説明

苗移植機の苗載台

【課題】苗載台に配設した滑動抑制体がセルトレイの下面に当接してセルトレイの下方への滑動を抑制することで、セルトレイが自重により苗載台上を落下状態に勢いよく滑落するという不具合を解消すること。
【解決手段】移植部に配設した苗載台上に、セル苗を収容するセルを縦横に整然と形成したセルトレイを載置可能とした苗移植機の苗載台において、苗載台にセルトレイの下面に当接してセルトレイの下方への滑動を抑制する滑動抑制体を配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機の移植部に配設した苗載台に関する。
【背景技術】
【0002】
苗移植機の一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、特許文献1には、走行部の後方に移植部を連結して、走行部が移植部を牽引しながら走行するとともに、移植部が圃場に苗を移植する苗移植機が開示されている。移植部には苗載台を配設し、苗載台の下部後方に苗取手段を配設して、苗取手段の下方に植付手段を配設している。苗載台は傾斜状態に配設して、苗載台上にセル苗を収容するセルを縦横に整然と形成したセルトレイを複数枚、例えば、二枚を上下方向に連続的に載置可能としている。そして、苗載台はセルトレイを間欠的に下方へ縦送りする縦送り機構を備えている。苗取手段はセルトレイのセル中に収容しているセル苗を一つずつ取り出すとともに、植付手段にセル苗を受け渡して、植付手段がセル苗を圃場に植え付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−214634
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した苗移植機の苗載台上にセルトレイを載置する際には、まず、一枚目のセルトレイを苗載台の上部に載置するとともに、苗載台上を下部まで摺動させて苗載台に設けた縦送り機構に係止状態に連動連結してセットし、続いて、二枚目のセルトレイを苗載台の上部に載置するとともに、苗載台上に摺動させて、一枚目のセルトレイの上端縁部に二枚目のセルトレイの下端縁部を接続するようにしている。この際、特に、二枚目のセルトレイは、苗載台上で手を離すと、自重により苗載台上を落下状態に勢いよく滑落して、一枚目のセルトレイに衝突して、その際の衝撃でセルトレイ中のセル苗がセルトレイから飛び出す(脱落する)等の不具合がある。そのため、作業者が二枚目のセルトレイを保持しながら一枚目のセルトレイに接続するまで案内しなければならないという煩雑さがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記した煩雑さを解消することができる苗移植機の苗載台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、移植部に配設した苗載台上に、セル苗を収容するセルを縦横に整然と形成したセルトレイを載置可能とした苗移植機の苗載台において、苗載台にセルトレイの下面に当接してセルトレイの下方への滑動を抑制する滑動抑制体を配設したことを特徴とする。
【0007】
かかる苗移植機の苗載台では、苗載台に配設した滑動抑制体がセルトレイの下面に当接してセルトレイの下方への滑動を抑制するため、セルトレイが自重により苗載台上を落下状態に勢いよく滑落するという不具合を解消することができる。つまり、セルトレイを苗載台上にて緩やかに滑動させることができる。そのため、特に、二枚目のセルトレイが1枚目のセルトレイに衝突して、その際の衝撃でセルトレイ中のセル苗がセルトレイから飛び出す(脱落する)等の不具合の発生を防止することができる。そして、作業者が二枚目のセルトレイを保持しながら一枚目のセルトレイに接続するまで案内しなければならないという煩雑さもなくなる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明であって、滑動抑制体は、苗載台の長手方向に伸延させて形成して、苗載台の上面の左右幅方向の中央部位置に配設し、滑動抑制体には苗載台から上方へ膨出する膨出部を形成するとともに、膨出部はセルトレイの下面に当接してセルトレイの下方への滑動を抑制するようにしたことを特徴とする。
【0009】
かかる苗移植機の苗載台では、滑動抑制体を苗載台の上面の左右幅方向の中央部位置に配設して、滑動抑制体に苗載台から上方へ膨出する膨出部を形成しているため、膨出部によりセルトレイの左右方向の位置決めがなされる。しかも、膨出部はセルトレイの下面に当接してセルトレイの下方への滑動を抑制するようにしているため、セルトレイが自重により苗載台上を落下状態に滑落するのを堅実に防止することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明であって、膨出部は、セルトレイの下面において左右方向に隣接するセル同士の間に形成される溝部に嵌入させるとともに、少なくとも左右方向に隣接するセルの側面に当接するようにしたことを特徴とする。
【0011】
かかる苗移植機の苗載台では、セルトレイの下面に形成された溝部に膨出部を嵌入させているため、膨出部によりセルトレイの左右方向の位置決めがなされるとともに、膨出部を少なくとも左右方向に隣接するセルの側面に当接させることができる。つまり、膨出部を左右方向に隣接するセルの側面に面接触させることができる。そのため、膨出部によるセルトレイへの滑動抑制効果(ブレーキ効果)を堅実に確保することができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明であって、膨出部は、苗載台の長手方向に伸延させて形成した滑動抑制体に、その伸延方向に沿って断続的に複数個形成したことを特徴とする。
【0013】
かかる苗移植機の苗載台では、セル苗を収容したセルトレイ全体の重量がセル苗の種類によって異なるが、膨出部を断続的に複数個形成することで、膨出部による滑動抑制効果(ブレーキ効果)が過剰に生起されて、セルトレイの滑動が阻害されるという不具合の発生を防止することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明であって、滑動抑制体に断続的に複数個形成した膨出部は、それぞれ苗載台から上方へ膨出する膨出幅を異ならせたことを特徴とする。
【0015】
かかる苗移植機の苗載台では、セル苗を収容したセルトレイ全体の重量がセル苗の種類によって異なるが、断続的に複数個形成した膨出部の苗載台から上方へ膨出する膨出幅をそれぞれ異ならせているため、全てのセルトレイへの膨出部による対応範囲を広くすることができて、膨出部による滑動抑制効果(ブレーキ効果)が堅実に確保される。また、苗載台の伸延方向に沿わせて膨出幅に漸次変化を持たせることで、膨出部が全てのセルトレイの滑動位置に応じて堅実に当接するようにして、膨出部を全てのセルトレイに幅広く対応させることができる。そのため、膨出部による滑動抑制効果(ブレーキ効果)を堅実に確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、次のような効果を奏する。すなわち、本発明によれば、セルトレイが自重により苗載台上を落下状態に勢いよく滑落するという不具合を解消することができて、セルトレイが他物に衝突した際の衝撃でセルトレイ中のセル苗がセルトレイから飛び出す(脱落する)等の不具合の発生を防止することができる。そのため、作業者がセルトレイを保持しながら案内しなければならないという煩雑さもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る苗移植機の斜視図。
【図2】本発明に係る苗移植機の側面図。
【図3】本発明に係る苗移植機の平面図。
【図4】本発明に係る苗移植機の底面図。
【図5】本発明に係る苗移植機の移植部の側面説明図。
【図6】本発明に係る苗移植機の移植部の平面説明図。
【図7】本発明に係る苗移植機の移植部の背面説明図。
【図8】苗供給手段の側面説明図。
【図9】図8のI-I線断面説明図(a)、図8のII-II線断面説明図(b)、図8のIII-III線断面説明図(c)。
【図10】空セルトレイ回収機構の斜視説明図。
【図11】空セルトレイ回収機構の正面説明図。
【図12】縦送り駆動軸の説明図。
【図13】左側の縦送りクラッチの分解斜視説明図。
【図14】左側の縦送りクラッチの分解側面説明図。
【図15】左側の縦送りクラッチの縦送り位置調整説明図。
【図16】左側の縦送りクラッチの接続状態断面説明図(a)、左側の縦送りクラッチの切断状態断面説明図(b)。
【図17】右側の縦送りクラッチの分解斜視説明図。
【図18】右側の縦送りクラッチの分解側面説明図。
【図19】右側の縦送りクラッチの縦送り位置調整説明図。
【図20】走行部の動力伝達説明図。
【図21】移植部の動力伝達説明図。
【図22】移植ユニットの側面説明図。
【図23】移植ユニットの平面説明図。
【図24】昇降調節機構の側面説明図。
【図25】昇降調節機構の平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図3に示すAは、本発明に係る乗用型の苗移植機である。苗移植機Aは、図1〜図3に示すように、牽引車としての走行部1の後方に昇降機構部2を介して移植部3を昇降自在に取り付けている。そして、かかる苗移植機Aは、複数(本実施形態では2条)の苗の移植作業を行うことができるようにしている。
【0019】
〔走行部1〕
走行部1は、図1〜図3に示すように、下部体11に上部体12を載設して構成している。そして、下部体11は、図4にも示すように、前部に配置したミッションケース13と、後部に配置したリヤアクスルケース14との間に、前後方向に伸延する連結フレーム15を介設して形成している。ミッションケース13の左右側壁部よりそれぞれ外側下方へ左右方向に伸延する軸ケース16,16を延設し、各軸ケース16,16の外側端部より下方へ上下方向に伸延するフロントアクスルケース17,17を延設し、各フロントアクスルケース17,17の外側下端部に前車軸18,18を介して左右一対の前車輪19,19を取り付けている。リヤアクスルケース14の左右外側端部には後車軸20,20を介して左右一対の後車輪21,21を取り付けている。連結フレーム15は、断面四角形状でかつ前後方向に直状に伸延するパイプ状に形成している。連結フレーム15上には原動機部としてのエンジン22を搭載している。
【0020】
図20に示すように、エンジン22とミッションケース13は第1伝動機構150を介して連動連結している。ミッションケース13とリヤアクスルケース14は第2伝動機構160を介して連動連結している。ミッションケース13と移植部3の動力取り入れ部710は第3伝動機構170を介して連動連結している。
【0021】
第3伝動機構170の中途部には、図2及び図20に示すように、クラッチケース130を設けるとともに、クラッチケース130は下部体11の右側後部に配設している。クラッチケース130内には、植付クラッチ145を具備するクラッチ機構141と株間調節機構142と移植部動力取出機構143と施肥装置動力取出機構144を連動連結して配設している。
【0022】
支持枠体25上には、図1〜図3に示すように、上部体12を被覆状に張設している。そして、そして、上部体12の前部にはハンドルコラム35を介してハンドル31を配設している。上部体12の中途部には運転席45を載置しており、運転席45はハンドルコラム35の周囲を被覆しているカバー体44の後方に配置している。上部体12の後部には扁平なステップ部46を形成して、ステップ部46をセルトレイ排出台となしている。
【0023】
次に、図20を参照しながら走行部1の動力伝達構造について説明する。エンジン22には第1伝動機構150を介してミッションケース13を連動連結している。第1伝動機構150はエンジン22の駆動軸23とミッションケース13に設けた入力軸900との間にプーリ901,902を介して伝動ベルト903を巻回して形成している。
【0024】
ミッションケース13には可変斜板を有する油圧ポンプ910と油圧モータ911からなる静油圧式無段変速機912を設けている。油圧ポンプ910は入力軸900に連動連結している。油圧モータ911は油圧ポンプ910に流体接続し、出力軸913に主変速機構914を連動連結している。915は主クラッチ、916は主変速軸である。主変速軸916には左右方向に伸延する前車輪伝動軸917を連動連結し、前車輪伝動軸917の左右側端部にフロントアクスル918,918と前車軸18,18を介して左右一対の前車輪19,19を連動連結している。
【0025】
ミッションケース13の左側部には前後方向に軸線を向けた動力出力軸919を設けている。動力出力軸919は、基端部を主変速軸916に連動連結するとともに、先端部を後方に突出させて、リヤアクスルケース14から前方に突出させた動力入力軸920に第2伝動機構160を介して連動連結している。第2伝動機構160は前後方向に伸延する伝動シャフトで形成している。
【0026】
リヤアクスルケース14には左右方向に伸延する後車輪伝動軸921を設けている。動力入力軸920の基端部に後車輪伝動軸921の中途部を連動連結するとともに、後車輪伝動軸921の左右側部にリヤアクスル922,922と後車軸20,20を介して左右一対の後車輪21,21を連動連結している。923はサイドクラッチである。
【0027】
ミッションケース13の右側後部には前後方向に軸線を向けたPTO軸930を設けている。PTO軸930は、基端部を主変速機構914に連動連結した連動軸931に連動連結するとともに、先端部を後方に突出させて、後述する移植部3の動力取り入れ部710に第3伝動機構170を介して連動連結している。第3伝動機構170は、上流側伝動シャフト932と下流側伝動シャフト933とから形成している。
【0028】
そして、上流側伝動シャフト932は、PTO軸930の先端部とクラッチケース130に設けた第1伝動支軸146の基端部とを連動連結している。また、下流側伝動シャフト933は、クラッチケース130に設けた第2伝動支軸147の先端部と図21に示す動力取り入れ部710から前方へ突出させた動力取り入れ軸711の先端部とを連動連結している。下流側伝動シャフト933は、中折れ自在かつ伸縮自在に形成している。
【0029】
〔昇降機構部2〕
昇降機構部2は、図2に示すように、支持枠体25の後部を形成する背面視門型の昇降機構支持体24に上下回動自在に取り付けている。昇降機構部2は、図4にも示すように、前後方向に伸延するトップリンク片180と左右一対のロワリンク片181と後端部連結片182と単動式の昇降シリンダ183とから構成している。
【0030】
このように構成して、昇降シリンダ183に圧油を供給することで、昇降シリンダ183を単縮作動させて後端部連結片182を上昇させる一方、昇降シリンダ183に供給した圧油を排出させることで伸長作動させて、昇降機構支持体24に連結した移植部3を自重により下降させるようにしている。
【0031】
〔移植部3〕
移植部3は、図1〜図7に示すように、支持機枠110内の前部に横送り枠体128を介して苗を供給する左右一対の苗供給手段200,200を配設している。支持機枠110内の後部には左右一対のユニット機枠380,380を介して移植ユニット390,390を配設している。移植ユニット390は苗供給手段200から苗を取り出す苗取手段400と、苗取手段400の下方に配設して苗取手段400が取り出した苗を受けて圃場に植付ける植付手段500とから形成している。
【0032】
支持機枠110は、平面視四角形枠状に形成した枠体120と、枠体120の前部に前高後低の傾斜状に立設した背面視門型の立ち上がり枠体127と、立ち上がり枠体127に左右幅方向に往復移動自在(左右横送り自在)に載置した横送り枠体128とから形成しており、横送り枠体128に苗供給手段200を取り付けている。
【0033】
枠体120の左側部には変速ギヤケース121を着脱自在に連結して、変速ギヤケース121を介して走行部1に配設したエンジン22からの動力を横送り枠体128に取り付けた苗供給手段200に伝動するようにしている。枠体120の右側部には上下方向に伸延する板状の軸支持体122を架設して、左右に対向する前記変速ギヤケース121と軸支持体122との間に左右方向に伸延する縦送り軸123を横架している。また、左右に対向する前記変速ギヤケース121と枠体120の右側部に設けた軸支持ブラケット124との間に左右方向に伸延する横送り軸125を縦送り軸123と平行させてその下方に横架している。
【0034】
各苗供給手段200は、図6及び図7に示すように、上下方向に伸延する苗載台210と、苗載台210の下方に配設した縦送り機構211とを具備している。そして、右側の苗供給手段200には縦送り軸123に縦送りカム126を介して連動連結した縦送り駆動機構212を設けている。縦送り駆動機構212には左右方向に伸延する縦送り駆動軸213の右側端部を連動連結している。
【0035】
そして、図8及び図9に示すように、苗載台210上にセル苗を収容するセル215を縦横に整然と形成したセルトレイ214を載置して、セルトレイ214を縦送り機構211まで滑動移動させるようにしている。各苗供給手段200、延いては、各苗供給手段200に載置したセルトレイ214は、セル215のピッチ毎に横送り軸125を介して横移動させるとともに、各苗供給手段200に載置したセルトレイ214は、セル215のピッチ毎に縦送り軸123を介して上方から下方へ間欠的に縦移動させるようにしている。
【0036】
苗供給手段200をより具体的に説明する。すなわち、苗供給手段200の苗載台210は、図6及び図7に示すように、複数枚のセルトレイ214を直列的に載置可能とすべく上下方向に伸延する板状の苗載台本体220と、苗載台本体220の左右側縁部に沿わせて上下方向に伸延させ、かつ、苗載台本体220の表面から突出状に形成した左・右側ガイド部221,221とを具備している。
【0037】
そして、苗載台210は、横送り枠体128に前高後低の傾斜姿勢で取り付けており、セルトレイ214の左右側縁部が左・右側ガイド部221,221の上面に載置されるとともに、苗載台本体220上にセル215が配置されて、左・右側ガイド部221,221間にセルトレイ214が横架された状態にてセルトレイ214が左・右側ガイド部221,221に沿って自重で下方へ滑動するようにしている。
【0038】
苗載台210には、図6〜図9に示すように、セルトレイ214の下面に当接してセルトレイ214の下方への滑動を抑制する滑動抑制体230を配設している。すなわち、滑動抑制体230は、図8及び図9に示すように、溝部217の下部幅と略同一外径を有するステンレス製の管状に形成しており、苗載台本体220の長手方向に伸延させて形成して、苗載台本体220の上面の左右幅方向の略中央部位置に配設している。滑動抑制体230にはその伸延方向に沿って断続的に複数個の膨出部を形成している。本実施形態では、苗載台本体220から上方へ膨出する第1・第2膨出部231,232を形成するとともに、第1・第2膨出部231,232はセルトレイ214の下面に当接してセルトレイ214の下方への滑動を抑制するようにしている。
【0039】
第1・第2膨出部231,232は、セルトレイ214の下面において左右方向に隣接するセル215,215同士の間に形成される溝部217に嵌入させるとともに、少なくとも左右方向に隣接するセル215,215の側面に当接するようにしている。そして、滑動抑制体230に断続的に形成した第1・第2膨出部231,232は、それぞれ苗載台本体220から上方へ膨出する最大の膨出幅W1,W2を異ならせている。
【0040】
つまり、滑動抑制体230は、苗載台本体220の表面に当接させた上端部233から苗載台本体220に沿って伸延方向(下方向)に伸延させるとともに、漸次苗載台本体220から漸次離隔させて形成し、膨出幅(離隔幅)W1において苗載台本体220側に急激に接近させて、中途部234を苗載台本体220の表面に当接させて第1膨出部231を形成している。そして、中途部234から苗載台本体220に沿って伸延方向(下方向)に第1膨出部231の略2.5倍の伸延長さとなるまで伸延させるとともに、苗載台本体220から漸次傾斜状に離隔させて形成し、膨出幅(離隔幅)W2において下端部235を苗載台本体220側に湾曲させて第2膨出部232を形成している。P1は滑動方向である。
【0041】
膨出幅(離隔幅)W1においては、図9(a)に示すように、滑動抑制体230がセル215,215同士の上部に配置されて、セル215,215の側面をやや内方に押圧変形させている。したがって、この場合、セル215,215の側面の上部が滑動抑制体230に押圧されて滑動し、滑動抑制体230がセルトレイ214の自重による滑動に僅かに抵抗となって、セルトレイ214の滑動が僅かに抑制される。
【0042】
第2膨出部232の中途部においては、図9(b)に示すように、滑動抑制体230がセル215,215同士の下部に配置されて、セル215,215の側面を変形させることなくその側面に当接している。したがって、この場合、セル215,215の側面の下部が滑動抑制体230に当接して滑動し、自重による滑動がほとんど抑制されない。
【0043】
膨出幅(離隔幅)W2においては、図9(c)に示すように、滑動抑制体230がセル215,215同士の上端部に配置されて、セル215,215の側面を内方に押圧変形させている。したがって、この場合、セル215,215の側面の上端部が滑動抑制体230に押圧変形されて滑動し、滑動抑制体230がセルトレイ214の自重による滑動に大きな抵抗となって、セルトレイ214の滑動が大きく抑制される。そのため、一枚目のセルトレイ214が自重で滑動して縦送り機構211に衝突した際や、二枚目のセルトレイ214が自重で滑動して、その下端縁部が一枚目のセルトレイ214の上端縁部に衝突した際に、その衝撃でセルトレイ214中のセル苗がセルトレイ214から脱落等して、苗移植に支障をきたすという不具合を回避することができる。
【0044】
このように構成して、苗載台本体220に配設した滑動抑制体230がセルトレイ214の下面に当接してセルトレイ214の下方への滑動を抑制するため、セルトレイ214が自重により苗載台本体220上を落下状態に勢いよく滑落するという不具合を解消することができる。つまり、セルトレイ214を苗載台本体220上にて緩やかに滑動させることができる。そのため、特に、二枚目のセルトレイ214が一枚目のセルトレイ214に衝突して、その際の衝撃でセルトレイ214中のセル苗がセルトレイ214から脱落等するという不具合の発生を防止することができる。そして、作業者が二枚目のセルトレイ214を保持しながら一枚目のセルトレイ214に接続するまで案内しなければならないという煩雑さもなくなる。
【0045】
滑動抑制体230を苗載台本体220の上面の左右幅方向の中央部位置に配設して、滑動抑制体230に苗載台本体220から上方へ膨出する第1・第2膨出部231,232を形成しているため、第1・第2膨出部231,232によりセルトレイの左右方向の位置決めがなされる。しかも、第1・第2膨出部231,232はセルトレイ214の下面に当接してセルトレイ214の下方への滑動を抑制するようにしているため、セルトレイ214が自重により苗載台本体220上を落下状態に滑落するのを堅実に防止することができる。
【0046】
セルトレイ214の下面に形成された溝部217に第1・第2膨出部231,232を嵌入させているため、第1・第2膨出部231,232によりセルトレイ214の左右方向の位置決めがなされるとともに、第1・第2膨出部231,232を少なくとも左右方向に隣接するセル215,215の側面に当接させることができる。つまり、第1・第2膨出部231,232を左右方向に隣接するセルの側面216,216に面接触させることができる。そのため、第1・第2膨出部231,232によるセルトレイ214への滑動抑制効果(ブレーキ効果)を堅実に確保することができる。
【0047】
セル苗を収容したセルトレイ214全体の重量がセル苗の種類によって異なるが、第1・第2膨出部231,232を断続的に複数個形成することで、第1・第2膨出部231,232による滑動抑制効果(ブレーキ効果)が過剰に生起されて、セルトレイ214の滑動が阻害されるという不具合の発生を防止することができる。
【0048】
セル苗を収容したセルトレイ214全体の重量がセル苗の種類によって異なるが、断続的に複数個形成した第1・第2膨出部231,232の苗載台本体220から上方へ膨出する最大の膨出幅W1,W2をそれぞれ異ならせている(膨出幅W1<膨出幅W2)ため、全てのセルトレイ214への第1・第2膨出部231,232による対応範囲を広くすることができて、第1・第2膨出部231,232による滑動抑制効果(ブレーキ効果)が堅実に確保される。また、苗載台本体220の伸延方向に沿わせて膨出幅に漸次変化を持たせることで、第1・第2膨出部231,232が全てのセルトレイ214の滑動位置に応じて堅実に当接するようにして、第1・第2膨出部231,232を全てのセルトレイ214に幅広く対応させることができる。そのため、第1・第2膨出部231,232による滑動抑制効果(ブレーキ効果)を堅実に確保することができる。
【0049】
滑動抑制体230の下端部235から縦送り機構211の上面側の終端部までは、規制体240を滑動抑制体230の延長方向に伸延させて配置している(図1参照)。規制体240は上下方向に細幅の薄肉帯状板に形成して、規制体240がセルトレイ214の中央部の溝部217内に嵌入されるようにしている。規制体240の肉厚はセルトレイ214の中央部の溝部217の左右幅よりも短幅に形成して、セル215,215の接続部が規制体240の上端面上を摺動するようにしている。このように構成して、規制体240はセルトレイ214の横ずれを規制するだけで、セルトレイ214の滑動を抑制しないようにしている。
【0050】
縦送り機構211は、縦送り駆動機構212に右側端部を連動連結して左右方向に伸延する縦送り駆動軸213と、縦送り駆動軸213の前上方位置に配置されて縦送り駆動軸213と平行状態に対向する縦送り従動軸951と、各軸213,951にそれぞれ同軸的に取り付けた左右一対のスプロケット952,952,953,953と、各軸213,951間に対向するスプロケット952,953同士間に巻回した左右一対の伝動チェン954,954と、伝動チェン954,954間において縦送り方向に間隔を開けて横架した複数の縦送り係合片955を備えている。左側の縦送り従動軸951の左側端部には左側操作用ノブ372を取り付ける一方、右側の縦送り従動軸951の右側端部には右側操作用ノブ373を取り付けている。
【0051】
このように構成して、縦送り駆動軸213によりスプロケット952,952,953,953を介して伝動チェン954,954がセル215のピッチ毎に間欠的に縦送り駆動されるようにしている。つまり、伝動チェン954,954間に横架された縦送り係合片955が、横架姿勢のまま縦送り移動するようにしている。この際、セル215を縦横に整然と形成したセルトレイ214の下面には、左右方向に直状に伸延する溝部217が多数形成されており、溝部217には伝動チェン954,954間に横架された縦送り係合片955が嵌入されるとともに、セル215の背面に縦送り係合片955が係合されて、セルトレイ214が縦送り移動される。
【0052】
苗供給手段200には、図8,図10及び図11に示すように、セル苗が全て取り出された空のセルトレイ214を下端部である縦送り機構211の終端部から折り返し状に苗供給手段200の下面側に搬出して回収されるようにした空セルトレイ回収機構244を設けている。
【0053】
空セルトレイ回収機構244は、苗供給手段200の下面側に搬出された空のセルトレイ214を走行部1に配設した運転席45の近傍位置まで搬出されるようにしている。走行部1には上部体12の後部、つまり、運転席45の左右側後方位置に扁平なステップ部46を略水平に張設し、ステップ部46上に左右一対の空セルトレイ回収機構244からそれぞれ搬出された空のセルトレイ214,214が載置されるようにして、ステップ部46をセルトレイ排出台となしている。
【0054】
縦送り機構211の終端部から折り返し状に苗供給手段200の下面側に搬出された空のセルトレイ214は、苗供給手段200の下面に沿って搬出されて、運転席45の近傍位置まで搬出される前は、上方向からのみ回収可能としている。ステップ部46上に搬出された空のセルトレイ214は、少なくともその一部が運転席45に着座して前方を向いたまま走行操作する作業者の両眼の視野内に配置されるようにしている。ここで、作業者の両眼の視野は一般的に最大200度とされており、運転席45に着座した作業者の左右側後方位置まである。本実施形態では運転席45の左右側方近傍位置に空のセルトレイ214,214の前端縁部が位置するようにしている。したがって、作業者は運転席45に着座したまま空のセルトレイ214,214を回収することができる。
【0055】
より具体的に空セルトレイ回収機構244を説明すると、空セルトレイ回収機構244は、苗載台210から縦送り機構211の上面側終端部まで案内する上面側案内部246と、上面側案内部246の後下方に配置して縦送り機構211の終端縁部に沿わせて空のセルトレイ214,214を反転させる反転案内部247と、反転案内部247により反転案内された空のセルトレイ214,214を苗載台210の背面(下面)側に沿わせて走行部1のステップ部46よりも上方位置まで直状に搬出案内する上方搬出案内部248と、上方搬出案内部248により走行部1のステップ部46よりも上方位置まで搬出案内された空のセルトレイ214,214を前下方に位置するステップ部46の後端部近傍位置まで円弧状に搬出案内する前下方搬出案内部249を具備している。
【0056】
上面側案内部246は、苗載台210の左・右側ガイド部221,221の上部と反転案内部247との間に、上下方向に伸延する左右一対の上面側案内ロッド250,250を架設して、上面側案内ロッド250,250をセルトレイ214,214の左右側縁部の直上方位置に配置している。そして、セルトレイ214の左右側縁部の下面を支持する左・右側ガイド部221,221と、セルトレイ214の左右側縁部の直上方位置に配置した左右一対の上面側案内ロッド250,250に、縦送り機構211の上面側終端部までセルトレイ214が案内されるようにしている。251は上面側案内ロッド250の上端を支持する第1支持体、252は上面側案内ロッド250の上端部を支持する第2支持体、253は縦送り機構211に配設した上面側案内片254に設けて上面側案内ロッド250の下部を支持する第3支持体である。245は中央部案内ロッドであり、中央部案内ロッド245は反転案内部247の上面側中央部から縦送り機構211の中途部まで伸延させて、セルトレイ214の上面中央部を下方へ案内するようにしている。
【0057】
反転案内部247は、左・右軸支体260,261を介して縦送り駆動軸213を軸支する左右一対の軸支持板体262,263と、軸支持板体262,263の後端縁部の上下部にそれぞれ横架した連結桿体264,265と、連結桿体264,265間の左右側部と中央部に架設した弧状案内体266,267,268を具備している。軸支持板体262,263は、前部に縦送り駆動軸213を嵌入させる切欠孔269,270を形成し、後端縁部を縦送り機構211のスプロケット952の外径にほぼ沿わせた円弧状に形成している。
【0058】
弧状案内体266,267,268の後端縁部は軸支持板体262,263の後端縁部にほぼ沿わせた円弧状に形成している。弧状案内体266,267,268の前端縁部は縦送り機構211のスプロケット952の外径にほぼ沿わせた円弧状に形成している。そして、縦送り機構211により縦送りされるセルトレイ214は、弧状案内体266,267,268の上端縁部に沿って屈曲されながら上方搬出案内部248側に反転(Uターン)されるようにしている。P2は反転方向である。
【0059】
上方搬出案内部248は、上下方向に伸延する左右一対の針金状の下側案内線材271,272を配設するとともに、下側案内線材271,272間に配設して上下方向に伸延する針金状の上側案内線材273を具備している。
【0060】
苗載台210の背面側中途部と軸支持板体262,263の上部との間に線材組支持枠体274を架設している。線材組支持枠体274は、苗載台210の背面側中途部に左右方向に伸延する左右伸延支持片275を連設し、左右伸延支持片275の左右側端部から線材である左右一対の支持本体276,277を一定幅だけ前方に伸延し、そこから先端部を後下方に屈曲させて屈曲部278,279を形成するとともに、軸支持板体262,263の上部まで伸延させて、軸支持板体262,263の上部に支持本体276,277の先端部を取り付けている。
【0061】
屈曲部278,279間にはステー280,281を介して左右方向に伸延する線材である上部支持片282を架設している。支持本体276,277の中途部には支持アーム283,284を前下方へむけて突出させて、支持アーム283,284の先端部間に左右方向に伸延する線材である中途部支持片285を架設している。反転案内部247に設けた下部の連結桿体265の左右側部に突片286,287を前方へ突出させている。
【0062】
下側案内線材271,272は、上部支持片282に上端部を連結し、中途部支持片285に中途部を連結し、突片286,287に下端部を連結している。上側案内線材273は、左右伸延支持片275の中央部に上部連結片290を介して上端部を連結し、支持本体276,277の中途部間に横架した横架片291の中央部に下端部を連結している。
【0063】
そして、上側案内線材273の中途部292は前方に膨出させるとともに、下側案内線材271,272の直後方位置において、中途部292を下側案内線材271,272と側面視で上下方向に平行させて配置している。上方搬出案内部248では、下側案内線材271,272が空のセルトレイ214,214の左右側部を下方から支持して前上方へ搬出案内するとともに、上側案内線材273が空のセルトレイ214,214の中央部の上方位置において前上方へ搬出案内するようにしている。
【0064】
前下方搬出案内部249は、支持本体276,277の屈曲部278,279に設けたステー280,281より前方の走行部1に張設したステップ部46の近傍位置まで前下方伸延アーム293,294を前下方へ向けて伸延させ、前下方伸延アーム293,294の先端部間に前端横架片297を横架し、前端横架片297に下側案内線材271,272の上端部から上方へ凸状に湾曲させて形成した左右一対の前下方案内線材295,296の先端部を連結している。
【0065】
そして、上方搬出案内部248により走行部1のステップ部46よりも上方位置まで搬出された空のセルトレイ214は、そこから前上方へ人為的に引き出すこともできるが、そのままにしておくと、縦送り機構211により縦送り作用を受けて反転案内部247を反転搬出案内される後続の空のセルトレイ214が、先行する空のセルトレイ214を押し上げるとともに、前下方案内線材295,296に沿わせて前下方へ搬出させる。P3は搬出方向である。その結果、前下方案内線材295,296に沿って前下方へ搬出案内された空のセルトレイ214は、走行部1のステップ部46上に搬出されるとともに、後続の空のセルトレイ214に押されて、前方を向いて運転席45に着座した作業者の視界範囲内である左右側後方位置まで空のセルトレイ214の前端縁部が搬出される。
【0066】
このように構成することで、運転席45に着座して走行操作している作業者が運転席45から離座して空のセルトレイ214が搬出されている苗供給手段200の下面側まで移動して、空のセルトレイ214を一枚ずつ回収する必要性がない(煩雑さがない)。そして、空のセルトレイ214を回収する際に、走行部1を逐一停止させる必要性がない。その結果、作業能率を向上させることができる。
【0067】
そして、固定状態のステップ部46上に搬出された空のセルトレイ214が配置されるため、空のセルトレイ214の回収作業を容易かつ安全に行うことができる。横風が吹いている時等、運転席45の近傍位置まで搬出されると支障となる場合でも、その前に回収することにより、空のセルトレイ214を堅実に回収することができる。作業者が運転席45に着座して前方を向いたまま走行操作している際にも、そのままの姿勢で空のセルトレイ214が搬出されたのを視認することができる。そのため、作業者は逐一後方を視認する必要性がなくなって、苗移植作業の安全性と能率性を向上させることができる。
【0068】
各縦送り機構211は、縦送り駆動軸213に同軸的に連動連結するとともに、縦送り駆動軸213にその駆動を接続・切断する縦送りクラッチ300,301をそれぞれ設けている。各縦送りクラッチ300,301は、筒状軸体と駆動軸本体を切断させた状態では、その状態に仮止め可能となしている。各縦送りクラッチ300,301には、セルトレイ214の縦送り位置を調整するための縦送り位置調整機構302,303を設けている。
【0069】
縦送り駆動軸213は、図12に示すように、一側部(本実施形態では右側部)を動力入力側となして直状に伸延する駆動軸本体と、駆動軸本体の他側部に外嵌した筒状軸体とを具備し、筒状軸体に他方(本実施形態では左方)の縦送り機構211を連動連結するとともに、筒状軸体と駆動軸本体との間に左方の縦送りクラッチ300を介設している。左方の縦送りクラッチ300は、筒状軸体と駆動軸本体のいずれか一方と連動連結するとともに、いずれか他方と一定の角度でのみ係脱自在に係合させて、筒状軸体と駆動軸本体を接続・切断可能となしている。
【0070】
より具体的に説明すると、縦送り駆動軸213は、図10及び図12に示すように、左側の苗供給手段200に固設した左右一対の軸支持板体262,263に左・右軸支体260,261を介して左側半部を支持するとともに、右側の苗供給手段200に固設した左右一対の軸支持板体262,263に左・右軸支体260,261を介して右側半部を支持している。右側の苗供給手段200の右軸支体261は縦送り駆動機構212の縦送り駆動ケース310に左右に貫通させて形成しており、右軸支体261には左右方向に伸延する筒状支軸311をその軸線廻りに回転自在に軸架し、筒状支軸311に縦送り駆動軸213の右側端部である右側軸312をその軸線廻りに回転自在に挿通している。
【0071】
縦送り駆動軸213は、左右方向に伸延する駆動軸本体としての左側軸313と、左側軸313の外周に外嵌して同心円的に回転する筒状軸体としての筒状の左側スプロケット支軸314と、左側スプロケット支軸314に連動体315を介して左側軸313を接続・切断する左方の縦送りクラッチ300と、左側軸313の右側端部にスプライン嵌合してスライド位置調節自在とした筒状の連動連結体316と、連動連結体316の右側端部に同軸的にした連動連設した筒状の右側スプロケット支軸317と、右側スプロケット支軸317の右側端部に嵌入して連設した右側軸312を具備している。左・右側スプロケット支軸314,317の外周には、それぞれ左右一対のスプロケット952,952,952,952を取り付けている。
【0072】
左方の縦送りクラッチ300は、図13〜図16に示すように、左側軸313の左側端部に軸線方向に摺動自在に取り付けるクラッチ本体320と、クラッチ本体320に設けた鍔状の取付フランジ321と、取付フランジ321に同一軸線廻りに調整可能に取り付けた調整板322と、調整板322の中央部に形成した嵌合孔323が外嵌する嵌合突部324を有する連動体315とを具備する。
【0073】
クラッチ本体320は、筒状に形成して内周面の中央部にスプライン雌ネジ部325を形成し、スプライン雌ネジ部325を左側軸313の左側端部外周面に形成したスプライン雄ネジ部326にスプライン嵌合させて、軸線方向に摺動自在となしている。スプライン雄ネジ部326を形成した左側軸313の先端部には段付き小径部327を形成し、左側軸313の端面にはスプリング受け板328を固定ボルト329により固定している。段付き小径部327の外周に押圧スプリング330を巻回し、スプリング受け板328の外周面部に押圧スプリング330の左側端部を当接させるとともに、スプライン雌ネジ部325の端面部に押圧スプリング330の右側端部を当接させている。
【0074】
クラッチ本体320のスプライン雄ネジ部326を形成した位置には半径方向に仮止め体331を挿通している。仮止め体331の先端部には係合ボール332を左側軸313の外周面側に弾性体(図示せず)により押圧付勢している。クラッチ本体320のスプライン雌ネジ部325よりも右側部の内周面には段付き大径孔部333を形成している。338はスプライン雄ネジ部326の右側部に係合させた抜け止めリングである。
【0075】
クラッチ本体320の左側部外周面には把持操作用の括れ部337を形成して、括れ部337を把持してクラッチ本体320を押圧スプリング330の付勢に抗して左側外方へ摺動操作し、段付き小径部327の外周に係合ボール332を係合させて、後述する連動体315の略四角形外周面部342から調整板322の嵌合孔323が嵌合解除された位置(クラッチ切断位置)にて仮止めされるようにしている(図16(b)参照)。
【0076】
また、クラッチ本体320を右側方へ押し込むことで、係合ボール332をスプライン雄ネジ部326上に移動させて、後述する連動体315の周面を略正方形外周面に面取り形成した嵌合突部324が調整板322の嵌合孔323に嵌合された位置(クラッチ接続位置)にて仮止め解除されるようにしている(図16(a)参照)。クラッチ本体320の右側端部外周面には取付フランジ321を取り付けており、取付フランジ321の外側端部にはクラッチ本体320の軸芯を中心とする同心円上に一対の円弧調整孔334,334を形成している。
【0077】
調整板322は中央部に略正方形の嵌合孔323を形成し、外側部に円弧調整孔334,334に挿通する挿通ボルト335,335を突設して、挿通ボルト335,335の先端部に雌ネジ部336,336を螺着している。そして、雌ネジ部336,336を弛めることで、調整板322と取付フランジ321との軸線廻りの相対位置を変更可能として、嵌合孔323と左側軸313との軸線廻りの相対位置を調整することができるように、後述する左側の縦送り位置調整機構302を形成している。
【0078】
連動体315は、筒状に形成して、左軸支体260に右側半部340を回転自在に挿通している。左側半部にはクラッチ本体320の段付き大径孔部333の内周面形状に外周面形状を整合させて嵌入可能に形成した円形外周面部341と、円形外周面部341の右側に隣接させて調整板322の嵌合孔323の内周面形状に外周面形状を整合させて嵌合可能に形成した略正方形外周面部となした嵌合突部324と、略正方形外周面部342の右側に隣接させて形成した円形鍔状の調整板部343と、調整板部343の右側に隣接させて形成した抜け止めC型リング係合溝344を具備している。345は抜け止めC型リング係合溝344に係合させた抜け止めC型リングである。
【0079】
左側の縦送り機構211に設けた縦送り係合片955をセルトレイ214の最先端側の溝部217に係合させる際には、左側の縦送りクラッチ300を切断状態に仮止めして、同状態にて縦送り従動軸951の左側端部に取り付けた左側操作用ノブ372を適宜正逆回転させることにより、縦送り係合片955を所望の位置にセットする。
【0080】
この際、縦送り係合片955を係合させるセルトレイ214の最先端側の溝部217の位置と、セルトレイ214の最先端側のセル215に向かって進出する左右一対の苗取爪410,410の進出位置を調整する縦送り位置調整を行う場合には、縦送り位置調整機構302の雌ネジ部336,336を弛めて挿通ボルト335,335を円弧調整孔334,334中にて揺動自在となし、同状態にて縦送り係合片955とセルトレイ214のセット位置と、苗取爪410,410の進出位置を、左側操作用ノブ372を適宜正逆回転させて設定し、同状態にて調整板322の嵌合孔323を嵌合突部324に嵌入させた後に、挿通ボルト335,335に雌ネジ部336,336を締め付けて縦送り位置調整を行うとともに、クラッチ接続状態となす。
【0081】
ここで、スプロケット952に巻き掛けられる伝動チェン954の巻き掛け角度を90度毎に間隔をあけて、縦送り係合片955を多数配置しておけば、例えば、200穴のセルトレイ214と128穴のセルトレイ214では、隣接する縦送り係合片955,955間に、それぞれ5つのセル215と4つのセル215が収容されることになって、両方の種類のセルトレイ214に対応できる。そのため、調整板322の嵌合孔323は正方形に形成して、その内周面形状に外周面形状を整合させて嵌合突部324を嵌合孔323に嵌合可能とすることで、クラッチ本体320と左側軸313との移相変位を90度毎に保持することができて、縦送り係合片955の配設位置を常に一定に保つことができる。
【0082】
右側の縦送りクラッチ301は、図12に示す縦送り駆動軸213の右側軸312に外嵌して同心円的に配設した筒状支軸311に取り付けている。そして、右側の縦送りクラッチ301により縦送り駆動軸213への動力の変速並びに動力の伝達を接続・切断可能としている。
【0083】
すなわち、右側の縦送りクラッチ301は、図17〜図19にも示すように、筒状支軸311の外周面に第1・第2変速ギヤ350,351を回転自在に取り付け、両変速ギヤ350,351間に配置して筒状支軸311の外周面にシフトギヤ352をスプライン嵌合し、シフトギヤ352の左右側部に設けた第1・第2外歯ギヤ353,354を、第1・第2変速ギヤ350,351の対向面にそれぞれ設けた第1・第2内歯ギヤ355,356に択一的に接続可能としている。つまり、第1内歯ギヤ355に第1外歯ギヤ353を接続させるか、又は、第2内歯ギヤ356に第2外歯ギヤ354を接続可能としている。
【0084】
そして、第1・第2変速ギヤ350,351の中間にシフトギヤ352を配置して、いずれの変速ギヤ350,351とも接続させない中立位置をクラッチ切断位置としている。シフトギヤ352には、シフター357とシフター支軸358を介して、クラッチレバーとしても機能するシフト操作レバー359を連動連結している。なお、シフト操作レバー359は第1変速位置と中立位置と第2変速位置とに仮止めする仮止め係止体(図示せず)に係止するようにしている。
【0085】
縦送り駆動軸213の右側軸312と筒状支軸311との間には右側の縦送り位置調整機構303を介設している。すなわち、右側の縦送り位置調整機構303は、縦送り駆動ケース310から外方へ突出させた筒状支軸311の右側端部の外周面に取付フランジ片361を取り付け、取付フランジ片361の外側端中央部に雌ネジ孔362を形成している。
【0086】
一方、筒状支軸311に挿通した右側軸312の右側端部363を略正方形断面形状に形成して、筒状支軸311の右側端面から右側方へ突出させ、右側軸312の右側端部363には調整体364を着脱自在に取り付けている。調整体364は右側軸312の右側端部363に着脱自在に取り付ける取付片365と、取付片365に連設した調整片366とから形成している。取付片365には右側軸312の右側端部363を挿通する略正方形挿通孔367と、略正方形挿通孔367に連通して下端部まで切欠した切欠孔368を形成し、取付片365には切欠孔368を横断するように締め付けボルト369を取り付けている。
【0087】
そして、締め付けボルト369を締め付けることにより、略正方形挿通孔367に挿通した右側軸312の右側端部363を連動連結している。調整片366には右側軸312の軸芯を中心とする同心円上に雌ネジ孔362と整合する円弧状の調整孔370を形成している。調整孔370中に調整ボルト371を挿通して、調整ボルト371を雌ネジ孔362に螺着することで、取付フランジ片361に調整体364を連結可能としている。そして、調整ボルト371を弛めることで、調整体364と取付フランジ片361との軸線廻りの相対位置を変更可能として、筒状支軸311と右側軸312との軸線廻りの相対位置を調整することができるように、右側の縦送り位置調整機構303を形成している。
【0088】
右側の縦送り機構211に設けた縦送り係合片955をセルトレイ214の最先端側の溝部217に係合させる際には、右側の縦送りクラッチ301を中立位置に仮止めして、同位置にて縦送り従動軸951の右側端部に取り付けた右側操作用ノブ373を適宜正逆回転させることにより、縦送り係合片955を所望の位置にセットする。
【0089】
この際、縦送り係合片955を係合させるセルトレイ214の最先端側の溝部217の位置と、セルトレイ214の最先端側のセル215に向かって進出する左右一対の苗取爪410,410の進出位置を調整する縦送り位置調整を行う場合には、縦送り位置調整機構303の調整ボルト371を弛めて、調整ボルト371を調整孔370中にて揺動自在となし、同状態にて縦送り係合片955とセルトレイ214のセット位置と、苗取爪410,410の進出位置を、右側操作用ノブ373を適宜正逆回転させて設定し、調整ボルト371を締め付けて縦送り位置調整を行う。
【0090】
ここで、略正方形挿通孔367を有する調整体364と、略正方形挿通孔367に挿通すべく略正方形断面に形成した右側軸312の右側端部363との移相変位は、90度毎に保持することができて、縦送り係合片955の配設位置を常に一定に保つことができる。
【0091】
図12及び図21に示すように、縦送り駆動機構212は、縦送り軸123の先端部に設けた縦送りカム126や固定カム961に当接する第1ローラ962やワンウェイカム963に当接する第2ローラ964やそれらに連動する縦送り駆動機構ギヤ群965等を備えている。
【0092】
このように構成して、左右の苗供給手段200,200の縦送り機構211,211にそれぞれ設けた縦送りクラッチ300,301を手動操作することで、苗載台210,210上にセルトレイ214,214を載置する際のセット作業、又は、苗載台210,210からセルトレイ214,214を取り外す取り外し作業を各苗供給手段200,200毎に行うことができる。この際、セルトレイ214,214のセット作業や取り外し作業は、各苗供給手段200,200毎に適宜行うことができるため、これらの作業を楽にかつ簡便に行うことができる。
【0093】
各苗供給手段200,200の縦送り機構211,211を同軸的に連動連結した縦送り駆動軸213に各縦送りクラッチ300,301をそれぞれ設けているため、各縦送りクラッチ300,301を切断動作させた後に、各苗供給手段200,200の縦送り機構211,211を手動操作することができる。つまり、各縦送りクラッチ300,301を操作する立ち位置において(移動することなく)、縦送り機構211,211も手動操作することができる。したがって、各苗供給手段200,200毎にセルトレイ214,214のセット作業や取り外し作業を楽にかつ簡便に適宜行うことができる。
【0094】
各縦送りクラッチ300,301を切断動作させて、同状態にて各苗供給手段200,200の縦送り機構211,211を手動操作しながら縦送り位置調整機構302,303を介してセルトレイ214,214の縦送り位置を簡便に調整することができる。この際、一つの苗供給手段200について、立ち位置を変えることなく、縦送りクラッチ300,301の手動操作と縦送り機構211,211の手動操作と縦送り位置調整作業を行うことができる。
【0095】
左側スプロケット支軸314と左側軸313との間に介設した他方(本実施形態では左方)の縦送りクラッチ300を切断動作させることで、左側スプロケット支軸314と左側軸313との接続を解除して、左側スプロケット支軸314に連動連結した左方の縦送り機構211を楽に手動操作することができる。したがって、左方の苗供給手段200において、セルトレイ214のセット作業や取り外し作業を楽にかつ簡便に適宜行うことができる。
【0096】
左方の縦送りクラッチ300を左側スプロケット支軸314と左側軸313のいずれかと一定の角度でのみ係脱させることで、左側スプロケット支軸314と左側軸313を接続・切断させることができる。ここで、一定の角度は、セルトレイ214と、そのセルトレイ214からセル苗を取り出す苗取爪410,410の相対位置関係を保持することができる角度として、セルトレイ214と苗取爪410,410の相対位置関係のズレを防止することができる。
【0097】
左方の縦送りクラッチ300により左側スプロケット支軸314と左側軸313を切断させた際には、その縦送りクラッチ300を切断状態に仮止めしておくことで、左方の縦送りクラッチ300から手を離すことができる。そのため、縦送り機構211を楽な姿勢で手動操作して、セルトレイのセット作業や取り外し作業を堅実に行うことができる。
【0098】
図21に示すように、枠体120の前側下部には、移植部3の入力軸として、左右幅方向に伸延する伝動軸700を横架している。伝動軸700には、走行部1のPTO軸930から動力を取り入れる動力取り入れ部710と、動力取り入れ部710の左右側方に配置して移植ユニット390,390に動力を出力する出力部720,720と、左側の移植ユニット390よりも左側方に配置して苗供給手段200,200と苗取手段400,400への動力を接続・切断する移植クラッチ部730を連動連設している。
【0099】
伝動軸700の左側端部には、苗取手段伝動軸760の左側端部を第1・第2スプロケット941,942を介して第1伝動チェン943により連動連結している。苗取手段伝動軸760は左右方向に伸延させて、左側のユニット機枠380の後端部の背後に横架しており、中途部を伸縮自在となして移植ユニット390,390の条間調節に適応できるようにしている。苗取手段伝動軸760の近傍には中間軸944を配置し、中間軸944の一側端部を第3スプロケット945を介して第1伝動チェン943に連動連結するとともに、中間軸944の他側端部と変速ギヤケース121から右側方へ突出させた入力軸940との間には第4・第5スプロケット946,947を介して第2伝動チェン948により連動連結している。入力軸940の中途部と基端部には、ギヤ変速機構154を介して横送り軸125の基端部を連動連結するとともに、ギヤ群155を介して縦送り軸123の基端部を連動連結している。
【0100】
ユニット機枠380は、図2,図4及び図5に示すように、枠体120の前部に左右スライド位置調節自在(条間調節自在)に取り付けたユニットステー391,391を介して取り付けている。すなわち、ユニット機枠380は、図22及び図23に示すように、左右一対の前後伸延片381,382と、両前後伸延片381,382の後端間に横架した左右伸延片383とから平面視U字状に形成しており、前下方へ突出状となしたユニットステー391,391の先端部に前後伸延片381,382の前端部を左右方向の軸線廻りに回動自在に枢支して連結している。そして、左側の前後伸延片381に苗取手段400を設ける一方、右側の前後伸延片382に植付手段500を設けて、移植ユニット390を形成している。
【0101】
苗取手段400は、左右一対の苗取爪410,410と、両苗取爪410,410を挟持作動させる苗取作動機構420を具備している。植付手段500は、前後一対の植付爪510,510と、両植付爪510,510を開閉作動させる植付作動機構520を具備している。苗取爪410と植付爪510は上下方向に近接させて配置するとともに、苗取作動機構420と植付作動機構520は両爪410,510を間に挟んで左右方向に対向させて配置している。
【0102】
植付手段500は、図22及び図23に示すように、右側の前後伸延片382の後部に入力部740を設けている。そして、図21に示すように、出力部720から後方へ向けて突出させた出力軸721と入力部740から前方へ突出させた入力軸741との間に、中折れ自在かつ軸線方向に伸縮自在の伝動シャフト750を介設している。
そして、入力部740の左側端部に植付作動機構520を連動連結している。すなわち、入力部740に左右方向に伸延する出力軸742を左方向に突出状態に設け、出力軸742の中途部に入力軸741の基端部を連動連結している。出力軸742の左側端部に植付作動機構520を連動連結している。また、苗取作動機構420を連動連結している出力駆動軸766と、左右方向に伸延する苗取手段伝動軸760の中途部との間には、第6・第7スプロケット767,768を介して伝動チェン769を巻回している。
【0103】
このように構成して、走行部1からの動力は、伝動軸700を介して植付手段500と苗供給手段200及び苗取手段400に振り分け状(並列的)に伝達可能とするとともに、変速ギヤケース121を介して苗供給手段200と苗取手段400とに振り分け状(並列的)に伝達可能としている。
【0104】
苗取作動機構420は、左側方へ突出させた出力駆動軸766に、苗取出ロータリケース440と苗取出クランクアーム450と開閉カム460と苗取出アーム470を介して、左右一対の苗取爪410を連動連結している。480はガイド孔を有するアームガイド体であり、ガイド孔に苗取出アーム470に設けた苗取出ガイドローラ490を摺動自在に嵌入させている。
【0105】
このように構成して、苗取作動機構420は、次のような苗取り出し作動をするようにしている。すなわち、出力駆動軸766に連動連結した苗取出ロータリケース440と苗取出クランクアーム450の回転動作に苗取出アーム470を連動させるとともに、苗取出アーム470をアームガイド体480のガイド孔に沿わせて苗トレイ中のセル苗を取り出す苗取り出し位置まで移動させる。そして、左右一対の苗取爪410の先端をセル苗に差し込むとともに、開閉カム460によって左右一対の苗取爪410の先端を近接させた挟持(閉)状態となしてセル苗を取り出す。続いて、苗取出アーム470をアームガイド体480のガイド孔に沿わせて植付爪510の直上方位置である苗取爪側受け継ぎ位置まで移動させる。そして、左右一対の苗取爪410の先端を開閉カム460によって離隔させた挟持解除(開)状態となしてセル苗を下方へ放出する。
【0106】
植付作動機構520は、入力部740の左側端部から左側方へ突出させた出力軸742の左側端部に、苗植付ロータリケース530と苗植付クランクアーム540と開閉カム体550と苗植付アーム560を介して、前後一対の植付爪510を連動連結している。570は上下方向に伸延するガイド溝を有する昇降ガイド体であり、ガイド溝に苗植付アーム560に設けた苗植付ガイドローラ580を摺動自在に嵌合させている。
【0107】
昇降ガイド体570は植付爪510に対して苗供給手段200の反対側に配置している。苗植付アーム560の先端部と基端部には、図22に示すように、開口部561,562,563を開口して可及的に軽量化を図っている。
【0108】
ユニット機枠380の左右伸延片383と枠体120の後部に設けた押圧付勢力調節手段590との間には連結リンク機構591を介設している。連結リンク機構591に設けたリンク支軸592と、枠体120の後部に設けた押圧付勢力調節ケース593との間には、上下方向に伸延するダンパー594を介設しており、押圧付勢力調節ケース593内に押圧付勢力調節手段590を配設している。ダンパー594はユニット機枠380の後部が上方へ押し上げられるのを抑制する機能を果たすものであり、押圧付勢力調節手段590は左右伸延片383を下方へ押圧する押圧力を調整する機能を果たすものである。
【0109】
押圧付勢力調節手段590は、連結リンク機構591に一端を連結したユニット押圧スプリング596と、ユニット押圧スプリング596の他端に連結してその押圧力を調節するレバー597と、調節したレバー597の中途部を係合すべく押圧付勢力調節ケース593の側壁に形成した調節用係合案内溝598とを具備している。
【0110】
このように構成して、植付作動機構520は、次のような苗植え付け(移植)作動をするようにしている。すなわち、出力軸742に連動連結した苗植付ロータリケース530と苗植付クランクアーム540の回転動作に苗植付アーム560を連動させるとともに、苗植付アーム560を昇降ガイド体570のガイド溝に沿わせてセル苗の受け継ぎ位置である植付爪側受け継ぎ位置まで上昇移動させる。
【0111】
この際、植付爪510は開閉カム体550によって前後一対の植付爪510,510を接合(閉)状態となして、上面が開口している植付爪510中にセル苗を受け取る。続いて、苗植付アーム560を昇降ガイド体570のガイド溝に沿わせて圃場土中の植え付け位置まで下降移動させる。そして、前後一対の植付爪510,510を開閉カム体550によって離隔させた開放(開)状態となしてセル苗を圃場土中に放出する。その後、前後一対の植付爪510,510は、初期位置まで上昇復帰しながら接合状態に復帰する。
【0112】
また、苗取爪410と植付爪510は上下方向に近接させて配置するとともに、苗取作動機構420と植付作動機構520は両爪410,510を間に挟んで左右方向に対向させて配置したことで、苗取爪410と植付爪510を可及的に近接配置することができて、苗取爪410から植付爪510へのセル苗の受け渡しが堅実となる。
【0113】
左右側の苗供給手段200,200及び移植ユニット390,390の下方には、図24及び図25に示すように、それぞれ昇降調節レバー800,800に連結した昇降調節機構810,810を介して昇降センサローラ820,820及び覆土輪830,830を配設している。
【0114】
すなわち、枠体120の前部には昇降調節レバー800の基端部を枢支し、昇降調節レバー800の基部に昇降調節機構810を介して昇降センサローラ820と覆土輪830を取り付けている。昇降調節機構810は枠体120の前部に垂下ブラケット811を取り付け、垂下ブラケット811に揺動支持体812を揺動自在に取り付け、揺動支持体812に上下方向に伸延する連結ロッド813を介して昇降調節レバー800の基部(下部)を連結する一方、揺動支持体812にローラ支持アーム814を介して昇降センサローラ820を取り付けるとともに、揺動支持体812に連動機構815を介して覆土輪830を取り付けている。連動機構815はユニット機枠380の左右側中途部にレバー体816を枢支し、レバー体816と揺動支持体812との間に前後方向に伸延する連動ロッド817を介設するとともに、レバー体816に覆土輪支持枠818を介して覆土輪830を取り付けている。
【0115】
840は昇降調節ガイド体であり、昇降調節ガイド体840を介して昇降調節レバー800により昇降センサローラ820と覆土輪830をそれぞれ有段階に昇降位置調節することができるようにしている。また、昇降センサローラ820は圃場の畝面の凹凸に沿って昇降動作するようにしており、その昇降動作と昇降シリンダ183への油圧回路を切り替える油圧バルブ(図示せず)とが連動ワイヤ(図示せず)を介して連動して、移植部3を適宜昇降させることで移植深さ(植付深さ)を一定に維持することができるようにしている。
【0116】
そして、少なくともいずれか一方の昇降センサローラ820,820が上昇動作すると、移植部3を昇降させるようにしている。また、昇降センサローラ820と覆土輪830は、ユニット機枠380に取り付けた昇降調節機構810を介して一体的にスライド位置調節することができるため、条間隔調節を行った際にも、昇降センサローラ820と覆土輪830の調節をする必要性がない。覆土輪830は植付爪510の直後方位置に配置して、放出されたセル苗(移植直後の苗)には覆土輪830により堅実に覆土がなされるようにしている。
【符号の説明】
【0117】
A 苗移植機
1 走行部
2 昇降機構部
3 移植部
200 苗供給手段
210 苗載台
211 縦送り機構
212 縦送り駆動機構
213 縦送り駆動軸
214 セルトレイ
244 空セルトレイ回収機構
246 上面側案内部
247 反転案内部
248 上方搬出案内部
249 前下方搬出案内部
300 左側の縦送りクラッチ
301 右側の縦送りクラッチ
302 左側の縦送り位置調整機構
303 右側の縦送り位置調整機構
390 移植ユニット
400 苗取手段
500 植付手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植部に配設した苗載台上に、セル苗を収容するセルを縦横に整然と形成したセルトレイを載置可能とした苗移植機の苗載台において、
苗載台にセルトレイの下面に当接してセルトレイの下方への滑動を抑制する滑動抑制体を配設したことを特徴とする苗移植機の苗載台。
【請求項2】
滑動抑制体は、苗載台の長手方向に伸延させて形成して、苗載台の上面の左右幅方向の中央部位置に配設し、滑動抑制体には苗載台から上方へ膨出する膨出部を形成するとともに、膨出部はセルトレイの下面に当接してセルトレイの下方への滑動を抑制するようにしたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機の苗載台。
【請求項3】
膨出部は、セルトレイの下面において左右方向に隣接するセル同士の間に形成される溝部に嵌入させるとともに、少なくとも左右方向に隣接するセルの側面に当接するようにしたことを特徴とする請求項2記載の苗移植機の苗載台。
【請求項4】
膨出部は、苗載台の長手方向に伸延させて形成した滑動抑制体に、その伸延方向に沿って断続的に複数個形成したことを特徴とする請求項3記載の苗移植機の苗載台。
【請求項5】
滑動抑制体に断続的に複数個形成した膨出部は、それぞれ苗載台から上方へ膨出する膨出幅を異ならせたことを特徴とする請求項4記載の苗移植機の苗載台。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−74834(P2013−74834A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216448(P2011−216448)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】