説明

苦味が低減されたプランルカスト水和物を含有する製剤

【課題】プランルカスト水和物の苦味を低減した顆粒もしくは該顆粒を含有してなる製剤を提供すること。
【解決手段】プランルカスト水和物を含有する顆粒および該顆粒を含有してなる製剤(口腔内速崩錠)を提供するにあたり、プランルカスト水和物の平均粒子径を小さくすることで苦味を低減することができる。また、プランルカスト水和物を含有する顆粒の平均粒子径および嵩密度を規定することにより、本発明の効果を高めることができる。本発明のプランルカスト水和物を含有する顆粒、および該顆粒を含んでなる錠剤は苦味が低減され、また迅速に崩壊することから、服用性に優れた製剤である。
また、これにより、プランルカスト水和物を増量するとともに糖類を減量した高含量製剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランルカスト水和物を有効成分とする顆粒、および該顆粒を含有してなる製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プランルカスト水和物はロイコトリエン(LT)受容体拮抗剤として知られており(特許文献1参照)、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療剤として広く使用されている。プランルカスト水和物は、成人を対象とするカプセル剤のほか、小児気管支喘息患者を対象としてドライシロップ製剤が供されている。ドライシロップ製剤の利点として、水に溶解または懸濁させることによって嚥下が困難な小児においても容易に服用することができる点等が挙げられる。
その一方で、用時に水へ溶解または懸濁させる操作は煩雑であり、特に本剤は小児を対象とすることから、水および容器のないところでは患者またはその保護者にとって負担が増え、服用コンプライアンスが低下する恐れがある。また懸濁せずに服用すると、薬物(プランルカスト水和物)由来の苦味が口腔内に残りやすいという問題がある。
【0003】
そこで、より服用コンプライアンスの向上した製剤が要望されており、近年、上記問題点を改善すべく、種々の研究が精力的になされている。
例えば、苦味を有する薬物をドライシロップ製剤として服用する際の問題点を改善する方法として、キシリットを添加する方法(特許文献2参照)が知られている。しかし、キシリットはすべての薬物に対して苦味改善効果を有する訳でもなく、汎用的に使用できるものでもない。
また、口腔内ですばやく崩壊する口腔内速崩錠は、水なしでも服用が容易であり、1回の服用量も正確であることから、その構成や製造方法について種々の報告がされている。
しかし、苦味を有するプランルカスト水和物を口腔内速崩錠とした場合には、当該製剤が口腔内で直ちに崩壊することにより苦味を有する医薬成分が口腔内に曝露される。しかもこの際、水なしで服用されることから通常の経口錠剤よりも苦味を長時間にわたって感じることとなり、服用しやすいことが特徴である口腔内速崩錠のデメリットとなっている。
【0004】
例えば、苦味成分を隠蔽するための手段として、チュアブル製剤に配合される苦味を有する医薬成分を、エチルセルロース、オイドラギット等の高分子で被覆し、錠剤が口腔内で崩壊しても医薬成分が直接曝露されないようにする方法(特許文献3参照)が提案されている。しかし、被覆には設備と長時間の作業を要し、高コストとなる恐れがある。
一方、プランルカスト水和物を含有する製剤組成物としては、以下のものが知られている。例えば、プランルカスト水和物には付着凝集性があること等から、本化合物の原薬をそのまま打錠した場合には打錠機に付着し(スティッキング)、大量生産の面からは必ずしも好ましくはない。付着性を低減する方法として、プランルカスト水和物を糖類とともに噴霧乾燥する方法が知られているが、プランルカスト水和物の苦みの低減に関する記載はない(特許文献4参照)。
また、特許文献5でも、服用コンプライアンスが向上した小型製剤化が可能な、プランルカスト水和物を含有する新規な固形製剤用組成物について記載されているが、プランルカスト水和物の苦みの低減に関する記載はない。
【特許文献1】特開昭61−050977号公報
【特許文献2】特開平6−157312号公報
【特許文献3】特表平6−502194号公報
【特許文献4】特許第2958863号公報
【特許文献5】特開2006−008676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プランルカスト水和物の苦味を低減し、苦味を殆ど感じずに容易に服用できる製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、プランルカスト水和物の苦味にはプランルカスト水和物の平均粒子径が関係することに着目した。その結果、平均粒子径が小さいと粒子自体の数が増加することから表面積が大きくなるため、苦味が増大するという一般的な考えに対し、小さな平均粒子径を有するプランルカスト水和物が苦味低減効果を有する場合があるという逆相関を見出し、またプランルカスト水和物を含有する顆粒が特定の嵩密度を有する場合に良好な崩壊性を与えることを見出し、さらに研究を継続した結果、苦味の低減により、プランルカスト水和物の割合を増量するとともに糖類の割合を減量することができ、それにより、プランルカスト水和物の高含量製剤を提供できることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明はプランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなる顆粒、および該顆粒を含有してなる製剤に関する。
より詳細には、本発明は
[1] プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなる、苦みが低減された顆粒であって、下記(i)〜(iii)の特徴を有する顆粒;
(i)顆粒を100重量%として、プランルカスト水和物を約5〜約55重量%含有し、
(ii)プランルカスト水和物の平均粒子径が約1〜約40μmであり、かつ
(iii)顆粒の嵩密度が約0.35〜約0.70 g/cmである、
[2] 糖類がマンニトール、白糖、乳糖、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトールおよびトレハロースから選ばれる1種以上である前項[1]記載の顆粒、
[3] さらに矯味剤を含有する前項[1]記載の顆粒、
[4] 矯味剤がアスパルテームおよびヨーグルトフレーバーから選択される1種以上である前項[3]に記載の顆粒、
[5] 水溶性高分子がヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上である前項[1]記載の顆粒、
[6] プランルカスト水和物の平均粒子径が約1〜約15μmである前項[1]記載の顆粒、
[7] 顆粒を100重量%として、プランルカスト水和物を約5〜約25重量%含有する前項[1]記載の顆粒、
[8] 顆粒の平均粒子径が約50〜約600μmである前項[1]記載の顆粒、
[9] 顆粒の平均粒子径が約300〜約550μmである前項[8]記載の顆粒、
[10] 顆粒の嵩密度が約0.35〜約0.67 g/cmである前項[1]記載の顆粒、
[11] ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00である前項[1]記載の顆粒、
[12] ドライシロップである前項[1]記載の顆粒、
【0008】
[13] プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなるドライシロップであって、ドライシロップを100重量%として、プランルカスト水和物を約5〜約25重量%含有し、プランルカスト水和物の平均粒子径が約1〜約15μmであり、ドライシロップの嵩密度が約0.35〜約0.67 g/cmであり、ドライシロップの平均粒子径が約50〜約600μmであり、ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00であることを特徴とする、苦味が低減されたドライシロップ、
[14] 1日当たりのドライシロップの投与量が約0.2〜約9.0 gである前項[13]記載のドライシロップ、
【0009】
[15] 前項[1]記載の顆粒を含有してなる製剤、
[16] 口腔内速崩錠である前項[15]記載の製剤、
[17] ヒト口腔内における崩壊時間が約5〜約80秒である前項[16]記載の製剤、
[18] 1錠中にプランルカスト水和物を約50〜約125 mg含有することを特徴とする前項[16]記載の製剤、
[19] ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00である前項[16]記載の製剤、
【0010】
[20] プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなる顆粒と他の添加剤からなる錠剤であって、錠剤を100重量%として、プランルカスト水和物を約5〜約55重量%含有し、プランルカスト水和物の平均粒子径が約1〜約15μmであり、ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00であり、ヒト口腔内における崩壊時間が約5〜約80秒であり、かつ1錠中にプランルカスト水和物を約50〜約125 mg含有することを特徴とする、苦味が低減された口腔内速崩錠、ならびに
【0011】
[21] プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有する顆粒からなる製剤において、平均粒子径が約1〜約40μmであるプランルカスト水和物を用い、顆粒の嵩密度を約0.35〜約0.70 g/cmとし、製剤を100重量%とした場合のプランルカスト水和物の含量を約5〜約55重量%とすることを特徴とする、プランルカスト水和物の苦味低減方法
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、プランルカスト水和物の苦味を低減した、プランルカスト水和物を含有する顆粒および該顆粒を含有する製剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の顆粒および該顆粒を含有してなる製剤について説明する。
本発明に用いられるプランルカスト水和物は式(A)
【化1】

で示される4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン・半水和物である。プランルカスト水和物の製造は、例えば、上記特許文献1記載の方法に準じて行なうことができる。
本発明において、「プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなる、苦味が低減された顆粒」(以下、「顆粒」と略記する場合がある。)における糖類としては、例えば、糖、糖アルコール等が挙げられ、これらから選択される1種を用いることができ、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。糖としては、例えば、単糖類(ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース、マンノース等)、少糖類(乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルトース)、ショ糖(スクロース)、白糖(精製白糖を含む。)、セロビオース、トレハロース等)が挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール等が挙げられる。
【0014】
これらの糖類のうち、マンニトール、白糖、乳糖、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトールおよびトレハロースが好ましく、より好ましくは白糖、またはマンニトールである。マンニトールとしては、D−マンニトールがさらに好ましい。白糖としては、精製白糖が好ましい。また、糖類としては、成型性や崩壊性に優れたものや、非吸湿性であること、高融点であること、安定性が良好であること、活性成分の配合禁忌がないこと、清涼性があることも好ましい。
【0015】
本発明の顆粒に用いられる糖類の割合としては、顆粒を100重量%として約40〜約90重量%が好ましく、より好ましくは約40〜約85重量%である。また、該顆粒を含有してなる製剤(例えば、錠剤)を100重量%とした場合の糖類の割合としては、約40〜約90重量%が好ましく、より好ましくは約40〜約85重量%であり、さらに好ましくは約40〜約75重量%である。
【0016】
本発明の顆粒における水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシナート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、アラビアゴム、寒天、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、マクロゴール等が挙げられ、これらから選択される1種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの水溶性高分子のうち、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が好ましく、いずれも市販品として入手できる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)としては、例えば、信越化学工業株式会社製のTC−5E、TC−5EW、TC−5MW、TC−5R、TC−5RW、TC−RG、TC−5S等が挙げられる。その中でも、TC−5EWおよびTC−5RW等が好ましい。ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)としては、例えば、日本曹達株式会社製のHPC−SSL、HPC−SL、HPC−L、HPC−M、HPC−H等が挙げられ、これらの中でも、HPC−Lが好ましい。これらは市販品として入手することができる。
【0017】
「プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなる顆粒」には、顆粒製剤を製造する際に一般的に使用される他の添加剤(製剤基剤)が更に含まれてもよい。
本発明において、「顆粒を含有してなる製剤」とは、本発明の顆粒と、必要に応じて他の添加剤(製剤基剤)を含有する製剤(以下、本発明製剤と略記する場合がある。)を意味する。製剤形態としては、特に限定されないが、例えば錠剤、カプセル剤等が挙げられる。
【0018】
本発明の顆粒、および該顆粒を含有してなる製剤(本発明製剤)は公知の方法に準じて製造することができる。例えば、プランルカスト水和物、糖類、水溶性高分子および必要に応じて他の添加剤を混合するか、もしくは公知の造粒法(例えば、押出し造粒法、混合撹拌造粒法、高速混合撹拌造粒法、流動層造粒法、転動撹拌流動層造粒法、転動造粒法、乾式(圧縮)造粒法、破砕造粒法、噴霧乾燥造粒法等)によって得られる造粒物を必要に応じて乾燥、整粒、分級等することにより、顆粒を製造することができる。また、そのようにして得られた顆粒に、必要に応じて他の添加剤を加えて、カプセル充填、または公知の打錠機(例えば、ロータリー打錠機または単発打錠機等)を用いて打錠することにより、カプセル剤や錠剤を製造することができる。また、錠剤は、必要に応じ薬学的に許容され、本発明の効果を妨げない、フィルムコーティング基剤を用いて被覆されても構わない。
噴霧乾燥(スプレードライ)造粒法とは、当業者には明らかではあるが、液体混合物を小さな液滴にし(微粒化)、噴霧乾燥造粒機、流動層乾燥造粒機、転動流動層造粒機、錠剤コーティング機等の噴霧乾燥装置中で混合物から溶媒を速やかに除去する工程を含む造粒法を広く表わす。2種以上の糖類を含有する粉末を用いる場合は、該2種以上の糖類をあらかじめ混合液にして噴霧乾燥した粉末を用いてもよいし、個々に噴霧乾燥した後に混合したものを用いてもよい。また、いずれの製造方法においても、圧縮成型時、滑沢剤等を混合せずに、打錠機の杵臼にあらかじめ滑沢剤を塗布してから圧縮成型することもできる。
【0019】
上記他の添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯臭剤、界面活性剤、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、流動化剤、湿潤剤、溶出補助剤、矯味剤、精油、分散補助剤、発泡剤等が挙げられ、これらから選択される1種を用いることができ、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの添加剤は市販品として入手することができる。
賦形剤としては、例えば、糖類(例えば、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、還元乳糖、蔗糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール等)、デンプン(トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン等)、ラクトースコロイダルシリカ、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。前記結晶セルロースとしては、微結晶セルロースと称されているものも含み、例えば旭化成工業株式会社から市販されている各種グレード、セオラス(登録商標。以下同じ。)KG802、セオラスPH101、セオラスPH102、セオラスPH301、セオラスPH302、セオラスPH−F20JP、セオラスRC−A591NF(結晶セルロース・カルメロースナトリウム)等が挙げられる。いずれも好ましいが、より好ましくはセオラスPH301である。賦形剤(例えば、結晶セルロース)は、本発明製剤(例えば、錠剤)を100重量%として、約0.5〜約30重量%、好ましくは約1〜約20重量%となるよう含有させることが好ましい。とりわけ、約5〜約15重量%配合するのが好ましい。
【0020】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分α化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(線維素グリコール酸カルシウム)、カルボキシメチルセルロース、クロスポビドン(例えばBASFジャパン株式会社製の商品名コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられ、トウモロコシデンプン、クロスポビドンおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0021】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、食用赤色3号、食用赤色102号、食用黄色5号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用青色1号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、リボフラビン、カラメル等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンE等が挙げられる。
隠蔽剤としては、例えば、酸化チタン等が挙げられる。
静電気防止剤としては、例えば、タルク、酸化チタン等が挙げられる。
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸(例えばフロイント産業株式会社製の商品名アドソリダー101等)、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
湿潤剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。
溶出補助剤としては、例えば、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリン、アルギニン、リジン、トリスアミノメタン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。
【0022】
矯味剤(苦味改善剤)としては、例えば、甘味料(サッカリンまたはその塩(ナトリウム塩)、アスパルテーム、ステビアエキス、グリチルリチン酸またはその塩(二カリウム塩、二ナトリウム塩、三ナトリウム塩、二アンモニウム塩、モノアンモニウム塩)、スクラロース、ソーマチン、アセスルファームカリウム、白糖、D−ソルビトール、キシリトール、ソーマチン(タウマチン)、5’−イノシン酸ナトリウム等)、香料(アマチャ末、カラメル、ヨーグルトフレーバー、バニラフレーバー、フルーツフレーバー、ストロベリーフレーバー、チョコレートフレーバー、レモン、レモンライム、オレンジ、オレンジエッセンス、オレンジエキス、ミント、l−メントール、1−カンファー等)、酸味料(クエン酸、無水クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、フマル酸、グルタミン酸またはその塩(ナトリウム塩)、アスコルビン酸、5’−グアニル酸ナトリウム等)等が挙げられる。前記ステビアエキスとしては、天然のステビアエキスの他にこれらの糖転移物も挙げられ、例えばリバウディオサイドA、リバウディオサイドB、リバウディオサイドC、リバウディオサイドD、リバウディオサイドE、α−グルコシルステビオシド等が挙げられる。スクラロースとは、ショ糖由来の甘味料でショ糖のハロゲン化によって得られる4,1’,6’−トリデオキシ−4,1’,6’−トリクロロ−ガラクトスクロースである。甘味料としてアスパルテーム、香料としてヨーグルトフレーバー、酸味料として無水クエン酸が好ましい。
【0023】
本発明製剤に用いられる甘味料および香料の配合量としては、例えばそれぞれ、本発明製剤を100重量%として、約0.01〜約5重量%が好ましく、約0.05〜約1重量%がより好ましい。
【0024】
精油としては、例えば、ハッカ油、ユーカリ油、ケイヒ油、ウイキョウ油、チョウジ油、オレンジ油、レモン油、ライム油、パイン油、ローズ油等が挙げられ、好ましくは、ハッカ油、ユーカリ油、ケイヒ油、ウイキョウ油、チョウジ油等である。
分散補助剤としては、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、トレハロース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等が挙げられる。
発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等が挙げられる。
【0025】
本発明において、「プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなる顆粒」、および「顆粒を含有してなる製剤」、どちらも好ましい。
「顆粒を含有してなる製剤」における製剤形態としては、錠剤が好ましく、さらに口腔内速崩錠がより好ましい。
本発明において、口腔内速崩錠とは、単に速崩錠とも呼ばれ、唾液との和合により速やかに崩壊する錠剤である。口腔内速崩錠には、いわゆるチュアブル錠も含まれる。
本発明製剤における錠剤の打錠は、成形性と口腔内での崩壊性を考慮して行なうが、例えば、直径9mmの杵を用いた場合、約2.5〜約15kNで打錠することが好ましく、より好ましくは約3.0〜約12.0kNである。
【0026】
また、「プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有する顆粒」は、そのもの自体を顆粒剤、散剤、ドライシロップとして服用することができる。
顆粒剤や散剤の場合には、そのまま水と一緒に服用してもよいし、水に溶解または懸濁して服用してもよい。
ドライシロップとは、第十四改正日本薬局方によると、用時に溶解または懸濁して服用する製剤を意味するが、必要に応じて水と一緒に服用しても構わない。
【0027】
本発明の顆粒は、水に懸濁または溶解して液剤(例えば、経口用シロップ剤等)として供することもできる。液剤とする際には、必要に応じて1種または2種以上の添加剤を適宜用いることができる。例えば、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等)、増粘剤(多価アルコール(グリセリン、マクロゴール等)、セルロース類(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、親水性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、シクロデキストリン等)、懸濁化剤(界面活性剤(ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート等)、糖類(ソルビトール、マンニトール、ショ糖等)、セルロース類(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)等)、等張化剤(ブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、塩化カリウム、濃グリセリン、プロピレングリコール、ショ糖等)、緩衝剤(リン酸塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等)、ホウ酸、ホウ砂、酢酸塩(酢酸ナトリウム等)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等)、クエン酸、L−グルタミン酸ナトリウム等)等の添加剤を適宜組み合わせて用いることができる。本発明の顆粒の服用形態として好ましくは、顆粒剤またはドライシロップであり、より好ましくはドライシロップである。
【0028】
また、本発明の顆粒または本発明製剤は所望により1以上のコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、エチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー等)で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等)、パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)、逆性石鹸類(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム等)、アルコール誘導体(クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、有機酸およびその塩類(デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム等)、フェノール類(パラクロロメトキシフェノール、パラクロロメタクレゾール等)等)、抗酸化剤(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、クエン酸、エデト酸ナトリウム等)等の添加物を加えることもできる。また、例えばプランルカスト水和物原末をそのまま、または造粒顆粒等に適当なコーティング剤(上記と同じものを表わす。)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル等)等を用いて被覆を施したプランルカスト水和物に結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)等と混合し、常法に従って製剤化して用いることもできる。
【0029】
本発明において用いられるプランルカスト水和物の平均粒子径としては、苦味を低減する効果から、約1〜約40μmが好ましい。より好ましくは約1〜約15μmであり、特段好ましくは約1〜約10μmである。
平均粒子径約1〜約40μmのプランルカスト水和物は、公知の方法(例えば特開昭61−050977号公報に記載された方法等)等を適宜組み合わせることにより、当業者においては容易に製造することができる。例えば、平均粒子径約39.2μmのプランルカスト水和物は以下の方法によって得ることができる;
プランルカスト水和物(1500 g)にエタノール(6.67 L)および水(12 L)を加え、内温約20〜約30℃で約5分間撹拌する。その後、炭酸水素ナトリウム(314.4 g)を加え、内温約65℃まで昇温して、プランルカスト水和物を溶解する。得られる溶液を撹拌しながら、酢酸(402.6 g)を加え、内温約65℃で約1時間撹拌する。得られる晶析液を遠心分離機にてろ過し、エタノール(10 L)で2回洗浄する。得られる結晶にエタノール(18 L)を加え、内温約20〜30℃で約1時間撹拌する。晶析液を遠心分離機にてろ過し、得られる結晶を減圧式乾燥機にて乾燥温度40℃で12時間以上乾燥する。乾燥後、乾燥機内に水の入ったガラスシャーレを入れ、減圧下、密閉状態にして、結晶の水分含量が1.5〜2.0%になるまで室温で吸湿操作を行なう。
特開昭61−050977号公報記載の方法や上記方法等によって製造されたプランルカスト水和物をそのまま用いてもよいし、公知の方法、例えばハンマーミル、ボールミルまたはジェットミル等で粉砕し、所望の平均粒子径に調整することもできる。
【0030】
なお、本発明において、プランルカスト水和物の平均粒子径とは、その一次粒子の平均粒子径(重量基準平均径)を意味し、例えば一般に用いられているレーザー回折式の粒度分布測定装置(例えば、SALD−2100(株式会社島津製作所))により求めることができる。
【0031】
本発明の顆粒、または本発明製剤に含まれる顆粒の平均粒子径としては、約50〜約600μmの範囲にあることが好ましい。本発明製剤(例えば、口腔内速崩錠)に含まれる顆粒の平均粒子径としては、大きいと口腔内でざらつき感を感じる原因となり、また小さいと苦味が口腔内に長時間残留したりすることから、約50〜約150μmが好ましく、さらに好ましくは約50〜約100μmである。また、小児患者が本発明の顆粒を服用した場合、小さすぎると噎せる原因になることも考えられるため、本発明の顆粒のより好ましい平均粒子径としては、約300〜約550μmであり、さらに好ましくは約350〜約500μmである。
また、本発明の顆粒の平均粒子径の測定法としては例えばふるい分け法があり、適切なサイズのふるいを用いて顆粒の粒度分布を測定する方法により求めることができる。
また、ヒト口腔内における崩壊性および苦味スコアについては顆粒の嵩密度が影響しており、嵩密度範囲を規定することが有効である。すなわち、本発明の顆粒の嵩密度として好ましくは約0.35〜約0.70 g/cmであり、より好ましくは約0.35〜約0.67 g/cmである。また、本発明製剤に含まれる顆粒の嵩密度として好ましくは、約0.35〜約0.70 g/cmであり、より好ましくは約0.35〜約0.65 g/cmであり、さらに好ましくは約0.35〜約0.55 g/cmである。
なお、本発明において、「顆粒の嵩密度」とは、「顆粒質量」を「顆粒を容器に入れたときの体積」で除した値(ルーズ嵩密度)を意味し、例えば約30 gの試料を精密に量り、乾いたメスシリンダーに圧密せずに入れ、目盛の最小単位まで読み取り、粉粒体の重量を粉粒体の最終嵩体積で除したものを嵩密度とする方法によって測定することができる。
【0032】
本発明製剤(例えば、口腔内速崩錠)においては、ヒト口腔内における崩壊時間の規定により服用感を改善し、苦味を低減することができる。好ましくは、ヒト口腔内における崩壊時間が約5〜約80秒の製剤であり、より好ましくは、ヒト口腔内における崩壊時間が約5〜約70秒の製剤であり、さらに好ましくはヒト口腔内における崩壊時間が約5〜約40秒の製剤である。
【0033】
また、本発明製剤の崩壊性(崩壊時間)を測定する方法としては、例えば、日本薬局方第十四改正に記載の方法に準じた崩壊試験も好ましい。この崩壊試験において、例えば、試験液を水とした場合の崩壊試験による好ましい崩壊時間としては、約5〜約60秒であり、より好ましくは約5〜約50秒であり、さらに好ましくは約5〜約45秒であり、特段好ましくは約5〜約30秒である。
【0034】
また、崩壊時間と同様に、苦味スコアも本発明の効果を表わすのに好適である。すなわち、後記の苦味官能試験1における苦味スコアにおいて、0〜2.00の範囲にあれば、苦味が低減された本発明製剤であるといえる。さらに好ましくは、苦味スコアが0〜1.00の本発明製剤である。
後記苦味官能試験2における苦味スコアにおいても、0〜2.00の範囲であれば、苦味が低減された顆粒であるといえるが、好ましくは苦味スコアが0〜1.50の顆粒であり、さらに好ましくは苦味スコアが0〜1.45の顆粒である。
【0035】
本発明により、プランルカスト水和物の高含量顆粒または製剤を提供することができる。具体的には、プランルカスト水和物の含有量は、本発明の顆粒を100重量%とした場合、好ましくは約5〜55重量%であり、より好ましくは約5〜約45重量%であり、さらに好ましくは約5〜約35重量%であり、特段好ましくは約5〜約25重量%である。また、本発明製剤(例えば、錠剤)を100重量%とした場合、好ましくは約5〜約55重量%であり、より好ましくは約5〜約45重量%であり、さらに好ましくは約5〜約40重量%であり、特段好ましくは約5〜35重量%である。
【0036】
本発明製剤の形態が錠剤の場合、1錠中のプランルカスト水和物の含有量として好ましくは約30〜約225 mg、より好ましくは約35〜約150 mg、さらに好ましくは約40〜約112.5 mgである。
本発明の顆粒を小児に対して投与するには、ドライシロップの形態が好ましい。小児患者の体重1 kg当たりの1日当たりのプランルカスト水和物の投与量としては、約2 mg〜約10 mgが好ましく、より好ましくは約5 mg〜約8 mgであり、さらに好ましくは約7 mgである。また、体重12 kg以上18 kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約50 mg〜約100 mg投与するのが好ましく、より好ましくは約50 mgまたは約100 mgである。体重18 kg以上25 kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約70 mg〜約140 mg投与するのが好ましく、より好ましくは約70 mgまたは約140 mgである。体重25 kg以上35 kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約100 mg〜約200 mg投与するのが好ましく、より好ましくは約100 mgまたは約200 mgである。体重35 kg以上45 kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約140 mg〜約280 mg投与するのが好ましく、より好ましくは約140 mgまたは約280 mgである。
本発明の顆粒をドライシロップとして用いる場合の一日当たりの投与量として好ましくは、約0.09〜約9.00 gであり、より好ましくは約0.11〜9.00 gであり、さらに好ましくは約0.14 g〜約9.00 gであり、特段好ましくは約0.20〜約9.00 gである。なお、ドライシロップに含まれるプランルカスト水和物含量は約450 mgを超えないことが好ましい。
【0037】
[医薬品への適用]
プランルカスト水和物は、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、メニエール症候群、偏頭痛、咳嗽、滲出性中耳炎、月経困難症等の種々の疾患等の予防および/または治療薬として有用である。
プランルカスト水和物を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、プランルカスト水和物を約112.5〜約450 mgの範囲で一日1回から数回経口投与される。
なお、小児には通常、プランルカスト水和物を1日量約5〜約10 mg/kgの範囲で経口投与される。
もちろん前記したように、投与方法および投与量は種々の条件により変動するので、上記に限られず、上記以外の投与方法も用いることができ、また上記の投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を超えて投与の必要な場合もある。
また、本発明の製剤の大きさは特に制限はなく、常識の範囲を超えない程度、例えば口腔内速崩錠においては口中に入れるために可能な大きさであればよく、プランルカスト水和物の配合量を考慮して決定される。また形状も特に制限はなく、例えば、一般的な円形錠や異形錠(例えば、カプレット錠、穴あき形錠等)であってもよい。
【0038】
[毒性]
本発明の顆粒および本発明製剤の毒性は低く、医薬として使用するために十分に安全である。
【実施例】
【0039】
以下、実施例によって本発明を具体的に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
実施例1
ヨーグルトフレーバー(商品名:ヨーグルトオイル(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製);2.4 g)の無水エタノール(9.6 g)懸濁液を精製水(345.2 g)に懸濁して結合液を得た。撹拌造粒機(VG−10型バーチカルグラニュレーター:パウレック(株)製)の容器内に平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(400 g)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5RW(信越化学(株)製);48 g)、マンニトール(メルク社製、1524.8 g)、アスパルテーム(味の素(株)製、4.8 g)およびクロスポビドン(商品名:コリドンCL(BASFジャパン製);120 g)を加え、1分間混合後、先に得た結合液を加え、プランルカスト水和物の湿性品を得た(ブレード回転速度:400 rpm、チョッパー回転速度:2000 rpm、送液速度:20〜30 g/分)。これを1.40 mmのふるいで整粒し、流動層造粒機(WSG−5:パウレック(株)製)を用いて乾燥した(給気温度:85℃)。乾燥品を再度整粒機(クアドロコーミル(QUADRO COMIL):パウレック(株)製)で整粒(スクリーン径:1.397 mmおよび0.813 mm)し、さらに1 mmのふるいで篩過し、プランルカスト水和物を含有する顆粒(約1900 g)を得た。この顆粒の平均粒子径は163.0μm、嵩密度は0.650 g/cm(嵩密度は、100 mLのメスシリンダーに約30 gの顆粒を入れたときの質量を体積で除した値を表わす。以下同じ。)であった。この顆粒(262.5 g)に無水クエン酸(小松屋化学(株)製、1.5 g)、微結晶セルロース(商品名:セオラスPH301(旭化成ケミカルズ(株)製);32.4 g)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製、2.4 g)および軽質無水ケイ酸(商品名:アドソリダー101(フロイント産業(株)製);1.2 g)を加えて袋混合を行ない、打錠用末を得た。この打錠用末を打錠機(バーゴ(VIRGO):菊水製作所(株)製)で直径9.5 mmの杵を用いて4.9 kNで打錠を行ない、1錠あたり以下の表1に示す組成からなる錠剤を得た。得られた錠剤の錠剤硬度は29.5 N、錠剤厚は4.35 mmであった。また、試験液を水として日本薬局方第十四改正に記載の方法に準じて行った崩壊試験での崩壊時間(以下、ヒト口腔内における崩壊時間と区別して「薬局方崩壊時間」という。)は35秒であった。なお、錠剤硬度の測定は、錠剤連続測定機(WHT−2E:PHARMA TEST社製)で行なった。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例2
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物の代わりに平均粒子径9.2μmのプランルカスト水和物を用い、精製水の量を345.2 gから401.0 gに変更したこと以外は、実施例1で示した操作と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:268.1μm、嵩密度:0.544 g/cm)および打錠用末を得た。この打錠用末を実施例1と同じ打錠機および杵を用いて4.5 kNで打錠を行ない、1錠あたり以下の表2に示す組成からなる錠剤を得た。得られた錠剤の錠剤硬度は29.7 N、錠剤厚は4.50 mmであり、薬局方崩壊時間は33秒であった。
【0043】
【表2】

【0044】
実施例3
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物の代わりに平均粒子径39.2μmのプランルカスト水和物を用い、精製水の量を345.2 gから421.0 gに変更したこと以外は、実施例1で示した操作と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:254.5μm、嵩密度:0.599 g/cm)および打錠用末を得た。この打錠用末を実施例1と同じ打錠機および杵を用いて4.3 kNで打錠を行ない、1錠あたり以下の表3に示す組成からなる錠剤を得た。得られた錠剤の錠剤硬度は29.6 N、錠剤厚は4.46 mmであり、薬局方崩壊時間は24秒であった。
【0045】
【表3】

【0046】
実施例4
精製水の量を345.2 gから355.2 gに変更し、整粒機での整粒におけるスクリーン径を1.397 mmおよび0.813 mmから 1.397 mmおよび0.457 mmに変更したこと以外は、実施例1で示した操作と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:163.0μm、嵩密度:0.605 g/cm)および打錠用末を得た。この打錠用末を実施例1と同じ打錠機および杵を用いて4.7 kNで打錠を行ない、1錠あたり以下の表4に示す組成からなる錠剤を得た。得られた錠剤の錠剤硬度は29.9 N、錠剤厚は4.47 mmであり、薬局方崩壊時間は26秒であった。
【0047】
【表4】

【0048】
実施例5
ヨーグルトフレーバー(商品名:ヨーグルトオイル(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製);2.4 g)の無水エタノール(9.6 g)懸濁液を精製水(200.0 g)に懸濁し、結合液とした。撹拌造粒機(VG−10型バーチカルグラニュレーター:パウレック(株)製)にプランルカスト水和物(粒子径2.9μm;400 g)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5RW(信越化学(株)製);48 g)、精製白糖(平野屋(株)製、1553.6 g)およびクロスポビドン(商品名:コリドンCL(BASFジャパン製);120 g)を用いて1分間混合後、結合液を加え、プランルカスト水和物の湿性品を得た(ブレード回転速度:400 rpm、チョッパー回転速度:2000 rpm、送液速度:20〜30 g/分)。これを1.40 mmのふるいで整粒し、流動層造粒機(WSG−5:パウレック(株)製)で乾燥した。乾燥品を再度整粒機(クアドロコーミル:パウレック(株)製)で整粒(スクリーン径:1.397 mm)を行ない、さらに1 mmのふるいで篩過し、約1900 gの顆粒(平均粒子径:271.9μm、嵩密度:0.695 g/cm)を得た。この顆粒(265.5 g)に微結晶セルロース(商品名:セオラスPH301(旭化成ケミカルズ(株)製);30.9 g)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製、2.4 g)および軽質無水ケイ酸(商品名:アドソリダー101(フロイント産業(株)製);1.2 g)を添加後、袋混合を行ない、打錠用末を得た。この打錠用末を打錠機(バーゴ:菊水製作所(株)製)により、直径9.5 mmの杵を用いて6.1 kNで打錠を行ない、1錠あたり以下の表5に示す組成からなる錠剤を製造した。得られた錠剤の錠剤硬度は31.0 N、錠剤厚は4.18 mmであり、薬局方崩壊時間は455秒であった。
【0049】
【表5】

【0050】
実施例6
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5EW(信越化学(株)製);1.2 g)を精製水(990 mL)に溶解し、マンニトール(メルク社製、785.2 g)およびプランルカスト水和物(200 g;平均粒子径2.9μm)を加え懸濁した。一晩低速で撹拌し脱泡後、アスパルテーム(味の素(株)製、2.4 g)を加え、またヨーグルトフレーバー(商品名:ヨーグルトオイル(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製);1.2 g)の無水エタノール(4.8 g)懸濁液を加えた。これを噴霧乾燥造粒機(L−8型スプレードライヤー:大川原化工機(株)製)で噴霧乾燥し、プランルカスト水和物を含有する噴霧乾燥品を得た。これを500μmのふるいで篩過し、約800 gの顆粒(平均粒子径:83.0μm、嵩密度:0.490 g/cm)を得た。この顆粒(247.5 g)に無水クエン酸(1.5 g)、クロスポビドン(商品名:コリドンCL(BASFジャパン製);15 g)、微結晶セルロース(商品名:セオラスPH301(旭化成ケミカルズ(株)製);31.5 g)およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製、4.5 g)を添加し、打錠用末を得た。打錠用末を打錠機(バーゴ:菊水製作所(株)製)により、直径9.5 mmの杵を用いて4.9 kNで打錠を行ない、1錠あたり以下の表6に示す組成からなる錠剤を得た。得られた錠剤の錠剤硬度は31.0 N、錠剤厚は4.52 mmであり、薬局方崩壊時間は21秒であった。
【0051】
【表6】

【0052】
実施例7
マンニトールの量を785.2 gから705.2 gに変更し、プランルカスト水和物の量を200 gから280 gに変更したこと以外は、実施例6で示した方法と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:89.4μm、嵩密度:0.412 g/cm)および打錠用末を得た。この打錠用末を実施例1と同じ打錠機および杵を用いて3.9 kNで打錠を行ない、1錠あたり以下の表7に示す組成からなる錠剤を得た。得られた錠剤の錠剤硬度は30.2 N、錠剤厚は4.65 mmであり、薬局方崩壊時間は35秒であった。
【0053】
【表7】

【0054】
実施例8
マンニトールの量を785.2 gから585.2 gに変更し、プランルカスト水和物の量を200 gから400 gに変更したこと以外は、実施例6で示した方法と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:81.1μm、嵩密度:0.390 g/cm)および打錠用末を得た。この打錠用末を実施例1と同じ打錠機および杵を用いて、3.2 kNで打錠を行ない、1錠あたり以下の表8に示す組成からなる錠剤を得た。得られた錠剤の錠剤硬度は31.0 N、錠剤厚は4.76 mmであり、薬局方崩壊時間は40秒であった。
【0055】
【表8】

【0056】
実施例9
撹拌造粒機(VG−01型バーチカルグラニュレーター:パウレック(株)製)の容器内に平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(60.0 g)、マンニトール(メルク社製、209.3 g)、トウモロコシデンプン(日澱化学(株)製、21.0 g)、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−L(日本曹達(株)製);9.0 g)およびアスパルテーム(味の素(株)製、0.7g)を投入し、1分間混合後、精製水(53 g)を混合物に対して添加し、プランルカスト水和物の湿性品を得た(ブレード回転速度:500 rpm、チョッパー回転速度:2500 rpm)。この湿性品を流動層造粒機(STREA:パウレック(株)製)を用いて、吸気温度80℃にて排気温度が45℃になるまで乾燥した。この乾燥品をふるい分け法により、300μm〜710μmの分画を回収し、プランルカスト水和物を含有する顆粒を得た(平均粒子径:453.9μm、嵩密度:0.550 g/cm)。以下の表9に顆粒250 mgあたりの組成を示す。
【0057】
【表9】

【0058】
実施例10
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物の代わりに平均粒子径9.2μmのプランルカスト水和物を用い、精製水の量を53 gから55 gに変更したこと以外は、実施例9で示した操作と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:430.2μm、嵩密度:0.541 g/cm)を得た。以下の表10に顆粒250 mgあたりの組成を示す。
【0059】
【表10】

【0060】
実施例11
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物の代わりに平均粒子径38.4μmのプランルカスト水和物を用い、精製水の量を53 gから60 gに変更したこと以外は、実施例9で示した操作と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:531.8μm、嵩密度:0.577 g/cm)を得た。以下の表11に顆粒250 mgあたりの組成を示す。
【0061】
【表11】

【0062】
実施例12
マンニトールの代わりに精製白糖を用い、精製水(53 g)の代わりにエタノール(53 g)を用いたこと以外は、実施例9で示した操作と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:465.5μm、嵩密度:0.652 g/cm)を得た。以下の表12に顆粒250 mgあたりの組成を示す。
【0063】
【表12】

【0064】
実施例13
精製水の量を53 gから50 gに変更し、マンニトールの代わりに乳糖(ラクトースニュージーランド社製)を用いたこと以外は、実施例9で示した操作と同じ操作をして、プランルカスト水和物を含有する顆粒(平均粒子径:465.5μm、嵩密度:0.652 g/cm)を得た。以下の表13に顆粒250 mgあたりの組成を示す。
【0065】
【表13】

【0066】
苦味官能試験1
本発明の錠剤を用いて官能試験を行なった。
年齢25〜45歳の男女14人に、実施例1〜8で製造した錠剤を1錠、口腔内に水を含まない状態で含ませ、錠剤を舌と上あごとで擦り付けることにより、錠剤が完全に崩壊するまでの時間(ヒト口腔内における崩壊時間(秒))を測定し、その際の苦味を評価した。苦味の評価基準(スコア)は以下の通りである。
0:苦味を全く感じない
1:苦味を知覚することができる
2:苦味をわずかに感じる
3:苦味を感じる
4:苦味を強く感じる
【0067】
以下の表14および表15にそれぞれの錠剤の薬物(プランルカスト水和物)の平均粒子径(μm)、苦味スコア(相対値)、崩壊時間(ヒト口腔内における崩壊時間(秒))、錠剤に含まれる顆粒の平均粒子径(μm)および顆粒の嵩密度(g/cm)を示す。
【0068】
【表14】

【0069】
【表15】

【0070】
上記試験結果から、本発明者らは、以下の知見を得た。
1.薬物の平均粒子径の好ましい範囲
表14より、撹拌造粒を行なった実施例1、2および3の製剤を比較すると、薬物の平均粒子径が2.9μmである実施例1の製剤が1.64と最も低い苦味スコアを示し、薬物の平均粒子径が9.2μmである実施例2の製剤の苦味スコアが1.93で、薬物の平均粒子径が39.2μmである実施例3の製剤の苦味スコアが2.07と、薬物の平均粒子径が小さいほど低い苦味スコアを示した。このことから、苦味を改善することができる薬物の平均粒子径としては約1〜約40μmが好ましく、より好ましくは約1〜約15μmであり、さらに好ましくは約1〜約10μmである。
2.錠剤の崩壊時間(ヒト口腔内における崩壊時間)の好ましい範囲
表14および表15より、実施例1、5および6の製剤を比較すると、錠剤の崩壊時間が短いものが苦味改善効果に優れていることから、プランルカスト水和物の苦味を改善するための崩壊時間としては約5〜約80秒が好ましく、より好ましくは約5〜約70秒であり、さらに好ましくは約5〜約40秒である。
3.添加剤の最適化
表14より、実施例5および6の製剤を比較すると、精製白糖に替えてマンニトールを使用し、矯味剤としてアスパルテームを使用することによってより苦味改善が認められるとともに、崩壊時間も短縮されることから、マンニトールおよび精製白糖ともに糖類として好適であるが、マンニトールがより好ましく、矯味剤としてアスパルテーム(甘味料)がより好ましい。また、香料としてヨーグルトフレーバーを用いることも好ましい。
【0071】
4.顆粒の平均粒子径の好ましい範囲
表14および表15より、顆粒の平均粒子径が大きい実施例1および5の製剤では苦味スコアが比較的高く現われ、また崩壊時間が長くなる。一方、顆粒の平均粒子径が小さい実施例6〜8の製剤では苦味スコアが低く、また崩壊時間が短くなることから、錠剤に含まれる顆粒の平均粒子径は小さい方が好ましい。このことから、崩壊時間および苦味の改善程度を鑑みると、本発明製剤に含まれる顆粒の平均粒子径としては約50〜約150μmが好ましく、より好ましくは約50〜約100μmである。
5.顆粒の嵩密度の好ましい範囲
表15より、顆粒の嵩密度がそれぞれ0.490、0.412および0.390 g/cmである実施例6、実施例7および実施例8の製剤は口腔内の崩壊時間が23秒、26秒および31秒であり、良好な崩壊性を示す。また、実施例1〜5の製剤は実施例6〜8の製剤の次に崩壊性が好ましいことが分かる。これらのことから、崩壊性の面から、本発明製剤に含まれる顆粒の嵩密度は0.35〜0.70 g/cmが好ましく、より好ましくは0.35〜0.55 g/cmである。
6.薬物含量の好ましい範囲
表15より、薬物含量を変動させた実施例6、実施例7および実施例8の製剤を比較すると、総重量300 mg中において50 mg、70 mg、100 mgのいずれの製剤でも苦味スコアが低く、苦味を低減した高含量製剤を提供することができる。このことから、本発明製剤における薬物含量は約5〜約55重量%が好ましく、より好ましくは約5〜約45重量%であり、さらに好ましくは約5〜約40重量%であり、特段好ましくは約5〜約35重量%である。
【0072】
苦味官能試験2
本発明の顆粒を用いて官能試験を行なった。
年齢25〜45歳の男女16人に、実施例9〜13で製造した顆粒を250 mg、口腔内に水を含まない状態で含ませ、顆粒を30秒間、舌と上あごとで擦り付けた後に嚥下した際の苦味を評価した。苦味の評価基準(スコア)は以下の通りである。
0:苦味を全く感じない
1:苦味を知覚することができる
2:苦味をわずかに感じる
3:苦味を感じる
4:苦味を強く感じる
【0073】
以下の表16にそれぞれの顆粒の薬物(プランルカスト水和物)の平均粒子径(μm)、苦味スコア(相対値)、崩壊時間(ヒト口腔内における崩壊時間(秒))、顆粒の平均粒子径(μm)および顆粒の嵩密度(g/cm)を示す。
【0074】
【表16】

【0075】
上記試験結果から、本発明者らは、以下の知見を得た。
表16より、実施例9、10および11の製剤を比較すると、前記苦味官能試験1で得られた知見と同様に、薬物の平均粒子径が2.9μmである実施例9の製剤が1.13と最も低い苦味スコアを示し、薬物の平均粒子径が9.2μmである実施例10の製剤の苦味スコアが1.19で、薬物の平均粒子径が38.4μmである実施例11の製剤の苦味スコアが1.50と、薬物の平均粒子径が小さいほど低い苦味スコアを示した。このことから、苦味を改善することができる薬物の平均粒子径としては約1〜約40μmが好ましく、より好ましくは約1〜約15μmであり、さらに好ましくは約1〜約10μmである。
また、実施例9、12および13の製剤を比較した場合、含まれる糖類が、それぞれマンニトール、精製白糖および乳糖である。いずれの製剤も苦味改善作用が認められているため、本発明の顆粒に含まれる糖類としてはいずれも好ましいが、より好ましくは精製白糖およびマンニトールである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の顆粒または本発明製剤(例えば、口腔内速崩錠)は、プランルカスト水和物の苦味が低減されるため、服用コンプライアンスが向上した製剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなる、苦みが低減された顆粒であって、下記(i)〜(iii)の特徴を有する顆粒;
(i)顆粒を100重量%として、プランルカスト水和物を5〜55重量%含有し、
(ii)プランルカスト水和物の平均粒子径が1〜40μmであり、かつ
(iii)顆粒の嵩密度が0.35〜0.70 g/cmである。
【請求項2】
糖類がマンニトール、白糖、乳糖、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトールおよびトレハロースから選ばれる1種以上である請求項1記載の顆粒。
【請求項3】
さらに矯味剤を含有する請求項1記載の顆粒。
【請求項4】
矯味剤がアスパルテームおよびヨーグルトフレーバーから選択される1種以上である請求項3記載の顆粒。
【請求項5】
水溶性高分子がヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上である請求項1記載の顆粒。
【請求項6】
プランルカスト水和物の平均粒子径が1〜15μmである請求項1記載の顆粒。
【請求項7】
顆粒を100重量%として、プランルカスト水和物を5〜25重量%含有する請求項1記載の顆粒。
【請求項8】
顆粒の平均粒子径が50〜600μmである請求項1記載の顆粒。
【請求項9】
顆粒の平均粒子径が300〜550μmである請求項8記載の顆粒。
【請求項10】
顆粒の嵩密度が0.35〜0.67 g/cmである請求項1記載の顆粒。
【請求項11】
ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00である請求項1記載の顆粒。
【請求項12】
ドライシロップである請求項1記載の顆粒。
【請求項13】
プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなるドライシロップであって、ドライシロップを100重量%として、プランルカスト水和物を5〜25重量%含有し、プランルカスト水和物の平均粒子径が1〜15μmであり、ドライシロップの嵩密度が0.35〜0.67 g/cmであり、ドライシロップの平均粒子径が50〜600μmであり、ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00であることを特徴とする、苦味が低減されたドライシロップ。
【請求項14】
1日当たりのドライシロップの投与量が0.2〜9.0 gである請求項13記載のドライシロップ。
【請求項15】
請求項1記載の顆粒を含有してなる製剤。
【請求項16】
口腔内速崩錠である請求項15記載の製剤。
【請求項17】
ヒト口腔内における崩壊時間が5〜80秒である請求項16記載の製剤。
【請求項18】
1錠中にプランルカスト水和物を50〜125 mg含有することを特徴とする請求項16記載の製剤。
【請求項19】
ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00である請求項16記載の製剤。
【請求項20】
プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有してなる顆粒と他の添加剤からなる錠剤であって、錠剤を100重量%として、プランルカスト水和物を5〜55重量%含有し、プランルカスト水和物の平均粒子径が1〜15μmであり、ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00であり、ヒト口腔内における崩壊時間が5〜80秒であり、かつ1錠中にプランルカスト水和物を50〜125 mg含有することを特徴とする、苦味が低減された口腔内速崩錠。
【請求項21】
プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有する顆粒からなる製剤において、平均粒子径が1〜40μmであるプランルカスト水和物を用い、顆粒の嵩密度を0.35〜0.70 g/cmとし、製剤を100重量%とした場合のプランルカスト水和物の含量を5〜55重量%とすることを特徴とする、プランルカスト水和物の苦味低減方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランルカスト水和物、糖類および水溶性高分子を含有するドライシロップであって、ドライシロップを100重量%として、プランルカスト水和物を5〜25重量%含有し、プランルカスト水和物の平均粒子径が1〜15μmであり、ドライシロップの嵩密度が0.35〜0.67g/cmであり、ドライシロップの平均粒子径が50〜600μmであり、糖類がマンニトール、白糖および乳糖から選ばれる1種以上であり、水溶性高分子がヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれる1種以上である、苦味が低減されたドライシロップ。
【請求項2】
ヒト苦味官能試験によるスコア値が0〜2.00である請求項1記載のドライシロップ。
【請求項3】
さらに矯味剤および賦形剤から選ばれる1種以上を含有する請求項1記載のドライシロップ。


【公開番号】特開2006−316047(P2006−316047A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106035(P2006−106035)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】