ペントースのC−5位に結合している水酸基である。本明細書中で使用される「ヌクレオシド/ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの両方を含有する一組の化合物のことを言う。ヌクレオシド/ヌクレオチドに関する「アナログ」は、修飾塩基部分、修飾糖部分および/または修飾リン酸部分を有する合成アナログ(例えば、Scheit,Nucleotide
Analogs(John Wiley,New York,1980)により一般的に記述される)を含む。リン酸アナログは、リン原子が+5の酸化状態でありそして1個以上の酸素原子が酸素でない部分で置換された、リン酸アナログを包含する。例示的なアノログは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニリデート、ホスホルアミデート、ボロノホスフェートなどを含有し、会合した対イオンが存在する場合、例えば、H、NH、Naなどの対イオンを含む。例示的な塩基アナログは、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、プソイドウリジン、C−5−プロピン、イソシトシン、イソグアニン、2−チオピリミジンおよび他の類似のアナログなどを含むが、これらに限定されない。例示的な糖アナログは、2’位が水素、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、アリルオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシおよびフェノキシ)、アミノまたはアルキルアミノ、フルオロ、クロロおよびブロモである、2’−修飾体を含むがこれらに限定されない。「標識ヌクレオシド/ヌクレオチド」という用語は、式Iの色素化合物に連結を介して共有結合したヌクレオシド/ヌクレオチドのことを言う。
【0094】
「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」とは、天然のヌクレオチドモノマーまたはそのアナログの直線状ポリマーを意味し、二本鎖および一本鎖のデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドそれらのα−アノマー形などを含む。通常、このヌクレオシドモノマーは、ホスホジエステル結合により連結されており、本明細書中で使用する「ホスホジエステル結合」という用語は、ホスホジエステル結合またはそれらのリン酸アナログを含む結合のことを言い、会合した対イオンが存在する場合、H、NH、Naなどの対イオンを含む。このポリヌクレオチドの大きさは、代表的には数個(例えば、8個〜40個)のモノマー単位から、数千個のモノマー単位までに及ぶ。ポリヌクレオチドが「ATGCCTG」のような文字列で表わされる場合は、常に、このヌクレオチドは、他に記載がなければ、5’→3’の順序で左から右にあり、「A」は、デオキシアデノシンを表わし、「C」は、デオキシシチジンを表わし、「G」は、デオキシグアノシンを表わし、そして「T」は、チミジンを表わすと理解されるべきである。
【0095】
「キサンテン色素」は、下記一般式
【0096】
【化27】

【0097】
を含む色素のことを言い、それらの任意のおよび全ての置換基のバージョンを含む(ここで、YおよびYが、別個にヒドロキシル、酸素、イミニウム、連結基およびアミンから成る群から選択される)。
【0098】
(II.芳香族−置換キサンテン色素化合物)
(A.構造)
第1の局面において、本発明は、下記式Iで示された一般構造を有する新規なクラスの芳香族−置換キサンテン色素化合物を包含する(本明細書中で提供される任意の分子構造は、提示された正確な電子構造を含むのみならず、その全ての共鳴構造およびプロトン化状態を含むと意図される)。
【0099】
【化28】

【0100】
式Iに関連して、YおよびYは、独立してヒドロキシル、酸素、アミン、イミニウム、または連結基のいずれかである。YがヒドロキシルでありそしてYが酸素である場合、その化合物はフルオレセインに類似し、一方、YがアミンでありそしてYがイミニウムである場合、その化合物はローダミンに類似する。好ましくは、Yはヒドロキシルであり、そしてYは酸素である。
【0101】
〜R部分は、この分子の基底および励起状態の電子構造を改変することにより、色素の種々の特性を調節するために用いられる置換基である。特に、R〜R部分を変えることは、化合物のスペクトル特性、化学的安定性、および光安定性に影響する。例えば、Rが置換フェニルである場合、特定の置換基XおよびXを塩素にすると、より狭い発光帯となることが観察される(置換基XおよびXの定義に関しては下記を参照のこと)。本発明の明細書中で特に重要な置換基は、R、R、RおよびRであり(特に、RおよびR)、ここでそのような置換基とは、芳香族または置換芳香族基である。
【0102】
好ましくは、置換基R、R、RおよびRは、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、アリール、低級アルコキシ、または連結基である。本発明の好ましい実施態様では、Rおよび/またはRは、水素、塩素またはフッ素である。
【0103】
置換基R、R、RおよびRの性質は、最も適切な芳香族置換がなされるのがこれらの置換位置であるので、本発明では特に重要である。特に、置換基Rは、別個にフェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、および電子リッチ複素環であり得る。あるいは、Rと一緒になった場合、R/Rの組み合わせは、電子リッチ複素環またはインデンであり得る。置換基Rは、別個に水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニル、連結基、アミン、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環から成る群から選択され、またはRと一緒になった場合、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環から成る群から選択される。
【0104】
置換基Rは、アセチレン、低級アルキル、低級アルケン、シアノ、フェニル、複素環式芳香族、または以下の構造を有する置換フェニルであり得る:
【0105】
【化29】

【0106】
ここで、XからXは、別個に水素、塩素、フッ素、低級アルキル、カルボン酸、スルホン酸、−CHOH、または連結基である。
【0107】
色素の発光スペクトルが他の置換色素よりも実質的により狭い本発明の特に好ましい実施様態では、Rは、置換フェニル(例えば、Menchenら、米国特許第5,188,934号)である。好ましくは、置換フェニルは、Xがカルボン酸、スルホン酸または−CHOHであり;XおよびXが別個に水素、塩素、フッ素または低級アルキルであり;ならびにXおよびXが別個に水素、塩素、フッ素、低級アルキル、カルボン酸、スルホン酸または連結基であるように置換される。さらに好ましくは、XおよびXは、塩素である。さらなる好ましい実施態様では、XまたはXのひとつは、連結基である。好ましくは、Xは、カルボン酸である。本発明の色素化合物を含有するホスホロアミダイト化合物を形成するのに特に適したさらなる好ましい実施態様では、XまたはXのひとつは、環状エステルまたは環状エーテルを形成し得る部分であり、例えば、カルボン酸、スルホン酸、−CHOH、またはスピロ環系を形成する任意の他の基(すなわち、二つの環に共通のひとつの炭素原子を有する二環式化合物(例えば、スピロ[4.5]デカン))である。
【0108】
いくつかの例示的な芳香族−置換キサンテン色素構造を図1に示す。化合物26では、RおよびRはフェニルであり;化合物28では、RはRと一緒になって電子リッチ複素環であり、そしてRはRと一緒になって電子リッチ複素環であり、より詳細には両方の組み合わせは、2および3位がキサンテン環に縮合したベンゾフランであり;化合物29では、RおよびRは別個にそれぞれ多環式芳香族であり、より詳細にはナフタレンであり;化合物25では、RおよびRは別個にそれぞれナフタレン、そしてRおよびRは別個にフッ素であり;そして化合物35では、RはRと一緒になって2および3位がキサンテン環に縮合したベンゾフランであり、Rはフッ素であり、そしてRはRと一緒になってフェニルである。
【0109】
(B.合成法)
一般に、本発明の芳香族−置換キサンテン色素は以下のように調製される。
図2A〜Bを参照のこと。
【0110】
第一に、ハロゲン化フェニル前駆体1を、例えば、アルキルリチウム塩を用いてメタル化して、メタル化された中間体2を形成することにより、1個以上の官能化されたフェノール中間体が調製される。メタル化された中間体は、次いでホウ酸トリメチルと反応させ、続いて加水分解することによりホウ酸3を生成する。ホウ酸3は、次いでブロモフェノールメチルエーテル4とパラジウム触媒のカップリングを起こしてメチル化された置換フェノールエーテルを生成し、これは、続いて三臭化ホウ素を用いて脱メチル化して置換フェノール5を生成する。あるいは、化合物4は、メタル化し、そしてそのホウ酸に変換し、続いてパラジウム触媒により1とカップリングさせて、最終的に5を生成し得る。またブロミド中間体は、パラジウム触媒によりブロミドまたはヨージドと反応する他の中間体に変換し得る(例えば、ホウ酸をアルキルスズ誘導体で置換し得る)。
【0111】
非対称色素は、第一の官能基化フェノール中間体5を、酸クロリドのような活性化した酸を含む試薬6と第一に縮合させることにより最も容易に調製される。この縮合は、塩化アルミニウムのようなFriedel−Crafts触媒を用いて実施され、そして芳香族ケトン7を生成し得る。芳香族ケトン7は、次いで高い温度(例えば、80℃以上)で、強酸(例えば、硫酸)の存在下、第二の官能基化フェノール8と縮合させ、非対称芳香族−置換キサンテン色素9を生成する。
【0112】
対称芳香族−置換キサンテン色素は、高い温度(例えば、80℃以上)で、強酸(例えば、硫酸)の存在下、2当量の置換フェノール中間体5を、活性化された酸(例えば、酸クロリドまたは無水物)を含む1当量の試薬6と縮合させることにより最も容易に調製される。
【0113】
(II.色素化合物を組み込んだエネルギー移動色素)
別の局面において、本発明は、式Iの芳香族−置換キサンテン色素化合物を組み込んだエネルギー移動色素化合物を包含する。一般に、本発明のエネルギー移動色素は、第1の波長の光を吸収し、そしてそれに応答して励起エネルギーを放射する供与体色素、供与体色素により放射された励起エネルギーを吸収し、そしてそれに応答して第2の波長で蛍光を発し得る受容体色素、および供与体色素を受容体色素に結合するリンカーを包含する。このリンカーは供与体色素と受容体色素の間の効率的なエネルギー移動を促進するのに効果的である。そのようなエネルギー移動色素の構造、合成および使用に関する一貫した議論が、Leeらの米国特許出願番号第08/726,462号、およびMathiesらの米国特許第5,654,419号により提供される。
【0114】
エネルギー移動蛍光色素において、供与体色素を受容体色素に連結するための本発明のひとつのリンカーは、下記一般式を有する;
【0115】
【化30】

【0116】
ここで、R21は供与体色素に結合した低級アルキルであり、ZはNH、硫黄または酸素のいずれかであり、R22はアルケン、ジエン、アルキン、少なくともひとつの不飽和結合を有する5および6員環、またはカルボニル炭素が結合している縮合環構造を含む置換基であり、そしてR28はリンカーを受容体色素に結合する官能基を含む。
【0117】
このリンカーのひとつの実施態様(下記に例示)では、リンカーは一般構造
【0118】
【化31】

【0119】
を有する;
ここで、R21およびR22は上記に詳述した通りであり、ZおよびZは独立してそれぞれNH,硫黄または酸素のいずれかであり、R29は低級アルキルであり、そして末端カルボニル基は受容体色素の環構造に結合する。Zが窒素に変わった場合、C(O)R2229サブユニットは、アミノ酸サブユニットを形成する。リンカーにおいて、R22として使用し得る5または6員環の特定の例は、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、チオフラン、ピロール、イソピロール、イソアゾール、ピラゾール、イソイミダゾール、ピラン、ピロン、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンおよびオキサジンを含むが、これらに限定されない。縮合環構造の例は、インデン、ベンゾフラン、チオナフテン、インドールおよびナフタレンを含むが、これらに限定されない。このリンカーの好ましい実施態様は、R21およびR29がメチレンである場合、ZおよびZはNHであり、そしてR22はベンゼンであり、下記で示される。
【0120】
【化32】

【0121】
本発明のエネルギー移動色素の局面の別の好ましい実施態様では、リンカーは、置換基Rの位置でエネルギー移動色素の芳香族−置換キサンテン色素成分に結合する。代替の他の好ましい実施態様では、エネルギー移動色素の芳香族−置換キサンテン色素成分のRは置換フェニルであり、そしてリンカーは置換基XまたはXの位置のひとつで芳香族−置換キサンテン色素に結合する。
【0122】
本発明のエネルギー移動色素の局面のさらに別の好ましい実施態様では、色素対の第一のメンバーは芳香族−置換キサンテンであり、そして色素対の第二のメンバーは、シアニン、フタロシアニン、スクアレイン(squaraine)、または第一のメンバー以外の異なる置換基を有する芳香族−置換キサンテンである。
【0123】
(III.色素化合物を組込んだ試薬)
別の局面では、本発明は、式Iの芳香族置換キサンテン色素化合物で標識された試薬を含む。本発明の試薬は、実質的に、本発明の色素が結合され得る任意のものであり得る。好ましくは、この色素は、試薬に共有結合的に結合する。試薬は、タンパク質、ポリペプチド、ポリサッカライド、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ポリヌクレオチド、脂質、固体支持体、有機および無機ポリマー、ならびにそれらの組み合わせおよび集合物(例えば、染色体、核、生きた細胞(例えば、細菌、または他の微生物)、哺乳動物細胞、組織など)を含み得るがこれに限定されない。
【0124】
(A.ヌクレオシド/ヌクレオチド試薬)
標識試薬の好ましいクラスは、本発明の芳香族置換キサンテン色素を組込むヌクレオシド/ヌクレオチドを含む。このようなヌクレオシド/ヌクレオチド試薬は、酵素的な合成により形成される標識ポリヌクレオチド形成の状況(例えば、PCR増幅法、サンガー型ポリヌクレオチド配列決定およびニックトランスレーション反応の状況において用いられるヌクレオチド三リン酸)において特に有用である。
【0125】
一般に、標識ヌクレオシド/ヌクレオチド試薬の構造は、
NUC−DYE
式II
であり、ここで、NUCはヌクレオシド/ヌクレオチドまたはヌクレオシド/ヌクレオチドアナログであり、そしてDYEは、式Iの芳香族置換色素化合物である。
【0126】
ヌクレオシド/ヌクレオチドと色素を連結する結合は、R〜R位のいずれか1つで色素へ結合され得る。好ましくは、色素およびヌクレオチドは、色素のR位を介して結合する。本発明の色素がトリメリト酸無水物(trimelletic anhydride)から合成される場合、Rは好ましくは、置換フェニルであり、連結は、置換フェニル(他の位置は水素原子である)のXまたはX位の一つで色素に結合される。
【0127】
NUCが、プリン塩基を含む場合、NUCとDYEとの間の結合は、プリンのN位に結合しており、NUCが、7−デアザプリン塩基を含む場合、この結合は、7−デアザプリンのN位に結合しており、NUCが、ピリミジン塩基を含む場合、結合は、ピリミジンのN位に結合している。
【0128】
ヌクレオシド標識化は、公知の結合、連結基および関連する相補的官能基(functionality)を用いる多くの公知のヌクレオシド/ヌクレオチド標識化技術の任意の一つを用いて成し遂げられ得る。一般に、色素とヌクレオシドを連結する結合は、(i)オリゴヌクレオチド合成条件に対して安定であるべきで、(ii)オリゴヌクレオチド標的ハイブリダイゼーションを妨害すべきでなく、(iii)関連の酵素、例えばポリメラーゼ、リガーゼなどと互換性であるべきで、そして(iv)色素の蛍光特性に不利な影響を与えないべきである。本発明と関係して用いるのに適した例示的な塩基の標識化手順は、以下を含む:Gibsonら、Nucleic Acids Research、15:6455−6467(1987);Gebeyehuら、Nucleic Acids Research、15:4513−4535(1987);Haralambidisら、Nucleic Acids Research、15:4856−4876(1987);Nelsonら、Nuclosides and
Nucleotides、5(3):233−241(1986);Bergstromら、JACS、111:374−375(1989);米国特許第4,855,225号、同第5,231,191号、および同第5,449,767号。
【0129】
好ましくは、結合は、アセチレンアミド結合またはアルケンアミド結合であり、色素とヌクレオシド/ヌクレオチド塩基との間の結合は、色素の活性化N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルとヌクレオシド/ヌクレオチドのアルキニルアミノまたはアルキニルアミノ誘導体化塩基との反応により形成されている。より好ましくは、得られた結合は、以下の構造を有する3−(カルボキシ)アミノ−1−プロピン−イルである
【0130】
【化33】

【0131】
代替的な好ましい結合は、以下の構造を有する置換されたプロパルギルエトキシアミド結合を含み、
【0132】
【化34】

【0133】
ここで、Xは、以下の式からなる群から選択される:
【0134】
【化35】

【0135】
(ここでnは1〜5の範囲である)
【0136】
【化36】

【0137】
(ここでnは1〜5の範囲である)
【0138】
【化37】

【0139】
および
【0140】
【化38】

【0141】
;Rは、−H、低級アルキルおよび保護基からなる群から選択される;そしてRは−Hおよび低級アルキルからなる群から選択される。Khanら、1997年4月10日出願、米国特許出願番号第08/833,854を参照のこと。
【0142】
アルキルアミノ誘導体化ヌクレオシドの合成は、Hobbsらにより、欧州特許出願番号第87305844.0およびHobbsら、J.Org.Chem.54:3420(1989)に教示されている。簡潔に言えば、アルキルアミノ誘導体化ヌクレオチドは、適切なハロジデオキシヌクレオシド(通常、Hobbsら(上記)により教示されるように5−ヨードピリミジンおよび7−ヨード−7−デアザプリンジデオキシヌクレオシド)およびCu(I)をフラスコ内に入れ、空気を除くためにアルゴンでフラッシュし、乾燥DMFを加え、その後アルキニルアミン、トリエチレンアミンおよびPd(0)を添加することにより形成される。この反応混合物を数時間または薄相クロマトグラフィーがハロジデオキシヌクレオシドの消費を示すまで、撹拌する。非保護のアルキニルアミンが用いられる場合、アルキニルアミノ−ヌクレオシドは、反応混合物を濃縮する工程、およびカップリング反応において生成するハロゲン酸(hydrohalide)を中和するために水酸化アンモニウムを含む溶出溶媒を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけることにより単離され得る。保護アルキルアミンが用いられる場合、メタノール/メチレンクロリドは、反応混合物に添加され得、その後、炭酸水素形態の強塩基性陰イオン交換樹脂にかけられる。次いで、このスラリーは、約45分間撹拌され、濾過され、そして、さらなるメタノール/メチレンクロリドで樹脂が洗浄され得る。合わせらた濾過物は、濃縮され、そしてメタノール−メチレンクロリド勾配を用いてシリカゲル上でフラッシュ−クロマトグラフィーにより精製され得る。この三リン酸エステルは標準的技術により得られる。
【0143】
本発明の特に好ましいヌクレオシド/ヌクレオチドは、以下、式IVに示される:
【0144】
【化39】

【0145】
Bは、ヌクレオチド塩基、例えば、ウラシル、シトシン、デアザアデニンまたはデアザグアノシンである;WおよびWは、別個に、OHまたはテンプレート指向性ポリマー化を介してポリメラーゼをブロックし得る基(例えば、H、フッ素など)である;Wは、OHまたは一、ニもしくは三リン酸またはリン酸アナログである;そしてDは、式Iの色素化合物である。一つの特に好ましい実施態様では、本発明のヌクレオチドは、以下の式IV.1に示される構造(もし存在するなら、会合対イオンを含む)を有するジデオキシヌクレオチド三リン酸である。
【0146】
【化40】

【0147】
式IV.1に示したもののような標識ジデオキシヌクレオチドは、蛍光検出を利用するサンガー型DNA配列決定法において、鎖停止剤として、特定の用途が見出されている。第二の特に好ましい実施態様では、本発明のヌクレオチドは、以下の式IV.2に示した構造を有するデオキシヌクレオチド三リン酸である(もし存在するなら、会合対イオンを含む)。
【0148】
【化41】

【0149】
式IV.2に示したもののような標識デオキシヌクレオチドは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応またはニックトランスレーションにおいて、ポリメラーゼ伸長産物を標識する手段として、特定の用途が見出されている。
【0150】
(C.ホスホロアミダイト試薬)
別の好ましいクラスの試薬は、本発明の芳香族置換キサンテン色素を組込むホスホロアミダイト化合物を包含する。このようなホスホロアミダイト試薬は、本発明の芳香族置換キサンテン色素で標識したポリヌクレオチドの自動化化学合成に、特に有用である。このようなホスホロアミダイト化合物は、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの5’−水酸基と反応して、亜リン酸エステル結合を形成し、これは、次に、酸化されて、リン酸エステル結合が得られる(例えば、Caruthersら、米国特許第4,458,066号および同第4,415,732号)。
【0151】
(1.非ヌクレオチドホスホロアミダイト試薬):一般に、1つの局面において、本発明のホスホロアミダイト試薬は、すぐ下の式Vの構造を有する:
【0152】
【化42】

【0153】
ここで、Xは、スペーサーアームである;Dは、式Iの芳香族置換キサンテン色素またはそれらの保護誘導体である;Yは、この色素上の連結基を用いて形成した結合である;Bは、亜リン酸エステル保護基であり、そしてBおよびBは、別個に、低級アルキル、低級アルケン、1個と8個の間の炭素原子を有する低級アリール、アラルキル、または10個までの炭素原子を含有するシクロアルキルである。
【0154】
スペーサーXおよび結合Yは、種々の形態をとり得るが、しかしながら、構造X−Yは、(i)DNA合成条件に対して安定であり、(ii)オリゴヌクレオチド標的ハイブリダイゼーションを実質的に妨害せず、そして(iii)それが結合する色素の蛍光を消失させてはならない(例えば、米国特許第5,231,191号、同第5,258,538号、および同第4,757,141号および同第5,212,304号)。
【0155】
好ましくは、Xは、直鎖または環状の低級アルキル、直鎖または環状の置換低級アルキル、ポリエチレンオキシド、1個と8個の間の炭素原子を有する低級アリール、ペプチド、またはポリエーテルである。好ましくは、結合Yは、アミド、スルホンアミド、ウレア、ウレタンまたはチオウレア(thourea)である。特に好ましい実施態様では、結合Yはアミドであり、そしてスペーサーXは式V.1の以下に示される構造を有する直鎖アルキルである:
【0156】
【化43】

【0157】
ここで、nは、2〜30、好ましくは、2〜10、より好ましくは、2〜6の範囲である。第二の特に好ましい実施態様では、結合Yは、アミドであり、そしてスペーサーXは、式V.2で以下に示す構造を有する直鎖ポリエチレンオキシドである:
【0158】
【化44】

【0159】
ここで、nは、2〜30、好ましくは、2〜10、より好ましくは、2〜6である。
【0160】
好ましくは、BおよびBは、一緒になって、その主鎖に5個までの炭素原子および全体で10個までの炭素原子を含有するアルキル鎖を形成し、この鎖の両方の末端原子価結合は、窒素原子に結合されている。他方、BおよびBは、窒素原子と一緒になって、飽和窒素複素環を形成し、これは、窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含有する。好ましくは、BおよびBは、別個に、イソプロピル、t−ブチル、イソブチルまたはsec−ブチルであり、そしてBおよびBは、一緒になって、モルホリノである。
【0161】
は、ホスホロアミダイトが結合したポリヌクレオチドの所望されない伸長を防止する亜リン酸エステル保護基である。Bは、ポリヌクレオチド合成条件に対して安定であるが、このポリヌクレオチドまたは色素の完全性に悪影響を及ぼさない試薬を用いて、このポリヌクレオチド生成物から除去され得る。好ましくは、Bは、メチル、β−シアノエチルまたは4−ニトロフェニルエチルである。
【0162】
YとDを連結する結合は、R〜R位の1つで、Dに結合している。
本発明の色素が、トリメリト酸無水物から合成される場合、Rは、好ましくは、置換フェニルであり、そして結合は、この置換フェニルのXまたはX位の1つで、この色素に結合している。
【0163】
このようなホスホロアミダイト化合物は、公知の種々の方法により合成され得る。一般に、合成は、以下のように進行する。この色素のフェノール性ヒドロキシルは、DNA合成脱保護剤(例えば、アンモニア、エタノールアミン、メチルアミン/水酸化アンモニウム混合物、およびt−ブチルアミン/水/メタノール(1:2:1)混合物)で除去され得る色素保護基で保護される。例えば、米国特許第5,231,191号を参照のこと。そのように保護された色素は、本明細書においてこの色素の「保護誘導体」という。好ましい保護基には、安息香酸またはピバル酸のエステルが挙げられる。この保護色素の連結基(例えば、カルボン酸)は、次いで、例えば、カルボジイミドで活性化され、そしてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)または別の類似の非プロトン性溶媒中にて、アルコールリンカー誘導体(例えば、アミノアルコール(例えば、エタノールアミン、ヘキサノールアミンなど))と反応させて、遊離アルコール官能性基(functionality)(例えば、アルコール−アミド誘導体)を有する保護色素が生じる。この遊離アルコールは、次いで、触媒量のテトラゾールジイソプロピルアミンを含有するアセトニトリル中にて、標準操作を用いて、ホスフィチル化剤(例えば、ジ−(N,N−ジイソプロピルアミノ)メトキシホスフィン)と反応させて、ホスホロアミダイトを生じる(例えば、米国特許第5,231,191号)。
【0164】
式Vに示されるような非ヌクレオチド性ホスホロアミダイトは、ヌクレオチドの糖部分を介して化学的に合成されたポリヌクレオチドの5’−末端の標識化に特によく適している。
【0165】
(2.ヌクレオチド性ホスホルアミダイト試薬):好ましい、第二の局面では、本発明のホスホルアミダイト試薬は、すぐ下の式VIの構造を有する:
【0166】
【化45】

【0167】
ここで、B〜Bは、上で記述のものと同じである。Bは、水素またはヒドロキシル保護基であり、Bは、ヌクレオチド塩基であり、そしてDは、式Iの芳香族置換キサンテン色素またはそれらの保護誘導体である。
【0168】
Bがプリンまたは7−デアザプリンのとき、その糖部分は、このプリンまたはデアザプリンのN−位にて結合している。他方、Bがピリミジンのとき、その糖部分は、このピリミジンのN−位にて結合している。BおよびDは、上で詳細に記述される連結基およびその相補官能性の反応により形成した結合により結合される。Bがプリンなら、その結合は、このプリンの8−位に結合しており、Bが7−デアザプリンなら、その結合は、この7−デアザプリンの7−位に結合している。Bがピリミジンなら、その結合は、このピリミジンの5−位にて結合している。
【0169】
は、一般に、水素または酸切断可能なヒドロキシル保護基を表わす。好ましくは、Bは、トリフェニルメチル基およびその電子供与性置換型誘導体であり、この場合、本明細書中で使用する「電子供与性」との用語は、それが一部をなす分子内において、近接原子に原子価電子を放出するという置換基の傾向を表わし、すなわち、それは、近接原子に関して、電子的に正である。好ましくは、電子供与性置換基には、アミノ、低級アルキル、1個と8個の間の炭素原子を有する低級アリール、低級アルコキシなどが挙げられる。さらに好ましくは、この電子供与性置換基は、メトキシである。代表的なトリチルには、4,4’−ジメトキシトリチル、すなわち、ビス(p−アニシル)フェニルメチル、モノメトキシトリチル、α−ナフチルジフェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチルなどが挙げられる。これらのトリチルおよび他のトリチルの結合条件および切断条件は、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版(John Wiley、New York、1991)に見出され得る。
【0170】
一般に、本発明のヌクレオチドホスホルアミダイトは、以下のようにして合成され得る。その5’−ヒドロキシル上にヒドロキシル保護基およびその塩基上に保護相補的官能基を有するヌクレオシドは、この相補的官能基だけを暴露するように、選択的に脱保護される。次に、(上記のようにして)保護した色素は、連結基をその反応形状に転化することにより、活性化される。この色素の活性化連結基は、次いで、このヌクレオシドの相補的官能性と反応されて、この色素の5’−ヒドロキシル上(およびRNAの場合には、2’−ヒドロキシル上)およびフェノール基上に保護基を有する色素標識ヌクレオシドが形成される。この色素標識ヌクレオシドは、次いで、上記のホスフィチル化剤と反応されて、このヌクレオチドホスホルアミダイトが生成される。
【0171】
その相補的官能基がアミンでありかつ連結基がカルボキシルである好ましい方法では、この合成は、以下のようにして進行する。その5’−ヒドロキシル上にヒドロキシル保護基(例えば、トリチル基)を有し、そしてその塩基上に保護アミノ−窒素相補的官能基を有する保護ヌクレオシドは、そのアミンを暴露するように選択的に脱保護され、このような選択的脱保護は、その保護5’−ヒドロキシル部分を脱保護することなく、そのアミノ官能性のみを脱保護するように働く。(上記のように)保護した色素は、カルボキシ連結基を、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシスクシンイミドを用いて、そのNHSエステルに転化することにより、活性化される。このNHSエステルは、このヌクレオシドのアミノ基と反応されて、この色素の5’−ヒドロキシル上(およびRNAの場合には、2’−ヒドロキシル上)およびフェノール基上に保護基を有する色素標識ヌクレオシドが形成される。次いで、この色素標識ヌクレオシドは、上記のホスフィチル化剤と反応される。
【0172】
式VIに示されるような標識化ヌクレオチドホスホルアミダイトは、化学的に合成されたポリヌクレオチドの内部標識に特によく適している。
【0173】
(D.ポリヌクレオチド試薬)
本発明のさらに別の好ましいクラスの試薬には、本発明の芳香族置換キサンテン色素で標識したポリヌクレオチドが包含される。このような標識ポリヌクレオチドは、DNA配列決定プライマー、PCRプライマー、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブ、オリゴヌクレオチドライゲーションプローブなどを含めた多くの重要な状況で、有用である。
【0174】
一つの好ましい実施態様において、本発明の標識されたポリヌクレオチドは、蛍光エネルギー移動が供与体色素と受容体色素との間で生じるように配置された複数の色素を含む。このような多重色素エネルギー移動ポリヌクレオチドは、分光的に整調可能(tunable)配列決定プライマーとして適用を見出す(例えば、Juら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4347−4351(1995)、およびハイブリダイゼーションプローブとして(例えばLeeら、Nucleic Acids Research、21:3761−3766(1993))。
【0175】
標識ポリヌクレオチドは、例えば、DNAポリメラーゼまたはリガーゼを用いて、酵素的に合成するか(例えば、Stryer、Biochemistry、第24章、W.H.Freeman and Company (1981))または例えば、ホスホルアミダイト法、亜リン酸トリエステル法などによる化学合成によるか(例えば、Gait、Oligonucleotide Synthesis、IRL Press (1990))のいずれかにより、合成され得る。標識は、上記の標識ヌクレオチド三リン酸モノマーを使用して、酵素合成中に導入され得るか、または上記の標識非ヌクレオチドまたはヌクレオチドホスホルアミダイトを用いて、化学合成中に導入され得、あるいは合成に引き続いて導入され得る。
【0176】
一般に、この標識ポリヌクレオチドが、酵素合成を用いて製造されるなら、以下の手順が使用され得る。テンプレートDNAが変性され、そしてこのテンプレートDNAに、オリゴヌクレオチドプライマーがアニールされる。この混合物に、デオキシヌクレオチド三リン酸(dGTP、dATP、dCTPおよびdTTPを含み、ここでこのデオキシヌクレオチドの少なくとも1個の画分は、上記の本発明の色素化合物で標識される)の混合物が添加される。次に、ポリメラーゼ酵素が活性である条件下にて、ポリメラーゼ酵素が添加される。ポリメラーゼ媒介鎖合成中の、この標識デオキシヌクレオチドの組込みにより、標識ポリヌクレオチドが形成される。代替の酵素的合成法では、1個のプライマーの代わりに2個のプライマーが使用され、1方のプライマーは、この標的の+鎖に相補的であり、他方は、この標的の−鎖に相補的であり、このポリメラーゼは熱安定性ポリメラーゼであり、そしてその反応温度は、変性温度と伸長温度の間で循環され、それにより、PCRによって、標識相補体が標的配列へと指数関数的に合成される(例えば、PCR Protocols、Innisら編、Academic
Press (1990))。
【0177】
標識ポリヌクレオチドは、ホスホルアミダイト法を用いて、化学的に合成され得る。このホスホルアミダイト法によりポリヌクレオチドを形成するのに使用される化学の詳細な説明は、他のところに、例えば、Caruthersら、米国特許第4,458,066号および4,415,732号;Caruthersら、Genetic Engineering、4:1−17(1982);Users Manual Model 392 and 394Polynucleotide Synthesizers、6−1〜6−22頁、Applied Biosystems、Part No.901237(1991)に提供されている。
【0178】
ポリヌクレオチド合成のホスホルアミダイト法は、その効率および急速なカップリングおよび出発物質の安定性のために、好ましい方法である。この合成は、固体支持体に結合した伸長するポリヌクレオチド鎖を用いて行われ、その結果、液相にある過剰な試薬は、濾過により容易に除去され得、それにより、合成サイクル間の精製工程の必要性がなくなる。
【0179】
以下は、このホスホルアミダイト法を用いる、典型的なポリヌクレオチド合成サイクルの工程を簡単に記述する。まず、保護ヌクレオチドモノマーを含む固体支持体は、酸(例えば、トリクロロ酢酸)で処理されて、5’−ヒドロキシル保護基が除去され、このヒドロキシルは、引き続くカップリング反応のために、遊離される。次いで、この反応系に、保護ホスホルアミダイトヌクレオシドモノマーおよび弱酸(例えば、テトラゾール)を同時に添加することにより、活性化中間体が形成される。この弱酸は、このホスホルアミダイトの窒素にプロトンを付加して、反応性中間体を形成する。ヌクレオシド付加は、30秒以内に完結する。次に、ヌクレオシド付加を受けなかったいずれかのポリヌクレオチド鎖を停止するキャップ化工程が行なわれる。キャップ化は、好ましくは、無水酢酸および1−メチルイミダゾールを用いて行われる。このヌクレオチド間結合は、次いで、好ましい酸化剤としてヨウ素および酸素供与体としての水を用いる酸化により、この亜リン酸エステルから、より安定なホスホトリエステルに転化される。酸化後、このヒドロキシル保護基は、プロトン酸(例えば、トリクロロ酢酸またはジクロロ酢酸)で除去され、このサイクルは、鎖の伸長が完了するまで、繰り返される。合成後、このポリヌクレオチド鎖は、塩基(例えば、水酸化アンモニウムまたはt−ブチルアミン)を用いて、この支持体から切断される。この切断反応はまた、いずれのリン酸保護基(例えば、シアノエチル)をも除去する。最後に、この塩基の環外アミン上の保護基およびこの色素上のヒドロキシル保護基は、塩基中にて、このポリヌクレオチド溶液を高温(例えば、55℃)で処理することにより、除去される。
【0180】
このホスホルアミダイトヌクレオシドモノマーのいずれかは、上記の色素標識したホスホルアミダイトであり得る。このヌクレオチドの5’−末端位置が標識される場合、この最終縮合工程中に、本発明の標識した非ヌクレオチドホスホルアミダイトが使用され得る。このオリゴヌクレオチドの内部位置が標識される場合、いずれかの縮合工程中に、本発明の標識ヌクレオチドホスホルアミダイトが使用され得る。
【0181】
合成に引き続いて、このポリヌクレオチドは、非常に多くの位置で標識でき、これらの位置には、5’−末端(例えば、Oligonucleotides and Analogs、Eckstein編、第8章、IRL Press(1991)およびOrgelら、Nucleic Acids Research 11(18):6513(1983);米国特許第5,118,800号);ホスホジエステル骨格(例えば、同書、第9章);または3’−末端(例えば、Nelson、Nucleic Acids Research 20(23):6253−6259、および米国特許第5,401,837号および第5,141,813号)が含まれる。オリゴヌクレオチド標識手順の総説については、R.Haugland in Excited States of Biopolymers、Steiner編、Plenum Press、NY (1983)を参照のこと。
【0182】
1つの好ましい合成後化学標識化法では、オリゴヌクレオチドは、以下のようにして標識化される。カルボキシ連結基を含む色素は、無水酢酸エチル中にて、室温で3時間にわたり、およそ1当量の1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびおよそ3当量のN−ヒドロキシスクシンイミドと反応させることにより、そのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルに転化される。この反応混合物は、5% HClで洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして固形物になるまで濃縮され、この固形物は、DMSOに再懸濁される。このDMSO色素ストックは、次いで、過剰で(10〜20倍)、pH 9.4にて、0.25M重炭酸塩/炭酸塩緩衝液中のアミノヘキシル誘導体化オリゴヌクレオチドに添加され、そして6時間反応される(例えば、米国特許第4,757,141号)。この色素標識したオリゴヌクレオチドは、緩衝液(例えば、0.1Mトリエチルアミン酢酸塩(TEAA))で溶出するサイズ排除クロマトグラフィーカラムに通すことにより、未反応色素から分離される。この粗標識オリゴヌクレオチドを含有する画分は、勾配溶出を使用する逆相HPLCにより、さらに精製される。
【0183】
(IV.本発明の化合物および試薬を使用する方法)
本発明の色素および試薬は、蛍光検出を使用するいずれかの方法(特に、複数の空間的に重複した分析物の同時検出を必要とする方法)によく適合される。本発明の色素および試薬は、生化学分離手順(例えば、電気泳動)に供されるポリヌクレオチドのクラスを同定、または空間的にアドレス可能なハイブリダイゼーションアレイにおける位置を区別するのに、特によく適合される。
【0184】
本明細書において「フラグメント分析」法または「遺伝分析」法と称される好ましいカテゴリーの方法では、標識化ポリヌクレオチドフラグメントは、標識プライマーまたはヌクレオチドを用いたテンプレート指向性酵素的合成(例えば、ライゲーションまたはポリメラーゼ指向性プライマー伸長による)を介して、生じる;これらのフラグメントは、サイズ依存性分離プロセス(例えば、電気泳動またはクロマトグラフィー)に供され、そして分離したフラグメントは、この分離に引き続いて、例えば、レーザー励起蛍光により、検出される。特に好ましい実施態様では、複数のクラスのポリヌクレオチドが同時に分離され、異なるクラスのものは、分光学的に分離可能な標識により、識別される。
【0185】
このようなフラグメント分析の1方法は、増幅フラグメント長多型検出(AmpFLP)として知られているが、PCRにより増幅した増幅フラグメント長多型性(すなわち、制限フラグメント長多型性)に基づいている。種々のサイズのこれらの増幅フラグメントは、系統による次の突然変異遺伝子のための連鎖マーカーとして役立つ。増幅フラグメントが染色体上の突然変異遺伝子に近づくほど、この結合の相関が高くなる。多くの遺伝的疾患に対する遺伝子は、同定されていないので、これらの結合マーカーは、疾患のリスクまたは起源の評価を助けるのに役立つ。このAmpFLP技術では、このポリヌクレオチドは、標識ポリヌクレオチドPCRプライマーを用いることにより、またはPCR中の標識ヌクレオチド三リン酸を使用することにより、標識され得る。
【0186】
ニック(nick)トランスレーションとして知られているような別のフラグメント分析では、二本鎖DNA分子内の未標識ヌクレオシド三リン酸を標識したものに置き換えるために、反応が使用される。デオキシリボヌクレアーゼI(DNAaseI)処理により生じる「ニック」によって、未標識DNA内に、遊離の3’−水酸基が作られる。DNAポリメラーゼIは、次いで、このニックの3’−ヒドロキシル末端への標識ヌクレオチドの付加を触媒する。同時に、この酵素の5’〜3’−エクソヌクレアーゼ活性は、このニックの5’−ホスホリル末端からこのヌクレオチド単位を取り除く。最初に取り除かれたヌクレオチドの位置に、遊離の3’−OHを有する新しいヌクレオチドが取り込まれ、そしてこのニックは、3’方向に沿って、1ヌクレオチド単位だけシフトする。この3’シフトの結果、存在する未標識ヌクレオチドの除去を伴って、新しく標識したヌクレオチドのDNAへの連続付加が生じる。このニックトランスレーションされたポリヌクレオチドは、次いで、分離プロセス(例えば、電気泳動)を用いて分析される。
【0187】
別の例示的なフラグメント分析法は、可変数のタンデム反復、すなわち、VNTRに基づいている。VNTRは、特定の配列の隣接した複数コピーを含有する二本鎖DNAの領域であり、繰り返し単位の数は、可変である。VNTR遺伝子座の例には、pYNZ22、pMCT118およびApo Bがある。VNTR法のサブセットは、マイクロサテライト反復または短タンデム反復(STR)、すなわち、短い(2個〜4個の塩基)反復配列により特徴付けられるDNAのタンデム反復の検出に基づいている。ヒトにおいて最も豊富に点在した反復型のDNAファミリーの1つには、(dC−dA)n−(dG−dT)nジヌクレオチド反復ファミリー(これはまた、(CA)nジヌクレオチド反復ファミリーとも呼ばれる)である。ヒトゲノムには、50,000個〜100,000個程度の(CA)n反復領域があると考えられ、代表的には、1ブロックあたり、15個〜30個の反復を有する。これらの反復領域の多くは、長さが多型性であり、従って、有用な遺伝子マーカーとして供され得る。好ましくは、VNTR法またはSTR法では、色素標識PCRプライマーを用いることにより、ポリヌクレオチドフラグメントに標識が導入される。
【0188】
特に好ましいフラグメント分析法において、本発明に従って同定されたクラスのものは、4個の可能な末端塩基と分光学的に分離可能な色素のセットのメンバーとの間で、対応が確立されるように、末端ヌクレオチドの点で規定される。このようなセットは、市販の分光光度計を用いて、発光および吸収バンド幅を測定することにより、本発明の色素から容易に組み立てられる。さらに好ましくは、DNA配列決定の化学的または鎖停止法の状況にて、クラスが生じ、そして最も好ましくは、この鎖停止法、すなわち、ジデオキシDNA配列決定またはサンガー配列決定の状況において、クラスが生じる。
【0189】
サンガー型の配列決定は、配列が決定されるべき一本鎖または二本鎖DNAテンプレートを用いた、インビトロでのDNAポリメラーゼによるDNA鎖の合成を包含する。合成は、このテンプレートにオリゴヌクレオチドプライマーがアニールする、規定された位置で開始される。この合成反応は、連続的なDNA伸長を支持しないヌクレオチドアナログの取りこみにより、停止される。例示的な鎖停止ヌクレオチドアナログには、2’,3’−ジデオキシヌクレオシド5’−三リン酸(ddNTP)が挙げられ、これは、3’から5’へのDNA鎖の伸長に必要な3’−OH基を欠失する。適切な割合のdNTP(2’−デオキシヌクレオシド5’−三リン酸)および4個のddNTPの1個が使用される場合、酵素触媒した重合は、このddNTPが取り込まれる各部位で、鎖集団の画分において、停止される。各反応に対して、標識プライマーまたは標識ddNTPが使用される場合、この配列情報は、高分解能電気泳動による分離後、蛍光により検出され得る。この鎖停止法では、本発明の色素は、配列決定プライマーまたはジデオキシヌクレオチドのいずれかに結合され得る。色素は、例えば、Fungら、米国特許第4,757,141号での教示に従って、このプライマーの5’末端にて;プライマーの塩基にて;または例えば、Hobbsら(前述)によって開示されるアルキニルアミノ連結基を介して、ジデオキシヌクレオチドの塩基にて、相補的官能基と連結され得る。
【0190】
上記フラグメント分析法のそれぞれでは、標識ポリヌクレオチドは、好ましくは、電気泳動手順により、分離される(例えば、GouldおよびMatthews、上記;RickwoodおよびHames編、Gel Electrophoresis of Nucleic Acids:A Practical
Approach、IRL Press Limited、London、1981;Osterman、Methods of Protein and Nucleic Acid Research、1巻 Springer−Verlag、Berlin、1984;または米国特許第5,374,527号、5,624,800号、および/または5,552,028号)。好ましくは、電気泳動マトリックスの型は、約2〜20重量%の間の濃度(重量対容量)を有する連結または非連結ポリアクリルアミドである。さらに好ましくは、このポリアクリルアミド濃度は、約4〜8%の間である。好ましくは、特にDNA配列決定の状況では、この電気泳動マトリックスは、変性剤(例えば、ウレア、ホルムアミドなど)を含有する。このようなマトリックスを構築する詳細な手順は、「Fractionation of Low Molecular Weight DNA and RNA in Polyacrylamide Gels
Containing 98% Formamide or 7M Urea」Maniatisら、Methods in Enzymology、65:299−305(1980);Maniatisら、「Chain Length Determination of Small Double− and
Single−Stranded DNA Molecules by Polyacrylamide Gel Electrophoresis」Biochemistry、14:3787−3794(1975);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、179−185頁(1982);およびABI PRISMTM377 DNA Sequencer User’s Manual、Rev.A、January 1995、第2章(p/n903433、The Perkin−Elmer Corporation、Foster City、CA)により与えられる。特別な分離に使用される最適な電気泳動の条件、例えば、ポリマー濃度、pH、温度、変性剤の濃度は、多くの因子に依存し、これらには、分離されるべき核酸のサイズ範囲、それらの塩基組成、それらが一本鎖か二本鎖か、およびその情報が電気泳動により追究されるクラスの性質が含まれる。従って、本発明の適用には、特定の分離のための条件を最適化する標準予備試験が必要とされ得る。
【0191】
電気泳動分離に引き続いて、色素−ポリヌクレオチド結合体は、この色素標識ポリヌクレオチドからの蛍光発光を測定することにより、検出される。このような検出を行うために、この標識ポリヌクレオチドは、標準的な手段、例えば、高強度水銀蒸気ランプ、レーザーなどにより照射される。好ましくは、この照射手段は、488nmと550nmの間の波長の照射ビームを有するレーザーである。さらに好ましくは、この色素−ポリヌクレオチドは、アルゴンイオンレーザー(特に、488nmおよび514 nmの発光系列のアルゴンイオンレーザー)、または532nmの発光系列のネオジム固相YAGレーザーにより発生したレーザー光によって、照射される。いくつかのアルゴンイオンレーザーが市販されており、これらは、これらの系列で、同時にレーザーとして使える(例えば、Cyonics、Ltd.(Sunnyvale、Calif.)のModel 2001など)。次いで、光感受性検出器(例えば、光電子増倍管、荷電連結デバイスなど)により、その蛍光が検出される。例示的な電気泳動検出システムは、他の例えば、米国特許第5,543,026号;5,274,240号;4,879,012号;5,091,652号および4,811,218号に記載されている。
【実施例】
【0192】
(V.実施例)
本発明は、以下の実施例を考慮することにより、さらに明確にされ、これらの実施例は、純粋に、本発明に例示であることを意図しており、いずれの様式でも、その範囲を限定することを意図していない。特定の化合物を示す参照番号は、図1A〜Dで提供した構造を意味する。
【0193】
(実施例1)
1−フルオロナフト−2−イルボロン酸(Boronic acid)(11)の合成
1−フルオロナフタレン(14.61g、100mmol、Aldrich Chemical)を無水THF(50mL)に溶解し、そして−78℃まで冷却した。次いで、この混合物に、5分間にわたって、sec−ブチルリチウム溶液(ヘキサン中で1.3M、100mL)を添加した。この混合物を、−78℃で20分間撹拌し、次いで、ホウ酸トリメチル(15mL、132mmol、Aldrich Chemical)を添加した。−78℃で15分間攪拌を継続し、続いて、室温で、30分間攪拌した。この反応を、AcOH:HOの3:1混合物100mLを添加することによりクエンチし、そして室温で一晩攪拌した。次に、酢酸エチルおよび水の1:1混合物500mLを添加した。その有機層を10% HCl(200mL×1)、水(200mL×2)およびブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、白色固形物18グラムを得た。この物質をシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル350グラム、酢酸エチル−ヘキサン1:1移動相)により精製して、表題化合物16.3g(86%)を得た。
【0194】
(実施例2)
1,3−ジメトキシ−4−ブロモ−2−フルオロベンゼン(12)の合成
2−フルオロレゾルシノール(これは、Patrick, T.B.ら、J.Org.Chem(1986),51,3242−4に従って、調製した)(12.8g、100mmol)、炭酸カリウム(42g、0.3mol)およびヨウ化メチル(25ml、0.4mol)をアセトン(300mL)と混合し、そして6時間還流した。この反応物を氷水(500mL)に注ぎ、そして酢酸エチル(500mL)で抽出した。この酢酸エチルを水(200mL×2)およびブライン(200mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、1,3−ジメトキシ−2−フルオロベンゼン14.2グラム(91%)を得た。このフルオロ−ベンゼン中間体(23.19g、148.5mmol)、N−ブロモスクシンイミド(26.52g、149mmol)および70%過塩素酸水溶液300μL(Aldrich Chemical、3.4mmol)を四塩化炭素(100mL)中で混合し、そして室温で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、その溶媒を除去して、黄色のオイルを得た。このオイルをシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン移動相)にかけて、黄色のオイルとして、1,3−ジメトキシ−4−ブロモ−2−フルオロベンゼン12化合物33.28グラム(95%)を得た。
【0195】
(実施例3)
4−(ナフト−2−イル)−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン(14)の合成
2−ナフチルボロン酸13(これは、L.J.Diorazioら、Tetrahedron,48,1992,8073に従って、調製した)(1g、5.8mmol)、実施例2から得た1,3−ジメトキシ−4−ブロモ−2−フルオロベンゼン12(1.37g、5.8mmol)、無水グリム(5mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(675mg、0.58mmol、Lancaster Chemical)を15分間攪拌し、続いて、炭酸カリウム(水7mL中で1.6g)を添加した。24時間還流した後、この反応混合物を、1:1の10% HClおよび酢酸エチル200mLに注いだ。その有機層を水(100mL×2)およびブライン(100mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、そのジメチルエーテル中間体1.15グラム(71%)を得た。この中間体(282mg、1mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、そしてアルゴン雰囲気下にて、−78℃まで冷却した。ジクロロメタン中の1M三臭化ホウ素(5mL、5mmol)を添加した後、この溶液を−78℃で30分間攪拌し、次いで、4℃で16時間攪拌した。この反応混合物を氷水100mLに注ぎ、そして酢酸エチル(100mL)で抽出した。その有機層を水(100mL×2)およびブライン(100mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、その粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン移動相中の10%CHCl)により精製して、固形生成物220mg(86%)を得た。
【0196】
(実施例4)
4−(ナフト−2−イル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン(16)の合成
この化合物は、実施例3で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、1,3−ジメトキシ−4−ブロモ−2−フルオロベンゼン12に代えて、1,3−ジメトキシ−4−ブロモベンゼン15を使用した点が相違している。
【0197】
(実施例5)
4−フェニル−1,3−ジヒドロキシベンゼン(18)の合成
この化合物は、実施例3で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、2−ナフチルボロン酸13に代えて、フェニルボロン酸17(Aldrich
Chemical)を使用し、そして1,3−ジメトキシ−4−ブロモ−2−フルオロベンゼン12に代えて、1,3−ジメトキシ−4−ブロモベンゼン15を使用した点が相違している。
【0198】
(実施例6)
4−(フルオロナフト−2−イル)−1,3−ジヒドロキシ(Dihydrox)−2−フルオロベンゼン(fluoroybenzene)(19)の合成
この化合物は、実施例3で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、2−ナフチルボロン酸13に代えて、実施例1から得た1−フルオロナフト−2−イルボロン酸11を使用した点が相違している。
【0199】
(実施例7)
4−(ジベンゾフラン−2−イル)−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン(22)の合成
この化合物は、実施例3で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、2−ナフチルボロン酸13に代えて、2−ブロモジベンゾフランの2−ボロン酸(2−ブロモジベンゾフランは、Aldrich Chemicalから購入し、そしてL.J.Diorazioら(上記)の方法に従って、そのボロン酸21に転化した)を使用した点が相違している。
【0200】
(実施例8)
ナフチル−フルオロ−レゾルシノールケトン(24)の合成
実施例3から得た4−(ナフト−2−イル)−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン14(760mg、2.988mmol)、無水2,5−ジクロロトリメリト酸23(780mg、2.988mmol、PE Applied
Biosystems, Foster City, CA(AB)部品番号361892)、ニトロベンゼン(5mL)、およびニトロベンゼン中の塩化アルミニウム(15mL、1M、Aldrich Chemical)を、室温で、16時間攪拌した。この反応混合物を、氷水(100mL)および酢酸エチル(100mL)の磁気攪拌した混合物に注ぎ、続いて、10%HCl(100mL)を添加して、このアルミニウム塩を溶解した。その有機層を水(100mL×2)およびブライン(100mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、異性体混合物として、その生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン移動相中の10%メタノール)により分離して、所望の緩慢移動異性体(Slower moving isomer)340mg(22%)を得た。
【0201】
(実施例9)
芳香族置換キサンテン色素(25)の合成
実施例3から得た4−(ナフト−2−イル)−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン14(100mg、0.4mmol)、無水2,5−ジクロロトリメリト酸23(52mg、0.2mmol、AB部品番号#361892)、およびメタンスルホン酸(5mL)を、120〜130℃で、2時間攪拌した。この溶液を、冷却し、そして氷水(50mL)と混合し、沈殿物を形成させた。この沈殿した色素を酢酸エチル(100mL)で抽出し、その抽出物を水(50mL×2)およびブライン(50mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、2個の異性体として、その粗色素を得た。これらの異性体を、分離用厚層クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン:メタノール:酢酸100:10:2(容量)の移動相)により分離して、所望の緩慢移動異性体60mg(41%)を得た。
【0202】
(実施例10)
芳香族置換キサンテン色素(26)の合成
この化合物は、実施例9で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、4−(ナフト−2−イル)−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン14に代えて、実施例5から得た4−フェニル−1,3−ジヒドロキシベンゼン18を使用した点が相違している。
【0203】
(実施例11)
芳香族置換キサンテン色素(28)の合成
この化合物は、実施例9で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、4−(ナフト−2−イル)−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン14に代えて、1,3−ジヒドロキシベンゾフラン27(これは、Carvalho,C.F.ら、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,1,1605,(1984)に従って、調製した)を使用した点が相違している。
【0204】
(実施例12)
芳香族置換キサンテン色素(29)の合成
この化合物は、実施例9で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、4−(ナフト−2−イル)−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン14に代えて、実施例4から得た4−ナフチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン16を使用した点が相違している。
【0205】
(実施例13)
芳香族置換キサンテン色素(30)の合成
この化合物は、実施例9で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、4−(ナフト−2−イル)−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン14に代えて、実施例6から得た4−フルオロナフチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン19を使用した点が相違している。
【0206】
(実施例14)
芳香族置換キサンテン色素(31)の合成
この化合物は、実施例9で用いた手順と本質的に同じ手順を用いて調製したが、4−(ナフト−2−イル)−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン14に代えて、実施例7から得た4−ジベンゾフラン−2−フルオロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン22を使用した点が相違している。
【0207】
(実施例15)
芳香族置換キサンテン色素(33)の合成
実施例5から得た4−フェニル−1,3−ジヒドロキシベンゼン18(182mg、1mmol)、ケトン32(405mg、1mmol、AB部品番号#361893)およびメタンスルホン酸(10mL)を混合し、そして130〜135℃で2時間攪拌した。この反応混合物を冷却し、そして氷水(50mL)と混合した。沈殿した色素を酢酸エチル(100mL)で抽出し、その有機層を水(50mL×2)およびブライン(50mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、その粗色素を得た。これらの色素をクロロホルムから結晶化して、純粋色素450mg(81%)を得た。
【0208】
(実施例16)
芳香族置換キサンテン色素(35)の合成
ジベンゾフラン−1,3−ジオール(これは、Carvalho,C.F.ら(上記)に従って、調製した)(200mg、1mmol)、2−フルオロナフタレン−1,3−ジオール34(178mg、1mmol、AB部品番号361828)および無水2,5−ジクロロトリメリト酸(260mg、1mmol、AB部品番号361892)を、メタンスルホン酸(10mL)中で混合し、そして130〜135℃で2時間攪拌した。この反応混合物を冷却し、そして氷水(100mL)と混合した。沈殿した色素を酢酸エチル(100mL)で抽出し、その有機層を水(50mL×2)およびブライン(50mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、異性体混合物として、その粗色素を得た。これらの異性体を分離用薄層クロマトグラフィーにより分離して、色素80mg(13%)を得た。
【0209】
(実施例17)
芳香族置換キサンテン色素(36)の合成
実施例8から得たナフチル−フルオロ−レゾルシノールケトン24(206mg、0.4mmol)、および2−フルオロナフタレン−1,3−ジオール34(72mg、0.4mmol、AB部品番号361828)をメタンスルホン酸(4mL)と混合し、そして120〜130℃で2時間攪拌した。この溶液を室温まで冷却し、次いで、氷水(100mL)に注いだ。沈殿した色素を酢酸エチル(100mL)で抽出し、その有機層を水(50mL×2)およびブライン(50mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、その溶媒を除去して、その粗色素を得、これを、クロロホルムからの結晶化によりさらに精製して、純粋色素120mg(45%)を得た。
【0210】
(実施例18)
芳香族置換キサンテン色素(33)で標識したPCRプライマーの合成
実施例15から得た芳香族置換キサンテン色素(33)を、室温で、3時間にわたって、無水DMF中にて、1.2当量の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩および1.5当量のN−ヒドロキシスクシンイミドと反応させることにより、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルに転化した。この反応混合物を5%HClと混合し、そして酢酸エチル中で抽出した。この抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして固形物にまで濃縮した。この固形物をDMSO(6mg/66mL DMSO)に溶解して、色素ストック溶液を形成した。このDMSO色素ストック(5〜6mL)を、0.25M重炭酸塩/炭酸塩緩衝液(pH9.4)中のアミノヘキシル
誘導体化オリゴヌクレオチドPCRプライマー(1×10−3)に過剰に(10〜20倍)添加して、1時間反応させたが、この場合、このアミノヘキシル誘導体化プライマーは、自動化DNA合成機を用いて調製し、この場合、その最後の合成サイクルにて、Aminolink−2試薬を使用した(AB p/n 400808)。この色素標識化オリゴヌクレオチドは、0.1モルトリエチルアミン酢酸塩で溶出するSephadex G−25サイズ排除カラムに通すことにより、未反応色素から分離した。この粗標識化オリゴヌクレオチドを含有する画分を、RP−18クロマトグラフィーカラムを用いて、25分間にわたって、0.1M TEAA中の8%アセトニトリルから25%までの勾配溶出液を使用する逆相HPLCにより精製した。この純粋色素標識化オリゴヌクレオチドを凍結乾燥して、固形物にした。この色素標識化オリゴヌクレオチドの濃度は、260nmでのUV吸収により、測定した。
【0211】
(実施例19)
HEXおよびJEB標識化PCRプライマーの相対蛍光強度の評価
実施例18に従って芳香族置換キサンテン色素(33)(JEB)で標識したPCRプライマーD19S221およびD22S423を、CEPHファミリー884(individual15)(AM200)に由来のDNAを用いて、HEX色素で標識した同じプライマーと比較した。その標的DNAは、Linkage Mapping Set用の標準プロトコル(これは、ABI PRISMTMLinkage Mapping Set User’s Mannual(AB p/n 903477)で公開されている)に従って増幅し、そして推奨手順に従って、ABI PRISMTM377 DNA Sequencerにて、相対蛍光強度について評価した。これらの結果を、表1で以下に要約する。
【0212】
【表1】

【0213】
全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参考として援用されることが示されるのと同じ程度まで、本明細書中で参考として援用されている。
【0214】
少数の実施態様のみを上で詳細に記述したものの、化学技術分野の当業者は、その教示から逸脱することなく、その好ましい実施態様において、多くの改良が可能であることを、明らかに理解する。このような改良の全ては、以下の請求の範囲内に包含されることを意図している。
【0215】
蛍光色素として有用な芳香族置換キサンテン化合物のクラスが開示されており、この化合物は、一般構造(I)を有し、ここで、YおよびYは、別々に、ヒドロキシル、酸素、イミニウム、連結基およびアミンからなる群から選択されるか、またはYは、Rと一緒になって、環状イミンであるか、またはYは、Rと一緒になって、環状アミンである;R、R、RおよびRは、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニルおよび連結基からなる群から選択される;Rは、別々に、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、連結基、および電子リッチ複素環からなる群から選択されるか、またはRと一緒になるとき、電子リッチ複素環およびインデンからなる群から選択される;Rは、別々に、アミノ、アミド、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデン、連結基、および電子リッチ複素環からなる群から選択されるか、またはRと一緒になるとき、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環からなる群から選択される;そしてRは、アセチレン、低級アルキル、低級アルケン、シアノ、フェニル、置換フェニル、および複素環式芳香族からなる群から選択される。他の局面では、本発明は、上記色素化合物および中間体を合成する方法を包含する。さらに他の局面では、本発明は、この非対称ベンゾキサンテン色素化合物で標識した試薬(デオキシヌクレオチド、ジデオキシヌクレオチド、ホスホロアミダイトおよびポリヌクレオチドを含む)を包含する。さらなる局面では、本発明は、このような色素化合物および試薬を使用する方法(ジデオキシポリヌクレオチド配列決定およびフラグメント分析方法を含む)を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を標識化するための組成物であって、次式を有する芳香族置換キサンテン化合物を含有し:
【化1】

ここで:
およびYは、別々に、ヒドロキシル、酸素、イミニウム、連結基およびアミンからなる群から選択されるか、またはYは、Rと一緒になって、環状アミンであるか、またはYは、Rと一緒になって、環状イミンである;
、R、RおよびRは、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニルおよび連結基からなる群から選択される;
は、別々に、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族および電子リッチ複素環からなる群から選択されるか、またはRと一緒になるとき、電子リッチ複素環およびインデンからなる群から選択される;
は、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニル、連結基、アミン、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環からなる群から選択されるか、またはRと一緒になるとき、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環からなる群から選択される;そして
は、アセチレン、低級アルキル、低級アルケン、シアノ、フェニル、置換フェニル、複素環芳香族およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、該置換フェニルは、以下の構造を有する:
【化2】

ここで:
〜Xは、別々に、水素、塩素、フッ素、低級アルキル、カルボン酸、スルホン酸、−CHOHまたは連結基であり、ここで、YがOHであり、YがOであり、R、R、RおよびRが全てHである場合、Rは、以下:
【化2A】

ではない、組成物。
【請求項2】
前記化合物のRが、Rと一緒になって、2位および3位が前記キサンテン環に縮合したベンゾフランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物のRが、Rと一緒になって、2位および3位が前記キサンテン環に縮合したベンゾフランである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物のRおよびRが、水素である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物のRが、クロロであり、そしてRおよびRが、水素である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物のRおよびRが、フェニルおよび置換フェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物のRおよびRが、水素であり、そしてRが、置換フェニルであり、ここで、XおよびXが、クロロであり、そしてXが、カルボン酸である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記化合物のRが、ナフチルおよび置換ナフチルからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記化合物のRが、ナフチルおよび置換ナフチルからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記化合物のRが、置換フェニルであり、ここで、XおよびXが、クロロであり、そしてXが、カルボン酸である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記化合物のRおよびRが、Hである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記化合物のRおよびRが、フルオロである、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記化合物のRが、Rと一緒になって、フェニルまたは多環式芳香族である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記化合物のRが、置換フェニルであり、ここで、XおよびXが、クロロであり、そしてXが、カルボン酸である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記化合物のRが、Rと一緒になって、2位および3位が前記キサンテン環に縮合したベンゾフランである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記化合物のRが、Hであり、そしてRが、フッ素である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記化合物のRが、ナフチルである、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
前記化合物のRが、Hであり、そしてRおよびRが、フッ素である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記化合物のRが、フェニルであり、Yが、OHであり、Yが、Oであり、Rが、Clであり、そしてRが、置換フェニルであり、ここで、XおよびXが、クロロであり、そしてXが、カルボン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記化合物が、以下の構造:
【化2B】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記化合物が、以下の構造:
【化2C】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記化合物が、以下の構造:
【化2D】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記化合物が、以下の構造:
【化2E】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記化合物が、以下の構造:
【化2F】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記化合物が、以下の構造:
【化2G】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記化合物が、以下の構造:
【化2H】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記化合物が、以下の構造:
【化2I】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記化合物が、以下の構造:
【化2J】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記化合物のYが、OHであり、Yが、Oである、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記化合物のRが、置換フェニルであり、ここで、Xが、カルボン酸である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記化合物のXおよびXが、クロロである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記化合物のXおよびXが、水素である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記化合物のRが、置換フェニルであり、ここで、Xが、カルボン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
前記化合物のXおよびXが、クロロである、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記化合物のXおよびXが、水素である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
試薬を標識化するための組成物であって、次式を有する芳香族置換キサンテン化合物を含有し:
【化3】

ここで:
およびYは、別々に、ヒドロキシル、酸素、イミニウム、連結基およびアミンからなる群から選択されるか、またはYは、Rと一緒になって、環状アミンであるか、またはYは、Rと一緒になって、環状イミンである;
は、別々に、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族および電子リッチ複素環からなる群から選択される;
は、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニル、連結基、アミン、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環からなる群から選択される、
組成物。
【請求項37】
前記試薬が、タンパク質、ポリペプチド、ポリサッカライド、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ポリヌクレオチド、脂質、固体支持体、有機および無機ポリマー、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1または36に記載の組成物。
【請求項38】
次式を有する標識化ヌクレオシド/ヌクレオチドを含む組成物であって:
NUC−DYE
ここで、
NUCは、ヌクレオシド/ヌクレオチドまたはヌクレオシド/ヌクレオチドアナログである;
DYEは、請求項1に記載の芳香族置換キサンテン化合物であって、NUCおよびDYEは、連結により接続される;
ここで、該連結は、R〜R位の1個にて、DYEに結合される;そして
ここで、NUCがプリン塩基を含有する場合、該連結は、該プリンの8位に結合され、NUCが7−デアザプリン塩基を含有する場合、該連結は、7−デアザプリンの7位に結合され、そしてNUCがピリミジン塩基を含有する場合、該連結は該ピリミジンの5位に結合される、
組成物。
【請求項39】
前記NUCが、ウラシル、シトシン、デアザアデニンおよびデアザグアノシンからなる群から選択される、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
請求項38に記載の組成物であって、ここで前記連結が以下
【化6】

である、組成物。
【請求項41】
次式を有するホスホロアミダイト化合物を含む組成物であって:
【化7】

ここで:
Xは、スペーサーアームである;
Yは、連結である;
は、亜リン酸エステル保護基である;
およびBは、別々に、低級アルキル、低級アルケン、アリール、および10個までの炭素原子を含有するシクロアルキルからなる群から選択される;そして
Dは、請求項1に記載の化合物である;
ここで、YおよびDは、R〜R位のうちの1個でDに結合した連結により、連結される、
組成物。
【請求項42】
次式を有するホスホロアミダイト化合物を含む組成物であって:
【化8】

ここで:
Xは、スペーサーアームである;
Yは、連結である;
は、亜リン酸エステル保護基である;
およびBは、一緒になって、その主鎖に5個までの炭素原子、および全体で10個までの炭素原子を含有するアルケン鎖を形成し、該鎖の両末端原子価結合は、前記窒素原子に結合している;またはBおよびBは、該窒素原子と一緒になって、飽和窒素複素環を形成し、該飽和窒素複素環は、窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含有する;
Dは、請求項1に記載の化合物である;
ここで、YおよびDは、R〜R位のうちの1個でDに結合した連結により、連結される、
組成物。
【請求項43】
次式を有するホスホロアミダイト化合物を含む組成物であって:
【化9】

ここで:
Xは、スペーサーアームである;
Yは、連結である;
は、メチル、β−シアノエチルまたは4−ニトロフェニルエチルからなる群から選択され、
およびBは、別々に、イソプロピル、t−ブチル、イソブチルおよびsec−ブチルからなる群から選択されるか、または
およびBは、一緒になって、モルホリノである;
Dは、請求項1に記載の化合物である;
ここで、YおよびDは、R〜R位のうちの1個でDに結合した連結により、連結される、
組成物。
【請求項44】
XおよびYが、一緒になって、以下であり、
【化10】

ここで、nは、2〜10である、請求項41に記載の組成物。
【請求項45】
XおよびYが、一緒になって、以下であり、
【化11】

ここで、nは、2〜10である、請求項41に記載の組成物。
【請求項46】
次式を有するホスホロアミダイト化合物を含む組成物であって:
【化12】

ここで:
は、亜リン酸エステル保護基である;
およびBは、別々に、低級アルキル、低級アルケン、アリール、および10個までの炭素原子を含有するシクロアルキルからなる群から選択される;
は、酸開裂可能ヒドロキシル保護基である;
Bは、ヌクレオチド塩基である;そして
Dは、請求項1に記載の化合物である;
ここで、Bがプリンまたは7−デアザプリンである場合、該糖部分は、該プリンまたは7−デアザプリンのN位で結合されており、そしてBがピリミジンである場合、該糖部分は、該ピリミジンのN位で結合されている;
ここで、BおよびDは、R〜R位のうちの1個でDに結合された連結を介して連結されている;そして
ここで、Bがプリンである場合、該連結は、該プリンの8位に結合されており、Bが7−デアザプリンである場合、該連結は、該7−デアザプリンの7位に結合されており、そしてBがピリミジンである場合、該連結は、該ピリミジンの5位に結合されている、
組成物。
【請求項47】
Bが、ウラシル、シトシン、デアザアデニンおよびデアザグアノシンからなる群から選択される、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
ポリヌクレオチドを配列決定する方法であって、該方法は、以下の工程:
以下のようにして、第一、第二、第三および第四のクラスのポリヌクレオチドの混合物を形成する工程:
該第一のクラスの各ポリヌクレオチドは、3’−末端ジデオキシアデノシンを含有し、そして第一色素で標識されている;
該第二のクラスの各ポリヌクレオチドは、3’−末端ジデオキシシチジンを含有し、そして第二色素で標識されている;
該第三のクラスの各ポリヌクレオチドは、3’−末端ジデオキシグアノシンを含有し、そして第三色素で標識されている;
該第四のクラスの各ポリヌクレオチドは、3’−末端ジデオキシチミジンを含有し、そして第四色素で標識されている;
ここで、該第一、第二、第三または第四の色素のうちの1個は、請求項1に記載の芳香族置換キサンテン化合物である;
該色素の他のものは、該非対称ベンゾキサンテン色素から、および互いから、スペクトル的に分解可能である;
該ポリヌクレオチドを電気泳動によって分離して、それにより、類似の大きさのポリヌクレオチドのバンドを形成する工程;
該バンドを、該色素に蛍光を生じさせることができる照射ビームで照射する工程;および
該色素の該蛍光スペクトルにより、該バンド内の該ポリヌクレオチドのクラスを同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項49】
フラグメント分析の方法であって、該方法は、以下の工程:
標識化ポリヌクレオチドフラグメントを形成する工程であって、該フラグメントは、請求項1に記載の芳香族置換キサンテン化合物で標識されている、工程;
該標識化ポリヌクレオチドフラグメントを、サイズ依存性分離プロセスにかける工程;および
該分離プロセスに引き続いて、該標識化ポリヌクレオチドフラグメントを検出する工程、
を包含する、方法。
【請求項50】
前記サイズ依存性分離プロセスが、電気泳動であり、そして前記標識化ポリヌクレオチドフラグメントが、蛍光により検出される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
標識化複合体を作製する方法であって、該複合体が試薬を含み、該試薬が、次式を有する芳香族置換キサンテン色素化合物で標識化されており:
【化1】


ここで:
およびYは、別々に、ヒドロキシル、酸素、イミニウム、連結基およびアミンからなる群から選択されるか、またはYは、Rと一緒になって、環状アミンであるか、またはYは、Rと一緒になって、環状イミンである;
、R、RおよびRは、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニルおよび連結基からなる群から選択される;
は、別々に、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族および電子リッチ複素環からなる群から選択されるか、またはRと一緒になるとき、電子リッチ複素環およびインデンからなる群から選択される;
は、別々に、水素、フッ素、塩素、低級アルキル、低級アルケン、低級アルキン、スルホネート、スルホン、アミノ、イミニウム、アミド、ニトリル、低級アルコキシ、フェニル、連結基、アミン、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環からなる群から選択されるか、またはRと一緒になるとき、フェニル、置換フェニル、多環式芳香族、置換多環式芳香族、インデンおよび電子リッチ複素環からなる群から選択される;そして
は、アセチレン、低級アルキル、低級アルケン、シアノ、フェニル、置換フェニル、複素環芳香族およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、該置換フェニルは、以下の構造を有する:
【化2】


ここで:
〜Xは、別々に、水素、塩素、フッ素、低級アルキル、カルボン酸、スルホン酸、−CHOHまたは連結基であり、ここで、YがOHであり、YがOであり、R、R、RおよびRが全てHである場合、Rは、以下:
【化2A】


ではなく、
ここで、該複合体が、(i)酵素合成または(ii)化学合成を実行することによって合成される、方法。
【請求項52】
前記酵素合成が、DNAポリメラーゼまたはリガーゼを用いて実行される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記化学合成が、ホスホルアミダイト法を用いて実行される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記試薬が、タンパク質、ポリペプチド、ポリサッカライド、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ポリヌクレオチド、脂質、固体支持体、有機および無機ポリマー、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項51に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2011−168787(P2011−168787A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63420(P2011−63420)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2003−22825(P2003−22825)の分割
【原出願日】平成10年9月18日(1998.9.18)
【出願人】(310009775)アプライド バイオシステムズ リミテッド ライアビリティー カンパニー (19)
【Fターム(参考)】