説明

芳香物質を含む透明無水ゲル

本発明は、揮発性物質(複数可)、とりわけ芳香物質と、不揮発性物質(複数可)、とりわけ架橋シリコーン網目とを含み、且つフィラー又は強化剤を含まない透明無水ゲルに関する。また、本発明は、容器に入れられたゲルを含む製品、ゲルの製造方法、大気中への芳香物質の放出を制御するゲルの使用、及びゲルを形成するためのキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性物質(複数可)、とりわけ芳香物質と、不揮発性物質(複数可)、とりわけ架橋シリコーン網目とを含み、且つフィラー又は強化剤を含まない透明無水ゲルに関する。また、本発明は、容器に入れられたゲルを含む製品、ゲルの製造方法、大気中への芳香物質の放出を制御するゲルの使用、ゲルを形成するためのキット、及びキットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
大気に芳香を与える(perfuming)様々な機器が知られている。このような機器は単に空気に芳香を与える(fragrance)ものであってもよく、又は悪臭を消すものであってもよい。多くの種々のタイプのエアフレッシュナー器が提案されている。それらの幾つかは、通気性のシリコーンエラストマーに基づくものである。
【0003】
芳香器は一般的に、幅広い使用温度にわたって、芳香物質等の揮発性有機物質の放出を制御し、且つ実質的に均一にすること可能にすることが要求される。
【0004】
このように要求される物品を提供する1つの特定の機器が、特許文献1に記載されている。この機器は、揮発性活性有機物質の周囲大気中への放出を制御し、且つ実質的に均一にする物品を含み、該物品が、該揮発性物質を分散させる所望形状のシリコーンエラストマーマトリックスを含む。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている物品は、芳香物質の量が限られており(芳香物質+溶媒 組成物の1%〜40%)、機器の持続性使用、例えば、大部屋に芳香を与えることも、又は機器を極めて小型にすることもできない。その上、特許文献1に記載されている物品は即座に形成することができない。それゆえ、物品が形成されると、芳香組成物が大気中に放出し始めるため、物品用の有効な密閉の(そのため高価な)パッケージングを作らない限り、許容可能量の芳香物質を有したまま物品を長時間保存することは困難であると思われる。
【0006】
さらに、特許文献1に記載されている物品の組成物は、透明製品を得ることができずに、審美的理由から消費者にとってあまり魅力的なものでない不透明物品をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1,060,751号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、芳香を与える持続性使用を有し、且つ/又は許容可能な芳香能を有しながら小型であり、好ましくは透明であり得る、芳香物質の放出を均一にすることを可能にする、大気に芳香を与える機器に対する要求が存在している。
【0009】
本発明は目的としてこの要求を満足させなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の目的は、揮発性物質(複数可)と不揮発性物質(複数可)とを含む透明無水ゲルであって、該不揮発性物質(複数可)が、3.8%〜100%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の架橋シリコーン網目と、0%〜96.2%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の不揮発性溶媒とを含み、該揮発性物質(複数可)が、20.6%〜100%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の芳香物質と、0%〜80%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の揮発性溶媒とを含み、揮発性物質/架橋シリコーン網目の比が1〜32であり、該透明無水ゲルがフィラー又は強化剤を含まないことを特徴とする、透明無水ゲルである。
【0011】
「透明」という用語は、濁度計を用いて測定されるゲルの濁度が25℃で40NTU(比濁計濁度単位)未満であるゲルを意味するように意図される。本発明による「透明」は「色がない」ことを意味するものではない。それゆえ、透明ゲルは、透明な有色ゲルであってもよい。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態において、ゲルの濁度は20NTU未満、より好ましくは12NTU未満、最も好ましくは8NTU未満である。
【0013】
NTU(比濁計濁度単位)は濁度を表すのに用いられる単位である。散乱が大きいほど、濁度は高くなる。したがって、低いNTU値は高い清澄性を示すのに対し、高いNTU値は低い清澄性を示す。
【0014】
濁度計の測定方法は、所定条件下におけるサンプルによる散乱光の強度と、通常、濁りのない水(蒸留水、又は蒸留水を0,45μ孔径の濾過膜に通過させたもの)である標準懸濁液による散乱光の強度との比較に基づく。
【0015】
濁度計は、サンプルを照らす光源を備えた比濁計と、入射光経路に対して直角に散乱する光の強度を示すような読出し器を備えた1つ又は複数の光電検出器とから構成される。濁度計は、濁りのない状態で迷光が検出器にあまり達しないように設計され、短いウォームアップ期間後に有意なずれがないものとする。
【0016】
計器の検出感度は好ましくは、濁度が1単位未満である水中で0.02単位以下の濁度差の検出を可能にするものとする。計器は0単位〜40単位の濁度を測定するものとする。妥当な有効範囲及び低濁度の十分な検出感度の両方を得るには、幾つかの範囲が必要であると考えられる。
【0017】
利用可能な計器と併せて用いられるサンプル管は、透明な無色のガラスのものでなければならない。それらは、内側及び外側共に厳密に清浄に保たれていなければならず、引っ掻傷がついたり又はエッチングされたりした場合には廃棄すべきである。それらは、光が当たる場所では決して取り扱ってはならないが、十分な余長又は保護ケースを有するものであれば、取り扱ってもよい。
【0018】
濁度計の物理的設計の差異は、同じ懸濁液が較正用に与えられたとしても、濁度についての測定値の差異の原因となる。かかる差異を最小限に抑えるために、以下の設計基準を守ることとする:
光源:2200°K〜3000°Kの色温度で操作されるタングステンランプ
サンプル管内を入射光及び散乱光が横断する距離:総計が10cmを超えない
検出器:入射光経路に対して90°を中心とし、90℃から±30℃を超えない。検出器、及び使用する場合、フィルターシステムは、400nm〜600nmのスペクトルピーク応答を有するものとする。
【0019】
濁度計、Hach社によるModel 2100及び2100 Aは、広く用いられており、信頼性があることが分かっている。しかしながら、上記の設計基準を満たす他の計器、例えば、Aqualytic社により商品化されているTurbi−direct(登録商標)も許容可能である。
【0020】
「無水」という用語は「水を含まない」ことを意味するように意図され、水が水和物又は結晶水の形態で存在しないゲルを表している。
【0021】
「ゲル」という用語は、相対ゲル強度が20g/mm未満、好ましくは10g/mm未満である弾性均質組成物を意味するように意図される。相対ゲル強度はテクスチュロメータを用いて25℃で測定される。
【0022】
例えば、RHEO社によるテクスチュロメータTA−XTは、「measure force in compression」モードで使用することができる。
【0023】
相対ゲル強度の測定方法の例を以下に記載する:
ゲル強度は、所定の速度で圧力センサがゲルの或る浅い深さまで下降する、ガラス容器内の20gのサンプルにおいて測定される。
【0024】
5gの誘因力(trigger force)が与えられると、プローブが進行して5mmの深さまでゲルに貫入する。この深さで、最大の力の読出しが得られる。
【0025】
プローブに対する凝固物(freeze)の押圧力の勾配を測定し、グラム/秒又はグラム/mmの値を得る。
【0026】
最大の力を最大の距離で除すことにより上昇カーブの平均勾配を算出し、相対ゲル強度を得る。
【0027】
ゲルが軟らか過ぎる場合には、誘因力を1gまで減少させることが必要であり得ることに留意されたい。
【0028】
「揮発性物質(複数可)」という用語は、25℃を超える温度で気化する物質(複数可)を意味するように意図される。
【0029】
本発明によれば、揮発性物質(複数可)は少なくとも芳香物質を含む。それはまた、任意に、揮発性溶媒、及び殺虫剤又は防虫剤等の他の揮発性物質(複数可)を含んでいてもよい。
【0030】
芳香物質は多数の発香性化合物から選択することができる。本発明による芳香物質は、1つの発香性化合物又は幾つかの発香性化合物の組合せであってもよい。これらの非限定的な例は、以下の系統:
○芳香族、テルペン及び/又はセスキテルペン炭化水素、とりわけ、これらの分子を含有する精油、より具体的には、柑橘類果実(レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ベルガモット)、ナツメグ等の精油、
○芳香族アルコール、より具体的にはベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、及びフェニルプロピルアルコール、
○環状又は非環状、飽和又は不飽和、第一級、第二級又は第三級非芳香族アルコール、より具体的にはリナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、ジヒドロミルセノール、テルピネオール、及び鎖が4個〜10個の炭素原子を含有する脂環式(fatty alicyclic)アルコール、
○アルデヒド、より具体的には、炭素鎖が4個〜12個の炭素原子を含有する飽和及び不飽和脂環式脂肪アルデヒド、桂皮アルデヒド、α−アミル桂皮アルデヒド及びα−ヘキシル桂皮アルデヒド等の芳香族アルデヒド、リリアール、並びにバニリン及びエチルバニリン等のフェノール性芳香族アルデヒド、
○フェノール類、より具体的にはオイゲノール及びイソオイゲノール等の芳香族フェノール、並びにそれらのメチルエーテル、
○カルボン酸エステル、とりわけ、ベンジルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール、ネロール、テルピネオール、ボルネオール又はリナロールの酢酸エステル、
○安息香酸エステル及びサリチル酸エステル等の芳香族酸エステル、並びに1個〜6個の炭素原子の鎖を含有する脂肪族のアルコールでエステル化された桂皮酸、
○クマリン及びジヒドロクマリン等の主にラクトン/芳香族形態の芳香族フェノール酸、
○ラクトン形態のカルボン酸アルコールアシッド(carboxylic alcohol acids)、より具体的には飽和形態又は不飽和形態の、γ−オクタ−、γ−ウンデカ−及びγ−ドデカ−ラクトン、並びにδ−デカ−、δ−ウンデカ−、及びδ−ドデカ−ラクトン、
○炭素鎖が12個〜16個の炭素原子を含有する大環状化合物、
○非環状形態又は環状形態の、芳香族及び/又は非芳香族エーテル並びにアセタール、より具体的には4個〜10個の炭素原子の炭素鎖を含有するアルデヒドアセタール、並びに置換フラン及び置換又は非置換ピラン環状エーテル、
○窒素原子を含有する複素環式化合物、より具体的にはインドール誘導体、及び2個の窒素原子を含有する複素環式化合物、より具体的にはピラジンシリーズのもの、
ケトン、とりわけ、4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン等の芳香族ケトン、及び環状又は非環状、飽和又は不飽和非芳香族ケトン、より具体的にはピラジンシリーズのもの、
芳香族又は非芳香族スルフィド、ジスルフィド及びメルカプタン、
に属する物質である。
【0031】
芳香物質は、単一の発香性化合物又はこのような化合物の混合物から成り得る。
【0032】
フローラル且つフルーティーな芳香物質であるヘスペリドが特に好適であることが見出された。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態において、上記芳香物質は、芳香族、テルペン及び/又はセスキテルペン炭化水素;芳香族アルコール;第一級、第二級又は第三級、飽和又は不飽和、環状又は非環状非芳香族アルコール;アルデヒド;フェノール;カルボン酸;芳香族及び/又は非環状形態もしくは環状形態の非芳香族エーテル及びアセタール;窒素原子を含有する複素環;ケトン;芳香族又は非芳香族スルフィド、ジスルフィド及びメルカプタン、精油、並びにそれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つの成分である。
【0034】
揮発性溶媒は、多数の溶媒から選択することができ、1つの溶媒又は幾つかの溶媒の組合せであってもよい。これらの非限定的な例は、以下の系統:イソパラフィン系溶媒(40℃〜100℃の引火点)、低分子量アルカン(alcanes)、無極性溶媒に属する物質である。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態において、揮発性溶媒は、イソパラフィンC7〜C12、揮発性シリコーンヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンから成る群から選択される1つ又は幾つかの溶媒である。
【0036】
より好ましくは、揮発性溶媒はイソパラフィンC10〜C12である。
【0037】
揮発性イソパラフィンの商業的な例は、EXXON CHEMICAL社によるISOPAR C(登録商標)〜ISOPAR P(登録商標)(引火点40℃〜100℃)である。
【0038】
「不揮発性物質(複数可)」という用語は、25℃を超える温度で気化しない物質(複数可)を意味するように意図される。不揮発性溶媒は、多数の溶媒から選択することができ、1つの溶媒又は幾つかの溶媒の組合せであってもよい。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態において、不揮発性溶媒は、
鉱物油、好ましくはワセリン、
オレイン酸イソブチル、オレイン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、アジピン酸ジイソプロピル(DIPA)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)から成る群から選択される脂肪酸エステル、好ましくはDIPA又はIPM、
イソパラフィンC13〜C40、
流動パラフィン、
ペトロラタム、
及び、それらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つの溶媒である。
【0040】
鉱物油の商業的な例は、Ecolane(登録商標)60又はEcolane(登録商標)130である。
【0041】
イソパラフィンの商業的な例はEXXON CHEMICAL社によるISOPAR V(登録商標)である。
【0042】
「架橋シリコーン網目」という用語は、RSiX(式中、Rは非反応性置換基、通常Me又はPhであり、Xは官能基H、OH、Cl又はORである)の一般式を有する分枝状、かご型のオリゴシロキサンにより形成されるシリコーン樹脂を意味するように意図される。これらの基は、多くの用途においてさらに縮合して、高次に架橋した不溶性ポリシロキサン網目をもたらす。
【0043】
Rがメチルである場合、4つの可能な官能性シロキサンモノマー単位は、MeSiO、MeSiO、MeSiO及びSiOである。
【0044】
本発明による架橋シリコーン網目は、好ましくは触媒の存在下における架橋性シリコーン組成物と架橋剤との反応によって得られる。
【0045】
架橋性シリコーン組成物は、当該技術分野で既知の様々なタイプから選択することができる。好ましい架橋性シリコーン組成物は、例えば環境湿度の作用により室温で硬化する架橋性シリコーン組成物(「RTV」組成物として知られる)から得られるものである。
【0046】
「室温」という用語は、20℃〜30℃、好ましくは25℃から成る温度を意味するように意図される。
【0047】
これらのRTV架橋性シリコーンは、当該技術分野において既知であり、多くの供給業者から市販されている。それらは一般に、架橋性シリコーンベースと架橋剤との二成分に分けてパッケージングされており、即ち、使用時に、例えば金型内でそれらを混合する。二反応成分又はさらには三反応成分に分けられる硬化性組成物であるような、加熱又は放射の作用により硬化する架橋性シリコーン組成物も好適である。
【0048】
実際には、以下のタイプの架橋性シリコーン組成物、即ち、ヒドロシリル化反応型の架橋性シリコーン組成物、縮合反応型の架橋性組成物、有機過酸化物を用いて架橋が促進される組成物、及び紫外線放射の作用下で架橋性である組成物が、本発明のゲルの調製に好適である。
【0049】
ヒドロシリル化反応型の架橋性シリコーン組成物が最も好適である。
【0050】
例えば、ヒドロシリル化反応型の架橋性シリコーン組成物は、少なくとも以下の成分:1分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に少なくとも2つのケイ素に結合した水素原子(silicone-bonded hydrogen atoms)を有するオルガノポリシロキサンと、白金系触媒とから成り得る。
【0051】
縮合反応型架橋性シリコーン組成物は、例えば、少なくとも以下の成分:1分子中に、ケイ素原子に結合したヒドロキシル基、又は、ケイ素原子に結合したアミノキシ基、アセトキシ基、オキシム基、アルコキシ基、若しくはヒドロキシル基等の少なくとも2つの加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンと;1分子中に、ケイ素原子に結合したアミノキシ基、アセトキシ基、オキシム基、又はアルコキシ基等の少なくとも3つの加水分解性基を有するシラン型架橋剤と;有機スズ化合物、有機チタン化合物等の縮合反応触媒とから成り得る。
【0052】
最も好ましくは、1分子中に少なくとも2つのケイ素に結合したヒドロキシル基又はアルコキシ基を有するオルガノポリシロキサンと、1分子中に少なくとも3つのケイ素に結合したアルコキシ基を有するシラン型架橋剤と、有機スズ化合物、有機チタン化合物等の縮合反応触媒とから少なくとも成る脱アルコール縮合反応型架橋性シリコーン組成物である。
【0053】
上述の化合物は、以下の成分:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、又は類似の有機官能性アルコキシシランとさらに組み合わせることができる。
【0054】
本発明によればヒドロシリル化反応型の架橋性シリコーン組成物が好ましい。とりわけ、本発明による架橋性シリコーンは官能化シリコーンポリマーである。
【0055】
本発明の好ましい実施の形態において、上記官能化シリコーンポリマーの官能基は、ビニル基、アリル基、アクリル基、ヒドロキシル基及びSi−H基から成る群から選択される。
【0056】
本発明の好ましい実施の形態において、上記官能化シリコーンポリマーは、好ましくは粘度が40mm/s〜3000000mm/sから成るヒドロキシル末端ブロックポリジメチルシロキサンから成る群から選択される。
【0057】
本発明の好ましい実施の形態において、架橋剤はテトラ−アルコキシシラン又はシランである。
【0058】
本発明の好ましい実施の形態において、触媒はチタン−白金又はスズ、好ましくはスズである。
【0059】
本発明の好ましい実施の形態において、揮発性物質/架橋シリコーン網目の(重量)比は7〜22である。
【0060】
「フィラー」又は「強化剤」という用語は、相当量添加した場合に、ゲルの靭性、耐摩耗性、引裂抵抗及び強度を増大させる物質を意味するように意図される。カーボンブラック、酸化亜鉛、炭酸カルシウム及びシリカ等の微粉は、シリコーンゴム及び他のエラストマーにおけるこれらの特性を大いに高め、とりわけ、一体型のゲル状組成物を得ることを可能にするが、これは本発明の目的に反するものである。
【0061】
本発明の好ましい実施の形態において、不揮発性物質(複数可)は、不揮発性であり、揮発性物質(複数可)に溶解性であり、且つゲル化剤により架橋して上記架橋シリコーンポリマーとなる、ゲルの調製に用いられる官能化シリコーンポリマーに溶解性でない、0%〜2%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の少なくとも1つの化合物及びそれらの組合せを含む。
【0062】
より好ましくは、上記化合物は、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル(benzyle benzoate)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル(triethyle citrate)から成る群から選択され、好ましくはジプロピレングリコール又はクエン酸トリエチルである。
【0063】
上記化合物の目的は、ゲルの揮発性物質(複数可)が全て気化するときにゲルを不透明に変えることである。それは、ゲルがもはや大気に芳香を与えるのに有効でなく、交換する必要があるという、消費者に対する合図である。
【0064】
本発明の好ましい実施の形態において、不揮発性物質(複数可)はまた0%〜1%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の着色剤を含む。
【0065】
本発明の好ましい実施の形態において、透明無水ゲルは、
芳香物質 20%〜96.975%、好ましくは20%〜59%、より好ましくは29%〜59%、さらにより好ましくは39%〜59%、
架橋シリコーン網目 3.025%〜18.5%、好ましくは8%〜13%、
揮発性溶媒 0%〜76.975%、好ましくは29%〜68%、
不揮発性溶媒 0%〜76.975%、
を含む。
【0066】
本発明によれば、透明無水ゲルの好ましい例は、官能化シリコーンポリマー(とりわけ、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン)=8,28%、
揮発性溶媒(とりわけ、イソパラフィンISOPAR G)=50.84%、
芳香物質=39.41%、
ゲル化剤(テトラエトキシシラン=73%、ジブチルスズジラウレート=27%)=1.48%、
着色剤(とりわけ、脂溶性黒色染料)=0.001%、
から構成される。
【0067】
秤量し、大型配合槽内で均質になるまで混合させた後、ゲル化が起こる前に個々の容器に詰める。このゲルのパラメータを以下に示す:
透明度=6.90NTU、
圧縮抵抗=1.3g/mm。
【0068】
本発明の第二の目的は、容器に入れられた本発明による透明無水ゲルを含む製品である。
【0069】
「容器に入れられた」という用語は、ゲルが、固体とみなされ得る一体型ゲル状組成物でなく、貯蔵又は使用されるようなパッケージングに入れておく必要がある、20g/mm未満、好ましくは10g/mm未満の強度を有するゲルであることを意味するように意図される。
【0070】
容器は例えば、ゲルの表面を大気に曝して大気に芳香を与えるために、開口に関する仕組みを備えた、種々の形状又はサイズのプラスチック又はガラス形態であり得る。
【0071】
本発明の第三の目的は、本発明による透明無水ゲルを製造する方法であって、
(a)揮発性物質(複数可)と不揮発性物質(複数可)とを混合する工程であって、該不揮発性物質(複数可)が3.77%〜100%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の官能化シリコーンポリマーと、0%〜96.23%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の不揮発性溶媒とを含み、該揮発性物質(複数可)が、20.6%〜100%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の芳香物質と、0%〜80%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の揮発性溶媒とを含み、揮発性物質/官能化シリコーンポリマーの比が1〜32である、混合する工程と、
(b)ゲル化剤を、工程(a)の後に得られた混合物に添加する工程であって、該ゲル化剤が、工程(a)の後に得られた混合物の重量基準で0,025%〜3,5%である、添加する工程と、
を含み、工程(a)又は工程(b)においてフィラー又は強化剤を添加しないことを特徴とする、透明無水ゲルを製造する方法である。
【0072】
本発明の好ましい実施の形態において、上記官能化シリコーンポリマーの官能基は、ビニル基、アリル基、アクリル基、ヒドロキシル基、及びSi−H基から成る群から選択される。
【0073】
本発明の好ましい実施の形態において、上記官能化シリコーンポリマーは、ヒドロキシル末端ブロックポリジメチルシロキサン、好ましくは粘度が40mm/s〜3000000mm/sであるヒドロキシル末端ブロックポリジメチルシロキサンから成る群から選択される。
【0074】
本発明の好ましい実施の形態において、方法の工程、とりわけ工程(b)を室温で実現させる。
【0075】
「室温」という用語は、20℃〜30℃、好ましくは25℃から成る温度を意味するように意図される。
【0076】
本発明の好ましい実施の形態において、工程(a)の後に得られた混合物の重量基準で0,025%〜3,5%の前記ゲル化剤が、
工程(a)の後に得られた混合物の重量基準で0,2%〜2,5%の架橋剤、好ましくはテトラ−アルコキシシラン又はシランと、
工程(a)の後に得られた混合物の重量基準で0,05%〜1%の触媒、好ましくはチタン 白金又はスズ、より好ましくはスズと、
から成る。
【0077】
本発明の第四の目的は、ゲルの表面と大気との接触により周囲大気中への芳香物質の放出を制御する本発明による透明無水ゲル又は本発明による製品の使用である。
【0078】
本発明のゲルの1つの利点は、組成物全体に対して重要量の芳香物質を含有する性能である。したがって、ゲルは、ルームエアフレッシュナー及びカーエアフレッシュナー(カーフレッシュナーとも称される)等のエアフレッシュナーにおける使用に特に好適である。カーエアフレッシュナーとして使用される場合には、本発明のゲルの他の利点が利用される。実際に、多くの現行の技術水準のゲルベースのエアフレッシュナーと異なり、本発明のゲルは温度耐性があり、即ち、それは、全く水を含有しないため、低温、特に0℃未満の温度で変化せず、高温、例えば日のあたる所でも融解しない。その上、不揮発性溶媒の使用によりゲルが不燃性となるため、安全性に関する大きな論拠が与えられる。
【0079】
とりわけ、組成物全体に対して重要量の芳香物質を含有する性能に起因して、例えばパッケージングに入れられた製品の芳香を与えるために、本発明のゲルを別の製品のパッケージングに組み込むことによって、消費者が購入前にその製品を開けないようにすることができることも有益である。
【0080】
本発明によるゲルの別の利点は、それが、無水であり且つ水に対して不活性であることである。したがって、それは、湿潤環境又は水に接しても(comes into contact wit)、溶解又は崩壊しない。特に、ゲルの表面と大気との接触による周囲大気中への芳香物質の放出を制御する本発明による透明無水ゲル又は本発明による製品の特に興味深い用途はこのため、周囲大気が湿潤環境である場合における用途である。かかる用途としては、浴室、シャワー室及びトイレ等の湿度の高い部屋用のエアフレッシュナーが挙げられるが、これらに限定されない。本発明による透明無水ゲルは、水洗トイレ用の固形、液状又はゲル状の消臭剤における芳香要素としても用いられ得る。
【0081】
水に対する不活性から、本発明による透明無水ゲルは、食器洗浄機、洗濯機及び乾燥機等の家庭用洗浄電化製品に用いられる芳香物品の製造にも用いられ得る。
【0082】
別の用途では、本発明による透明無水ゲルは、基材上の芳香コーティングとして用いられる。好適な基材としては、セラミック、タイル及びセルロース等の多孔質基材、並びにガラス及びプラスチック等の非多孔質基材が挙げられる。
【0083】
本発明による透明無水ゲルはまた、ティッシュペーパー及び繊維に関する含浸系としても有用である。この場合には、本発明のゲルの全成分を含有する液剤を、噴霧又は浸漬によりゲル化前にティッシュペーパー又は繊維(複数可)に塗布することが好ましい。
【0084】
別の用途では、本発明による透明無水ゲルを粉末に関する芳香系として使用する。この場合には、本発明のゲルの全成分を含有する液剤を、噴霧によりゲル化前に粉末に塗布することが好ましい。
【0085】
本発明の第五の目的は、本発明による透明無水ゲルを得るためのキットであって、
(i)揮発性物質(複数可)及び不揮発性物質(複数可)であって、該不揮発性物質(複数可)が3.77%〜100%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の官能化シリコーンポリマーと、0%〜96.23%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の不揮発性溶媒とを含み、該揮発性物質(複数可)が20.6%〜100%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の芳香物質と、0%〜80%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の揮発性溶媒とを含み、揮発性物質/官能化シリコーンポリマーの比が1〜32である、揮発性物質(複数可)及び不揮発性物質(複数可)と、
(ii)ゲル化剤と、
を含み、(ii)が(i)の重量基準で0,025%〜3,5%であり、(ii)が混合物(i)と別個に用意され、該キットがフィラー又は強化剤を含まない、キット。
【0086】
本発明の好ましい実施の形態において、本発明によるキットは、(i)と(ii)との混合によって本発明による透明無水ゲルを得ることを可能にする。
【実施例】
【0087】
以下の実施例によって本発明による透明無水ゲルの好ましい実施形態を説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:ゲル化剤の組成
テトラエトキシシラン=73%
ジブチルスズジラウレート=27%
実施例2:無溶媒芳香ゲル
相A
1.ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン(DOW CORNING(登録商標)3−0084 14000 CS POLYMER)=10g(9.910%)
2.芳香物質=90g(89.188%)
3.脂溶性青色染料=0.01g(0.001%)
ポリマーが芳香剤(fragrance)中に完全に分散されるまで混合
4.実施例1のゲル化剤=0.9g(0.891%)を添加
相Aに添加し、均質になるまで混合し、ガラス又はPETの容器に注ぎ入れ、密閉し、ゲルを4時間水平に放置する。
【0088】
透明度の値は6.54NTUである。
【0089】
圧縮抵抗=0.08g/mm
実施例3:典型的な製剤
秤量し、大型配合槽内で均質になるまで混合させた後、ゲル化が起こる前に個々の容器に詰める。
【0090】
1.ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン(DOW CORNING(登録商標)3−0084 14000 CS POLYMER)=8,28%
2.ISOPAR G(Exxon)=50.84%
3.芳香物質=39.41%
4.ゲル化剤=1.48%
5.脂溶性黒色染料=0.001%
透明度=6.90NTU
圧縮抵抗=1.3g/mm
実施例4:不揮発性溶媒を含む製剤
秤量し、大型配合槽内で均質になるまで混合させた後、ゲル化が起こる前に個々の容器に詰める。
【0091】
1.ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン(DOW CORNING(登録商標)3−0084 14000 CS POLYMER)=9,8%
2.ECOLANE 130(合計)=39.22%
3.芳香物質=49.02%
4.ゲル化剤=1.96%
実施例5:芳香拡散
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
実施例6:不揮発性であり、揮発性物質(複数可)に溶解性であり且つ官能化シリコーンポリマーに溶解性でない1%の化合物を含む製剤
組成物は、不揮発性であり、揮発性物質(複数可)に可溶性であり、且つ官能化シリコーンポリマーに溶解性でない、組成物の総重量の1%の量のジプロピレングリコール、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、安息香酸ベンジルから選択される1%の化合物を含む。
【0097】
これらの化合物は、上記化合物の目的が、ゲルの揮発性物質(複数可)が全て気化するときにゲルを不透明に変えることであるため、「エンドオブライフ(end of life)」剤と称されている。それは、ゲルがもはや大気に芳香を与えるのに有効でなく、交換する必要がある(製品が耐用寿命末期にある)という、消費者に対する合図である。
【0098】
組成物の成分を秤量し、大型配合槽内で均質になるまで混合させた後、ゲル化が起こる前に個々の容器に詰める。
透明無水ゲルの組成:
1.ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン(DOW CORNING(登録商標)3−0084 14000 CS POLYMER)=8,05%
2.ISOPAR G(Exxon)=49.45%
3.芳香物質=40.00%
4.エンドオブライフ剤=1,00%
5.ゲル化剤=1.50%
5週間の拡散期間後、エンドオブライフ剤のために、且つゲルの揮発性物質(複数可)が全て気化するため、ゲルは不透明となる。ゲルの濁度は一連の基準と比較することによって評価する:
ジプロピレングリコール>200NTU
クエン酸トリエチル>200NTU
フタル酸ジエチル>400NTU
安息香酸ベンジル>800(1000未満)NTU
実施例7:不揮発性であり、揮発性物質(複数可)に溶解性であり且つ官能化シリコーンポリマーに溶解性でない2%の化合物を含む製剤
組成物は、不揮発性であり、揮発性物質(複数可)に可溶性であり、且つ官能化シリコーンポリマーに溶解性でない、組成物の総重量の1%の量のジプロピレングリコール、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、安息香酸ベンジルから選択される2%の化合物を含む。
【0099】
組成物の成分を秤量し、大型配合槽内で均質になるまで混合させた後、ゲル化が起こる前に個々の容器に詰める。
透明無水ゲルの組成:
1.ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサン(DOW CORNING(登録商標)3−0084 14000 CS POLYMER)=7.91%
2.ISOPAR G(Exxon)=45.59%
3.芳香物質=40.00%
4.エンドオブライフ剤=2,00%
5.ゲル化剤=1.50%
6週間の拡散期間後、エンドオブライフ剤のために、且つゲルの揮発性物質(複数可)が全て気化するため、ゲルは不透明となる。ゲルの濁度は一連の基準と比較することによって評価する:
ジプロピレングリコール>200NTU
クエン酸トリエチル>200NTU
フタル酸ジエチル>400NTU
安息香酸ベンジル>800(1000未満)NTU
実施例8:芳香物質例
シトラス芳香物質及びクリーンリネン芳香物質のような様々な芳香物質による効果が得られる実施例1〜実施例7の透明無水ゲルの組成物を試験する。
【0100】
シトラス芳香物質及びクリーンリネン芳香物質の組成を以下に示す。
【0101】
【表5】

【0102】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質(複数可)と不揮発性物質(複数可)とを含む透明無水ゲルであって、該不揮発性物質(複数可)が、3.8%〜100%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の架橋シリコーン網目と、0%〜96.2%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の不揮発性溶媒とを含み、該揮発性物質(複数可)が、20.6%〜100%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の芳香物質と、0%〜80%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の揮発性溶媒とを含み、揮発性物質/架橋シリコーン網目の比が1〜32であり、該透明無水ゲルがフィラー又は強化剤を含まないことを特徴とする、透明無水ゲル。
【請求項2】
前記芳香物質が、芳香族、テルペン及び/又はセスキテルペン炭化水素;芳香族アルコール;第一級、第二級又は第三級、飽和又は不飽和、環状又は非環状非芳香族アルコール;アルデヒド;フェノール;カルボン酸;芳香族及び/又は非環状形態もしくは環状形態の非芳香族エーテル及びアセタール;窒素原子を含有する複素環;ケトン;芳香族又は非芳香族スルフィド、ジスルフィド及びメルカプタン、精油、並びにそれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つの成分であることを特徴とする、請求項1に記載の透明無水ゲル。
【請求項3】
前記揮発性溶媒が、イソパラフィンC7〜C12、揮発性シリコーンヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンから成る群から選択される1つ又は幾つかの溶媒であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明無水ゲル。
【請求項4】
前記揮発性溶媒がイソパラフィンC10〜C12であることを特徴とする、請求項3に記載の透明無水ゲル。
【請求項5】
前記不揮発性溶媒が、
鉱物油、好ましくはワセリン、
オレイン酸イソブチル、オレイン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、アジピン酸ジイソプロピル(DIPA)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)から成る群から選択される脂肪酸エステル、好ましくはDIPA又はIPM、
イソパラフィンC13〜C40、
流動パラフィン、
ペトロラタム、
及び、それらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つの溶媒であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明無水ゲル。
【請求項6】
不揮発性物質(複数可)が、不揮発性であり、揮発性物質(複数可)に溶解性であり、且つゲル化剤により架橋して前記架橋シリコーンポリマーとなる、前記ゲルの調製に用いられる官能化シリコーンポリマーに溶解性でない、0%〜2%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の少なくとも1つの化合物及びそれらの組合せを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明無水ゲル。
【請求項7】
前記化合物が、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル(benzyle benzoate)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル(triethyle citrate)から成る群から選択され、好ましくはジプロピレングリコール又はクエン酸トリエチルであることを特徴とする、請求項6に記載の透明無水ゲル。
【請求項8】
前記ゲルの濁度が、20NTU未満、好ましくは12NTU未満、最も好ましくは8NTU未満であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明無水ゲル。
【請求項9】
前記ゲルの相対ゲル強度が、20g/mm未満、好ましくは10g/mm未満であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の透明無水ゲル。
【請求項10】
容器に入れられた請求項1〜9のいずれか一項に記載の透明無水ゲルを含む製品。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の透明無水ゲルを製造する方法であって、
(a)揮発性物質(複数可)と不揮発性物質(複数可)とを混合する工程であって、該不揮発性物質(複数可)が3.77%〜100%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の官能化シリコーンポリマーと、0%〜96.23%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の不揮発性溶媒とを含み、該揮発性物質(複数可)が、20.6%〜100%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の芳香物質と、0%〜80%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の揮発性溶媒とを含み、揮発性物質/官能化シリコーンポリマーの比が1〜32である、混合する工程と、
(b)ゲル化剤を、工程(a)の後に得られた混合物に添加する工程であって、該ゲル化剤が、工程(a)の後に得られた該混合物の重量基準で0,025%〜3,5%である、添加する工程と、
を含み、工程(a)又は工程(b)においてフィラー又は強化剤を添加しないことを特徴とする、透明無水ゲルを製造する方法。
【請求項12】
前記官能化シリコーンポリマーの官能基が、ビニル基、アリル基、アクリル基、ヒドロキシル基、及びSi−H基から成る群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記官能化シリコーンポリマーが、ヒドロキシル末端ブロックポリジメチルシロキサン、好ましくは粘度が40mm/s〜3000000mm/sであるヒドロキシル末端ブロックポリジメチルシロキサンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
工程、とりわけ工程(b)を室温で実現させることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(a)の後に得られた前記混合物の重量基準で0,025%〜3,5%の前記ゲル化剤が、
工程(a)の後に得られた前記混合物の重量基準で0,2%〜2,5%の架橋剤、好ましくはテトラ−アルコキシシラン又はシランと、
工程(a)の後に得られた前記混合物の重量基準で0,05%〜1%の触媒、好ましくはチタン−白金又はスズ、より好ましくはスズと、
から成ることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ゲルの表面と大気との接触により周囲大気中への芳香物質の放出を制御するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の透明無水ゲル又は請求項10に記載の製品の使用。
【請求項17】
前記透明無水ゲル又は前記製品が、エアフレッシュナー、水洗トイレ用消臭剤中の芳香要素、家庭用洗浄電化製品に用いられる芳香物品、ティッシュペーパー及び繊維に関する含浸系、粉末に関する芳香系として使用されるか、別の製品のパッケージングに組み込まれることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記透明無水ゲル又は前記製品がルームエアフレッシュナーとして使用されることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記透明無水ゲル又は前記製品がカーエアフレッシュナーとして使用されることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の本発明による透明無水ゲルを得るためのキットであって、
(i)揮発性物質(複数可)及び不揮発性物質(複数可)であって、該不揮発性物質(複数可)が3.77%〜100%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の官能化シリコーンポリマーと、0%〜96.23%(不揮発性物質(複数可)の重量基準)の不揮発性溶媒とを含み、該揮発性物質(複数可)が20.6%〜100%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の芳香物質と、0%〜80%(揮発性物質(複数可)の重量基準)の揮発性溶媒とを含み、揮発性物質/官能化シリコーンポリマーの比が1〜32である、揮発性物質(複数可)及び不揮発性物質(複数可)と、
(ii)ゲル化剤と、
を含み、(ii)が(i)の重量基準で0,025%〜3,5%であり、(ii)が混合物(i)と別個に用意され、該キットがフィラー又は強化剤を含まない、キット。

【公表番号】特表2011−510692(P2011−510692A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541060(P2010−541060)
【出願日】平成21年1月2日(2009.1.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050009
【国際公開番号】WO2009/087118
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510116347)
【Fターム(参考)】