説明

芳香用ミスト噴霧システム

【課題】広い空間に短時間で精油を均一に拡散する芳香用ミスト噴霧システムを提供する。
【解決手段】芳香用ミスト噴霧システムは、精油を混ぜた水を芳香用にミストとして噴霧する芳香用ミスト噴霧システムであって、上記水を加圧して送り出すポンプと、上記ポンプに基端側が接続される主配水管と、上記主配水管の枝端側に接続されるとともに上記水と上記精油とを所定の比率で混合することによりアロマ水を生成する混合器と、上記混合器に接続されるとともに上記アロマ水をエマルジョン化するラインミキサと、上記ラインミキサに基端側が接続される枝管と、上記枝管から分岐して接続されるとともにエマルジョン化されたアロマ水をミストにして噴霧する複数のミストノズルと、全体を制御する制御盤と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芳香用に精油を空間に拡散する芳香用ミスト噴霧システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、癒しやリラックスなどを目的としたアロマセラピー(Aromatheray)が広がりつつある。アロマセラピーとは、天然の植物性の精油(essential oil)を蒸発させ、その成分の効能により人を肉体的、精神的に良い方向に導く治療である。
精油だけを空間に拡散する方法では、空間の精油成分の濃度管理が難しく且つ空間内の一部における精油成分の濃度が濃くなってしまうので、通常は精油を水とともに熱して、徐々に気化させたり、超音波加湿器などを使用して精油が混ざった水をアロマミストとして噴霧させたりして空間に拡散する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−229121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工場のような広い空間に労働者の労働災害の防止や作業効率の向上を図るために、集中力を増進することのできる精油を拡散することが考えられるが、超音波加湿器で噴霧できる量は大規模な場合でも少ないために、広い空間に短時間で精油を均一に拡散させることが難しいという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、広い空間に短時間で精油を均一に拡散する芳香用ミスト噴霧システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る芳香用ミスト噴霧システムは、精油を混ぜた水を芳香用にミストとして噴霧する芳香用ミスト噴霧システムであって、上記水を加圧して送り出すポンプと、上記ポンプに基端側が接続される主配水管と、上記主配水管の枝端側に接続されるとともに上記水と上記精油とを所定の比率で混合することによりアロマ水を生成する混合器と、上記混合器に接続されるとともに上記アロマ水をエマルジョン化するラインミキサと、上記ラインミキサに基端側が接続される枝管と、上記枝管から分岐して接続されるとともにエマルジョン化されたアロマ水をミストにして噴霧する複数のミストノズルと、全体を制御する制御盤と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る芳香用ミスト噴霧システムの効果は、ラインミキサにより加圧水と精油とが均一にエマルジョン化された加圧アロマ水が噴霧ノズルから高圧で噴霧されることにより、噴霧されたアロマミストの粒子径が100μm以下と微粒子となるので、アロマミストが非常に広い空間に瞬時に且つ均一に拡散し、アロマミストに含まれる精油成分が広い空間に亘って均一に分布する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る芳香用ミスト噴霧システムの構成図である。図2は、この発明の実施の形態1に係る延長配管の断面図である。図3は、この発明の実施の形態1に係る噴霧ノズルの中心軸に沿った断面図である。図4は、噴霧ノズルからミストが噴霧される様子を表す図である。図5は、この発明の実施の形態1に係る加圧水供給装置の構成図である。図6は、アロマミストの噴霧のタイミングチャートである。
【0009】
この発明の実施の形態1に係る芳香用ミスト噴霧システム1は、図1に示すように、水を加圧し精油を混入した加圧アロマ水を送水する加圧水供給装置5、加圧水供給装置5から送水された加圧アロマ水が流れる枝管としての子配水管4、子配水管4の途中からそれぞれ分岐される複数の延長配管12、および、延長配管12の出口端に設けられたミストノズルとしての噴霧ノズル10を備える。なお、加圧水供給装置5には水道7から水が供給されている。
【0010】
子配水管4は、地上から縦立し、それに引き続いて例えば工場の梁に沿って這わされている。
延長配管12は、子配水管4から延ばされており、アロマミストを噴霧する施設の大きさに従って適宜本数を定めればよい。
そして、噴霧ノズル10の設置高度は、例えば4mである。なお、噴霧ノズル10の設置高度は、アロマミストの平均粒径および最大粒径に依存して定められる。
【0011】
延長配管12は、図2に示すように、円筒管であり、長手方向に下向きに彎曲し、他方の端部では、子配水管4の下側を含む水平面から円筒管の中心軸が角度θ22.5度お辞儀するように傾いている。延長配管12は、ステンレスからできている。
【0012】
噴霧ノズル10は、一例として、図3に示すように、略円筒状のハウジング20を有している。そして、円筒状のハウジング20の中心軸に沿って、延長配管12から供給された加圧アロマ水を受ける上流側の径が下流側の径より大きい2段の円柱状の加圧水受け空洞21、感圧逆止弁22を収納し、加圧水受け空洞21の下流側の径より大きく、一端が中心軸方向に突き出されたリブ23により外縁部が仕切られた弁収納空洞24、駒25を収納し、リブ23の下流側に位置し、加圧水受け空洞21の上流側の径と等しい円柱状の空洞26およびその空洞26に連なる漏斗状の空洞27からなる噴流生成空洞28、漏斗状の空洞27の先端に連なるオリフィス29が連なって設けられている。
【0013】
そして、弁収納空洞24には、加圧水受け空洞21の下流側の開口21aを開閉する感圧逆止弁22が挿入されている。
感圧逆止弁22は、加圧水受け空洞21の下流側の開口21aに当接したとき、加圧アロマ水の流れを遮断する遮断球30、一端が遮断球30に当接し遮断球30に所定のバネ圧が掛けられるように撓んで他端がリブ23に固定されるバネ31から構成されている。所定のバネ圧は、加圧水受け空洞21における水圧が1MPaに達したときに遮断球30と加圧水受け空洞21の開口21aとが離間するようにバネ31のバネ定数が設定されている。なお、所定のバネ圧を低く設定すると、離間したとき高圧に達するまでに時間がかかり径の大きな水滴が噴霧されることになる。また、所定のバネ圧が噴霧水圧に近いと、遮断球30が開口21aから充分に離間できないので、水量に制約を受けてしまう。このような理由から所定のバネ圧は、0.4〜1.5MPaが好ましい。
【0014】
さらに、噴流生成空洞28では、加圧水を旋回噴流として噴出し、漏斗状の空洞27の内側面に衝突させるための駒25が円柱状の空洞26の内側面に接しながら噴霧ノズル10の中心軸方向に摺動しながら移動する。駒25には、側面に螺旋状の溝32が掘られ、その溝32と円柱状の空洞26の内側面とにより加圧水を旋回して噴出する旋回流路が形成される。
【0015】
次に、噴霧ノズル10において加圧アロマ水が噴霧される手順について説明する。
加圧水受け空洞21に加圧アロマ水が注水され、水圧が所定の値に達すると、遮断球30を押して加圧アロマ水が弁収納空洞24内に流れ込む。
そして、リブ23の中央に形成された孔23aから加圧アロマ水が駒25の一方の端面を押して駒25が噴霧ノズル10の中心軸に沿って漏斗状の空洞27の方向に移動され、駒25の側面の溝32を通って加圧アロマ水が旋回されながら通過し、溝32の端部から噴流される。
この噴流が漏斗状の空洞27の内側面に衝突して、衝突噴流になりアロマミストとしてオリフィス29から噴霧される。
【0016】
次に、噴霧されたアロマミストについて説明する。この発明におけるアロマミストは、精油が乳化された小さな径の水滴を意味する。そして、アロマミストの平均粒径は、噴霧ノズル10の中心軸上でオリフィス29の先端から50mm離れた箇所でレーザ回折法により測定した体面積平均粒径(ザウター平均径と称す。)を用いる。レーザ回折法において、レーザ回折粒径測定器(Malvern Instruments社製、マスターサイズーS型、使用レーザ:HeーNeレーザ)を用いて、5回同様に測定し、その平均値をアロマミストの平均粒径として用いている。
実施の形態1で使用した噴霧ノズル10から噴霧水圧6MPaのときザウター平均粒径が20μmであった。なお、噴霧水圧が低いとアロマミストの平均粒径が大きくなるとともに噴霧流量が少なくなり、精油成分の噴霧量が少なくなってしまう。また、噴霧水圧が高いとアロマミストの平均粒径が小さくなるとともに噴霧流量が多くなるが、高すぎると配管などに大きな衝撃波が加わり、安全上好ましくない。これらの理由から噴霧水圧は、2MPa〜10MPaの間が好ましい。なお、アロマミストの平均粒径として、レーザ回折粒径測定器を用いて測定しているが、他にドプラー位相粒径測定器などを用いて測定してもよい。このとき、測定器の種類により、平均粒径が異なるので、同一条件で噴霧したアロマミストを測定して対比することが必要である。例えば、噴霧ノズル10から噴霧水圧6MPaのときに噴霧されたアロマミストの90%体積粒径が60μm、10%体積粒径が3μmであった。
【0017】
次に、アロマミストの噴霧の様子について説明し、噴霧領域を定義する。アロマミストは、図4に示すように、オリフィス29の近傍では、噴霧ノズル10の中心軸上に中心線を有し、オリフィス29の出口を頂点とする円錐内に噴霧される。この円錐の領域を噴霧領域34と称し、円錐の頂角を噴角35と称す。また、この噴霧領域34の側面を噴霧外縁36と称す。
この噴霧領域34は、オリフィス29の形状を調整することにより円錐の噴角35を調整することができる。円錐の噴角35を狭くすると、アロマミストが遠くまで飛来するし、円錐の噴角35を広くすると、アロマミストが噴霧ノズル10の近くに漂うことになる。通常は噴角35を45度くらいにすることが好ましいが、45度に限るものではない。
このように噴角35を調整することにより、噴霧領域34がオリフィス29を横切る水平面の下方に位置することができる。
【0018】
そして、アロマミストが蒸散することにより気化した精油が漂い、また、蒸散した水により下降気流が発生するので、噴霧されたアロマミストは、下降気流にともなって降下していく。そして、下降の途中でアロマミストが蒸散し尽くされ、精油が完全に気化する。
【0019】
加圧水供給装置5は、図5に示すように、高圧ポンプ40、高圧ポンプ40の下流側に配設された元弁41、元弁41の下流側に基端側が接続された主配水管42、主配水管42の枝端側に接続された混合器43、混合器43に精油を供給する精油源としての精油タンク44、混合器43の出口側に配設されたラインミキサ45、ラインミキサ45の出口側に基端側が接続されるとともに枝端側で2つに分岐した中間配水管46、中間配水管46の分岐した一方の分岐の枝端側に接続された出力弁47、中間配水管46の分岐した他方の分岐の枝端側に接続された排水弁48、排水弁48から水が排水される排水配管49、および、加圧水供給装置5を制御するミスト制御盤50から構成されている。
ラインミキサ45は、フロート型ミキサであり、ラインミキサ45に流入する流体がそのままミキシングされる。すなわち、混合器43で水と精油とを予め混合しておき、ラインミキサ45では新たに物を追加しない。
【0020】
主配水管42、中間配水管46、排水配管49、子配水管4はそれぞれステンレスからできている。また、高圧ポンプ40と元弁41とは、ゴム製のブレードホース51により連通され、容積式の高圧ポンプ40により発生する脈動を平滑化している。
また、加圧水中に含まれる塵埃を取り除くために、高圧ポンプ40の出口に図示しない20μm角開口のフィルタが介在されている。
また、主配水管42、子配水管4、噴霧ノズル10にスケールが沈積しないように、金属イオンの少ない加圧水を供給するために、高圧ポンプ40に図示しない軟水器から軟水化された水が供給されている。
【0021】
ミスト制御盤50は、高圧ポンプ40および各種弁を制御する噴霧シーケンス制御手段、時間を計時するタイマを有している。このミスト制御盤50は、CPU、RAM、ROM、インタフェース回路を有するコンピュータから構成されている。
【0022】
次に、アロマ水を加圧水供給装置5から供給するシーケンスについて図6を参照して説明する。
ミスト制御盤50は、タイマがアロマミストを放射するように予め設定された放射設定時間になると、元弁41を開放すると同時に排水弁48を開放する。
次に、ミスト制御盤50は、高圧ポンプ40をONして、加圧水をブレードホース51から主配水管42に送水する。そうすると、主配水管42、混合器43、ラインミキサ45、中間配水管46内に残っている空気が排水弁48から水と一緒に押し出されて、主配水管42、混合器43、ラインミキサ45、中間配水管46内が均一な水圧が掛かるようになる。
次に、ミスト制御盤50は、排水弁48を閉じる。それにより、主配水管42、混合器43、ラインミキサ45、中間配水管46内の水圧が所望の水圧、例えば、6MPaに達する。
次に、ミスト制御盤50は、出力弁47を開放して、加圧水が子配水管4を経由して噴霧ノズル10に供給される。このとき精油が精油タンク44から加圧水に混入され、ラインミキサ45で乳化されるので、噴霧ノズル10に乳化されたアロマ水が供給される。
このときの加圧水受け空洞21に注水されて加わる水圧は4秒の間にほぼ0MPaから6MPaに達する。このように水圧が1MPa以上になると、噴霧ノズル10の感圧逆止弁22が開放されてアロマミストの噴霧が開始される。
【0023】
逆に、アロマミストの噴霧を終了するときには、ミスト制御盤50は、排水弁48を開放して主配水管42、混合器43、ラインミキサ45、中間配水管46内の水圧を減少させる。そうすると、加圧水受け空洞21の水圧が1MPa以下に低下するので、感圧逆止弁22が閉まり、アロマミストの噴霧が終了される。
そして、排水弁48が開放されてから約3秒経過後高圧ポンプ40をOFFし、出力弁47を閉じる。その後、元弁41と排水弁48とを閉じる。
【0024】
このように、主配水管42内の水圧を所望の値に一旦安定したのち、子配水管4に給水することにより、噴霧ノズル10に給水される加圧水の水圧が数秒の間で0MPaから6MPaに変化することができる。そして、感圧逆止弁22が急激に開放され、水圧の低い状態で噴霧される時間を短くすることができるので、水圧が低い状態で噴霧されたときにみられる大きな粒径のアロマミストが殆ど噴霧されることがない。
また、排水弁48を開放すると主配水管42内の水圧が急激に低下し、感圧逆止弁22が急激に閉められ、水圧の低い状態で噴霧される時間が短くすることができるので、水圧が低い状態で噴霧されたときにみられる大きな粒径のアロマミストが殆ど噴霧されることがない。
【0025】
この発明の実施の形態1に係る芳香用ミスト噴霧システムは、ラインミキサにより加圧水と精油とが均一にエマルジョン化された加圧アロマ水が、噴霧ノズルから高圧で噴霧されることにより、噴霧されたアロマミストの粒子径が100μm以下と微粒子となるので、アロマミストが非常に広い空間に瞬時に且つ均一に拡散し、結果としてアロマミストに含まれている精油成分を広い空間に亘って均一に分布することができる。
【0026】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係る加圧水供給装置の構成図である。
この発明の実施の形態2に係る芳香用ミスト噴霧システムは、この発明の実施の形態1に係る芳香用ミスト噴霧システム1と加圧水供給装置5Bが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
この発明の実施の形態2に係る加圧水供給装置5Bは、この発明の実施の形態1に係る加圧水供給装置5で混合器43およびラインミキサ45を備えていることに対して、ラインミキサ53および精油源用ポンプとしてのポンプ54を備えていることが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0027】
ラインミキサ53は、エゼクター型ミキサであり、図示しないガイドベーン室に図示しないエゼクターが導き入れられており、ポンプ54によりエゼクターから精油を供給すると、ガイドベーン室でらせん流に変換された水の中に精油が注入され、図示しないカレントカッター室でエマルジョン化される。
【0028】
この発明の実施の形態2に係る芳香用ミスト噴霧システムは、ラインミキサ53により加圧水と精油とが均一にエマルジョン化された加圧アロマ水が、噴霧ノズルから高圧で噴霧されることにより、噴霧されたアロマミストの粒子径が100μm以下と微粒子となるので、アロマミストが非常に広い空間に瞬時に且つ均一に拡散し、結果としてアロマミストに含まれている精油成分を広い空間に亘って均一に分布することができる。
【0029】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3に係る加圧水供給装置の構成図である。
この発明の実施の形態3に係る芳香用ミスト噴霧システムは、この発明の実施の形態1に係る芳香用ミスト噴霧システム1と加圧水供給装置5Cが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
この発明の実施の形態3に係る加圧水供給装置5Cは、この発明の実施の形態1に係る加圧水供給装置5の高圧ポンプ40と中間配水管46との間に別の流路を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0030】
加圧水供給装置5Cは、図8に示すように、高圧ポンプ40、高圧ポンプ40からの加圧水を2つの流れに分岐する分岐流路61、分岐流路61の一方の分岐の枝端側に配設された第1の元弁41、分岐流路61の他方の分岐の枝端側に配設された第2の元弁63、
第1の元弁41の下流側に基端側が接続された第1の主配水管42、第1の主配水管42の枝端側に接続された混合器43、混合器43に精油を供給する精油源としての精油タンク44、混合器43の出口側に配設されたラインミキサ45、および、ラインミキサ45の出口側に配設された第1の先弁62から構成されている。
【0031】
また、加圧水供給装置5Cは、上流側と下流側とでそれぞれ2つに分岐し且つ中間で合流する中間配水管46C、中間配水管46Cの下流側で分岐した一方の分岐の枝端側に接続された出力弁47、中間配水管46Cの下流側で分岐した他方の分岐の枝端側に接続された排水弁48、排水弁48から水が排水される排水配管49、第2の元弁63の下流側に基端側が接続された分岐配管としての第2の主配水管64、第2の主配水管64の枝端側に接続された第2の先弁65、および、加圧水供給装置5を制御するミスト制御盤50Cから構成されている。
【0032】
第1の先弁62は、中間配水管46の上流側で分岐した一方の分岐の基端側に接続され、第2の先弁65は、中間配水管46の上流側で分岐した他方の分岐の基端側に接続されている。
【0033】
ミスト制御盤50Cは、温湿度計8が接続されており、温度と湿度に基づいて降温用ミストを噴霧するが、降温用ミストの噴霧については、特開2006−177575号公報に詳しく説明されている。
ミスト制御盤50Cは、降温用ミストを噴霧するとき、第1の元弁41および第1の先弁62を閉め切り、第2の元弁63、第2の先弁65、排水弁48、出力弁47、および高圧ポンプ40を制御する。
【0034】
ミスト制御盤50Cは、降温用ミストを噴霧するとき、第2の元弁63と第2の先弁65を開放すると同時に排水弁48を開放する。
次に、ミスト制御盤50Cは、高圧ポンプ40をONして、加圧水をブレードホース51から第2の主配水管64に送水する。そうすると、第2の主配水管64および中間配水管46C内に残っている空気が排水弁48から水と一緒に押し出されて、第2の主配水管64および中間配水管46C内が均一な水圧が掛かるようになる。
次に、ミスト制御盤50Cは、排水弁48を閉じる。それにより、第2の主配水管64および中間配水管46C内の水圧が所望の水圧、例えば、6MPaに達する。
次に、ミスト制御盤50Cは、出力弁47を開放して、加圧水が子配水管4を経由して噴霧ノズル10に供給される。
このときの加圧水受け空洞21に注水されて加わる水圧は4秒の間にほぼ0MPaから6MPaに達する。このように水圧が1MPa以上になると、噴霧ノズル10の感圧逆止弁22が開放されて降温用ミストの噴霧が開始される。
【0035】
逆に、降温用ミストの噴霧を終了するときには、ミスト制御盤50Cは、排水弁48を開放して第2の主配水管64および中間配水管46C内の水圧を減少させる。そうすると、加圧水受け空洞21の水圧が1MPa以下に低下するので、感圧逆止弁22が閉まり、降温用ミストの噴霧が終了される。
そして、排水弁48が開放されてから約3秒経過後高圧ポンプ40をOFFし、出力弁47を閉じる。その後、第2の元弁63と第2の先弁65および排水弁48を閉じる。
【0036】
この発明の実施の形態3に係る芳香用ミスト噴霧システムは、水だけを通す配管を追加することにより、アロマミストを噴霧しないときでも降温用ミストを噴霧することができる。なお、詳細には説明しないが、アロマミストを噴霧するときには、ミスト制御盤50Cは、降温用ミストを噴霧するときの制御動作における第1の元弁41および第1の先弁62の制御動作と第2の元弁63および第2の先弁65の制御動作とを、入れ替えた制御動作を行って、実施の形態1の図6に則した動作を行う。
【0037】
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態4に係る加圧水供給装置の構成図である。
この発明の実施の形態4に係る芳香用ミスト噴霧システムは、この発明の実施の形態3に係る芳香用ミスト噴霧システムと加圧水供給装置5Dに火災信号が入力されることが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
加圧水供給装置5Dは、火災感知器から火災信号が入力されると、第1の元弁41および第1の先弁62を閉め切り、第2の元弁63、第2の先弁65、排水弁48、出力弁47、および高圧ポンプ40を制御して消火用ミストを噴霧する。
なお、消火用ミストの噴霧の手順は、降温用ミストの噴霧の手順と同様であるので、説明は省略する。
【0038】
この発明の実施の形態4に係る芳香用ミスト噴霧システムは、水だけを通す配管を追加することにより、アロマミストを噴霧しないときでも消火用ミストを噴霧することができる。
なお、上記実施の形態4において、より確実に火災を消火するために、例えば、中間配水管46Cにおいて、出力弁47を介して複数の噴霧ノズル10が設けられた子配水管4が接続されるミスト用系統と並列に、消火用出力弁を介して複数の消火専用の噴霧ノズルが設けられた消火用配水管が接続される消火ミスト専用系統を設けるようにしても良い。そして、出力弁47がアロマミストおよび消火ミスト噴霧時に開くのに対して、消火用出力弁は、消火ミスト噴霧時にのみ開くように制御されるようにすれば良い。
また、上記実施の形態3、4は、実施の形態1を適用して説明したが、勿論、実施の形態2を適用した形態とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施の形態1に係る芳香用ミスト噴霧システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る延長配管の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る噴霧ノズルの中心軸に沿った断面図である。
【図4】噴霧ノズルからミストが噴霧される様子を表す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る加圧水供給装置の構成図である。
【図6】アロマミストの噴霧のタイミングチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る加圧水供給装置の構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る加圧水供給装置の構成図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係る加圧水供給装置の構成図である。
【符号の説明】
【0040】
1 芳香用ミスト噴霧システム、4 子配水管、5、5B、5C、5D 加圧水供給装置、7 水道、8 温湿度計、9 火災感知器、10 噴霧ノズル、12 延長配管、20 ハウジング、21a 開口、21 空洞、22 感圧逆止弁、23 リブ、23a 孔、24 弁収納空洞、25 駒、26 空洞、27 空洞、28 噴流生成空洞、29 オリフィス、30 遮断球、31 バネ、32 溝、34 噴霧領域、35 噴角、36 噴霧外縁、40 高圧ポンプ、41、63 元弁、42、64 主配水管、43 混合器、44 精油タンク、45、53 ラインミキサ、46、46C 中間配水管、47 出力弁、48 排水弁、49 排水配管、50、50C、50D ミスト制御盤、51 ブレードホース、54 ポンプ、61 分岐流路、62、65 先弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精油を混ぜた水を芳香用にミストとして噴霧する芳香用ミスト噴霧システムであって、
上記水を加圧して送り出すポンプと、
上記ポンプに基端側が接続される主配水管と、
上記主配水管の枝端側に接続されるとともに上記水と上記精油とを所定の比率で混合することによりアロマ水を生成する混合器と、
上記混合器に接続されるとともに上記アロマ水をエマルジョン化するラインミキサと、
上記ラインミキサに基端側が接続される枝管と、
上記枝管から分岐して接続されるとともにエマルジョン化されたアロマ水をミストにして噴霧する複数のミストノズルと、
全体を制御する制御盤と、
を備えることを特徴とする芳香用ミスト噴霧システム。
【請求項2】
精油を混ぜた水を芳香用にミストとして噴霧する芳香用ミスト噴霧システムであって、
上記水を加圧して送り出すポンプと、
上記ポンプに基端側が接続される主配水管と、
精油源から上記精油を加圧して送り出す精油源用ポンプと、
上記主配水管および上記精油源用ポンプに接続されるとともに上記水と上記精油とを所定の比率で混合することによりアロマ水を生成するラインミキサと、
上記ラインミキサに基端側が接続される枝管と、
上記枝管から分岐して接続されるとともにエマルジョン化されたアロマ水をミストにして噴霧する複数のミストノズルと、
全体を制御する制御盤と、
を備えることを特徴とする記載の芳香用ミスト噴霧システム。
【請求項3】
上記主配水管の基端側と上記枝管の基端側とを連通する分岐配管と、
上記ポンプからの水が上記主配管を通る流路または上記分岐配管を通る流路に流れるよう流路を切り換える流路切換手段と、を備え、
上記制御盤は、上記流路切換手段を制御して上記ポンプからの水が上記分岐配管を通る流路に流れるようにすることにより消火用ミストまたは降温用ミストを噴霧することを特徴とする請求項1または2に記載の芳香用ミスト噴霧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−233530(P2009−233530A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80938(P2008−80938)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】