説明

芳香組成物およびその使用

本発明は、香料の分野に関する。より特定には、表面に適用された場合に周囲環境への芳香成分の放出を長引かせることができる芳香組成物を提供する。該組成物は、多量のエタノールの存在中で疎水性のブロックコポリマーを含む。本発明はかかる組成物を含有する消費者物品にも関する。それは最終的に、それらの組成物を使用する表面着香のための方法、および芳香組成物の長期持続性を増加させるための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、香料の分野に関する。より特定には、表面に適用された場合に周囲環境への芳香成分の放出を長引かせることができる芳香組成物を提供する。該組成物は、多量のエタノールの存在中で疎水性のブロックコポリマーを含む。本発明はかかる組成物を含有する消費者物品にも関する。それは最終的に、それらの組成物を使用する表面着香のための方法、および芳香組成物の長期持続性を増加させるための方法を提供する。
【0002】
先行技術
香料産業において、香料の感知を長引かせるための新規の技術を見出す一定の必要性がある。実際に、芳香成分は、通常は素早く蒸発する揮発性化合物であり、香料強度は時間と共に減少する。従って、芳香組成物中の成分の蒸発を遅らせることが望ましい。かかる組成物は通常、溶剤としてエタノールを用いた溶液の形態であり、従って、多量のエタノールを含み、且つ長期持続性の香料強度を有する芳香組成物を提供することが望ましい。
【0003】
両親媒性のコポリマーは、芳香組成物中で芳香成分の保持のために使用される。それらの組成物の保持能力は、それらが含有するポリマーのミセルまたは小胞形成能力の結果である。しかしながらそれらのポリマーは、多量のエタノールの存在中ではそれらの種類の凝集物を形成する能力を失い、従って組成物が芳香成分を保持するための、またはそれらの感知を長引かせるための効率が低減する。エタノールは香料用の現在の溶剤であるので、多量のエタノールの存在中で芳香成分をより効率的に放出できる芳香組成物を提供できることが有用であろう。
【0004】
我々の知る限り、本発明の芳香組成物は先行技術から公知ではない。特に、多量のエタノールと共に、本発明の芳香組成物中で使用される疎水性のブロックコポリマーを使用する報告はない。
【0005】
WO03/090706号は、ポリマーを含む取り込み材料に基づく錯体を放出する芳香剤を記載している。それらのポリマーは両親媒性であり、且つ、少量のエタノール中でのみ活性である。従って、この文献は多量のエタノール中での芳香成分の保持の問題に取り組んでいない。
【0006】
WO2007/100416号は、疎水性の活性物および50%までのエタノールを含有するシリコーン小胞を含む組成物を記載している。適したシリコーンは、少なくとも1つの親水性置換基を有するオルガノポリシロキサンである。該親水基を、一般に様々な疎水性化学成分と組み合わせて使用されて界面活性作用を有する界面活性剤構造または分子を作る種々の化学成分から選択できる。従って、本発明の組成物は、それらが疎水性のシリコーンである少なくとも1つのポリマー材料を含み、且つ、ポリマー材料のこの特定の選択が、90%までのエタノール濃度の存在中であっても芳香成分を効率的に保持できる利点を示す点で、この先行技術文献の組成物とは異なる。
【0007】
本発明は、表面に適用されれば、多量のエタノールを含む組成物からの芳香成分の長期持続性を増加させるための効率的な系を提供する問題に、新規且つ有利な溶液をもたらす。
【0008】
発明の説明
本発明は驚くべきことに、香料成分が特定の類の疎水性ブロックコポリマーおよび多量のエタノールを含む芳香組成物から効率的に放出され得ることを立証した。
【0009】
従って、本発明は
a) 水不溶性であり、且つ、以下から形成される少なくとも1つの疎水性ポリマー材料
i) 少なくとも1つのエタノール相溶性ブロック;
ii) ポリ(ジメチルシロキサン)またはそれらの誘導体を含む少なくとも1つのエタノール不相溶性ブロック;
b) 25〜90%のエタノール;
c) 水; および
d) 少なくとも1つの芳香成分
を含む芳香組成物を提供する。
【0010】
好ましい実施態様によれば、該芳香組成物は
a) 水不溶性であり、且つ、以下から形成される少なくとも1つの疎水性ポリマー材料
i) 少なくとも1つのエタノール相溶性ブロック;
ii) ポリ(ジメチルシロキサン)またはそれらの誘導体を含む少なくとも1つのエタノール不相溶性ブロック;
b) 25〜90%のエタノール;
c) 水; および
d) 少なくとも1つの芳香成分
からなる。
【0011】
「なる」とは、ここで、該組成物が本質的に、記載される成分からなるが、しかし、香料成分の放出に影響しない他の成分を含有し得ることを意味する。
【0012】
本発明の組成物中で使用される特定の類の疎水性ポリマー材料は、水不溶性でなければならない。
【0013】
成分は、特定の溶剤中で、定められた濃度、温度、pH、イオン強度で、および他の溶質の存在または不在下で、その成分の相が他の溶剤相から分離する場合、不溶性であるとしてみなされる。相分離は、見識のある当業者によって、とりわけ視覚的な、顕微鏡または干渉による方法を使用して、容易に観察することができる。特に、成分が固体である場合、沈殿が観察されることがある。
【0014】
本発明の特定の実施態様によれば、ポリマーは、それが相分離せずに、溶液の総質量に対して少なくとも0.3質量%の濃度で、且つ、室温〜皮膚温、典型的には20℃〜37℃を意味し、且つより特定には25〜32℃の範囲の温度範囲で、水中で可溶化され得ない場合、「水中で不溶性」である。それに対し、ポリマーは、それが水中で、溶液の総質量に対して少なくとも0.3質量%の濃度で、上記に示された温度で、および好ましくは32℃と25℃との両方で可溶化され得る場合、「水中で可溶性」であるとしてみなされる。
【0015】
疎水性のポリマー材料は、少なくとも1つのエタノール相容性ブロックおよび少なくとも1つのエタノール不相容性ブロックを含まなければならない。「エタノール相容性ブロック」として、ここでは、本発明の目的のために、エタノール中で相分離せずに、溶液の総質量に対して少なくとも0.3質量%の濃度で可溶化され得るポリマーを意味することを意図している。「エタノール不相容性ブロック」として、ここでは、エタノール中で相分離せずに溶液の総質量に対して少なくとも0.3質量%の濃度で可溶化され得ないポリマーを意味する。
【0016】
エタノール不相容性ブロックとエタノール相容性ブロックとの両方が疎水性である(即ち、水中で不溶性である)。
【0017】
好ましいエタノール相容性ブロックを、有利にはポリ(プロピレングリコール)、ポリ(1,2−ブチレングリコール)およびポリ(1,4−ブチレングリコール)からなる群から選択できる。より好ましくは、エタノール相容性ブロックは、ポリ(プロピレングリコール)またはポリ(1,2−ブチレングリコール)である。
【0018】
好ましくは、本発明の芳香組成物中で使用されるポリマーはいかなるポリ(エチレングリコール)ブロックも含まない。
【0019】
本発明の好ましい実施態様において、エタノール相容性ブロックはポリ(ジメチルシロキサン)からなる。
【0020】
最適な香料放出性能は、特定のポリマーパラメータを選択することによって得ることができる。例えば、疎水性のポリマー材料が、ポリ(ジメチルシロキサン)コアとのグラフト化構造を有していることが好ましい。疎水性のエタノール相容性ブロックが、ポリ(ジメチルシロキサン)コアに側鎖として結合していることがさらにより有利である。ポリマー材料が、多量のポリ(ジメチルシロキサン)、好ましくはそれ自体の質量の50%より多く含むことも好ましい。
【0021】
本発明の組成物の効率は、疎水性ポリマー材料が、好ましくは300〜100,000g/mol、より好ましくは300〜15,000g/molに含まれる高い分子量を有する場合、さらに改善される。
【0022】
本発明の芳香組成物は、疎水性ポリマー材料が凝集物、例えばミセルまたは小胞中で自己組織化しない場合でさえも、芳香成分の感知を効率的に長引かせることができる。それでもなお、ミセルまたは小胞が形成される場合、保持はさらに改善される。典型的には、それらのミセルまたは小胞の大きさは、200nmを上回らず、従って該組成物は透明なままである。ミセルまたは小胞の形成は、ポリマー材料が高い割合のエタノール不相容性ブロックを含む場合、例えば疎水性ポリマーの50質量%より多くが少なくとも1つのエタノール不相容性ブロックからなる場合に好ましい。
【0023】
少なくとも1つの疎水性ポリマー材料が、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して0.1〜30質量%に含まれる量で存在してよい。より有利には、それは組成物の総質量に対して0.1〜10質量%、またはさらに0.1〜5質量%に含まれる量で存在する。
【0024】
本発明の芳香組成物中に存在する芳香成分は、ここで、快い効果を付与するために芳香調製物または組成物中で使用される化合物として定義される。言い換えれば、そのようにみなされるためのかかる芳香成分は、当業者によって、それが適用された組成物、物品または表面の臭気を良い方向に、望み通りまたは心地よいように付与または修正できるものであって、且つ、単に臭気を有するものではないとして認識されなければならない。上記で定義された、化合物の消費者による感知を修正できる化合物も、芳香成分としてみなされる。
【0025】
典型的には、組成物の芳香成分は、芳香成分と、場合によっては現在の香料担体との混合物である。
【0026】
本発明の芳香組成物中で使用され得る芳香成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を請け負わず、それはいずれにせよ網羅されず、当業者はその一般的な知識、意図される使用または用途および所望の官能効果に基づき、それらを選択できる。一般的な用語においては、これらの芳香成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン炭化水素、窒素を含むまたは硫黄を含む複素環式化合物および精油にわたる化学的分類に属し、且つ、前記の芳香成分は天然または合成由来であってよい。それらの成分の多くはいずれにせよ、参考文献、例えばS.Arctanderによる本、Perfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、ニュージャージー、米国、またはそのより最近の版、または同様の種類の著作、並びに香料分野における豊富な特許文献に列記されている。
【0027】
芳香成分が、カプセル化された芳香成分、またはさらに活性成分が化学反応または光化学反応の結果として放出される公知の放出系を含むこともあることも理解されるが、ただし、かかる香料成分は、相応する活性芳香成分の放出を可能にする表面への適用条件下で使用される。かかる放出系の例は、例えばWO95/04809号、EP0971021号、WO03/049666号、EP0936211号、WO99/60990号、WO01/28980号、WO08/093272号、WO98/47477号、US2004/0102357号、DE3003494号およびWO95/08976号内に見出される。
【0028】
本発明の組成物中の芳香成分の量は、芳香剤の感知の所望の強度に依存して、広範な値に及んでよい。それらの組成物は有利には、それらが高い装填量の香料を含有できる事実によって特徴付けられる。好ましくは、芳香成分の量は、組成物の総質量に対して0.2〜30質量%、より好ましくは5〜15質量%に含まれる。約10質量%の芳香成分の濃度が優れた結果を提供している。
【0029】
本発明の好ましい実施態様によれば、疎水性ポリマー材料と芳香成分との質量比は、0.1:10〜5:10、好ましくは0.1:10〜1:10に含まれる。
【0030】
本発明の組成物は、好ましくは多量のエタノール、より好ましくは組成物の質量の50%より上、好ましくは組成物の総質量に対して55〜90質量%、およびさらにより好ましくは60〜90質量%のエタノールによって特徴付けられる。
【0031】
本発明の芳香組成物中の水の濃度は比較的低く、典型的には組成物の総質量に対して5〜50質量%、好ましくは5〜15質量%に含まれる。
【0032】
「香料担体」とは、ここで、香料の観点から実質的に中性であり、即ち、芳香成分の官能特性を著しく変更しない材料を意味する。前記担体は好ましくは液体であってよい。
【0033】
液体担体としては、限定されない例として、乳化系、即ち、溶剤および界面活性剤系、または香料において一般に使用される溶剤を挙げることができる。香料において一般に使用される溶剤の性質および種類の詳細な説明は、網羅できない。しかしながら、限定されない例として、溶剤、例えばジプロピレングルコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノールまたはクエン酸エチルを挙げることができ、それらが最も一般的に使用されている。
【0034】
香料助剤、例えば追加的な利益、例えば色、特定の耐光性、化学的安定性、酸化防止特性等を付与できる成分も、該組成物中に存在してよい。芳香ベース中で一般に使用される助剤の性質および種類の詳細な説明は網羅できないが、しかし、かかる成分は当業者にはよく知られており、且つ、典型的には0.5%以下の濃度で使用される。
【0035】
上述の実施態様のいずれかによる芳香組成物は、現代の香料の全ての分野、例えば精巧な香料(fine perfumery)または機能性香料において有利に使用できる有用な芳香材料である。実際に、かかる組成物を、芳香成分のより制御された堆積および次の放出を達成するために、精巧な香料または機能性香料において有利に用いることができる。
【0036】
例えば、発香性分子または臭気影響分子の感知の長期持続性を提供する能力のおかげで、本発明の組成物を、上記で定義された発香性成分の長期持続性が必要とされる任意の用途に混合することができ、さらに、処理された表面に、例えば洗濯またはボディケアの適用における処理周期を充分に超えて、表面の濯ぎおよび/または乾燥工程を充分に超えて、持続し得る芳香および新鮮さを付与できる。本発明の芳香組成物のために適した適用表面は特に、皮膚および毛髪、さらにテキスタイル、硬質表面、例えばガラス窓、台所および浴室の表面である。
【0037】
従って、
a) 上記で定義された少なくとも1つの本発明の芳香組成物;および
b) 消費者製品ベース;
を含む物品、同様に、表面、例えば上述のものの処理のためのかかる組成物の使用も本発明の対象である。
【0038】
明確化のために、「消費者製品ベース」とは、ここで、芳香成分と適合性がある消費者製品ベースを意味することを言及すべきである。言い換えれば、本発明による着香物品は、消費者製品、例えばヘアケア製品またはボディケア製品、例えばシャンプーまたはシャワージェル、洗剤または空気清浄剤に相応する、ベースの機能性配合物(典型的には、それが適用される表面を洗浄、乳化、加湿または柔軟化することを機能として有する)並びに随意の付加的な有益剤(benefit agent)を、嗅覚的に有効な量の少なくとも1つの本発明の芳香組成物と共に含む。
【0039】
消費者製品の成分の性質および種類は、ここではより詳細な説明を請け負わず、いずれにせよそれは網羅されず、当業者はそれらを一般的な知識に基づき、且つ前記の製品およびその用途の性質および所望の効果によって選択できる。
【0040】
特に、本発明の組成物は、ボディケア製品のための使用が最も有利である。それらは非常に認められている香料、即ち、皮膚および毛髪を着香するための精巧な芳香剤製品である。好ましい用途は、香水、コロンまたはボディスプレー、アフターシェーブローション、着香石鹸、シャワーまたはバスソルト、ムース、クリーム、オイルまたはジェル、ボディケア製品、ヘアケア製品、例えばシャンプー、消臭剤または制汗剤である。
【0041】
他の適した消費者製品ベースの例は、衛生製品、空気清浄剤および化粧品を含む。
【0042】
様々な上述の物品または組成物中に混合できる、本発明の芳香組成物の割合は、広範の値に及ぶ。それらの値はそれらが混合されるべき物品または製品の性質に、および所望の嗅覚効果、並びに該組成物中に存在する芳香成分の性質に依存する。
【0043】
例えば、精巧な芳香剤製品において、本発明の組成物を100%までの濃度で使用できる。他の用途の種類、例えばボディケアおよびヘアケア製品においては、本発明の芳香組成物の濃度は典型的には製品の質量に対して1質量%〜20質量%、より典型的には5質量%までに含まれる。
【0044】
本発明の他の対象は、表面の着香のための方法または表面上での芳香成分の特徴的な芳香剤の拡散効果を増強または長引かせるための方法であって、前記の表面を芳香組成物またはそれを含有する着香物品を用いて、上記に定義される通り、前記の芳香成分を放出させやすい条件下で、上記に定義される通り、処理することを特徴とする方法に関する。かかる処理のために適した表面は、特に、毛髪および皮膚、さらにテキスタイルおよび硬質表面である。
【0045】
本発明による芳香組成物を、初めに疎水性ポリマー材料をエタノール−水混合物中で溶解させ、得られる溶液中に少なくとも1つの芳香成分を次に溶解させることによって調製できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】このグラフは、組成物A中、およびリファレンス中での香料の消失を時間の関数として示す。
【図2】このグラフは、組成物B中、およびリファレンス中での香料の消失を時間の関数として示す。
【図3】このグラフは、組成物A、B、C中、およびリファレンス中での香料の消失を時間の関数として示す。
【図4】このグラフは、組成物A、B、D中、およびリファレンス中での香料の消失を時間の関数として示す。
【図5】このグラフは、組成物E(ポリマーあり)中、およびリファレンス(ポリマーなし)中での香料の消失を時間の関数として示す。
【図6】このグラフは、組成物F(ポリマーあり)中、およびリファレンス(ポリマーなし)中での香料の消失を時間の関数として示す。
【図7】このグラフは、組成物G、HおよびI中での芳香強度の評価結果を表す。
【図8】このグラフは、組成物Jおよびリファレンスの芳香強度の1、4および8時間後の評価結果を表す。
【図9】このグラフは、組成物Kおよびリファレンスの芳香強度の1、4および8時間後の評価結果を表す。
【0047】
実施例
本発明をここで以下の実施例を用いてさらに詳細に説明する。その際、略記は当該技術分野での通常の意味を有する。以下に記載される審査員の使用を必要とする全ての評価試験において、評価はブラインド試験において行われ、それは評価される試料の組成を審査員が知らないことを意味する。
【0048】
実施例1
本発明による芳香組成物の調製
以下の成分を示された量で混合することによって香料を調製した。
【0049】
【表1】

1) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) メチル 2,2−ジメチル−6−メチレン−1−シクロヘキサンカルボキシレート、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス。
【0050】
本発明による芳香組成物(組成物A)を、以下の成分を示された量で混合することによって調製した。
【0051】
【表2】

1) ポリジメチルシロキサンとポリ(プロピレングリコール)とのグラフトコポリマー、製造元:Momentive、Mw=300g/mol。
【0052】
ポリマーを初めに、87.7:12.3のエタノール−水混合物(溶液I)中で、濃度5質量%で溶解させた。従って、溶液(I)中でのエタノールおよび水の濃度はそれぞれ、83.30質量%および11.75質量%であった。
【0053】
その後、0.7gの香料Aを6.3gの溶液I中で溶解させた。得られる溶液(溶液II)は最終的に75質量%のエタノール、10.5質量%の水、10質量%の香料Aおよび4.5質量%のポリマーを含有した。
【0054】
実施例2
本発明による芳香組成物の調製
本発明による芳香組成物(組成物B)を、以下の成分を示された量で混合することによって調製した。
【0055】
【表3】

1) ポリ[ジメチルシロキサン−co−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−テトラキス(1,2−ブチレングリコール)、製造元:Sigma−Aldrich、Mw=560 g/mol。
【0056】
組成物Bを実施例1に記載される方法によって調製した。
【0057】
実施例3
本発明による芳香組成物中の芳香成分の蒸発動態測定
10μlの量のオードトワレ(組成物A)を、1.5mlの容量を有する27GCのバイアルの各個内に導入した。その後、該バイアルを30℃で予熱された二重釜(bain−marie)内に設置する。
【0058】
10質量%の香料Aおよび90質量%のエタノール水混合物(9:1)からなるリファレンス組成物を調製した(該パーセンテージは組成物の総質量に対する)。10μlの量のこのリファレンス組成物を、1.5mlの容量を有する27GCのバイアルの各個内に導入した。該バイアルも、30℃で予熱された二重釜内に設置する。
【0059】
それぞれ0、5、10、15、30、60、90、120および240分後、組成物Aを含有する該GCバイアルの3つに、およびリファレンス組成物を含有するGCバイアルの3つに、2つの内部標準、1,4−ジブロモベンゼンおよび4,4’−ジブロモ−ビフェニルを、150mg/lの等しい濃度で含有するイソオクタン/ジエチルエーテル(9/1 v/v)の溶液1.5mlを、Socorex Calibrex 520を使用して添加した。
【0060】
その後、該GCバイアルをGCネットワークシステム789Nで分析し、且つ、Agilent Technologies製のオートサンプラー7683シリーズによって注入した。分析を、長さ30m、内径0.25mmおよび膜厚0.25μmを有するカラムHP−5を使用して行った。温度を1分間で100℃に設定し、その後、100℃から220℃へと、10℃/分の速度で上昇させた。
【0061】
組成物A中およびリファレンス中に存在する残留香料の平均量を、時間の関数として図1に表す。このグラフは、ポリジメチルシロキサンとポリ(プロピレングリコール)とのグラフトコポリマーおよび75%のエタノールを含む本発明の芳香組成物が、それが含有した香料の蒸発を減速させ、且つ長期持続性を増加させる明確な効果を有したことを示す。この保持効果は経時的に増加する。
【0062】
実施例4
本発明による芳香組成物中の芳香成分の蒸発動態測定
組成物B中の芳香成分の蒸発を、実施例3に記載の通りに測定した。
【0063】
組成物B中およびリファレンス中に存在する残留香料の平均量を、時間の関数として図2に表す。このグラフは、ポリ[ジメチルシロキサン−co−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−テトラキス(1,2−ブチレングリコール)および75%のエタノールを含む本発明の芳香組成物が、それが含有した香料の蒸発を減速させ、且つ長期持続性を増加させる明確な効果を有したことを示す。この保持効果は経時的に増加する。
【0064】
実施例5
本発明による芳香組成物の嗅覚的評価
本発明による組成物が時間にわたる芳香成分の感知に及ぼす効果の評価を行うために、2つの種類の試料を調製した:
a) 組成物A)自体からなる試験試料
b) 10質量%の香料Aおよび90質量%のエタノール−水混合物(9:1)からなるリファレンス試料 (該パーセンテージは組成物の総質量に対する)。
【0065】
ブラインド試験において、審査員は2つの試料の性能を、100μlの試料を含有する試香用ストリップ(smelling strip)を用いて評価するように依頼された。審査員は4回の試験を、2回のセッションの間の4回の異なる時間で行った。第一のセッションの間、彼らは該ストリップの匂いを15分および75分の堆積時間後に試験しなければならず、第二のセッションの間は、彼らは該ストリップの匂いを135分および255分の堆積時間後に試験しなければならなかった。
【0066】
ブラインド3点試験においては、試香用ストリップが36〜39人の審査員団に示された。3つの試香用ストリップ(2つは同一であり、且つ1つは異なる)が審査員に示され、提示する順番は無作為に決定された。それぞれの審査員は、どの試料が他の2つとは異なって感知されたかを決定しなければならなかった。審査員は彼らの感知およびどのように彼らがその違いを決定したかを記述しなければならなかった。
【0067】
この嗅覚的評価の結果を以下の表に要約する。
【0068】
【表4】

【0069】
15分の堆積後を除く全ての場合において、審査員は、審査員団評価の間、リファレンスと本発明の芳香組成物との間の強度および感知において非常に著しい違いを見出した。本発明の芳香組成物は、先行技術の知見から予想されることとは異なって、多量のエタノールを含有しているにもかかわらず、芳香の長期持続性に非常に強い影響を有した。それらの結果が、前出の実施例において示された蒸発動態測定を裏付けた。
【0070】
実施例6
本発明による芳香組成物の嗅覚的評価
組成物Bを実施例5に記載される通りに嗅覚的に評価した。
【0071】
この嗅覚的評価の結果を以下の表に要約する。
【0072】
【表5】

【0073】
審査員は、審査員団評価の段階毎に、リファレンスと本発明の芳香組成物との間の強度および感知において、非常に著しい違いを見出した。本発明の芳香組成物は、多量のエタノールを含有しているにもかかわらず、芳香の長期持続性に及ぼす非常に強い影響を有した。このことが、前出の実施例において示された蒸発動態測定の結果を裏付けた。
【0074】
実施例7
芳香組成物の調製(比較例)
以下の成分を示された量で混合することによって芳香組成物(組成物C)を調製した。
【0075】
【表6】

1) ポリジメチルシロキサンとポリ(エチレングリコール)とのグラフトコポリマー、製造元:Dow Corning、Mw=1140g/mol;両親媒性のオルガノポリシロキサン。
【0076】
組成物Cを実施例1に記載される方法によって調製した。
【0077】
香料組成物C中の芳香成分の蒸発動態測定
組成物C中の芳香成分の蒸発を、実施例3に記載の通りに測定した。
【0078】
組成物C中に存在する残留香料の平均量を、組成物A中(実施例3で測定)、組成物B中(実施例4で測定)およびリファレンス中に残留する香料の量と比較した。香料の残留量を、時間の関数として図3に表す。このグラフは、親水部と75%のエタノールとを含む両親媒性コポリマーを含有する組成物Cが、組成物AおよびB(本発明の組成物)と同様の効率で、それが含有した芳香成分の蒸発を減速できず、且つ長期持続性を増加できないことを示す。実際に、その残留芳香成分の量は、ほぼ系統的に本発明の組成物中の芳香成分の残留量を下回っている。本発明の組成物の利点は、1時間またはそれより後で、さらにより明白である。
【0079】
実施例8
芳香組成物の調製(比較例)
以下の成分を示された量で混合することによって、芳香組成物(組成物D)を調製した。
【0080】
【表7】

1) ポリジメチルシロキサンとポリ(エチレングリコール)−co−ポリ(プロピレングリコール)とのグラフトコポリマー、製造元:Sigma−Aldrich、Mw=48000g/mol;両親媒性のオルガノポリシロキサン。
【0081】
組成物Dを実施例1に記載される方法によって調製した。
【0082】
香料組成物D中の芳香成分の蒸発動態測定
組成物D中の芳香成分の蒸発を、実施例3に記載の通りに測定した。
【0083】
組成物D中に存在する残留香料の平均量を、組成物A中(実施例3で測定)、組成物B中(実施例4で測定)およびリファレンス中に残留する香料の量と比較した。香料の残留量を、時間の関数として図4に表す。このグラフは、親水部と75%のエタノールとを含む両親媒性コポリマーを含有する組成物Dが、組成物AおよびB(本発明の組成物)と同様の効率で、それが含有した芳香成分の蒸発を減速できず、且つ長期持続性を増加できないことを示す。実際に、その残留芳香成分の量は、ほぼ系統的に本発明の組成物中の芳香成分の残留量を下回っている。本発明の組成物の利点は、1時間またはそれより後に、さらにより明白である。
【0084】
組成物Dの嗅覚的評価
組成物Dを実施例5に記載される通りに嗅覚的に評価した。
【0085】
この嗅覚的評価の結果を以下の表に要約する。
【0086】
【表8】

【0087】
限られた数の審査員は、審査員団評価の段階毎に、リファレンスと本発明の芳香組成物との間の強度および感知において、非常に著しい違いを見出した。審査員は、組成物Dよりも非常に容易に本発明の組成物からなる試験試料(組成物AおよびB)を識別できた。組成物E中で多量のエタノールを伴う両親媒性ポリマーの存在は、芳香の長期持続性を増加させるためにあまり有効ではなかった。このことが、実施例の前出の部分において示された蒸発動態測定の結果を裏付けた。
【0088】
実施例9
本発明による芳香組成物を含むアフターシェーブローションの調製
以下の成分を示された量で混合することによって香料を調製した。
【0089】
【表9】

1) 3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール、製造元: Givaudan SA、ヴェルニエ、スイス
2) 製造元:International Flavors & Fragrances、米国
3) テトラヒドロ−2−イソブチル−4−メチル−4(2H)−ピラノール、製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス。
【0090】
本発明による芳香組成物を含むアフターシェーブローション(組成物E)を、以下の成分を示された量で混合することによって調製した。
【0091】
【表10】

1) ブチル化ヒドロキシトルエン
2) ポリジメチルシロキサンとポリ(プロピレングリコール)とのグラフトコポリマー、製造元:Momentive、Mw=300g/mol。
【0092】
BHT、PEG−60水素添加ヒマシ油、エタノール、水、アラントインおよびPEG−8を混合して透明な溶液をもたらした。香料B(実施例9に記載)を該配合物に添加した。香料が完全に溶解したら、コポリマーSilwet(登録商標)L−7550を溶解させた。
【0093】
実施例10
本発明による芳香組成物を含むアフターシェーブローションからの芳香成分の蒸発動態測定
12個のアルミニウムるつぼを32℃で加熱しているプレート上に設置した。25μlの量の組成物Eを、マイクロピペットを用いてそれぞれのるつぼに導入した。それぞれ2、4、および8時間後、3つのるつぼを1つずつ、予め1,4−ジブロモベンゼン(内部標準、150mg/l)の、イソオクタン/ジエチルエーテルの9/1の混合物中の溶液1mlを充填されたGCバイアル内に移送した。その後、該溶液を、オートサンプラーを備えたガスクロマトグラフィによって分析した(Agilent 7890A)。
【0094】
実験の初めに組成物E中に存在する香料の量も、GCによって測定した。25mlの量の組成物Eを、1,4−ジブロモベンゼン(内部標準、150mg/l)の、イソオクタン/ジエチルエーテルの9/1混合物中の溶液1mlを有する3つのGCバイアルに直接的に添加した。
【0095】
ポリマーSilwet(登録商標)L−7550が不在である以外は組成物Eと同一の成分を含有するリファレンスを用いて、同一の手順を繰り返した。
【0096】
結果を図5に要約し、図5は、組成物E中の香料の消失を、リファレンス中の同一の香料の消失と比較した動態を示す。この図は、ポリジメチルシロキサンとポリ(プロピレングリコール)とのグラフトコポリマーと54.9%のエタノールとを含む本発明のアフターシェーブローションが、それが含有した芳香成分の蒸発を減速させ、且つ芳香成分の長期持続性を増加させる明確な効果を有したことを示す。8時間後、組成物E中に、存在する5つの異なる成分を有する0.103mgの香料が残っていた一方、リファレンス中には存在する4つのみの異なる成分を有する0.034mgの香料のみが残っていた。従って、組成物E中の残留香料の量は、リファレンス中よりも3倍多かった。
【0097】
実施例11
本発明による芳香組成物を含むロールオン型透明配合物(roll−on clear formulation)の調製
以下の成分を示された量で混合することによって、ロールオン型透明配合物(組成物F)を調製した。
【0098】
【表11】

1) ポリ[ジメチルシロキサン−co−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−テトラキス(1,2−ブチレングリコール)、製造元:Sigma−Aldrich、Mw=560g/mol。
【0099】
アルミニウム−ジルコニウムペンタクロロヒドレート、PPG−5−セレス−20、ヒドロキシエチルセルロース、エタノールおよび水を混合することによって組成物Fを調製し、均質な溶液をもたらした。香料B(実施例9に記載)を該配合物に添加した。香料が完全に溶解したら、コポリマーSilwet(登録商標)L−7550を溶解させた。
【0100】
実施例12
本発明による芳香組成物を含むロールオン型透明配合物中の芳香成分の蒸発動態測定
組成物Fでの動態測定を実施例10に記載の方法によって行った。
【0101】
結果を図6に要約し、図6はロールオン型透明配合物中の、ポリジメチルシロキサンとポリ(1,2−ブチレングリコール)とのグラフトコポリマーを含む組成物Fが、それが含有した芳香成分の蒸発を減速させ、且つ長期持続性を増加させる明確な効果を有したことを示す。組成物F中に0.033mgの香料が残留していた一方、リファレンス中には0.003mgの香料のみが残留していた。従って、組成物F中の香料の残留量は、リファレンス中よりも11倍多かった。さらには、8時間後、組成物F中の香料の特徴は、初期の香料の特徴に非常に近いままであった。実際に、香料B中に初めに存在した13成分中12の芳香成分が組成物F中に存在したままであった一方、リファレンス中ではLilial(登録商標)のみが検出された。
【0102】
実施例13
種々のポリマーが本発明による組成物中の香料の保持に及ぼす効果
以下の成分を示された量で混合することによって香料を調製した。
【0103】
【表12】

1) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) 製造元:International Flavors & Fragrances、米国
3) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
4) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
5) 1,3−ベンゾジオキソール−5−カルバルデヒド、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
6) 3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール、製造元: Givaudan SA、ヴェルニエ、スイス。
【0104】
本発明による3つの芳香組成物(組成物G、HおよびI)を、以下の成分を表13に示される量で混合することによって調製した。
【0105】
【表13】

1) 組成物Gにおいて: Aldrich(登録商標) 468282 (ポリ[ジメチルシロキサン−co−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−テトラキス(1,2−ブチレングリコール)、製造元:Sigma−Aldrich、Mw=560g/mol)
組成物Hにおいて: Silwet(登録商標) L−7550 (ポリジメチルシロキサンとポリ(プロピレングリコール)とのグラフトコポリマー、製造元: Momentive、Mw=300 g/mol)
組成物Iにおいて: Silwet(登録商標) L−7500 (ポリジメチルシロキサンとポリ(プロピレングリコール)とのグラフトコポリマー、製造元: Momentive、Mw=3000g/mol)。
【0106】
ポリマーを初めにエタノールと水との混合物中で溶解させた。その後、香料をこの溶液中で溶解させた。
【0107】
その後、組成物G〜I、および1つのコントロールの香料強度を評価した。該コントロールは、ポリマーが水で置き換えられた以外、組成物G〜Iと同様の方法で調製された。
【0108】
組成物G〜Iおよびコントロールを、2週間の間保管し、その後、20μlの量で、32℃(皮膚温)で加熱されたホットプレート上に設置されたガラススライド上に別々に適用した。この温度で8時間後、ブラインド試験に基づき、30人のベテランの審査員の審査員団にガラススライドを無作為に示した。該審査員は、名札のない連続した直線のスケール上でそれぞれの試料の芳香強度をランク付けするように依頼され、その際、0は感知できる匂いがないことを意味し、且つ10は非常に強い匂いを意味した。
【0109】
その結果を図7に要約し、図7は芳香強度が、コントロール試料よりも組成物G〜Iにおいてより強く感知されたことを示す。その効果は、組成物GおよびHで最も明らかであったが、しかし、組成物Iでも効果が観察され、従って上述の3つのポリマーが本発明の組成物中の香料の長期持続性を増加させる効果を有したことを示す。
【0110】
実施例14
種々の濃度のポリマーを含む本発明による組成物
本発明による2つの芳香組成物(組成物JおよびK)を、以下の成分を示された量で混合することによって調製した。
【0111】
【表14】

1) ポリ[ジメチルシロキサン−co−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−テトラキス(1,2−ブチレングリコール)、製造元: Sigma−Aldrich、Mw=560g/mol)。
【0112】
【表15】

1) ポリ[ジメチルシロキサン−co−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−テトラキス(1,2−ブチレングリコール)、製造元: Sigma−Aldrich、Mw=560g/mol)。
【0113】
ポリマーを初めにエタノールと水との混合物中で溶解させた。その後、香料をこの溶液中で溶解させた。
【0114】
その後、組成物J、K、および1つのコントロールの香料強度を評価した。該コントロールは、ポリマーが水で置き換えられた以外、組成物JおよびKと同様の方法で調製された。
【0115】
組成物J、Kおよびコントロールを、2週間の間保管し、その後、20μlの量で、32℃(皮膚温)で加熱されたホットプレート上に設置されたガラススライド上に別々に適用した。それぞれこの温度で1、4および8時間後、ブラインド試験に基づき、30人のベテランの審査員の審査員団にガラススライドを無作為に示した。
【0116】
試験の第一のシリーズにおいて、審査員は、名札のない連続した直線のスケール上で組成物Jおよびコントロールの芳香強度をランク付けするように依頼され、その際、0は感知できる匂いがないことを意味し、且つ10は非常に強い匂いを意味した。その結果を図8に要約する。1、4および8時間後、その香料は、コントロール中では組成物K(1%のポリマーを含有する本発明の組成物)中よりも著しく弱いことが見出され、従って、香料の長期持続性の改善を示す。
【0117】
試験の第二のシリーズにおいて、審査員は、名札のない連続した直線のスケール上で組成物Kおよびコントロールの芳香強度をランク付けするように依頼され、その際、0は感知できる匂いがないことを意味し、且つ10は非常に強い匂いを意味した。その結果を図9に要約する。1時間後、該香料はコントロールのものと類似した強度を有するが、しかしその後、該香料は4および8時間後、コントロール中では組成物K中よりも著しく弱く感知されることが見出される。それらの結果も、組成物K(3%のポリマーを有する本発明の組成物)中の香料の長期持続性の増加を明示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 水不溶性であり、且つ、以下から形成される少なくとも1つの疎水性ポリマー材料
i) 少なくとも1つのエタノール相溶性ブロック;
ii) ポリ(ジメチルシロキサン)またはそれらの誘導体を含む少なくとも1つのエタノール不相溶性ブロック;
b) 組成物の総質量に対して25〜90質量%のエタノール;
c) 水; および
d) 少なくとも1つの芳香成分
を含む芳香組成物。
【請求項2】
a) 0.1〜30%の少なくとも1つの疎水性ポリマー材料;
b) 25〜90%のエタノール;
c) 5〜50%の水;
d) 0.2〜30%の少なくとも1つの芳香成分;
(全てのパーセンテージは芳香組成物の総質量に対する質量によって定義されている)
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の芳香組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのエタノール相容性ブロックが、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(1,2−ブチレングリコール)、ポリ(1,4−ブチレングリコール)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の芳香組成物。
【請求項4】
少なくとも1つのエタノール相容性ブロックが疎水性であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の芳香組成物。
【請求項5】
疎水性ポリマー材料が、300〜100000Da、好ましくは300〜15000Daに含まれる分子量を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の芳香組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの疎水性ポリマー材料と少なくとも1つの芳香成分との質量比が、0.1:10〜5:10に含まれることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の芳香組成物。
【請求項7】
さらに、
a) 少なくとも1つの香料担体;および
b) 随意に、香料製造において現在使用されている少なくとも1つの助剤
を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の芳香組成物。
【請求項8】
a) 請求項1から7までのいずれか1項に記載の芳香組成物;および
b) 消費者製品ベース
を含むことを特徴とする、着香物品。
【請求項9】
香水、コロン、アフターシェーブローション、着香石鹸、シャワーまたはバスソルト、ムース、クリーム、オイルまたはジェル、ボディケア製品、ヘアケア製品、例えばシャンプー、消臭剤または制汗剤、衛生製品、空気清浄剤または化粧品の形態の、請求項8に記載の着香物品。
【請求項10】
香水、コロン、アフターシェーブローション、着香石鹸、シャワーまたはバスソルト、ムース、クリーム、オイルまたはジェル、ボディケア製品、ヘアケア製品、例えばシャンプー、消臭剤または制汗剤の形態の、請求項9に記載の着香物品。
【請求項11】
表面の嗅覚特性を付与、強化、改善または修正する方法であって、前記表面を、請求項1から7までのいずれか1項に定義された芳香組成物または請求項8から10までのいずれか1項に定義された着香物品と接触させるか、またはそれを用いて処理することを含む方法。
【請求項12】
表面上での芳香化合物の特徴的な芳香の拡散効果を増強または長引かせるための方法であって、前記表面を請求項1から7までのいずれか1項に記載の芳香組成物を用いて、または前記の芳香化合物を含む請求項8から10までのいずれか1項に着香物品を用いて、前記の芳香化合物を時間にわたって放出させやすい条件下で処理することを特徴とする方法。
【請求項13】
芳香成分の長期持続性を増加させるための方法であって、前記芳香成分を使用して、請求項1から7までのいずれか1項に定義された組成物を調製することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−506414(P2012−506414A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532748(P2011−532748)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054584
【国際公開番号】WO2010/046832
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】