苗移植機
【課題】本発明では、自動苗移植機で、苗トレイに欠株が有ってもまんべんなく畝に苗を植え付けることが容易に行えるようにすることが課題である。
【解決手段】苗トレイ移動装置40上の苗トレイTからソイルブロック苗Sを抜き取り走行機体の左右略中央に設ける苗植付装置5へ供給する苗取装置43を供給作用位置Aから左右片側の非供給位置Bへ移動停止可能に設け、該苗取装置43を非供給位置Bへ移動停止して、作業者が苗トレイ移動装置40上の苗を手動により苗植付装置5へ供給可能にしてなる苗移植機の構成にした。
【解決手段】苗トレイ移動装置40上の苗トレイTからソイルブロック苗Sを抜き取り走行機体の左右略中央に設ける苗植付装置5へ供給する苗取装置43を供給作用位置Aから左右片側の非供給位置Bへ移動停止可能に設け、該苗取装置43を非供給位置Bへ移動停止して、作業者が苗トレイ移動装置40上の苗を手動により苗植付装置5へ供給可能にしてなる苗移植機の構成にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜等の苗を圃場に植付ける苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種従来例としては、例えば、特開2001−57805号公報に記載の如く、歩行型走行機体上に苗トレイを載置する苗供給装置と苗供給装置上の苗トレイから苗を取り出す苗取装置と苗を畝に植え付ける苗植付装置を備え、走行機体を走行させながら苗トレイの苗を自動的に畝へ植え付ける自動苗移植機が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−57805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の自動苗移植機は、作業者が苗を苗植付装置に供給する必要が無く、走行機体の操縦に専念できるために、作業が楽であるが、苗トレイの苗に欠株や成長不良の苗が有ると畝に植え付ける苗が疎らになり、再度手作業によって補植を行う必要が有る。また、自動苗移植機では規格外の大きな苗の場合には植え付けが行えない。
【0005】
そこで、本発明では、本発明では、自動苗移植機で、苗トレイに欠株が有ってもまんべんなく畝に苗を植え付けることが容易に行えるようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、苗トレイ移動装置40上の苗トレイTからソイルブロック苗Sを抜き取り走行機体の左右略中央に設ける苗植付装置5へ供給する苗取装置43を供給作用位置Aから左右片側の非供給位置Bへ移動停止可能に設け、該苗取装置43を非供給位置Bへ移動停止して、作業者が苗トレイ移動装置40上の苗を手動により苗植付装置5へ供給可能にしてなる苗移植機の構成にした。
【0007】
この構成で、通常の苗植付作業は、供給作用位置Sに移動した苗取装置43で苗トレイ移動装置40上の苗トレイTからソイルブロック苗Sを抜き取って苗植付装置5へ自動的に供給して畝への苗植付作業が全自動で行え、欠株の多い苗トレイTの場合には、苗取装置43を非供給位置Nにすることで、作業者が苗トレイTからソイルブロック苗Sを抜き取って苗植付装置5へ手動で供給して、ソイルブロック苗Sを畝にまんべんなく植え付けていくことが出来る。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、全自動で苗の植え付けを行ったり人手を介した半自動的な苗の植え付けを行ったりすることが苗取装置43の供給作用位置Sと非供給位置Nへの移動で簡単に行えて、欠株の多い苗トレイTであっても畝への苗植え付けが効率的に続行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】野菜移植機の全体左側面図である。
【図2】野菜移植機の全体平面図である。
【図3】走行部と植付部の連結部分の斜視図である。
【図4】接地センサ部の斜視図である。
【図5】苗取装置部の右側一部断面図である。
【図6】図5を上方から見た苗取装置部の平面図である。
【図7】苗載台の平面図である。
【図8】苗トレイ移動装置部の平面断面図である。
【図9】苗載台の作用説明用側断面図である。
【図10】苗載台の作用説明拡大平面図である。
【図11】苗載台の作用説明拡大正断面図である。
【図12】規制手段の作用説明拡大斜視図である。
【図13】油圧回路を示す概略平面図である。
【図14】苗植付装置の左側面図である。
【図15】苗植付装置の平面図である。
【図16】別実施例の苗植付装置の斜視図である。
【図17】野菜移植機に苗トレイ搬入装置を取り付けた側面図である。
【図18】別実施例の鎮圧輪の正断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の一実施例として苗移植機の一例である野菜移植機を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の一実施例の野菜移植機の側面図を示し、図2に平面図を示す。
【0011】
この野菜移植機1は、左右後輪2と左右前輪3からなる四輪を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4と苗植付装置5等からなる植付部1bで苗トレイT内の野菜のポット苗を畝Uの上面に植付ける構成となっている。
【0012】
以下、各部の構成について説明する。
走行部1aは、走行伝動装置が内装された走行部ミッションケース7の前部にエンジン9が配置されている。エンジン9の左側面部には該エンジン9の動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上部をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレーム13の背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6の前端部が回動調節自在に取り付けられており、操縦ハンドル6の左右グリップ6aは高さ調節できるようになっている。
【0013】
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右回動筒部15に左右走行伝動ケース16が一体に取り付けられ、その左右走行伝動ケース16の先端部に駆動走行車輪である左右後輪2が軸支されている。また、エンジン9の下側に前後方向のピボット軸を中心に揺動自在に設けた前輪支持フレーム17の左右両端部に左右前輪支持ロッド18が高さ調節可能に取り付けられ、該ロッド18の下端部に各々従動走行車輪である左右前輪3が軸支されている。
【0014】
走行部1aには機体に対し左右後輪2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、走行部ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニット20で制御される昇降シリンダ21が連結フレーム13から後方に向けて設けられ、該シリンダ21のピストンロッドの先端部に天秤杆22が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が連結フレーム13とメイフレーム14に取り付けた取付部材23とに支持されたガイド軸24に沿って摺動するようになっている。天秤杆22の左右両端部と、左右回動筒部15に固着した左右スイングアーム25とが、左右連結ロッド26を介して連結されている。左側の連結ロッド26は、ローリングシリンダ27が組み込まれており、該シリンダを伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
【0015】
昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27は、前記油圧ポンプ10から供給される作動油を油圧バルブユニット20内の制御バルブ20a,20b(図13)で各々制御して作動させられる。
【0016】
昇降シリンダ21を伸縮作動させると、左右の後輪2が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、左右の後輪2が逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0017】
植付部1bには、前記連結フレーム13の上面に走行部ミッションケース7内の伝動系から動力が伝達される伝動系を有する植付部ミッションケース30の下部が固着され、該植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース31の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース31の先端部に第二植付伝動ケース32の基部が固着されている。そして、第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32に後述する苗植付装置5の各作動機構が連結されており、この第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32にて苗植付装置5への植付駆動伝動系D1が構成されている。苗植付装置5の後記苗植付具42は、走行部1aの後部側に配置している。
【0018】
図3に示すように、植付部ミッションケース30の入力軸30aは該植付部ミッションケース30の下端部から前方に突出しており、これを走行部ミッションケース7のPTO取出部7aに挿入することにより、該PTO取出部内の走行部側の軸に伝動連結するようになっている。また、植付部ミッションケース30は、前記連結フレーム13にボルト35・・・によって着脱自在に取り付けられている。このため、ボルト35・・・を外し、PTO取出部7aから入力軸31aを抜くことにより、走行部1aから植付部1bごと取り外せることができ、植付部1bのメンテナンスが容易に行える。
【0019】
苗移植機の機体側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ、第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平方向に設けられている。この構成とすることにより、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースが確保されている。
【0020】
苗供給装置4は、植付部ミッションケース30の上方から機体前方に向けて配置されており、複数個のソイルブロック苗S(図5)を縦方向と横方向とに多数収容した苗トレイTを前側が高くなるように傾斜して載置支持すると共に、縦及び横方向に間欠移動する苗トレイ移動装置40と、この苗トレイ移動装置40の後方側に配置されていて苗取出爪41によって苗トレイTから苗を一つずつ取出して苗植付具42へと搬送する苗取装置43とから構成されている。
【0021】
なお、苗トレイTは、図7の平面図で示すように薄肉に形成されて可撓性を有するプラスチック製で、縦方向及び横方向に所定のピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部Pを有し、ポット部Pの開口縁部が互に平面状に連結されて成型されている。そして、ポット部Pに充填した床土に播種し育苗することで、ソイルブロック苗Sが育成されている。
【0022】
図5に示す苗取装置43の機体右側面図と図6に示す苗取装置43を上方から見た苗取装置43の平面図のように、苗取装置43は、前記苗取出爪41を具備すると共に、この苗取出爪41を駆動させる爪駆動機構44を有する。苗取出爪41は左右一対の先端が尖った丸棒材で構成されており、先端側ほど相互に近接するように設けられている。爪駆動機構44は、苗トレイTと苗植付具42との間で苗取出爪41を姿勢変更しながら往復駆動させるもので、一対の苗取出爪41が取付けられる爪支持体45と、一対の苗取出爪41の進退を案内する爪案内体46と、前記爪支持体45及び爪案内体46をそれぞれ長手方向往復動自在に支持する支持具47とを具備し、カバー301によって覆われている。
【0023】
メインフレーム14に基部が固定された連結フレーム48に溶接固定された板材からなる支持体49に取付けられた伝動ケース50のスライド支持部206に左右スライド可能に装着したスライドアーム205に支持部材65が固着され、この支持部材65に爪駆動機構44が設けられている。支持部材65は、スライドアーム205の左右スライドに伴って苗取出爪41を供給作用位置Sと非供給位置Nに移動する。なお、スライドアーム205の左右スライドは油圧シリンダによって行うが、図示を省略する。
【0024】
伝動ケース50の左右両側に突出する入力軸51は、後述の苗トレイ移動装置40の横移動軸105から伝動ケース53内の伝動チェン53aにて駆動力が伝動され、スライドアーム205の左右スライドと共に左右にスライドする。
【0025】
そして、苗取出爪41の供給作用位置Sと非供給位置Nへの切換は、操作パネル202に設ける自動切換スイッチ220(図2参照)で行えるようにし、さらに、操作パネル202に苗載台90の使用をオン・オフする苗載台使用スイッチ221を設け、この苗載台使用スイッチ221をオンすると苗載台90が左側に移動して苗トレイTの縦送りのみを行って、機体の左側を歩く作業者がソイルブロック苗Sを取り出し易くなるようにしている。なお、苗トレイTの縦送りは、適宜に駆動停止に出来るようにしても良い。
【0026】
なお、後述する苗取出爪41に苗トレイTの欠株を検出する欠株センサを設けて、抜き取るソイルブロック苗Sの数株手前側の株を監視し、欠株であることを検出すると苗取出爪41が自動で非供給位置Nに移動するようにしても良い。その際に、苗載台90の横移動速度をゆっくりと移動するようにして人手による苗供給を安全に行えるようにし、欠株部分を過ぎると再びもとの横移動速度にゆっくりと戻すようにする。
【0027】
苗取出爪41を供給作用位置Sにすることで、苗取出爪41が苗トレイTのソイルブロック苗Sを取り出して苗植付装置5へ供給する全自動苗移植機として機能し、苗取出爪41を非供給位置Nにすることで、苗取出爪41が邪魔にならずに、苗トレイTのソイルブロック苗Sを人手によって取り出して苗植付装置5へ供給する半自動苗移植機として機能することになる。
【0028】
尚、苗取出爪41を非供給位置Nにすると後述する苗載台90が左右中央に移動して縦送りと横送りが停止するようにすることで、機体の左右バランスが良くなり走行が安定する。
【0029】
前記入力軸51の伝動ケース50の右側に突出した先端にはクランク57が設けられ、このクランク57にクランクピン58が側方に突設され、また、入力軸51には、クランク57と同軸心で駆動カム59が設けられている。伝動ケース50の左側下部には、揺動アーム60の下部が揺動軸61を介して左右軸廻りに回動自在に枢結されており、この揺動アーム60の中途部には上下方向(アーム長手方向)に延びる溝カム62が形成され、この溝カム62には、クランク57のクランクピン58に外嵌されたローラ63が挿通係合されている。
【0030】
揺動アーム60の上部には支持具47がピン64を介して枢結され、この支持具47は、パイプ製の爪支持体45を軸方向移動自在に挿通案内する筒部47aを備えており、前記爪支持体45が苗トレイTに向かって出退可能とされている。また、この爪支持体45の先端部に、ポット部P内のソイルブロック苗Sのブロック土に斜め方向から突き刺される前記一対の苗取出爪41が取付けられている。
【0031】
また、伝動ケース50の上面には板状の支持部材65がボルトにより取付固定され、支持具47にはブラケット66を介して遊転自在にローラ67が取付けられ、このローラ67は、支持部材65に第一ピン68を介して揺動自在に取付けられた案内板69に形成されたカム溝70に係合されている。前記案内板69は下方への突出腕の先端に転動ローラ71を有し、この転動ローラ71は駆動カム59上に当接されていて、駆動カム59の図5で反時計回り方向の回転により案内板69が第一ピン68を中心として揺動可能にしている。また、案内板69は、支持部材65との間に介装されたスプリング72によって、ローラ71が駆動カム59に押し付けられる方向に付勢されている。
【0032】
爪支持体45の基端部に設けた基体73と、爪支持体45を内嵌保持する支持具47の筒部47aとの間には、爪支持体45を後退させる方向に付勢するコイルスプリング74が介装されており、爪支持体45の前端部には爪取付具75が嵌合固定されている。この爪取付具75に一対の苗取出爪41の基部がそれぞれ軸76を介して枢支されており、一対の苗取出爪41は爪取付具75に対して先端が遠近移動するように揺動可能になっている。
【0033】
支持具47の下端部には、押出リンク77が第二ピン78を介して回動自在に枢結されている。この押出リンク77の先端部には長溝79が形成され、爪取付具75の突出腕に設けた第三ピン80と係合されている。押出リンク77には、クランク57のクランクピン58と当接可能な略円弧状のカム板81が設けられている。前記爪支持体45と基体73及び爪取付具75には、前記爪案内体46が長手方向摺動自在に挿入され、該爪案内体46は丸棒等で形成されていて、その前端に苗取出爪41を挿通案内する案内孔を備えた案内部82が設けられ、後端に側面視L字状の作動部材83が装着され、中途部に止め具84が固着され、この止め具84と基体73との間にコイルスプリング85が圧縮状に嵌装されている。
【0034】
前記支持具47には作動片86が枢支され、スプリングによって図5で時計方向に付勢されており、この作動片86は1本の足と両腕とを有する略T字形状であり、一方の腕にはロック部86aが、他方の腕には解除部86bが、足には押動部86cが形成されている。前記爪案内体46に固着の作動部材83は爪案内体46と平行な部分を有し、この平行部分は支持具47によって回り止め状態で摺動が案内されており、その摺動面に突出した前記作動片86のロック部86aと係合して、爪案内体46の突出方向の移動が規制されている。
【0035】
前記爪支持体45の後端の基体73にはロックアーム87が枢支されており、このロックアーム87はスプリングによって図5で時計回り方向に付勢されており、先端部に支持具47の係合部88と係合可能な鉤部89が形成されている。前記構成において、図5に示す状態から、入力軸51が反時計回り方向に回転すると、クランク57が同行回転してクランクピン58に嵌合されたローラ63がカム板81を押動して押出リンク77が苗トレイT側へと揺動され、これによって、図5に示すように、支持具47に対して爪取付具75及び爪支持体45が苗トレイT側へ向けて押動され、コイルスプリング74,85を圧縮する。これにより、苗取出爪41は突出してソイルブロック苗Sのブロック土を突き刺し、かつ爪支持体45が後退するための復元力が保有されることになる。
【0036】
なお、苗取出爪41が突出してソイルブロック苗Sのブロック土を突き刺す際にあっては、苗取出爪41が案内部82の案内孔に規制されて、左右の苗取出爪41の先端間距離が狭められながら該苗取出爪41がブロック土に突き刺されるように構成されている。また、爪支持体45は突出した状態でロックアーム87の鉤部89が支持具47の係合部88と係合することによりその状態が保持され、揺動アーム60及び案内板69は揺動しない。
【0037】
この状態から、さらに入力軸51が反時計回り方向に回転すると、ローラ63が揺動アーム60の溝カム62内を摺動することで揺動アーム60が揺動軸61廻りに苗トレイTから離反する方向に揺動して、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTに対して後退し、ソイルブロック苗Sのブロック土がポット部Pから取り出される。
【0038】
その後、さらに入力軸51が反時計回り方向に回転すると、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTから離反する方向に移動すると共に、ローラ67がカム溝70の前上がり状部分を摺動して、苗取出爪41等が略下向き姿勢に変更し、苗Sを下向き姿勢にすると共に、ソイルブロック苗Sを苗植付具42の前部上方に位置させる。
【0039】
そして、苗取出爪41が略下向き姿勢にされた状態に移動してきたときに作動片86の押動部86cが支持部材65に位置調節自在に設けたロック解除部材と当接する。作動片86が回動されると、まず作動片86のロック部86aによる作動部材83に対するロックが解除され、スプリング85の付勢力により爪案内体46が突出して、苗取出爪41に保持されているソイルブロック苗Sを苗取出爪41から押し出し離脱させ、苗植付具42に上方から落下投入する。その後にさらに作動片86が回動すると、解除部86bによりロックアーム87を押し上げて鉤部89と係合部88との係合が解除され、コイルスプリング74の付勢力により爪案内体46を伴って爪支持体45が後退する。
【0040】
その後は、入力軸51の、図5における反時計回り方向の回転によって、図5の軌跡Eに示す状態に移動し、前記作動を繰り返す。
苗トレイ移動装置40は、苗トレイTを載置する苗載台90を上面が後に傾いた状態で備えており、この苗載台90は、左右方向に配置された上下一対の案内レール91a,91b(図1,図2参照)に左右方向移動自在に支持されている。この上下一対の案内レール91a,91bは、植付部ミッションケース30に固定支持されている。そして、上下一対の案内レール91a,91bは、その左右端を左右縱フレーム95(図1、図2参照)にて連結しており、平面視で矩形状の強度の強いフレーム構成になっている。
【0041】
また、図7に苗載台90の平面図を示し、図8に図7の載置板96の平面に対して垂直な方向の苗載台90の断面図を示すように、苗載台90は苗トレイTの底部を横一列のポット部Pに亘って支持する載置板96を有し(従って、この載置板96の上面が苗トレイTを載置支持する載置面96aとされている)、この載置板96は左右方向に対向配置された一対の側板97間に配置されていて、載置板96の左右端部が左右側板97の対向面(左右方向内面)に固定されている。
【0042】
本実施例の(セル)苗トレイTを帯状に長く連結して、いわゆるロングセル苗トレイTとして苗載台90の上と苗載台90の前側に設けたその苗載台延長部129の上に載置できる。
【0043】
ロングセル苗トレイTは、矩形状の各苗トレイTの前方端部に突起を設け、後方端部には穴を設けておき、前記各苗トレイTの前方端部に設けた突起を隣接する苗トレイTの後方端部に設けた穴に挿入することで各苗トレイTを繋ぎ、前後に長い帯状の苗トレイT、すなわち前記ロングセル苗トレイTとして、苗載台90とその延長部129の上に載置する。
【0044】
複数の苗トレイTを連結して帯状に長くした苗トレイTとしておくことで、頻繁に苗載台90に苗トレイTを供給する必要がなくなり、苗載台90への苗トレイTの供給作業が効率化できる。また、各苗トレイTの前方端部に設けた突起を隣接する苗トレイTの後方端部に設けた穴に挿入することで2以上の(セル)苗トレイTを連結した時に各苗トレイTのピッチが同じになるように構成しており、複数の苗トレイTを連結して帯状に長くした苗トレイTでも適切に苗移植作業が行える。
【0045】
図7,図8に示すように左右側板97間の下部には、縦移動駆動軸98が左右方向に配置されて設けられており、左右側板97間上部には、縦移動従動軸99が左右方向に配置されて設けられており、駆動軸98には左右一対の駆動スプロケット100が固定され、従動軸99には左右一対の従動スプロケット101が固定されている。また、駆動スプロケット100と従動スプロケット101との間には、これらに亘ってエンドレスチェーン102が掛装され、このエンドレスチェーン102には、苗トレイTの縦方向(上下方向)のポット部P間の間隙に係合する搬送ピン103が左右方向内方突出状に取付けられている。したがって、駆動軸98が、図9に載置板96の平面に直交する方向の断面図に示すように矢視A方向に回動駆動することによって苗トレイTが搬送ピン103によって押動されて縦移動可能とされている。なお、左右の側板97は前記縦移動駆動軸98や従動軸99以外に他の連結部材によって連結されている。
【0046】
この苗トレイ移動装置40には、苗トレイTの縦横の寸法が同じで且つポット部Pの開口の大きさは異なるがポット部Pの開口間の間隔が略同じ(即ち、縦横の配列方向のポット部Pの中心間のピッチ及びポット部Pの数の異なる)2種類の苗トレイTが装着されるようになっており、従って、前記搬送ピン103は、ポット部P間の各々に係合するように設けられるのではなく、2種類の苗トレイTの縦方向のポット部P間の間隙が縦方向に関して一致する位置に設けられる。
【0047】
ここで前記苗トレイTの横移動(移植機の進行方向に向かって左右方向)機構について説明すると、苗載台90の左右両側方に配置されて左右縱フレーム95に取付支持された左右軸受部材104間に、左右側板97を貫通すると共に同ピッチで切られた左右ネジの谷部を結合した特殊ネジ(ナピヤネジ)が形成された横移動軸105(図8)が左右軸廻り回転自在に支持され、この横移動軸105には、その軸上の特殊ネジに係合するスライダ106が外嵌されている。このスライダ106は、苗載台90の載置板96の背面に設けられた左右一対の係合片107に係合されている。
【0048】
前記横移動軸105には、植付部ミッションケース30から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構を経て動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転駆動され、横移動軸105を間欠的に回転駆動すると、スライダ106が間欠的に左右方向に移動すると共に横移動軸105に形成されたネジの端部で折り返して、苗載台90が左右方向に往復移動されるようになっている。
【0049】
そして、横移動軸105は、苗取出爪41によってソイルブロック苗Sをポット部Pから取出す際にあっては停止されており、ソイルブロック苗Sをポット部Pから取出した後に回転して、ポット部Pの横配列方向(左右方向)に1ピッチだけ苗載台90を移動させるように間欠回転するように構成されている。なお、選択的に使用される2種類の苗トレイTのポット部Pの横方向のピッチに対応した横移動量を選択できるように、伝動ケース50内で横移動量が切換え可能とされている。
【0050】
次に、苗トレイTの縦移動(移植機の進行方向に向かって前後方向)機構について説明すると、横移動軸105の左右両側には縦移動カム109が固定され、苗載台90には左右側板97間に縦移動作動軸110が回転自在に支持され、この縦移動作動軸110には、苗載台90が最左端又は最右端にまで移動したときに縦移動カム109に係合するホロワ111が左右一対備えられている。また、縦移動作動軸110はリンク112等を介して縦移動駆動軸98の左端側に設けられた縦移動手段113に連動連結されている。
【0051】
そして、苗載台90が左右の端部まで移動したときに、ホロワ111が縦移動カム109によって押されて縦移動作動軸110が回動し、リンク112を介して縦移動手段113が作動されて縦移動駆動軸98が、苗トレイTをポット部Pの縦配列方向(左右方向に直交する配列方向)にポット部Pの1ピッチだけ移送するように回動される。
【0052】
これによって、横一列のポット部Pからのソイルブロック苗Sの取出しを終えた時点で、苗トレイTがポット部Pの縦方向の間隔に相当する分縦移動されるようになっている。
苗トレイTの苗Sが取り出された後の部分は、駆動スプロケット100に沿って載置板96の下面側へと折り返されるようになっており、図7及び図9に示すように、苗載台90の下部には、板材を縦移動駆動軸98の軸心を中心とする円弧状に形成されていて、苗トレイTを駆動スプロケット100に沿うように案内する案内部材114が、左右両端側及び中央部に取付固定されている。
【0053】
左右両側の案内部材114には、それぞれ苗トレイTのポット部Pの底部が載置板96から離反する方向に移動する(浮き上がる)のを防止すべく苗トレイT上面の左右側縁側を押さえる押さえ部材115が設けられている。この押さえ部材115は弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成されており、基部側115aが案内部材114に取付固定され、中途部が苗トレイTの上面に接当してこれを弾圧し(単に接当するだけでもよい)、先端側は苗トレイTから離反するように構成されている。
【0054】
左右各押さえ部材115の、苗トレイT縦移動方向前方側には、苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制手段116が配置されている。この規制手段116は、弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成され、中途部が苗トレイTの上面左右側縁側に接当する押さえ部116aとされ、一端側が押さえ部116aを苗トレイT側に弾圧させるように側板97に取り付けられる取付部116bとされ、他端側がアーチ状に形成されたつまみ部116cとされている。
【0055】
前記取付部116bは、ボルト93によって側板97に回動自在に取り付けられており、押さえ部116aが苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制姿勢(図9〜図12に実線で示す)から、つまみ部116cを把持して押さえ部116aを引き上げると共に取付部116b廻りに規制手段116を左右方向外方に回動させることで、苗トレイTが載置板96上に垂直方向から載置可能とされる退避姿勢(図12に仮想線で示す)へと、規制手段116が姿勢変更自在とされている。
【0056】
図9に示すように前記苗載台90の載置板96には、右側(左側でもよい)の規制手段116の近傍に位置して苗トレイTの通過を検出する検出手段117が設けられている。この検出手段117は、苗トレイTの右端側のポット部Pの底部に接当する接当部材118と、この接当部材118をポット部P側へと付勢する付勢部材119と、マイクロスイッチ等の接触センサ120とから構成されている。
【0057】
接当部材118は、苗トレイ縦移動方向前方側が載置板96の下面側に固定された支持部材121に支軸122を介して左右軸廻りに回動自在に支持されていて、載置板96に形成した開口部123を介して載置板96の載置面96a側に出退自在に突出可能とされている。また、接当部材118には載置板96の下面に接当して、接当部材118の突出方向(開口部123から苗トレイT側に突出する方向)の回動を規制するストッパ124が固定されて設けられている。
【0058】
付勢部材119は、バネ板等から形成されており、苗トレイ縦移動方向後方側が支持部材121に固定され、苗トレイ縦移動方向前方側が接当部材118の下面に接当しており、その弾性力によって接当部材118を突出方向に付勢している。接触センサ120は支持部材121に取付固定されており、その接触子120aが付勢部材119の中途部に接触している。
【0059】
従って、接当部材118は、図9に仮想線で示すように苗トレイTが検出手段117上を通過している間は、ポット部Pによって押圧されて載置板96の下面側へと退避して、付勢手段119を介して接触センサ120の接触子120aを押圧し、苗トレイTの存在を検出する。そして、図9に実線で示すように、苗トレイTが検出手段117上を通過すると、最後部のポット部Pが接当部材118から離反し、付勢部材119によって接当部材118が載置面96a側に突出すると共に、接触センサ120の接触子120aの押圧が解除されて、苗トレイTが検出手段117から離反したこと、すなわち苗トレイTの通過を検出する。
【0060】
なお、検出手段117が苗トレイTの通過を検出すると、その検出信号によって、ブザー、ランプ等からなる報知手段が作動され、苗トレイTを補給しなければならないことを作業者に報せる。また、図例では(図9)、ポット部Pの縦配列方向の後から2つ目のポット部Pが、苗取出爪41による苗取出し位置にきたときに、検出手段117が苗トレイTの通過を検出し、苗トレイTを補給するようになっているが、これよりもポット部Pの縦配列方向前方側で苗トレイTの通過を検出するようにしてもよい。
【0061】
作業者は苗トレイTが検出手段117を通過したことが報知手段の作動にて分かると、左右の規制手段116を退避姿勢に姿勢変更させて、苗トレイTを載置板96上に載置補給した後、左右の規制手段116を規制姿勢にもどす。前記のように、検出手段117は規制手段116の近傍に設けられているので、苗トレイTの浮き上がりによる検出手段117の誤作動が防止できる。従って、検出手段117を設ける場所は、規制手段116によって苗トレイTの浮き上がりを規制できる範囲内であれば、どこでもよい。
【0062】
なお、規制手段116は、苗トレイTの上面左右側縁側を押圧しなくても、接当させるだけで苗トレイTの浮き上がりを規制するようにしてもよく、また、接当部材118を苗トレイTの上壁(ポット部Pの開口縁を連結する部分)下面に接当させるようにしてもよい。また、検出手段117としては、マイクロスイッチ又はリミットスイッチ等の接触センサの接触子を直接苗トレイT又は接当部材118に接当させるようにしてもよい。
【0063】
本実施例の(セル)苗トレイTは、先に説明したように各苗トレイTを帯状に長く連結して、帯状の苗トレイTとして苗載台90の上に配置している。また、苗載台90の上面より長くなると苗載台90の前側に設けた苗載台延長部129の上に配置できる。
【0064】
苗載台90は走行部1aの後部上方に前部が高く後部が低い状態で配置し、該苗載台90の傾斜配置された上面に前後方向に長い帯状の苗トレイTを載置し、該苗トレイTから苗を一つずつ取出して苗植付装置5に設けられた苗植付具42に供給する苗取装置43を苗載台90と苗植付装置5の間に配置している。
【0065】
また、帯状の苗トレイTは苗載台90の上面から後方下方に向けて順次移送される過程
で、苗トレイT内の各セル内の苗は順次、苗取装置43により苗植付具42に供給され、苗の無くなった苗トレイTは、苗載台90の移送用の複数の部材(縦移動作動軸110、縦移動カム109、ホロワ111、リンク112、縦移動駆動軸98、縦移動手段113)により苗載台90の上面から後方下方に回り込んだ状態で前方に送られ、走行部1aの走行ミッションケース7と苗載台90との間に設けられた帯状苗トレイT巻き取り用の巻取装置55に巻き取られる。
【0066】
また、巻取装置55は苗載台90の側面に基部が取り付けられた巻取装置支持ケース94と該巻取装置支持ケース94内に設けられた動力伝動部材(図示せず)と、該巻取装置支持ケース94の先端に設けた巻取ローラ125とからなり、該巻取ローラ125の表面には凹凸が設けられ、帯状苗トレイTを巻き取り易くしている。巻取ローラ125は苗載台90の縦移動従動軸99から駆動力が伝達され、前記巻取ローラ125は苗載台90の苗送りタイミングに合わせて回転する。
【0067】
上記構成により、使用済みの空になった帯状の苗トレイTを巻き取る巻取装置55を走行部1aの走行ミッションケース7と苗載台90との間に設けたので、前記空トレイTの回収が容易になった。
【0068】
上記各駆動部への動力伝動は植付ミッションケース30内の伝動系から伝動ケース108を介して苗供給装置4の苗載台90による苗トレイTの横移動と縦移動用の部材への動力伝達が行え、またこの苗載台90の伝動系を経由して伝動ケース53内の伝動チェン53aを介して苗取装置43への動力伝達が行えるので、これら苗載台90と苗取装置43への動力伝達機構が比較的簡単な構成で行える。
【0069】
また、苗供給装置4と植付ミッションケース30の間を苗を受け付けた空となった帯状苗トレイTが前方に向けて通るスペースがあるので、苗供給装置4の下方に設けた巻取装置55で空の苗トレイTを回収できるので、空トレイTの回収が容易となり、作業能率が向上する。
【0070】
また苗載台延長部129を取り外し可能に配置すると、該苗載台延長部129を苗載台90から取り外すことで、帯状に連結しない各苗トレイTをそれぞれ単独使用する普通の苗トレイとしても使用できる苗移植機としても良い。この場合は車庫などへの苗移植機1の収納が容易となる。なお、載置板延長部129を設置する場合は、該載置板延長部129の底面に設けた延長部受け部92と該延長部受け部92を機体の下方から支持する支持部材56とを設ける。
【0071】
また、機体の前方左右に補助苗置き台126,127を設ける。この補助苗置き台126,127は苗載台90と載置板延長部129上での苗トレイTの移動に邪魔にならないように、苗載台90の下方に設ける。また、前記補助苗置き台126,127の前方はそり上がる構成になっている。そのため、長い苗トレイTが収納できるだけでなく、補助苗置き台126,127から苗を取り易い。また機体の旋回時等において補助苗置き台126,127から苗が落ち難くなる。
【0072】
左側の補助苗置き台126は後方にスライド可能に設ける。そうすることで後述する半自動式の苗抜き取り時に苗をスライドした左側の補助苗置き台126からソイルブロック苗Sを取り出せる。
【0073】
また補助苗置き台126,127の下に空トレイを収納できる空トレイボックス128(図1参照)を設けているので、使用後、又は使用前の空トレイを収納できる。
次に苗植付装置5について説明する。
【0074】
図14に苗植付装置5の側面図を示し、図15に苗植付装置5の平面図を示す。苗植付装置5は、下端が尖ったカップ状の苗植付具42を備えている。この苗植付具42は、前側部材42aと後側部材42bとからなっており、苗植付具42の後方に位置する前側部材回動軸161Aに回動自在に支持された左右前側部材取付アーム162Aに前側部材42aが一体に取り付けられ、苗植付具42の前方に位置する後側部材回動軸161Bに回動自在に支持された左右後側部材取付アーム162Bに後側部材42bが一体に取り付けられている。よって、回動軸161A,161Bを支点にして両部材42a,42bが回動すると、苗植付具42の下部が開閉する。前側部材取付アーム162Aと後側部材取付アーム162Bに形成された長穴に遊嵌する連動ピン163によって、前側部材42aと後側部材42bは互いに連動して回動する。前側部材取付アーム162Aの脚部162aAと後側部材取付アーム162Bの脚部162aBとの間に、前側部材42a及び後側部材42bを閉じる側に付勢するスプリング164が張設されている。この苗植付具42は、下記の作動機構によって所定の動作を行う。
【0075】
第二植付伝動ケース32から上方に突出する支持部33aに後リンク支持アーム167Aが回動自在に取り付けられ、その支持アーム167Aに基部が枢着された後リンク168Aの後端に前側部材回動軸161Aが連結されている。後リンク168Aの中間部には、第二植付伝動ケース32の後端部に設けた後リンク駆動アーム169Aが連結されている。また、植付部ミッションケース30に前リンク支持アーム167Bが回動自在に取り付けられ、その支持アームに基部が枢着された前リンク168Bの後端に後側部材回動軸161Bが連結されている。前リンク168Bの中間部には、第一植付伝動ケース31の後端部に設けた前リンク駆動アーム169Bが連結されている。両駆動アーム169A,169Bが駆動回転すると、後リンク168A及び前リンク168Bが基部の位置を前後に変動させつつ上下に揺動し、苗植付具42が一定姿勢のまま上下動する。
【0076】
後リンク168Aの基部には開閉アーム171が回動自在に取り付けられ、その開閉アーム171の先端部と前側部材取付アーム162Aとが開閉ロッド172で連結されている。また、後リンク168Aの中間部には後リンク駆動アーム169Aと一体に回転する開閉カム173が取り付けられている。この開閉カムのカムフォロアとしてのローラ174が開閉アーム171に設けられている。苗植付具42が下死点付近にある位置から上昇する行程で、開閉カム173がローラ174に係合するようになっている。開閉カム173がローラ174に係合すると、開閉ロッド172が引かれ、前側部材42aと後側部材42bが互いに連動して回動し、苗植付具42が開く。開閉カム173がローラ174に係合しない時は、スプリング164の張力によって苗植付具42が閉じている。
【0077】
苗植付具42が上死点にある時に、苗供給装置4により苗が落下供給される。供給された苗は、前側部材回動軸161Aと後側部材回動軸161Bに取り付けられている筒状の苗案内176を通って苗植付具42内に導かれる。苗を保持した苗植付具42が下降し、下死点では苗植付具42の下部が畝の表土部に突き刺さり、苗移植用穴を形成する。これとほぼ同期して苗植付具42が開き、保持していた苗を上記苗移植用穴の中に開放する。そのまま苗植付具42が上昇し、上死点付近まで上昇すると苗植付具42が閉じる。
【0078】
尚、植付部ミッションケース30から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構を経て動力が伝達されて、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43が駆動される構成となっているが、植付部ミッションケース30から巻掛け伝動機構に動力を伝達する部位にクラッチを設けて、操作パネル202(図1,図2)に配置した自動移植停止レバー250にて該クラッチを切って、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43のみを停止させることができる構成としている。
【0079】
従って、上記苗取出爪41にて苗トレイTから取出された苗は、苗植付具42内に落下供給される。そして、苗植付具42が畝に苗を植付け、その後に、下記の左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
【0080】
図16に示す苗植付装置は、苗植付具42の前側部材42aと後側部材42bを開閉するワイヤケーブル225を設けた実施例で、ワイヤケーブル225のインナーワイヤとアウタチューブが摺動する湾曲内側部の外側にサーモテープ226を張り付けて、摺動加熱によるサーモテープ226の変色でメンテナンス時期を知らせてそのサーモテープ226側を外側に組み変えて破損を防ぎ永く使えるようにしている。またこのサーモテープ226を上側に給油管228を連結する繋ぎアウタチューブ227を回転個可能に取り付け、摺動部に注油するようにしている。
【0081】
苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪180が配置されている。該左右鎮圧輪180は、メインフレーム14の前後中間部に固着した支持枠186に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム187の中途部に回転自在に装着されている。そして、該揺動フレーム187の後端部の左右中央位置より上方に向けてロッド188が延設されており、該ロッド188の上端部は、メインフレーム14の後端部に基部が固設された支持アーム189の貫通孔189aを貫通して支持されている。そして、ロッド188には錘190が貫通して設けられており、この錘190の個数を調節することにより、左右鎮圧輪180の鎮圧荷重が調節できるようになっている。尚、ヘアピン191はロッド188が支持アーム189の貫通孔189aから抜けるのを防止するものである。
【0082】
この左右鎮圧輪180は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。
【0083】
図18には、鎮圧輪180の別実施例が示されている。この鎮圧輪180の左右側面には泥が付着し難いようにしたステンレス板や樹脂板等のサイドカバー181,182を取り付けて中心側の錘用鉄部183を設置端部から張り出さないように覆っている。なお、別実施例として、サイドカバー181,182を外周部が肉厚の形状にした鉄カバーとして回転慣性力を付与しても良い。
【0084】
また、図4には接地センサ192設置部の斜視図を示す。接地センサ192は畝上面を検出するセンサであって、該接地センサ192が上下回動すると、その回動をリンク機構193にて上下制御バルブ20aに伝え、接地センサ192の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0085】
また、上記接地センサ192はメイフレーム14に左側が軸支された回動軸194に後端部が固着され先端が前方に向けて延設されたアーム195に軸196にて回動自在に軸支されている。そして、回動軸194は植付深さ調節レバー197の基部が連繋されており、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に係合係止して固定状態にすると、回動軸194は回動が固定され、従って、アーム195の軸196は上下高さが固定されるので、接地センサ192は畝上面に摺接しながらその軸196回りに回動して、上記のように畝の高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御される。そして、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に対して位置調節して係合係止して固定状態にすることにより、アーム195の軸196の上下高さ位置を調節できるので、畝に対する機体高さを制御する基準位置を自由に設定できるので、苗の植付深さが調節できる。
【0086】
なお、油圧バルブユニット20内の左右傾斜制御バルブ20bは左右傾斜検出用の振り子200の動きに連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ27が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。操縦ハンドル6は両端が後方に延びる平面視略コ字形をしており、その両端部に左右グリップ6aが取り付けられている。旋回時や路上走行時には、作業者が左右グリップ6aを握って操縦する。
【0087】
左右グリップ6aの下側には各々左右サイドクラッチレバー201が設けられている。また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル202が設けられ、該操作パネルに、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする植付昇降レバー203、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー204及び苗の植付間隔を調節する株間調節レバー(図示せず)等が設けられている。
【0088】
上記実施例の野菜移植機1にて野菜の苗を全自動で圃場に移植する作業について、説明する。先ず、苗載台90と載置板延長部129に亘って複数の苗トレイTを連結して帯状にした苗トレイTを装填し、さらに必要な場合に、補助苗置き台126,127にも苗トレイTを載置しておく。そして、作業者はメインクラッチレバー204を入操作して左右前輪3と左右後輪2を畝溝に沿わせて機体を進行させ、植付昇降レバー203を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を開始する。すると、左右往復移動する苗載台90の苗トレイTから苗取出爪41が苗を一つずつ取出して苗植付具42内に落下供給される。そして、苗植付具42が畝に苗を植付けた後に、左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
【0089】
植付部1bの苗移植作業状態を確認しながら、苗載台90に載置された苗トレイTを見て、新たな苗トレイTの供給が必要と判断した時に、苗載台90の両脇にある補助苗置き台126,127から苗を取り出して、苗トレイ移動装置40の苗載台90に供給することができ、作業効率が良い。
【0090】
また、左側の補助苗置き台126は後方にスライド可能に設ける。そうすることで前記半自動式の苗抜き取り時に苗をスライドした左側の補助苗置き台126から取り出せる。
次に、大苗や成育が悪く欠株の多い苗トレイT等で、上記の全自動移植作業が行えない場合の移植作業について説明する。
【0091】
先ず、操作パネル202に配置した自動移植停止レバー250を操作して、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43の駆動を停止する。この時、苗載台90が機体の左右中央部で停止するようにすると、機体の左右バランスが良くて良好な走行性能を発揮し、適切な苗移植作業が行える。そして、作業者は機体後部の左後輪2の後方の畝溝を歩きながら、メインクラッチレバー204を入操作して左右前輪3と左右後輪2を畝溝に沿わせて機体を進行させ、植付昇降レバー203を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を行なう。この時、苗トレイ移動装置40が停止し、苗取装置43の苗取出爪41が機体の右側に移動して停止しているが、苗植付具42は作動しており、作業者が予備苗載台126,127に載置された苗トレイTから苗を取出して苗植付具42内に落下する。そして、苗植付具42が畝に苗を植付け、その後に、下記の左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
【0092】
従って、大苗や成育が悪く欠株の多い苗トレイT等で、上記全自動移植作業が行えない場合でも、作業者が苗植付具42に苗を直接供給することによって、大苗や成育が悪い苗でも植付けることができる。
【0093】
また、上記実施例では、苗トレイ移動装置40を完全に停止する例を示したが、前記苗取装置43による苗トレイTからの苗の抜き取りを半自動で行うように切り替え可能とすることもできる。このための具体的な構成は次の通りである。
【0094】
苗トレイ移動装置40の苗トレイTを縦送りする駆動のみを作動させて、苗載台90を機体の左端位置で停止させ、苗載台90に苗トレイTを供給して、作業者は縦送りされる苗載台90上のソイルブロック苗Sを手動で順次取出して、苗植付具42に供給するようにしても良い。
【0095】
半自動移植方式とは、苗トレイTからの苗の抜き取りを手動で行い、苗植付装置5のホッパー42に苗を入れる方式をいい、大苗を植える場合に有利である。
この半自動式のソイルブロック苗Sの抜き取りは苗載台90の苗トレイTは必ず機体中央に戻った時に行えるようにしている。
【0096】
こうして大苗を半自動移植作業で適切に植え付けることができる。
図17には、機体の左側で苗載台90よりも上側に、走行部ミッションケース7に取り付ける支持脚207でトレイ搬送ベルト209を張架した搬送枠208を取り付けた構成を示している。この搬送枠208の後端に搬送スイッチ210を設け、この搬送スイッチ210を押すと、苗載台90が左側に移動して停止しトレイ搬送ベルト209の搬送面が前に移送を開始する。そして、機体の左後側に立った作業者が苗トレイTをトレイ搬送ベルト209上に置くと前方に送られ、前で苗トレイTを苗載台90上に載せ変える。
【0097】
このトレイ搬送ベルト209は、苗トレイTの補給作業時以外には停止して、予備の苗トレイTを載せておくことが出来るようにする。
なお、上記実施例においては、畝に移植する作業例を示したが、平らな圃場に苗を移植する場合も同様である。また、野菜苗としては、キャベツや白菜等の葉菜類の苗・大根やさつま芋等の根菜類の苗・南瓜や西瓜等の果菜類の苗が挙げられるが、他に、藺草や花等の如何なる苗でも良い。
【符号の説明】
【0098】
A 供給作用位置
B 非供給位置
S ソイルブロック苗
T 苗トレイ
5 苗植付装置
40 苗トレイ移動装置
41 苗取出爪
43 苗取装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜等の苗を圃場に植付ける苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種従来例としては、例えば、特開2001−57805号公報に記載の如く、歩行型走行機体上に苗トレイを載置する苗供給装置と苗供給装置上の苗トレイから苗を取り出す苗取装置と苗を畝に植え付ける苗植付装置を備え、走行機体を走行させながら苗トレイの苗を自動的に畝へ植え付ける自動苗移植機が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−57805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の自動苗移植機は、作業者が苗を苗植付装置に供給する必要が無く、走行機体の操縦に専念できるために、作業が楽であるが、苗トレイの苗に欠株や成長不良の苗が有ると畝に植え付ける苗が疎らになり、再度手作業によって補植を行う必要が有る。また、自動苗移植機では規格外の大きな苗の場合には植え付けが行えない。
【0005】
そこで、本発明では、本発明では、自動苗移植機で、苗トレイに欠株が有ってもまんべんなく畝に苗を植え付けることが容易に行えるようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、苗トレイ移動装置40上の苗トレイTからソイルブロック苗Sを抜き取り走行機体の左右略中央に設ける苗植付装置5へ供給する苗取装置43を供給作用位置Aから左右片側の非供給位置Bへ移動停止可能に設け、該苗取装置43を非供給位置Bへ移動停止して、作業者が苗トレイ移動装置40上の苗を手動により苗植付装置5へ供給可能にしてなる苗移植機の構成にした。
【0007】
この構成で、通常の苗植付作業は、供給作用位置Sに移動した苗取装置43で苗トレイ移動装置40上の苗トレイTからソイルブロック苗Sを抜き取って苗植付装置5へ自動的に供給して畝への苗植付作業が全自動で行え、欠株の多い苗トレイTの場合には、苗取装置43を非供給位置Nにすることで、作業者が苗トレイTからソイルブロック苗Sを抜き取って苗植付装置5へ手動で供給して、ソイルブロック苗Sを畝にまんべんなく植え付けていくことが出来る。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、全自動で苗の植え付けを行ったり人手を介した半自動的な苗の植え付けを行ったりすることが苗取装置43の供給作用位置Sと非供給位置Nへの移動で簡単に行えて、欠株の多い苗トレイTであっても畝への苗植え付けが効率的に続行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】野菜移植機の全体左側面図である。
【図2】野菜移植機の全体平面図である。
【図3】走行部と植付部の連結部分の斜視図である。
【図4】接地センサ部の斜視図である。
【図5】苗取装置部の右側一部断面図である。
【図6】図5を上方から見た苗取装置部の平面図である。
【図7】苗載台の平面図である。
【図8】苗トレイ移動装置部の平面断面図である。
【図9】苗載台の作用説明用側断面図である。
【図10】苗載台の作用説明拡大平面図である。
【図11】苗載台の作用説明拡大正断面図である。
【図12】規制手段の作用説明拡大斜視図である。
【図13】油圧回路を示す概略平面図である。
【図14】苗植付装置の左側面図である。
【図15】苗植付装置の平面図である。
【図16】別実施例の苗植付装置の斜視図である。
【図17】野菜移植機に苗トレイ搬入装置を取り付けた側面図である。
【図18】別実施例の鎮圧輪の正断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の一実施例として苗移植機の一例である野菜移植機を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の一実施例の野菜移植機の側面図を示し、図2に平面図を示す。
【0011】
この野菜移植機1は、左右後輪2と左右前輪3からなる四輪を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4と苗植付装置5等からなる植付部1bで苗トレイT内の野菜のポット苗を畝Uの上面に植付ける構成となっている。
【0012】
以下、各部の構成について説明する。
走行部1aは、走行伝動装置が内装された走行部ミッションケース7の前部にエンジン9が配置されている。エンジン9の左側面部には該エンジン9の動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上部をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレーム13の背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6の前端部が回動調節自在に取り付けられており、操縦ハンドル6の左右グリップ6aは高さ調節できるようになっている。
【0013】
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右回動筒部15に左右走行伝動ケース16が一体に取り付けられ、その左右走行伝動ケース16の先端部に駆動走行車輪である左右後輪2が軸支されている。また、エンジン9の下側に前後方向のピボット軸を中心に揺動自在に設けた前輪支持フレーム17の左右両端部に左右前輪支持ロッド18が高さ調節可能に取り付けられ、該ロッド18の下端部に各々従動走行車輪である左右前輪3が軸支されている。
【0014】
走行部1aには機体に対し左右後輪2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、走行部ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニット20で制御される昇降シリンダ21が連結フレーム13から後方に向けて設けられ、該シリンダ21のピストンロッドの先端部に天秤杆22が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が連結フレーム13とメイフレーム14に取り付けた取付部材23とに支持されたガイド軸24に沿って摺動するようになっている。天秤杆22の左右両端部と、左右回動筒部15に固着した左右スイングアーム25とが、左右連結ロッド26を介して連結されている。左側の連結ロッド26は、ローリングシリンダ27が組み込まれており、該シリンダを伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
【0015】
昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27は、前記油圧ポンプ10から供給される作動油を油圧バルブユニット20内の制御バルブ20a,20b(図13)で各々制御して作動させられる。
【0016】
昇降シリンダ21を伸縮作動させると、左右の後輪2が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、左右の後輪2が逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0017】
植付部1bには、前記連結フレーム13の上面に走行部ミッションケース7内の伝動系から動力が伝達される伝動系を有する植付部ミッションケース30の下部が固着され、該植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース31の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース31の先端部に第二植付伝動ケース32の基部が固着されている。そして、第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32に後述する苗植付装置5の各作動機構が連結されており、この第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32にて苗植付装置5への植付駆動伝動系D1が構成されている。苗植付装置5の後記苗植付具42は、走行部1aの後部側に配置している。
【0018】
図3に示すように、植付部ミッションケース30の入力軸30aは該植付部ミッションケース30の下端部から前方に突出しており、これを走行部ミッションケース7のPTO取出部7aに挿入することにより、該PTO取出部内の走行部側の軸に伝動連結するようになっている。また、植付部ミッションケース30は、前記連結フレーム13にボルト35・・・によって着脱自在に取り付けられている。このため、ボルト35・・・を外し、PTO取出部7aから入力軸31aを抜くことにより、走行部1aから植付部1bごと取り外せることができ、植付部1bのメンテナンスが容易に行える。
【0019】
苗移植機の機体側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ、第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平方向に設けられている。この構成とすることにより、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースが確保されている。
【0020】
苗供給装置4は、植付部ミッションケース30の上方から機体前方に向けて配置されており、複数個のソイルブロック苗S(図5)を縦方向と横方向とに多数収容した苗トレイTを前側が高くなるように傾斜して載置支持すると共に、縦及び横方向に間欠移動する苗トレイ移動装置40と、この苗トレイ移動装置40の後方側に配置されていて苗取出爪41によって苗トレイTから苗を一つずつ取出して苗植付具42へと搬送する苗取装置43とから構成されている。
【0021】
なお、苗トレイTは、図7の平面図で示すように薄肉に形成されて可撓性を有するプラスチック製で、縦方向及び横方向に所定のピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部Pを有し、ポット部Pの開口縁部が互に平面状に連結されて成型されている。そして、ポット部Pに充填した床土に播種し育苗することで、ソイルブロック苗Sが育成されている。
【0022】
図5に示す苗取装置43の機体右側面図と図6に示す苗取装置43を上方から見た苗取装置43の平面図のように、苗取装置43は、前記苗取出爪41を具備すると共に、この苗取出爪41を駆動させる爪駆動機構44を有する。苗取出爪41は左右一対の先端が尖った丸棒材で構成されており、先端側ほど相互に近接するように設けられている。爪駆動機構44は、苗トレイTと苗植付具42との間で苗取出爪41を姿勢変更しながら往復駆動させるもので、一対の苗取出爪41が取付けられる爪支持体45と、一対の苗取出爪41の進退を案内する爪案内体46と、前記爪支持体45及び爪案内体46をそれぞれ長手方向往復動自在に支持する支持具47とを具備し、カバー301によって覆われている。
【0023】
メインフレーム14に基部が固定された連結フレーム48に溶接固定された板材からなる支持体49に取付けられた伝動ケース50のスライド支持部206に左右スライド可能に装着したスライドアーム205に支持部材65が固着され、この支持部材65に爪駆動機構44が設けられている。支持部材65は、スライドアーム205の左右スライドに伴って苗取出爪41を供給作用位置Sと非供給位置Nに移動する。なお、スライドアーム205の左右スライドは油圧シリンダによって行うが、図示を省略する。
【0024】
伝動ケース50の左右両側に突出する入力軸51は、後述の苗トレイ移動装置40の横移動軸105から伝動ケース53内の伝動チェン53aにて駆動力が伝動され、スライドアーム205の左右スライドと共に左右にスライドする。
【0025】
そして、苗取出爪41の供給作用位置Sと非供給位置Nへの切換は、操作パネル202に設ける自動切換スイッチ220(図2参照)で行えるようにし、さらに、操作パネル202に苗載台90の使用をオン・オフする苗載台使用スイッチ221を設け、この苗載台使用スイッチ221をオンすると苗載台90が左側に移動して苗トレイTの縦送りのみを行って、機体の左側を歩く作業者がソイルブロック苗Sを取り出し易くなるようにしている。なお、苗トレイTの縦送りは、適宜に駆動停止に出来るようにしても良い。
【0026】
なお、後述する苗取出爪41に苗トレイTの欠株を検出する欠株センサを設けて、抜き取るソイルブロック苗Sの数株手前側の株を監視し、欠株であることを検出すると苗取出爪41が自動で非供給位置Nに移動するようにしても良い。その際に、苗載台90の横移動速度をゆっくりと移動するようにして人手による苗供給を安全に行えるようにし、欠株部分を過ぎると再びもとの横移動速度にゆっくりと戻すようにする。
【0027】
苗取出爪41を供給作用位置Sにすることで、苗取出爪41が苗トレイTのソイルブロック苗Sを取り出して苗植付装置5へ供給する全自動苗移植機として機能し、苗取出爪41を非供給位置Nにすることで、苗取出爪41が邪魔にならずに、苗トレイTのソイルブロック苗Sを人手によって取り出して苗植付装置5へ供給する半自動苗移植機として機能することになる。
【0028】
尚、苗取出爪41を非供給位置Nにすると後述する苗載台90が左右中央に移動して縦送りと横送りが停止するようにすることで、機体の左右バランスが良くなり走行が安定する。
【0029】
前記入力軸51の伝動ケース50の右側に突出した先端にはクランク57が設けられ、このクランク57にクランクピン58が側方に突設され、また、入力軸51には、クランク57と同軸心で駆動カム59が設けられている。伝動ケース50の左側下部には、揺動アーム60の下部が揺動軸61を介して左右軸廻りに回動自在に枢結されており、この揺動アーム60の中途部には上下方向(アーム長手方向)に延びる溝カム62が形成され、この溝カム62には、クランク57のクランクピン58に外嵌されたローラ63が挿通係合されている。
【0030】
揺動アーム60の上部には支持具47がピン64を介して枢結され、この支持具47は、パイプ製の爪支持体45を軸方向移動自在に挿通案内する筒部47aを備えており、前記爪支持体45が苗トレイTに向かって出退可能とされている。また、この爪支持体45の先端部に、ポット部P内のソイルブロック苗Sのブロック土に斜め方向から突き刺される前記一対の苗取出爪41が取付けられている。
【0031】
また、伝動ケース50の上面には板状の支持部材65がボルトにより取付固定され、支持具47にはブラケット66を介して遊転自在にローラ67が取付けられ、このローラ67は、支持部材65に第一ピン68を介して揺動自在に取付けられた案内板69に形成されたカム溝70に係合されている。前記案内板69は下方への突出腕の先端に転動ローラ71を有し、この転動ローラ71は駆動カム59上に当接されていて、駆動カム59の図5で反時計回り方向の回転により案内板69が第一ピン68を中心として揺動可能にしている。また、案内板69は、支持部材65との間に介装されたスプリング72によって、ローラ71が駆動カム59に押し付けられる方向に付勢されている。
【0032】
爪支持体45の基端部に設けた基体73と、爪支持体45を内嵌保持する支持具47の筒部47aとの間には、爪支持体45を後退させる方向に付勢するコイルスプリング74が介装されており、爪支持体45の前端部には爪取付具75が嵌合固定されている。この爪取付具75に一対の苗取出爪41の基部がそれぞれ軸76を介して枢支されており、一対の苗取出爪41は爪取付具75に対して先端が遠近移動するように揺動可能になっている。
【0033】
支持具47の下端部には、押出リンク77が第二ピン78を介して回動自在に枢結されている。この押出リンク77の先端部には長溝79が形成され、爪取付具75の突出腕に設けた第三ピン80と係合されている。押出リンク77には、クランク57のクランクピン58と当接可能な略円弧状のカム板81が設けられている。前記爪支持体45と基体73及び爪取付具75には、前記爪案内体46が長手方向摺動自在に挿入され、該爪案内体46は丸棒等で形成されていて、その前端に苗取出爪41を挿通案内する案内孔を備えた案内部82が設けられ、後端に側面視L字状の作動部材83が装着され、中途部に止め具84が固着され、この止め具84と基体73との間にコイルスプリング85が圧縮状に嵌装されている。
【0034】
前記支持具47には作動片86が枢支され、スプリングによって図5で時計方向に付勢されており、この作動片86は1本の足と両腕とを有する略T字形状であり、一方の腕にはロック部86aが、他方の腕には解除部86bが、足には押動部86cが形成されている。前記爪案内体46に固着の作動部材83は爪案内体46と平行な部分を有し、この平行部分は支持具47によって回り止め状態で摺動が案内されており、その摺動面に突出した前記作動片86のロック部86aと係合して、爪案内体46の突出方向の移動が規制されている。
【0035】
前記爪支持体45の後端の基体73にはロックアーム87が枢支されており、このロックアーム87はスプリングによって図5で時計回り方向に付勢されており、先端部に支持具47の係合部88と係合可能な鉤部89が形成されている。前記構成において、図5に示す状態から、入力軸51が反時計回り方向に回転すると、クランク57が同行回転してクランクピン58に嵌合されたローラ63がカム板81を押動して押出リンク77が苗トレイT側へと揺動され、これによって、図5に示すように、支持具47に対して爪取付具75及び爪支持体45が苗トレイT側へ向けて押動され、コイルスプリング74,85を圧縮する。これにより、苗取出爪41は突出してソイルブロック苗Sのブロック土を突き刺し、かつ爪支持体45が後退するための復元力が保有されることになる。
【0036】
なお、苗取出爪41が突出してソイルブロック苗Sのブロック土を突き刺す際にあっては、苗取出爪41が案内部82の案内孔に規制されて、左右の苗取出爪41の先端間距離が狭められながら該苗取出爪41がブロック土に突き刺されるように構成されている。また、爪支持体45は突出した状態でロックアーム87の鉤部89が支持具47の係合部88と係合することによりその状態が保持され、揺動アーム60及び案内板69は揺動しない。
【0037】
この状態から、さらに入力軸51が反時計回り方向に回転すると、ローラ63が揺動アーム60の溝カム62内を摺動することで揺動アーム60が揺動軸61廻りに苗トレイTから離反する方向に揺動して、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTに対して後退し、ソイルブロック苗Sのブロック土がポット部Pから取り出される。
【0038】
その後、さらに入力軸51が反時計回り方向に回転すると、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTから離反する方向に移動すると共に、ローラ67がカム溝70の前上がり状部分を摺動して、苗取出爪41等が略下向き姿勢に変更し、苗Sを下向き姿勢にすると共に、ソイルブロック苗Sを苗植付具42の前部上方に位置させる。
【0039】
そして、苗取出爪41が略下向き姿勢にされた状態に移動してきたときに作動片86の押動部86cが支持部材65に位置調節自在に設けたロック解除部材と当接する。作動片86が回動されると、まず作動片86のロック部86aによる作動部材83に対するロックが解除され、スプリング85の付勢力により爪案内体46が突出して、苗取出爪41に保持されているソイルブロック苗Sを苗取出爪41から押し出し離脱させ、苗植付具42に上方から落下投入する。その後にさらに作動片86が回動すると、解除部86bによりロックアーム87を押し上げて鉤部89と係合部88との係合が解除され、コイルスプリング74の付勢力により爪案内体46を伴って爪支持体45が後退する。
【0040】
その後は、入力軸51の、図5における反時計回り方向の回転によって、図5の軌跡Eに示す状態に移動し、前記作動を繰り返す。
苗トレイ移動装置40は、苗トレイTを載置する苗載台90を上面が後に傾いた状態で備えており、この苗載台90は、左右方向に配置された上下一対の案内レール91a,91b(図1,図2参照)に左右方向移動自在に支持されている。この上下一対の案内レール91a,91bは、植付部ミッションケース30に固定支持されている。そして、上下一対の案内レール91a,91bは、その左右端を左右縱フレーム95(図1、図2参照)にて連結しており、平面視で矩形状の強度の強いフレーム構成になっている。
【0041】
また、図7に苗載台90の平面図を示し、図8に図7の載置板96の平面に対して垂直な方向の苗載台90の断面図を示すように、苗載台90は苗トレイTの底部を横一列のポット部Pに亘って支持する載置板96を有し(従って、この載置板96の上面が苗トレイTを載置支持する載置面96aとされている)、この載置板96は左右方向に対向配置された一対の側板97間に配置されていて、載置板96の左右端部が左右側板97の対向面(左右方向内面)に固定されている。
【0042】
本実施例の(セル)苗トレイTを帯状に長く連結して、いわゆるロングセル苗トレイTとして苗載台90の上と苗載台90の前側に設けたその苗載台延長部129の上に載置できる。
【0043】
ロングセル苗トレイTは、矩形状の各苗トレイTの前方端部に突起を設け、後方端部には穴を設けておき、前記各苗トレイTの前方端部に設けた突起を隣接する苗トレイTの後方端部に設けた穴に挿入することで各苗トレイTを繋ぎ、前後に長い帯状の苗トレイT、すなわち前記ロングセル苗トレイTとして、苗載台90とその延長部129の上に載置する。
【0044】
複数の苗トレイTを連結して帯状に長くした苗トレイTとしておくことで、頻繁に苗載台90に苗トレイTを供給する必要がなくなり、苗載台90への苗トレイTの供給作業が効率化できる。また、各苗トレイTの前方端部に設けた突起を隣接する苗トレイTの後方端部に設けた穴に挿入することで2以上の(セル)苗トレイTを連結した時に各苗トレイTのピッチが同じになるように構成しており、複数の苗トレイTを連結して帯状に長くした苗トレイTでも適切に苗移植作業が行える。
【0045】
図7,図8に示すように左右側板97間の下部には、縦移動駆動軸98が左右方向に配置されて設けられており、左右側板97間上部には、縦移動従動軸99が左右方向に配置されて設けられており、駆動軸98には左右一対の駆動スプロケット100が固定され、従動軸99には左右一対の従動スプロケット101が固定されている。また、駆動スプロケット100と従動スプロケット101との間には、これらに亘ってエンドレスチェーン102が掛装され、このエンドレスチェーン102には、苗トレイTの縦方向(上下方向)のポット部P間の間隙に係合する搬送ピン103が左右方向内方突出状に取付けられている。したがって、駆動軸98が、図9に載置板96の平面に直交する方向の断面図に示すように矢視A方向に回動駆動することによって苗トレイTが搬送ピン103によって押動されて縦移動可能とされている。なお、左右の側板97は前記縦移動駆動軸98や従動軸99以外に他の連結部材によって連結されている。
【0046】
この苗トレイ移動装置40には、苗トレイTの縦横の寸法が同じで且つポット部Pの開口の大きさは異なるがポット部Pの開口間の間隔が略同じ(即ち、縦横の配列方向のポット部Pの中心間のピッチ及びポット部Pの数の異なる)2種類の苗トレイTが装着されるようになっており、従って、前記搬送ピン103は、ポット部P間の各々に係合するように設けられるのではなく、2種類の苗トレイTの縦方向のポット部P間の間隙が縦方向に関して一致する位置に設けられる。
【0047】
ここで前記苗トレイTの横移動(移植機の進行方向に向かって左右方向)機構について説明すると、苗載台90の左右両側方に配置されて左右縱フレーム95に取付支持された左右軸受部材104間に、左右側板97を貫通すると共に同ピッチで切られた左右ネジの谷部を結合した特殊ネジ(ナピヤネジ)が形成された横移動軸105(図8)が左右軸廻り回転自在に支持され、この横移動軸105には、その軸上の特殊ネジに係合するスライダ106が外嵌されている。このスライダ106は、苗載台90の載置板96の背面に設けられた左右一対の係合片107に係合されている。
【0048】
前記横移動軸105には、植付部ミッションケース30から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構を経て動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転駆動され、横移動軸105を間欠的に回転駆動すると、スライダ106が間欠的に左右方向に移動すると共に横移動軸105に形成されたネジの端部で折り返して、苗載台90が左右方向に往復移動されるようになっている。
【0049】
そして、横移動軸105は、苗取出爪41によってソイルブロック苗Sをポット部Pから取出す際にあっては停止されており、ソイルブロック苗Sをポット部Pから取出した後に回転して、ポット部Pの横配列方向(左右方向)に1ピッチだけ苗載台90を移動させるように間欠回転するように構成されている。なお、選択的に使用される2種類の苗トレイTのポット部Pの横方向のピッチに対応した横移動量を選択できるように、伝動ケース50内で横移動量が切換え可能とされている。
【0050】
次に、苗トレイTの縦移動(移植機の進行方向に向かって前後方向)機構について説明すると、横移動軸105の左右両側には縦移動カム109が固定され、苗載台90には左右側板97間に縦移動作動軸110が回転自在に支持され、この縦移動作動軸110には、苗載台90が最左端又は最右端にまで移動したときに縦移動カム109に係合するホロワ111が左右一対備えられている。また、縦移動作動軸110はリンク112等を介して縦移動駆動軸98の左端側に設けられた縦移動手段113に連動連結されている。
【0051】
そして、苗載台90が左右の端部まで移動したときに、ホロワ111が縦移動カム109によって押されて縦移動作動軸110が回動し、リンク112を介して縦移動手段113が作動されて縦移動駆動軸98が、苗トレイTをポット部Pの縦配列方向(左右方向に直交する配列方向)にポット部Pの1ピッチだけ移送するように回動される。
【0052】
これによって、横一列のポット部Pからのソイルブロック苗Sの取出しを終えた時点で、苗トレイTがポット部Pの縦方向の間隔に相当する分縦移動されるようになっている。
苗トレイTの苗Sが取り出された後の部分は、駆動スプロケット100に沿って載置板96の下面側へと折り返されるようになっており、図7及び図9に示すように、苗載台90の下部には、板材を縦移動駆動軸98の軸心を中心とする円弧状に形成されていて、苗トレイTを駆動スプロケット100に沿うように案内する案内部材114が、左右両端側及び中央部に取付固定されている。
【0053】
左右両側の案内部材114には、それぞれ苗トレイTのポット部Pの底部が載置板96から離反する方向に移動する(浮き上がる)のを防止すべく苗トレイT上面の左右側縁側を押さえる押さえ部材115が設けられている。この押さえ部材115は弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成されており、基部側115aが案内部材114に取付固定され、中途部が苗トレイTの上面に接当してこれを弾圧し(単に接当するだけでもよい)、先端側は苗トレイTから離反するように構成されている。
【0054】
左右各押さえ部材115の、苗トレイT縦移動方向前方側には、苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制手段116が配置されている。この規制手段116は、弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成され、中途部が苗トレイTの上面左右側縁側に接当する押さえ部116aとされ、一端側が押さえ部116aを苗トレイT側に弾圧させるように側板97に取り付けられる取付部116bとされ、他端側がアーチ状に形成されたつまみ部116cとされている。
【0055】
前記取付部116bは、ボルト93によって側板97に回動自在に取り付けられており、押さえ部116aが苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制姿勢(図9〜図12に実線で示す)から、つまみ部116cを把持して押さえ部116aを引き上げると共に取付部116b廻りに規制手段116を左右方向外方に回動させることで、苗トレイTが載置板96上に垂直方向から載置可能とされる退避姿勢(図12に仮想線で示す)へと、規制手段116が姿勢変更自在とされている。
【0056】
図9に示すように前記苗載台90の載置板96には、右側(左側でもよい)の規制手段116の近傍に位置して苗トレイTの通過を検出する検出手段117が設けられている。この検出手段117は、苗トレイTの右端側のポット部Pの底部に接当する接当部材118と、この接当部材118をポット部P側へと付勢する付勢部材119と、マイクロスイッチ等の接触センサ120とから構成されている。
【0057】
接当部材118は、苗トレイ縦移動方向前方側が載置板96の下面側に固定された支持部材121に支軸122を介して左右軸廻りに回動自在に支持されていて、載置板96に形成した開口部123を介して載置板96の載置面96a側に出退自在に突出可能とされている。また、接当部材118には載置板96の下面に接当して、接当部材118の突出方向(開口部123から苗トレイT側に突出する方向)の回動を規制するストッパ124が固定されて設けられている。
【0058】
付勢部材119は、バネ板等から形成されており、苗トレイ縦移動方向後方側が支持部材121に固定され、苗トレイ縦移動方向前方側が接当部材118の下面に接当しており、その弾性力によって接当部材118を突出方向に付勢している。接触センサ120は支持部材121に取付固定されており、その接触子120aが付勢部材119の中途部に接触している。
【0059】
従って、接当部材118は、図9に仮想線で示すように苗トレイTが検出手段117上を通過している間は、ポット部Pによって押圧されて載置板96の下面側へと退避して、付勢手段119を介して接触センサ120の接触子120aを押圧し、苗トレイTの存在を検出する。そして、図9に実線で示すように、苗トレイTが検出手段117上を通過すると、最後部のポット部Pが接当部材118から離反し、付勢部材119によって接当部材118が載置面96a側に突出すると共に、接触センサ120の接触子120aの押圧が解除されて、苗トレイTが検出手段117から離反したこと、すなわち苗トレイTの通過を検出する。
【0060】
なお、検出手段117が苗トレイTの通過を検出すると、その検出信号によって、ブザー、ランプ等からなる報知手段が作動され、苗トレイTを補給しなければならないことを作業者に報せる。また、図例では(図9)、ポット部Pの縦配列方向の後から2つ目のポット部Pが、苗取出爪41による苗取出し位置にきたときに、検出手段117が苗トレイTの通過を検出し、苗トレイTを補給するようになっているが、これよりもポット部Pの縦配列方向前方側で苗トレイTの通過を検出するようにしてもよい。
【0061】
作業者は苗トレイTが検出手段117を通過したことが報知手段の作動にて分かると、左右の規制手段116を退避姿勢に姿勢変更させて、苗トレイTを載置板96上に載置補給した後、左右の規制手段116を規制姿勢にもどす。前記のように、検出手段117は規制手段116の近傍に設けられているので、苗トレイTの浮き上がりによる検出手段117の誤作動が防止できる。従って、検出手段117を設ける場所は、規制手段116によって苗トレイTの浮き上がりを規制できる範囲内であれば、どこでもよい。
【0062】
なお、規制手段116は、苗トレイTの上面左右側縁側を押圧しなくても、接当させるだけで苗トレイTの浮き上がりを規制するようにしてもよく、また、接当部材118を苗トレイTの上壁(ポット部Pの開口縁を連結する部分)下面に接当させるようにしてもよい。また、検出手段117としては、マイクロスイッチ又はリミットスイッチ等の接触センサの接触子を直接苗トレイT又は接当部材118に接当させるようにしてもよい。
【0063】
本実施例の(セル)苗トレイTは、先に説明したように各苗トレイTを帯状に長く連結して、帯状の苗トレイTとして苗載台90の上に配置している。また、苗載台90の上面より長くなると苗載台90の前側に設けた苗載台延長部129の上に配置できる。
【0064】
苗載台90は走行部1aの後部上方に前部が高く後部が低い状態で配置し、該苗載台90の傾斜配置された上面に前後方向に長い帯状の苗トレイTを載置し、該苗トレイTから苗を一つずつ取出して苗植付装置5に設けられた苗植付具42に供給する苗取装置43を苗載台90と苗植付装置5の間に配置している。
【0065】
また、帯状の苗トレイTは苗載台90の上面から後方下方に向けて順次移送される過程
で、苗トレイT内の各セル内の苗は順次、苗取装置43により苗植付具42に供給され、苗の無くなった苗トレイTは、苗載台90の移送用の複数の部材(縦移動作動軸110、縦移動カム109、ホロワ111、リンク112、縦移動駆動軸98、縦移動手段113)により苗載台90の上面から後方下方に回り込んだ状態で前方に送られ、走行部1aの走行ミッションケース7と苗載台90との間に設けられた帯状苗トレイT巻き取り用の巻取装置55に巻き取られる。
【0066】
また、巻取装置55は苗載台90の側面に基部が取り付けられた巻取装置支持ケース94と該巻取装置支持ケース94内に設けられた動力伝動部材(図示せず)と、該巻取装置支持ケース94の先端に設けた巻取ローラ125とからなり、該巻取ローラ125の表面には凹凸が設けられ、帯状苗トレイTを巻き取り易くしている。巻取ローラ125は苗載台90の縦移動従動軸99から駆動力が伝達され、前記巻取ローラ125は苗載台90の苗送りタイミングに合わせて回転する。
【0067】
上記構成により、使用済みの空になった帯状の苗トレイTを巻き取る巻取装置55を走行部1aの走行ミッションケース7と苗載台90との間に設けたので、前記空トレイTの回収が容易になった。
【0068】
上記各駆動部への動力伝動は植付ミッションケース30内の伝動系から伝動ケース108を介して苗供給装置4の苗載台90による苗トレイTの横移動と縦移動用の部材への動力伝達が行え、またこの苗載台90の伝動系を経由して伝動ケース53内の伝動チェン53aを介して苗取装置43への動力伝達が行えるので、これら苗載台90と苗取装置43への動力伝達機構が比較的簡単な構成で行える。
【0069】
また、苗供給装置4と植付ミッションケース30の間を苗を受け付けた空となった帯状苗トレイTが前方に向けて通るスペースがあるので、苗供給装置4の下方に設けた巻取装置55で空の苗トレイTを回収できるので、空トレイTの回収が容易となり、作業能率が向上する。
【0070】
また苗載台延長部129を取り外し可能に配置すると、該苗載台延長部129を苗載台90から取り外すことで、帯状に連結しない各苗トレイTをそれぞれ単独使用する普通の苗トレイとしても使用できる苗移植機としても良い。この場合は車庫などへの苗移植機1の収納が容易となる。なお、載置板延長部129を設置する場合は、該載置板延長部129の底面に設けた延長部受け部92と該延長部受け部92を機体の下方から支持する支持部材56とを設ける。
【0071】
また、機体の前方左右に補助苗置き台126,127を設ける。この補助苗置き台126,127は苗載台90と載置板延長部129上での苗トレイTの移動に邪魔にならないように、苗載台90の下方に設ける。また、前記補助苗置き台126,127の前方はそり上がる構成になっている。そのため、長い苗トレイTが収納できるだけでなく、補助苗置き台126,127から苗を取り易い。また機体の旋回時等において補助苗置き台126,127から苗が落ち難くなる。
【0072】
左側の補助苗置き台126は後方にスライド可能に設ける。そうすることで後述する半自動式の苗抜き取り時に苗をスライドした左側の補助苗置き台126からソイルブロック苗Sを取り出せる。
【0073】
また補助苗置き台126,127の下に空トレイを収納できる空トレイボックス128(図1参照)を設けているので、使用後、又は使用前の空トレイを収納できる。
次に苗植付装置5について説明する。
【0074】
図14に苗植付装置5の側面図を示し、図15に苗植付装置5の平面図を示す。苗植付装置5は、下端が尖ったカップ状の苗植付具42を備えている。この苗植付具42は、前側部材42aと後側部材42bとからなっており、苗植付具42の後方に位置する前側部材回動軸161Aに回動自在に支持された左右前側部材取付アーム162Aに前側部材42aが一体に取り付けられ、苗植付具42の前方に位置する後側部材回動軸161Bに回動自在に支持された左右後側部材取付アーム162Bに後側部材42bが一体に取り付けられている。よって、回動軸161A,161Bを支点にして両部材42a,42bが回動すると、苗植付具42の下部が開閉する。前側部材取付アーム162Aと後側部材取付アーム162Bに形成された長穴に遊嵌する連動ピン163によって、前側部材42aと後側部材42bは互いに連動して回動する。前側部材取付アーム162Aの脚部162aAと後側部材取付アーム162Bの脚部162aBとの間に、前側部材42a及び後側部材42bを閉じる側に付勢するスプリング164が張設されている。この苗植付具42は、下記の作動機構によって所定の動作を行う。
【0075】
第二植付伝動ケース32から上方に突出する支持部33aに後リンク支持アーム167Aが回動自在に取り付けられ、その支持アーム167Aに基部が枢着された後リンク168Aの後端に前側部材回動軸161Aが連結されている。後リンク168Aの中間部には、第二植付伝動ケース32の後端部に設けた後リンク駆動アーム169Aが連結されている。また、植付部ミッションケース30に前リンク支持アーム167Bが回動自在に取り付けられ、その支持アームに基部が枢着された前リンク168Bの後端に後側部材回動軸161Bが連結されている。前リンク168Bの中間部には、第一植付伝動ケース31の後端部に設けた前リンク駆動アーム169Bが連結されている。両駆動アーム169A,169Bが駆動回転すると、後リンク168A及び前リンク168Bが基部の位置を前後に変動させつつ上下に揺動し、苗植付具42が一定姿勢のまま上下動する。
【0076】
後リンク168Aの基部には開閉アーム171が回動自在に取り付けられ、その開閉アーム171の先端部と前側部材取付アーム162Aとが開閉ロッド172で連結されている。また、後リンク168Aの中間部には後リンク駆動アーム169Aと一体に回転する開閉カム173が取り付けられている。この開閉カムのカムフォロアとしてのローラ174が開閉アーム171に設けられている。苗植付具42が下死点付近にある位置から上昇する行程で、開閉カム173がローラ174に係合するようになっている。開閉カム173がローラ174に係合すると、開閉ロッド172が引かれ、前側部材42aと後側部材42bが互いに連動して回動し、苗植付具42が開く。開閉カム173がローラ174に係合しない時は、スプリング164の張力によって苗植付具42が閉じている。
【0077】
苗植付具42が上死点にある時に、苗供給装置4により苗が落下供給される。供給された苗は、前側部材回動軸161Aと後側部材回動軸161Bに取り付けられている筒状の苗案内176を通って苗植付具42内に導かれる。苗を保持した苗植付具42が下降し、下死点では苗植付具42の下部が畝の表土部に突き刺さり、苗移植用穴を形成する。これとほぼ同期して苗植付具42が開き、保持していた苗を上記苗移植用穴の中に開放する。そのまま苗植付具42が上昇し、上死点付近まで上昇すると苗植付具42が閉じる。
【0078】
尚、植付部ミッションケース30から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構を経て動力が伝達されて、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43が駆動される構成となっているが、植付部ミッションケース30から巻掛け伝動機構に動力を伝達する部位にクラッチを設けて、操作パネル202(図1,図2)に配置した自動移植停止レバー250にて該クラッチを切って、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43のみを停止させることができる構成としている。
【0079】
従って、上記苗取出爪41にて苗トレイTから取出された苗は、苗植付具42内に落下供給される。そして、苗植付具42が畝に苗を植付け、その後に、下記の左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
【0080】
図16に示す苗植付装置は、苗植付具42の前側部材42aと後側部材42bを開閉するワイヤケーブル225を設けた実施例で、ワイヤケーブル225のインナーワイヤとアウタチューブが摺動する湾曲内側部の外側にサーモテープ226を張り付けて、摺動加熱によるサーモテープ226の変色でメンテナンス時期を知らせてそのサーモテープ226側を外側に組み変えて破損を防ぎ永く使えるようにしている。またこのサーモテープ226を上側に給油管228を連結する繋ぎアウタチューブ227を回転個可能に取り付け、摺動部に注油するようにしている。
【0081】
苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪180が配置されている。該左右鎮圧輪180は、メインフレーム14の前後中間部に固着した支持枠186に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム187の中途部に回転自在に装着されている。そして、該揺動フレーム187の後端部の左右中央位置より上方に向けてロッド188が延設されており、該ロッド188の上端部は、メインフレーム14の後端部に基部が固設された支持アーム189の貫通孔189aを貫通して支持されている。そして、ロッド188には錘190が貫通して設けられており、この錘190の個数を調節することにより、左右鎮圧輪180の鎮圧荷重が調節できるようになっている。尚、ヘアピン191はロッド188が支持アーム189の貫通孔189aから抜けるのを防止するものである。
【0082】
この左右鎮圧輪180は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。
【0083】
図18には、鎮圧輪180の別実施例が示されている。この鎮圧輪180の左右側面には泥が付着し難いようにしたステンレス板や樹脂板等のサイドカバー181,182を取り付けて中心側の錘用鉄部183を設置端部から張り出さないように覆っている。なお、別実施例として、サイドカバー181,182を外周部が肉厚の形状にした鉄カバーとして回転慣性力を付与しても良い。
【0084】
また、図4には接地センサ192設置部の斜視図を示す。接地センサ192は畝上面を検出するセンサであって、該接地センサ192が上下回動すると、その回動をリンク機構193にて上下制御バルブ20aに伝え、接地センサ192の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0085】
また、上記接地センサ192はメイフレーム14に左側が軸支された回動軸194に後端部が固着され先端が前方に向けて延設されたアーム195に軸196にて回動自在に軸支されている。そして、回動軸194は植付深さ調節レバー197の基部が連繋されており、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に係合係止して固定状態にすると、回動軸194は回動が固定され、従って、アーム195の軸196は上下高さが固定されるので、接地センサ192は畝上面に摺接しながらその軸196回りに回動して、上記のように畝の高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御される。そして、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に対して位置調節して係合係止して固定状態にすることにより、アーム195の軸196の上下高さ位置を調節できるので、畝に対する機体高さを制御する基準位置を自由に設定できるので、苗の植付深さが調節できる。
【0086】
なお、油圧バルブユニット20内の左右傾斜制御バルブ20bは左右傾斜検出用の振り子200の動きに連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ27が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。操縦ハンドル6は両端が後方に延びる平面視略コ字形をしており、その両端部に左右グリップ6aが取り付けられている。旋回時や路上走行時には、作業者が左右グリップ6aを握って操縦する。
【0087】
左右グリップ6aの下側には各々左右サイドクラッチレバー201が設けられている。また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル202が設けられ、該操作パネルに、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする植付昇降レバー203、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー204及び苗の植付間隔を調節する株間調節レバー(図示せず)等が設けられている。
【0088】
上記実施例の野菜移植機1にて野菜の苗を全自動で圃場に移植する作業について、説明する。先ず、苗載台90と載置板延長部129に亘って複数の苗トレイTを連結して帯状にした苗トレイTを装填し、さらに必要な場合に、補助苗置き台126,127にも苗トレイTを載置しておく。そして、作業者はメインクラッチレバー204を入操作して左右前輪3と左右後輪2を畝溝に沿わせて機体を進行させ、植付昇降レバー203を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を開始する。すると、左右往復移動する苗載台90の苗トレイTから苗取出爪41が苗を一つずつ取出して苗植付具42内に落下供給される。そして、苗植付具42が畝に苗を植付けた後に、左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
【0089】
植付部1bの苗移植作業状態を確認しながら、苗載台90に載置された苗トレイTを見て、新たな苗トレイTの供給が必要と判断した時に、苗載台90の両脇にある補助苗置き台126,127から苗を取り出して、苗トレイ移動装置40の苗載台90に供給することができ、作業効率が良い。
【0090】
また、左側の補助苗置き台126は後方にスライド可能に設ける。そうすることで前記半自動式の苗抜き取り時に苗をスライドした左側の補助苗置き台126から取り出せる。
次に、大苗や成育が悪く欠株の多い苗トレイT等で、上記の全自動移植作業が行えない場合の移植作業について説明する。
【0091】
先ず、操作パネル202に配置した自動移植停止レバー250を操作して、苗トレイ移動装置40及び苗取装置43の駆動を停止する。この時、苗載台90が機体の左右中央部で停止するようにすると、機体の左右バランスが良くて良好な走行性能を発揮し、適切な苗移植作業が行える。そして、作業者は機体後部の左後輪2の後方の畝溝を歩きながら、メインクラッチレバー204を入操作して左右前輪3と左右後輪2を畝溝に沿わせて機体を進行させ、植付昇降レバー203を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を行なう。この時、苗トレイ移動装置40が停止し、苗取装置43の苗取出爪41が機体の右側に移動して停止しているが、苗植付具42は作動しており、作業者が予備苗載台126,127に載置された苗トレイTから苗を取出して苗植付具42内に落下する。そして、苗植付具42が畝に苗を植付け、その後に、下記の左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
【0092】
従って、大苗や成育が悪く欠株の多い苗トレイT等で、上記全自動移植作業が行えない場合でも、作業者が苗植付具42に苗を直接供給することによって、大苗や成育が悪い苗でも植付けることができる。
【0093】
また、上記実施例では、苗トレイ移動装置40を完全に停止する例を示したが、前記苗取装置43による苗トレイTからの苗の抜き取りを半自動で行うように切り替え可能とすることもできる。このための具体的な構成は次の通りである。
【0094】
苗トレイ移動装置40の苗トレイTを縦送りする駆動のみを作動させて、苗載台90を機体の左端位置で停止させ、苗載台90に苗トレイTを供給して、作業者は縦送りされる苗載台90上のソイルブロック苗Sを手動で順次取出して、苗植付具42に供給するようにしても良い。
【0095】
半自動移植方式とは、苗トレイTからの苗の抜き取りを手動で行い、苗植付装置5のホッパー42に苗を入れる方式をいい、大苗を植える場合に有利である。
この半自動式のソイルブロック苗Sの抜き取りは苗載台90の苗トレイTは必ず機体中央に戻った時に行えるようにしている。
【0096】
こうして大苗を半自動移植作業で適切に植え付けることができる。
図17には、機体の左側で苗載台90よりも上側に、走行部ミッションケース7に取り付ける支持脚207でトレイ搬送ベルト209を張架した搬送枠208を取り付けた構成を示している。この搬送枠208の後端に搬送スイッチ210を設け、この搬送スイッチ210を押すと、苗載台90が左側に移動して停止しトレイ搬送ベルト209の搬送面が前に移送を開始する。そして、機体の左後側に立った作業者が苗トレイTをトレイ搬送ベルト209上に置くと前方に送られ、前で苗トレイTを苗載台90上に載せ変える。
【0097】
このトレイ搬送ベルト209は、苗トレイTの補給作業時以外には停止して、予備の苗トレイTを載せておくことが出来るようにする。
なお、上記実施例においては、畝に移植する作業例を示したが、平らな圃場に苗を移植する場合も同様である。また、野菜苗としては、キャベツや白菜等の葉菜類の苗・大根やさつま芋等の根菜類の苗・南瓜や西瓜等の果菜類の苗が挙げられるが、他に、藺草や花等の如何なる苗でも良い。
【符号の説明】
【0098】
A 供給作用位置
B 非供給位置
S ソイルブロック苗
T 苗トレイ
5 苗植付装置
40 苗トレイ移動装置
41 苗取出爪
43 苗取装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗トレイ移動装置(40)上の苗トレイ(T)からソイルブロック苗(S)を抜き取り走行機体の左右略中央に設ける苗植付装置(5)へ供給する苗取装置(43)を供給作用位置(A)から左右片側の非供給位置(B)へ移動停止可能に設け、該苗取装置(43)を非供給位置(B)へ移動停止して、作業者が苗トレイ移動装置(40)上の苗を手動により苗植付装置(5)へ供給可能にしてなる苗移植機。
【請求項1】
苗トレイ移動装置(40)上の苗トレイ(T)からソイルブロック苗(S)を抜き取り走行機体の左右略中央に設ける苗植付装置(5)へ供給する苗取装置(43)を供給作用位置(A)から左右片側の非供給位置(B)へ移動停止可能に設け、該苗取装置(43)を非供給位置(B)へ移動停止して、作業者が苗トレイ移動装置(40)上の苗を手動により苗植付装置(5)へ供給可能にしてなる苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−187553(P2010−187553A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32852(P2009−32852)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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