説明

茶葉乾燥食品の製造方法

【課題】飲用だけでなく食用としても利用できる新たな茶葉乾燥食品を提供する。
【解決手段】本発明の茶葉乾燥食品の製造方法は、原料茶葉A0を荒茶生産ラインLAで蒸熱1、冷却3、粗揉5または粗揉5後揉捻7して重量比40〜50まで乾燥させる予備乾燥工程S1と、上記予備乾燥茶葉A1をマイクロ波減圧撹拌乾燥機21で重量比20〜30まで乾燥させる一次乾燥工程S3と、上記一次乾燥茶葉B1を計量、プレスして厚さ5〜10mmのシート状に加工する計量・プレス工程S4と、上記シート状の一次乾燥茶葉B1をマイクロ波減圧乾燥機61で重量比5〜7まで乾燥させる二次乾燥工程S5と、上記シート状の二次乾燥茶葉B2を切断してカット幅5〜10mmのキューブ状の茶葉乾燥食品Cにする切断工程S6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉を主原料とした乾燥食品の製造方法に係り、特に湯や水を注いでその抽出液を飲むだけでなく、乾燥食品自体を食べることができる茶葉乾燥食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶を飲む習慣の低下等に伴なう緑茶離れを解消するために緑茶を用いた種々の商品が開発されている。例えば緑茶を抽出する手間を省いて予めペットボトルや缶に抽出した緑茶を入れた「ドリンク茶」や乾燥茶葉に野菜や果物等の乾燥食品をブレンドした「フレーバー緑茶」がその一例である。
また、緑茶の有するビタミン、ミネラル、カテキン等の成分が健康に良いことから緑茶自体を食べる工夫も種々の分野で行われている。
【0003】
この場合、緑茶には渋みや苦味成分が多く含まれており、これらの渋みや苦味成分を如何に低く抑え、尚且つ緑茶の有する風味や色味、香りをどれだけ残せるかが課題になってくる。
下記の特許文献1では、食品素材の持つ風味を残すために乾燥手段として蒸煮、焼成、フライ及びマイクロ波から選ばれる1種または2種以上の加熱方式を採用した加工食品の製造方法が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2では、渋みや苦味成分を比較的低く抑えることができる深蒸し茶の使用に言及しており、更にモロヘイヤ、しいたけ、とうもろこし等の植物粉砕物を含有させることでビタミン、ミネラル等の栄養素を強化できる旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4057916号公報
【特許文献2】特開平7−147903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、食品素材の一例として茶の若葉が挙げられているだけで、緑茶特有の渋みや苦味成分をどのようにすれば低く抑えることができるかが開示されていない。
また、加熱温度を80℃以上に設定しているため、緑茶の有する風味や色味、香りが損なわれることが予想される。更にスナック菓子等への利用を想定しているため、糖質を含む添加物が多く含まれており、緑茶の有する自然な風味が破壊されてしまい、緑茶とは別物の乾燥食品になってしまう。
【0007】
一方、特許文献2では、緑茶の有する栄養成分を補強する目的で緑茶の粉砕物に植物の粉砕物を混合している。したがって製造された食品は粉末状であり、その用途もご飯にかけるふりかけや菓子等の生地に混ぜる食品添加物としての使用に限定される。
また、このような食品は、乾燥工程を経ていないので、保存性の点でも問題がある。
【0008】
本発明は、このような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、飲用だけでなく食用としても利用できる今までにない新たな茶葉乾燥食品を提供することであり、緑茶の有する栄養成分や風味をできるだけ生かしつつ、緑茶特有の渋みや苦味成分を低く抑えた飲み易く、食べやすい茶葉乾燥食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による茶葉乾燥食品の製造方法は、原料茶葉を荒茶生産ラインで蒸熱、冷却、粗揉または粗揉後揉捻して蒸熱時100であった重量比が40〜50になるまで乾燥させる予備乾燥工程と、
上記予備乾燥工程で加工された予備乾燥茶葉をマイクロ波減圧撹拌乾燥機に投入して重量比が20〜30になるまで乾燥させる一次乾燥工程と、
上記一次乾燥工程で加工された一次乾燥茶葉をプレス装置に投入して所定厚さのシート状に加工するプレス工程と、
上記プレス工程で加工されたシート状の一次乾燥茶葉をマイクロ波減圧乾燥機に投入して所定重量比以下になるまで乾燥させる二次乾燥工程と、
上記二次乾燥工程で加工されたシート状の二次乾燥茶葉を切断機に投入して所定形状の茶葉乾燥食品に切断する切断工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記予備乾燥工程では、原料茶葉として緑茶のみる芽またはかぶせ茶を使用して蒸熱時間が60〜80秒の深蒸しまたはそれ以上の強い深蒸しにするようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1または2記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記予備乾燥工程の後、予備乾燥された予備乾燥茶葉を適量に分けて冷凍する冷凍保管工程を備えており、上記一次乾燥工程では、上記冷凍保管工程で冷凍された予備乾燥茶葉を解凍したものを使用するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記一次乾燥工程では、上記予備乾燥工程で加工された予備乾燥茶葉に加えて生または乾燥した所定分量のカット野菜または果実をマイクロ波減圧撹拌乾燥機に投入して野菜または果実風味の一次乾燥茶葉を得るようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項5による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記一次乾燥工程では、乾燥室内に撹拌羽根と切断羽根を備えた撹拌装置付きのマイクロ波減圧撹拌乾燥機を使用しており、該マイクロ波減圧撹拌乾燥機によって予備乾燥茶葉を適度なサイズに切断しながら減圧撹拌乾燥するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項6による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1〜5のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記二次乾燥工程では、所定回転数のスタラーと被乾燥物の重量を計測するロードセルを備えたマイクロ波減圧乾燥機を使用しており、該マイクロ波減圧乾燥機によって一次乾燥茶葉の重量変化を見ながら減圧乾燥するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項7による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1〜6のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記一次乾燥工程と二次乾燥工程のいずれか一方、または双方では、乾燥室内で発生した蒸気を乾燥室外に排気するために空気または不活性ガスを供給させた状態で乾燥が実行されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項8による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1〜7のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記一次乾燥工程と二次乾燥工程では、被乾燥物の品温が35〜45℃になるようにマイクロ波出力が制御されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項9による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1〜8のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記切断工程の後、所定形状に切断された茶葉乾燥食品をツイスト包装で1個ずつ包装し、または横ピロー包装で4〜6個ずつ包装して個別包装品または小分け包装品を作り、これらを複数量カートンに詰めて本包装する包装工程を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項10による茶葉乾燥食品の製造方法は、原料茶葉を荒茶生産ラインで蒸熱、冷却、粗揉または粗揉後揉捻して蒸熱時100であった重量比が40〜50になるまで乾燥させる予備乾燥工程と、
上記予備乾燥工程で加工された予備乾燥茶葉をマイクロ波減圧撹拌乾燥機に投入して重量比が20〜30になるまで乾燥させる一次乾燥工程と、
上記一次乾燥工程で加工された一次乾燥茶葉を計量し、プレス装置に投入して厚さ5〜10mmのシート状に加工する計量・プレス工程と、
上記計量・プレス工程で加工されたシート状の一次乾燥茶葉をマイクロ波減圧乾燥機に投入して重量比が5〜7になるまで乾燥させる二次乾燥工程と、
上記二次乾燥工程で加工されたシート状の二次乾燥茶葉を切断機に投入してカット幅5〜10mmのキューブ状の茶葉乾燥食品に切断する切断工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項11による茶葉乾燥食品の製造方法は、請求項1記載の茶葉乾燥食品の製造方法において、上記プレス工程の後、加工されたシート状の一次乾燥茶葉をマイクロ波減圧乾燥機に投入して所定の水分を残す水分調整を行った状態になるまで乾燥させる二次乾燥工程と、上記二次乾燥茶葉を密閉容器に入れて加熱し高圧になったところで開放して膨化発泡する膨化発泡工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
そして、上記手段によって以下のような作用が得られる。まず、予備乾燥工程で既存の荒茶生産ラインを使用したことにより設備費の増大を防止することができる。尚、本発明により製造される茶葉乾燥食品は、飲用だけでなく食用にも使用されるため形状、色沢、水色、香気、滋味等を付与ないし増大させる中揉、精揉、乾燥は不要であり、粗揉ないし揉捻後の不活性化され下揉みされた状態で付与される緑茶の持つ有用成分の生成と香気などの特長で十分である。
【0021】
次に、一次乾燥工程でマイクロ波減圧撹拌乾燥機を使用したことにより、緑茶の持つ有用成分や香気が破壊されることなく無理なく乾燥が進められ、撹拌することで投入された予備乾燥茶葉の均一な混合と乾燥の促進が図られる。
また、プレス工程で一様な厚さのシート状の一次乾燥茶葉に加工することにより、次工程の二次乾燥工程での乾燥品質が均一になり、切断工程での所定形状の切断が可能になる。
【0022】
次に、二次乾燥工程でマイクロ波減圧乾燥機を使用したことにより、通気乾燥では乾燥しにくい上記シート状の一次乾燥茶葉の乾燥が可能になる。そして、一次乾燥工程と同様、緑茶の持つ有用成分や香気が破壊されることなく無理なく乾燥が進められ、飲用や食用に適した目標重量比に達したシート状の二次乾燥茶葉が得られる。
また、切断工程で得られた適当なサイズにカットされた茶葉乾燥食品は、従来には存在しなかった形状、食感の茶葉乾燥食品であり、湯や水を入れてその抽出液を飲むこともできるし、残った固形分を食べることもできる。また、抽出しないでそのまま食べることも可能であり、粗砕ないし粉末状に二次加工すれば粉末茶、打錠用原料、食品添加物またはドリンク茶の抽出原料等として使用することができる。
【0023】
また、予備乾燥工程での蒸熱時間を長くして深蒸しまたはそれ以上の強い深蒸しにすれば、緑茶特有の渋み、苦味が更に軽減されて食べやすくなり、茶葉からの滲出成分や色味が標準蒸しの緑茶よりも増強されて濃くまろやかな味わい及び色味となる。
また、上記予備乾燥工程の後に冷凍保管工程を設けた場合には、荒茶生産ラインがフル稼働している一番茶の時期等を外して適宜の時期に一次乾燥工程以降の工程を実施して本発明による茶葉乾燥食品を製造できるようになる。
【0024】
また、一次乾燥工程でマイクロ波減圧撹拌乾燥機に投入する原料を予備乾燥茶葉に加えて生または乾燥した所定分量のカット野菜または果実とした場合には、従来にない野菜または果実風味の茶葉乾燥食品が得られるようになり、一層食べやすくなる。
また、野菜や果実に含まれる糖分がバインダー(結合剤)としての役目をするため、茶葉との結合性が増して茶葉に対して野菜や果実の風味を馴染ませながら乾燥を進めることが可能になる。
【0025】
また、一次乾燥工程において、乾燥室内に撹拌羽根と切断羽根を備えた撹拌装置付きのマイクロ波減圧撹拌乾燥機を使用した場合には、予備乾燥茶葉を適度なサイズに切断しながら乾燥を促進させ、上記カット野菜や果実との混合を促進させて満遍なく茶葉に付着させることが可能になる。
また、二次乾燥工程において、所定回転数のスタラーと被乾燥物の重量を計測するロードセルを備えたマイクロ波減圧乾燥機を使用した場合には、スタラーの回転によりマイクロ波の照射量を均一にでき、時々刻々変化する一次乾燥茶葉の重量変化を見ながら茶葉にダメージを与えない理想的な乾燥状態が得られるようになる。
【0026】
また、一次乾燥工程と二次乾燥工程において、乾燥室内に空気または不活性ガスを供給させた状態で乾燥を実行した場合には、乾燥室内で発生した蒸気の結露による被乾燥物への水分付着を防止して乾燥室外に速やかに蒸気を排気することが可能になる。
また、一次乾燥工程と二次乾燥工程において、被乾燥物の品温が35〜45℃になるようにマイクロ波出力が制御されている場合には、茶葉の品質を維持した無理のない乾燥が実現され、良質な茶葉乾燥食品が得られるようになる。
【0027】
また、切断工程で所定形状に切断された茶葉乾燥食品をツイスト包装または横ピロー包装した場合には、従来の茶葉乾燥食品では採られなかった新しい包装形態の茶葉乾燥食品を提供できるようになり、緑茶の一層の需要の拡大に貢献する。
【0028】
また、上記計量・プレス工程で加工されたシート状の一次乾燥茶葉をマイクロ波減圧乾燥機に投入して重量比が5〜7になるまで乾燥させる二次乾燥工程と、上記二次乾燥工程で加工されたシート状の二次乾燥茶葉を切断機に投入してカット幅5〜10mmのキューブ状の茶葉乾燥食品に切断する切断工程と、を設けた場合には、次工程の二次乾燥工程での乾燥品質が均一になり、切断工程でのキューブ状の切断が可能になる。また、切断工程で得られたキューブ状の茶葉乾燥食品は、従来には存在しなかった形状、食感の茶葉乾燥食品であり、湯や水を入れてその抽出液を飲むこともできるし、残った固形分を食べることもできる。また、抽出しないでそのまま食べることも可能であり、粗砕ないし粉末状に二次加工すれば粉末茶、打錠用原料、食品添加物またはドリンク茶の抽出原料等として使用することができる。
【0029】
また、上記プレス工程の後、加工されたシート状の一次乾燥茶葉をマイクロ波減圧乾燥機に投入して所定の水分を残す水分調整を行った状態になるまで乾燥させる二次乾燥工程と、上記二次乾燥茶葉を密閉容器に入れて加熱し高圧になったところで開放して膨化発泡する膨化発泡工程と、を設けた場合には、茶葉乾燥食品は、「フワフワ」「サクサク」の食感を呈し、より一層おいしく食べられる。勿論、湯や水を入れてその抽出液を飲むこともできるし、残った固形分を食べることもできる。また、抽出しないでそのまま食べてもおいしく食べることが可能であり、粗砕ないし粉末状に二次加工すれば粉末茶、打錠用原料、食品添加物またはドリンク茶の抽出原料等として使用することも可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の茶葉乾燥食品の製造方法によると、飲用だけでなく食用としても利用できる今までにない新たな茶葉乾燥食品を提供できるようになる。
また、本発明よって製造された茶葉乾燥食品は、緑茶の有する栄養成分や風味をできるだけ生かしつつ、緑茶特有の渋みや苦味成分を低く抑えた飲みやすく、食べやすい茶葉乾燥食品になっている。
また、本発明よって製造された茶葉乾燥食品の外観形状も今までにないものであり、カット野菜や果実との組み合わせ等によって新感覚、新食感、新風味の茶葉乾燥食品が提供できるようになり、茶葉乾燥食品の用途の拡大にも寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、本発明を実施する茶葉乾燥食品の製造ラインの概要を示す説明図である
【図2】本発明の実施の形態を示す図で、予備乾燥工程で使用する荒茶生産ラインの一例を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す図で、一次乾燥工程で使用するマイクロ波減圧撹拌乾燥機を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す図で、一次乾燥工程で使用するマイクロ波減圧撹拌乾燥機を示す右側面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す図で、一次乾燥工程で使用するマイクロ波減圧撹拌乾燥機を示す左側面図である。
【図6】本発明の実施の形態を示す図で、一次乾燥工程で使用するマイクロ波減圧撹拌乾燥機を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す図で、二次乾燥工程で使用するマイクロ波減圧撹拌乾燥機を示す正面図である。
【図8】本発明の実施の形態を示す図で、二次乾燥工程で使用するマイクロ波減圧撹拌乾燥機を示す右側面図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す図で、二次乾燥工程で使用するマイクロ波減圧撹拌乾燥機を示す平面図である。
【図10】本発明の効果を示すために実施した比較試験の条件を図表化した説明図である。
【図11】本発明の効果を示すために実施した比較試験における比較サンプル(1)についての評価の内容を図表化した説明図である。
【図12】本発明の効果を示すために実施した比較試験における比較サンプル(2−1)(2−2)についての評価の内容を図表化した説明図である。
【図13】本発明の効果を示すために実施した比較試験における比較サンプル(3−1)(3−2)についての評価の内容を図表化した説明図である。
【図14】本発明の効果を示すために実施した比較試験における比較サンプル(4−1)(4−2)についての評価の内容を図表化した説明図である。
【図15】本発明の実施の形態を示す図で、膨化発泡工程で使用する膨化発泡装置を示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態を示す図で、膨化発泡工程で使用する膨化発泡装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図1〜図9を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
最初に図1に基づいて本発明の茶葉乾燥食品の製造方法を実施する茶葉乾燥食品Cの製造ラインLCにおける全体構成の概要について説明する。
【0033】
本発明の茶葉乾燥食品の製造方法は、予備乾燥工程S1と、一次乾燥工程S3と、軽量・プレス工程S4と、二次乾燥工程S5と、切断工程S6と、を備えることによって基本的に構成されている。
そして、本実施の形態では、上記予備乾燥工程S1の次に冷凍保管工程S2、上記切断工程S6の次に包装工程S7を備え、計7つの工程S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7によって本発明を実施する茶葉乾燥食品Cの製造ラインLCが構成されている。
【0034】
予備乾燥工程S1は、原料茶葉A0を図2に示す荒茶生産ラインLAで蒸熱1、冷却3、粗揉5及び揉捻7の4工程を実施して、蒸熱時100であった原料茶葉A0の重量比を40〜50になるまで乾燥させる工程である。
尚、本工程で使用する原料工程A0は、一例として緑茶の「みる芽」または「かぶせ茶」であり、「みる芽」は新しい芽が出てきて1芯2〜3葉くらいで摘採したものを使用する。また「かぶせ茶」は新しい芽が出てきて1芯2葉くらいの時期に、遮光率85%のネットを茶園に掛け、2週間程してからネットをめくって摘採したものを使用する。
【0035】
冷凍保管工程S2は、上記予備乾燥工程S1によって予備乾燥された予備乾燥茶葉A1を適量に分けて冷凍する工程である。
尚、本実施の形態では、予備乾燥茶葉A1を一例として10〜20kgに分けて冷凍し、使用時に解凍してから次工程の一次乾燥工程S3に供給するように構成されている。
【0036】
一次乾燥工程S3は、上記予備乾燥工程S1で加工された予備乾燥茶葉A1をマイクロ波減圧撹拌乾燥機21に投入して重量比が20〜30になるまで乾燥させる工程である。
尚、本実施の形態では、上記冷凍保管工程S2によって冷凍されていた予備乾燥茶葉A1を解凍したものと、生または乾燥した所定分量のカット野菜または果実によって構成されるフレーバーFとをマイクロ波減圧撹拌乾燥機21に投入して撹拌混合させながら乾燥させるようにする。
また、上記フレーバーFの具体例としては、みかん、メロン、ブルーべリー、梅、生姜、わさび等が挙げられ、これらの添加量としては、茶葉の重量の5〜10%が一例として添加の目安となる。
【0037】
計量・プレス工程S4は、上記一次乾燥工程S3で加工された一次乾燥茶葉B1を計量器15で計量し、プレス装置17に投入して厚さ5〜10mmのシート状に加工する工程である。
尚、本実施の形態では、一次乾燥茶葉B1には、上述したフレーバーFが添加されており、これらを一例として8〜15kgごとに分け、一例として500×500mmの容器19に入れてプレス装置17に投入する。そして、プレス装置17に取り付けられている上蓋20で一次乾燥茶葉B1を加圧して上述した厚さのシート状に加工する。
【0038】
二次乾燥工程S5は、上記計量・プレス工程S4で加工されたシート状の一次乾燥茶葉B1をマイクロ波減圧乾燥機61に投入して重量比が5〜7になるまで乾燥させる工程である。
尚、二次乾燥工程S5での乾燥対象物は、上述したようにフレーバーFを含んだシート状の一次乾燥茶葉B1である。本発明では一次乾燥茶葉B1の風味を損なわないマイクロ波減圧乾燥を採用しているため通常の製茶機のように多量の熱風を用いなくても目標重量比まで良好な品質を保って一次乾燥茶葉B1を乾燥させることができる。
【0039】
切断工程S6は、上記二次乾燥工程S5で加工されたシート状の二次乾燥茶葉B2を切断機101に投入してカット幅5〜10mmのキューブ状の茶葉乾燥食品Cに切断する工程である。
具体的には、円板状のカッタ刃103を上記カット幅の間隔で複数枚配設し、上記シート状の二次乾燥茶葉B2を投入ホッパ105に投入して図1に示すような角棒状の茶葉乾燥食品C0を得る。次いで、得られた角棒状の茶葉乾燥食品C0を再び切断機61の投入ホッパ65に横向きで投入すれば、図1に示すようにキューブ状の茶葉乾燥食品Cが多数得られる。
【0040】
包装工程S7は、上記切断工程S6でキューブ状に切断された茶葉乾燥食品Cをツイスト包装で1個ずつ包装し個別包装品としての茶葉乾燥食品D1を作り、または横ピロー包装で4〜6個ずつ包装して小分け包装品としての茶葉乾燥食品D2を作り、更にこれらをまとめて複数量カートンに詰めて本包装する工程である。
尚、このようにして製造された茶葉乾燥食品D1、D2は、従来には存在しなかった形状及び包装形態を有しており、用途の拡大によって緑茶の需要の拡大にも大きく貢献する。
【0041】
次に、図2に基づいて上記予備乾燥工程S1で使用する荒茶生産ラインLAの概要について説明する。
荒茶生産ラインLAとしては、煎茶を製造する場合に使用される一般的な荒茶生産ラインが使用できる。具体的には、入荷された原料茶葉A0は、最初に蒸熱工程1に送られ、蒸し機1Aによって100℃の蒸気で蒸熱時間が60〜80秒の深蒸しまたは蒸熱時間が80〜120秒の強い深蒸し状態にする。尚、蒸熱工程1での茶葉温度は98℃である。
【0042】
因みにこのような深蒸しまたはそれ以上の強い深蒸し状態にすることによって緑茶特有の渋み、苦味が更に軽減されて食べやすくなり、緑茶からの滲出成分や色味が標準蒸しの緑茶よりも増強されて濃くまろやかな味わい及び色味の茶葉乾燥食品Cが得られるようになる。
次に、原料茶葉A0は、冷却工程3に送られ、冷却機3Aによって速やかに冷却されて茶葉の変色、変質を防止する。尚、冷却工程3での目標茶温は34℃以下である。
【0043】
次に、原料茶葉A0は粗揉工程5に送られ、粗揉機の一種である茶打機5Aと粗揉機5Bとによって、一例として97℃の熱風で45分乾燥される。尚、粗揉工程5での茶葉温度は36℃であり、上述したように重量比が40〜50の予備乾燥茶葉A1になるまで乾燥が進められる。
次に、上記予備乾燥茶葉A1は、揉捻工程7に送られ、揉捻機7Aによって、揉捻されて茶葉が細かくよられて茎が見えない状態にする。尚、揉捻時間は20分で揉捻工程7での予備乾燥茶葉A1の重量比は、粗揉工程5と同じ40〜50である。
【0044】
そして、本実施の形態では、上述したように目標の重量比になった予備乾燥茶葉A1を揉捻機7Aから取り出して次工程の冷凍保管工程S2に移行する訳であるが、通常の荒茶の製造工程では、更に、中揉機9Aを使用する中揉工程9、精揉機11Aを使用する精揉工程11、乾燥機13Aを使用する乾燥工程13に茶葉が送られて最終的に重量比5になるまで乾燥が進められて荒茶に加工される。
【0045】
次に、図3〜図6に基づいて上記一次乾燥工程S3で使用されるマイクロ波減圧撹拌乾燥機21の構造について説明する。
マイクロ波減圧撹拌乾燥機21は、矩形枠状の支持フレーム23に対して一例として前方中央上部に上面が開放された乾燥室25を備え、該乾燥室25の上部に上記開放された乾燥室25の上面を塞ぐように一例として上下回動式の開閉扉27を配設している。
【0046】
開閉扉27の前端面には前方に張り出すようにハンドル29が設けられており。開閉扉27の左右の面端縁近傍には、開閉扉27の不用意な開閉動作を防止するロック装置31、31が設けられている。
また、開閉扉27の上面には、マイクロ波照射装置33が1基設けられており、開閉扉27の一例として右方には制御盤35が設けられている。
【0047】
乾燥室25の下半部は半円筒形状に形成されており、乾燥室25の内部には撹拌軸37を中心に回転する撹拌羽根39と切断羽根41が設けられている。
また、上記乾燥室25の一例として右側の端面の外方には、上向きで撹拌モータ43が配置されており、ギアヘッド45を介して図示しない出力軸が乾燥室25側に延長されて上記撹拌軸37に接続するように構成されている。
【0048】
乾燥室25の下方には、排出口47が設けられており、所定重量比になるまで乾燥された一次乾燥茶葉B1は、上記排出口47から排出されて下方にセットされている排出箱49内に搬出されるように構成されている。
また、乾燥室25の背面には図5に示すように吸引パイプ51も一端が接続されており、該吸引パイプの51の他端は、支持フレーム23の一例として後部下方に配設されている真空ポンプ53に接続されている。
【0049】
また、乾燥室25の一例として前面には図5に示すように供給ホース55の一端が接続されており、該供給ホース55の他端は、空気または窒素ガス等の不活性ガスが充填されたガスボンベ57が接続されている。
因みに、上記真空ポンプ53と吸引ポンプ51は、乾燥室25内を減圧することでより低い温度で蒸気を発生させるようにするために設けられており、上記ガスボンベ57と供給ホース55は、乾燥室25内での蒸気の結露を防止するために設けられている。
【0050】
尚、このようにして構成されるマイクロ波減圧撹拌乾燥機21による乾燥時間は一例として60分であり、マイクロ波照射装置33のマイクロ波容量は一例として1.9kw、マイクロ波出力は一例として80%〜40%である。
尚、乾燥中の予備乾燥茶葉A1の品温は図示しない放射型温度計で計測されており、常時その品温が35〜45℃(本実施の形態では一例として40℃)になるように上記マイクロ波出力が制御されている。
【0051】
また、上記撹拌軸37の回転数は一例として20rpm、取出し含水率は上述したように重量比で20〜30(本実施の形態では一例として重量比を25)に設定した。
そして、撹拌乾燥後の一次乾燥茶葉B1は良好な食感が得られる適度なサイズに切断され、フレーバーFが満遍なく付着された状態になっている
【0052】
次に、図7〜図9に基づいて上記二次乾燥工程S5で使用されるマイクロ波減圧乾燥機61の構造について説明する。
マイクロ波減圧乾燥機61は、矩形枠状の支持フレーム63に対して一例として向って右側の上部に前面が開放された角箱状の乾燥室65を備えている。また、該乾燥機65の前面には左右スライド式の開閉扉67が配設されており、該開閉扉67の前面の左右にはハンドル69、69が設けられ、中央に点検窓71が設けられている。
【0053】
乾燥室65の上方には左右に並設されるように2基のマイクロ波照射装置33、33が設けられており、乾燥室65内の上部には、同じく左右に並設されるように2組の冷却ファン73、73が吊り下げられた状態で設けられている。
また、乾燥室65内の底部には、回転台として機能するスタラー75が配設されており、該スタラー75に対して一次乾燥茶葉B1の重量を計測するロードセル77を介して上述した容器19に収容された一次乾燥茶葉B1が回転可能な状態で支持されている。
【0054】
因みに、上記スタラー75は、スタラー75の回転によってマイクロ波の照射量を均一化する役割を有しており、上記ロードセル77によって時々刻々変化する一次乾燥茶葉B1の重量変化を監視することで二次乾燥工程S5の良好な乾燥が実行される。
この他、支持フレーム63の一例として向って左側の下部には前後に2基の真空ポンプ53、53が設けられており、これらの真空ポンプ53、53と乾燥室65との間には図示を省略した吸引パイプが接続されている。尚、乾燥室65の一例として側面には図示はしないが図5に示すのと同様に供給ホースの一端が接続されており、該供給ホースの他端は、空気または窒素ガス等の不活性ガスが充填されたガスボンベが接続されている。
因みに、上記ガスボンベと供給ホースは、乾燥室65内での蒸気の結露を防止するために設けられている。
【0055】
このようにして構成されるマイクロ波減圧乾燥機61による乾燥時間は一例として90分であり、2台のマイクロ波照射装置33のマイクロ波容量は、各々一例として1.9kw、マイクロ波出力は一例として80%〜40%である。
尚、乾燥中の一次乾燥茶葉B1の品温は図示しない放射型温度計で計測されており、常時その品温が40℃になるように上記マイクロ波出力が制御されている。
【0056】
また、上記スタラー75の回転数は一例として10rpm、取出し含水率は上述したように重量比で5〜7(本実施の形態では一例として重量比を5)に設定した。
そして、減圧乾燥後の二次乾燥茶葉B2は5〜10mmの厚さのシート状に成形されており、次工程の切断工程S6での切断が可能な硬さになっている。
【0057】
次に、このようにして構成される本実施の形態に係る茶葉乾燥食品の製造方法によって実際に製造された茶葉乾燥食品Cの抽出液と茶葉乾燥食品C自体を評価するために行った比較実験の条件と評価の内容について図10〜図14に基づいて説明する。
本比較試験では、荒茶生産ラインLAで揉捻工程7まで加工して重量比が45になった予備乾燥茶葉A1を使用した。また、この予備乾燥茶葉A1を1〜3kgの袋に入れて冷凍保管し、フレーバーFはマイクロ波減圧乾燥機61で10%以下に乾燥して低温保管したものを使用した。
【0058】
そして、比較サンプルとして茶葉のみのものと、3種のフレーバーFの添加量を替えた6種類のフレーバーF入りの茶葉を用意した。具体的には図10に示すように(1)茶葉1kgのみのもの、(2−1)茶葉1kgにみかん0.1kgをブレンドしたもの、(2−2)茶葉1kgにみかん0.05kgをブレンドしたもの、(3−1)茶葉1kgにブルーベリー0.1kgをブレンドしたもの、(3−2)茶葉1kgにブルーベリー0.05kgをブレンドしたもの、(4−1)茶葉1kgに梅0.1kgをブレンドしたもの、(4−2)茶葉1kgに梅0.05kgをブレンドしたものの計7種類の比較サンプルについて比較試験を実施した。
【0059】
また、一次乾燥工程S3と二次乾燥工程S5の乾燥条件は、上述した実施の形態と同じにし、計量・プレス工程S4でのシート状の一次乾燥茶葉B1の厚さを6mmに設定した。
また、切断工程では、カッタ刃103を8mm間隔で多数枚配置し、直交する2方向の2回のカットで8×8mmのキューブ状の茶葉乾燥食品Cを製造した。そして、3名の試験者P1、P2、P3が(A)それぞれの比較サンプルをそのまま試食した場合と、(B)茶碗で抽出してその抽出液を試飲し、残った比較サンプル(茶殻)を試食した場合とで比較サンプルを評価した。
【0060】
具体的な評価の内容は、図11〜図14に示す通りである。
総括すれば、全体的に食べやすさ、飲みやすさの点では問題はなく、食感は良好であるという意見が多かった。また、味については、フレーバーFをブレンドしたものの方が好評で、特に (4−1)(4−2)の梅をブレンドしたものが人気があった。また、フレーバーFをブレンドしたものについては、全体的に味が薄いという評価が多く、フレーバーFの添加量については今後改善の余地が認められた。
色味については、(3−1)(3−2)のブルーベリーをブレンドしたものが濃すぎるという評価があった。また、茶葉とフレーバーFのバランスについては(4−1)(4−2)の酸味のある梅とブレンドしたものが好評価で、特に抽出液は今までにない新しい飲料という意見もあった。フレーバーFの選定についても今後の研究の余地があると感じられた。
【0061】
従って、フレーバーFの選定と添加量については一部改良の余地もあるが、キューブ状という斬新な形状、ツイスト包装・横ピロー包装という包装形態については今までになく、しかも緑茶の有する栄養成分や風味も多く残っており、緑茶特有の渋みや苦味成分が低く抑えられた飲みやすく、食べやすい新たな茶葉乾燥食品Cの提供が可能となった。
【0062】
尚、本発明の茶葉乾燥食品の製造方法は、上記の実施の形態のものに限定されずその発明の要旨内での変更が可能である。例えば、上記実施の形態では上記プレス工程S4の後、二次乾燥工程S5、切断工程S6を実施したが、これに加えて膨化発泡工程S8を付加することもできる。すなわち、上記プレス工程S4の後、加工されたシート状の一次乾燥茶葉B1をマイクロ波減圧乾燥機61に投入して所定の水分を残す水分調整を行った状態になるまで乾燥させる二次乾燥工程S5と、上記により得られた二次乾燥茶葉B2を密閉容器に入れて加熱し高圧になったところで開放して膨化発泡する膨化発泡工程S8と、を備えたものである。
【0063】
上記膨化発泡工程S8に用いられる密閉容器である膨化発泡装置81は一例として、図15、図16に示すように、内部にヒータ83と温度センサ85を備え固定された上型87と、軸部88に回動可能に取り付けられ内部にヒータ89と温度センサ91を備え内部にシート状の二次乾燥茶葉B2を収容する空間部93を備え上記上型87に密着させて空間部93を密閉させた状態でクランプ95により固定可能な下型97と、を備えたものである。該膨化発泡装置81は一例として軸部88に複数取り付けられこれらを同時またはランダムに使用する。
【0064】
本実施の形態の茶葉乾燥食品の製造方法としては、まず、上記二次乾燥工程S5で、加工されたシート状の一次乾燥茶葉B1をマイクロ波減圧乾燥機61に投入して一例として重量比が15程度の適度の水分を残す水分調整を行った状態になるまで乾燥させる二次乾燥工程S5を実施する。次に、膨化発泡工程S8に入り、上記適度に含水された二次乾燥茶葉B2を下型97の空間部93に入れ上型87に密着させクランプ95により密閉固定する。次に、ヒータ83、89に給電して空間部93内の二次乾燥茶葉B2を温度センサ85、91により200℃程度に温度管理された状態で2〜3秒程度加熱する。その後、重量比5程度まで水分が蒸発し蒸気で加圧された状態で、クランプ95を外して密閉容器99を急激に開放すると、二次乾燥茶葉B2は膨化発泡して「フワフワ」「サクサク」の膨化発泡茶葉B3となる。
尚、切断工程S6は上記膨化発泡工程S8で膨化発泡されたシート状の膨化発泡茶葉B3を切断機101に投入して所定形状の茶葉乾燥食品Cに切断するが、これに代えて、上記二次乾燥工程S5で加工されたシート状の二次乾燥茶葉B2を切断機101に投入して所定形状の茶葉乾燥食品Cに切断した後、膨化発泡工程S8で膨化発泡しても良い。
【0065】
本実施の形態の場合には、上記実施の形態と同様の作用効果を奏するとともに、膨化発泡工程S8を付加することにより「フワフワ」「サクサク」の食感を呈し、より一層おいしく食べられる。勿論、湯や水を入れてその抽出液を飲むこともできるし、残った固形分を食べることができる。また、抽出しないでそのまま食べてもおいしく食べることが可能であり、粗砕ないし粉末状に二次加工すれば粉末茶、打錠用原料、食品添加物またはドリンク茶の抽出原料等として使用することも可能である。
【0066】
また、上記実施の形態では茶葉にフレーバーFをブレンドしたものを採り上げたが、上記試験サンプル(1)のように茶葉のみからなる茶葉乾燥食品Cを製造することも可能である。尚、茶葉のみからなる茶葉乾燥食品Cとする場合、野菜や果実に含まれる糖分がバインダー(結合剤)としての役目をする効果は期待できないが、茶葉自体の含有水分によって茶葉同士の結合性が生じ、茶葉の風味を保持しながら乾燥を進めることが可能になる。
また、上記実施の形態では揉捻7後の予備乾燥茶葉A1を使用したが、粗揉5後の予備乾燥茶葉A1を使用することも可能である。粗揉5後のものでも重量比が40〜50で揉捻7後のものと変わらないからである。
【0067】
また、上記実施の形態では予備乾燥茶葉A1を一旦冷凍保管し、後日解凍したものを使用したが、予備乾燥茶葉A1を冷凍することなくそのまま一次乾燥工程S3に送って茶葉乾燥食品Cを製造することも可能である。この場合は、冷凍保管工程を省略できるので、茶葉の風味をより残した茶葉乾燥食品Cを製造することができる。
また、上記実施の形態では上記一次乾燥工程で加工された一次乾燥茶葉を計量し、プレス装置に投入してシート状に加工する計量・プレス工程を実施するとしたが、計量工程を省略しプレス工程のみとしても良い。計量工程を省略すると、所定の厚さにすることはできないが、プレス工程で一様な厚さのシート状の一次乾燥茶葉に加工することは可能であり、次工程の二次乾燥工程での均一な乾燥と、切断工程での所定形状の切断が可能である。
【0068】
また、フレーバーFの種類や茶葉とフレーバーFのブレンド比率も上記実施の形態のものに限らず種々変更でき、茶葉とフレーバーFの処理量の多少等に応じて一次乾燥工程S3と二次乾燥工程S5の乾燥条件を変更することも可能である。
また、上記実施の形態では一例としてキューブ状の茶葉乾燥食品Cとしたが、飲用や食用に適した適当なサイズにカットされたものであれば良く、その形状や大きさは任意である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の茶葉乾燥食品の製造方法は、茶葉を使用した加工食品の製造、使用分野等で利用でき、特に飲用だけでなく食用としても利用できる新たな茶葉乾燥食品を製造したい場合に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0070】
1 蒸熱(工程)
1A 蒸し機
3 冷却(工程)
3A 冷却機
5 粗揉(工程)
5A 葉打機
5B 粗揉機
7 揉捻(工程)
7A 揉捻機
9 中揉(工程)
9A 中揉機
11 精揉(工程)
11A 精揉機
13 乾燥(工程)
13A 乾燥機
15 計量器
17 プレス装置
19 容器
20 上蓋
21 マイクロ波減圧撹拌乾燥機
23 支持フレーム
25 乾燥室
27 開閉扉
29 ハンドル
31 ロック装置
33 マイクロ波照射装置
35 制御盤
37 撹拌軸
39 撹拌羽根
41 切断羽根
43 撹拌モータ
45 ギアヘッド
47 排出口
49 排出箱
51 吸引パイプ
53 真空ポンプ
55 供給ホース
57 ガスボンベ
61 マイクロ波減圧乾燥機
63 支持フレーム
65 乾燥室
67 開閉扉
69 ハンドル
71 点検窓
73 冷却ファン
75 スタラー
77 ロードセル
81 密閉容器(膨化発泡装置)
83 ヒータ
85 温度センサ
87 上型
89 軸部
91 ヒータ
93 温度センサ
95 空間部
97 クランプ
99 下型
101 切断機
103 カッタ刃
105 投入ホッパ
A0 原料茶葉
A1 予備乾燥茶葉
F フレーバー
B1 一次乾燥茶葉
B2 二次乾燥茶葉
B3 膨化発泡茶葉
C0 (角棒状の)茶葉乾燥食品
C 茶葉乾燥食品
D1(ツイスト包装された)茶葉乾燥食品
D2 (横ピロー包装された)茶葉乾燥食品
LC 製造ライン
LA 荒茶生産ライン
S1 予備乾燥工程
S2 冷却保管工程
S3 一次乾燥工程
S4 プレス工程 計量・プレス工程
S5 二次乾燥工程
S6 切断工程
S7 包装工程
S8 膨化発泡工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料茶葉を荒茶生産ラインで蒸熱、冷却、粗揉または粗揉後揉捻して蒸熱時100であった重量比が40〜50になるまで乾燥させる予備乾燥工程と、
上記予備乾燥工程で加工された予備乾燥茶葉をマイクロ波減圧撹拌乾燥機に投入して重量比が20〜30になるまで乾燥させる一次乾燥工程と、
上記一次乾燥工程で加工された一次乾燥茶葉をプレス装置に投入して所定厚さのシート状に加工するプレス工程と、
上記プレス工程で加工されたシート状の一次乾燥茶葉をマイクロ波減圧乾燥機に投入して所定重量比以下になるまで乾燥させる二次乾燥工程と、
上記二次乾燥工程で加工されたシート状の二次乾燥茶葉を切断機に投入して所定形状の茶葉乾燥食品に切断する切断工程と、を備えていることを特徴とする茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項2】
上記予備乾燥工程では、原料茶葉として緑茶のみる芽またはかぶせ茶を使用して蒸熱時間が60〜80秒の深蒸しまたはそれ以上の強い深蒸しにするようにしたことを特徴とする請求項1記載の茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項3】
上記予備乾燥工程の後、予備乾燥された予備乾燥茶葉を適量に分けて冷凍する冷凍保管工程を備えており、上記一次乾燥工程では、上記冷凍保管工程で冷凍された予備乾燥茶葉を解凍したものを使用するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項4】
上記一次乾燥工程では、上記予備乾燥工程で加工された予備乾燥茶葉に加えて生または乾燥した所定分量のカット野菜または果実をマイクロ波減圧撹拌乾燥機に投入して野菜または果実風味の一次乾燥茶葉を得るようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項5】
上記一次乾燥工程では、乾燥室内に撹拌羽根と切断羽根を備えた撹拌装置付きのマイクロ波減圧撹拌乾燥機を使用しており、該マイクロ波減圧撹拌乾燥機によって予備乾燥茶葉を適度なサイズに切断しながら減圧撹拌乾燥するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項6】
上記二次乾燥工程では、所定回転数のスタラーと被乾燥物の重量を計測するロードセルを備えたマイクロ波減圧乾燥機を使用しており、該マイクロ波減圧乾燥機によって一次乾燥茶葉の重量変化を見ながら減圧乾燥するようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項7】
上記一次乾燥工程と二次乾燥工程のいずれか一方、又は双方では、乾燥室内で発生した蒸気を乾燥室外に排気するために空気または不活性ガスを供給させた状態で乾燥が実行されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項8】
上記一次乾燥工程と二次乾燥工程では、被乾燥物の品温が35〜45℃になるようにマイクロ波出力が制御されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項9】
上記切断工程の後、所定形状に切断された茶葉乾燥食品をツイスト包装で1個ずつ包装し、または横ピロー包装で4〜6個ずつ包装して個別包装品または小分け包装品を作り、これらを複数量カートンに詰めて本包装する包装工程を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項10】
原料茶葉を荒茶生産ラインで蒸熱、冷却、粗揉または粗揉後揉捻して蒸熱時100であった重量比が40〜50になるまで乾燥させる予備乾燥工程と、
上記予備乾燥工程で加工された予備乾燥茶葉をマイクロ波減圧撹拌乾燥機に投入して重量比が20〜30になるまで乾燥させる一次乾燥工程と、
上記一次乾燥工程で加工された一次乾燥茶葉を計量し、プレス装置に投入して厚さ5〜10mmのシート状に加工する計量・プレス工程と、
上記計量・プレス工程で加工されたシート状の一次乾燥茶葉をマイクロ波減圧乾燥機に投入して重量比が5〜7になるまで乾燥させる二次乾燥工程と、
上記二次乾燥工程で加工されたシート状の二次乾燥茶葉を切断機に投入してカット幅5〜10mmのキューブ状の茶葉乾燥食品に切断する切断工程と、を備えていることを特徴とする茶葉乾燥食品の製造方法。
【請求項11】
上記プレス工程の後、加工されたシート状の一次乾燥茶葉をマイクロ波減圧乾燥機に投入して所定の水分を残す水分調整を行った状態になるまで乾燥させる二次乾燥工程と、上記二次乾燥茶葉を密閉容器に入れて加熱し高圧になったところで開放して膨化発泡する膨化発泡工程と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の茶葉乾燥食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−50412(P2012−50412A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197838(P2010−197838)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(505290922)株式会社沖友 (4)
【Fターム(参考)】