説明

茎葉病害防除剤および植物病害防除方法

【課題】非茎葉処理によっても十分な効果を示す茎葉病害防除剤の提供。
【解決手段】本発明に係る茎葉病害防除剤は、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を有効成分として含有し、非茎葉処理にて用いた場合においても茎葉病害を防除できる。


(式(I)中、Rは、シクロプロピル基、該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基、ベンジル基またはtert−ブチル基を表す。前記シクロプロピル基および前記ベンジル基における芳香族環は、ハロゲン原子およびメチル基から選択される一以上の置換基で置換されていてもよい。Rは、シクロプロピル基、あるいは該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基を表す。前記シクロプロピル基は、塩素原子で置換されていてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茎葉病害防除剤および植物病害防除方法に関する。より詳しくは、土壌病害および種子病害だけでなく、茎葉病害も非茎葉処理にて防除可能な薬剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
農園芸植物の茎葉に発生する病害は、薬剤を茎葉に散布する茎葉処理によって防除が図られてきたが、一部の薬剤では茎葉処理によらない防除も試みられている。例えば、特許文献1〜3には、ある種のアゾール誘導体を含有し、種子処理による施用が可能な薬剤が開示されている。また、特許文献4には水面処理による施用が可能な薬剤が記載されている。
【0003】
本発明に関連して、従来、農園芸用殺菌剤の有効成分として、環内に窒素原子1個以上を含む複素5員環であるヒドロキシエチルアゾール誘導体で、かつ水酸基が結合する炭素原子にさらにシクロアルキル基、もしくはシクロアルキル基で置換されたアルキル基が結合している誘導体が多数提案されている(例えば、特許文献5〜17参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4731106号明細書
【特許文献2】特開平4−243803号公報
【特許文献3】特開平1−246267号公報
【特許文献4】特開昭61−15867号公報
【特許文献5】欧州特許出願公開第0015756号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0052424号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0061835号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0297345号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第0047594号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第0212605号明細書
【特許文献11】特開昭56−97276号公報
【特許文献12】特開昭61−126049号公報
【特許文献13】特開平2−286664号公報
【特許文献14】特開昭59−98061号公報
【特許文献15】特開昭61−271276号公報
【特許文献16】欧州特許出願公開第0229642号明細書
【特許文献17】特開平4−230270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
茎葉処理による茎葉病害の防除では、広大な面積に薬剤を散布する必要があり、多大な労力と費用が必要となる。より簡便で安価に茎葉病害を防除するために、種子処理や潅注処理、水面処理などの茎葉散布以外の方法による防除が望まれている。しかし、従来の茎葉病害防除剤では、非茎葉処理によっては持続的な効果が得られなかったり、広範な病害に対する効果が得られなかったりするという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、非茎葉処理によっても十分な効果を示す茎葉病害防除剤を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のため、本発明者らは、多数のアゾール誘導体について、その化学構造と生理活性を詳細に検討した。そして、その結果、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を有効成分として含有する薬剤が、非茎葉処理においても、非茎葉病害(土壌病害および種子病害)のみならず茎葉病害を防除できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を有効成分として含有し、種子処理、潅注処理または水面処理などの非茎葉処理にて用いることができる茎葉病害防除剤を提供する。
【0009】
【化1】

(式(I)中、Rは、シクロプロピル基、該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基、ベンジル基またはtert−ブチル基を表す。前記シクロプロピル基および前記ベンジル基における芳香族環は、ハロゲン原子およびメチル基から選択される一以上の置換基で置換されていてもよい。
は、シクロプロピル基、あるいは該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基を表す。前記シクロプロピル基は、塩素原子で置換されていてもよい。
がベンジル基の場合、Rで示される置換基における炭素原子であって、水酸基およびベンジル基が結合する炭素原子と結合する炭素原子の有する水素原子のみが置換されたシクロプロピル基ではない。)
【0010】
上記一般式(I)で示す化合物は、茎葉病害に対して効果を有するのみでなく、植物体内における高い移行性を示す。すなわち、当該化合物を有効成分として含む薬剤では、植物体の成長に応じて当該化合物が植物体内を移行するため、茎葉に対して直接薬剤を散布しなくとも、成長した部分に上記化合物を到達させることができる。すなわち、上記一般式(I)で示す化合物を含む薬剤は、非茎葉処理により茎葉病害を防除することができる効果を奏する。
【0011】
また、上記一般式(I)で示す化合物は、非茎葉病害である土壌病害および種子病害に対しても高い防除効果を示す。すなわち、本発明に係る茎葉病害防除剤は、上記一般式(I)で示す化合物を含むことにより、非茎葉病害も防除することができる効果を奏する。
【0012】
薬剤活性の観点から、前記一般式(I)中のRは、塩素原子あるいは臭素原子で1〜4置換されているシクロプロピル基、または該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基であり、Rは、塩素原子で1または2置換されたシクロプロピル基であることが好ましい。
【0013】
下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体のうち、下記式(I−1)〜(I−5)で示される化合物を含有する茎葉病害防除剤は特に優れた薬剤活性を示す。すなわち、本発明に係る茎葉病害防除剤は、下記式(I−1)〜(I−5)で示される化合物を有効成分として含むことにより、茎葉病害の防除により一層の効果を奏する。
【0014】
【化2】

【0015】
また、本発明は、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を有効成分として含有する薬剤を非茎葉処理する工程を含む植物病害防除方法を提供する。
【0016】
【化3】

(式(I)中、Rは、シクロプロピル基、該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基、ベンジル基またはtert−ブチル基を表す。前記シクロプロピル基および前記ベンジル基における芳香族環は、ハロゲン原子およびメチル基から選択される一以上の置換基で置換されていてもよい。
は、シクロプロピル基、あるいは該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基を表す。前記シクロプロピル基は、塩素原子で置換されていてもよい。
がベンジル基の場合、Rで示される置換基における炭素原子であって、水酸基およびベンジル基が結合する炭素原子と結合する炭素原子の有する水素原子のみが置換されたシクロプロピル基ではない。)
【0017】
なお、本明細書等における「植物病害」とは、植物体において発生する病害全般を意味している。すなわち、「植物病害」とは、大気中等に存在する病原菌が茎葉に感染することにより発生する病害、種子等に感染した病原菌に起因して植物体に発生する病害、土壌中の病原菌が根もしくは茎葉に感染することにより発生する病害などを含む。
【0018】
本発明に係る植物病害防除方法は、茎葉病害防除剤と同様の作用効果を有する。
【0019】
さらに、上記の茎葉病害防除剤により処理した種子も本発明の範疇に含まれる。
【0020】
本明細書等では、各一般式において同一の置換基、官能基または原子を規定している符号は同一の記号を付し、その記号で示される置換等の詳細は重複して説明しない。例えば、一般式(I)において示されるRと、一般式(II)において示されているRは同一の置換基、官能基または原子を示している。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る茎葉病害防除剤は、上記一般式(I)で示す化合物を有効成分として含む。上記一般式(I)で示す化合物は、茎葉病害および非茎葉病害に対して効果を有するのみでなく、植物体内における高い移行性を示す。すなわち、本発明に係る農園芸用薬剤では、植物体の成長に応じて当該化合物が植物体内を移行するため、茎葉に対して直接薬剤を散布しなくとも、成長した部分に上記化合物を到達させることができる。これによって、本発明に係る茎葉病害防除剤は、非茎葉病害のみならず茎葉病害についても非茎葉処理により十分に防除することができる効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。説明は以下の順序で行う。
【0023】
また、本実施形態において、同一の用語は、特に言及しない限り、同一の意味で用いる。これは、一般式において置換基、官能基または原子を示す記号、もしくはそれらの個数を示す記号についても同様である。また、本明細書等では「炭素数n〜m」を「Cn〜Cm」とも表記する。

1.茎葉病害防除剤
2.アゾール誘導体
(1)R・R
(2)異性体
(3)具体例
3.アゾール誘導体の製造方法
(1)溶媒
(2)塩基・酸
(3)化合物(I)の製造方法
(3−1)工程A1
(3−2)工程A2
(3−3)工程A3
(3−4)工程A2a
(3−5)工程A4
(3−6)工程A4a
4.茎葉病害防除剤の適用病害および使用方法
(1)植物病害防除効果
(2)植物生長作用
(3)製剤

【0024】
1.茎葉病害防除剤
本発明に係る茎葉病害防除剤は、非茎葉処理により茎葉病害および非茎葉病害のいずれも防除する農園芸用薬剤(農薬)である。なお、本発明に係る茎葉病害防除剤は、非茎葉処理により茎葉病害を防除する農園芸用薬剤組成物と換言することもできる。
【0025】
本発明に係る茎葉病害防除剤は、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体(以下、化合物(I)と称する)を有効成分として含む。また、本発明に係る茎葉病害防除剤は、化合物(I)以外に種々の添加剤を含んでいてもよい。
【0026】
化合物(I)は、茎葉病害を含む広範な植物病害に対して防除効果を奏する。また、化合物(I)は、植物体内での移行性が高いため、種子や根から植物体内に取り込まれた化合物(I)は、茎あるいは葉に移行して防除効果を奏する。このため、化合物(I)は茎葉散布だけでなく、種子処理、潅注処理または水面処理などの非茎葉処理によっても茎葉病害を防除することができる。なお、化合物(I)は、発芽初期段階の植物に与える毒性が低いため、種子処理に特に好適に利用することができる。
【0027】
以下、本発明に係る茎葉病害防除剤に有効成分として含まれる化合物(I)の具体例について説明する。
【0028】
2.アゾール誘導体
(1)R・R
化合物(I)は、下記一般式(I)で示される。以下、化合物(I)の各記号(R、R)の定義内容とその具体例について説明する。
【0029】
【化4】

【0030】
は、シクロプロピル基、シクロプロピル基で置換されているC1〜C2のアルキル基、ベンジル基またはtert−ブチル基を表す。シクロプロピル基およびベンジル基における芳香族環は、ハロゲン原子およびメチル基から選択される一以上の置換基で置換されていてもよい。ただし、Rがベンジル基の場合、Rで示される置換基における炭素原子であって、水酸基およびベンジル基が結合する炭素原子と結合する炭素原子の有する水素原子のみが置換されたシクロプロピル基ではないものとする。ハロゲン原子としては、塩素原子または臭素原子であることが好ましい。
【0031】
シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基としては、具体的にはシクロプロピルメチル基、2−(シクロプロピル)エチル基を挙げることができる。
【0032】
は、シクロプロピル基、あるいはシクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基を表す。シクロプロピル基は、塩素原子で置換されていてもよい。
【0033】
(2)異性体
化合物(I)は、R及びRが異なる場合、水酸基が結合する炭素原子が不斉炭素となる。また、R及びRで示される構造によっても不斉炭素が生じ得る。このため、化合物(I)には、幾何異性体及び光学異性体が存在し得る。化合物(I)は、すべての単独の異性体、及び各異性体の任意の比率での混合物をも包含するものとする。
【0034】
(3)具体例
およびRの組み合わせにより、化合物(I)として、以下の「表1」〜「表8」に示す具体的な化合物を例示することができる。
【0035】
上述した具体例の中で、化合物(I−1)〜(I−5)は特に活性が高く、本発明に係る茎葉病害防除剤の有効成分として好適である。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
【表5】

【0041】
【表6】

【0042】
【表7】

【0043】
【表8】


表中、R、Rは、「・」(ドット)で結合位置を示した。すなわち、「・」が結合している炭素原子と、化合物(I)中の水酸基の結合した炭素原子と、の間で、炭素原子−炭素原子結合を形成しているものとする。
【0044】
化合物(I)は、1,2,4−トリアゾリル基を有するので、無機酸、有機酸の酸付加塩、または金属錯体を形成する。従って、酸付加塩や金属錯体の一部として、農園芸用薬剤等の有効成分として使用することもできる。
【0045】
なお、化合物(I)は、RおよびRが互いに異なる場合、ヒドロキシ基が結合する炭素原子が不斉炭素となる。すなわち、この化合物(I)には、エナンチオマーが存在する。また、RおよびR示される官能基中に不斉炭素原子が存在する場合もある。この場合には、前述の不斉炭素原子も含めて不斉炭素原子が複数存在することになるため、化合物(I)にはジアステレオマーが存在する。従って、化合物(I)は、上述した異性体を単独で含むもの、および、上述した各異性体を任意の比率で含むもののいずれも含む。
【0046】
3.アゾール誘導体の製造方法
次に、化合物(I)の製造方法について説明する。以下に説明する本発明に係る製造方法の各工程において、使用される溶媒、塩基、酸等は、特に言及しない限り、次のようなものを用いることができる。
【0047】
(1)溶媒
使用される溶媒は、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、石油エーテル、ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類等が挙げられる。この他、溶媒としては、水、二硫化炭素、アセトニトリル、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を混合して用いることができる。
【0048】
また、溶媒として、互いに均一な層を形成することのない溶媒からなる溶媒組成物が挙げられる。例えば、反応混合物中に、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩等の四級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相間移動触媒を添加してこれらの反応を行うこともできる。この場合において、用いる溶媒は特に限定されないが、油相としてはベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
【0049】
(2)塩基・酸
上述の溶媒には、塩基または酸を添加してもよい。
【0050】
用いられる塩基は、特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属水素化合物;n-ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド等のアルカリ金属の有機金属化合物;ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類;リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類;トリエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ−7−[5.4.0]ウンデセン等の有機アミン類等が挙げられる。
【0051】
また、用いられる酸は、特に限定されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、酪酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ロジウム、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化アルミニウム等のルイス酸が挙げられる。
【0052】
(3)化合物(I)の製造方法
(3−1)工程A1
製造方法の1つの実施形態は、下記一般式(II)で示されるオキシラン化合物と、下記一般式(III)で示される1,2,4−トリアゾールと、を反応させる工程(工程A1)を含むことを特徴とする(下記反応式(1)参照)。以下、一般式(II)で示されるオキシラン化合物を「化合物(II)」と、一般式(III)で示される1,2,4−トリアゾールを「化合物(III)」と称する。
【0053】
反応式(1)
【化5】

【0054】
ここで、RおよびRの定義内容は、上述した通りである。
【0055】
Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。
【0056】
本工程では、化合物(II)のオキシラン環中の炭素原子と化合物(III)を反応させて、化合物(II)のオキシラン環中の炭素原子と化合物(III)の窒素原子間に炭素−窒素結合を生成させる。
【0057】
この際、用いられる溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチルピロリドンやN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類が挙げられる。
【0058】
化合物(II)に対する化合物(III)の使用量は、0.5〜10倍モルであり、好ましくは0.8〜5倍モルである。また、所望により塩基を添加してもよい。その場合の化合物(III)に対する塩基の使用量は0〜10倍モルであり、好ましくは0.5〜5倍モルである。
【0059】
反応温度及び反応時間は、用いられる溶媒、塩基等によって適宜設定することができる。反応温度は、好適には0℃〜250℃であり、より好適には10℃〜150℃である。また、反応時間は、好適には0.1時間〜数日であり、より好適には0.5時間〜2日である。
【0060】
(3−2)工程A2
工程A1で使用される化合物(II)の第一の合成方法としては、一般式(VI)で示されるハロヒドリン化合物(以下、「化合物(VI)」と称する)を、塩基存在下、溶媒中で反応して得る方法が挙げられる(下記反応式(2)参照)。
【0061】
反応式(2)
【化6】

【0062】
ここで、RおよびRの定義内容は、上述した通りである。また、Xは、ハロゲン原子を表す。
【0063】
使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、等のアルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩等が好ましく使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
塩基の量は、化合物(VI)に対して0.5〜20倍モルとすることが好ましく、0.8〜5倍モルとすることがより好ましい。
【0065】
溶媒は、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類;n−ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;これらの混合溶媒等が挙げられる。塩基の水溶液を、疎水性溶媒と共に用いる場合には、反応混合物中に、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相間移動触媒を添加して反応を行うこともできる。
【0066】
(3−3)工程A3
工程A2で使用される化合物(VI)は、一般式(VII)で示される化合物(以下、「化合物(VII)」と称する)のカルボニル基に対し、一般式(IV)で示される化合物(以下、「化合物(IV)」と称する)を求核付加させ、炭素−炭素結合を生成させることにより製造できる(下記反応式(3)参照)。
【0067】
反応式(3)
【化7】

【0068】
ここで、RおよびRの定義内容は、上述した通りである。
【0069】
Lとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属−Q1(Q1はハロゲン原子)、1/2(Cuアルカリ金属)、亜鉛−Q2(Q2はハロゲン原子)等が挙げられ、いずれでも使用可能である。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、リチウムであることが好ましい。また、アルカリ土類金属としては、マグネシウム等が挙げられる。
【0070】
使用される溶媒としては、反応条件において不活性な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香炭化水素類が挙げられる。また、水溶液を疎水性溶媒と共に用いる場合には反応混合物中に、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相間移動触媒を添加して反応を行うことも可能である。
【0071】
化合物(VII)に対する化合物(IV)の使用量は、0.5〜10倍モルであり、好ましくは0.8〜5倍モルである。なお、化合物(IV)は、直前に調製されたものを用いることが好ましい。また、特にLが亜鉛−Q2(Q2はハロゲン原子)の場合には、反応系内で化合物(IV)を発生させながら反応させることも可能である。
【0072】
また、所望により反応系内にルイス酸を添加してもよい。化合物(IV)に対するルイス酸の使用量は、0を超え5倍モル以下であり、好ましくは0.1〜2倍モルである。用いられるルイス酸としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化セリウム等を挙げることができる。
【0073】
反応温度及び反応時間は、用いられる溶媒、化合物(VII)や化合物(IV)の種類等によって適宜設定することができる。反応温度は、好適には−80℃〜200℃であり、より好適には−50℃〜100℃である。また、反応時間は、好適には0.1〜12時間であり、より好適には0.5〜6時間である。
【0074】
化合物(IV)や化合物(VII)は、市販化合物や既存の技術で製造可能なものを使用すればよい。
【0075】
(3−4)工程A2a
工程A1で使用される化合物(II)の中でも、分子中にgem−ジハロシクロプロパン構造を有する化合物(以下、「化合物(II−a)」と称する。一般式(II−a)参照)は、以下に説明する第二の合成法によっても得ることができる。すなわち、化合物(II−a)は、分子中に二重結合を有するオキシラン化合物(以下、「化合物(VIII)」と称する。一般式(VIII)参照)から、トリハロメタンと、水酸化ナトリウム等の塩基との反応によって合成することができる。あるいは、化合物(VIII)から、トリハロ酢酸塩の熱分解等によって生じるハロカルベン類の付加反応によっても合成することができる。これらの反応を、下記反応式(4)に示す。
【0076】
反応式(4)
【化8】

【0077】
ここで、Rの定義内容は、上述した通りである。
【0078】
、R、R10、R11、R12は、それぞれ独立に、水素原子、臭素原子、塩素原子またはメチル基を示す。
【0079】
nは、0から2の整数を示す。ここで、nが2以上の場合、R11及びR12は複数存在することになるが、それらの定義内容は各々独立にR11、R12の定義内容を示す。また、X、Xは、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。
【0080】
以下、トリハロメタンと、水酸化ナトリウム等の塩基との反応により化合物(II−a)を合成する方法について説明する。
【0081】
使用されるトリハロメタンとしては、例えば、クロロホルム、ブロモホルム、クロロジフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジブロモフルオロメタン等を挙げることができる。化合物(VIII)に対するトリハロメタンの使用量は、特に限定されないが、0.5〜1000倍モルであり、好ましくは0.8〜100倍モルである。
【0082】
溶媒には、トリハロメタンそのもの、あるいは、反応に不活性なジクロロメタンやトルエン等の他の溶媒を用いることができる。
【0083】
水酸化ナトリウム水溶液等の水溶液を使用して塩基を添加する場合は、相関移動触媒を使用することが好ましい。相関移動触媒は、特に限定されず、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の三級アミン類などを用いることができる。相関移動触媒の使用量は、通常化合物(VIII)に対し、0.001倍モルから5倍モルであり、好ましくは0.01倍モルから2倍モルである。
【0084】
また、使用される塩基も、特に限定されない。塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に使用される。アルカリ金属水酸化物は、多くの場合、水溶液として使用される。塩基の使用量は、通常化合物(VIII)に対し、0.1倍モルから100倍モルであり、好ましくは0.8倍モルから50倍モルである。また、この時のアルカリ金属水酸化物の水溶液の濃度は、10%から飽和水溶液であり、好ましくは30%から飽和水溶液である。
【0085】
反応温度は、0℃から200℃であり、好適には10℃から150℃である。また、反応時間は0.1時間〜数日であり、好ましくは0.2時間〜2日である。
【0086】
(3−5)工程A4
工程A2aで使用される化合物(VIII)は、以下の第一の合成法により得ることができる。まず、上記の化合物(VII)に、一般式(X)で示される有機金属化合物(以下、「化合物(X)」と称する)を反応させる。すなわち、有機金属化合物による、化合物(VII)のカルボニル炭素原子への求核付加反応により、化合物(VII)と化合物(X)との間に炭素−炭素結合を生成させる。これにより、一般式(IX)で示されるハロヒドリン化合物(以下、「化合物(IX)」と称する)を得る。次いで、化合物(IX)を、塩基存在下にオキシラン化して、化合物(VIII)を得る(下記反応式(5)参照)。
【0087】
反応式(5)
【化9】

【0088】
ここで、R、R、R、R10、R11、R12、L、X、nの定義内容は、上述した通りである。
【0089】
以下、化合物(VII)に化合物(X)を反応させ、化合物(IX)を得る反応について説明する。
【0090】
使用される溶媒としては、不活性溶媒であれば特に限定されない。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香炭化水素類が挙げられる。これらの溶媒は、混合して使用することも可能である。また、反応に水を用いる場合は、有機溶媒と混合して使用することも可能である。疎水性有機溶媒と共に用いる場合には必要に応じ、反応混合物中に、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相間移動触媒を添加することも可能である。
【0091】
化合物(VII)に対する化合物(X)の使用量は、0.5〜10倍モルであり、好ましくは0.8〜5倍モルである。化合物(X)は、直前に調製されたものを用いることが好ましい。また、特にLが亜鉛−Q2(Q2はハロゲン原子)の場合には、反応系内で化合物(X)を発生させながら反応させることも可能である。
【0092】
また、所望により反応系内にルイス酸を添加してもよく、その場合の化合物(VII)に対するルイス酸の使用量は、0を超え5倍モル以下であり、好ましくは0.1〜2倍モルである。用いられるルイス酸としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化セリウム等が挙げられる。
【0093】
反応温度及び反応時間は、用いられる溶媒、化合物(VII)や化合物(X)の種類等によって適宜設定することができる。反応温度は、好適には−100℃〜200℃であり、より好適には−70℃〜100℃である。また、反応時間は、好適には0.1〜12時間であり、より好適には0.5〜6時間である。
【0094】
なお、本工程における化合物(IX)のオキシラン化は、工程A2における化合物(VI)から化合物(II)の合成と同様の条件で行うことができる。
【0095】
化合物(X)は、市販品やハロゲン化アルケニル化合物を有機金属試薬に変換する等の既存の合成技術で製造可能なものを使用することができる。例えば、化合物(X)中のLが亜鉛−Q2(Q2はハロゲン原子)の場合、反応系内で化合物(X−a)を発生させながら反応させることができる。この方法の一例として、下記の反応式(6)に示す方法を挙げることができる。
【0096】
反応系内で化合物(X−a)を発生させる方法としては、化合物(VII)の共存下で、化合物(XVII)で表されるハロゲン化アルケニルおよび亜鉛を溶媒中で混合する方法が好適である。
【0097】
反応式(6)
【化10】

【0098】
ここで、R、R、R、R10、R11、R12、Q2、X、nの定義内容は、上述した通りである。
【0099】
ここで、使用される溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香炭化水素類等の有機溶媒等が挙げられるが、特に限定されない。また、反応に水を用いる場合は、有機溶媒と混合して使用することも可能である。疎水性有機溶媒と共に用いる場合には、必要に応じて、反応混合物中に、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相間移動触媒を添加することも可能である。
【0100】
化合物(X−a)のより好適な製造方法の一例として、化合物(VII)を含む有機溶媒と、ハロゲン化水素を含む塩もしくはハロゲン化水素等の亜鉛の活性化を促す添加物を含む水溶液とが接触する条件下で、合物(XVII)で表されるハロゲン化アルケニルと亜鉛を混合する方法を挙げることができる。
【0101】
ハロゲン化水素を含む塩としては、塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウムなどを挙げることができる。また、ハロゲン化水素としては、塩化水素および臭化水素などを挙げることができる。
【0102】
この時、使用される化合物(XVII)の量は、化合物(VII)に対し0.5〜20倍モルであり、好ましくは0.8〜10倍モルである。また、使用される亜鉛の量は化合物(VII)に対し0.5〜20倍モルであり、好ましくは0.8〜10倍モルである。
【0103】
反応温度は好適には0℃〜150℃であり、より好適には5℃〜100℃である。また、反応時間は、好適には0.1〜24時間であり、より好適には0.5〜12時間である。
【0104】
本工程で使用される化合物(VII)は、既存の技術で製造可能なものを使用することができる。
【0105】
(3−6)工程A4a
工程A2aで使用される化合物(VIII)の中でも、一般式(VIII−a)で示されるオキシラン化合物(以下、化合物(VIII−a)と称する)は、以下に説明する第二の合成法によっても得ることができる。すなわち、一般式(XV)で示されるメチルケトン化合物(以下、「化合物(XV)」と称する)に対し、塩基存在下、一般式(XVI)で示される炭酸ジアルキル化合物(以下、「化合物(XVI)」と称する)との反応を行い、一般式(XIII)で表されるケトエステル化合物(以下、「化合物(XIII)」と称する)を得る。次いで、塩基存在下、化合物(XIII)中のアルコキシカルボニル基の結合した炭素原子の、一般式(XIV)で示されるハロゲン化アルケニル化合物(以下、「化合物(XIV)」と称する)への求核置換反応により炭素−炭素結合を生成させて、一般式(XII)で表されるアルケニル化ケトエステル化合物(以下、「化合物(XII)」と称する)を得る。そして、化合物(XII)を加水分解・脱炭酸して、一般式(XI)で示されるカルボニル化合物(以下、「化合物(XI)」と称する)を得る。最後に、化合物(XI)をオキシラン化して、化合物(VIII−a)を得る。これらの反応を、下記反応式(7)に示す。
【0106】
反応式(7)
【化11】

【0107】
ここで、R2の定義内容は、上述した通りである。
【0108】
13は、C1〜C4アルキル基を示す。R14、R15、R16、R17、R18は、それぞれ独立に、それぞれ独立に、水素原子、臭素原子、塩素原子またはメチル基を示す。
【0109】
mは、1から2の整数を表す。ここで、mが2以上の場合、R17及びR18は複数存在することになるが、それらの定義内容は各々独立にR17、R18の定義内容を示す。
【0110】
3は、ハロゲン原子を表す。
【0111】
まず、化合物(XIII)を得る反応について説明する。
【0112】
本反応は、上述の「(1)溶媒」において記載した溶媒中で行うこともできる他、化合物(XVI)を溶媒として行うこともできる。
【0113】
化合物(XV)に対する化合物(XVI)の使用量は、通常、0.5倍モル〜20倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜10倍モルである。
【0114】
使用される塩基としては、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化合物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド類等が挙げられるが、これらに限定されない。化合物(XV)に対する塩基の使用量は、0.5倍モル〜10倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜5倍モルである。
【0115】
反応温度は、0℃〜250℃であり、好ましくは室温〜150℃である。また、反応時間は0.1時間〜数日であり、好ましくは0.5時間〜24時間である。
【0116】
ここで使用される化合物(XV)や化合物(XVI)は、市販品や文献既知の方法等により合成可能である。
【0117】
次に、化合物(XII)を得る反応について説明する。
【0118】
本反応は、通常、塩基の存在下で行われる。
【0119】
化合物(XIII)に対する化合物(XIV)の使用量は、0.5倍モル〜10倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜5倍モルである。
【0120】
使用される塩基としては、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
化合物(XIII)に対する塩基の使用量は、0.5倍モル〜10倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜5倍モルである。
【0122】
また、上述した化合物(XV)から化合物(XIII)を得る反応において、生成した化合物(XIII)のカルボニル基とエステル基の間のメチレン部の水素原子の酸性度は化合物(XV)のアセチル基の水素原子の酸性度よりも高い為、反応の過程で化合物(XIII)のアルカリ金属塩等を形成する。したがって、そのまま単離することなく化合物(XIII)の反応液を使用することもできる。その場合は、特に新たに塩基の添加することなく反応することも可能である。
【0123】
反応温度は0℃〜250℃であり、好ましくは室温〜150℃である。反応時間は、0.1時間〜数日であり、好ましくは0.5時間〜24時間である。
【0124】
続いて、化合物(XI)を得る反応について説明する。
【0125】
この加水分解・脱炭酸反応は、塩基性条件下でも酸性条件下でも行うことができる。
【0126】
塩基性条件下で行なう場合、塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩基を使用することが好ましい。溶媒には、水の他、アルコール類などを加えた水を使用することが好ましい。
【0127】
また、酸性条件下で行なう場合、酸触媒には、塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸や酢酸等の有機酸を使用することが好ましい。溶媒には、通常、水、若しくは、水に酢酸などの有機酸を加えて行なうことが好ましい。
【0128】
反応温度は、0℃〜還流点であり、好ましくは10℃〜還流点である。反応時間は、0.1時間〜数日であり、好ましくは0.5時間〜24時間である。
【0129】
また、他の方法として、塩基性条件下、加水分解を行った後に、酸性条件下で脱炭酸を行う方法や、加水分解で得られたb-ケトカルボン酸を有機溶媒中加熱して脱炭酸を行う方法も採用可能である。その際、使用される塩基や酸等は同様のものを使用することができる。
【0130】
最後に、化合物(VIII−a)を得る反応について説明する。
【0131】
化合物(VIII−a)を得る方法としては、化合物(XI)をジメチルスルホニウムメチリド等のスルホニウムメチリド類やジメチルスルホキソニウムメチリド等のスルホキソニウムメチリド類等の硫黄イリドと溶媒中で反応させる方法を採用することができる。
【0132】
使用されるスルホニウムメチリド類やスルホキソニウムメチリド類は、溶媒中、スルホニウム塩(例えば、トリメチルスルホニウムヨージドやトリメチルスルホニウムブロミド等)やスルホキソニウム塩(例えばトリメチルスルホキソニウムヨージドやトリメチルスルホキソニウムブロミド等)と、塩基とを反応させることにより生成させることができる。
【0133】
スルホニウムメチリド類やスルホキソニウムメチリド類の量は、化合物(XI)に対して0.5〜10倍モルであり、好適には0.8〜5倍モルである。
【0134】
用いられる溶媒は、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を混合して用いることができる。
【0135】
また、反応に水を用いる場合は、有機溶媒と混合して使用することも可能である。疎水性有機溶媒と共に用いる場合には、必要に応じ、反応混合物中に、テトラブチルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相間移動触媒を添加することも可能である。
【0136】
また、トルエン等の有機溶媒中、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を使用する場合はジエチレングリコール等のアルコール類を添加した方が好ましい場合がある。
【0137】
この時のアルコール類の使用量は化合物(XI)に対して0.001倍モル〜10倍モルであり、好適には0.005倍モル〜5倍モルである。
【0138】
スルホニウムメチリド類やスルホキソニウムメチリド類の生成に用いられる塩基は、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水素化ナトリウム等の金属水素化合物やナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド等が好適に用いられる。
【0139】
反応温度及び反応時間は、用いられる溶媒、化合物(XI)、スルホニウム塩若しくはスルホキソニウム塩、塩基等の種類によって適宜設定することができる。反応温度は、好適には−100℃〜200℃であり、より好適には−50℃〜150℃である。また、反応時間は、好適には0.1時間〜数日であり、より好適には0.5時間〜2日である。
【0140】
4.茎葉病害防除剤の適用病害および使用方法
(1)植物病害防除効果
本発明に係る茎葉病害防除剤の有用性について説明する。化合物(I)は、茎葉病害を含む広範な植物病害に対して防除効果を奏する。適用病害の例として以下が挙げられる。
【0141】
茎葉病害として、ダイズさび病(Phakopsora pachyrhizi、Phakopsora meibomiae)、イネいもち病 (Pyricularia grisea)、イネごま葉枯病 (Cochliobolus miyabeanus)、イネ紋枯病 (Rhizoctonia solani)、リンゴうどんこ病 (Podosphaera leucotricha)、リンゴ黒星病 (Venturia inaequalis)、リンゴモリニア病 (Monilinia mali)、リンゴ斑点落葉病 (Alternaria alternata)、リンゴ腐乱病 (Valsa mali)、ナシ黒斑病 (Alternaria kikuchiana)、ナシうどんこ病 (Phyllactinia pyri)、ナシ赤星病 (Gymnosporangium asiaticum)、ナシ黒星病 (Venturia nashicola)、ブドウうどんこ病 (Uncinula necator)、ブドウべと病 (Plasmopara viticola)、ブドウ晩腐病 (Glomerella cingulata)、オオムギうどんこ病 (Erysiphe graminis f. sp hordei)、オオムギ黒さび病 (Puccinia graminis)、オオムギ黄さび病 (Puccinia striiformis)、オオムギ斑葉病 (Pyrenophora graminea)、オオムギ雲形病 (Rhynchosporium secalis)、コムギうどんこ病 (Erysiphe graminis f. sp tritici)、コムギ赤さび病 (Puccinia recondita)、コムギ黄さび病 (Puccinia striiformis)、コムギ眼紋病 (Pseudocercosporella herpotrichoides)、コムギ赤かび病 (Fusarium graminearum、Microdochium nivale)、コムギふ枯病(Phaeosphaeria nodorum)、コムギ葉枯病 (Septoria tritici)、ウリ類うどんこ病 (Sphaerotheca fuliginea)、ウリ類の炭疸病 (Colletotrichum lagenarium)、キュウリべと病 (Pseudoperonospora cubensis)、キュウリ灰色疫病 (Phytophthora capsici)、トマトうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、トマト輪紋病 (Alternaria solani)、ナスうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、イチゴうどんこ病 (Sphaerotheca humuli)、タバコうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、テンサイ褐斑病 (Cercospora beticola)、核果類果樹の灰星病 (Monilinia fructicola)、種々の作物をおかす灰色かび病 (Botrytis cinerea)、菌核病 (Sclerotinia sclerotiorum)、ブドウのさび病(Phakopsora ampelopsidis)、タバコの赤星病(Alternaria longipes)、ジャカイモノ夏疫病(Alternaria solani)、ダイズの褐紋病(Septoria glycines)、ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)等。その他の病害として、イネ白葉枯病 (Xanthomonas oryzae)、イネ小黒菌核病 (Helminthosporium sigmoideun)、イネばか苗病 (Gibberella fujikuroi)、イネ苗立枯病 (Pythium aphanidermatum)、トウモロコシ黒穂病 (Ustillaga maydis)、スイカのつる割病(Fusarium oxysporum f.sp.niveum)、キュウリのつる割病(Fusarim oxysporum f.sp.cucumerinum)、ダイコンの萎黄病(Fusarium oxysporum f.sp.raphani)等。
【0142】
また、適用植物の例としては、野生植物、植物栽培品種、異種交配もしくは原形質融合などの従来の生物育種によって得られる植物及び植物栽培品種、遺伝子操作によって得られる遺伝子組み換え植物及び植物栽培品種が挙げられる。遺伝子組み換え植物及び植物栽培品種としては、例えば、除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、収量向上作物、保存性向上作物、収量向上作物等が挙げられる。遺伝子組み換え植物栽培品種としては、具体的に、ROUNDUP READY、LIBERTY LINK、CLEARFIELD、YIELDGARD、HERCULEX、BOLLGARD等の登録商標を含むものが挙げられる。
【0143】
(2)植物生長作用
また、化合物(I)は、広汎な作物や園芸植物に対して、その成長を調節して収量を増加させる効果やその品質を高める効果を示す。かかる作物の例として以下が挙げられる。
【0144】
コムギ・大麦・燕麦などの麦類、稲、ナタネ、サトウキビ、トウモロコシ、メイズ、大豆、エンドウ、落花生、シュガービート、キャベツ、ニンニク、ダイコン、ニンジン、リンゴ、ナシ、みかん、オレンジ、レモンなどの柑橘類、モモ、桜桃、アボガド、マンゴー、パパイヤ、トウガラシ、キュウリ、メロン、イチゴ、タバコ、トマト、ナス、芝、菊、ツツジ、その他の観賞用植物。
【0145】
(3)製剤
化合物(I)を有効成分として含む農園芸用薬剤は、通常、固体担体、液体担体、界面活性剤、その他の製剤補助剤と混合して粉剤、水和剤、粒剤、乳剤などの種々の形態に製剤して使用する。
【0146】
これらの製剤には有効成分として化合物(I)が、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%、より好ましくは2〜80重量%含まれるようにすればよい。
【0147】
製剤補助剤として使用する坦体、希釈剤、界面活性剤としては、以下のものを挙げることができる。まず、固体坦体としては、タルク、カオリン、ベンナイト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレーなどを挙げることができる。液体希釈剤としては、水、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルコールなどを挙げることができる。界面活性剤は、その効果により使い分けることが好ましい。乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを用いることが好ましい。また、分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ジブチルナフタリンスルホン酸塩などを用いることが好ましく、湿潤剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩などを用いることが好ましい。
【0148】
製剤には、そのまま使用するものと、水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用するものとがある。希釈して使用する場合、散布液中に含まれる化合物(I)の濃度は0.001〜1.0%の範囲であることが望ましい。
【0149】
化合物(I)を含む茎葉病害防除剤は、茎葉散布に加えて、種子処理や潅注処理、水面処理などの非茎葉処理によって施用できる。
【0150】
種子処理による施用では、水和剤や粉剤などを種子と混合し攪拌することにより、あるいは希釈した水和剤などに種子を浸漬することにより、薬剤を種子に付着させる。種子処理の場合の化合物(I)の使用量は、種子100kgに対して0.01〜10000gであり、好ましくは0.1〜1000gである。
【0151】
潅注処理による施用は、苗の移植時などに植穴やその周辺に粒剤などを処理したり、種子や植物体の周囲の土壌に粒剤や水和剤などを処理することによって行う。潅注処理の場合の化合物(I)の使用量は、農園芸地1mあたり0.01〜10000gであり、好ましくは0.1〜1000gである。
【0152】
水面処理による施用は、水田の田面水に粒剤などを処理することによって行う。水面処理の場合の化合物(I)の使用量は、水田10aあたり0.1〜10000gであり、好ましくは1〜1000gである。
【0153】
なお、使用濃度及び使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所、対象作物等によっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
【0154】
なお、茎葉散布に用いた場合の化合物(I)の使用量は、畑、田、果樹園、温室などの農園芸地1haあたり20〜5000g、より好ましくは50〜2000gである。
【0155】
さらに、化合物(I)は他の有効成分、例えば以下に例示するような殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤と組み合わせ、農園芸用薬剤としての性能を高めて使用することもできる。
【0156】
<抗菌性物質>
アシベンゾラルーSメチル、2−フェニルフェノール(OPP)、アザコナゾール、アゾキシストロビン、アミスルブロム、ビキサフェン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、ビカルボネイト、ビフェニル、ビテルタノール、ブラストサイジン−S、ボラックス、ボルドー液、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブロノポール、ブピリメート、セックブチラミン、カルシウムポリスルフィド、カプタフォル、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、キノメチオネート、クロロネブ、クロロピクリン、クロロタロニル、クロゾリネート、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ダゾメット、デバカルブ、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリン、ジメトモルフ、ジメトキシストロビン、ジニコナゾール、ジノカップ、ジフェニルアミン、ジチアノン、ドデモルフ、ドジン、エディフェンフォス、エポキシコナゾール、エタポキサム、エトキシキン、エトリジアゾール、エネストロブリン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチン、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルモルフ、フルオロミド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアフォル、フォルペット、フォセチル−アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フルオピコリド、フルオピラム、グアザチン、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イプコナゾール、イプロベンフォス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、銅調製物例えば水酸化銅、ナフテン酸銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、酸化銅、オキシン−銅、クレゾキシムメチル、マンコカッパー、マンコゼブ、マネブ、マンジプロパミド、メパニピリム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メチラム、メトミノスウトロビン、ミルジオマイシン、ミクロブタニル、ニトロタル−イソプロピル、ヌアリモル、オフレース、オキサジキシル、オキソリニック酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシテトラサイクリン、ペフラゾエート、オリザストロビン、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、ピリベンカルブ、フサライド、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾフォス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、硫黄及び硫黄調製物、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート−メチル、チラム、チアジニル、トルクロフォス−メチル、トリルフルアニド、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、バリダマイシン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、ゾキサミドアミスルブロム、セダキサン、フルチアニル、バリフェナール、アメトクトラジン、ジモキシストロビン、メトラフェノン、ヒドロキシイソキサゾール、メタスルホカルブ等。
【0157】
<殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤>
アバメクチン、アセフェート、アクリナトリン、アラニカルブ、アルジカルブ、アレトリン、アミトラズ、アベルメクチン、アザジラクチン、アザメチフォス、アジンフォス−エチル、アジンフォス−メチル、アゾサイクロチン、バシルス・フィルムス、バシルス・ズブチルス、バシルス・ツリンジエンシス、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ベンゾキシメイト、ビフェナゼイト、ビフェントリン、ビオアレトリン、ビオレスメトリン、ビストリフルロン、ブプロフェジン、ブトカルボキシン、ブトキシカルボキシン、カズサフォス、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、カータップ、CGA 50439、クロルデイン、クロレトキシフォス、クロルフェナピル、クロルフェンビンフォス、クロルフルアズロン、クロルメフォス、クロルピリフォス、クロルピリフォスメチル、クロマフェノザイド、クロフェンテジン、クロチアニジン、クロラントラリニプロール、コウンパフォス、クリオライト、シアノフォス、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シフェノトリン、シロマジン、シアザピル、シエノピラフェン、DCIP、DDT、デルタメトリン、デメトン−S−メチル、ジアフェンチウロン、ジアジノン、ジクロロフェン、ジクロロプロペン、ジクロルボス、ジコフォル、ジクロトフォス、ジシクラニル、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジメチルビンフォス、ジノブトン、ジノテフラン、エマメクチン、エンドスルファン、EPN、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エチプロール、エトフェンプロックス、エトプロフォス、エトキサゾール、ファムフル、フェナミフォス、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェニトロチオン、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フェンチオン、フェンバレレート、フイプロニル、フロニカミド、フルアクロピリム、フルシクロクスロン、フルシトリネート、フルフェノクスロン、フルメトリン、フルバリネート、フルベンジアミド、フォルメタネート、フォスチアゼート、ハルフェンプロクス、フラチオカルブ、ハロヘノジド、ガンマ−HCH、ヘプテノフォス、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾックス、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、イミプロトリン、インドキサカルブ、イソプロカルブ、イソキサチオン、ルフェヌロン、マラチオン、メカルバム、メタム、メタミドフォス、メチダチオン、メチオカルブ、メトミル、メトプレン、メトスリン、メトキシフェノジド、メトルカルブ、ミルベメクチン、モノクロトフォス、ナレド、ニコチン、ニテンピラム、ノバルロン、ノビフルムロン、オメトエート、オキサミル、オキシデメトンメチル、パラチオン、パーメトリン、フェントエート、フォレート、フォサロン、フォスメット、フォスファミドン、フォキシム、ピリミカルブ、ピリミフォスメチル、プロフェノフォス、プロポクスル、プロチオフォス、ピメトロジン、ピラクロフォス、ピレスリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリミジフェン、ピリプロキシフェン、ピリフルキナゾン、ピリプロール、キナルフォス、シラフルオフェン、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマット、スルフラミド、スルフォテップ、SZI−121、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリムフォス、テフルベンズロン、テフルトリン、テメフォス、テルブフォス、テトラクロルビンフォス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオファノックス、チオメトン、トルフェンピラド、トラロメトリン、トラロピリル、トリアザメート、トリアゾフォス、トリクロルフオン、トリフルムロン、バミドチオン、バリフェナル、XMC、キシリルカルブ、イミシアホス、レピメクチン等。
【0158】
<植物成長調節剤>
アンシミドール、6−ベンジルアミノプリン、パクロブトラゾール、ジクロブトラゾール、ウニコナゾール、メチルシクロプロペン、メピコートクロリド、エセフォン、クロルメコートクロライド、イナベンフィド、プロヘキサジオン及びその塩、トリネキサパックエチル等。また、植物ホルモンとしてのジャスモン酸や、ブラシノステロイド、ジベレリン等。
【0159】
なお、上述した茎葉病害防除剤により処理した種子も本発明の範疇に含む。茎葉病害防除剤による処理については上記で述べたため、記載を省略する。茎葉病害防除剤により処理した種子は、種子処理していない種子と同様に使用することができる。
【0160】
(付記事項)
本発明に係る茎葉病害防除剤を別の表現で記載すると以下のとおりである。上記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を有効成分として含有し、非茎葉処理にて用いられて茎葉病害を含む植物病害を防除可能な農園芸用薬剤。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0161】
以下、試験例、製造例、製剤例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を越えない限り以下の試験例、製造例、製剤例に限定されるものではない。
【0162】
化合物(I)に不斉炭素が2個以上存在する場合は、異性体として複数のジアステレオマーが生成する。これらのジアステレオマー全てをそれぞれ分離、帰属することは困難である。そこで、以下の製造例等においては、帰属可能となったジアステレオマーのみを、アルファベット順に記載した。アルファベット順の順序に特段の意味はなく、帰属された順に、例えば、化合物I−2a、化合物I−2b等と記載した。
【0163】
<試験例1:種子処理によるコムギ赤さび病の防除効果>
ポット試験によりコムギ赤さび病の防除効果を評価した。本発明の化合物および比較化合物を各2 mg秤量し、DMSO(18μl)に溶解した。コムギ種子1 gに調製した薬剤をバイアル内で塗沫した後、8粒のコムギ種子を80 cm2ポットに播種した。温室内で下部給水管理し、播種40日後にコムギ赤さび病菌を接種し、湿箱に2日間保管した。再び温室内で下部給水管理し、接種14日後に「表9」に示す基準により罹病度を調査した。
【0164】
【表9】

【0165】
下記式により防除価を算出し、コムギ赤さび病防除価とした。
防除価=(1−処理区罹病度/無処理区罹病度)×100 (%)
【0166】
結果、化合物I−1,I−2,I−3,I−4,I−5,I−9,I−14,I−26,I−31,I−32,I−45,I−67,I−69,I−71,I−74,I−75,I−76,I−77は防除価40以上の効果を示した。
【0167】
さらに、化合物I−1,I−2,I−3,I−4,I−5は防除価90以上であり、比較化合物として用いたメトコナゾールおよびフルキンコナゾールと同等以上の効果を示した。
【0168】
<試験例2:種子処理によるコムギうどんこ病の防除効果>
ポット試験によりコムギうどんこ病の防除効果を評価した。本発明の化合物および比較化合物を各2 mg秤量し、DMSO(18μl)に溶解した。コムギ種子1 gに調製した薬剤をバイアル内で塗沫した後、8粒のコムギ種子を80 cm2ポットに播種した。温室内で下部給水管理した。温室には接種源としてうどんこ病罹病コムギ苗を置いた。播種33日後に、試験例1と同様の方法により防除価を算出した。
【0169】
結果、少なくとも化合物I−1,I−2,I−3,I−4,I−5,I−9,I−14,I−31,I−32は防除価40以上の効果を示した。
【0170】
さらに、化合物I−1,I−2,I−3,I−4,I−5は防除価90以上であり、比較化合物として用いたメトコナゾールおよびテブコナゾールと同等以上の効果を示した。
【0171】
<試験例3:種子処理によるコムギ赤さび病の防除効果>
圃場試験によりコムギ赤さび病の防除効果を評価した。本発明の化合物および比較化合物を各6 mg秤量し、DMSO(294μl)に溶解した。コムギ種子15 gに調製した薬剤をバイアル内で塗沫した後、1 m2の畑に播種した。播種180日後に、試験例1と同様の方法により防除価を算出した。
【0172】
結果、少なくとも化合物I−2,I−3,I−4は防除価60以上を示した。なお、比較化合物として用いたメトコナゾールおよびトリチコナゾールの防除価は30未満であった。
【0173】
<試験例4:種子処理による土壌病害の防除効果>
ポット試験により土壌病害の防除効果を評価した。本発明の化合物および比較化合物を各0.08 mg秤量し、DMSO(20μl)に溶解した。コムギ種子1 gに調製した薬剤をバイアル内で塗沫した後、8粒のコムギ種子を、フザリウム菌を混和した汚染土壌を敷き詰めた80 cm2ポットに播種した。温室内で下部給水管理した。播種55日後に、下記式により防除価を算出した。
防除価=(1−処理区発病苗率/無処理区発病苗率)×100 (%)
【0174】
結果、少なくとも化合物I−2,I−3,I−4,I−5は防除価60以上であり、比較化合物として用いたイプコナゾールおよびメトコナゾールと同等以上の効果を示した。
【0175】
<試験例5:水面処理によるイネ紋枯病の防除効果>
ポット試験によりイネ紋枯病の防除効果を評価した。本発明の化合物および比較化合物を各4.5 mg秤量し、DMSO(1 ml)に溶解した。面積95 cm2の広さに水田土を敷き詰め、たポットに水を入れ、水深2 cmとした。イネを5葉期まで栽培し、調製した薬剤を滴下した。イネ紋枯病菌をPDAシャーレで培養し、直径4 mmのコルクボーラーで菌叢をくり貫いた。菌叢をイネの分げつ部分に設置し、30℃、加湿条件で植物を管理した。7日後にイネ紋枯れ病菌の病斑長を測定し、下記式により防除価を算出した。
防除価=(1−処理区病斑長/無処理区病斑長)×100 (%)
【0176】
結果、少なくとも化合物I−3は防除価60以上であり、比較化合物として用いたメトコナゾールに比して顕著に高い効果を示した。
【0177】
<試験例6:種子処理によるイネばか苗病の防除効果>
ポット試験によりイネばか苗病の防除効果を評価した。本発明の化合物および比較化合物を各0.14 mg秤量し、DMSO(14 μl)に溶解した。ばか苗病に汚染した0.14 gイネ種子に調製した薬剤をバイアル内で塗沫した後、16粒のイネ種子を50 cm2ポットに播種した。温室内で下部給水管理した。播種10日後に、下記式により防除価を算出した。
防除価=(1−処理区発病苗率/無処理区発病苗率)×100 (%)
【0178】
結果、少なくとも化合物I−1,I−2,I−3,I−4,I−5は防除価90以上を示し、比較化合物として用いたトリチコナゾールおよびメトコナゾールに比して高い効果を示した。
【0179】
上述の試験例で用いた各有効成分は以下の方法により製造した。
【0180】
<製造例1>
1−(1−クロロシクロプロピル)−1−(2,2−ジクロロシクロプロピル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)エタノール(化合物番号I−1)の合成
(1)中間体、1−クロロ−2−(1−クロロシクロプロピル)−3−ブテン−2−オール(化合物(IX)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, X=Cl, n=0)の合成
窒素気流下、2−クロロ−1−(1−クロロシクロプロピル)エタノン(化合物(VII)、R2= 1-chlorocyclopropyl, X=Cl)(0.67 g, 4.38 mmol)の無水THF(5 ml)を-20℃に冷却した。この溶液へ、0.75Mビニルマグネシウムブロミド(化合物(X)、R8= H, R9= H, R10= H, L=MgBr, n=0)(12.5 ml, 9.38 mmol)を無水THF(6 ml)で希釈した溶液を、反応温度が上昇しないように滴下した。滴下終了後、ゆっくりと0℃まで加温した後、0℃で1時間撹拌した。氷水冷却下、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=20:1))により精製し、目的物を得た。
収量:0.53g
収率:67%
性状:無色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.93 - 1.04 (m, 2H), 1.07 - 1.12 (m, 1H), 1.24 - 1.30 (m,1H), 2.34 (s,1H), 3.90 3.93 (d×2, 2H, J=11.3Hz), 5.36 (dd, 1H, J=0.8, 10.8Hz), 5.51 (dd, 1H, J=0.7,17.2Hz), 6.05 (dd, 1H, J=10.8, 17.2Hz).
【0181】
(2)中間体、2−(1−クロロシクロプロピル)−2−(2,2−ジクロロシクロプロピル)オキシラン(化合物(II-a)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R4= H, R5= H, R6 = H, X1=Cl, X2=Cl, n=0)の合成
1−クロロ−2−(1−クロロシクロプロピル)−3−ブテン−2−オール(化合物(IX)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, X=Cl, n=0)(0.53g, 2.93 mmol)をクロロホルム(2.4 ml)に溶解し、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(34 mg, 0.15 mmol)を加えた。この溶液の中へ水酸化ナトリウム(1.80 g, 45.0mmol)を水(1.8 ml)に溶解した溶液を加え、60℃で8時間激しく撹拌した。その後、反応温度を70℃にして、さらに4時間、反応温度を80℃で20時間撹拌した。反応後、クロロホルムで抽出し、有機層を、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=20:1))で精製し、目的物を2種の異性体としてそれぞれ得た。
[異性体a]
収量:41 mg
収率:6.3%
性状:淡黄色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.9 - 0.97 (m, 2H), 1.19 - 1.25 (m, 2H), 1.46 - 1.52 (m, 1H), 1.54, 1.56 (d×2, 1H, J= 10.9Hz), 2.54 (d, 1H, J=5.5Hz), 2.68 (dd, 1H, J=8.4, 10.8Hz), 2.75 (d, 1H, J=5.5Hz).
[異性体b]
収量:37 mg
収率:5.7%
性状:淡黄色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.99- 1.11 (m, 2H), 1.13 - 1.26 (m, 2H), 1.28 - 1.38 (m, 1H), 1.66 (dd, 1H, J=7.8, 11.0Hz), 2.40 (dd, 1H, J=8.3,11.0Hz), 2.76 (d, 1H, J=3.6Hz), 2.83 (dd, 1H, J=0.7, 3.9Hz).
【0182】
(3)1−(1−クロロシクロプロピル)−1−(2,2−ジクロロシクロプロピル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)エタノール(化合物番号I−1a)の合成
窒素気流下、1H−1,2,4−トリアゾール(化合物(III)、M=H)(15 mg, 0.22 mmol)、炭酸カリウム(31 mg, 0.22 mmol)、カリウムt−ブトキシド(1.7 mg, 0.02 mmol)をNMP(2 ml)に懸濁させた。2−(1−クロロシクロプロピル)−2−(2,2−ジクロロシクロプロピル)オキシラン(化合物(II-a)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, X1=Cl, X2=Cl, n=0の一方の異性体a)(37 mg, 0.16 mmol)のNMP(1 ml)溶液を加え、80℃で5時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))により精製し、目的物を得た。
収量:12mg
収率:25%
性状:白色結晶、融点70-71℃
NMR δH(400 MHz, CDCl3):
0.74-0.87 (m, 2H), 1.09-1.15 (m, 1H), 1.35-1.41 (m, 2H), 1.52 (dd, J = 11.0, 7.1Hz, 1H), 2.20 (dd, J = 11.0, 9.1Hz, 1H), 3.75 (s, 1H), 4.51 (d, J = 14.2Hz, 1H), 4.60(d, J = 14.2Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 8.22 (s, 1H).
【0183】
<製造例2>
2−(1−クロロシクロプロピル)−1−(2,2−ジブロモシクロプロピル)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロパン−2−オール(化合物番号I−3)の合成
(1)中間体、1−クロロ−2−(1−クロロシクロプロピル)−4−ペンテン−2−オール(化合物(IX)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, R11= H, R12 = H, X=Cl, n=1)の合成
アルゴン雰囲気下、2−クロロ−1−(1−クロロシクロプロピル)エタノン(化合物(VII)、R2= 1-chlorocyclopropyl, X=Cl)(1.5 g, 0.0098 mol)をジエチルエーテル(20 ml)に溶解し、約-50℃に冷却した。アリルマグネシウムブロミド(化合物(X)、R8= H, R9= H, R10= H, R11 = H, R12 = H, L=MgBr, n=1)1Mジエチルエーテル溶液(18 ml, 0.0098 x 1.8 mol)を加え、同温度で約20分間、徐々に昇温しながら1時間撹拌した。さらに、氷冷下、1時間撹拌した後、氷水と飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。ジエチルエーテルで抽出した後、有機層を飽和重曹水と飽和食塩水で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、粗目的物を得た。
粗収量:1.48 g
粗収率:77%
性状:無色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.9-1.0 (m, 2H), 1.1-1.2 (m, 1H), 1.2-1.3 (m, 1H), 2.13 (s, 1H), 2.57 (dd, J = 14.3, 8.4Hz, 1H), 2.70 (ddt, J = 14.3, 6.5, 1.3Hz, 1H), 3.83 (d, J = 11.4Hz, 1H), 3.95 (d, J = 11.4Hz, 1H), 5.1-5.2 (m, 1H), 5.22 (bs, 1H), 5.9-6.1 (m, 1H).
【0184】
(2)中間体、2−(1−クロロシクロプロピル)−2−(2,2−ジブロモシクロプロピルメチル)オキシラン(化合物(II-a)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, R11= H, R12 = H, X1=Br, X2=Br, n=1)の合成
粗1−クロロ−2−(1−クロロシクロプロピル)−4−ペンテン−2−オール(化合物(IX)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, R11= H, R12 = H, X=Cl, n=1)(0.60g g, 0.0031 mol)をブロモホルム (2.33 g, 9.2 mmol)、50%水酸化ナトリウム水溶液(2g)とベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(35 mg, 0.154 mmol)を加え、室温下、1時間、約60℃で1時間、更に約80℃で1時間攪拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物に、ブロモホルム (2.33 g, 9.2 mmol)、50%水酸化ナトリウム水溶液(2g)とベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(70 mg, 0.30 mol)を加え、約80℃で4時間攪拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=20:1))で精製して粗生成物を得て、そのまま次反応に用いた。
粗収量:0.60 g
粗収率:59%
性状:油状物
【0185】
(3)2−(1−クロロシクロプロピル)−1−(2,2−ジブロモシクロプロピル)−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロパン−2−オール(化合物番号I−3)の合成
炭酸カリウム(0.38 g, 2.7 mmol)をDMF(3 ml)に加え懸濁した後、t-BuONa(0.035 g, 0.36 mmol)、1,2,4-トリアゾール(化合物(III)、M=H)(0.19 g, 2.7 mmol)を加えた。DMF(3 ml)に溶解した粗2−(1−クロロシクロプロピル)−2−(2,2−ジブロモシクロプロピルメチル)オキシラン(化合物(II-a)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, R11= H, R12 = H, X1=Br, X2=Br, n=1)(0.60 g, 0.0018 mol)を加え、約90℃で2時間攪拌した。酢酸エチルと水を加え、分配した後、有機層を飽和食塩水で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))で精製を行い、2種の異性体の中で低極性の異性体aを単離した。
[化合物番号I−3a]
収量:0.065 g
収率:9%
性状:白色固体、融点114℃
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.28 - 0.38 (m, 1H), 0.42 - 0.52 (m, 1H), 0.73 - 0.84 (m, 1H), 1.02 - 1.12 (m, 1H), 1.42 (app.t, J= 7.6 Hz, 1H), 1.88 (dd, J= 7.3, 10.6 Hz, 1H), 1.92 - 2.19 (m, 3H), 4.36 (s, 1H), 4.39 (d, J= 14.2 Hz, 1H,), 4.95 (d, J=14.2 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 8.28 (s, 1H).
【0186】
<製造例3>
1,3−ビス(2,2−ジクロロシクロプロピル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)プロパン−2−オール(化合物番号I−45)の合成
(1)中間体、4−クロロメチルヘプタ−1,6−ジエン−4−オールの合成
窒素気流下、マグネシウム(0.58 g, 24 mmol)に無水ジエチルエーテル(10 ml)を加え、ここへ、アリルブロミド(2.70 g, 22.3 mmol)をジエチルエーテル(25 ml)に溶解した溶液を、反応液が穏やかに還流し続けるように滴下した後、室温で30分間撹拌した。塩化クロロアセチル(1.20 g, 10.6 mmol)を無水ジエチルエーテル(10 ml)に溶解した溶液を-40℃に冷却し、先に調整したアリルマグネシウムブロミド溶液を、反応液温度が上昇しないように滴下した。滴下終了後、-40℃で2時間撹拌した後、ゆっくりと0℃まで加温した。氷水冷却下、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層は、飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、目的物を得た。
収量:1.06 g
収率:62%
性状:淡黄色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
2.31 - 2.42 (m, 4H), 3.49 (s, 2H), 5.15 - 5.21 (m, 4H), 5.79 - 5.90 (m, 2H).
【0187】
(2)中間体、2,2−ビス(2,2−ジクロロシクロプロピルメチル)オキシラン(化合物(II)、R1= 2,2-dichlorocyclopropylmethyl, R2= 2,2-dichlorocyclopropylmethyl)の合成
4−クロロメチルヘプタ−1,6−ジエン−4−オール(1.06 g, 6.6 mmol)をクロロホルム(11 ml)に溶解し、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(0.15 g, 0.66 mmol)を加えた。水酸化ナトリウム(5.20 g, 130 mmol)を水(5 ml)に溶解した溶液を加え、60℃で15時間激しく撹拌した。反応後、クロロホルムで抽出し、有機層は、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、目的物をジアステレオマー混合物として得た。
収量:1.24 g
収率:65%
性状:褐色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
1.12 - 1.17 (m, 2H), 1.57 - 1.82 (m, 5H), 1.95 - 2.10 (m, 3H), 2.81(s,0.5H), 2.81(d, J=4.2Hz, 0.5H), 2.92 (s, 0.5H), 2.94(d, J=4.2Hz, 0.5H).
【0188】
(3)1,3−ビス(2,2−ジクロロシクロプロピル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)プロパン−2−オール(化合物番号I−45)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(0.12 g, 3.0 mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水DMF(5.0 ml)に懸濁させ、氷冷下1H−1,2,4−トリアゾール(化合物(III)、M=H)(0.20 g, 2.9 mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、2,2−ビス(2,2−ジクロロシクロプロピルメチル)オキシラン(化合物(II)、R1= 2,2-dichlorocyclopropylmethyl, R2= 2,2-dichlorocyclopropylmethyl)(0.58 g, 2.0 mmol)の無水DMF(3.0 ml)溶液を加え、90℃で8 時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=2:1))により精製し、目的物を得た。
[化合物番号I−45a]
収量:82 mg
収率:11%
性状:白色結晶、融点114-115℃
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
1.30 (t, J=7.4Hz, 2H), 1.69-1.74 (m, 4H), 1.84-1.85 (m, 4H), 3.98 (s, 1H), 4.44 (s, 2H), 8.04 (s, 1H), 8.18 (s, 1H).
[化合物番号I−45b]
収量:0.19g
収率:26%
性状:白色結晶、融点105 - 106.5℃
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
1.03-1.07 (m, 1H), 1.17-1.21 (m, 1H), 1.46-1.56 (m, 1H), 1.64-1.68 (m, 1H), 1.72-1.81 (m, 4H), 1.95-1.99 (m, 1H), 2.08 (dd, J=4.1, 14.8Hz, 1H), 4.01 (d, J=1.4Hz, 1H), 4.39 (d, J=14.1Hz, 1H), 4.45 (d, J=14.1Hz, 1H), 8.03 (s, 1H), 8.17 (s, 1H).
【0189】
<製造例4>
2−(1−クロロシクロプロピル)−4−(2,2−ジクロロシクロプロピル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール(化合物番号I−4)の合成
(1)中間体、3−(1−クロロシクロプロピル)−3−オキソプロピオン酸 メチル(化合物(XIII)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R13 = Me)の合成
窒素気流下、60% 水素化ナトリウム(3.80 g, 95.0 mmol)をヘキサン洗浄後、炭酸ジメチル(化合物(XVI)、R13 = Me) (80 ml)に懸濁し、無水メタノール(0.5 ml)を加え、80℃に加温した。1−(1−クロロシクロプロピル)エタノン(化合物(XV)、R2= 1-chlorocyclopropyl)(10.2 g, 86.0mmol)を炭酸ジメチル(化合物(XVI)、R13= Me) (6 ml)に溶解した溶液を加え、80℃で3時間撹拌した。放冷後、反応液に酢酸(10 ml)を加え、次いで氷水中に注ぎ、有機層を分取した。水層をジエチルエーテルで抽出し、有機層をそれぞれ、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去した後、減圧蒸留により、目的物を得た。
収量:8.85 g
収率:58%
性状:無色油状物、沸点88℃/1.3kPa。
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
1.41 (d, J=5.1Hz, 1H), 1.43 (d, J=4.8Hz, 1H), 1.72 (d, J=4.8Hz, 1H), 1.74 (d, J=5.1Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.90 (s, 2H).
【0190】
(2)中間体、2−(2−プロペニル)−3−(1−クロロシクロプロピル)−3−オキソプロピオン酸 メチル(化合物(XII)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R14= H, R15= H, R16 = H, R17 = H, R18 = H, R13 = Me, m=1)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(1.32 g, 33.0 mmol)をヘキサン洗浄後、無水DMF(70 ml)に懸濁した。3−(1−クロロシクロプロピル)−3−オキソプロピオン酸 メチル(化合物(XIII)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R9= Me)(5.30 g, 30.0mmol)を無水DMF(15 ml)に溶解した溶液を加え、室温で 1.5時間撹拌した。撹拌後、アリルブロミド(化合物(XIV)、R14= H, R15= H, R16 = H, R17 = H, R18 = H, X3=Br, m=1) (4.0 g, 33.0mmol)を無水DMF(15 ml)に溶解した溶液を加え、室温下、3時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、ヘキサンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、目的物を得た。
収量:6.37 g
収率:98%
性状:無色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
1.37 - 1.45 (m, 2H), 1.65 - 1.75 (m, 2H), 2.61 - 2.68 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 4.35 (t, J=7.0Hz, 1H), 5.05 - 5.14 (m, 2H), 5.75 - 5.82 (m, 1H).
【0191】
(3)中間体、1−(1−クロロシクロプロピル)−4−ペンテン−1−オン(化合物(XI)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R14= H, R15= H, R16 = H, R17 = H, R18 = H, m=1)の合成
2−(2−プロペニル)−3−(1−クロロシクロプロピル)−3−オキソプロピオン酸 メチル(化合物(XII)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R14= H, R15= H, R16 = H, R17 = H, R18 = H, R13= Me, m=1)(6.16 g, 28.5 mmol)をイソプロパノール(10 ml)に溶解した。水酸化ナトリウム (2.20 g, 55.0mmol)を水(11 ml)に溶解した溶液を加え、80℃で 4.5時間撹拌した。放冷後、反応液を氷水中に注ぎ、ヘキサンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=50:1))により精製し、目的物を得た。
収量:3.0 g
収率:67%
性状:無色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
1.31 - 1.35 (m, 2H), 1.62 - 1.65 (m, 2H), 2.31 - 2.37 (m, 2H), 2.94 - 2.98 (m, 2H), 4.98 - 5.09 (m, 2H), 5,78 - 5.87 (m, 1H).
【0192】
(4)中間体、2−(3−ブテニル)−2−(1−クロロシクロプロピル)オキシラン(化合物(VIII-a)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R14= H, R15= H, R16 = H, R17 = H, R18 = H, m=1)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(1.75 g, 43.7mmol)をヘキサンで洗浄後、無水DMSO (70 ml)に懸濁した。トリメチルスルホキソニウムブロミド(7.51 g, 43.4mmol)を加え、室温で 1.5時間撹拌した。1−(1−クロロシクロプロピル)−4−ペンテン−1−オン(化合物(IX)、R2= 1-chlorocyclopropyl,R14= H, R15= H, R16 = H, R17= H, R18 = H, m=1)(5.0 g, 31.5mmol)を無水DMSO (30 ml)に溶解した溶液を加え、室温でさらに3時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、ヘキサンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた油状物を減圧蒸留して、目的物を得た。
収量:1.67 g
収率:31%
性状:無色油状物
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.77 - 0.86 (m, 2H), 0.98 - 1.10 (m, 2H), 1.87 - 1.94 (m, 1H), 2.14 - 2.29 (m, 3H), 2.70 (d, J=4.9Hz, 1H), 2.74 (d, J=4.9Hz, 1H), 4.97 - 5.09 (m, 2H), 5.79 - 5.88 (m, 1H).
【0193】
(5)中間体、2−(1−クロロシクロプロピル)−2−[2−(2,2−ジクロロシクロプロピル)エチル]オキシラン(化合物(II-a)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, R11 = H, R12 = H, n=2)の合成
2−(3−ブテニル)−2−(1−クロロシクロプロピル)オキシラン(化合物(VIII-a)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R14= H, R15= H, R16 = H, R17 = H, R18 = H, m=1)(18.92 g, 110 mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(515 mg, 2.26 mmol)をクロロホルム(63 ml)に溶解させ、水酸化ナトリウム(23.07 g, 577 mmol)/水(23.5 ml)溶液を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗生成物を得た。以上の操作をもう1回繰り返し、得られた粗生成物を減圧蒸留により精製し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=20:1))で精製し、目的物を得た。
収量:19.75 g
収率:71 %
性状:黄色油状物
[異性体a]
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.77 - 0.90(m,2H), 0.97 - 1.03(m,1H), 1.05 - 1.12(m,2H), 1.56 - 1.68(m,4H), 2.02 - 2.10(m,1H), 2.22 - 2.29(m,1H), 2.71 - 2.76(m,2H).
[異性体b]
0.77 - 0.90(m,2H), 0.97 - 1.03(m,1H), 1.05 - 1.12(m,2H), 1.56 - 1.68(m,3H), 1.74 - 1.83(m,1H), 1.86 - 1.93(m,1H), 2.35 - 2.43(m,1H), 2.73(d, J=4.9Hz, 1H), 2.75(d, J=4.9Hz, 1H).
【0194】
(6)2−(1−クロロシクロプロピル)−4−(2,2−ジクロロシクロプロピル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール(化合物番号I−4)の合成
窒素気流下、1H−1,2,4−トリアゾール(化合物(III)、M=H)(142 mg, 2.06 mmol)、炭酸カリウム(271 mg, 1.96 mmol)、カリウムt−ブトキシド(15 mg, 0.13 mmol)をDMF(2 ml)に懸濁させた。2−(1−クロロシクロプロピル)−2−[2−(2,2−ジクロロシクロプロピル)エチル]オキシラン(化合物(II-a)、R2= 1-chlorocyclopropyl, R8= H, R9= H, R10 = H, R11 = H, R12 = H, n=2)(394 mg, 1.54 mmol)のDMF(2 ml)溶液を加え、70℃で5時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(ヘキサン:酢酸エチル=1:1))により粗精製後、酢酸エチル−ヘキサン系で再結晶を行い、2種のジアステレオマーとして目的物を得た。
[化合物番号I−4a]
収量:40 mg
収率:8 %
性状:白色結晶、融点:130-131℃
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.24 (ddd, J = 11.0, 7.2, 6.0Hz, 1H), 0.45 (ddd, J = 10.7, 7.5, 6.0Hz, 1H), 0.83(ddd, J = 10.7, 7.2, 5.7Hz, 1H), 1.06 (ddd, J = 11.0, 7.5, 5.7Hz, 1H), 1.12 (bs, 1H), 1.5-1.6 (m, 2H), 1.6-1.8 (m,1H), 1.8-2.1 (m, 3H), 4.06 (s, 1H), 4.27 (d, J = 14.2Hz, 1H), 4.71 (d, J = 14.2Hz, 1H), 8.01 (s, 1H), 8.24 (s, 1H).
[化合物番号I−4b]
収量:55 mg
収率:11%
性状:白色結晶、融点83-84℃
NMR δH (400 MHz, CDCl3):
0.24 (ddd, J = 11.0, 7.2, 6.0Hz, 1H), 0.44 (ddd, J = 10.8, 7.5, 6.0Hz, 1H), 0.85(ddd, J = 10.8, 7.2, 5.7Hz, 1H), 1.07 (ddd, J = 11.0, 7.5, 5.7Hz, 1H), 1.1-1.2 (m, 1H), 1.5-1.6 (m, 2H), 1.7-1.8 (m,2H), 1.8-2.0 (m, 1H), 2.2-2.3 (m, 1H), 4.08 (s, 1H), 4.26 (d, J = 14.2Hz, 1H), 4.71 (d, J = 14.2Hz, 1H), 8.02 (s,1H), 8.24 (s, 1H).
【0195】
上記製造例1〜4に準じた方法で、下記「表10」〜「表12」に示す化合物(I)を合成した。さらに、従来公知の方法により、上記「表1」〜「表8」に示した化合物(I)を合成した。
【0196】
【表10】

【0197】
【表11】

【0198】
【表12】

【0199】
<製剤例1(水和剤)>
化合物(I−2a) 50 部
リグニンスルホン酸塩 5 部
アルキルスルホン酸塩 3 部
珪藻土 42 部
を粉砕混合して水和剤とし、水で希釈して使用した。
【0200】
<製剤例2(粉剤)>
化合物(I−4a) 3 部
クレー 40 部
タルク 57 部
を粉砕混合し、散粉として使用した。
【0201】
<製剤例3(粒剤)>
化合物(I−5a) 5 部
ベンナイト 43 部
クレー 45 部
リグニンスルホン酸塩 7 部
を均一に混合しさらに水を加えて練り合わせ、押し出し式造粒機で粒状に加工乾燥して粒剤とした。
【0202】
<製剤例4(乳剤)>
化合物(I−3a) 20 部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 10 部
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 3 部
キシレン 67 部
を均一に混合溶解して乳剤とした。
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明に係る茎葉病害防除剤は、種子処理、潅注処理または水面処理などの非茎葉処理により茎葉病害および非茎葉病害のいずれも防除可能な薬剤として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を有効成分として含有し、非茎葉処理にて用いられ得ることを特徴とする茎葉病害防除剤。

(式(I)中、Rは、シクロプロピル基、該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基、ベンジル基またはtert−ブチル基を表す。前記シクロプロピル基および前記ベンジル基における芳香族環は、ハロゲン原子およびメチル基から選択される一以上の置換基で置換されていてもよい。
は、シクロプロピル基、あるいは該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基を表す。前記シクロプロピル基は、塩素原子で置換されていてもよい。
がベンジル基の場合、Rは、Rで示される置換基における炭素原子であって、水酸基およびベンジル基が結合する炭素原子と結合する炭素原子の有する水素原子のみが置換されたシクロプロピル基ではない。)
【請求項2】
前記一般式(I)中のRは、塩素原子あるい臭素原子で1〜4置換されているシクロプロピル基、または該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基であり、
は、塩素原子で1または2置換されたシクロプロピル基である請求項1に記載の茎葉病害防除剤。
【請求項3】
前記アゾール誘導体が下記式(I−1)〜(I−5)で示される請求項2に記載の茎葉病害防除剤。

【請求項4】
前記非茎葉処理が種子処理、潅注処理または水面処理である請求項1から3のいずれか一項に記載の茎葉病害防除剤。
【請求項5】
下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を有効成分として含有する薬剤を非茎葉処理する工程を含む植物病害防除方法。

(式(I)中、Rは、シクロプロピル基、該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基、ベンジル基またはtert−ブチル基を表す。前記シクロプロピル基および前記ベンジル基における芳香族環は、ハロゲン原子およびメチル基から選択される一以上の置換基で置換されていてもよい。
は、シクロプロピル基、あるいは該シクロプロピル基で置換されているC1〜C2アルキル基を表す。前記シクロプロピル基は、塩素原子で置換されていてもよい。
がベンジル基の場合、Rで示される置換基における炭素原子であって、水酸基およびベンジル基が結合する炭素原子と結合する炭素原子の有する水素原子のみが置換されたシクロプロピル基ではない。)
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の茎葉病害防除剤により処理した種子。


【公開番号】特開2012−250942(P2012−250942A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125603(P2011−125603)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】